有毒生物対策携帯端末システム
【課題】
日常生活の中で、所持頻度が極めて高い、携帯端末装置を活用して、有毒生物に対する危険回避・応急処置・緊急連絡システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の有毒生物対策携帯電話は、有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析ユニットを有し、
前記組成データの分析をサーバに問い合わせ、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合は、組成データに一致する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯電話のユーザへ通知する。
日常生活の中で、所持頻度が極めて高い、携帯端末装置を活用して、有毒生物に対する危険回避・応急処置・緊急連絡システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の有毒生物対策携帯電話は、有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析ユニットを有し、
前記組成データの分析をサーバに問い合わせ、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合は、組成データに一致する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯電話のユーザへ通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末装置等の通信装置を活用した有毒生物対策携帯端末システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイキングやトレッキング、登山などのレジャーはもとより、動植物の実態調査や地質観測、環境調査等、屋外での活動においては、ハチ、ヘビ、クマ等様々な危険を孕む有害生物等との遭遇のリスクがある。危険な有害生物の中にはまだ余り存在の知られていないものもあり、見慣れない動植物にも注意をする必要がある。
【0003】
また、この様な有害動物等の中には、屋内にまで侵入することを躊躇わないものもある。従ってこの様な有害動物等が特に多く生息する地域に移動、滞在する際には、絶えずこの様なリスクから身を守るための安全対策を十分に行なっていく必要がある。
【0004】
そしてこの様な有害生物の中でも有毒なものによる咬傷、例えば毒ヘビ等に噛まれた場合等は、その傷が例え小さなものでも速やかに適切な処置を行わないと生命の危険すらありうる。
近年、生態調査や技術進歩により、このような有毒生物の生態や咬傷から注入されるその毒素が人体に及ぼす影響、毒素を取り込んだ場合の処置方法が明らかになり、その情報は書物やインターネットなどで調べることによって入手可能となってきている。
【0005】
特許文献1には関連する技術として、検出ユニットによってねずみや昆虫等の有害生物あるいは有害生物の痕跡を検出し、所定の条件により警報を発する等を行う有害生物管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−523613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では有害生物が発生したときには警報等がなされるが、実際に人体に対する咬傷被害が発生した場合に対応するものではない。
【0008】
屋外を通行するユーザは自らが行う室内外での活動で有毒生物との遭遇することや咬傷被害を受けることを想定していない場合も多い。そのため、有毒生物の生態や咬傷から注入されるその毒素が人体に及ぼす影響、毒素を取り込んだ場合の処置方法の知識を備えておらず、人体への咬傷被害を予防、軽減出来ず、人体への大きな被害となりうる。
【0009】
また、もし、ユーザが上述のようにインターネット等で入手した情報をもとに、室内外での活動中に起こる有毒生物との遭遇の際、人体への咬傷被害を予防、軽減するために事前準備をした場合には次のような問題が考えられる。即ち、生物図鑑、発音機や発光機、集臭機、通信機、GPS(Global Positioning System)受信機、ポイズンリムーバーなど多数の機器を携行する必要があり、かつ、それぞれの機器に最適な設定を行う必要がある。特にポイズンリムーバーの使用などの医療行為は処置を誤ると却って事態を悪化させる恐れもあり、その適切な対応は専門知識を有しない一般人には必ずしも容易なことではない。
【0010】
本発明は上記課題を解決すべく、日常生活の中で、所持頻度が極めて高い、携帯端末装置を活用して、有毒生物に対する有毒生物対策システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の有毒生物対策携帯端末は、
有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析ユニットを有する有毒生物対策携帯端末と、
有毒生物情報を保持するデータサーバと、
を備え、
前記有毒生物対策携帯端末は、前記組成データの分析を前記データサーバに問い合わせ、
前記データサーバは、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末へ送信し、
前記有毒生物対策携帯端末は、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末の画面に表示する。
【0012】
本発明の携帯端末を活用した有毒生物対策方法は、
有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析工程と、
有毒生物情報を保持する保持工程と、
前記組成データの分析をデータサーバに問い合わせ、前記データサーバは、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、有毒生物対策携帯端末へ送信する工程と、
前記有毒生物対策携帯端末の画面に、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を表示させる工程と、
を有する。
【発明の効果】
【0013】
上記に説明したように、本発明によれば、上述の構成により、室内外での活動中、有毒生物による咬傷被害に際し対応する有毒生物の情報を、有毒生物対策携帯端末の画面に表示し、室内外での安全な活動を可能とする有毒生物対策システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の携帯端末装置を活用した有毒生物対策システムを説明する図である。
【図2】第1の実施形態の全体シーケンスを示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態の全体シーケンスの一部処理の開始から終了までのシーケンスを示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の全体シーケンスの一部処理の開始から終了までのシーケンスを示すフローチャートである。
【図5】有毒生物対策システムを起動させた時の携帯端末装置の操作画面を示す図である。
【図6】有毒生物対策システムを起動させた携帯端末装置のモード選択操作画面を示す図である。
【図7】携帯端末装置の画面例である。
【図8】携帯端末装置の画面例である。
【図9】携帯端末装置の画面例である。
【図10】携帯端末装置の画面例である。
【図11】携帯端末装置の画面例である。
【図12】携帯端末装置の画面例である。
【図13】第2の実施形態における、有毒生物対策携帯電話の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は第1の実施形態の携帯端末装置を活用した有毒生物対策システムの説明図である。
【0017】
図1を参照すると、本実施形態は、ユーザに所持される携帯端末装置100と、データサーバ200と、最寄りの救急救命センタ300から構成されている。これらの携帯端末装置100とデータサーバ200と最寄りの救急救命センタ300は、ネットワーク400を介して相互に接続され、情報を送受信する機能を備える。
【0018】
ユーザに所持される携帯端末装置100は、ディスプレイとバイブレーション機能を有する携帯端末制御部101と、ネットワーク接続する携帯電話機能部102とを含む。
【0019】
更に携帯端末装置100は、携帯端末装置100の現在地の位置データを受信するGPS受信部103と、携帯端末装置100周辺の気圧を測定し気圧データを取得する気圧測定部104とを含む。更に携帯端末装置100は、カメラ撮影により有毒生物の形跡(姿形や足跡等)の画像データを取得するカメラ部105を含む。
【0020】
更に携帯端末装置100は、携帯端末装置100周辺の臭気を測定し臭気データを取得する集臭部108と、携帯端末装置100周辺の音波を測定し音声データデータ化するマイク部109とを含む。集臭部108はある種の有毒生物(昆虫、爬虫類等)が発する臭い物質を検出し、その濃度を測定しデータ化して出力するものである。
【0021】
これらGPS受信部103、気圧測定部104、カメラ部105、集臭部108、マイク部109は周辺状態取得手段を構成するものである。
【0022】
更に携帯端末装置100は、発光するLED部106と、発音するスピーカー部107とを含む。これらLED部106とスピーカー部107は有毒生物接近予防手段を構成する。
【0023】
更に携帯端末装置100には、USB接続により取り外し可能な体液吸引分析ユニット110が接続される。体液吸引分析ユニット110は、体液吸引分析ユニット本体111と、有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を抽出する体液吸引部112と、毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液分析部113から成る。
【0024】
携帯端末装置100は、体液吸引分析ユニット110で測定されたデータをネットワーク400を介してデータサーバ200に送信する機能を有している。更に携帯端末装置100は、現在地の位置データと気圧データをネットワーク400を介してデータサーバ200に送信する機能を有している。
【0025】
携帯端末装置100は、ネットワーク400を介してデータサーバ200からユーザ通知情報を受信し、ユーザ通知情報をディスプレイに表示する機能を有している。更に携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって、ユーザにユーザ通知情報の確認を促す機能と、ユーザ通知情報から有毒生物が嫌う音や光を発生させる機能を有している。
【0026】
ユーザ通知情報は、携帯端末装置100を所持しているユーザの現在地に生息している有毒生物の情報、ユーザに接近している可能性のある有毒生物の情報を含んでいる。更にユーザ通知情報は、ユーザがデータサーバ200に送信した生物の形跡の画像データに対する有毒生物判定結果の情報を含んでいる。更に、ユーザ通知情報は、携帯端末装置100から受信した組成データに一致する咬傷被害生物情報、ユーザの最寄りの救急救命センタに関する情報を含んでいる。
【0027】
有毒生物の情報と咬傷被害生物情報、生物の形跡の画像データの有毒生物判定結果は、生物名称、姿形、動作音、鳴き声、形跡、生息地、嫌いな音や光、遭遇時の対応、咬傷被害の症状、咬傷被害を受けた場合の対応などの情報である。
【0028】
最寄りの救急救命センタ情報は、当該救急救命センタの電話番号、建物の外観、アクセスマップなどの情報である。
【0029】
データサーバ200は全国各地に生息する有毒生物に関する情報、有毒生物が分泌する毒素の組成データ及び全国各地の救急救命センタに関する情報を保持する機能を有している。また、携帯端末装置100より受信する画像データ、臭気データ、音声データから、その現在地に生息する有毒生物の形跡データが含まれていないかを分析、監視する機能を有している。
【0030】
更にデータサーバ200は、携帯端末装置100に対して、ユーザの現在地に生息している有毒生物の情報を送信する機能を有する。更にデータサーバ200は、携帯端末装置100より受信する画像データ、臭気データ、音声データから、有毒生物の形跡データが認められた場合は、携帯端末装置100に対して、ユーザに接近している有毒生物の情報を送信する機能を有する。例えばカメラ撮影したある生物の外観の画像データを、その携帯端末装置100の位置情報と共に送信したとする。データサーバ200では画像データを分析し有毒生物を推定し、更に位置情報と照合し、その地域に生息する可能性のある有毒生物と一致すればその結果として有毒生物の情報を携帯端末装置100に対して送信する。
【0031】
更にデータサーバ200は、携帯端末装置100より受信した組成データに一致する咬傷被害生物情報を送信する機能と、救急救命センタ300にユーザ情報を送信する機能を有する。
【0032】
ユーザ情報は、ユーザの現在地、ユーザに咬傷被害を与えた有毒生物、咬傷被害発生場所、咬傷被害発生時刻、ユーザの電話番号などの情報である。
【0033】
救急救命センタ300は、データサーバ200より受信したユーザ情報をもとに、ユーザの所持する携帯端末装置100に安否確認連絡を行う機能を備える。
次に図2〜12を参照して本実施形態の動作について詳細に説明する。
【0034】
図2が本実施形態の全体シーケンスである。また、図3、図4は、全体シーケンスの一部処理の開始から終了までのシーケンスである。
【0035】
まず、携帯端末装置100はユーザの操作に基づき、ディスプレイに図5を表示させ、有毒生物対策システムを起動し、ディスプレイに図6を表示させ、モードの選択をユーザに促す (ステップS1)。なお、ここで起動した有毒生物対策システムはユーザ操作により任意のタイミングで終了することが出来、同じく、選択したモードについてもユーザ操作により任意のタイミングで設定変更することが出来ることとする。
【0036】
モード選択後、携帯端末装置100は、どのモードが作動中であるかの確認を行う。(ステップS2)。危険回避モードが作動中であると判断された場合は、危険回避処理(ステップS3)に移行する。応急処置、事後対応モードが作動中であると判断された場合は、応急処置、事後対応処理(ステップS4)に移行する。
【0037】
ステップS3または、ステップS4終了後、携帯端末装置100は、有毒生物対策システムが作動中であるかの確認を行う (ステップS5)。有毒生物対策システムが作動中であると判断された場合は、ステップS2に移行する。有毒生物対策システムが作動中でなければ、処理を終了する。
【0038】
次に、ステップS3に移行した場合について説明する。
ステップS3に移行後、携帯端末装置100は、データサーバ200へ各種データを送信する(ステップS11)。
【0039】
データサーバ200は、携帯端末装置100より受信した各種データを分析する(ステップS12)。データサーバ200での分析は、まず、携帯端末装置100の現在地の位置データと気圧データから、地図情報などと照合し、ユーザの現在地を特定する。なお気圧データは高層ビルの上下や断崖絶壁の上下等、地図上ではほぼ同一と示される地点を、気圧をもって現在地の高度を識別する目的に使用される。次に、受信した周辺の臭気のデータと、周辺の音波のデータに、ユーザの現在地に生息している有毒生物の形跡についてのデータが含まれていないかを分析、監視する。
【0040】
そして、携帯端末装置100へ、ユーザに通知すべき、ユーザの現在地に生息している可能性のある有毒生物の情報を送信する (ステップS13) 。
【0041】
また、あるユーザが有毒生物による咬傷被害に遭った場合、周辺にいる他のユーザの携帯端末装置100に、接近している有毒生物の情報を送信する。これにより、他のユーザは有毒生物の存在を知ることができ、有毒生物による咬傷被害からの危険回避行動を行うことができる。
【0042】
携帯端末装置100は、データサーバ200より受信したユーザの現在地に生息している有毒生物の情報と有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図7)する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって選択画面が表示されていることをユーザに通知する。これに対しユーザは、有毒生物の情報の確認を行い、有毒生物が嫌う音や光を発生する機能を起動するか否かの選択を行う(ステップS14)。
【0043】
なお、ユーザは、有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能をユーザ操作により任意のタイミングで終了出来ることとする。また、複数の有毒生物が生息する場合は、有毒生物の嫌う音や光を一定間隔で各有毒生物向けに自動で切り替えて発生させる。これにより、ユーザの有毒生物による咬傷被害から危険回避が行える。
【0044】
また、ステップS3実行中に、有毒生物へ接近した場合について記述する。
【0045】
ステップS12にて、データサーバ200は、携帯端末装置100より受信する各種データのいずれかから、有毒生物の形跡が認められた場合は、ステップS13にて、携帯端末装置100へ、ユーザに接近している有毒生物の情報を送信する。
【0046】
ステップS14にて、携帯端末装置100は、データサーバ200より受信した、ユーザに接近している有毒生物の情報と有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図8) する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって選択画面が表示されていることをユーザに通知する。これに対しユーザは、有毒生物の情報の確認と有毒生物の嫌う音や光の発生機能の起動をするか否かの選択を行う。これにより、ユーザの有毒生物による咬傷被害から危険回避が行える。
【0047】
また、ステップS3実行中に、ユーザがなんらかの生物の形跡に遭遇し、ユーザが携帯端末装置100のカメラ部105を用いて、生物の形跡を撮影した場合について記述する。
【0048】
ステップS11にて、生物の形跡の画像データをデータサーバ200に送信することで、ステップS12にて、データサーバ200は受信した画像データを分析し、ステップS13にて、生物の形跡の画像データに基づき有毒生物であるか否かを判定した結果を送信する。
【0049】
ステップS14にて、携帯端末装置100は、データサーバ200より受信した、生物の形跡の画像データより判定された有毒生物の情報と、その有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図9) する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によってユーザにその旨を通知する。ユーザは、受信した有毒生物の情報の確認を行い、同時に有毒生物の嫌う音や光を発生する機能の起動をするか否かの選択を行う。これにより、ユーザの有毒生物による咬傷被害から危険回避が行える。
【0050】
最後に、ステップS4に移行した場合について記載する。
【0051】
ユーザは、携帯端末装置100に、体液吸引分析ユニット110をUSB接続し、体液吸引分析ユニット110の体液吸引部112を人体の咬傷部に吸着し、毒素吸引を行う (ステップS21) 。これは所謂ポイズンリムーバーの役割を果たし、咬傷部よりより毒素を迅速に吸引し除去することにより、毒素が人体へ与える被害を軽減することが期待出来る。また、携帯端末装置100のLED部106を発光させることで、夜間や暗闇でも迅速に毒素吸引が可能である。
【0052】
携帯端末装置100は、吸引した体液を体液分析部113で分析し、体液の組成データをデータサーバ200に送信する(ステップS22)。体液分析部113は有毒生物が分泌する毒素の組成が有毒生物の種類により異なることを利用して(例えば、コブラは神経毒が主体でマムシは出血・筋肉毒が主体等)特定の成分を検出しその組成構成比等のデータを出力するものである。
【0053】
データサーバ200は、携帯端末装置100より受信した組成データの分析を更に詳しく行う (ステップS23) 。即ち、受信した組成データとデータサーバ200が保有する有毒生物毎の毒素の組成データとの照合を行い、一致する組成データに対応する有毒生物の情報があるかを検索する。
【0054】
データサーバ200は、前記検索の結果、組成データに一致する咬傷被害生物(有毒生物)情報があればそれを携帯端末装置100へ送信する (ステップS24) 。
【0055】
携帯端末装置100は、データサーバ200より受信した、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報を表示し、その有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図10) する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって選択画面が表示されていることをユーザに通知する。これに対しユーザは、組成データに一致する咬傷被害生物情報の確認と有毒生物の嫌う音や光を発生する機能を起動するか否かの選択を行う(ステップS25)。これにより、ユーザは生物による咬傷被害に対する適切な対応と、危険回避が行える。
【0056】
なお、ステップS24にてデータサーバ200は、組成データに一致する咬傷被害生物情報から、医療機関での処置が必要と判断された場合、ステップS25にて、組成データに一致する咬傷被害生物情報を携帯端末装置100に送信する。更に、データサーバ200は受信した現在地の位置データ及び気圧データから検索された最寄りの救急救命センタの情報を携帯端末装置100に送信する。ステップS25にて携帯端末装置100は、データサーバ200より受信した、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報を表示し、その有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図10) する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって選択画面が表示されていることをユーザに通知する。これに対しユーザは、組成データに一致する咬傷被害生物情報の確認と有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択を行ったのち、最寄りの救急救命センタ情報を表示(図11)し、最寄りの救急救命センタへの移動を促す。これにより、ユーザは生物による咬傷被害での人体への甚大な被害から早期回復が行える。
【0057】
データサーバ200は、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報から、人体へ甚大な被害を与える有毒生物であるか否かを判断する(ステップS26)。
【0058】
データサーバ200は、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報から、人体へ甚大な被害を与える有毒生物であると判定された場合(ステップS26のYES)は、次のように動作する。即ち、データサーバ200は、最寄りの救急救命センタ300にユーザ情報(図12)を送信することで、迅速な救急救命要請を行う(ステップS27)。
【0059】
一方、データサーバ200は、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報から、人体へ甚大な被害を与える有毒生物ではないと判定された場合(ステップS26のNO)は、応急処置、事後対応処理を終了する。
【0060】
最寄りの救急救命センタ300はデータサーバ200より受信したユーザ情報を用いてユーザに安否確認連絡を行う(ステップS28)。
【0061】
以上のように、携帯電話端末を用いた有毒生物に対する危険回避・応急処置・緊急連絡を行うことで、室内外での活動中に起こる有毒生物、有毒生物との遭遇の際、有毒生物による人体への咬傷被害等の事故を予防、軽減する効果がある。
(第2の実施形態)
次に、本発明を実施するための第2の実施形態について説明する。
【0062】
図13は本発明の第2の実施形態の有毒生物対策携帯端末システムである。
【0063】
第2の実施形態の有毒生物対策携帯端末システムは有毒生物対策携帯端末1301と、有毒生物情報を保持するデータサーバ1310と、を含む。更に、有毒生物対策携帯端末1301は有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析ユニット1302を含む。
【0064】
前記有毒生物対策携帯端末1301は、前記組成データの分析を前記データサーバ1310に問い合わせる。
【0065】
前記データサーバ1310は、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末1301へ送信する。
【0066】
その後、前記有毒生物対策携帯端末1301は、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末1301の画面に表示する。
【0067】
以上説明した第2の実施形態では、上述したような構成により、室内外での活動中に起こる有毒生物との遭遇の際、有毒生物による咬傷被害対応として最寄りの救急救命センタへ連絡と案内を行い、室内外での安全な活動を可能とする携帯端末を提供することができる。
【0068】
なお、ここまで説明した各実施の形態では、専用の装置を想定したが、次のようなものでもよい。即ち例えば各種データ処理を行うパーソナルコンピュータ装置に、本例に相当する処理を行うボードやカードなどを装着し、各処理を、コンピュータ装置側で実行させる。このようにして、その処理を実行するソフトウェアをパーソナルコンピュータ装置に実装させて実行する構成としても良い。
【0069】
そのパーソナルコンピュータ装置などのデータ処理装置に実装されるプログラムについては、光ディスク,メモリカードなどの各種記録(記憶)媒体を介して配付しても良く、或いはインターネットなどの通信手段を介して配付しても良い。
【符号の説明】
【0070】
100 携帯端末装置
101 携帯端末制御部
102 携帯電話機能部
103 GPS受信部
104 気圧測定部
105 カメラ部
106 LED部
107 スピーカー部
108 集臭部
109 マイク部
110 体液吸引分析ユニット
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末装置等の通信装置を活用した有毒生物対策携帯端末システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイキングやトレッキング、登山などのレジャーはもとより、動植物の実態調査や地質観測、環境調査等、屋外での活動においては、ハチ、ヘビ、クマ等様々な危険を孕む有害生物等との遭遇のリスクがある。危険な有害生物の中にはまだ余り存在の知られていないものもあり、見慣れない動植物にも注意をする必要がある。
【0003】
また、この様な有害動物等の中には、屋内にまで侵入することを躊躇わないものもある。従ってこの様な有害動物等が特に多く生息する地域に移動、滞在する際には、絶えずこの様なリスクから身を守るための安全対策を十分に行なっていく必要がある。
【0004】
そしてこの様な有害生物の中でも有毒なものによる咬傷、例えば毒ヘビ等に噛まれた場合等は、その傷が例え小さなものでも速やかに適切な処置を行わないと生命の危険すらありうる。
近年、生態調査や技術進歩により、このような有毒生物の生態や咬傷から注入されるその毒素が人体に及ぼす影響、毒素を取り込んだ場合の処置方法が明らかになり、その情報は書物やインターネットなどで調べることによって入手可能となってきている。
【0005】
特許文献1には関連する技術として、検出ユニットによってねずみや昆虫等の有害生物あるいは有害生物の痕跡を検出し、所定の条件により警報を発する等を行う有害生物管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−523613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では有害生物が発生したときには警報等がなされるが、実際に人体に対する咬傷被害が発生した場合に対応するものではない。
【0008】
屋外を通行するユーザは自らが行う室内外での活動で有毒生物との遭遇することや咬傷被害を受けることを想定していない場合も多い。そのため、有毒生物の生態や咬傷から注入されるその毒素が人体に及ぼす影響、毒素を取り込んだ場合の処置方法の知識を備えておらず、人体への咬傷被害を予防、軽減出来ず、人体への大きな被害となりうる。
【0009】
また、もし、ユーザが上述のようにインターネット等で入手した情報をもとに、室内外での活動中に起こる有毒生物との遭遇の際、人体への咬傷被害を予防、軽減するために事前準備をした場合には次のような問題が考えられる。即ち、生物図鑑、発音機や発光機、集臭機、通信機、GPS(Global Positioning System)受信機、ポイズンリムーバーなど多数の機器を携行する必要があり、かつ、それぞれの機器に最適な設定を行う必要がある。特にポイズンリムーバーの使用などの医療行為は処置を誤ると却って事態を悪化させる恐れもあり、その適切な対応は専門知識を有しない一般人には必ずしも容易なことではない。
【0010】
本発明は上記課題を解決すべく、日常生活の中で、所持頻度が極めて高い、携帯端末装置を活用して、有毒生物に対する有毒生物対策システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の有毒生物対策携帯端末は、
有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析ユニットを有する有毒生物対策携帯端末と、
有毒生物情報を保持するデータサーバと、
を備え、
前記有毒生物対策携帯端末は、前記組成データの分析を前記データサーバに問い合わせ、
前記データサーバは、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末へ送信し、
前記有毒生物対策携帯端末は、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末の画面に表示する。
【0012】
本発明の携帯端末を活用した有毒生物対策方法は、
有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析工程と、
有毒生物情報を保持する保持工程と、
前記組成データの分析をデータサーバに問い合わせ、前記データサーバは、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、有毒生物対策携帯端末へ送信する工程と、
前記有毒生物対策携帯端末の画面に、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を表示させる工程と、
を有する。
【発明の効果】
【0013】
上記に説明したように、本発明によれば、上述の構成により、室内外での活動中、有毒生物による咬傷被害に際し対応する有毒生物の情報を、有毒生物対策携帯端末の画面に表示し、室内外での安全な活動を可能とする有毒生物対策システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の携帯端末装置を活用した有毒生物対策システムを説明する図である。
【図2】第1の実施形態の全体シーケンスを示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態の全体シーケンスの一部処理の開始から終了までのシーケンスを示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の全体シーケンスの一部処理の開始から終了までのシーケンスを示すフローチャートである。
【図5】有毒生物対策システムを起動させた時の携帯端末装置の操作画面を示す図である。
【図6】有毒生物対策システムを起動させた携帯端末装置のモード選択操作画面を示す図である。
【図7】携帯端末装置の画面例である。
【図8】携帯端末装置の画面例である。
【図9】携帯端末装置の画面例である。
【図10】携帯端末装置の画面例である。
【図11】携帯端末装置の画面例である。
【図12】携帯端末装置の画面例である。
【図13】第2の実施形態における、有毒生物対策携帯電話の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は第1の実施形態の携帯端末装置を活用した有毒生物対策システムの説明図である。
【0017】
図1を参照すると、本実施形態は、ユーザに所持される携帯端末装置100と、データサーバ200と、最寄りの救急救命センタ300から構成されている。これらの携帯端末装置100とデータサーバ200と最寄りの救急救命センタ300は、ネットワーク400を介して相互に接続され、情報を送受信する機能を備える。
【0018】
ユーザに所持される携帯端末装置100は、ディスプレイとバイブレーション機能を有する携帯端末制御部101と、ネットワーク接続する携帯電話機能部102とを含む。
【0019】
更に携帯端末装置100は、携帯端末装置100の現在地の位置データを受信するGPS受信部103と、携帯端末装置100周辺の気圧を測定し気圧データを取得する気圧測定部104とを含む。更に携帯端末装置100は、カメラ撮影により有毒生物の形跡(姿形や足跡等)の画像データを取得するカメラ部105を含む。
【0020】
更に携帯端末装置100は、携帯端末装置100周辺の臭気を測定し臭気データを取得する集臭部108と、携帯端末装置100周辺の音波を測定し音声データデータ化するマイク部109とを含む。集臭部108はある種の有毒生物(昆虫、爬虫類等)が発する臭い物質を検出し、その濃度を測定しデータ化して出力するものである。
【0021】
これらGPS受信部103、気圧測定部104、カメラ部105、集臭部108、マイク部109は周辺状態取得手段を構成するものである。
【0022】
更に携帯端末装置100は、発光するLED部106と、発音するスピーカー部107とを含む。これらLED部106とスピーカー部107は有毒生物接近予防手段を構成する。
【0023】
更に携帯端末装置100には、USB接続により取り外し可能な体液吸引分析ユニット110が接続される。体液吸引分析ユニット110は、体液吸引分析ユニット本体111と、有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を抽出する体液吸引部112と、毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液分析部113から成る。
【0024】
携帯端末装置100は、体液吸引分析ユニット110で測定されたデータをネットワーク400を介してデータサーバ200に送信する機能を有している。更に携帯端末装置100は、現在地の位置データと気圧データをネットワーク400を介してデータサーバ200に送信する機能を有している。
【0025】
携帯端末装置100は、ネットワーク400を介してデータサーバ200からユーザ通知情報を受信し、ユーザ通知情報をディスプレイに表示する機能を有している。更に携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって、ユーザにユーザ通知情報の確認を促す機能と、ユーザ通知情報から有毒生物が嫌う音や光を発生させる機能を有している。
【0026】
ユーザ通知情報は、携帯端末装置100を所持しているユーザの現在地に生息している有毒生物の情報、ユーザに接近している可能性のある有毒生物の情報を含んでいる。更にユーザ通知情報は、ユーザがデータサーバ200に送信した生物の形跡の画像データに対する有毒生物判定結果の情報を含んでいる。更に、ユーザ通知情報は、携帯端末装置100から受信した組成データに一致する咬傷被害生物情報、ユーザの最寄りの救急救命センタに関する情報を含んでいる。
【0027】
有毒生物の情報と咬傷被害生物情報、生物の形跡の画像データの有毒生物判定結果は、生物名称、姿形、動作音、鳴き声、形跡、生息地、嫌いな音や光、遭遇時の対応、咬傷被害の症状、咬傷被害を受けた場合の対応などの情報である。
【0028】
最寄りの救急救命センタ情報は、当該救急救命センタの電話番号、建物の外観、アクセスマップなどの情報である。
【0029】
データサーバ200は全国各地に生息する有毒生物に関する情報、有毒生物が分泌する毒素の組成データ及び全国各地の救急救命センタに関する情報を保持する機能を有している。また、携帯端末装置100より受信する画像データ、臭気データ、音声データから、その現在地に生息する有毒生物の形跡データが含まれていないかを分析、監視する機能を有している。
【0030】
更にデータサーバ200は、携帯端末装置100に対して、ユーザの現在地に生息している有毒生物の情報を送信する機能を有する。更にデータサーバ200は、携帯端末装置100より受信する画像データ、臭気データ、音声データから、有毒生物の形跡データが認められた場合は、携帯端末装置100に対して、ユーザに接近している有毒生物の情報を送信する機能を有する。例えばカメラ撮影したある生物の外観の画像データを、その携帯端末装置100の位置情報と共に送信したとする。データサーバ200では画像データを分析し有毒生物を推定し、更に位置情報と照合し、その地域に生息する可能性のある有毒生物と一致すればその結果として有毒生物の情報を携帯端末装置100に対して送信する。
【0031】
更にデータサーバ200は、携帯端末装置100より受信した組成データに一致する咬傷被害生物情報を送信する機能と、救急救命センタ300にユーザ情報を送信する機能を有する。
【0032】
ユーザ情報は、ユーザの現在地、ユーザに咬傷被害を与えた有毒生物、咬傷被害発生場所、咬傷被害発生時刻、ユーザの電話番号などの情報である。
【0033】
救急救命センタ300は、データサーバ200より受信したユーザ情報をもとに、ユーザの所持する携帯端末装置100に安否確認連絡を行う機能を備える。
次に図2〜12を参照して本実施形態の動作について詳細に説明する。
【0034】
図2が本実施形態の全体シーケンスである。また、図3、図4は、全体シーケンスの一部処理の開始から終了までのシーケンスである。
【0035】
まず、携帯端末装置100はユーザの操作に基づき、ディスプレイに図5を表示させ、有毒生物対策システムを起動し、ディスプレイに図6を表示させ、モードの選択をユーザに促す (ステップS1)。なお、ここで起動した有毒生物対策システムはユーザ操作により任意のタイミングで終了することが出来、同じく、選択したモードについてもユーザ操作により任意のタイミングで設定変更することが出来ることとする。
【0036】
モード選択後、携帯端末装置100は、どのモードが作動中であるかの確認を行う。(ステップS2)。危険回避モードが作動中であると判断された場合は、危険回避処理(ステップS3)に移行する。応急処置、事後対応モードが作動中であると判断された場合は、応急処置、事後対応処理(ステップS4)に移行する。
【0037】
ステップS3または、ステップS4終了後、携帯端末装置100は、有毒生物対策システムが作動中であるかの確認を行う (ステップS5)。有毒生物対策システムが作動中であると判断された場合は、ステップS2に移行する。有毒生物対策システムが作動中でなければ、処理を終了する。
【0038】
次に、ステップS3に移行した場合について説明する。
ステップS3に移行後、携帯端末装置100は、データサーバ200へ各種データを送信する(ステップS11)。
【0039】
データサーバ200は、携帯端末装置100より受信した各種データを分析する(ステップS12)。データサーバ200での分析は、まず、携帯端末装置100の現在地の位置データと気圧データから、地図情報などと照合し、ユーザの現在地を特定する。なお気圧データは高層ビルの上下や断崖絶壁の上下等、地図上ではほぼ同一と示される地点を、気圧をもって現在地の高度を識別する目的に使用される。次に、受信した周辺の臭気のデータと、周辺の音波のデータに、ユーザの現在地に生息している有毒生物の形跡についてのデータが含まれていないかを分析、監視する。
【0040】
そして、携帯端末装置100へ、ユーザに通知すべき、ユーザの現在地に生息している可能性のある有毒生物の情報を送信する (ステップS13) 。
【0041】
また、あるユーザが有毒生物による咬傷被害に遭った場合、周辺にいる他のユーザの携帯端末装置100に、接近している有毒生物の情報を送信する。これにより、他のユーザは有毒生物の存在を知ることができ、有毒生物による咬傷被害からの危険回避行動を行うことができる。
【0042】
携帯端末装置100は、データサーバ200より受信したユーザの現在地に生息している有毒生物の情報と有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図7)する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって選択画面が表示されていることをユーザに通知する。これに対しユーザは、有毒生物の情報の確認を行い、有毒生物が嫌う音や光を発生する機能を起動するか否かの選択を行う(ステップS14)。
【0043】
なお、ユーザは、有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能をユーザ操作により任意のタイミングで終了出来ることとする。また、複数の有毒生物が生息する場合は、有毒生物の嫌う音や光を一定間隔で各有毒生物向けに自動で切り替えて発生させる。これにより、ユーザの有毒生物による咬傷被害から危険回避が行える。
【0044】
また、ステップS3実行中に、有毒生物へ接近した場合について記述する。
【0045】
ステップS12にて、データサーバ200は、携帯端末装置100より受信する各種データのいずれかから、有毒生物の形跡が認められた場合は、ステップS13にて、携帯端末装置100へ、ユーザに接近している有毒生物の情報を送信する。
【0046】
ステップS14にて、携帯端末装置100は、データサーバ200より受信した、ユーザに接近している有毒生物の情報と有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図8) する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって選択画面が表示されていることをユーザに通知する。これに対しユーザは、有毒生物の情報の確認と有毒生物の嫌う音や光の発生機能の起動をするか否かの選択を行う。これにより、ユーザの有毒生物による咬傷被害から危険回避が行える。
【0047】
また、ステップS3実行中に、ユーザがなんらかの生物の形跡に遭遇し、ユーザが携帯端末装置100のカメラ部105を用いて、生物の形跡を撮影した場合について記述する。
【0048】
ステップS11にて、生物の形跡の画像データをデータサーバ200に送信することで、ステップS12にて、データサーバ200は受信した画像データを分析し、ステップS13にて、生物の形跡の画像データに基づき有毒生物であるか否かを判定した結果を送信する。
【0049】
ステップS14にて、携帯端末装置100は、データサーバ200より受信した、生物の形跡の画像データより判定された有毒生物の情報と、その有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図9) する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によってユーザにその旨を通知する。ユーザは、受信した有毒生物の情報の確認を行い、同時に有毒生物の嫌う音や光を発生する機能の起動をするか否かの選択を行う。これにより、ユーザの有毒生物による咬傷被害から危険回避が行える。
【0050】
最後に、ステップS4に移行した場合について記載する。
【0051】
ユーザは、携帯端末装置100に、体液吸引分析ユニット110をUSB接続し、体液吸引分析ユニット110の体液吸引部112を人体の咬傷部に吸着し、毒素吸引を行う (ステップS21) 。これは所謂ポイズンリムーバーの役割を果たし、咬傷部よりより毒素を迅速に吸引し除去することにより、毒素が人体へ与える被害を軽減することが期待出来る。また、携帯端末装置100のLED部106を発光させることで、夜間や暗闇でも迅速に毒素吸引が可能である。
【0052】
携帯端末装置100は、吸引した体液を体液分析部113で分析し、体液の組成データをデータサーバ200に送信する(ステップS22)。体液分析部113は有毒生物が分泌する毒素の組成が有毒生物の種類により異なることを利用して(例えば、コブラは神経毒が主体でマムシは出血・筋肉毒が主体等)特定の成分を検出しその組成構成比等のデータを出力するものである。
【0053】
データサーバ200は、携帯端末装置100より受信した組成データの分析を更に詳しく行う (ステップS23) 。即ち、受信した組成データとデータサーバ200が保有する有毒生物毎の毒素の組成データとの照合を行い、一致する組成データに対応する有毒生物の情報があるかを検索する。
【0054】
データサーバ200は、前記検索の結果、組成データに一致する咬傷被害生物(有毒生物)情報があればそれを携帯端末装置100へ送信する (ステップS24) 。
【0055】
携帯端末装置100は、データサーバ200より受信した、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報を表示し、その有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図10) する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって選択画面が表示されていることをユーザに通知する。これに対しユーザは、組成データに一致する咬傷被害生物情報の確認と有毒生物の嫌う音や光を発生する機能を起動するか否かの選択を行う(ステップS25)。これにより、ユーザは生物による咬傷被害に対する適切な対応と、危険回避が行える。
【0056】
なお、ステップS24にてデータサーバ200は、組成データに一致する咬傷被害生物情報から、医療機関での処置が必要と判断された場合、ステップS25にて、組成データに一致する咬傷被害生物情報を携帯端末装置100に送信する。更に、データサーバ200は受信した現在地の位置データ及び気圧データから検索された最寄りの救急救命センタの情報を携帯端末装置100に送信する。ステップS25にて携帯端末装置100は、データサーバ200より受信した、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報を表示し、その有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択をディスプレイに表示(図10) する。携帯端末装置100は、バイブレーション、LED部106の発光、スピーカー部107の発音によって選択画面が表示されていることをユーザに通知する。これに対しユーザは、組成データに一致する咬傷被害生物情報の確認と有毒生物の嫌う音や光を発生させる機能を起動するか否かの選択を行ったのち、最寄りの救急救命センタ情報を表示(図11)し、最寄りの救急救命センタへの移動を促す。これにより、ユーザは生物による咬傷被害での人体への甚大な被害から早期回復が行える。
【0057】
データサーバ200は、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報から、人体へ甚大な被害を与える有毒生物であるか否かを判断する(ステップS26)。
【0058】
データサーバ200は、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報から、人体へ甚大な被害を与える有毒生物であると判定された場合(ステップS26のYES)は、次のように動作する。即ち、データサーバ200は、最寄りの救急救命センタ300にユーザ情報(図12)を送信することで、迅速な救急救命要請を行う(ステップS27)。
【0059】
一方、データサーバ200は、組成データに一致する咬傷被害を受けた有毒生物の情報から、人体へ甚大な被害を与える有毒生物ではないと判定された場合(ステップS26のNO)は、応急処置、事後対応処理を終了する。
【0060】
最寄りの救急救命センタ300はデータサーバ200より受信したユーザ情報を用いてユーザに安否確認連絡を行う(ステップS28)。
【0061】
以上のように、携帯電話端末を用いた有毒生物に対する危険回避・応急処置・緊急連絡を行うことで、室内外での活動中に起こる有毒生物、有毒生物との遭遇の際、有毒生物による人体への咬傷被害等の事故を予防、軽減する効果がある。
(第2の実施形態)
次に、本発明を実施するための第2の実施形態について説明する。
【0062】
図13は本発明の第2の実施形態の有毒生物対策携帯端末システムである。
【0063】
第2の実施形態の有毒生物対策携帯端末システムは有毒生物対策携帯端末1301と、有毒生物情報を保持するデータサーバ1310と、を含む。更に、有毒生物対策携帯端末1301は有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析ユニット1302を含む。
【0064】
前記有毒生物対策携帯端末1301は、前記組成データの分析を前記データサーバ1310に問い合わせる。
【0065】
前記データサーバ1310は、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末1301へ送信する。
【0066】
その後、前記有毒生物対策携帯端末1301は、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末1301の画面に表示する。
【0067】
以上説明した第2の実施形態では、上述したような構成により、室内外での活動中に起こる有毒生物との遭遇の際、有毒生物による咬傷被害対応として最寄りの救急救命センタへ連絡と案内を行い、室内外での安全な活動を可能とする携帯端末を提供することができる。
【0068】
なお、ここまで説明した各実施の形態では、専用の装置を想定したが、次のようなものでもよい。即ち例えば各種データ処理を行うパーソナルコンピュータ装置に、本例に相当する処理を行うボードやカードなどを装着し、各処理を、コンピュータ装置側で実行させる。このようにして、その処理を実行するソフトウェアをパーソナルコンピュータ装置に実装させて実行する構成としても良い。
【0069】
そのパーソナルコンピュータ装置などのデータ処理装置に実装されるプログラムについては、光ディスク,メモリカードなどの各種記録(記憶)媒体を介して配付しても良く、或いはインターネットなどの通信手段を介して配付しても良い。
【符号の説明】
【0070】
100 携帯端末装置
101 携帯端末制御部
102 携帯電話機能部
103 GPS受信部
104 気圧測定部
105 カメラ部
106 LED部
107 スピーカー部
108 集臭部
109 マイク部
110 体液吸引分析ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析ユニットを有する有毒生物対策携帯端末と、
有毒生物情報を保持するデータサーバと、
を備え、
前記有毒生物対策携帯端末は、前記組成データの分析を前記データサーバに問い合わせ、
前記データサーバは、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末へ送信し、
前記有毒生物対策携帯端末は、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末の画面に表示する、
ことを特徴とする有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項2】
前記データサーバは救急救命センタ情報を更に含み、
前記有毒生物対策携帯端末は、有毒生物対策携帯端末の現在地の位置情報及び気圧データを前記データサーバに送信し、
前記データサーバは、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報、及びユーザの情報を現在地の位置データ及び気圧データから検索された現在地の最寄りの救急救命センタに送信する
ことを特徴とする請求項1記載の有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項3】
有毒生物が嫌う音や光を発生させて有毒生物の接近を予防する有毒生物接近予防手段を更に有し、
前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を基に咬傷被害にあった有毒生物が嫌う音や光を前記有毒生物接近予防手段から発生させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項4】
前記有毒生物対策携帯端末は現在地の位置データを取得するGPS受信部を有し、
前記現在地の位置データはGPS受信部で取得したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項5】
前記有毒生物対策携帯端末の現在地の気圧データを取得する気圧測定部を有し、前記現在地の気圧データは前記気圧測定部で取得したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項6】
有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析工程と、
有毒生物情報を保持する保持工程と、
前記組成データの分析をデータサーバに問い合わせ、前記データサーバは、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、有毒生物対策携帯端末へ送信する工程と、
前記有毒生物対策携帯端末の画面に、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を表示させる工程と、
を有することを特徴とする携帯端末を活用した有毒生物対策方法。
【請求項7】
前記データサーバは救急救命センタ情報を更に含み、
有毒生物対策携帯端末の現在地の位置情報及び気圧データを前記データサーバに送信する工程と、
前記データサーバは、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報、及びユーザの情報を現在地の位置データ及び気圧データから検索された現在地の最寄りの救急救命センタに送信する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項6記載の携帯端末を活用した有毒生物対策方法。
【請求項8】
前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を基に咬傷被害にあった有毒生物が嫌う音や光を発生させて有毒生物の接近を予防する有毒生物接近予防工程
を更に有することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の携帯端末を活用した有毒生物対策方法。
【請求項1】
有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析ユニットを有する有毒生物対策携帯端末と、
有毒生物情報を保持するデータサーバと、
を備え、
前記有毒生物対策携帯端末は、前記組成データの分析を前記データサーバに問い合わせ、
前記データサーバは、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末へ送信し、
前記有毒生物対策携帯端末は、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を、前記有毒生物対策携帯端末の画面に表示する、
ことを特徴とする有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項2】
前記データサーバは救急救命センタ情報を更に含み、
前記有毒生物対策携帯端末は、有毒生物対策携帯端末の現在地の位置情報及び気圧データを前記データサーバに送信し、
前記データサーバは、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報、及びユーザの情報を現在地の位置データ及び気圧データから検索された現在地の最寄りの救急救命センタに送信する
ことを特徴とする請求項1記載の有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項3】
有毒生物が嫌う音や光を発生させて有毒生物の接近を予防する有毒生物接近予防手段を更に有し、
前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を基に咬傷被害にあった有毒生物が嫌う音や光を前記有毒生物接近予防手段から発生させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項4】
前記有毒生物対策携帯端末は現在地の位置データを取得するGPS受信部を有し、
前記現在地の位置データはGPS受信部で取得したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項5】
前記有毒生物対策携帯端末の現在地の気圧データを取得する気圧測定部を有し、前記現在地の気圧データは前記気圧測定部で取得したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の有毒生物対策携帯端末システム。
【請求項6】
有毒生物による人体への咬傷から毒素が混入された体液を分析しその組成データを取得する体液吸引分析工程と、
有毒生物情報を保持する保持工程と、
前記組成データの分析をデータサーバに問い合わせ、前記データサーバは、前記有毒生物対策携帯端末より受信した前記組成データの分析を行い、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を、有毒生物対策携帯端末へ送信する工程と、
前記有毒生物対策携帯端末の画面に、前記組成データに対応する咬傷被害生物情報を表示させる工程と、
を有することを特徴とする携帯端末を活用した有毒生物対策方法。
【請求項7】
前記データサーバは救急救命センタ情報を更に含み、
有毒生物対策携帯端末の現在地の位置情報及び気圧データを前記データサーバに送信する工程と、
前記データサーバは、前記体液が有毒生物のものであると判定された場合に、前記組成データに一致する咬傷被害生物情報、及びユーザの情報を現在地の位置データ及び気圧データから検索された現在地の最寄りの救急救命センタに送信する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項6記載の携帯端末を活用した有毒生物対策方法。
【請求項8】
前記組成データに一致する咬傷被害生物情報を基に咬傷被害にあった有毒生物が嫌う音や光を発生させて有毒生物の接近を予防する有毒生物接近予防工程
を更に有することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の携帯端末を活用した有毒生物対策方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−70171(P2012−70171A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212476(P2010−212476)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
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