説明

有益な添加剤を含む環境に優しい組成物

一つの実施態様は、水;澱粉;天然繊維材料;ある種の特性、例えば熱伝達、耐微生物性、除去活性又は貯蔵寿命を改良するための一種又は複数種の添加剤;離型剤;香料;着色剤;及び/又は特定用途のために製品特性を調整するためのワックスエマルジョン、タンパク質、又は他の天然ポリマー化合物を含む組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に完全に組み込まれる2009年4月6日に出願された米国仮出願第61/167,092号の利益を請求するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の使い捨て可能な食品容器製品の環境に対する懸念に対処するために現在用いられている一つの方法は、澱粉系使い捨てアイテム、例えば包装容器、トレイ、プレート及びボウルの製造である。特定の用途、例えば食品サービスのために前記材料の特性を改良することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、容器、プレート、トレイ及びボウルが通常使用される全範囲の用途で役立ち得る、環境に優しい使い捨て可能な包装アイテムを製造するための改良されたシステムに関するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの実施態様は、水;澱粉;天然繊維材料;特定の特性、例えば熱伝達、耐微生物性、除去活性又は貯蔵寿命を改良するための一種又は複数種の添加剤;離型剤;香料;着色剤;及び/又は特定用途のために製品特性を調整するためのワックスエマルジョン、タンパク質又は他の天然ポリマー化合物を含む組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
上記の詳細並びに本発明による他の利点及び目的が達成される態様を完全に理解するために、本発明の特定の実施態様を参照することにより本発明を更に詳細に説明する。
【0006】
一つの実施態様は、可食性で、且つ、標準的なアイスクリームコーン配合物に比べてはるかに強靭で、一方オーブン及びマイクロ波環境において機能を維持する包装材料を提供する。本実施態様のための典型的な想像される用途としては、より強靭なアイスクリームコーン、パイの外皮、マフィントレイ、ホットドッグホルダー、キャンディトレイ、アイスクリームトレイ、クッキーホルダー、及びデザートトレイが挙げられる。強化された耐湿性を有する製品は、可食性耐湿性コーティングをトレイに塗布することによって提供できる。密封された湿気と酸素のバリヤーが食品の長期保存に必要である場合、食品アイテムを保持し且つ保護するように作用する硬質で可食性で堆肥化可能な生分解性の挿入物と一緒に、従来のコーティングされた紙又はプラスチックフィルム材料を、バリヤー材のために使用できる。
【0007】
ペットフード容器も本実施態様に従って製造できる。これらの容器は、可食性であるだけでなく、(多くの従来の包装材料と違って)ペットの歯にとっても安全である。この新規なペット可食性包装は、ペットが食事を食べ終わった後に「処置(treat)」として作用するように風味を付けることができるか、又は食事それ自体の一部として給仕できる。ペットフード包装を排除すれば、ペットに追加の食物繊維源が提供され、現在埋め立て地に送られているゴミの流れにおけるペットフード包装材料の量が減少し、また、不用な包装材料を排除することによってペットフード配送の全体の効率が増す。
【0008】
一つの実施態様では、可食性包装アイテム(容器、プレート、トレイ、ボウル、コーン、及びカップ、ならびに他の新規な形状)を製造できるいくつかの実施態様に従って、水;澱粉;任意に、焼成アイテムの構造要素(いくつかのサイズスケールで)及び無機充填材の安価な有機代替物の両方として組み合わせて使用される数種の天然繊維材料;任意に、乾燥環境で使用するために製造された物品の脆弱性を低減するための、また、アイテムが典型的に乾燥している場合に成形直後の破損を防止するためのタンパク質及び天然ポリマー化合物;任意に、完成アイテムの耐水性を増加させるためのワックスエマルジョン;任意に、焼成パーツと金型システムとの間の粘着を低減するための離型剤;及び任意に、アイテムの感覚へのアピールを増大させる食品用の着色剤及び/又は香料を含む配合物が提供される。
【0009】
別の実施態様では、上記実施態様による配合物は、更に及び任意に、配合物の様々な特性、例えば熱伝達性、除去特性、貯蔵寿命、及び細菌又は他の微生物に対する抵抗性を改良するための添加剤を含むことができる。
【0010】
いくつかの実施態様で使用される澱粉としては、植物源、例えば塊茎、根、種、及び/又は植物の果実が挙げられ、そして、具体的な植物としては、トウモロコシ、ジャガイモ、タピオカ、米若しくは小麦などが挙げられ、又は動物源の澱粉としては、すなわちグリコーゲンが挙げられ、植物源の澱粉が最も好ましいが、これらに限定されない。さらに、澱粉は、好ましくは、アルファ化澱粉及び生の澱粉の両方を組み合わせたものが提供される。好ましくは、アルファ化澱粉は、配合物中の全澱粉の質量を基準として、約0質量%〜約30質量%、より好ましくは3質量%〜20質量%、そして最も好ましくは5質量%〜15質量%の濃度を有する。架橋、安定化、又は親油性官能基の添加によって変性された食品用澱粉(アルファ化された又は生の澱粉)を含有させて、水性食品に曝露された時の軟化に対する製品の抵抗性を増大させ得る。
【0011】
いくつかの実施態様で使用されるタンパク質及び天然ポリマー化合物としては、カゼインから作られる調製物、大豆タンパク質の単離物若しくは濃縮物から作られる調製物、又は類似の前記調製物が挙げられるが、それらに限定されない。一つの前記調製物は、以下の三つの工程:すなわち、1)カゼイン又は大豆タンパク質分離物の水溶液(約10質量%)を通常の製造業者の推奨に従って調理する工程(一般的に、浸漬することによってタンパク質を水和させ、次いで溶液の温度及びpHを82.2℃(180°F)及びpH=9〜9.5まで徐々に上げ、次いでその溶液を15分間82.2℃(180°F)に保つ);2)その調製物を室温まで冷却する工程;及び、任意に、3)防腐剤を加え、そして十分にブレンドする工程で調製できる。その調製物中の防腐剤の好ましい濃度は、タンパク質溶液に関して要求される貯蔵寿命、最終製品において要求されるタンパク質の濃度、及び可食性材料における防腐剤化合物の用量に関する政府規制によって課される制限に従って、約0.1%以下である。
【0012】
他のタンパク質も、カゼイン又は大豆タンパク質調製物と組み合わせて使用して、又は、別々に使用して、容器の耐水性を向上させ得る。例えば、前記タンパク質としては、アルブミン、ゼラチンなどが挙げられる。
【0013】
数種の天然繊維材料は、焼成アイテムの構造要素(いくつかのサイズスケールで)として及び/又は安価な有機充填材として組み合わせて使用し得る。繊維要素を使用して、水を加えたバッターの成形特性を制御しまた、最終食品の構造安定性を高める。配合物で使用される繊維の繊維長と繊維アスペクト比は連続しているが、配合物の繊維部分は、一般的な意味で、異なる機能に役立つ三つのクラスに(繊維長に基づいて)分類できる。長い又は非常に長い(4〜25mm又はそれを超える)繊維又は複合繊維要素を使用して、金型の中で膨張する時に、バッターにおいて欠陥が生じるのを防止するのを助ける網目構造を形成する。中間の長さの繊維(約0.5〜5mm)も、水を加えたバッターの流動特性を制御するのを助け、そして最終食品の強靭性を増大させるのに役立ち、取扱い中及び正常な使用中の破壊を防止する。短繊維(<0.5mm)は、主に、容易に生分解性の材料を、すなわち、短繊維を含む澱粉系マトリックスに比べてより耐水性である充填材を、配合物中に導入するための手段として役立つ。(すべてのタイプの繊維が、この機能を提供するが、中間長の繊維、長い繊維、及び非常に長い繊維の存在は、それらの繊維が提供する強度特性、成形特性、取扱い特性及び利用特性のために必要であり、一方、短繊維要素は、それらによる耐水性に対して寄与するために主として存在する。)
【0014】
任意には、より短い繊維を、より短い繊維と同じ利点を付与する他の充填材と組み合わせて又はその代わりとして使用し得る。充填材及び/又は短繊維の濃度は、配合物の乾燥質量を基準として約0質量%〜約25質量%、配合物の総乾燥質量を基準として約2.5質量%〜約20質量%、配合物の乾燥質量を基準として約5質量%〜約15質量%、配合物の総乾燥質量を基準として約5質量%〜約20質量%、又は配合物の乾燥質量を基準として約7質量%〜約17質量%であり得る。
【0015】
本実施態様の一つの局面では、有機充填材は、粉砕されたクルミ殻を含み得る。クルミ殻を粉砕すると、短繊維を含む繊維状物を生じる。粉砕クルミ殻は、充填材として単独で使用してもよく、又は、他の充填材と組み合わせてもよい。単独で使用する時の適当な濃度は乾燥質量を基準として約8質量%である。他の短繊維材料としては、砕木、粉末セルロース(複数の供給源から)、砕木パルプ、粉砕籾殻、粉砕ヤシ殻及びヤシの外皮などが挙げられる。好ましい有機充填材は、主要なアレルゲン性タンパク質を含んでいない。
【0016】
数種の供給源由来の繊維が、配合物中に典型的に含まれる。イネ科の植物又は葦由来の比較的高品質な繊維は、完成品である場合、構造的安定性及び弾力性に最も寄与する中間の長さの繊維を提供する。長い繊維から非常に長い繊維又は繊維複合体は、軽く加工された農業副産物、例えば適当なサイズに細断された、粉砕された又は粉にされた柄(stalk)材料又は殻(husk)材料から生じ得る。適切な加工条件(例えば、ハンマーミリング)下で、これらの材料は、澱粉の代わりに使用するのに役立ち、且つ耐水性を完成品に付加するのに役立つかなりの量の極めて短い繊維を提供することもできる。粉砕されたナッツ殻の形態の繊維材料(又は他の非常に硬いリグニン富化植物材料)も、従来の充填材に取って代わる有機性、比較的耐水性で、生分解性な繊維として役立ち得る。
【0017】
さらに、澱粉系食品における構造要素として適する繊維のこれらの他の供給源も直ちに利用できる。これらのうちのいくつかは、イネ科の植物又は葦、例えばケナフ及び竹として広く特徴付けることができる成長が早い植物から得られ、木から繊維を取り出すよりも安い関連環境コストで繊維が提供される。繊維工業の成長セグメントは、これらの植物由来の繊維を使用していることに基づいている。多くの場合、これらの(加工後の)植物から得られた繊維の品質及びコンシステンシーは、木材パルプ工業によって提供されるそれと同程度に良好である。さらに、繊維は、農業生産の副産物としても、広範囲で利用可能である。穀物からの柄、茎(stem)及び殻は、例えば、木材又はより良好なイネ科の植物から得られる繊維ほど品質が高くないが、繊維材料の簡便な供給源であって、極めて安価であり、そして、副産物であるので、追加の環境コストが実質的に無い(主作物の生産に伴ういかなる環境コストも超えない)。
【0018】
ここで記載されている配合物中に含有される繊維材料は、繊維長及び繊維アスペクト比の両方において大きく変化する。しかしながら、前記材料は、約2mm未満の平均繊維長及び約5:1〜25:1の平均アスペクト比を有することが好ましい。
【0019】
いくつかの実施態様では、添加剤は、単独あるいは組み合わせて、組成物、例えば、上記組成物、又は、2004年8月26日に出願された米国特許出願第10/928,602号、2005年11月21日に出願された米国特許出願第11/285,508号、2008年7月3日に出願された米国特許出願第12/168,049号に記載されている組成物中に組み込み得る。前記特許出願の内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる。例えば水を増加させるか又は充填材を減らして本明細書で記載されている他の望ましい添加剤の含有を補償することを介して配合物を変性することによって特定の望ましい特性、例えば粘性を保持するために組成物を変性することができる。添加剤としては、金属、金属酸化物、金属硫化物、炭素系材料、及び防腐剤が挙げられるが、それらに限定されない。添加剤は、生分解性、堆肥化可能又は可食性であってもよいか又はそうでなくてもよく、そして、様々な形態で、例えばフレーク、粉末、コロイド、溶液、若しくは任意の他の適当な形態で添加し得る。
【0020】
特定の添加物及び最終製品の所望の特性に従って、一種若しくは複数種の添加剤の濃度は、配合物の乾燥質量を基準として約0質量%〜約25質量%、配合物の総乾燥質量を基準として約2.5質量%〜約20質量%、配合物の乾燥質量を基準として約5質量%〜約15質量%、配合物の総乾燥質量を基準として約5質量%〜約20質量%、配合物の乾燥質量を基準として約7質量%〜約17質量%、又は配合物の総乾燥質量を基準として約10質量%であり得る。
【0021】
いくつかの実施態様では、添加剤を加えて、組成物の熱伝達を向上させる。熱伝達を向上させ得る添加剤としては、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、タングステン(W)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、及びバナジウム(V)、及びそれらの酸化物が挙げられる。いくつかの実施態様では、前記金属酸化物としては、アルミナ(Al23)、磁鉄鉱(Fe34)、ヘマタイト(Fe23)、CuOを含む酸化銅、Co23を含む酸化コバルト、NiOを含む酸化ニッケル、MnO2を含む酸化マンガン、及びWO3を含む酸化タングステンが挙げられる。いくつかの実施態様では、金属又は金属酸化物は、約2%〜12%の濃度で加える。熱伝達を改良し得る添加剤の他の例は、パイライト(FeS)、方鉛鉱(PbS)、黄銅鉱(CuFeS2)、輝銅鉱(Cu2S)を含む硫化金属、また、硫化銀(Ag2S)を含む他の硫化金属であり、また、炭素系の材料及びナノ材料、例えばカーボンブラック、黒鉛、グラフェン、炭素繊維及びカーボンナノチューブである。伝導性である添加剤も、形成された製品の静的散逸性及び電磁遮蔽特性を増大させるのに役立つ。
【0022】
熱伝達を改良する且つ/又はマイクロ波サセプタとして作用することができるいくつかの添加剤は、マイクロ波用途に特に適している。それらの添加剤としては、NiO、MnO2、Co23、CuO、WO3及びFe34(磁鉄鉱)のような金属酸化物、パイライト(FeS)、方鉛鉱(PbS)、黄銅鉱(CuFeS2)、輝銅鉱(Cu2S)を含む天然鉱物、及び硫化銀(Ag2S)を含む他の添加剤を含む金属硫化物が挙げられる。Al、Co、Cu、Fe、Mo、Zn、Zr、W及びVを含む金属それ自体も熱伝達を向上させる。
【0023】
予想外にも、金属の使用により、電子レンジで調理する時に、スパーク又は他の望ましくない効果を引き起こさなかったことを見出した。特定の理論に限定するものではないが、添加剤を適当に分散させると、添加剤は、望ましくない効果を防止する澱粉系マトリックスの澱粉によって部分的に又は実質的に包み込まれる。
【0024】
いくつかの実施態様では、添加剤を加えて、組成物及びそれから形成された製品に酸素除去特性を付与する。一つの実施態様では、金属鉄粉末を、酸素除去を向上させる添加剤として使用する。酸素との反応を触媒し、酸素除去率を増加させるために鉄粉と一緒に様々な塩が使用されることが知られている。例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化鉄(II及びIII)、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなど。また、酸性成分、例えばクエン酸、マレイン酸、酒石酸、リン酸、メタリン酸及びそれらのナトリウム又はカリウムの塩も、反応を触媒するために使用される。アスコルビン酸、エリソルビン酸及びそれらの塩は、それらの本来の能力において良好な酸素除去剤であり、また同様に鉄酸化のための触媒としても機能し得る。最も好適な触媒成分は、水分活性化酸素除去組成物のための理想的な担体になる澱粉系マトリックスの多少の吸湿性に起因して吸湿性である。
【0025】
澱粉系組成物に組み込むことができる追加の酸素除去組成物は、参照により完全に本明細書に組み込まれる、米国特許第5,798,055号、第5,941,037号、第5,977,212号、第6,387,461号及び第6,592,919号で開示されている。
【0026】
別の実施態様では、金属亜鉛、金属銅及び金属鉄並びにそれらの酸化物を、臭いのある硫黄化合物、例えば硫化水素及びメルカプトンを除去する添加剤として、単独又は組み合わせて使用し得る。特に好適な硫黄消去剤は、酸化亜鉛及び酸化銅である。完全に本明細書に組み込まれる米国特許第7,241,481号に記載されている硫黄除去剤は、この澱粉系組成物と一緒に使用し得る。
【0027】
いくつかの実施態様では、添加剤を加えて、前記組成物の抗菌特性を改良し得る。これらの添加剤は、熱伝達又は他の特性も向上させ得る。一つの実施態様では、銀コロイド及び/又は銀粉を使用して、組成物の熱伝達を向上させ得るだけでなく、細菌の増殖も防止し得る。
【0028】
いくつかの実施態様では、添加剤を含有させて、組成物の貯蔵寿命を延長させ得る。使用し得る添加剤としては、食品で使用される防腐剤、例えば、抗菌防腐剤、例えば、プロピオン酸カルシウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、硝酸ナトリウム、二ナトリウムEDTA、及び二酸化硫黄、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素カリウムを含む硫化物;酸化防止剤、例えばブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル及びブチルヒドロキシトルエン(BHT);そして、他の防腐剤、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、エタノール及びメチルクロロイソチアゾリノンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
耐水性を増加させるために使用される配合物の好適なワックスエマルジョンは、カルナウバ、キャンデリラ、米糠、パラフィン、水素化トリグリセリド、又は任意の他の食品用ワックスから通常作られる安定な水性エマルジョンであり:植物ワックスは、動物ワックス及び鉱物ワックスに比べて好ましく、天然ワックスは、合成品種より好ましい。ワックスタイプは、最終製品の特定用途及び所望の特性に基づいて選択される。いくつかの実施態様では、約54℃〜85℃の融点を有する水添植物油をワックスの代わりに使用して、配合物の耐湿性を向上させることができる。適当な水素化トリグリセリドは、動物油脂又は植物油脂、例えば獣脂、ラード、落花生油、大豆油、カノーラ油、トウモロコシ油などから調製できる。適当な水添植物油としては、EVCOPEL EVCORR及びEVCOPEL EVCEALという商品名でEvCo Researchから市販されているものが挙げられる。いくつかの実施態様では、水素化トリグリセリドを、5%以下の濃度で使用する。水素化トリグリセリドは、固体粉末又は溶融物の形態で又はエマルジョンとして配合物に加えることができる。ワックスエマルジョンは、通常は、乳化剤及び機械的撹拌によって調製される。本発明の配合物での使用に適するワックスエマルジョンの例としては、乳化カルナバワックス及び乳化キャンデリラワックスが挙げられる。乳化剤としては、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、食品用ガム(例えば、アラビノガラクタン、カラゲナン、ファーセレラン、キサンタン)、ステアリルモノグリセジルシトレート、サクシステアリン、ヒドロキシル化レシチン、及び他の多くの化合物を含む、食品用途で許可される乳化剤の全てが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
焼成パーツと金型システムとの間の粘着を低減するために離型剤又は不粘着剤が提供される。本発明配合物における使用に適する特定の離型剤の例としては、ステアリン酸金属化合物(例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸亜鉛)、脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸など)、脂肪、油又は類似の材料、又は前記したもののいずれかの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0031】
本発明配合物において使用するのに好ましい着色剤は、食品において使用するのに安全であると考えられる水不溶性顔料タイプ(例えば、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム−コバルト−アルミニウム酸化物、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、フェロシアン化第二鉄、マンガンバイオレット、カルバゾールバイオレット)である。あるいは、アルミニウムレーキ着色剤、水溶性食用色素、及び顔料の組み合わせ、又は顔料とレーキ及び/又は染料との組み合わせを、いくつかの用途のために使用し得る。
【0032】
いくつかの実施態様による混合配合物から作られた容器は、最終容器のための望ましい使用と最終容器の特性に従って様々な形状と厚さをとることができる。例えば、容器は、オープン容器、例えばトレイ、コーン、パイ皿、カップ、又はボウル、又は当業界において公知の任意の他の有用な形状に作り得る。
【0033】
さらに、容器のあらゆる部分の厚さは、好ましくは約0.5mm〜約3.2mm、より好ましくは約1.5mm〜約3.0mm、そして最も好ましくは約1.6mm〜約2.5mmの範囲で変化する。容器の厚さも、容器の横断面全体にわたって変化し得る。
【0034】
別の実施態様では、生分解性材料、例えば可食性コーティング及び/又はシーラントを、混合配合物から作られた容器に適用し得る。容器の内側及び/又は外側の表面に浸透し、それにより容器の耐水性及び耐熱性を向上させるように、前記生分解性材料を適用し得る。コーティングとして適用される時、前記材料は、容器マトリックスに部分的に又は完全に浸透するか、又はコーティングの形成と容器マトリックスへの部分的若しくは完全な浸透の組み合わせが生じる。
【0035】
さらなる実施態様は、食品容器又は飲料容器用の容器又は他の物品を製造するための方法を含む。前記方法は、上記の混合配合物を提供する工程;所望の形状の金型において前記混合配合物を加熱して対応する所望の形状の容器を作る工程を含む。前記方法は、さらに、参照により本明細書に完全に組み込まれる2003年6月27日に出願された米国特許出願第10/608,441号に記載されている工程を含み得る。
【0036】
本発明によるさらなる方法は、所望の最終製品の形状のキャビティと、加熱又は焼成中に生成される成形装置からの蒸気を排出するためのギャップ(一つ又は複数)とを有する成形装置を提供する工程、前記成形装置を加熱又は焼成する工程、前記成形装置を閉じる前に、前記成形装置のキャビティに対して液体又は半液体である混合物を加える工程、そして前記成形装置を閉じる工程を含み、蒸気又は水蒸気が加熱又は焼成中にキャビティにおいて生成され、その混合物は、蒸気圧又は水蒸気圧によって押されてキャビティを完全に満たし、そして、加熱された成形装置に対して混合物が充分に接触すると、混合物の外表面上に外皮が生成し、その外皮は、蒸気又は水蒸気に対して透過性又は半透過性であり、そして、外皮とギャップは、共に、成形装置の外部へとキャビティからの蒸気又は水蒸気を脱出させるが、いかなる有意量の混合物の漏出も許さない。本明細書で言及される「いかなる有意量の混合物」とは、原料の無駄、追加の混合物を加熱するのに要するエネルギーの無駄、過剰の材料を除去して最終製品を作るための追加のプロセス、及びギャップ(一つ又は複数)の目詰まりのような意味のある量で従来技術において見出される欠点のうちのいずれか一つを引き起こすだろうあらゆる量の混合物の損失である。
【0037】
蒸気は、キャビティ中に混合物を保持しながら、脱出する。なぜならば、加熱された金型表面と混合物との接触から混合物の表面上に形成された外皮が、混合物の加熱又は焼成中に生成された水蒸気又は蒸気からの充分な圧力下で、外皮の破壊を起こさずに、水蒸気又は蒸気を外皮を通して脱出させ、次いで、ギャップを通して成形装置の外部へと脱出させるのに充分な程度にギャップのサイズが小さいからである。加熱又は焼成の完了前では依然として液体又は半液体であり得る混合物に対して外皮は透過性ではないので、混合物は成形装置のキャビティから脱出できない。
【0038】
本発明による上記の方法により、混合物を有意に失うことなく、且つ、先に概説した損失に関連する欠点、例えば原料の無駄、追加の混合物を加熱するのに要するエネルギーの無駄、過剰の材料を除去して最終製品を作るための追加のプロセス、及びギャップ(一つ又は複数)の目詰まりを生ぜしめずに、焼成中に生成された蒸気を排出することができる。
【0039】
本発明による上記の方法を用いて、食品容器などとして使用するための澱粉系材料のような可食性焼成商品と他の焼成製品の両方を製造し得る。前記方法で使用するための混合物は、典型的には水系であり、そして、本明細書に記載の混合物を含む。しかしながら、当業者は、前記混合物は、アルコール系混合物又は他の非水系混合物のような非水系である必要はないことを認識するであろう。上記方法で使用し得る混合物の具体的な例は、当業者にとって直ちに明らかであり、通常の焼成混合物、例えば、ワッフル、クッキー生地又はアイスクリームコーンバッター、澱粉と水から成る澱粉系混合物、及び加熱又は焼成中に生成されるガスに対して依然として透過性である外皮を形成する樹脂と混合された複合材料を含む混合物が挙げられるが、それらに限定されない。さらに、特定の焼成手順、例えば加熱温度及び加熱時間は、加熱又は焼成される特定の混合物に依存して変化し、当業者とって明らかである。
【0040】
本発明を特定の実施態様及び実施例に関して説明して来たが、本発明の趣旨と範囲から逸脱せずに、本発明の変更と適合が可能であることは当業者には容易に理解される。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性容器を製造する際に使用するための組成物であって、
水;
澱粉、ここで前記澱粉はアルファ化澱粉及び天然澱粉を含み、前記アルファ化澱粉は前記組成物中の澱粉の総質量を基準として0質量%超から30質量%未満の範囲で存在する;
繊維、ここで前記組成物の分散は前記繊維が澱粉系マトリックス全体にわたって相互に実質的に分離されている分散である;及び
金属又は金属酸化物、ここで前記の金属又は金属酸化物は前記組成物全体にわたって実質的に分散されている、
を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記金属が、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、マンガン、ニッケル、銀、タングステン、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、及びバナジウムから成る群より選択される請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記金属又は金属酸化物が、前記組成物の乾燥質量を基準として0質量%超から25質量%未満の範囲で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記金属又は金属酸化物が、前記組成物の乾燥質量を基準として5質量%超から15質量%未満の範囲で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記金属又は金属酸化物が、前記組成物の乾燥質量を基準として約10質量%である請求項1記載の組成物。
【請求項6】
容器を製造する際に使用するための組成物であって、
水;
澱粉、ここで前記澱粉はアルファ化澱粉及び天然澱粉を含み、前記アルファ化澱粉は前記組成物中の澱粉の総質量を基準として0質量%超から30質量%未満の範囲で存在する;
不溶化化合物、ここで前記不溶化化合物は、ポリアミド−エピクロロヒドリン化合物を含む水溶液を含む;
繊維、ここで前記組成物の分散は前記繊維が澱粉系マトリックスの全体にわたって相互に実質的に分離されている分散である;
ワックス;
離型剤;及び
金属又は金属酸化物、
を含む、前記組成物。
【請求項7】
前記金属が、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、マンガン、ニッケル、銀、タングステン、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、及びバナジウムから成る群より選択される請求項6記載の組成物。
【請求項8】
生分解性容器を製造する際に使用するための組成物であって、
水;
アルファ化澱粉及び天然澱粉を含む澱粉、ここで前記アルファ化澱粉は前記組成物中の澱粉の総質量を基準として0質量%超から30質量%未満の範囲で存在する;
ポリアミド−エピクロロヒドリン化合物を含む水溶液を含む不溶化化合物;
天然繊維、ここで前記組成物の分散は前記繊維が澱粉系マトリックス全体にわたって相互に実質的に分離されている分散である;及び
金属又は金属酸化物、
を含む、前記組成物。
【請求項9】
前記金属が、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、マンガン、ニッケル、銀、タングステン、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、及びバナジウムから成る群より選択される請求項8記載の組成物。
【請求項10】
生分解性容器を製造する際に使用するための組成物であって、
水;
澱粉、ここで前記澱粉はアルファ化澱粉及び天然澱粉を含む;
繊維;及び
熱伝達化合物、
を含む、前記組成物。
【請求項11】
前記熱伝達化合物が、前記組成物の全体にわたって実質的に分散されている請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記熱伝達化合物が、金属又はそれらの酸化物又は硫化物を含む請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記金属が、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、マンガン、ニッケル、銀、タングステン、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、及びバナジウムから成る群より選択される請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記金属又は金属酸化物が、前記組成物の乾燥質量を基準として0質量%超から25質量%未満の範囲で存在する請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記金属又は金属酸化物が、前記組成物の乾燥質量を基準として5質量%超から15質量%未満の範囲で存在する請求項13記載の組成物。
【請求項16】
前記金属又は金属酸化物が、前記組成物の乾燥質量を基準として約10質量%である請求項13記載の組成物。
【請求項17】
生分解性容器を製造する際に使用するための組成物であって、
水;
アルファ化澱粉及び天然澱粉を含む澱粉、ここで前記アルファ化澱粉は前記組成物中の澱粉の総質量を基準として0質量%超から30質量%未満の範囲で存在する;
ポリアミド−エピクロロヒドリン化合物を含む水溶液を含む不溶化化合物;
天然繊維、ここで前記組成物の分散は前記繊維が澱粉系マトリックス全体にわたって相互に実質的に分離されている分散である;及び
熱伝達化合物、
を含む、前記組成物。
【請求項18】
前記熱伝達化合物が、金属酸化物、金属硫化物、及び金属から成る群より選択される請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記熱伝達化合物が、金属酸化物を含む請求項17記載の組成物。
【請求項20】
金属酸化物が、NiO、MnO2、Co23、CuO、WO3、及びFe34から成る群より選択される請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記熱伝達化合物が、金属硫化物を含む請求項17記載の組成物。
【請求項22】
前記金属硫化物が、パイライト(FeS)、方鉛鉱(PbS)、黄銅鉱(CuFeS2)、輝銅鉱(Cu2S)及び硫化銀(Ag2S)から成る群より選択される請求項19記載の組成物。
【請求項23】
前記熱伝達化合物が金属を含む請求項17記載の組成物。
【請求項24】
前記金属が、Al、Co、Cu、Fe、Mo、Zn、Zr、W及びVから成る群より選択される請求項19記載の組成物。
【請求項25】
熱伝達化合物が、前記組成物の乾燥質量を基準として0質量%超から25質量%未満の範囲で存在する請求項17記載の組成物。
【請求項26】
前記金属又は金属酸化物が、前記組成物の乾燥質量を基準として5質量%超から15質量%未満の範囲で存在する請求項17記載の組成物。
【請求項27】
前記金属又は金属酸化物が、前記組成物の乾燥質量を基準として約10質量%である請求項17記載の組成物。

【公表番号】特表2012−522883(P2012−522883A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504785(P2012−504785)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030124
【国際公開番号】WO2010/118049
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(309042347)バイオスフィア・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (3)
【氏名又は名称原語表記】Biosphere Industries, LLC
【Fターム(参考)】