説明

有軌道走行車

【課題】レールとガイドローラとの間のクリアランスを適切に調整することにより、安定して走行可能な有軌道走行車を提供する。
【解決手段】スタッカクレーン200は、ガイドレール140の両側にそれぞれ所定のクリアランスを設けて配置される一対のガイドローラ222、223と、ガイドレール140と一対のガイドローラ222、223との間のクリアランスが所定の範囲内に収まるように、一対のガイドローラ222、223の位置を変更するクリアランス調整手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有軌道走行車に関し、特に自動倉庫内で物品を移載するスタッカクレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の有軌道走行車は、例えば、特許文献1に開示されている。具体的には、モノレール上で回転することによって車体本体を走行させる車輪と、モノレールの左右に当接するサイドローラとを含む車輪ユニットを備える有軌道走行車が開示されている。このサイドローラは有軌道走行車の姿勢を安定させるガイドローラとして機能するので、有軌道走行車がガタつくことなく、安定して走行することができると記載されている。
【0003】
また、車輪の摩耗量を測定する従来の方法が、例えば、特許文献2に開示されている。具体的には、車体の定位置から床面までの距離を測定するレーザ距離計を用いて、車輪交換直後における距離と、所定期間走行した後の距離とをそれぞれ測定し、その差を車輪の摩耗量とする例が開示されている。また、車輪の摩耗量を測定する他の例として、車輪の回転数と走行距離とから車輪の摩耗量を測定する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−87437号公報
【特許文献2】特開2008−175674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている有軌道走行車を走行させると、モノレールに当接するサイドローラが摩耗する。つまり、モノレールとサイドローラとの間のクリアランスは、有軌道走行車の走行距離に比例して大きくなる。そして、モノレールとサイドローラとのクリアランスが大きくなりすぎると、有軌道走行車の走行が不安定になるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、レールとガイドローラとの間のクリアランスを適切に調整することにより、安定して走行可能な有軌道走行車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る有軌道走行車は、軌道に沿って走行する有軌道走行車である。具体的には、該有軌道走行車を案内するガイドレールに所定のクリアランスを設けて配置される一対のガイドローラと、ガイドレールと前記一対のガイドローラとの間のクリアランスが所定の範囲内に収まるように、前記一対のガイドローラの位置を変更するクリアランス調整手段とを備える。
【0008】
上記構成のように、ガイドレールとガイドローラとの間のクリアランスを調整することにより、長期間に亘ってガタツキを抑え、安定して有軌道走行車を案内することが可能となる。
【0009】
さらに、該有軌道走行車は、前記ガイドローラの摩耗量を検出する摩耗量検出手段を備える。そして、前記クリアランス調整手段は、前記摩耗量検出手段によって検出された前記ガイドローラの摩耗量に応じて、前記一対のガイドローラの位置を変更してもよい。また、前記摩耗量検出手段は、例えば、二次元変位センサである。
【0010】
他の形態として、該有軌道走行車は、前記ガイドレールと前記一対のガイドローラとのクリアランスを検出するクリアランス検出手段を備える。そして、前記クリアランス調整手段は、前記クリアランス検出手段によって検出されたクリアランスに応じて、前記一対のガイドローラの位置を変更してもよい。
【0011】
上記の各手段を用いることにより、状況に応じた適切なクリアランスの制御が可能となる。その結果、さらに安定して有軌道走行車を案内することが可能となる。
【0012】
さらに、該有軌道走行車は、ガイドレールの一方側及び他方側に配置される前記一対のガイドローラそれぞれを回転自在に支持するガイドローラ固定枠を備える。そして、前記クリアランス調整手段は、前記ガイドローラ固定枠を回転させてガイドレールと前記ガイドローラ固定枠とのなす角度を変化させることによって、前記ガイドレールと前記一対のガイドローラとの間のクリアランスが所定の範囲内に納まるように制御してもよい。これにより、ガイドローラ固定枠の角度制御だけで、左右のガイドレールのクリアランスを調整することができるので、有軌道走行車の構造及び制御を単純化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガイドレールとガイドローラとの間のクリアランスを適切に調整することにより、安定して走行可能な有軌道走行車を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動倉庫を示す斜視図である。
【図2】図1のスタッカクレーンの構成を示す図である。
【図3】図2のガイドローラ周辺の拡大図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る有軌道走行車のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る有軌道走行車の動作を示すフローチャートである。
【図6】図3のガイドローラ表面を二次元変位センサで測定した結果を示す図である。
【図7】有軌道走行車が所定距離走行した後のガイドローラ周辺の拡大図である。
【図8】図7のガイドローラ表面を二次元変位センサで測定した結果を示す図である。
【図9】ガイドレールとガイドローラとの間のクリアランスを調整した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0015】
図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る自動倉庫10を説明する。なお、図1は、自動倉庫10の主要部の構成の一例を示す斜視図である。図2は、図1の自動倉庫10を左側面から見た概略図である。
【0016】
自動倉庫10は、図1に示されるように、物品を収納するラック100と、入出庫の際に物品を載置するステーション110と、有軌道走行車としてのスタッカクレーン200とを主に備える。
【0017】
ラック100には、物品を収納する複数の収納部120が縦横に設けられる。縦に一連の収納部120を列とし、同じ高さにある収納部120を段とする。また、ラック100に隣接する領域には、ラック100に沿って延びる走行レール130(床面側)と、ガイドレール140(天井側)とが敷設されている。なお、この実施形態においては、走行レール130及びガイドレール140の両側にラック100が配置されている。
【0018】
スタッカクレーン200は、走行レール130に沿って走行し、ステーション110と収納部120との間で物品を移載する。具体的には、ステーション110に載置されている物品を収納部120に収納したり、収納部120に収納されている物品を取り出してステーション110に載置したりする。
【0019】
このようなスタッカクレーン200は、図2に示されるように、下部台車210と、上部台車220と、下部台車210及び上部台車220を連結するマスト230と、スタッカクレーン200の動作を制御する制御部240(図2では図示省略)とを主に備える。
【0020】
下部台車210には、床面に敷設された走行レール130の上面に当接する車輪211、及び車輪211を駆動する走行モータ212が取り付けられる。なお、車輪211及び走行モータ212は、走行装置の一例である。この走行装置は、走行モータ212の駆動力を用いて車輪211を走行レール130上で回転させることによって、スタッカクレーン200を走行レール130に沿って走行させる。
【0021】
上部台車220には、ワイヤロープ231を案内するシーブ221と、ガイドレール140の一方側及び他方側に配置される一対のガイドローラ222、223とが取り付けられている。一対のガイドローラ222、223はガイドレール140を左右から挟み込むように配置されており、スタッカクレーン200の姿勢を安定させる。ガイドローラ222、223の詳細は後述する。
【0022】
マスト230には、ワイヤロープ231で懸吊される昇降台232と、昇降台232をマスト230に沿って昇降させるウィンチモータ233とが取り付けられている。
【0023】
昇降台232には、スライドフォーク234が設けられる。スライドフォーク234は、互いに復動可能に連結された複数のプレート235、及びプレート235を昇降台232からラック100へ向かって出退させる移載モータ236から構成される。最上層のプレート235は、物品を載置する載置台として機能する。スライドフォーク234及び移載モータ236は、移載装置の一例である。
【0024】
次に、図3を参照して、ガイドローラ222、223の詳細を説明する。なお、図3は、図2のガイドローラ222、223周辺の拡大図であって、図2ガイドレール140を下から見た図である。
【0025】
一対のガイドローラ222、223は、それぞれガイドローラ固定枠224に回転自在に支持されている。つまり、2つのガイドローラ222、223の間隔は常に一定となっている。また、一対のガイドローラ222、223それぞれとガイドレール140との間には、所定のクリアランスが設けられている。なお、図3は、ガイドローラ222、223を交換した直後の状態を示す図であって、この時点でのクリアランスをδ1(初期値)とする。
【0026】
ガイドローラ固定枠224は、矩形平板形状の部材であって、ガイドレール140を横切るように配置されている。なお、この時点におけるガイドレール140とガイドローラ固定枠224とのなす角は、90°である。
【0027】
このガイドローラ固定枠224の一方側の面(上面)には、その両端部にガイドローラ222、223が回転自在に取り付けられている。また、ガイドローラ固定枠224の他方側の面(下面)には、その中央部にウォームホイール225が固着されている。
【0028】
ウォームホイール225は、ガイドローラ222の回転中心O1と、ガイドローラ223の回転中心O2とを結ぶ線分上で、且つ回転中心O1、O2から等距離の位置を回転中心として、ガイドローラ固定枠224と一体回転する平歯車である。また、ウォームホイール225は、ウォーム226と常時噛み合っている。このウォームホイール225とウォーム226とで、ウォームギヤを構成する。
【0029】
ウォーム226は、円柱の表面に螺旋形状の溝が形成されたネジ状の歯車である。なお、ウォームホイール225とウォーム226とは、互いの回転軸線が直角となるような位置関係で配置されている。また、このウォーム226は、上部台車220に取り付けられたサーボモータ227(図2では図示省略)によって駆動される。
【0030】
さらに、自動倉庫10には、ガイドレール140に沿った定位置(例えば、ラック100)に二次元変位センサ101が取り付けられている。この二次元変位センサ101は、ガイドローラ222のガイドレール140に当接する面の変位量を測定する。つまり、この測定結果からガイドローラ222の摩耗量を検出することができる。
【0031】
次に、図4を参照して、スタッカクレーン200の動作を制御する制御部240の構成を説明する。なお、図4は、スタッカクレーン200の制御部240のうち、ガイドレール140とガイドローラ222、223とのクリアランスを調整する機能ブロックを示すブロック図である。
【0032】
制御部240は、図4に示されるように、摩耗量検出手段241と、クリアランス調整手段242とを主に備える。
【0033】
摩耗量検出手段241は、ガイドローラ222のガイドレール140に当接する面の摩耗量を検出する。つまり、本実施の形態に係る摩耗量検出手段241は、ラック100に取り付けられた二次元変位センサ101と、二次元変位センサ101によるガイドローラ222の変位量の測定結果を受信する受信装置243とを備え、この測定結果に基づいてガイドローラ222の摩耗量を検出する。
【0034】
クリアランス調整手段242は、摩耗量検出手段241の検出結果に基づいて、ガイドローラ222、223の位置を変更することにより、ガイドレール140とガイドローラ222、223とのクリアランスが所定の範囲内に納まるように制御する。なお、前述のサーボモータ227は、クリアランス調整手段242によって制御される。
【0035】
具体的には、サーボモータ227によってウォーム226を駆動させ、ウォーム226に噛み合うウォームホイール225とガイドローラ固定枠224とを一体回転させて、ガイドレール140とガイドローラ固定枠224とのなす角度を変化させる。これにより、ガイドレール140とガイドローラ222、223とのクリアランスを所定の範囲内に調整することができる。
【0036】
次に、図5〜図9を参照して、上記構成のスタッカクレーン200の動作を説明する。なお、図5は、スタッカクレーン200の動作を示すフローチャートである。図6は、図3の状態における二次元変位センサ101の測定結果を示す図である。図7は、スタッカクレーン200が所定距離走行した後におけるガイドレール140とガイドローラ222、223とのクリアランスを示す図である。図8は、図7の状態における二次元変位センサ101の測定結果を示す図である。図9は、ガイドレール140とガイドローラ222、223とのクリアランスを調整した後の状態を示す図である。
【0037】
まず、二次元変位センサ101は、スタッカクレーン200が通過するタイミングで、ガイドローラ222の変位量を測定する。この測定処理は、スタッカクレーン200が二次元変位センサ101の前を通過するたびに行ってもよいし、外部から測定指示を受信したタイミングで行ってもよい。また、測定結果は、スタッカクレーン200の受信装置243に送信される。
【0038】
摩耗量検出手段241は、受信装置243を用いて二次元変位センサ101から測定結果を取得する(S11)。取得方法は特に限定されないが、二次元変位センサ101と受信装置243との間で無線通信する等してもよい。例えば、図3の状態のスタッカクレーン200が二次元変位センサ101の前を通過すると、測定結果は図6のようになる。
【0039】
次に、摩耗量検出手段241は、取得した測定結果に基づいて、ガイドローラ222の摩耗量を算出する。さらに、算出した摩耗量に基づいてガイドレール140とガイドローラ222、223との間のクリアランスを算出する(S12)。
【0040】
図6の測定結果によれば、ガイドローラ222の変位量は、ガイドレール140に当接する面の全域で0%である。これは、ガイドローラ222が全く摩耗していないことを示すので、摩耗量も当然に0%となる。そうすると、ガイドレール140とガイドローラ222との間のクリアランスもδ1のままとなる。
【0041】
次に、クリアランス調整手段242は、摩耗量検出手段241が算出したクリアランスと予め定めた閾値とを比較する(S13)。この閾値は、例えば、クリアランスの初期値(δ1)の110%(すなわち、1.1δ1)等とすることができる。図6の測定結果によれば、算出されたクリアランスδ1は閾値を下回っているので(S13でNo)、クリアランス調整手段242は、クリアランスの調整を行うことなく、処理を終了する。
【0042】
次に、スタッカクレーン200が所定距離走行すると、ガイドレール140とガイドローラ222、223との間のクリアランスは、図7に示されるように、δ1より大きいδ2となる。そして、図7の状態におけるガイドローラ222の変位量の測定結果は、図8のようになる。
【0043】
S11で図8の測定結果を取得した摩耗量検出手段241は、ガイドローラ222の摩耗量を算出する。二次元変位センサ101の測定結果から摩耗量を算出する具体的な方法は、特に限定されないが、例えば、変位量の平均値を摩耗量としてもよいし、変位量の最小値(すなわち、ガイドレール140に最も近い位置の変位量)を摩耗量としてもよい。
【0044】
また、摩耗量検出手段241は、上記の方法で算出した摩耗量に基づいて、クリアランスを算出する(S12)。なお、クリアランスは、クリアランスの初期値(δ1)、摩耗量、及びガイドローラ222の直径等から算出することができる。
【0045】
例えば、図8の測定結果に基づいて算出されたクリアランスδ2は、δ2=1.15δ1であったとする。そうすると、クリアランス調整手段242は、クリアランスδ2が閾値(1.1δ1)を上回ったと判断し(S13でYes)、クリアランス調整処理(S14)を行う。具体的には、サーボモータ227でウォーム226を駆動させ、ウォームホイール225に固着されたガイドローラ固定枠224を回転させることによって、ガイドレール140とガイドローラ222、223との間のクリアランスを調整する。
【0046】
なお、クリアランス調整処理では、算出されたクリアランスδ2と初期値δ1との差分δを求め、この差分δだけクリアランスを減少させるようにしてもよい(つまり、クリアランスを初期値δ1に戻す)。または、常に一定量(例えば、0.1δ1)だけクリアランスを減少させるようにしてもよい。
【0047】
さらには、上記の実施形態においては、算出されたクリアランスが閾値を上回った場合にだけクリアランス調整処理を実行する例を示したが、これに限ることなく、算出されたクリアランスが最適値(δ1)と異なる場合には、常に最適値(δ1)に戻るようにクリアランス調整処理を実行してもよい。これにより、常に最適なクリアランス(δ1)を維持することができる。
【0048】
クリアランス調整処理(S14)を実行することにより、図9のような状態になる。すなわち、クリアランス調整処理後におけるガイドレール140とガイドローラ222、223との間のクリアランスδ3は、所定の範囲(例えば、δ1≦δ3≦1.1δ1)に納まっている。
【0049】
上記構成とすることにより、スタッカクレーン200の走行に伴ってガイドローラ222、223が摩耗しても、長期間に亘ってガタツキを抑え、安定してスタッカクレーン200を案内することが可能となる。
【0050】
なお、上記構成によれば、ウォーム226を駆動させるだけで、ガイドレール140とガイドローラ222との間、及びガイドレール140とガイドローラ223との間のギャップを同時に調整することができる。その結果、スタッカクレーン200の構造及び制御を簡素化することができる。
【0051】
また、ウォームギヤ機構によれば、ウォーム226からウォームホイール225への駆動力のみを伝達し、ウォームホイール225からウォーム226への駆動力の伝達を阻止することができる。その結果、スタッカクレーン200の走行中にガイドローラ固定枠224が逆回転して、クリアランスが広がるのを防止することができる。
【0052】
また、ウォームホイール225をガイドローラ222、223の回転中心O1、O2から等距離に配置したことにより、ガイドローラ固定枠224を所定角度だけ回転させたときの、ガイドローラ222側のクリアランスの変化量と、ガイドローラ223側のクリアランスの変化量が等しくなる。すなわち、左右のガイドローラ222、223の摩耗量が同程度の場合には、特に有効となる。
【0053】
一方、左右のガイドローラ222、223で摩耗量に差がある場合には、ガイドローラ222、223のうちの摩耗量が少ない側にウォームホイール225の回転中心を近づければよい。これにより、左右のガイドローラ222、223の一方のみが激しく摩耗するような場合でも、クリアランスを適切に調整することができる。
【0054】
また、上記の実施形態においては、一方側のガイドローラ222の変位量のみを測定した例を示したが、これに限ることなく、両方のガイドローラ222、223の変位量を測定し、その平均値若しくは最小値等に基づいて、クリアランスを調整してもよい。
【0055】
さらには、左右のガイドローラ222、223それぞれの変位量の測定結果に基づいて、左右のガイドローラ222、223のクリアランスを個別に調整するようにしてもよい。この場合、例えば、ガイドローラ固定枠224にガイドレール140と交差(直交)する方向に延びる長穴を設けると共に、ガイドローラ222、223の回転軸を長穴内で移動させる手段を設ければよい。
【0056】
また、上記の実施形態においては、ガイドローラ222の変位量を測定する二次元変位センサ101の例を示したが、これに限ることなく、一次元変位センサ等を用いてもよい。さらに、これらのセンサは、ラック100側ではなく、スタッカクレーン200(上部台車220)に搭載してもよい。これにより、二次元変位センサ101と受信装置243との間での通信を省略することができる。
【0057】
ただし、二次元変位センサは比較的高額であり、全てのガイドローラ222、223に取り付けるのは現実的ではない。そこで、上記のように、ガイドレール140の任意の位置に取り付けて、測定結果を受信装置243に送信するのが望ましい。ガイドローラ222、223は、ガイドレール140に沿って複数個存在するので、二次元変位センサ101をガイドレールに沿って配置することにより、1つの二次元変位センサ101で複数のガイドローラ222、223の変位量を検出することができる。
【0058】
このとき、ガイドレール140がカーブしている位置では、遠心力等によってガイドローラ222が傾くので、正確な測定結果を得るためには、ガイドレール140の直線部分に沿って配置するのが望ましい。
【0059】
また、上記の実施形態においては、ガイドローラ222の変位量に基づいて、摩耗量及びクリアランスを算出した例を示したが、これに限ることなく、他の方法を用いてもよい。しかしながら、ガイドローラ222、223はガイドレール140と常に接触しているわけではないので、特許文献2のように、ガイドレール140との距離から摩耗量を推定したり、回転数と走行距離とから摩耗量を推定することはできない。すなわち、上記のような変位量から摩耗量及びクリアランスを算出する方法は、本発明のように、ガイドレール140とガイドローラ222、223との間にクリアランスが存在するような場合に、特に有効である。
【0060】
または、ガイドレール140とガイドローラ222、223との間のクリアランスを検出するクリアランス検出手段を設けてもよい。クリアランスの変化は、ガイドローラ222、223の摩耗のみならず、弾性部材のへたりや固定部材の変形等によっても発生する。そこで、クリアランスを直接測定することによって、さらに決め細やかな制御が可能となる。
【0061】
また、上記の実施形態においては、ウォームギヤでガイドローラ222、223を駆動させる例を示したが、これに限ることなく、平歯車を用いた機構や、チェーンによる駆動機構等、ガイドレール140とガイドローラ222、223とのクリアランスを調整可能な任意の構成を採用することができる。
【0062】
また、上記の実施形態においては、1本のガイドレール140を挟み込むように一対のガイドローラ222、223を配置した例を示したが、これに限ることなく、スタッカクレーン200の姿勢を安定させることのできる他の方法を採用してもよい。
【0063】
例えば、平行に延びる第1及び第2のガイドレールと、第1及び第2のガイドレールの間に配置される第1及び第2のガイドローラと、第1及び第2のガイドローラを回転自在に支持するガイドローラ固定枠とを備え、第1のガイドローラと第1のガイドレールとの間、及び第2のガイドローラと第2のガイドレールとの間に所定のクリアランスを設けてもよい。
【0064】
この場合、初期状態(ガイドローラの交換直後)においては、ガイドローラ固定枠と第1及び第2のガイドレールとのなす角は、所定の角度(90°ではない)であり、ガイドローラの摩耗量に伴って当該角度を90°に近づけるように制御すればよい。
【0065】
さらに、上記の実施形態においては、走行レール130と異なるガイドレール140にガイドローラ222、223を沿わせることによって、スタッカクレーン200を案内させる例を示したが、これに代えて、又はこれに加えて、走行レール130の側面にガイドレールを設けてもよい。
【0066】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
この発明は、自動倉庫のスタッカクレーンのように、軌道に沿って走行する有軌道走行車に有利に利用される。
【符号の説明】
【0068】
10 自動倉庫
100 ラック
101 二次元変位センサ
110 ステーション
120 収納部
130 走行レール
140 ガイドレール
200 スタッカクレーン
210 下部台車
211 車輪
212 走行モータ
220 上部台車
221 シーブ
222,223 ガイドローラ
224 ガイドローラ固定枠
225 ウォームホイール
226 ウォーム
227 サーボモータ
230 マスト
231 ワイヤロープ
232 昇降台
233 ウィンチモータ
234 スライドフォーク
235 プレート
240 制御部
241 摩耗量検出手段
242 クリアランス調整手段
243 受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道に沿って走行する有軌道走行車であって、
該有軌道走行車を案内するガイドレールに所定のクリアランスを設けて配置される一対のガイドローラと、
前記ガイドレールと前記一対のガイドローラとの間のクリアランスが所定の範囲内に収まるように、前記一対のガイドローラの位置を変更するクリアランス調整手段とを備える
有軌道走行車。
【請求項2】
該有軌道走行車は、さらに、前記ガイドローラの摩耗量を検出する摩耗量検出手段を備え、
前記クリアランス調整手段は、前記摩耗量検出手段によって検出された前記ガイドローラの摩耗量に応じて、前記一対のガイドローラの位置を変更する
請求項1に記載の有軌道走行車。
【請求項3】
前記摩耗量検出手段は、二次元変位センサである
請求項2に記載の有軌道走行車。
【請求項4】
該有軌道走行車は、さらに、前記ガイドレールと前記一対のガイドローラとのクリアランスを検出するクリアランス検出手段を備え、
前記クリアランス調整手段は、前記クリアランス検出手段によって検出されたクリアランスに応じて、前記一対のガイドローラの位置を変更する
請求項1に記載の有軌道走行車。
【請求項5】
該有軌道走行車は、さらに、前記ガイドレールの一方側及び他方側に配置される前記一対のガイドローラそれぞれを回転自在に支持するガイドローラ固定枠を備え、
前記クリアランス調整手段は、前記ガイドローラ固定枠を回転させて前記ガイドレールと前記ガイドローラ固定枠とのなす角度を変化させることによって、前記ガイドレールと前記一対のガイドローラとの間のクリアランスが所定の範囲内に納まるように制御する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の有軌道走行車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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