説明

望まれない植物の防除組成物および防除方法

【課題】環境や人畜に対する負荷が低減され、使用者に使用時の悪臭などの不快感を与えず、かつ、経済的な使用量でより高い防除効果を得ることができる農業用および非農業用の望まれない植物の防除組成物および方法の提供。
【解決手段】2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸を有効成分とする望まれない植物の防除組成物、2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる第一成分と化学除草剤である第二成分を有効成分とする望まれない植物の防除組成物、およびそれらを用いた望まれない植物の防除方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境や人畜に対する負荷が低減され、使用者に使用時の悪臭などの不快感を与えず、かつ経済的な使用量でより高い防除効果を得ることができる農業用および非農業用の望まれない植物の防除組成物および防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農耕地、非農耕地における雑草類やコケ類の発生は、農業生産性の低下や生活環境の悪化を招き、その対策として除草剤や生育抑制剤等の農薬が広く用いられてきた。しかしながら、人工の化学物質である農薬の過度の使用は、環境に与える負荷が懸念されるため、より効果が高く、経済性に優れ、環境や人畜に負荷が低い薬剤が求められており、さらに近年では農薬使用者のニーズの多様化により、低臭化された剤型や手間なく散布できる等の技術が求められている。
【0003】
このような中で、脂肪酸系の除草剤は、選択性が低く、多くの雑草類を制御できる農薬として古くから広く提案されてきた。例えば、特許第3021645号公報(特許文献1)、特許第2588350号公報(特許文献2)、特開平6−211603号公報(特許文献3)、特開平7−215805号公報(特許文献4)、特開平8−217605号公報(特許文献5)、特開2003−342104号公報(特許文献6)、Pesticide Biochemistry and Physiology, 80, 151-156(2004)(非特許文献1)、Weed Technology, 20,410-415(2006)(非特許文献2)、ACS Symposium Series, 947, 174-185(2007)(非特許文献3)には、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸等を中心とした炭素数6〜12の脂肪酸およびその塩を除草剤に用いることが提案されている。しかしながら、これらの従来の方法は、食品添加物としても使用される脂肪酸を有効成分とするため、環境や高等動物に対する負荷が低減されているものの、強い不快臭を有するため、実際の使用者の使用感として大きな問題があった。また、除草剤の散布面積当たりの使用量が比較的多く経済性にも問題があった。このような状況から、より低臭化された剤などの使用者に配慮した薬剤およびより経済的な使用量でより高い防除効果を得るための有効な手段の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3021645号公報
【特許文献2】特許第2588350号公報
【特許文献3】特開平6−211603号公報
【特許文献4】特開平7−215805号公報
【特許文献5】特開平8−217605号公報
【特許文献6】特開2003−342104号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Pesticide Biochemistry and Physiology, 80, 151-156(2004)
【非特許文献2】Weed Technology, 20,410-415(2006)
【非特許文献3】ACS Symposium Series, 947, 174-185(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、環境や人畜に対する負荷が低減され、使用者に使用時の悪臭などの不快感を与えず、かつ経済的な使用量でより高い防除効果を得ることができる農業用および非農業用の望まれない植物の防除組成物および防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、各種の植物とそれを防除する薬剤に関して広範に鋭意検討を行った。その結果、食品添加物として用いられている比較的安全な2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸を有効成分として用いることにより、環境や人畜に対する負荷が低減され、使用者に使用時の悪臭などの不快感を与えず、かつ経済的な使用量でより高い防除効果を得ることができる農業用および非農業用の望まれない植物の防除組成物および防除方法を見出した。さらに、驚くべきことに、2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸に既存の化学除草剤を併用することで、相乗効果が認められ、その効果が通常予想される以上に顕著に増強されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
2−エチルへキサン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸については、これまで雑草類やコケ類など望まれない植物に対する防除効果を示すという知見はなく、文献にも一切開示されていない。2−エチルへキサン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸が、脂肪酸類の中でも望まれない植物に対してとりわけ高い、防除効果を示す。また、実施例で後述するように、従来提案されてきた脂肪酸とは違い、不快な臭いが一切なく、従来の技術と一線を画するものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の望まれない植物の防除組成物および防除方法を提供するものである。
(1)2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸を有効成分とすることを特徴とする望まれない植物の防除組成物。
(2)2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる第一成分と化学除草剤である第二成分を有効成分とすることを特徴とする望まれない植物の防除組成物。
(3)上記第二成分の化学除草剤が、グリホセートおよびその塩、グルホシネート、ビアラホス、カルブチレート、ピラフルフェンエチル、チフェンスルフロンメチル、ペンディメタリン、アラクロール、MCPPおよびその塩、塩素酸ナトリウムから選ばれる1種以上の除草剤成分である(2)に記載の望まれない植物の防除組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の防除組成物の有効量を望まれない植物に施用する望まれない植物の防除方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従って、食品添加物として用いられている比較的安全な2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸を有効成分として用いることにより、環境や人畜に対する負荷が低減され、使用者に使用時の悪臭などの不快感を与えず、かつ経済的な使用量でより高い防除効果を得ることができる農業用および非農業用の望まれない植物の防除組成物を得ることができる。さらに、2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸に既存の化学除草剤を併用することに相乗効果が認められ、その効果は通常予想される以上に顕著に増強される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における2−エチルへキサン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸は、市販品を用いることができ、また市販されている材料から容易に調製することもできる。
本発明における望まれない植物の防除組成物を実際に調製する際には、他の何らの成分を加えず、そのまま使用しても良いが、通常は、固体担体、液体担体、またはガス担体と混合し、必要が有れば界面活性剤、その他の製剤用補助材を添加して、油剤、乳剤、可溶化剤、水和剤、懸濁剤、フロアブル剤、粉剤等に製剤化して施用する。
【0012】
これらの製剤は、いわゆるAL剤(アプリカブルリキッド剤)として、また、一般の農薬のように現場で処理時に希釈する濃縮製剤として処方することができる。AL剤として処方する場合、AL剤散布液には、有効成分(2−エチルへキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸)が通常0.01〜90質量%、好ましくは0.1〜10質量%含有される。濃縮製剤とする場合、通常0.1〜90質量%、好ましくは1〜90質量%含有される。
なお、2−エチルへキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアンモニウム塩などカチオン塩の形で使用することもできる。
これらの製剤の、望まれない植物に対する散布量は、通常、散布液20〜400ml/m2であるが、散布液50〜200ml/m2が好適に使用される。
【0013】
第二の成分である化学除草剤成分としては、特に限定されないが、好ましくは、グリホセートおよびその塩(アンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩もしくはトリメシウム塩)、グルホシネート、ビアラホス、カルブチレート、ピラフルフェンエチル、チフェンスルフロンメチル、ペンディメタリン、アラクロール、2−(2−メチル−クロロフェノキシ)プロピオン酸(MCPP)(カリウム塩もしくはジメチルアミン塩)およびその塩、塩素酸ナトリウムが好適に使用される。
【0014】
これらの散布液中の濃度は、通常0.0001〜10質量%であるが、好ましくは、0.001〜1質量%である。また、2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸と化学除草剤との比率(質量比)は通常99.99:0.01〜0.01:99.99であるが、好ましくは99.9:0.1〜0.1:99.9である。
【0015】
本発明の望まれない植物の防除組成物は、その防除スペクトルを広げ、効力をさらに増大させるために、さらに公知の除草剤を含有しても良い。かかる除草剤の例としては以下のものが好適に使用される。
【0016】
アイオキシニル(ioxynil)、アクロニフェン(aclonifen)、アジプロトリン(aziprotryne)、アシフルオルフェン−ナトリウム塩(acifluorfen-sodium)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、アシュラム(asulam)、アセトクロール(acetochlor)、アトラジン(atrazine)、アニロホス(anilofos)、アザフェニジン(azafenidin)、アミカルバゾン(amicarbazone)、アミドスルフロン(amidosulfuron)、アミトロール(amitrole)、アミノピラリド(aminopyralid)、アミプロホス−メチル(amiprophos-methyl)、アメトリン(ametryne)、アラクロール(alachlor)、アロキシジム(alloxydim)、イソウロン(isouron)、イソキサクロルトール(isoxachlortole)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、イソキサベン(isoxaben)、イソプロツロン(isoproturon)、イマザキン(imazaquin)、イマザピック(imazapic)、イマザピル(imazapyr)、イマザメタベンズ−メチル(imazamethabenz-methyl)、イマザモックスアンモニウム塩(imazamox-ammonium)、イマゼタピル(imazethapyr)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、インダノファン(indanofan)、エグリナジン−エチル(eglinazine-ethyl)、エスプロカルブ(esprocarb)、エタルフルラリン(ethalfluralin)、エタメトスルフロン−メチル(ethametsulfuron-methyl)、エチジムロン(ethidimuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、エトキシフェン−エチル(ethoxyfen-ethyl)、エトフメセート(ethofumesate)、エトベンザニド(etobenzanid)、エンドタール 二ナトリウム(endothal)、オキサジアゾン(oxadiazon)、オキサジアルギル(oxadiargyl)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone)、オキサスルフロン(oxasulfuron)、オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)、オリザリン(oryzalin)、オルソスルファムロン(orthosulfamuron)、オルソベンカーブ(orthobencarb)、オレイン酸(oleic acid)、カフェンストロール(cafenstrole)、カルフェントラゾンエチル(carfentrazone-ethyl)、カルベタミド(carbetamide)、キザロホップエチル(quizalofop-P-ethyl)、キノクラミン(quinoclamine)、キンクロラック(quinclorac)、キンメラック(quinmerac)、クミルロン(cumyluron)、クレトジム(clethodim)、クロジナホップ−プロパルギル(clodinafop-propargyl)、クロピラリド(clopyralid)、クロマゾン(clomazone)、クロメトキシフェン(chlomethoxyfen)、クロメプロップ(clomeprop)、クロランスラム−メチル(cloransulam-methyl)、クロラムベン(chloramben)、クロリムロン−エチル(chlorimuron-ethyl)、クロルチアミド(DCBN)、クロルフタリム(chlorphthalim)、クロロキシウロン(chloroxuron)、クロルスルフロン(chlorsulfuron)、クロルタール−ジメチル(chlorthal-dimethyl)、クロルニトロフェン(chlornitrofen)、クロルブファム(chlorbufam)、クロルフルレノール−メチル(chlorflurenol-methyl)、クロルプロファム(chlorpropham)、クロルブロムロン(chlorbromuron)、クロロトルロン(chlorotoluron)、クロロ酢酸(chloroacetic acid)、ザントモナス キャンペストリス、シアナジン(cyanazine)、シアン酸ナトリウム塩、ジエタチル−エチル(diethatyl-ethyl)、シクロエート(cycloate)、シクロキシジム(cycloxydim)、ジクロスラム(diclosulam)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、ジクロルプロップ(dichlorprop)、ジクロベニル(DBN)、ジクロホップ−メチル(diclofop-methyl)、ジクワット(diquat-dibromide)、ジチオピル(dithiopyr)、シデュロン(siduron)、ジニトラミン(dinitramine)、シニドン−エチル(cinidon-ethyl)、シノスルフロン(cinosulfuron)、ジノセブ(dinoseb)、ジノターブ(dinoterb)、シハロホップブチル(cyhalofop-butyl)、ジフェナミド(diphenamid)、ジフェノキシウロン(difenoxuron)、ジフェンゾコート(difenzoquat)、ジフルフェニカン(diflufenican)、ジフルフェンゾピル(diflufenzopyr)、ジプロペトリン(dipropetryn)、ジメタクロール(dimethachlor)、ジメタメトリン(dimethametryn)、ジメテナミド(dimethenamid)、シメトリン(simetryne)、ジメピペレート(dimepiperate)、ジメフロン(dimefuron)、シマジン(simazine)、シンメチリン(cinmethylin)、スルコトリオン(sulcotrione)、スルフェントラゾン(sulfentrazone)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、スルホメツロン−メチル(sulfometuron-methyl)、セトキシジム(sethoxydim)、ターバシル(terbacil)、ターブチラジン(terbuthylazine)、ターブトリン(terbutryne)、ダイムロン(dymron)、ダゾメット(dazomet)、ターブメトン(terbumeton)、ダラポン(dalapon)、チアザフルロン(thiazafluron)、チアゾピル(thiazopyr)、チエンカルバゾン(thiencarbazone)、チオカルバジル(tiocarbazil)、チジアジミン(thidiazimin)、チフェンスルフロンメチル(thifensulfuron−methyl)、デスメディファム(desmedipham)、テトラピオン(tetrapion)、テニルクロール(thenylchlor)、テブタム(tebutam)、テブチウロン(tebuthiuron)、テプラロキシジム(tepraloxydim)、テフリルトリオン(tefuryltrione)、デスメトリン(desmetryne)、テンボトリオン(tembotrione)、トプラメゾン(topramezone)、トラルコキシジム(tralkoxydim)、トリアジフラム(triaziflam)、トリアスルフロン(triasulfuron)、トリアレート(tri-allate)、トリエタジン(trietazine)、トリクロピル(triclopyr)、トリトスルフロン(tritosulfuron)、トリフェンスルフロン(triofensulfuron)、トリフルスルフロン−メチル(triflusulfuron-methyl)、トリフルラリン(trifluralin)、トリフロキシスルフロン−ナトリウム塩(trifloxysulfuron-sodium)、トリベニュロン−メチル(tribenuron-methyl)、ドレクスレラ モノセラス、ナプタラム(naptalam)、ナプロアニリド(naproanilide)、ナプロパミド(napropamide)、ニコスルフロン(nicosulfuron)、ネブロン(neburon)、ノルフルラゾン(norflurazon)、パラコート(paraquat-dichloride)、ハロキシホップ(haloxyfop)、ハロサフェン(halosafen)、ハロスルフロンメチル(halosulfuron-methyl)、ビアラホス(bialaphos)、ピクロラム(picloram)、ピコリナフェン(picolinafen)、ビスピリバック−ナトリウム塩(bispyribac-sodium)、ピノキサデン(pinoxaden)、ビフェノックス(bifenox)、ピペロホス(piperophos)、ピラクロニル(pyraclonil)、ピラスルホトール(pyrasulfotole)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ピラゾスルフロンエチル(pyrazosulfuron-ethyl)、ピラゾレート(pyrazolate)、ピラゾン(pyrazon)、ピラフルフェンエチル(pyraflufen-ethyl)、ピリダフォル(pyridafol)、ピリチオバック−ナトリウム塩(pyrithiobac-sodium)、ピリデート(pyridate)、ピリフタリド(pyriftalid)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、ピリベンゾキシム(pyribenzoxim)、ピリミスルファン(pyrimisulfan)、ピリミノバックメチル(pyriminobac-methyl)、ピロキサスルホン(pyroxasulfone)、ピロキススラム(pyroxsulam)、プロメトリン(prometryne)、フェニュロン(fenuron)、フェノキサプロップ−エチル(fenoxaprop-P-ethyl)、フェンメディファム(phenmedipham)、フェントラザミド(fentrazamide)、フォサミン−アンモニウム塩(fosamine-ammonium)、フォメサフェン(fomesafen)、フォラムスルフロン(foramsulfuron)、ブタクロール(butachlor)、ブタフェナシル(butafenacil)、ブタミホス(butamifos)、ブチレート(butylate)、ブテナクロール(butenachlor)、ブトラリン(butralin)、ブトロキシジム(butroxydim)、フルメツラム(flumetsulam)、フラザスルフロン(flazasulfuron)、フラムプロップ(flamprop)、プリミスルフロン−メチル(primisulfuron-methyl)、フルアジホップ(fluazifop)、フルアゾレート(fluazolate)、フルオメツロン(fluometuron)、フルオログリコフェン−エチル(fluoroglycofen-ethyl)、フルカルバゾン−ナトリウム塩(flucarbazone-sodium)、フルクロラリン(fluchloralin)、フルセトスルフロン(flucetosufuron)、フルチアセットメチル(fluthiacet-methyl)、フルピルスルフロン−メチル−ナトリウム塩(flupyrsulfuron-methyl-sodium)、フルフェナセット(フルチアミド)(flufenacet (fluthiamide))、フルフェンピル−エチル(flufenpyr-ethyl)、フルポキサム(flupoxam)、フルミオキサジン(flumioxazin)、フルミクロラック−ペンチル(flumiclorac-pentyl)、フルリドン(fluridone)、フルレノール(flurenol)、プレチラクロール(pretilachlor)、プログリナジン−エチル(proglinazine-ethyl)、プロジアミン(prodiamine)、プロスルフロン(prosulfuron)、プロパキザホップ(propaquizafop)、プロパクロール(propachlor)、プロパジン(propazine)、プロパニル(propanil)、プロピザミド(propyzamide)、プロピソクロール(propisochlor)、プロファム(propham)、プロホキシジム(profoxydim)、プロフルアゾール(profluazol)、プロスルホカルブ(prosulfocarb)、プロポキシカルバゾン−ナトリウム塩(propoxycarbazone-sodium)、ブロマシル(bromacil)、プロメトン(prometon)、ブロモキシニル(bromoxynil)、ブロモフェノキシム(bromofenoxim)、ブロモブチド(bromobutide)、フロラスラム(florasulam)、フルロキシピル(fluroxypyr)、フルロクロリドン(flurochloridone)、フルルタモン(flurtamone)、ヘキサジノン(hexazinone)、ベナゾリン−エチル(benazolin-ethyl)、ベネフィン(benefin)、ペノキススラム(penoxsulam)、ベフルブタミド(beflubutamid)、ペブレート(pebulate)、ペラルゴン酸(pelargonic acid)、バーノレート(vernolate)、ベンカルバゾン(bencarbazone)、ベンズフェンジゾン(benzfendizone)、ベンスリド(bensulide)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron-methyl)、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、ベンタゾン(bentazon)、ペンタノクロール(pentanochlor)、ペトキサミド(pethoxamid)、ベンチオカーブ(benthiocarb)、ペンディメタリン(pendimethalin)、ペントキサゾン(pentoxazone)、ベンフレセート(benfuresate)、メソスルフロン−メチル(mesosulfuron-methyl)、メソトリオン(mesotrione)、メタザクロール(metazachlor)、メタスルホカルブ(methasulfocarb)、メタベンゾチアズロン(methabenzthiazuron)、メタミトロン(metamitron)、メタミホップ(metamifop)、メタム(metam)、MSMA(methylarsonic acid)、メチオゾリン(methiozolin)、メチルダイムロン(methyldymron)、メトキシウロン(metoxuron)、メトスラム(metosulam)、メトスルフロンメチル(metsulfuron-methyl)、メトプロトリン(methoprotryne)、メトブロムロン(metobromuron)、メトベンズロン(metobenzuron)、メトラクロール(metolachlor / S-metolachlor)、メトリブジン(metribuzin)、メフェナセット(mefenacet)、モノスルフロン(monosulfuron)、モノリニュロン(monolinuron)、モリネート(molinate)、ヨードスルフロンメチル−ナトリウム塩(iodosulfuron-methyl-sodium)、ラクトフェン(lactofen)、リニュロン(linuron)、リムスルフロン(rimsulfuron)、レナシル(lenacil)、DCMU(デューロン、Diuron)、塩素酸ナトリウム塩(sodium chlorate)、2,3,6-TBA、2,4,5-T、2,4,-DB、2,4-PA、DNOC、EPTC、MCPA、MCPB、MDBA、TCA-ナトリウム塩(TCA-sodium)、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリメチルヘキサン酸、スギ精油、シダーウッドオイル、ヒノキ油、ユーカリオイル、クローブオイル、シトラスオイル、レモンオイル。
【0017】
さらに作用の範囲を拡大するために、他の殺虫剤、殺菌剤、あるいは植物生長調節剤、肥料などを混合することもできる。
本発明の除草剤組成物は、さらに界面活性剤、増量剤、着色剤、結合剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤などの通常用いられる農薬補助剤を含有してもよい。
【0018】
上記界面活性剤としては特に限定されるものではないが、例えば、フェニルフェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホネートナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ナフタレンスルホン酸ナトリウム縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホアセテートナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム、酸化エチレン−酸化プロピレン共重合物、アルケニルスルホネートなどが挙げられる。
【0019】
上記増量剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉などの植物性粉末;クレー、ベントナイト、酸性白土、ラジオライトなどの粘土鉱物類;滑石粉、ロウ石粉などのタルク類;珪藻土、雲母粉などの鉱物性粉末;重曹、炭酸カルシウム、アルミナ、活性炭などが挙げられる。
【0020】
上記結合剤としては、特に限定されるものではないが、カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩、デンプン、リグニンスルホン酸ナトリウム、デキストリンポリビニルアルコールなどが挙げられる。
上記凍結防止剤としては、特に限定されるものではないが、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0021】
本発明の望まれない植物の防除組成物は、土壌処理、土壌混和処理、茎葉処理のいずれの処理方法においても、イヌホウズキ(Solanum nigrum)、チョウセンアサガオ(Datura stramonium)等に代表されるナス科(Solanaceae)雑草、イチビ(Abutilon theophrasti)、アメリカキンゴジカ(Sida spinosa)等に代表されるアオイ科(Malvaceae)雑草、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea)等のアサガオ類(Ipomoea spps.)やヒルガオ類(Calystegia spps.)等に代表されるヒルガオ科(Convolvulaceae)雑草、イヌビユ(Amaranthus lividus)、アオビユ(Amaranthus retroflexus)等に代表されるヒユ科(Amaranthaceae)雑草、オナモミ(Xanthium pensylvanicum)、ブタクサ(Ambrosia artemisiaefolia)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ハキダメギク(Galinsoga ciliata)、セイヨウトゲアザミ(Cirsium arvense)、ノボロギク(Senecio vulgaris)、ヒメジョオン(Erigeron annuus)等に代表されるキク科(Compositae)雑草、イヌガラシ(Rorippa indica)、ノハラガラシ(Sinapis arvensis)、ナズナ(Capsella bursapastoris)等に代表されるアブラナ科(Cruciferae)雑草、イヌタデ(Polygonum blumei)、ソバカズラ(Polygonum convolvulus)等に代表されるタデ科(Polygonaceae)雑草、スベリヒユ(Portulaca oleracea)等に代表されるスベリヒユ科(Portulacaceae)雑草、シロザ(Chenopodium album)、コアカザ(Chenopodium ficifolium)、ホウキギ(Kochia scoparia)等に代表されるアカザ科(Chenopodiaceae)雑草、ハコベ(Stellaria media)等に代表されるナデシコ科(Caryophyllaceae)雑草、オオイヌノフグリ(Veronica persica)等に代表されるゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)雑草、ツユクサ(Commelina communis)等に代表されるツユクサ科(Commelinaceae)雑草、ホトケノザ(Lamium amplexicaule)、ヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)等に代表されるシソ科(Labiatae)雑草、コニシキソウ(Euphorbia supina)、オオニシキソウ(Euphorbia maculata)等に代表されるトウダイグサ科(Euphorbiaceae)雑草、ヤエムグラ(Galium spurium)、アカネ(Rubia akane)等に代表されるアカネ科(Rubiaceae)雑草、スミレ(Viola mandshurica)等に代表されるスミレ科(Violaceae)雑草、アメリカツノクサネム(Sesbania exaltata)、エビスグサ(Cassia obtusifolia)等に代表されるマメ科(Leguminosae)雑草等の広葉雑草、野生ソルガム(Sorgham bicolor)、オオクサキビ(Panicum dichotomiflorum)、ジョンソングラス(Sorghum halepense)、イヌビエ(Echinochloa crus-galli var. crus-galli)、ヒメイヌビエ(Echinochloa crus-galli var. praticola)、栽培ビエ(Echinochloa utilis)、メヒシバ(Digitaria adscendens)、カラスムギ(Avenafatua)、オヒシバ(Eleusine indica)、エノコログサ(Setaria viridis)、スズメノテッポウ(Alopecurus aegualis) 、スズメノカタビラ(Poa annua)等に代表されるイネ科雑草、ハマスゲ(Cyperus rotundus)、キハマスゲ(Cyperus esculentus)等に代表されるカヤツリグサ科雑草、ツノゴケ科(Anthoceros)、ツノゴケモドキ科(Notothylas)に代表されるツノゴケ目ツノゴケ類、ナンジャモンジャゴケ科(Takakia)に代表されるナンジャモンジャゴケ目苔類、コマチゴケ科(Haplomitrium)に代表されるコマチゴケ目苔類、スジゴケ科(Riccardia)、フタマタゴケ科(Metzgeria)、ミズゼニゴケ科(Pellia)、クモノスゴケ科(Pallavicinia)、マキノゴケ科(Makinoa)、ウスバゼニゴケ科(Blasia)、シャクシゴケ科(Cavicularia)、トロイブゴケ科(Treubia)、ウロコゼニゴケ科(Fossombronia)等に代表されるフタマタゴケ目苔類、テガタゴケ科(Ptilidium)、サワラゴケ科(Neotrichocolea)、ムクムクゴケ科(Trichocolea)、スギバゴケ科(Lepidozia)、ムチゴケ科(Bazzania)、ツキヌキゴケ科(Calypogeia)、ヤバネゴケ科(Cephalozia)、クチキゴケ科(Odontoschisma)、カマウロコゴケ科(Harpanthus)、トサカゴケ科(Lophocolea)、フジウロコゴケ科(Chiloscyphus)、ミゾゴケ科(Marsupella)、ツボミゴケ科(Jungermannia)、ハネゴケ科(Plagiochila)、オヤコゴケ科(Schistochila)、ヒシャクゴケ科(Scapania)、ミズゴケモドキ科(Pleurozia)、ケビラゴケ科(Radula)、ゲーベルゴケ科(Goebeliella)、ケシゲリゴケ科(Nipponolejeunea)、ヤスデゴケ科(Frullania)、ヒメウルシゴケ科(Jubula)、クサリゴケ科(Lejeunea)等に代表されるウロコゴケ目苔類、ダンゴゴケ科(Sphaerocarpus)等に代表されるダンゴゴケ目苔類、チンピンゼニゴケ科(Targionia)、サイハイゴケ科(Asterella)、ジンガサゴケ科(Reboulia)、ジャゴケ科(Conocephalum)、ミカヅキゼニゴケ科(Lunularia)、ヒカリゼニゴケ科(Cyathodium)、アシブトゼニゴケ科(Clevea)、ゼニゴケモドキ科(Corsinia)、ゼニゴケ科(Marchantia)、ケゼニゴケ科(Dumortiera)等に代表されるゼニゴケ目苔類、カズノゴケ科(Riccia)、イチョウウキゴケ科(Ricciocarpus)等に代表されるウキゴケ目苔類、ミズゴケ科(Sphagnum)に代表されるミズゴケ目蘚類、クロゴケ科(Andreaea)に代表されるクロゴケ目蘚類、ヨツバゴケ科(Tetraphis)に代表されるヨツバゴケ目蘚類、ツチゴケ科(Archidium)に代表されるツチゴケ目蘚類、キンシゴケ科(Ditrichum)、エビゴケ科(Bryoxiphium)、シッポゴケ科(Dicranum)、ナガダイゴケ科(Trematodon)、チリバリゴケ科(Campylopus)、シラガゴケ科(Leucobryum)等に代表されるシッポゴケ目蘚類、ホウオウゴケ科(Fissidens)に代表されるホウオウゴケ目蘚類、アミゴケ科(Syrrhopodon)、コムソウゴケ科(Encalypta)、クチヒゲゴケ科(Trichostomum)、ネジクチゴケ科(Barbula)、センボンゴケ科(Pottia)等に代表されるセンボンゴケ目蘚類、ギボウシゴケ科(Grimmia)、スナゴケ科(Rhacomitrium)等に代表されるギボウシゴケ目蘚類、ヨレエゴケ科(Discelium)、カンムリゴケ科(Micromitrium)、ヒョウタンゴケ科(Funaria)、イシヅチゴケ科(Oedipodium)、マルダイゴケ科(Tetraplodon)等に代表されるヒョウタンゴケ目蘚類、ヒカリゴケ科(Schistostega)に代表されるヒカリゴケ目蘚類、ヘチマゴケ科(Pohlia)、ギンゴケ科(Bryum)、カサゴケ科(Rhodobryum)、チョウチンゴケ科(Mnium)、ヒノキゴケ科(Rhizogonium)、タマゴケ科(Bartramia)、サワゴケ科(Philonotis)、クサスギゴケ科(Timmia)等に代表されるマゴケ目蘚類、タチヒダゴケ科(Orthotrichum)、ミノゴケ科(Macromitrium)等に代表されるタチヒダゴケ目蘚類、シバゴケ科(Rhacopilum)、シミズゴケ科(Fontinalis)、コウヤノマンネンゴケ科(Climacium)、フジノマンネンゴケ科(Pleurozium)、ヒジキゴケ科(Hedwigia)、カワブチゴケ科(Cyptodontopsis)、イタチゴケ科(Leucodon)、リスゴケ科(Dozya)、ムジナゴケ科(Trachypus)、ヒムロゴケ科(Pterobryum)、ハイヒモゴケ科(Meteorium)、ヒラゴケ科(Neckera)、オオトラノオゴケ科(Thamnobryum)、トラノオゴケ科(Dolichomitra)等に代表されるイヌマゴケ目蘚類、アブラゴケ科(Hookeria)、ツガゴケ科(Distichophyllum)、クジャクゴケ科(Hypopterygium)、ソテツゴケ科(Cyathophorella)等に代表されるアブラゴケ目蘚類、ヒゲゴケ科(Fauriella)、コゴメゴケ科(Fabronia)、ウスグロゴケ科(Leskea)、オカムラゴケ科(Okamuraea)、シノブゴケ科(Thuidium)、ミヤベゴケ科(Miyabea)、ヒメヤナギゴケ科(Amblystegium)、ヒツジゴケ科(Brachythecium)、ツヤゴケ科(Entodon)、サナダゴケ科(Plagiothecium)、ハイゴケ科(Hypnum)、イチイゴケ科(Isopterygium)、フトゴケ科(Rhytidium)、イワダレゴケ科(Hylocomium)等に代表されるシトネゴケ目蘚類、イクビゴケ科(Diphyscium)、クマノゴケ科(Theriotia)、キセルゴケ科(Buxbaumia)等に代表されるキセルゴケ目蘚類、スギゴケ科(Polytrichum)、ニワスギゴケ科(Pogonatus)、タチゴケ科(Atrichum)、フウリンゴケ科(Bartramiopsis)等に代表されるスギゴケ目蘚類等、藍藻、紅藻、褐藻、緑藻等の各種植物、蘚苔類、藻類に高い殺草力を有する。
【0022】
使用量(組成物中の除草剤成分の濃度等)などの諸条件は、例えば、活性成分の種類、剤型の種類、対象植物、施用時期、施用場所、施用方法などに応じて適宜調整することができる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例にてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は、「質量%」を意味する。
【0024】
試験例1:各種脂肪酸の臭いに対する官能試験
ヘキサン酸(カプロン酸)(比較例1化合物)、ヘプタン酸(ヘプチル酸)(比較例2化合物)、オクタン酸(カプリル酸)(比較例3化合物)、ノナン酸(ペラルゴン酸)(比較例4化合物)、デカン酸(カプリン酸)(比較例5化合物)、ウンデカン酸(比較例6化合物)、ドデカン酸(ラウリン酸)(比較例7化合物)、2-エチルへキサン酸(実施例1化合物)、および3,5,5−トリメチルヘキサン酸(実施例2化合物)を各々90%、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)10%含有する製剤を調製した。これらの製剤をそれぞれ水で20倍に希釈し、散布液を調製した(散布液の脂肪酸濃度は4.5%となる。)。これらの散布液各1Lを任意に抽出した消費者20人に手渡し、各々の消費者の自宅の周りの雑草に100ml/m2の散布量で散布させた。その後、使用時の除草効果と臭いに関するアンケート調査を行った。結果を表1に示す。比較例1〜6の脂肪酸は高い除草効果の評価がほとんどであったが、臭いの官能評価では、ほとんどの消費者が使いたくないという評価を下した。一方、実施例1の2−エチルへキサン酸および実施例2の3,5,5−トリメチルヘキサン酸については、ほとんどの消費者が高い除草効果の評価を下し、かつ臭いの官能評価では、全ての消費者が臭いに関して問題ないという評価を下した。以上のことから多くの脂肪酸の中での2−エチルヘキサン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸の優位性が証明された。
【0025】
【表1】

【0026】
試験例2:畑茎葉処理ポット試験(雑草発生盛期処理)
350cm2のプラスチックポットに畑土壌を充填し、ヒエ、メヒシバ、セイヨウタンポポ、アオビユ、シロザ、オオイヌタデの種子を播種し、約1cm覆土した。吸水後、播種25日目に、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、およびペラルゴン酸(比較例)を各々単独で5%、ポリビニルアルコールを0.5%含有するAL製剤(残部は水)を1m2あたり20ml、50ml、100ml、200mlで均一に散布した。なお、試験は18〜30℃のガラス温室内で実施し、適宜、下面吸水させた。調査は、処理後3日目に表2に示す基準に従って観察評価した。結果を表3に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
試験例3:蘚苔類茎葉処理圃場試験(蘚苔類生育期処理)
2−エチルヘキサン酸、または3,5,5−トリメチルヘキサン酸を5%、乳化剤(モノラウリン酸ソルビタン)を2%含有する製剤を作製した。これらの製剤を原液あるいは水で希釈したものを1m2あたり100mlの散布液量となるように調製し、ゼニゴケ、ジャゴケ、ギンゴケ、ハイゴケ、スギゴケが各々優占して発生する圃場に、50cm×50cm四方の試験区(0.25m2)を設置し、均一に散布した。調査は、処理後3日目に表2に示す基準に従って観察評価した。結果を表4に示す。
【0030】
【表4】

【0031】
試験例4:畑茎葉処理ポット試験(雑草発生盛期処理)
350cm2のプラスチックポットに畑土壌を充填し、ヒエ、メヒシバ、セイヨウタンポポ、アオビユ、シロザ、オオイヌタデの種子を播種し、約1cm覆土した。吸水後、播種30日目に、2−エチルヘキサン酸(化合物A)または3,5,5−トリメチルヘキサン酸(化合物B)を5%、乳化剤(モノラウリン酸ソルビタン)を2%含有する製剤同士を混合、またはそれぞれ単独でグリホセート(化合物C、商品名:ラウンドアップマックスロード液剤(日産化学工業製))、またはグルホシネート(化合物D、商品名:バスタ液剤(バイエル クロップサイエンス製))、またはビアラホス(化合物E、商品名:ハービー液剤(明治製菓製))、またはカルブチレート(化合物F、商品名:バックアップフロアブル(エス・ディー・エス バイオテック製))、または塩素酸ナトリウム(化合物G、商品名;クロレートSL水溶剤(エス・ディー・エス バイオテック製))と所定薬量になるように混合し、1m2あたり100mlの散布液量で均一に散布した。なお、試験は18〜30℃のガラス温室内で実施し、適宜、下面吸水させた。調査は、処理後3日目と14日目に表2に示す基準に従って観察評価した。結果を表5に示す。
なお、表中の理論値は混合剤(すなわち、有効成分として混用される除草化合物)の除草効果の予想値、すなわち相加効果の期待値を示している。期待値は、以下に示すコルビー(Colby)の式(Colby S.R. Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations, Weed, 15, pp. 20-22, 1967)によって算出した。すなわち、上記試験例により測定した実測値(除草効果)がこの期待値より大きければ、除草活性に相乗作用が発現したということになる。
【数1】

【0032】
【表5】

【0033】
試験例5:畑茎葉処理ポット試験(雑草発生盛期処理)
350cm2のプラスチックポットに畑土壌を充填し、ヒエ、メヒシバ、セイヨウタンポポ、ヤハズソウ、ハコベ、オオイヌタデの種子を播種し、約1cm覆土した。吸水後、播種30日目に、2−エチルヘキサン酸(化合物A)または3,5,5−トリメチルヘキサン酸(化合物B)を5%、乳化剤(モノラウリン酸ソルビタン)を2%含有する製剤同士を混合または、それぞれ単独でピラフルフェンエチル(化合物H、商品名:エコパートフロアブル(日本農薬製))または、チフェンスルフロンメチル(化合物I、商品名:ハーモニードライフロアブル(デュポン製))または、MCPP(化合物J、商品名:一本締液剤(ニッソーグリーン製))と所定薬量になるように混合し、1m2あたり100mlの散布液量で均一に散布した。なお、試験は18〜30℃のガラス温室内で実施し、適宜、下面吸水させた。調査は、処理後7日目に表2に示す基準に従って観察評価した。結果を表6に示す。表中の理論値は表5と同じコルビー式により算出した混用による期待値を表す。
【0034】
【表6】

【0035】
試験例6:畑土壌処理ポット試験(雑草発生前処理)
350cm2のプラスチックポットに畑土壌を充填し、ヒエ、メヒシバ、エノコログサ、スズメノカタビラ、セイヨウタンポポ、ナズナの種子を播種し、約1cm覆土した。吸水後、播種翌日に、2−エチルヘキサン酸(化合物A)または3,5,5−トリメチルヘキサン酸(化合物B)を10%、乳化剤(モノラウリン酸ソルビタン)を2%含有する製剤同士を混合または、それぞれ単独でペンディメタリン(化合物K、商品名:グリーンケア顆粒水和剤(エス・ディー・エス バイオテック製))または、アラクロール(化合物L、商品名:日産ラッソー乳剤(日産化学工業製))と所定薬量になるように混合し、1m2あたり200mlの散布液量で土壌表面に均一に散布した。なお、試験は18〜30℃のガラス温室内で実施し、適宜、下面吸水させた。調査は、処理後21日目に表2に示す基準に従って観察評価した。結果を表7に示す。表中の理論値は表5と同じコルビー式により算出した混用による期待値を表す。
【0036】
【表7】

【0037】
試験例7:蘚苔類茎葉処理圃場試験(蘚苔類生育期処理)
ゼニゴケ、ジャゴケ、ハイゴケが各々優占して発生する圃場に、50cm×50cm四方の試験区(0.25m2)を設置した。2−エチルヘキサン酸(化合物A)または3,5,5−トリメチルヘキサン酸(化合物B)を5%、乳化剤(モノラウリン酸ソルビタン)を2%含有する製剤同士を混合または、それぞれ単独でビアラホス(化合物E、商品名:ハービー液剤(明治製菓製))または、カルブチレート(化合物F、商品名:バックアップフロアブル(エス・ディー・エス バイオテック製))または、ピラフルフェンエチル(化合物H、商品名:エコパートフロアブル(日本農薬製))と所定薬量になるように混合し、1m2あたり100mlの散布液量で均一に散布した。調査は、処理後5日目と30日目に表2に示す基準に従って観察評価した。結果を表8に示す。表中の理論値は表5と同じコルビー式により算出した混用による期待値を表す。
【0038】
【表8】

【0039】
表3および4に示されるように、本発明による除草剤組成物は、雑草の生育盛期、蘚苔類の生育期の処理において、農業用および非農業用の望まれない植物を的確にかつ即効的に防除できた。特に、雑草、蘚苔類茎葉処理の枯殺特性は、処理直後から薬徴を示し、極めて即効的に望まれない植物を防除できる点で化学農薬にも匹敵する特性と言えるものである。
【0040】
さらに、表5〜8に示されるように、除草/除ゴケ効果の完成に長期間を要する遅効的な除草剤や即効的な除草/除ゴケ効果を示すものの殺草/除ゴケスペクトラムの偏りや残効期間の短い除草剤、さらには、発生前の禾本科雑草にしか除草効果を示さない除草剤との混用においても、即効性の付与や殺草/除ゴケスペクトラムの補完、処理時期の補完を可能とするだけでなく、混用による相乗効果が期待できる除草剤組成物を提供できるという点で2−エチルヘキサン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸の優位性が証明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸を有効成分とすることを特徴とする望まれない植物の防除組成物。
【請求項2】
2−エチルヘキサン酸および/または3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる第一成分と化学除草剤である第二成分を有効成分とすることを特徴とする望まれない植物の防除組成物。
【請求項3】
上記第二成分の化学除草剤が、グリホセートおよびその塩、グルホシネート、ビアラホス、カルブチレート、ピラフルフェンエチル、チフェンスルフロンメチル、ペンディメタリン、アラクロール、MCPPおよびその塩、塩素酸ナトリウムから選ばれる1種以上の除草剤成分である請求項2に記載の望まれない植物の防除組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の防除組成物の有効量を望まれない植物に施用する望まれない植物の防除方法。

【公開番号】特開2011−195477(P2011−195477A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61985(P2010−61985)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000127879)株式会社エス・ディー・エス バイオテック (23)
【Fターム(参考)】