説明

木口加工機および木口部の加工方法

【課題】押出成形品の木口部を加工する際の加工不良の発生を確実に防ぐことが可能な木口加工機および木口部の加工方法を提供する。
【解決手段】中空状に形成された押出成形品2の木口部2a近傍を加工するものであり、押出成形品2が載置される加工テーブル3と、押出成形品2の木口部2a近傍に略V字状の溝部20を切削形成する回転刃と、加工テーブル3の近傍に設けられるとともに、この加工テーブル3側に突出して、押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込む押込片5とを備えていることを特徴とする木口加工機。これにより、従来とは異なり、回転刃によって押出成形品を切削して溝部を形成する際に、押出成形品の先端側が折れ曲がることを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空状に形成された押出成形品の木口部近傍を加工する木口加工機および押出成形品の木口部近傍を加工する木口部の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業生産住宅では、無垢の木からなる長尺材、あるいは樹脂材を原料に押出成形した押出成形品等の被加工材の表面に合成樹脂シートをラミネートしたラッピング材が多用されている。このような被加工材は、例えば手擦り笠木等として用いられることがあり、この場合、長手方向両端の木口が目立つ位置に配置されることとなる。
そこで、被加工材の芯材の一面に被着した合成樹脂シートのみを残して、この被加工材の端部近傍にV溝を形成し、このV溝の対向する内壁面同士を接合して、合成樹脂シートを被加工材の木口側に折り曲げて、木口部分の見栄えを良くするような技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−080777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、被加工材に対してV溝を形成する際は、回転軸によって回転駆動され前記回転軸に直交する面の周縁に複数の刃部が形成された回転刃が用いられるが、回転刃が被加工材の端部近傍を抜けていく瞬間、例えば回転刃の回転による振動の影響や、回転刃の回転による摩擦熱によってV溝付近の合成樹脂シートに撚れが生じるなどして、被加工材の先端部分が折れ曲がってしまう場合がある。そして、このように折れ曲がってしまった被加工材の先端部分は、抜けていく瞬間の回転刃に再び触れてしまい、本体と切り離されてしまったり等の加工不良が生じてしまう場合があった。
【0004】
本発明の課題は、押出成形品の木口部を加工する際の加工不良の発生を確実に防ぐことが可能な木口加工機および木口部の加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図3に示すように、中空状に形成された押出成形品2の木口部2a近傍を加工する木口加工機1において、
前記押出成形品2が載置される加工テーブル3と、
この加工テーブル3に載置された前記押出成形品2の木口部2a近傍に、この押出成形品2の押出方向と直交する方向に沿って、かつ下面側の表層部分のみを残して略V字状の溝部20を切削形成する回転刃4と、
前記加工テーブル3の近傍に設けられるとともに、この加工テーブル3側に突出して、前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込む押込片5とを備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、前記加工テーブル3の近傍に設けられるとともに、この加工テーブル3側に突出して、前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込む押込片5を備えていることから、この押込片5によって、前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込むことができるので、従来とは異なり、前記回転刃4によって前記押出成形品2を切削して溝部20を形成する際に、前記押出成形品2の先端側が折れ曲がることを防ぐことができ、前記押出成形品2の木口部2a近傍の加工不良の発生を確実に防ぐことが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、例えば図2および図3に示すように、請求項1に記載の木口加工機1において、
前記加工テーブル3は、この加工テーブル3に隣接するとともに、上面が、この加工テーブル3の上面と略面一となる補助テーブル30を有しており、
前記回転刃4は、これら加工テーブル3と補助テーブル30との境界線に沿って移動可能となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、前記補助テーブル30の上面と、前記加工テーブル3の上面とが面一となっているので、これら加工テーブル3および補助テーブル30の上面に、前記押出成形品2を段差無く載置できる。その上、前記回転刃4は、前記加工テーブル3と補助テーブル30との境界線に沿って移動可能となっているので、前記押出成形品2を前記加工テーブル3上に載置する際に、前記境界線と、前記回転刃4が前記押出成形品2を通過していくラインとが沿うように位置合わせすることによって、前記押出成形品2に対して前記溝部20を正確に切削形成することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項2に記載の木口加工機1において、
前記補助テーブル30は、この補助テーブル30の下方に設けられ、この補助テーブル30を上下方向に昇降可能に支持する昇降機構31を有しており、
前記押込片5は、前記補助テーブル30の上昇時に、前記加工テーブル3から離間する方向に移動可能となっていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、前記押込片5を、前記加工テーブル3から離間する方向に移動させるとともに、前記補助テーブル30を上昇させることによって、前記補助テーブル30の上に載置された前記押出成形品2の先端側を、前記溝部20が切削形成された部分を折り曲げるようにして回転させることができるので、前記押出成形品2の木口部2a近傍を折曲加工することができる。これによって、前記押出成形品2の木口部2aに露出する断面形状を遮蔽することができので、外観性に優れる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の木口加工機1において、
前記加工テーブル3には、前記押出成形品2を上面から押さえ付ける第1押さえ手段32が設けられるとともに、前記押出成形品2を側面から押さえ付ける第2押さえ手段33が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、前記加工テーブル3には、前記押出成形品2を上面から押さえ付ける第1押さえ手段32が設けられるとともに、前記押出成形品2を側面から押さえ付ける第2押さえ手段33が設けられているので、これら第1押さえ手段32および第2押さえ手段33によって、前記押出成形品2を押さえ付けることで、前記回転刃4によって前記押出成形品2の木口部2a近傍に溝部20を切削形成する際に、この押出成形品2の載置場所がずれてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項3に記載の木口加工機1によって押出成形品2の木口部2a近傍を加工する木口部2aの加工方法であって、
前記押込片5によって前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込むとともに、前記回転刃4によって前記押出成形品2の木口部2a近傍に前記溝部20を形成し、
この溝部20の対向する傾斜面20aに接着剤を塗布した後、前記押込片5を、前記加工テーブル3から離間する方向に移動させるとともに、前記補助テーブル30を上昇させることによって、前記押出成形品2の溝部20の傾斜面20a同士を突き合わせるようにして前記押出成形品2の木口部2a近傍を折曲加工することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、前記押込片5によって前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込むとともに、前記回転刃4によって前記押出成形品2の木口部2a近傍に前記溝部20を形成するので、従来とは異なり、前記押出成形品2の先端側が折れ曲がることを防ぐことができ、前記押出成形品2の木口部2a近傍の加工不良の発生を確実に防ぐことが可能となる。
また、前記溝部20の対向する傾斜面20aに接着剤を塗布した後、前記押込片5を、前記加工テーブル3から離間する方向に移動させるとともに、前記補助テーブル30を上昇させることによって、前記押出成形品2の溝部20の傾斜面20a同士を突き合わせるようにして前記押出成形品2の木口部2a近傍を折曲加工するので、前記溝部20の対向する傾斜面20a同士を接合して、前記押出成形品2の木口部2aに露出する断面形状を遮蔽することができ、外観性に優れる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、加工テーブルの近傍に設けられるとともに、この加工テーブル側に突出して、押出成形品に形成される溝部よりも先端側の内壁面を押さえ込む押込片を備えていることから、この押込片によって押出成形品に形成される溝部よりも先端側の内壁面を押さえ込むことができるので、従来とは異なり、回転刃によって押出成形品を切削して溝部を形成する際に、押出成形品の先端側が折れ曲がることを防ぐことができ、押出成形品の木口部近傍の加工不良の発生を確実に防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本実施の形態の木口加工機1は、図1〜図3に示すように、中空状に形成された押出成形品2の木口部2a近傍を加工するものであり、前記押出成形品2が載置される加工テーブル3と、この加工テーブル3に載置された前記押出成形品2の木口部2a近傍に、この押出成形品2の押出方向と直交する方向に沿って、かつ下面側の表層部分のみを残して略V字状の溝部20を切削形成する回転刃4と、前記加工テーブル3の近傍に設けられるとともに、この加工テーブル3側に突出して、前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込む押込片5とを備えている。
【0018】
ここで、前記押出成形品2は、例えば、セルロース材を粉砕して得た粉砕粉と、樹脂等とを混合し、押出成形により所望形状に成形して、手触り感等の風合いも天然の木に近い木質様成形品であり、中空状に形成されている。
また、このように手触り感等の風合いも天然の木に近い木質様成形品を用いていることから、前記押出成形品2の表面には、例えば合成樹脂シート等をラッピングする必要がないので、従来に比して、合成樹脂シートをラッピングする手間やコストを低減することができる。また、従来とは異なり、合成樹脂シートがラッピングされていないので、前記溝部20を形成する際に、前記押出成形品2の表層部分のみを残すようにしている。
【0019】
なお、本実施の形態の押出成形品2は、木質様成形品であるが、これに限られるものではない。
また、木口とは、木材の切り口を意味し、木材の繊維方向に対して直角に切った切り口の面を指すが、本実施の形態の押出成形品2の木口部2aとは、この押出成形品2の押出方向両端の端面部分を指している。
【0020】
前記加工テーブル3は、前記押出成形品2を加工するための作業台であり、図1および図2に示すように、この加工テーブル3を支持する基台3aの上面に設けられている。
なお、本実施の形態の加工テーブル3は、図1に示すように、前記基台3aの左右両側に対称的に設けられており、これら左右両側の加工テーブル3間に、前記回転刃4を備える切削装置40(後述する)が設けられている。
【0021】
さらに、この加工テーブル3は、図2および図3に示すように、この加工テーブル3に隣接するとともに、上面が、この加工テーブル3の上面と略面一となる補助テーブル30を有しており、これら加工テーブル3および補助テーブル30の上面に、前記押出成形品2を段差無く載置できるので、前記押出成形品2に対して前記溝部20を正確に切削形成できる。
【0022】
さらに、前記補助テーブル30は、図4に示すように、この補助テーブル30の下方に設けられ、この補助テーブル30を上下方向に昇降可能に支持する昇降機構31を有している。
この昇降機構31は、前記加工テーブル3下方に位置し、前記基台3aの正面側に固定された固定台3bの中央部付近に設けられている。この昇降機構31は、前記補助テーブル30の下面に接続され、この補助テーブル30を昇降させるシリンダー31aと、このシリンダー31aを制御する制御部(図示せず)によって前記補助テーブル30の昇降動作が可能となっている。
【0023】
また、前記加工テーブル3には、前記押出成形品2を上面から押さえ付ける第1押さえ手段32が設けられるとともに、前記押出成形品2を側面から押さえ付ける第2押さえ手段33が設けられている。
そして、これら第1押さえ手段32および第2押さえ手段33によって、前記押出成形品2を押さえ付けることで、前記回転刃4によって前記押出成形品2の木口部2a近傍に溝部20を切削形成する際に、この押出成形品2の載置場所がずれてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0024】
なお、前記第1押さえ手段32は、図1および図2,図4に示すように、前記加工テーブル3を介して上下方向に延在する2本のロッド32aと、これら2本のロッド32aの上端部間に架設される押さえ体32bと、前記2本のロッド32aを上下方向に沿って移動させるシリンダー32cと、このシリンダー32cを制御する制御部(図示せず)とを備えている。そして、前記シリンダー32cによって、前記2本のロッド32aを下方に移動させることによって、前記押さえ体32bの下面と、前記加工テーブル3の上面との間に挟むようにして、前記押出成形品2を上面から押さえ付けることができるようになっている。
【0025】
また、前記第2押さえ手段33は、図1〜図3に示すように、前記加工テーブル3の幅方向の外側端部に固定され、この加工テーブル3の前後方向に沿って長尺な固定部33aと、前記加工テーブル3の幅方向の内側端部に設けられ、この加工テーブル3の前後方向に沿って長尺な押さえ体33bと、この押さえ体33bを、前記加工テーブル3の上面に沿って、かつ加工テーブル3の幅方向に沿って摺動させるシリンダー33cと、このシリンダー33cを制御する制御部(図示せず)とを備えている。そして、前記シリンダー332cによって、前記押さえ体33bを摺動させて、この押さえ体33bと前記固定部33aとを接近させ、これら固定部33aおよび押さえ体33b間に挟むようにして、前記押出成形品2を側面から押さえ付けることができるようになっている。
【0026】
一方、前記回転刃4は、この回転刃4の軸心方向に沿って接続される回転軸41によって回転駆動され、前記回転軸41に直交する面の周縁に複数の刃部が形成されたものであり、前記回転軸41を回転させる回転駆動部42を介して前記切削装置40に設けられている。
【0027】
前記切削装置40は、図1および図2に示すように、前記基台3a上面の後部中央で、前記左右両側の加工テーブル3間に設けられている。この切削装置40は、支持台43と、この支持台43の上部に設けられ、前記基台3aの幅方向に沿って長尺なレール部44と、このレール部44に沿って移動可能に設けられる移動体45と、この移動体45に設けられるとともに前記回転駆動部42の上部に接続され、この回転駆動部42を上下方向に沿って移動させるシリンダー46と、前記回転駆動部42、前記移動体45およびシリンダー46を制御する制御部(図示せず)備えている。
そして、前記移動体45による左右移動と、前記シリンダー46による上下移動とによって、前記回転駆動部42は、正面視において矩形状に動作でき、この矩形状の動作範囲内で、例えば長円状や正円状、三角形状、正方形状等、様々な動作を行うことができるようになっている。
【0028】
前記回転軸41は、前記回転駆動部42の正面部から突出するようにして設けられており、この回転軸41が軸芯方向に沿って接続される前記回転刃4は、前記加工テーブル3と補助テーブル30との境界線に沿って移動可能となっている。すなわち、前記回転刃4の刃先の直下に、前記加工テーブル3と補助テーブル30との境界線が位置しているような状態となっている。
したがって、前記押出成形品2を前記加工テーブル3上に載置する際に、前記境界線と、前記回転刃4が前記押出成形品2を通過していくラインとが沿うように位置合わせすることによって、前記押出成形品2に対して前記溝部20を正確に切削形成することができるようになっている。
【0029】
なお、本実施の形態において、前記押出成形品2に対して前記溝部20を正確に切削形成するとは、前記押出成形品2に形成される溝部20が、この押出成形品2の押出方向と直交する方向に沿って、かつ下面側の表層部分のみを残して形成された状態である。さらに、このような条件とともに、前記溝部20の対向する傾斜面20aが、前記押出成形品2の下面に直交し、かつ該溝部20の最深部を通る図示しない仮想中心面を対称中心としてそれぞれ45度ずつ傾斜している状態である。
なお、前記押出成形品2の下面側に残される表層部分の厚みは、折曲可能であるとともに、折り曲げた際に断裂しないような適当な厚みが好ましい。
【0030】
一方、前記押込片5は、図2から図4に示すように、前記加工テーブル3の近傍、すなわち前記固定台3bの先端部に設けられる押込装置51に備えられている。この押込装置51は、前記押込片5の基端部を幅方向に沿って複数保持する保持部52と、この保持部52を上下方向に移動させるシリンダー53と、このシリンダー53と前記保持部52とを前後方向に移動させるシリンダー54と、これらシリンダー53,54制御する制御部(図示せず)とを備えている。
【0031】
また、前記シリンダー53,54は、前記補助テーブル30を上下移動させる昇降機構31のシリンダー31aと連動するように設定されている。これによって、前記補助テーブル30を上昇させ、前記押込片5を前記加工テーブル3から離間する方向に移動させたいときに、よりスムーズに動作させることができる。
【0032】
また、前記押込片5は、上述のように前記加工テーブル3側に突出する板状体であり、先端が、前記押出成形品2の中空部に入りやすいように先細状に形成されており、この先端が、前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込むようになっている。
なお、例えば中空部を形成する壁部分の厚み等が異なる被加工材を加工する際は、前記シリンダー53によって前記押込片5を上下に移動させて、被加工材の厚みに合うように調整することができる。また、被加工材に形成される溝部20の長さ方向の位置も、前記シリンダー54によって前記押込片5を前後に移動させて調整することができるようになっている。
【0033】
そして、このような前記押込片5を、前記加工テーブル3から離間する方向に移動させるとともに、前記補助テーブル30を上昇させることによって、前記補助テーブル30の上に載置された前記押出成形品2の先端側を、前記溝部20が切削形成された部分を折り曲げるようにして回転させることができるので、前記押出成形品2の木口部2a近傍を折曲加工することができる。これによって、前記押出成形品2の木口部2aに露出する断面形状を遮蔽することができので、外観性に優れる。
【0034】
なお、本実施の形態の図示しない各制御部は、それぞれ個々に働くものとしてもよいし、中央制御によって一括に制御するようにしてもよい。また、このような制御部は、前記基台3aの内部や、前記支持台43の内部等に内蔵されているものとする。
【0035】
次に、本実施の形態の木口加工機1によって押出成形品2の木口部2a近傍を加工する木口部2aの加工方法について説明する。
【0036】
すなわち、まず前記押出成形品2を、前記加工テーブル3と、この加工テーブル3に隣接する補助テーブル30上に載置する。この時、これら加工テーブル3と補助テーブル30との境界線と、前記回転刃4が前記押出成形品2を通過していくラインとが沿うように位置合わせしておく。
【0037】
このように位置合わせを行うと同時に、前記第1押さえ手段32と、前記第2押さえ手段33とによって、図3および図4に示すように、前記押出成形品2を上面および側面から押さえ付けるようにして、この押出成形品2を、前記加工テーブル3上に固定する。
【0038】
続いて、図3に示すように、前記押込片5によって、前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込む。そして、前記回転刃4によって前記押出成形品2の木口部2a近傍に略V字状の前記溝部20を形成する。
【0039】
そして、このように形成された溝部20の対向する傾斜面20aに接着剤を塗布した後、図4に示すように、前記押込片5を、前記加工テーブル3から離間する方向に移動させるとともに、前記補助テーブル30を上昇させる。
このように前記補助テーブル30を上昇させることによって、前記押出成形品2の溝部20の傾斜面20a同士を突き合わせるようにして前記押出成形品2の木口部2a近傍を折曲加工している。
【0040】
このような木口部2aの加工方法によれば、従来とは異なり、前記押出成形品2の先端側が折れ曲がることを防ぐことができ、前記押出成形品2の木口部2a近傍の加工不良の発生を確実に防ぐことが可能となる。
また、前記溝部20の対向する傾斜面20a同士を接合して、前記押出成形品2の木口部2aに露出する断面形状を遮蔽することができ、外観性に優れる。
【0041】
なお、前記溝部20の傾斜面20a同士を接合する際は、上述のように接着剤によって行うようにしてもよいし、その他の接合方法でもよい。
【0042】
本実施の形態によれば、前記加工テーブル3の近傍に設けられるとともに、この加工テーブル3側に突出して、前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込む押込片5を備えていることから、この押込片5によって、前記押出成形品2に形成される溝部20よりも先端側の内壁面21を押さえ込むことができるので、従来とは異なり、前記回転刃4によって前記押出成形品2を切削して溝部20を形成する際に、前記押出成形品2の先端側が折れ曲がることを防ぐことができ、前記押出成形品2の木口部2a近傍の加工不良の発生を確実に防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る木口加工機を示す正面図である。
【図2】図1に示す木口加工機の側面図である。
【図3】押込片による押出成形品の先端側の押さえ込み状態を示す斜視図である。
【図4】押込片および補助テーブルの動作の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 木口加工機
2 押出成形品
2a 木口部
3 加工テーブル
4 回転刃
5 押込片
30 補助テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状に形成された押出成形品の木口部近傍を加工する木口加工機において、
前記押出成形品が載置される加工テーブルと、
この加工テーブルに載置された前記押出成形品の木口部近傍に、この押出成形品の押出方向と直交する方向に沿って、かつ下面側の表層部分のみを残して略V字状の溝部を切削形成する回転刃と、
前記加工テーブルの近傍に設けられるとともに、この加工テーブル側に突出して、前記押出成形品に形成される溝部よりも先端側の内壁面を押さえ込む押込片とを備えていることを特徴とする木口加工機。
【請求項2】
請求項1に記載の木口加工機において、
前記加工テーブルは、この加工テーブルに隣接するとともに、上面が、この加工テーブルの上面と略面一となる補助テーブルを有しており、
前記回転刃は、これら加工テーブルと補助テーブルとの境界線に沿って移動可能となっていることを特徴とする木口加工機。
【請求項3】
請求項2に記載の木口加工機において、
前記補助テーブルは、この補助テーブルの下方に設けられ、この補助テーブルを上下方向に昇降可能に支持する昇降機構を有しており、
前記押込片は、前記補助テーブルの上昇時に、前記加工テーブルから離間する方向に移動可能となっていることを特徴とする木口加工機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の木口加工機において、
前記加工テーブルには、前記押出成形品を上面から押さえ付ける第1押さえ手段が設けられるとともに、前記押出成形品を側面から押さえ付ける第2押さえ手段が設けられていることを特徴とする木口加工機。
【請求項5】
請求項3に記載の木口加工機によって押出成形品の木口部近傍を加工する木口部の加工方法であって、
前記押込片によって前記押出成形品に形成される溝部よりも先端側の内壁面を押さえ込むとともに、前記回転刃によって前記押出成形品の木口部近傍に前記溝部を形成し、
この溝部の対向する傾斜面に接着剤を塗布した後、前記押込片を、前記加工テーブルから離間する方向に移動させるとともに、前記補助テーブルを上昇させることによって、前記押出成形品の溝部の傾斜面同士を突き合わせるようにして前記押出成形品の木口部近傍を折曲加工することを特徴とする木口部の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−61513(P2009−61513A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228953(P2007−228953)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】