説明

木粉の乾燥装置

【課題】 熱風を使用しないで木粉を効率よく乾燥することができる乾燥装置を提供することである。
【解決手段】 木粉を乾燥させる乾燥装置10であって、縦形筒状の第1乾燥部20と第1乾燥部20の出口23に接続された第2乾燥部30とを備え、第1乾燥部20の下部に木粉の投入口21と第1乾燥部20に気流22cを吹き込む送風手段22とが設けられ、第1乾燥部20の出口23が第1乾燥部20の上端部に設けられ、投入口21から第1乾燥部20に投入した木粉を第1乾燥部20内にて上昇する気流22cの方向に流動させつつ第1乾燥部20の上端部まで上昇させ、さらに、第1乾燥部20の出口23を通過した木粉および気流22cを第2乾燥部30の流通路32内にて降下させ、その後、第2乾燥部30の下部の出口33から前記木粉を取り出す木粉の乾燥装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おが屑等の木粉(木材片を解繊して得られる解繊材およびプレーナ屑(かんな屑)を含む。)の乾燥装置に関し、特に、熱風を使用しないで木粉を効率よく乾燥することができる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、おが屑を乾燥させる乾燥装置として、通風乾燥部を設けた乾燥槽の上部から被乾燥おが屑を投入し、かつ通風乾燥部を流下させて下部から排出する経路を循環させながら通風乾燥する装置がある(特許文献1参照)。具体的には、乾燥槽内の通風乾燥部は頭部が山形で多孔状の給風胴と排風胴を横方向に交互に配置し、それらの間におが屑流下路を形成し、給風胴は熱風室に連通され、排風胴は排風室に連通されているので、熱風室から熱風が給風胴およびおが屑流下路を横切って排風胴に流入したうえ排風室に排出される。
【特許文献1】特開2005−16752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来例では、流下するおが屑を熱風が横切るように構成されているので、空気を加熱して熱風にするためのエネルギーが必要になるという問題があった。
なお、この問題は、おが屑の乾燥装置に限らず、おが屑、解繊材、かんな屑等を含む木粉の乾燥装置においても同様であった。
したがって、本発明の課題は、熱風を使用しないで木粉を効率よく乾燥することができる乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、木粉を乾燥させる乾燥装置であって、縦形筒状の第1乾燥部とこの第1乾燥部の出口に接続された第2乾燥部とを備え、前記第1乾燥部の下部に木粉の投入口と前記第1乾燥部に気流を吹き込む送風手段とが設けられ、前記第1乾燥部の出口が前記第1乾燥部の上端部に設けられ、前記投入口から前記第1乾燥部に投入した木粉を前記第1乾燥部内にて上昇する気流の方向に流動(バブリング)させつつ前記第1乾燥部の上端部まで上昇させ、さらに、前記第1乾燥部の出口を通過した木粉および気流を前記第2乾燥部の流通路内を降下させ、その後、前記第2乾燥部の下部の出口から前記木粉を取り出すことを特徴とする木粉の乾燥装置である。
請求項1記載の発明により、木粉を投入口から乾燥装置の第1乾燥部の下部内に入れ、送風手段により第1乾燥部の下部に気流を吹き込むと、縦形筒状の第1乾燥部内にて気流が上昇するので、木粉を上昇する気流の方向に流動させて第1乾燥部の上端部まで上昇させることにより木粉を乾燥させ、さらに、木粉を第2乾燥部内を降下させつつ前記気流により木粉を乾燥させることができる。そして、乾燥した木粉を第2乾燥部の下部の出口から取り出すことができる。
【0005】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項1に記載した木粉の乾燥装置であって、前記第2乾燥部の流通路が螺旋状に形成されていることを特徴とする木粉の乾燥装置である。
請求項2記載の発明により、第2乾燥部内において、木粉と前記気流が螺旋状流通路内を下降するため、木粉が前記気流により乾燥される経路を長くすることができる。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載した木粉の乾燥装置であって、前記第2乾燥部の下部の出口から取り出された木粉と気流を分離して木粉を収集するサイクロン式収集部を備えていることを特徴とする乾燥装置である。
請求項3記載の発明により、前記第2乾燥部の下部の出口から取り出された乾燥した木粉と気流をサイクロン式収集部が分離して乾燥した木粉を収集する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明に係る乾燥装置によれば、熱風を使用しないで木粉を効率よく乾燥することができる。このため、請求項1記載の発明に係る乾燥装置は、熱風を使用していないため、空気を加熱して熱風にするエネルギーが不要となり省エネルギー形になる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、木紛の乾燥が一層容易になる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果とともに、乾燥した木粉を容易に収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本願発明の実施の形態に係る乾燥装置の正面を示し、図2は図1の乾燥装置の平面を示す。
【0009】
図1に示すように、木粉を乾燥させる乾燥装置10は、縦形円筒状の第1乾燥部20、第2乾燥部30およびサイクロン式収集部40を備えている。なお、第1乾燥部20、第2乾燥部30およびサイクロン式収集部40は乾燥装置10のフレーム11により支えられている。
【0010】
第1乾燥部20の下部に木粉の投入口21と第1乾燥部20に気流22cを吹き込む送風手段22とが設けられている。
具体的には、木粉を投入口21に入れる第1スクリューコンベア24が配設されている。ここで、第1スクリューコンベア24は木粉の入口24aおよび出口24b、モータ24c、モータ24cの回転力を第1スクリューコンベア24の動力源とするベルト24dを備えている。これにより、入口24aに投入された木粉は第1スクリューコンベア24に搬送されて出口24bから第1乾燥部20の投入口21に投入される。
また、図2に示すように、送風手段22はモータ22aおよびモータ22aの回転力を送風手段22の動力源とするベルト22bを有している。なお、モータ22aの定格は例えば7.5キロワットである。
【0011】
図1に示すように、第1乾燥部20の出口23が第1乾燥部20の上端部に設けられ、投入口21から第1乾燥部20内に投入した木粉を上昇する気流22cの方向に流動させつつ第1乾燥部20の上端部まで上昇させることができる。
【0012】
第2乾燥部30の入口31は第1乾燥部20の出口23に接続さている。第2乾燥部30の縦形円筒状の外壁30aの内部に流通路32が設けられている。なお、流通路32は螺旋状に形成され、螺旋状の流通路32は縦軸32aを中心軸として縦軸32aの回りに旋回するように設けられている。流通路32の上端部は、入口31に接続され、流通路32の下端部は、第2乾燥部30の下部の出口33に接続されている。
第1乾燥部20の出口23を通過した木粉および気流22cを第2乾燥部30の流通路32内を降下させ、その後、第2乾燥部30の下部の出口33から木粉を取り出すことができる。
【0013】
さらに、サイクロン式収集部40は、第2乾燥部30の下部の出口33から取り出された木粉と気流22cを分離して木粉を収集する装置であり、排気手段41および排気手段41に接続された排気口42を備えている。また、図2に示すように、排気手段41はモータ41aおよびモータ41aの回転力を排気手段41の動力源とするベルト41bを備えている。なお、モータ41aの定格は例えば7.5キロワットである。
【0014】
図1に示すように、サイクロン式収集部40にて収集された木粉を搬送して収容箱51に入れる第2スクリューコンベア50が設けられている。なお、第2スクリューコンベア50は、入口50a、出口50b、モータ50cおよびベルト50dを有し、木粉は入口50aに入れられて第2スクリューコンベア50にて出口50bまで搬送されて収容箱51に入れられる。なお、モータ50cの回転力はベルト50dにより第2スクリューコンベア50の動力源とされている。
【0015】
ここで、第1乾燥部20は、例えば直径が約1mで、高さが約12mである。また、第2乾燥部30の縦形円筒状の外壁30aは、例えば直径が約1.3mで、高さが約5mである。
【0016】
以上の構成の乾燥装置10は、以下の動作をする。
木粉を投入口21から乾燥装置10の縦形円筒状の第1乾燥部20の下部内に連続的に入れ、送風手段22により第1乾燥部20の下部に気流22cを吹き込むと、気流22cが第1乾燥部20内を上昇するので、第1乾燥部20内にて木粉を上昇する気流22cの方向に流動させて第1乾燥部20の上端部まで上昇させることにより木粉を連続的に乾燥させることができる。なお、ここで、円筒状の第1乾燥部20内にて木粉を上昇する気流22cの方向に流動させることにより木粉の乾燥時間を延ばすことができる。
さらに、木粉を第2乾燥部30内を降下させつつ気流22cにより木粉を乾燥させることができる。そして、乾燥した木粉を第2乾燥部30の下部の出口33から連続的に取り出すことができる。
【0017】
さらに、第2乾燥部30内において、木粉と気流22cが螺旋状の流通路32内を下降するため、木粉が気流22cにより乾燥される経路を長くすることができる。
さらに、第2乾燥部30の下部の出口33から取り出された乾燥した木粉と気流22cをサイクロン式収集部40が分離して木粉を収集することができる。
【実施例】
【0018】
(乾燥装置10の構造)
送風手段22および排気手段41は、毎分150m3の空気を送ることができるファンである。また、4時間で300kgのおが屑、プレーナ屑を乾燥することができる。
(実施時の天気等)
天候は曇りであり、気温19℃である。
(おが屑の場合)
水分67%(湿量基準)のおが屑が乾燥装置10による乾燥により水分9%のおが屑になった。
(プレーナ屑の場合)
水分26%のプレーナ屑が乾燥装置10による乾燥により水分5%のプレーナ屑になった。
【0019】
なお、上記実施の形態において、第1乾燥部20は縦形円筒状であるが、これに限定されず、縦形筒状であればよい。
また、第2乾燥部30は螺旋状の流通路32を有しているが、これに限定されず、第2乾燥部30の流通路は螺旋状でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明の実施の形態に係る乾燥装置の正面図である。
【図2】図1の乾燥装置の平面図である。
【符号の説明】
【0021】
10 乾燥装置
20 第1乾燥部
21 投入口
22 送風手段
22c 気流
23 出口
30 第2乾燥部
31 入口
32 流通路
33 出口
40 サイクロン式収集部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
木粉を乾燥させる乾燥装置であって、
縦形筒状の第1乾燥部とこの第1乾燥部の出口に接続された第2乾燥部とを備え、
前記第1乾燥部の下部に木粉の投入口と前記第1乾燥部に気流を吹き込む送風手段とが設けられ、前記第1乾燥部の出口が前記第1乾燥部の上端部に設けられ、
前記投入口から前記第1乾燥部に投入した木粉を前記第1乾燥部内にて上昇する気流の方向に流動させつつ前記第1乾燥部の上端部まで上昇させ、
さらに、前記第1乾燥部の出口を通過した木粉および気流を前記第2乾燥部の流通路内にて降下させ、その後、前記第2乾燥部の下部の出口から前記木粉を取り出すことを特徴とする木粉の乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載した木粉の乾燥装置であって、
前記第2乾燥部の流通路が螺旋状に形成されていることを特徴とする木粉の乾燥装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した木粉の乾燥装置であって、
前記第2乾燥部の下部の出口から取り出された木粉と気流を分離して木粉を収集するサイクロン式収集部を備えていることを特徴とする木粉の乾燥装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−278588(P2007−278588A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105180(P2006−105180)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(390021278)株式会社タカハシキカン (10)
【出願人】(500029866)名古屋港木材倉庫株式会社 (5)
【Fターム(参考)】