説明

木質ペレット燃料、木質ペレット燃料の製造方法及び製造システム

【課題】 従来の木質ペレット燃料より発熱量の多い木質ペレット燃料を提案する。
【解決手段】 破砕した原料14を木質ペレット用のオガ粉14aと粉炭用のオガ粉14bとを所定の割合で分け、ペレット成形機12に投入する。投入された原材料14は、ペレット成形機12の加圧ローラー16によってダイス孔20に押し込まれペレット化される。ダイス孔20でペレット状に成形された原材料14は、ダイス孔20から成形ダイス18外部に押し出され、成形ダイス18の下方に設けられるカッター22で切断され、所定の長さの木質ペレット10が形成される。この木質ペレット10は、従来のホワイトペレットの木質ペレット燃料より多くの発熱量を得ることができるものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を原料とする木質ペレット燃料、木質ペレット燃料の製造方法及び製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の軽減を図るため、バイオマス資源を利用した燃料が研究開発されている。そのバイオマス燃料の中でも、特に、従来焼却処分されていた産業廃棄物である大鋸屑、間伐材、流木を原料とする木質ペレット燃料は、石油の代替燃料として注目されている。
木質ペレット燃料は木質系固形燃料であり、他のバイオマス燃料に比べて、取り扱いが容易であり、長距離輸送にも適している。また、加熱処理がされているため長時間の貯蔵も可能であるという特徴がある。
【0003】
従来の木質ペレットには、樹皮を除いた木材(本願では、単に「木材」という。)のみを原料とするいわゆるホワイトペレットと、樹皮のみを原料とするペレット(通称バークペレット)とが提供されている(例えば、特許文献1)。
上記木質ペレットは、大鋸屑、間伐材及び流木の粉砕物(オガ粉)を圧縮加工して粒状に成形されたものである。木材の成分であるリグニンを熱で融解し固着させることでペレット状に成形される(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平2006−266546
【特許文献2】特開平2007−40542
【0004】
しかし、従来の木質ペレットは、石油に比べ発熱量が少なく、石油より多くの貯蔵容積が必要となるという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の欠点を解決するために、従来の木質ペレット燃料より高発熱量の木質ペレット燃料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の木質ペレット燃料は、木炭を含有するようにしたものである。
また、前記木炭を10重量%含有するようにしたものである。
【0007】
本発明の木質ペレット燃料の製造方法は、木質ペレット用のオガ粉に粉炭を混合するようにしたものである。
また、木質ペレットの原料を粉砕して得たオガ粉を木質ペレット用のオガ粉と粉炭用のオガ粉に分け、粉炭用のオガ粉を炭化し、その炭化により生成される粉炭を木質ペレット用のオガ粉に混合するようにしたものである。
【0008】
本発明の木質ペレット燃料の製造システムは、木質ペレットの原料を粉砕する粉砕機と、その粉砕機により生成されるオガ粉を木質ペレット用のオガ粉と粉炭用のオガ粉に分けるふるい機と、前記粉炭用のオガ粉と水とを混合する混合機と、その混合機で生成された粉炭用のオガ粉を炭化する炭化炉と、前記木質ペレット用のオガ粉を乾燥する乾燥機と、その乾燥機に前記炭化炉の廃熱を送り出す廃熱用ファンと、前記炭化炉で生成される粉炭と前記乾燥機で生成される木質ペレット用のオガ粉とを材料とする木質ペレットを成形するペレット成形機とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の木質ペレット燃料は、バイオマス資源(木材)を利用した燃料であるため、二酸化炭素を軽減でき、環境保護の観点から優れた燃料となる。また、木質ペレットに木炭を含有させることにより、従来の木質ペレット燃料より高い発熱量のペレット燃料を得ることができる。これにより、木質ペレット燃料の貯蔵容積を省スペース化することができる。また、ペレットストーブ、ボイラー等に火力の強い燃料を提供することができる。さらには、木材のみからなる従来の木質ペレットに木炭を含有することにより、従来の木質ペレットより水分の少ない木質ペレットを得ることができる。これにより、従来の木質ペレット燃料より長期間の貯蔵が可能となり、大量貯蔵に適したものとなるため、燃料の安定供給も可能となる。
以上のように、本発明により、二酸化炭素を軽減でき、石油の代替燃料として利用可能な燃料を提供することができる。
【0010】
本発明の木質ペレット燃料の製造方法及び製造システムは、原料となる木材を粉砕して得られるオガ粉の一部を炭化して木炭(粉炭)を生成するものである。本発明によると、木質ペレット燃料の材料であるペレット用のオガ粉と木炭を同時に生成できるため、木質ペレットの量産が可能となり、木炭を別途製造・粉砕するための設備投資が不要なり、製造システムの設置負担を軽減することができる。
また、本発明の木質ペレット燃料は、上記炭化の際に生じる廃熱でペレット用のオガ粉を乾燥するものである。上記乾燥により、低コストで木質ペレット燃料を製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、従来の木質ペレット燃料の発熱量を改善し、石油の代替燃料として利用可能な木質ペレット燃料の提供を実現するものである。
【実施例1】
【0012】
木材からなるホワイトペレットは、バークペレットに比べ発熱量が多いこと、燃焼後の灰分の量も少量であること、灰同士が固まってしまうクランカーも発生しないことなどの特徴を有するため、木質ペレットの中でも従来から最も利用されている燃料であった。
そこで、本願特許出願人の発明者は、発熱量が高い木炭を用えいうにんがペレットに通称ット)とが知られている。いう。)、もくホワイトペレットに含有させることによって従来のホワイトペレットより高発熱量の新たな木質ペレット燃料を生成することを考えた。
また、従来のホワイトペレットに木炭を含有させた木質ペレット燃料を量産でき、また、低コストで生産できる木質ペレット燃料の製造方法及び製造システムを考えた。
【0013】
ここで、従来の木質ペレットの製造工程を図1に基づいて説明する。図1は、ペレット成形機において木質ペレットが成形される過程を表す図である。
木質ペレット10は、その原材料14を破砕、乾燥、ペレット化等の生産工程を経て製品化されるものである。
原材料14の破砕工程では、従来既知の粉砕機(図示せず)を用いて原材料14を小片の均一なオガ粉に破砕される。次に、破砕された原材料14は、従来既知のロータードラム乾燥機(図示せず)によって所定の水分にまで乾燥される。この乾燥された原材料14をペレット成形機12でペレット化する(図1)。
ペレット成形機12は、乾燥された原材料14が材料投入口15に投入されると、投入された原材料14を加圧ローラー(プレスロール)16で成形ダイス(リングダイ)18に無数に設けられたダイス孔20に強制的に押し込む。
ダイス孔20に押し込まれた原材料14は、ダイス孔20から押し出されてペレット化される。このペレット化の工程の中で、原材料14のリグニンが摩擦熱で融解され接着剤の役割を果たし、原材料14を凝固させる。ダイス孔20から押し出されペレット化された原材料14は、成形ダイス18の下方に設けられるカッター22で所定の大きさ(長さ)に切断され、木質ペレット10となる。なお、カッター22で切断された木質ペレット10は、リグニンを硬化させるために冷却される。
【0014】
本実施例は、原材料14として、木質ペレット用のオガ粉(木材)14aと粉炭(木炭)14bを所定の割合でペレット成形機12に投入し、木炭を含有する木質ペレットを生成するものである。そこで、木材14aと木炭14bの重量比(混合比)を変更して、その原材料14によるペレット化が可能か否かを実験した。表1は、木炭の14aの含有率(重量%)に対するペレット化の可否及びその木質ペレットの固さの適否を表したものである。
上記実験では、ダイス孔の直径が6mm、ダイスの厚さが60mmの株式会社御池鐵工所製のペレット成形機(ペレットミル)12を使用した。ペレット成形機12の加圧ローラー16の回転速度は毎分200回転に設定した。
また、上記ペレット成形機12に投入する原料14は、スギの木材を3mmに破砕し、水分を9%乃至12%に調整した木質ペレット用の木材14aと、スギの木材を5mmに破砕し、そのオガ粉を炭化して生成した水分10%の木炭(粉炭)14bである。
【0015】
なお、本実験では、木材14aを含まない、木炭14bのみを材料とする場合については行わなかった。本発明の木質ペレット燃料は、木材の成分であるリグニンを接着材としてペレット化を図るものであって、各種接着剤を用いてペレット化する木質ペレット燃料は除くものである。
【0016】
【表1】

【0017】
最初に、木炭14bの混合量を材料14全体の90重量%とし、その後徐々に木炭14bの混合量を減らしながら、その木炭14bを含有する材料14によるペレット化の確認実験を行った。しかし、木炭14bの混合分量を90重量%乃至40重量%とした表1中の実験例1乃至実験例6では、ペレット成形機12の加圧ローラー16の回転が著しく低下し、原材料14をダイス孔20に押し込められないか、また、原材料14がダイス孔20に押し込まれたとしもペレット化されなかった。
本願の発明者は、実験例1乃至実験例6から、ペレット化できない原因は木材14aのリグニンがペレット化の工程で接着剤の役割を果たしていないこと及び木材14aの分量が少ないことにあると判断した。
【0018】
そこで、木炭14bの分量をさらに減らしてペレット化を試みた。木炭14bの混合分量を30重量%乃至20重量%とした表1中の実験例7及び実験例8では、ペレット化が可能となり、ペレット成形機12の加圧ローラー16も設定した回転速度で回転するようになった。しかし、ペレット化された木質ペレットは、その固さが十分でなく、燃料(製品)として不適なものであった。
【0019】
さらに実験を続け、木炭14bの分量を10重量%に減らした表1中の実験例9では、初めて燃料として十分な固さを有する木質ペレット10を得ることができた。
【0020】
次に、上記木炭10重量%と木材90重量%とからなる木質ペレット10(表1中の実験例9)と、木材100%からなる従来のホワイトペレット(表1中の比較例)を試料として、発熱量等の測定試験を行った。表2は、上記2つの試料の測定結果を示すものである。
なお、表2において、上記2つの試料に関する炭素C,水素H,窒素Nの量は、CHN元素分析計を用いて測定した。酸素Oの量は、試料全体量(100wt%)より炭素C,水素H,窒素Nの量(wt%)及び灰分(wt%)を差し引いた計算値である。灰分は600℃の強熱で試料を燃焼した場合の残分である。総発熱量(J/g又はcal/g)は、JIS M8814燃研式自動ボンベ熱量計法により測定した。
【0021】
【表2】

【0022】
上記測定によると、ホワイトペレットの総発熱量は、18,790J/g(4,490cal/g)であった。これに対し、本発明の木質ペレットの総発熱量は、19,160J/g(4,580cal/g)であり、ホワイトペレットの総発熱量の2%増の発熱量を有するものであることが分かった。
また、上記2つの試料をペレットストーブで燃やし、モニターによる温熱体感試験を行った。参加したモニター全員が、ホワイトペレットを燃料とするペレットストーブに比べ、本発明の木質ペレットを燃料とするペレットストーブが格段に暖かいと感じた。火力についても本発明の木質ペレットの火力がホワイトペレットのものより明らかに強いことが確認された。
【0023】
以上のように、本発明の木質ペレットは、従来のホワイトペレットより高い発熱量を得ることができる。そのため、ペレット燃料の貯蔵容積の省スペース化が可能となる。また、従来のホワイトペレットより火力が強いことから、ペレットストーブ等の小規模エネルギーシステムのみならず、ボイラーなどの大規模なエネルギーシステムにも利用可能となる。
【0024】
また、本発明の木質ペレットと従来のホワイトペレットについて、当該ペレットの水分測定試験を行った(表3)。上記測定試験では、上記2つのペレット試料のサンプルを5つについて水分測定を行い、各サンプルの水分の平均値を求めた。
なお、上記ペレットの水分測定法は、日本燃料機器検査協会の基準(木質系バイオマスペレットの基準)によるものであって、その測定はJIS Z7302−3(「廃棄物固形化燃料 第3部:水分測定試験法」)に従うものである。
【0025】
【表3】

【0026】
上記測定よると、ホワイトペレットの水分は、その試料全体量の9.49%(平均値)であった。これに対し、本発明の木質ペレットの水分は、その試料全体量の6.8%(平均値)であり、ホワイトペレットの水分より著しく少ないことが分かった。
以上のように、本発明の木質ペレットは、従来のホワイトペレットと比較してその水分量が低い。そのため、本発明の木質ペレットは、従来のホワイトペレットより長期間貯蔵が可能であり、大量貯蔵に適した製品となる。燃料の安定供給も可能となり、石油の代替燃料として利用可能なものとなる。
【0027】
なお、上記実施例では、木質ペレットの原材料としてスギを使用したが、その他の針葉樹若しくは広葉樹であってもよい。
【0028】
次に、本発明の木質ペレット燃料の製造方法について説明する。
本発明の木質ペレット燃料の製造方法は、木質ペレット用のオガ粉等に粉炭を混合させることにより、木炭を含有する木質ペレット燃料を生成するものである。
なお、上記粉炭は、木炭を粉砕したものであってもよく、後述の粉炭用のオガ粉を炭化したものであってもよい。
【0029】
また、原料(木材)を粉砕して得たオガ粉を木質ペレット用のオガ粉と粉炭用のオガ粉とに所定の割合に分け、その粉炭用のオガ粉を炭化し、その炭化により生成される粉炭を前記木質ペレット用のオガ粉に混合することにより、量産可能な、かつ、低コストで木質ペレット燃料を生成するものである。
木炭を別途製造し、その木炭の粉砕粉をペレット用のオガ粉に混合する場合は、木炭の製造に時間を要するだけでなく、その木炭の破砕・搬送などの時間も必要となるため、量産が困難であり、経済的負担を負うことになる。原料(木材)を粉砕して得たオガ粉を粉炭用のオガ粉とペレット用のオガ粉とに所定の割合に分け、その粉炭用のオガ粉を炭化することで、木質ペレット燃料の材料として必要な木質ペレット用のオガ粉と粉炭を同時に用意することができる。これにより、量産が可能となる。
【0030】
次に、上記本発明の木質ペレット燃料の製造方法を実施するための木質ペレット燃料の製造システムの一例を図に基づいて説明する。図2は、本発明の木質ペレット燃料10の製造システムのブロック図である。図3は、図2の製造システムの主要部Xの概略図である。
木質ペレット燃料の製造システム24は、木質ペレット10の原料26を粉砕する粉砕機28と、その粉砕機28により生成されるオガ粉30を木質ペレット用のオガ粉30aと粉炭用のオガ粉30bとに分けるふるい機32と、前記粉炭用のオガ粉30bと水34とを混合する混合機(ホッパーミキサー)36と、その混合機36で生成された粉炭用のオガ粉30bを炭化する炭化炉38と、その炭化炉38の廃熱40で木質ペレット用のオガ粉30aを乾燥する乾燥機42と、前記炭化炉38で生成される粉炭14bと前記乾燥機42で生成される木質ペレット用のオガ粉14aとを材料とする木質ペレット10を成形するペレット成形機12とを備えるものである。
なお、図2において、上記原料26、オガ粉30,30a,30b,14a、粉炭14bは、搬送手段であるベルトコンベア44やチェーンコンベア45で上記各構成部に搬送されるものであるが、上記搬送手段以外に、フォークリフトや空送ファン、昇降機などの移送手段(又は運搬手段)を用いてもよい。
【0031】
粉砕機28は、従来のホワイトペレットの製造において用いられている公知のものであって、原料26(針葉樹又は広葉樹の木材)を所定の粒度に粉砕するものである。
【0032】
ふるい機32は、分級機能を有し、粉砕機28により生成されるオガ粉30を木質ペレット用のオガ粉30aと粉炭用のオガ粉30bとに分けるものである。例えば、上記実施例にて使用した粒度3mmの木質ペレット用のオガ粉14a及び粒度5mmの粉炭用オガ粉14bを生産する場合、原料30は、6mmのふるいを使って、3mmの木質ペレット用のオガ粉30aと5mmの粉炭用のオガ粉30bに分級される。なお、ふるい機32は公知のものである。
【0033】
混合機(ホッパーミキサー)36は、粉炭用のオガ粉30bの材料投入口と当該混合機36のタンク36a内に注水するための注水管48を有し、粉炭用のオガ粉30bと水34とを当該タンク36aで混合するものである。これにより、タンク36a内に投入される粉炭用のオガ粉30bに水34が浸透し、後述の炭化炉38においてオガ粉30bを有効に炭化させることができる。即ち、オガ粉30bを木炭にすることができる。なお、粉炭用のオガ粉30bに水34を浸透させずにオガ粉30bを炭化炉38に投入した場合、オガ粉30bは炭化されず(即ち、木炭に成らず)、燃え尽きて灰(はい)となってしまう。上記混合機36のタンク36a内に注水するのは、オガ粉30bが灰になってしまうことを防止するものである。
【0034】
炭化炉38は、粉炭用のオガ粉30bを短時間で炭化し、また、その炉内の湿度を調整できるものである。炭化炉38の湿度調整により所定の水分を有する粉炭14bを生成することができる。
【0035】
乾燥機42は、そのタンク内に投入されるペレット用のオガ粉30aを熱風で乾燥するものである。また、上記熱風に炭化炉38の廃熱を用いるものである。
【0036】
続いて、図2の本発明の木質ペレット燃料の製造システムの主要部Xを図3に基づいて説明する。
図2のふるい機32で分級された木質ペレット用のオガ粉30aと粉炭用のオガ粉30bをそれぞれ供給用ホッパー46と混合機(ホッパーミキサー)36にそれぞれ投入する。供給用ホッパー46に投入された木質ペレット用のオガ粉30aはベルトコンベア44で乾燥機42に搬送され、その投入口42aに投入される。
【0037】
混合機36のタンク部36aには、注水管48から水34が給水される。混合機36に投入された粉炭用のオガ粉30bは水34と混合される。水34を含んだオガ粉30bはベルトコンベア44で炭化炉38まで搬送され、その投入口38aに投入される。炭化炉38は、内臓ヒーター(例えば、バーナー)を有し(図示せず)、その炉内38bは所定の温度に熱せられた状態となっている。また、その炉内38bには渦状の気流50(螺旋形に巡る激しい空気の流れ)を起こす気流発生機構を有している。炭化炉38に投入されたオガ粉30bは、その炉内38bに生じる熱風の気流50に乗り、吐き出し口38cに至るまでに炭化され、吐き出し口38cからチェーンコンベア45上に排出され、木質ペレット燃料10の材料、粉炭14bとしてペレット成形機12へ搬送される(図1)。
【0038】
一方、炭化炉38の炉内の廃熱40は、廃熱排出管50及び廃熱用ファン52(送風機)を介して乾燥機42のタンク40b内に送り出される。乾燥機42のタンク42bに投入された木質ペレット用のオガ粉30aは、タンク42b内を渦状に流れる廃熱40の気流によって乾燥され、吐き出し口42cからチェーンコンベア45上に排出され、木質ペレット燃料10の材料、木質ペレット用オガ粉14aとしてペレット成形機12へ搬送される(図1)。
【0039】
乾燥機42及び炭化炉38は、木質ペレット燃料10の材料14a,14bを短時間で生成するため、本発明の木質ペレット燃料の製造システムの主要部Xにより、木質ペレット燃料10の量産が可能となる。
また、炭化炉38の廃熱40を廃熱用ファン52(送風機)を介して乾燥機42に送り出すことにより、木質ペレット用のオガ粉30aを乾燥するための光熱費を削減又は軽減することができる。さらには、従来のホワイトペレット用の乾燥機はそのタンク内に熱風を供給するための燃料燃焼装置を備えるものであったが、上記廃熱40で乾燥することにより、燃料燃焼装置が不要となる。このように、炭化炉38の廃熱40を利用することにより、本発明の木質ペレット燃料の製造システムの設備負担を軽減でき、低コストで木質ペレット燃料10を生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ペレット成形機においてペレットが成形される過程を表す図である。
【図2】本発明の木質ペレット燃料の製造システムのブロック図である。
【図3】本発明の木質ペレット燃料の製造システムのXの概略図である。
【符号の説明】
【0041】
10 木質ペレット
14 原材料
14a 木材
14b 木炭
24 木質ペレット燃料の製造システム
26 原料
28 粉砕機
30 オガ粉
32 ふるい機
36 混合機
38 炭化炉
40 廃熱
42 乾燥機
54 廃熱用ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木炭を含有することを特徴する木質ペレット燃料。
【請求項2】
前記木炭を10重量%含有することを特徴する請求項1記載の木質ペレット燃料。
【請求項3】
木質ペレット用のオガ粉に粉炭を混合することを特徴とする木質ペレット燃料の製造方法。
【請求項4】
木質ペレットの原料を粉砕して得たオガ粉を木質ペレット用のオガ粉と粉炭用のオガ粉に分け、粉炭用のオガ粉を炭化し、その炭化により生成される粉炭を木質ペレット用のオガ粉に混合することを特徴とする請求項3記載の木質ペレット燃料の製造方法。
【請求項5】
木質ペレットの原料を粉砕する粉砕機と、その粉砕機により生成されるオガ粉を木質ペレット用のオガ粉と粉炭用のオガ粉に分けるふるい機と、前記粉炭用のオガ粉と水とを混合する混合機と、その混合機で生成された粉炭用のオガ粉を炭化する炭化炉と、前記木質ペレット用のオガ粉を乾燥する乾燥機と、その乾燥機に前記炭化炉の廃熱を送り出す廃熱用ファンと、前記炭化炉で生成される粉炭と前記乾燥機で生成される木質ペレット用のオガ粉とを材料とする木質ペレットを成形するペレット成形機とを備えることを特徴する木質ペレット燃料の製造システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−303305(P2008−303305A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152169(P2007−152169)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(507188038)有限会社北西ファーム (1)
【Fターム(参考)】