説明

木質床材

【課題】木質無垢床材、厚手の単板を使用した木質複合床材等は、形状変化を起こしやすい。近年、需要は増大しているが、施工に熟練を要するばかりか、施工後にも、住宅の気密化、床暖房器具の設置等の環境で、施工後の補修等が、頻繁に行われている。
【解決手段】
二種類の形状をもつ床材を交互に組み合わせる。形状は、従来のものより、安定しやすく、作りやすい。ビス止め等の、座掘り部分と、その部分を塞ぐ蓋を併せ持ち、施工を簡素化するとともに、再施工、再利用も、可能である。二種類が同一素材、同一寸法である必要は無く、視覚の上等、付加性能を付け加えやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、木質床材が施工時、施工後、また維持管理が必用な時に好適に使用し得る床材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の木質床材としては、図3の示すように、その断面形状が、さね部分とその部分が組み込む窪み部分を合わせ持つ断面形状となり、単一の形状をした床材を連続して組み合わせ施工をしていくが、施工前の固体差、及び、施工後の形状変化等が、となりに連続して設置された床材に影響を及ぼすことにより、床全体に悪影響を及ぼす場合が少なくない。
【0003】
施工後に起こる木質床材の問題の原因としては、施工前段階での、木質床材そのものの、反り、製造誤差、そして含水率の違いから起こる伸縮、等が原因となるほか、施工後、使用時に、季節要因をはじめとする温度差、湿度差、等が大きく影響しているが、住宅の高気密化に伴い、人体が放出する湿気、床暖房器具の設置などから起こる、床材にとっての環境変化の激しさ、床下などから入る、自然界の湿気などが影響しているが、今後、エネルギー問題などからの要請で、住宅の高性能化を求められており、湿度吸引、無公害塗料の要請等、人体にはやさしいが、高気密の環境下での使用に、性能、美観において、よりよく機能する床材が求められている。
【0004】
しかしながら、従来の技術では、本物、健康志向などで求められている、木質無垢床材等では、誤差、施工後の形状変化が激しく、一方、形状変化の少ない、合板などを利用した木質複合床材等では、形状変化を少なくすることにより、表面化粧層の単板は、0.2ミリから0.4ミリ程度のものが主流となり、しかもその上をウレタン系の塗膜で硬化されるものが主流となっている。この場合、初期問題は、発生しにくいが、木質無垢床材等と比較した場合、経年劣化は激しく、また表面単板が薄い為、根本的な補修は出来ないし、本物志向にあっていない等の問題が指摘されている。
【0005】
近年の需要として、健康面、長期使用の要請、リサイクル問題等あげられ、床材の高品質化が求められており、木質無垢床材、もしくは表面単板に、2、3ミリなどのものを用いた、無垢材に近い、木質複合床材などが求められている。しかしながら、従来の技術では、個体差から起こる形状変化、施工後の外的要因からの影響は排除することは出来ない。
【0006】
また、施工時の個体差、季節要因、等もあり、施工に熟練を要する技術となっており、また、さねの受け側の狭い空間に釘止めすることも施工の技術差がでる要因となっている。
【0007】
従来の技術では、図3で示すように、さね部分が必要な為、断面形状はどの木質床材も似通っているが、中心から非対称となっている為、さねの受け側の窪みの上部分などの変形が起こりやすい。また製造過程でも、製造機械の刃物の設定、刃物の磨耗により、断面寸法に誤差がでやすい部分である。そのような問題が、床材としての、性能、施工の難しさを招いており、さね部分が有る為の問題点と言える。
【0008】
比較的、高級とされる、木質無垢床材、もしくは厚い単板を使用した木質複合床材を施工した場合、慎重を期して、施工された場合でも、木質床材の隙、変形等から起こる、部分補修の要請は頻繁に起こっているが、本当の意味での修理は難しく、曖昧なものとなり、紛争の原因となる場合も多い。
【0009】
その上に、最近は床暖房を設置する場合が増えており、通常、床直下に置かれた器具の維持管理は、現状では、木質床材の破壊、張替えを必要とすると推測され、問題視する声も多いが、従来の技術では、釘止め、糊付けのいずれか、または両方が施されており、有効な手立ては見られない。
【0010】
つまり、従来の技術では、健康、本物志向等の需要を満たし、なおかつ、近年、住宅性能の進歩より要望されている性能を満たす木質床材は実現が難しく、製造過程では、資源問題の起きている原料に頼らざるをえなく、持続可能資源の使用等という課題に逆行するものである。また、近年、住宅設備器具の多様化、複雑化、それに平行して、施工業者の責任問題等と絡み、補修、施工のやり直し等も多発しており、最終的には資源の乱用にも結びつく問題に結びついている
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら以上の技術によれば、木質床材に、無機質的性能を持たせる方向に解決を求めており、市場の要請と隔たりが出ている。また、複合基材に変形しにくい高密度の熱帯雨林素材を使った合板が主流であり、今後の環境問題、循環型社会の形成問題等を考えると素材性能に頼ることは出来ない。MDFなどの木質素材を固めたボード類等も、一部、使用されているが、破壊性能、温かみ、ホルマリン量等の欠点も多く、床材においては、普及していない。
近年、木質無垢床材等の素材感があるものが、好まれているが、上述の通り、素材感が増すほど、結果として、伸縮、反り、割れ、等の問題は起きやすい。厚い単板を化粧層に用いた複合床材でも、割れ、湾曲の問題は頻繁に起こっており、特に、床暖房用の床材を開発する上での、解決のしにくい難問となっている。
そこで、この発明は、施工後に問題がでやすいが、需要が増大している、木質無垢床材などに代表される、組み合わせ施工の行われる木質床材において、どのような素材に対しても、応用が効き、誰でも美しく張れ、必要時に取り外し、再度、施工ができる木質床材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するために、第一発明は、図1が示すように、木質床材の断面形状が、通常、一種類のところ、押さえ形状と受け形状の二種類から成り、そのうちの、押さえ形状の床材を床下地と固定する、ことを特徴とする木質複合床材である。
尚、施工方法は、状況により、接着剤、受け金物、針釘等の使用が可能であり、いずれも、押さえ形状のみを固定しても、床材本来の性能は発揮でき、必要時に、再施工をしても、全量、もしくは、半分以上の数量の床材、を再利用することが出来る。
また、第二発明は、図1で示すように、押さえ形状の床材の所定の位置に、上方向から見て円形の形をした座掘りを設けることにより、その座堀内に上方向から、ビス止めすること、そして、ビス止め後に、座堀部分を塞ぐ蓋部品を用意することを特徴とする木質複合床材である。
【発明の効果】
【0013】
第一発明により、まず、図1で示すように、押さえ形状と受け形状の二種類の床材を、どちらも左右対称形としてつくれる、この形状は、安定度が高まり、製造過程においても、断面加工形状が簡単になることで、誤差を少なくできる為、安定した木質床材が提供できる。
安定度が高まる為、無垢床材、複合床材ともに有効であり、原料である、木質素材そのものの選定における許容範囲も広くなる。
また、押さえ形状は、受け形状と比較して、必ずしも、同一寸法、同一素材である必要は無い。従って、従来、問題が起こりやすいとされた、植林材、国産針葉樹、などを受け形状に使用し、押さえ形状に硬質の素材を用いる、押さえ形状の幅を狭くする、色の違う素材を選ぶ、等、様々な需要を満たすことが出来、発展性も見込める。
第二発明は、上方向からみて、座堀加工を施し、その結果、設けられた、丸い穴部分を塞ぐ蓋部品を持つことにより、ビス止め作業を、美観を気にせず行える。また、蓋部品は、装飾的要素を持たせることもでき、木質に限らず、蛍光素材等の使用も有用であると考えられる。
総合的に考え、より安定した木質床材を、簡単に施工出来、再施工、再使用が出来、最終的には、性能の価値観が多様な床材において、製造業者、施工業者、消費者がともに利点を認識出来、最終的には資源の長期使用、再利用に結びつく効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明の一実施形態を、図1に示す。
押さえ形状1と受け形状2の二種類の断面形状を持つ木質床材を交互に連続して、組み合わせる。これらの素材としては、木質無垢材、複合素材、いずれも使用できる。
押さえ形状を、床下地もしくは、根太部分に、ビス止め施工する為の座堀部分とその部分を施工後に塞ぐ、蓋を併せ持つ。
【0015】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、上述のように、形状変化が起こりにくい断面形状の床材を、押さえ部分のみを上部より、強固に、床下部分に接合することで、対となる二種類の形状の床材が固定できる。
【0016】
従来のさね部分を持つ床材では、個体差は連続して、床面に影響を及ぼすが、この発明においては、受け部分は、隣接する押さえ部分にて、そのさらに隣の受け部分とは、縁が切れている。従って、床面全体に変形を及ぼすことがない。また、その性能を上げる為に
、押さえ部分の、強度を上げる、形状変化を抑える等と、有効な手段を、要望により、提供しやすい。
【0017】
施工時に、熟練技術が必要とされず、上述のように、部分補修、再施工が容易に出来る。床下の維持管理の為等が想定されるが、床全体に隙が多い場合などでも、全体に締める目的の再施工等、従来では、大きな問題となり、高級床材等における紛争原因の解決につながる効果をもたらす。
【0018】
上述のように、押さえ形状は、素材、形状寸法等、に多様性が持たせられる。寸法、色、等に視覚的効果を持たせることもでき、また、その表面部内に、座掘りの蓋部分も含め、蛍光体を取り入れたりする等の、付加価値性能をつけやすい。
【0019】
「他の実施形態」
図1の実施形態では、施工方法として、ビス止めを想定しているが、他の実施形態では、接着剤、針釘等にて施工する場合、座掘り部分が無く、図2で示すように、その部分を塞ぐ蓋の無い、押さえ形状をしたものでも良い。
【0020】
「他の実施形態の効果」
図2の実施形態によれば、何らかの理由により、ビス止めがしにくい場合の形態を示している。この場合も、押さえ形状のみを固定するという発明は有効であり、施工の簡素化において劣ることは無い。また、再利用される場合、少なくとも、受け形状部分は再利用可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
各効果でも説明したように、今後の資源問題、持続可能な資源の有効利用に利用できる発明であり、また現代人の本物志向、健康志向と、施工の実現性における問題を解決出来る。住宅の維持、補修にも有用であり、高齢化社会等を考えた場合、床材に付加性能を付け加えやすい発明である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態を示す床材断面図である。
【図2】この発明の他の実施形態を示す床材断面図である。
【図3】従来技術を示す床材断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 押さえ形状床材断面図
2 受け形状床材断面図
3 座掘り穴部分
4 ビス等
5 座掘部分の蓋
6 押さえ形状平面図
7 受け形状平面図
8 受け形状平面図
9 受け形状立面図
10針釘が使用された場合の想定位置
11接着剤が使用された場合の想定位置
12座掘りの無い押さえ形状平面図
13座掘りの無い押さえ形状立面図
14従来の木質無垢床材、もしくは木質複合床材の形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押さえ形状と受け形状の二種類の断面形状を持つ木質床材を交互に組み合わせることにより成ることを特徴とする木質床材。
【請求項2】
請求の範囲代1項に記載の木質床材であって、押さえ形状である、一種類はあらかじめ、ビス止め施工等の為の、座堀加工、及び、施工後にその穴部分を塞ぐ、蓋部品を併せ持つことから成る木質床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−239343(P2007−239343A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64340(P2006−64340)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(592079930)大利木材株式会社 (4)
【Fターム(参考)】