説明

木質材料ボードを仕上げ加工するための方法および装置

少なくとも1つの上面および/または底面に装飾を有する木質材料ボード(2)を仕上げ加工するための方法であって、以下の段階、すなわち、
(a)木質材料ボード(2)の上面および底面を洗浄すること、
(b)コランダム粒子を含む第1の上方の樹脂層を木質材料ボード(2)の上面に、第1の下方の樹脂層を底面に付着させること、
(c)第1の上方の樹脂層および第1の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、
(d)セルロースを含む第2の上方の樹脂層を木質材料ボード(2)の上面に、および第2の下方の樹脂層を底面に付着させること、
(e)第2の上方の樹脂層および第2の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、
(f)ガラス粒子を含む少なくとも第3の上方の樹脂層を木質材料ボード(2)の上面に、および少なくとも第3の下方の樹脂層を底面に付着させること、
(g)第3の上方の樹脂層および第3の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、および
(h)多層構造を圧力の影響および温度の影響下で圧縮すること、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの上面および/または底面に装飾を有する木質材料ボードを仕上げ加工するための方法に関する。
【0002】
このような木質材料ボードは広く普及されており、多くの種々の領域で用いられる。特に大きな使用範囲は、フロアパネルとしての使用である。特にこの使用の場合に、装飾を備えた木質材料ボードは、特に通過による非常な負荷に晒されている。木質材料ボードがこれらの負荷に耐えねばならないためには、装飾層が、保護層によって覆われねばならない。この保護層は、通常、合成樹脂、例えばメラミン樹脂からなる。合成樹脂には、種々の添加剤が混合されている。木質材料ボード上に付着された種々の層によって、木質材料ボードのたわみをもたらすことになる引張り応力が生じる。従って、質材料ボードの上面のみならず底面も被覆されねばならない。その目的は、これらの力を、両面に均等に発生させ、かつ、かくしてたわみを回避させるためである。
【背景技術】
【0003】
木質材料ボードへの合成樹脂層の塗布は、多様な方法でなされることができる。例えば、粒質または粉末としての合成樹脂を、木質材料ボードの、被覆される面に付着させ、かつ、必要な場合には、準備された添加剤を散布することは、知られている。圧力および温度の影響下での最終的な圧縮の最中に、塗布された粉末が溶けて、均一な層を形成する。この方法では、木質材料ボードの両面被覆は、当然ながら、不可能である。何故ならば、上に撒かれた粉末は、木質材料ボードの上面のみにあって、圧縮中にはじめて、上面と結合されるからである。
【0004】
特許文献1からは、メラミン樹脂からなる保護層を、木質材料ボードの上面の装飾へ付着させることは公知である。同時に、木質材料ボードの底面に、同様に、メラミン樹脂からなる保護層を付着させることが意図されている。この場合、付着された樹脂層は、圧縮中に、溶け、かくして、装飾を閉じ込めることが意図される。
【0005】
特許文献2では、液状樹脂の使用が記載されている。この液状樹脂は、木質材料ボードの上面および底面に付着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 1 454 763 A2
【特許文献2】EP 2 098 304 A2
【発明の概要】
【0007】
この課題の提示を出発点として、木質材料ボードを仕上げ加工するための上記の方法を改善することが意図される。
【0008】
上記課題の解決は、以下の段階を、すなわち、
(a)木質材料ボードの上面および底面を洗浄すること、
(b)コランダム粒子を含む第1の上方の樹脂層を木質材料ボードの上面に、第1の下方の樹脂層を底面に付着させること、
(c)第1の上方の樹脂層および第1の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、
(d)セルロースを含む第2の上方の樹脂層を木質材料ボードの上面に、および第2の下方の樹脂層を底面に付着させること、
(e)第2の上方の樹脂層および第2の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、
(f)ガラス粒子を含む少なくとも第3の上方の樹脂層を木質材料ボードの上面に、および少なくとも第3の下方の樹脂層を底面に付着させること、
(g)前記第3の上方の樹脂層および第3の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、および
(h)多層構造を圧力の影響および温度の影響下で圧縮すること、を有する、本発明に係わる方法によって、改善することが意図される。
【0009】
第1の工程段階で木質材料ボードの上面および底面を洗浄することによって、貯蔵中にまたは前の生産段階中に木質材料ボードの当該の箇所に堆積した埃または他の汚れを確実に除去する。このことは、付着される非常に薄い樹脂層が、非常に均一に上面に付着され、かつ、これらの層に凹凸または内包物が生じないようにするためには、重要である。
【0010】
第1の上方の樹脂層にあるコランダム粒子によって、この層の耐摩耗性が増大される。このことは、特にフロアパネルとしての使用の際には、最重要である。その目的は、フロアパネルが晒されている既述の負荷に耐えることができるようにするためである。この場合、コランダムは、例えば、異なった粒度の通常のシラン化されたコランダムからなる混合物として存在し、樹脂に容易に添加されることができる。木質材料ボードの底面に、第1の下方の樹脂層が付着される。このことによって、第1の下方の樹脂層によって木質材料ボードに作用する引っ張り力が釣り合わされる。第1の下方の樹脂層は、特に着色されていてもよい。2つの樹脂層には、添加剤、例えば、硬化剤、濡れ剤または剥離剤が添加されていてもよい。続いて、第1の上方の樹脂層および第1の下方の樹脂層が乾燥される。その目的は、次の樹脂層のきれいな付着を保証するためである。乾燥は、例えば熱風によってなされる。樹脂が乾燥され、メラミン樹脂の化学的な架橋結合反応が停止される。この場合、塗料から水分が除去され、塗料は、約3%ないし6%の残留含水率に調整される。付着された残りの樹脂層も、その都度の乾燥の最中に、この残留含水率へもたらされる。
【0011】
第2の上方の樹脂層にあるセルロースは、市販の繊維の形態で存在する。これらの繊維を、同様に、付着される樹脂層に添加することができる。第3の上方の樹脂層に入れられたガラスは、市販の微小ガラス球として存在する。微小ガラス球も容易に貯蔵されることができ、付着される樹脂層に入れられることができる。木質材料ボードの底面に付着された樹脂層は、着色されていてもよい。すべての樹脂層に、硬化剤、濡れ剤または剥離剤のような添加剤を添加することができる。
【0012】
3%ないし6%の残留含水率の乾燥によって、付着される樹脂層の架橋結合工程が中断される。圧力および温度の影響下での最終的な圧縮の最中に、樹脂層が再度溶け、架橋結合工程が継続する。このことによって、個々の樹脂層を、単独でのみならず互いに架橋結合させ、かつかくして圧縮して、大きなラミネートを形成することが保証される。通常の短サイクルプレスは、例えば30ないし60kg/cmの圧力で、約165℃の木質材料ボードの温度で、かつ6ないし12秒の圧縮時間で作業する。この場合、付着されたメラミン樹脂層は、装飾を内包しつつ、架橋結合される。パターン形成された圧縮プレートが使用されるとき、装飾に加えて、樹脂層にパターンがエンボス加工される。パターンが、装飾と著しく同一に形成されていてもよい。この場合、レジスタのエンボス加工のパターンについて記述される。
【0013】
第3の上方の樹脂層が、20%のガラス粒子の割合を含むことは好ましい。第2の上方の樹脂層に関して、約5%のセルロースが好都合であることが明らかになった。第1の上方の樹脂層は、特に20%のコランダム粒子を含む。
【0014】
上方の樹脂層および下方の樹脂層を、20ないし50g/mの量で塗布することは好都合である。上面および底面に夫々付着されたメラミン樹脂層が同量で塗布されることによって、付着された層によって乾燥中に生じる複数の引張り力が互いに相殺されることが、同時に保証される。従って、木質材料ボードの底面に付着された対向層(Gegenzug)は、多層構造の点でおよび層の各々の厚さの点で、上面に付着された層順序に正確に対応している。20ないし50g/mの、このわずかな塗布量によって、同時に保証されるのは、特に木質材料ボードの底面に、たるみが生じないことである。
【0015】
上方の樹脂層および下方の樹脂層は、60%の合成樹脂溶液を含むことができる。
【0016】
仕上げ加工される木質材料ボードの装飾の下方には、プライマーおよび下塗りが塗布されていてもよい。装飾は、この下塗りにプリントされ、カバーで被覆された。この代わりに、装飾が、貼り合わされた装飾用紙層の形で、木質材料ボードに付着されていてもよい。
【0017】
木質材料ボードを仕上げ加工するための装置であって、木質材料ボードの少なくとも1つの上面および/または少なくとも1つの底面は、装飾を有し、本発明では、(a)第1の両面塗布装置と、
(b)この第1の両面塗布装置の加工方向後方に設けられた第1の乾燥装置と、
(c)この第1の乾燥装置の加工方向後方に設けられた第2の両面塗布装置と、
(d)この第2の両面塗布装置の加工方向後方に設けられた第2の乾燥装置と、
(e)この第2の乾燥装置の加工方向後方に設けられた少なくとも1つの第3の面塗布装置と、
(f)少なくとも1つの第3の両面塗布装置の加工方向に後方に設けられた少なくとも1つの第3の乾燥装置と、
(g)短サイクルプレスと、を具備し、
各々の両面塗布装置は、樹脂層を木質材料ボードの上面に塗布するための上方の塗布装置と、樹脂層を木質材料ボードの底面に塗布するための下方の塗布装置とを有し、各々の上方の塗布装置および各々の下方の塗布装置は、夫々、1つの混合容器を有し、この混合容器の中で、その都度付着される樹脂は、少なくとも1つの添加剤と混合可能である。
【0018】
装飾を備えた、仕上げ加工される木質材料ボードが、このような装置へ入れられる。少なくとも3つの両面塗布装置では、木質材料ボードの上面および底面が、同時に、樹脂層で被覆される。このことは、生産時間を短縮し、従って、製造コストを下げる。両面塗布装置に後置された乾燥装置には、たった今被覆された木質材料ボードが、所望の残留含水率に、例えば熱風によって乾燥される。かような両面塗布装置によって、夫々に第1の樹脂層の付着が迅速に可能となり、付着される樹脂層の架橋結合工程は、早期に中断される。樹脂層を乾燥させるための、被覆された木質材料ボードの中間貯蔵、または、他側を被覆するための、木質材料ボードの転向は、もはや不要である。
【0019】
各々の上方の塗布装置および各々の下方の塗布装置が、1つの混合容器を有し、この混合容器の中で、その都度付着される樹脂は、望ましい添加剤と混合可能であることによって、種々の製品要求の間で、例えば、所望の耐磨耗クラスの間で、特に迅速にあれこれ調整を行なうことが可能である。多量の異なった樹脂・添加剤・混合物の、時間のかかる変更または貯蔵が、省略される。このことによって、保持される材料の量のみならず、設備の空間所要量も著しく減少される。同時に、種々の製品特性、例えば表面平滑性、耐酸性または耐摩耗性の適合が、即座にかつ簡単になされることができる。更に、高反応性の樹脂混合物の使用も可能である。何故ならば、被覆された木質材料ボードの中間貯蔵がもはや必要でなく、連続的な加工がなされるからである。このことによって、短サイクルプレスのサイクル時間も著しく短縮される。このことによって、再度、製造コストが下げられる。
【0020】
本発明に係わる装置が、複数の貯蔵容器を有する貯蔵マガジンと、複数の供給ラインとを具備することは好ましい。これらの貯蔵容器の中で、付着される樹脂および添加剤は、夫々別々に、貯蔵可能であり、供給ラインは、貯蔵容器から混合物容器へ延びている。このことによって、樹脂および添加剤は、別々に、混合容器に運ばれ、そこではじめて、混合されて、塗布される所望の樹脂層を形成する。
【0021】
装置は、特に、供給ラインを通って混合容器に運ばれる樹脂および添加剤の量を制御するために設置されている制御装置を有することが可能である。従って、種々の製品特性および塗布量または添加剤の自動的な適合が可能である。
【0022】
この場合、各々の上方の塗布装置および各々の下方の塗布装置は、塗布圧延機構であってもよい。このことによって、一定のおよび細かく調整可能な層厚が保証される。更に、かようにして、付着される層が非常に均一に付着される。
【0023】
混合容器の中味を各々の上方の塗布装置および下方の塗布装置へ送り込むために、ぜん動ポンプが設けられていてもよい。このことによって、装置の寿命は、隔膜ポンプが使用される場合と比較して、最大20倍増大する。更に、ぜん動ポンプのチューブを、必要な場合に、急速交換システムによって、簡単かつ急速に交換することができる。このことによって、メンテナンス時間および修理時間を著しく減じることができる。
【0024】
各々の両面塗布装置の手前には、木質材料ボードのための少なくとも1つの押さえ手段が設けられていることができることは好ましい。このことによって、必要な場合には、木質材料ボードの、生産中に生じる変形が、除去され、被覆される木質材料ボードが、各々の両面塗布装置に正確にかつ再現可能に供給されることができる。
【0025】
装置の内部で木質材料ボードを搬送するために、尖形継目板コンベヤチェーンの形態をとる尖形バーコンベアが用いられる。尖形バーコンベア自体は、丈夫かつ信頼性が高くて、被覆した木質材料ボードの上面の品質を保証する。尖形継目板を、洗浄ブラシによって、自動的に洗浄することができる。
【0026】
両面塗布装置からコンベヤチェーンへのまたはその逆への木質材料ボードの引渡しは、この場合、滑車によってなされる。両面塗布装置または乾燥装置に入るや否や、更に、滑車の形態の既述の押さえ手段が用いられる。
【0027】
更に、木質材料ボードを仕上げ加工するための装置は、全体の層厚および機能性添加剤の数および役割を高めるために用いる他の両面塗布装置を有することができる。従って、上位の使用クラスに指定されることができる製品も製造される。同様なことは、3つより多い樹脂層を、被覆される木質材料ボードの上面および底面に付着させることができる、本発明に係わる方法に、当てはまる。
【0028】
ここに記載した装置を制御するためには、電気的な、特にコンピュータ支援の制御が用いられるとき、付着される樹脂層の高い再現可能性を達成することが可能である。何故ならば、樹脂および添加剤の混合割合のみならず、例えば乾燥装置および短サイクルプレスの温度制御手段も、自動的に制御されることができる。このことによって、かくて製造された製品の高い品質標準が達成可能である。更に、例えば、種々の下塗り層および装飾層の付着によって、生じることができる、被覆される木質材料ボードの種々の湾曲状態を、上面および/または底面における塗布量の制御によって、自動的に埋め合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係わる実施の形態の略平面図を示す。
【図2】両面塗布装置の略平面図を示す。
【図3】図2に示す線A−Aに沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を参照して、本発明に係わる装置の1つの実施の形態を詳述する。図1は、本発明に係わる装置の略平面図を示す。仕上げ加工される木質材料ボード2は、図1では、右上から、装置へ入れられる。まず、洗浄装置4の中で、木質材料ボード2の上面および底面が洗浄される。続いて、木質材料ボード2は、第1の両面塗布装置6に供給される。第1の両面塗布装置6は、上方の塗布装置8と、下方の塗布装置10とを有する。両者は、図示した実施の形態では、塗布圧延機構(Auftragswalzwerke)として設計されている。このような塗布圧延機構には、被覆される木質材料ボードの上面および底面に、樹脂層が付着されている。
【0031】
木質材料ボード2は、第1の両面塗布装置6を通過した後に、第1の乾燥装置12に達する。ここでは、第1の両面塗布装置6の中で付着された樹脂層が、3%ないし6%の残留含水率に乾燥される。
【0032】
第2の両面塗布装置および第2の乾燥装置は、スペース上のおよび明瞭さの理由から、図1には図示されていない。両者は、図1では小さな矢印によって示されている加工方向Vで、第1の乾燥装置12に続いている。
【0033】
図1には、加工方向Vに、第3の両面塗布装置14が続く。この両面塗布装置は、第1の両面塗布装置6と同一に設計されている。木質材料ボード2が、第3の両面塗布装置14を通過した後に、第3の乾燥装置16では、第3の両面塗布装置14において付着された樹脂層が、3%ないし6%の残留含水率に乾燥される。続いて、木質材料ボードは、図1ではただ四角としてのみ示されており、かつ中間スタック18と、短サイクルプレス20の形態の圧縮手段と、品質管理装置22とからなる加工ステーションを通過する。
【0034】
第1の両面塗布装置6のみならず、第2の両面塗布装置14も、夫々、2つの混合容器24を有する。これらの混合容器のうち、夫々一つは、上方の塗布装置8に割り当てられており、夫々1つは、下方の塗布装置10に割り当てられている。これらの混合容器24の中では、各々の塗布装置8,10の中で付着される樹脂が、所望の添加剤と混合される。
【0035】
これらの添加剤は、貯蔵マガジン26の種々の貯蔵容器28の中で別々に貯蔵されている。これらの貯蔵容器28の各々は、供給ライン30を介して、混合容器24に接続されている。これらの供給ライン30を介して、所望の添加剤が、混合容器24へ運ばれる。個々の添加剤の量は、図1では、電気制御装置32によって制御される。この電気制御装置は、制御ライン34を介して、貯蔵マガジン26および混合容器24に接続されている。このことによって、付着された樹脂層の高い品質標準および大きな再現性が得られる。
【0036】
図1では、第1の両面塗布装置6のみならず、第3の両面塗布装置14も、レール36上に載っている。同様なことが、図示しないすべての両面塗布装置に当てはまる。かくして、両面塗布装置を、メンテナンスまたは修理のために、あるいは、両面塗布装置が所望の層構造のために不要であるとき、生産ラインから外に容易に移動し、その後に、再度元に戻すことができる。
【0037】
図2は、図1に図示した両面塗布装置6,14の略平面図を示す。木質材料ボード2は、加工方向Vに、両面塗布装置6,14に供給される。図示した両面塗布装置6,14は、上方の塗布装置8を有する。この塗布装置は、図2では、塗布圧延機構として設計されている。同様なことが、図1に既に示したようには、図2に示されていない下方の塗布装置10にも当てはまる。図2の両面塗布装置6,14は、2つの混合容器24を有する。これらの混合容器のうち、右の混合容器が、上方の塗布装置8に割り当てられている。この混合容器の中で、上方の塗布装置8にとって望ましい樹脂・添加剤・混合物が、撹拌装置8によって製造される。図示しない供給ラインを通って、この混合物のための添加剤が、図1の貯蔵マガジン26の貯蔵容器28から、混合容器24に供給される。この場合、混合物の充填レベルのみならず温度も、センサ40によって検知される。右側の混合容器24内で混合される材料は、ぜん動ポンプ42によって、材料供給ライン44を介して、上方の塗布装置8に供給される。
【0038】
図3は、図2の線A−Aに沿った断面図を示す。上方の塗布装置8および下方の塗布装置10は、夫々、塗布圧延機構として設計されており、塗布圧延機構は、夫々、塗布ロール46および計量ロール48を有する。図3では図2のように端に矢印を有する材料供給ライン44に沿って、混合容器24の中で混合された塗布される材料が、塗布ロール46と計量ロール48との間に入れられる。塗布ロール48によって、この材料は、挿入された木質材料ボード2の上面および底面に塗布される。木質材料ボード2の搬送は、図示した両面塗布装置6,14の前方のみならず、両面塗布装置の後方でも、いわゆる尖形バーコンベア(Spitzlaschentransporteinrichtung)50によって、なされる。この手段50が、木質材料ボード2との、非常に僅かなかつ非常に狭い面積の接触点のみを有することによって、既に被覆した木質材料ボードの良好な搬出が保証される。個々の尖形継目板52が、自動式の洗浄ブラシ54によって洗浄される。
【0039】
塗布装置6,14への木質材料ボード2の再現可能なかつ正確な供給を保証するために、各々の塗布装置8,10の前方および後方に、押さえ手段58が設けられていてもよい。
【0040】
かくして。層を、木質材料ボード2の上面および底面に、再現可能にかつ正確に付着させることができることが保証される。
【0041】
図1ないし3に示されない他の両面塗布装置も、同一の構造で設計されている。図1に示したレール38によって、両面塗布装置を、容易にかつ大きな努力なしに、生産ラインに入れ、かつ生産ラインから出すことができる。このことによっても、装置の、他の多層構造を有する木質材料ボード2の仕上げ加工への、容易かつ迅速な変換が可能である。
【符号の説明】
【0042】
2 木質材料ボード
4 洗浄装置
6 第1の両面塗布装置
8 上方の塗布装置
10 下方の塗布装置
12 第1の乾燥装置
14 第3の両面塗布装置
16 第3の乾燥装置
18 中間スタック
20 短サイクルプレス
22 品質制御装置
24 混合要素
26 貯蔵マガジン
28 貯蔵容器
30 供給ライン
32 電気制御装置
34 制御ライン
36 レール
38 撹拌装置
40 センサ
42 ぜん動ポンプ
44 材料供給ライン
46 塗布ロール
48 計量ロール
50 尖形バーコンベア
52 尖形継目板
54 洗浄ブラシ
56 押さえ手段
V 加工方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの上面および/または底面に装飾を有する木質材料ボード(2)を仕上げ加工するための方法であって、以下の段階、すなわち、
(a)前記木質材料ボード(2)の前記上面および前記底面を洗浄すること、
(b)コランダム粒子を含む第1の上方の樹脂層を前記木質材料ボード(2)の前記上面に、第1の下方の樹脂層を前記底面に付着させること、
(c)前記第1の上方の樹脂層および前記第1の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、
(d)セルロースを含む第2の上方の樹脂層を前記木質材料ボード(2)の前記上面に、および第2の下方の樹脂層を前記底面に付着させること、
(e)前記第2の上方の樹脂層および前記第2の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、
(f)ガラス粒子を含む少なくとも第3の上方の樹脂層を前記木質材料ボード(2)の前記上面に、および少なくとも第3の下方の樹脂層を前記底面に付着させること、
(g)前記第3の上方の樹脂層および前記第3の下方の樹脂層を3%ないし6%の残留含水率に乾燥させること、および
(h)多層構造を圧力の影響および温度の影響下で圧縮すること、を有する方法。
【請求項2】
前記第3の上方の樹脂層は、約20%のガラスを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の上方の樹脂層は、約5%のセルロースを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の上方の樹脂層は、約20%のコランダム粒子を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記上方の樹脂層および前記下方の樹脂層を、20ないし50g/mの量で塗布することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記上方の樹脂層および前記下方の樹脂層は、60%の合成樹脂溶液を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記仕上げ加工される木質材料ボード(2)の前記装飾の下方には、プライマーおよび下塗りを塗布し、かつ前記装飾を前記下塗りにプリントし、カバーで被覆したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記装飾を、貼り合わされた装飾用紙層の形で、前記木質材料ボード(2)に付着させたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
木質材料ボード(2)を仕上げ加工するための装置であって、前記木質材料ボード(2)の少なくとも1つの上面および/または少なくとも1つの底面は、装飾を有し、
(a)第1の両面塗布装置(6)と、
(b)この第1の両面塗布装置(6)の加工方向(V)後方に設けられた第1の乾燥装置(12)と、
(c)この第1の乾燥装置(12)の加工方向(V)後方に設けられた第2の両面塗布装置と、
(d)この第2の両面塗布装置の加工方向(V)後方に設けられた第2の乾燥装置と、
(e)この第2の乾燥装置の加工方向(V)後方に設けられた少なくとも1つの第3の両面塗布装置(14)と、
(f)この少なくとも1つの第3の両面塗布装置(14)の加工方向(V)後方に設けられた少なくとも1つの第3の乾燥装置(16)と、
(g)短サイクルプレス(20)と、を具備し、
各々の両面塗布装置は、樹脂層を前記木質材料ボード(2)の前記上面に塗布するための上方の塗布装置(8)と、樹脂層を前記木質材料ボード(2)の前記底面に塗布するための下方の塗布装置(10)とを有し、各々の上方の塗布装置(8)および各々の下方の塗布装置(10)は、夫々、1つの混合容器(24)を有し、この混合容器の中で、その都度付着される樹脂は、少なくとも1つの添加剤と混合可能である。
【請求項10】
複数の貯蔵容器(28)を有する貯蔵マガジン(26)と、複数の供給ライン(30)とを具備し、これらの貯蔵容器の中で、前記付着される樹脂および前記添加剤は、夫々別々に、貯蔵可能であり、前記供給ラインは、前記貯蔵容器(28)から前記混合物容器(24)へ延びていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記供給ライン(30)を通って前記混合容器(24)に運ばれる樹脂および添加剤の量を制御するために設置されている制御装置(32)を有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
各々の上方の塗布装置(8)および各々の下方の塗布装置(10)は、塗布圧延機構であることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記混合容器(24)の中味を前記各々の上方の塗布装置(8)および下方の塗布装置(10)へ送り込むぜん動ポンプ(42)を有することを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
各々の両面塗布装置の手前で、前記前記木質材料ボード(2)のための少なくとも1つの押さえ手段(56)が設けられていることを特徴とする請求項9ないし13のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−510393(P2012−510393A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546725(P2011−546725)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006146
【国際公開番号】WO2011/076305
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(509091387)フローリング・テクノロジーズ・リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Flooring Technologies Ltd.
【住所又は居所原語表記】Portico Building, Marina Street, Pieta MSD 08, MALTA
【Fターム(参考)】