説明

未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法及び整列箱詰め装置

【課題】未加硫ゴムチューブを簡単な動きで容易にしかも綺麗な整列状態で箱の内部に自動的に収容することのできる未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法を提供する。
【解決手段】(イ)コンベア10にて次々と搬送されて来る所定長さの未加硫ゴムチューブ12を受取部材14で受け取って支持する受取工程と、(ロ)その後に受取部材14を未加硫ゴムチューブ12の自然落下速度よりも高速度で下降移動させ且つ未加硫ゴムチューブ12の下方位置から退避させることで未加硫ゴムチューブ12を自重により下方の箱32の内部に自然落下させる箱入れ工程と、(ハ)箱32を未加硫ゴムチューブ12の長手方向と直角方向に刻み送りする箱送り工程と、を順に繰返し行うことで箱32の内部に未加硫ゴムチューブ12を順次に収容し整列状態に箱詰めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定寸法の未加硫ゴムチューブを整列状態で箱詰めする整列箱詰め方法及びこれに用いる整列箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホース製造に際して所定寸法の未加硫ゴムチューブを複数本揃えて箱詰めすることが行われている。
箱詰めされた未加硫ゴムチューブはその後所定時間の放置後に、加硫工程で加硫処理されてホース製品となる。
ここで所定時間の放置は主として加硫後におけるホースの寸法収縮を抑制する意味を有している。
【0003】
この未加硫ゴムチューブの箱詰めに際して、未加硫ゴムチューブを整列状態で箱の内部に収容することが必要である。
その理由は、1つには未加硫ゴムチューブを整列状態で箱詰めすることにより、1つの箱への未加硫ゴムチューブの収容本数、即ち収容率を高めることができるからであり、また他の理由は、未加硫ゴムチューブが整列状態で箱詰めされていない場合、例えば各未加硫ゴムチューブが互いにクロスするような状態で箱詰めされていると、未加硫ゴムチューブは未だ表面が軟らかいものであるために、ホース同士の接触などによって傷が付き易くなるからである。
或いはまた、場合によって未加硫ゴムチューブの一部が箱の上端よりも上側にはみ出していると、箱を重ねたときに箱との接触により未加硫ゴムチューブが傷付いてしまうからである。
【0004】
この未加硫ゴムチューブを整列状態で箱の内部に収容する箱詰め作業は難しい作業であり、従来にあってはこれを作業者が手作業で行わざるを得なかった。
しかしながら未加硫ゴムチューブの箱詰め作業を作業者が手作業により行う場合、ホース生産のために要する人手が必然的に多くなり、また手作業による箱詰め作業がホースの連続生産,全自動化を阻む要因となる。
【0005】
本発明に対する先行技術として、下記特許文献1に長尺ホースを整列落下させる方法及びその装置が開示されている。
このものは、コンベアにて搬送されて来た長尺ホースを圧空噴射部からの圧縮空気によりコンベアから払い出し、これをガイドによるガイド作用でシャッター間のV型溝に落し込み、その後シャッターを開き且つ開閉時期を調整することで、下方のパレットのV型溝に落して整列させるようになしたものであるが、この特許文献1に開示のものはその手法において本発明とは異なっている。
【0006】
他方、特許文献2にはチューブの自動整列箱詰め装置が開示されている。
このものは、歯磨きチューブのチューブ体を整列状態で箱詰めするためのものであって、整列状態で送られて来たチューブ体の内部に管状ロッドを挿し込み、そして管状ロッドの空気吸引口を通じてチューブ体を吸引保持し、その状態で管状ロッドを270°回転させて縦向きとし、待機している収納ボックス内に各チューブ体を縦向きの配列状態で箱詰めするようになしたもので、この特許文献2に開示のものもまた、その対象及び手法において本発明とは異なっている。
【0007】
【特許文献1】特開平6−219550号公報
【特許文献2】実開平4−3901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、未加硫ゴムチューブを簡単な動きで容易にしかも綺麗な整列状態で箱の内部に自動的に収容することのできる未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法及びこれに用いる整列箱詰め装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1は未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法に関するもので、(イ)搬送手段にて次々と搬送されて来る所定長さの未加硫ゴムチューブを受取部材で受け取って支持する受取工程と、(ロ)その後に該受取部材を該未加硫ゴムチューブの自然落下速度よりも高速度で下降移動させて、該受取部材を該未加硫ゴムチューブから離間させるとともに該未加硫ゴムチューブの下方位置から退避させることにより該未加硫ゴムチューブを自重により下方の箱の内部に自然落下させる箱入れ工程と、(ハ)該箱を該未加硫ゴムチューブの長手方向と直角方向に刻み送りする箱送り工程と、を順に繰返し行うことで該箱の内部に前記未加硫ゴムチューブを順次に収容し整列状態に箱詰めすることを特徴とする。
【0010】
請求項2の方法は、請求項1において、前記未加硫ゴムチューブが、長尺の押出成形品を所定寸法ごとに切断した後の扁平円形状をなすものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の方法は、請求項1,2の何れかにおいて、前記箱入れ工程で前記未加硫ゴムチューブを一端側が他端側に対して低くなるように長手方向に傾斜させた状態で自然落下させ、該未加硫ゴムチューブを該一端側を先に前記箱の内部に着地させることを特徴とする。
【0012】
請求項4は未加硫ゴムチューブの整列箱詰め装置に関するもので、(a)搬送手段にて次々と搬送されて来る所定長さの未加硫ゴムチューブを受け取る受取部材と、(b)該受取部材を前記未加硫ゴムチューブの自然落下速度よりも高速度で下降移動させて、該受取部材を該未加硫ゴムチューブから離間させるとともに該未加硫ゴムチューブの下方位置から退避させることにより該未加硫ゴムチューブを自重で前記箱の内部に自然落下させる前記受取部材の下降移動装置と、(c)前記箱を前記未加硫ゴムチューブの長手方向と直角方向に刻み送りする箱送り装置と、を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項5のものは、請求項4において、前記受取部材が、前記未加硫ゴムチューブの前進方向に並列状態に並んで設けられた複数の受取ローラを有するものであり、前記下降移動装置が、無端環状をなして前記受取ローラを保持し、上下に離隔して配置されたスプロケットに巻き掛けられて回動運動するチェーンを有し、該チェーンの該回動運動により前記保持した受取ローラを下降移動させるものであることを特徴とする。
【0014】
請求項6のものは、請求項4,5の何れかにおいて、前記受取部材が、前記未加硫ゴムチューブをその一端側が他端側に対して低くなるように長手方向に傾斜した状態で受取り且つ支持するものとなしてあり、前記下降移動装置が、該受取部材にて該未加硫ゴムチューブを傾斜状態に支持した状態で該受取部材を下降移動させるものとなしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0015】
以上のように本発明の未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法は、搬送手段にて次々と搬送されて来る所定長さの未加硫ゴムチューブを受取部材で受け取って支持する受取工程と、その後に受取部材を高速度で下降移動させて未加硫ゴムチューブを自重により下方の箱の内部に自然落下させる箱入れ工程と、箱を未加硫ゴムチューブの長手方向と直角方向に刻み送りする箱送り工程とを順に繰返し行い、箱の内部に未加硫ゴムチューブを順次に収容し整列状態に箱詰めするもので、この方法によれば、未加硫ゴムチューブを容易に且つ綺麗な整列状態で箱の内部に収容することができる。
【0016】
本発明の方法では、未加硫ゴムチューブを受け取った受取部材を、その後未加硫ゴムチューブの自然落下速度よりも高速度で下降移動させ、これにより未加硫ゴムチューブを下方の箱の内部に自然落下させるが、これは次のような意味を有している。
【0017】
例えば未加硫ゴムチューブを受け取り支持した受取部材を、ゆっくりと下降移動させつつ未加硫ゴムチューブの下方位置から退避させるように回動運動させ、未加硫ゴムチューブを下方の箱の内部に入れる方法も考えられるが、このようにした場合、受取部材で支持された上側の未加硫ゴムチューブが受取部材の回動運動に伴って受取部材上で回転力を受けたり回転方向に傾いたり(未加硫ゴムチューブが真円形状でない場合)してしまい、回転力を維持したまま或いは傾いたままの状態で下方の箱の内部に落されてしまう。
【0018】
従って未加硫ゴムチューブは着地後、即ち箱の内部に落下した後、その落下位置から転がって別の位置へと移動してしまう。
そうすると未加硫ゴムチューブを箱の内部に整列状態で収めることができなくなってしまう。
本発明者は当初そういったやり方を試みたが、上記のような現象が生じることによって未加硫ゴムチューブを綺麗な整列状態で箱詰めすることができなかった。
【0019】
これに対して搬送手段にて搬送されて来た未加硫ゴムチューブを受け取り支持した受取部材を高速で下降移動させて、未加硫ゴムチューブを下方の箱の内部に自然落下させた場合、受取部材上の未加硫ゴムチューブは回転力を受けたり傾いたりすることなく、受取部材にて受け取られたときの姿勢を維持した状態のまま箱の内部に落下する。
従って複数の未加硫ゴムチューブを箱の内部に整列状態で収容することが可能となるのである。
【0020】
本発明の対象としているのは加硫により弾性を付与されていない状態の未加硫ゴムチューブであり、かかる未加硫ゴムチューブは、箱の内部への落下時に即ち着地時に、優れた衝撃吸収能力を有しており、本発明は未加硫ゴムチューブの有するこのような性質を利用して、これを箱の中への落下により整列状態で箱内に収容して行くものである。
【0021】
かかる本発明によれば、単に受取部材で未加硫ゴムチューブを受けた後、これを高速下降移動させるとともに、箱を刻み送りするだけで、簡単に未加硫ゴムチューブを箱の内部に整列状態で箱詰めすることができる。
【0022】
またこの方法によれば、作業者の手作業によらないで機械的且つ自動的に未加硫ゴムチューブの箱詰め作業を行うことが可能となり、連続したホース生産の完全自動化を実現することができ、またホース生産に要する人手作業を少なくすることができる。
【0023】
本発明は、断面がほぼ真円形状をなす未加硫ゴムチューブの箱詰め方法としても適用可能なものであるが、特に長尺の押出成形品を所定寸法ごとに切断した後の、扁平円形状をなす未加硫ゴムチューブの箱詰め方法に適用して特に好適なものである(請求項2)。
未加硫ゴムチューブは、その切断に到るまでの工程の中で引取り機による長尺の押出成形品の引取りの際などに扁平円形状化する(引取り機は長尺の押出成形品を上下で挟みながら引取動作する)。
【0024】
こうした扁平円形状化した未加硫ゴムチューブの場合、これを受取部材上から下方の箱の中に自然落下させたとき、真円形状の未加硫ゴムチューブに比べて、落下時により移動し難く(落下による衝撃で他の位置へとより移動し難い)、真円形状のものに比べてより良好に未加硫ゴムチューブを箱の内部に整列収納して行くことができる。
【0025】
本発明では、未加硫ゴムチューブを水平姿勢に維持したまま、下方の箱の内部に自然落下させるようになしても良いが、請求項3に従って上記の箱入れ工程で未加硫ゴムチューブを、一端側が他端側に対して低くなるように長手方向に傾斜させた状態で自然落下させ、未加硫ゴムチューブをその一端側を先に箱の内部に着地させるようになすのが好適である。
未加硫ゴムチューブは、箱の内部に落下させたときに衝撃吸収能力を有するとは言っても衝撃を完全には吸収できず、落下による衝撃で多少転がり運動したり位置移動してしまう恐れを有している。
【0026】
これに対して、請求項3に従い未加硫ゴムチューブの一端側を先に箱に着地させるようになした場合、未加硫ゴム全体を同時に着地させた場合に比べて、落下時即ち着地時の衝撃がより効果的に吸収され、着地位置にとどまって落下後に(着地後に)箱の内部で他の場所へと移動してしまうことがない。
従って箱を刻み送りしながら一端側を先に箱に着地させるように未加硫ゴムチューブ次々と箱の中に落下させることで、複数の未加硫ゴムチューブを箱の内部に更に良好な整列状態で収容することが可能となるのである。
【0027】
次に請求項4は未加硫ゴムチューブの整列箱詰め装置に関するもので、ここでは未加硫ゴムチューブを受け取る受取部材と、これを高速度で下降移動させて、未加硫ゴムチューブを自重で箱の内部に自然落下させる受取部材の下降移動装置と、箱を未加硫ゴムチューブの長手方向と直角方向に刻み送りする箱送り装置とを備えて整列箱詰め装置を構成している。
【0028】
この請求項4の整列箱詰め装置を用いることで、請求項1の未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法を好適に実施することができる。
この場合において、上記受取部材を、未加硫ゴムチューブの前進方向に並列状態に並んで設けられた複数の受取ローラを有するものとなし、また上記下降移動装置を、無端環状をなして受取ローラを保持するチェーンを有し、そのチェーンの回動運動により保持した受取ローラを下降移動させるものとなしておくことができる(請求項5)。
【0029】
このようにすれば、単にチェーンを高速回動運動させるだけで、受取ローラを高速下降移動及び未加硫ゴムチューブの下方から退避運動させることができ、受取ローラにて受取り且つ支持した未加硫ゴムチューブを、容易に下方の箱の中に自然落下させ、その繰返しによって未加硫ゴムチューブを箱の中に整列状態で収容して行くことができる。
また受取部材が複数の受取ローラを有するものとなしておくことで、搬送手段にて送られて来た未加硫ゴムチューブをそのまま受取ローラ上に前進移動させて、これを受取ローラにて受取り支持した状態とすることができる。
【0030】
次に請求項6は、受取部材を、未加硫ゴムチューブを一端側が他端側に対して低くなるように長手方向に傾斜した状態で受取り且つ支持するものとなし、上記下降移動装置を、受取部材にて未加硫ゴムチューブを傾斜状態に支持した状態で下降移動させるものとなしたもので、この請求項6の装置によれば、請求項3の整列箱詰め方法を好適に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本実施形態の未加硫ゴムチューブの整列箱詰め装置を示したもので、図中10はコンベア(ベルトコンベア)であり、12はコンベア10にて図中右方向に次々と運ばれて来る未加硫ゴムチューブである。
未加硫ゴムチューブ12は、長尺の押出成形品が前工程で所定寸法ごとに切断されたもので、その前工程で長尺の押出成形品を引取り機で引き取る際に、その引取り機により上下で挟まれることによって断面形状が扁平円形状化している。
【0032】
14は、コンベア10にて次々と送られて来る未加硫ゴムチューブ12を受取り且つ支持する受取部材で、コンベア10の前方で縦向き(上下向き)に配置されたプレート16と、そのプレート16の板面からその直角方向である水平方向に突き出した多数の受取ローラ18とを有している。
ここで多数の受取ローラ18は、図中左端から右端にかけて一定ピッチで一直線状をなすように並列状態に、且つ左端から右端にかけて図中右下がりとなるように斜めに傾斜した状態に配列されている。
【0033】
この受取部材14は、コンベア10にて送られて来る未加硫ゴムチューブ12を受け取って支持するもので、従って多数の受取ローラ18上に受け取られた未加硫ゴムチューブ12は、その状態で進行方向の前端側が後端側に対して低くなるように長手方向に傾斜した状態で支持される。
この実施形態では、その傾斜の角度は10°(水平方向に対して10°)とされている。
【0034】
20は無端環状を成し、上下に離隔して配置された駆動側のスプロケット22と、従動側のスプロケット24とに巻き掛けられ、それらスプロケット22,24の回転により回動運動するチェーンで、このチェーン20に対し一対の受取部材14が、詳しくは受取部材14におけるプレート16が固定され、これにより一対の受取部材14がチェーン20の回動運動と一体に移動する状態にチェーン20に保持されている。
【0035】
26は駆動側のスプロケット22に作動的に連結された駆動モータで、スプロケット22,24はこの駆動モータ26にて回転駆動される。即ちチェーン20が駆動モータ26により回動運動させられる。
【0036】
尚28-1,28-2は吊持部材30により吊持される状態に設けられたストッパプレートである。これらストッパプレート28-1,28-2は、受取ローラ18上を図中右方向に前進移動する未加硫ゴムチューブ12の先端を当接させて移動停止させるもので、これらストッパプレート28-1,28-2にて未加硫ゴムチューブ12の長手方向の位置が定められる。
一方のストッパプレート28-1は短尺の未加硫ゴムチューブ12を箱詰めする際に用いられるもので、他方のストッパプレート28-2は長尺の未加硫ゴムチューブ12を箱詰めする際に用いられるものである。
【0037】
32は、コンベア10の前方且つ下方に配置され未加硫ゴムチューブ12を収容する箱で、34は箱32を支持し、箱32を刻み送りする箱送りプレートである。
この実施形態では、箱32に未加硫ゴムチューブ12を箱詰めする際に、箱送りプレート34が箱32を一定ピッチごと刻み送りする。
この実施形態では箱送りプレート34及びこれを駆動する駆動源にて箱送り装置が構成されている。
【0038】
また上記スプロケット22,24,チェーン20,駆動モータ26に連結された出力軸36及び駆動側,従動側の各回転体38,40にて未加硫ゴムチューブ12を受け取り支持した受取部材14を下降移動させる下降移動装置が構成されている。
この実施形態において、その下降移動装置は受取部材14にて受けた未加硫ゴムチューブ12の自然落下速度よりも高速度で受取部材14を下降移動させるものとなしてある。
【0039】
次に図1に示す整列箱詰め装置を用いて、未加硫ゴムチューブ12を箱32に箱詰めする方法を、装置の作用とともに以下に説明する。
本実施形態では、コンベア10にて運ばれて来る未加硫ゴムチューブ12を、その前方に待機した受取部材14の多数の受取ローラ18にて受け取る。
即ちコンベア10にて運ばれて来た未加硫ゴムチューブ12は、コンベア10による送りによって、そのままコンベア10の前方に前進運動し、そこで待機している多数の受取ローラ18上に受け取られる。
このとき、未加硫ゴムチューブ12は、その前端がストッパプレート28-1,又は28-2に当接することによって前進移動停止する。
尚この実施形態では、短尺の未加硫ゴムチューブ12の箱詰めに適用した場合について説明する。
【0040】
従って未加硫ゴムチューブ12は、図中左側位置のストッパプレート28-1に当接することによって移動停止する。
尚、長尺の未加硫ゴムチューブ12の箱詰めを行う場合には、図中左側のストッパプレート28-1が上方に引き上げられ、右側のストッパプレート28-2がストッパとして作用する。
図2(I)及び図3(II)は、このようにして未加硫ゴムチューブ12が受取ローラ18上に受け取られ且つ支持された状態を表している。
【0041】
図2(I)に示しているように、このとき未加硫ゴムチューブ12は、前端側が後端側に対して低くなるように長手方向に傾斜した状態で受取部材14により、詳しくは多数の受取ローラ18により支持される。
このようにして受取ローラ18にて未加硫ゴムチューブ12を受けた受取部材14は、続くチェーン20の高速回動により未加硫ゴムチューブ12の自然落下速度よりも高速度で下降移動せしめられる。従って図3(III)に示しているように受取ローラ18は、未加硫ゴムチューブ12の下面から離間した状態となる。
そのため未加硫ゴムチューブ12は、受取ローラ18による支持を失って、下方の箱32に向けて自然落下運動する。
【0042】
尚、図3(IV)に示しているように受取ローラ18は従動側のスプロケット24周りに回動運動することによって、未加硫ゴムチューブ12の下方から図中右側に退避せしめられる。
従って未加硫ゴムチューブ12は、先に高速下降運動した受取ローラ18に当ることなく下方の箱32内に落下せしめられる(図3(V)参照)。
【0043】
このとき、未加硫ゴムチューブ12は急激に支持を失うことによって、受取ローラ18にて受け取られ且つ支持されたときの状態,姿勢をそのまま維持して落下運動し、箱32に着地する。
即ち未加硫ゴムチューブ12は、落下の過程で傾いたり回転運動したりすることはなく、しかも未加硫ゴムチューブ12は扁平円形状をなしているため、箱32に落下し着地した勢いで転がり運動してしまうのが抑制される。
【0044】
加えて未加硫ゴムチューブ12は、加硫により弾性を付与される前の軟らかな状態であるため、箱32内への落下,着地の際の衝撃を良好に吸収できるため、着地後において未加硫ゴムチューブ12が着地の位置から位置移動してしまうのが有効に抑制される。
【0045】
加えてこの実施形態において、未加硫ゴムチューブ12は、図6(I)に示すように図中右下がりの状態で自然落下し、先ず右端側から箱32内に着地するために、未加硫ゴムチューブ12全体が同時に箱32内に着地した場合に比べて、更に良好な整列状態で箱詰めできるようになる。
【0046】
即ち、先ず右端側が箱32内に着地することによって(図6(II))、その際に着地の際の衝撃を良好に吸収することができ、その後続いて残りの部分が箱32内に着地するために(図6(III),(IV))、着地の際に大きな衝撃が生じず、そのため未加硫ゴムチューブ12は水平姿勢を保ったまま全体が同時に箱32内に着地した場合に比べて、その後の位置移動をより確実に防止することができる。
【0047】
図5は、本実施形態の作用をより明らかにするために比較例として示した図である。
この図5に示す比較例では、多数の受取ローラ18が未加硫ゴムチューブ12を支持した状態でゆっくりと下降運動する(図5(II),(III)参照)。
そのため、受取ローラ18が従動側のスプロケット24にさしかかって全体が水平方向に対して傾いたとき、これとともに未加硫ゴムチューブ12もまた同様に傾き或いは受取ローラ18上で回転力を受ける(図5(IV))。
【0048】
その後、未加硫ゴムチューブ12は、図5(V)に示しているように、その傾いた姿勢で或いは回転運動をしながら箱32内に落下する。
このとき、扁平円形状をなす未加硫ゴムチューブ12は、箱32の底部或いは既に収容されている未加硫ゴムチューブ12に対する当りの位置が定まらず、或いはまた自身が回転力を受けているために、箱32内への着地後においてその着地位置から転がり運動し、他の位置へと位置移動してしまう(図5(VI))。
【0049】
従って図5に示す方法の下では、未加硫ゴムチューブ12を箱32内の所定位置に正確に静止状態で収容することができず、ひいてはこの動作を繰り返すことによっては、箱32内に未加硫ゴムチューブ12を綺麗な整列状態で箱詰めすることができない。
【0050】
しかるに本実施形態の方法によれば、未加硫ゴムチューブ12は、受取ローラ18にて受け取られ支持されたときの当初の姿勢を維持したまま、途中で回転方向の力を受けることなく、箱32内に自然落下するため、またその際に未加硫ゴムチューブ12の有する軟らかさによって、更にはまた先端側から順に箱32内に着地するため、衝撃を良好に吸収し得て着地後に転がり運動等にて着地位置から他の位置へと位置移動することもない。
従って次から次へと未加硫ゴムチューブ12を箱32内に且つ落下位置を変えて収容して行くことで、図4に示しているように多数の未加硫ゴムチューブ12を、箱32内に綺麗な整列状態で収容することが可能となる。
【0051】
尚箱32は、1つの未加硫ゴムチューブ12がその内部に落下させられて収容されるごとに、未加硫ゴムチューブ12の太さ分に対応した距離だけ、送りプレート34にて刻み送りされる。
これにより箱32内に未加硫ゴムチューブ12が、その位置を変えて次々と収められて行き、最終的に図4に示すような綺麗な整列状態で多数の未加硫ゴムチューブ12が箱32内に収容され箱詰めされる。
尚、送りプレート34は下段の一列の未加硫ゴムチューブ12の箱入れ作業が済んだところで、再び当初の位置に戻って、上段側に未加硫ゴムチューブ12を順次に収容させて行く。
【0052】
以上のような本実施形態によれば、未加硫ゴムチューブ12を容易に且つ綺麗な整列状態で箱の内部に収容することができる。
【0053】
本実施形態では、未加硫ゴムチューブ12を受け取った受取部材14を、その後未加硫ゴムチューブ12の自然落下速度よりも高速度で下降移動させ、これにより未加硫ゴムチューブ12を下方の箱32の内部に自然落下させるため、受取部材14上の未加硫ゴムチューブ12は回転力を受けたり傾いたりすることなく、受取部材14にて受け取られたときの姿勢を維持した状態のまま箱32の内部に落下する。
従って複数の未加硫ゴムチューブ12を箱32の内部に整列状態で収容することができる。
【0054】
かかる本実施形態によれば、単に受取部材14で未加硫ゴムチューブ12を受けた後、これを高速下降移動させるとともに、箱32を刻み送りするだけで、簡単に未加硫ゴムチューブ12を箱32の内部に整列状態で箱詰めすることができる。
【0055】
またこの方法によれば、作業者の手作業によらないで機械的且つ自動的に未加硫ゴムチューブ12の箱詰め作業を行うことが可能となり、連続したホース生産の完全自動化を実現することができ、またホース生産に要する人手作業を少なくすることができる。
【0056】
本実施形態では、上記受取部材14を、未加硫ゴムチューブ12の前進方向に並列状態に並んで設けられた複数の受取ローラ18を有するものとなし、また上記下降移動装置を、無端環状をなして受取ローラ18を保持するチェーン20を有し、そのチェーン20の回動運動により保持した受取ローラ18を下降移動させるものとなしてあり、このようにすることで、単にチェーン20を高速回動運動させるだけで、受取ローラ18を高速下降移動及び未加硫ゴムチューブ12の下方から退避運動させることができ、受取ローラ18にて受取り且つ支持した未加硫ゴムチューブ12を、容易に下方の箱32の中に自然落下させ、その繰返しによって未加硫ゴムチューブ12を箱32の中に整列状態で収容して行くことができる。
また受取部材14が複数の受取ローラ18を有するものとなしてあることで、コンベア10にて送られて来た未加硫ゴムチューブ12を、そのまま受取ローラ18上に前進移動させて、これを受取ローラ18にて受取り支持した状態とすることができる。
【0057】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明では、場合によって後端側が前端側に比べて低くなるように未加硫ゴムチューブ12を傾斜支持し、その状態で未加硫ゴムチューブ12を箱32内に落下させるようになすことも可能であるし、また本発明は扁平円形状をなす未加硫ゴムチューブ12の箱詰めに適用して好適であるが、場合によって断面ほぼ真円形状をなす未加硫ゴムチューブの箱詰めに適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態の未加硫ゴムチューブの整列箱詰め装置を示した斜視図である。
【図2】図1の要部の側面図である。
【図3】同実施形態の方法の未加硫ゴムチューブを自然落下させる工程の説明図である。
【図4】同実施形態の整列粗詰めの工程の説明図である。
【図5】同実施形態の利点説明のために比較として示した比較例図である。
【図6】同実施形態の要部工程の作用説明図である。
【符号の説明】
【0059】
12 未加硫ゴムチューブ
14 受取部材
18 受取ローラ
20 チェーン
22,24 スプロケット
26 駆動モータ
32 箱
34 箱送りプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)搬送手段にて次々と搬送されて来る所定長さの未加硫ゴムチューブを受取部材で受け取って支持する受取工程と、
(ロ)その後に該受取部材を該未加硫ゴムチューブの自然落下速度よりも高速度で下降移動させて、該受取部材を該未加硫ゴムチューブから離間させるとともに該未加硫ゴムチューブの下方位置から退避させることにより該未加硫ゴムチューブを自重により下方の箱の内部に自然落下させる箱入れ工程と、
(ハ)該箱を該未加硫ゴムチューブの長手方向と直角方向に刻み送りする箱送り工程と、
を順に繰返し行うことで該箱の内部に前記未加硫ゴムチューブを順次に収容し整列状態に箱詰めすることを特徴とする未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法。
【請求項2】
請求項1において、前記未加硫ゴムチューブが、長尺の押出成形品を所定寸法ごとに切断した後の扁平円形状をなすものであることを特徴とする未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記箱入れ工程で前記未加硫ゴムチューブを一端側が他端側に対して低くなるように長手方向に傾斜させた状態で自然落下させ、該未加硫ゴムチューブを該一端側を先に前記箱の内部に着地させることを特徴とする未加硫ゴムチューブの整列箱詰め方法。
【請求項4】
(a)搬送手段にて次々と搬送されて来る所定長さの未加硫ゴムチューブを受け取る受取部材と、
(b)該受取部材を前記未加硫ゴムチューブの自然落下速度よりも高速度で下降移動させて、該受取部材を該未加硫ゴムチューブから離間させるとともに該未加硫ゴムチューブの下方位置から退避させることにより該未加硫ゴムチューブを自重で前記箱の内部に自然落下させる前記受取部材の下降移動装置と、
(c)前記箱を前記未加硫ゴムチューブの長手方向と直角方向に刻み送りする箱送り装置と、
を有していることを特徴とする未加硫ゴムチューブの整列箱詰め装置。
【請求項5】
請求項4において、前記受取部材が、前記未加硫ゴムチューブの前進方向に並列状態に並んで設けられた複数の受取ローラを有するものであり、
前記下降移動装置が、無端環状をなして前記受取ローラを保持し、上下に離隔して配置されたスプロケットに巻き掛けられて回動運動するチェーンを有し、該チェーンの該回動運動により前記保持した受取ローラを下降移動させるものであることを特徴とする未加硫ゴムチューブの整列箱詰め装置。
【請求項6】
請求項4,5の何れかにおいて、前記受取部材が、前記未加硫ゴムチューブをその一端側が他端側に対して低くなるように長手方向に傾斜した状態で受取り且つ支持するものとなしてあり、
前記下降移動装置が、該受取部材にて該未加硫ゴムチューブを傾斜状態に支持した状態で該受取部材を下降移動させるものとなしてあることを特徴とする未加硫ゴムチューブの整列箱詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−40483(P2009−40483A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209347(P2007−209347)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】