説明

末端圧制御装置

【課題】直接末端圧制御において、需要家末端に圧力発信器が設けられ、ポンプ場まで信号伝送するための伝送装置がポンプ制御装置との間に介入し、圧力信号伝送遅れで、ポンプ制御の応答遅れによる圧力変動等制御不安定になる。又異常があった場合、末端圧一定制御ができない。
【解決手段】直接末端圧制御装置において、設定圧力と実末端圧力の偏差量により制御定数ゲインを切替て、応答性向上、安定化を図る制御方式にすると共に、主制御モードを直接末端圧制御とし、直接末端圧制御系の異常検出した場合は、バックアップ制御モードとして、次の1〜3の制御モードにバンプレス切替を行い、末端圧の一定をより確実に実現する。
1.ポンプの吐出流量により吐出圧の設定値を計算し、ポンプ吐出圧をその設定値に制御する推定末端圧制御
2.流量に関係なく吐出圧を一定にする吐出圧一定制御
3.吐出流量により段階的に吐出圧を制御する段階圧制御

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ場から水を供給する場合、需要家末端の圧力を一定に保つための制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水を供給するポンプ場より需要家までの距離が長い場合、管路抵抗による損失水頭により、需要家末端における水圧が低下してしまうため、末端圧を一定に制御する必要がある。そこで、需要家末端に発信器を設け、圧力信号をポンプ場まで伝送し、末端の水圧変動を少なくするよう制御する直接末端圧制御と、ポンプ場側にある流量発信器の流量信号と圧力発信器の圧力信号による推定末端圧制御により行われる。
一般的には、推定末端圧制御が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、推定末端圧制御では、吐出流量によりポンプの吐出圧の指令値を計算で求め、ポンプの吐出圧をその指令値になるように制御しているが、
1.推定末端圧制御は、吐出流量と吐出圧の関係が明確でない場合、これを決定するための調査が必要であるが、流量に対する管路の損失水頭を計算する方法は、複雑な管路網により計算は困難であった。又、実際の吐出流量及び吐出圧と需要家末端における水圧を実測したデータにより決定する方法もあるが、データ集積には高度な技術が必要であった。
2.諸条件が変化した場合、実際の末端の圧力がどのようになっているかわからない。
などの問題があった。
【0004】
直接末端圧制御は、遠方の需要家に圧力発信器が設けられ、ポンプ場まで信号を長距離伝送するための伝送装置がポンプ制御装置との間に介入し、圧力信号の伝送遅れが原因で、ポンプ制御の応答遅れによる圧力変動等制御不安定になってしまうなど制御が困難である。
【特許文献1】特開平08−291798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、直接末端圧制御による末端圧の不安定状態と、末端の発信器異常、伝送装置異常時の、末端圧力を一定にできない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、直接末端圧制御装置において、設定圧力と実末端圧力の偏差量により制御定数ゲインを切替て、応答性の向上、安定化を図る制御方式を最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の末端圧制御装置は、主制御モードを直接末端圧制御とし、直接末端圧制御系の異常を検出した場合は、バックアップ制御モードとして、次の1〜3の制御モードにバンプレス切替を行う機能を有し、末端圧の一定をより確実に実現できる利点がある。
1.推定末端圧制御
2.流量に関係なく吐出圧を一定にする吐出圧一定制御
3.吐出流量により段階的に吐出圧を制御する段階圧制御
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
直接末端圧制御装置の制御定数の設定、推定末端圧制御の制御定数設定、吐出圧一定制御の制御定数設定、段階圧制御の制御定数設定、バックアップ制御モード選択を外部より容易に設定できることを実現した。
【実施例1】
【0009】
図1の01が本発明の末端圧制御装置であり、発明装置の1実施例の図である。
20は需要家末端圧力検出部、21需要家末端圧力信号伝送装置はその信号をポンプ場まで送る伝送装置であり、
30はポンプ場側のポンプ吐出圧検出部、31はポンプ吐出量検出部である。
20需要家末端圧力検出部、21需要家末端圧力信号伝送装置、30ポンプ吐出圧検出部、31ポンプ吐出量検出部からの計測信号を入力とし、16吐出圧一定制御用定数設定器部,17段階圧制御用定数設定器部,18推定末端圧制御用定数設定器部,19直接末端圧制御用設定器で各制御モード定数設定器からの定数により、12偏差量による自動切替サンプリングPID直接末端圧指令演算部,13推定末端圧指令演算部,14段階圧指令演算部,15吐出圧一定指令演算部の各制御モード指令値算出演算部で算出された指令結果を、50外部強制モード選択信号、異常検出信号の異常信号、モード強制切替信号により、11の吐出圧指令選択演算部により、バンプレスに吐出圧指令を切替え、10のPI演算部に送り、その演算結果を、各ポンプの回転数指令として出力するものである。尚、12偏差量による自動切替サンプリングPID直接末端圧指令演算部と19直接末端圧制御用設定器が設定圧力と実末端圧力の偏差量により制御定数ゲインを切替て、応答性の向上、安定化を図る直接末端圧制御部である。
【産業上の利用可能性】
【0010】
上水道、工業用水道、農業かんがい用水道などにおいて、需要家側の水圧一定を確実に行う用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明装置の1実施例の図である。
【符号の説明】
【0012】
01 末端圧制御装置
10 PI演算部
11 吐出圧指令選択演算部
12 偏差量による自動切替サンプリングPID直接末端圧指令演算部
13 推定末端圧指令演算部
14 段階圧指令演算部
15 吐出圧一定指令演算部
16 吐出圧一定制御用定数設定器部
17 段階圧制御用定数設定器部
18 推定末端圧制御用定数設定器部
19 直接末端圧制御用設定器
20 需要家末端圧力検出部
21 需要家末端圧力信号伝送装置
30 ポンプ吐出圧検出部
31 ポンプ吐出量検出部
40 ポンプ回転数指令
50 外部強制モード選択信号、異常検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を供給する側が、水を供給される需要家末端における水圧変動を少なくするように、末端圧を一定に制御する装置において、前記需要家末端に圧力発信器を設け、水供給場所のポンプ場まで信号伝送装置により圧力信号を伝送し、前記末端圧が一定になるよう制御する直接末端圧制御部と、前記水供給場所のポンプ場側にある流量発信器の流量信号と前記圧力発信器の前記圧力信号により前記末端圧を一定にする推定末端圧制御、吐出圧一定制御、段階圧制御を併用したことを特徴とする末端圧制御装置。

【図1】
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