説明

材料供給装置および材料供給装置の作動方法

【課題】シャッタ部材と摺動される部材の間の摺動クリアランスへ入り込んだ樹脂粉等により、シャッタの気密シールが損なわれたり開閉不良を来たす等の問題や、または入り込んだ樹脂粉等やシャッタの金属粉等が加熱筒内に供給され、焼けを起こしたり成形品の品質を低下させるといった問題のいずれかを解決した材料供給装置および材料供給装置の作動方法を提供する。
【解決手段】真空吸引可能な加熱筒15内に供給路18,19,20を介して成形材料Mを供給する材料供給装置13において、前記供給路18,19,20を開閉自在なシャッタ部材と、前記シャッタ部材を挟んで両側に開口部が設けられるとともに前記シャッタ部材が格納されるケース部材と、ケース部材の内部空間を負圧状態とする負圧手段31とを有するシャッタ装置25,26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料供給装置および材料供給装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部を開閉するシャッタ部材が備えられた可塑化装置に取付けられる材料供給装置に関するものとしては、特許文献1ないし特許文献3に示されるものが知られている。特許文献1は、射出成形機の可塑化装置の供給部に回転弁式のシャッタ装置を用いるものであるが、装置が大掛りになる上に、ハウジングと回転弁体に高い加工精度が求められ、実際にはシール性やカジリの点で問題が多いものであった。また特許文献2は、射出成形機の可塑化装置の供給部に水平方向に回転するシャッタ装置を用いるものであって、図4に示されるように、透孔5dとシャッタ部材3の間にシールのためのOリング4Aが設けられている。しかし特許文献2は、シャッタ部材3が回転された際に、シャッタ部材3とOリング4Aとの間が摺動するため、Oリング4Aが摩耗するという問題があった。またOリング4Aの摩耗を防止するためにOリング4Aによるシャッタ部材3の押圧力を弱くすると、シャッタ部材3が回転移動される際に、シャッタ部材3の上面に付着した樹脂粉体がシャッタ部材3と透孔5dの間に入り込み、Oリング4Aによるシール性に支障をきたすといった問題があった。従ってOリング4Aによるシール性を確保するためには、Oリング4Aとシャッタ部材3の間の面圧が高くても低くても問題があった。また特許文献3は、シャッター3をシール部材に当接させて気密を保つものであるが、前記特許文献2と同様の問題があり、シャッター3の移動時にシール部材16aが摩耗すること等が避けられないものであった。また特許文献3の段落(0008)に記載されるように、従来のシャッタ装置では、シャッターとシール部材の摺動クリアランスへ樹脂屑やシャッターの金属粉が入り込み、シャッターの気密シールが損なわれたり、開閉不良を来たす等の問題もあった。
【0003】
【特許文献1】特開平9−164527号公報(請求項2、0007、図1)
【特許文献2】特開2001−293750号公報(請求項2、0021、図1)
【特許文献3】特開2002−347073号公報(請求項1、0019、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では上記の問題を鑑みて、従来の材料供給装置では、シャッタ部材と他の部材の間の摺動クリアランスへ入り込んだ樹脂粉等により、シャッタの気密シールが損なわれたり開閉不良を来たす等の問題や、または入り込んだ樹脂粉等やシャッタの金属粉等が加熱筒内に供給され、焼けを起こしたり成形品の品質を低下させるといった問題のいずれかを解決した材料供給装置および材料供給装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の材料供給装置は、真空吸引可能な加熱筒内に供給路を介して成形材料を供給する材料供給装置において、前記供給路を開閉自在なシャッタ部材と、前記シャッタ部材を挟んで両側に開口部が設けられるとともに前記シャッタ部材が格納されるケース部材と、前記ケース部材の内部空間を負圧状態とする負圧手段と、を有するシャッタ装置が備えられたことを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に記載の材料供給装置は、真空吸引可能な加熱筒内に供給路を介して成形材料を供給する材料供給装置において、前記供給路を開閉自在なシャッタ部材と、前記シャッタ部材を挟んで両側に開口部が設けられるとともに前記シャッタ部材が格納されるケース部材と、前記ケース部材の内部空間を気体流動状態とする気体供給手段と、を有するシャッタ装置が備えられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に記載の材料供給装置は、請求項1または請求項2において、前記ケース部材の一側には吸引口が設けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に記載の材料供給装置の作動方法は、真空吸引可能な加熱筒内に供給路を介して成形材料を供給する材料供給装置の作動方法において、前記供給路を開閉自在なシャッタ部材が設けられ、前記シャッタ部材が格納されたケース部材の内部空間を真空吸引または気体を流動させることによりシャッタ部材の清掃を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の材料供給装置は、真空吸引可能な加熱筒内に供給路を介して成形材料を供給する材料供給装置において、前記供給路を開閉自在なシャッタ部材と、前記シャッタ部材を挟んで両側に開口部が設けられるとともに前記シャッタ部材が格納されるケース部材とを備え、前記ケース部材の内部空間を負圧状態とする負圧手段または気体流動状態とする気体供給手段を有するシャッタ装置の少なくとも一方が備えられているので、シャッタの気密シールが損なわれたり開閉不良を来たす等の問題や、または入り込んだ樹脂粉やシャッタの金属粉等が加熱筒内に供給され、焼けを起こしたり成形品の品質を低下させるといった問題の少なくとも一つを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図1ないし図4を参照して説明する。図1は、本実施形態のシャッタ装置が取付けられた可塑化装置の断面図である。図2は、本実施形態の材料供給装置のシャッタ装置の開放時における断面図である。図3は、図2におけるA−A線の平面断面図である。図4は、本実施形態の材料供給装置のシャッタ装置の閉鎖時における断面図である。
【0011】
図1に示されるように射出成形機の射出装置である可塑化装置11は、材料投入装置12から材料供給装置13に投入された成形材料Mを材料調節装置14を介して真空吸引可能な加熱筒15へ供給し、加熱筒15内に嵌挿したスクリュ16をスクリュ回転用のモータ17により回転駆動して可塑化し溶融材料となしてスクリュ16前方の加熱筒15の先端側内部に貯留する。そして貯留された溶融材料は、図示しないスクリュ前後進手段の駆動によりスクリュ16が前進移動されて図示しない型締装置に取付けられた成形金型のキャビティ内へ射出されることによって成形品が成形される。
【0012】
可塑化装置11の材料供給装置13は、材料調節装置14内と加熱筒15内とを常時真空構造としつつ所定量の成形材料Mを材料調節装置14へ供給するものである。材料供給装置13の外殻体は、前記材料調節装置14の外殻体と加熱筒15の外殻体とともに気密構造体を形成し、内部には材料投入装置12から材料調節装置14へ至る成形材料Mの供給路が形成されている。材料供給装置13は、上部供給路18、中間供給路19、および下部供給路20と、上部供給路18と中間供給路19の間に配設される上部のシャッタ装置25、中間供給路19と下部供給路20の間に配設される下部のシャッタ装置26等からなっている。上部供給路18はガラス管18aとリング体23aからなる。中間供給路19は、ガラス管19aとリング体23b,24aからなる。下部供給路20は、ガラス管20aとリング体24b,27からなる。そして前記ガラス管18a,19a,20aは、内部の成形材料Mの量が目視可能であるとともに、レベルセンサ21,22により検知可能となっている。なお材料供給装置13、材料調節装置14、加熱筒15からなる気密構造体の部材間は、Oリング等によりシールされている。また中間供給路19には、孔33が形成され、前記孔33に接続された管路34には開閉弁35が配設され、管路34は管路32を介して後述する真空ポンプ31に接続されている。
【0013】
なお可塑化装置11の材料供給装置13については、中間供給路19に向けて直接ブロアを用いて成形材料Mを供給するものでもよい。その場合、中間供給路19内を真空化する際に必要な上部のシャッタ装置25は別の位置に設けられ、下方から上方に向けて成形材料Mが送られる場合もある。また材料供給装置13は、2個のシャッタ装置25,26を用いるものを示したが、加熱筒15への成形材料Mの供給時には加熱筒15内が大気と連通されるような1個のシャッタ装置しかないものでもよい。更に上部供給路18、中間供給路19、および下部供給路20の少なくとも一つを、容積の大きいホッパ構造としたものや加熱装置を併用してもよい。
【0014】
可塑化装置11の材料調節装置14は、フィードスクリュ36の駆動手段であるモータ37の回転速度を制御し、加熱筒15内のスクリュ16溝における成形材料Mの量が、最適となるように、成形材料Mの搬送量を調節する。なお、材料調節装置14は必須のものではなく、材料供給装置13を加熱筒15に直接取付けるようにしてもよい。
【0015】
次に材料供給装置13のシャッタ装置25,26の構造について、図2ないし図4により、説明する。なお上部のシャッタ装置25と下部のシャッタ装置26は、ほぼ同じ構造であるので、下部のシャッタ装置26が開放されている図2の状態を中心に説明する。
【0016】
シャッタ装置26には、外殻体として、内部が中空の長方体からなるケース部材41が設けられている。ケース部材41の内部空間28にはシャッタ部材42が往復動可能に格納されている。そして前記ケース部材41の上板の上面が、中間供給路19のリング体24aに対してOリングを挟んで固定され、前記ケース部材41の下板の下面が下部供給路20のリング体24bに対してOリングを挟んで固定されている。そしてケース部材41の上板および下板には、前記シャッタ部材42を挟んで両側(本実施形態では上下)に、前記リング体24a,24bの開口部と同じ直径の開口部41a,41aが形成されている。ケース部材41の他側の端部には、シャッタ部材42を水平方向に往復進退移動させるエアシリンダ43が固定されている。そして図1に示されるようにエアシリンダ43は開閉弁44を介して空圧源45に接続されている。
【0017】
前記エアシリンダ43のロッド43aは、シャッタ部材42に固定されている。シャッタ部材42は、CVD、PVD、メッキ処理等の方法により一例としてクロム系やタングステンカーバイド等の材料により表面処理がなされた所定板厚の長方形の金属平板である。図3に示されるようにシャッタ部材42の幅は、中空であるケース部材41の内部の幅と略一致しており、ケース部材41に縦内壁面にシャッタ部材42の両側面が摺動自在となっている。そしてシャッタ部材42の前方寄り中央には、中間供給路19のリング体24aの開口部、ケース部材41の開口部41aと同径の通孔42aが形成されている。そして前記ケース部材41の開口部41a等とシャッタ部材42の通孔42aの位置が一部でも重なった状態のときに成形材料Mが下方に落下し、開口部41aと通孔42aの位置が全く重ならない状態のときに、シャッタ装置26は閉鎖可能となっている。
【0018】
またケース部材41とシャッタ部材42の間には、ケース部材41の開口部41aやシャッタ部材42の通孔42aと同じ直径の開口部47aが形成された中間部材47が設けられている。中間部材47は、ケース部材41の内側(シャッタ側)の面における開口部41aの周辺部に形成された凹部41bに嵌合されるように取付けられている。ただし前記凹部41bの縦方向の深さよりも中間部材47の板厚の方が厚くなっているので、中間部材47のシャッタ部材側の面47b(平面)はケース部材41の面41cよりも内側に向けて突出している。前記中間部材47は、ケース部材41の上下の板にそれぞれ取付けられている。そして前記中間部材47の面47bとシャッタ部材42の上下の面42b(平面)の間の間隔は、許容限度を超えるリークが発生しない程度に面接触により密着可能であって、かつシャッタ部材42の移動時に摺動自在な間隔となっている。
【0019】
中間部材47は、前記シャッタ部材42の金属材料または前記シャッタ部材42の表面処理材料とカジリが発生しにくいような金属材料から形成され、中間部材47の面47bは、シャッタ部材42の面と摺動した際の摩擦係数が低く、なおかつ密着性が良好な面となっている。なお中間部材47は、本発明にとって必須ではなく、中間部材47を設けずにケース部材41の内面がシャッタ部材42との摺動面を構成するようにしてもよい。更には中間部材47をケース部材41よりも外側にまで突出させ、直接中間供給路19や下部供給路20と接続されるようにしたものでもよい。その場合はケース部材41の開口部41aは、中間部材47を介して供給路と間接的に連通されることになる。いずれにしてもシャッタ装置26の内部空間28は、ケース部材41とシャッタ部材42等により気密状態に保持可能となっている。
【0020】
ケース部材41と中間部材47との間には、Oリング48が設けられている。しかしケース部材41と中間部材47の間にバネや空圧や油圧手段を設け、中間部材47をシャッタ部材42に向けて押圧するようにしてもよい。ケース部材41の下板における内側上面には、摩擦係数の低い樹脂からなり所定板厚の平板状の載置板49が取付けられている。そして前記載置板49の上面はシャッタ部材42の面42b(下面)と摺動自在となっている。シャッタ部材42を載置板49に摺動自在に載置することにより、上下の中間部材47,47に対してほぼ均等な間隙を保つようにすることができる。なお載置板49はシャッタ部材42よりも下方の内部空間28全体を占めるような大きさではない。
【0021】
ケース部材41の一側の上面(または下面)にはケース部材41の内部空間28の空気を吸引する専用の吸引口51が設けられ、真空状態の下部供給路20や材料調節装置14を介して真空吸引されるのではなく、管路52、管路32、フィルタ30を介して真空源である真空ポンプ31に直接接続されている。またケース部材41の他側の上面(または下面)には、ケース部材41の内部空間28内に圧搾空気を供給する供給口53が設けられ、管路54、開閉弁55を介して気体供給手段である空圧源45に接続されている。ケース部材41における吸引口51を設ける位置は、シャッタ部材42が閉となった際にシャッタ部材42の通孔42aが位置する一側に設けることがより望ましい。しかしシャッタ部材42が閉となった際にシャッタ部材42の通孔42aが位置しない他側に吸引口51を設けてもよい。なお本実施形態では空圧源45から供給されるのは大気をコンプレッサにより圧縮した圧搾空気であるが、窒素ガス等を供給してもよい。
【0022】
制御装置46は、レベルセンサ21,22等の各種信号が入力されるとともにタイマを内蔵している。また制御装置46は、材料投入装置12、スクリュ回転用のモータ17やフィードスクリュ36のモータ37、真空ポンプ31、空圧源45、開閉弁35,44,44,55,55等に信号を送信して制御が可能となっている。なお射出成形機の制御装置と材料供給装置13の制御装置は、同一でも分離されたものでもよいが、分離されたものでも射出成形機側の制御装置との信号のやり取りは必要である。
【0023】
次に、材料供給装置13とシャッタ装置25,26の作動について説明する。図1に示される状態は、材料供給装置13の上部のシャッタ装置25を開放し、中間供給路19内に成形材料Mを落下させた状態である。この際材料供給装置13の下部のシャッタ装置26は閉鎖されている。そして加熱筒15、材料調節装置14、下部供給路20等から構成される気密構造体は、管路32等を介して常時負圧手段である真空ポンプ31により吸引されている。またシャッタ装置25,26のケース部材41の内部空間28も真空ポンプ31により別の管路52を介して吸引されている。次に上部のシャッタ装置25を閉鎖する。シャッタ装置25の閉鎖は、エアシリンダ43の作動によりシャッタ部材42が図3において一点鎖線で示される位置まで前進され、同時に開口部41a,47aと一致していたシャッタ部材42の通孔42aが前方に移動され、開口部41a,47aはシャッタ部材42の後方寄りの板部分により閉鎖される。この際シャッタ部材42の面42b,42bは、載置板49により重量の一部が支えられ、上下の中間部材47,47の面47b,47bに均等に当接するように移動されるのでカジリが極めて生じ難い。またシャッタ部材42と中間部材47は適圧による摺動状態となっているので、成形材料Mに含まれる樹脂粉等の噛み込みを極力抑えられるようになっている。
【0024】
次に開閉弁35を開放し、中間供給路19内の大気を吸引して中間供給路19内を真空化する。そして連続成形とともに材料調節装置14から加熱筒15へ成形材料Mが供給されて下部供給路20内の成形材料Mが減少し、レベルセンサ22が成形材料Mを感知不能となると、下部のシャッタ装置26が開放され、中間供給路19内の成形材料Mが材料調節装置14内および下部供給路20内へ落下される。なお下部のシャッタ装置26開放のタイミングは、タイマによる設定でもよい。また前記動作の間に材料投入装置12から閉鎖されている上部のシャッタ装置25よりも上方の上部供給路18には次の成形材料Mが供給され、レベルセンサ21が成形材料Mを感知すると供給が停止される。そして再び下部のシャッタ装置26が閉鎖されると、次に上部のシャッタ装置25を開放し、上部供給路18の成形材料Mを中間供給路19へ落下させる。そのことにより再び図1の状態となり、同じサイクルが繰り返される。
【0025】
本実施形態ではケース部材41のシャッタ部材42が往復動する空間とその回りの空間からなる内部空間28は、ケース部材41の一側に設けられた吸引口51、管路52、管路32を介して負圧手段である真空ポンプ31に接続され、真空ポンプ31が常時作動となっていることから前記内部空間28も常時負圧状態となっている。従ってシャッタ部材42の移動時にもリークが生じることはない。従来、内部空間28が大気圧であった場合は、中間部材47のOリング48よりも外側部分には大気圧が加えられることから中間部材47からシャッタ部材42に向けて強く与圧がかけられていた。しかし本実施形態では、内部空間28が真空状態(負圧状態)とされることにより、中間部材47による与圧を減少することができる。また内部空間28が真空状態であるので、前記Oリング48を、硬度の低いものとすることができる。従って中間部材47からシャッタ部材42へ向けてのOリング48による与圧も低くすることができ、シャッタ部材42の摺動摩耗に伴う金属粉の発生を抑えることができる。
【0026】
そして制御装置46からの信号により、シャッタ部材42の開作動、閉作動完了の後に、例えば0.5秒程度、開閉弁55を開くことにより、空圧源45から供給口53を介して内部空間28に圧搾空気が供給される。内部空間28は、吸引口51が真空ポンプ31により吸引されていることから、供給された圧搾空気のほとんどは、図3において矢印で示されるようにケース部材41とシャッタ部材42との間を通過して吸引口51へ送られる。また一部はシャッタ部材42と中間部材47との間にも送られる。そして前記のように内部空間28が気体流動状態となることにより、シャッタ部材42の開作動、閉作動によりシャッタ部材42と中間部材47(またはケース部材)の間からケース部材41内に落下した樹脂粉や金属粉が回収される。なお前記の圧搾空気が供給される時間は短く、常に真空吸引がされているので、前記内部空間28はほとんど負圧状態を保ったままである。そして吸引口51から回収された樹脂粉や金属粉はフィルタ30によって捕集されるので、真空ポンプ31から外部へは排出されない。
【0027】
なお空圧源45からの圧搾空気の導入のタイミングは、前記に限定されずシャッタ部材42を複数回移動された後や、所定時間毎であってもよい。またシャッタ部材42の移動中であってもよい。また空圧源45からの圧搾空気の導入は必須ではなく、ケース部材41に供給口53を設けずに吸引口51のみを設け、ケース部材41の内部空間28を常時負圧状態に設けるようにしてもよい。ケース部材41の内部空間28を負圧状態とするだけでも樹脂粉や金属粉の回収に一定効果が期待できる。そしてシャッタ部材42と中間部材47の間の与圧を低くすることが可能であるので、摩擦による金属粉を減少させることができる。更にはシャッタ装置25,26のケース部材41の内部空間28を負圧とせずに供給口53から気体を流通させ別の排出口から排出することにより気体流通状態とするものでもよい。
【0028】
本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を付加して実施することができる。シャッタ装置のシャッタ部材は、前進により通孔が供給路と連通されるものでもよく、通孔を有さない1枚板であってもよい。またシャッタ装置のシャッタ部材は、水平方向に往復運動するもの以外に縦方向や斜め方向に移動するものでもよく、一点を中心に平板が回転運動をするものでもよい。そしてまたシャッタ部材が、特許文献1のように回転するものでもよい。また成形材料が供給される方向も水平方向へ送られるものや下方から上方へ送られるものでもよい。これらのシャッタ装置では全て、シャッタ部材とその回りのケース部材の間の空間を負圧吸引することや気体流通状態とすることにより、樹脂粉やシャッタ部材の摺動粉を回収することができる。
【0029】
更にまた本発明のシャッタ装置が取付けられる可塑化装置としては、一軸タイプの射出成形機の他、可塑化装置と射出装置が分離したプリプラ(登録商標)式の射出成形機や、押出機、混練機等でもよく、材料も樹脂に限定されず、他の有機材料や無機材料、金属材料等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態のシャッタ装置が取付けられた可塑化装置の断面図である。
【図2】本実施形態のシャッタ装置の開放時における断面図である。
【図3】図2におけるA−A線の平面断面図である。
【図4】本実施形態のシャッタ装置の閉鎖時における断面図である。
【符号の説明】
【0031】
11 可塑化装置
13 材料供給装置(供給路)
15 加熱筒
25,26 シャッタ装置
28 内部空間
31 真空ポンプ(負圧手段)
41 ケース部材
41a,47a 開口部
42 シャッタ部材
45 空圧源(気体供給手段)
47 中間部材
51 吸引口
53 供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空吸引可能な加熱筒内に供給路を介して成形材料を供給する材料供給装置において、
前記供給路を開閉自在なシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を挟んで両側に開口部が設けられるとともに前記シャッタ部材が格納されるケース部材と、
前記ケース部材の内部空間を負圧状態とする負圧手段と、を有するシャッタ装置が備えられたことを特徴とする材料供給装置。
【請求項2】
真空吸引可能な加熱筒内に供給路を介して成形材料を供給する材料供給装置において、
前記供給路を開閉自在なシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を挟んで両側に開口部が設けられるとともに前記シャッタ部材が格納されるケース部材と、
前記ケース部材の内部空間を気体流動状態とする気体供給手段と、を有するシャッタ装置が備えられたことを特徴とする材料供給装置。
【請求項3】
前記ケース部材の一側には吸引口が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の材料供給装置。
【請求項4】
真空吸引可能な加熱筒内に供給路を介して成形材料を供給する材料供給装置の作動方法において、
前記供給路を開閉自在なシャッタ部材が設けられ、
前記シャッタ部材が格納されたケース部材の内部空間を真空吸引または気体を流動させることによりシャッタ部材の清掃を行うことを特徴とする材料供給装置の作動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−137391(P2010−137391A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314055(P2008−314055)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000155159)株式会社名機製作所 (255)
【Fターム(参考)】