説明

材料加工のためのパルス列を生成する方法及びシステム

【課題】パルスの立ち上がり及び立ち下がりのタイミングの遅い長パルスを用いるため、過剰な熱拡散が生じやすい。
【解決手段】システム及び方法は、材料加工のためのレーザパルス列を生成する。一実施の形態においては、連続波(CW)又は準CWレーザビームから、高い繰返し速度の安定したレーザパルス列が生成される。レーザパルス列の1つ以上のレーザパルスを整形して、ターゲット材料に供給されるエネルギーを制御してもよい。他の実施の形態においては、単一のレーザパルス、CWレーザビーム又は準CWレーザビームから、複数のレーザビームが複数の加工ヘッドに分配される。このような実施の形態の1つでは、単一の光偏向器が、各加工ヘッドに亘って複数のレーザビームを分配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工に関する。詳しくは、本発明は、高いパルス繰り返し周波数で安定した整形パルス(shaped pulse)の列を生成し、単一のレーザ光源から複数の加工ヘッドにレーザビームを供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工は、様々な加工に作用する様々なレーザを用いて多くの異なる種類の被加工物に対して行うことができる。レーザは、例えば、単層又は多層の被加工物内に穴及び/又はブラインドビアを形成するために用いることができる。半導体ウエハ加工には、例えば、スクライビング、ダイシング、穴あけ、半導体リンク(ヒューズ)の除去、熱アニール、及び/又は受動厚膜又は薄膜部品のトリミングを含む様々な種類のレーザマイクロ機械加工等が含まれる。
【0003】
従来のレーザ穴あけ又はスクライビング技術は、例えば、遠赤外領域の波長を有するCOレーザの使用を含む。但し、このようなレーザは、一般的に、ある集積回路(IC)加工材料をアブレート(ablate)するために高いエネルギーを必要とすることがある。
【0004】
更に、このような加工技術は、約50μs程度の、パルスの立ち上がり及び立ち下がりのタイミングが遅い長パルスを用いる。このため、長パルスでは、過剰な熱拡散が生じやすく、熱影響部、リキャスト酸化層(recast oxide layer)、過度のデブリ(debris)、チッピング及びクラッキングが発生することがある。更に、パルスCOレーザは、通常、パルス間のエネルギーの不安定性の度合いが高い傾向があり、これにより、加工品質の一貫性に負の影響が生じることがある。
【0005】
従来のCO穴あけ又はスクライビングシステムは、通常、励起状態の典型的な緩和時間が約50μs〜約100μsである無線周波数(RF)パルスCOレーザを用いる。離散的なレーザパルスを生成するためには、一般的に許容できるパルス繰り返し周波数(pulse repetition frequency:PRF)は、概ね緩和時間の2倍の逆数である。したがって、COレーザが提供する最大PRFは、通常、約5kHz〜約10kHzである。スループットを高めることが望まれる場合、これらの低いPRF値によって加工品質が低下することがある。例えば、スクライビングシステムが、被加工物に対してレーザビームを動かす速度を高めると、パルス間の分離に起因するカーフ(kerf)に沿った構造が、低いPRFで際立つようになる。このようなカーフの構造は、加工品質を低下させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示する実施の形態は、高いパルス繰り返し周波数で安定した整形パルスの列を生成し、単一のレーザ光源から複数の加工ヘッドにレーザビームを供給するシステム及び方法を提供する。
【0007】
一実施の形態においては、高速で安定したレーザパルス列を生成するためのレーザ加工システムは、レーザパルス列によって材料のターゲット位置を照射するように構成された加工ヘッドと、連続波(continuous wave:CW)又は準CWレーザビームを生成するように構成されたレーザ光源とを備える。また、システムは、光学シャッタを備え、光学シャッタは、レーザ光源からCW又は準CWレーザビームを受光し、制御信号を受信し、制御信号に基づいてCW又は準CWレーザビームからレーザパルス列を生成し、加工ヘッドにレーザパルス列を振り分けるように構成されている。
【0008】
他の実施の形態においては、レーザ加工方法は、CW又は準CWレーザビームを生成する工程と、CW又は準CWレーザビームの一部を時間的にスライスし、レーザパルス列を生成する工程と、レーザパルス列を材料のターゲット位置に振り分ける工程とを有する。
【0009】
他の実施の形態においては、システムは、CW又は準CWレーザビームを生成する手段と、CW又は準CWレーザビームからレーザパルス列を生成する手段と、レーザパルス列を材料のターゲット位置に振り分ける手段とを備える。
【0010】
他の実施の形態においては、複数のレーザビームを用いて材料を加工するレーザ加工システムは、第1のレーザパルス列によってターゲット材料の第1の位置を照射するように構成された第1の加工ヘッドと、第2のレーザパルス列によってターゲット材料の第2の位置を照射するように構成された第2の加工ヘッドと、レーザビームを生成するように構成されたレーザ光源と、レーザ光源からレーザビームを受光し、第1の加工ヘッドに第1のレーザパルス列を振り分け、第2の加工ヘッドに第2のレーザパルス列を振り分けるように構成された光学シャッタとを備える。
【0011】
他の実施の形態においては、レーザ加工方法は、レーザビームを、レーザビームから第1のレーザパルス列及び第2のレーザパルス列を生成するように構成された第1の音響光学変調器(acousto-optic modulator:AOM)に供給する工程と、第1のレーザパルス列を第1の光路に沿って偏向して、ターゲット材料の第1の位置を照射するように構成された第1の周波数で第1のAOMを駆動する工程と、第2のレーザパルス列を第2の光路に沿って偏向して、ターゲット材料の第2の位置を照射するように構成された第2の周波数で第1のAOMを駆動する工程とを有する。
【0012】
他の実施の形態においては、レーザ加工システムは、レーザビームを生成する手段と、レーザビームから第1のレーザパルス列及び第2のレーザパルス列を生成する手段と、第1のレーザパルス列を第1の偏向角で偏向して、第1のレーザパルス列によってターゲット材料上の第1の位置を照射し、第2のレーザパルス列を第2の偏向角で偏向して、第2のレーザパルス列によってターゲット材料上の第2の位置を照射する手段とを備える。
【0013】
更なる側面及び利点は、添付の図面を参照して説明される好ましい実施の形態の以下の詳細な記述から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】レーザを駆動するために用いられ、比較的低いパルス繰り返し速度で、離散的なパルスを含むレーザ出力を生成するRF信号のタイミングチャートである。
【図2】レーザを駆動するために用いられ、比較的低いパルス繰り返し速度で、離散的なパルスを含むレーザ出力を生成するRF信号のタイミングチャートである。
【図3】レーザを駆動するために用いられ、高められたパルス繰り返し速度で、レーザ出力を生成するRF信号のタイミングチャートである。
【図4】レーザを駆動するために用いられ、高められたパルス繰り返し速度で、レーザ出力を生成するRF信号のタイミングチャートである。
【図5】レーザを駆動するために用いられ、高められたパルス繰り返し速度で、レーザ出力を生成するRF信号のタイミングチャートである。
【図6】一実施の形態に基づき、RFトリガによって駆動される音響光学変調器(acousto-optic modulator:AOM)の出力レーザパルス列のタイミングチャートである。
【図7A】ある実施の形態に基づく、レーザ/材料の熱的結合を最適化する少なくとも1つの整形パルスを含むレーザパルス列の時間的プロファイルを図式的に示す図である。
【図7B】ある実施の形態に基づく、レーザ/材料の熱的結合を最適化する少なくとも1つの整形パルスを含むレーザパルス列の時間的プロファイルを図式的に示す図である。
【図8】一実施の形態に基づく、パルス波高の変動を含む図7Aに示すレーザパルス列の時間的プロファイルを図式的に示す図である。
【図9】一実施の形態に基づく、時間的パルス幅及びパルス繰り返し速度の変動を含む図7Aに示すレーザパルス列の時間的プロファイルを図式的に示す図である。
【図10A】従来のCW COレーザを用いてプラスチック材料に掘られた溝を図式的に示す図である。
【図10B】例示的な実施の形態に基づき、RFトリガによって駆動されるAOMが提供する高い繰返し速度の安定したレーザパルス列を用いてプラスチック材料に削設された溝を図式的に示す図である。
【図11A】ある実施の形態に基づき、RFトリガによって駆動されるAOMが提供する高い繰返し速度の安定したレーザパルス列を用いてプリント基板に開けられたビアの断面図である。
【図11B】ある実施の形態に基づき、RFトリガによって駆動されるAOMが提供する高い繰返し速度の安定したレーザパルス列を用いてプリント基板に開けられたビアの断面図である。
【図12】従来のRFパルス励起レーザによって生成された時間的レーザビームについて、第1の加工ヘッドに振り分けられた第1のパルスと、第2の加工ヘッドに振り分けられた第2のパルスと、ビームダンプに振り分けられた結果的なレーザビームとに関するタイミングチャートである。
【図13】一実施の形態に基づくRFパルス励起レーザによって生成された時間的レーザビームについて、第1のヘッド、第2のヘッド、第3のヘッド及びビームダンプに振り分けられた波形に関するタイミングチャートである。
【図14】一実施の形態に基づく、単一のRFパルスレーザから複数のビームを生成するための例示的システムのブロック図である。
【図15】一実施の形態に基づくCWレーザによって生成された時間的CWレーザビームについて、第1のヘッド、第2のヘッド、第3のヘッド、第4のヘッド及びビームダンプに振り分けられた波形に関するタイミングチャートである。
【図16】一実施の形態に基づく、単一のCW又は準CWレーザから複数のビームを生成するための例示的システムのブロック図である。
【図17】一実施の形態に基づく、より少ないAOMを用いて複数のビームを生成する例示的システムのブロック図である。
【図18】一実施の形態に基づく、2つのRF信号によって駆動される例示的なAOMのブロック図である。
【図19】一実施の形態に基づく、図18に示すAOM及びRF電源と共にCWレーザを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この開示は、高い繰返し速度で安定したレーザパルス列を生成し、及びレーザパルス列内の1つ以上のパルスを整形するシステム及び方法を説明する。また、ある実施の形態では、単一のパルスの連続波(continuous wave:CW)又は準CWレーザから複数の加工ヘッドに複数のレーザビームを供給し、スループットを向上させる。このような実施の形態の1つでは、単一の光偏向器は、複数の加工ヘッドに複数のレーザビームを分配するように構成される。
【0016】
以下で参照する図面では、同様の要素には同様の参照符号を付している。説明を明瞭にするために、参照符号の第1の桁は、対応する要素が最初に示される図面番号を表す。以下の記述では、本発明の実施の形態の完全な理解のために多くの具体的な詳細事項を提示する。但し、具体的な詳細事項の1つ以上がなくても、又は他の方法、部品又は材料によっても本発明を実施できることは当業者にとって明らかである。更に、幾つかの場合、本発明の側面が不明瞭になることを回避するために、よく知られている構造、材料又は操作については詳細に図示又は説明していない。更に、ここに説明する特徴、構造又は特性は、適切な如何なる手法で、1つ以上の実施の形態において組み合わせてもよい。
【0017】
A.安定したパルス列
上述のように、従来のRF励起COレーザは、あるPRFより高い離散的なレーザパルスを生成せず、一般的に、パルス間のエネルギーの不安定性の度合いが高い。したがって、このようなレーザでは、一貫した加工品質を達成できないことがある。更に、ターゲット材料に印加されるエネルギーの全てが熱剥離(thermal ablation)加工における使用のために変換されるわけではない。材料に印加されるエネルギーの供給量と、アブレーションのために用いられるエネルギーとの間の差分は、熱エネルギーとして材料内に部分的に残ることがある。この余分な熱エネルギーは、例えば、過度の溶解、剥離、熱影響部、リキャスト酸化層、過度のデブリ、チッピング及びクラッキングを引き起こすことがある。
【0018】
そこで、ここに開示するある実施の形態では、時間的に矩形のレーザパルスの安定したパルス列を生成し、パルス間及び単一のパルス内のレーザ/材料の相互作用を制御する。パルスの列間及び単一のパルス内でのパルスエネルギー及び時間的パルス幅の微調整により、好ましくない副作用を最小化又は低減することによって、熱剥離を最適化できる。これにより、例えば、ビア穴あけ又はスクライビングのための精密な加工制御が達成される。
【0019】
一実施の形態においては、光学シャッタ又は高速スイッチングデバイス、例えば、音響光学変調器(acousto-optic modulator:AOM)又は電気光学変調器(electro-optic modulator:EOM)が、CW又は準CWレーザビームを受光し、非常に高いPRFで安定したパルスの列を生成する。例えば、一実施の形態では、最大約1MHzのPRFで安定した矩形レーザパルスの列が生成される。PRFは、例えば、高速スイッチングデバイス(例えば、AOM)の立ち上がり/立ち下がり時間及び/又はレーザビームのサイズ等の因子に依存する場合がある。例えば、より大きいレーザビームは、比較的長い立ち上がり/立ち下がり時間を必要とすることがある。ここに開示するシステム及び方法によって生成されるより高いPRFは、安定した矩形パルスの列を提供し、これを用いて、ターゲット材料内に滑らかなカーフを形成することができる。
【0020】
一実施の形態においては、加工品質を最適化し、又は向上させるために、レーザビームのRF励起の期間を選択的に調整して、パルスエネルギー及び/又は時間的パルス幅を調節する。このような実施の形態により、プリント基板(printed circuit board:PCB)産業における材料の加工、フラットパネルディスプレイ産業における偏光フィルムの加工、及び/又は自動車産業等の他の産業における金属及び金属/プラスチックの加工のための微調整が実現する。
【0021】
上述のように、励起状態の緩和時間が約50μs〜約100μsの従来のRFパルスCOレーザでは、約10kHz以下のPRFで、離散的なレーザパルスが提供される。例えば、図1及び図2は、レーザを駆動するために用いられ、比較的低いパルス繰り返し速度で、離散的なパルスを含む各レーザ出力112、212を生成する各RF信号110、210のタイミングチャートを図式的に示している。図1及び図2に示すレーザ出力112、212は、略同じパルス繰り返し速度を有する。しかしながら、レーザの励起状態の緩和時間、並びに図1に示すRF信号110(比較的広いパルス及び約50%のデューティサイクルを有する)及び図2に示すRF信号210(比較的狭いパルス及び約25%のデューティサイクルを有する)が提供するRF励起の期間の差分のために、レーザ出力112のパルスは、レーザ出力212のパルスとは異なる形状を有する。
【0022】
ここで、レーザがより高いパルス繰り返し速度で駆動されると、レーザパルス列に含まれるCW成分が増加し始める。例えば、図3、図4及び図5は、レーザを駆動するために用いられ、高められたパルス繰り返し速度で、各レーザ出力312、412、512を生成するRF信号310、410、510のタイミングチャートを図式的に示している。図3に示すRF信号310のパルスの時間的幅は、図1に示すRF信号110のパルスの時間的幅と実質的に同じである。但し、図3に示すRF信号310は、図1に示すRF信号110のデューティサイクル(約50%)より高いデューティサイクル(約66.6%)を有する。したがって、図3に示すレーザ出力312は、図1に示すものより高いパルス繰り返し速度を有する。但し、レーザの励起状態の緩和時間のため、図3に示すRF信号310のより高いデューティサイクルは、図3に示すレーザ出力312のパルスの間にオフセット又はCW成分を導入する。
【0023】
同様に、図4及び図5に示すRF信号410、510のパルスの時間的幅は、図2に示すRF信号210のパルスの時間的幅と実質的に同じである。但し、図4に示すRF信号410は、図2に示すRF信号のデューティサイクル(約25%)より高いデューティサイクル(約50%)を有する。したがって、図4に示すレーザ出力412は、これに対応して、図2に示すものより高いパルス繰り返し速度を有する。但し、レーザの励起状態の緩和時間のため、図4に示すRF信号410のより高いデューティサイクルは、図4に示すレーザ出力412のパルスの間にオフセット又はCW成分を導入する。このように、レーザのパルス繰り返し速度を高めると、安定した離散的なパルスを提供するためのレーザの能力が低下する。
【0024】
(例えば、RF信号510のデューティサイクルが約83.3%になっている図5に示すように)デューティサイクルを高め続けると、レーザ出力512は、CWレーザの出力に近付いていく。ここでは、このようなレーザ出力512を準CW(準連続波)レーザ出力512と呼ぶ。一実施の形態では、高いPRFで安定したパルス列を生成するために、準CWレーザ出力512(又はCWレーザ出力)をAOMに供給する。AOMによって提供されるパルス列の安定性は、レーザ出力がCWレーザの出力に近付くほど向上する。
【0025】
例えば、図6は、一実施の形態に基づき、RFトリガ614によって駆動されるAOMの各出力レーザパルス列610、612のタイミングチャートを図式的に示している。レーザパルス列610に対応する具体例では、AOMは、40%のデューティサイクルでレーザを駆動することによって得られるCW成分を含むレーザビーム(図示せず)を受光する。この場合、図6に示すように、AOMによって提供されるレーザパルス列610には、パルス間のパルス波高の顕著な変動が含まれることになる。このようなレーザパルス列610では、カーフ品質が劣化するおそれがある。
【0026】
レーザパルス列612に対応する具体例では、AOMは、99%のデューティサイクルでレーザを駆動することによって得られる準CWレーザビーム(図示せず)を受光する。レーザパルス列614は、非常に安定しており、ターゲット材料に高品質のカーフを形成する。この開示から、安定したレーザパルス列614は、レーザの励起状態の緩和時間に応じて、他のデューティサイクルでレーザを駆動することによって生成できることは当業者には明らかである。例えば、一実施の形態では、レーザは、約80%〜約100%のデューティサイクルを用いて駆動される。適切な準CWレーザビームを実現するために、RF源は、レーザの励起状態の緩和時間より実質的に速くレーザを駆動するように構成される。
【0027】
一実施の形態においては、AOMを駆動するために用いられるRFトリガ614は、約100kHz〜約250kHzの範囲の周波数を有する。但し、RFトリガ614の周波数は、250kHzより実質的に高くてもよい。例えば、他の実施の形態では、RFトリガ614は、最大約1MHzの周波数を有する。ある実施の形態では、RFトリガの周波数は、AOMの立ち上がり/立ち下がり時間に基づいている。
【0028】
B.パルス整形
安定したレーザパルス列を生成することに加えて、又は他の実施の形態において、AOM(又はEOM等の他の高速スイッチングデバイス)は、レーザ加工品質を向上させるためにレーザパルス列内の1つ以上のパルスを整形する。レーザビームに曝された材料が加熱され、又は材料に固相から液相への相転移が生じると、材料の吸収断面積が変化することがある。レーザビームの1つ以上の特性を調整することによって、より効率的なレーザ/材料の結合(coupling)が実現される。
【0029】
例えば、図7A及び図7Bは、ある実施の形態に基づく、レーザ/材料の熱的結合を提供する少なくとも1つの整形パルスを含むレーザパルス列700の時間的プロファイルを図式的に示している。説明の目的のために、ここでは、レーザパルス列700を、第1のパルスのシリーズ710及び第2のパルスのシリーズ712として示している。これらの例示的な実施の形態では、AOMは、結合効率を高めるために、各シリーズ710、712内の最後のパルス714を整形する。これに加えて、又は他の実施の形態において、AOMは、各シリーズ710、712内の他の1つ以上のパルスを整形してもよい。各シリーズ710、712内のパルスの数、各シリーズ710、712の整形パルス714の数及び/又は整形パルス714の特定の形状を選択して、ターゲット材料に印加されるレーザエネルギーの供給量を制御することができる。
【0030】
一実施の形態においては、整形レーザパルス714の特定の形状は、AOMに適用されるRFトリガ614の形状(図6参照)に基づいている。例えば、RF生成器(図示せず)を用いて、レーザパルス列700の所望の時間的プロファイルと実質的に同様な時間的プロファイルを有するRFトリガ614を生成してもよい。すなわち、例えば、RF生成器は、矩形パルスから三角パルスへの切換を行い、又は矩形パルス及び三角パルスを結合して、図7A及び図7Bに示す整形パルス714を生成するように構成してもよい。
【0031】
例示的な実施の形態では、第1のターゲット位置(例えば、第1のビア位置)において第1のパルスのシリーズ710を材料に印加し、第2のターゲット位置(例えば、第2のビア位置)において第2のパルスのシリーズ712を材料に印加してもよい。もちろん、この開示から、レーザパルス列700は、第1のパルスのシリーズ710及び第2のパルスのシリーズ712に制限されないことは当業者にとって明らかである。更に、この開示から、第1のパルスのシリーズ710は、第2のパルスのシリーズ712と同じ数のパルスを含む必要はなく、シリーズ710、712は、幾つのパルスを含んでもよいことは当業者にとって明らかである。
【0032】
少なくとも1つのレーザパルス714を整形することに加えて、又は他の実施の形態において、パルス列700のCW成分を選択的に変更してもよい。例えば、図8は、一実施の形態に基づく、パルス波高の変動を含む図7Aに示すレーザパルス列700の時間的プロファイルを図式的に示している。期間808の間、(破線810によって示すように、)レーザパルス列700がオフセット値の上に留まっている場合、ターゲット材料は、オフセットレーザエネルギーによって継続的に照射され、このエネルギーは、ターゲット材料の総合的な熱的状態に加えられる(例えば、レーザエネルギーは、パルス間に最小値に戻らない)。このように、図8に示すレーザパルス列700は、図7Aに示すレーザパルス列700によって供給される供給量より高い量の熱エネルギーをターゲット材料に供給する。上述のように、RF生成器は、AOMに供給されるRFトリガ614を整形して、所望のオフセットを選択的に提供してもよい。
【0033】
これに加えて、又は他の実施の形態において、パルス列700のパルスのデューティサイクル値を選択的に調整してもよい。例えば、図9は、一実施の形態に基づく、時間的パルス幅及びパルス繰り返し速度の変動を含む図7Aに示すレーザパルス列700の時間的プロファイルを図式的に示している。ここでも、このような調整は、AOMに供給されるRFトリガ614を整形することによって行ってもよい。例えば、RF生成器は、RFトリガ610のRF振幅及び/又は時間的パルス幅を選択的に制御して、レーザパルス列610内に対応する変化を生成してもよい。
【0034】
この開示から、レーザパルス列700は、図7A、図7B、図8及び図9に示すパルス波形及び他のパルス列の変更に制限されないことは当業者にとって明らかである。実際に、AOMを用いて、ターゲット材料に印加されるレーザエネルギーの供給量を制御するために、レーザパルス列700に様々な異なる形状及び変更を選択的に提供してもよい。更に、単一のパルス列及び/又はパルスの単一のシリーズにおいて、1つ以上の変更(例えば、パルス波形、CWオフセット、時間的パルス幅、パルス波高及びデューティサイクル)を組み合わせてもよい。
【0035】
C.高い繰返し速度で安定したレーザパルス列を用いる具体例
以下の具体例は、説明の目的だけのために示し、本発明を限定するものではない。図10A及び図10Bは、従来のCW COレーザを用いた場合と、AOMによって提供される安定したパルス列を用いた場合とに達成される加工品質の相異を図式的に示している。図10Aは、従来のCW COレーザを用いてプラスチック材料に掘られた溝1000を図式的に示している。図10Bは、ある実施の形態に基づき、ここに開示するように、RFトリガによって駆動されるAOMが提供する高い繰返し速度の安定したレーザパルス列を用いてプラスチック材料に掘られた溝1001を図式的に示している。
【0036】
これらの図に示すように、従来のCW COレーザによって形成される溝1000は、安定したレーザパルス列によって形成される溝1001に比べて、より広い掘削領域及びより顕著な熱の影響を有する。例えば、従来のCW COレーザを用いて整形された溝1000のコーナ幅1004は、約314.02μmであることが観測され、上幅1002は、約201.18μmであることが観測され、側幅1006は、約207.23μmであることが観測された。COレーザを用いて形成された溝1001の対応する測定値は、コーナ幅1014が約245.61μmであり、上幅1012が約159.23μmであり、側幅1016が約172.48μmであった。更に、図10Bに示す溶解及びデブリ1008に比べて、図10Bに示す溶解及びデブリ1018が少ないことによって証明されるように、AOMを用いることによって、熱の影響が低減されている。
【0037】
他の具体例として、図11A及び図11Bは、ある実施の形態に基づき、RFトリガによって駆動されるAOMが提供する高い繰返し速度の安定したレーザパルス列を用いてプリント基板に開けられたビア1102、1112の断面を図式的に示している。この具体例では、図11Aにおいて穿孔された材料は、GX−3であり、図11Bにおいて穿孔された材料は、GX−13であり、これらは、味の素株式会社から入手可能な電子部品実装材料として一般的に使用されている。これらの図に示すように、AOMを用いることによって、従来のRFパルスレーザに比べてピークパルスパワーが下がっても、比較的高い繰返し率で安定したレーザパルス列を生成するここに開示するシステム及び方法によって、高品質なビアを形成することができる。
【0038】
D.パルスレーザからの複数のビームの生成
十分なピークパワーを有さないレーザでは、レーザビームを分割することは、複数のビームパスにビームを供給するための好ましい手法ではない。したがって、一実施の形態では、単一のパルス又はCW COレーザから複数の加工ヘッドにレーザビームを供給することによって加工スループットを向上させる。従来の手法では、パルス列内の異なるパルス又は異なるパルスの単一の部分は、異なるビームパスに沿って異なる加工ヘッドに振り分けられる。例えば、図12は、従来のRFパルス励起レーザによって生成された時間的レーザビーム1210について、第1の加工ヘッド(ヘッド1)に振り分けられた第1のパルス1212と、第2の加工ヘッド(ヘッド2)に振り分けられた第2のパルス1214と、ビームダンプに振り分けられた結果的なレーザビーム1216とに関するタイミングチャートを図式的に示している。この図に示すように、第1の加工ヘッドに振り分けられた第1のパルス1212は、レーザビーム1210の第1のパルス1218から時間的に「スライスされ」、第2の加工ヘッドに振り分けられた第2のパルス1214は、レーザビーム1210の第2のパルス1220から時間的にスライスされている。
【0039】
一実施の形態においては、単一のレーザパルスから時間的にスライスされた複数のパルスを各加工ヘッドに振り分けることによってパルス繰り返し速度を高める。例えば、図13は、一実施の形態に基づくRFパルス励起レーザによって生成された時間的レーザビーム1310について、第1のヘッド(ヘッド1)、第2のヘッド(ヘッド2)、第3のヘッド(ヘッド3)及びビームダンプに振り分けられた波形に関するタイミングチャートを図式的に示している。レーザビーム1310は、第1のパルス1312及び第2のパルス1314を含む。
【0040】
この具体例におけるAOMは、レーザビームの第1のパルス1312から第1の複数のパルス1316、1318、1320を時間的にスライスし、第1の複数のパルス1316、1318、1320のそれぞれを各加工ヘッドに振り分けるように構成されている。また、このAOMは、レーザビームの第2のパルス1314から第2の複数のパルス1322、1324、1326を時間的にスライスし、第2の複数のパルス1322、1324、1326のそれぞれを各加工ヘッドに振り分けるように構成されている。このようにして、第1のパルス1312及び第2のパルス1314のそれぞれから、より多くの時間的幅が使用されている。但し、各加工ヘッドに提供されるパルス繰り返し速度は、レーザビーム1310のパルス繰り返し速度によって制限される。上述のように、パルスレーザビームは、一般的に、パルス繰り返し速度が高まると(例えば、5kHz以上)、不安定になり、CW成分を含み始める。したがって、図13に示すようにパルスレーザからレーザビームを時間的にスライスすることは、ある用途、例えば、フィルム加工等には適さない場合がある。
【0041】
図14は、一実施の形態に基づく、単一のRFパルスレーザ1410から複数のビームを生成するための例示的システム1400のブロック図である。図14に示すシステムは、例えば、図13に示す波形を生成するために使用することができる。RFパルスレーザ1410は、レーザビームを生成し、このレーザビームは、直列に構成されたAOM1412、1414、1416を通過する。システム1400は、図13に示すような複数のビームを提供するために、AOM1412、1414、1416を用いて、時間的なパルス内スライス(intra-pulse slices)を生成する。換言すれば、各AOM1412、1414、1416は、第1のパルス1312及び第2のパルス1314の各部分を偏向して、加工ヘッドに向かう各パスに落とし込む。各AOM1412、1414、1416が提供する偏向角は、AOM1412、1414、1416を駆動するために用いられるRF信号(例えば、図6に示すRFトリガ614)の周波数によって決まる。ある実施の形態では、EOM又はAOMとEOMの組合せを用いてもよい。
【0042】
E.CW又は準CWレーザからの複数のビーム生成
他の実施の形態においては、ビーム分配/時間整形デバイス(例えば、AOM及び/又はEOM)と共にCW又は準CWレーザを用いて、複数の加工ヘッドに亘ってパルスを分配する。ここに示すシステム及び方法では、従来の手法による複数のビームの供給より速い複数のビームの供給が可能になる。ある実施の形態では、マルチ加工システム(multiple machining system)内のビーム分配/時間整形デバイスの数も低減される。したがって、加工スループットが向上する。
【0043】
図15は、一実施の形態に基づくCWレーザによって生成された時間的CWレーザビーム1510について、第1のヘッド(ヘッド1)、第2のヘッド(ヘッド2)、第3のヘッド(ヘッド3)、第4のヘッド(ヘッド4)及びビームダンプに振り分けられた波形に関するタイミングチャートを図式的に示している。CWレーザビーム1510は、時分割され、異なる光路に供給される。他の実施の形態では、準CWレーザを用いて、レーザビーム1510を生成してもよい(例えば、図5参照)。
【0044】
CW又は準CWレーザ光源を使用しているので、各パスに提供されるパルス繰り返し速度は、各波形を生成するために用いられるAOM及び/又はEOMの速度によって決まる。上述のように、一実施の形態では、AOMは、最大約1MHzの速度で切換えることができる。図15に例示的に示すように、レーザビーム1510が4つの加工ヘッド間で時間的に切り取られる場合、各加工ヘッドに提供される波形のパルス繰り返し速度は、AOMの切換速度の約1/4と同程度の高さになる。
【0045】
図16は、一実施の形態に基づく、単一のCW又は準CWレーザ1610から複数のビームを生成するための例示的システム1600のブロック図である。図16に示すシステム1600は、例えば、図15に示す波形を生成するために使用することができる。CW又は準CWパルスレーザ1610は、レーザビームを生成し、このレーザビームは、直列に構成されたAOM1612、1614、1616、1618を通過する。各AOM1612、1614、1616、1618は、レーザビーム1510の時間的な各部分を偏向して、加工ヘッドに向かう各パスに落とし込む。上述のように、AOM1612、1614、1616、1618が提供する偏向角は、AOM1612、1614、1616、1618を駆動するために用いられるRF信号の周波数によって決まる。
【0046】
図16に示す例示的システム1600は、各ビームパスあたり1つのAOMを用いる。このような実施の形態では、最後のビームは、各AOMの回折効率による影響を受ける。更に、使用するAOMの数を増やすと、システム1600のコストが高くなる。したがって、一実施の形態では、単一のAOMが、レーザビームの各部分を偏向して、複数のビームパスに落とし込むように構成する。これによって、AOMの数を削減できる。
【0047】
例えば、図17は、一実施の形態に基づく、より少ないAOM1710、1712を用いて複数のビームを生成する例示的システム1700のブロック図である。各AOM1710、1712は、2つのRF信号によって駆動される。上述のように、各AOM1710、1712の偏向角は、RF信号の周波数に比例する。この具体例では、各AOM1710、1712は、第1の周波数(RF周波数1)及び第2の周波数(RF周波数2)で駆動される。AOM1710、1712に適用されるRF周波数を切換えることによって、各AOM1710、1712は、ビームを異なる光路に偏向することができる。総合的な角度偏差は、RF周波数、波長及び材料特性によって決まる。図16に示すシステム1600に比べて、図17に示すシステム1700は、半数のAOMを使用して、同数のヘッドにレーザビームを提供する。加えて、または他の実施の形態では、各AOM1710、1712は、上述したように、各レーザビーム毎に異なる時間的パルス幅、パルス繰り返し速度及び/又はパルス整形を提供するように構成してもよい。
【0048】
図18は、一実施の形態に基づく、2つのRF信号によって駆動される例示的なAOM1810のブロック図である。この具体例では、AOM1810は、米国ヴァージニア州スプリングフィールドのアイソメット社(Isomet Corp.)から入手可能な高パワー音響光学変調器/偏向器(high power acousto-optic modulator/deflector)を備える。AOM1810は、RF電源1812によって駆動される。この具体例では、RF電源1812は、同様にアイソメット社から入手可能なRFドライバ/増幅器RFA4060−2を備える。
【0049】
RF電源1812は、周波数選択入力及び変調入力を有する。周波数選択入力は、RF出力周波数を切換えるためのものである。一実施の形態においては、周波数選択入力は、RF電源1812によって内部的にローに引かれている。一例として周波数選択入力においてローレベルがアサートされると、約60MHzが選択され、ハイレベルがアサートされると、約40MHzが選択される。変調入力は、両方のRF出力(RF1及びRF2)を制御して、デジタル又はアナログ変調を同時に提供する。この例示的な実施の形態では、RF電源1812内の増幅器のRF切換の立ち上がり及び立ち下がり時間は、約200ナノ秒である。各周波数における最大のRF出力は、RF電源1812内の電力調整ポテンショメータによって設定される。
【0050】
図19は、一実施の形態に基づく、図18に示すAOM1810及びRF電源1812と共にCWレーザ1910を示すブロック図である。図19に示すように、RFコントローラへの入力を切り換えることによって、レーザビームは、選択された周波数RF1、RF2に応じて、異なる角度に振り分けられる。
【0051】
0次と1次の間の分離角度は、以下の式によって表される。
【数1】

【0052】
入射ガウスビームの光立ち上がり時間は、以下のように概算される。
【数2】

【0053】
ここで、λ=波長であり、fc=中心周波数(例えば、40MHz/60MHz)であり、v=相互作用する材料の音響速度(例えば、5.5mm/μ秒(Ge))であり、d=1/eビーム直径である。
【0054】
本発明の基底にある原理から逸脱することなく、上述の実施の形態の詳細に多くの変更を加えることができることは当業者にとって明らかである。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い繰返し速度で安定したレーザパルス列を生成するレーザ加工システムであって、
レーザパルス列によって材料のターゲット位置を照射するように構成された加工ヘッドと、
連続波(continuous wave:CW)又は準CWレーザビームを生成するように構成されたレーザ光源と、
前記レーザ光源の外部に配置され前記レーザ光源から分離された光学シャッタと、
を備え、
前記光学シャッタは、
前記レーザ光源からCW又は準CWレーザビームを受光し、
制御信号を受信し、
前記制御信号に基づいて前記CW又は準CWレーザビームからレーザパルス列を生成し、
前記レーザパルス列のなかの1以上のレーザパルスを選択的に整形して前記材料に加えられるレーザエネルギー量を制御し、
前記加工ヘッドに前記レーザパルス列を振り分けるように構成されており、
前記選択的に整形する前記レーザパルスの形状は、高速立ち上がり時間を有するとともに前記レーザエネルギーと前記材料の結合効率を増加させるように構成されている、
レーザ加工システム。
【請求項2】
前記レーザ光源は、無線周波数(radio frequency:RF)パルスレーザを含み、当該システムは、前記RFパルスレーザの励起状態の緩和時間より実質的に速く前記RFパルスレーザを駆動して、前記CW又は準CWレーザビームを生成するRF源を更に備える請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記RF源は、約80%から約100%の間のデューティサイクルを有するRF信号によってRFパルスレーザを駆動するように更に構成されている請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記光学シャッタは、音響光学変調器(acousto-optic modulator:AOM)を含み、前記制御信号は、RFトリガを含み、前記AOMは、前記RFトリガの時間的パルス幅及びパルス繰り返し速度に基づいて、前記CW又は準CWレーザビームの複数の時間的な部分を選択して前記加工ヘッドに振り分けることによって、レーザパルス列を生成するように構成されている請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記パルス繰り返し速度は、約1MHzまでの範囲内にある請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記AOMは、前記RFトリガのパルス波形に基づいて前記レーザパルス列の1つ以上のパルスを整形するように更に構成されている請求項4記載のシステム。
【請求項7】
前記整形は、前記レーザパルス列の特定のパルスの時間的パルス幅を変更することを含む請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記整形は、所定の期間、閾値を上回る前記レーザパルス列のCW成分を変更することを含む請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記整形は、前記レーザパルス列のデューティサイクルを選択的に調整することを含む請求項6記載のシステム。
【請求項10】
前記光学シャッタは、電気光学変調器である請求項1記載のシステム。
【請求項11】
レーザ光源を用いて、連続波(continuous wave:CW)又は準CWレーザビームを生成する工程と、
前記レーザ光源の外部において前記レーザ光源から分離して前記CW又は準CWレーザビームの部分を時間的にスライスし、レーザパルス列を生成する工程と、
前記レーザパルス列のなかの1以上のレーザパルスを選択的に整形して前記材料に加えられるレーザエネルギー量を制御する工程と、
前記レーザパルス列を材料のターゲット位置に振り分ける工程と、
を有し、
前記選択的に整形する前記レーザパルスの形状は、高速立ち上がり時間を有するとともに前記レーザエネルギーと前記材料の結合効率を増加させるように構成されている、
レーザ加工方法。
【請求項12】
前記CW又は準CWレーザビームを生成する工程は、前記レーザの励起状態の緩和時間より実質的に速くパルスレーザを駆動する工程を含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記パルスレーザを駆動する工程は、約80%から約100%の間のデューティサイクルを有する無線周波数信号によって前記パルスレーザを駆動する工程を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記CW又は準CWレーザビームの部分を時間的にスライスする工程は、
前記CW又は準CWレーザビームを音響光学変調器(acousto-optic modulator:AOM)に振り分ける工程と、
前記レーザパルス列に対応する時間的幅及びパルス繰り返し速度を有するパルスを含む無線周波数(radio frequency:RF)トリガによって前記AOMを駆動する工程とを含む請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記パルス繰り返し速度は、約1MHzまでの範囲内にある請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記RFトリガ内の1つ以上のパルスを整形することによって、前記レーザパルス列内の1つ以上のパルスを整形する工程を更に有する請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記整形は、前記レーザパルス列の特定のパルスの時間的パルス幅を変更することを含む請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記整形は、所定の期間、閾値を上回るように前記レーザパルス列のCW成分を変更することを含む請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記整形は、前記レーザパルス列のデューティサイクルを選択的に調整することを含む請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−63469(P2013−63469A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−262164(P2012−262164)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2009−547241(P2009−547241)の分割
【原出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】