説明

杭打機

【課題】専用部品を不要とし、構造の簡素化を図ることができる杭打機を提供すること。
【解決手段】杭打機1によれば、連結部60の外力支持部61b,62bが係止部に係止されることで、リーダ20に配設されたオーガの回転駆動反力による荷重を係止部によって支持することができ、支持フレーム40を揺動させることを目的とした連結部60には荷重が作用しないので、連結部60の破損を回避することができる。その上、外力支持部61b,62bが連結部60を利用して形成されているので、専用部品を不要とし、構造の簡素化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、特に、専用部品を不要とし、構造の簡素化を図ることができる杭打機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
杭打機とは、杭打ち作業を行うための建設機械であり、一般に、車体と、その車体に立設されるリーダと、そのリーダに配設されるオーガとを備えて構成されている。例えば、特許文献1には、車体に配設され、リーダを支持するリーダ支持フレームと、そのリーダ支持フレームを揺動可能として車体に連結する回転支持部と、リーダ支持フレームに作用する外力を支持するための荷重受け部とを備えた杭打機が開示されている。
【0003】
この杭打機では、荷重受け部によって、リーダ支持フレームに作用する外力を支持するための支持構造を構成することで、かかる外力が回転支持部に直接作用して回転支持部が破損することを防止している。
【特許文献1】特開2006−219916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1における杭打機では、荷重受け部が支持構造を構成する専用部品であるため、部品点数が増加して、構造が複雑になるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、専用部品を不要とし、構造の簡素化を図ることができる杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を解決するために請求項1記載の杭打機は、車体と、その車体に立設されると共にオーガが装着されるリーダとを備えるものであって、前記車体に設けられる係止部と、前記車体に配設され、前記リーダを起立した状態に支持するリーダ支持部材と、そのリーダ支持部材を前記車体に揺動可能に連結する連結部と、その連結部に形成されると共に、前記リーダ支持部材の揺動方向と交差する方向において前記係止部に係止される外力支持部とを備え、その外力支持部が前記係止部に係止されることで、前記リーダ支持部材の揺動を可能としつつ、前記リーダ支持部材に作用する前記揺動方向と交差する方向への外力を前記連結部によって支持する。
【0007】
請求項2記載の杭打機は、請求項1記載の杭打機において、前記係止部は前記揺動方向と交差する方向において一対設けられ、それら一対の係止部は前記リーダ支持部材側へそれぞれ突設されると共に前記揺動方向へそれぞれ延設されており、前記外力支持部は前記揺動方向と交差する方向において前記一対の係止部の内側または外側に一対設けられ、それら一対の外力支持部は前記車体側へそれぞれ突設されると共に前記揺動方向へそれぞれ延設されて、前記一対の係止部にそれぞれ係止される。
【0008】
請求項3記載の杭打機は、請求項1又は2に記載の杭打機において、前記リーダは、前記リーダ支持部材に前記揺動方向と交差する方向へ起伏可能に連結されている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の杭打機によれば、リーダ支持部材は、リーダを起立した状態に支持すると共に、連結部によって車体に揺動可能に連結される。また、外力支持部は、連結部に形成されると共に、リーダ支持部材の揺動方向と交差する方向において車体に設けられた係止部に係止される。よって、外力支持部が係止部に係止されることで、オーガの回転駆動反力による荷重を係止部によって支持することができ、リーダ支持部材を揺動させることを目的とした連結部には荷重が作用しないので、連結部の破損を回避することができる。
【0010】
その上、請求項1によれば、外力支持部が連結部を利用して形成されているので、専用部品を不要とし、構造の簡素化を図ることができるという効果がある。更に、構造を簡素化することができれば、その分、かかる構造を少スペースで構成することができるという効果がある。
【0011】
また、オーガの回転駆動反力による荷重を支持するための支持構造を専用部品で構成する場合には、部品点数が増加するため、各部品の加工寸法や組立寸法などの寸法管理が複雑化すると共に各部品の加工精度や組立精度などの寸法精度が高精度に要求され、杭打機の製造が極めて困難となるところ、請求項1のように連結部を利用することにより部品点数を削減できるので、杭打機を容易に製造することができるという効果がある。更に、部品点数を削減できれば、製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
【0012】
請求項2記載の杭打機によれば、請求項1記載の杭打機の奏する効果に加え、係止部はリーダ支持部材の揺動方向と交差する方向において一対設けられ、それら一対の係止部はリーダ支持部材側へそれぞれ突設されると共に、外力支持部はリーダ支持部材の揺動方向と交差する方向において一対の係止部の内側または外側に一対設けられ、それら一対の外力支持部は車体側へ突設されているので、係止部または外力支持部のいずれか一方を凹設する場合と比較して、車体またはリーダ支持部材の剛性低下を回避することができるという効果がある。
【0013】
また、係止部および外力支持部はリーダ支持部材の揺動方向へそれぞれ延設されているので、外力支持部が係止部に係止される面積の拡大を図ることができ、支持構造の剛性を強化することができるという効果がある。
【0014】
請求項3記載の杭打機によれば、請求項1又は2に記載の杭打機の奏する効果に加え、リーダはリーダ支持部材に揺動方向と交差する方向へ起伏可能に連結されているので、リーダが起伏する際の起伏力を連結部により支持することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、杭打機1の概略構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態における杭打機1の側面図である。なお、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、杭打機1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0016】
図1に示すように、杭打機1は、車体10と、その車体10の前方(矢印F方向)部分に配設されるリーダ20と、そのリーダ20に配設されるオーガ30とを主に備え、例えば、オーガ30の回転駆動装置(図示せず)を回転駆動させつつ昇降装置31によってオーガ30を昇降させることで、オーガ30に取り付けた掘削ロッド(図示せず)を回転させつつ地盤中へ掘進させて地盤の掘削作業を行うと共に、オーガ30に取り付けた鋼管杭(図示せず)を回転させつつ地盤中へ圧入して杭打ち作業を行うことができるように構成されている。
【0017】
車体10は、走行装置としての下部走行体11と、その下部走行体11上に配設される上部旋回体12とを主に備えている。なお、本実施形態では、下部走行体11がクローラ式の走行装置として構成されている。上部旋回体12は、オーガ30の駆動源となるパワーユニット13や運転室14などが配設される杭打機1の本体部であり、旋回装置(図示せず)を介して下部走行体11に旋回可能に支持されている。
【0018】
リーダ20は、オーガ30を支持するためのものであり、支持軸21によって支持フレーム40に軸支され、その支持フレーム40を介して上部旋回体12に連結されると共に、バックステーシリンダ22によって車体10後方(矢印B方向)側から支持されている。バックステーシリンダ22は、リーダ20を起伏させるためのアクチュエータであり、上端側(ロッド側)が支持軸23によってリーダ20に軸支されると共に、下端側(本体部側)が支持軸24(図2(a)参照)によって支持フレーム40に軸支されている。これにより、リーダ20は、バックステーシリンダ22が伸長駆動すると、車体10に対して起立する一方、バックステーシリンダ22が短縮駆動すると、支持軸21を中心として車体10後方(矢印B方向)側へ倒伏する。
【0019】
オーガ30は、上述したように、杭打ち作業などを行うための作業装置であり、昇降装置31によってリーダ20に昇降可能に支持されている。これにより、オーガ30は、昇降装置31が上昇駆動すると、リーダ20上方(矢印U方向)側へ上昇する一方、昇降装置31が下降駆動すると、リーダ20下方(矢印D方向)側へ下降する。
【0020】
ところで、オーガ30によって杭打ち作業などを行う場合、地盤が車体10左右方向(矢印L−R方向)へ傾斜していると、車体10が傾き、その車体10の傾きに伴ってリーダ20が傾くことで、かかる作業を正常に行うことができなくなる。そこで、支持フレーム40は、リーダ20を車体10左右方向(矢印L−R方向)へ揺動させるための揺動構造を介して上部旋回体12に揺動可能に連結されている。
【0021】
ここで、図2を参照して、上述した揺動構造について説明する。図2(a)は、図1のAで示す部分を拡大して示す杭打機1の拡大側面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向視における杭打機1の拡大正面図である。なお、図2の矢印U−D,L−R,F−Bは、杭打機1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。また、図2(a)では、上部旋回体12、リーダ20及びバックステーシリンダ22の一部を省略して示していると共に、図2(b)では、上部旋回体12の一部と、リーダ20及びバックステーシリンダ22とを省略して示している。
【0022】
図2に示すように、リーダ20を車体10左右方向(矢印L−R方向)へ揺動させるための揺動構造は、支持フレーム40の側方(矢印R方向)部分に配設されるチルトシリンダ50と、支持フレーム40の側方部分であってチルトシリンダ50が配設される側とは反対側の側方(矢印L方向)部分に配設される連結部60とを備えて構成されている。
【0023】
チルトシリンダ50は、支持フレーム40を揺動させるためのアクチュエータであり、上端側(本体部側)が支持軸51によって一対の上部シリンダブラケット70,71に軸支されると共に、下端側(ロッド側)が支持軸52によって一対の下部シリンダブラケット72,73に軸支されている。
【0024】
連結部60は、支持フレーム40を上部旋回体12に揺動可能に連結するためのものであり、支持フレーム40に配設される一対のチルトブラケット61,62(図3参照)と、上部旋回体12に配設される一対の支持ブラケット63,64(図4参照)と、チルトブラケット61,62を支持ブラケット63,64に軸支する支持軸65とを備えて構成されている。
【0025】
かかる揺動構造が上記のように構成されることで、支持フレーム40は、チルトシリンダ50が伸長駆動すると、連結部60の支持軸65を中心として車体10左方向(矢印L方向)側へ揺動する一方、チルトシリンダ50が短縮駆動すると、連結部60の支持軸65を中心として車体10右方向(矢印R方向)側へ揺動する。これにより、地盤が車体10左右方向(矢印L−R方向)へ傾斜している場合でも、リーダ20を車体10左右方向(矢印L−R方向)へ揺動させることができる。
【0026】
次に、図3を参照して、支持フレーム40の詳細構成について説明する。図3は支持フレーム40の外観図であり、図3(a)は支持フレーム40の右側面図を、図3(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向視における支持フレーム40の正面図を、図3(c)は、図3(a)の矢印IIIc方向視における支持フレーム40の下面図を、図3(d)は、図3(b)の矢印IIId方向視における支持フレーム40の左側面図を、それぞれ示している。なお、図3の矢印U−D,L−R,F−Bは、支持フレーム40の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示しており、杭打機1の上下方向、左右方向、前後方向にそれぞれ対応する。
【0027】
図3に示すように、支持フレーム40は、メインフレーム41と、そのメインフレーム41の後方(矢印B方向)部分に連設されるサブフレーム42とを備えて構成されている。メインフレーム41は、リーダ20を軸支するためのものであり、略矩形状の基盤部41aと、その基盤部41aの長辺両縁部分に垂設される一対のリーダ支持部41b,41cとを備え、正面視略U字状に形成されている。また、リーダ支持部41b,41cには、貫通孔41b1,41c1がそれぞれ穿設されており、この貫通孔41b1,41c1には、支持軸21が挿通される(図2参照)。これにより、リーダ20が支持フレーム40に軸支される。なお、リーダ支持部41b,41cには、補強部材43,44がそれぞれ配設されており、この補強部材43,44によってメインフレーム41の剛性が強化されている。
【0028】
サブフレーム42は、バックステーシリンダ22を軸支するためのものであり、支持フレーム40の左右方向(矢印L−R方向)へ所定間隔で互いに対向して配設される一対のシリンダ支持部42a,42bと、それら一対のシリンダ支持部42a,42bを互いに連結してメインフレーム41に固定する連結固定部42cとを備えている。また、シリンダ支持部42a,42bには、貫通孔42a1,42b1がそれぞれ穿設されており、この貫通孔42a1,42b1には、支持軸24が挿通される(図2(a)参照)。これにより、バックステーシリンダ22が支持フレーム40に軸支される。
【0029】
支持フレーム40の側面(矢印R方向の面)には、一対の上部シリンダブラケット70,71が突設されている。上部シリンダブラケット70,71は、上述したように、チルトシリンダ50を軸支するためのものであり、支持フレーム40の前後方向(矢印F−B方向)へ所定間隔で互いに対向して配設されている。また、上部シリンダブラケット70,71には、貫通孔70a,71aがそれぞれ穿設されており、この貫通孔70a,71aには、支持軸51が挿通される(図2参照)。これにより、チルトシリンダ50が一対の上部シリンダブラケット70,71に軸支される。
【0030】
また、支持フレーム40の側面であってシリンダブラケット70,71が配設される側とは反対側の側面(矢印L方向の面)には、一対のチルトブラケット61,62が突設されている。チルトブラケット61,62は、上述したように、支持ブラケット63,64及び支持軸65と共に連結部60を構成するためのものであり、支持フレーム40の前後方向(矢印F−B方向)へ所定間隔で互いに対向して配設されている。また、チルトブラケット61,62には、貫通孔61a,62aがそれぞれ穿設されており、この貫通孔61a,62aには、支持軸65が挿通される(図2(b)及び図5参照)。これにより、一対のチルトブラケット61,62が一対の支持ブラケット63,64に軸支され、連結部60が構成される。
【0031】
更に、チルトブラケット61,62には、外力支持部61b,62bがそれぞれ一体に形成され、一対の外力支持部61b,62bが構成されている。外力支持部61b,62bは、後述する係止部80,81(図4参照)にそれぞれ係止される部位であり、支持フレーム40の下方(矢印D方向)側へそれぞれ突設されると共に、貫通孔61a,62aの軸心Oと直交して支持フレーム40の右方向(矢印R方向)側へそれぞれ直線状に延設されている。即ち、一対の外力支持部61b,62bは、支持フレーム40と上部旋回体12とが連結部60によって互いに連結された状態では、上部旋回体12側へそれぞれ突設されると共に、支持フレーム40の揺動方向と交差する方向へそれぞれ延設され、一対の係止部80,81に係止されるように構成されている(図5参照)。
【0032】
次に、図4を参照して、上部旋回体12の詳細構成について説明する。図4は上部旋回体12の外観図であり、図4(a)は上部旋回体12の上面図を、図4(b)は、図4(a)の矢印IVb方向視における上部旋回体12の側面図を、図4(c)は、図4(a)の矢印IVc方向視における上右旋回体12の正面図を、それぞれ示している。なお、図4の矢印U−D,L−R,F−Bは、上部旋回体12の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示しており、杭打機1の上下方向、左右方向、前後方向にそれぞれ対応する。また、図4(a)及び図4(b)では、上部旋回体12の後方(矢印B方向)部分を省略して示していると共に、図4(c)では、上部旋回体12の下方(矢印D方向)部分を省略して示している。
【0033】
図4に示すように、上部旋回体12の前方(矢印F方向)部分には、一対の下部シリンダブラケット72,73と、一対の支持ブラケット63,64と、一対の係止部80,81とが配設されている。
【0034】
上部旋回体12の側面(矢印R方向の面)には、固定部材74を介して一対の下部シリンダブラケット72,73が突設されている。下部シリンダブラケット72,73は、上述したように、チルトシリンダ50を軸支するためのものであり、上部旋回体12の前後方向(矢印F−B方向)へ所定間隔で互いに対向して配設されている。また、下部シリンダブラケット72,73には、貫通孔72a,73aがそれぞれ穿設されており、この貫通孔72a,73aには、支持軸52が挿通される(図2参照)。これにより、チルトシリンダ50が一対の下部シリンダブラケット72,73に軸支される。
【0035】
上部旋回体12の上面(矢印U方向の面)には、一対の支持ブラケット63,64が突設されている。支持ブラケット63,64は、上述したように、チルトブラケット61,62及び支持軸65と共に連結部60を構成するためのものであり、上部旋回体12の前後方向(矢印F−B方向)へ所定間隔で互いに対向して配設されている。また、支持ブラケット63,64には、貫通孔63a,64aがそれぞれ穿設されており、この貫通孔63a,64aには、支持軸65が挿通される(図2(b)及び図5参照)。これにより、一対のチルトブラケット61,62が一対の支持ブラケット63,64に軸支され、連結部60が構成される。
【0036】
また、上部旋回体12の上面(矢印U方向の面)には、一対の係止部80,81が突設されている。係止部80,81は、上述したように、チルトブラケット61,62に形成された外力支持部61b,62bをそれぞれ係止するためのものであり、上部旋回体12の前後方向(矢印F−B方向)へ所定間隔で互いに対向し、且つ、支持ブラケット63,64に形成された貫通孔63a,64aの軸心を互いに結ぶ仮想線Sと直交して配設されている。即ち、一対の係止部80,81は、支持フレーム40と上部旋回体12とが連結部60によって互いに連結された状態では、上部旋回体12側へそれぞれ突設されると共に、支持フレーム40の揺動方向と交差する方向へそれぞれ延設され、一対の外力支持部61b,62bを係止するように構成されている(図5参照)。なお、係止部80,81には、貫通孔80a,81aがそれぞれ穿設されており、この貫通孔80a,81aには、支持軸65が挿通される(図5参照)。また、上部旋回体12には、補強部材82,83がそれぞれ配設されており、この補強部材82,83によって係止部80,81の剛性が強化されている。
【0037】
次に、図5を参照して、上述のように構成された支持フレーム40と上部旋回体12とが連結部60によって互いに連結された場合の作用について説明する。図5は、図2(b)のV−V線における杭打機1の断面図である。なお、図5の矢印U−D,L−R,F−Bは、杭打機1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。また、図5では、上部旋回体12の後方(矢印B方向)部分と側方(矢印LおよびR方向)部分とを省略して示している。
【0038】
図5に示すように、支持フレーム40と上部旋回体12とが連結部60によって互いに連結された場合には、支持フレーム40の揺動方向(矢印L−R方向)と交差する方向(矢印F−B方向)において、連結部60に形成された一対の外力支持部61b,62bが一対の係止部80,81を挟んで外側に位置し、一対の外力支持部61b,62bが一対の係止部80,81に係止される。これにより、リーダ20に配設されたオーガ30の回転駆動反力による荷重を係止部80,81によって支持することができ、支持フレーム40を揺動させることを目的とした連結部60には荷重が作用しないので、連結部60の破損を回避することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、係止部80,81の外力支持部61b,62bが係止される係止面には、かじり等が発生しないように、スライドプレート84,85が配設されている。但し、スライドプレート84,85は、自己潤滑性のある樹脂材や黒鉛を主体とした固体潤滑剤を特殊銅合金に分散焼結して含油処理を施したオイレスプレート等でも良い。これにより、潤滑剤を必要としなくても、継続的に支持フレーム40を揺動させることができる。
【0040】
上述したように、本実施形態における杭打機1によれば、連結部60の外力支持部61b,62bが係止部80,81に係止されることで、リーダ20に配設されたオーガ30の回転駆動反力による荷重を係止部80,81によって支持することができ、支持フレーム40を揺動させることを目的とした連結部60には荷重が作用しないので、連結部60の破損を回避することができる。
【0041】
その上、外力支持部61b,62bが連結部60を利用して形成されているので、専用部品を不要とし、構造の簡素化を図ることができる。更に、構造を簡素化することができれば、その分、かかる構造を少スペースで構成することができる。その結果、車体10のサイズが小さい小型の杭打機においても、オーガ30の回転駆動反力による荷重を支持するための支持構造を容易に構成することができる。
【0042】
また、支持構造を専用部品で構成する場合には、部品点数が増加するため、各部品の加工寸法や組立寸法などの寸法管理が複雑化すると共に各部品の加工精度や組立精度などの寸法精度が高精度に要求され、杭打機1の製造が極めて困難となる。例えば、図5のXで示す寸法は、外力支持部61b,62bが係止部80,81と干渉したり、外力支持部61b,62bと係止部80,81との間に隙間が形成されたりしないように、寸法精度が高精度に要求されるが、本実施形態のように、連結部60を利用して支持構造を構成する場合には、外力支持部61b,62bに切削加工を施すことで、寸法Xの寸法精度を高精度に確保することができる。一方、支持構造を専用部品で構成する場合には、かかる専用部品を連結部60とは別に配設する必要があるため、その分、寸法誤差が相乗的に加算されて、上述した問題が発生し易くなる。これに対し、本実施形態における杭打機1のように連結部60を利用することにより部品点数を削減できるので、杭打機1を容易に製造することができる。更に、部品点数を削減できれば、製造コストの低減を図ることができる。
【0043】
また、係止部80,81は支持フレーム40の揺動方向と交差する方向において一対設けられ、それら一対の係止部80,81は支持フレーム40側へそれぞれ突設されると共に、外力支持部61b,62bは支持フレーム40の揺動方向と交差する方向において一対の係止部80,81の外側に一対設けられ、それら一対の外力支持部61b,62bは上部旋回体12側へ突設されているので、係止部80,81又は外力支持部61b,62bのいずれか一方を凹設する場合と比較して、上部旋回体12又は支持フレーム40の剛性低下を回避することができる。
【0044】
また、係止部80,81及び外力支持部61b,62bは支持フレーム40の揺動方向へそれぞれ延設されているので、外力支持部61b,62bが係止部80,81に係止される面積の拡大を図ることができ、支持構造の剛性を強化することができる。
【0045】
更に、リーダ20は支持フレーム40に揺動方向と交差する方向へ起伏可能に連結されているので、リーダ20が起伏する際の起伏力を連結部60によって支持することができる。
【0046】
なお、本実施形態において、請求項1記載のリーダ支持部材に作用する揺動方向と交差する方向への外力とは、オーガ30の回転駆動反力による荷重、及び、バックステーシリンダ22が上部旋回体12に軸支されている場合には、リーダ20が起伏する際の起伏力が該当する。
【0047】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0048】
例えば、上記実施形態では、支持フレーム40と上部旋回体12とが連結部60によって互いに連結された状態において、係止部80,81が支持フレーム40側へ突設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、係止部80,81を上部旋回体12の上面に凹設しても良い。但し、係止部80,81を上部旋回体12の上面に凹設する場合には、上述したように、上部旋回体12の剛性低下を招くので、本実施形態のように、係止部80,81を支持フレーム40側へ突設することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態における杭打機の側面図である。
【図2】(a)は、図1のAで示す部分を拡大して示す杭打機の拡大側面図であり、(b)は、図2(a)の矢印IIb方向視における杭打機の拡大正面図である。
【図3】支持フレームの外観図であり、(a)は支持フレームの右側面図を、(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向視における支持フレームの正面図を、(c)は、図3(a)の矢印IIIc方向視における支持フレームの下面図を、(d)は、図3(b)の矢印IIId方向視における支持フレームの左側面図を、それぞれ示している。
【図4】上部旋回体の外観図であり、(a)は上部旋回体の上面図を、(b)は、図4(a)の矢印IVb方向視における上部旋回体の側面図を、(c)は、図4(a)の矢印IVc方向視における上右旋回体の正面図を、それぞれ示している。
【図5】図2(b)のV−V線における杭打機の断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 杭打機
10 車体
12 上部旋回体(車体の一部)
20 リーダ
30 オーガ
40 支持フレーム(リーダ支持部材)
60 連結部
61,62 チルトブラケット(連結部の一部)
61b,62b 外力支持部
63,64 支持ブラケット(連結部の一部)
65 支持軸(連結部の一部)
80,81 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、その車体に立設されると共にオーガが配設されるリーダとを備えた杭打機において、
前記車体に設けられる係止部と、
前記車体に配設され、前記リーダを起立した状態に支持するリーダ支持部材と、
そのリーダ支持部材を前記車体に揺動可能に連結する連結部と、
その連結部に形成されると共に、前記リーダ支持部材の揺動方向と交差する方向において前記係止部に係止される外力支持部とを備え、
その外力支持部が前記係止部に係止されることで、前記リーダ支持部材の揺動を可能としつつ、前記リーダ支持部材に作用する前記揺動方向と交差する方向への外力を前記連結部によって支持することを特徴とする杭打機。
【請求項2】
前記係止部は前記揺動方向と交差する方向において一対設けられ、それら一対の係止部は前記リーダ支持部材側へそれぞれ突設されると共に前記揺動方向へそれぞれ延設されており、
前記外力支持部は前記揺動方向と交差する方向において前記一対の係止部の内側または外側に一対設けられ、それら一対の外力支持部は前記車体側へそれぞれ突設されると共に前記揺動方向へそれぞれ延設されて、前記一対の係止部にそれぞれ係止されることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
【請求項3】
前記リーダは、前記リーダ支持部材に前記揺動方向と交差する方向へ起伏可能に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の杭打機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−184815(P2008−184815A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19465(P2007−19465)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】