説明

板材加工システム

【課題】 板材加工機によって切り取られた複数の製品板材を、コンパクトに集積することができ、次工程への運搬が容易な板材加工システムを提供する。
【解決手段】 素材板材W0から複数の製品板材を切り取る板材加工機1と、切り取られた製品板材を積載する板材集積台車3と、板材加工機1から板材集積台車3へ製品板材を搬出する板材搬出装置2とを備える。板材集積台車3は、製品板材を積層状に積み重ねて積載する平面置き部32と、製品板材を立て掛けて積載する立掛け部31とを有する。板材搬出装置2は、走行可能な走行体13と、この走行体13に設けられた製品保持具20と、前記立掛け部31の角度に合わせて製品保持具20を傾動可能な傾動機構と、製品板材を板材集積台車3の平面置き部32または立掛け部31に仕分けて積載するように走行体13、製品保持具20、および傾動機構を制御する搬送制御装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、素材板材から複数の製品板材を切り取り加工し、その製品板材を次工程へ運搬するための台車に積載する板材加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機、事務用家具等のように複数の板材から組み立てられる製品がある。板材加工機、例えばパンチプレスは、孔明け、成形、切取り等の各種加工を行うことで、上記製品を構成する板材の全部またはほとんどを製作することができる。従来、板材加工機により製作された各種製品板材は、台車に平積み状に積載して後の工程へ運搬されていた。製品板材を台車に積載するに際しては、(1)同一種の製品板材ばかりをまとめて積載する、(2)各製品板材を使用される工程別に分けて積載する、(3)最終製品の組立てに用いられる製品板材の一式をまとめて積載する等の方法がある。
【0003】
(1)の場合、運搬先で工程別または最終製品別に仕分ける必要があり、その仕分け作業が面倒である。したがって、(2)または(3)の方法が、作業能率の面からは望ましい。(2)、(3)では、複数種の製品板材が1台の台車に積載されることになる。その場合、異なるサイズの製品板材を台車に積み重ねて積載する必要があり、それを可能にするための板材載置装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−123276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のように、製品板材を台車に平積みすると、サイズの大きい製品板材の場合、前後長および左右長が長くなるため、後工程に運搬しづらいという問題点があった。また、平積みであると、先に加工した製品板材ほど下になるため、(2)、(3)の方法で運搬した場合に、積層状に積み重ねられた複数の製品板材群の中から下の製品板材を取り出さねばならない事態が生じる。大きい製品板材であると、この取り出しは非常に困難を伴う。
【0005】
この発明の目的は、板材加工機によって切り取られた複数の製品板材を、台車にコンパクトに集積することができ、次工程への運搬が容易な板材加工システムを提供することである。
この発明の他の目的は、後の工程での加工や組立ての能率向上を図ることである。
この発明のさらに他の目的は、台車に、能率良く多くの種類の製品板材を仕分けて積載することができ、かつ小さな製品板材を分散させずに積載できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる板材加工システムは、素材板材から複数の製品板材を切り取る板材加工機と、この板材加工機によって切り取られた製品板材を積載する板材集積台車と、前記板材加工機から前記板材集積台車へ製品板材を搬出する板材搬出装置とを備え、前記板材集積台車は、製品板材を積層状に積み重ねて積載する平面置き部と、製品板材を立て掛けて積載する立掛け部とを有し、前記板材搬出装置は、所定の軌道に沿って走行可能な走行体と、この走行体に設けられ製品板材を保持可能な製品保持具と、前記板材集積台車の立掛け部の角度に合わせて前記製品保持具を傾動可能な傾動機構と、前記板材加工機上の製品板材を製品板材の種類に応じて前記板材集積台車の平面置き部または立掛け部に仕分けて積載するように前記走行体、製品保持具、および傾動機構を制御する搬送制御装置とを有する。
【0007】
この板材加工システムの構成によると、板材搬出装置が、板材加工機上の製品板材を板材集積台車へ搬出する。板材搬出装置は、板材加工機上の製品板材を製品保持具により保持し、その保持状態のまま走行体を板材加工機の位置から板材集積台車の位置まで軌道に沿って走行させ、そこで製品保持具による製品板材の保持を解除する。これにより、板材集積台車の平面置き部または立掛け部に製品板材が積載される。立掛け部に製品板材を積載する場合は、立掛け部の角度に合わせて製品保持具を傾動させた状態で、製品板材の保持を解除する。このように製品保持具を傾動させると、立掛け部への製品板材の積載を良好に行える。
製品板材の種類に応じて板材集積台車の平面置き部または立掛け部に仕分けて積載されるので、複数種の製品板材を板材集積台車にコンパクトに積載することができる。例えば、サイズの大きい製品板材を立掛け部に立掛けて積載するようにすれば、製品板材を積載した状態の板材集積台車の前後長または左右長を短くすることができる。そのため、次工程への運搬が容易になる。また、立掛け部に製品板材を立掛けて積載すると、大きい製品板材であっても、複数の製品板材の中から任意のものを取り出しやすい。このため、板材加工機での加工の都合等により、後の工程における早い段階で使用される製品板材が先に積載された場合でも、先に積載された製品板材を無理なく取り出すことができる。
【0008】
前記板材加工機が、最終製品の組立てに用いられる製品板材の一式を加工するものである場合は、前記板材集積台車に前記製品板材の一式が積載されるようにすると良い。
板材集積台車に製品板材の一式を積載すると、後の工程で製品板材を仕分ける手間が省け、後の工程での加工や組立ての能率向上が図れる。
【0009】
また、前記板材集積台車は、この板材集積台車の内部に格納された格納位置と、板材集積台車から引き出された引出し位置とに出し入れ可能な引出し式製品収納部を有し、前記板材搬出装置は、前記引出し位置にある引出し式製品収納部に対して製品板材を収納する動作を行うのが望ましい。
引出し式製品収納部を有すると、多くの種類の製品板材を仕分けて積載することができる。特に、小さな製品板材を分散させずに積載できる。引出し式製品収納部に対しても板材搬出装置により製品板材を収納するため、引出し式製品収納部へ製品板材を能率良く収納できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかる板材加工システムは、素材板材から複数の製品板材を切り取る板材加工機と、この板材加工機によって切り取られた製品板材を積載する板材集積台車と、前記板材加工機から前記板材集積台車へ製品板材を搬出する板材搬出装置とを備え、前記板材集積台車は、製品板材を積層状に積み重ねて積載する平面置き部と、製品板材を立て掛けて積載する立掛け部とを有し、前記板材搬出装置は、所定の軌道に沿って走行可能な走行体と、この走行体に設けられ製品板材を保持可能な製品保持具と、前記板材集積台車の立掛け部の角度に合わせて前記製品保持具を傾動可能な傾動機構と、前記板材加工機上の製品板材を製品板材の種類に応じて前記板材集積台車の平面置き部または立掛け部に仕分けて積載するように前記走行体、製品保持具、および傾動機構を制御する搬送制御装置とを有するため、板材加工機によって切り取られた複数の製品板材を、コンパクトに集積することができ、次工程への運搬が容易である。
【0011】
前記板材加工機が、最終製品の組立てに用いられる製品板材の一式を加工するものである場合に、前記板材集積台車に前記製品板材の一式が積載されるようにすると、後の工程での加工や組立ての能率向上を図ることができる。
【0012】
前記板材集積台車は、この板材集積台車の内部に格納された格納位置と、板材集積台車から引き出された引出し位置とに出し入れ可能な引出し式製品収納部を有し、前記板材搬出装置は、前記引出し位置にある引出し式製品収納部に対して製品板材を収納する動作を行う場合は、台車に、能率良く多くの種類の製品板材を仕分けて積載することができるとともに、小さな製品板材を分散させずに積載できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施形態を図1〜図8と共に説明する。図1は、この板材加工システムの全体斜視図である。この板材加工システムは、板材加工機1と、板材搬出装置2と、板材集積台車3と、板材ストッカ4とを備える。この板材加工システムは、この他に板材加工機1に対して素材板材W0を搬入する板材搬入装置(図示せず)を備えるが、板材搬入装置については説明を省略する。
【0014】
板材加工機1は、テーブル5上の素材板材W0から複数の製品板材を打ち抜き等によって切り取る機能を備えたものであり、パンチプレスまたはレーザ加工機等からなる。この例では、板材加工機1はパンチプレスであり、ダイ工具(図示せず)に対してパンチ工具(図示せず)を昇降させて加工を行う加工部7と、素材板材W0をテーブル5上で前後(Y方向)および左右(X方向)に移動させる板材送り機構8とを備えている。
【0015】
板材集積台車3は、板材加工機1で加工されて板材搬出装置2により搬出された製品板材を積載して次工程まで運搬する台車である。図2は製品板材が積載されていない状態、図3は製品板材が積載されている状態を示す。板材集積台車3は、その前部が、製品板材を後傾姿勢の立掛け面31aに立掛けて積載する立掛け部31とされ、その後部が、製品板材を積層状に積み重ねて積載する平面置き部32と、左右方向に引き出し可能な引出し式製品収納部34とされている。平面置き部32は、上方に開口する凹状をしている。引出し式製品収納部34は、平面置き部32の下側に位置している。
この板材集積台車3は、具体的には、前面が前記立掛け面31aとなる台車本体3aを有し、この台車本体3aの前面下端から前方に突出して板状の板材載置面形成部3bが設けられ、前面上端から上方に突出して板状の立掛け面形成部3cが設けられている。板材載置面形成部3bの上面が、立掛け部31の板材載置面31bとされている。この板材載置面31bには、左右方向に複数本の溝35が形成されている。台車本体3aおよび立掛け面形成部3cの前面が、前記立掛け面31aとされている。台車本体3aの上面部は四辺に囲み壁3dが突出して凹状に形成されていて、この凹状部が前記平面置き部32とされている。また、前記引出し式製品収納部34は、台車本体3aの側面に設けられた開口3eから、台車本体3aに対して全体が格納された状態と引き出された状態とに出し入れ自在となっている。引出し式製品収納部34には、この引出し式製品収納部34を引き出すために手を掛ける手掛け孔34aが設けられている。板材集積台車3は、台車本体3aの下部に4個のキャスター36を備え、台車本体3aの背面部に設けたハンドル37をつかんで人力で移動させる。
図3では、立掛け部31にサイズの大きい製品板材W1が積載され、平面置き部32に中程度の大きさの製品板材W2が積載され、引出し式製品収納部34に小さい製品板材W3が積載されている。立掛け部31の板材載置面31bに形成された前記溝35に製品板材W1の下端部を係合させて立掛け面31aに立掛けることで、製品板材W1の位置ずれが防止される。なお、図3において実線で示されている製品板材W3は、後述する板材搬出装置2の製品保持具20から開放されて引出し式製品収納部34内に落下している状態を示している。
【0016】
図1に示すように、板材ストッカ4は、板材加工機1で加工される製品板材のうち特にサイズの大きい製品板材W4をパレット9上に積層状に載置する装置であり、パレット9を載置する多段の棚4aを有する。板材ストッカ4は、任意の段の棚4aにおいて、パレット9が、図示した前側の貯蔵位置と、この貯蔵位置からY方向へ移動した製品搬入位置との間で進退可能とされている。
【0017】
板材搬出装置2は、板材加工機1により加工された製品板材W1〜W4を板材集積台車3または板材ストッカ4のパレット9に搬出する装置である。板材搬出装置2は、板材加工機1と板材集積台車3の停車位置間に平行に設置された左右方向を向く2本の軌道11と、これら軌道11に沿ってそれぞれ独立して走行自在な2台の走行体13と、各走行体13に設けた製品保持具20とを備える。
【0018】
2本の軌道11は、両端で互いに連結されて一体とされており、左右一対の前後移動フレーム16に支持されている。各前後移動フレーム16は、その上端が後側の軌道11に固定され、横フレーム17により互いに連結してある。左右一対の前後移動フレーム16はいずれも、前後移動用レール18に沿って移動自在で、前後移動駆動源16a(図7)により前後移動させることができる。前後移動駆動源16aは、例えばサーボモータとその回転を直線動作に変換するボールねじ等の変換機構等からなる。
【0019】
図4は走行体13および製品保持具20の側面図である。図は前側の軌道11を走行する走行体13を示す。前側の軌道11を走行する走行体13と後側の軌道11を走行する走行体13とで部分的に若干の違いはあるが、基本的には同じ構成である。走行体13は、それぞれ軌道11にガイド部材(図示せず)を介して走行自在に設けられ、サーボモータ等の走行駆動源19(図7)により自走するものとされている。ガイド部材は、例えば直線転がり軸受やガイドローラ等であり、走行体13と軌道11との間に介在させてある。
【0020】
製品保持具20は、前後方向のパッド支持フレーム21と、このパッド支持フレーム21に取付けられた複数の吸着パッド22とからなる。この実施形態では、パッド支持フレーム21が左右に2本設けられ、各パッド支持フレーム21に吸着パッド22が4個ずつ取付けられており、合計で8個の吸着パッド22を備えている。例えば、小さい製品板材W3の場合は、図6(A)のように1つの吸着パッド22を用いて吸着保持し、中程度の大きさの製品板材W2の場合は、図6(B)のように複数の吸着パッド22を用いて吸着保持し、大きい製品板材W1の場合は、図6(C)のように全ての吸着パッド22を用いて吸着保持する。図6(A)(B)に示すように、小さい製品板材W3や中程度の大きさの製品板材W2を吸着保持するときには、最前列の吸着パッド22を使用するのがよく、またできる限り板材加工機1側の吸着パッド22を使用するのが良い。その理由は、上記位置の吸着パッド22を使用すると、製品保持具20が板材加工機1に干渉することを防ぎやすいからである。
また、特にサイズの大きい製品板材W4については、2台の走行体13を協働させて2つの製品保持具20により保持する(図示せず)。
【0021】
図4の部分拡大図に示すように、吸着パッド22は、この実施形態では、それぞれが個別に絞り経路を介して真空源に接続された複数の単位吸着パッド22aの束からなり、その一部が製品板材W1〜W4等の吸着対象物から外れていても吸着可能とされている。吸着パッド22は、上記のような束とせずに、全体が1個の負圧部を構成するものとしてもよい。
【0022】
製品保持具20は、走行体13に対し昇降自在である。この実施形態では、走行体13に上下に長い昇降体24が昇降自在に嵌合し、この昇降体24の下端にパッド支持フレーム21が取付けられて、昇降駆動源25(図7)により昇降体24を昇降させるようにしている。昇降駆動源25は走行体13と別に設けても良く、あるいは走行体13自体を昇降駆動源としても良い。なお、前側の軌道11を走行する走行体13の昇降体24は、下端部が後方に屈曲させてある。
【0023】
図5に示すように、製品保持具20は、傾動機構26により、前記板材集積台車3の立掛け部31に対応する角度に傾け可能とされている。傾動機構26は、昇降体24の下端部とパッド支持フレーム21上面の突片21aとを回動支点軸27により回動自在に連結し、流体シリンダ等の傾動駆動源28により製品保持具20を前側が下を向くように傾動させるようになっている。
【0024】
板材搬出装置2を制御する搬出制御装置について、図7と共に説明する。搬出制御装置40は、コンピュータ式の数値制御装置およびプログラマブルコントローラからなり、搬送制御プログラム41と、この搬送制御プログラム41を実行する演算制御部42とを備える。演算制御部42は、中央処理装置およびメモリ等に、プログラマブルコントローラを含めたものを示す。
【0025】
搬送制御装置40の演算制御部42は、板材搬出装置2の各駆動源に出力指令を出す。各駆動源は、前後移動フレーム16の前後移動駆動源16a、走行体13の走行駆動源19、製品保持具20の昇降駆動源25、製品保持具20の傾動駆動源28、および製品保持具20(の吸着用駆動源)である。
【0026】
搬送制御装置40は、上記演算制御部42および搬送制御プログラム41により、図8に示す機能達成手段を構成したものである。すなわち、この搬送制御装置40は、立掛け部積載制御部43と、平面置き部積載制御部44と、引出し式製品収納部積載制御部45とを有するものとされる。立掛け部積載制御部43は、板材加工機1上の大きい製品板材W1を板材集積台車3の立掛け部31に積載させる制御を行う。平面置き部積載制御部44は、板材加工機1上の中程度の大きさの製品板材W2を板材集積台車3の平面置き部32に積載させる制御を行う。引出し式製品収納部積載制御部45は、板材加工機1上の小さい製品板材W3を板材集積台車3の引出し式製品収納部34に積載させる制御を行う。上記各制御部43〜45の他に、2台の走行体13を協働させることで板材加工機1上の特に大きい製品板材W4をパレット9に積載するパレット積載制御部も有するが、ここではその説明を省略する。
【0027】
搬送制御装置40は、板材加工機1を制御する板材加工制御装置50との間で情報が相互交換されており、板材加工制御装置50からの情報に応じて各制御部43,44,45が制御を行う。すなわち、板材加工機1により大きい製品板材W1が加工されると立掛け部積載制御部43による板材搬出装置2の制御が行われ、中程度の大きさの製品板材W2が加工されると平面置き部積載制御部44による板材搬出装置2の制御が行われ、小さい製品板材W3が加工されると引出し式製品収納部積載制御部45による板材搬出装置2の制御が行われる。
【0028】
図7に示すように、板材加工制御装置50は、コンピュータ式の数値制御装置およびプログラマブルコントローラからなり、加工プログラム51と、この加工プログラム51を実行する演算制御部52とを備える。演算制御部52は、中央処理装置およびメモリ等に、プログラマブルコントローラを含めたものを示す。この板材加工制御装置50の制御により、板材加工機1は、最終製品の組立てに用いられる製品板材の一式W1〜W3を所定の順番で加工するものとされている。
【0029】
立掛け部積載制御部43による制御および板材搬出装置2の動作を具体的に説明する。前後移動駆動源16aおよび走行駆動源19に出力指令を出して、原点位置(図示せず)に位置する走行体13を板材加工機1の上方位置まで移動させ、昇降駆動源25に出力指令を出して、製品保持具20を下降させ、製品保持具20に出力指令を出して、吸着パッド22により製品板材W1を吸着保持させる。このとき、製品保持具20の全ての吸着パッド22により製品板材W1が吸着保持される。次いで、昇降駆動源25に出力指令を出して、製品保持具20を上昇させ、前後移動駆動源16aおよび走行駆動源19に出力指令を出して、走行体13を板材集積台車3の立掛け部31の上方位置まで移動させ、傾動駆動源28に出力指令を出して、製品保持具20を立掛け部31の立掛け面31bとほぼ同じ角度になるよう傾け(図5)、昇降駆動源25に出力指令を出して、保持する製品板材W1の下端が立掛け部31の載置面31aにほぼ接するまで製品保持具20を下降させ、製品保持具20に出力指令を出して、吸着パッド22による製品板材W1の吸着保持を解除させる。これにより、製品板材W1が板材集積台車3の立掛け部31に立掛けて積載される。その後、各駆動源16a,19,25,28に出力指令を出して、板材搬出装置22を元の状態に戻す。
【0030】
平面置き部積載制御部44による制御および板材搬出装置2の動作を具体的に説明する。前後移動駆動源16aおよび走行駆動源19に出力指令を出して、原点位置(図示せず)に位置する走行体13を板材加工機1の上方位置まで移動させ、昇降駆動源25に出力指令を出して、製品保持具20を下降させ、製品保持具20に出力指令を出して、吸着パッド22により製品板材W2を吸着保持させる。このとき、製品保持具20の各吸着パッド22のうち複数個(例えば2個)の吸着パッド22により製品板材W2が吸着保持される。次いで、昇降駆動源25に出力指令を出して、製品保持具20を上昇させ、前後移動駆動源16aおよび走行駆動源19に出力指令を出して、走行体13を板材集積台車3の平面置き部32の上方位置まで移動させ、昇降駆動源25に出力指令を出して、製品保持具20を下降させ、製品保持具20に出力指令を出して、吸着パッド22による製品板材W2の吸着保持を解除させる。これにより、製品板材W2が板材集積台車3の平面置き部32に水平に積載される。その後、各駆動源16a,19,25,28に出力指令を出して、板材搬出装置22を元の状態に戻す。
【0031】
引出し式製品収納部積載制御部45による制御および板材搬出装置2の動作を具体的に説明する。前後移動駆動源16aおよび走行駆動源19に出力指令を出して、原点位置(図示せず)に位置する走行体13を板材加工機1の上方位置まで移動させ、昇降駆動源25に出力指令を出して、製品保持具20を下降させ、製品保持具20に出力指令を出して、吸着パッド22により製品板材W3を吸着保持させる。このとき、製品保持具20の各吸着パッド22のうちの1個の吸着パッド22により製品板材W3が吸着保持される。次いで、昇降駆動源25に出力指令を出して、製品保持具20を上昇させ、前後移動駆動源16aおよび走行駆動源19に出力指令を出して、走行体13を板材集積台車3から引き出された引出し式製品収納部34の上方位置まで移動させ、昇降駆動源25に出力指令を出して、製品保持具20を下降させ、製品保持具20に出力指令を出して、吸着パッド22による製品板材W3の吸着保持を解除させる。これにより、製品板材W3が板材集積台車3の引出し式製品収納部33の中に落とされる。その後、各駆動源16a,19,25,28に出力指令を出して、板材搬出装置22を元の状態に戻す。なお、この実施形態では、引出し式製品収納部34の引出し動作および戻し動作を人手により行うようにしている。
【0032】
上記各制御部43,44,45による制御で板材搬出装置2が上記動作を行うことで、板材加工機1により加工された製品板材W1〜W3の一式が板材集積台車3の立掛け部31、平面置き部32、および引出し式製品収納部34に仕分けて積載される。板材加工機1による製品板材W1〜W3の加工の順序は特に限定しないが、後の工程で使用される順番が新しいものほど後で加工するのが望ましい。この順で加工すると、後の工程で使用される順番が新しいものほど上になるよう板材集積台車3の立掛け部31、平面置き部32、および引出し式製品収納部34に積載されるので、後の工程での製品板材の取出しが容易である。
【0033】
この板材加工システムによれば、各製品板材W1〜W3を種類に応じて板材集積台車3の立掛け部31、平面置き部32、および引出し式製品収納部34に仕分けて積載するので、複数種の製品板材W1〜W3をコンパクトに積載することができる。サイズの大きい製品板材W1は立掛け部31bに立掛けて積載されるため、製品板材W1が積載された板材集積台車3の前後長を短くすることができ、板材集積台車3による製品板材W1〜W3の次工程への運搬が容易である。また、立掛け部31に製品板材W1を立掛けて積載すると、大きい製品板材であっても、複数の製品板材W1の中から任意のものを取り出しやすい。特にこの実施形態では、立掛け部31の板材載置面31bに溝35が設けられ、各製品板材W1間に隙間が開いているため、より一層取出しが容易である。このため、板材加工機1の加工の都合等により、後の工程における早い段階で使用される製品板材W1が先に積載された場合でも、先に積載された製品板材W1を無理なく取り出すことができる。
さらに、1台の板材集積台車3に最終製品の組立てに用いられる製品板材W1〜W3の一式が積載されるので、後の工程で製品板材W1〜W3を仕分ける手間が省け、後の工程での加工や組立ての能率向上を図れる。
さらに、立掛け部31の他に、平面置き部32および引出し式製品収納部34が設けられているため、多くの種類の製品板材W1〜W3を仕分けて積載することができる。特に、小さな製品板材W3については、引出し式製品収納部34に収納することで分散させずに積載できる。
【0034】
この実施形態では、引出し式製品収納部34の引出し動作および戻し動作を人手で行うようにしているが、これらの動作を板材搬出装置2の製品保持具20を利用して行なっても良い。例えば、製品保持具20のパッド支持フレーム21にフック状物を設け、このフック状物を引出し式製品収納部34の手掛け孔34aに引っ掛けて、引出し式製品収納部34を引き出すようにすることができる。また、パッド支持フレーム21で押すことで引出し式製品収納部34を戻すことができる。このように引出し式製品収納部34の引き出し動作および戻し動作を板材搬出装置2が行うようにすると、作業者の負担が軽減され、効率良く製品板材の搬出を行える。
【0035】
上記実施形態の板材集積台車3は引出し式製品収納部34を1つだけ設けた構成としたが、図9に示すように、引出し式製品収納部34を2つ設けてもよく、あるいは3つ以上設けても良い。引出し式製品収納部34を複数設けると、さらに多くの種類の製品板材を仕分けて積載することができる。また、引出し式製品収納部34は、前後方向に引き出す構成としてもよい。
また、この実施形態では、2台の走行体13を有する構成としたが、走行体13は1台だけであってもよい。あるいは、走行体13を3台以上設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施形態にかかる板材加工システムの斜視図である。
【図2】同板材加工システムの板材集積台車の斜視図である。
【図3】同板材集積台車に製品板材を積載した状態を示す斜視図である。
【図4】同板材加工システムの板材搬出装置の要部の側面図である。
【図5】同板材搬出装置の動作を示す説明図である。
【図6】(A)〜(C)はいずれも同板材搬出装置の製品保持具の平面図で、それぞれ異なる製品板材を保持している状態を示す。
【図7】同板材搬出装置の搬送制御装置の概念構成を示すブロック図である。
【図8】同搬送制御装置の概念構成を示すブロック図である。
【図9】異なる板材集積台車の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1…板材加工機
2…板材搬出装置
3…板材集積台車
4…板材ストッカ
11…軌道
13…走行体
20…製品保持具
22…吸着パッド
26…傾動機構
31…立掛け部
32…平面置き部
34…引出し式製品収納部
40…搬出制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材板材から複数の製品板材を切り取る板材加工機と、この板材加工機によって切り取られた製品板材を積載する板材集積台車と、前記板材加工機から前記板材集積台車へ製品板材を搬出する板材搬出装置とを備え、
前記板材集積台車は、製品板材を積層状に積み重ねて積載する平面置き部と、製品板材を立て掛けて積載する立掛け部とを有し、
前記板材搬出装置は、所定の軌道に沿って走行可能な走行体と、この走行体に設けられ製品板材を保持可能な製品保持具と、前記板材集積台車の立掛け部の角度に合わせて前記製品保持具を傾動可能な傾動機構と、前記板材加工機上の製品板材を製品板材の種類に応じて前記板材集積台車の平面置き部または立掛け部に仕分けて積載するように前記走行体、製品保持具、および傾動機構を制御する搬送制御装置とを有する板材加工システム。
【請求項2】
前記板材加工機は、最終製品の組立てに用いられる製品板材の一式を加工するものであり、前記板材集積台車に前記製品板材の一式が積載される請求項1記載の板材加工システム。
【請求項3】
前記板材集積台車は、この板材集積台車の内部に格納された格納位置と、板材集積台車から引き出された引出し位置とに出し入れ可能な引出し式製品収納部を有し、前記板材搬出装置は、前記引出し位置にある引出し式製品収納部に対して製品板材を収納する動作を行う請求項1または請求項2記載の板材加工システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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