説明

板状体の積載装置及び運搬車両

【課題】本発明は、コンパクトな構造とし、専用トレーラーを使用しなくても大型の板状体を収納し、輸送することができる板状体の積載装置及び運搬車両を提供する。
【解決手段】本発明の積載装置30は、基台32に軸支された積載台34が、収納パレット10を積載した状態で、水平状態と所定の傾斜状態との間で自在に傾動するので、積載台34が水平状態のとき、フォークリフト80を用いて収納パレット10を積載台34の積載位置に積載することができ、また、積載位置からの収納パレット10の搬出を、フォークリフト80を用いて行うことができる。また、トラック40に積載装置30を搭載して収納パレット10を輸送する際には、積載台34を所定の傾斜姿勢にして輸送する。これにより、大型マザーガラス基板が収納された収納パレット10であっても、専用トレーラーを使用せずに輸送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は板状体の積載装置及び運搬車両に関し、特に大型サイズのガラス板が複数枚積層されて収納された収納パレットを積載する板状体の積載装置、及び収納パレットが積載された積載装置を輸送する運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
第10世代サイズと称される約3200×3000(mm)サイズのマザーガラス基板が複数枚積層されて収納された収容パレットは、短辺でも3300mmを超える大きさとなるため、水平状態ではトラックコンテナに格納することができない。
【0003】
このような収納パレットは、一般的に所定の角度に傾斜させた状態で輸送される。何故ならば、大型サイズのマザーガラス基板を水平状態にして搬送することは、輸送時の運搬車両の横幅が大きくなり過ぎて、公道走行時の道路交通法規を違反するからである。
【0004】
特許文献1には、パネルを傾斜して積載するパネル搬送コンテナが開示されている。特許文献1の図1に示されるように、パネル搬送コンテナは、台車の前部及び後部に枢支部を有する支持台を設け、頂部が回転自在に連結された一対の支持枠の下端部を支持台の高さ方向の中間部に外側に回動自在な中間ヒンジを設け、組立時に略山形状に起立され、ガラス板等のパネルを支持枠に寄り掛けた状態で支持するパネル支持部材を設けた構成である。特許文献1の図4に示されるように、支持枠等を包容するように折り畳むことにより、コンパクトな荷姿となって、保管に要するスペースを小さくすることができる。
【0005】
また、特許文献2には、板ガラスを傾斜して積載する板ガラス輸送用コンテナが開示されている。特許文献2の図1に示す装置は、少なくとも上部部材が取り外し可能な箱型コンテナの内部に支持部材及び基部規制部材を設け、板ガラスを複数枚積重状態で支承する、断面がL字状の板ガラス支承部材を両部材と係合する状態で取り出し可能に収容する構成である。当該装置では、板ガラスを収容した板ガラス支承部材を、特許文献2の図2に示すようにクレーン等の吊り上げ設備によって吊り上げて小型コンテナの内部に所定角度に傾斜させて収容する。
【特許文献1】特開2005−324815号公報
【特許文献2】特開平4−311488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した大型サイズのマザーガラス基板の収容に、特許文献1の記載の装置を用いると、大きなサイズのガラス板等のパネルの取り扱いの不便さのために、組立時に略山形状に起立された支持枠に前記パネルを寄り掛けた状態で支持させることは、大きな作業上の労力を必要とし、パネルの納品作業が効率的でないといった問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の装置は、大型のサイズの板ガラスを収納する板ガラス支承部材を吊り上げるクレーン等の吊り上げ設備が必要であり、ガラス板の納品作業設備が大きくなるといった問題があった。
【0008】
このように、特許文献1、2の積載装置は、縦横3mを超える大型サイズのガラス基板を輸送のためにコンテナ等に積載するのに実用的ではないという問題があった。
【0009】
このような問題は、収納パレットが積載される積載台を基台に傾動自在に設け、積載台を電動装置により水平姿勢と所定の傾斜姿勢に動作させる、電動可倒式積載装置であれば解消できる。すなわち、収納パレットの収納時には、電動装置により積載台を水平姿勢に移動させ、一方では収納パレットをフォークリフトによって上昇させ、フォークリフトによって収納パレットを搬送して水平姿勢状態の積載台に積載する。次に、電動装置によって積載台を傾斜させていき、所定の傾斜姿勢に保持させる。これによって、大型サイズのガラス基板であっても、コンテナ等の積載に実用化できる。
【0010】
しかしながら、この電動可倒式積載装置は、大掛かりな電動装置一式によって電動可倒式積載装置が大型化しているので、専用トレーラーを使用しなければならないという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、コンパクトな構造とすることにより、専用トレーラーを使用しなくても大型の板状体を収納し、輸送することができる板状体の積載装置及び運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記目的を達成するために、複数の板状体が積層されて収納された収納パレットを、輸送のために積載する板状体の積載装置であって、基台と、前記基台に傾動自在に軸支されるとともに前記収納パレットが積載され、該収納パレットが積載された状態で、水平姿勢と所定の傾斜姿勢との間で自在に傾動する積載台とを有し、前記積載台には、外部傾動手段に係合されて該積載台を傾動させるための係合部が設けられていることを特徴とする板状体の積載装置を提供する。
【0013】
本発明の板状体の積載装置によれば、基台に軸支された積載台が、収納パレットを積載した状態で、水平状態と所定の傾斜状態との間で自在に傾動するので、積載台が水平状態のとき、フォークリフト等を用いて収納パレットを積載台の積載位置に積載することができるとともに、前記積載位置からの収納パレットの搬出を、フォークリフト等を用いて行うことができる。したがって、従来のように、収納パレットを吊り上げるクレーン等の大きな作業設備が不要となり、収納パレットの積載作業を効率よく行うことができる。また、運搬車両に積載装置を搭載して収納パレットを輸送する際には、積載台を所定の傾斜姿勢にして輸送する。これにより、大型板状体が収納された収納パレットであっても、専用トレーラーを使用せずに輸送することができる。
【0014】
一方で、積載台を前述した水平姿勢から所定の傾斜姿勢に傾動する場合、及び所定の傾斜姿勢から水平姿勢に傾動する場合には、積載台に設けられた係合部に、外部傾動手段を係合させ、外部傾動手段によって積載台を傾動することにより行う。
【0015】
したがって、本発明の板状体の積載装置によれば、収納パレットの積載には積載台を使用するが、電動傾斜駆動装置を設けていないことで積載装置がコンパクトになり、よって、専用トレーラーを使用しなくても収納パレットが積載された積載装置を輸送することができる。また、電動傾斜駆動装置を設けていないので、積載装置が安価になり、また、専用トレーラーを必要としないため、その分の輸送費用も削減することができる。更に、積載装置がコンパクト化したことによって積載装置自体の運搬車両に対する載せ替えが可能となるので、機動性に富む積載装置となる。
【0016】
なお、前記係合部としては、外部傾動手段に係合される係合部を積載台に新たに設けてもよいが、積載台を構成するパイプ材や鋼材を係合部としてもよい。係合部の位置は、積載台を傾動し易い位置、例えば、積載台が傾斜している状態における下端部にあることが好ましい。この位置には、積載台を構成する梁としてのパイプ材や鋼材が存在するため、このパイプ材や鋼材を係合部として利用することができる。
【0017】
また、外部傾動手段としては、フォークリフトを使用することが好ましい。フォークリフトは、積載台に対して収納パレットを積み込み、積み下ろしする装置なので、このフォークリフトを外部傾動手段として兼用することにより、別の外部駆動手段を用意しなくてよいという簡便さがある。積載台を傾動させるフォークリフトの動作は、例えば、フォークリフトのフォークを所定の傾斜姿勢にある積載台の係合部に係合させ、フォークを上昇させる。この動作によって積載台を水平姿勢へ傾動させることができる。また、フォークリフトのフォークを、水平姿勢にある積載台の係合部に係合させ、フォークを下降させる。これによって、積載台を所定の傾斜姿勢へ傾動させることができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記積載台を水平姿勢と所定の傾斜姿勢とで保持する姿勢保持部材が設けられていることが好ましい。これにより、収納パレットを積載台に積み込む際、及び積載台から収納パレットを積み下ろしする際の積載台の水平姿勢を安定して保持でき、また、収納パレットを輸送する際の積載台の所定の傾斜姿勢を安定して保持できる。
【0019】
更に、本発明によれば、前記姿勢保持部材はターンバックル付きフックであり、該ターンバックル付きフックの両端部に設けられたフックのうち一方のフックが前記基台に係合され、他方のフックが前記積載台に係合されることにより、前記積載台が前記基台に対して水平姿勢と所定の傾斜姿勢とに保持されることが好ましい。
【0020】
ターンバックル付きフックのターンバックルとは、一端に左ねじと他端に右ねじが刻設されたスリーブと、前記左ねじに螺合されたねじ棒と、前記右ねじに螺合されたねじ棒とから構成された周知の引き締め用ねじ金具である。ターンバックル付きフックとは、これらのねじ棒の先端にフックが設けられて構成されたものである。つまり、これらのねじ棒が緩む方向にスリーブを回転させて、これらのねじ棒をスリーブから伸ばし、この状態で一方のフックを基台に係合させるとともに他方のフックを積載台に係合させる。そして、これらのねじ棒が締まる方向にスリーブを回転させて、これらのねじ棒をスリーブに引き込むことにより、これらのねじ棒の緊張力により積載台を基台に対して水平姿勢、又は所定の傾斜姿勢で固定する。このターンバックル付きフックは、積載台を基台に対して水平姿勢に保持させるものと、積載台を基台に対して所定の傾斜姿勢に保持させるものとが揃えられている。
【0021】
また、本発明によれば、前記板状体は、約3200×3000(mm)のマザーガラス基板であることが好ましい。すなわち、本発明の板状体の積載装置は、積載装置自体がコンパクト化することにより、第10世代の大型サイズのマザーガラス基板の収納、輸送に好適となる。
【0022】
本発明は、前記目的を達成するために、本発明の板状体の積載装置が、前記積載台を軸支する軸の軸方向が進行方向となるように搭載され、前記収納パレットを輸送することを特徴とする運搬車両を提供する。このような姿勢で積載装置を運搬車両に搭載することにより、車幅の広い運搬車両(専用のトレーラー)を使用することなく、積載装置を車幅の狭い運搬車両(トラック)に搭載することができる。運搬車両は、自走するトラック、牽引車に牽引されるトレーラーを含むものとする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る板状体の積載装置及び運搬車両によれば、収納パレットの積載には積載台を使用するが、電動傾斜駆動装置を有していないため構造がコンパクトになり、よって、専用トレーラーを使用しなくても大型の板状体を収納し、輸送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明に係る板状体の積載装置及び運搬車両の好ましい実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、実施の形態の板状体の積載装置に積載される収納パレット10の一例を示した全体斜視図である。
【0026】
同図に示す収納パレット10には、複数枚、例えば80〜150枚の矩形状のガラス板Gが水平に、かつ、ガラス板Gの相互間にガラス板Gより大きなサイズの矩形状の合紙(不図示)を介して積層されて収納される。実施の形態で示すガラス板Gは、フラットパネルディスプレイ(FPD)用に使用される、縦横のサイズが約3200×3000(mm)のマザーガラス基板であり、板の厚さは1mm以下である。なお、ガラス板Gのサイズは、これに限定されるものではないが、後述するように実施の形態の板状体の積載装置は、このような大型のガラス板の積載に好適である。
【0027】
収納パレット10は、平面視矩形状の台座12と、位置決め部材14、16、及び載置板18等から構成される。
【0028】
台座12は、複数本の枠材20、20…によってフレーム状に構成される。枠材20は、例えばアルミニウム合金又はステンレス鋼によって作られている。この台座12は、複数の枠材20、20…を縦横に格子状に組み付けたものを2台作製し、この2台の組み付け部材の格子面が略平行になるように枠材20、20…を用いて組み付けて構成されている。
【0029】
台座12の全側面には、フォークリフト80(図5参照)の一対のフォーク82、82が挿入される開口部22、22(図1参照)が台座12の一側面に少なくとも2箇所設けられている。台座12の上には、載置板18が設けられ、この載置板18は、不図示の上張り材及び振動吸収用緩衝材によって構成されている。
【0030】
位置決め部材14、16は、台座12の4つの側面に配置され、合紙を介して積層されたガラス板Gを挟持するように、積層されたガラス板Gの側面を押さえるものである。位置決め部材14は、台座12又は載置板18に溶接等で固定され、着脱不能となっている。一方、位置決め部材16は、ねじ等によって、台座12又は載置板18に着脱式に取り付けられている。これは、ガラス板Gを収納パレット10に収納する際に、位置決め部材16が邪魔にならないようにするためである。一方で位置決め部材14は、ガラス板Gを収納パレット10に載置させるときのガラス板Gの位置合わせを行うために用いられる。なお、位置決め部材14も位置決め部材16と同様に着脱可能としてもよいが、積層されるガラス板Gの位置精度及び必要とされる剛性の観点から着脱不能に固定されることが好ましい。
【0031】
このような収納パレット10は、一定幅のラッピング部材で巻かれ、この状態で、図2、図3に示される積載装置30に積載される。そして、収納パレット10は、積載台34に4箇所のU字金具(不図示)を介して蝶ねじ(不図示)により固定される。なお、前記ラッピング部材とガラス板Gとの間には、ガラス板Gが輸送時に破損しないようにエアバックを介在させることが好ましい。また、ガラス板Gを、緩衝材を挟んでラッシングベルト等の固定治具で収納パレット10に固定してもよい。図2、図3に示された積載装置30は、図4に示すトラック(運搬車両)40内の荷台42に搭載される。なお、図4では1台の積載装置30を示しているが、積載装置30をトラック40の進行方向に複数台並べて搭載してもよい。
【0032】
図2は、積載装置30の正面図であり、図3は、図2に示した積載装置30の右側面図であって、後述する積載台34が図2の二点鎖線で示した水平姿勢にある状態の右側面図である。なお、図2に示した積載装置30の左側面図は、積載装置10が左右同一構造ではないため図3に示した右側面図と同一とはならない。
【0033】
これらの図に示すように積載装置30は、基台32と積載台34とから構成される。この基台32及び積載台34は、例えば鉄やステンレス鋼を材料として構成される。
【0034】
基台32は、図4の如くトラック40の荷台42にボルト等の締結部材(不図示)によって着脱自在に固定されている。すなわち、実施の形態の積載装置30は、トラック40に対して着脱自在に搭載されるものである。また、基台32には、図2、図3の如く積載台34を傾動自在に軸支する軸受44、44と、姿勢保持部材であるターンバックル付きフック46、48とが設けられている。
【0035】
軸受44は、図3の如く基台32の上部両側に2箇所、ボルトにより固定され、これらの軸受44、44に積載台34が軸50を介して回動自在に軸支されている。これによって、積載台34が基台32に傾動自在に支持される。また、積載装置30は、図4の如く軸50の軸方向がトラック40の進行方向となるようにトラック40の荷台42に搭載される。更に、軸50は、積載台34の略中央部に固定されている。
【0036】
図2、図3に示したターンバックル付きフック46は、基台32を構成するテーブル52の両側に2箇所取り付けられており、図2中実線で示す所定の傾斜姿勢の積載台34をその傾斜姿勢で保持するものである。このターンバックル付きフック46の構造は周知であるが、一方のフック54がテーブル52上のピン56に係合され、他方のフック58が積載台34の図2中右側下部に設けられたピン60に係合されている。この状態でターンバックル付きフック46のスリーブ62を締め込むことにより、テーブル52に対して積載台34がターンバックル付きフック46を介して固定され、積載台34が所定の傾斜姿勢に保持される。
【0037】
一方、ターンバックル付きフック48は、基台32を構成する支柱64の側面の両側に2箇所取り付けられており、図2中二点鎖線で示す水平姿勢の積載台34をその水平姿勢で保持するものである。このターンバックル付きフック48の一方のフック66が支柱64に固定されたピン68に係合され、他方のフック70が積載台34の図2中左側下部に設けられたピン72に係合される。この状態でターンバックル付きフック48のスリーブ74を締め込むことにより、支柱64に対して積載台34がターンバックル付きフック48を介して固定され、積載台34が水平姿勢に保持される。
【0038】
なお、姿勢保持部材としてターンバックル付きフック46、48を例示したが、これに限定されるものではなく、積載台34を水平姿勢、所定の傾斜姿勢で保持できる部材であれば如何なる部材でも適用できる。しかしながら、ターンバックル付きフック46、48を使用することにより、スリーブ62、74を手作業で回すだけで前記姿勢を簡単に、かつ確実に保持できるという利点がある。
【0039】
積載台34は、複数の枠材が組み合わされて構成され、収納パレット10を載置する載置面が形成されている。積載台34の下面には、軸50が装着されており、この軸50が前述の如く軸受44、44に回転自在に支持されている。
【0040】
次に、前記の如く構成された積載装置30の作用について説明する。
【0041】
まず、収納パレット10の積み降ろし手順について図5を参照して説明する。なお、図5に示した積載装置30は図6に示したトラック40の荷台42に搭載されたものである。
【0042】
1.トラック40が目的地に到着すると、トラック40の荷台42を覆っていた図6の蛇腹76を運転席78側にスライドして折り畳み、トラック40の荷台42を開放して、図5(A)の如く収納パレット10が傾斜して搭載されている積載装置30を露出する。
【0043】
2.積載装置30の積載台34の下部と基台32とを固定しているターンバックル46を緩め、フック58をピン60から取り外す(図2参照)。このとき、積載台34は、その重心が下側に寄っているため、図5(A)に示す傾斜状態で釣り合っている。よって、フック58を外す際に、積載台34を支える支えは特に不要である。
【0044】
3.図5(B)に示すように、外部傾動手段であるフォークリフト80のフォーク82を積載台34の金属丸パイプ(係合部)84の下に図6の如く差し込む。そして、収納パレット10の重みを受けながら、フォーク82をゆっくりと上昇させて、図5(C)の如く積載台34を水平状態にする。この傾動動作の際に、フォーク82が金属丸パイプ84から外れて収納パレット10が積載台34から落下することのないように、金属丸パイプ84に対するフォーク82の掛かり具合に注意しながらフォーク82を上昇させる。
【0045】
なお、実施の形態では、係合部として積載台34を構成している金属丸パイプ84を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、フォーク82に係合される係合部を積載台34に新たに設けてもよい。しかしながら、新たに係合部を設けると、積載台34の部品点数が増加するため、積載台34を構成する金属丸パイプ84や鋼材を係合部とすることが好ましい。係合部の位置は、積載台34を傾動し易い位置、例えば、図6の如く積載台34が傾斜している状態における下端部にあることが好ましい。この位置には、積載台34を構成する梁としての金属丸パイプ84が水平方向に延設されているため、この金属丸パイプ84を係合部として利用することが好ましい。また、フォーク82の昇降時にフォーク82に対して滑りをよくするために、係合部は金属丸パイプ84の如く断面形状が丸形状であることが好ましい。
【0046】
4.図5(C)の如く、積載台34を水平状態にすると、次に、ターンバックル付きフック48のフック66を基台32側のピン68に掛けるとともにフック70を積載台34側のピン72に掛け、そして、スリーブ74を軽く締める。
【0047】
5.更に、フック66、70がピン68、72から外れた場合のバックアップのために、積載台34の上部とトラック40の荷台42との間にチェーンのチェーンブロック用フック(不図示)を掛け、積載台34をトラック40側に固定する。
【0048】
6.収納パレット10と積載台34を固定しているU字金具(4箇所)の蝶ねじ(不図示)を緩めて外し、積載台34に対する収納パレット10の固定を解除する。
【0049】
7.ターンバックル付きフック48のフック66、70、及びチェーンブロック用フック(不図示)によって積載台34が基台32、トラック40側にしっかりと固定されていることを確認しつつ、徐々にフォーク82を下降させ、フォーク82を積載台34から退避させる。この後、フォークリフト80はトラック40の反対側に移動する。
【0050】
8.図5(D)の如く、フォークリフト80が反対側に移動すると、収納パレット10の開口部22、22(図1参照)にフォーク82を出来る限り奥まで差し込む。
【0051】
9.フォーク82をゆっくりと上昇させ、収納パレット10を積載台34から持ち上げる。
【0052】
10.そのままフォークリフト80をバックさせ、収納パレット10を積載台34に対して水平方向に離間させる。この後、フォーク82を下降させて収納パレット10をトラック40の荷台42から降ろす。
【0053】
以上の動作によって、トラック40の荷台42に搭載された積載装置30から収納パレット10を積み下ろしすることができる。
【0054】
なお、積載装置30に対する収納パレット10の積み込み作業は、この積み下ろし作業の手順の逆の手順で行えばよいので、ここでは説明を省略する。
【0055】
次に、積載台34の仕舞い手順について説明する。
【0056】
1.フォークリフト80を再びトラック40の反対側に移動させ、積載台34の金属丸パイプ84の下にフォーク82を差し込み、この後、フォーク82を若干上昇させてフォーク82によって金属丸パイプ84を支える。
【0057】
2.1の状態を維持した状態でターンバックル48を緩めてフック70をピン72から外すとともに、チェーンブロック用フックのチェーンを外し、基台32及びトラック40に対する積載台34の固定を解除する。
【0058】
3.フォーク82で金属丸パイプ84の重みを受けながら、フォーク82を下降させることにより金属丸パイプ84をゆっくり下げて積載台34を傾斜させる。積載台34の傾斜完了後、ターンバックル46を軽く締めて、積載台34と基台32とを緩く固定する。
【0059】
4.最後にターンバックル48を紐等で基台32に固定し、この後、トラック40の蛇腹76を閉めて荷台42を蛇腹76で覆う。
【0060】
以上の動作によって、積載台34を荷台42に仕舞うことができる。
【0061】
このように実施の形態の積載装置30によれば、基台32に軸支された積載台34が、収納パレット10を積載した状態で、水平状態と所定の傾斜状態との間で自在に傾動するので、積載台34が水平状態のとき、フォークリフト80を用いて収納パレット10を積載台34の積載位置に積載することができるとともに、この積載位置からの収納パレット10の搬出を、フォークリフト80を用いて行うことができる。
【0062】
したがって、実施の形態の積載装置30によれば、従来のように、収納パレットを吊り上げるクレーン等の大きな作業設備が不要となるので、収納パレット10の積載作業を効率よく行うことができる。また、トラック40に積載装置30を搭載して収納パレット10を輸送する際には、積載台34を所定の傾斜姿勢にして輸送する。これにより、大型サイズのマザーガラス基板が収納された収納パレット10であっても、専用トレーラーを使用せずにトラック40によって輸送することができる。
【0063】
一方で、積載台34を水平姿勢から所定の傾斜姿勢に傾動する場合、及び所定の傾斜姿勢から水平姿勢に傾動する場合には、積載台34に設けられた金属丸パイプ84に、フォークリフト80のフォーク82を係合させ、フォークリフト80によって積載台34を傾動することにより行う。
【0064】
したがって、実施の形態の積載装置30によれば、収納パレット10の積載には積載台34を使用するが、電動傾斜駆動装置を設けないことで積載装置30がコンパクトになり、よって、専用トレーラーを使用しなくても大型のマザーガラス基板を収納パレット10に収納し、輸送することができる。また、電動傾斜駆動装置を設けていないので、積載装置30が安価になり、また、専用トレーラーを必要としないため、その分の輸送費用も削減することができる。更に、積載装置30がコンパクト化したことにより積載装置30自体のトラック40に対する載せ替えが可能となるので、機動性に富む積載装置30となる。
【0065】
また、外部傾動手段として、フォークリフト80を使用すると、このフォークリフト80は、積載台34に対して収納パレット10を積み込み、積み下ろしする装置なので、このフォークリフト80を外部傾動手段として兼用することにより、別の外部駆動手段を用意しなくてよいという簡便さがある。
【0066】
また、実施の形態の積載装置30によれば、積載台34を水平姿勢と所定の傾斜姿勢とで保持するターンバックル付きフック46、48が設けられているので、収納パレット10を積載台34に積み込む際、及び積載台34から収納パレット10を積み下ろしする際の積載台34の水平姿勢を安定して保持でき、また、収納パレット10を輸送する際の積載台34の所定の傾斜姿勢を安定して保持できる。
【0067】
また、実施の形態の積載装置30によれば、約3200×3000(mm)のマザーガラス基板を積載することが好ましい。すなわち、積載装置30では、積載台34を傾動させる電動装置を有しておらず、積載装置30自体がコンパクト化されているため、このような第10世代の大型サイズのマザーガラス基板の収容、輸送に好適となる。
【0068】
一方で、実施の形態のトラック40によれば、積載装置30が、積載台34を軸支する軸50の軸方向が進行方向となるように搭載されて収納パレット10を輸送する。このような姿勢で積載装置30をトラック40に搭載することにより、車幅の広い運搬車両(専用のトレーラー)を使用することなく、積載装置を車幅の狭いトラック40を使用することができる。
【0069】
なお、収納パレット10を積載台34に積載したときの積載装置30の重心は、トラック40の幅方向の略真ん中に位置することが、トラック40の走行安定性の観点から好ましい。また、本発明における運搬車両は、トラック40の他に牽引車に牽引されるトレーラー等の運搬車両も含むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の利用例としてガラス板Gを例示したが、ガラス板Gのみならず、板状体であれば、樹脂板、金属板等の板状体についても本発明の板状体の積載装置及び運搬車両を適用することができる。大型で薄い板状体を安定して効率よく輸送できることを考慮すると、液晶ディスプレイ用の第10世代のマザーガラス基板に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】収納パレットの全体斜視図
【図2】実施の形態の積載装置の正面図
【図3】図2に示した積載装置の右側面図
【図4】トラックとトラックに搭載された積載装置の鳥瞰図
【図5】積載装置の作用を説明するための動作説明図
【図6】フォークリフトのフォークが積載台の金属丸パイプに係合している説明図
【符号の説明】
【0072】
10…収納パレット、12…台座、14、16…位置決め部材、18…載置板、20…枠材、22…開口部、30…積載装置、32…基台、34…積載台、40…トラック、42…荷台、44…軸受、46、48…ターンバックル付きフック、50…軸、52…テーブル、54…フック、56…ピン、58…フック、60…ピン、62…スリーブ、64…支柱、66…フック、68…ピン、70…フック、72…ピン、74…スリーブ、76…蛇腹、78…運転席、80…フォークリフト、82…フォーク、84…金属丸パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板状体が積層されて収納された収納パレットを、輸送のために積載する板状体の積載装置であって、
基台と、
前記基台に傾動自在に軸支されるとともに前記収納パレットが積載され、該収納パレットが積載された状態で、水平姿勢と所定の傾斜姿勢との間で自在に傾動する積載台とを有し、
前記積載台には、外部傾動手段に係合されて該積載台を傾動させるための係合部が設けられていることを特徴とする板状体の積載装置。
【請求項2】
前記積載台を水平姿勢と所定の傾斜姿勢とで保持する姿勢保持部材が設けられている請求項1に記載の板状体の積載装置。
【請求項3】
前記姿勢保持部材はターンバックル付きフックであり、該ターンバックル付きフックの両端部に設けられたフックのうち一方のフックが前記基台に係合され、他方のフックが前記積載台に係合されることにより、前記積載台が前記基台に対して水平姿勢と所定の傾斜姿勢とに保持される請求項2に記載の板状体の積載装置。
【請求項4】
前記板状体は、約3200×3000(mm)のマザーガラス基板である請求項1、2又は3に記載の板状体の積載装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の板状体の積載装置が、前記積載台を軸支する軸の軸方向が進行方向となるように搭載され、前記収納パレットを輸送することを特徴とする運搬車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−111431(P2010−111431A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287794(P2008−287794)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】