説明

板状部材用カッター

【課題】切断部の両側をきちんと押さえなくても、綺麗に切断することができる。
【解決手段】移動刃物10と固定刃物20とで板状部材Wを切断する板状部材用カッターである。固定刃物20には、切り始め側12及び切り終り側13に移動刃物10側に伸びて該移動刃物10をガイドするガイド部22、23が設けられており、移動刃物10は、刃先11がガイド部22、23に圧接するようにスプリング31で付勢されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復移動刃物で板状部材を切断する板状部材用カッターに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状又はテープ状で厚さがあまり厚くない平面的な板状部材を切断するカッターとして、図3に示すものが知られている。この種のカッターは、移動刃物10と、この移動刃物10と協同して板状部材Wを切断する固定刃物20とを有している。
【0003】
移動刃物10の刃先11は、切り始め側12側が切り終り側13側より固定刃物20側になるように傾斜して形成されている。これにより、板状部材Wを切り始め側12から切り終り側13に向かって順次切断することができ、切断が容易に行える。また移動刃物10の刃先11と固定刃物20の刃先21とのクリアランスが生じないように、移動刃物10の切り始め側12側の固定刃物20には、移動刃物10をガイドするガイド部22が設けられている。
【0004】
移動刃物10の上方の側方には、支軸14、14が設けられており、支軸14、14は、図示しない駆動手段で上下駆動される移動ベース30に回転自在に支承されている。そして、移動刃物10の切り始め側12側の刃先がガイド部22に圧接するように、移動刃物10と移動ベース30間にはスプリング31が配設されている。なお、図において、θ1は移動刃物10の逃げ角、θ2は固定刃物20の逃げ角を示す。
この種のカッターに関連するものとして、例えば特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開2007−105808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動刃物10の刃先11と固定刃物20の刃先21のクリアランスを0で両刃物10、20を切り始めより切り終りまで順番に当てるためには、通常図3(a)、(c)に示すように、刃先11と21が平行ではなく、刃先11の切り終り側13を固定刃物20側に傾けている。これにより、両刃物10、20のクリアランスが0に保たれ、綺麗に切断できる。しかし、この構造であると、図4(b)に示すように、送りローラ40、41と押さえローラ42、43で板状部材Wの切断部の両側部分をきちんと押さえて切断しないと、板状部材Wが曲がるという問題があった。これに対して、刃先11と21を平行にすると、通常は製作誤差によりクリアランスを0に保つことができない。
【0006】
このように、板状部材Wの切断部の両側部分をきちんと押さえていないと、板状部材Wが刃先11と21の間に引き込まれて斜めにカーブを描いて切断される。また非常に軟らかい板状部材Wでは、押さえローラ42、43で押さえていても切断終了間際は引き込まれる。この原因は、移動刃物10が固定刃物20と平行でないため、僅かに動き、そのために引き込み力が発生するために起こる。
【0007】
本発明の課題は、切断部の両側をきちんと押さえなくても、綺麗に切断することができる板状部材用カッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の請求項1は、相対向して配設され、一方の刃物の刃先は、他方の刃物の刃先に対して傾斜して形成され、相対的に移動して板状部材を切断する2個の刃物を有する板状部材用カッターにおいて、2個のいずれかの刃物には、切り始め側及び切り終り側にそれぞれ対応する刃物側に伸びて該刃物をガイドするガイド部が設けられており、ガイド部を有しない刃物は、刃先がガイド部に圧接するように弾性部材で付勢されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
一方の刃物には、他方の刃物の切り始め側及び切り終り側に該刃物をガイドするガイド部が設けられている。これにより、両刃物の刃先は平行に保持される。このため、例えば押さえローラが無くても板状部材を引っ込む力が発生しなく、真っ直ぐに切断できる。また特に、板状部材が軟質材で従来では押さえても切り終り側が真っ直ぐにならないものに対して効果絶大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の板状部材用カッターの一実施の形態を図1により説明する。なお、図3と同じ又は相当部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。固定刃物20には、移動刃物10の切り終り側13側にもガイド部23が設けられている。
【0011】
このように、固定刃物20には、移動刃物10の切り始め側12及び切り終り側13に移動刃物10をガイドするガイド部22、23が設けられていると共に、従来と同様に、移動刃物10及び固定刃物20には逃げ角θ1及びθ2が設けられている。即ち、ガイド部22、23と両刃物10、20に逃げ角θ1、θ2を有することにより、刃先11と21とは平行に保持され、かつクリアランスが0に保たれる。このため、図4(a)に示すように押さえローラ42、43が無くても板状部材Wを引っ込む力が発生しなく、真っ直ぐに切断できる。即ち、図4(b)に示すように、押さえローラ42、43を設けてもよいが、単に送りローラ40、41のみでもよい。特に、本実施の形態においては、板状部材Wが軟質材で従来では押さえても切り終り側13が真っ直ぐにならないものに対して効果絶大である。
【0012】
図2は本発明の板状部材用カッターの他の実施の形態を示す。前記実施の形態においては、固定刃物20にガイド部22、23を設けたが、本実施の形態は、移動刃物10にガイド部15、16を設けた。このように構成しても、前記実施の形態と同様に、刃先11と21とは平行に保持されるので、前記実施の形態と同様の効果が得られる。
【0013】
上記実施の形態においては、ガイド部22、23は固定刃物20に設けたが、固定刃物20が固定された図示しないベース板部に固定してもよい。また傾斜した刃先11が形成された移動刃物10を移動させ、水平な刃先21が形成された固定刃物20を固定した場合について説明したが、傾斜した刃先11が形成された移動刃物10を固定し、水平な刃先21が形成された固定刃物20を移動させてもよい。要は、相対向して配設された第1刃物と第2刃物を相対的に移動させる構造であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の板状部材用カッターの一実施の形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図2】本発明の板状部材用カッターの他の実施の形態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】従来の板状部材用カッターを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図4】板状部材を切断する場合の一例を示し、(a)は押さえローラを有しない場合の平面図、(b)は押さえローラを有する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0015】
W 板状部材
10 移動刃物
11 刃先
12 切り始め側
13 切り終り側
15、16 ガイド部
20 固定刃物
21 刃先
22、23 ガイド部
30 移動ベース
31 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向して配設され、一方の刃物の刃先は、他方の刃物の刃先に対して傾斜して形成され、相対的に移動して板状部材を切断する2個の刃物を有する板状部材用カッターにおいて、2個のいずれかの刃物には、切り始め側及び切り終り側にそれぞれ対応する刃物側に伸びて該刃物をガイドするガイド部が設けられており、ガイド部を有しない刃物は、刃先がガイド部に圧接するように弾性部材で付勢されていることを特徴とする板状部材用カッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−23074(P2009−23074A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191561(P2007−191561)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(593163461)株式会社トライヤーン (6)
【Fターム(参考)】