説明

板紙類供給装置

【課題】種々の形状の板紙類が安定的に支持されて搬送できるようにすると共に、積重エリヤにその板紙類がきちんと整列状態に積み重ねられる板紙類供給装置を提供する。
【解決手段】段ボール紙等の板紙7類を支持する複数のベルト搬送機構11a〜11dを機枠12に平行に設け、該各ベルト搬送機構を夫々幅方向に移動可能に設けて該各ベルト搬送機構の間隔を調節可能にすると共に、該各ベルト搬送機構は固定ビーム21の先端部から可動ビーム22が前方に伸張することにより伸縮可能に形成され、固定ビームの後端部に後端側ターンローラ24を支持し、可動ビームの前端部に前端側ターンローラ28を支持し、無端帯状の搬送ベルト30を後端側ターンローラと前端側ターンローラとの間に張設することにより該各ベルト搬送機構の搬送面の長さを調節可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール紙,厚紙等の板紙類を整然と積み重なるように印刷機,整函機等に供給する板紙類供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイカッターによって所定の形状に裁断された段ボール紙等の板紙は、次に印刷機や製函機等に供給するためにベルトコンベヤ上にてラップ状に折り重なった状態にて搬送される。下記特許文献1〜4はそのための従来の板紙類供給装置を示すもので、板紙類が支持する複数の無端帯状搬送ベルトが平行に設けられたものであったが、従来のこれらの板紙類供給装置は、各搬送ベルトの間隔および搬送面の長さが一定であって調節ができないものであった。
【特許文献1】特開昭50−48664号公報
【特許文献2】特公昭52−27898号公報
【特許文献3】特開昭54−149176号公報
【特許文献4】実開昭61−15940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ダイカッターによって裁断される今日の板紙類の平面形状は、図1に例示したように、紙箱の形状や組立構造等によって様々であり、例えば図示した板紙7では、紙箱の4側面となる4つの方形部A1〜A4が折目を介して横方向に連設され、該各方形部の両側に箱底面となるフラップB1〜B4および箱蓋となるフラップC1,C2,C4が夫々折目を介して延設されている。このように板紙7の搬送方向の先端縁および後端縁はフラップの形状によって凹凸状になるので、上記従来の板紙類供給装置によりこのような板紙を搬送した場合に、その板紙は斜めにズレ易く、整列状態にうまく積み重ねることができないという問題が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこのような問題点を解消した新たな構造の板紙類供給装置を提供しようとするものである。そのために請求項1に記載の板紙類供給装置は、段ボール紙等の板紙類を支持する複数のベルト搬送機構を機枠に平行に設け、該各ベルト搬送機構を夫々幅方向に移動可能に設けて該各ベルト搬送機構の間隔を調節可能にすると共に、該各ベルト搬送機構は固定ビームの先端部から可動ビームが前方に伸張することにより伸縮可能に形成され、固定ビームの後端部に後端側ターンローラを支持し、可動ビームの前端部に前端側ターンローラを支持し、無端帯状の搬送ベルトを後端側ターンローラと前端側ターンローラとの間に張設することにより該各ベルト搬送機構の搬送面の長さを調節可能にしたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は上記板紙類供給装置において、固定ビームの略中間部下側に設けたガイドローラと可動ビームの後端部下側に設けたガイドローラとに搬送ベルトの下部リターン側をS字状に巻回することにより、該搬送ベルトが常に弛みなく帰戻りするようにしたことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は上記板紙類供給装置において、可動ビームの前端部に押出板をアクチュエータの作動により進行方向に出没するように設けたことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は上記板紙類供給装置において、可動ビームの前端部に補助ローラを設け、搬送ベルトの搬送面から離間した板紙類が該補助ローラ上に一旦乗架してから積重エリヤに落下するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明によれば、板紙類の形状に合わせて各ベルト搬送機構の間隔および各ベルト搬送機構の搬送面の長さを調節することができ、板紙類が各ベルト搬送機構によって安定的に支持されると共に、積重エリヤに板紙類が斜めになることなく整列状態にうまく積み重ねることができる。このため様々な形状の板紙類を問題なく搬送できて、整列状態にきちんと積み重ねることができる。
請求項2に記載の発明では、可動ビームを前方に伸張させて該ベルト搬送機構の搬送面の長さを調節しても搬送ベルトを弛ませることがなく、常に搬送ベルトが必要な張設状態に保たれる。
請求項3おび請求項4に記載の発明では、積重エリヤにおける板紙類の積み重ね状態がいっそう整然と揃えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図2はこの装置の側面図、図3はその平面図である。レール1上に一対の平行な側板2a,2bからなる機台2が設けられ、該機台2の上端部に軸受3a,3bが設けられ、該軸受により複数のローラ4を適宜間隔で固設した回転軸5を回転自在に支持している。6は機台2の前面であってローラ4の前側位置に斜めに固設された滑板で、図1に示したような形状に裁断された段ボール紙等の板紙7を該ローラ4上に乗せることによって前方に移動させ該滑板上を滑落させることにより、該板紙が本発明に係る板紙類供給装置10の複数のベルト搬送機構11a〜11d上に乗せられるようにしている。なお、8はベルト搬送機構11a〜11d上に乗せる板紙7を幅方向にずれないように整列させるために滑板6の一側に竪に設けられた当板である。
【0007】
板紙類供給装置10は、機枠12内に4つのベルト搬送機構11a〜11dを平行であって夫々幅方向に移動可能として該各ベルト搬送機構の間隔を調節可能に設けている。該機枠12は図4にも示すように、両側板13a,13b間に幅方向梁部材13c〜13fを横架してなり、該両側板13a,13bの一端を機台2に設けられた軸受14a,14bにヒンジすると共に、該機台2内に流体圧シリンダ15を設け、幅方向梁部材13dに該流体圧シリンダ15のピストンロッドを連結し、該流体圧シリンダにより機枠12を支持することにより、該流体圧シリンダを作動させると該機枠12が軸受14a,14bを支点として上下に煽動するように構成される。なお、機枠12の両外側面にはローラーコンベヤ16a,16bが固設されている。
【0008】
4つのベルト搬送機構11a〜11dは同一構成であるので、これを図4〜図8に従い説明する。先ず、該各ベルト搬送機構11a〜11dを機枠12内にて幅方向に移動可能にしている構成を説明する。機枠12を構成する幅方向梁部材13e,13fの上面に直線レール14a,14bを設けると共に、該幅方向梁部材13e,13fの下面にラック歯15a,15bを設け、該直線レール上に摺動自在なるようにリニヤガイド16a,16bが備えられた支持部材17a,17bを設け、該支持部材により軸受18a〜18dを支持し、一端の軸受18dにモータ19を固設し、該モータ19に繋がる回転軸20を該軸受18a〜18dにより回転自在に支持し、該回転軸20に固着した歯車20a,20bをラック歯15a,15bに噛合させ、該支持部材17a,17bの上端部に固定ビーム21を水平に固着支持し、該固定ビームの略前半部に形成された筒状部21a中に可動ビーム22をスライド可能に収容し、該固定ビームの先端部から該可動ビームが前方に伸張し得るように構成される。そして、前記モータ19により回転軸20を回転駆動し、歯車20a,20bを回転させることにより、該固定ビーム21が可動ビーム22と共に機枠12内にて幅方向に移動・停止されるようにしている。
【0009】
固定ビーム21は後端部には軸受23を設けることにより後端側ターンローラ24が回転自在に支持される。26は該後端側ターンローラ24を回転駆動するため両端部を前記軸受14a,14bに回転自在に支持した駆動軸で、該駆動軸は全長にわたって外周にスプライン状の係合溝が形成され、該係合溝に後端側ターンローラ24の内周が係合することで該後端側ターンローラ24は該駆動軸に沿って移動自在であり、該駆動軸26がモータ(図示せず)により矢印の方向に回転駆動されることで、その回転が該後端側ターンローラ24に伝達されるようにしている。また、可動ビーム22の前端部に軸受27を設け、前端側ターンローラ28を回転自在に支持している。そして、無端帯状の搬送ベルト30が後端側ターンローラ24と前端側ターンローラ28との間に張設される。31は固定ビーム21の下面に固着されたモータで、該モータ31の回転軸に該固定ビーム21の筒状部21a中に延びるネジ軸32が設けられ、該ネジ軸32に可動ビーム22の後端部に固設された雌ネジ部材33を螺合させ、該ネジ軸32を回転させると可動ビーム22が筒状部21a中をスライドし、該可動ビーム22を前方へ適宜長に伸張させたところで停止できるようにしている。
【0010】
また、35は固定ビーム21の略中間部下側に軸受片36を垂下し、該軸受片に回転自在に設けたガイドローラ、37は可動ビーム22の後端部に軸受片38を垂下し、該軸受片に回転自在に設けたガイドローラで、搬送ベルト30の下部リターン側を該ガイドローラ35とガイドローラ37とにS字状に巻回する。また、39は固定ビーム21の後端部寄りに軸受片40を垂下し、該軸受片に回転自在に設けたガイドローラ、41は前記支持部材17b中に回転自在に設けられたガイドローラで、該ガイドローラ39,ガイドローラ41にも搬送ベルト30の下部リターン側を摺接させることにより、該搬送ベルト30が幅方向梁部材13f等に接触しないように迂回させている。このように、搬送ベルト30の下部リターン側をガイドローラ35とガイドローラ37とにS字状に巻回すると、可動ビーム22がスライドした際にガイドローラ37も該可動ビーム22と共にスライドすることから、該搬送ベルト30の下部リターン側が常に弛みなく張設される。このため、前記駆動軸26がモータにより回転駆動され後端側ターンローラ24が回転することで搬送ベルト30が循回することにより、該搬送ベルト30の搬送面上に乗せられた板紙7が前方、即ち、図示矢印の方向に搬送される。
【0011】
また、可動ビーム22の前端部に流体圧シリンダからなるアクチュエータ43を設け、該アクチュエータの作動により進行方向に出没するよう縦長長方形状の押出板44を設ける。また、45は可動ビーム22の前端部に縦筒状取付部46を設け、該取付部に軸支片47を嵌脱自在なるように差し込むことにより搬送ベルト30の搬送面と略同高さに支持される補助ローラである。
【0012】
また、50a,50bは機枠12の前端部に設けられた板紙の一対の幅揃え機構で、該各幅揃え機構は、図9にも示すように、機枠12を構成する前記幅方向梁部材13cの両外方突出端に前方に突出する張出板51a,51bを固着し、該張出板間にガイド軸52a,52bとネジ軸53を平行に設け、該ネジ軸53がモータ54により回転されるようにすると共に、該ネジ軸53が回転することにより該ガイド軸52a,52bに沿って移動する前方張出腕55を設け、該前方張出腕上の適宜位置にロックハンドル56を締め付けることにより組付体57を固着し、該組付体に流体圧シリンダ58を設けると共に該組付体の内端縁に当板59の下縁部59aを枢着し、該流体圧シリンダ58のピストンロッド先端を当板59に連結することにより該当板59を垂直に支持し、該流体圧シリンダ58を作動させると該当板59が下縁部59aを支点として煽動するように構成されている。
【0013】
この板紙類供給装置では、前記モータ19を作動させることで、図10に例示したように、4つのベルト搬送機構11a〜11dを個々に幅方向に移動することができるので、該各ベルト搬送機構11a〜11dの搬送面が上記板紙7の方形部A1〜A4に夫々合致するように該各ベルト搬送機構11a〜11dの間隔を調整することができる。また、モータ31を作動させ可動ビーム22を適宜長に伸張することで前端側ターンローラ28を前方に進出或いは後退させ該各ベルト搬送機構11a〜11dの搬送面の長さを調節することができるので、上記のように各ベルト搬送機構11a〜11dの間隔を調整すると同時に、該各ベルト搬送機構11a〜11dの前端側ターンローラ28を板紙7の後端縁の形状に合わせて調節することにより、板紙7をバランスよく安定的に支持することができると共に、搬送されて来た板紙7の後端縁が各ベルト搬送機構11a〜11dの搬送ベルトから同時に離脱し、該板紙7が斜めになることなく略水平姿勢を保って真直に積重エリヤBに落下するように設定することができる。これによって板紙7を該積重エリヤBに整然と積み重ねることができる。
【0014】
また、幅揃え機構50a,52bは、モータ54を作動させることにより両当板59の間隔を板紙7の幅寸法に合わせて調節することができると共に、流体圧シリンダ58を作動させ当板59を煽動させることにより、積重エリヤBに落下する直前の板紙7を幅方向に位置揃えすることができる。また、アクチュエータ43を作動させ押出板44を進行方向に出没させ該積重エリヤBに落下した板紙7を前方に押圧することにより該板紙7は前後方向にも揃えられる。
【0015】
さらには、補助ローラ45を設けることにより、各ベルト搬送機構11a〜11dの搬送面上から突出した板紙7が該補助ローラ45によって一時的に支持されることから板紙7が積重エリヤBの略真上に至るまで該板紙7が水平状態に保たれるようになるので、該板紙7を水平状態に保ったままで真直に落下させることができ、落下時に斜めになり難いので、積重エリヤBに積み重ねられた板紙7を次の印刷機や製函機等(図示せず)に整然と送給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の板紙類供給装置によって搬送しようとする板紙の一例を示す平面図。
【図2】本発明の実施形態を示す板紙類供給装置全体の側面図。
【図3】図2の平面図。
【図4】本発明の実施形態を示す板紙類供給装置のベルト搬送機構の縦断面図。
【図5】図4のベルト搬送機構の右半部の拡大図。
【図6】図4のベルト搬送機構の左半部の拡大図。
【図7】図4の作動状態図。
【図8】図6の作動状態図。
【図9】図3のA−A線矢視図。
【図10】図3の作動状態図。
【符号の説明】
【0017】
7 板紙
10 板紙類供給装置
11a〜11d ベルト搬送機構
12 機枠
14a,14b 直線レール
15a,15b ラック歯
16a,16b リニヤガイド
19 モータ
20a,20b 歯車
21 固定ビーム
22 可動ビーム
24 後端側ターンローラ
26 駆動軸
28 前端側ターンローラ
30 搬送ベルト
31 モータ
32 ネジ軸
33 雌ネジ部材
35 ガイドローラ
37 ガイドローラ
43 アクチュエータ
44 押出板
45 補助ローラ
50a,52b 幅揃え機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール紙等の板紙類を支持する複数のベルト搬送機構を機枠に平行に設け、該各ベルト搬送機構を夫々幅方向に移動可能に設けて該各ベルト搬送機構の間隔を調節可能にすると共に、該各ベルト搬送機構は固定ビームの先端部から可動ビームが前方に伸張することにより伸縮可能に形成され、固定ビームの後端部に後端側ターンローラを支持し、可動ビームの前端部に前端側ターンローラを支持し、無端帯状の搬送ベルトを後端側ターンローラと前端側ターンローラとの間に張設することにより該各ベルト搬送機構の搬送面の長さを調節可能にしたことを特徴とする板紙類供給装置。
【請求項2】
固定ビームの略中間部下側に設けたガイドローラと可動ビームの後端部下側に設けたガイドローラとに搬送ベルトの下部リターン側をS字状に巻回することにより、該搬送ベルトが常に弛みなく帰戻りするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の板紙類供給装置。
【請求項3】
可動ビームの前端部に押出板をアクチュエータの作動により進行方向に出没するように設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の板紙類供給装置。
【請求項4】
可動ビームの前端部に補助ローラを設け、搬送ベルトの搬送面から離間した板紙類が該補助ローラ上に一旦乗架してから積重エリヤに落下するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の板紙類供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−280159(P2008−280159A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127566(P2007−127566)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(591004995)
【Fターム(参考)】