説明

果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法

【課題】殺菌が施される飲料において自然な風味が損なわれないような製法を提供する。
【解決手段】果実を搾汁して果汁を得るための搾汁工程と、果実果汁原料液を殺菌するための殺菌工程と、この殺菌工程にて殺菌された果実果汁原料液を無菌環境下で密封容器内に充填する充填工程と、を含む果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法、特に変性・劣化の無い密封容器入り飲料の製造方法及び、それらにより製造された飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、熱に弱いPETボトルに充填する飲料に対して加熱殺菌を行う等の理由から、清涼飲料溶液に対して高温短時間の瞬間殺菌(例えば、138℃で60秒間という瞬間殺菌)を施すことも行われるようになってきている。
【0003】
そして、飲料をPETボトルに充填する場合には、飲料に対して瞬間殺菌を行った後、直ちに常温まで冷却し、無菌のPET等の容器へ、無菌環境下で常温充填をするというような操作がなされる。
【0004】
ここで、殺菌のための加熱を行った場合には、飲料の内容物の変性あるいは劣化が生じるというのは避けられないことである。しかしながら、瞬間殺菌は加熱時間が短いために、レトルト殺菌と比較すると内容物の変性・劣化が少なく、比較的新鮮な風味がPETボトル飲料等において楽しめるようになってきている。
【特許文献1】特開平15−111579
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、香りについては、加熱殺菌の際の熱による変性・劣化が甚だしく、加熱殺菌を経た場合には、飲料原料液に当初から含まれている天然の香りが変質してしまうことがある。
【0006】
本発明の目的は、殺菌が施される飲料において自然な香味・風味が損なわれないような製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に示すように、果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法であって、果実を搾汁して果汁を得るための搾汁工程と、果実果汁原料液を殺菌するための殺菌工程と、この殺菌工程にて殺菌された果実果汁原料液を無菌環境下で密封容器内に充填する充填工程と、を含む果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法である。
【0008】
また、本発明は、請求項2に示すように、前記の殺菌工程において、原料液がUHT殺菌されることを特徴とする果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法である。
【0009】
また、本発明は、請求項3に示すように、前記の無菌環境は、充填装置の飲料充填部分がアセプティック環境下に置かれているものであることを特徴とする請求項1又は請求項2の項に記載の果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、請求項4に示すように、前記の充填工程において、充填容器内部の空気が窒素置換されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの項に記載の果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、請求項5に示すように、飲料原料液を調合する調合タンクと、この調合タンクに接続されている加熱殺菌装置と、を含み、無菌状態の飲料原料液を供給する無菌飲料原料液供給ラインと、この無菌状態の飲料原料液を、無菌環境下、非加熱状態で所定の密封容器に充填する充填装置と、を備える密封容器入り飲料の製造装置である。
【0012】
また、本発明は、請求項6に示すように、前記の請求項1から請求項4までのいずれかの製造方法により製造されたことを特徴とする果実を用いた密封容器入り飲料である。
【0013】
また、本発明は、請求項7に示すように、前記の果実がキウイフルーツ又は、マンゴー又は、パパイヤの中のいずれかであることが特徴である。
【0014】
また、本発明は、請求項8に示すように、前記の飲料原料液がキウイフルーツ果汁又は、マンゴー果汁又は、パパイヤ果汁の中のいずれかであることが特徴である。
【0015】
また、本発明は、請求項9に示すように、前記の果実がキウイフルーツ又は、マンゴー又は、パパイヤの中のいずれかであることが特徴である。
【発明の効果】
【0016】
本発明では以下のような効果がある。
1)安全で、採りたての味をそのまま賞味できる果実飲料を提供できる。
2)UHT殺菌により、変質、変味の少ない果実飲料を提供できる。
3)アセプティック環境下での充填のため、安全で長期保存を可能とする果実飲料を提供できる。
4)窒素置換により、酸素がないので、果実の変質がなく、長期保存を可能とする。
【発明を実施するための最良お形態】
【0017】
本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明による果実飲料の製造工程を示すフロー図である。
1)採取、洗浄工程
熟した果実を摘果し、水洗浄する。(食品洗剤を使用しても良い。)
2)切断工程
洗浄後、適時にカットする。1/2程度でよい。
3)搾汁工程
搾汁装置により、果汁を絞る。搾汁装置は、ローラー式、押圧式、遠心式など、搾汁できるものであればいずれでも良い。
4)調理工程
搾汁液に蜂蜜、果糖を添加し、味付けする。
5)殺菌工程
搾汁した果実搾汁液をろ過し、UHT殺菌装置で殺菌する。
6)充填工程
殺菌した果実果汁をアセプティック充填装置により、無菌環境下でペットボトルに充填し、密封する。ペットボトルに無菌充填された果実飲料は、絞りたての味をそのままとし、変質、変味のほとんどない新鮮な味となった。
また、6ヶ月の保存において、変色がなく、味の変化もほとんどなかった。1年後においても、変色はなく、味の変化も認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による果実飲料の製造方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0018】
1 洗浄工程
2 切断工程
3 搾汁工程
4 調理工程
5 殺菌工程
6 充填工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法であって、果実を搾汁して果汁を得るための搾汁工程と、果実果汁原料液を殺菌するための殺菌工程と、この殺菌工程にて殺菌された果実果汁原料液を無菌環境下で密封容器内に充填する充填工程と、を含む果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法。
【請求項2】
前記の殺菌工程において、原料液がUHT殺菌されることを特徴とする請求項1記載の果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法。
【請求項3】
前記の無菌環境は、充填装置の飲料充填部分がアセプティック環境下に置かれているものであることを特徴とする請求項1又は請求項2の項に記載の果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法。
【請求項4】
前記の充填工程において、充填容器内部の空気が窒素置換されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの項に記載の果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法。
【請求項5】
飲料原料液を調合する調合タンクと、この調合タンクに接続されている加熱殺菌装置と、を含み、無菌状態の飲料原料液を供給する無菌飲料原料液供給ラインと、
この無菌状態の飲料原料液を、無菌環境下、非加熱状態で所定の密封容器に充填する充填装置と、
を備える密封容器入り飲料の製造装置。
【請求項6】
前記の請求項1から請求項4までのいずれかの製造方法により製造されたことを特徴とする果実を用いた密封容器入り飲料。
【請求項7】
前記の果実がキウイフルーツ又は、マンゴー又は、パパイヤの中のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の果実を用いた密封容器入り飲料の製造方法。
【請求項8】
前記の飲料原料液がキウイフルーツ果汁又は、マンゴー果汁又は、パパイヤ果汁の中のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の果実を用いた密封容器入り飲料の製造装置。
【請求項9】
前記の果実がキウイフルーツ又は、マンゴー又は、パパイヤの中のいずれかであることを特徴とする請求項6記載の果実を用いた密封容器入り飲料。

【図1】
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【公開番号】特開2008−259486(P2008−259486A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128589(P2007−128589)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(505372930)
【Fターム(参考)】