説明

架橋されたポリマー

【課題】成形品、特にコンタクトレンズの製造のための新規な方法、及びその方法により得られる成形品、コンタクトレンズを提供するとともに、新規な方法に用いられるプレポリマーを提供。
【解決手段】少なくとも約2,000の分子量を有する、架橋しうる基を含む単位及び改質基を含む単位を少なくとも1種含む可溶性のポリビニルアルコール誘導体プレポリマー、これらの新規なプレポリマーから調製される架橋されたポリマー、ホモポリマー又はコポリマー新規なプレポリマー及びそれから得られるホモポリマー並びにコポリマーの製造法、該ホモポリマー又はコポリマーから製造される成形品、及び該ホモポリマー又はコポリマーを用いるコンタクトレンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品、特にコンタクトレンズの製造方法(ここでは、架橋しうる基を含む単位、及び改質基を含む単位の少なくとも1種を含むプレポリマーが溶液中で架橋されている)、この方法により得られる成形品、特にコンタクトレンズに関する。
【0002】
本発明は、また、この架橋方法に用いられる新規なプレポリマー、特にポリマー鎖に官能基例えばヒドロキシル基、又はポリマー鎖に官能基例えばイミノ基、又は架橋基を介してポリマー骨格に結合した官能基を有する原料ポリマーに基づくプレポリマー(ここで、これらの官能基は、架橋しうる改質基又は他の改質基を有する化合物に共有結合している)に関する。これらの原料ポリマーは、特に、ポリビニルアルコールのような1,2−及び/又は1,3−ジオール構造を有するポリヒドロキシル化合物、又は酢酸ビニルのコポリマー、例えば塩化ビニル、N−ビニルピロリドンなどとのコポリマーの加水分解されたコポリマーである。本発明は、更に、これらの新規なプレポリマーから製造された架橋ポリマー、ホモポリマー又はコポリマー、新規なプレポリマー及びそれらから得られるホモポリマー及びコポリマーの製造法、該ホモポリマー又はコポリマーから製造される成形品、特に、これらのホモポリマー又はコポリマーから製造されるコンタクトレンズ、及び該ホモポリマー又はコポリマーを用いるコンタクトレンズの製造方法に関する。
【0003】
原料ポリマーは、特に、例えば1,3−ジオール骨格を有するポリビニルアルコールの誘導体又はビニルアルコールのコポリマーである。架橋しうる基又は別の改質基は、種々の方法で原料ポリマーの骨格に結合させることができ、例えば一定の割合で改質された1,3−ジオール単位により、2位に架橋しうる基又は別の改質基を有する1,3−ジオキサンを生成させることができる。
【0004】
原料ポリマーの一定の割合のヒドロキシル基を不飽和有機酸によってエステル化することは、もう一つの可能性であり、これらのエステル結合した基は、架橋しうる基を含んでいる。
【0005】
1,3−ジオキサンを得るように改質された基の場合、新規なプレポリマーは、好適には少なくとも約2,000の平均分子量を有し、架橋しうる基及び別の改質基を含むポリビニルアルコールである。この別の改質基は、とりわけ、成形品の機械的性質を改善する重要性を付加するに役立ち、そして、例えば酸又は塩基官能性を有することができる。
【0006】
架橋しうる基を含む単位は、特に式(I):
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、
Rは、C1 −C12アルカンの2価の基であり、
1 は、水素、C1 −C6 アルキル基又はシクロアルキル基であり、
2 は、水素又はC1 −C6 アルキル基であり、
3 は、n=0ならば−C(R4)=CH2 の基であり、又はn=1ならば−C(R16)(R17)−の架橋基であり、
4 は、水素又はC1 −C4 アルキルであり、
nは、0又は1、好適には0であり、そして
16及びR17は、互いに独立して、水素、C1 −C8 アルキル、アリール又はシクロヘキシルである)
に一致する。
【0009】
別の改質基を含む単位は、特に式(II):
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、
1 は、水素、C1 −C6 アルキル基又はシクロアルキル基であり、
5 は、C1 −C8 アルカンの1価若しくは2価の基又はC2 −C8 オレフィンの1価若しくは2価の基であり、
6 は、式:−(−NH−CO−R7o (R8p 又は−N(R92 の基であり、
7 は、C1 −C8 アルカンの非置換又は置換した1価若しくは2価の基であり、
8 は、複素環式基であり、
9 は、水素又はC1 −C6 アルキル基であり、
nは、0又は1であり、そして
o及びpは、互いに独立して、0又は1である)
に一致する。
【0012】
式(I)のRは、C1 −C12アルカンの2価の基として、直鎖又は分岐の基、特にメタン、エタン、n−又はイソプロパン、n−、sec −又はtert−ブタン、n−又はイソペンタン、ヘキサン、ヘプタン又はオクタンの基である。好適な基は、1〜4個の炭素原子、特に1個の炭素原子を含む。
【0013】
式(I)のR1 及びR2 並びに式(II)のR1 及びR9 は、C1 −C6 アルキル基として、例えばメチル、エチル、プロピル又はブチル基である。R1 及びR2 のそれぞれは、好適には水素である。
【0014】
式(I)のR4 は、C1 −C4 アルキル基として、例えばn−ブチル、n−又はイソプロピル又はエチル基、特にメチル基である。
【0015】
式(II)のR5 は、C2 −C8 オレフィンの基として、直鎖又は分岐の基、例えばプロペン、1−ブテン、2−ブテン、メチルプロペン、4−エチル−2−ヘキセン又は2−メチルペンテンの基である。
【0016】
式(II)のR5 は、C1 −C8 アルカンの基として、直鎖又は分岐の基、例えばメタン、エタン、n−又はイソプロパン、n−、sec −又はtert−ブタン、n−又はイソペンタン、ヘキサン、ヘプタン又はオクタンの基である。
【0017】
式(II)のR7 は、C1 −C8 アルカンの1価又は2価の基として、直鎖又は分岐の基、例えばメタン、エタン、n−又はイソプロパン、n−、sec −又はtert−ブタン、n−又はイソヘキサン、ヘプタン又はオクタンの基である。
【0018】
式(II)のR8 は、複素環式基として、特に−S−、−O−又は−NH−のような、炭素以外の1個の環構成原子を含む5員環の複素環の基、例えばフラン、チオフェン、ピロール、ピロリドン、ピログルタミン酸、式:
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、R10及びR11は、互いに独立して、水素、C1 −C4 アルキル、特にメチル、又はフェニルのようなアリール、又はF、Cl又はBrのようなハロゲン、好適には水素又はメチルである)のマレイミド、クマロン、チオクマロン又はインドール;−O−、−S−又は−NH−のような、2個の炭素以外の環構成原子を含む5員環の複素環、例えばオキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イミダゾール、式:
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、R12、R13及びR14は、互いに独立して、水素又はC1 −C6 アルキル基(これは、非置換、又は例えばCOOH若しくはCOO(C1 −C4 アルキル)でモノ置換若しくはポリ置換されている)のヒダントイン又はピラゾール;−O−又は−NHのような、3個以上の炭素以外の環構成原子を含む5員環の複素環、例えばフラザン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3,4−トリアゾール又はテトラゾール;1個の炭素以外の環構成原子、例えば−O−、−S−又は−NH−を含む6員環の複素環、例えばピラン、チオピラン、ピリジン又はキノリン;又は−N−のような1個以上の炭素以外の環構成原子を含む6員環の複素環、例えばオイアジン、ミアジン、式:
【0023】
【化6】

【0024】
(式中、R14は、上記と同義である)のジヒドロウラシル又はピアジンのようなジアジン、ビシナール、非対称若しくは対称のトリアジン又は1,2,3,4−トリアジン、1,2,3,5−トリアジン若しくは1,2,4,5−トリアジンである。
【0025】
好適な複素環式基は、1個の炭素以外の環構成原子、特に−NH−を含む5員環の複素環の基、特にマレイミド及びピロリドンの基である。
【0026】
式(I)のR16及びR17は、C1 −C8 アルキル基として、直鎖又は分岐の基、例えばオクチル、ヘキシル、ペンチル、ブチル、プロピル、エチル、メチル、2−プロピル、2−ブチル又は3−ペンチルである。R16は、好適には水素又はCH3 基であり、R17は、好適にはC1 −C4 アルキル基である。
【0027】
16及びR17は、アリールとして、好適にフェニルである。
【0028】
これらの基の全ては、モノ置換又はポリ置換され、適切な置換基の例は以下のものである:メチル、エチル又はプロピルのようなC1 −C4アルキル、−COOH、−OH、−SH、C1 −C4 アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ又はイソブトキシのような)、−NO2 、−NH2 、−NH(C1 −C4 アルキル)、−NH−CO−NH2 、−N(C1 −C4 アルキル)2、フェニル(これは、非置換、又は、例えば−OH若しくはCl、Br若しくは特にIのようなハロゲンで置換されている)、−S(C1 −C4 アルキル)、特に、インドール又はイミダゾールのような5−又は6−員環の複素環、−NH−C(NH)−NH2 、フェノキシフェニル(これは、非置換、又は、例えば−OH若しくはCl、Br若しくは特にIのようなハロゲンで置換されている)、メチレン又はビニルのようなオレフィン基、及びCO−NH−C(NH)−NH2
【0029】
好適な置換基は低級アルキルであり、本明細書の他の場合と同様、この場合にも、好適にはC1 −C4 アルキル、C1 −C4 アルコキシ、COOH、SH、−NH2 、−NH(C1 −C4 アルキル)、−N(C1 −C4 アルキル)2又はハロゲンである。C1 −C4 アルキル、C1 −C4 アルコキシ、COOH及びSHは特に好ましい。
【0030】
本発明の目的には、シクロアルキルは、特に、シクロアルキルであり、アリールは、特に、上記と同様に非置換又は置換したフェニルである。
【0031】
含まれる基が、エステル基を介して結合し、架橋しうる基を含む場合、新規なプレポリマーは、好適には式(III):
【0032】
【化7】

【0033】
(式中、
15は、水素又はC1 −C4 アルキル基、特にCH3 であり、そして
pは、0〜6、好適に0である)の単位を含む、少なくとも約2,000の平均分子量を有するポリビニルアルコールの誘導体である。
【0034】
ポリビニルアルコールに基づくコンタクトレンズは、既に開示されている。例えばEP216,074 は、ウレタン基を介して結合した(メタ)アクリロイル基を含むポリビニルアルコールを含むコンタクトレンズを開示している。EP189,375 は、ポリエポキシドにより架橋されたポリビニルアルコールを含むコンタクトレンズを記載している。
【0035】
更に、架橋しうる基を含むいくつかの特定のアセタールも、既に開示されている。この点について、本発明者は、例えばEP201,693 、215,245 及び211,432 を引用する。とりわけ、EP201,693 は、C3 −C24オレフィン性不飽和の有機の基により置換された末端アミノ基を有し、炭素数2〜11個の分岐していないアルデヒドのアセタールを記載している。この有機の基は、窒素原子から電子を吸引する官能性を有し、更にオレフィン性不飽和の官能基は重合性である。EP201,693 は、また、上記のアセタールと、1,2−ジオール、1,3−ジオール、ポリビニルアルコール又はセルロースとの反応生成物を請求している。しかしながら、このような生成物は直接には記載されていない。
【0036】
EP201,693 のアセタールの一つは、とりわけ、その特許出願の実施例17に記載されているように、ともかく、例えばポリビニルアルコールと関連して記載されているとしても、そのオレフィン基を介して重合することができるアセタールは、例えば酢酸ビニルと最初に共重合される。次いで、結果的に生成したコポリマーは、ポリビニルアルコールと反応し、固形物含量37%、pH5.43及び粘度11,640cps を有するエマルションを与える。しかしながら、これらの参考文献のいずれにも、特にポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル又は酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー上での架橋しうる基及び別の改質基の組合せを記載していない。
【0037】
新規なプレポリマーは、特に少なくとも約2,000の平均分子量を有し、官能基、例えばポリビニルアルコールのヒドロキシル基の数に基づいて、式(I)、(II)及び/又は(III)の単位の約0.5〜約80%、特に約1〜50%、更に好適には約1〜25%、好適には約2〜15%、特に好適には約2〜10%を含む。コンタクトレンズの製造を意図した新規なプレポリマーは、特に、官能基、例えばポリビニルアルコールのヒドロキシル基の数に基づいて、式(I)、(II)及び/又は(III)の単位の約0.5〜約25%、特に約1〜15%、特に好適には約2〜12%を含んでいる。
【0038】
原料ポリマーは、好適には少なくとも2,000の平均分子量を有する。これらの平均分子量の上限は、1,000,000までである。それらは、好適には300,000まで、特に100,000まで、非常に特に50,000までの平均分子量を有する。
【0039】
本発明のために適切な原料ポリマー、特にポリビニルアルコールは、通常、主として1,3−ジオール構造を有している。しかしながら、これらは、例えば酢酸ビニル−ビニレンカーボナートコポリマーのアルカリ加水分解によって得ることができるように、1,2−ジヒドロキシエチレンのコポリマー単位のような、1,2−グリコールの形でヒドロキシル基を含んでいる。
【0040】
更に、本発明で誘導される原料ポリマー、特にポリビニルアルコールは、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリラート、メチルメタクリラート、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリラート、アリルアルコール、スチレンのコモノマー単位又は通常用いられる同様なコモノマーの少部分、例えば20%まで、好適には5%までを含むことができる。
【0041】
原料ポリマーとして用いられるポリビニルアルコール(PVA)は、市販されているポリビニルアルコール、例えばAir Products社の製品Vinol (商標)107 (MW=22,000〜31,000、98−98.8%加水分解物)、Polysciences 4397 (MW=25,000、98.5%加水分解物)、Chan Chun 社の製品BF 14 、DuPont社の製品Elvanol (商標)90-50 及びUnitika 社の製品UF-120である。その他のメーカーは、例えばNippon Gohsei (Gohsenol(商標))、Monsanto(Gelvatol(商標))、Wacker(Polyviol(商標))又は日本のメーカーのKuraray 、Denki 及びShin-Etsu である。しかしながら、Hoechst 社の製品Mowiol、特に3-83, 4-88, 4-98, 6-88, 6-98, 8-88, 8-98, 10-98, 20-98, 26-88 及び40-88 型のMowiolを用いるのが好都合である。
【0042】
PVAは、ポリ酢酸ビニルの塩基性又は酸性の、部分的又はほとんど完全な加水分解によって調製される。
【0043】
上記のごとく、例えば加水分解されたエチレン−酢酸ビニル(EVA)、又は塩化ビニル−酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン−酢酸ビニル及びマレイン酸無水物−酢酸ビニルとして得られる、加水分解又は部分加水分解の酢酸ビニルのコポリマーを用いることも可能である。
【0044】
原料ポリマーが、例えば酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマーである場合、市販のコポリマー、例えばBASF社からLuviskolの商品名で市販されている製品を用いることも可能である。
【0045】
特定の例は、Luviskol VA37HM 、Luviskol VA37E及びLuviskol(商標) VA28 である。
【0046】
原料ポリマーがポリ酢酸ビニルである場合、Hoechst 社の製品Mowilith 30 は特に適切である。
【0047】
ポリビニルアルコールは、通常、相当するホモポリマー性のポリ酢酸ビニルの加水分解により製造される。好適な実施態様において、本発明により誘導されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニル単位を50%より少なく、特にポリ酢酸ビニル単位20%より少なく含んでいる。本発明により誘導されるポリビニルアルコールの残留アセタート単位の好適な量は、ビニルアルコール単位及びアセタート単位の総量に基づいて、約2〜20%、好適には約2〜16%、特に2〜12%、特定の場合には0.5〜3%である。
【0048】
分子量は、溶媒としてDMFを用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)[サイズ排除クロマトグラフィー:SEC]により測定され、特に断らない限り、計算標準としてのポリメチルメタクリラート(PMMA)との関係により定まる。
【0049】
式(I)及び/又は(II)の単位を含むポリビニルアルコールは、それ自体既知の方法で製造される。例えば、式(IV):
【0050】
【化8】

【0051】
の単位を含む少なくとも約2,000の平均分子量を有するポリビニルアルコールと、式(IV)の化合物のヒドロキシル基の数に基づいて、式(V):
【0052】
【化9】

【0053】
の化合物、及び式(VI):
【0054】
【化10】

【0055】
(式中、R’及びR”は、互いに独立して、水素、低級アルキル又はアセチル若しくはプロピオニルのような低級アルカノイルであり、そして他の記号は、式(I)及び(II)のそれと同義である)の化合物の約0.5〜80%を、ワンポット法、特に酸性の媒質中で反応させる。
【0056】
アセタール及びケタールは、また、相当するアルデヒド及びケトンにより置き換えることができる。
【0057】
同様に、式(III)の単位を含むポリビニルアルコールは、それ自体既知の方法で、例えば式(IV):
【0058】
【化11】

【0059】
の単位を含む少なくとも約2,000の平均分子量を有するポリビニルアルコールを、特に酸性の媒質中で、ヒドロキシル基の数に基づいて、式(VII):
【0060】
【化12】

【0061】
(式中、R15及びpの記号は、式(III)のそれと同義である)で示される化合物約0.5〜80%と、特に酸性の媒質中で反応させることにより製造することができる。
【0062】
式(V)、(VI)及び(VII)の化合物に類似のいくつかの化合物は、既知であり、したがって、それ自体既知の方法で製造することができる。
【0063】
例えば、式(V)(式中、n=0)の化合物は、式(VIII):
【0064】
【化13】

【0065】
(式中、記号は、式(V)のそれと同義である)で示される化合物を、フリーラジカル抑制剤の存在下に、アルカリ性の媒質中で、式(IX):
【0066】
【化14】

【0067】
の化合物と反応させることによって得られる。式(IX)のHalは、ハロゲン、特にF、Cl又はBr、特にClである。
【0068】
式(VIII)の化合物の例は、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール及びω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタールである。
【0069】
式(IX)の化合物の例は、アクリロイルクロリド及びメタクリロイルクロリドである。
【0070】
式(V)(式中、n=1)の化合物は、例えば式(VIII)の化合物から、式(X):
【0071】
【化15】

【0072】
(式中、R4 、R16及びR17の記号は、式(I)のそれと同義である)のアザラクトン、例えば4,4−ジメチル−2−ビニル−4H−オキサゾール−5−オンとの反応により製造される。
【0073】
式(VI)の化合物は、それ自体、既にω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール、クロトンアルデヒド及びブチルアルデヒドのような式(II)の化合物を製造するための原料であるか、又は、例えば、式(XI):
【0074】
【化16】

【0075】
の化合物、例えばアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール又はω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタールを、ジメチルマレイン酸無水物、ジメチルマレイミジルアセチルクロリド、無水酢酸、イソブチリルクロリド、無水コハク酸、イタコン酸無水物、トリメリット酸無水物、スルトン又はメチルメルカプトプロピオナートのような、R6 の基を導入する化合物と反応させるか、又は式(V)(式中、n=0)の化合物を、例えばピロリドンと反応させることにより得ることができる。
【0076】
驚くべきことであるが、式(I)、(II)及び/又は(III)の単位を含むプレポリマーは極めて安定である。これは、高度に官能性のアクリラートは、例えば、安定化を要するのが通例なので、当業者には予期せぬことである。かかる化合物が安定化されない場合、通常、急速な重合が起こる。しかしながら、単独重合に由来する自発的な架橋は、この新規なプレポリマーでは起こらない。更に、式(I)、(II)及び(III)のプレポリマーは、それ自体既知の方法、例えばアセトンによる沈殿、透析又は限外濾過により精製され、限外濾過は、特に好ましい。この精製操作によって、式(I)、(II)及び(III)のプレポリマーは、きわめて純粋な形、例えば塩のような反応生成物、及び原料、又は他の非重合成分を含まないか又は少なくとも実質的に含まない濃厚な水溶液として得ることができる。
【0077】
新規なプレポリマーの好適な精製法、限外濾過は、それ自体既知の方法で行われる。限外濾過を繰り返して、例えば2回〜10回行うことが可能である。別の方法として、所望の純度が得られるまで、限外濾過を連続的に行うこともできる。所望の純度は、原則として所望の程度に応じる。純度の適切な測定は、例えば溶液中の塩化ナトリウム含量であり、これは、それ自体既知の方法又はGPCで容易に測定される。
【0078】
式(I)、(II)及び(III)の単位に加えて、新規な水溶性の架橋しうるプレポリマーは、更に改質基単位を含むことができる。このような改質基の多くの可能性のうち、以下のものは、実例として記載されている:
【0079】
架橋しうる基を含む別の単位は、例えば式(A)及び(B):
【0080】
【化17】

【0081】
(式中、
1 及びR2 は、アミノ酸基の一部を構成し、互いに独立して、水素、C1 −C8 アルキル基、アリール基又はシクロヘキシル基であり、これらの基は、非置換、又はモノ置換若しくはポリ置換され、
3 は、水素又はC1 −C4 アルキル基であり、そして
4 は、−O−又は−NH−架橋基である)
で示されるそれらである。
【0082】
結合した光開始剤を含む単位は、特に式(C):
【0083】
【化18】

【0084】
(式中、
BRは、−NH−CO−(−CH2-)o- 又は−N(R7)−(−CH2 −)r−の架橋基又は式:
【0085】
【化19】

【0086】
を有するそれらの4級塩であり、
PIは、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインフェニルエーテルのようなベンゾインエーテル、及びベンゾインアセタートのようなベンゾイン;アセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン及び1,1−ジクロロアセトフェノンのようなアセトフェノン;ベンジル、ベンジルジメチルケタール及びベンジルジエチルケタールのようなベンジルケタール;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノンのようなアントラキノン;更に、ベンゾフェノン及び4,4−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン;チオキサントン及びキサントン;アクリジン誘導体;フェナジン誘導体;キノキサリン誘導体;並びに1−アミノフェニルケトン類、及び、特に1−ヒドロキシフェニルケトン、特に式:
【0087】
【化20】

【0088】
のそれらであり、
Xは、−O−、−S−又は−N(R12)−であり、
Yは、HSO4-、F- 、Cl- 、Br- 、I- 、CH3 COO- 、OH- 、BF4-又はH2 PO4-のような対イオンであり、
3 は、水素、C1 −C6 アルキル基又はシクロアルキル基であり、
7 は、水素;非置換又は置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C12アルキル;−(CH2r −PI基又は−CO−R13基(ここで、R13は、非置換又は−COOH置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C6 アルキル又はアクリルアミドである)、又は非置換のC3 −C8 オレフィンの直鎖若しくは分岐の基であり、
8 は、水素、又はR7 が−CO−R13でない限り、非置換又は置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C4 アルキルであり、
9 は、非置換又は置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C6 アルキル、非置換又は置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C6 アルコキシ、6員環の炭素環若しくは複素環、又はC3 −C8 オレフィンの非置換の直鎖又は分岐の基であり、
10は、式:−OR14又は−N(R15)(R16)の基であり、
11は、非置換又は置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C6 アルキル、6員環の炭素環又は複素環、非置換の直鎖又は分岐のC3 −C8 オレフィン基、又はアリール基(ここで、R9 とR11は、一緒になって、環化し5−又は6−員環の炭素環を形成することができる)であり、
12は、水素又は非置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C4 アルキルであり、
14は、水素あるいは非置換又は置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C4 アルキルであり、
15及びR16は、互いに独立して、非置換の直鎖若しくは分岐のC1 −C4 アルキルであるか、又はR15とR16は、一緒になって、5−又は6−員環の複素環を形成し、
mは、0又は1であり、
nは、1〜12の数であり、
oは1〜6の数であり、そして
rは、2〜6の数であり、
置換した基は、特にC1 −C4 アルキル又はC1 −C4 アルコキシで置換されているが、但し
−BR架橋基が4級塩である場合、nは、2〜12の数であり;
−R9 がC1 −C6 アルコキシ基である場合、R14は、水素でなく;そして
−n=1の場合、R7 は、−CO−R13である)
で示されるそれらである。
【0089】
塩基性基を含む単位の例は、式(D):
【0090】
【化21】

【0091】
[式中、
Rは、C1 −C12アルカンの直鎖又は分岐の基であり、
3 は、水素、C1 −C6 アルキル基又はシクロアルキル基であり、
7 は、塩基性の1級、2級又は3級アミノ基、特にC1 −C6 アルキル基で置換された2級又は3級アミノ基、又は式:
【0092】
【化22】

【0093】
(式中、
R’は、水素又は、互いに独立して、C1 −C12アルキル基、特にC1 −C4 アルキル基であり、そして
Xは、対イオン、例えばHSO4-、F- 、Cl- 、Br- 、I- 、CH3 COO- 、OH- 、BF- 又はH2 PO4-である)の4級アミノ基である]
で示されるそれらである。
【0094】
酸性基を含む単位の例は、式(E):
【0095】
【化23】

【0096】
(式中、
R及びR3 は、式(D)で定義したものと同義であり、そして
8 は、一塩基性、二塩基性又は三塩基性の脂肪族又は芳香族の、飽和又は不飽和有機酸である)
で示されるそれらである。
【0097】
ウレタンを介して結合した架橋しうる基又は更にウレタンを介して結合した改質基を含む単位の例は、式(F)又は(G):
【0098】
【化24】

【0099】
(式中、
Uは、−X−O−CO−C(R2)=CH2 又は−Y−NH−CO−O−Z−O−CH= CH2 の基であり、
Xは、2〜12個の炭素原子を有する架橋基、特に脂肪族、脂環式又は芳香族の架橋基、特にアルキレン、シクロヘキシレン又はフェニレン(ここで、これらは、非置換又は特に低級アルキルで置換されている)であり、
2 は、水素又はC1 −C4 アルキル基であり、
Yは、Xと同様な好適性を有する、7〜12個の炭素原子を有する架橋基であり、
Zは、酸素原子で1回又は1回以上中断されてもよいC2 −C12アルキレン架橋基であり、そして
Aは、1〜18個の炭素原子を有する有機基、特に脂肪族、脂環式又は芳香族の基、特にアルキル、シクロアルキル若しくはフェニル(ここで、これらは、非置換又は特に低級アルキルで置換されている)である)
で示されるそれらである。
【0100】
共有結合した反応性染料基を含む単位の例は、式(H)、(I)、(J)又は(K):
【0101】
【化25】

【0102】
[式中、
RF’は、式:
【0103】
【化26】

【0104】
の基であり、
Dは、有機染料の基であり、
14は、2価の電子吸引性基であり、
Uは、水素又はハロゲンであり、
Rは、C1 −C12アルカンの2価の基であり、
1 は、水素又はC1 −C4 アルキルであり、
3 は、水素、C1 −C6 アルキル又はシクロアルキルであり、そして
Yは、−O−又は−N(R1 )−である]
で示されるそれらである。
【0105】
式(I)、(II)又は(III)の単位、及び、所望により、更に1種以上の上記の改質基を含む新規なプレポリマーは、水溶性で架橋されていないが、極めて効率的で目標的方法、例えば光架橋、熱架橋又は2+2光環化二量体化によって架橋することができる。
【0106】
用いられる主な架橋方法は、別のビニル性コモノマーの存在又は不存在下での光架橋である。生成したポリマーは水に不溶である。
【0107】
光架橋の場合、フリーラジカル架橋を開始させることができる光開始剤を加えることが適切である。次いで、架橋は、化学線又はイオン化照射で開始される。
【0108】
光架橋は、適切な溶媒中で行われる。このような溶媒は、原則として、プレポリマー及び別に用いられる如何なるビニル性コモノマーも溶解する全ての溶媒、例えば水、低級アルカノールのようなアルコール、例えばエタノール又はメタノール、更にジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドのようなカルボキサミド、同様に、適切な溶媒の混合溶媒、例えば水とアルコールとの混合溶媒、例えば水/エタノール又は水/メタノール混合溶媒である。
【0109】
光架橋は、好適には、好適な精製工程すなわち限外濾過の結果として、所望により別のビニル性コモノマーを添加した後に得られる新規なプレポリマーの水溶液から直接に行われる。例えば、光架橋は、約15〜40%水溶液で行われる。
【0110】
新規な架橋されたポリマーの製造方法は、例えば式(I)、(II)又は(III)の単位を含むプレポリマーの、特に実質的に純粋な形で、すなわち、例えば1回又は繰り返しの限外濾過後に、別のビニル性コモノマーの存在又は不存在下で、好適には溶液、特に水溶液中での光架橋を含む。
【0111】
光架橋で別に用いられるビニル性コモノマーは、親水性、疎水性、又は親水性と疎水性ビニルモノマーの混合物であることができる。適切なビニル性モノマーは、特に、コンタクトレンズの製造に通常用いられるモノマーである。「親水性ビニルモノマー」の用語は、ホモポリマーとして、水に可溶であるか又は少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマーを典型的に与えるモノマーを意味する。同様に、「疎水性ビニルモノマー」の用語は、ホモポリマーとして、水に不溶であるか又は10重量%より少ない水を吸収することができるポリマーを典型的に与えるモノマーを意味する。
【0112】
一般に、式(I)、(II)又は(III)の単位当り、約0.01〜80単位の典型的なビニル性コモノマーが反応する。
【0113】
ビニル性コモノマーが用いられる場合、架橋された新規なポリマーは、好適には、原料ポリマーの官能基、例えばビニル性コモノマーの約0.1〜80単位と反応する、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基の数に基づいて、式(I)、(II)及び/又は(III)の単位の約1〜15%、特に好適には約3〜8%を含む。
【0114】
使用する場合、ビニル性コモノマーの割合は、好適には式(I)及び(II)及び(III)の単位当り、ビニル性コモノマーの0.5〜80単位、特に式(I)及び(II)及び(III)の単位当り1〜30単位、特に好適には式(I)及び(II)及び(III)の単位当り5〜20単位である。
【0115】
疎水性のビニル性コモノマーを少なくとも50重量%を含む、疎水性のビニル性コモノマーと親水性のビニル性コモノマーの混合物を使用するのは、更に好ましい。これは、水分含量を劇的に低下させることなしに、このポリマーの機械的性質を改善させる。しかしながら、慣用の疎水性のビニル性コモノマー及び慣用の親水性のビニル性コモノマーの両者は、式(I)の基を含むポリビニルアルコールとの共重合に原則として適切である。
【0116】
適切な疎水性のビニル性コモノマーの例としては、これは包括的リストではないが、C1 −C18アルキルアクリラート及びメタクリラート、C3 −C18アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルC1 −C18アルカノアート、C2 −C18アルケン、C2 −C18ハロアルケン、スチレン、C1 −C6 アルキルスチレン、アルキル部分が1〜6個の炭素原子を有するビニルアルキルエーテル、C2 −C10ペルフルオロアルキルアクリラート及びメタクリラート並びに相当する部分的にフッ素化されたアクリラート及びメタクリラート、C3 −C12ペルフルオロアルキルエチルチオカルボニルアミノエチルアクリラート及び−メタクリラート、アクリルオキシ−及びメタクリルオキシアルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、メサコン酸などのC1 −C12アルキルエステルが挙げられる。例えば、3〜5個の炭素原子を有するビニル性の不飽和カルボン酸のC1 −C4 アルキルエステル又は5個までの炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステルは好適である。
【0117】
適切な疎水性のビニル性コモノマーの例としては、メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、メチルメタクララート、エチルメタクリラート、プロピルメタクリラート、酢酸ビニル、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニルバレラート、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチルメタクリラート、イソボルニルメタクリラート、トリフルオロエチルメタクリラート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリラート、ヘキサフルオロブチルメタクリラート、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピルメタクリラート、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン及びビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサンが挙げられる。
【0118】
適切な親水性のビニル性コモノマーの例としては、これは包括的リストではないが、ヒドロキシ置換の低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、低級アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、メトキシ化アクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシ置換の低級アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、ヒドロキシ置換の低級アルキルビニルエーテル、ナトリウムエチレンスルホナート、ナトリウムスチレンスルホナート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルピロリドン、2−及び4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アミノ−(「アミノ」の用語は、4級アンモニウムをも網羅する)、モノ(低級アルキル)アミノ−又はジ(低級アルキル)アミノ(低級アルキル)アクリラート及びメタクリラート、アリルアルコールなどが挙げられる。例えば、ヒドロキシ置換のC2 −C4 アルキル(メタ)アクリラート、5−〜7−員環のN−ビニルラクタム、N,N−ジ−C1 −C4 アルキル(メタ)アクリルアミド及び合計で3〜5個の炭素原子を有するビニル性の不飽和カルボン酸は好ましい。
【0119】
適切な親水性のビニル性コモノマーの例としては、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、グリセロールメタクリラート、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0120】
好適な疎水性のビニル性コモノマーは、メチルメタクリラート及び酢酸ビニルである。
【0121】
好適な親水性のビニル性コモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、N−ビニルピロリドン及びアクリルアミドである。
【0122】
新規なプレポリマーは、それ自体既知の方法、例えば適切なコンタクトレンズ成形用の型の中で新規なプレポリマーの架橋を行うことにより、成形品、特にコンタクトレンズに変換することができる。したがって、本発明は、実質的に新規な架橋されたポリマーを含む成形品に関する。コンタクトレンズの他に、新規な成形品の別の例は、生物医学の成形品、及び特に眼科用の成形品、例えば眼内レンズ、眼帯、心臓弁、人工血管などのような外科で用いられる成形品、更にフィルム及び膜、例えば拡散調節用の膜、情報記録用の光構造化フィルム、並びにフォトレジスト材料、例えば膜及びエッチレジスト及びスクリーン印刷レジスト用の成形品である。
【0123】
本発明の特定の実施態様は、式(I)、(II)又は(III)の単位を含むプレポリマーから製造される新規な架橋されたポリマーを含み、又は新規な架橋されたポリマーを含むか又はそれからなる、コンタクトレンズに関する。このタイプのコンタクトレンズは、例えば水分含量間の平衡割合(約50〜90重量%、特に60〜85重量%)に基づいた、ヒトの角膜との優れた適合性、高い酸素透過性及び非常に良好な機械的性質、例えば透明性、明澄性、応力の脱却及び引裂き強さよりなる、例外的で極めて好都合な性質の範囲を有している。更に、新規なコンタクトレンズは、高い寸法安定性を有している。例えば、約120℃で約30〜40分間、1回以上圧力釜に入れた後でさえも、形状の変化は見られなかった。
【0124】
新規なコンタクトレンズ、すなわち式(I)及び(II)、(II)及び(III)又は(I)、(II)及び(III)の単位を含むプレポリマーから製造される架橋されたポリマーよりなるコンタクトレンズは、従来の技術と比較して、非常に簡単に、かつ効率的に製造されることが更に強調される。第一に、ポリマー骨格のような原料を入手又は製造するのに費用がかからない。第二に、このプレポリマーは驚くほどに安定であり、そのために非常に重要な精製を行うことができる利点がある。したがって、特に、重合していない成分の複雑な抽出のような、引き続く精製をほとんど要しないプレポリマーを用いて架橋が行われる。更に、架橋は、純粋な水性溶液で行われ、その結果、次の水和工程は不必要である。最後に、架橋は5分以内に起こるので、新規なコンタクトレンズの製造方法は、この観点からも非常に経済的に企画することができる。
【0125】
全ての上記の利点は、当然、コンタクトレンズのみならず、上記の他の成形品にも適用される。新規な成形品製造における種々の利点の全体は、大量に生産される製品、例えば短時間の期間(約1〜4日)装着し、次いで新しいレンズに取り替えるコンタクトレンズに特に適している新規な成形品に帰する。
【0126】
本発明は、更に、新規な成形品、特に新規なコンタクトレンズの製造に関する。これらの方法を、コンタクトレンズの例を用いて以下に説明する。しかしながら、これらの方法は、上記の他の成形品にも用いることができる。
【0127】
新規なコンタクトレンズは、それ自体既知の方法、例えばUS-A-3,408,429に記載されている通常のスピン注型成形用の型、又は例えばUS-A-4,347,198に記載されている静的成形用の型中での充満−成形法によって製造することができる。
【0128】
本発明は、また、水溶性プレポリマーが溶液中で架橋される、ポリマーの成形品、特にコンタクトレンズの新規な製造法に関し、この方法で得られる成形品、特にコンタクトレンズに関する。この方法での架橋により得られる成形品は水に不溶であるが、膨潤する。
【0129】
詳細には、成形品、特にコンタクトレンズの製造法は:
a)架橋しうる基を含む単位aa)及び、式(II):
【0130】
【化27】

【0131】
(式中、
1 は、水素、C1 −C6 アルキル基又はシクロアルキル基であり、
5 は、C1 −C8 アルカンの1価若しくは2価の基又はC2 −C8 オレフィンの1価若しくは2価の基であり、
6 は、式:−(−NH−CO−R7o (R8p 又は−N(R92 の基であり、
7 は、C1 −C8 アルカンの非置換又は置換の1価若しくは2価の基であり、
8 は、複素環基であり、
9 は、水素又はC1 −C6 アルキル基であり、
nは、0又は1であり、そして
o及びpは、互いに独立して、0又は1である)
で示される改質基を含む単位ab)の少なくとも1種を含む、水溶性プレポリマーの実質的な水性溶液を調製する工程;
b)得られた溶液を成形用の型に導入する工程;
c)水溶性の架橋しうるポリマーが溶解した、水又は有機溶媒中で架橋を開始させる工程、及び
d)成形品を取り出すことができるように成形用の型を開く工程を含む。
【0132】
下記で特に断らない限り、プレポリマーに関して上記に与えられた説明と好適性、及びポリマーの製造方法並びにこれらのプレポリマーからの成形品、特にコンタクトレンズの製造方法に関して与えられた説明と好適性は、a)、b)、c)及びd)の工程よりなる上記の方法に関しても適用される。
【0133】
この架橋方法で、ポリマーが使用できるか否かに関する決定的な規準は、このプレポリマーが水に可溶であり、式(I)又は(III)の架橋しうる基を含んでいることである。
【0134】
水溶性プレポリマーの実質的な水性溶液は、それ自体既知の方法、例えばポリマーを、例えば純粋な形、すなわち望ましくない成分を含まない形で単離し、プレポリマーを実質的な水性媒質に溶解することにより調製される。
【0135】
プレポリマーが水に可溶である規準は、本発明の目的のために、このプレポリマーが、20℃で約3〜90重量%、好適には約5〜60重量%、特に約10〜60重量%で実質的な水性溶液に可溶であることを、特に意味するものと解される。それぞれの場合に、可能ならば90%を超えるプレポリマー濃度も、また、本発明の目的に含まれる。約15〜約50重量%、特に約15〜約40重量%の溶液中のプレポリマー濃度、例えば約25〜約40重量%は、特に好適である。
【0136】
本発明の目的のために、プレポリマーの実質的な水性溶液は、特に水、水性の塩溶液、特に1,000ml中に約200〜450ミリオスモルの浸透圧(単位:mOsm/l)、好適には約250〜350mOsm/l、特に約300mOsm/lの浸透圧を有する水性塩溶液、又は水若しくは水性塩溶液と生理学的に許容しうる極性有機溶媒、例えばグリセロールとの混液に溶解されたプレポリマーの溶液である。水単独に溶解された水溶性の架橋しうるポリマーの溶液は好適である。
【0137】
水性塩溶液は、好都合には、緩衝塩、例えばコンタクトレンズケアの領域で慣用のリン酸塩のような生理学的に許容しうる塩、又は等張化剤、特にアルカリ金属ハロゲン化物、例えばコンタクトレンズケアの領域で慣用の塩化ナトリウム、又はこれらの混合物の溶液である。特に適切な塩溶液の例は、人工涙液、好適にはpH及び浸透圧が天然の涙液と同等である緩衝涙液、例えば浸透圧及びpHをヒトの涙液の浸透圧及びpHに合致させた非緩衝溶液、好適には例えばリン酸緩衝剤で緩衝した塩化ナトリウム溶液である。
【0138】
上記で定義した、プレポリマーの実質的な水性溶液は、好適には純粋な溶液、すなわち望ましくない成分を含まないか又は実質的に含まない溶液である。純粋な水又は上記の人工涙液に溶解されたプレポリマーの溶液は特に好ましい。
【0139】
実質的な水性溶液であるプレポリマー溶液の粘度は、広い範囲にわたり、重要でない。しかしながら、好適には応力なしに形成され得る流動性の溶液であるべきである。
【0140】
同様に、プレポリマーの平均分子量は広い範囲にわたり、重要でない。しかしながら、このプレポリマーは、好適には約10,000〜約200,000の分子量を有している。
【0141】
本発明に用いられるプレポリマーは、既述のように、更に式(I)又は(III)の架橋しうる基を含んでいなければならない。架橋しうる単位又は基の用語は、既述の基に加えて、当業者には既知の全ての慣用の架橋しうる基を意味すると解される。特に適切な架橋しうる基は、炭素−炭素二重結合を含む基である。しかしながら、適切である架橋しうる基の多様性を説明するために、ここに記載する架橋機構は、単に例示のためであるが、フリーラジカル重合、2+2環化付加、ディールス−アルダー反応、ROMP(開環メタセシス重合)、加硫、カチオン架橋及びエポキシ硬化である。
【0142】
最初に既述した原料ポリマーに加えて、適切なポリマー骨格は、いくつかの場合にコンタクトレンズ材料として既に提唱されているのと同様の材料、例えばPVA以外の高分子ジオール、糖類を含むポリマー、ビニルピロリドンを含むポリマー、アルキル(メタ)アクリラートを含むポリマー、ヒドロキシル、カルボキシル又はアミノ基のような親水性基により置換されたアルキル(メタ)アクリラート、ポリアルキレングリコール、又はコポリマー又はそれらの混合物を含むポリマーである。
【0143】
本発明に用いられる架橋しうるポリマー(プレポリマー)は、1種以上の異なる架橋しうる基を含む単位、及び、所望により、別の改質基、反応性染料基及び光開始剤などを含む単位を、原料ポリマーの官能基、例えばポリビニルアルコールのヒドロキシ基の数に基づいて、約0.5〜80%、好適には1〜50%、好都合には1〜25%、特に2〜15%、特に好適には2〜10%の総量で含んでいる。
【0144】
本発明の方法によって架橋することができ、コンタクトレンズの製造を企図されているポリマー(プレポリマー)は、特に、これらの単位の約0.5〜約25%、特に約1〜15%、特に好適には約2〜12%を含んでいる。
【0145】
既述のごとく、新規な方法に適しているプレポリマーには、架橋結合が可能であり、水溶性であることが必須である。
【0146】
更に、このプレポリマーは、架橋していない状態で好都合に安定であり、式(I)、(II)及び(III)の単位を含む化合物に関連して既述したように、精製を行うことができる。プレポリマーは、純粋な溶液の形で新規な方法に好適に用いられる。このプレポリマーは、例えば以下に記載するように純粋な溶液の形に転換することができる。
【0147】
新規な方法に用いられる水溶性の架橋しうるプレポリマーは、それ自体既知の方法、例えばアセトンのような有機溶媒による沈殿、濾過及び洗浄、適切な溶媒への抽出、透析又は限外濾過により好適に精製され、限外濾過は特に好適である。この精製操作によって、架橋しうるポリマーは、極めて純粋な形、例えば濃水溶液として得られ、これを以下で純粋であるか又は実質的に純粋であるとする。この用語は、望ましくない成分を含まないか又は少なくとも実質的に含まない、架橋しうるポリマー又はその溶液を示すものと解すべきである。
【0148】
この明細書における望ましくない成分とは、一般に、水溶性の架橋しうるポリマーの製造に用いられる、生理学的に望ましくない、特にモノマー、オリゴマー又はポリマーの原料化合物である全ての成分、又は水溶性の架橋しうるポリマーの製造の間に形成される副生成物である。これらの成分の好適な純度は、0.01%より少なく、特に0.001%より少なく、非常に特に好適には0.0001%(1ppm)より少ない。しかしながら、例えば水溶性の架橋しうるポリマーの製造の間の副生成物として形成することにより、例えば塩化ナトリウムのような生理学的観点から望ましくない成分でないものが溶液中に存在する可能性があることを注意すべきである。これらの成分の好適な純度は、1%より少なく、特に0.1%より少なく、非常に特に好適には0.01%より少ない。多くの場合、このような成分レベルは、3〜4回の繰り返し限外濾過サイクルを行うことによって得られる。
【0149】
新規な方法において用いられるプレポリマーの精製のための好適な方法、すなわち限外濾過は、それ自体既知の方法で行われる。限外濾過は、例えば2回〜10回繰り返して行われる。又は、所望の純度が達成されるまで、限外濾過を連続的に行うことができる。所望の純度は、原則として、所望の程度に応じて選ばれる。
【0150】
架橋方法の好適な実施態様において、望ましくない成分を実質的に含まないか、例えばプレポリマーの製造に用いられるモノマー、オリゴマー又はポリマーの原料化合物を含まないか、そして/又はプレポリマーの製造の間に形成される副生成物を含まないプレポリマーの実質的な水性溶液は、工程a)で調製され、更に次で使用される。この実質的な水性溶液は、特に好適には、純粋な水溶液又は既述のような人工涙流体の溶液である。コモノマー、例えばビニル性コモノマーの添加なしに架橋を行うのは一層好ましい。
【0151】
上記の手段に基づいて、特に該手段の組合せに基づいて、新規な方法は、架橋後に抽出を必要とする望ましくない成分を含まないか又は実質的に含まないプレポリマーの溶液を用いて行われる。
【0152】
したがって、架橋後に望ましくない成分の抽出が必要でないのは、この架橋方法の好適な実施態様の特別な特徴である。
【0153】
それ故に、新規な方法は、プレポリマーの実質的な水性溶液が、望ましくない成分、特にプレポリマーの製造に用いられるモノマー、オリゴマー又はポリマーの原料化合物、又はプレポリマーの製造の間に形成される副生成物を含んでいないか又は実質的に含まず、及び/又は溶液がコモノマーの添加なしに用いられるような方法で好適に行われる。
【0154】
プレポリマーの溶液に加えられる添加物は、開始剤が架橋しうる基の架橋に必要である限り、架橋のための光開始剤である。特に、架橋が光架橋によって行われる場合に、この場合であってよい。
【0155】
光架橋の場合、フリーラジカル架橋を開始させることができ、水に容易に溶解する開始剤を加えることは有利である。重合開始剤の例は、当業者には既知のものである;特に記載する適切な光開始剤は、ベンゾインのようなベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインフェニルエーテルのようなベンゾインエーテル、及びベンゾインアセタート;アセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン及び1,1−ジクロロアセトフェノンのようなアセトフェノン;ベンジル、ベンジルジメチルケタール及びベンジルジエチルケタールのようなベンジルケタール、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノンのようなアントラキノン;更に、トリフェニルホスフィン、ベンゾイルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン及び4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン;チオキサントン及びキサントン;アクリジン誘導体;フェナジン誘導体;キノキサリン誘導体及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン2−O−ベンゾイルオキシム;1−アミノフェニルケトン及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトン、4−イソプロピルフェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、そして2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタノンのような1−ヒドロキシフェニルケトンであり、その全ては既知化合物である。
【0156】
光源としてのUVランプと組み合わせで通常用いられる、特に好適な光開始剤は、2,2−ジアルコキシベンゾフェノンのようなアセトフェノン及びヒドロキシフェニルケトン、例えばIRGACURE(商標)2959 及びIRGACURE(商標)1173 の商品名で入手可能な開始剤である。
【0157】
アルゴンイオンレーザーが用いられる場合に、通常使用される別のクラスの光開始剤は、ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタールである。
【0158】
光開始剤は、有効量、好都合には、プレポリマーの総量に基づいて、約0.1〜約2.0重量%、特に0.3〜0.5重量%の量で添加される。
【0159】
得られた溶液は、特に通常の計量法、例えば滴下法のような、それ自体既知の方法を用いて成形用の型内に導入される。新規なコンタクトレンズは、それ自体既知の方法、例えば、US-A-3,408,429に記載されている通常のスピン注型成形用の型内、又は例えばUS-A-4,347,198に記載されている充満−成形法によって製造される。適切な成形用の型は、例えばポリプロピレンから作成される。再利用される成形用の型の適切な例としては、水晶及びサファイアガラスが挙げられる。
【0160】
本発明に適切なプレポリマーは、イオン化又は化学線放射線、例えば電子ビーム、X線又はVIS光源、すなわち約280〜650nmの範囲の波長を有する電磁放射又は粒子放射による照射によって架橋される。He/Cd、アルゴンイオン又は窒素又は金属蒸気又は複数の周波数を有するNdYAGレーザビームも適している。それぞれの選ばれる光源は、選択、及び、必要ならば、適切な光開始剤の増感を要することが、当業者には知られている。多くの場合、水溶性の架橋しうるポリマーへの放射線の透過深度及び速度は、光開始剤の吸収係数及び濃度に直接相関することが知られている。
【0161】
しかしながら、熱的に架橋を開始させることもできる。本発明の方法により、架橋は非常に短時間、例えば5分より少なく、好適には1分より少なく、特に30秒より少なく、特に好適には実施例に記載したように行われることが強調されるべきである。
【0162】
好ましい水を除いて、架橋を行う媒質は、別のものとして、プレポリマーが溶解するものであれば如何なる媒質であってもよい。主要なポリマー骨格としてポリビニルアルコールの場合、ポリビニルアルコールを溶解する溶媒は全て適切であり、例としては、アルコール、例えばエタノール、グリコール、グリセロール、ピペラジン(上昇して温度で)、トリエチレンジアミンのようなジアミン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ニトロメタン、アセトニトリル、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、トリクロロメタン、ジオキサン及びテトラアルキルアンモニウムブロミド及びヨージドの水性溶液が挙げられる。
【0163】
成形品を取り出すための成形用の型の開型は、それ自体既知の方法で行われる。従来の技術(US-A-3,408,429及び4,347,198)に提唱されている方法は、この時点で次の精製工程、例えば抽出、次いで生成した成形品、特にコンタクトレンズの水和の工程を必要とするが、本発明においてはこのような工程は必要でない。
【0164】
プレポリマーの溶液は、好適には望ましくない低分子量成分を含んでいないので、架橋した生成物も、このような成分を含んでいない。それ故に、引き続く抽出は必要でない。架橋は、実質的な水性溶液中で行われるので、次の水和は不必要である。これらの二つの利点は、とりわけ、生成した成形品、特にコンタクトレンズの複雑な連続処理が不必要であることを意味する。したがって、この架橋工程によって得られたコンタクトレンズは、抽出操作なしに意図した用途に適しているという事実により、好都合な実施態様において際立って優れている。この関連で、「意図した用途」の用語は、特にコンタクトレンズがヒトの目に使用しうることを意味している。この架橋方法により得られたコンタクトレンズは、水和なしに意図した用途に適しているという事実により、好都合な実施態様において更に際立って優れている。
【0165】
それ故に、この新規な方法は、短時間にコンタクトレンズのような多量の成形品の効率的な製造に極めて適していることが明らかである。この方法により得られたコンタクトレンズは、とりわけ、抽出又は水和のような連続処理工程なしに、意図した目的に用いることができる点で、従来の技術で知られたコンタクトレンズよりも有利である。
【0166】
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明する。実施例において、特に断らない限り、量は重量であり、温度は摂氏度である。実施例は、本発明のいかなる制約、例えば実施例の範囲への制約を意図するものではない。
【0167】
実施例1:
撹拌器及び冷却装置を備えた3リットル容の反応器中で、水酸化ナトリウム220g(5.5mol)を水300gと氷700gの氷水に溶解した。この水酸化ナトリウム溶液を10℃に冷却し、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール526g(5.0mol)及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシド(フリーラジカル抑制剤)50mgを加えた。この溶液に、メタクリロイルクロリド548.6g(5.5mol)を10℃で3.5時間かけて徐々に加えた。添加終了後、pHは7.2に徐々に低下し、GCにより、アミンは検出されなかった。不純物を除去するため、反応混合物を石油エーテル500mlで抽出した。水相を塩化ナトリウムで飽和し、tert−ブチルメチルエーテル500mlで3回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、ロータリエバポレーターを用いて濃縮した。得られた黄色油状物質882.2gを、Ultraturaxを用いて−10℃で石油エーテル2,000ml中に徐々に注加して撹拌した。結晶化した生成物を、濾取し、乾燥して、融点30〜32℃のメタクリルアミドアセトアルデヒドジメチルアセタール713.8g(理論量の86%)を得た。生成物のGCによる純度は、99.7%であった。
【0168】
【化28】

【0169】
実施例2:
撹拌器及び冷却装置を備えた1リットル容の反応器中で、水酸化ナトリウム40g(1.0mol )を水100gと氷200gの氷水に溶解した。この水酸化ナトリウム溶液を10℃に冷却し、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール105.1g(1.0mol)及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシド(フリーラジカル抑制剤)10mgを加えた。この溶液に、アクリロイルクロリド99.5g(1.1mol)を10℃で2時間かけて徐々に加えた。pHは徐々に低下し、最終的にpHは7となった。GCにより、アミンは検出されなかった。反応混合物を塩化ナトリウムで飽和し、tert−ブチルメチルエーテル200mlで3回抽出した。有機相を乾燥し、濾過してロータリエバポレーターを用いて濃縮した。得られた油状物質を石油エーテルで3回抽出し、次いでロータリエバポレーターを用いて再度乾燥し、アクリルアミドアセトアルデヒドジメチルアセタール130g(理論量の81%)を、油状物質として得た。生成物のGCによる純度は、99%であった。
【0170】
【化29】

【0171】
実施例3:
N−(4,4−ジエトキシブチル)アクリルアミド
実施例2の方法に準じて、ω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール及びアクリロイルクロリドより製造した。GCによる純度99.1%を有する油状物質を97%の収率で得た。
NMRδ ppm:1.20 (t, 6H, CH3-), 1.62 (br., 4H, -CH2-), 3.21(dd, 2H, -CH2-), 3.49 及び 3.68 (m, 4H, -CH2O-), 4.50 (t, 1H, (RO)2CH-), 5.9-6.2 (3H, -CH=CH2), 6.29 (1H, -NH-CO-).
【0172】
【化30】

【0173】
実施例4:
N−(4,4−ジエトキシブチル)−2−メチルアクリルアミド
実施例1の方法に準じて、ω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール及びメタクリロイルクロリドより製造した。GCによる純度94.7%を有する油状物質を83%の収率で得た。
NMRδ ppm:1.23 (t, 6H, CH3-), 1.65 (br., 4H, -CH2-), 1.95 (s, 3H, CH3-), 3.34 (dd, 2H, -CH2-), 3.5及び 3.65 (m, 4H, -CH2O-), 4.49 (t, 1H, (RO)2CH-), 5.30 及び 5.67 (s, 2H, =CH2), 6.17 (1H, -NH-).
【0174】
【化31】

【0175】
実施例5:
N−[1−(2,2−ジメトキシエチルカルバモイル)−1−メチルエチル]アクリルアミド
4,4−ジメチル−2−ビニル−4H−オキサゾール−5−オン(アザラクトン)62.62g(0.45mol)をtert−ブチルメチルエーテル275gに溶解し、撹拌しながら、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール47.34g(0.45mol)を徐々に加えた。白色沈殿物として生成した生成物を濾取し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、乾燥して、融点80〜82℃を有する生成物106g(理論量の96.5%)を白色結晶として得た。
元素分析:
計算値:C,54.08;H,8.25;N,11.47%
実測値:C,54.13;H,8.49;N,11.42%
NMRδ ppm:1.60 (s, 6H, CH3-), 3.39 (s, 6H, CH3O-), 3.42 (d, 2H, -CH2-), 4.37 (t, 1H, (RO)2CH-), 5.6-6.3 (m, 3H, -CH=CH2), 6.43及び 6.54 (2H, -NH-).
【0176】
【化32】

【0177】
実施例6:
N−[1−(2,2−ジエトキシブチルカルバモイル)−1−メチルエチル]アクリルアミド
実施例5の方法に準じて、ω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール及びアザラクトンから製造した。収率:理論量の81%;m.p.64〜64℃。
元素分析:
計算値:C,59.98;H,9.40;N,9.33%
実測値:C,59.83;H,9.36;N,9.26%
NMRδ ppm:1.2 (t, 6H, CH3-), 1.61 (s, 6H, CH3-及び 4H, -CH2-), 3.30 (d, 2H, -CH2-), 3.43-3.69 (m, 4H, -CH2-), 4.49 (t, 1H, (RO)2CH-), 5.6-6.3 (m, 3H, -CH=CH2), 6.52及び 6.69 (2H, -NH-).
【0178】
【化33】

【0179】
実施例7:
1−(2,2−ジメトキシエチル)−3,4−ジメチルピロール−2,5−ジオン
トルエン150mlに溶解したジメチルマレイン酸無水物84g(0.66mol)の溶液に、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール70g(0.66mol)を加えた。この溶液を沸騰するまで加熱し、生成した水を水分離器によって分離した。反応完結後、溶媒を留去して残渣を蒸留し、0.03mbarでの沸点160℃を有する生成物127g(理論量の90%)を得た。この生成物は。TLC及びGCにより、単一生成物であった。
NMRδ ppm:2.97 (s, 6H, CH3-), 3.34 (s, 6H, CH3O-), 3.61 (d, 2H, CH3-), 4.66 (t, 1H, (RO)CH-).
元素分析:
計算値:C,56.33;H,7.09;N,6.57%
実測値:C,56.36;H,7.12;N,6.56%
【0180】
【化34】

【0181】
実施例8:
N−[2,2−ジメトキシエチル]−2−[3,4−ジメチル−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)アセトアミド
実施例1の方法と同様にして、ジメチルマレイミジルアセチルクロリド100g(0.49mol)をアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール50.2g(0.49mol)と反応させた。塩化メチレンで抽出して、粗生成物127.5g(理論量の95%)を得、熱水より再結晶してm.p.99.4〜99.9℃を有する生成物102g(理論量の77%)を得た。
元素分析:
計算値:C,53.33;H,6.71;N,10.36%
実測値:C,53.40;H,6.81;N,10.36%
【0182】
【化35】

【0183】
実施例9:
N−(4,4−ジエトキシブチル)−3,4−ジメチルピロール−2,5−ジオン
実施例7の方法と同様にして、ジメチルマレイン酸無水物23.4g(0.186mol)をω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール30g(0.186mol)と反応させた。0.01mbarの減圧下で106℃の沸点を有する生成物42.2g(理論量の85%)を無色油状物質として得た。
元素分析:
計算値:C,62.43;H,8.61;N,5.20%
実測値:C,62.44;H,8.65;N,5.12%
【0184】
【化36】

【0185】
実施例10:
N−[2,2−ジメトキシエチル]アセトアミド
塩化メチレン50mlに溶解したアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール31.5g(0.3mol)の溶液に、無水酢酸30.6g(0.3mol)を加えた。発熱反応が終了した時点で塩化メチレンを留去し、生成物を蒸留し、沸点110℃(0.001mbar)を有する無色の生成物42g(理論量の97%)を得た。生成物は、GCにより、単一化合物であった。
元素分析:
計算値:C,48.97;H,8.90;N,9.52%
実測値:C,49.14;H,8.90;N,9.70%
【0186】
【化37】

【0187】
実施例11:
N−(2,2−ジメトキシエチル)イソブチルアミド
実施例1の方法に準じて、イソブチリルクロリド及びアミノアセトアルデヒドジメチルアセタールより製造した。98℃(0.01mbar)の沸点を有する生成物を77%の収率で得た。GCにより、生成物の純度は、98%であった。
元素分析:
計算値:C,54.84;H,9.78;N,7.99%
実測値:C,54.98;H,9.78;N,7.94%
【0188】
【化38】

【0189】
実施例12:
N−(2,2−ジメトキシエチル)コハク酸モノアミド
新たに蒸留したコハク酸無水物50.4g(0.5mol)を塩化メチレン100mlに分散した。アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール52.75g(0.5mol)を加え、この混合物を加熱還流した。30分後、均一な溶液を減圧下に濃縮し、高真空下に60℃で溶媒を留去して粘稠な油状物質を得た。水酸化ナトリウム溶液での滴定により、純度は、99.4%であった。
NMRδ ppm:2.63 (m, 4H, -CO-CH2-CH2-CO-), 3.42 (s, 6H, CH3O-), 4.42 (t, (RO)2CH-), 3.6 (d, 2H, -CH2-), 6.60 (t, 1H, -NH-CO-), 9.79 (1H, -COOH).
【0190】
【化39】

【0191】
実施例13:
N−(2,2−ジメトキシエチル)−3−メルカプトプロピオンアミド
Vigreux カラム及び蒸留装置を備えた250ml容の丸底フラスコに、メルカプトプロピオン酸メチルエステル30.8g(0.25mol)とアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール28.7g(0.27mol)を入れ、この混合物を120℃に保持し、生成したメタノールを留去した。メタノールの生成が完了した後、水流ポンプの減圧下に180℃で蒸留し、生成物26g(理論量の52%)を無色油状物質として得た。
元素分析:
計算値:C,43.50;H,7.82;N,7.82;
S,16.59%
実測値:C,43.65;H,7.89;N,7.89;
S,15.29%
【0192】
【化40】

【0193】
実施例14:
N−(2,2−ジメトキシエチル)−3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピオンアミド
実施例2で得られたアクリルアミドアセタール10g(62.8mmol)をピロリドン6g(70.5mmol)と混合し、トリトンBの1滴を加えた後、この混合物を80℃に加熱した。10分後、反応は完結した。薄層クロマトグラムは、UVを吸収するアセタールの存在を示さなかった。次いで、高真空下で痕跡の溶媒を留去した。TLCにより、生成物は単一の化合物であった。
NMRδ ppm:2.0, 2.4, 2.5, 3.3, 3.4 及び 3.6 (t) (それぞれ 2H, -CH2-), 3.35 (s, 6H, CH3O-), 4.4 (t, 1H, (RO)2CH-), 7.2 (1H, -NH-CO-).
【0194】
【化41】

【0195】
実施例15:
PVAと、アセタール又はアルデヒドの反応による酢酸エステル高含量生成物の製造のための一般方法
撹拌器及び温度計を備えた2リットル容の二重外被反応器に、PVA(断らない限り、Mowiol 4-88)300gを入れ、脱ミネラル水800gを加えて、この混合物を撹拌しながら95℃に加熱した。1時間後、全部の反応物は溶解して透明な溶液となり、これを20℃に冷却した。所望ならば、1種以上のアセタールと一緒に、実施例に記載された量の架橋しうるアセタール、酢酸440g、濃塩酸(37%)100g及び反応溶液の総量が200gになるように十分な量の脱ミネラル水を加えた。この混合物を20℃で20時間撹拌した。
【0196】
限外濾過によって、単離を行った:反応混合物を15℃に冷却し、NaOH水溶液(5%)を加えて、pHを3.6に調整した。ポリマー溶液を、0.45μm フィルターを通して濾過し、限外濾過によって精製した。限外濾過は、Filtron 社の製品1KDOmega 膜を用いて行った。残留塩化ナトリウム濃度が0.004%になるまで限外濾過を続けた。精製が完了する前に、0.1N のNaOH水溶液を用いて溶液のpHを7に調整した。濃縮して14.54%ポリマー溶液1,995g(理論量の92%)を得た:N含量(キェルダール定量法)=0.683%; 酢酸エステル含量(加水分解による定量)=2.34meq/g ;固有粘度=0.310;二重結合(ミクロ水素化による定量)=0.5meq/g ;遊離のヒドロキシル基(再アセチル化による定量)=15.3meq/g ; GPC分析(水溶液):MW =19,101、Mn =7,522、MW /Mn =2.54。
【0197】
単離は、沈殿法によっても行うことができる:反応混合物のpHを、トリエチルアミンによりpH=3.6に調整し、1:10の比でアセトン中で沈殿させた。沈殿物を濾取し、エタノール中で2回及びアセトン中で1回分散した後、乾燥した。得られた生成物は、上記の限外濾過によって得られた生成物と同一の性質を有していた。
【0198】
実施例16:
PVAと、アセタール又はアルデヒドの反応による酢酸エステル低含量生成物の製造のための一般方法
撹拌器及び温度計を備えた2リットル容の二重外被反応器に、PVA(断らない限り、Mowiol 4-88)300gを入れ、脱ミネラル水800gを加えて、この混合物を撹拌しながら95℃に加熱した。1時間後、全部の反応物は溶解して透明な溶液となり、これを20℃に冷却した。所望ならば、1種以上のアセタールと一緒に、実施例に記載された量の架橋しうるアセタール、酢酸440g、濃塩酸(37%)100g及び反応溶液の総量が2,000gになるように十分な量の脱ミネラル水を加えた。この混合物を20℃で20時間撹拌した。20時間後、反応溶液の試料をNaOHで滴定した。定量されたPVAの加水分解度:HCl=1.034meq/g ;酢酸=0.265meq/g (残留酢酸エステル含量3.5mol %に相当する)。反応混合物を25℃で、更に2時間撹拌して再滴定した:HCl=1.034meq/g ;酢酸=0.277meq/g(残留酢酸エステル含量2.93mol %に相当する)。
【0199】
限外濾過により、単離を行った:反応混合物を15℃に冷却し、NaOH水溶液(5%)を加えて、溶液のpHを7に調整した。ポリマー溶液を、0.45μm フィルターを通して濾過し、限外濾過によって精製した。限外濾過は、Filtron 社の製品1KDOmega 膜を用いて行った。残留塩化ナトリウム濃度が0.002%になるまで限外濾過を続けた。14.02%ポリマー溶液1,800g(理論量の86%)を得た:N含量(キェルダール定量法)=0.741%;酢酸エステル含量(加水分解による定量)=0.605meq/g (2.91mol %に相当する);固有粘度=0.327;二重結合(ミクロ水素化による定量)=0.61meq/g ;遊離のヒドロキシル基(再アセチル化による定量)=18.13meq/g ;GPC分析(水溶液):MW =22,007、Mn =9,743、MW /Mn =2.26。
【0200】
単離は、沈殿法によっても行うことができる:反応混合物のpHを、トリエチルアミンにより3.6に調整し、1:10の比でアセトン中で沈殿させた。沈殿物を濾取し、エタノール中で2回及びアセトン中で1回分散した後、乾燥した。得られた生成物は、上記の限外濾過によって得られた生成物と同一の性質を有していた。
【0201】
実施例17a)〜17b):
実施例15の製造法、及び1KD膜(Milipore)を用いた限外濾過での単離による、PVA(Mowiol 3-83, Hoechst社の製品)の反応生成物:残留酢酸エステル含量17mol %;MW =8,261、Mn =3,646、MW /Mn =2.26;固有粘度(dl/g)=0.278:
【0202】
17a):実施例2からのアセタール30g、加えた酢酸2,500g、
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.329dl/g
N含量:0.79%
アセタール含量:0.62meq/g
アセタート含量:15.3mol %
GPC:MW =18,500、
n =6,735、
W /Mn =2.74
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で30.2%。
【0203】
17b):実施例1からのアセタール30g、加えた酢酸1,500g、
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.282dl/g
N含量:0.789%
アセタール含量:0.57meq/g
アセタート含量:2.81meq/g 、
15.1mol %に相当する
GPC:MW =1,4151、
n =5,652、
W /Mn =2.58
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で30.0%。
【0204】
実施例17c)〜e):
実施例15の製造法、及び5KD膜(Milipore)を用いた限外濾過での単離による、PVA(Mowiol 26-88, Hoechst 社の製品)の反応生成物:残留アセタート含量12mol %:
【0205】
17c):実施例2からのアセタール7.0g、加えた酢酸2,560g、使用したPVA(26-88)140g:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.844dl/g
N含量:0.36%
アセタール含量:0.255meq/g
アセタート含量:12.8mol %
GPC:MW =102,341、
n =37,844、
W /Mn =2.70
固形物含量: ゾル状態で19.6%、
ゲル状態で15.2%。
【0206】
17d):実施例2からのアセタール14g、加えた酢酸2,560g、使用したPVA(26-88)140g:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.842dl/g
N含量:0.791%
アセタール含量:0.56meq/g
アセタート含量:13.4mol %
GPC:MW =78,214、
n =31,475、
W /Mn =2.48
固形物含量: ゾル状態で16.6%、
ゲル状態で21.4%、
ゾル状態で20.3%、
ゲル状態で25.8%。
【0207】
17e):実施例17c)及び17d)からの15%溶液の1:1混液は、ゾル状態での15%から生じるゲル状態での17.3%の固形物含量(寸法的に安定なコンタクトレンズの)を与えた。この型の混液は、固形物含量、したがって成形品の収縮を調整するのに適している。
【0208】
実施例18a)〜d):
実施例15の一般製造法、単離、精製及び濃縮は限外濾過(5KDMilipore膜)による、PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)と種々のアセタール架橋剤との反応生成物:
【0209】
18a):実施例3からのアセタール37.3g、加えた酢酸3,500g:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.363dl/g
N含量:0.77%
架橋剤含量:0.55meq/g
アセタート含量:12.8mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で30.9%。
【0210】
18b):実施例4からのアセタール53.0g、加えた酢酸4,500g:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.324dl/g
N含量:0.73%
架橋剤含量:0.52meq/g
アセタート含量:12.7mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で29.3%。
【0211】
18c):実施例5からのアセタール56.5g、加えた酢酸5,500g:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.330dl/g
N含量:1.43%
架橋剤含量:0.51meq/g
アセタート含量:12.7mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で30.0%。
【0212】
18d):実施例6からのアセタール69.36g、加えた酢酸6,500g:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.345dl/g
N含量:1.43%
架橋剤含量:0.51meq/g
アセタート含量:12.9mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で30.15%。
【0213】
18e):PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)100gを水334gに溶解し、メタクリル酸166g、酢酸166g及び濃塩酸66.5gを加えた。この混合物を、空気と接触させながら、40℃で5日間撹拌した。
単離:5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを3.6に調整し、NaCl溶液によりポリマーを沈殿させた。次いで、析出したポリマーを水に溶解し、5KDMillipore 膜を通す限外濾過によって精製した。
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.343dl/g
メタクリラート含量:7mol %
アセタート含量:13mol %
GPC:MW =16,550、
n =6,631、
W /Mn =2.49
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で33.7%。
【0214】
18f):PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)100gを水334gに溶解し、アクリル酸166g、酢酸166g及び濃塩酸66.5gを加えた。この混合物を、空気と接触させながら、40℃で5日間撹拌した。
単離:5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを3.6に調整し、NaCl溶液によってポリマーを沈殿させた。次いで、析出したポリマーを水に溶解し、5KDMillipore 膜を通す限外濾過によって精製した。
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.596dl/g
アクリラート含量:9mol %
アセタート含量:13mol %
GPC:MW =22,383、
n =8,121、
W /Mn =2.75
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で35.0%。
【0215】
実施例19a)〜c):
実施例16の製造方法、20℃で12時間の反応時間、限外濾過を用いた単離による、PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)と、実施例1からのアセタール及び実施例11からの改質アセタールの反応生成物:
【0216】
19a):実施例1からのアセタール56g、実施例11からの改質アセタール56g、実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:2.26%
総アセタール含量:1.61meq/g
アセタート含量:6.5mol %
曇り点:36℃
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で40.1%。
【0217】
19b):実施例1からのアセタール46g及び実施例11からの改質アセタール56g、実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:2.12%
総アセタール含量:1.52meq/g
アセタート含量:6.6mol %
曇り点:41℃
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で38.2%。
【0218】
19c):実施例1からのアセタール36g及び実施例11からの改質アセタール56g、実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:1.97%
総アセタール含量:1.41meq/g
アセタート含量:6.0mol %
曇り点:47℃
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で33.5%。
【0219】
実施例20a)〜d):
実施例16の製造方法、20℃で12時間の反応時間、限外濾過を用いた単離による、PVA(Mowiol 4-88 又は4-98, Hoechst 社の製品)と、実施例1からのアセタール及び実施例11からの改質アセタールの反応生成物:
【0220】
20a):実施例1からのアセタール56g及び実施例10からの改質アセタール28g、実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:1.87%
架橋剤含量:0.97meq/g
総アセタール含量:1.33meq/g
アセタート含量:6.5mol %
曇り点:72℃
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で38.5%。
【0221】
20b):実施例1からのアセタール56g及び実施例10からの改質アセタール56g、実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:2.61%
架橋剤含量:0.97meq/g
総アセタール含量:1.87meq/g
アセタート含量:5.5mol %
曇り点:61℃
固形物含量: ゾル状態で30%、ゲル状態で36%。
【0222】
20c):実施例1からのアセタール56g及び実施例10からの改質アセタール100g、実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:3.11%
架橋剤含量:1.1meq/g
総アセタール含量:2.23meq/g
アセタート含量:7.1mol %
曇り点:46℃
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で37.0%。
【0223】
20d):実施例1からのアセタール26g及び実施例10からの改質アセタール96g、PVA(Mowiol 4-98, Hoechst社の製品)を用いた実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:2.48%
架橋剤含量:0.34meq/g
総アセタール含量:1.78meq/g
アセタート含量:0.8mol %
固有粘度:0.345dl/g
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で28.1%。
【0224】
実施例21a)〜d):
実施例16の製造方法、20℃で12時間の反応時間、限外濾過(3KD膜)を用いた単離による、PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)と、実施例1からのアセタール及び実施例12からの酸性改質アセタールの反応生成物:
【0225】
21a):実施例1からのアセタール56g及び実施例12からの酸性改質アセタール24g、実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:1.66%
架橋剤含量:0.96meq/g
総アセタール含量:1.19meq/g
アセタート含量:7.2mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で32.7%。
【0226】
21b):実施例1からのアセタール39g及び実施例12からの酸性改質アセタール25g、実施例16の製造方法:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.423dl/g
N含量:1.32%
架橋剤含量:0.62meq/g
酸含量:0.32meq/g
アセタート含量:7.8mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で32.6%。
【0227】
21c):実施例1からのアセタール30g及び実施例12からの酸性改質アセタール24g、酢酸500g、実施例15の製造方法、反応時間24時間:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.331dl/g
N含量:1.18%
架橋剤含量:0.52meq/g
酸含量:0.35meq/g
アセタート含量:10.3mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で27.0%。
【0228】
21d):実施例1からのアセタール20g及び実施例12からの酸性改質アセタール24g、実施例16の製造方法、反応時間9時間:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.390dl/g
N含量:0.994%
架橋剤含量:0.35meq/g
酸含量:0.35meq/g
アセタート含量:8.0mol %
【0229】
実施例22a)及びb):
実施例16の製造方法、及び限外濾過による単離による、PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)と、実施例1からのアセタール及びアミノブチルアルデヒドジエチルアセタールとの反応生成物:
【0230】
22a):実施例1からのアセタール39g及びω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール20g、実施例16の製造方法、反応時間9時間:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.423dl/g
N含量:1.37%
架橋剤含量:0.64meq/g
アミン含量:0.35meq/g
アセタート含量:10.0mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で30.6%。
【0231】
22b):実施例1からのアセタール30g及びω−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール5.2g、実施例15による製造方法、反応時間24時間:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.339dl/g
N含量:0.89%
架橋剤含量:0.54meq/g
アミン含量:0.10meq/g
アセタート含量:12.0mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で29.6%。
【0232】
実施例23a)及びb):
PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)と、実施例1からのアセタール及びクロトンアルデヒド又はブチルアルデヒドの反応生成物、実施例16の製造方法、限外濾過による単離:
【0233】
23a):実施例1からのアセタール30g及びブチルアルデヒド19.1g、実施例16の製造方法、25℃での反応時間20時間:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.310dl/g
N含量:0.78%
架橋剤含量:0.56meq/g
アセタート含量:2.8mol %
GPC:MW =22,203、
n =6,505、
W /Mn =3.41
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で32.6%。
【0234】
23b):実施例1からのアセタール30g及びクロトンアルデヒド18.6g、実施例16の製造方法、25℃での反応時間20時間:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.390dl/g
N含量:0.78%
架橋剤含量:0.56meq/g
アセタート含量:3.0mol %
GPC:MW =41,094、
n =15,014、
W /Mn =3.41
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で30.0%。
【0235】
実施例24:
PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)と、実施例1からのアセタール及び実施例14からのピロリドンアセタールの反応生成物、実施例15の製造方法、限外濾過による単離:
実施例1からのアセタール32g 、実施例14からのピロリドンアセタール64g、そして加えた酢酸100g:
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.340dl/g
N含量:2.72%
架橋剤含量:0.52meq/g
アセタート含量:6.0mol %
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で29.8%。
【0236】
実施例25a)及びb):
酢酸ビニル及びビニルピロリドン(Luviskol, BASF社の製品)と、実施例1からのアセタールの反応生成物、1KD膜(Millipore)を用いた限外濾過による単離:
一般的製造方法、実施例16と同様な装置:
【0237】
25a):Luviskol VA37HM (BASF社の製品)の50%エタノール溶液500gに、HCl(37%)109.5gを加え、3/4時間かけて水486gを徐々に加えて、この混合物を40℃で24時間撹拌した。形成した酢酸エチル及びアルコールを、2.5時間の間に減圧(15mbar)下に留去し、水と置き換えた。この混合物を室温に冷やし、実施例1のアセタール16.25gを加えて、20℃で20時間撹拌した。
NaOHを用いて、反応溶液のpHを7.0に調整した後、限外濾過によって単離し、13.59%ポリマー溶液425g(理論量の82%)を得た。
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.509dl/g
N含量:6.22%
架橋剤含量:2.8mol %
アセタート含量:0.26meq/g
GPC:MW =186,102、
n =8,497、
W /Mn =21.9
固形物含量: (6秒間80mW/cm2で照射後)
ゾル状態で30%、
ゲル状態で43.1%。
【0238】
25b):実施例25aと同様に、Luviskol VA37E(BASF社の製品)の50%エタノール溶液405gに、HCl(37%)88.7gを加え、40℃で7時間撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、水と置き換えた後、実施例1からのアセタール20gを加えた。室温に20時間保持した後、この混合物を中和し、限外濾過(1KD膜)によって精製した。
プレポリマーデータ(ゾル):N含量:5.45%
架橋剤含量:4.2mol %
GPC:MW =38,143、
n =7,816、
W /Mn =4.88
固形物含量: (6秒間80mW/cm2で照射後)
ゾル状態で30%、
ゲル状態で34.1%。
【0239】
25c):Mowilith 30 (Hoechst 社の製品)263gを、エタノール500g中で一夜膨潤させ、次いで50℃に加温した。このポリマーが完全に溶解した後、濃塩酸100gを40℃で徐々に加え、次いで水530gを、曇りが生じないような速度で2時間かけて加えた。更に2時間かけて、40℃で水流ポンプの減圧下にメタノールを留去した。この溶液を20℃に冷やし、実施例1からのアセタール23gを加え、室温で16時間反応させた。5%水酸化ナトリウム水溶液を用い、この溶液をpH=4に調整した。1KDFiltron 膜を通した限外濾過により精製した。
プレポリマーデータ(ゾル):固有粘度:0.344dl/g
N含量:0.79%
架橋剤含量:0.57meq/g
アセタート含量:20.1mol %
曇り点:61℃
固形物含量: ゾル状態で30%、
ゲル状態で32.9%。
【0240】
実施例26:
架橋を介するコンタクトレンズの製造方法
a)フリーラジカル光架橋:
光開始剤Irgacure 2959 の(ポリマー含量に基づいて)0.3%を、実施例17a)〜25c)からのポリマーの30%溶液に加えた。透明なポリプロピレンコンタクトレンズ成形用の型中で、この溶液を6秒間、200W Oriel UVランプ(150mW/cm2)で照射した。成形用の型から取出したレンズは透明であった。
【0241】
b)光二量化:
実施例16からの一般製造方法、限外濾過(5KDMillipore 膜)による単離、精製及び濃縮による、PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)と、種々の光二量化アセタールの反応生成物:
【0242】
b1)水250gに溶解したPVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)50gの溶液に、実施例7からのアセタール15g及び濃塩酸30gを加えた。この混合物を20℃で撹拌し、24時間後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを3.6に調整した。5KDMillipore 膜を通す、この溶液の限外濾過を行った(ポリマーの収率81%)。
プレポリマーデータ(ゾル): 固有粘度:0.463dl/g
N含量:1.11%
架橋剤含量:0.8meq/g
アセタート含量:1.9mol %
架橋:30%ポリマー溶液にナトリウム2−フェニルキノキサリン−4−スルホナートの5%を加えて増感し、5秒間照射(83mW/cm2)して膨張率6.6%のヒドロゲルを得た。
【0243】
b2)水500gに溶解したPVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)100gの溶液に、実施例8からのアセタール30g及び濃塩酸60gを加えた。この混合物を20℃で撹拌し、24時間後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを3.6に調整した。5KDMillipore を通す、この溶液の限外濾過を行った(ポリマーの収率79.5%)。
プレポリマーデータ(ゾル): 固有粘度:0.367dl/g
N含量:2.7%
架橋剤含量:0.96meq/g
アセタート含量:2.3mol %
架橋:30%ポリマー溶液にナトリウム2−フェニルキノキサリン−4−スルホナートの5%を加えて増感し、5秒間照射(83mW/cm2)して膨張率5.3%のヒドロゲルを得た。
【0244】
c)熱架橋(酸化による):
PVA(Mowiol 4-88, Hoechst社の製品)と、実施例13からのチオールを含むアセタールとの反応生成物、実施例15の製法、限外濾過による単離:
実施例13からのアセタール33.4g、加えた酢酸440g、アセタール架橋剤は使用しない。
プレポリマーデータ(ゾル): 固有粘度:0.382dl/g
改質:2.3mol %
アセタート含量:11.0mol %
GPC:MW =35,250、
n =6,934、
W /Mn =5.08。
固形物含量:ポリマーは感光性でなく、熱的に架橋する。
この実施例は、明らかにチオール基が架橋しうる基であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(V):
【化1】


(式中、
R’及びR”は、互いに独立して、水素、低級アルキル又は低級アルカノイルであり、
Rは、C1−C12アルカンの2価の基であり、
1は、水素、C1−C6アルキル基又はシクロアルキル基であり、
2は、水素又はC1−C6アルキル基であり、
3は、n=0ならば−C(R4)=CH2の基であり、又はn=1ならば−C(R16)(R17)−の架橋基であり、
4は、水素又はC1−C4アルキルであり、
nは0又は1であり、そして
16及びR17は、互いに独立して、水素、C1−C8アルキル、アリール又はシクロヘキシルである)
で示される化合物。
【請求項2】
1が、水素であり、そしてnが、0である、請求項1記載の式(V)の化合物。

【公開番号】特開2006−193526(P2006−193526A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13475(P2006−13475)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【分割の表示】特願平8−523211の分割
【原出願日】平成8年1月22日(1996.1.22)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】