説明

架橋アミンポリマー

本発明は、イオンバランス異常の治療のための方法および組成物を提供する。具体的には、本発明は、架橋アミンポリマーを含むポリマー組成物および医薬組成物を提供する。治療的利点および/または予防的利点のためのポリマー組成物および医薬組成物の使用方法が本明細書に開示されている。これらの方法の例としては、腎疾患および高リン血症の治療が挙げられる。高リン血症を有する患者の副作用が軽減された良好なリン酸結合療法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
引用
本出願は、2004年3月22日出願の「架橋アミンポリマー」と題された第10/806,495号、2004年10月13日出願の「アニオン結合ポリマーおよびそれの使用」と題された第10/965,044号、2004年11月3日出願の「アニオン結合ポリマーおよびそれの使用」と題された第10/701,385号、2005年3月22日出願の「架橋アミンポリマー」と題された第11/088,271号、2004年11月3日出願の「アニオン結合ポリマーおよびそれの使用」と題された第PCT/US2004/036745号、2005年3月22日出願の「架橋アミンポリマー」と題された第PCT/US2005/009394号の一部継続出願であり、これらは参照によりその全体が本明細書で援用され、その出願に対して、本出願人らは35USC120条の下に優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
正常腎臓機能を有する患者においては、カルシウムとリンとのバランスは副甲状腺ホルモン(PTH)とビタミンDの活性代謝物であるカルシトリオールの相互作用により維持される。PTHは、腸再吸収、腎排泄、および細胞外液と骨との間のこれらイオンの交換を調節することによって細胞外カルシウムおよびリン酸濃度を制御するための機構を提供する。
【0003】
しかし、進行性腎不全とともに、腎不全によるリン保持の増加が認められる。リンバランスを修復するために、PTHレベルの代償性上昇が誘発され、これによりカルシウムの腎吸収が増大すると同時に、リンの管吸収を減少させる。腎疾患のこの早期段階における代償性副甲状腺機能亢進症の正味の影響は、血清リンレベルが正常範囲内で維持されることである。
【0004】
ろ過リン酸を排泄する疾患腎臓の能力低下の結果としてのリンの保持は、血清遊離カルシウムの減少をもたらし、次いでより多くのPTHの分泌を刺激する。腎臓機能における進行性減少ごとに、血清リン酸がPTHの持続的な高レベルを犠牲にして正常に修復される新しい定常状態が達成される。持続的かつ重篤な副甲状腺機能亢進症が存在するまでは腎機能の低下とともに周期は繰り返され、最終的に代償性機構は上昇する血清リンレベルを制御することができない。糸球体ろ過率が正常の20%未満に減少すると、明白な高リン血症が明らかとなる。末期腎疾患患者(PTHによって媒介される代償性機構がもはや有効ではない)においては、血漿リン酸の増加は、PTHの排泄の減少だけではなく、PTHの連続的な高レベルにも起因するが、これはさらに骨からカルシウムおよびリン酸を放出することによって問題を悪化させる。
【0005】
高リン血症の臨床状態は多様であり、相当な死亡率のリスクを有する。重篤な高リン血症は低カルシウム血症を誘発しうるが、これは、さらにこのホルモンの産生を増大させることによってPTHレベルのバランス異常を悪化させる。高リン血症は腎臓におけるカルシトリオールの合成を抑制し、これは低カルシウム血症状態の悪化をもたらす。テタニーおよび異所性石灰化による重篤な低カルシウム血症の発生は、高リン血症の最も重篤な徴候である。石灰化は関節、軟組織、肺、腎臓、および結膜においても発生しうる。軟組織石灰化は心血管リスクに関連しており、心血管疾患が全透析患者の45%超における死亡原因である。骨および筋に対する影響を有する腎性骨ジストロフィーは、末期腎疾患(ESRD)患者、および重篤な掻痒症において一般的である。発症中および重篤な腎疾患と関連した高いPTHレベルは、中枢および末梢神経系、および心筋組織に対する間接的な作用を有し、高脂症、筋成長遅延、動脈硬化、骨喪失、および免疫不全などのさらなる障害を引き起こす。
【0006】
高リン血症の予防および治療は、リン摂取の食事調節、透析、および経口リン酸結合剤を含むさまざまな手段によって達成される。しかし、透析は、細胞内リンと細胞外リンとの間の緩徐な平衡により血清から十分にリン酸イオンを除去することはない。その代わりに、選択すべき治療は、リンコントロール食および食事で摂取されるリン酸結合剤の投与が焦点となる。しかし、低リン食は長期の選択肢ではないが、それは患者コンプライアンスが困難であり、さらに血液透析患者に推奨される1.2g/kg/日超のタンパク質のタンパク質摂取を制限することなく、毎日の食事によるリン摂取を約1000mg/日未満に低下させることができないためである。
【0007】
経口リン酸結合剤は、2つの主要なクラスを含む。すなわち、無機金属塩とポリマー樹脂であり、これはしばしば金属フリー結合剤と呼ばれる。前者のカテゴリーの例としては、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム(PhosLo)、および炭酸ランタン(Forenol)などの化合物が挙げられる。アルミニウム塩およびカルシウム塩は何年も選択すべき治療であったが、それらは胃腸膜を横断し、血流に入り、毒性作用をもたらす可溶性金属イオンを生成する。例えば、炭酸アルミニウム塩は、脳障害およびアルミニウム骨吸収によるアルミニウム骨症の症例に関与することが証明されている。カルシウム結合剤は大量の可溶性カルシウムカチオンも生成し、その吸収は高カルシウム血症を誘発しうる。さらに、原因となる効果は完全には明らかにされていないが、高いカルシウム×リン酸の積が、軟組織石灰化および心血管疾患の原因とされている。炭酸ランタンは金属吸収をほとんどもたらさないように見えるが、ランタンの骨蓄積は確立されており、ヒトにおけるかかる蓄積の長期の効果は依然として不明である。
【0008】
金属フリー結合剤としては、イオン交換樹脂および架橋ポリアリルアミン樹脂が挙げられる。イオン交換樹脂としては、コレスチルアミン、コレスチポール塩酸、およびDowexが挙げられる。これらの樹脂は、金属塩の代替として提案されているが、それらの低い能力およびおいしさの欠如は、それらの臨床における広範な使用を不可能にした。塩酸セベラマー(sevelamer hydrochloride)(Renagel)のような架橋ポリアリルアミンは、次世代の金属フリーリン酸結合剤樹脂として導入された。しかし健康なボランティアで行われた第1相治験では、Renagelのインビボ結合能がインビトロ試験から予想されるよりもはるかに低いことが示されている。結果として、ESRD患者は依然として、臨床的エンドポイントに合致するために、Renagelの高い投与量が必要であるが、これは、胃腸の不快感および患者コンプライアンスの問題など副作用をもたらす。
【0009】
したがって、高リン血症を有する患者の副作用が軽減された良好なリン酸結合療法を開発する必要がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの第1の態様において、本発明は、架橋アミン部分を含むポリマーおよびポリマー組成物に関する。ポリマーは、架橋アミンポリマーであり得る。ポリマー組成物は、1つもしくはそれ以上の架橋アミンポリマーを含みうる。本発明の本態様を含む本発明の一部の実施形態は以下の通りさらに詳細に記載されている。一般に、これらの実施形態の各々がさまざまなかつ特定の組合せ、および各々の順列で、本明細書の上記または下記の各々の他の態様および実施形態とともに使用されうる。
【0011】
第1の実施形態において、本発明は、式(I)のアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物である。
【化1】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、mは、1以上であり、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族、もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnおよび各々のmは、独立して、3〜20であり、さらにより好ましくは、各々のnおよび各々のmは、独立して、3〜10である。一部の実施形態において、mは1または2に相当する。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0012】
本発明の第2の実施形態は、式(II)のアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物である。
【化2】

式中、pは1、2、3、または4であり、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族、もしくは複素環式基を形成し、RおよびRは、各々独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるが、但し、p=1のとき、RおよびRの両方がHであることはなく、p=2、3または4のとき、RおよびRはH、アルキルまたは−C(R−R−N(Rであり、ここでRは結合またはメチレンのいずれかである。一部の実施形態において、RおよびRは、各々独立して、アミンでありうる。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは、各々のRおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0013】
本発明の第3の実施形態は、式IIIのアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物である。
【化3】

式中、qは0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0014】
本発明の第4の実施形態は、式IVのアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物である。
【化4】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルまたはアリールであるか、または隣接するRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜20であり、さらにより好ましくは、各々nは、独立して、3〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0015】
本発明の別の実施形態は式(IV)’のアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物である。
【化5】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合され、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜20であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0016】
本発明の第5の実施形態は、式(V)のアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物である。
【化6】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合され、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0017】
本発明の別の実施形態は、式(VII)のアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物であり、但し、該アミンは式(V)のアミン並びに式(V’)のアミンであることはない。
【化7】

【化8】

【化9】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合され、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0018】
本発明の別の実施形態は、式(VII)のアミンが架橋剤により架橋された架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物であり、但し、該アミンは式(V’’)のアミン並びに式(V’)のアミンであることはない。
【化10】

【化11】

【化12】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであり、または隣接するRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、かつ最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0019】
本発明の別の実施形態は、式(VII)のアミンが架橋剤により架橋された架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物であり、但し、該アミンは式(V)のアミン、式(V’’)のアミン並びに式(V’)のアミンであることはない。
【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであり、または隣接するRと結合され、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、かつ最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0020】
本発明の別の実施形態は、式(VII)のアミンが架橋剤により架橋された架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物であり、但し、該アミンは式(V’)のアミンであることはない。
【化17】

【化18】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであり、または隣接するRと結合され、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、かつ最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0021】
本発明の好ましい実施形態は、以下の式(VIII)のアミンが架橋剤により架橋された架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物であり、但し、該アミンは式(V’)のアミンであることはない。
【化19】

【化20】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであり、または隣接するRとけ結合され、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。式中異なる「n」は同じでありうるか;式中異なる「n」は異なりうるか;または式中「n」の一部は同じであり、かつその他は異なりうる。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態は、式(IX)のアミンが架橋剤により架橋された、以下の式(IX)のアミンを含む架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物であり、但し、該アミンは式(V’)のアミンであることはない。
【化21】

【化22】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであり、または隣接するRと結合され、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。式中異なる「n」は同じでありうるか;式中異なる「n」は異なりうるか;または式中「n」の一部は同じであり、かつその他は異なりうる。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態は、式(X)のアミンが架橋剤により架橋された、以下の式(X)のアミンを含む架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物であり、但し、該アミンは式(V’)のアミンであることはない。
【化23】

【化24】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであり、または隣接するRと結合され、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。式中異なる「n」は同じでありうるか;式中異なる「n」は異なりうるか;または式中「n」の一部は同じであり、かつその他は異なりうる。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、かつ最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0024】
本発明の別の実施形態は、以下の式(V’’’)のアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、またはこれを含む組成物である。
【化25】

式中、n’は6以上である。好ましくは、n’は6〜20であり、さらにより好ましくは、n’は6〜10に等しく、かつ最も好ましくは、n’は6〜8に等しい。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、かつ最も好ましくは約0.5〜約2を含む。
【0025】
別の第2の態様において、本発明は、ヒトを含む動物(の例えば状態)を治療する方法を提供する。この方法は一般に、本明細書に記載されたポリマーまたはポリマー組成物の有効量を投与することを含み、ここに該ポリマーまたはポリマー組成物は、個々に本明細書に記載されている、架橋アミンポリマー、または該架橋アミンポリマーから基本的になるもしくはこれを含む組成物である。本発明のそれぞれの実施形態は、本発明のこの態様とのさまざまな特定の組合せで、また各々の順列で使用することができる。更にまた、本発明のこの態様は、本明細書の前後に記載される各々の他の態様および実施形態と組み合わせられうる。
【0026】
第3の態様において、本発明は、ヒトを含む動物の状態を治療するための医薬として使用するための薬剤を製造するための、本明細書中に記載されるポリマー、ポリマー組成物または医薬組成物の使用を包含する方法に関し、ここに、該ポリマー、ポリマー組成物または医薬組成物は個々に本明細書に記載されている、架橋アミンポリマー、または架橋アミンポリマーから基本的になるもしくはこれを含む組成物である。本発明のそれぞれの実施形態は、本発明のこの態様とのさまざまな特定の組合せで、また各々の順列で使用することができる。更にまた、本発明のこの態様は、本明細書の前後に記載される各々の他の態様および実施形態と組み合わせられうる。
【0027】
本発明の別の第4の態様は、本発明の1つ以上のポリマー、すなわち架橋アミンポリマーと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。本明細書に記載されているポリマーおよび/またはポリマー組成物はいくつかの治療用途を有し、かかる治療用途は、本発明の第1、第2、第3、または第4の態様を含む本発明の各々の態様に関連させて考慮される。例えば、架橋アミンポリマー(およびそれを含む組成物)などであるところの本発明のポリマーは、消化管からのリン酸の除去に有用である。したがって、架橋アミンポリマー(およびそれを含む組成物)などである本発明のポリマーは、高リン血症などの状態を治療するために有用でありうる。一部の実施形態において、架橋アミンポリマーは、リン酸バランス異常障害および腎疾患(を伴うまたはこれらに起因する、例えば状態)の治療において使用される。本発明のそれぞれの実施形態は、本発明のこの態様とのさまざまな特定の組合せで、また各々の順列で使用することができる。更にまた、本発明のこの態様は、本明細書の前後に記載される各々の他の態様および実施形態と組み合わせられうる。
【0028】
本発明のさらに別の第5の態様において、架橋アミンポリマーまたは該ポリマーを含む組成物は、塩化物イオン、重炭酸イオン、および/またはシュウ酸イオンなど他のアニオン溶質を除去するために有用である。したがって、1つの方法において、本発明の態様は、アニオン溶質を除去するための、特に、塩化物イオン、重炭酸イオン、および/またはシュウ酸イオンなどアニオン溶質を除去するための方法を目的としうる。シュウ酸イオンを除去するポリマーは、シュウ酸バランス異常障害の治療において使用される。塩化物イオンを除去するポリマーは、例えば、アシドーシスの治療に使用される。一部の実施形態において、架橋アミンポリマーは胆汁酸および関連化合物を除去するために有用である。
【0029】
本発明はさらに、別の第6の態様において、アニオン結合ポリマー(例えばリン酸結合ポリマー、更に好ましくは架橋アミンポリマーを含む前記ポリマー並びに本明細書に開示の他のポリマーであって、該ポリマーが外殻で覆われたポリマー粒子の形態である)を含む組成物を提供する。本発明のそれぞれの実施形態は、本発明のこの態様とのさまざまな特定の組合せで、また各々の順列で使用することができる。更にまた、本発明のこの態様は、本明細書の前後に記載される各々の他の態様および実施形態と組み合わせられうる。
【0030】
本発明の別の第7の態様において、本発明は医薬組成物を提供する。本発明のこの態様の1つの実施形態において、該医薬組成物は、アニオン結合ポリマー、例えばリン酸結合ポリマー、好ましくは本発明に記載される架橋アミンポリマーを含むポリマーと、薬学的に許容される賦形剤を含む。本発明の本態様の一部の追加の実施形態において、該医薬組成物は、ポリマーが水および適切な賦形剤の液体溶媒中に分散している液体製剤である。本発明の本態様の一部の別の実施形態において、本発明は、標的アニオンに結合するアニオン結合ポリマー、好ましくはリン酸結合ポリマーと、1つ以上の適切な医薬賦形剤を含む医薬組成物を提供し、ここで組成物はチュアブル錠または口腔内崩壊錠の形態である。本実施形態のいくつかの実施形態において、チュアブル錠は、ショ糖、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、フルクトース、ソルビトール、およびそれの組合せより成る群から選択される1つもしくはそれ以上の医薬賦形剤を含有しうる。本実施形態のいくつかの実施形態において、チュアブル錠は、ポリマーが賦形剤と予備処方されて固溶体を形成する工程によって製造されうる。一部の実施形態において、ポリマーの標的アニオンはリン酸である。一部の実施形態において、アニオン結合ポリマーは錠剤の重量の約50%より多い。一部の実施形態において、錠剤は直径が約22mm、高さが約4mmの円筒形であり、アニオン結合ポリマーは、錠剤の総重量の約1.6gmより多い。本発明のチュアブル錠のいくつかにおいて、賦形剤は甘味剤、結合剤、滑沢剤、および崩壊剤より成る群から選択される。場合により、ポリマーは平均径が約40μm未満の粒子として存在する。これらの実施形態の一部において、甘味剤はショ糖、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、フルクトース、ソルビトール、およびそれの組合せより成る群から選択される。本発明の本態様の一部のさらに別の実施形態において、本発明は、標的アニオンに結合するアニオン結合ポリマー、好ましくはリン酸結合ポリマーと、1以上の適切な医薬賦形剤を含む医薬組成物を提供し、ここで組成物は、例えばヒトなど動物患者への投与後、望ましくない副作用、例えば生じうる膨潤が関連する副作用をもたらさないか、実質的にもたらさないか若しくはその程度を最小限に抑えるものである。本発明の態様のさらに一部の追加の実施形態において、本発明は、標的アニオンに結合するアニオン結合ポリマー、好ましくはリン酸結合ポリマーと、1以上の適切な医薬賦形剤を含む医薬組成物を提供し、ここで組成物は、例えばヒトなど動物患者への投与後の便秘、消化不良、鼓腸、およびそれの組合せの1つもしくはそれ以上をもたらさないか、実質的にもたらさないか若しくはその程度を最小限に抑えるものである。本発明のそれぞれの実施形態は、本発明のこの局面とのさまざまな特定の組合せで、また各々の順列で使用することができる。更にまた、本発明のこの局面は、本明細書の前後に記載される各々の他の態様および実施形態と組み合わせられうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
架橋アミンポリマー
1つの態様において、本発明は、架橋アミン部分を含有するポリマーを含む組成物の使用方法を提供する。繰り返し架橋アミン単位を有するホモポリマーおよびコポリマーを含むポリマーは、本明細書では架橋アミンポリマーと呼ばれる。ポリマーにおける繰り返しアミン単位は、同じ長さまたは異なる長さの繰り返しリンカー(または介在)単位によって分離されうる。一部の実施形態において、ポリマーはアミンの繰り返し単位+介在リンカー単位から成る。他の実施形態において、多重アミン単位は、1つもしくはそれ以上のリンカー単位によって分離される。
【0032】
第1の実施形態において、本発明は、有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去するための方法であり、前記ポリマーは式(I)のアミンを架橋剤で架橋したものを含む。
【化26】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、mは1以上であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnおよび各々のmは、独立して、3〜20であり、さらにより好ましくは、各々のnおよび各々のmは、独立して、3〜10である。一部の実施形態において、mは1または2に相当する。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0033】
本発明における好ましいアミンは以下を含み、
【化27】

好ましくは、nは3〜20であり、より好ましくは、nは3〜15であり、最も好ましくは、nは3〜8である。
【0034】
本発明の第2の実施形態は、有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物患者の消化管からリン酸を除去する方法であり、前記ポリマーは式(II)のアミンを架橋剤で架橋したものを含む。
【化28】

式中、pは1、2、3、または4であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成し、RおよびRは、各々独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであり、但し、p=1のとき、RおよびRが共に両方がHであることはなく、p=2、3または4のとき、RおよびRはH、アルキルまたは−C(R−R−N(Rであり、ここでRは結合またはメチレンのいずれかである。一部の実施形態において、RおよびRは、各々独立して、アミンでありうる。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは、各々のRおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0035】
本発明において好ましいアミンは以下を含む。
【化29】

【0036】
本発明の第3の実施形態は、有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、前記ポリマーは式(III)のアミンを架橋剤で架橋したものを含む。
【化30】

式中、qは0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0037】
本発明において好ましいアミンは以下を含む。
【化31】

【0038】
本発明の第4の実施形態は、有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、前記ポリマーは式(IV)のアミンを架橋剤で架橋したものを含む。
【化32】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルまたはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜20であり、さらにより好ましくは、各々nは、独立して、3〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0039】
本発明の別の実施形態は、有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物象の消化管からリン酸を除去する方法であり、前記ポリマーは式(IV)’のアミンを架橋剤で架橋したものを含む。
【化33】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルまたはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜20であり、さらにより好ましくは、各々nは、独立して、3〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0040】
本発明において好ましいアミンは以下を含み、
【化34】

好ましくは、各々のnは、独立して、3〜20であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10である。
【0041】
本発明の第5の実施形態は、有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、前記ポリマーは式(V)のアミンを架橋剤で架橋したものを含む。
【化35】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0042】
本発明において好ましいアミンは以下を含む。
【化36】

【0043】
本発明の別の実施形態は、式(VII)のアミンを架橋剤で架橋した有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物患者の消化管からリン酸を除去する方法であり、但し前記アミンは式(V)の化合物並びに式(V’)のアミンであることはない。
【化37】

【化38】

【化39】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態は、式(VII)のアミンを架橋剤で架橋した有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、但し前記アミンは式(V’’)の化合物並びに式(V’)のアミンであることはない。
【化40】

【化41】

【化42】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態は、式(VII)のアミンを架橋剤で架橋した有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、但し前記アミンは式(V)の化合物、式(V’’)の化合物並びに式(V’)のアミンであることはない。
【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0046】
本発明の1つの実施形態は、式(VII)のアミンを架橋剤で架橋した有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、但し前記アミンは式(V’)のアミンであることはない。
【化47】

【化48】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のrは、独立して、0、1、または2であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0047】
本発明の別の方法は、以下の式(VIII)のアミンを架橋剤で架橋した有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、但し前記アミンは式(V’)のアミンを含むことはない。
【化49】

【化50】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。式中それぞれの「n」は同一でも異なっていてよく、または式中の「n」の一部が同一で他は異なっていてもよい。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0048】
本発明の別の方法は、以下の式(IX)のアミンを架橋剤で架橋した有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、但し前記アミンは式(V’)のアミンであることはない。
【化51】

【化52】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。式中それぞれの「n」は同一でも異なっていてよく、または式中の「n」の一部が同一で他は異なっていてもよい。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0049】
本発明のさらに別の方法は、以下の式(X)のアミンを架橋剤で架橋した有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、但し前記アミンは式(V’)のアミンであることはない。
【化53】

【化54】

式中、各々のnは、独立して、3以上であり、各々のRは、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または、隣接するもうひとつのRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族もしくは複素環式基を形成する。好ましくは、各々のnは、独立して、3〜10であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜10である。式中それぞれの「n」は同一でも異なっていてよく、または式中の「n」の一部が同一で他は異なっていてもよい。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0050】
本発明の好ましい方法は、以下の式(V’’’)のアミンを架橋剤で架橋した有効量の架橋アミンポリマーを投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法であり、
【化55】

式中、n’は6以上である。好ましくは、n’は6〜20であり、さらにより好ましくは、n’は6〜10に等しく、最も好ましくは、n’は6〜8に等しい。好ましい架橋剤は1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである。好ましいアミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、より好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約0.5〜約2である。
【0051】
別の態様において、本発明は、架橋アミン部分を含有するポリマーを含む組成物を提供する。ホモポリマーおよびコポリマーを含むこれらのポリマーは、繰り返し架橋アミン単位から成る。
【0052】
第1の実施形態において、本発明は架橋アミンポリマーであり、前記ポリマーは上記のような式(I)のアミンを含む。本発明の第2の実施形態は架橋アミンポリマーであり、前記ポリマーは上記のような式(II)のアミンを含む。本発明の第3の実施形態は架橋アミンポリマーであり、前記ポリマーは上記のような式(III)のアミンを含む。本発明の第4の実施形態は架橋アミンポリマーであり、前記ポリマーは上記のような式(IV)のアミンを含む。本発明の第5の実施形態は架橋アミンポリマーであり、前記ポリマーは上記のような式(V)のアミンを含む。
【0053】
式(II)のアミンから成るポリマーは、p=1〜4で上記されている。また、実施形態の一部において、式(II)のアミンは、pが4よりも大きいアミンを含む。さまざまな実施形態において、pは8よりも大きく、12よりも大きく、16よりも大きく、または20よりも大きい数でありうる。他の実施形態において、pは25未満、20未満、15未満、または10未満でありうる。本明細書に記載された式において、好ましくは、各々のnは、独立して、3〜50であり、さらにより好ましくは、各々のnは、独立して、6〜20である。最も好ましくは、各nは独立して3〜10である。一部の実施形態においては、式上の各々のnは異なる値であること、式上の異なるnが同一の値であってもよいこと、そして式上のnのいくつかは同一の値であることも意図される。好ましくは、各々のRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。好ましくは、各々のmは、独立して、1〜20であり、さらにより好ましくは、各々のmは、独立して、2〜15であり、最も好ましくは、各々のmは、独立して、5〜10である。好ましくは、各々のRおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよい低級アルキルである。好ましくは置換されていてもよい低級アルキルは、非置換C2−6アルキルおよびアミン置換C2−6アルキルを含む。
【0054】
一般式(I)〜(VI)によって表されるアミンは、当業界で周知の方法によって合成されうる。これらの合成法としては、アルコールからの触媒変換、カルボニル化合物の還元的アミノ化、マイケル付加、およびニトリルの水素化が挙げられる(例えば、カールステン・エラー(Karsten Eller)ら、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry2002年、ワイリー(Wiley)−VCHフェアラーク(Verlag)GmbH&Co.KGaA)。一部の小さなアミンモノマーおよび/またはアミン+介在リンカー単位も市販されている。
【0055】
1つの実施形態において、本発明において有用なアミンである、以下に示されているテトラメチレンテトラミンが、市販のジアミノマレオニトリル(DAMN)の接触水素化によって合成される。
【化56】

【0056】
重合は当業者に公知の方法によって達成されうるが、その例は本明細書に開示された実施例において詳細に示されている。例えば、架橋反応は、バルクの溶液中(すなわち、純アミンおよび純架橋剤化合物を使用)または分散溶剤中のいずれかで行われる。バルク工程が使用される場合、溶媒は、それらが反応物質を共溶解し、アミン架橋反応を損なうことがないように選択される。適切な溶媒としては、水、低沸点アルコール(メタノール、エタノール、ブタノール)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0057】
分散媒質中の工程としては、逆懸濁、直接懸濁、およびエアロゾルなどが挙げられる。連続相は、トルエン、ベンゼン、炭化水素、ハロゲン化溶媒、超臨界二酸化炭素などの無極性溶剤から選択されうる。直接懸濁工程により、水が使用されうるが、食塩水もアミンおよび架橋剤試薬を、米国特許第5,414,068号明細書に記載されている通り、液滴分離相で「塩析する」ために有用である。
【0058】
アミンに対する架橋剤のモル比は、形成されるゲル材料の範囲およびその架橋密度を制御する。低すぎる比は不完全な架橋および可溶性オリゴマーの形成をもたらしうるが、高すぎる比はわずかな結合特性を有するきわめて密なネットワークを生じうる。アミン成分は、数種のアミノの1つもしくは組合せのいずれかでありうるが、同じことは架橋剤成分に適用される。最適化が、アミンと架橋剤の新しい組合せについて必要とされうるが、それはいずれかの官能性がゲル形成の範囲および膨潤特性に影響しうるためである。一部の実施形態において、アミンに対する架橋剤のモル比は約0.2〜約10、好ましくは、約0.5〜約5、最も好ましくは、約0.5〜約2である。
【0059】
架橋反応は、バッチまたは反連続モードで実行される。後者のモードでは、アミンまたは架橋剤のいずれかが初期充填として添加され、次いで共反応物質が所定の期間にわたって計量される。1つの実施形態において、可溶性プレポリマーが最初に全体のアミンモノマー成分を添加し、次いで連続的に架橋剤の一部分を添加し、シロップを形成することによって調製される。次いで、シロップは液滴として油連続相中で乳化され、残りの架橋剤の一部が添加されて架橋ビーズを形成する。架橋剤がハロゲン化アルキル化合物である場合、塩基を使用して反応中に形成される酸を除去することができる。無機塩基または有機塩基が適切である。NaOHが好ましい。架橋剤に対する塩基の比は、好ましくは、約0.5〜約2である。
【0060】
本発明のポリマーは架橋された材料であり、それらは溶剤中で溶解することはなく、せいぜい、溶剤中で膨潤することを意味する。膨潤率は、緩衝液中の膨潤ゲル対乾燥架橋ポリマーの重量比として表される。使用環境、すなわち消化管を代表する生理的等張性緩衝液における膨潤率は通常、約1.2〜約100、好ましくは、約2〜20である。
【0061】
本明細書に記載されたポリマーはリン酸結合特性を示す。リン酸結合能は、リン酸結合剤が所定の溶液中で結合しうるリン酸イオンの量の尺度である。例えば、リン酸結合剤の結合能はインビトロ、例えば、水中もしくは生理食塩水中、またはインビボ、例えば、リン酸尿中排泄から、またはエクスビボ、例えば、吸引液、例えば、実験動物、患者、もしくはボランティアから得られた糜粥などの液体を使用して測定される。測定は、リン酸イオンのみを含有する溶液中、またはポリマー樹脂との結合に関してリン酸イオンと競合する他の競合溶質を少なくとも含有しない溶液中で行われうる。これらの場合、非干渉緩衝剤が使用される。あるいは、測定は、他の競合溶質、例えば、樹脂との結合に関してリン酸イオン(標的溶質)と競合する他のイオンまたは代謝物の存在下に行われうる。
【0062】
ポリマーのリン酸結合能は、mmol/grで表されるV(Cstart−Ceq)/Pとして計算されうるが、式中、Vは、単位がLの使用される溶液の固定量であり、Cstartは単位がmMの溶液の初期リン酸濃度であり、Ceqは、単位がグラムの重量Pのポリマーが添加され、平衡が可能とされた後の、単位がmMの溶液中の平衡リン酸イオン濃度である。
【0063】
リン酸結合能は、約0.5mmol/gr〜約10mmol/gr、好ましくは、約2.5mmol/gr〜約8mmol/gr、かつさらにより好ましくは、約3mmol/gr〜約6mmol/grである。リン酸結合を測定するいくつかの方法が当業界で公知である。適切な方法の例は以下の実施例の部に記載されている。
【0064】
本発明において使用されうるアミンは、限定されないが、通常、重合反応のモノマーまたはモノマー単位の一部として使用される小さなアミンである。本発明のポリマーの合成に適切であるアミンの例としては、表1に示されているアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
【表1】

【0066】
架橋剤は通常、ハロゲン基、カルボニル基、エポキシ基、エステル基、酸無水物基、酸ハロゲン化物基、イソシアネート基、ビニル基、およびクロロギ酸基から選択される少なくとも2つの官能基を有する、化合物である。架橋剤は、炭素骨格またはアミンポリマーのペンダント窒素に付着されうる。本発明のポリマーの合成に適切である架橋の例としては、表2に示されている架橋剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
【表5】

【0071】
【表6】

【0072】
【表7】

【0073】
本発明の他の態様は、式VIのアミンを架橋剤で架橋した架橋アミンポリマー、
【化57】

およびそれを使用する方法であり、式中、各々のmは、独立して、3よりも大きい。
【0074】
コア−シェル組成物
本発明の1つの態様は、ポリマーのコアおよびシェルを含むコア−シェル組成物である。一部の実施形態において、ポリマーコアは、本明細書に記載されている架橋ポリマーから成る。シェル材料は化学的にコア材料に固定され、または物理的にコーティングされうる。前者の場合、シェルは化学的手段により、例えば、コアポリマーへ固定された活性部位からのリビング重合を使用してシェルポリマーのコアへの化学的グラフト、界面反応、すなわち、界面重縮合などコア粒子表面に位置した化学反応、およびコア粒子合成中の懸濁剤としてブロックコポリマーを使用することによってコア成分上に成長させられうる。
【0075】
界面反応およびブロックポリマーの使用は、化学的方法が使用される場合に好ましい方法である。界面反応経路においては、通常、コア粒子の周辺がコア界面上の小さな分子または高分子を反応させることによって化学的に修飾される。例えば、アミンを含有するイオン結合コア粒子が、エポキシ、イソシアネート、活性化エステル、ハロゲン化物基などアミン反応基を含有するポリマーと反応され、コア周囲に架橋シェルを形成する。
【0076】
別の実施形態において、シェルは最初に界面重縮合または溶剤コアセルベーションを使用して調製されカプセルを生成する。次いで、カプセルの内部はコア形成前駆体で充填され、シェルカプセル内にコアを形成する。
【0077】
一部の実施形態においては、ブロックコポリマー法を使用することにより、両親媒性ブロックコポリマーが懸濁剤として使用され、逆懸濁粒子形成法もしくは直接懸濁粒子形成法においてコア粒子を形成することができる。逆油中水懸濁法が使用される場合、ブロックコポリマーは連続油相において可溶性の第1のブロックを含み、別の親水性ブロックはコアポリマーと反応しうる官能基を含有する。コア形成前駆体とともに、水相、および油相に添加される場合、ブロックコポリマーは油中水界面に位置し、懸濁剤として作用する。親水性ブロックはコア材料と反応し、またはコア形成前駆体と共反応する。粒子が油相から単離された後、ブロックコポリマーはコア表面に共有結合される薄いシェルを形成する。ブロックの化学的性質および長さは変動し、目的とする溶質に向かってシェルの透過特性を変化しうる。
【0078】
シェル材料が物理的にコア材料で吸着される場合、溶剤コアセルベーション、流動床スプレー塗装機、またはマルチ乳剤法などマイクロカプセル化の周知の方法が使用されうる。マイクロカプセル化の好ましい方法がウルスター(Wurster)構成での流動床スプレー塗装機である。さらに別の実施形態において、シェル材料はコア粒子の膨潤を遅延させることによって一時的にのみ作用すると同時に、口および食道において、かつ場合により胃および十二指腸において分解する。次いで、シェルは、高疎水性およびきわめて低い液体水透過性の相を生成することによってコア粒子への水の輸送を妨害するために選択される。
【0079】
1つの実施形態において、シェル材料は優先的に使用環境にあるうちは負電荷を持っている。1つの作用機序に限定されることなく、アニオン結合ビーズでコーティングされた負に帯電したシェル材料が、大きな価数またはサイズを有する競合イオンに対して(リン酸など)低い電荷密度を有する小さな無機イオンの結合を強化することが確認されている。例えば、ポリアニオン系シェルでコーティングされた架橋アミンポリマーコア粒子が、合成GI環境下で測定される通りリン酸イオンの高い結合能を有することが確認されている。特にクエン酸、胆汁酸、および脂肪酸など競合アニオンは、おそらくその限定されたシェル上の透過性の結果としてアニオン結合コアとのより小さい相対的親和性を有する。
【0080】
好ましいシェル材料は、腸内に通常存在するpH範囲で負電荷を持っているポリマーである。例としては、カルボキシル、スルホン、ヒドロスルホン、スルファミン、リン、ヒドロリン、ホスホン、ヒドロホスホン、リンアミド、フェノール、ボロン、およびそれの組合せなどのペンダント酸性基を有するポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーはプロトン化または非プロトン化されうるが、後者の場合、酸性アニオンは、Na、K、Li、Ca、Mg、およびNHなど薬学的に許容されるカチオンで中和されうる。
【0081】
別の実施形態において、ポリアニオン系は、最終的にポリアニオン系として活性化する前駆体として投与されうるが、例えば、ポリスルホン酸またはポリカルボン酸のいずれかの特定の不安定エステルまたは無水物形態は胃の酸性環境下に加水分解する傾向があり、活性アニオンに変わりうる。
【0082】
シェルポリマーは、線状、分岐、超分岐、セグメント化(すなわち、少なくとも1つがペンダント酸性基を含有する隣接ブロックの配列で配置された骨格ポリマー)、くし形、星形、またはネットワーク、完全、および半貫入ネットワーク(IPN)で架橋のいずれかでありうる。シェルポリマーは組成物中でランダムまたは塊状のいずれかであり、かつコア材料に共有または物理的に結合されうる。かかる酸性シェルポリマーの例としては、ポリ(アクリル酸)、ポリ(スルホン酸スチレン)、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カラゲナン、アルギン酸、またはポリ(メタクリル酸)エステル、アクリル/マレイン酸コポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、イタコン酸/アクリルコポリマー、およびフマル/アクリル酸コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
一部の好ましい実施形態において、シェルポリマーは、Eudragit L100−55およびEudragit L100(メタクリル酸エステル、デグサ/レーム(Degussa/Roehm))、Carbopol 934(ポリアクリル酸、ノベオン(Noveon))、C−A−PNF(酢酸フタル酸セルロース−イーストマン(Eastman))、Eastacryl(メタクリル酸エステル−イーストマン(Eastman))、カラゲナンとアルギン酸(FMCバイオポリマー(Biopolymer))、Anycoat−P(サムスン・ファイン・ケミカル社(Samsung Fine Chemicals)-HPMCフタル酸(Phthalate))、またはアクアロン(Aqualon)(カルボキシメチルセルロース-ヘラクレス(Hercules))、メチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー(ガントレッツ(Gantrez))、およびスチレン/マレイン酸(SMA)など薬学的に許容されるポリマーの中から選択される。
【0084】
シェルはさまざまな方法によってコーティングされうる。1つの実施形態において、シェル材料は活性賦形剤として製剤ステップに添加され、例えば、シェル材料は粉末として固体製剤に含まれうるが、これは物理的にリン酸結合ポリマーおよび他の賦形剤と混合され、場合により粒状化され、圧縮されて錠剤を形成する。したがって、一部の実施形態において、シェル材料は製剤中のコア材料を覆う必要がない。例えば、錠剤、カプセル、ゲル、液体等、ウエハー、押出品の形状で製剤化されるアニオン結合コアポリマーといっしょに酸性シェルポリマーを添加することが有利であることがわかっており、次いでシェルポリマーは溶解し、それ自体、コア周囲のシェルコーティングとして均一に分配されるが、製剤は口内、食道、または最終的に作用部位、すなわちGI管において平衡となる。1つの理論に拘束されることは意図しないが、プラスに帯電したアニオン結合材料はポリアニオン系シェル材料に強い親和性を有し、したがって、電荷中和によってコアシェル構造を自然に形成する傾向があることが仮定される。
【0085】
一部の実施形態において、シェルはシェルポリマーの薄い層である。この層はコア粒子表面上のポリアニオン系の分子層でありうる。重量対コア比は約0.0001%〜約30%でありうるが、好ましくは、約0.1%〜約5%から成りうる。
【0086】
好ましくは、シェルポリマーは、それらがコア細孔容積内に自由に浸透せず、またはコア表面から溶出することもないように分子量の最小限を低める。好ましくは、シェル酸性ポリマーの分子量Mwは約1000g/モル、より好ましくは、約5000g/モル、かつさらにより好ましくは、約20,000g/モルである。
【0087】
シェル材料のアニオン電荷密度(使用環境下に一般的)は通常、0.5mEq/gr〜22mEq/gr、好ましくは、2mEq/gr〜15mEq/grである。コーティング工程が使用され、剤形の製造の一環としてポリマー粒子上にシェルを形成する場合には、医薬産業における当業者に公知の方法が適用可能である。好ましい実施形態において、シェルは流動床塗装機(ウルスター(Wurster)塗装機)で形成される。別の実施形態において、シェルは制御された沈殿またはコアセルベーションにより形成され、ここでポリマー粒子はポリマー溶液中に懸濁され、溶剤特性はポリマーをポリマー粒子上に沈殿させ、またはコーティングさせるためにかかる方法で変化される。
【0088】
適切なコーティング法としては、医薬産業で通常使用される方法がある。通常、コーティング法の選択は、シェル材料の形態(バルク、溶液、乳剤、懸濁液、溶解物)およびコア材料の形状および性質(球形ビーズ、不規則形状、等)、および沈殿されるシェルの量を含むがこれらに限定されない多くのパラメータによって決定される。
【0089】
リン酸バランス異常障害および腎疾患の治療
本明細書で使用される「リン酸バランス異常障害」という語は、体内に存在するリンのレベルが異常である状態を指す。リン酸バランス異常障害の1つ例として高リン血症が挙げられる。本明細書で使用される「高リン血症」という語は、リン成分が高レベルで体内に存在する状態を指す。通常、患者は、血中リン酸レベルが、例えば、血液1デシリットルあたり約4.5ミリグラム超であり、かつ/または糸球体ろ過率が、例えば、約20%を超えて減少している場合には高リン血症と診断される場合が多い。
【0090】
本発明の方法、組成物、およびキットで治療されうる他の疾患としては、低カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、腎臓におけるカルシトリオール合成低下、低カルシウム血症によるテタニー、腎不全、関節、肺、腎、結膜、および心筋組織における石灰化を含む軟組織における異所性石灰化が挙げられる。また、本発明は、上記のいずれかの予防的治療を含む末期腎不全および透析患者を治療するために使用されうる。
【0091】
また、本明細書に記載されたポリマーは、他の療法、例えば、リン摂取、透析無機金属塩、および/または他のポリマー樹脂の食事調節を使用する療法の補助として使用されうる。
【0092】
本発明の組成物は、消化管からの塩化物、重炭酸、鉄イオン、シュウ酸、および胆汁酸の除去にも有用である。シュウ酸イオンを除去するポリマーは、腎結石形成のリスクを増大させるシュウ酸症または高シュウ酸尿などシュウ酸バランス異常障害の治療に使用される。塩化物イオンを除去するポリマーは、例えば、アシドーシス、胸焼け、酸逆流疾患、胃酸過多、または胃炎の治療に使用される。一部の実施形態において、本発明の組成物は脂肪酸、ビリルビン、および関連化合物を除去するために有用である。一部の実施形態は、タンパク質、核酸、ビタミン、または細胞残屑のような高分子量分子を結合し、除去もしうる。
【0093】
本発明は、動物の治療のための方法、医薬組成物、およびキットを提供する。本明細書で使用される「動物」または「動物患者」は、ヒトおよび他の哺乳類を含む。本発明の1つの実施形態は、本明細書に記載された架橋アミンポリマーの少なくとも1つの有効量を投与することによって動物の消化管からリン酸を除去する方法である。
【0094】
本明細書で使用される「治療する」という語およびその文法的相当語句は、治療的利点および/または予防的利点の達成を含む。治療的利点によって、治療される基礎を成す障害の根絶、改善、または予防が意味される。例えば、高リン血症患者において、治療的利点は基礎を成す高リン血症の根絶または改善を含む。また、治療的利点は、患者が依然として基礎を成す障害を伴うにもかかわらず、改善が患者において改善されるように、基礎を成す障害と関連した生理的症状の1つもしくはそれ以上の根絶、改善、または予防で達成される。例えば、本明細書に記載されている架橋アミンポリマーの腎不全および/または高リン血症の患者への投与は、患者の血清リン酸レベルが減少する場合だけではなく、異所性石灰化および腎性骨ジストロフィーのような腎不全および/または高リン血症を伴う他の障害に対して患者における改善が確認される場合にも治療的利点を提供する。例えば、予防的利点のために、架橋アミンポリマーは、高リン血症を発症するリスクにある患者、または高リン血症の診断が行われていないにもかかわらず、高リン血症の1つもしくはそれ以上の生理的症状を報告する患者に投与されうる。
【0095】
本発明の医薬組成物は、架橋アミンポリマーが有効量で、すなわち治療的および/または予防的利点を達成するのに有効な量で存在する組成物を含む。特定の用途に有効な実際の量は、患者(例えば、年齢、体重)、治療される状態および投与経路によって決まる。有効量の決定は、特に本明細書の開示に照らして、当業者の能力の十分に範囲内である。
【0096】
ヒトにおける使用の有効量は動物モデルから決定されうる。例えば、ヒトの用量は、動物において有効であることがわかっている循環および/または胃腸濃度を達成するように処方されうる。
【0097】
動物における架橋アミンポリマーの投与量は、治療される疾患、投与の経路、および治療される動物の物理的特徴によって決まる。一部の実施形態において、治療的および/または予防的使用の架橋アミンポリマーの投与量レベルは、約1gm/日〜約30gm/日でありうる。これらのポリマーは食事といっしょに投与されることが好ましい。ポリマーは1日1回、1日2回、または1日3回投与されうる。好ましい投与範囲は約2gm/日〜約20gm/日であり、さらに好ましい投与範囲は約3gm/日〜約7gm/日である。本明細書に記載されたポリマーの用量は約50mg/日未満、好ましくは約40gm/日未満、より好ましくは約gm/日未満、さらにより好ましくは約30gm/日未満、さらにより好ましくは約20gm/日未満、最も好ましくは約10gm/日未満である。
【0098】
好ましくは、治療的および/または予防的利点に使用される架橋アミンポリマーは単独または医薬組成物の形で投与されうる。医薬組成物は、架橋アミンポリマー、1つもしくはそれ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および場合により追加の治療薬を含む。例えば、本発明の架橋アミンポリマーは、治療される状態によって決まる他の活性医薬品と同時投与されうる。同時投与されうる医薬品の例としては、プロトンポンプ阻害薬、カルシウム擬態薬(例えば、シナカルセット)、ビタミンDおよびそれの類似体、およびリン酸結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切なリン酸結合剤の例としては、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム(PhosLo)、炭酸ランタン(Fosrenol)、およびリナジェル(Renagel)が挙げられるが、これらに限定されない。同時投与は、同一剤形での2剤の同時投与、別個剤形での同時投与、および別個投与を含みうる。例えば、高リン血症の治療のために、架橋アミンポリマーは、高リン血症に起因する低カルシウム血症を治療するために使用されるカルシウム塩と同時投与されうる。カルシウム塩およびポリマーは同一の剤形で形成され、同時に投与されうる。あるいは、カルシウム塩およびポリマーは同時投与されうるが、ここで両方の薬剤は別個剤形を示している。別の代替例では、カルシウム塩はポリマーの直後、もしくは逆に投与されうる。別個投与のプロトコルでは、ポリマーおよびカルシウム塩は、数分の間隔、もしくは数時間の間隔、または数日の間隔で投与されうる。
【0099】
ポリマーは注射によって、局所的、経口的、経皮的、または経直腸的に投与されうる。好ましくは、ポリマーまたはポリマーを含む医薬組成物は経口的に投与される。ポリマーが投与される経口剤形は、粉剤、錠剤、カプセル剤、溶剤、または乳剤を含みうる。有効量は1回量、または数時間など適切な時間間隔によって分離される一連の用量で投与されうる。
【0100】
本発明に従って使用される医薬組成物は、活性化合物の医薬として使用されうる製剤への加工を促進する賦形剤および助剤を含む1つもしくはそれ以上の生理的に許容される担体を使用して従来の方法で形成されうる。適切な剤形は選択される投与経路によって決まる。アミンの医薬組成物を調製するための適切な方法は当業界で周知である。
【0101】
一部の実施形態において、本発明のポリマーはチュアブル錠の形で医薬組成物として提供される。活性成分に加えて、以下の種類の賦形剤が一般的に使用されている。すなわち、必要なおいしさを提供する甘味剤+結合剤(前者は十分な錠剤硬さを提供することにおいて不十分である場合)、ダイ壁での摩擦効果を最小限に抑え、かつ錠剤放出を促進する滑沢剤、および、一部の剤形では少量の崩壊剤が添加されて咀嚼を促進する。一般に、現在入手可能なチュアブル剤における賦形剤レベルは活性成分の約3−5倍であるが、甘味剤が不活性成分のバルクを構成する。
【0102】
本発明は、本発明のポリマー、およびチュアブル錠の形成に適切な1つもしくはそれ以上の医薬組成物を含有するチャアブル錠を提供する。本発明のチュアブル錠に使用されるポリマーは、好ましくは、口腔および食道内を通過する間に約5未満、好ましくは約4未満、より好ましくは約3未満、より好ましくは2.5未満、最も好ましくは約2未満の膨潤比を有する。一部の実施形態において、ポリマーはリン酸またはシュウ酸結合ポリマーなどアニオン結合ポリマーであり、好ましい実施形態において、ポリマーはリン酸結合ポリマーである。適切な賦形剤と結合されたポリマーを含む錠剤は、口に含んだ質感、味、および歯のパッキングなど許容される官能特性を提供し、同時に咀嚼後および唾液との接触後に食道を妨害するリスクを有することがない。
【0103】
本発明の一部の態様において、ポリマーは、通常、賦形剤によって行われる機械的および熱的特性を提供し、したがって、製剤に必要なかかる賦形剤の量を減少させる。一部の実施形態において、活性成分(例えば、ポリマー、好ましくは、アニオン結合ポリマー)はチュアブル錠の約30重量%超、より好ましくは約40重量%超、さらにより好ましくは約50重量%超、最も好ましくは約60重量%超を構成し、残りは適切な賦形剤を含む。一部の実施形態において、ポリマー、例えば、アニオン結合ポリマーは、錠剤の総量の約0.6gm〜約2.0gm、好ましくは、約0.8gm〜約1.6gmを含む。一部の実施形態において、ポリマー、例えば、アニオン結合ポリマーは、錠剤の約0.8gm超、好ましくは、錠剤の約1.2gm超、最も好ましくは、錠剤の約1.6gm超を含む。このポリマーは適切な強度/もろさおよび粒径を有し、例えば、適切な硬さ、好ましい口に含んだ質感、圧縮性など、そのために賦形剤がしばしば使用される同じ品質を提供するように製造される。本発明のチュアブル錠において使用されるポリマーの粒径は、平均径が約80ミクロン未満、70ミクロン未満、60ミクロン未満、50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、または20ミクロン未満である。好ましい実施形態において、粒径は約80ミクロン未満、より好ましくは約60ミクロン未満、最も好ましくは、約40ミクロン未満である。
【0104】
本発明のチュアブル錠において有用な医薬賦形剤としては、微結晶セルロース、コロイド状シリカ、およびそれの組合せ(Prosolv 90)、カルボポール、プロビドン、およびキサンタンガムなど結合剤、ショ糖、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン,フルクトース,またはソルビトールなどの香料添加剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、および植物性脂肪酸などの滑沢剤、および場合により、クロスカルメロースナトリウム、ジェランガム、セルロースの低級置換ヒドロキシプロピルエーテル、デンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤が挙げられる。他の添加剤は、可塑剤、色素、タルクなどを含みうる。かかる添加剤および他の適切な成分は当業界で周知であり、例えば、ジェナロ(Gennaro)AR(編)、Remington’s Pharmaceutical Science、第20版を参照。
【0105】
一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されたポリマーおよび適切な賦形剤を含むチュアブル錠として形成される医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されたポリマー、充填剤、および滑沢剤を含むチュアブル錠として形成される医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されたポリマー、充填剤、および滑沢剤を含むチュアブル錠として形成される医薬組成物を提供するが、ここで充填剤はショ糖、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、フルクトース、およびソルビトールより成る群から選択され、かつ滑沢剤はステアリン酸マグネシウムなど脂肪酸マグネシウム塩である。
【0106】
錠剤は、咀嚼性および口内崩壊に適合するサイズおよび形状であり、好ましくは円筒形で、直径が約10mm〜約40mm、高さが約2mm〜約10mm、最も好ましくは、直径が約22mm、高さが約6mmのものでありうる。
【0107】
1つの実施形態において、ポリマーは、ポリマーおよび賦形剤が密接に混合される固溶体を形成するためにマンニトール、ソルボース、ショ糖などの高Tg/高融点の低分子量賦形剤で予備処方される。押出し、噴霧乾燥、冷凍乾燥、凍結乾燥、または湿式造粒法などの混合方法が有用である。混合のレベルの表示は、示差走査熱量計または動的機械分析など既知の物理的方法によって示される。
【0108】
ポリマーを含む医薬成分を含有するチュアブル錠を製造する方法は、当業界で公知である。例えば、参照によりその全体が本明細書で援用される、欧州特許出願第EP373852A2号明細書および米国特許第6,475,510号明細書、およびRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照。
【0109】
一部の実施形態において、本発明のポリマーは液体製剤の形で医薬組成物として提供される。一部の実施形態において、この医薬組成物は適切な液体賦形剤に分散されたイオン結合ポリマーを含有する。適切な液体賦形剤は当業界で公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照。
【0110】
本明細書で言及されたすべての刊行物および特許出願は、各々の個別の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により援用されることが示されるように同じ程度に参照により本明細書で援用される。
【0111】
添付の特許請求の範囲の精神および範囲を逸脱せずに、多くの変更および修正が本明細書に示された開示に対して行われうることは当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0112】
実施例1:バルク溶液工程で形成された架橋ポリマーのライブラリーおよびリン酸結合能の測定
ポリマーライブラリーの生成
以下の5つの実施例は各々、24個までの架橋ポリマーを含むライブラリーを含む。4×6のアレイフォーマットで配置されたバッチ反応器でポリマーを調製した。各々の反応器は350マイクロリットルまたは3mlの容積を有し、磁気的に攪拌され、温度調節された。通常の方法では、アミン、架橋剤、溶剤、および場合により塩基を各々の反応器中無人操縦で、場合により攪拌下に分散させた。次いで、反応器を密閉し、指示温度まで15時間加熱した。次いで、反応器アレイを取外し、架橋ポリマーのプラグをガラスバイアルに移し、砕き、脱イオン化水で繰り返し洗浄し、凍結乾燥させた。5つのライブラリーが、それらの生成で使用された対応する反応条件とともに以下の表3に示されている。
【0113】
【表8】

【0114】
非干渉緩衝液におけるリン酸結合能の測定
リン酸イオンの結合能もライブラリーの各々のポリマーについて測定した。重量P(gr)の乾燥樹脂のアリコートを固定量V(L)の、pH6.5で緩衝した濃度Cstart(mM)のリン酸イオン溶液と静かに攪拌しながら混合した。この溶液は、ポリマー樹脂との結合のためのリン酸イオンと競合する他の競合溶質を含有しない非干渉緩衝液と呼ぶことができる。樹脂平衡化後、遠心分離によって溶液を傾斜し、イオンクロマトグラフィーによって残留リン酸濃度Ceq(mM)について上清を分析した。結合能を、対応するポリマーについて表中に示されている通り、mmol/grで表されるV*(Cstart−Ceq)/Pとして計算した。
【0115】
結果
表4−8は、形成されるポリマーついて非干渉緩衝液におけるリン酸結合能の測定値とともに、5つのライブラリーの各々のポリマーの形成に使用された材料および量を示す。記入項目は、得られたポリマーゲルのリン酸結合能とともに各々の反応ウェルで使用された化学薬品の量(mg)に対応する(空欄は特定の反応で形成された架橋ゲルが存在しないことを示す)。
【0116】
【表9】

【0117】
【表10】

【0118】
【表11】

【0119】
【表12】

【0120】
【表13】

【0121】
実施例2:懸濁工程で形成された1,3−ジアミノプロパン/エピクロロヒドリン架橋ビーズの合成
4つのサイドバッフルを備えた三口丸底フラスコを含む、3リットルの反応槽を使用した。反応フラスコには油加熱浴、冷水還流冷却器、および3インチプロペラを有する攪拌機が装備された。この反応槽に水90.2g、界面活性剤(分岐ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、水100g中に溶解した6.4g)、およびトルエン1Kgに溶解した1,3−ジアミノプロパン(90.2g、1.21モル)を導入した。この初期装填物を600rpmまで2分間攪拌し、次いで300rpmに低下させて10分間、エピクロロヒドリンを添加する前に攪拌した。300rpmの速度を残りの実験の全体を通じて維持した。溶液を80℃に加熱し、この温度も実験の全体を通じて維持した。
【0122】
別の管において、トルエン中エピクロロヒドリンの40質量%溶液を調製した。シリンジポンプを使用して、1.2当量のエピクロロヒドリン(134.7g、(1.45モル))を3時間にわたって初期装填反応管に添加した。40重量%溶液中0.75当量の水酸化ナトリウム(36.5g(0.91モル))を添加する前に反応をさらに2時間継続した。水酸化ナトリウム溶液をシリンジポンプによって2.5時間にわたって添加した。反応をさらに8時間80℃で維持した。
【0123】
この時間後、トルエンを除去することによって形成したビーズを精製し、アセトン1000mlで洗浄後、メタノール、NaOHの20%溶液で洗浄し(界面活性剤を除去するため)、次いで2回さらに脱イオン化水で洗浄した。ビーズを3日間凍結乾燥させ、重量160g(収率92%)および平均径93μmを有する微細な白色粉末を得た。
【0124】
実施例3:1,3−ジアミノプロパン/1,3−ジクロロプロパン架橋ポリマーの合成
溶剤として水を使用し、B−SM−22−DA 1000mgをX−Cl−3 1524mgおよび水2524mgと20mlシンチレーションバイアル中で混合した。反応物を磁気攪拌にかけ、温度80℃で一夜、維持した後、温度90℃でさらに2時間維持した。34重量%の反応混合物(1716mg)を3つの水中洗浄/遠心分離ステップによって精製し、本実施例のポリマーの粉末144.7mgを得た。
【0125】
実施例4:1,3−ジアミノプロパン/1,3−ジクロロプロパン架橋ポリマーの合成
溶剤として水を使用し、B−SM−22−DA 2000mgをX−Cl−3 3048mgおよび水5048mgと20mlシンチレーションバイアル中で混合した。反応物を磁気攪拌にかけ、温度80℃下に一夜、維持した。
【0126】
水中30重量%でのNaOH溶液3597mgを3時間の反応後に添加し、反応中の形成された酸を除去し、使用された架橋剤はアルキルハロゲン化物であった。20.3重量%の反応混合物(2773.5mg)を3つの水中洗浄/遠心分離ステップによって精製し、本実施例のポリマーの粉末591.3mgを得た。
【0127】
実施例5:プレポリマー法を使用する1,3−ジアミノプロパン/1,3−ジクロロプロパンで調製された架橋ビーズの合成
プレポリマーの調製
使用した反応管は、冷水還流冷却器、磁気攪拌機を装備した250mLの2口丸底フラスコであり、アルゴン雰囲気で実行した。この反応管に水30.15g中に溶解した1,3−ジアミノプロパン(31.15g、0.42モル)の溶液を導入した。この初期充填物を300rpmで攪拌する。溶液を80℃に加熱し、この温度で実験の全体を通じて維持した。シリンジポンプを使用し、1当量(47.47g、40.0mL、0.42mol)の1,3ジクロロプロパン(Aldrich 99%)を2時間にわたって添加した。反応をさらに2時間、NaOHおよび40重量%までの水溶液で構成された10モル%(1,3−ジアミノプロパンに対して)の水酸化ナトリウム(1.68g(0.042モル))を添加する前に継続した。水酸化ナトリウム溶液を2分間にわたってピペットによって反応物に添加した。反応をさらに4時間、80℃下に維持した。80℃下の溶液は粘性であり、25℃まで冷却すると容易に水中で可溶性である固体プラグとなる。
【0128】
精製
固体プラグに水を添加し、水200mlおよびMeOH 200mLで洗浄する。次いで、これを50/50のMeOH/イソプロピルアルコール溶液を含有する1Lビーカーに添加する。白色ポリマーが沈殿する。懸濁液を遠心分離機へ配置後、上清液を除去する。この工程をイソプロピルアルコールを使用してさらに2回繰り返す。次いで、白色沈殿物を室温で減圧下に乾燥させ、イソプロピルアルコールを除去する。単離されたポリマーの重量:Mn(ポリエチレンイミン標準に対するGPC)およそ600。
【0129】
架橋粒子の合成
白色プレポリマー(8.7g)を分岐ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩1.3g(水中30重量%溶液)、およびトルエン34.8gを有するフラスコヘ配置した。これによりトルエン中に懸濁した20重量%のポリマー溶液を得た。ポリマーを粉砕機(ブランド:IKA.モデル:Ultra−Turax T8)でミクロン径の粒子に砕いた。結果として生じる懸濁液2.2gを加熱器、攪拌機、およびシリンジポンプを装備した10mL反応フラスコへ充填した。反応フラスコにはさらにトルエン3779mgを装填した。フラスコを80℃に加熱し、攪拌機をオンにした(500RPM)。この温度での3時間の攪拌後、エピクロロヒドリン112.2mg(0.0012モル)を1.5時間にわたって添加した。さらに2時間、2時間にわたって送達される水酸化ナトリウム(40重量%の水溶液中)224.4mg(0.0056mol)を添加する前に反応を続行させた。反応物を室温に冷却させ、攪拌を停止した。トルエンを除去し、メタノール、次いでNaOHの20%溶液で洗浄し(界面活性剤を除去する)、さらに2回脱イオン化水で洗浄してビーズを精製した。ビーズを3日間凍結乾燥させ、微細な白色粉末を得た。非干渉緩衝液中で測定された結合能は3.85mmol/grであった。
【0130】
実施例6:逆懸濁によるN,N’(テトラ−3−アミノプロピル)1,4ジアミノブタンエピクロロヒドリンを含むミクロン径の粒子の架橋ビーズの合成。
材料:
【0131】
【表14】

【0132】
方法
以下のストックを調製した。すなわち、2モル当量の濃縮HClを1モル当量のN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミンに2時間にわたって添加した。次いで、水および界面活性剤(分岐ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、30重量%水溶液)を溶液に添加し、結果として得られる溶液が以下の重量%の組成物を達成するようにした。すなわち、N,N,N',N’−テトラキス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン41.8重量%、HCl 9.4重量%、水41.1重量%、界面活性剤(30重量%水溶液)7.7重量%。
【0133】
以下は、油加熱浴、内部反応温度を測定するサーモメータ、冷水還流冷却器、および1インチのプロペラを有する攪拌機を装備した4つの側方バッフルを有する3リットル、3口丸底フラスコで行われた反応の選択された実施例である。この反応管に調製ストック溶液362.3gおよびトルエン1086gを導入した。この初期装填物を600rpmまで2分間攪拌し、次いで240rpmに低下させて10分間、第1のエピクロロヒドリンの添加前に攪拌した。この速度は実験の全体を通じて維持される。溶液を80℃に加熱し、この温度で実験の全体を通じて維持した。この反応物を20分間、エピクロロヒドリンの添加前に窒素で浄化し、反応の進行とともに、窒素のブランケットを維持する。
【0134】
別の管へ、トルエン中エピクロロヒドリンの40質量%のストック溶液を調製した。シリンジポンプを使用し、2.5モル当量のエピクロロヒドリンをストック溶液中に90分間にわたって添加した。エピクロロヒドリンの添加後6時間で、熱の除去によって反応を終了させ、窒素パージで冷却させた。
【0135】
トルエンを除去し、メタノール、次いで、pH11が達成されるまで、NaOHの20%溶液で洗浄する(界面活性剤を除去する)ことによってビーズを精製した。ビーズをメタノールで洗浄し、次いで排出させた。次いで、窒素パージによりビーズをソックスレー装置ヘ配置し、脱イオン化水で12時間洗浄した。次いで、ビーズをパンへ配置し、冷凍し、(凍結乾燥機を使用して)3日間凍結乾燥させ、微細な白色粉末を得た。
【0136】
実施例に記載された方法は、修正の有無によって使用され、式(V’’’)、(VII)、(VIII)、および(IX)に関連したアミンなど他のアミンで架橋ポリマーを合成することができる。
【0137】
実施例7:消化モデルにおける結合能
この方法は、消化管におけるリン酸結合ポリマーの使用の状態を再現し、他の代謝物(競合溶質)の存在下にリン酸(標的溶質)に対するポリマーの結合特性を測定するために考えられた。液体食事を調製し、実施例2、3、または4の各々のポリマーを食事組成物に添加し、ペプシンおよび膵液の存在下に人工的に消化させた。酵素の添加の順序およびpHプロフィールを制御し、消化過程が空腸レベルに至るまでシミュレートした。消化食事模倣体のアリコートを遠心分離し、上清をリン酸について分析した。リン酸結合アッセイは、食事消化模倣体の液体を使用したことを除き、非干渉緩衝液による上記のものと同様であった。食事消化における結合能を上記の通り計算し、結果は以下の表9に報告されている。
【0138】
【表15】

【0139】
実施例8:水溶性シェルによるミクロン径のポリアミンビーズのコーティング
4mLバイアル+攪拌棒を使用する24ウェル重合反応器内で反応を行った。シミックス・テクノロジーズ(SymyxTechnoligies)ソフトウェアによって駆動される市販の液体操作ロボットを使用し、試薬をバイアルに送達した。通常の反応手順は以下の通りである。すなわち、各々の4mLバイアルへ実施例6のポリアミンビーズ材料0.3gを配置する。水をビーズに添加する。攪拌機をオンにする。20重量%の水中ポリアクリル酸溶液を調製した。所望量のポリアクリル酸を分注ロボットを使用して室温下にある4mLバイアルに添加した。ポリアミン型ビーズが添加された水およびポリアクリル酸の12重量%を示すように反応を行った。ポリアクリル酸の水ビーズ溶液への添加後、反応プレートを12時間、85℃に加熱した。次いで、4mLバイアル中のビーズを8mL試験管に移し、およそ6mL脱イオン化水で洗浄し、過剰なポリアクリル酸を除去した。水洗浄手順をさらに3回繰り返した。ビーズを3日間凍結乾燥させ、微細な白色粉末を得た。実施例7に記載される合成GI模倣体における、膨潤、リン酸結合、およびクエン酸結合について試料を特徴づけた。
【0140】
結果は表10−13に示されている。
【0141】
【表16】

【0142】
【表17】

【0143】
【表18】

【0144】
【表19】

【0145】
これらの実施例は、ポリアニオン系ポリマーがシェル材料として沈殿されると、対照(すなわちシェル非存在)に対して全体的な結合の顕著な増大を示す。
【0146】
実施例9:エクスビボ吸引物中の結合能
小腸の内腔に配置された管を使用し、健康な患者には実施例6の消化模倣体のために調製されたものと同じ組成物の食事を与え、次いで糜粥のアリコートをサンプリングする。
【0147】
管の端に取り付けた水銀加重バッグを有する二重ルーメンポリビニル管を被験体に挿管し、管の小腸への移動を容易にした。配置を方向づける透視を使用し、二重ルーメン管の一方の吸引開口を胃に配置し、他方の開口をトライツ靭帯(上部空腸)に配置する。
【0148】
正確な管配置後、液化試験食事550mL(マーカー、ポリエチレングリコール(PEG)−2g/550mLを補充)を毎分22mLの速度で胃開口を通じて胃へ注入する。全体の食事が胃に達し、正常な食事を食べるのに必要な時間をシミュレートするには約25分必要とする。
【0149】
空腸糜粥をその内腔がトライツ靭帯に配置されている管から吸引する。この液体は2時間半の間に30分の間隔で連続的に採取する。これにより5つの標本が生じ、これらは混合され、計量され、凍結乾燥される。
【0150】
リン酸結合アッセイをエクスビボ吸引物で行うことができる。リン酸結合手順は、エクスビボ吸引液体が使用される(適切な量の脱イオン化水中の凍結乾燥材料の再構成後)ことを除き、非干渉緩衝液による上記のものと同様でありうる。エクスビボ吸引物におけるリン酸結合能を同じ方法で計算することができ、食事模倣実験で報告されたものと同様であることが予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VII)のアミンが架橋剤により架橋された架橋アミンポリマーを含むポリマー組成物:但し、該アミンは式(V)のアミン並びに式(V’)のアミンであることはない;
【化1】

【化2】

【化3】

(式中、各々のnが、独立して、3以上であり、各々のrが、独立して、0、1、または2であり、各々のRが、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族、もしくは複素環式基を形成する)。
【請求項2】
式(VII)のアミンが架橋剤により架橋された架橋アミンポリマーを含むポリマー組成物:但し、該アミンは式(V’’)のアミン並びに式(V’)のアミンであることはない:
【化4】

【化5】

【化6】

(式中、各々のnが、独立して、3以上であり、各々のrが、独立して、0、1、または2であり、各々のRが、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する)。
【請求項3】
式(VII)のアミンが架橋剤により架橋された架橋アミンポリマーを含むポリマー組成物:但し、該アミンは式(V’)のアミンであることはない;
【化7】

【化8】

(式中、各々のnが、独立して、3以上であり、各々のrが、独立して、0、1、または2であり、各々のRが、独立して、Hまたは置換されていてもよいアルキルもしくはアリールであるか、または隣接するRと結合して、置換されていてもよい脂環式、芳香族、または複素環式基を形成する)。
【請求項4】
式(V’’’)のアミンが架橋剤により架橋された架橋アミンポリマーを含むポリマー組成物:
【化9】

(式中、n’が6以上である)。
【請求項5】
前記架橋剤が1,3−ジクロロプロパンまたはエピクロロヒドリンである、請求項1、2、3、または4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
請求項1、2、3、または4に記載のポリマー組成物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が消化管からリン酸を除去することができる請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物がリン酸バランス異常障害を有する動物における治療的利点および/または予防的利点を発生させる請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1、2、3、または4に記載のポリマー組成物の有効量を投与することを含む動物からリン酸を除去する方法。
【請求項10】
前記動物が、高リン血症、低カルシウム血症、甲状腺機能亢進症、腎臓におけるカルシトリオールの合成低下、低カルシウム血症によるテタニー、腎不全、軟組織における異所性石灰化、および末期腎疾患(ESRD)から選択される少なくとも1つの疾患を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動物がヒトである請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記架橋アミンポリマーが約1〜約6mmol/grのリン酸結合能を有する請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記リン酸が消化管から除去される請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記投与が経口投与である請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー組成物がプロトンポンプ阻害薬、カルシウム擬態薬、ビタミンDおよびそれの類似体、またはリン酸結合剤の少なくとも1つと同時投与される請求項9に記載の方法。
【請求項16】
リン酸結合剤が炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸ランタン、または塩酸セベラマーの少なくとも1つである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1、2、3、または4に記載のポリマー組成物とポリマーシェル成分を含むコア−シェル粒子を含む、組成物。
【請求項18】
前記ポリマーシェル成分が酸性シェルポリマーを含む請求項17に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−531751(P2008−531751A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536678(P2007−536678)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/016437
【国際公開番号】WO2006/043984
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(506151486)イリプサ, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】