説明

架橋ポリマー母材と固定化活性液体とを含有する組成物および物品、ならびに前記組成物および物品の製造法と使用法

本発明は、架橋ポリマー母材と固定化された活性液体とを含有する組成物と物品、ならびに前記組成物と物品の製造法と使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー母材と固定化活性液体とを含有する組成物および物品、ならびに前記組成物および物品の製造法と使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーシステム(たとえばエポキシシステム)の硬化および/または架橋は、Henry LeeとKris Nevilleによる“Handbook of epoxy resins”(マグローヒル,1967)、Society of Plastics Industry,Inc.による“The Epoxy Formulators Manual”(1984)、および“Encyclopedia of Science and Technology”(Kirk-Othmer,ジョンウィリー・アンド・サンズ,1994)等のテキストブックや工業ハンドブック中に記載されている。最近まで、このようなシステムおよび関連した他のシステムを、活性液体(たとえば、芳香剤を有するおよび/または含有する活性液体)を固定化できるようなやり方で硬化させることは、特に、このようなシステムから、変動する操作条件下での耐久性及び性能が要求される場合には極めて困難であった。
【0003】
たとえば、JP032558899Aでは、固体粉末システムを使用する必要があるが、JP07145299では、ポリアミンおよび/または香料含有活性液体の非存在下で硬化させた予備形成のウレタン含有エポキシ樹脂を使用する必要がある。さらに、上記のJP文献は、具体的には芳香剤入りの物品〔たとえばエアフレッシュナー(air fresheners)〕にしか言及していない。このような物品を製造するという狭い目標のために、説明されている反応と反応生成物は、幅広い目標達成能力を有することができない。さらに、支持体の非存在下で耐久性を有する物品を提供することができない。したがって、活性液体の任意のタイプおよび/または全タイプを固定化させることができる高耐久性母材、を含有するダイナミックな反応生成物をもたらす制御可能な反応条件が求められている。
【0004】
固定化芳香剤物品(たとえばIFO)、さらに具体的にはエアフレッシュナーのような組成物は、住宅の部屋、公共建物のエリア(たとえばトイレ)、または自動車の室内の空気中に芳香剤を放出して、当該エリアの空気を占有者にとってより心地良いものにするデバイスとしてよく知られている。非水性のゲル〔たとえば、米国特許第6,111,655号と第6,503,577号に記載の熱可塑性のポリアミドベース物品、および米国特許第5,780,527号に記載の熱硬化性のポリ(アミド-酸)〕だけが、モールド中に簡単に注入できて、支持体手段を使用せずに視覚的に魅力のある安定な固体形状物に作製できる透明固体である。このような熱可塑性ゲルの製造においては、成分を、混合物のゲル化温度より高い温度にまで加熱しなければならず、これは、揮発性で時には温度感受性の活性液体(たとえば芳香オイル)にとって有害なプロセスである。保存中または使用時に、これらのゲルを低温にさらしてはならない。なぜなら、濁って視覚的に魅力のないものになることがあるからである。さらに、高温では取り扱い不可能となる。なぜなら、こうした温度においてはゲルが流動し、ゲルの形状が失われるか、あるいはゲルが容器から漏れ出るからである。この欠点は、マトリクスが変動する温度において形状を保持する必要がある状況〔たとえば、特に、直射日光があたる状態で自動車が駐車しているときの暑い夏の日に、110°Fを超える温度にさらされることの多い車内フレッシェナー(car interior fresheners)〕に対しては深刻である。さらに、これらのポリアミドゲルは、こすったり、落としたり、つついたり、又はぬぐったりすると簡単に変形するフレキシブルな固体である。したがって、これら従来のゲルは、広範囲の操作パラメータにおいて耐久性を有し、作用可能な組成物および/または物品をもたらさない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、広範囲の操作パラメータにおいて作用するよう、極めて耐久性が高くて且つ流動性のある固定化活性液体を含有するポリマー母材、を得るためのより効率的な解決法を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの目的は、ポリマー母材と固定化活性液体とを含有する組成物および物品を提供することにある。物品は、エアフレッシュナー、医薬分配用物品、栄養補助食品分配用品、生物製剤分配用物品(bioceutical distribution article)、昆虫抵抗性物品、かび抵抗性物品、バクテリア抵抗性物品、害虫抵抗性物品、固定化芳香剤物品、装飾用物品、バイオセンサー、および/または分析機器であってよい。このような物品の製造法と使用法も、本発明の実施態様である。
【0007】
本発明の他の目的は、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物、ならびに前記反応生成物を含有する組成物と物品を提供することにある。上記の反応生成物、組成物、および/または物品を製造する方法も、本発明のさらなる目的である。
【0008】
本発明の他の目的は、活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物であるという場合の、硬化ポリマー母材と活性液体とを含有する組成物および/または物品を提供することにある。本発明の1つの態様は必要に応じて、硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体、水、反応速度調整剤(たとえば、反応促進剤または反応遅延剤)、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物である場合の実施態様に関する。さらなる実施態様は、このような組成物と物品の製造法と使用法を含む。
【0009】
本発明の他の目的は、活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、少なくとも1つの無水物官能基を有する分子を混合することで得られる反応生成物であり、そして前記少なくとも1つの無水物官能基を有する分子がマレイン酸ベースのゴムではないという場合の、硬化ポリマー母材と活性液体とを含有する組成物および/または物品を提供することにある。さらなる実施態様は、このような組成物と物品の製造法と使用法を含む。
【0010】
本発明の他の目的は、活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、少なくとも1つのエポキシ官能基を有する分子を混合することで得られる反応生成物であり、そしてポリアミンが非芳香族ポリアミンであるという場合の、硬化ポリマー母材と活性液体とを含有する組成物および/または物品を提供することにある。さらなる実施態様は、このような組成物と物品の製造法と使用法を含む。
【0011】
本発明の他の目的は、活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子を含有する液体と、ポリアミンを含有する液体とを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物であるという場合の、硬化ポリマー母材と活性液体とを含有する組成物および/または物品を提供することにある。さらなる実施態様は、このような組成物と物品の製造法と使用法を含む。
【0012】
本発明の他の目的は、活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子を含有する液体とポリアミンとを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物であり、このときポリアミンが、10〜100ミリ当量KOH/gのアミン価を有していて、150℃での測定において約500cP以下の粘度を有するという場合の、硬化ポリマー母材と活性液体とを含有する組成物および/または物品を提供することにある。さらなる実施態様は、このような組成物と物品の製造法と使用法を含む。
【0013】
本発明の他の目的は、活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子を含有する液体とポリアミンとを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物であり、このときポリアミンが室温にて液体であるという場合の、硬化ポリマー母材と活性液体とを含有する組成物および/または物品を提供することにある。さらなる実施態様は、このような組成物と物品の製造法と使用法を含む。
【0014】
本発明の他の目的は、活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、少なくとも1つのエポキシ官能基を有する分子を含有する液体と、ポリアミンを含有する液体とを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物であるという場合の、硬化ポリマー母材と活性液体とを含有する組成物および/または物品を提供することにある。さらなる実施態様は、このような組成物と物品の製造法と使用法を含む。
【0015】
本発明の他の目的は、活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、少なくとも1つのイソシアネート官能基を有する分子を含有する液体と、ポリアミンを含有する液体とを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物であるという場合の、硬化ポリマー母材と活性液体とを含有する組成物および/または物品を提供することにある。さらなる実施態様は、このような組成物と物品の製造法と使用法を含む。
【0016】
したがって本発明のさらに他の目的は、活性液体を硬化エポキシ樹脂もしくは硬化イソシアネート樹脂で固定化することによって、透明で、フレキシブルで、安定したエアケア組成物を製造するための方法、およびこうした方法によって製造される、従来の組成物とこうした一般的なタイプの方法が有する欠点を解消したエアケア物品を提供することにある。
【0017】
上記目的と他の目的を考慮して、本発明にしたがって、エアケア組成物と他の有用な物品を製造するための方法が提供される。この方法は、ポリアミンと液体ポリエポキシ物質との反応生成物、およびポリアミンと液体ポリイソシアネート物質との反応生成物(これらの反応は活性液体の存在下で行なう)、から選択される硬化母材(架橋されているのが好ましい)中に活性液体(たとえば、芳香オイルや、揮発性もしくは不揮発性の他の活性液体)を固定化することを含む。このタイプの物品は、(1)ポリアミン、活性液体、ならびに可塑剤、充填剤、安定剤、および着色剤を含めた所望の任意成分をブレンドすること;(2)この混合物に、さらなる量の可塑剤、充填剤、安定剤、および着色剤で必要に応じて希釈したポリエポキシ成分またはポリシソシアネート成分を加えること;(3)必要に応じて、このブレンド物を、型(a form)、容器、シート、もしくはモールド中に注ぎ込むこと;(4)型、容器、シート、もしくはモールド中の液体混合物に対し、必要に応じて蓋をするか、あるいは密閉して、揮発性成分が蒸発するのを防止すること;(5)必要に応じて、混合物が硬化するまで保存すること;および(6)必要に応じて、固定化された液体物品を、型、容器、シート、もしくはモールドから取り出し、所定の形状にカットするか、あるいは容器中で製造されたままの状態で使用すること;によって製造される。
【0018】
本特許出願の1つの発明は、視覚的に魅力のある固体エアフレッシュナー、特に、透明またはほぼ透明(たとえば“霜降り状態”)で且つ堅牢な、住宅室内もくしは車内用のフレッシェナーを提供することに関する。“堅牢な”とは、エアフレッシュナーが、安い費用で包装され、変形を起こすことなく取り扱うことができるということを意味している。特に、エアフレッシュナーをそのパッケージまたは包装紙から取り出すときに、特別な注意を払う必要はない。さらに、本発明によるエアフレッシュナーは、温度や湿度の変化に対して耐えるように、そして、その使用の耐用年数にわたって、あるいは適切なパッケージ中にうまく保護されている場合はその保存と取り扱いの耐用年数にわたって光への曝露に対して耐えるように意図されている。本発明のエアケア組成物は、実質的にシネレシス(“スウェッティング”としても知られている)を起こさず、また物品の母材物質が効果的に無毒性であって、保存包装紙から出して取り扱っても、皮膚のかぶれを引き起こさない。本発明のさらなる態様によれば、必要に応じて物品の成分を、物品の所望の最終特性(たとえば、芳香の放出や安定性)のいずれかを失うことなく、水に対して溶性もしくは分散性となるようにして、その結果、水が必要に応じて、有用な目的(たとえば、収縮を起こさせて、使用寿命の終わりを示したり、あるいは塩等の水溶性活性成分を導入させたりすること)を果たすようにしてもよい。
【0019】
本発明のさらに他の目的によれば、活性液体は、芳香化学物質および/または生物活性物質(たとえば、脱臭剤、清浄剤、殺虫剤、農薬、忌避剤、またはフェロモン)を含有してもよい。後者の4つケースでは、物品は害虫防除用デバイス(a pest control device)である。
【0020】
本発明のさらに他の目的によれば、活性液体は、医薬、栄養補助食品、および/または生物製剤であってもよいし、および/または、医薬、栄養補助食品、および/または生物製剤を含有してもよい。したがって本発明は、一部においては、ヒト患者および/または罹患動物に医薬品を供給するためのパッチに関する。
【0021】
本発明のさらに他の目的によれば、活性液体は、バイオポリマー(たとえば、DNAやRNA)、および/またはタンパク質、および/または炭水化物、および/またはステロイドを含有してもよい。当然ながら、上記物質のあらゆる保護前駆体も本発明に包含される。したがって本発明は、一部においては、患者、実験の被験者、および/または環境要因を診断するための生物分析物品および/またはバイオセンサーに関する。
【0022】
本発明のさらに他の目的によれば、本発明のエアケア組成物は、多孔質の粉末または繊維を芳香オイル用の支持体として使用する必要がないのが好ましい。
本発明のさらに他の目的によれば、より魅力的なエアケア組成物とするために、不活性の固体物質を組み込むことができる。このような物質としては、フレーク、充填物、光輝顔料、フォイル、ビーズ、マイカチップ、金属チップ、貝殻チップ、ガラスチップ、またはコーヒーの出しがら等の天然物質があるが、これらに限定されない。このようなコンパウンドに対する応用としては、コーヒー・マグ・コースターが考えられる。他の固体物質も、必要に応じて組み込むことができる(たとえば、硬化した物品が金属表面に密着するのを可能にするための磁石)。
【0023】
本発明はさらに、方法も含む。本発明の方法は、活性液体(たとえば芳香剤)、液体ポリエポキシ化合物もしくは液体ポリイソシアネート化合物(ここでは単に、“エポキシ”または“イソシアネート”と呼ぶ)、および液状もしくは低融点のポリアミン(ここでは“アミン”と呼ぶ)を、好ましくは室温付近の温度においてブレンドする工程;本混合物をモールド中に注入するか、またはシート中にキャスティングする工程;必要に応じて、未硬化もしくは部分硬化の物品を、不浸透性のフォイル、フィルム、または容器中にシールして、芳香オイルの消失を防止する工程;および混合物が硬化するまで、混合物を室温またはそれより高い温度で静置しておく工程;を含む。このようにして得られる熱硬化性固体は、エアフレッシュナーとして、あるいは揮発性成分を、物品の形状、使用条件下での周囲のエアフロー、および芳香剤の装填量に応じた速度で周囲空気に放出する他のデバイスとして有用である。
【0024】
本発明の1つの態様による組成物および/または物品が、硬化ポリマー母材と活性液体を含有し、このとき活性液体が硬化ポリマー母材中に固体化されていて、硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基とイソシアネート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体の存在下にて混合することで得られる反応生成物である場合、本発明が、活性液体を硬化母材で固定化することによって組成物および物品(たとえば、透明で、フレキシブルで、安定なエアケア組成物)を製造するという方法において具現化されると説明しているが、それにもかかわらず、示されている詳細な説明に限定することは意図されていない。なぜなら、本発明の精神を逸脱することなく、また特許請求の範囲と等価物の範囲内において、種々の改良と構造的な変更を行うことができるからである。
【0025】
母材に固定化された活性液体は、エアケアデバイスまたは他のデバイスとして有用である。なぜなら、揮発性の芳香成分または他の活性成分を、物品の形状、使用条件下での周囲のエアフロー、および芳香剤の装填量に応じた速度で周囲環境に放出するからである。しかしながら、本発明の構成と操作方法、ならびに本発明のさらなる目的と利点は、特定の実施態様に関する下記の説明を、後述の実施例および添付の特許請求の範囲と併せて読めばより深く理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、一部においては、ポリマー母材と活性液体を含有する組成物および/または物品に関し、このとき活性液体がポリマー母材に固定化されている。本発明はさらに、活性液体をポリマー母材に固定化する方法に関する。本発明はさらに、ポリマー母材と活性液体を含有する組成物および/または物品を製造する方法に関し、このとき活性液体がポリマー母材に固定化されている。活性液体は、活性成分を含有してもよいし、あるいは本質的に活性であってもよい。活性液体および/または活性成分は、ポリマー母材に共有結合によって結び付いていても、および/または非共有結合的に結び付いていてもよい。ポリマー母材は、架橋していても、架橋していなくてもよい。
【0027】
ポリマー母材は、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物である。
【0028】
少なくとも1つのエポキシ官能基を有する分子はいかなるエポキシであってもよいが、ポリエポキシであるのが好ましい。さらに、エポキシ含有分子は、液体の形態をとっているのが好ましい。本発明のエポキシ含有分子の例は、Henry LeeとKris Nevilleによる“Handbook of epoxy resins”(マグローヒル,1967)、Society of Plastics Industry,Inc.による“The Epoxy Formulators Manual”(1984)、および“Encyclopedia of Science and Technology”(Kirk-Othmer,ジョンウィリー・アンド・サンズ,1994)において見出すことができる。本発明において有用な液体エポキシ樹脂の特定の例としては、ビスフェノールAとビスフェノールFのジグリシジルエーテル〔レゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ社からエポン(EPON)(登録商標)828およびエポン8620として市販〕;ビスフェノールAの水素化グリシジルエーテル〔エパルロイ(EPALLOY)(登録商標)5000およびエパルロイ5001として市販、CVEスペシャルティ・ケミカルズ社の製品〕;ブタンジオールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、ダイマー酸のジグリシジルエーテル、およびトリメチロールプロパンのジグリシジルエーテル〔いずれもレゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ社から、ヘロキシ(HELOXY)(登録商標)モディファイヤー製品ラインにて市販〕;などがあるが、これらに限定されない。
【0029】
上記のエポキシ含有分子は単に代表的なものであって、多くのさらなるエポキシ含有分子も本発明に適用可能である。
少なくとも1つのイソシアネート官能基を有する分子はいかなるイソシアネートであってもよいが、好ましいのはポリイソシアネートである。さらに、イソシアネート含有分子は液体の形態をとっているのが好ましい。本発明のイソシアネート含有分子の特定の例は、よく知られている液体ジイソシアネート〔たとえば、イソホロンジイソシアネートやH-MDIとして知られているビス(4-イソシアナートシクロヘキシル)メタン〕を含めたあらゆる脂肪族二官能イソシアネート物質であってよい。低揮発性(したがって低毒性)の多官能イソシアネートが好ましい。例としては、バイエル社の工業化学薬品部門から、デスモンジュール〔デスモンジュールNシリーズの脂肪族イソシアネート(特にデスモンジュールN-3300とデスモンジュールN-3800)、およびデスモンジュールZシリーズ(特にデスモンジュールZ4470)を含む(これらに限定されない)〕の商品名で市販されている製品が挙げられる。
【0030】
上記のイソシアネート含有分子は、単に代表的なものであって、多くのさらなるイソシアネート含有分子も本発明において適用可能である。
少なくとも1つの無水物官能基を有する分子は、いかなる無水物であってもよいが、好ましいのはポリ無水物である。さらに、無水物官能基含有分子は液体の形態をとっているのが好ましい。無水物官能基含有分子は、マレイン酸ベースのゴムではないことがさらに好ましい。
【0031】
少なくとも1つのアクリレート官能基を有する分子は、いかなるアクリレートであってもよいが、好ましいのはポリアクリレートである。さらに、アクリレート官能基含有分子は液体の形態をとっているのが好ましい。
【0032】
本発明のポリアミンは、いかなるポリアミンであってもよい。ポリアミンは50℃未満において液体(たとえば低融点ポリアミン)であることが好ましい。ポリアミンは、室温または室温付近の温度で液体であることがさらに好ましい。本発明によれば、ポリアミンは、50℃未満の融点または軟化点(高くても50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃、および15℃を含む、そしてこれらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)を有する。ポリアミンは、50℃〜10℃の温度範囲(50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃、15℃、および10℃を含む、そしてこれらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)において、液体および/または粘着性物質および/または半固体であるのが最も好ましい。ポリアミンは脂肪族であるのが好ましい。さらに、ポリアミンは非芳香族であるのが好ましい。
【0033】
好ましい液体ポリアミンとしては、ハンツマン社から市販のジェファーミン(JEFFERMINE)(登録商標)D-230、T-403、またはXTJ-511等のポリエーテルポリアミン、ならびにイソホロンジアミン(IPDA)、アミノエチルピペラジン、および1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)等の脂環式ジアミンなどがあるが、これらに限定されない。液体ポリアミンはさらに、ポリアミド-アミン系列〔たとえば、アリゾナケミカル社から市販のユニレッツ(UNIREZ)(登録商標)シリーズのアミド-アミン硬化剤〕から選択することができる。これらの物質は接着性をもたらすことが知られており、皮膚感受性が低い。ポリアミンは、粘度、反応速度、および製品性能を最適化すべくブレンドされた、2種以上のポリアミンの混合物であってよい。
【0034】
本発明の好ましいポリアミンはさらに、下記の特性の少なくとも1つを有する:
(a) 1〜100ミリ当量KOH/gのアミン価を有する;
(b) 多くの活性液体中に溶解し、多くの活性液体に対して相溶性である;
(c) 150℃での測定において約500cP以下の粘度を有する。
【0035】
ポリアミンのアミン価は1〜100ミリ当量KOH/gであってよい。アミン価は、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ミリ当量KOH/gであってよく、これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0036】
150℃での測定におけるポリアミンの粘度は約500cP以下であってよい。150℃での測定におけるポリアミンの粘度は、約475、450、425、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、または100cPであってよく、これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む。
【0037】
本発明の最も好ましいポリアミンは、上記の点に加えて、25℃において液体であり、ポリアミンの50重量%以上が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの組み合わせ物のオリゴマー化によって誘導されるポリエーテルとなるようにポリエーテルセグメントを含む。最も好ましいポリアミンの例としては、たとえばハンツマン社とBASF社から市販のポリアルキレンオキシポリアミン(具体的には、ジェファーミンD-2000やT-5000)、およびこのようなポリアルキレンオキシポリアミンと二酸との反応によって得られるポリアミドポリエーテルブロックコポリマー(本特許出願の実施例の部分で詳述する)が挙げられる。
【0038】
本発明において有用なポリアミドポリアミンは、ポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンとピペラジンとの混合物、そしてさらにポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンと他のポリアミン(たとえば、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、および2-メチル-1,5-ペンタンジアミンなど)との混合物と、多酸もしくは多酸の混合物とを反応させることによって、一工程で製造することができる。
【0039】
過半量のアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、または他の脂肪族二酸もしくはそのエステル等価体(測定によれば、合計で50%より多い量の酸等価体が存在)を使用するのが好ましい。過半量のポリ(アルキレンオキシ)ポリアミン(測定によれば、合計で50%より多い量のアミン等価体が存在)を使用すると、得られるポリアミドが、水(特定のケースにおいて)を含めた広範囲の液体に対して確実に良好な溶解性を有するようになる。さらに、成分の反応性を適切に制御するためには、ポリアミド樹脂のアミン価が重要であり、この値は、100未満(希薄アルコール性塩酸による滴定によって測定し、mgKOH/gサンプルとして表示する)でなければならず、80mgKOH/g未満であるのが好ましく、60mgKOH/g未満であるのが最も好ましい。
【0040】
本発明の他の好ましいポリアミドは、二酸〔ほとんどが、ダイマー酸としても知られている重合脂肪酸(たとえば、アリゾナケミカル社から“ユニダイム(UNIDYME)(登録商標)”の商品名で市販されている物質、およびコグニス社から“エムポール(EMPOL)(登録商標)”の商品名で市販されている物質)である〕と化学量論的に過剰なポリアミン〔ポリアミンの過半量が、ハンツマン社のジェファーミンポリアミン群(たとえば、D-400、D-2000、T-403、およびXTJ-500を含む)、および/またはピペラジンから選択される1種以上のポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンである〕との反応生成物である。この反応は、反応が完了した後に、ポリアミド生成物が、室温で液体となるように、約5mgKOH/g未満の酸価と約10〜約60mgKOH/gのアミン価を有するように、そして150℃での測定において500cP未満の粘度を有するように制御される。最も好ましいのは、室温で液体であり、2mgKOH/g未満の酸価と15〜45mgKOH/gのアミン価を有し、150℃において500cP未満の粘度を有するポリアミドポリアミンである。
【0041】
ポリアミドの所望の特性が得られるということであれば、補助二酸(co-diacid)や補助ジアミン(co-diamine)を使用することができる。補助二酸は、たとえば、アジピン酸や類似の線状脂肪族二酸、1,4-シクロヘキサン二酸、およびウエストバコ(Westvaco)1550C-21二酸であってよい。補助ジアミンは、たとえば、エチレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ダイマージアミン〔バーサミン(Versamine)(登録商標)551〕、ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、ならびに類似の線状脂肪族ジアミン、分岐脂肪族ジアミン、および環状脂肪族ジアミンであってよい。
【0042】
室温で液体ではなく粘着性固体であるポリアミドポリアミンのようなポリアミンも、本発明において使用することができる。室温で非粘着性固体であって、本発明の活性液体に対して相溶性である、前述のポリアミドポリアミンのようなポリアミンも、本発明において使用することができる。このような好ましいポリアミドは、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の過半量の二酸部分と、化学量論的に過剰なポリアミン〔ポリアミンの過半量が、ハンツマン社のジェファーミンポリアミン群(たとえば、D-400、D-2000、T-403、およびXTJ-500を含む)から選択される1種以上のポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンである〕との反応によって得られる。この反応は、反応が完了した後に、ポリアミド生成物が、25℃で非粘着性の固体となるように、約5mgKOH/g未満の酸価と約5〜約60mgKOH/gのアミン価を有するように、そして60℃より高くて150℃より低い環球式軟化点を有するように制御される。これらのポリアミドの場合は、必要に応じてダイマー酸を、他の補助二酸(たとえば前述の補助二酸)と共に補助二酸として使用することができる。しかしながら、ダイマー酸は必須の物質ではなく、場合によっては使用するのは好ましくない。補助ジアミンも同様に、それらの存在が樹脂の軟化点を増大させるに足るレベルにならない限りは、任意の成分である。
【0043】
本発明のポリアミンはさらに、米国特許第6,870,011号と第6,399,713号、および米国特許出願第10/395,050号(これら全ての特許および特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める)に記載のポリアミンであってもよい。
【0044】
本発明の活性液体は、得られる組成物および/または物品に機能を付与する液体であればいかなる液体であってもよい。すなわち、活性液体は、揮発性および/または不揮発性の有機液体もしくは有機オイルであってよい。このような活性液体の例としては芳香オイルがある。
【0045】
芳香オイルは実質上、多数の合成芳香化学物質と香料業界に公知の天然オイルとのいかなるブレンドでもよい。いろいろな種類の化学物質のうち、本発明において有用なのは、酢酸ブチル(バナナ油中に存在)等のエステル、サリチル酸メチル(冬緑油中に存在)等のフェノール類、1,8-シネオール(ユーカリ油中に存在)等のエーテル、ゲラニオール(ローズ油中に存在)等のアルコール、シンナムアルデヒド(シナモン油中に存在)等のアルデヒド、およびメントン(スペアミント油中に存在)等のケトンである。
【0046】
本発明において有用な多くの市販芳香オイルの具体例としては、ニュージャージー州ホーソーンのコンチネンタル・アロマティクス社から市販の、“オーシャン”(N-123-03)、“カントリー・ワイルドフラワー”(N-122-03)、“スプリングメドー”(N-124-03)、および“モーニングレイン”(Q-119-03);イリノイ州マンデラインのベルエア・フレグランス社(Belle Aire Fragrances)から市販の“エバーグリーン”(#42441)および“グリーンアップル”(#50520);ジョージア州マリエッタのアロマティック・フレグランス・アンド・フレーバー社から市販の“チェリー”(#124559)、“バニラ”(122745)、および“マルベリー”(#124561);ジョージア州カントンのインタナショナル・フレグランス・テクノロジー社から市販の“ガーネット”(#242926);ならびに“イリノイ州チンリーパークのアトラスプロダクツ社から市販の“クリスプブリーズ”、“トロピカルフレグランス”、および“オーシャンサイドミスト”;などが挙げられる。これらの例を含めた表を下記に示す。
【0047】
多数の芳香オイルが多くのメーカーから市販されている。本発明は、特定の芳香剤に限定されず、下記の表は、本発明の固定化されたオイル(したがって、本発明のポリマー母材のダイナミック・オペラビリティをもたらす)を製造するのに使用できるものとして選択されたオイルを示している。
【0048】
【表1】

【0049】
芳香オイルは、本発明の組成物および/または物品中に、わずかに香る物品の場合の約0.5%から、容器中に注入される物品の場合の約75%までのレベルにおいて使用することができる。エアフレッシュナーに対する好ましい芳香オイルのレベルは、埋め込み物の重量を考慮しない最終物品の約10〜55重量%であり、最も好ましい使用レベルは20〜40重量%である。容器中に注入される物品に対する芳香オイルの量は、0.5、1.0、1.5、2.0、5.0、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、および75%(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であってよい。エアフレッシュナーに対する芳香オイルの量は、埋め込み物の重量を考慮しない最終物品の、10、15、20、25、30、35、40、45、50、および55重量%(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であってよい。
【0050】
活性液体は、水中に溶解した活性成分を含有する水であってよい。活性液体は、有機液体に溶解した活性成分を含有する不活性有機液体であってよい。さらに、水および/または有機液体を使用して、活性液体を希釈することもできるし、あるいは活性液体に対して、油中水エマルジョンおよび/または水中油エマルジョンのようなエマルジョンを形成させることもできる。
【0051】
活性液体中に含有させる活性成分の例としては、医薬、栄養補助食品、および生物製剤(必要に応じて、生物学的に許容しうるキャリヤーと組み合わせる)などがある。活性液体中に含有させる活性成分の例としてはさらに、アミノ酸、炭水化物、および/またはステロイド等の生物関連分子(biological molecule)がある。生物関連分子の例としては、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、変性DNA、変性RNA、タンパク質、ポリペプチド、または変性ポリペプチドを含んだバイオポリマー、バイオコポリマー、もしくはキメラがある。
【0052】
上記の好ましい実施態様のほかに、下記のパラメータを変えることによってさらなる実施態様が可能である。
・可塑剤、
・相溶化剤、
・希釈剤
・促進剤、
・粘着剤、
・充填剤、および
・着色剤。
【0053】
エポキシ物品に影響をもたらす使用できるこれらファクターは、本特許出願の発明に対しても同様に適用することができる。これらの物質も、本発明のエアフレッシュナーに利点を付与すると思われる。
【0054】
フタル酸エステル、安息香酸エステル、乳酸エステル、アルコール、ポリオール、ポリ(プロピレングリコール)とそれらのアルキルエーテル、およびポリエステルポリオールは、エポキシシステムにおいて使用することができる可塑剤の例である。これらの可塑剤は、フレキシビリティを増大させることによって本発明の物品に利点をもたらすことがある。
【0055】
さらに、反応性希釈剤や不活性希釈剤を使用して、初期の混合粘度を低下させることができる。使用可能な希釈剤としては、種々のモノグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、グリコール、およびN-メチルピロリジノンなどがあるが、これらに限定されない。
【0056】
これらの物質は相溶化剤として作用し、分岐アルコール(たとえばトリデシルアルコール)であっても、芳香族エステル(たとえばサリチル酸2-エチルヘキシル)であっても、あるいはヒドロキシエステル(たとえば乳酸ブチル)であってもよい。
【0057】
ノニルフェノールや2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のフェノール類は、エポキシ-アミン硬化反応の公知の促進剤の例である。したがってこうしたフェノール類は、本発明のエアフレッシュナーを硬化させるのに必要な時間を短縮することによって、システムに利点をもたらす。反応促進剤は、任意のアルコール含有分子(alcohol-containing molecule)、および/または水、および/またはこれらの混合物であってよい。
【0058】
エポキシ樹脂または希釈剤/可塑剤中に特定の樹脂を溶解し、これをシステムに加えると、最終物品に粘着性が付与されることがある。こうした樹脂としては、アリゾナケミカル社からシルバタック(SYLVATAC)(登録商標)、シルバレス(SYLVARES)(登録商標)、およびシルバライト(SYLVALITE)(登録商標)の商品名で市販されているロジンエステルやポリテルペンがある。
【0059】
本発明の組成物および/または物品は、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体の存在下にて接触させ、ミキシングし、ブレンドし、反応させ、および/または硬化させることによって製造することができる。このようにして得られる混合物は均一であるのが好ましい。
【0060】
エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体の存在下にて接触させ、ミキシングし、そしてブレンドすることは、10〜40℃の範囲の温度で行うことができる。ポリアミン、活性液体、ならびにエポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子は、任意のどのような順序で連続的に加えても、および/または、同時に加えてもよい。当然ながら、混合物に任意の成分を、いかなる順序でも加えることができる。ポリアミンが固体および/または粘着性である場合は、必要に応じて、キャリヤー、希釈剤、および/または活性液体と混合することができる。温度は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、および40℃(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であるのが好ましい。
【0061】
予備形成混合物を硬化させることもできる。しかしながら硬化は、接触工程、ミキシング工程、および/またはブレンディング工程と同時に起こってよい。混合物は、熱硬化性のゲルになってから硬化するのが好ましい。混合物は、固定化された活性液体を含有するポリマー母材になるのが最も好ましい。硬化温度は、10〜110℃の範囲であってよく、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、および110℃(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であるのが好ましい。
【0062】
硬化速度は、少なくとも6つのファクター(温度、エポキシ:アミン比、エポキシとアミンの構造、促進剤の濃度、芳香オイルの組成、および芳香オイルの濃度)の関数である。したがって、硬化時間は、広範囲に変わることがある。
【0063】
ミキシングおよび/または硬化は、モールド内で行うことができる。たとえば低温手順は、室温においてブレンドすること;モールド中に注入すること;シールすること;および室温にて静置すること;を含む。このような手順では1〜4日かかる。他の例は予備硬化手順であり、この手順は、室温でブレンドすること;密にシールすること;70℃で30〜90分加熱してある程度の硬化(組成物のゲル化は起こらない)を起こさせること;およびこうして得られる一部硬化物質をモールド中に注入し、これを冷却し、室温で静置すること;を含む。このような手順では0.5〜2日かかる。最後に、他の例は高温手順であり、この手順は、室温でブレンドすること;ポーチまたはモールド中に注入すること;密にシールすること;および60〜100℃の温度に加熱すること;を含む。このような手順では1〜5日かかる。
【0064】
一般には、上記手順のうちの1つに限定されずに、種々の手順を組み合わせることを望むんでもよい。さらに、硬化時間は1時間〜4日の範囲であってよく、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、および96時間(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であるのがさらに好ましい。
【0065】
本発明の好ましい実施態様は、揮発性オイル、液体ポリエポキシ、および液体ポリアミンをブレンドして混合物を作製することを含む。成分のブレンディングは10〜40℃で行うことができる。しかしながら、ブレンディングは、芳香成分の消失を引き起こさないように行う。ブレンディングの温度は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、および40℃(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であるのが好ましい。
【0066】
エポキシ含有分子が使用される場合、本発明において使用するのが推奨される特定の液体ポリアミンは、ハンツマン社から市販のジェファーミンD-230、T-403、またはXTJ-511等のポリエーテルポリアミン;イソホロンジアミン(IPDA)等の脂環式ジアミン;アミノエチルピペラジン;および1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC);等のポリアミンであるが、これらに限定されない。液体ポリアミンはさらに、ポリアミド-アミン系列から選択することができ、これらの例としては、アリゾナケミカル社から市販の、ユニレッツ(UNIREZ)(登録商標)シリーズのアミド-アミン硬化剤が挙げられる。これらの物質は、接着性を付与し、低い皮膚感受性を有することが知られている。ポリアミンは、粘度、反応速度、および生成物の性能を最適化するようにブレンドされた2種以上のポリアミンの混合物であってもよい。
【0067】
エポキシ含有分子が使用される場合、硬化温度は室温(すなわち25℃)であってよいが、活性液体の温度感受性およびその揮発性に応じて、室温より高い温度であってもよい。活性液体が簡単には分解せず、硬化が密閉モールド中で行われるならば、好ましい硬化温度は約60℃である。この温度では、促進剤を使用すれば、代表的な配合物に対する硬化が約3〜6時間で行われる。
【0068】
本発明のさらなる好ましい実施態様は、揮発性オイル、液体ポリイソシアネート、および液体ポリアミンをブレンドして混合物を生成させることを含む。成分のブレンディングは10〜40℃で行うことができる。しかしながら、ブレンディングは、芳香成分の消失を引き起こさないように行う。ブレンディングの温度は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、および40℃(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であるのが好ましい。ポリウレア母材が形成されるのが好ましい。
【0069】
イソシアネート含有分子が使用される場合、本発明の好ましいポリアミンは以下のような特性を有する:
(a) 10〜100ミリ当量KOH/gのアミン価を有する;
(b) 多くのニート(入手したまま)の市販芳香オイル中に溶解し、且つ前記芳香オイルに対して相溶性である;
(c) 150℃での測定において約500cP以下の粘度を有する。
【0070】
樹脂とイソシアネートとの間の反応は、触媒が存在しなくても室温において速やかであり、したがって触媒は、加えても加えなくてもよい。幾つかの場合においては、反応速度調整剤を使用して(あるいは使用せずに)反応を遅らせ、これによって、成分をブレンドするための、そしてモールド中に注入するための十分な時間を得る。有用な調整剤は、たとえば、一般的な精油や芳香オイル中に普通に存在しているアルデヒドやケトンである。他の調整剤は、香りが穏やかであるか、または活性液体の香りを高めるような調整剤である。有用な遅延剤の例としては、芳香族アルデヒドと芳香族ケトン(たとえば、ベンズアルデヒド、アセトフェノン、桂皮アルデヒド、およびメチル桂皮アルデヒド);テルペンアルデヒド(たとえば、シトラール、シトロネラール、全てのイオノン異性体、カルボン、メントン、およびショウノウ);ならびにC4-C18の脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトン、脂環式アルデヒド、または脂環式ケトン(たとえば、イソブチルアルデヒドやメチルエチルケトンなど);がある。遅延剤のさらなる例としては、α,β-不飽和芳香族アルデヒドがある。
【0071】
留意しておかねばならないことは、上記遅延剤のような触媒は、イソシアネート含有分子が本発明にしたがって使用されるときには好ましいが、こうした触媒(たとえば、反応速度遅延剤および/または反応速度促進剤)は、本発明にしたがった全ての反応において、必要に応じて使用することができる、という点である。
【0072】
イソシアネート含有分子が使用される場合、好ましい硬化温度は室温(すなわち25℃)であるが、樹脂-硬化剤システムの活性、および活性液体の温度感受性と揮発性に応じて、室温より高くても、あるいは室温より低くてもよい。活性液体が簡単には分解せず、硬化が密閉モールド中で行われる場合は、好ましい硬化温度は約50℃である。カルボニル官能性遅延剤を含んだ代表的な配合物に対する硬化は、室温においては約20〜200分の範囲で行われる。この時間は、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、95分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、180分、190分、および200分(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であってよい。遅延剤が存在しない場合、典型的な硬化時間は、約1分未満〜約40分である。この時間は、1秒、10秒、30秒、1分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、および40分(これらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む)であってよい。
【0073】
本発明の1つの態様による組成物および/または物品は、硬化ポリマー母材と活性液体を含有し、ここで活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材は、エポキシ官能基とイソシアネート官能基から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体存在下にて混合することで得られる反応生成物である。活性液体をこのように固定化することに対する多くの利点としては、下記のようなものがある:
・熱に弱い活性液体を熱にさらす必要がない;必要に応じて、全ての物品成分を室温でブレンドすることができる。
【0074】
・エポキシ化合物、イソシアネート化合物、およびアミン化合物が、種々の活性液体と、あらゆる割合で相溶性がある。
・わずかな臭気、わずかな着色、および低い毒性を有するエポキシ化合物、イソシアネート化合物、およびアミン化合物が得られる。
【0075】
・物品中への活性液体の低い充填量と高い充填量が可能である。
・全ての物品成分が、単純なミキシング装置を使用して室温で簡単にブレンドすることができる液体であってよい。
【0076】
・硬化反応が、それを引き起こすための外部試剤を必要とせず、気泡をつくり出す揮発性の副生物を生成せず、ブレンドマスの全体にわたって均一に行われる。
・硬化時に、ブレンド物の収縮はほとんど起こらない。
【0077】
・ 物品は、充填されず、もしくは水でエマルジョン化されなければ透明であり、あるいは幾らかの不相溶性が生じると、ややかすむようになる。
・硬化物品は優れた耐久性をもち、水に不溶であり、傷がつきにくく、溶媒におかされにくく、加温されても溶融しない。
【0078】
・硬化物品は、ほとんどのプラスチック包装材料に強くは接着せず、したがって特殊な剥離フィルムではない材料で包むことができる。
・硬化物品の粘着性は、その包装から手で取り出した後、種々の垂直表面(たとえば窓)に貼り付けることができるように調整することができる。
【0079】
・硬化物品は、染料や顔料で容易に着色することができ、また必要に応じて、一般的なレオロジー変性剤(たとえば、クレー、ポリアミド、シリカ、およびセルロース系材料)を充填することができる。
【0080】
・予備硬化された液体がモールドを完全に且つ容易に充填するので、より微細な状態が最終物品の一部〔たとえば、エンボスド・ロゴ(embossed logos)、装飾図案及び文字〕として捕捉される。
【0081】
本発明の他の態様による組成物および/または物品が硬化ポリマー母材と活性液体を含有し、ここで活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、少なくとも1つのエポキシ官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体存在下にて混合することで得られる反応生成物である場合には、活性液体をこのように固定化することに対して多くの利点がある。エポキシから誘導される母材を使用して製造される組成物および/または物品に対しては、上記した利点のほかに下記のような利点がある:
・活性液体-エポキシ硬化剤のブレンド物は室温でゆっくり硬化し、したがって、ブレンド物を脱気し、他の成分とブレンドし(必要に応じて)、取り扱い、そして扱いにくくなる前にモールド中に注入するための十分な時間が得られる。
【0082】
・種々のアミンが入手可能であり、したがって最終硬化物品の特性を調整することが可能となる。
本発明の他の態様による組成物および/または物品が硬化ポリマー母材と活性液体を含有し、ここで活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されていて、硬化ポリマー母材が、少なくとも1つのイソシアネート官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体存在下にて混合することで得られる反応生成物である場合には、活性液体をこのように固定化することに対して多くの利点がある。エポキシから誘導される母材を使用して製造される組成物および/または物品に対しては、上記した利点のほかに下記のような利点がある:
・活性液体/ポリアミド/硬化剤のブレンド物は、室温において速やかに(しばしば30分以内で)硬化する。
【0083】
・成分を選択することで硬化時間の調節が可能となる。したがって、ブレンド物を脱気し、他の成分とブレンドし(必要に応じて)、取り扱い、そして扱いにくくなる前にモールド中に注入することができる。
【0084】
・本発明のポリアミド成分は、他の市販のアミン硬化剤と違って、無臭もしくはほとんど臭気がなく、着色が少なく、そして毒性の低い高分子量ポリマーである。
活性液体を固定化するこの方法を調整して、以下のような典型的な欠点を解消するか、または避けることができる:
硬化は発熱反応であるが、本発明のブレンド物(活性液体が主要成分である)において生成する熱は、特に、本質的に良好な熱放散を有する小さなモールドにおいてブレンド物を硬化させるときは知覚できない。
【0085】
・エポキシの硬化は遅い(しはしば25℃で1〜3日必要とする)が、物品をシールし、包装した後に、モールド中で硬化を行うのが望ましい。硬化時間は、促進剤を使用することによって、そして物品を約60℃に加熱することによって大幅に短縮することができる。
【0086】
・イソシアネートの硬化は、場合によってはかなり速いので、ブレンド物をモールド中に注入することができない。この点は、反応物、ブレンド温度、および芳香オイルの配合処方と量を適切に選択することによって避けることができる。
【0087】
・アミンはやや毒性があり、慎重な取り扱いを必要とするが、本発明の組成物中に比較的低レベルで使用され、硬化プロセス時に架橋ポリマー母材中に不可逆的に充填される。硬化物品中には、ごくわずかな量の遊離アミンしか存在しない。
【0088】
・イソシアネートはやや毒性があり、慎重な取り扱いを必要とするが、本発明の組成物中に比較的低レベルで使用される。硬化物品中には、ごくわずかな量の遊離イソシアネートしか存在せず、活性液体中のアルコールとさらに反応させることによって、あるいは水を加えて反応させることによって、時間がたてば取り除くことができる。
【0089】
本発明に影響を及ぼすパラメータは次のようなものである:
・芳香剤または他の活性液体の種類
・希釈剤または可塑剤の種類
・存在する水の量
・遅延剤、特にアルデヒド
・充填剤、光輝顔料、および破砕ガラスなど
・イコン(icon)(すなわち、埋め込み固体)
・着色剤(すなわち、染料や顔料)
これらの多くは、物品を視覚的により魅力的にする目的で使用される。これらの物質は、本発明にとって必須とはないものの、本発明の物品に利点(例えば、当該物品に含有される活性成分の放出速度を調整すること)を付与する可能性がある。
【0090】
本発明の物品は、潜在的消費者にアピールするいかなる所望の形状物にも加工することができる。このような形状物は、モールドにおいて作製された3次元形状物であっても、あるいは予備形成された薄いシートから打ち抜きカットされたフラット形状物であってもよい。形状物は、実際上、幾何学的形状物(たとえば、正方形、円形、球体等の形状物)を含んでよい。作製できる3次元形状物の数がおびただしいので、本発明の物品が、上記に挙げた例に限定されるということはない。
【0091】
本発明の物品がエアフレッシュナーであるとき、それは“能動的(active)”および/または“受動的(passive)”であってよい。能動的エアフレッシュナーは、濃縮もしくは希釈された芳香化合物を供給するための可動部(たとえば、ヒーターやファン)を有する比較的複雑なデバイス、または芳香化学物質、キャリヤー液体、および噴射剤を装入したスプレー缶を含む。能動的エアフレッシュナーは、当該スペース占有者が、処置しようとするエリアに物質を供給する必要がある。受動的エアフレッシュナーは、種々の形態で入手することができるが、要するに“固定された(fixed)”液体化学物質である(固体支持体中に固定された芳香オイルおよび/または固体支持体を含んだ多成分物品)。支持体材料は、単純な材料(たとえば、厚紙片、吸い取り紙片、綿布片、または他の繊維材料)であってもよい。支持体材料は、複雑な材料〔たとえば、水性分散液(ゼラチン)や非水性ゲル(たとえばポリアミド樹脂によってゲル化する)〕であってもよい。本発明のエアフレッシュナーは透明であるのが好ましいが、不透明であってもよい。
【0092】
本発明の物品は、活性成分を発生し、および/または放出し、および/または吸着し、および/または含有する。本発明の物品は、活性成分(たとえば芳香分子)を放出するのが好ましい。
【0093】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されることはない。
【実施例】
【0094】
(実施例1)
少量の緑色染料を含んだエアフレッシュナー成分(名称と量は後記)をガラスバイアル中に計量し、木製の攪拌スティックを使用して、周囲温度で手でかき混ぜた。混合物の一部(8.0g)を、2.50インチ×3.25インチの、平らな長方形のコーティングされていないポリスチレンモールド中に注入した。
【0095】
・エポキシ樹脂: エパルロイ(EPALLOY)(登録商標)5001,10.00g;55.1%
・硬化剤: 1,3-BAC,3.55g;19.6%
・芳香オイル: ベルエア社の“エバーグリーン”,4.55g,25.1%
・染料: グリーン,0.05g;0.3%
翌日、サンプルは、透明でぐらつかず、不粘着性で、フレキシブルになった。モールドから手で取り出すことができた。モールドに対してごくわずかな粘着性が感じられた。室温保存用のポリエチレン製“バギー(baggie)”中に置いたところ、数週間後でもシネレシスは認められなかった。
【0096】
(実施例2)
合計で100重量部となるエアフレッシュナー成分を、実施例1に記載の手順にしたがって処理した:エパルロイ5001(53.6部)、1,3-BAC(19.0部)、ベルエア社の“エバーグリーン”芳香オイル(25.1部)、ノニルフェノール(2.2部)。室温で1日硬化させた後に得られた物品は、透明でぐらつかず、フレキシブルで、不粘着性であった。
【0097】
(実施例3)
合計で100重量部となるエアフレッシュナー成分を、実施例1に記載の手順にしたがって処理した:シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(22.8部)、エポン828(22.8部)、ハンツマン社のT-403ポリアミン(24.2部)、コンチネンタル・アロマティクス社の“カントリーメドー”芳香オイル(30.0部)、可塑性光輝顔料(0.1部)、および微量の緑色染料。室温で3日硬化させた後に得られた物品は、ぐらつかず、フレキシブルで、不粘着性であり、フラットで垂直なガラス表面に弱く粘着する能力を示した。ガラス表面からは、簡単に取り除くことができ、表面を傷つけることなく再び貼り付けることができた。
【0098】
(実施例4)
アジピン酸(20.0g,274ミリ当量の酸)、ジェファーミンT-403ポリアミン(20g,132ミリ当量のアミン)、およびハンツマン社のXTJ-500(80g,254ミリ当量のアミン)を、攪拌機を装備した250mlのガラスフラスコ中に仕込み、この装入物を乾燥窒素の気流下において210〜220℃で加熱することによってポリアミドポリアミンを調製した。混合物をこの条件の下に5時間保ち、反応混合物を容器に移した。生成物は、粘稠でほぼ無色透明の液体であり、1.4の酸価、42.2のアミン価、および150℃において340cPのブルックフィールド粘度を有した。本生成物の一部(11.63g)を水(27.5g)中に溶解し、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(195のEEW;3.40g)とブレンドした。ねじ蓋の付いた小さなプラスチックジャー中の本混合物の一部(20.0g)に、芳香オイル〔“サンシャイン・フルーツ”、ファーメニッシュ(Firmenich)芳香オイル#190196〕と数滴のツイーン80界面活性剤を加えて乳白色のエマルジョンを形成させた。蓋をして静置した後、ゲル化して不動性の、しっかりした均一固体となり、蓋を外すと徐々に芳香を発した。
【0099】
(実施例5)
市販の再封可能なポリエチレン製“バギー”に、合計で100重量部となる下記成分を加えた:シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(13.9部)、エポン826(13.9部)、アリゾナケミカル社の特許品である液体トリエチレンテトラミンベースのアミド-アミン#X54-327-004(アミン価349,酸価0.8,22.2部)、アトラスプロダクツ社の“クリスプブリーズ”芳香オイル(50.0部)、および微量の青色染料。“バギー”を揉んで成分を数分ブレンドし、気泡を押し出し、流動性の混合物をフラット状態にして、室温で一週間保存した。その時点で材料は不動性であるといえる程度にまで硬化し、透明で、フレキシブルになった。
【0100】
(実施例6)
電磁攪拌バーを入れたガラスビーカーに、ハンツマン社のサーフォニック(Surfonic)(登録商標)L24-5(液体エトキシル化アルコール界面活性剤)(12.0g)、アトラスプロダクツ社の“クリスプブリーズ”芳香オイル(8.0部)、ハンツマン社のT-403ポリアミン(8.4g)、FD&C#3青緑色染料(0.4g)、およびヘロキシ48エポキシ樹脂(14.0g)を仕込んだ。本混合物を、攪拌しながら58℃で約3時間加熱して大体硬化させた後、円筒状のモールド中に注入し、自然冷却した。室温で約3日放置した後、材料をややゴム状のしっかりした固体としてモールドから取り出した。
【0101】
(実施例7)
合計で100重量部となる下記のエアフレッシュナー成分を室温でブレンドした:シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(25.3部)、エポン828(17.2部)、アリゾナケミカル社の特許品であるポリアミド-アミン硬化剤#X54-327-004(34.5部)、コンチネンタル・アロマティクス社の“オーシャン”芳香オイル(23.0部)、および微量の緑色染料。このブレンド物を約67℃で約45分保持してから、室温に自然冷却した。この段階においてかなり粘稠であるが、それでもまだ注入および攪拌することができた。このある程度硬化した中間体に、マス全体に静かに供給しながら、約2ダースの1/4インチ着色フォイルハート(colored foil hearts)を加えた。室温で3日硬化させた後に得られた物品は、しっかりしていてフレキシブルで、不粘着性であり、フォイルハートは、内部に均一に漂っていて、はっきりと視認することができた。
【0102】
(実施例8)
合計で100重量部となる下記の成分を、実施例1に記載の手順にしたがって処理した:ポリ(ブロピレングリコール)ジグリシジルエーテル(13.0部)、エポン828(22.0部)、アリゾナケミカル社のユニレッツ2801アミド-アミン(14.0部)、アロマティックフレーバー・アンド・フレグランス社から市販の“バニラ”芳香オイル(ジプロピレングリコールベンゾエート)(19.5部)、および市販の挽いたコーヒー(29.5部)。硬化後に得られた物品は、しっかりしていて、ややフレキシブルで、不粘着性であった。挽いたコーヒーが均一に分配されていて、物品に濃い褐色の不透明な外観をもたらし、モールドが滑らかであった物品の底部は滑らかであり、挽いたコーヒーが自由に定着した物品の上部は粗かった。
【0103】
下記の実施例における略語は次のとおりである:
・CHDAは、イーストマンケミカル社から市販の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸であり;
・エムポールは、コグニス社から市販のエムポール1008ダイマー酸であり;
・ユニダインは、アリゾナケミカル社から市販のユニダイン18ダイマー酸であり;
・T-403は、ハンツマン社から市販のジェファーミンT-403ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンであり;
・D-400は、ハンツマン社から市販のジェファーミンD-400ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンであり;
・D-2000は、ハンツマン社から市販のジェファーミンT-2000ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンであり;
・V-551は、コグニス社から市販のバーサミン551ダイマージアミンであり;
・N-3300は、バイエル社の工業化学薬品部門から市販のデスモンジュールN-3300であり;
・N-3800は、バイエル社の工業化学薬品部門から市販のデスモンジュールN-3800であり;
・Z-4470は、バイエル社の工業化学薬品部門から市販のデスモンジュールZ-4470である。
【0104】
(実施例9)
エムポール1008重合脂肪酸(63.0g,219ミリ当量の酸)、ジェファーミンT-403ポリアミン(18g,118ミリ当量のアミン)、およびジェファーミンD-400(45g,205ミリ当量のアミン)を、攪拌機を装備した250mlのガラスフラスコ中に仕込み、この装入物を乾燥窒素の気流下にて210〜220℃で加熱することによってポリアミドポリアミンを調製した。本混合物をこの条件下で5時間保持した後、反応混合物を容器に排出した。生成物は、粘稠でほぼ無色透明の液体であり、0.3の酸価、41.8のアミン価、2,270の重量平均分子量、および150℃において204cPのブルックフィールド粘度を有した。
【0105】
このポリアミドポリアミン10.0gを、5.0gのフィンソルブ(Finsolv)(商標)TNベンゾエートエステル可塑剤および10.0gの芳香オイル(ウェッセル・フレグランス社の“リネンフレッシュ”)と共に加温することによって溶液を調製し、室温に冷却し、デスモンジュールZ4470と5.1gの追加芳香オイルとの混合物と十分にブレンドした。この組成物に、少量の赤色染料と赤色光輝顔料を加えた。数分後に、この最終配合物の約25gを、平らで円形のローズ形のシリコーンゴムモールド中に注入し、残部をジャー中に保持した。成分をブレンドしてから合計33分後に、保持した材料が硬化して不動性のゲルになった。室温で16時間静置した後、固定化された芳香オイル物品をモールドから取り出した。物品はモールドに接着せず、不粘着性であり、モールドの正確な花形状を有し、光輝顔料の均一な色と分配を示し、壊れることなく取り扱うことができた。物品はさらに、ガラスやプラスチックフィルムを含めた種々の垂直表面に対する優れた粘着性を示した。
【0106】
(実施例10〜15)
表A(下記)に示したタイプの酸とアミンを記載の重量%で反応器に仕込み、この装入物を、乾燥窒素の気流下において200〜220℃で約4〜5時間加熱することによってポリアミドポリアミンを調製し、生成物を反応器から取り出した。生成物の特性が測定され、表Aに特性が記載されている。
【0107】
【表2】

【0108】
実施例のポリアミドポリアミン2.0gと芳香オイル2.0gとの混合物を約55℃に加温し、加温混合物を、攪拌スティックを使用して手でブレンドすることによって固定化芳香オイルを調製した。試験した芳香オイルは、“オーシャン”(コンチネンタル・アロマティクス社)、“リネンフレッシュ”(ウェッセル・フレグランス社)、および“チェリー”(アロマティックフレーバーズ・アンド・フレグランス社)であった。ブレンドした後、等重量のオイル中に溶解した1当量のイソシアネート硬化剤を手で攪拌しながら加え、ストップウォッチをスタートさせ、混合物をコンシステンシーに関してモニターした。混合物が、もはやその自重のもとで流動しなくなったときの時間(分で表示)を“ゲルタイム”として記録した。表Bは、これらのポリアミドポリアミンの全てが、ポリイソシアネートを使用して硬化させたときに、ターゲットオイルを固定化させる上で有効であったことを示している。ゲルタイムは短かったが、有用な物品の製造を妨げるほど短くはなく、コンシステンシーの傾向はパターンは以下のとおりであった。
【0109】
オーシャン<リネンフレッシュ<<チェリー
【0110】
【表3】

【0111】
(実施例16〜20)
表Cに示したタイプの酸とアミンを記載の重量%で反応器に仕込み、この装入物を、乾燥窒素の気流下において200〜220℃で約5時間加熱することによってポリアミドポリアミンを調製し、生成物を反応器から取り出した。生成物の特性が測定され、表Cに特性が記載されている。
【0112】
実施例のポリアミドポリアミン2.0gと芳香オイル2.0gとの混合物を約55℃に加温し、加温混合物を、攪拌スティックを使用して手でブレンドすることによって固定化芳香オイルを調製した。試験した芳香オイルは、オーシャンサイドミスト、トロピカル(アトラスプロダクツ)、スプリングメドー、カントリー・ワイルドフラワー、オーシャン(コンチネンタル・アロマティクス)、リネンフレッシュ(ウェッセル・フレグランス)、ヤンキーホーム(ベルエア)、マルベリー、チェリー(アロマティックフレーバーズ・アンド・フレグランス)であった。ブレンドした後、等重量のオイル中に溶解した1当量のイソシアネート硬化剤を手で攪拌しながら加え、ストップウォッチをスタートさせ、混合物をコンシステンシーに関してモニターした。混合物が、もはやその自重のもとで流動しなくなったときの時間(分で表示)を“ゲルタイム”として記録した。表Dは、これらのポリアミドポリアミンの全てが、ポリイソシアネートを使用して硬化させたときに、ターゲットオイルを固定化させる上で有効であったことを示している。ゲルタイムは短かったが、有用な物品の製造を妨げるほど短くはなく、コンシステンシーの傾向は以下のとおりであった。
【0113】
スプリングメドー<オーシャン<トロピカル<リネンフレッシュ<ヤンキーホーム
<マルベリー<チェリー
【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
本明細書の全体にわたって使用されている範囲は、範囲内である各値と全ての値を説明するための間に合わせの表示であり、全ての部分的な範囲を含んでいる。
上記の開示内容を考慮して、本発明に対する多くの改良形やバリエーションが可能である。したがって、理解しておかねばならないことは、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内において、本明細書に具体的に説明されている態様とは別の態様においても実施できる、という点である。
【0117】
本明細書に引用されている全ての文献、ならびに前記文献中に引用されている文献を、本発明および本発明の全実施態様の主題に関連した部分に関しては、参照により本明細書に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化ポリマー母材;および
活性液体;
を含む組成物であって、前記活性液体が硬化ポリマー母材中に固定化されており、硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物である、前記組成物。
【請求項2】
硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体、水、反応促進剤、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体、水、反応遅延剤、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
硬化ポリマー母材が、少なくとも1つの無水物官能基を有する分子を混合することで得られる反応生成物であって、前記少なくとも1つの無水物官能基を有する分子がマレイン酸ベースのゴムではない、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
硬化ポリマー母材が、少なくとも1つのエポキシ官能基を有する分子を混合することで得られる反応生成物であって、ポリアミンが非芳香族ポリアミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子を含んだ液体と、ポリアミンを含んだ液体とを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子を含んだ液体とポリアミンとを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物であり、このときポリアミンが、10〜100ミリ当量KOH/gのアミン価を有していて、150℃での測定において約500cP以下の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
硬化ポリマー母材が、エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子を含んだ液体とポリアミンとを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物であり、このときポリアミンが室温にて液体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
硬化ポリマー母材が、少なくとも1つのエポキシ官能基を有する分子を含んだ液体と、ポリアミンを含んだ液体とを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
硬化ポリマー母材が、少なくとも1つのイソシアネート官能基を有する分子を含んだ液体と、ポリアミンを含んだ液体とを、活性液体、水、またはこれらの混合物の存在下にて混合することで得られる反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物を含んだ物品。
【請求項12】
前記物品が、エアフレッシュナー、医薬分配用物品、栄養補助食品分配用物品、生物製剤分配用物品、昆虫抵抗性物品、かび抵抗性物品、バクテリア抵抗性物品、害虫抵抗性物品、固定化芳香剤物品、装飾用物品、および生物関連検出用物品からなる群から選択される少なくとも1種の物品である、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子とポリアミンとを、活性液体の存在下にて混合して混合物を形成させることを含む、組成物の製造法。
【請求項14】
混合物を硬化させることをさらに含む、請求項13に記載の製造法。
【請求項15】
混合物に反応促進剤を混合することをさらに含む、請求項13に記載の製造法。
【請求項16】
混合物に反応遅延剤を混合することをさらに含む、請求項13に記載の製造法。
【請求項17】
ポリアミンが非芳香族である、請求項13に記載の製造法。
【請求項18】
エポキシ官能基、イソシアネート官能基、無水物官能基、およびアクリレート官能基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する分子がマレイン酸ベースのゴムではない、請求項13に記載の製造法。
【請求項19】
ポリアミンが、10〜100ミリ当量KOH/gのアミン価を有していて、150℃での測定において約500cP以下の粘度を有する、請求項13に記載の製造法。
【請求項20】
ポリアミンと少なくとも1つのエポキシ官能基を有する分子とを混合する、請求項13に記載の製造法。
【請求項21】
ポリアミンと少なくとも1つのイソシアネート官能基を有する分子とを混合する、請求項13に記載の製造法。

【公表番号】特表2008−500432(P2008−500432A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515344(P2007−515344)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018573
【国際公開番号】WO2005/118008
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505333816)アリゾナ・ケミカル・カンパニー (13)
【Fターム(参考)】