架橋多糖およびタンパク質マトリックスならびにそれらの製造方法
1個若しくはそれ以上のアミノ基を含有する多糖若しくはアミノ機能性化多糖を還元糖および/若しくは還元糖誘導体で架橋することによる架橋多糖マトリックスの製造方法。生じるマトリックスは、多糖マトリックス、ならびにタンパク質および/若しくはポリペプチドとともに架橋された多糖を包含する混成架橋マトリックスを包含しうる。添加物および/若しくは細胞もまた該マトリックスに包含しうるか若しくはそれ内に埋め込まれうる。架橋を実施するための多様な異なる溶媒系および還元糖架橋剤が記述される。生じるマトリックスは多様な異なる物理、化学および生物学的特性を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との関係
本出願は、2005年9月2日出願の米国仮出願第60/713390号(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)からの優先権およびその利益を主張する。
【0002】
本発明は、全般として、架橋多糖に基づくマトリックスおよび調製物、ならびに、より具体的には、還元糖およびそれらの誘導体を架橋剤として使用するアミノ多糖およびアミノ機能性化(amino−functionalized)多糖の新規架橋方法、ならびに本方法を使用することにより形成される架橋された多糖マトリックスおよび調製物に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒアルロン酸をベースとする若しくは他のアミノ糖をベースとする生成物の性能は、一方で宿主内でのそれらの機能の寿命を制御すること、および他方で天然のヒアルロン酸(HA)若しくは他の多糖成分の生物学的特性の保存に依存する。HA若しくは他の多糖成分の機能の寿命は、ヒアルロニダーゼ、若しくは宿主に存在するいずれかの他の多糖分解酵素による特異的酵素的分解に抵抗するその能力に依存する。この能力は、HA若しくは他の多糖に基づくポリマー内の分子内および分子間架橋の数に直接関係する。典型的に、より多数の架橋はこうした酵素的分解に対するより高い抵抗性をもたらす。
【0004】
多糖および/若しくは多糖の誘導体および/若しくは人工的に機能性化された形態の多糖を架橋するための当該技術分野で既知の選択すべき例示的架橋剤は、例えば1,4ブナンジオールジグリシジルエーテルのような二官能性(若しくは多官能性)リンカー、多様な他の合成二官能性架橋剤、および他の関係する非生理学的剤であった。これらの架橋剤は、多糖分子のアミノ基若しくは他の官能基と反応して分子間架橋を形成する。しかしながら、これらの苛酷な剤は、多糖分子のコンホメーションの変化および架橋剤から溶脱することにより引き起こされうる、架橋多糖に基づく生物生成物の生物適合性および生物学的活性に対する負の影響を有しうる。従って、非生理学的剤により架橋された多糖生成物は何らかの程度の抗原性を表しうる、さらに、局所腫脹、そう痒、一過性若しくは長期の紅斑、浮腫、肉芽腫形成、表層性壊死蕁麻疹およびざ瘡状病変を包含する局所の炎症およびより複雑な全身反応は、商業的に存在する架橋多糖生成物で審美的に処置される患者の小さい割合で不利な副作用となりうる。
【0005】
加えて、該生成物を注入のため懸濁液、ゲル若しくは乳液の形態で処方する場合に、当該技術分野で既知の人工的架橋剤の使用は、該注入可能な製剤の所望の流動学的特性とともに酵素的分解に対する満足すべき抵抗性を有する架橋生成物を得ることを常に可能にはしないとみられる。
【発明の開示】
【0006】
[発明の要約]
従って、本発明の一態様により架橋多糖の製造方法が提供される。該方法は、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖ならびに/またはそれらの組合せから選択される最低1種の多糖を最低1種の還元糖と反応させて架橋多糖を形成することを包含する。
【0007】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の多糖は、天然に存在するアミノ多糖、合成アミノ多糖、アミノヘテロ多糖、アミノホモ多糖、アミノ機能性化多糖、ならびにそれら
の誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化ヒアルロン酸ならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化ヒアルロナンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、キトサンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにそれらのエステルおよび塩、ヘパリンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化グリコサミノグリカンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0008】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の還元糖は、アルドース、ケトース、アルドースの誘導体、ケトースの誘導体、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトースおよびタロース、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、誘導体化された形態のオリゴ糖、誘導体化された形態の単糖、単糖のエステル、オリゴ糖のエステル、単糖の塩、オリゴ糖の塩、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオース、グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、D−リボース−5−リン酸、グルコサミン、ならびにそれらの組合せから選択される。
【0009】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の還元糖は、右旋性の形態の最低1種の還元糖、左旋性の形態の最低1種の還元糖、ならびに右旋性および左旋性の形態の最低1種の還元糖の混合物から選択しうる。
【0010】
さらに、本発明の一態様により、反応させることは、最低1種の溶媒および最低1種の還元糖を包含する溶液中で最低1種の多糖をインキュベートして架橋多糖を形成することを含んでなる。
【0011】
さらに、本発明の一態様により、溶液は最低1種の緩衝剤を包含する緩衝溶液である。
【0012】
さらに、本発明の一態様により、溶媒は該溶液のpHを制御するための最低1種の緩衝剤を包含する水性緩衝溶媒である。
【0013】
さらに、本発明の一態様により、溶媒は該溶液のイオン強度を制御するための最低1種のイオン化可能な塩を包含する水性溶媒である。
【0014】
さらに、本発明の一態様により、溶媒(1種若しくは複数)は、有機溶媒、無機溶媒、極性溶媒、非極性溶媒、親水性溶媒、疎水性溶媒、水に混合可能な溶媒、水に混合可能でない溶媒、およびそれらの組合せよりなる群から選択される最低1種の溶媒を包含する。
【0015】
さらに、本発明の一態様により、溶媒は、水、ならびに親水性溶媒、極性溶媒、水に混合可能な溶媒およびそれらの組合せから選択される最低1種の付加的な溶媒を包含する。
【0016】
さらに、本発明の一態様により、溶媒は、水、リン酸緩衝生理的食塩水、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエン、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
【0017】
さらに、本発明の一態様により、反応させることは、架橋可能なアミノ基を有する最低
1種のタンパク質および/若しくはポリペプチドを、最低1種の多糖および最低1種の還元糖に添加して、混成架橋マトリックスを形成することを包含する。
【0018】
さらに、本発明の一態様により、架橋可能なアミノ基を有する最低1種のタンパク質および/若しくはポリペプチドは、コラーゲン、コラーゲンスーパーファミリー、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、構造タンパク質、血液由来タンパク質糖タンパク質、リポタンパク質、天然のタンパク質、合成タンパク質、ホルモン、成長因子、軟骨成長を促進するタンパク質、骨成長を促進するタンパク質、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲンから選択されるタンパク質、およびそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0019】
さらに、本発明の一態様により、コラーゲンは、天然のコラーゲン、線維性コラーゲン、線維性アテロペプチドコラーゲン、テロペプチド含有コラーゲン、凍結乾燥コラーゲン、動物供給源から得られたコラーゲン、ヒトコラーゲン、哺乳動物コラーゲン、組換えコラーゲン、ペプシン処理コラーゲン、再構成コラーゲン、ウシアテロペプチドコラーゲン、ブタアテロペプチドコラーゲン、脊椎動物種から得られたコラーゲン、組換えコラーゲン、遺伝子的に工作若しくは改変されたコラーゲン、I、II、III、V、XI、XXIV型コラーゲン、IX、XII、XIV、XVI、XIX、XX、XXI、XXIIおよびXXVI型線維付随性コラーゲン、VIIIおよびX型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII、XVII、XXIIIおよびXXV型コラーゲン、XVおよびXVIII型コラーゲン、遺伝子的に改変された真核生物若しくは原核生物細胞または遺伝子的に改変された生物体により製造される人工的に製造したコラーゲン、精製されたコラーゲンおよび再構成された精製されたコラーゲン、線維性コラーゲンの粒子、線維性再構成アテロペプチドコラーゲン、細胞培地から精製されたコラーゲン、遺伝子的に工作された植物由来のコラーゲン、コラーゲンのフラグメント、プロトコラーゲン、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0020】
さらに、本発明の一態様により、反応させることは、最低1種の添加物を最低1種の多糖および最低1種の還元糖に添加して、最低1種の添加物を含有する架橋マトリックスを形成することを包含する。
【0021】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の添加物は、医薬品、薬物、タンパク質、ポリペプチド、麻酔薬、抗菌薬(anti−bacterial agent)、抗菌薬(anti−microbial agent)、抗ウイルス薬、抗真菌薬(anti−fungal agent)、抗真菌薬(anti−mycotic agent)、抗炎症薬、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、多様な細胞外マトリックス成分、ホルモン、成長因子、トランスフォーミング因子、受容体若しくは受容体複合体、天然のポリマー、合成ポリマー、DNA、RNA、オリゴヌクレオイチイド、薬物、治療薬、抗炎症薬、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質糖タンパク質、ムコタンパク質、ムコ多糖、マトリックスタンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症薬、タンパク質、ペプチド、ホルモン、遺伝子治療のための遺伝物質、核酸、化学修飾核酸、オリゴヌクレオチド、リボ核酸、デオキシリボ核酸、キメラDNA/RNA構築物、DNA若しくはRNAプローブ、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然若しくは人工的に製造されたオリゴヌクレオチドを包含する組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、細胞取り込みおよび転写を促進するのに必要とされるウイルスおよびウイルス以外のベクター、グリコサミノグリカン、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、レシチン豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグリカン、シンデカン、β−グリカン、バーシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、fibulin、トロンボスポンジン−5、酵素、酵素阻害剤、抗体、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0022】
さらに、本発明の一態様により、反応することは、前記架橋の前、間若しくは後に、最低1種の多糖および最低1種の還元糖に1種若しくはそれ以上の生存細胞を添加して、該マトリックス中に埋め込まれた最低1種の生存細胞を含有する架橋マトリックスを形成することもまたに包含する。
【0023】
さらに、本発明の一態様により、生存細胞は、脊椎動物軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、脊椎動物幹細胞、胚性幹細胞、成体組織由来幹細胞、脊椎動物前駆細胞、脊椎動物線維芽細胞、マトリックスタンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、タンパク質、ホルモン、ペプチドの1種若しくはそれ以上を分泌するよう遺伝子的に工作された細胞、タンパク質、ペプチド、ホルモン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症薬、糖タンパク質、ムコタンパク質およびムコ多糖よりなる群から選択される1種若しくはそれ以上の分子に対する受容体を発現するよう工作された1種若しくはそれ以上の型の生存細胞、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0024】
さらに、本発明の一態様により、該方法は、架橋多糖を、乾燥、凍結乾燥、脱水、臨界点乾燥、成型、滅菌、均質化、機械的剪断、電離放射線による照射、電磁放射線による照射、製薬学的に許容できるベヒクルとの混合、添加物での含浸、およびそれらの組合せから選択される処理にかけることをさらに包含する。
【0025】
本発明により、架橋多糖の製造方法もまた提供される、該方法は、多糖を1種若しくはそれ以上の反応体と反応させて誘導体化された形態の該多糖を形成する段階を包含する。該誘導体化された形態は1個若しくはそれ以上のアミノ基を含有し、そして誘導体化された多糖を最低1種の還元糖で架橋して架橋多糖を形成すること。
【0026】
さらに、本発明の一態様により、アミノ基は一級アミノ基および二級アミノ基から選択される。
【0027】
さらに、本発明の一態様により、1種若しくはそれ以上の反応体はカルボジイミドを包含する。
【0028】
さらに、本発明の一態様により、1種若しくはそれ以上の反応体は、アジピン酸ジヒドラジドの存在下にカルボジイミドを包含する。
【0029】
さらに、本発明の一態様により、カルボジイミドは1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である。
【0030】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の還元糖は、アルドース、ケトース、およびそれらの組合せから選択される。
【0031】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の還元糖は、グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、D−リボース−5−リン酸、グルコサミン、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、誘導体化された形態のオリゴ糖、誘導体化された形態の単糖、単糖のエステル、オリゴ糖のエステル、単糖の塩、オリゴ糖の塩、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオース、ならびにそれらの組合せから選択される。
【0032】
本発明の一態様により、混成架橋マトリックスの製造方法もまた提供される。該方法は、アミノ多糖、アミノ機能性化多糖およびそれらの組合せから選択される最低1種の多糖を、最低1種の架橋可能なタンパク質の存在下で最低1種の還元糖で架橋して混成架橋マトリックスを形成することを包含する。
【0033】
最後に、本発明の態様により、上述された方法により製造された、架橋多糖、ならびに多糖および1種若しくはそれ以上のタンパク質を包含する混成マトリックスもまた提供される。
【0034】
[発明の詳細な記述]
全体で使用される表記法
以下の表記法を本出願を通じて使用する。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明は、in vivoおよびin vitroでの酵素的分解に対する優れた抵抗性ならびに他の有用な流動学的および/若しくは生物学的特性を有する、新規の架橋多糖に基づく生物適合性マトリックスおよび調製物の新規製造方法を開示する。該方法は、とりわけ、アミノ多糖(限定されるものでないがキトサンを挙げることができる)および/若しくはアミノ機能性化多糖(限定されるものでないがアミノ機能性化ヒアルロン酸を挙げることができる)を、D(−)−リボース、DL−グリセルアルデヒド、D(−)−エ
リトロース、D(−)−アラビノース、および当該技術分野で既知の多くの他の型の還元糖のような還元糖で架橋することに基づく。こうした新規架橋マトリックスの例も開示する。
【0037】
本発明は、in vivoおよびin vitroでの酵素的分解に対する優れた特性ならびに他の有用な流動学的および/若しくは生物学的特性を有する、1種若しくはそれ以上のアミノ多糖および/または1種若しくはそれ以上のアミノ機能性化多糖ならびに/または1種若しくはそれ以上のタンパク質(および/若しくはポリペプチド)の混合物を(架橋剤としての)1種若しくはそれ以上の還元糖(1種若しくは複数)で架橋して新規の混成の多糖/タンパク質に基づくマトリックスおよび調製物を形成することにより製造される混成架橋マトリックスの新規製造方法もまた開示する。
【0038】
「多糖」(1種および複数)という用語ならびにそれらの複合形態は、こうした多糖(1種若しくは複数)のいかなる化学修飾された形態および/若しくは誘導体も包含し、ならびに限定されるものでないがこうした多糖若しくはそれらの誘導体化された形態のエステルおよび塩を挙げることができる、いかなる天然に存在するおよび/または人工的に製造(かつ/若しくは人工的に合成)された多糖(1種若しくは複数)も定義するために本明細書で使用する。
【0039】
「アミノ多糖」(1種および複数)という用語ならびにそれらの複合形態は、還元糖により架橋されることが可能な1種若しくはそれ以上のアミノ基を含有するいかなる形態の多糖(1種若しくは複数)も定義するために本明細書で使用する。
【0040】
「アミノ機能性化多糖」(1種および複数)という用語ならびにそれらの複合形態は、とりわけ、還元糖により架橋されることが可能である1個若しくはそれ以上のアミノ基を包含する1個若しくはそれ以上の化学的部分をそれに結合するように化学修飾されているいかなる多糖も定義するのに本明細書で使用する。
【0041】
従って、本明細書に記述される架橋方法は、とりわけ、天然に存在するアミノ多糖、合成アミノ多糖、アミノヘテロ多糖、アミノホモ多糖、アミノ機能性化多糖、ヒアルロン酸およびその誘導体化された形態、ヒアルロナンおよびその誘導体化された形態、キトサンおよびその誘導体化された形態、ヘパリンおよびその誘導体化された形態、ならびにそれらの多様な組合せを架橋するのに使用しうる。開示される方法は、こうしたアミノ多糖およびアミノ機能性化多糖のいずれかの適するエステルおよび塩の架橋を包含する。
【0042】
炭水化物化学の当業者により認識されるであろうとおり、下の特定の実施例および実験に記述されない他の型のアミノ基含有多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖もまた、多様な架橋生成物を提供するために、本明細書に開示される方法により架橋しうる。還元糖(若しくは還元糖誘導体)を使用するこうしたアミノ多糖若しくはアミノ機能性化多糖の架橋は、本発明の方法および生成物の範囲内に包含されることが指摘される。
【0043】
いかなる適する還元糖も本発明の方法で架橋剤として使用しうる。該糖は、単糖、還元端を有する二糖、還元端を有する三糖などでありうる。適する糖はアルドースおよびケトースを包含しうる。単糖を架橋剤として使用する場合、それは三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖でありうるが、しかし7個以上の炭素原子をもつ単糖もまた使用しうる。従って、本発明の新規架橋方法で使用しうる糖は、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、アロース、アルトロース、グルコース、マノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、タロースまたはいずれかの他の二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖若しくは十炭糖、およびそれらの多様な適する誘導体化された形態などである。
【0044】
活性のアルデヒド若しくはケト基を有する上述された単糖若しくはオリゴ糖の還元誘導体もまた、本発明で架橋剤として使用しうる。
【0045】
架橋反応の速度は、当該技術分野で既知であるとおり、使用される特定の糖の開環形態に存在するアルデヒド若しくはケト基の平衡濃度に依存しうる。しかしながら、当該技術分野で既知であるとおり、反応時間を単純に延長することにより、ある種の特定の糖の遅い反応速度について補償することが可能でありうる。
【0046】
下述される実験は、こうしたアミノ多糖およびアミノ基で合成で機能性化された多糖の選択された例示的還元糖との典型的な反応を示し、かつ、生じるマトリックスの改良された分解抵抗性および流動学的特性を記述する、制限しない一例である。以下の実験は例としてのみ示されかつ本発明の範囲を制限するために意図していないことが指摘される。従って、当業者に明らかであろうとおり、多糖、機能性化多糖、(架橋剤として使用される)還元糖、反応条件、反応混合物の組成、反応温度、反応時間、ならびに生じる架橋マトリックスの化学、物理、流動学的および生物耐久性(biodurability)の特性は、下に開示される実験にとりわけ記述されるものと異なることがある。
【0047】
ヒアルロン酸(HA)という用語は、ヒアルロン酸それ自身およびその塩若しくは塩の混合物、ならびにとりわけヒアルロネートの塩の双方を示すための包括的名称として以下の本文で使用する。
【0048】
アミノ機能性化ヒアルロン酸という用語は、遊離アミノ基をもつ部分を含有するよう誘導体化された、ヒアルロン酸およびその塩若しくは塩の混合物を示すための包括的名称として以下の本文で使用する。該アミノ基は一級アミノ基および/若しくは二級アミノ基でありうる。アミノ基を含有する部分を導入するための好ましい部位は多糖のカルボキシル基であるが、しかし、こうしたアミノ基を含有する部分を糖環(1個若しくは複数)の他の部位に導入することが可能でありうる。アミノ機能性化は完全である必要はなく、そして、いくつかのカルボキシル基(若しくは、使用される場合は他の誘導体化部位)が誘導体化されないままでありうる。
【0049】
アミノ機能性化多糖という用語は、架橋する還元糖のアルデヒド若しくはケト基と反応しうるアミノ基を含有するいかなる多糖も示す包括的用語として以下の本文で使用する。アミノ基は一級および/若しくは二級アミノ基でありうる。アミノ基は(キトサンでのように)糖環構造に直接配置されうるが、しかし、多糖鎖の糖環の1個若しくはそれ以上の部位すなわち化学基に共有結合される部分の一部でもまたありうる。
【0050】
従って、アミノ基は、機能性化される必要がなくかつ環バックボーンのアミノ基を通じて還元糖で直接架橋されうる、(下で詳細に開示されるところの)キトサンの場合でのように糖環に直接配置されることができる。部分的に脱アセチル化されたキチンに基づくポリマーもまた、遊離アミノ基(一級若しくは二級)を有するいずれの多糖もそうでありうるように、本発明の糖架橋方法を使用して架橋されうることが指摘される。
【0051】
本明細書に開示される実験の結果に従って、限定されるものでないがエタノールを挙げることができる極性の水と混合可能な溶媒の架橋反応混合物への添加が、いかなる極性溶媒も含まない緩衝水性溶液の存在下での架橋と比較して、架橋効率を有意に増大することができかつ反応生成物の改良された分解抵抗性をもたらすことが指摘される。
【0052】
架橋の正確な反応機序および生じる架橋多糖の化学的性質は現在完全には理解されていない一方、該反応は、例えばタンパク質鎖中に存在するリシン若しくはアルギニンまたは
他のアミノ酸の遊離アミノ基とのような、タンパク質のアミノ酸のアミノ基との糖のアルデヒド若しくはケト基の反応に基づき、還元糖を使用してタンパク質分子を架橋する古典的糖化反応に(必ずしも同一でないとは言え)いくぶん類似でありうることが想定される。
【0053】
還元糖のこれらのタンパク質架橋反応は当該技術分野で公知である。こうしたタンパク質架橋反応は、少なくとも部分的に初期反応生成物のアマドリ転位により進行し、黄色若しくは茶褐色の終末糖化産物の形成に至ると考えられる。
【0054】
本発明の発明者は、本出願に開示される実験で得られる架橋多糖の構造を完全には特徴付けしていない一方、生じる架橋多糖の225〜235および285〜355ナノメートルの範囲の特徴的吸光度ピークが、タンパク質糖化生成物および終末タンパク質糖化産物(AGE)にいくぶん類似の(しかし必ずしも同一でない)性質の糖化生成物の存在の指標でありうる。
【実施例】
【0055】
実験で使用する物質
ヘパリンナトリウムEP(バッチ番号9818030)はJUK Kraeber GmbH & Co.、独国ハンブルグから得た。
【0056】
Restylane(R)(ロット番号7349)およびRestylane−Perlane(ロット番号7064)は、Q−Med AB、スウェーデン・ウプサラから商業的に入手可能である。Hylaform(R)Plus(ロット番号R0409は、それらの供給業者INAMED AESTHETICS、アイルランドを通じてGenzyme Biosurgery(Genzyme Corporationの一部門)から商業的に入手可能である。
【0057】
turrax均質化は、別の方法で述べられない限り、IKA(R)−WERKE、独国から商業的に入手可能なモデルULTRA TURRAX(R)T−25(ベーシック)を使用して実施した。
【0058】
全部の凍結乾燥処置は、Heto Labo Equipment、デンマークから商業的に入手可能なモデルFD 8凍結乾燥機を使用して実施した。冷却器温度は−80℃であった。前凍結の間の棚温度は−40℃であった。凍結乾燥のための棚温度は+30℃であった。前凍結時間は8時間であり、また、凍結乾燥時間は24時間であった。凍結乾燥の間の真空はおよそ0.01barであった。
【0059】
下の表1は、本出願に記述される実験で使用する物質の商業的供給源を列挙する。
【0060】
【表2】
【0061】
HAアミノ機能性化手順I
1.4〜1.8MDaの範囲の分子量を有するHA 150(NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号2222003、ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級(Pharma Grade)150として商業的に入手可能)、若しくは0.62〜1.15MDaの範囲の分子量を有するHA 80(NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号222
2002、ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級150として商業的に入手可能)400mgを350mLのDI水に溶解し、7グラムのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHを4.75に調節し、そして該溶液を2時間攪拌した。764mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を2.0mLのDI水に溶解し、そして該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHの変化により反応をモニターし、そして4.75に継続して調節した。pHの変化を検出し得なくなった後に、反応混合物を追加の1時間若しくは一夜放置した。その後該溶液を透析チューブに移し、そしてADHが透析物中で検出されなくなるまでDI水に対し透析した。透析した溶液を3.5リットルの100%エタノール中に移し、2グラムのNaClを添加し、そして該混合物を1時間攪拌した。沈殿された改変されたHAを分離するために、該溶液を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。得られたアミノ機能性化HA(AFHA)は使用するまで4℃で保存した。
【0062】
下述されるAFHAを使用する全部の架橋実験において、HA80を機能性化することから生じるアミノ機能性化HAを下で一貫してAFHA80と称し、また、HA150を機能性化することから生じるアミノ機能性化HAは下で一貫してAFHA I 150と称することが指摘される。この2種のアミノ機能性化HA物質(AFHA80およびAFHA I 150)を、下で開示される全部のHA架橋実験に使用した)。
【0063】
HA架橋手順
下述される全部の実験で、ボルテックス攪拌はvortexTM回転混合機を使用して実施した。全部の遠心分離(別の方法でとりわけ述べられない限り)は、SORVALL(R)Instruments DU PUNT、米国から商業的に入手可能なSORVALL SS−34ローターを伴うモデルRC5C遠心機を使用して行った。
【0064】
第一の数字(実験シリーズ番号を指す)の後にスラッシュ(/)記号、そしてその後該シリーズ内で実施された実際の実験の範囲が続くような、下述される以下の実験のそれぞれを実施した。例えば、下の実験シリーズ32/1−3は、以下の3実験、すなわち実験32/1、実験32/2および実験32/3を包含する。この表記法は本明細を通じて一貫して使用する。
【0065】
実験シリーズ32/1−3
およそ5mgのAFHA80を1mLのDI水に溶解し、そして5mLの100%エタノールを添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のグリセルアルデヒドを、後に続くとおり該AFHA80混合物に添加した:
a)100μLのDI水に溶解した2mgのグリセルアルデヒド(実験32/1)
b)200μLのDI水に溶解した4mgのグリセルアルデヒド(実験32/2)
c)300μLのDI水に溶解した6mgのグリセルアルデヒド(実験32/3)
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そしてインキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。その後該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ1mLのDI水を残存するペレットに添加した。室温で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる架橋生成物は以下の特徴を有した:
a)(実験32/1):500μLの硬質ゲル。
b)(実験32/2):架橋HAと水の間の相分離を伴わない軟質の不透明ゲル(3時間の再遠心分離後に500μLの澄明なゲルをもたらした)。
c)(実験32/2):800μLのゲル。
【0066】
実験33/1
およそ25mgのAFHA80を5mLのDI水に溶解し、25mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌した。500μLのDI水に溶解した10mgのDL−グリセルアルデヒドの溶液を該混合物に添加し、そして生じる混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。インキュベーター中で6時間の回転後に、250μLのDI水に溶解した追加の5mgのグリセルアルデヒドを反応混合物に添加し、そして該混合物をインキュベーターに戻してインキュベーション期間を完了させた。24時間のインキュベーションの終了後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ40mLのDI水および2mLのPBS緩衝液(10mM)をペレットに添加し、そして室温で6時間放置した。該混合物をその後6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる生成物は500μLの硬質の不透明ゲルであった。
【0067】
実験シリーズ35/1−4
およそ5mgのAFHA80を1mLのDI水に溶解し、そして12mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを後に続くとおり添加した:
a)75μLのDI水に溶解した1.5mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/1)。
b)150μLのDI水に溶解した3.0mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/2)。
c)225μLのDI水に溶解した4.5mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/3)。
d)300μLのDI水に溶解した6.0mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/4)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。24時間後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ5mLのDI水を各ペレットに添加した。室温で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる架橋生成物は以下の特徴を有した:
a)(実験35/1)3.4mLの透明ゲル。
b)(実験35/2)3.5mLの透明ゲル。
c)(実験35/3)4.0mLの透明ゲル。
d)(実験35/4)4.0mLの透明ゲル。
【0068】
実験シリーズ37/4−6
およそ5mgのAFHA80を1mLのDI水に溶解しかつ10mLの100%エタノールに添加した。該混合物を1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを後に続くとおり該混合物に添加した:
a)400μLのDI水に溶解した8mgのDL−グリセルアルデヒド(実験37/4)。
b)500μLのDI水に溶解した10mgのDL−グリセルアルデヒド(実験37/5)。
c)600μLのDI水に溶解した12mgのDL−グリセルアルデヒド(実験37/6)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そしてインキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の終了後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ5mLのDI水を各ペレットに添加した。室温で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる架橋生成物は以下の特徴を有した:
a)(実験37/4)2.5mLの透明ゲル。
b)(実験37/5)1.9mLの透明ゲル。
c)(実験37/6)1.5mLの透明ゲル。
【0069】
実験シリーズ38/1−3
およそ5mgのAFHA80を1mLのDI水に溶解し、そして10mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを、後に続くとおり該混合物に添加した:
a)700μLのDI水に溶解した14mgのDL−グリセルアルデヒド(実験38/1)。
b)800μLのDI水に溶解した16mgのDL−グリセルアルデヒド(実験38/2)。
c)900μLのDI水に溶解した18mgのDL−グリセルアルデヒド(実験38/3)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。24時間後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ5mLのDI水をペレットのそれぞれに添加した。37℃で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる架橋生成物は以下の特徴を有した:
a)(実験38/1)1.0mLの透明ゲル。
b)(実験38/1)0.75mLの透明ゲル。
c)(実験38/1)0.50mLの透明ゲル。
【0070】
実験シリーズ41/1−4
およそ5mgのAFHA I 150を5mLのDI水に溶解し、10mLの100%エタノールに添加し、そして1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを、後に続くとおり該混合物に添加した:
a)300μLのDI水に溶解した6mgのDL−グリセルアルデヒド(実験41/1)。
b)400μLのDI水に溶解した8mgのDL−グリセルアルデヒド(実験41/2)。
c)500μLのDI水に溶解した10mgのDL−グリセルアルデヒド(実験41/3)。
d)600μLのDI水に溶解した12mgのDL−グリセルアルデヒド(実験41/4)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。24時間後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ20mLのDI水をペレットのそれぞれに添加した。37℃で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。a(実験41/1)、b(実験41/2)およびc(実験41/3)の場合に相分離は観察されず;d(実験41/4)の場合に5mLの上清を除去し得た。50mLの1N NaOH溶液をその後全サンプルに添加し、そしてサンプルを再度遠心分離しかつ40mLのPBS緩衝液(10mM、pH7.36)で2回洗浄した。希釈した架橋生成物を各段階後に6000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。結果は後に続くとおりであった。すなわち、サンプルa(実験41/1)、b(実験41/2)およびc(実験41/3)にゲルは残存しなかった。サンプルd(実験41/4)で5mLの透明ゲルが得られた。
【0071】
実験シリーズ42/1−3
およそ5mgのAFHA I 150を5mLのDI水に溶解し、40mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを、後に続くとおり該混合物に添加した:
a)800μLのDI水に溶解した16mgのDL−グリセルアルデヒド(実験42/1)。
b)1000μLのDI水に溶解した20mgのDL−グリセルアルデヒド(実験42/
2)。
c)2000μLのDI水に溶解した40mgのDL−グリセルアルデヒド(実験42/3)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そしてインキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。24時間後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ生じるペレットのそれぞれに40mLのDI水を添加した。室温で30分後に、該混合物のそれぞれを6000rpmで20分間遠心分離した。生じる架橋ゲルは、a)からb)を介しc)まで、増大するゲル粘度を表した(すなわち、実験42/1で生じるゲルは該三者の最低の粘度を有し、実験42/3で生じるゲルは該三者の最高粘度を有し、そして実験42/2で生じるものは該3サンプルの最高および最低の値の間の粘度値を有した)。
【0072】
実験シリーズ44/1−2
およそ5mgのAFHA80を5mLのDI水に溶解し、40mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量の多様な還元糖架橋剤を、後に続くとおり該混合物に添加した:
a)2mLのDI水に溶解した44mgのDL−グリセルアルデヒド(実験44/1)。b)2mLのDI水に溶解した44mgのD(−)−リボース(実験44/1)。
反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れかつ37℃で24時間(実験44/1)および37℃で11日間(実験44/2)回転した。インキュベーション期間の終了時に、反応混合物のそれぞれを6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして生じるペレットのそれぞれに40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を添加した。該混合物を室温で30分間放置し、そして6000rpmで20分間遠心分離した。結果は後に続くとおりであった。すなわちa)(実験44/1)軟質の透明ゲルが得られたb)(実験44/2)灰白色ないし帯黄色ゲルが得られた。
【0073】
実験シリーズ53/1−3
およそ50mgのAFHA I 150を2mLのDI水に溶解した。100mgのDL−グリセルアルデヒドを2mLのDI水に溶解した。該2溶液を混合し、そして針を伴わないシリンジを通して5回および18G針を通して2回押出した。該混合物は、最後に18G針を通して以下の量のエタノール中に押出した:
a)20mLの100%エタノール(実験53/1)。
b)30mLの100%エタノール(実験53/2)。
c)40mLの100%エタノール(実験53/3)。
生じる架橋反応混合物のそれぞれをインキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の終了時に、溶液のそれぞれを6000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして生じるペレットのそれぞれに20mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を添加した。該混合物をその後37℃で3時間放置し、そして6000rpmで20分間遠心分離した。
【0074】
実験54/1
およそ50mgのAFHA I 150を、150mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解した。該混合物を、22G針を通して繰り返し押出し(6回)、およびその後18G針を通して40mLの100%エタノール中に押出し、インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーション後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ20mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。生じる混合物を37℃で2時間放置し、そして該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離した。
【0075】
実験55/1
およそ50mgのAFHA I 150を、150mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解した。該混合物を、22G針を通して繰り返し押出し(6回)、そしてその後、18G針を通して35mLの100%エタノールおよび5mLのDI水の混合物中に押出した。該反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の後に、該混合物を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ20mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。37℃で2時間後に、該混合物を6000rpmで20分間遠心分離した。生じる白色物質は水の取り込みを示さなかった。
【0076】
実施例60/1
およそ50mgのAFHA I 150を、300mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解し、そして50℃で30分間振とうした。該反応混合物をその後、シリンジ(針を伴わない)を通して40mLの100%エタノール中に押出し、そして生じる混合物を水浴に入れかつ50℃で6時間振とうした。該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離した。生じる反応生成物は2.8mLのゲルであった。
【0077】
実験61/1
およそ50mgのAFHA I 150を、300mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解し、そして該混合物を50℃で60分振とうした。該混合物をその後、シリンジ(針を伴わない)を通して40mLの100%エタノール中に押出し、そして生じる混合物を水浴に入れかつ50℃で5時間振とうした。インキュベーション後に該混合物を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離した。
【0078】
実験62/1
およそ50mgのAFHA I 150を、300mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解し、そして室温で10分間振とうした。該混合物を、シリンジを通して40mLの100%エタノール中に放出し、水浴に入れかつ50℃で24時間振とうした。その後、該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離した。生じる生成物は1mLの不透明ゲルであった。
【0079】
実験シリーズ65/3−5
およそ50mgのAFHA I 150を:
a)100mgのDL−グリセルアルデヒド(実験65/3)。
b)200mgのDL−グリセルアルデヒド(実験65/4)。
c)300mgのDL−グリセルアルデヒド(実験65/5)
を含有する4mLのDI水に溶解した。生じる反応混合物を、20G針を通して4回押出し、そして反応混合物のそれぞれを、針を伴わないシリンジを通して40mLの100%エタノール中に押出し、そして加熱浴に入れかつ50℃で3時間振とうし、そしてその後インキュベーターに入れかつ37℃で16時間回転した。生じる反応混合物のそれぞれをその後6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加した。該混合物をその後6000rpmで20分間
再度遠心分離した。生じる反応生成物は、以下の外見:
a)(実験65/3)3.5mLの不透明ゲル。
b)(実験65/3)2.5mLの不透明ゲル。
c)(実験65/3)2.0mLの不透明ゲル。
を有した。
【0080】
実験シリーズ67/1−2
およそ50mgのAFHA I 150を、50mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解した。該物質をシリンジ中で混合し、そして40mLの100%エタノール中に放出した。該混合物をインキュベーターに入れ、そして以下の期間回転した:
a)37℃で2日。(実験67/1)。
b)37℃で3日。(実験67/2)。
インキュベーション期間の後に該溶液を9000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットのそれぞれに添加した。該混合物をその後9000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる反応生成物は:a)2mLの不透明ゲル(実験67/1)およびb)1.6mLの不透明ゲル(実験67/2)であった。
【0081】
実験シリーズ67/4−6
およそ50mgのAFHA I 150を:
a)300mgのD(−)−リボース(実験67/4)。
b)300mgのD(−)−アラビノース(実験67/5)。
c)およそ150mgのD(−)−エリトロース(実験67/6)。
を含有する4mLのDI水に溶解した。該3混合物をそれぞれ、シリンジ中で20G針を何回も通して押出すことにより混合し、そしてその後、それぞれを20G針を通して40mLの100%エタノール中に押出した。該混合物をその後インキュベーターに入れかつ37℃で15日間回転した。インキュベーション後に該混合物を9000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加し、そして該混合物を9000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる反応生成物は後に続くところの特性を示した:
a)(実験67/4)水の取り込みなし−帯黄色繊維
b)(実験67/5)透明ゲル。
c)(実験67/6)水の取り込みなし−白色繊維
【0082】
実験72/1
およそ100mgのAFHA I 150を、100mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解した。生じる反応混合物を、18G針を通して4回押出し、そしてその後21G針を通して2回押出した。該混合物を2個の等しい部分に分割した。該2部分のそれぞれを、21G針を通して40mLの100%エタノール中に押出した。生じる混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で3日間回転した。インキュベーション期間の後に、5mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を2混合物のそれぞれに添加し、そして該溶液を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加した。該混合物をその後9000rpmで20分間遠心分離し、そして生じるペレットを合わせた。該実験は、合計(合わせた)容量2.1mLの不透明ゲルをもたらした。
【0083】
実験シリーズ75/1、2
100mgのDL−グリセルアルデヒドを7mLのDI水に溶解した。1.5mLの100%エタノール中の100mgのAFHA I 150のスラリーを、調製したDL−グリセルアルデヒド溶液に添加した。生じる混合物を、18針を通す押出(3回)により均質化し、そして2個の等しい部分に分割した。該2部分のそれぞれを40mLの100%エタノール中に押出した。該混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で3日間回転した。その後、5mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を該2混合物のそれぞれに添加し、そして該溶液を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加した。該2混合物をその後9000rpmで20分間再度遠心分離し、そして該2ペレットを合わせた。
【0084】
実験シリーズ75/3、4
80mgのDL−グリセルアルデヒドを7mLのDI水に溶解した。2mLの100%エタノール中の100mgのAFHA I 150のスラリーを、調製したDL−グリセルアルデヒド溶液に添加した。生じる混合物を、18G針を通す押出(3回)により均質化し、そして2個の等しい部分に分割した。該2部分のそれぞれを40mLの100%エタノール中に個別に押出した。該混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で3日間回転した。その後、5mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、該2反応混合物のそれぞれに添加し、そして該混合物を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加した。該ペレットをその後9000rpmで20分間再度遠心分離し、そして生じるペレットを合わせた。
【0085】
実験77/1
90mgのDL−グリセルアルデヒドを14mLのDI水に溶解した。5mLの100%エタノール中の100mgのAFHA I 150のスラリーを、調製したDL−グリセルアルデヒド溶液に添加した。生じる反応混合物を、18G針を通す押出(3回)により均質化し、そして2個の等しい部分に分割した。該部分のそれぞれを40mLの100%エタノールに添加した。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で3日間回転した。その後、5mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を該混合物のそれぞれに添加し、そして該混合物を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加しかつ混合した。該混合物を9000rpmで20分間再度遠心分離し、そして生じるペレットを合わせた。
【0086】
キトサン架橋手順:
該実験で使用した原線維化(fibrillation)緩衝液は後に続くとおり調製した。すなわち、6.5リットルのDI水を10リットルガラス製容器に入れた。11.3グラムのNaOH(0.04Mの最終濃度のため)および252グラムのNa2HPO4・2H2O(0.2Mの最終濃度のため)を該DI水に溶解した。pHを10N NaOHで11.2に調節した。該溶液の容量をDI水で7リットルに仕上げた。最終のpHをpH11.20〜11.30の範囲に(NaOHで)調節した。
【0087】
実験9/1
およそ181.5mgのキトサンを9.6mLの0.1N HClに溶解した。14mgのDL−グリセルアルデヒドを2.5mLのDI水に溶解し、そしてキトサン溶液と混合した。該混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そして1mLの原線維化緩衝液および9.6mLの100%エタノールを、恒常的攪拌下にキトサン/DL−グリセルアルデヒド混合物にゆっくりと添加した。該反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーションの終了時に、1.4mLのDI水に溶解した28mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する溶液を該混合物に添加し、そして生じる混合物をインキュベーター中に残しかつ37℃で追加の24時間回転した。該混合物をその後7000rpmで15分間遠心分離し、上清を除去し、そして、生じるペレットを30mLの1N HClおよびその後30mLのDI水で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の液体を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。生じるペレットは堅固なゲルの粘度のものであった。
【0088】
実験12/1
グリセルアルデヒドの6種の異なる溶液を、後に続くとおり調製した:
a)2.5mLのDI水中の20mgのDL−グリセルアルデヒド。
b)2.5mLのDI水中の40mgのDL−グリセルアルデヒド。
c)2.5mLのDI水中の60mgのDL−グリセルアルデヒド。
d)2.5mLのDI水中の80mgのDL−グリセルアルデヒド。
e)2.5mLのDI水中の100mgのDL−グリセルアルデヒド。
生じるDL−グリセルアルデヒド溶液a〜eのそれぞれを、196mgのキトサン10mLの0.1N HClを溶解することにより調製した溶液と個別に混合した。生じる6種の反応混合物のそれぞれを1分間ボルテックス攪拌した。該6混合物のそれぞれに、1mLの原線維化緩衝液を恒常的攪拌下にゆっくりと添加し、次いで15mLの70%エタノール/DI水混合物(v/v)をまた恒常的攪拌下にゆっくりと添加した。該反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。24時間のインキュベーション後に、5mLのPBS緩衝液および2.5mLの原線維化緩衝液を反応混合物にゆっくりと添加し、次いでボルテックス攪拌した。該混合物をその後37℃で再インキュベートした。第二のインキュベーションの間に混合物をインキュベーターから2回取り出し、ボルテックス攪拌しかつその後インキュベーターに戻した(PBSおよび原線維化緩衝液を添加した1および2時間後)。該混合物をその後インキュベーター中に残しかつ回転した。37℃での総インキュベーション時間は48時間であった。インキュベーションの完了後に該6サンプル(a〜e)を7000rpmで15分間遠心分離した。上清を除去しかつ生成物を30mLの1N HCl、次いで30mLのDI水で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の溶媒を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。全5種の生じるサンプルは、おそらく糖化生成物の形成による帯黄色(未反応キトサン溶液の初期の帯黄色より濃かった)を表した。観察されたゲル相をもたらす明瞭な相分離はサンプルaおよびbで見出されたのみであった。
【0089】
実験シリーズ35/1−4
以下の4種の異なるDL−グリセルアルデヒド溶液を調製した:
a)75μLのPBSに溶解した15mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/1)。
b)150μLのPBSに溶解した30mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/2)。
c)225μLのPBSに溶解した45mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/3)。
d)300μLのPBSに溶解した60mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/4)。
上の4種のDL−グリセルアルデヒド溶液a〜dのそれぞれを、1mLの0.1N HClに溶解したおよそ20mgのキトサンの溶液と個別に混合し、そして0.1N HClを使用して(pH7.0に)中和した。生じる4種の反応混合物のそれぞれを1分間ボルテックス攪拌し、そして12mLの100%エタノールを各ボルテックス攪拌した反応混合物に恒常的攪拌下に添加した。生じる反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の完了後に反応混合物を700
0rpmで15分間遠心分離した。上清を除去し、そして生じるペレットを10mLの1N HClでそれぞれ洗浄し、次いで5mLのDI水で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の溶媒を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。水とキトサンゲルの間の相分離は、(それぞれ実験37/1、37/2、37/3および37/4の)4サンプルa〜dのいずれでも観察し得なかった。
【0090】
実験シリーズ38/1−6および39/1−4
およそ20mgのキトサンを1mLの0.1N HClに溶解し、そして0.1N NaClを使用して中和した。DL−グリセルアルデヒドの10種の異なる溶液を後に続くとおり調製した:
a)80mgのグリセルアルデヒドを400μLのPBSに溶解した(実験38/1)。b)100mgのDL−グリセルアルデヒドを500μLのPBSに溶解した(実験38/2)。
c)120mgのDL−グリセルアルデヒドを600μLのPBSに溶解した。(実験38/3)。
d)160mgのDL−グリセルアルデヒドを800μLのPBSに溶解した(実験38/4)。
e)200mgのDL−グリセルアルデヒドを1000μLのPBSに溶解した(実験38/5)。
f)240mgのDL−グリセルアルデヒドを1200μLのPBSに溶解した(実験38/6)。
g)300mgのDL−グリセルアルデヒドを1500μLのPBSに溶解した(実験39/1)。
h)350mgのDL−グリセルアルデヒドを1750μLのPBSに溶解した(実験39/2)。
i)400mgのDL−グリセルアルデヒドを2000μLのPBSに溶解した(実験39/3)。
j)500mgのDL−グリセルアルデヒドを2500μLのPBSに溶解した(実験39/4)。
DL−グリセルアルデヒド溶液a〜jのそれぞれをその後、1mLの0.1N HClに溶解したおよそ20mgのキトサンを含有する1mLのキトサン溶液と個別に混合し、そして、0.1N HClを使用して(pH7.0に)中和した。各反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そして10mLの100%エタノールを恒常的攪拌下に反応混合物のそれぞれに添加した。該反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の完了後に反応混合物を7000rpmで15分間遠心分離し、上清を除去し、そして生じるペレットを10mLの1N HClでそれぞれ洗浄し、次いで5mLのDI水(上の実験38/1−6について)若しくは10mLのDI水(上の実験39/1−4について)で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の溶媒を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。実験38/1−6の最終反応生成物では、水と架橋キトサンゲルの間の相分離を観察し得なかった。39/1−4の最終反応生成物では、上清およびキトサンゲルへの相分離が遠心分離後に観察された。実験38/1−6および39/1−4の反応生成物の色は、増大する架橋剤(DL−グリセルアルデヒド)濃度について生じる架橋キトサンゲルの付随する減少する水の取り込みを伴い、灰白色から帯黄色まで変動することが観察された。
【0091】
実験シリーズ40/1−3
本実験では、部分g、iおよびjのみを、後に続くところのDL−グリセルアルデヒド濃度、すなわち
g)300mgのDL−グリセルアルデヒドを1500μLのPBSに溶解した(実験40/1)。
i)400mgのDL−グリセルアルデヒドを2000μLのPBSに溶解した(実験40/2)。
j)500mgのDL−グリセルアルデヒドを2500μLのPBSに溶解した(実験40/3)。
で実施したことを除き、上述された実験39の正確な反復であった。
【0092】
反応条件の残部は、上に詳細に記述されたところの実験シリーズ39/1−4でのとおり正確に実施した。
【0093】
生じるペレットを、生成物の膨潤挙動を測定するのに使用した(該結果は図9に具体的に説明する)。
実験シリーズ44/3−4
a)56mgのDL−グリセルアルデヒドを500μLのDI水に溶解した(実験44/3)。
b)56mgのD(−)−リボースを500μLのDI水に溶解した(実験44/4)。
【0094】
上のaおよびbの溶液のそれぞれを、5mLの0.1N HClにおよそ100mgのキトサンを溶解すること、および0.1N NaClを使用して該溶液を中和することにより調製したキトサン溶液と個別に混合した。2種の生じる反応混合物のそれぞれを1分間ボルテックス攪拌し、そして40mLの100%エタノールと混合した。該反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で24時間(実験44/3)若しくは37℃で12日間(実験44/4)回転した。2種の異なるインキュベーション期間が完了した後に、反応混合物を7000rpmで15分間遠心分離し、上清を除去し、そしてペレットを40mLの1N HClで洗浄し、次いで10mLのDI水で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の溶媒を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。双方の実験は軟質ゲルをもたらした。実験44/3から生じるゲルでは、DL−グリセルアルデヒドで架橋したゲルは、実験44/4から生じるD(−)−リボースで架橋したゲルのものより鮮やかな帯黄色を有した。
【0095】
架橋多糖の分光学的特徴付け
今や図1〜4に参照がなされる。図1〜3に具体的に説明されるグラフで、縦軸はサンプルの吸光度を表し、そして横軸は波長をnmで表す。図4に具体的に説明されるグラフでは、縦軸はサンプルの吸光度を表し、そして横軸は(cm−1の単位の)波長を表す。
【0096】
アミノ機能性化ヒアルロン酸(AFHA)(破線曲線10により表される)およびDL−グリセルアルデヒドで架橋したAFHA(実線曲線20により表される)のUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである図1は、本発明の方法の一態様に従って得た。破線曲線は、アミノ機能性化HA(上で詳細に開示されたとおり製造したAFHA I 150)のサンプルのスペクトルを表し、そして、実線曲線は、上述されたところの実験72/1で得られたDL−グリセルアルデヒドで架橋した生成物のスペクトルを表す。AFHA I 150サンプルと対照的に、架橋多糖サンプルは、架橋反応での糖化生成物の形成を示しうる225〜235nmおよび285〜355の範囲の強い吸光度を表す。
【0097】
図2は、本発明の方法の態様に従って得た、D(−)−リボースで架橋したAFHA(破線曲線30により表される)、D(−)−エリトロースで架橋したAFHA(実線曲線32により表される)およびD(−)−アラビノースで架橋したAFHA(点線曲線34により表される)のUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。D(−)−リボースで架橋したHAのサンプルは実験67/1のサンプルから得た。D(−)−エリトロースで架橋したHAのサンプルは実験67/6のサンプルから得た。D(−)−アラビノースで架橋したHAのサンプルは実験67/2のサンプルから得た。
【0098】
ピークの移動は、おそらく、HAを架橋するのに使用した異なる還元糖の結果である。各糖はそれ自身の特定の鎖長およびコンホメーション(該反応で形成される最終的な終末糖化産物(AGE)に対する影響を有する)を有する。
【0099】
図3は、本発明の方法の態様に従って得た、架橋されていないキトサン(実線曲線40により表される)、D(−)−リボースで架橋したキトサン(破線曲線42により表される)、およびDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサン(点線曲線44により表される)のUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。架橋されていないキトサン(曲線40)のサンプルは上の表1に示されるとおりAldrichから得た。D(−)−リボースで架橋したキトサン(曲線42)のサンプルは実験44/4のサンプルから得た。DL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサン(曲線44)のサンプルは実験44/3のサンプルから得た。
【0100】
未修飾(架橋されない)キトサンを含むサンプルと対照的に、D(−)−リボースおよびDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンの2サンプルは、290nm付近で高められた吸光度を表した(おそらく、想定される糖化生成物およびおそらくAGEの典型的な吸光度を示す。
【0101】
図4は、本発明の方法の態様によるヒアルロン酸(点線曲線46により表される)、破線曲線48により表されるAFHA、および実線曲線50により表されるDL−グリセルアルデヒドで架橋したAFHAのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを表す図解のグラフである。
【0102】
該点線曲線はヒアルロン酸(HA150)のIRスペクトルを表す。破線曲線はアミノ機能性化HA(AFHA I 150)のIRスペクトルを具体的に説明する。実線曲線は、実験33/1で得られたDL−グリセルアルデヒドで架橋したHAのサンプルのスペクトルを表す。図4のIRスペクトルは、カルボキシル(COO−)基の吸光度の範囲、ならびに、範囲1610〜1550cm−1および1420〜1300cm−1のこれらの吸光度と重なり、それらの環境に依存してより高若しくは低波数に移動しうるアミドおよびアミン基の吸光度(それぞれ1650cm−1および1560cm−1)を示す。加えて、1740〜1700cm−1の範囲の吸光度が架橋後に出現する。典型的には、カルボン酸の吸光度ならびにアミドおよびアミノ酸の吸光度は(1740〜1700cm−1の)この波長範囲に見出される。これらの官能基の全部が最終的な架橋HA中に存在するため、それらを識別することは困難である。一般に、大きな吸光度スペクトル変化が、本明細書に開示される架橋反応生成物で観察されることがあり、これは、アミノ機能性化の間の修飾および化学反応、ならびに使用される架橋手順および糖化生成物の形成を強く示唆する。
【0103】
架橋多糖の物理的特徴付け
上述された実験で得られた架橋多糖の全部の特徴付けを、Thermo Electron Corporation GmbH、独国から商業的に入手可能なモデルHAAKE RheoStress 600回転式レオメーターで標準的方法を使用して実施した。全部の測定で、モデルPP 20 Ti PRローターをモデルMPC20/S QF測定プレートカバーとともに使用した。測定は23℃の温度で実施した。
【0104】
全部の流動学的試験は振動測定法を使用して実施した。400μLの試験される物質をレオメーターの2枚の縞板間に置いた。正弦応力を0.01と10Hzの間の周波数範囲で全サンプルに適用した。複素粘度|η*|の生じる値を下の表2に示す。選択した流動学の測定結果は図5〜7にもまたより詳細に具体的に説明する。
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
|η*|の複数の測定値を表2の右側の列に提示する場合、第一の示される値は、最終ペレットから直接採取されるところの(若しくは、Restylane(R)、Perlane(R)およびHylaform(R)サンプルについては商業的製品シリンジから直接採取されるところの)最終反応生成物サンプルの測定の結果を表すことが指摘される。同一実験の同一サンプルについて(同じ列内に)示される他の測定された|η*|値は、(数値の後のカッコ内に詳細に示されるところの)針を通してサンプルを押出すこと若しくは37℃で指定される時間サンプルをさらにインキュベートすること(インキュベーションの正確な時間は数値の後のカッコ内に明記される)のいずれかによりさらに加工した同一サンプルから得られる結果を示す。
【0108】
数種の商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づくマトリックスの流動学的特性と比較し
た、多様なDL−グリセルアルデヒド濃度で多様な時間架橋した多様な組成物のAFHAに基づく多糖の流動学的特性の測定の結果を具体的に説明する図解のグラフである図5〜7に今や参照がなされる。図5〜7で、縦軸は複素粘度(|η*|)をパスカルで表し、そして横軸は振動周波数をHzで表す。
【0109】
図5で、黒丸は、(100mgのグリセルアルデヒドで37℃で24時間架橋した)実験53/3の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。黒四角は、(150mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で24時間架橋した)実験54/1の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。黒三角は、(300mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で24時間架橋した)実験62/1の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。白丸は、商業的に得られるPerlane(R)(ロット:7064)について得られた実験データ点を表す(正確な数値については表2を参照されたい)。
【0110】
図5のグラフで見られうるとおり、類似の反応条件下でDL−グリセルアルデヒド濃度を増大させることは、生じる架橋多糖の粘度を有意に増大する。さらに、(300mgのDL−グリセルアルデヒドを架橋混合物中で使用した)実験62/1から生じる架橋多糖は、0.1Hzより下の周波数値について、商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づくRestylane(R)−Perlane(R)のものより有意により高い複素粘度値を有する。
【0111】
図6中で、黒丸は、(50mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で48時間架橋した)実験67/1の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。黒四角は、(50mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で72時間架橋した)実験67/2の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。白丸は、商業的に得られるPerlane(R)(ロット:7064)について得られた実験データ点を表す(正確な数値については表2を参照されたい)。
【0112】
図6から見られうるとおり、AFHAの架橋反応のインキュベーション時間を48時間から72時間まで延長する場合、生じるHAに基づく架橋多糖の複素粘度値は、架橋反応時間を延長することに伴い有意に増大する。さらに、(架橋混合物中で使用される50mgのDL−グリセルアルデヒドを用いて72時間の架橋反応を実施した)実験67/2から生じる架橋多糖は、0.1Hzより下の周波数値について、商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づくRestylane(R)−Perlane(R)のものより有意により高い複素粘度値を有する。
【0113】
図7中で、黒菱形の記号は、(40mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で3日間架橋した)実験77/1の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。白丸は、商業的に得られるPerlane(R)(ロット:7064)について得られた実験データ点を表す。白四角は、商業的に得られるRestylane(R)(ロット:7349)について得られた実験データ点を表す。白三角は、商業的に得られるHylaform(R)Plus ロット番号R0409について得られた実験データ点を表す(正確な数値については表2を参照されたい)。
【0114】
図7から見られうるとおり、3種の商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づく注入可能なゲルおよび実験77/1のDL−グリセルアルデヒドで架橋したHAに基づく多糖の複素粘度値を比較する場合、測定される複素粘度値は、0.1〜0.01Hzの振動周波数範囲にわたり、実験77/1で得られる架橋物質について一貫してかつ有意により高い。例えば、0.01Hzで、実験77/1で得られた架橋物質の複素粘度は、Restylane(R)−Perlane(R)ロット番号7064について測定された複素粘度の
2倍以上、Restylane(R)−ロット番号7349について測定された複素粘度の3倍以上、およびHylaform(R)−Plus ロット番号R0409について測定された複素粘度の8倍以上である。
【0115】
粘度値のこうした増大は、美容整形外科および美容目的上使用される物質でとりわけ望ましいことができる増量剤(filler)の持ち上げ(lifting)および形成能力の改良と有利に相関しうることが、当業者により認識されるであろう。本明細書で開示される改良されたゲルはこうした優れた粘度値を有する一方、それらは、にもかかわらず、30G針くらい細い針を通してなお容易に注入可能である。
【0116】
酵素的分解抵抗性アッセイ
分解抵抗性アッセイは、Carbohydrate Analysis:A Practical Approach、第2版:M.F.ChaplinとJ.F.Kennedy、IRL Press、Oxford University Press、英国、1994(ISBN 0−19−963449−1P)pp.324(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるところのヒアルロニダーゼ消化およびウロン酸/カルバゾールアッセイ法を使用して実施した。
【0117】
上で開示された実験のいくつかのヒアルロニダーゼ消化実験の結果を下の図10に示す。2実験を実施した:
【0118】
第一の消化実験
1a)架橋HAの消化
実験75/3から生じる架橋アミノ機能性化HAの200μLの5サンプルを、250μLのNaCl(0.9%)溶液、および50μLのDI水に溶解した60.8単位のヒアルロニダーゼとそれぞれ混合した。全サンプルを37℃でインキュベートした。消化を開始した後、連続する1時間間隔でサンプルを採取し、物質を1分間ボルテックス攪拌することにより均質化し、そして13000rpmで5分間、Heraeus #3325Bローターを使用するHeraeus“biofuge pico”遠心機 カタログ番号75003280を遠心分離した(該遠心機およびローターはKendro Laboratory Products、独国から商業的に入手可能である)。250μLの生じる上清を使用してカルバゾールアッセイを実施した。
【0119】
1b)Perlane(R)ロット番号7064の消化
200μLのPerlane(R)(ロット番号7064)の5サンプルを、250μLのNaCl(0.9%)溶液、および50μLのDI水に溶解した60.8単位のヒアルロニダーゼとそれぞれ混合し、そしてサンプルを37℃でインキュベートした。消化を開始した後、連続する1時間間隔でサンプルを採取した。取り出したサンプルは、該物質を1分間ボルテックス攪拌することにより均質化し、そして同一のHeraeus“biofuge pico”遠心機で13000rpmで5分間遠心分離した。250μLの生じる上清を使用してカルバゾールアッセイを実施した。
【0120】
カルバゾールアッセイ手順に従い、各サンプルについて吸光度を525nmで測定した。Perlane(R)の場合の強すぎる色反応により、該サンプルはホウ酸硫酸を使用して10倍希釈する必要があった。インキュベーション2時間のサンプルは、カルバゾール処置の間の過度に高い温度により双方の場合(75/3実験の生成物およびPerlane(R))で拒絶され)、そして従って図10のグラフに提示されない。
【0121】
DL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化HAおよび商業的に得られるPerlane(R)のヒアルロニダーゼによる消化のカルバゾールアッセイ結果を具体的に
説明する図解のグラフである図10に、参照が今やなされる。
【0122】
図10のグラフの縦軸は525nmの波長での試験されたサンプルの吸光度を表し、そして横軸は消化試験の開始からの時間を時間で表す。Perlane(R)サンプル(そのデータ点は図10で黒四角により表される)が、(未希釈サンプルの読取り不可能に高い吸光度により)吸光度を読取る前に10倍希釈しなければならなかった一方、実験75/3から生じるアミノ機能性化HAの他のサンプル(そのデータ点は図10で黒丸により表される)の吸光度が、それらがあったまま(希釈することなく)読取られたという事実を考慮に入れた後、実験75/3から得られた架橋したアミノ機能性化HAのサンプルが、Perlane(R)により表される抵抗性よりもヒアルロニダーゼによる分解に対するはるかにより高い(最低7倍より高い)抵抗性を有したことが明らかである。
【0123】
Perlane(R)試験サンプルの10倍希釈について補償するためにPerlane(R)の吸光度値(図11中で黒四角により図解で表される)を10により乗算した図10のカルバゾールアッセイ結果を具体的に説明する図解のグラフである図11に、今や言及がなされる。実験75/3から生じるアミノ機能性化HAのサンプルの吸光度値を図11で黒丸により図解で表す。実験75/3から生じるPerlane(R)サンプルの吸光度値は図11で黒丸により表す。
【0124】
希釈サンプルから得られる吸光度値を単純に乗算することにより吸光度の正確な値を得ることが常に可能ではないことは公知である一方、これを、実験75/3から得られる架橋アミノ機能性化HAの吸光度値とPerlane(R)のものの間の差違の近似の印象を示すために単に行った。従って、図11に表される値は、具体的説明の目的上のみの非常に粗い近似にすぎず、そして該2物質間の吸光度の真の差違の正確な表示でないかも知れない。
【0125】
第二の消化実験
0.1439mgの架橋HA若しくは0.1507mgのPerlane(R)(ロット番号7064)を、250μLのNaCl(0.9%)溶液、および50μLのDI水に溶解した60.8単位のヒアルロニダーゼとそれぞれ個別に混合した。2種の生じる消化反応混合物を37℃でインキュベートした。インキュベーション4時間後に、物質を1分間ボルテックス攪拌することにより該2サンプルを均質化し、そしてHeraeus Biofuge pico遠心機で13000rpmで5分間遠心分離した。上清を双方のサンプルから除去し、そして残存する(消化されない)サンプル重量を消化サンプルのそれぞれについて測定した。実験75/3から生じる架橋アミノ機能性化HAの99.5%、およびPerlane(R)(ロット番号7064)の9.3%が、遠心分離および上清の除去後に沈降物として残存した。これらの結果は、Perlane(R)の商業的サンプルと比較して実験75/3から生じるアミノ機能性化HAのヒアルロニダーゼ消化に対するはるかにより高い(in vitro)抵抗性を強く確証する。
【0126】
本明細書に開示される架橋方法に従って製造した糖で架橋した多糖物質のin vitroのヒアルロニダーゼ消化に対する高い抵抗性は、一般におよびとりわけ審美的処置で組織増強のための増量剤すなわち嵩増し剤(bulking agent)として使用されるマトリックス中で高度に有利である、in vivoでの生物分解に対する同様に高い抵抗性を該物質が表しうることを示す。それは、埋植物の寿命を延長することができ、かつ、必要とされる審美的処置の頻度を低下させることができ、従って必要とされる処置の総費用ならびに処置若しくは注入の回数および/若しくは頻度を低下させて、改良された患者の快適さをもたらしうるからである。
【0127】
サンプル膨潤試験
架橋過程の間の過剰量のエタノールの存在により、糖で架橋したアミノ機能性化HAはその脱水された形態で出現する。その水和された形態と比較して、脱水された形態の架橋HAの容量は無視できる。記述される洗浄手順(反応生成物が(例えば実験35で5mLのDI水中の)最終洗浄により再水和された)後に、結果として生じるゲルを標準的試験管に移し、そしてゲルの容量(mLで)を測定した。
【0128】
参照が今や図8〜9になされる。図8は、本発明の一態様による、多様な異なる濃度のDL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化HAの膨潤挙動を測定することの結果を具体的に説明する図解の棒グラフである。
【0129】
図8の図解の棒グラフは、実験35/2、35/4、37/4、37/5、37/6、38/1、38/2および38/3(それぞれ図8の棒52、54、56、58、60、62、64および66により表される)で得られたDL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化ヒアルロン酸サンプルの水取り込み(膨潤)の結果を示す。図8のグラフの最も左の棒50は、架橋実験で使用した量に類似の量での、しかしDL−グリセルアルデヒドを使用することを伴わないAFHA80を水和することの結果を表す(この結果は架橋されないAFHA80サンプルを表す)。図8のグラフの各棒について、該サンプルのそれぞれの架橋で使用したDL−グリセルアルデヒドの量(mgで)をグラフの横軸に示す。(洗浄による)水和および遠心分離後の試験されたサンプルの容量(mLで)は、洗浄による反応混合物からのエタノールの除去後のサンプルの水で誘導される膨潤の量の表示として縦軸に表す。図8の結果は、架橋されないAFHA80サンプル中で最大でありかつ反応混合物中の架橋剤(DL−グリセルアルデヒド)の量が増大する際にほぼ一貫して減少する、一貫してより高いサンプル膨潤を示す。
【0130】
図9は、本発明の一態様による、多様な異なる濃度のDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンの膨潤挙動を測定することの結果を具体的に説明する図解のグラフである。図9の図解の棒グラフは、実験40/1、40/2および40/3(それぞれ図9の棒62、64および66により表される)で得られたDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンサンプルの水取り込み(膨潤)の結果を示す。図9の棒グラフの最も左の棒60は、架橋実験シリーズ40/1−3で使用した量と類似の量での、しかしDL−グリセルアルデヒドを使用することを伴わない架橋されないキトサン(架橋されないキトサンサンプル)を水和することの結果を表す。該キトサンサンプルの架橋で使用したDL−グリセルアルデヒドの量(mgで)はグラフの横軸に示す。(洗浄による)水和および遠心分離後のサンプルの容量(mLで)は、洗浄による反応混合物からのエタノールの除去後のサンプルの水で誘導される膨潤の量の表示として縦軸に表す。図9の結果は、反応混合物中の架橋剤(DL−グリセルアルデヒド)の量が(図9で具体的に説明される例で300mgから400mgを介し500mgまで)増大する際にほぼ一貫して減少する、架橋されないキトサンサンプル中で最大である、一貫してより高いサンプルの膨潤を示す。
【0131】
キトサンおよびコラーゲンを架橋することにより作成される混成マトリックス
線維性コラーゲンは米国特許第6,682,760号明細書(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に詳細に記述されるとおり製造した。原線維状(fibrillated)コラーゲンは遠心分離(4500rpm)により濃縮した。
【0132】
実験1
14.5mLの10mM PBS緩衝液(pH7.36)、5mLの原線維化緩衝液(上で詳細に開示されたとおり調製した)、35mLの100%エタノール、および500μLのPBS緩衝液に溶解した100mgのD(−)−リボースの混合物に添加した140mgの原線維状コラーゲンをそれぞれ含有する3本の異なる試験管を調製した。該反応混合物をボルテックス攪拌した。
【0133】
3種の異なるキトサン溶液a、bおよびcは後に続くとおり調製した:
a)13.5mgのキトサンを2.5mLの0.1N HCLに溶解した
b)27mgのキトサンを5.0mLの0.1N HCLに溶解した
c)54mgのキトサンを10.0mLの0.1N HCLに溶解した。
【0134】
溶液a、bおよびcのそれぞれを、恒常的攪拌を伴い、試験管中のコラーゲン/D(−)−リボース混合物の1種に一滴ずつゆっくりと添加した。該反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そしてインキュベーター中37℃で12日間回転した。インキュベーション期間の終了時に、該混合物を5000rpmで15分間遠心分離した。全部の生じる反応生成物はペースト様粘度を有した。キトサンの濃度を増大させることの間、該生成物の帯黄色もまた灰白色から濃黄色に徐々に変化した。c)の場合、架橋したキトサンの集合体がペーストの内側に見出された。
【0135】
実験2
17.5mLの10mM PBS緩衝液、5mLの原線維化緩衝液、17.5mLの100%エタノール、および300μLの10mM PBS緩衝液に溶解した33mgのDL−グリセルアルデヒドの混合物に添加した140mgの原線維状コラーゲンをそれぞれ含有する3本の異なる試験管を調製した。該反応混合物をボルテックス攪拌した。
【0136】
3種の異なるキトサン溶液a、bおよびcは後に続くとおり調製した:
a)13.5mgのキトサンを2.5mLの0.1N HCLに溶解した。
b)27mgのキトサンを5.0mLの0.1N HCLに溶解した。
c)54mgのキトサンを10.0mLの0.1N HCLに溶解した。
【0137】
上のキトサン溶液a、bおよびcのそれぞれを、恒常的攪拌を伴い、試験管中のコラーゲン/DL−グリセルアルデヒド反応混合物の1種に一滴ずつゆっくりと添加した。1分間の追加のボルテックス攪拌後に該反応混合物をインキュベーター中37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の終了時に、該混合物を5000rpmで15分間遠心分離した。全部の生じる反応生成物はペースト様粘度を有した。キトサンの濃度を増大させた際に、該生成物の帯黄色が灰白色から鮮黄色に徐々に増大した。c)の場合、架橋したキトサンの集合体がペーストの内側に見出された。
【0138】
実験7/1
9.8mLの100%エタノール、および700μLの原線維化緩衝液に溶解した14mgのDL−グリセルアルデヒドの混合物に添加した108mgの原線維状コラーゲンをそれぞれ含有する5本の異なる試験管を調製し、そしてボルテックス攪拌した。該5種のコラーゲン/DL−グリセルアルデヒド混合物をインキュベーター中37℃で6時間回転した。
【0139】
以下の5種のキトサン溶液もまた調製した。すなわち
a)53mgのキトサンを3.2mLの0.1N HCLに溶解した
b)75.6mgのキトサンを4.5mLの0.1N HCLに溶解した
c)107.5mgのキトサンを6.4mLの0.1N HCLに溶解した
d)141mgのキトサンを8.4mLの0.1N HCLに溶解した
e)161.3mgのキトサンを9.6mLの0.1N HCLに溶解した
溶液a、b、c、dおよびeのそれぞれを、上述されたコラーゲン/DL−グリセルアルデヒド混合物を含有する5本の試験管の1本にゆっくりと一滴ずつ添加した。1分間の追加のボルテックス攪拌後に混合物を再度インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。第二のインキュベーション時間が終了した後、混合物を5000rpmで
15分間遠心分離した。
【0140】
全部の生じる架橋生成物はペースト様粘度を有した。キトサンの濃度を増大させることの間、生成物の帯黄色が灰白色から鮮黄色まで徐々に増大する。サンプルc)は、架橋しされないコラーゲンを溶解するため、過剰量の6N NaOH中50℃で6時間インキュベートした。(DI水で)3回の洗浄および遠心分離段階後に、サンプルをHCl加水分解にかけ、そして、キトサンに共有結合したヒドロキシプロリン(コラーゲンを表す)を検出するために(商業的実験室で)アミノ酸分析計により分析した。ヒドロキシプロリンが該サンプル中で検出された。
【0141】
実験7/2
9.8mLの100%エタノール、および700μLの原線維化緩衝液に溶解した14mgのDL−グリセルアルデヒドの混合物に添加した108mgの原線維状コラーゲンをそれぞれ含有する3本の異なる試験管を調製し、そしてボルテックス攪拌した。
【0142】
以下の3種のキトサン溶液a、bおよびcもまた調製した。すなわち
a)53mgのキトサンを3.2mLの0.1N HCLに溶解した。
b)107.5mgのキトサンを6.4mLの0.1N HCLに溶解した。
c)161.3mgのキトサンを9.6mLの0.1N HCLに溶解した。
【0143】
溶液a、bおよびcのそれぞれを、恒常的攪拌を伴い、コラーゲン/DL−グリセルアルデヒド混合物を含有する該3本の試験管の1本にゆっくりと一滴ずつ添加した。1分間の追加のボルテックス攪拌後に、該混合物を37℃のインキュベーター中で24時間回転した。インキュベーション期間の終了後に混合物を5000rpmで15分間遠心分離した。全部の生じる反応生成物はペースト様粘度を有した。キトサンの濃度を増大させることの間、生成物の帯黄色は灰白色から鮮黄色に徐々に増大した。
【0144】
ヘパリンアミノ機能性化
500mgのヘパリンナトリウムEP(バッチ番号9818030)を300mLのDI水に溶解した。3.0gのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHを4.75に調節し、そして均質な溶液が得られるまで該溶液を攪拌した。400mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を2.0mLのDI水に溶解しかつ該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHをモニターすることにより該反応をモニターし、pHは継続的に4.75に調節した。該反応混合物を攪拌しながら一夜放置した。該溶液をその後透析チューブに移し、そしてADHが透析物中で検出されなくなるまで、DI水およびDI水/エタノール混合物(4:1 v/v)に対する交互透析にかけた。生じるアミノ機能性化ヘパリンナトリウムEP(ヘパリン−M)は使用するまで4℃で保存した。
【0145】
HAアミノ機能性化手順II
2.4gの1.4〜1.8MDaの範囲の分子量を有するHA 150(ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級150、NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号2222003として商業的に入手可能)を2.0LのDI水に溶解し、そして7.0gのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHをpH4.75に調節し、そして均質な溶液が得られるまで該溶液を攪拌した。760mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を10.0mLのDI水に溶解しかつ該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHの変化をモニターすることにより反応をモニターし、pHは継続的にpH4.75に調節した。pHの変化を検出し得なくなった場合に反応混合物を追加の1時間若しくは一夜放置した。該溶液をその後透析チューブに移し、そしてADHが
透析物中で検出されなくなるまで、DI水およびDI水/エタノール混合物(4:1 v/v)に対する交互透析にかけた。透析した溶液を3.5リットルの100%エタノール中に移し、5gのNaClを添加し、そして該混合物を1時間攪拌した。沈殿した改変されたHAを分離するため、該溶液を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。生じるアミノ機能性化HA(AFHA II)は使用するまで4℃で保存した。
【0146】
HAアミノ機能性化手順III
2.5gの1.4〜1.8MDaの範囲の分子量を有するHA 150(ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級150、NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号2222003として商業的に入手可能)を2.0LのDI水に溶解し、そして3.4gのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHを4.75に調節し、そして均質な溶液が得られるまで該溶液を攪拌した。400mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を10.0mLのDI水に溶解しかつ該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHの変化をモニターすることにより反応をモニターし、pHは継続的にpH4.75に調節した。pHの変化を検出し得なくなった場合に反応混合物を追加の1時間若しくは一夜放置した。該溶液をその後透析チューブに移し、そしてADHが透析物中で検出されなくなるまで、DI水およびDI水/エタノール混合物(4:1 v/v)に対する交互透析にかけた。透析した溶液を3.5リットルの100%エタノール中に移し、5gのNaClを添加し、そして該混合物を1時間攪拌した。沈殿した改変されたHAを分離するため、該溶液を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した、生じるアミノ機能性化HA(AFHA III)は使用するまで4℃で保存した。
【0147】
HAアミノ機能性化手順IV
2.4gの1.4〜1.8MDaの範囲の分子量を有するHA 150(ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級150、NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号2222003として商業的に入手可能)を350mLのDI水に溶解し、5.0gのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHをpH4.75に調節し、そして均質な溶液まで該溶液を攪拌した。500mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を10.0mLのDI水に溶解しかつ該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHの変化により反応をモニターし、そして4.75に継続的に調節した。pHの変化を検出し得なくなった後に、反応混合物を追加の1時間若しくは一夜放置した。その後、該溶液を透析チューブに移し、そして、ADHが透析物中で検出されなくなるまで、DI水およびDI水/エタノール混合物(4:1 v/v)に対する交互透析にかけた。透析した溶液を3.5リットルの100%エタノール中に移し、5gのNaClを添加し、そして該混合物を1時間攪拌した。沈殿した改変されたHAを分離するため、該溶液を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。生じるアミノ機能性化HA(AFHA IV)は使用するまで4℃で保存した。
【0148】
実験シリーズ03/105/1−6
6mLの100%エタノール中に152mgのAFHA I 150をそれぞれ含有する2個の別個の同一のスラリーを調製した。
【0149】
9mLのDI水に溶解した900mgのD(−)−ソルボースを含有する溶液を、架橋剤(D(−)−ソルボース)溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、第一のAFHA I 150スラリーに添加した。生じる反応混合物を3個の等しい部分1、2および3に分割し、そして生じる部分のそれぞれをインキュベーターに入れかつ37℃で後に続くとおり回転した。すなわち
実験03/105/1では、部分1を6日間インキュベートした。
実験03/105/2では、部分2を12日間インキュベートした。
実験03/105/3では、部分3を18日間インキュベートした。
9mLのDI水に溶解した900mgのD(−)−フルクトースを含有する溶液を、架橋剤(D(−)−フルクトース)溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、第二のAFHA I 150スラリーに添加した。生じる反応混合物を3個の等しい部分4、5および6に分割し、そして生じる部分のそれぞれをインキュベーターに入れかつ37℃で後に続くとおり回転した。すなわち
実験03/105/4では、部分4を6日間インキュベートした。
実験03/105/5では、部分5を12日間インキュベートした。
実験03/105/6では、部分6を18日間インキュベートした。
【0150】
上の反応混合物1〜6のインキュベーションが完了した後、40mLのDI水を反応混合物1〜6のそれぞれに添加し、そして該混合物を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加しかつ混合した。該混合物を9000rpmで20分間再度遠心分離した。実験03/105/1、03/105/1、03/105/2、03/105/3、03/105/4、03/105/5および03/105/6の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0151】
実験シリーズ03/114/1−4
実験03/114/1
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。1.5mLのDI水中の50mgのD(−)−フルクトースの溶液を、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、該スラリーに添加した。生じる混合物を40mLの100%エタノールに注いだ。該反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で2日間回転した。インキュベーションの完了後に40mLのDI水を該反応混合物に添加し、そして該混合物を9000rpmで10分間遠心分離した。
【0152】
実験03/114/2
該実験は、反応混合物を4日間の回転を伴いインキュベートしたことを除き、上の実験03/114/1について記述されたとおり実施した。
【0153】
実験03/114/3
該実験は、50mgのD(−)−ソルボースをD(−)−フルクトースの代わりに使用したことを除き、上の実験03/114/1について記述されたとおり実施した。
【0154】
実験03/114/4
該実験は、反応混合物を2日の代わりに4日間の回転を伴いインキュベートしたことを除き、上の実験03/114/3について記述されたとおり実施した。
【0155】
実験03/114/1、03/114/2、03/114/3および03/114/4の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0156】
実験シリーズ03/140/1−4
実験03/140/1
1mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。架橋剤溶液は、2.0mLのDI水に300mgのD(−)−リボースを溶解することにより調製した。該架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れ、そして試験管をボルテックス攪拌して均質な混合物を得た。該混合物をその後40mLの100%エタノールに注いだ。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で5日間回転した。インキュベーション期間の終了時に40mLのDI水を反応混合物に添加し、そして生じる混合物を7000rpmで20分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)で洗浄し、そして7000rpmで20分間遠心分離した。ペレットをその後、18G針を通して1回およびその後21G針を通して1回の押出により均質化し、そして40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)中に6時間保ち、そしてその後7000rpmで30分間遠心分離した。ペレットを、Whatman(R)濾紙No.4(Whatman、米国からカタログ番号1004 320として商業的に入手可能)を使用して濾過し、そして37℃で3日間インキュベートした。
【0157】
実験03/140/2
該実験は、架橋剤溶液が2.0mLのDI水に溶解した50mgのD(+)−ソルボースを包含したことを除き、上の実験03/140/1について記述されたとおり実施した。
【0158】
実験03/140/3
該実験は、架橋剤溶液が2.0mLのDI水に溶解した50mgのL(+)−フルクトースを包含したことを除き、上述された実験03/140/1について記述されたとおり実施した。
【0159】
実験03/140/4
該実験は、架橋剤溶液が2.0mLのDI水に溶解した300mgのD(+)グルコースを包含し、そしてペレットを濾紙を使用して濾過しなかったことを除き、上の実験03/140/1について記述されたとおり実施した。
【0160】
実験03/140/1、03/140/2、03/140/3および03/140/4の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を、下の表5に要約する。
【0161】
実験03/140/6
1mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。架橋剤溶液は、300mgのD−リボース−5−リン酸二ナトリウム塩脱水物を2.0mLのDI水に溶解することにより調製した。該AFHA I 150スラリーは、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリー層の下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な溶液を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。生じる混合物を40mLの100%エタノールに注いだ。該反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で5日間回転した。インキュベーション期間の終了時に40mLのDI水を該反応混合物に添加し、そして生じる混合物を振とうしかつ7000rpmで5分間遠心分離した。上清を除去し、そして、ペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)で2回洗浄し、そして7000rpmで5分間遠心分離した。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0162】
実験03/140/6の結果は、アミノ機能性化多糖を架橋するための還元糖の使用が単純な還元糖を使用することに制限されないこと、ならびに、多様な異なる還元糖誘導体
もまた、本発明の架橋多糖マトリックスおよび混成マトリックスを得るために成功裏に使用しうることを示す。
【0163】
実験シリーズ03/110/1−4
実験03/110/1
5mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。該スラリーを、架橋剤溶液を該スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、8mLのDI水に溶解した160mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する架橋剤溶液と混合した。6.5mLの生じる混合物を40mLの100%エタノールに注ぎかつボルテックス攪拌した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で1日間回転した。インキュベーション期間の終了時に40mLのDI水および2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を該混合物に混合しながら添加し、そして生じる混合物を9000rpmで20分間遠心分離してペレットを得た。
【0164】
実験03/110/2
該実験は、40mLの1−ヘキサノールを40mLの100%エタノールの代わりに使用したことを除き、上の実験03/110/1について記述されたとおり実施した。
【0165】
実験03/110/3
該実験は、40mLの1−ブタノールを40mLの100%エタノールの代わりに使用したことを除き、上の実験03/110/1について記述されたとおり実施した。
実験03/110/4
該実験は、40mLの2−プロパノールを40mLの100%エタノールの代わりに使用したことを除き、上の実験03/110/1について記述されたとおり実施した。
【0166】
実験03/110/4、03/110/4、03/110/4および03/110/4の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0167】
実験シリーズ03/131/2−5
実験03/131/2
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。該スラリーは、架橋剤溶液を該スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、6mLのDI水に溶解した140mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する架橋剤溶液と混合した。3.5mLの生じる混合物を40mLの酢酸エチルに注ぎ、そして生じる反応混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で1日間回転した。インキュベーション期間の終了時に40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を混合しながら該混合物に添加し、そして生じる混合物を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去してペレットを得た。
【0168】
実験03/131/3
該実験は、40mLのアセトン(ジメチルケトン)を40mLの酢酸エチルの代わりに使用したことを除き、上の実験03/131/2について記述されたとおり実施した。
【0169】
実験03/131/4
該実験は、40mLの1−ヘキサノールを40mLの酢酸エチルの代わりに使用したことを除き、上述された実験03/131/2について記述されたとおり実施した。
【0170】
実験03/131/5
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。該スラリーは、架橋剤溶液を該スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、6mLのDI水に溶解した140mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する架橋剤溶液と混合した。8.0mLの生じる混合物を40mLのトルエンに注ぎ、そして生じる反応混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で6日間回転した。インキュベーション期間の終了時に、反応混合物に30mLの100%エタノールを添加すること、混合することおよび7000rpmで20分間の遠心分離により、トルエンを洗い流した。エタノール洗浄および遠心分離をもう2回反復した。生じるペレットを、25mLのDI水および20mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)の混合物で3回洗浄し、そして7000rpmで20分間遠心分離した。最終洗浄段階は、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)に該ペレットを再懸濁すること、および7000rpmで20分間の遠心分離により実施した。上清を除去しかつペレットを試験のため保管した。
【0171】
実験03/1310/2、03/131/3、03/131/4および03/131/5の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0172】
実験03/146/2
2mLの100%エタノール中の100mgのAFHA I 150のスラリーを調製した。100mgのDL−グリセルアルデヒドを40.0mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で1日間回転した。インキュベーション期間の終了時に該混合物を10,000rpmで15分間遠心分離し、上清を除去し、ペレットを40mLのDI水に再懸濁し、そして生じる懸濁液を室温で12時間放置した。該混合物をその後7000rpmで10分間遠心分離し、そして、ペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)への再懸濁混合および7000rpmで10分間の遠心分離により2回洗浄した。結果として生じるペレットを37℃の温度で3日間インキュベーターに入れた。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0173】
実験シリーズ05/08/2−4
実験05/08/2
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。100mgのDL−グリセルアルデヒドを3mLのDI水に溶解した。AFHA I 150スラリーは、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。5.0mLの生じる混合物を40mLのジクロロメタンに注ぎ、そして生じる反応混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で1日間回転した。インキュベーション期間の終了時に35mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を物質に添加しかつ混合し、そして生じる懸濁液を7000rpmで15分間遠心分離しかつ上清を除去した。ペレットを試験のため取っておいた。
【0174】
実験05/08/3
該実験は、40mLのヘキサンを40mLのジクロロメタンの代わりに使用したことを除き、上の実験05/098/2について記述されたとおり実施した。
【0175】
実験05/08/4
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。100mgのDL−グリセルアルデヒドを3mLのDI水に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。5.0mLの生じる混合物を40mLのジエチルエーテルに注ぎ、そして生じる反応混合物を水浴中に入れ、そして30℃で2日間振とうした。水浴インキュベーション期間の終了時に、35mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を生じる物質に添加しかつ混合して、物質を懸濁させた。生じる懸濁液を7000rpmで15分間遠心分離し、そして上清を除去した。最終洗浄段階は40mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)で行った。該混合物をその後20000rpmで45分間遠心分離しかつ上清を除去した。
【0176】
実験05/08/2、05/08/3および05/08/4で得られたペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴を下の表5に要約する。
【0177】
HAを包含する混成マトリックスの付加的な例
ブタ線維性コラーゲンを米国特許第6,682,760号明細書に詳述されるとおり調製した。
【0178】
実験03/94/2
5mLの100%エタノール中の80mgのAFHA I 150のスラリーを調製した。架橋剤溶液は、2.5mLのDI水に溶解した40mgのDL−グリセルアルデヒドを包含した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れることにより架橋剤溶液と混合した。加えて、0.4mLの原線維状コラーゲンストック溶液(35mg/mL原線維化緩衝液の濃度を有する)を該混合物に添加し、そして生じる混合物をボルテックス攪拌して均質な混合物を得た。生じる混合物を40mLの100%エタノールに添加した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で3日間回転した。インキュベーション期間の終了時に混合物を9000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。残存するペレットを40mLのDI水で洗浄し、そして20000rpmで30分間遠心分離した。結果として生じるペレットを、25mLの生理学的NaCl溶液(0.9%NaCl)と合わせ、そして24000RPMで1分間turrax均質化した。均質化した混合物を9000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。生じるペレットを試験のため取っておいた。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および生じる混成マトリックスのペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0179】
実験シリーズ04/37/23−29
100%エタノール中のAFHA I 150のスラリーを表3に従って調製した。DL−グリセルアルデヒドを、下の表3に開示されるところの量で1.0mLのDI水に溶解した。AFHA I 150スラリーを、2.0mLの原線維状ブタコラーゲンの溶液(原線維化緩衝液1mLあたり35mgのコラーゲンの濃度を有する)に継続的ボルテックス攪拌を伴いゆっくりと添加し、各実験のコラーゲンの総量を表3に示す。その後、1mLの架橋剤溶液をコラーゲン/AHFA混合物に添加し、そして合わせた混合物を24000RPMで0.5分間turrax均質化して均質な混合物を得た。均質化した混合物を40mLの100%エタノールに添加した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で一夜回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去した。物質を40mLのDI水で1回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離し、そして6000rpmで15分間の遠心分離を伴い40mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)で2回洗浄した。実験04/37/23、04/37/24、04/37/25、04/37/26、04/37/27、04/37/28および04/37/29の多様な反応混合物の調製において使用した物質の正確な量、ならびに複素粘度の実験的測定値を下の表3に要約する。
【0180】
実験04/39/30、04/41/31、04/44/32、04/48/34、04/52/35および04/52/36
100%エタノール中のAFHA I 150のスラリーを調製した。各実験のスラリーの組成は下の表3に詳述する。DL−グリセルアルデヒド(架橋剤として使用する)を、表3に指定される量で1.0mLのDI水に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、AFHA溶液へのコラーゲン溶液のボルテックス攪拌を伴うゆっくりの添加することにより、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)に懸濁したある量の原線維状ブタコラーゲンと混合した。各実験で使用する原線維状コラーゲンの量は表3に示す。架橋剤(DL−グリセルアルデヒド)溶液をその後、攪拌しながらコラーゲン/AFHA混合物に添加した。全実験の生じる反応混合物を24000RPMで0.5分間turrax均質化して均質な混合物を得た。40mLの100%エタノールを、生じる反応混合物のそれぞれに添加した。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で一夜回転した。インキュベーション期間の終了後に上清を除去した。
【0181】
生じるペレットのそれぞれを40mLのDI水で1回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離し、そしてその後40mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)で2回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離した。洗浄したペレットのそれぞれをその後25mLの生理学的NaCl溶液と混合し、そして24000RPMで0.5分間turrax均質化した。turrax均質化後に、均質化した混合物のそれぞれを6000rpmで15分間遠心分離しかつ上清を除去した。生じるペレットを試験した。生じるペレットの各1種の複素粘度を上に詳細に開示されるとおり測定した。多様な反応混合物の調製において使用する物質の量、および複素粘度の実験的測定値を表3に要約する。
【0182】
【表5】
【0183】
実験04/55/1
2mLの100%エタノール中の150mgのAFHA IV 150のスラリーを調製した。150mgのD(−)−フルクトースを5.0mLの原線維状ブタコラーゲン(原線維化緩衝溶液1mLあたりおよそ3mgのコラーゲンの濃度を有する)に溶解した。AFHA I 150スラリーを、継続的ボルテックス攪拌を伴い原線維状コラーゲン/D(−)−フルクトース懸濁液と混合した。生じる混合物を24000RPMで0.5分間turrax均質化して均質な混合物を得た。均質化した混合物を35mLの100%エタノールおよび0.5mLの酢酸(10% v/v)に添加した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で6時間回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去した。残存するペレットを25mLの生理学的NaCl溶液と混合し、そして24000RPMで0.5分間turrax均質化した。均質化した混合物を6000rpmで15分間遠心分離しかつ上清を除去した。結果として生じるペレットを40mLのDI水で1回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離し、そしてその後、40mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)で2回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離した。該ペレットを37℃で3日間インキュベートした。
【0184】
生じるペレットについて実験的に測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0185】
実験03/145/2
2mLの100%エタノール中に150mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。105mgのDL−グリセルアルデヒド、および5.0mgのウシ心からのチトクロームCを3.0mLのDI水に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液を該AFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤およびタンパク質溶液と混合した。ボルテックス攪拌した混合物を40mLのエタノールに添加した。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で2日間回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去し、そして、生じる物質を、40mLの生理学的NaCl溶液に再懸濁すること、振とうすること、および7000rpmで10分間の遠心分離により3回洗浄した。結果として生じるペレットを、18G、22Gおよび25G針を通す連続押出(針あたり1回)により均質化した。押出後に物質を40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)で洗浄しかつ7000rpmで10分間遠心分離した。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および生じるペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0186】
実験03/145/2の結果は、コラーゲン以外のタンパク質が糖化によりアミノ機能性化多糖に成功裏に架橋されうることを示す。それはまた、コラーゲンと実質的に異なるタンパク質を本発明の混成架橋マトリックスの形成において使用しうることも示す。
【0187】
こうしたタンパク質/アミノ多糖糖化マトリックスの形成は、異なるタンパク質を選択することにより生じる混成マトリックスの流動学的特性を改変するために有利でありうるのみならず、しかしまた(限定されるものでないが、酵素、成長を促進する若しくは成長を阻害するタンパク質、多様なシグナル伝達タンパク質およびペプチドなどを挙げることができる)生物学的に活性のタンパク質をマトリックス中に有利に組み込むためにも有用でありうる。
【0188】
実験03/146/1
2mLの100%エタノール中に150mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。105mgのDL−グリセルアルデヒドおよび3mLのヘパリン−M(およそ40mg)を3.0mLのDI水に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、ヘパリンを含有する架橋剤溶液と混合した。
【0189】
該混合物を40mLの100%エタノールに添加した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で2日間回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去し、そして、生じる物質を、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と合わせた40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)と混合すること、振とうすることおよび7000rpmで10分間の遠心分離により2回洗浄した。結果として生じるペレットを、18G、22Gおよび25G針を通す連続押出(針あたり1回)により均質化し、そして37℃のインキュベーターに3日間入れた。生じる物質はクリーム状しかし堅固な不透明ゲルであった。
【0190】
生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0191】
実験03/146/1の結果は、還元糖での架橋を、異なるアミノ多糖およびアミノ機能性化多糖(還元糖により架橋されることが可能なアミノ基を含有する)ならびにそれらの誘導体の多様な混合物に適用しうることを示す。架橋されたマトリックス内の多様な多糖の特定の型および/若しくは比を制御することにより、こうした混合膜の物理、化学および生物学的特性を制御かつ改変することが可能でありうるため、こうした混合架橋マトリックスは有利でありうる。
【0192】
実験シリーズ05/02/1−2
実験05/02/1
2mLの100%エタノール中に150mgのAFHA II 150を含有するスラリーを調製した。10mLのDI水に溶解した50mgのDL−グリセルアルデヒドを含
有する溶液を、架橋剤溶液をスラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、AFHA II 150溶液と混合した。生じる混合物を40mLの100%エタノールに注いだ。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で5時間回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去し、そして残存するペレットを35mLのDI水で洗浄しかつ7000rpmで10分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で2回洗浄し、再懸濁しかつ7000rpmで10分間遠心分離した。該結果は約30mLの軟質の透明ゲルであった。このゲルを、15mLの100%エタノールに再懸濁すること、および10000rpmで30分間の遠心分離により4回洗浄した。生じるペレットを、0.5mLの酢酸溶液(DI水中10%)と混合した35mLの100%エタノール中に移し、そして該混合物を37℃のインキュベーターに入れかつ24時間回転した。インキュベーションの終了時に上清を除去した。残存する物質をDI水で洗浄しかつ37℃で1時間放置した。該サンプルをその後10000rpmで30分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ10000rpmで15分間遠心分離した。該ペレットを、18G、20G、22G、25G、27Gおよび30G針を連続的に通過させることにより均質化し、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ10000rpmで15分間遠心分離した。該ペレットをシリンジに入れそして37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後に、該物質を複素粘度の測定のため試験した。
【0193】
実験05/02/2
該実験は、使用した架橋剤溶液が10mLのDI水に溶解した100mgのD(−)−フルクトースを包含したことを除き、上の実験05/02/1で記述されたとおり実施した。第一のインキュベーション段階は40mLの軟質の透明ゲルを生じた。
【0194】
実験05/02/1および05/02/2で得られた最終的ペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0195】
実験05/15/1
2mLの100%エタノール中の150mgのAFHA III 150のスラリーを調製した。架橋剤溶液は10mLのDI水に溶解した150mgのD(−)−フルクトースを包含した。
【0196】
AFHA III 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA III 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより架橋剤溶液と混合した。生じる混合物を40mLの100%エタノールに注いだ。該反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で12時間、およびその後室温で追加の2日間回転した。インキュベーションの終了時に上清を除去した。残存する物質を、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLのDI水で洗浄しかつ8000rpmで15分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した30mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ10000rpmで15分間遠心分離した。該サンプルを、Whatman(R)濾紙No.113(カタログ番号1113 320)を使用して濾過した。濾過後、該サンプルを37℃で3日間インキュベートしかつ試験した。該実験は約4.0mLのわずかに不透明のゲルを生じた。実験05/15/1で得られた最終的ペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0197】
実験05/18/1
2mLの100%エタノール中の150mgのAFHA III 150のスラリーを調製した。架橋剤は7mLのDI水に溶解した150mgのD(−)−フルクトースであった。該AFHA III 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA III 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。該混合物を、0.5mLの酢酸(DI水中10%)と混合した40mLの100%エタノールに注いだ。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で12時間、およびその後室温で追加の2日間回転した。インキュベーション後に上清を除去した。残存する物質を、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLのDI水で洗浄しかつ8000rpmで15分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した30mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ10000rpmで15分間遠心分離した。該サンプルを、Whatman(R)濾紙No.113を使用して濾過し、そして18ゲージ針を通して押出すことにより均質化した。均質化後にサンプルを37℃で3日間インキュベートした。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0198】
実験シリーズ05/22/1−4
それぞれ2mLの100%エタノール中に75mgのAFHA IV 150を含有する4種のスラリー(スラリー1〜4)を調製した。2種の異なる架橋剤溶液を、その後、後に続くとおり調製した。すなわち
A.220mgのD(−)−フルクトースを7mLのDI水に溶解した。
B.7mLのDI水中の140mgのD(−)−フルクトース。
(それぞれ実験05/22/1および05/22/3の)サンプル1および3のAFHA
IV 150スラリーをそれぞれ3.5mLの架橋剤溶液A.と混合し、また、(それぞれ実験05/22/2および05/22/4の)サンプル2および4のAFHA IV
150スラリーを3.5mLの架橋剤溶液B.と混合した。
【0199】
全4サンプル中の混合は、均質な混合物を得るための継続的ボルテックス攪拌を伴いAFHA IV 150スラリーに架橋剤溶液を添加することにより実施した。
【0200】
(それぞれ実験05/22/1および05/22/2の)サンプル番号1および2を24000RPMで0.5分間turrax均質化した。該4混合物のそれぞれを40mLの100%エタノールに個別に注いだ。生じる4種の反応混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で2日間回転した。インキュベーション後に上清を除去した。生じるペレットをそれぞれ、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、そして3000rpm(遠心機:Kubota KS−8000、スイングバケットローターRS 3000/6、ステンレス鋼製バケット53592)で5分間遠心分離した。生じる4種のペレットをそれぞれ、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ3000rpmで15分間遠心分離した。生じる4種のペレットを37℃で3日間インキュベートした。実験05/22/1、05/22/2、05/22/1および05/22/2の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0201】
実験シリーズ05/23/1、2
2mLの100%エタノール中の75mgのAFHA IV 150のスラリーを調製した。70mgのD(−)−フルクトースを5mLのDI水に溶解した。
【0202】
各AFHA IV 150スラリーを、均質な混合物に達せさせるためのAFHA IV 150スラリーのボルテックス攪拌の間に架橋剤溶液を添加することにより、2.5mLの架橋剤溶液と一体化した。
【0203】
サンプル番号2を24000RPMで0.5分間turrax均質化した。各混合物を40mLのエタノールに添加した。生じる混合物をインキュベーターに移しかつ37℃で2日間回転した。その後上清を除去した。残存物を、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄しかつ3000rpm(遠心機:Kubota KS−8000、スイングバケットローターRS 3000/6、ステンレス鋼製バケット53592)で5分間遠心分離した。結果として生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ3000rpmで15分間遠心分離した。該サンプルをその後37℃で3日間インキュベートした。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0204】
酵素的分解抵抗性アッセイ
分解抵抗性アッセイは、Carbohydrate Analysis:A Practical Approach、第2版:M.F.ChaplinとJ.F.Kennedy、IRL Press、Oxford University Press、英国、1994、(ISBN 0−19−963449−1P)pp.324(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるところのヒアルロニダーゼ消化およびウロン酸/カルバゾールアッセイ法を使用して実施した。
【0205】
いくつかの上で開示された実験のヒアルロニダーゼ消化実験の結果を図10に示す。2種の消化実験を実施した:
【0206】
1a)架橋HAの消化
実験05/02/02から生じる架橋アミノ機能性化HA(1mLあたり25.6mgのD(−)−フルクトースで架橋したAFHA II 150の濃度を有する)のおよそ100μLの5サンプルを、それぞれ500μLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)、および10μLのDI水に溶解した10単位のヒアルロニダーゼと混合した。全サンプルを37℃でインキュベートした。正確なサンプル容量は下の表4Aの第二列に示す。該サンプルを、消化を開始した後連続する1時間間隔でインキュベーションから取り出し、各取り出したサンプルを、物質を1分間ボルテックス攪拌すること、およびHeraeus“biofuge pico”遠心機(カタログ番号75003280、Heraeus #3325Bローターを使用する、遠心機およびローターはKendro Laboratory Products、独国から商業的に入手可能である)中13000rpmで5分間遠心分離することにより均質化した。25μLの生じる上清および225μLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を使用してカルバゾールアッセイを実施した。架橋HA消化試験の結果を表4Aに要約する。
【0207】
1b)Perlane(R)ロット番号7576の消化
20mg/mLの濃度を有するおよそ100μLのPerlane(R)(ロット番号7576)の5サンプルを、それぞれ、500μLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)、および10μLのDI水に溶解した10単位のヒアルロニダーゼと混合し、そして該サンプルを37℃でインキュベートした。サンプルの正確な容量は下の表4Bの第二列に示す。該サンプルを、消化を開始した後連続する1時間間隔でインキュベーションから取り出した。取り出したサンプルのそれぞれを、該物質を1分間ボルテックス攪拌すること、および同一のHeraeus“biofuge pico”遠心機での13000rpmで5分間の遠心分離により均質化した。25μLの生じる上清および225μLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を使用してカルバゾールアッセイを実施した。カルバゾールアッセイ手順に従って、吸光度を各サンプルについて525nmで測定した。
【0208】
実験05/02/02からのD(−)−フルクトースで架橋したアミノ機能性化HAマトリックスの例示的一サンプル、およびPerlane(R)の商業的に得られるサンプルのin vitroでのヒアルロニダーゼ分解に対する抵抗性%を消化時間(時間で)の関数として具体的に説明する図解のグラフである図12に、今や参照がなされる。図12のグラフの縦軸は、ヒアルロニダーゼ分解に対する抵抗性(開始HA量のパーセントで表す、時間0のHAの開始量からの指定された消化時間後に残存するHAの量)を表し、また、横軸は分解時間を時間で表す。図12で、曲線70は実験05/02/02で得られるマトリックスの消化結果を表し、また、72と標識された曲線はPerlane(R)(ロット番号7576)の消化結果を表す。図12のグラフから、実験05/02/02で製造したマトリックスは、Perlane(R)の試験した商業的サンプルの抵抗性よりはるかに優れているヒアルロニダーゼ分解に対する抵抗性を有することが見られうる。
【0209】
例えば、5時間の消化後に実際上全部のPerlane(R)が消化された一方、実験05/02/02で製造したマトリックスのサンプルのおよそ68%が未消化のままであった。Perlane(R)消化試験の結果もまた表4Bに要約する。
【0210】
【表6】
【0211】
【表7】
【0212】
【表8】
【0213】
【表9】
【0214】
【表10】
【0215】
実験05/82/1
150mgのAFHA II 150を440mLのDI水に溶解し、そして該溶液を丸底フラスコに移した。10mgのD(−)−フルクトースを10mLの生理的食塩水に溶解した。生じる溶液を該AFHA II 150溶液と混合し、そして生じる混合物を真空下でのフラスコの回転によりゆっくりと蒸発させた。濃縮した混合物(およそ2mL)を軽度真空下に37℃で2日間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に30mLの生理的食塩水をフラスコの内容物に添加し、そして真空なしで1時間回転した。生じるゲルを取り出し、Whatman濾紙(No.113)を通して濾過し、そして該ゲルを生理的食塩水で希釈することにより6mLの最終容量にもたらした。該物質をその後16G、18G、20G、21Gおよび22G針を通して連続して押出した。各押出段階を3回反復した。生じる粒子は帯黄色でありかつ堅固な粘度を有した。
【0216】
実験シリーズ09/95/1−4
実験09/95/1
合計量200mgのAFHA II 150を含有するAFHA II 150の溶液(1mg/mL)の水性サンプルを調製した。1.2mLの原線維状ブタコラーゲンの溶液(16.5mg/mL)を該サンプルに添加した。10mLの生理的食塩水に溶解した100mgのD(−)−フルクトースをその後コラーゲン/AFHA II 150混合物に添加した。生じる混合物を、タービンスターラー(IKA(R)−Werke,GmbH & Co.、独国から商業的に入手可能なモデルR 1312タービンスターラー)で800rpmで1分間攪拌し、ステンレス鋼製トレイに移しかつ凍結乾燥した。凍結乾燥後にサンプルをエタノール/DI水混合物(90:10 v/v)で覆いかつ37℃で6時間インキュベートした。インキュベーション後に該物質をエタノール/DI水混合物(90:10 v/v)で3回洗浄し、サンプルを排出することにより溶媒を除去し、そして該サンプルを凍結乾燥により乾燥した。2mLの生理的食塩水を凍結乾燥した物質に添加し、そして該混合物を37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、該サンプルを16G針を通して押出し、4mLの生理的食塩水を添加し、そして該物質を再度18Gおよび20G針を通して押出した。
【0217】
実験09/95/2
該実験は、使用したD(−)−フルクトースの量が130mgであったことを除き、上の実験09/95/1について記述されたとおり実施した。
【0218】
実験09/95/3
該実験は、使用したD(−)−フルクトースの量が160mgであったことを除き、上の実験09/95/1について記述されたとおり実施した。
【0219】
実験09/95/4
該実験は、使用したD(−)−フルクトースの量が100mgであり、かつ、コラーゲンを添加しなかったことを除き、上の実験09/95/1について記述されたとおり実施した(本実験は、コラーゲンを伴わず架橋したAFHA II 150の対照であった)。
【0220】
実験シリーズ09/102/1−6
(2.85mg/mL DI水の濃度の)AFHA II 150の水性溶液を、合計量300mgのAFHA II 150を含有するサンプルを調製するのに使用した。1.8mLの原線維状コラーゲンの溶液(16.5mgコラーゲン/mL原線維化緩衝液の濃度を有する)を(それぞれ実験09/102/2−5の)サンプル2〜5に添加した。1.8mLの原線維化緩衝液を、コラーゲン溶液の代わりにサンプル1に添加した(コラーゲンを含まない対照−実験09/102/1)。5.0mLの生理的食塩水中のD(−)−フルクトースの溶液(生理的食塩水1mlあたり40mgのD(−)−フルクトースの濃度を有する)を該6サンプルのそれぞれに添加し、そして該サンプルを混合した。全部の生じる反応混合物をタービンスターラーで800rpmで1分間攪拌し;個別のステンレス鋼製トレイに移しかつ凍結乾燥した。凍結乾燥後に(それぞれ実験09/102/1、09/102/2および09/102/3の)サンプル1、2および3をエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で覆い、そして37℃で6時間インキュベートした。(それぞれ実験09/102/1、09/102/2および09/102/3の)サンプル1、2および3のそれぞれをエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で3回洗浄し、サンプルを排出することにより溶媒を除去し、そして該サンプルを凍結乾燥により乾燥した。(それぞれ実験09/102/4、09/102/5および09/102/6の)サンプル4、5および6は洗浄しなかった。
【0221】
2mLの生理的食塩水をサンプル1〜6のそれぞれに添加し、そしてサンプルの全部を37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後に全サンプルを16G針を通して1回押出した。4mLの生理的食塩水を、押出したサンプルのそれぞれに添加し、そしてサンプルのそれぞれを、18G針を通して1回および20G針を通して1回連続して押出した。
【0222】
実験シリーズ09/102/1−6の実験のそれぞれで使用した物質の詳細な量および反応条件を下の表6に示す。
【0223】
【表11】
【0224】
実験09/102/1−6から生じるゲルのいくつかの特性を上の表5に示す。
実験シリーズ11/40/1、2
下述される実験11/40/1および11/40/2で使用されるキトサン基剤(base)は、NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロからProtasan UP B 80/200として商業的に入手可能である。
【0225】
実験11/40/1
300mgのAFHA II 150を含有するAFHA II 150の水性溶液(1.0mg/mL)を調製した。0.1M HCl(pH5−原線維化緩衝液を添加することにより調節した)に溶解した30mgのキトサンを含有する溶液、および10mLの生理的食塩水に溶解した330mgのD(−)−フルクトースを、混合しながらAFHA II 150溶液に添加した。該混合物を、タービンスターラーを用いて800rpmで1分間攪拌し、ステンレス鋼製トレイに移しかつ凍結乾燥した。凍結乾燥後にサンプルをエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で覆いかつ37℃で6時間インキュベートした。生じる物質をエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で3回洗浄し、排出することにより溶媒を除去し、そして凍結乾燥によりサンプルを乾燥した。4mLの生理的食塩水を凍結乾燥した物質に添加し、そして該物質を37℃で3日間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、サンプルを16G針を通して押出し、8mLの生理的食塩水を添加し、そして該混合物を再度18G針および20G針を通して連続して押出した。
【0226】
実験11/40/2
該実験は、AFHA II 150溶液を、0.1M HCl(pH5−原線維化緩衝液を添加することにより調節した)に溶解した60mgのキトサン、および10mLの生理的食塩水に溶解した360mgのD(−)−フルクトースと混合したことを除き、上の実験11/40/1について記述されたとおり実施した。生じる物質は堅固な粘度および灰白色/黄色を有するゲルであった。
【0227】
実験シリーズ11/40/3−5
実験11/40/3
300mgのAFHA II 150を含有するAFHA II 150の水性溶液(1.0mg/mL)を調製した。1.1ミリモル(237mg)のD(+)−グルコサミン塩酸塩の溶液を10mLの生理的食塩水に溶解したを該水性AFHA II 150溶液と混合した。該混合物をタービンスターラーを用いて800rpmで1分間攪拌し、ステンレス鋼製トレイに移しかつ凍結乾燥した。凍結乾燥後に、該サンプルをエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で覆いかつ37℃で6時間インキュベートした。生じる物質をエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で3回洗浄し、排出することにより溶媒を除去しかつサンプルを凍結乾燥により乾燥した。4mLの生理的食塩水を凍結乾燥した物質に添加し、そして該物質を37℃で3日間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、サンプルを16G針を通して押出し、8mLの生理的食塩水を添加し、そして、該混合物を再度18G針および20G針を通して連続して押出した。生じる物質は堅固な粘度および灰白色/黄色を有するゲルであった。
【0228】
実験11/40/4
該実験は、使用した還元糖が(グルコサミン塩酸塩の代わりに)396mg(1.1ミリモル)のマルトース一水和物であったことを除き、上の実験11/40/3について記述されたとおり実施した。生じる物質は、堅固な粘度および灰白色/黄色を有するゲルであった。
【0229】
実験11/40/5
該実験は、使用した還元糖が(D(+)−グルコサミン塩酸塩の代わりに)396mg(1.1ミリモル)のD(+)−ラクトース一水和物であったことを除き、上の実験11/40/3について記述されたとおり実施した。生じる物質は、堅固な粘度および灰白色/黄色を有するゲルであった。
【0230】
制限された数の還元糖の型を上で開示される例示的実験で使用した一方、多くの他の型の還元糖および/若しくは還元糖の誘導体を、本発明の架橋マトリックスを製造するための架橋剤として使用しうることが指摘される。こうした還元糖は、限定されるものでないが、アルドース、ケトース、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオース。グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0231】
本発明の架橋マトリックスを作成するのに使用しうる他の型の還元糖は、とりわけ、米国特許第5,955,438号、同第6,346,515号および同第6,682,760号明細書、ならびに公開国際特許出願第WO 2003/049669号明細書(全部のものは全部の目的上そっくりそのまま引用することにより本明細書に全部組み込まれる)に開示される還元糖および還元糖誘導体である。
【0232】
本発明の一態様により、適する還元糖誘導体もまた本発明のマトリックスの架橋に使用しうることがさらに指摘され、こうした誘導体は、限定されるものでないがD−リボース−5−リン酸、グルコサミン、および当該技術分野で既知のいずれかの他の型の他の還元糖誘導体を挙げることができる。上の還元糖およびそれらの誘導体のいずれかのエステルおよび塩もまた、単独で若しくは上に開示される還元糖型とのいずれかの適する組合せで
使用しうる。
【0233】
本発明の付加的な態様により、使用される還元糖(1種若しくは複数)は右旋性、左旋性、ならびに右旋性および左旋性の形態の混合物でありうることがなおさらに指摘される。1種若しくはそれ以上の還元糖のラセミ混合物もまた使用しうる。加えて、多様な光学活性の異性体の形態(鏡像異性体)ならびに/若しくはそれらのいずれかの混合物および組合せを包含する、1個若しくはそれ以上の非対称(キラル)炭素原子を含有するいかなる還元糖もまた、本発明の方法およびマトリックスで使用しうる。
【0234】
本発明の付加的な一態様により、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖、ならびに/または多様なアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖のいずれかの混合物、ならびに/あるいはアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖の1種若しくはそれ以上のタンパク質(ならびにまたはいずれかの所望の添加物)とのいずれかの混合物を架橋するのに1種以上の還元糖を使用しうることが当業者により認識されるであろう。例えば、制限しない一例により、AHFA I 150はD(−)−リボースおよびD(+)−ソルボースの混合物として架橋しうる。同様に、本発明の別の態様により、キトサンおよびAHFA I 150の混合物は、マルトース、グルコースおよびフルクトースを含有する混合物中で架橋しうる。なお別の例示的態様において、AHFA、コラーゲンおよびヘパリンの混合物を、リボース、グルコサミンおよびD−リボース−5−リン酸を包含する架橋剤の混合物で架橋しうる。これらの態様は例としてのみ示され、そして、使用される多糖の数および型、ならびに架橋反応混合物に包含される還元糖の数および型を変化させることにより、多くの他の変形および改変が可能である。
【0235】
上に開示される特定の架橋反応は制限された例示的範囲の溶媒および溶媒混合物を利用する一方で、本発明の架橋反応で使用される溶媒系で多くの改変および変形がなされうることが当業者により認識されるであろう。従って、本発明のマトリックスを形成するのに使用される架橋反応は、水性溶液、緩衝水性溶液、水および/若しくは水性緩衝溶液ならびに1種若しくはそれ以上の有機溶媒を包含する溶液、1種若しくはそれ以上の非水性溶媒を包含する非水性溶液などで実施しうる。上に開示される実際の実験から見られうるとおり、使用される非水性溶媒は極性および/若しくは親水性および/若しくは水と混合可能な溶媒でありうるが、しかし、多様な異なる非極性、非疎水性および水と実質的に混合可能でない溶媒(1種若しくは複数)もまた包含しうる。原則として、いずれかの溶媒若しくは溶媒の組合せを包含するいずれの型の溶媒系も本発明の架橋反応を実施するのに使用しうるが、但し、合理的な注意を溶媒の選択で使用する。
【0236】
例えば、溶媒は、好ましくは(しかし義務的にでなく)、(いかなる妨害する副反応も有害でないか、または実際に耐えられ得る若しくはなお望ましい場合を除き)架橋反応に悪影響を及ぼしうる若しくはそれらを妨害しうる過度に化学反応性の基若しくは部分を含有すべきでない。同様に、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖と一緒に架橋されているいかなるタンパク質および/若しくはポリペプチドの望ましくない変性も回避するのに使用する溶媒(1種若しくは複数)の型の選択に注意を払うべきである。こうした予防措置を念頭に置けば、ほぼいかなる型の溶媒若しくは溶媒混合物若しくは溶媒系も、本発明の架橋反応を実施するのに使用しうる。
【0237】
従って、本発明のマトリックスは、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖、ならびに/または多様なアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖のいずれかの混合物、ならびに/またはアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖の1種若しくはそれ以上のタンパク質とのいずれかの混合物のいずれかの適する組合せを、還元糖および/若しくは還元糖誘導体のいずれかの所望の組合せで架橋することにより形成しうる。全部のこうした組合せおよび変更は本発明の範囲内にあると考えられる。こうした多様な組
合せの使用は、いずれかの所望の応用にマトリックスを適合させるために、生じる架橋マトリックスの化学および/若しくは物理および/若しくは流動学的および/若しくは生物学的特性の微調整に有利に使用しうる。生じるマトリックスの特性は、従って、とりわけ、使用されるアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖の数および特性、使用されるタンパク質の数および型(使用される場合)、架橋する還元糖の数および型、ならびに該マトリックスに包含されるいずれかの他の添加物の特性に依存しうる。マトリックスの特性は、とりわけ、反応条件、反応温度、pH、使用される溶媒(1種若しくは複数)の型、および反応混合物中に存在しかつ/若しくは架橋後に該マトリックスに添加されるいずれかの添加物の存在若しくは非存在によってもまた影響されうることもまた指摘される。
【0238】
架橋反応混合物中で使用される溶媒(1種若しくは複数)は、(限定されるものでないが、実験09/95/1および実験09/102/1−6の生理的食塩水溶液中で使用されるNaCl、若しくは実験2、12/1および37/1−3ならびに上で詳細に開示されたところの他の実験で使用されるPBSを挙げることができる)最低1種のイオン化可能な塩を包含しうることが指摘される。イオン化可能な塩(1種若しくは複数)は前記溶液のイオン強度を制御するために有用であることができ、そして、タンパク質が反応溶液のイオン強度に感受性である場合にタンパク質を包含する混成マトリックス形成方法の実施において有利でありうる。当該技術分野で既知のいずれかの適するイオン化可能な塩(1種若しくは複数)を使用して、当該技術分野で公知であるとおり反応溶液のイオン強度を制御しうることが指摘される。使用しうるイオン化可能な塩のいくつかの制限しない例は、当該技術分野で既知であるところの、多様なアルカリ金属塩、アルカリ金属ハロゲン化物、多様な異なる金属硫酸塩および/若しくはリン酸塩、多様な異なるアンモニウム塩などを包含する。しかしながら、当該技術分野で既知のいずれかの他の適する型のイオン化可能な塩(1種若しくは複数)もまた、本発明の架橋反応で使用しうる。
【0239】
上述された新規架橋反応の生成物を、多様な異なる架橋多糖に基づくマトリックスおよび多糖/タンパク質に基づく混成マトリックスを得るのに使用しうることが指摘される。こうしたマトリックスは、いずれかの所望の形状の固体の形態のマトリックス、ならびに/若しくは限定されるものでないが、いずれかの所望の大きさおよび形状のマトリックス粒子、マイクロスフェア、ミクロ粒子の注入可能なおよび注入可能でない懸濁液を挙げることができるいずれかの形態の注入可能な製剤として得ることができるか、あるいはそれらを提供するように(こうしたマトリックスから固形若しくは半固形物品を形成するための型および/若しくは圧縮ならびに/または乾燥および/若しくは凍結乾燥の適する使用、ならびに/あるいは当該技術分野で既知のいずれかの他の方法により)適して加工しうる。固体の形態のマトリックスは、限定されるものでないが、シート、チューブ、膜、スポンジ、フレーク、ゲル、ビーズ、ミクロスフェア、ミクロ粒子、ならびに、本発明の糖化方法を使用して架橋することにより得られうる(限定されるものでないが多糖/タンパク質混成マトリックスを挙げることができる)上で開示された多糖に基づくマトリックス型のいずれかから作成される他の関係する幾何学的形態を挙げることができる。
【0240】
(糖で架橋された多糖および糖で架橋された混成タンパク質/多糖マトリックス双方を包含する)上述された新規架橋反応の生成物は、該架橋マトリックスをさらなる処理および/または1種若しくはそれ以上の加工段階にかけることにより、さらに加工かつ/若しくは処理かつ/若しくは改変しうることが指摘される。こうした処理および/若しくは改変は、限定されるものでないが、乾燥、凍結乾燥、脱水、臨界点乾燥、(造形された物品を形成するための)型での成型、滅菌、(マトリックスの流動特性および注入可能性を改変若しくは改良するための)均質化、(流動学的特性および注入の容易さを改変するための)機械的剪断、(滅菌の目的上および/若しくは付加的な架橋を実施するためおよび/若しくは他の目的上の)電離放射線による照射、(滅菌の目的上および/若しくは付加的
な架橋を実施するためおよび/若しくは他の目的上の)電磁放射線による照射、(例えば組織の嵩増しおよび/若しくは組織増強ならびに/または他の目的上注入可能な製剤を形成するためのような)製薬学的に許容できるベヒクルとの混合、熱的手段(オートクレーブ処理など)による滅菌、(限定されるものでないが過酸化水素、オゾン、エチレンオキサイドなどを使用する滅菌を挙げることができる)化学的手段による滅菌、添加物での含浸、ならびに/あるいはこうした加工段階のいずれかの組合せを挙げることができる。
【0241】
さらに、上で開示される付加的な処理若しくは加工段階のいずれかの適する組合せを、本明細書に開示される新規の糖で架橋されたマトリックスのいずれかの所望の改変かつ/若しくは乾燥かつ若しくは造形された物品および/若しくは製剤を提供するために、いずれかの適する順序で使用しうる。全部の上述された処理方法は当該技術分野で公知であり、そして従って下で詳述されない。
【0242】
本発明の混成マトリックスはいずれかの特定の型のコラーゲンの使用に制限されないことがさらに指摘される。むしろ、限定されるものでないが、天然のコラーゲン、線維性コラーゲン、線維性アテロペプチドコラーゲン、テロペプチド含有コラーゲン、凍結乾燥コラーゲン、動物供給源から得られたコラーゲン、ヒトコラーゲン、哺乳動物コラーゲン、組換えコラーゲン、ペプシン処理コラーゲン、再構成コラーゲン、ウシアテロペプチドコラーゲン、ブタアテロペプチドコラーゲン、脊椎動物種から得られたコラーゲン、組換えコラーゲン、遺伝子的に工作若しくは改変されたコラーゲン、I、II、III、V、XI、XXIV型コラーゲン、IX、XII、XIV、XVI、XIX、XX、XXI、XXIIおよびXXVI型線維付随性コラーゲン、VIIIおよびX型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII、XVII、XXIIIおよびXXV型コラーゲン、XVおよびXVIII型コラーゲン、遺伝子的に改変された真核生物若しくは原核生物細胞または遺伝子的に改変された生物体により製造される人工的に製造したコラーゲン、精製されたコラーゲンおよび再構成された精製されたコラーゲン、線維性コラーゲンの粒子、線維性再構成アテロペプチドコラーゲン、遺伝子的に改変された真核生物若しくは原核生物細胞または遺伝子的に改変された生物体により製造される人工的に製造したコラーゲン、精製されたコラーゲンおよび再構成された精製されたコラーゲン、線維性コラーゲンの粒子、線維性再構成アテロペプチドコラーゲン、細胞培地から精製されたコラーゲン、遺伝子的に工作された植物由来のコラーゲン、コラーゲンのフラグメント、プロトコラーゲン、ならびに上で列挙されたコラーゲン型のいずれかの組合せを挙げることができる、いかなる所望の型のコラーゲンも、上で開示されるところの本発明の混成マトリックスの形成において使用しうる。
【0243】
本出願で開示される混成マトリックスが、上で実験的に示されたところのコラーゲンおよびチトクロームCの使用に制限されないことが、当業者により認識されるであろう。むしろ、本発明の混成マトリックスは、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖に加え、1種若しくはそれ以上の還元糖架橋剤および/若しくは還元糖誘導体架橋剤によりアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖に架橋可能であるいずれかの適する型のタンパク質(1種若しくは複数)および/またはポリペプチド(天然若しくは合成の)を包含するマトリックスを包含しうる。こうした架橋可能なタンパク質若しくはポリペプチドは、限定されるものでないが、コラーゲン、コラーゲンスーパーファミリー、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、構造タンパク質、血液由来タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、天然のタンパク質、合成タンパク質、ホルモン、成長因子、軟骨成長を促進するタンパク質、骨成長を促進するタンパク質、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲンから選択されるタンパク質、およびそれらの多様な異なる組合せを挙げることができる。
【0244】
本発明の一局面により、本発明の架橋多糖マトリックスは、適する製薬学的添加物およ
び/若しくは製薬学的に許容できるベヒクル(1種若しくは複数)を含む若しくは含まない、適する注入可能な製剤に処方しうる。こうした注入可能な製剤は(適する針を伴う若しくは伴わない)適するシリンジ中に包装しうる。こうした充填済の滅菌済シリンジは、限定されるものでないが皺襞平滑化の応用、組織増強、組織の嵩増しなどを挙げることができる多様な美顔的および医学的応用で有用でありうる。
【0245】
本発明の付加的な一態様により、本発明のマトリックスは、限定されるものでないが、医薬品、薬物、タンパク質、ポリペプチド、麻酔薬、抗菌薬(anti−bacterial agent)、抗菌薬(anti−microbial agent)、抗ウイルス薬、抗真菌薬(anti−fungal agent)、抗真菌薬(anti−mycotic agent)、抗炎症薬、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、多様な細胞外マトリックス成分、ホルモン、成長因子、トランスフォーミング因子、受容体若しくは受容体複合体、天然のポリマー、合成ポリマー、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、薬物、治療薬、抗炎症薬、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質糖タンパク質、ムコタンパク質、ムコ多糖、マトリックスタンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、タンパク質、ペプチド、ホルモン、遺伝子治療のための遺伝物質、核酸、化学修飾核酸、オリゴヌクレオチド、リボ核酸、デオキシリボ核酸、キメラDNA/RNA構築物、DNA若しくはRNAプローブ、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然若しくは人工的に製造されるオリゴヌクレオチドを包含する組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、細胞取り込みおよび転写を促進するのに必要とされるウイルスおよびウイルス以外のベクター、グリコサミノグリカン、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、レシチン豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグリカン、シンデカン、β−グリカン、バーシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、fibulin、トロンボスポンジン−5、酵素、酵素阻害剤、抗体を挙げることができる剤および物質で、ならびに、上の物質および/または当該技術分野で既知のいずれかの他の型の特性を改変する剤若しくは物質のいずれかの組合せにより、化学的かつ/若しくは物理的かつ/若しくは生物学的に改変しうる。加えて、若しくは、あるいは、剤(1種若しくは複数)または物質(1種若しくは複数)は架橋前に反応混合物に添加することができ、そして、該架橋反応をその後、該剤(1種若しくは複数)または物質(1種若しくは複数)を形成された架橋マトリックス内に組み込みかつ/若しくは架橋して該マトリックスの特性を変えるように、該剤(1種若しくは複数)または物質(1種若しくは複数)の存在下で実施しうる。
【0246】
こうした添加された物質は、当該技術分野で公知であるところのいずれかの適する架橋剤により多糖マトリックスに共有結合しうる。あるいは、若しくは加えて、こうした改変物質は、本明細書に記述される架橋過程の間に反応混合物中に包含されることができ、そして従って、架橋多糖に基づくマトリックス若しくは混成マトリックス内に捕捉されうるか若しくはそれらに組み込まれうる。
【0247】
本明細書に記述される架橋マトリックスは、当該技術分野で既知のいずれかの化学的若しくは生物学的修飾剤に該マトリックスをさらすことによりさらに改変されうることが、当業者により認識されるであろう。例えば、限定されるものでないが、架橋後に架橋されたマトリックス成分上に残存するアミノ基および若しくは/カルボキシ基、ならびに/またはヒドロキシル基を挙げることができる遊離官能基のいくつか若しくは全部を、マトリックス特性をさらに制御するために、(限定されるものでないがアミノ基および/若しくはカルボキシ基、ならびに/またはヒドロキシ基および/若しくはニトロ基、ならびに/またはクロロおよび/若しくはブロモおよび/若しくはヨード基、ならびに/またはペルオキソ基および/若しくはペリオド基および/若しくはペルクロロ基、ならびに/または同様のいずれかの他の化学基および/若しくは化学的部分を挙げることができる)他の化学基若しくは部分を化学的に導入してこうした基をさらに改変するように、化学的に若しくは酵素で処理しうる。こうした可能な架橋後修飾の例は、限定されるものでないが、架橋マトリックスの多糖バックボーンまたは混成マトリックスのいずれかの包含される架橋されたタンパク質若しくはポリペプチドのタンパク質バックボーン上に存在する遊離ヒドロキシル若しくはカルボキシ基のエステル化、多糖若しくはポリペプチドバックボーン上のいずれかの遊離アミノ基のアセチル化、あるいは当該技術分野で既知のいずれかの他の型の官能基の化学若しくは酵素的修飾反応を挙げることができる。こうした修飾の化学は当該技術分野で公知であり、そして従って下で詳細に開示されない。
【0248】
こうした官能基修飾は、マトリックスを特定の所望の応用に適合させるために(限定されるものでないが疎水性、親水性、多様な選択されたpHレベルでの正味電荷、マトリックスの多孔性、マトリックスの水吸収能力、in vivoおよび/若しくはin vitroでの酵素的分解に対する抵抗性などを挙げることができる)マトリックスの特性をさらに改変かつ微調整するのに有用でありうる。修飾されているマトリックスを、生物適合性を必要とする用途に意図している場合は、十分な程度の生物適合性を確保するために、修飾されている化学基の選択、および該マトリックスの構造に導入されているいずれかの化学基の性質に注意を払うべきであることを念頭に置くべきである。しかしながら、高い程度の生物適合性を必要としないマトリックスの他の応用においては、上に列挙された基および(限定されるものでないがアゾ基、アジド基ニトロソ基などを挙げることができる)当該技術分野で既知のいずれかの他の化学基の多くを、該マトリックスの構造および特性のさらなる改変を提供するために該マトリックスの構造に導入しうる。
【0249】
本発明のマトリックスの付加的な一態様により、上述された若しくは本明細書に開示される方法を使用して製造した架橋マトリックスのいずれにも生存細胞を添加しうる。生存細胞は、該マトリックス中に包含された若しくは埋め込まれた1個若しくはそれ以上の生存細胞を含有する架橋マトリックスを形成するために、架橋の間若しくは後に添加しうる。
【0250】
本発明のマトリックスの付加的な一態様により、マトリックスに包含される生存細胞は、脊椎動物軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、脊椎動物幹細胞、胚性幹細胞、成体組織由来幹細胞、脊椎動物前駆細胞、脊椎動物線維芽細胞、マトリックスタンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、タンパク質、ホルモン、ペプチドの1種若しくはそれ以上を分泌するよう遺伝子的に工作された細胞、タンパク質、ペプチド、ホルモン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、糖タンパク質、ムコタンパク質およびムコ多糖よりなる群から選択される1種若しくはそれ以上の分子に対する受容体を発現するよう工作された1種若しくはそれ以上の型の生存細胞でありうる。数種の型の異なる細胞の組合せもまた本発明のマトリックスに包含しうる。
【0251】
本発明の多様な態様により、本出願の方法により得られる架橋多糖に基づくマトリックスは、限定されるものでないが、(in vivoおよびin vitroでの応用のための)組織工学で使用可能なマトリックス足場構造、医薬品および生物製剤(生物学的に活性のタンパク質、遺伝子、遺伝子ベクターなど)のための制御送達系、誘導される組織および骨再生のための膜、(限定されるものでないが皺襞充填ならびに他の美顔的および審美的目的上の注入可能な製剤を挙げることができる)組織増強および/若しくは美顔的使用のための注入可能かつ/若しくは埋植可能な嵩増し剤および/若しくはプロテーゼ装置、天然のおよび/若しくは再構成および/若しくは人工臓器を固定するための包被、限定されるものでないが人工乳房を挙げることができる人工組織若しくは臓器の製造のための増量材料を挙げることができる多様な応用での、ならびに、他の天然若しくは人工ポリ
マー構造、材料および/若しくはマトリックス、あるいは他の天然の若しくは合成の有機および無機化合物ならびに/若しくはポリマー、ならびに/または上の物質の全部の組合せと組合せた本発明の架橋多糖を含んでなる混成材料の成分としての使用に適しうる。
【0252】
上で開示された反応およびサンプル調製の多くで使用される緩衝液はリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)であった一方、これは本発明を実施するための義務では決してないことが、当業者により認識されるであろう。従って、多くの異なる型の緩衝液ならびに若しくは緩衝溶液および緩衝溶媒を、本発明の多糖に基づくマトリックスおよび/若しくは多糖/タンパク質に基づく混成マトリックスを製造するための材料製造手順および/若しくは架橋反応を実施するのに使用しうる。例えば、本発明の製造法および架橋反応で使用しうる他の例示的緩衝剤は、限定されるものでないが、クエン酸/クエン酸緩衝剤、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(BIS−TRIS)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、および当該技術分野で既知の多くの他の型の緩衝剤を挙げることができる。しかしながら、上述される架橋反応を妨害しうる活性化学基若しくは部分を該緩衝剤が包含しないことを確実にするために、緩衝剤の組成の選択(使用する場合)に注意を払うべきである。こうした緩衝剤、および使用のためのそれらの選択の考慮は当該技術分野で公知であり、そして文献に広範囲に記述され、そして従って本明細書で詳細に開示されない。
【図面の簡単な説明】
【0253】
本発明を理解しかつそれが実務においてどのように実施されうるかを理解するために、いくつかの好ましい態様を、制限しない例としてのみ、付随する図面を参照して今や記述することができる。
【図1】本発明の方法の一態様により得られた、破線曲線により表されるアミノ機能性化ヒアルロン酸(AFHA)および実線曲線により表されるDL−グリセルアルデヒドで架橋したAFHAのUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。
【図2】本発明の方法の態様により得られた、破線曲線により表されるD(−)−リボースで架橋したAFHA、実線曲線により表されるD(−)−エリトロースで架橋したAFHA、および点線曲線により表されるD(−)−アラビノースで架橋したAFHAのUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。
【図3】本発明の方法の態様により得られた、実線曲線により表される架橋されていないキトサン、破線曲線により表されるD(−)−リボースで架橋したキトサン、および点線曲線により表されるDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンのUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。
【図4】本発明の方法の態様による、点線曲線により表されるヒアルロン酸、破線曲線により表されるAFHA、および実線曲線により表されるDL−グリセルアルデヒドで架橋したAFHAのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを表す図解のグラフである。
【図5−7】数種の商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づくマトリックスの流動学的特性と比較した、本発明の方法の態様による、多様な異なるDL−グリセルアルデヒド濃度で多様な時間架橋したAFHAに基づく多糖の6種の異なる組成物の流動学的特性の測定の結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図8】本発明の一態様による、多様な異なる濃度のDL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化HAの膨潤挙動を測定することの結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図9】本発明の一態様よる、多様な異なる濃度のDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンの膨潤挙動を測定することの結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図10】DL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化HAおよび商業的に得られるPerlane(R)のヒアルロニダーゼによる消化のカルバゾールアッセイの結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図11】Perlane(R)試験サンプルの10倍希釈について補償するためにPerlane(R)の吸光度値を10により乗算した、図10のカルバゾールアッセイの結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図12】D(−)−フルクトースで架橋したアミノ機能性化HAマトリックスの例示的一サンプルおよびPerlane(R)のin vitroでのヒアルロニダーゼ消化に対する抵抗性%を消化時間の関数として具体的に説明する図解のグラフである。
【技術分野】
【0001】
関連出願との関係
本出願は、2005年9月2日出願の米国仮出願第60/713390号(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)からの優先権およびその利益を主張する。
【0002】
本発明は、全般として、架橋多糖に基づくマトリックスおよび調製物、ならびに、より具体的には、還元糖およびそれらの誘導体を架橋剤として使用するアミノ多糖およびアミノ機能性化(amino−functionalized)多糖の新規架橋方法、ならびに本方法を使用することにより形成される架橋された多糖マトリックスおよび調製物に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒアルロン酸をベースとする若しくは他のアミノ糖をベースとする生成物の性能は、一方で宿主内でのそれらの機能の寿命を制御すること、および他方で天然のヒアルロン酸(HA)若しくは他の多糖成分の生物学的特性の保存に依存する。HA若しくは他の多糖成分の機能の寿命は、ヒアルロニダーゼ、若しくは宿主に存在するいずれかの他の多糖分解酵素による特異的酵素的分解に抵抗するその能力に依存する。この能力は、HA若しくは他の多糖に基づくポリマー内の分子内および分子間架橋の数に直接関係する。典型的に、より多数の架橋はこうした酵素的分解に対するより高い抵抗性をもたらす。
【0004】
多糖および/若しくは多糖の誘導体および/若しくは人工的に機能性化された形態の多糖を架橋するための当該技術分野で既知の選択すべき例示的架橋剤は、例えば1,4ブナンジオールジグリシジルエーテルのような二官能性(若しくは多官能性)リンカー、多様な他の合成二官能性架橋剤、および他の関係する非生理学的剤であった。これらの架橋剤は、多糖分子のアミノ基若しくは他の官能基と反応して分子間架橋を形成する。しかしながら、これらの苛酷な剤は、多糖分子のコンホメーションの変化および架橋剤から溶脱することにより引き起こされうる、架橋多糖に基づく生物生成物の生物適合性および生物学的活性に対する負の影響を有しうる。従って、非生理学的剤により架橋された多糖生成物は何らかの程度の抗原性を表しうる、さらに、局所腫脹、そう痒、一過性若しくは長期の紅斑、浮腫、肉芽腫形成、表層性壊死蕁麻疹およびざ瘡状病変を包含する局所の炎症およびより複雑な全身反応は、商業的に存在する架橋多糖生成物で審美的に処置される患者の小さい割合で不利な副作用となりうる。
【0005】
加えて、該生成物を注入のため懸濁液、ゲル若しくは乳液の形態で処方する場合に、当該技術分野で既知の人工的架橋剤の使用は、該注入可能な製剤の所望の流動学的特性とともに酵素的分解に対する満足すべき抵抗性を有する架橋生成物を得ることを常に可能にはしないとみられる。
【発明の開示】
【0006】
[発明の要約]
従って、本発明の一態様により架橋多糖の製造方法が提供される。該方法は、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖ならびに/またはそれらの組合せから選択される最低1種の多糖を最低1種の還元糖と反応させて架橋多糖を形成することを包含する。
【0007】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の多糖は、天然に存在するアミノ多糖、合成アミノ多糖、アミノヘテロ多糖、アミノホモ多糖、アミノ機能性化多糖、ならびにそれら
の誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化ヒアルロン酸ならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化ヒアルロナンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、キトサンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにそれらのエステルおよび塩、ヘパリンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化グリコサミノグリカンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0008】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の還元糖は、アルドース、ケトース、アルドースの誘導体、ケトースの誘導体、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトースおよびタロース、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、誘導体化された形態のオリゴ糖、誘導体化された形態の単糖、単糖のエステル、オリゴ糖のエステル、単糖の塩、オリゴ糖の塩、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオース、グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、D−リボース−5−リン酸、グルコサミン、ならびにそれらの組合せから選択される。
【0009】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の還元糖は、右旋性の形態の最低1種の還元糖、左旋性の形態の最低1種の還元糖、ならびに右旋性および左旋性の形態の最低1種の還元糖の混合物から選択しうる。
【0010】
さらに、本発明の一態様により、反応させることは、最低1種の溶媒および最低1種の還元糖を包含する溶液中で最低1種の多糖をインキュベートして架橋多糖を形成することを含んでなる。
【0011】
さらに、本発明の一態様により、溶液は最低1種の緩衝剤を包含する緩衝溶液である。
【0012】
さらに、本発明の一態様により、溶媒は該溶液のpHを制御するための最低1種の緩衝剤を包含する水性緩衝溶媒である。
【0013】
さらに、本発明の一態様により、溶媒は該溶液のイオン強度を制御するための最低1種のイオン化可能な塩を包含する水性溶媒である。
【0014】
さらに、本発明の一態様により、溶媒(1種若しくは複数)は、有機溶媒、無機溶媒、極性溶媒、非極性溶媒、親水性溶媒、疎水性溶媒、水に混合可能な溶媒、水に混合可能でない溶媒、およびそれらの組合せよりなる群から選択される最低1種の溶媒を包含する。
【0015】
さらに、本発明の一態様により、溶媒は、水、ならびに親水性溶媒、極性溶媒、水に混合可能な溶媒およびそれらの組合せから選択される最低1種の付加的な溶媒を包含する。
【0016】
さらに、本発明の一態様により、溶媒は、水、リン酸緩衝生理的食塩水、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエン、およびそれらの組合せよりなる群から選択される。
【0017】
さらに、本発明の一態様により、反応させることは、架橋可能なアミノ基を有する最低
1種のタンパク質および/若しくはポリペプチドを、最低1種の多糖および最低1種の還元糖に添加して、混成架橋マトリックスを形成することを包含する。
【0018】
さらに、本発明の一態様により、架橋可能なアミノ基を有する最低1種のタンパク質および/若しくはポリペプチドは、コラーゲン、コラーゲンスーパーファミリー、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、構造タンパク質、血液由来タンパク質糖タンパク質、リポタンパク質、天然のタンパク質、合成タンパク質、ホルモン、成長因子、軟骨成長を促進するタンパク質、骨成長を促進するタンパク質、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲンから選択されるタンパク質、およびそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0019】
さらに、本発明の一態様により、コラーゲンは、天然のコラーゲン、線維性コラーゲン、線維性アテロペプチドコラーゲン、テロペプチド含有コラーゲン、凍結乾燥コラーゲン、動物供給源から得られたコラーゲン、ヒトコラーゲン、哺乳動物コラーゲン、組換えコラーゲン、ペプシン処理コラーゲン、再構成コラーゲン、ウシアテロペプチドコラーゲン、ブタアテロペプチドコラーゲン、脊椎動物種から得られたコラーゲン、組換えコラーゲン、遺伝子的に工作若しくは改変されたコラーゲン、I、II、III、V、XI、XXIV型コラーゲン、IX、XII、XIV、XVI、XIX、XX、XXI、XXIIおよびXXVI型線維付随性コラーゲン、VIIIおよびX型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII、XVII、XXIIIおよびXXV型コラーゲン、XVおよびXVIII型コラーゲン、遺伝子的に改変された真核生物若しくは原核生物細胞または遺伝子的に改変された生物体により製造される人工的に製造したコラーゲン、精製されたコラーゲンおよび再構成された精製されたコラーゲン、線維性コラーゲンの粒子、線維性再構成アテロペプチドコラーゲン、細胞培地から精製されたコラーゲン、遺伝子的に工作された植物由来のコラーゲン、コラーゲンのフラグメント、プロトコラーゲン、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0020】
さらに、本発明の一態様により、反応させることは、最低1種の添加物を最低1種の多糖および最低1種の還元糖に添加して、最低1種の添加物を含有する架橋マトリックスを形成することを包含する。
【0021】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の添加物は、医薬品、薬物、タンパク質、ポリペプチド、麻酔薬、抗菌薬(anti−bacterial agent)、抗菌薬(anti−microbial agent)、抗ウイルス薬、抗真菌薬(anti−fungal agent)、抗真菌薬(anti−mycotic agent)、抗炎症薬、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、多様な細胞外マトリックス成分、ホルモン、成長因子、トランスフォーミング因子、受容体若しくは受容体複合体、天然のポリマー、合成ポリマー、DNA、RNA、オリゴヌクレオイチイド、薬物、治療薬、抗炎症薬、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質糖タンパク質、ムコタンパク質、ムコ多糖、マトリックスタンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症薬、タンパク質、ペプチド、ホルモン、遺伝子治療のための遺伝物質、核酸、化学修飾核酸、オリゴヌクレオチド、リボ核酸、デオキシリボ核酸、キメラDNA/RNA構築物、DNA若しくはRNAプローブ、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然若しくは人工的に製造されたオリゴヌクレオチドを包含する組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、細胞取り込みおよび転写を促進するのに必要とされるウイルスおよびウイルス以外のベクター、グリコサミノグリカン、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、レシチン豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグリカン、シンデカン、β−グリカン、バーシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、fibulin、トロンボスポンジン−5、酵素、酵素阻害剤、抗体、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0022】
さらに、本発明の一態様により、反応することは、前記架橋の前、間若しくは後に、最低1種の多糖および最低1種の還元糖に1種若しくはそれ以上の生存細胞を添加して、該マトリックス中に埋め込まれた最低1種の生存細胞を含有する架橋マトリックスを形成することもまたに包含する。
【0023】
さらに、本発明の一態様により、生存細胞は、脊椎動物軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、脊椎動物幹細胞、胚性幹細胞、成体組織由来幹細胞、脊椎動物前駆細胞、脊椎動物線維芽細胞、マトリックスタンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、タンパク質、ホルモン、ペプチドの1種若しくはそれ以上を分泌するよう遺伝子的に工作された細胞、タンパク質、ペプチド、ホルモン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症薬、糖タンパク質、ムコタンパク質およびムコ多糖よりなる群から選択される1種若しくはそれ以上の分子に対する受容体を発現するよう工作された1種若しくはそれ以上の型の生存細胞、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される。
【0024】
さらに、本発明の一態様により、該方法は、架橋多糖を、乾燥、凍結乾燥、脱水、臨界点乾燥、成型、滅菌、均質化、機械的剪断、電離放射線による照射、電磁放射線による照射、製薬学的に許容できるベヒクルとの混合、添加物での含浸、およびそれらの組合せから選択される処理にかけることをさらに包含する。
【0025】
本発明により、架橋多糖の製造方法もまた提供される、該方法は、多糖を1種若しくはそれ以上の反応体と反応させて誘導体化された形態の該多糖を形成する段階を包含する。該誘導体化された形態は1個若しくはそれ以上のアミノ基を含有し、そして誘導体化された多糖を最低1種の還元糖で架橋して架橋多糖を形成すること。
【0026】
さらに、本発明の一態様により、アミノ基は一級アミノ基および二級アミノ基から選択される。
【0027】
さらに、本発明の一態様により、1種若しくはそれ以上の反応体はカルボジイミドを包含する。
【0028】
さらに、本発明の一態様により、1種若しくはそれ以上の反応体は、アジピン酸ジヒドラジドの存在下にカルボジイミドを包含する。
【0029】
さらに、本発明の一態様により、カルボジイミドは1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である。
【0030】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の還元糖は、アルドース、ケトース、およびそれらの組合せから選択される。
【0031】
さらに、本発明の一態様により、最低1種の還元糖は、グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、D−リボース−5−リン酸、グルコサミン、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、誘導体化された形態のオリゴ糖、誘導体化された形態の単糖、単糖のエステル、オリゴ糖のエステル、単糖の塩、オリゴ糖の塩、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオース、ならびにそれらの組合せから選択される。
【0032】
本発明の一態様により、混成架橋マトリックスの製造方法もまた提供される。該方法は、アミノ多糖、アミノ機能性化多糖およびそれらの組合せから選択される最低1種の多糖を、最低1種の架橋可能なタンパク質の存在下で最低1種の還元糖で架橋して混成架橋マトリックスを形成することを包含する。
【0033】
最後に、本発明の態様により、上述された方法により製造された、架橋多糖、ならびに多糖および1種若しくはそれ以上のタンパク質を包含する混成マトリックスもまた提供される。
【0034】
[発明の詳細な記述]
全体で使用される表記法
以下の表記法を本出願を通じて使用する。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明は、in vivoおよびin vitroでの酵素的分解に対する優れた抵抗性ならびに他の有用な流動学的および/若しくは生物学的特性を有する、新規の架橋多糖に基づく生物適合性マトリックスおよび調製物の新規製造方法を開示する。該方法は、とりわけ、アミノ多糖(限定されるものでないがキトサンを挙げることができる)および/若しくはアミノ機能性化多糖(限定されるものでないがアミノ機能性化ヒアルロン酸を挙げることができる)を、D(−)−リボース、DL−グリセルアルデヒド、D(−)−エ
リトロース、D(−)−アラビノース、および当該技術分野で既知の多くの他の型の還元糖のような還元糖で架橋することに基づく。こうした新規架橋マトリックスの例も開示する。
【0037】
本発明は、in vivoおよびin vitroでの酵素的分解に対する優れた特性ならびに他の有用な流動学的および/若しくは生物学的特性を有する、1種若しくはそれ以上のアミノ多糖および/または1種若しくはそれ以上のアミノ機能性化多糖ならびに/または1種若しくはそれ以上のタンパク質(および/若しくはポリペプチド)の混合物を(架橋剤としての)1種若しくはそれ以上の還元糖(1種若しくは複数)で架橋して新規の混成の多糖/タンパク質に基づくマトリックスおよび調製物を形成することにより製造される混成架橋マトリックスの新規製造方法もまた開示する。
【0038】
「多糖」(1種および複数)という用語ならびにそれらの複合形態は、こうした多糖(1種若しくは複数)のいかなる化学修飾された形態および/若しくは誘導体も包含し、ならびに限定されるものでないがこうした多糖若しくはそれらの誘導体化された形態のエステルおよび塩を挙げることができる、いかなる天然に存在するおよび/または人工的に製造(かつ/若しくは人工的に合成)された多糖(1種若しくは複数)も定義するために本明細書で使用する。
【0039】
「アミノ多糖」(1種および複数)という用語ならびにそれらの複合形態は、還元糖により架橋されることが可能な1種若しくはそれ以上のアミノ基を含有するいかなる形態の多糖(1種若しくは複数)も定義するために本明細書で使用する。
【0040】
「アミノ機能性化多糖」(1種および複数)という用語ならびにそれらの複合形態は、とりわけ、還元糖により架橋されることが可能である1個若しくはそれ以上のアミノ基を包含する1個若しくはそれ以上の化学的部分をそれに結合するように化学修飾されているいかなる多糖も定義するのに本明細書で使用する。
【0041】
従って、本明細書に記述される架橋方法は、とりわけ、天然に存在するアミノ多糖、合成アミノ多糖、アミノヘテロ多糖、アミノホモ多糖、アミノ機能性化多糖、ヒアルロン酸およびその誘導体化された形態、ヒアルロナンおよびその誘導体化された形態、キトサンおよびその誘導体化された形態、ヘパリンおよびその誘導体化された形態、ならびにそれらの多様な組合せを架橋するのに使用しうる。開示される方法は、こうしたアミノ多糖およびアミノ機能性化多糖のいずれかの適するエステルおよび塩の架橋を包含する。
【0042】
炭水化物化学の当業者により認識されるであろうとおり、下の特定の実施例および実験に記述されない他の型のアミノ基含有多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖もまた、多様な架橋生成物を提供するために、本明細書に開示される方法により架橋しうる。還元糖(若しくは還元糖誘導体)を使用するこうしたアミノ多糖若しくはアミノ機能性化多糖の架橋は、本発明の方法および生成物の範囲内に包含されることが指摘される。
【0043】
いかなる適する還元糖も本発明の方法で架橋剤として使用しうる。該糖は、単糖、還元端を有する二糖、還元端を有する三糖などでありうる。適する糖はアルドースおよびケトースを包含しうる。単糖を架橋剤として使用する場合、それは三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖でありうるが、しかし7個以上の炭素原子をもつ単糖もまた使用しうる。従って、本発明の新規架橋方法で使用しうる糖は、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、アロース、アルトロース、グルコース、マノース、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、タロースまたはいずれかの他の二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖若しくは十炭糖、およびそれらの多様な適する誘導体化された形態などである。
【0044】
活性のアルデヒド若しくはケト基を有する上述された単糖若しくはオリゴ糖の還元誘導体もまた、本発明で架橋剤として使用しうる。
【0045】
架橋反応の速度は、当該技術分野で既知であるとおり、使用される特定の糖の開環形態に存在するアルデヒド若しくはケト基の平衡濃度に依存しうる。しかしながら、当該技術分野で既知であるとおり、反応時間を単純に延長することにより、ある種の特定の糖の遅い反応速度について補償することが可能でありうる。
【0046】
下述される実験は、こうしたアミノ多糖およびアミノ基で合成で機能性化された多糖の選択された例示的還元糖との典型的な反応を示し、かつ、生じるマトリックスの改良された分解抵抗性および流動学的特性を記述する、制限しない一例である。以下の実験は例としてのみ示されかつ本発明の範囲を制限するために意図していないことが指摘される。従って、当業者に明らかであろうとおり、多糖、機能性化多糖、(架橋剤として使用される)還元糖、反応条件、反応混合物の組成、反応温度、反応時間、ならびに生じる架橋マトリックスの化学、物理、流動学的および生物耐久性(biodurability)の特性は、下に開示される実験にとりわけ記述されるものと異なることがある。
【0047】
ヒアルロン酸(HA)という用語は、ヒアルロン酸それ自身およびその塩若しくは塩の混合物、ならびにとりわけヒアルロネートの塩の双方を示すための包括的名称として以下の本文で使用する。
【0048】
アミノ機能性化ヒアルロン酸という用語は、遊離アミノ基をもつ部分を含有するよう誘導体化された、ヒアルロン酸およびその塩若しくは塩の混合物を示すための包括的名称として以下の本文で使用する。該アミノ基は一級アミノ基および/若しくは二級アミノ基でありうる。アミノ基を含有する部分を導入するための好ましい部位は多糖のカルボキシル基であるが、しかし、こうしたアミノ基を含有する部分を糖環(1個若しくは複数)の他の部位に導入することが可能でありうる。アミノ機能性化は完全である必要はなく、そして、いくつかのカルボキシル基(若しくは、使用される場合は他の誘導体化部位)が誘導体化されないままでありうる。
【0049】
アミノ機能性化多糖という用語は、架橋する還元糖のアルデヒド若しくはケト基と反応しうるアミノ基を含有するいかなる多糖も示す包括的用語として以下の本文で使用する。アミノ基は一級および/若しくは二級アミノ基でありうる。アミノ基は(キトサンでのように)糖環構造に直接配置されうるが、しかし、多糖鎖の糖環の1個若しくはそれ以上の部位すなわち化学基に共有結合される部分の一部でもまたありうる。
【0050】
従って、アミノ基は、機能性化される必要がなくかつ環バックボーンのアミノ基を通じて還元糖で直接架橋されうる、(下で詳細に開示されるところの)キトサンの場合でのように糖環に直接配置されることができる。部分的に脱アセチル化されたキチンに基づくポリマーもまた、遊離アミノ基(一級若しくは二級)を有するいずれの多糖もそうでありうるように、本発明の糖架橋方法を使用して架橋されうることが指摘される。
【0051】
本明細書に開示される実験の結果に従って、限定されるものでないがエタノールを挙げることができる極性の水と混合可能な溶媒の架橋反応混合物への添加が、いかなる極性溶媒も含まない緩衝水性溶液の存在下での架橋と比較して、架橋効率を有意に増大することができかつ反応生成物の改良された分解抵抗性をもたらすことが指摘される。
【0052】
架橋の正確な反応機序および生じる架橋多糖の化学的性質は現在完全には理解されていない一方、該反応は、例えばタンパク質鎖中に存在するリシン若しくはアルギニンまたは
他のアミノ酸の遊離アミノ基とのような、タンパク質のアミノ酸のアミノ基との糖のアルデヒド若しくはケト基の反応に基づき、還元糖を使用してタンパク質分子を架橋する古典的糖化反応に(必ずしも同一でないとは言え)いくぶん類似でありうることが想定される。
【0053】
還元糖のこれらのタンパク質架橋反応は当該技術分野で公知である。こうしたタンパク質架橋反応は、少なくとも部分的に初期反応生成物のアマドリ転位により進行し、黄色若しくは茶褐色の終末糖化産物の形成に至ると考えられる。
【0054】
本発明の発明者は、本出願に開示される実験で得られる架橋多糖の構造を完全には特徴付けしていない一方、生じる架橋多糖の225〜235および285〜355ナノメートルの範囲の特徴的吸光度ピークが、タンパク質糖化生成物および終末タンパク質糖化産物(AGE)にいくぶん類似の(しかし必ずしも同一でない)性質の糖化生成物の存在の指標でありうる。
【実施例】
【0055】
実験で使用する物質
ヘパリンナトリウムEP(バッチ番号9818030)はJUK Kraeber GmbH & Co.、独国ハンブルグから得た。
【0056】
Restylane(R)(ロット番号7349)およびRestylane−Perlane(ロット番号7064)は、Q−Med AB、スウェーデン・ウプサラから商業的に入手可能である。Hylaform(R)Plus(ロット番号R0409は、それらの供給業者INAMED AESTHETICS、アイルランドを通じてGenzyme Biosurgery(Genzyme Corporationの一部門)から商業的に入手可能である。
【0057】
turrax均質化は、別の方法で述べられない限り、IKA(R)−WERKE、独国から商業的に入手可能なモデルULTRA TURRAX(R)T−25(ベーシック)を使用して実施した。
【0058】
全部の凍結乾燥処置は、Heto Labo Equipment、デンマークから商業的に入手可能なモデルFD 8凍結乾燥機を使用して実施した。冷却器温度は−80℃であった。前凍結の間の棚温度は−40℃であった。凍結乾燥のための棚温度は+30℃であった。前凍結時間は8時間であり、また、凍結乾燥時間は24時間であった。凍結乾燥の間の真空はおよそ0.01barであった。
【0059】
下の表1は、本出願に記述される実験で使用する物質の商業的供給源を列挙する。
【0060】
【表2】
【0061】
HAアミノ機能性化手順I
1.4〜1.8MDaの範囲の分子量を有するHA 150(NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号2222003、ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級(Pharma Grade)150として商業的に入手可能)、若しくは0.62〜1.15MDaの範囲の分子量を有するHA 80(NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号222
2002、ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級150として商業的に入手可能)400mgを350mLのDI水に溶解し、7グラムのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHを4.75に調節し、そして該溶液を2時間攪拌した。764mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を2.0mLのDI水に溶解し、そして該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHの変化により反応をモニターし、そして4.75に継続して調節した。pHの変化を検出し得なくなった後に、反応混合物を追加の1時間若しくは一夜放置した。その後該溶液を透析チューブに移し、そしてADHが透析物中で検出されなくなるまでDI水に対し透析した。透析した溶液を3.5リットルの100%エタノール中に移し、2グラムのNaClを添加し、そして該混合物を1時間攪拌した。沈殿された改変されたHAを分離するために、該溶液を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。得られたアミノ機能性化HA(AFHA)は使用するまで4℃で保存した。
【0062】
下述されるAFHAを使用する全部の架橋実験において、HA80を機能性化することから生じるアミノ機能性化HAを下で一貫してAFHA80と称し、また、HA150を機能性化することから生じるアミノ機能性化HAは下で一貫してAFHA I 150と称することが指摘される。この2種のアミノ機能性化HA物質(AFHA80およびAFHA I 150)を、下で開示される全部のHA架橋実験に使用した)。
【0063】
HA架橋手順
下述される全部の実験で、ボルテックス攪拌はvortexTM回転混合機を使用して実施した。全部の遠心分離(別の方法でとりわけ述べられない限り)は、SORVALL(R)Instruments DU PUNT、米国から商業的に入手可能なSORVALL SS−34ローターを伴うモデルRC5C遠心機を使用して行った。
【0064】
第一の数字(実験シリーズ番号を指す)の後にスラッシュ(/)記号、そしてその後該シリーズ内で実施された実際の実験の範囲が続くような、下述される以下の実験のそれぞれを実施した。例えば、下の実験シリーズ32/1−3は、以下の3実験、すなわち実験32/1、実験32/2および実験32/3を包含する。この表記法は本明細を通じて一貫して使用する。
【0065】
実験シリーズ32/1−3
およそ5mgのAFHA80を1mLのDI水に溶解し、そして5mLの100%エタノールを添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のグリセルアルデヒドを、後に続くとおり該AFHA80混合物に添加した:
a)100μLのDI水に溶解した2mgのグリセルアルデヒド(実験32/1)
b)200μLのDI水に溶解した4mgのグリセルアルデヒド(実験32/2)
c)300μLのDI水に溶解した6mgのグリセルアルデヒド(実験32/3)
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そしてインキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。その後該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ1mLのDI水を残存するペレットに添加した。室温で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる架橋生成物は以下の特徴を有した:
a)(実験32/1):500μLの硬質ゲル。
b)(実験32/2):架橋HAと水の間の相分離を伴わない軟質の不透明ゲル(3時間の再遠心分離後に500μLの澄明なゲルをもたらした)。
c)(実験32/2):800μLのゲル。
【0066】
実験33/1
およそ25mgのAFHA80を5mLのDI水に溶解し、25mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌した。500μLのDI水に溶解した10mgのDL−グリセルアルデヒドの溶液を該混合物に添加し、そして生じる混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。インキュベーター中で6時間の回転後に、250μLのDI水に溶解した追加の5mgのグリセルアルデヒドを反応混合物に添加し、そして該混合物をインキュベーターに戻してインキュベーション期間を完了させた。24時間のインキュベーションの終了後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ40mLのDI水および2mLのPBS緩衝液(10mM)をペレットに添加し、そして室温で6時間放置した。該混合物をその後6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる生成物は500μLの硬質の不透明ゲルであった。
【0067】
実験シリーズ35/1−4
およそ5mgのAFHA80を1mLのDI水に溶解し、そして12mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを後に続くとおり添加した:
a)75μLのDI水に溶解した1.5mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/1)。
b)150μLのDI水に溶解した3.0mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/2)。
c)225μLのDI水に溶解した4.5mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/3)。
d)300μLのDI水に溶解した6.0mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/4)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。24時間後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ5mLのDI水を各ペレットに添加した。室温で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる架橋生成物は以下の特徴を有した:
a)(実験35/1)3.4mLの透明ゲル。
b)(実験35/2)3.5mLの透明ゲル。
c)(実験35/3)4.0mLの透明ゲル。
d)(実験35/4)4.0mLの透明ゲル。
【0068】
実験シリーズ37/4−6
およそ5mgのAFHA80を1mLのDI水に溶解しかつ10mLの100%エタノールに添加した。該混合物を1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを後に続くとおり該混合物に添加した:
a)400μLのDI水に溶解した8mgのDL−グリセルアルデヒド(実験37/4)。
b)500μLのDI水に溶解した10mgのDL−グリセルアルデヒド(実験37/5)。
c)600μLのDI水に溶解した12mgのDL−グリセルアルデヒド(実験37/6)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そしてインキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の終了後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ5mLのDI水を各ペレットに添加した。室温で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる架橋生成物は以下の特徴を有した:
a)(実験37/4)2.5mLの透明ゲル。
b)(実験37/5)1.9mLの透明ゲル。
c)(実験37/6)1.5mLの透明ゲル。
【0069】
実験シリーズ38/1−3
およそ5mgのAFHA80を1mLのDI水に溶解し、そして10mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを、後に続くとおり該混合物に添加した:
a)700μLのDI水に溶解した14mgのDL−グリセルアルデヒド(実験38/1)。
b)800μLのDI水に溶解した16mgのDL−グリセルアルデヒド(実験38/2)。
c)900μLのDI水に溶解した18mgのDL−グリセルアルデヒド(実験38/3)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。24時間後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ5mLのDI水をペレットのそれぞれに添加した。37℃で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる架橋生成物は以下の特徴を有した:
a)(実験38/1)1.0mLの透明ゲル。
b)(実験38/1)0.75mLの透明ゲル。
c)(実験38/1)0.50mLの透明ゲル。
【0070】
実験シリーズ41/1−4
およそ5mgのAFHA I 150を5mLのDI水に溶解し、10mLの100%エタノールに添加し、そして1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを、後に続くとおり該混合物に添加した:
a)300μLのDI水に溶解した6mgのDL−グリセルアルデヒド(実験41/1)。
b)400μLのDI水に溶解した8mgのDL−グリセルアルデヒド(実験41/2)。
c)500μLのDI水に溶解した10mgのDL−グリセルアルデヒド(実験41/3)。
d)600μLのDI水に溶解した12mgのDL−グリセルアルデヒド(実験41/4)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。24時間後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ20mLのDI水をペレットのそれぞれに添加した。37℃で30分後に該混合物を6000rpmで20分間再度遠心分離した。a(実験41/1)、b(実験41/2)およびc(実験41/3)の場合に相分離は観察されず;d(実験41/4)の場合に5mLの上清を除去し得た。50mLの1N NaOH溶液をその後全サンプルに添加し、そしてサンプルを再度遠心分離しかつ40mLのPBS緩衝液(10mM、pH7.36)で2回洗浄した。希釈した架橋生成物を各段階後に6000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。結果は後に続くとおりであった。すなわち、サンプルa(実験41/1)、b(実験41/2)およびc(実験41/3)にゲルは残存しなかった。サンプルd(実験41/4)で5mLの透明ゲルが得られた。
【0071】
実験シリーズ42/1−3
およそ5mgのAFHA I 150を5mLのDI水に溶解し、40mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量のDL−グリセルアルデヒドを、後に続くとおり該混合物に添加した:
a)800μLのDI水に溶解した16mgのDL−グリセルアルデヒド(実験42/1)。
b)1000μLのDI水に溶解した20mgのDL−グリセルアルデヒド(実験42/
2)。
c)2000μLのDI水に溶解した40mgのDL−グリセルアルデヒド(実験42/3)。
生じる反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そしてインキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。24時間後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ生じるペレットのそれぞれに40mLのDI水を添加した。室温で30分後に、該混合物のそれぞれを6000rpmで20分間遠心分離した。生じる架橋ゲルは、a)からb)を介しc)まで、増大するゲル粘度を表した(すなわち、実験42/1で生じるゲルは該三者の最低の粘度を有し、実験42/3で生じるゲルは該三者の最高粘度を有し、そして実験42/2で生じるものは該3サンプルの最高および最低の値の間の粘度値を有した)。
【0072】
実験シリーズ44/1−2
およそ5mgのAFHA80を5mLのDI水に溶解し、40mLの100%エタノールに添加しかつ1分間ボルテックス攪拌し、その後、以下の異なる量の多様な還元糖架橋剤を、後に続くとおり該混合物に添加した:
a)2mLのDI水に溶解した44mgのDL−グリセルアルデヒド(実験44/1)。b)2mLのDI水に溶解した44mgのD(−)−リボース(実験44/1)。
反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、インキュベーターに入れかつ37℃で24時間(実験44/1)および37℃で11日間(実験44/2)回転した。インキュベーション期間の終了時に、反応混合物のそれぞれを6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして生じるペレットのそれぞれに40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を添加した。該混合物を室温で30分間放置し、そして6000rpmで20分間遠心分離した。結果は後に続くとおりであった。すなわちa)(実験44/1)軟質の透明ゲルが得られたb)(実験44/2)灰白色ないし帯黄色ゲルが得られた。
【0073】
実験シリーズ53/1−3
およそ50mgのAFHA I 150を2mLのDI水に溶解した。100mgのDL−グリセルアルデヒドを2mLのDI水に溶解した。該2溶液を混合し、そして針を伴わないシリンジを通して5回および18G針を通して2回押出した。該混合物は、最後に18G針を通して以下の量のエタノール中に押出した:
a)20mLの100%エタノール(実験53/1)。
b)30mLの100%エタノール(実験53/2)。
c)40mLの100%エタノール(実験53/3)。
生じる架橋反応混合物のそれぞれをインキュベーターに入れかつ37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の終了時に、溶液のそれぞれを6000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして生じるペレットのそれぞれに20mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を添加した。該混合物をその後37℃で3時間放置し、そして6000rpmで20分間遠心分離した。
【0074】
実験54/1
およそ50mgのAFHA I 150を、150mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解した。該混合物を、22G針を通して繰り返し押出し(6回)、およびその後18G針を通して40mLの100%エタノール中に押出し、インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーション後に該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ20mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。生じる混合物を37℃で2時間放置し、そして該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離した。
【0075】
実験55/1
およそ50mgのAFHA I 150を、150mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解した。該混合物を、22G針を通して繰り返し押出し(6回)、そしてその後、18G針を通して35mLの100%エタノールおよび5mLのDI水の混合物中に押出した。該反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の後に、該混合物を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去しかつ20mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。37℃で2時間後に、該混合物を6000rpmで20分間遠心分離した。生じる白色物質は水の取り込みを示さなかった。
【0076】
実施例60/1
およそ50mgのAFHA I 150を、300mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解し、そして50℃で30分間振とうした。該反応混合物をその後、シリンジ(針を伴わない)を通して40mLの100%エタノール中に押出し、そして生じる混合物を水浴に入れかつ50℃で6時間振とうした。該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離した。生じる反応生成物は2.8mLのゲルであった。
【0077】
実験61/1
およそ50mgのAFHA I 150を、300mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解し、そして該混合物を50℃で60分振とうした。該混合物をその後、シリンジ(針を伴わない)を通して40mLの100%エタノール中に押出し、そして生じる混合物を水浴に入れかつ50℃で5時間振とうした。インキュベーション後に該混合物を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離した。
【0078】
実験62/1
およそ50mgのAFHA I 150を、300mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解し、そして室温で10分間振とうした。該混合物を、シリンジを通して40mLの100%エタノール中に放出し、水浴に入れかつ50℃で24時間振とうした。その後、該溶液を6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加した。該混合物をその後6000rpmで20分間遠心分離した。生じる生成物は1mLの不透明ゲルであった。
【0079】
実験シリーズ65/3−5
およそ50mgのAFHA I 150を:
a)100mgのDL−グリセルアルデヒド(実験65/3)。
b)200mgのDL−グリセルアルデヒド(実験65/4)。
c)300mgのDL−グリセルアルデヒド(実験65/5)
を含有する4mLのDI水に溶解した。生じる反応混合物を、20G針を通して4回押出し、そして反応混合物のそれぞれを、針を伴わないシリンジを通して40mLの100%エタノール中に押出し、そして加熱浴に入れかつ50℃で3時間振とうし、そしてその後インキュベーターに入れかつ37℃で16時間回転した。生じる反応混合物のそれぞれをその後6000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加した。該混合物をその後6000rpmで20分間
再度遠心分離した。生じる反応生成物は、以下の外見:
a)(実験65/3)3.5mLの不透明ゲル。
b)(実験65/3)2.5mLの不透明ゲル。
c)(実験65/3)2.0mLの不透明ゲル。
を有した。
【0080】
実験シリーズ67/1−2
およそ50mgのAFHA I 150を、50mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解した。該物質をシリンジ中で混合し、そして40mLの100%エタノール中に放出した。該混合物をインキュベーターに入れ、そして以下の期間回転した:
a)37℃で2日。(実験67/1)。
b)37℃で3日。(実験67/2)。
インキュベーション期間の後に該溶液を9000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットのそれぞれに添加した。該混合物をその後9000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる反応生成物は:a)2mLの不透明ゲル(実験67/1)およびb)1.6mLの不透明ゲル(実験67/2)であった。
【0081】
実験シリーズ67/4−6
およそ50mgのAFHA I 150を:
a)300mgのD(−)−リボース(実験67/4)。
b)300mgのD(−)−アラビノース(実験67/5)。
c)およそ150mgのD(−)−エリトロース(実験67/6)。
を含有する4mLのDI水に溶解した。該3混合物をそれぞれ、シリンジ中で20G針を何回も通して押出すことにより混合し、そしてその後、それぞれを20G針を通して40mLの100%エタノール中に押出した。該混合物をその後インキュベーターに入れかつ37℃で15日間回転した。インキュベーション後に該混合物を9000rpmで20分間遠心分離し、上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)をペレットに添加し、そして該混合物を9000rpmで20分間再度遠心分離した。生じる反応生成物は後に続くところの特性を示した:
a)(実験67/4)水の取り込みなし−帯黄色繊維
b)(実験67/5)透明ゲル。
c)(実験67/6)水の取り込みなし−白色繊維
【0082】
実験72/1
およそ100mgのAFHA I 150を、100mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する4mLのDI水に溶解した。生じる反応混合物を、18G針を通して4回押出し、そしてその後21G針を通して2回押出した。該混合物を2個の等しい部分に分割した。該2部分のそれぞれを、21G針を通して40mLの100%エタノール中に押出した。生じる混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で3日間回転した。インキュベーション期間の後に、5mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を2混合物のそれぞれに添加し、そして該溶液を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加した。該混合物をその後9000rpmで20分間遠心分離し、そして生じるペレットを合わせた。該実験は、合計(合わせた)容量2.1mLの不透明ゲルをもたらした。
【0083】
実験シリーズ75/1、2
100mgのDL−グリセルアルデヒドを7mLのDI水に溶解した。1.5mLの100%エタノール中の100mgのAFHA I 150のスラリーを、調製したDL−グリセルアルデヒド溶液に添加した。生じる混合物を、18針を通す押出(3回)により均質化し、そして2個の等しい部分に分割した。該2部分のそれぞれを40mLの100%エタノール中に押出した。該混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で3日間回転した。その後、5mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を該2混合物のそれぞれに添加し、そして該溶液を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加した。該2混合物をその後9000rpmで20分間再度遠心分離し、そして該2ペレットを合わせた。
【0084】
実験シリーズ75/3、4
80mgのDL−グリセルアルデヒドを7mLのDI水に溶解した。2mLの100%エタノール中の100mgのAFHA I 150のスラリーを、調製したDL−グリセルアルデヒド溶液に添加した。生じる混合物を、18G針を通す押出(3回)により均質化し、そして2個の等しい部分に分割した。該2部分のそれぞれを40mLの100%エタノール中に個別に押出した。該混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で3日間回転した。その後、5mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、該2反応混合物のそれぞれに添加し、そして該混合物を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加した。該ペレットをその後9000rpmで20分間再度遠心分離し、そして生じるペレットを合わせた。
【0085】
実験77/1
90mgのDL−グリセルアルデヒドを14mLのDI水に溶解した。5mLの100%エタノール中の100mgのAFHA I 150のスラリーを、調製したDL−グリセルアルデヒド溶液に添加した。生じる反応混合物を、18G針を通す押出(3回)により均質化し、そして2個の等しい部分に分割した。該部分のそれぞれを40mLの100%エタノールに添加した。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で3日間回転した。その後、5mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を該混合物のそれぞれに添加し、そして該混合物を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加しかつ混合した。該混合物を9000rpmで20分間再度遠心分離し、そして生じるペレットを合わせた。
【0086】
キトサン架橋手順:
該実験で使用した原線維化(fibrillation)緩衝液は後に続くとおり調製した。すなわち、6.5リットルのDI水を10リットルガラス製容器に入れた。11.3グラムのNaOH(0.04Mの最終濃度のため)および252グラムのNa2HPO4・2H2O(0.2Mの最終濃度のため)を該DI水に溶解した。pHを10N NaOHで11.2に調節した。該溶液の容量をDI水で7リットルに仕上げた。最終のpHをpH11.20〜11.30の範囲に(NaOHで)調節した。
【0087】
実験9/1
およそ181.5mgのキトサンを9.6mLの0.1N HClに溶解した。14mgのDL−グリセルアルデヒドを2.5mLのDI水に溶解し、そしてキトサン溶液と混合した。該混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そして1mLの原線維化緩衝液および9.6mLの100%エタノールを、恒常的攪拌下にキトサン/DL−グリセルアルデヒド混合物にゆっくりと添加した。該反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーションの終了時に、1.4mLのDI水に溶解した28mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する溶液を該混合物に添加し、そして生じる混合物をインキュベーター中に残しかつ37℃で追加の24時間回転した。該混合物をその後7000rpmで15分間遠心分離し、上清を除去し、そして、生じるペレットを30mLの1N HClおよびその後30mLのDI水で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の液体を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。生じるペレットは堅固なゲルの粘度のものであった。
【0088】
実験12/1
グリセルアルデヒドの6種の異なる溶液を、後に続くとおり調製した:
a)2.5mLのDI水中の20mgのDL−グリセルアルデヒド。
b)2.5mLのDI水中の40mgのDL−グリセルアルデヒド。
c)2.5mLのDI水中の60mgのDL−グリセルアルデヒド。
d)2.5mLのDI水中の80mgのDL−グリセルアルデヒド。
e)2.5mLのDI水中の100mgのDL−グリセルアルデヒド。
生じるDL−グリセルアルデヒド溶液a〜eのそれぞれを、196mgのキトサン10mLの0.1N HClを溶解することにより調製した溶液と個別に混合した。生じる6種の反応混合物のそれぞれを1分間ボルテックス攪拌した。該6混合物のそれぞれに、1mLの原線維化緩衝液を恒常的攪拌下にゆっくりと添加し、次いで15mLの70%エタノール/DI水混合物(v/v)をまた恒常的攪拌下にゆっくりと添加した。該反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。24時間のインキュベーション後に、5mLのPBS緩衝液および2.5mLの原線維化緩衝液を反応混合物にゆっくりと添加し、次いでボルテックス攪拌した。該混合物をその後37℃で再インキュベートした。第二のインキュベーションの間に混合物をインキュベーターから2回取り出し、ボルテックス攪拌しかつその後インキュベーターに戻した(PBSおよび原線維化緩衝液を添加した1および2時間後)。該混合物をその後インキュベーター中に残しかつ回転した。37℃での総インキュベーション時間は48時間であった。インキュベーションの完了後に該6サンプル(a〜e)を7000rpmで15分間遠心分離した。上清を除去しかつ生成物を30mLの1N HCl、次いで30mLのDI水で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の溶媒を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。全5種の生じるサンプルは、おそらく糖化生成物の形成による帯黄色(未反応キトサン溶液の初期の帯黄色より濃かった)を表した。観察されたゲル相をもたらす明瞭な相分離はサンプルaおよびbで見出されたのみであった。
【0089】
実験シリーズ35/1−4
以下の4種の異なるDL−グリセルアルデヒド溶液を調製した:
a)75μLのPBSに溶解した15mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/1)。
b)150μLのPBSに溶解した30mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/2)。
c)225μLのPBSに溶解した45mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/3)。
d)300μLのPBSに溶解した60mgのDL−グリセルアルデヒド(実験35/4)。
上の4種のDL−グリセルアルデヒド溶液a〜dのそれぞれを、1mLの0.1N HClに溶解したおよそ20mgのキトサンの溶液と個別に混合し、そして0.1N HClを使用して(pH7.0に)中和した。生じる4種の反応混合物のそれぞれを1分間ボルテックス攪拌し、そして12mLの100%エタノールを各ボルテックス攪拌した反応混合物に恒常的攪拌下に添加した。生じる反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の完了後に反応混合物を700
0rpmで15分間遠心分離した。上清を除去し、そして生じるペレットを10mLの1N HClでそれぞれ洗浄し、次いで5mLのDI水で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の溶媒を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。水とキトサンゲルの間の相分離は、(それぞれ実験37/1、37/2、37/3および37/4の)4サンプルa〜dのいずれでも観察し得なかった。
【0090】
実験シリーズ38/1−6および39/1−4
およそ20mgのキトサンを1mLの0.1N HClに溶解し、そして0.1N NaClを使用して中和した。DL−グリセルアルデヒドの10種の異なる溶液を後に続くとおり調製した:
a)80mgのグリセルアルデヒドを400μLのPBSに溶解した(実験38/1)。b)100mgのDL−グリセルアルデヒドを500μLのPBSに溶解した(実験38/2)。
c)120mgのDL−グリセルアルデヒドを600μLのPBSに溶解した。(実験38/3)。
d)160mgのDL−グリセルアルデヒドを800μLのPBSに溶解した(実験38/4)。
e)200mgのDL−グリセルアルデヒドを1000μLのPBSに溶解した(実験38/5)。
f)240mgのDL−グリセルアルデヒドを1200μLのPBSに溶解した(実験38/6)。
g)300mgのDL−グリセルアルデヒドを1500μLのPBSに溶解した(実験39/1)。
h)350mgのDL−グリセルアルデヒドを1750μLのPBSに溶解した(実験39/2)。
i)400mgのDL−グリセルアルデヒドを2000μLのPBSに溶解した(実験39/3)。
j)500mgのDL−グリセルアルデヒドを2500μLのPBSに溶解した(実験39/4)。
DL−グリセルアルデヒド溶液a〜jのそれぞれをその後、1mLの0.1N HClに溶解したおよそ20mgのキトサンを含有する1mLのキトサン溶液と個別に混合し、そして、0.1N HClを使用して(pH7.0に)中和した。各反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そして10mLの100%エタノールを恒常的攪拌下に反応混合物のそれぞれに添加した。該反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の完了後に反応混合物を7000rpmで15分間遠心分離し、上清を除去し、そして生じるペレットを10mLの1N HClでそれぞれ洗浄し、次いで5mLのDI水(上の実験38/1−6について)若しくは10mLのDI水(上の実験39/1−4について)で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の溶媒を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。実験38/1−6の最終反応生成物では、水と架橋キトサンゲルの間の相分離を観察し得なかった。39/1−4の最終反応生成物では、上清およびキトサンゲルへの相分離が遠心分離後に観察された。実験38/1−6および39/1−4の反応生成物の色は、増大する架橋剤(DL−グリセルアルデヒド)濃度について生じる架橋キトサンゲルの付随する減少する水の取り込みを伴い、灰白色から帯黄色まで変動することが観察された。
【0091】
実験シリーズ40/1−3
本実験では、部分g、iおよびjのみを、後に続くところのDL−グリセルアルデヒド濃度、すなわち
g)300mgのDL−グリセルアルデヒドを1500μLのPBSに溶解した(実験40/1)。
i)400mgのDL−グリセルアルデヒドを2000μLのPBSに溶解した(実験40/2)。
j)500mgのDL−グリセルアルデヒドを2500μLのPBSに溶解した(実験40/3)。
で実施したことを除き、上述された実験39の正確な反復であった。
【0092】
反応条件の残部は、上に詳細に記述されたところの実験シリーズ39/1−4でのとおり正確に実施した。
【0093】
生じるペレットを、生成物の膨潤挙動を測定するのに使用した(該結果は図9に具体的に説明する)。
実験シリーズ44/3−4
a)56mgのDL−グリセルアルデヒドを500μLのDI水に溶解した(実験44/3)。
b)56mgのD(−)−リボースを500μLのDI水に溶解した(実験44/4)。
【0094】
上のaおよびbの溶液のそれぞれを、5mLの0.1N HClにおよそ100mgのキトサンを溶解すること、および0.1N NaClを使用して該溶液を中和することにより調製したキトサン溶液と個別に混合した。2種の生じる反応混合物のそれぞれを1分間ボルテックス攪拌し、そして40mLの100%エタノールと混合した。該反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で24時間(実験44/3)若しくは37℃で12日間(実験44/4)回転した。2種の異なるインキュベーション期間が完了した後に、反応混合物を7000rpmで15分間遠心分離し、上清を除去し、そしてペレットを40mLの1N HClで洗浄し、次いで10mLのDI水で洗浄した。各洗浄段階は、過剰の溶媒を除去するためのサンプルの遠心分離を包含した。双方の実験は軟質ゲルをもたらした。実験44/3から生じるゲルでは、DL−グリセルアルデヒドで架橋したゲルは、実験44/4から生じるD(−)−リボースで架橋したゲルのものより鮮やかな帯黄色を有した。
【0095】
架橋多糖の分光学的特徴付け
今や図1〜4に参照がなされる。図1〜3に具体的に説明されるグラフで、縦軸はサンプルの吸光度を表し、そして横軸は波長をnmで表す。図4に具体的に説明されるグラフでは、縦軸はサンプルの吸光度を表し、そして横軸は(cm−1の単位の)波長を表す。
【0096】
アミノ機能性化ヒアルロン酸(AFHA)(破線曲線10により表される)およびDL−グリセルアルデヒドで架橋したAFHA(実線曲線20により表される)のUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである図1は、本発明の方法の一態様に従って得た。破線曲線は、アミノ機能性化HA(上で詳細に開示されたとおり製造したAFHA I 150)のサンプルのスペクトルを表し、そして、実線曲線は、上述されたところの実験72/1で得られたDL−グリセルアルデヒドで架橋した生成物のスペクトルを表す。AFHA I 150サンプルと対照的に、架橋多糖サンプルは、架橋反応での糖化生成物の形成を示しうる225〜235nmおよび285〜355の範囲の強い吸光度を表す。
【0097】
図2は、本発明の方法の態様に従って得た、D(−)−リボースで架橋したAFHA(破線曲線30により表される)、D(−)−エリトロースで架橋したAFHA(実線曲線32により表される)およびD(−)−アラビノースで架橋したAFHA(点線曲線34により表される)のUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。D(−)−リボースで架橋したHAのサンプルは実験67/1のサンプルから得た。D(−)−エリトロースで架橋したHAのサンプルは実験67/6のサンプルから得た。D(−)−アラビノースで架橋したHAのサンプルは実験67/2のサンプルから得た。
【0098】
ピークの移動は、おそらく、HAを架橋するのに使用した異なる還元糖の結果である。各糖はそれ自身の特定の鎖長およびコンホメーション(該反応で形成される最終的な終末糖化産物(AGE)に対する影響を有する)を有する。
【0099】
図3は、本発明の方法の態様に従って得た、架橋されていないキトサン(実線曲線40により表される)、D(−)−リボースで架橋したキトサン(破線曲線42により表される)、およびDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサン(点線曲線44により表される)のUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。架橋されていないキトサン(曲線40)のサンプルは上の表1に示されるとおりAldrichから得た。D(−)−リボースで架橋したキトサン(曲線42)のサンプルは実験44/4のサンプルから得た。DL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサン(曲線44)のサンプルは実験44/3のサンプルから得た。
【0100】
未修飾(架橋されない)キトサンを含むサンプルと対照的に、D(−)−リボースおよびDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンの2サンプルは、290nm付近で高められた吸光度を表した(おそらく、想定される糖化生成物およびおそらくAGEの典型的な吸光度を示す。
【0101】
図4は、本発明の方法の態様によるヒアルロン酸(点線曲線46により表される)、破線曲線48により表されるAFHA、および実線曲線50により表されるDL−グリセルアルデヒドで架橋したAFHAのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを表す図解のグラフである。
【0102】
該点線曲線はヒアルロン酸(HA150)のIRスペクトルを表す。破線曲線はアミノ機能性化HA(AFHA I 150)のIRスペクトルを具体的に説明する。実線曲線は、実験33/1で得られたDL−グリセルアルデヒドで架橋したHAのサンプルのスペクトルを表す。図4のIRスペクトルは、カルボキシル(COO−)基の吸光度の範囲、ならびに、範囲1610〜1550cm−1および1420〜1300cm−1のこれらの吸光度と重なり、それらの環境に依存してより高若しくは低波数に移動しうるアミドおよびアミン基の吸光度(それぞれ1650cm−1および1560cm−1)を示す。加えて、1740〜1700cm−1の範囲の吸光度が架橋後に出現する。典型的には、カルボン酸の吸光度ならびにアミドおよびアミノ酸の吸光度は(1740〜1700cm−1の)この波長範囲に見出される。これらの官能基の全部が最終的な架橋HA中に存在するため、それらを識別することは困難である。一般に、大きな吸光度スペクトル変化が、本明細書に開示される架橋反応生成物で観察されることがあり、これは、アミノ機能性化の間の修飾および化学反応、ならびに使用される架橋手順および糖化生成物の形成を強く示唆する。
【0103】
架橋多糖の物理的特徴付け
上述された実験で得られた架橋多糖の全部の特徴付けを、Thermo Electron Corporation GmbH、独国から商業的に入手可能なモデルHAAKE RheoStress 600回転式レオメーターで標準的方法を使用して実施した。全部の測定で、モデルPP 20 Ti PRローターをモデルMPC20/S QF測定プレートカバーとともに使用した。測定は23℃の温度で実施した。
【0104】
全部の流動学的試験は振動測定法を使用して実施した。400μLの試験される物質をレオメーターの2枚の縞板間に置いた。正弦応力を0.01と10Hzの間の周波数範囲で全サンプルに適用した。複素粘度|η*|の生じる値を下の表2に示す。選択した流動学の測定結果は図5〜7にもまたより詳細に具体的に説明する。
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
|η*|の複数の測定値を表2の右側の列に提示する場合、第一の示される値は、最終ペレットから直接採取されるところの(若しくは、Restylane(R)、Perlane(R)およびHylaform(R)サンプルについては商業的製品シリンジから直接採取されるところの)最終反応生成物サンプルの測定の結果を表すことが指摘される。同一実験の同一サンプルについて(同じ列内に)示される他の測定された|η*|値は、(数値の後のカッコ内に詳細に示されるところの)針を通してサンプルを押出すこと若しくは37℃で指定される時間サンプルをさらにインキュベートすること(インキュベーションの正確な時間は数値の後のカッコ内に明記される)のいずれかによりさらに加工した同一サンプルから得られる結果を示す。
【0108】
数種の商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づくマトリックスの流動学的特性と比較し
た、多様なDL−グリセルアルデヒド濃度で多様な時間架橋した多様な組成物のAFHAに基づく多糖の流動学的特性の測定の結果を具体的に説明する図解のグラフである図5〜7に今や参照がなされる。図5〜7で、縦軸は複素粘度(|η*|)をパスカルで表し、そして横軸は振動周波数をHzで表す。
【0109】
図5で、黒丸は、(100mgのグリセルアルデヒドで37℃で24時間架橋した)実験53/3の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。黒四角は、(150mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で24時間架橋した)実験54/1の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。黒三角は、(300mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で24時間架橋した)実験62/1の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。白丸は、商業的に得られるPerlane(R)(ロット:7064)について得られた実験データ点を表す(正確な数値については表2を参照されたい)。
【0110】
図5のグラフで見られうるとおり、類似の反応条件下でDL−グリセルアルデヒド濃度を増大させることは、生じる架橋多糖の粘度を有意に増大する。さらに、(300mgのDL−グリセルアルデヒドを架橋混合物中で使用した)実験62/1から生じる架橋多糖は、0.1Hzより下の周波数値について、商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づくRestylane(R)−Perlane(R)のものより有意により高い複素粘度値を有する。
【0111】
図6中で、黒丸は、(50mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で48時間架橋した)実験67/1の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。黒四角は、(50mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で72時間架橋した)実験67/2の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。白丸は、商業的に得られるPerlane(R)(ロット:7064)について得られた実験データ点を表す(正確な数値については表2を参照されたい)。
【0112】
図6から見られうるとおり、AFHAの架橋反応のインキュベーション時間を48時間から72時間まで延長する場合、生じるHAに基づく架橋多糖の複素粘度値は、架橋反応時間を延長することに伴い有意に増大する。さらに、(架橋混合物中で使用される50mgのDL−グリセルアルデヒドを用いて72時間の架橋反応を実施した)実験67/2から生じる架橋多糖は、0.1Hzより下の周波数値について、商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づくRestylane(R)−Perlane(R)のものより有意により高い複素粘度値を有する。
【0113】
図7中で、黒菱形の記号は、(40mgのDL−グリセルアルデヒドで37℃で3日間架橋した)実験77/1の架橋マトリックスについて得られた実験データ点を表す。白丸は、商業的に得られるPerlane(R)(ロット:7064)について得られた実験データ点を表す。白四角は、商業的に得られるRestylane(R)(ロット:7349)について得られた実験データ点を表す。白三角は、商業的に得られるHylaform(R)Plus ロット番号R0409について得られた実験データ点を表す(正確な数値については表2を参照されたい)。
【0114】
図7から見られうるとおり、3種の商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づく注入可能なゲルおよび実験77/1のDL−グリセルアルデヒドで架橋したHAに基づく多糖の複素粘度値を比較する場合、測定される複素粘度値は、0.1〜0.01Hzの振動周波数範囲にわたり、実験77/1で得られる架橋物質について一貫してかつ有意により高い。例えば、0.01Hzで、実験77/1で得られた架橋物質の複素粘度は、Restylane(R)−Perlane(R)ロット番号7064について測定された複素粘度の
2倍以上、Restylane(R)−ロット番号7349について測定された複素粘度の3倍以上、およびHylaform(R)−Plus ロット番号R0409について測定された複素粘度の8倍以上である。
【0115】
粘度値のこうした増大は、美容整形外科および美容目的上使用される物質でとりわけ望ましいことができる増量剤(filler)の持ち上げ(lifting)および形成能力の改良と有利に相関しうることが、当業者により認識されるであろう。本明細書で開示される改良されたゲルはこうした優れた粘度値を有する一方、それらは、にもかかわらず、30G針くらい細い針を通してなお容易に注入可能である。
【0116】
酵素的分解抵抗性アッセイ
分解抵抗性アッセイは、Carbohydrate Analysis:A Practical Approach、第2版:M.F.ChaplinとJ.F.Kennedy、IRL Press、Oxford University Press、英国、1994(ISBN 0−19−963449−1P)pp.324(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるところのヒアルロニダーゼ消化およびウロン酸/カルバゾールアッセイ法を使用して実施した。
【0117】
上で開示された実験のいくつかのヒアルロニダーゼ消化実験の結果を下の図10に示す。2実験を実施した:
【0118】
第一の消化実験
1a)架橋HAの消化
実験75/3から生じる架橋アミノ機能性化HAの200μLの5サンプルを、250μLのNaCl(0.9%)溶液、および50μLのDI水に溶解した60.8単位のヒアルロニダーゼとそれぞれ混合した。全サンプルを37℃でインキュベートした。消化を開始した後、連続する1時間間隔でサンプルを採取し、物質を1分間ボルテックス攪拌することにより均質化し、そして13000rpmで5分間、Heraeus #3325Bローターを使用するHeraeus“biofuge pico”遠心機 カタログ番号75003280を遠心分離した(該遠心機およびローターはKendro Laboratory Products、独国から商業的に入手可能である)。250μLの生じる上清を使用してカルバゾールアッセイを実施した。
【0119】
1b)Perlane(R)ロット番号7064の消化
200μLのPerlane(R)(ロット番号7064)の5サンプルを、250μLのNaCl(0.9%)溶液、および50μLのDI水に溶解した60.8単位のヒアルロニダーゼとそれぞれ混合し、そしてサンプルを37℃でインキュベートした。消化を開始した後、連続する1時間間隔でサンプルを採取した。取り出したサンプルは、該物質を1分間ボルテックス攪拌することにより均質化し、そして同一のHeraeus“biofuge pico”遠心機で13000rpmで5分間遠心分離した。250μLの生じる上清を使用してカルバゾールアッセイを実施した。
【0120】
カルバゾールアッセイ手順に従い、各サンプルについて吸光度を525nmで測定した。Perlane(R)の場合の強すぎる色反応により、該サンプルはホウ酸硫酸を使用して10倍希釈する必要があった。インキュベーション2時間のサンプルは、カルバゾール処置の間の過度に高い温度により双方の場合(75/3実験の生成物およびPerlane(R))で拒絶され)、そして従って図10のグラフに提示されない。
【0121】
DL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化HAおよび商業的に得られるPerlane(R)のヒアルロニダーゼによる消化のカルバゾールアッセイ結果を具体的に
説明する図解のグラフである図10に、参照が今やなされる。
【0122】
図10のグラフの縦軸は525nmの波長での試験されたサンプルの吸光度を表し、そして横軸は消化試験の開始からの時間を時間で表す。Perlane(R)サンプル(そのデータ点は図10で黒四角により表される)が、(未希釈サンプルの読取り不可能に高い吸光度により)吸光度を読取る前に10倍希釈しなければならなかった一方、実験75/3から生じるアミノ機能性化HAの他のサンプル(そのデータ点は図10で黒丸により表される)の吸光度が、それらがあったまま(希釈することなく)読取られたという事実を考慮に入れた後、実験75/3から得られた架橋したアミノ機能性化HAのサンプルが、Perlane(R)により表される抵抗性よりもヒアルロニダーゼによる分解に対するはるかにより高い(最低7倍より高い)抵抗性を有したことが明らかである。
【0123】
Perlane(R)試験サンプルの10倍希釈について補償するためにPerlane(R)の吸光度値(図11中で黒四角により図解で表される)を10により乗算した図10のカルバゾールアッセイ結果を具体的に説明する図解のグラフである図11に、今や言及がなされる。実験75/3から生じるアミノ機能性化HAのサンプルの吸光度値を図11で黒丸により図解で表す。実験75/3から生じるPerlane(R)サンプルの吸光度値は図11で黒丸により表す。
【0124】
希釈サンプルから得られる吸光度値を単純に乗算することにより吸光度の正確な値を得ることが常に可能ではないことは公知である一方、これを、実験75/3から得られる架橋アミノ機能性化HAの吸光度値とPerlane(R)のものの間の差違の近似の印象を示すために単に行った。従って、図11に表される値は、具体的説明の目的上のみの非常に粗い近似にすぎず、そして該2物質間の吸光度の真の差違の正確な表示でないかも知れない。
【0125】
第二の消化実験
0.1439mgの架橋HA若しくは0.1507mgのPerlane(R)(ロット番号7064)を、250μLのNaCl(0.9%)溶液、および50μLのDI水に溶解した60.8単位のヒアルロニダーゼとそれぞれ個別に混合した。2種の生じる消化反応混合物を37℃でインキュベートした。インキュベーション4時間後に、物質を1分間ボルテックス攪拌することにより該2サンプルを均質化し、そしてHeraeus Biofuge pico遠心機で13000rpmで5分間遠心分離した。上清を双方のサンプルから除去し、そして残存する(消化されない)サンプル重量を消化サンプルのそれぞれについて測定した。実験75/3から生じる架橋アミノ機能性化HAの99.5%、およびPerlane(R)(ロット番号7064)の9.3%が、遠心分離および上清の除去後に沈降物として残存した。これらの結果は、Perlane(R)の商業的サンプルと比較して実験75/3から生じるアミノ機能性化HAのヒアルロニダーゼ消化に対するはるかにより高い(in vitro)抵抗性を強く確証する。
【0126】
本明細書に開示される架橋方法に従って製造した糖で架橋した多糖物質のin vitroのヒアルロニダーゼ消化に対する高い抵抗性は、一般におよびとりわけ審美的処置で組織増強のための増量剤すなわち嵩増し剤(bulking agent)として使用されるマトリックス中で高度に有利である、in vivoでの生物分解に対する同様に高い抵抗性を該物質が表しうることを示す。それは、埋植物の寿命を延長することができ、かつ、必要とされる審美的処置の頻度を低下させることができ、従って必要とされる処置の総費用ならびに処置若しくは注入の回数および/若しくは頻度を低下させて、改良された患者の快適さをもたらしうるからである。
【0127】
サンプル膨潤試験
架橋過程の間の過剰量のエタノールの存在により、糖で架橋したアミノ機能性化HAはその脱水された形態で出現する。その水和された形態と比較して、脱水された形態の架橋HAの容量は無視できる。記述される洗浄手順(反応生成物が(例えば実験35で5mLのDI水中の)最終洗浄により再水和された)後に、結果として生じるゲルを標準的試験管に移し、そしてゲルの容量(mLで)を測定した。
【0128】
参照が今や図8〜9になされる。図8は、本発明の一態様による、多様な異なる濃度のDL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化HAの膨潤挙動を測定することの結果を具体的に説明する図解の棒グラフである。
【0129】
図8の図解の棒グラフは、実験35/2、35/4、37/4、37/5、37/6、38/1、38/2および38/3(それぞれ図8の棒52、54、56、58、60、62、64および66により表される)で得られたDL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化ヒアルロン酸サンプルの水取り込み(膨潤)の結果を示す。図8のグラフの最も左の棒50は、架橋実験で使用した量に類似の量での、しかしDL−グリセルアルデヒドを使用することを伴わないAFHA80を水和することの結果を表す(この結果は架橋されないAFHA80サンプルを表す)。図8のグラフの各棒について、該サンプルのそれぞれの架橋で使用したDL−グリセルアルデヒドの量(mgで)をグラフの横軸に示す。(洗浄による)水和および遠心分離後の試験されたサンプルの容量(mLで)は、洗浄による反応混合物からのエタノールの除去後のサンプルの水で誘導される膨潤の量の表示として縦軸に表す。図8の結果は、架橋されないAFHA80サンプル中で最大でありかつ反応混合物中の架橋剤(DL−グリセルアルデヒド)の量が増大する際にほぼ一貫して減少する、一貫してより高いサンプル膨潤を示す。
【0130】
図9は、本発明の一態様による、多様な異なる濃度のDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンの膨潤挙動を測定することの結果を具体的に説明する図解のグラフである。図9の図解の棒グラフは、実験40/1、40/2および40/3(それぞれ図9の棒62、64および66により表される)で得られたDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンサンプルの水取り込み(膨潤)の結果を示す。図9の棒グラフの最も左の棒60は、架橋実験シリーズ40/1−3で使用した量と類似の量での、しかしDL−グリセルアルデヒドを使用することを伴わない架橋されないキトサン(架橋されないキトサンサンプル)を水和することの結果を表す。該キトサンサンプルの架橋で使用したDL−グリセルアルデヒドの量(mgで)はグラフの横軸に示す。(洗浄による)水和および遠心分離後のサンプルの容量(mLで)は、洗浄による反応混合物からのエタノールの除去後のサンプルの水で誘導される膨潤の量の表示として縦軸に表す。図9の結果は、反応混合物中の架橋剤(DL−グリセルアルデヒド)の量が(図9で具体的に説明される例で300mgから400mgを介し500mgまで)増大する際にほぼ一貫して減少する、架橋されないキトサンサンプル中で最大である、一貫してより高いサンプルの膨潤を示す。
【0131】
キトサンおよびコラーゲンを架橋することにより作成される混成マトリックス
線維性コラーゲンは米国特許第6,682,760号明細書(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に詳細に記述されるとおり製造した。原線維状(fibrillated)コラーゲンは遠心分離(4500rpm)により濃縮した。
【0132】
実験1
14.5mLの10mM PBS緩衝液(pH7.36)、5mLの原線維化緩衝液(上で詳細に開示されたとおり調製した)、35mLの100%エタノール、および500μLのPBS緩衝液に溶解した100mgのD(−)−リボースの混合物に添加した140mgの原線維状コラーゲンをそれぞれ含有する3本の異なる試験管を調製した。該反応混合物をボルテックス攪拌した。
【0133】
3種の異なるキトサン溶液a、bおよびcは後に続くとおり調製した:
a)13.5mgのキトサンを2.5mLの0.1N HCLに溶解した
b)27mgのキトサンを5.0mLの0.1N HCLに溶解した
c)54mgのキトサンを10.0mLの0.1N HCLに溶解した。
【0134】
溶液a、bおよびcのそれぞれを、恒常的攪拌を伴い、試験管中のコラーゲン/D(−)−リボース混合物の1種に一滴ずつゆっくりと添加した。該反応混合物を1分間ボルテックス攪拌し、そしてインキュベーター中37℃で12日間回転した。インキュベーション期間の終了時に、該混合物を5000rpmで15分間遠心分離した。全部の生じる反応生成物はペースト様粘度を有した。キトサンの濃度を増大させることの間、該生成物の帯黄色もまた灰白色から濃黄色に徐々に変化した。c)の場合、架橋したキトサンの集合体がペーストの内側に見出された。
【0135】
実験2
17.5mLの10mM PBS緩衝液、5mLの原線維化緩衝液、17.5mLの100%エタノール、および300μLの10mM PBS緩衝液に溶解した33mgのDL−グリセルアルデヒドの混合物に添加した140mgの原線維状コラーゲンをそれぞれ含有する3本の異なる試験管を調製した。該反応混合物をボルテックス攪拌した。
【0136】
3種の異なるキトサン溶液a、bおよびcは後に続くとおり調製した:
a)13.5mgのキトサンを2.5mLの0.1N HCLに溶解した。
b)27mgのキトサンを5.0mLの0.1N HCLに溶解した。
c)54mgのキトサンを10.0mLの0.1N HCLに溶解した。
【0137】
上のキトサン溶液a、bおよびcのそれぞれを、恒常的攪拌を伴い、試験管中のコラーゲン/DL−グリセルアルデヒド反応混合物の1種に一滴ずつゆっくりと添加した。1分間の追加のボルテックス攪拌後に該反応混合物をインキュベーター中37℃で24時間回転した。インキュベーション期間の終了時に、該混合物を5000rpmで15分間遠心分離した。全部の生じる反応生成物はペースト様粘度を有した。キトサンの濃度を増大させた際に、該生成物の帯黄色が灰白色から鮮黄色に徐々に増大した。c)の場合、架橋したキトサンの集合体がペーストの内側に見出された。
【0138】
実験7/1
9.8mLの100%エタノール、および700μLの原線維化緩衝液に溶解した14mgのDL−グリセルアルデヒドの混合物に添加した108mgの原線維状コラーゲンをそれぞれ含有する5本の異なる試験管を調製し、そしてボルテックス攪拌した。該5種のコラーゲン/DL−グリセルアルデヒド混合物をインキュベーター中37℃で6時間回転した。
【0139】
以下の5種のキトサン溶液もまた調製した。すなわち
a)53mgのキトサンを3.2mLの0.1N HCLに溶解した
b)75.6mgのキトサンを4.5mLの0.1N HCLに溶解した
c)107.5mgのキトサンを6.4mLの0.1N HCLに溶解した
d)141mgのキトサンを8.4mLの0.1N HCLに溶解した
e)161.3mgのキトサンを9.6mLの0.1N HCLに溶解した
溶液a、b、c、dおよびeのそれぞれを、上述されたコラーゲン/DL−グリセルアルデヒド混合物を含有する5本の試験管の1本にゆっくりと一滴ずつ添加した。1分間の追加のボルテックス攪拌後に混合物を再度インキュベーターに入れ、そして37℃で24時間回転した。第二のインキュベーション時間が終了した後、混合物を5000rpmで
15分間遠心分離した。
【0140】
全部の生じる架橋生成物はペースト様粘度を有した。キトサンの濃度を増大させることの間、生成物の帯黄色が灰白色から鮮黄色まで徐々に増大する。サンプルc)は、架橋しされないコラーゲンを溶解するため、過剰量の6N NaOH中50℃で6時間インキュベートした。(DI水で)3回の洗浄および遠心分離段階後に、サンプルをHCl加水分解にかけ、そして、キトサンに共有結合したヒドロキシプロリン(コラーゲンを表す)を検出するために(商業的実験室で)アミノ酸分析計により分析した。ヒドロキシプロリンが該サンプル中で検出された。
【0141】
実験7/2
9.8mLの100%エタノール、および700μLの原線維化緩衝液に溶解した14mgのDL−グリセルアルデヒドの混合物に添加した108mgの原線維状コラーゲンをそれぞれ含有する3本の異なる試験管を調製し、そしてボルテックス攪拌した。
【0142】
以下の3種のキトサン溶液a、bおよびcもまた調製した。すなわち
a)53mgのキトサンを3.2mLの0.1N HCLに溶解した。
b)107.5mgのキトサンを6.4mLの0.1N HCLに溶解した。
c)161.3mgのキトサンを9.6mLの0.1N HCLに溶解した。
【0143】
溶液a、bおよびcのそれぞれを、恒常的攪拌を伴い、コラーゲン/DL−グリセルアルデヒド混合物を含有する該3本の試験管の1本にゆっくりと一滴ずつ添加した。1分間の追加のボルテックス攪拌後に、該混合物を37℃のインキュベーター中で24時間回転した。インキュベーション期間の終了後に混合物を5000rpmで15分間遠心分離した。全部の生じる反応生成物はペースト様粘度を有した。キトサンの濃度を増大させることの間、生成物の帯黄色は灰白色から鮮黄色に徐々に増大した。
【0144】
ヘパリンアミノ機能性化
500mgのヘパリンナトリウムEP(バッチ番号9818030)を300mLのDI水に溶解した。3.0gのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHを4.75に調節し、そして均質な溶液が得られるまで該溶液を攪拌した。400mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を2.0mLのDI水に溶解しかつ該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHをモニターすることにより該反応をモニターし、pHは継続的に4.75に調節した。該反応混合物を攪拌しながら一夜放置した。該溶液をその後透析チューブに移し、そしてADHが透析物中で検出されなくなるまで、DI水およびDI水/エタノール混合物(4:1 v/v)に対する交互透析にかけた。生じるアミノ機能性化ヘパリンナトリウムEP(ヘパリン−M)は使用するまで4℃で保存した。
【0145】
HAアミノ機能性化手順II
2.4gの1.4〜1.8MDaの範囲の分子量を有するHA 150(ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級150、NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号2222003として商業的に入手可能)を2.0LのDI水に溶解し、そして7.0gのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHをpH4.75に調節し、そして均質な溶液が得られるまで該溶液を攪拌した。760mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を10.0mLのDI水に溶解しかつ該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHの変化をモニターすることにより反応をモニターし、pHは継続的にpH4.75に調節した。pHの変化を検出し得なくなった場合に反応混合物を追加の1時間若しくは一夜放置した。該溶液をその後透析チューブに移し、そしてADHが
透析物中で検出されなくなるまで、DI水およびDI水/エタノール混合物(4:1 v/v)に対する交互透析にかけた。透析した溶液を3.5リットルの100%エタノール中に移し、5gのNaClを添加し、そして該混合物を1時間攪拌した。沈殿した改変されたHAを分離するため、該溶液を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。生じるアミノ機能性化HA(AFHA II)は使用するまで4℃で保存した。
【0146】
HAアミノ機能性化手順III
2.5gの1.4〜1.8MDaの範囲の分子量を有するHA 150(ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級150、NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号2222003として商業的に入手可能)を2.0LのDI水に溶解し、そして3.4gのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHを4.75に調節し、そして均質な溶液が得られるまで該溶液を攪拌した。400mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を10.0mLのDI水に溶解しかつ該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHの変化をモニターすることにより反応をモニターし、pHは継続的にpH4.75に調節した。pHの変化を検出し得なくなった場合に反応混合物を追加の1時間若しくは一夜放置した。該溶液をその後透析チューブに移し、そしてADHが透析物中で検出されなくなるまで、DI水およびDI水/エタノール混合物(4:1 v/v)に対する交互透析にかけた。透析した溶液を3.5リットルの100%エタノール中に移し、5gのNaClを添加し、そして該混合物を1時間攪拌した。沈殿した改変されたHAを分離するため、該溶液を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した、生じるアミノ機能性化HA(AFHA III)は使用するまで4℃で保存した。
【0147】
HAアミノ機能性化手順IV
2.4gの1.4〜1.8MDaの範囲の分子量を有するHA 150(ヒアルロン酸ナトリウム医薬等級150、NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロから製品番号2222003として商業的に入手可能)を350mLのDI水に溶解し、5.0gのアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を該混合物に添加した。生じる溶液のpHをpH4.75に調節し、そして均質な溶液まで該溶液を攪拌した。500mgの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を10.0mLのDI水に溶解しかつ該混合物に添加し、そしてpHを室温で再度4.75に調節した。pHの変化により反応をモニターし、そして4.75に継続的に調節した。pHの変化を検出し得なくなった後に、反応混合物を追加の1時間若しくは一夜放置した。その後、該溶液を透析チューブに移し、そして、ADHが透析物中で検出されなくなるまで、DI水およびDI水/エタノール混合物(4:1 v/v)に対する交互透析にかけた。透析した溶液を3.5リットルの100%エタノール中に移し、5gのNaClを添加し、そして該混合物を1時間攪拌した。沈殿した改変されたHAを分離するため、該溶液を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。生じるアミノ機能性化HA(AFHA IV)は使用するまで4℃で保存した。
【0148】
実験シリーズ03/105/1−6
6mLの100%エタノール中に152mgのAFHA I 150をそれぞれ含有する2個の別個の同一のスラリーを調製した。
【0149】
9mLのDI水に溶解した900mgのD(−)−ソルボースを含有する溶液を、架橋剤(D(−)−ソルボース)溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、第一のAFHA I 150スラリーに添加した。生じる反応混合物を3個の等しい部分1、2および3に分割し、そして生じる部分のそれぞれをインキュベーターに入れかつ37℃で後に続くとおり回転した。すなわち
実験03/105/1では、部分1を6日間インキュベートした。
実験03/105/2では、部分2を12日間インキュベートした。
実験03/105/3では、部分3を18日間インキュベートした。
9mLのDI水に溶解した900mgのD(−)−フルクトースを含有する溶液を、架橋剤(D(−)−フルクトース)溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、第二のAFHA I 150スラリーに添加した。生じる反応混合物を3個の等しい部分4、5および6に分割し、そして生じる部分のそれぞれをインキュベーターに入れかつ37℃で後に続くとおり回転した。すなわち
実験03/105/4では、部分4を6日間インキュベートした。
実験03/105/5では、部分5を12日間インキュベートした。
実験03/105/6では、部分6を18日間インキュベートした。
【0150】
上の反応混合物1〜6のインキュベーションが完了した後、40mLのDI水を反応混合物1〜6のそれぞれに添加し、そして該混合物を9000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、そして2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を、生じるペレットのそれぞれに添加しかつ混合した。該混合物を9000rpmで20分間再度遠心分離した。実験03/105/1、03/105/1、03/105/2、03/105/3、03/105/4、03/105/5および03/105/6の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0151】
実験シリーズ03/114/1−4
実験03/114/1
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。1.5mLのDI水中の50mgのD(−)−フルクトースの溶液を、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、該スラリーに添加した。生じる混合物を40mLの100%エタノールに注いだ。該反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で2日間回転した。インキュベーションの完了後に40mLのDI水を該反応混合物に添加し、そして該混合物を9000rpmで10分間遠心分離した。
【0152】
実験03/114/2
該実験は、反応混合物を4日間の回転を伴いインキュベートしたことを除き、上の実験03/114/1について記述されたとおり実施した。
【0153】
実験03/114/3
該実験は、50mgのD(−)−ソルボースをD(−)−フルクトースの代わりに使用したことを除き、上の実験03/114/1について記述されたとおり実施した。
【0154】
実験03/114/4
該実験は、反応混合物を2日の代わりに4日間の回転を伴いインキュベートしたことを除き、上の実験03/114/3について記述されたとおり実施した。
【0155】
実験03/114/1、03/114/2、03/114/3および03/114/4の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0156】
実験シリーズ03/140/1−4
実験03/140/1
1mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。架橋剤溶液は、2.0mLのDI水に300mgのD(−)−リボースを溶解することにより調製した。該架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れ、そして試験管をボルテックス攪拌して均質な混合物を得た。該混合物をその後40mLの100%エタノールに注いだ。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で5日間回転した。インキュベーション期間の終了時に40mLのDI水を反応混合物に添加し、そして生じる混合物を7000rpmで20分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)で洗浄し、そして7000rpmで20分間遠心分離した。ペレットをその後、18G針を通して1回およびその後21G針を通して1回の押出により均質化し、そして40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)中に6時間保ち、そしてその後7000rpmで30分間遠心分離した。ペレットを、Whatman(R)濾紙No.4(Whatman、米国からカタログ番号1004 320として商業的に入手可能)を使用して濾過し、そして37℃で3日間インキュベートした。
【0157】
実験03/140/2
該実験は、架橋剤溶液が2.0mLのDI水に溶解した50mgのD(+)−ソルボースを包含したことを除き、上の実験03/140/1について記述されたとおり実施した。
【0158】
実験03/140/3
該実験は、架橋剤溶液が2.0mLのDI水に溶解した50mgのL(+)−フルクトースを包含したことを除き、上述された実験03/140/1について記述されたとおり実施した。
【0159】
実験03/140/4
該実験は、架橋剤溶液が2.0mLのDI水に溶解した300mgのD(+)グルコースを包含し、そしてペレットを濾紙を使用して濾過しなかったことを除き、上の実験03/140/1について記述されたとおり実施した。
【0160】
実験03/140/1、03/140/2、03/140/3および03/140/4の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を、下の表5に要約する。
【0161】
実験03/140/6
1mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。架橋剤溶液は、300mgのD−リボース−5−リン酸二ナトリウム塩脱水物を2.0mLのDI水に溶解することにより調製した。該AFHA I 150スラリーは、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリー層の下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な溶液を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。生じる混合物を40mLの100%エタノールに注いだ。該反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で5日間回転した。インキュベーション期間の終了時に40mLのDI水を該反応混合物に添加し、そして生じる混合物を振とうしかつ7000rpmで5分間遠心分離した。上清を除去し、そして、ペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)で2回洗浄し、そして7000rpmで5分間遠心分離した。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0162】
実験03/140/6の結果は、アミノ機能性化多糖を架橋するための還元糖の使用が単純な還元糖を使用することに制限されないこと、ならびに、多様な異なる還元糖誘導体
もまた、本発明の架橋多糖マトリックスおよび混成マトリックスを得るために成功裏に使用しうることを示す。
【0163】
実験シリーズ03/110/1−4
実験03/110/1
5mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。該スラリーを、架橋剤溶液を該スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、8mLのDI水に溶解した160mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する架橋剤溶液と混合した。6.5mLの生じる混合物を40mLの100%エタノールに注ぎかつボルテックス攪拌した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で1日間回転した。インキュベーション期間の終了時に40mLのDI水および2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を該混合物に混合しながら添加し、そして生じる混合物を9000rpmで20分間遠心分離してペレットを得た。
【0164】
実験03/110/2
該実験は、40mLの1−ヘキサノールを40mLの100%エタノールの代わりに使用したことを除き、上の実験03/110/1について記述されたとおり実施した。
【0165】
実験03/110/3
該実験は、40mLの1−ブタノールを40mLの100%エタノールの代わりに使用したことを除き、上の実験03/110/1について記述されたとおり実施した。
実験03/110/4
該実験は、40mLの2−プロパノールを40mLの100%エタノールの代わりに使用したことを除き、上の実験03/110/1について記述されたとおり実施した。
【0166】
実験03/110/4、03/110/4、03/110/4および03/110/4の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0167】
実験シリーズ03/131/2−5
実験03/131/2
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。該スラリーは、架橋剤溶液を該スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、6mLのDI水に溶解した140mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する架橋剤溶液と混合した。3.5mLの生じる混合物を40mLの酢酸エチルに注ぎ、そして生じる反応混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で1日間回転した。インキュベーション期間の終了時に40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)を混合しながら該混合物に添加し、そして生じる混合物を7000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去してペレットを得た。
【0168】
実験03/131/3
該実験は、40mLのアセトン(ジメチルケトン)を40mLの酢酸エチルの代わりに使用したことを除き、上の実験03/131/2について記述されたとおり実施した。
【0169】
実験03/131/4
該実験は、40mLの1−ヘキサノールを40mLの酢酸エチルの代わりに使用したことを除き、上述された実験03/131/2について記述されたとおり実施した。
【0170】
実験03/131/5
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。該スラリーは、架橋剤溶液を該スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、6mLのDI水に溶解した140mgのDL−グリセルアルデヒドを含有する架橋剤溶液と混合した。8.0mLの生じる混合物を40mLのトルエンに注ぎ、そして生じる反応混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で6日間回転した。インキュベーション期間の終了時に、反応混合物に30mLの100%エタノールを添加すること、混合することおよび7000rpmで20分間の遠心分離により、トルエンを洗い流した。エタノール洗浄および遠心分離をもう2回反復した。生じるペレットを、25mLのDI水および20mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)の混合物で3回洗浄し、そして7000rpmで20分間遠心分離した。最終洗浄段階は、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)に該ペレットを再懸濁すること、および7000rpmで20分間の遠心分離により実施した。上清を除去しかつペレットを試験のため保管した。
【0171】
実験03/1310/2、03/131/3、03/131/4および03/131/5の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0172】
実験03/146/2
2mLの100%エタノール中の100mgのAFHA I 150のスラリーを調製した。100mgのDL−グリセルアルデヒドを40.0mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で1日間回転した。インキュベーション期間の終了時に該混合物を10,000rpmで15分間遠心分離し、上清を除去し、ペレットを40mLのDI水に再懸濁し、そして生じる懸濁液を室温で12時間放置した。該混合物をその後7000rpmで10分間遠心分離し、そして、ペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)への再懸濁混合および7000rpmで10分間の遠心分離により2回洗浄した。結果として生じるペレットを37℃の温度で3日間インキュベーターに入れた。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0173】
実験シリーズ05/08/2−4
実験05/08/2
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。100mgのDL−グリセルアルデヒドを3mLのDI水に溶解した。AFHA I 150スラリーは、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。5.0mLの生じる混合物を40mLのジクロロメタンに注ぎ、そして生じる反応混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で1日間回転した。インキュベーション期間の終了時に35mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を物質に添加しかつ混合し、そして生じる懸濁液を7000rpmで15分間遠心分離しかつ上清を除去した。ペレットを試験のため取っておいた。
【0174】
実験05/08/3
該実験は、40mLのヘキサンを40mLのジクロロメタンの代わりに使用したことを除き、上の実験05/098/2について記述されたとおり実施した。
【0175】
実験05/08/4
2mLの100%エタノール中に50mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。100mgのDL−グリセルアルデヒドを3mLのDI水に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。5.0mLの生じる混合物を40mLのジエチルエーテルに注ぎ、そして生じる反応混合物を水浴中に入れ、そして30℃で2日間振とうした。水浴インキュベーション期間の終了時に、35mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を生じる物質に添加しかつ混合して、物質を懸濁させた。生じる懸濁液を7000rpmで15分間遠心分離し、そして上清を除去した。最終洗浄段階は40mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)で行った。該混合物をその後20000rpmで45分間遠心分離しかつ上清を除去した。
【0176】
実験05/08/2、05/08/3および05/08/4で得られたペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴を下の表5に要約する。
【0177】
HAを包含する混成マトリックスの付加的な例
ブタ線維性コラーゲンを米国特許第6,682,760号明細書に詳述されるとおり調製した。
【0178】
実験03/94/2
5mLの100%エタノール中の80mgのAFHA I 150のスラリーを調製した。架橋剤溶液は、2.5mLのDI水に溶解した40mgのDL−グリセルアルデヒドを包含した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れることにより架橋剤溶液と混合した。加えて、0.4mLの原線維状コラーゲンストック溶液(35mg/mL原線維化緩衝液の濃度を有する)を該混合物に添加し、そして生じる混合物をボルテックス攪拌して均質な混合物を得た。生じる混合物を40mLの100%エタノールに添加した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で3日間回転した。インキュベーション期間の終了時に混合物を9000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。残存するペレットを40mLのDI水で洗浄し、そして20000rpmで30分間遠心分離した。結果として生じるペレットを、25mLの生理学的NaCl溶液(0.9%NaCl)と合わせ、そして24000RPMで1分間turrax均質化した。均質化した混合物を9000rpmで20分間遠心分離しかつ上清を除去した。生じるペレットを試験のため取っておいた。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および生じる混成マトリックスのペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0179】
実験シリーズ04/37/23−29
100%エタノール中のAFHA I 150のスラリーを表3に従って調製した。DL−グリセルアルデヒドを、下の表3に開示されるところの量で1.0mLのDI水に溶解した。AFHA I 150スラリーを、2.0mLの原線維状ブタコラーゲンの溶液(原線維化緩衝液1mLあたり35mgのコラーゲンの濃度を有する)に継続的ボルテックス攪拌を伴いゆっくりと添加し、各実験のコラーゲンの総量を表3に示す。その後、1mLの架橋剤溶液をコラーゲン/AHFA混合物に添加し、そして合わせた混合物を24000RPMで0.5分間turrax均質化して均質な混合物を得た。均質化した混合物を40mLの100%エタノールに添加した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で一夜回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去した。物質を40mLのDI水で1回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離し、そして6000rpmで15分間の遠心分離を伴い40mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)で2回洗浄した。実験04/37/23、04/37/24、04/37/25、04/37/26、04/37/27、04/37/28および04/37/29の多様な反応混合物の調製において使用した物質の正確な量、ならびに複素粘度の実験的測定値を下の表3に要約する。
【0180】
実験04/39/30、04/41/31、04/44/32、04/48/34、04/52/35および04/52/36
100%エタノール中のAFHA I 150のスラリーを調製した。各実験のスラリーの組成は下の表3に詳述する。DL−グリセルアルデヒド(架橋剤として使用する)を、表3に指定される量で1.0mLのDI水に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、AFHA溶液へのコラーゲン溶液のボルテックス攪拌を伴うゆっくりの添加することにより、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)に懸濁したある量の原線維状ブタコラーゲンと混合した。各実験で使用する原線維状コラーゲンの量は表3に示す。架橋剤(DL−グリセルアルデヒド)溶液をその後、攪拌しながらコラーゲン/AFHA混合物に添加した。全実験の生じる反応混合物を24000RPMで0.5分間turrax均質化して均質な混合物を得た。40mLの100%エタノールを、生じる反応混合物のそれぞれに添加した。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で一夜回転した。インキュベーション期間の終了後に上清を除去した。
【0181】
生じるペレットのそれぞれを40mLのDI水で1回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離し、そしてその後40mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)で2回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離した。洗浄したペレットのそれぞれをその後25mLの生理学的NaCl溶液と混合し、そして24000RPMで0.5分間turrax均質化した。turrax均質化後に、均質化した混合物のそれぞれを6000rpmで15分間遠心分離しかつ上清を除去した。生じるペレットを試験した。生じるペレットの各1種の複素粘度を上に詳細に開示されるとおり測定した。多様な反応混合物の調製において使用する物質の量、および複素粘度の実験的測定値を表3に要約する。
【0182】
【表5】
【0183】
実験04/55/1
2mLの100%エタノール中の150mgのAFHA IV 150のスラリーを調製した。150mgのD(−)−フルクトースを5.0mLの原線維状ブタコラーゲン(原線維化緩衝溶液1mLあたりおよそ3mgのコラーゲンの濃度を有する)に溶解した。AFHA I 150スラリーを、継続的ボルテックス攪拌を伴い原線維状コラーゲン/D(−)−フルクトース懸濁液と混合した。生じる混合物を24000RPMで0.5分間turrax均質化して均質な混合物を得た。均質化した混合物を35mLの100%エタノールおよび0.5mLの酢酸(10% v/v)に添加した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で6時間回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去した。残存するペレットを25mLの生理学的NaCl溶液と混合し、そして24000RPMで0.5分間turrax均質化した。均質化した混合物を6000rpmで15分間遠心分離しかつ上清を除去した。結果として生じるペレットを40mLのDI水で1回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離し、そしてその後、40mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)で2回洗浄しかつ6000rpmで15分間遠心分離した。該ペレットを37℃で3日間インキュベートした。
【0184】
生じるペレットについて実験的に測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0185】
実験03/145/2
2mLの100%エタノール中に150mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。105mgのDL−グリセルアルデヒド、および5.0mgのウシ心からのチトクロームCを3.0mLのDI水に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液を該AFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤およびタンパク質溶液と混合した。ボルテックス攪拌した混合物を40mLのエタノールに添加した。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で2日間回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去し、そして、生じる物質を、40mLの生理学的NaCl溶液に再懸濁すること、振とうすること、および7000rpmで10分間の遠心分離により3回洗浄した。結果として生じるペレットを、18G、22Gおよび25G針を通す連続押出(針あたり1回)により均質化した。押出後に物質を40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)で洗浄しかつ7000rpmで10分間遠心分離した。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および生じるペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0186】
実験03/145/2の結果は、コラーゲン以外のタンパク質が糖化によりアミノ機能性化多糖に成功裏に架橋されうることを示す。それはまた、コラーゲンと実質的に異なるタンパク質を本発明の混成架橋マトリックスの形成において使用しうることも示す。
【0187】
こうしたタンパク質/アミノ多糖糖化マトリックスの形成は、異なるタンパク質を選択することにより生じる混成マトリックスの流動学的特性を改変するために有利でありうるのみならず、しかしまた(限定されるものでないが、酵素、成長を促進する若しくは成長を阻害するタンパク質、多様なシグナル伝達タンパク質およびペプチドなどを挙げることができる)生物学的に活性のタンパク質をマトリックス中に有利に組み込むためにも有用でありうる。
【0188】
実験03/146/1
2mLの100%エタノール中に150mgのAFHA I 150を含有するスラリーを調製した。105mgのDL−グリセルアルデヒドおよび3mLのヘパリン−M(およそ40mg)を3.0mLのDI水に溶解した。該AFHA I 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA I 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、ヘパリンを含有する架橋剤溶液と混合した。
【0189】
該混合物を40mLの100%エタノールに添加した。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で2日間回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去し、そして、生じる物質を、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と合わせた40mLの生理学的NaCl溶液(0.9%)と混合すること、振とうすることおよび7000rpmで10分間の遠心分離により2回洗浄した。結果として生じるペレットを、18G、22Gおよび25G針を通す連続押出(針あたり1回)により均質化し、そして37℃のインキュベーターに3日間入れた。生じる物質はクリーム状しかし堅固な不透明ゲルであった。
【0190】
生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0191】
実験03/146/1の結果は、還元糖での架橋を、異なるアミノ多糖およびアミノ機能性化多糖(還元糖により架橋されることが可能なアミノ基を含有する)ならびにそれらの誘導体の多様な混合物に適用しうることを示す。架橋されたマトリックス内の多様な多糖の特定の型および/若しくは比を制御することにより、こうした混合膜の物理、化学および生物学的特性を制御かつ改変することが可能でありうるため、こうした混合架橋マトリックスは有利でありうる。
【0192】
実験シリーズ05/02/1−2
実験05/02/1
2mLの100%エタノール中に150mgのAFHA II 150を含有するスラリーを調製した。10mLのDI水に溶解した50mgのDL−グリセルアルデヒドを含
有する溶液を、架橋剤溶液をスラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、AFHA II 150溶液と混合した。生じる混合物を40mLの100%エタノールに注いだ。生じる反応混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で5時間回転した。インキュベーション期間の終了時に上清を除去し、そして残存するペレットを35mLのDI水で洗浄しかつ7000rpmで10分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で2回洗浄し、再懸濁しかつ7000rpmで10分間遠心分離した。該結果は約30mLの軟質の透明ゲルであった。このゲルを、15mLの100%エタノールに再懸濁すること、および10000rpmで30分間の遠心分離により4回洗浄した。生じるペレットを、0.5mLの酢酸溶液(DI水中10%)と混合した35mLの100%エタノール中に移し、そして該混合物を37℃のインキュベーターに入れかつ24時間回転した。インキュベーションの終了時に上清を除去した。残存する物質をDI水で洗浄しかつ37℃で1時間放置した。該サンプルをその後10000rpmで30分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ10000rpmで15分間遠心分離した。該ペレットを、18G、20G、22G、25G、27Gおよび30G針を連続的に通過させることにより均質化し、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ10000rpmで15分間遠心分離した。該ペレットをシリンジに入れそして37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後に、該物質を複素粘度の測定のため試験した。
【0193】
実験05/02/2
該実験は、使用した架橋剤溶液が10mLのDI水に溶解した100mgのD(−)−フルクトースを包含したことを除き、上の実験05/02/1で記述されたとおり実施した。第一のインキュベーション段階は40mLの軟質の透明ゲルを生じた。
【0194】
実験05/02/1および05/02/2で得られた最終的ペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0195】
実験05/15/1
2mLの100%エタノール中の150mgのAFHA III 150のスラリーを調製した。架橋剤溶液は10mLのDI水に溶解した150mgのD(−)−フルクトースを包含した。
【0196】
AFHA III 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA III 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより架橋剤溶液と混合した。生じる混合物を40mLの100%エタノールに注いだ。該反応混合物をその後インキュベーターに入れ、そして37℃で12時間、およびその後室温で追加の2日間回転した。インキュベーションの終了時に上清を除去した。残存する物質を、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLのDI水で洗浄しかつ8000rpmで15分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した30mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ10000rpmで15分間遠心分離した。該サンプルを、Whatman(R)濾紙No.113(カタログ番号1113 320)を使用して濾過した。濾過後、該サンプルを37℃で3日間インキュベートしかつ試験した。該実験は約4.0mLのわずかに不透明のゲルを生じた。実験05/15/1で得られた最終的ペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0197】
実験05/18/1
2mLの100%エタノール中の150mgのAFHA III 150のスラリーを調製した。架橋剤は7mLのDI水に溶解した150mgのD(−)−フルクトースであった。該AFHA III 150スラリーを、架橋剤溶液をAFHA III 150スラリーの下に入れること、およびボルテックス攪拌して均質な混合物を得ることにより、架橋剤溶液と混合した。該混合物を、0.5mLの酢酸(DI水中10%)と混合した40mLの100%エタノールに注いだ。生じる混合物をインキュベーターに入れ、そして37℃で12時間、およびその後室温で追加の2日間回転した。インキュベーション後に上清を除去した。残存する物質を、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLのDI水で洗浄しかつ8000rpmで15分間遠心分離した。生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した30mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ10000rpmで15分間遠心分離した。該サンプルを、Whatman(R)濾紙No.113を使用して濾過し、そして18ゲージ針を通して押出すことにより均質化した。均質化後にサンプルを37℃で3日間インキュベートした。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0198】
実験シリーズ05/22/1−4
それぞれ2mLの100%エタノール中に75mgのAFHA IV 150を含有する4種のスラリー(スラリー1〜4)を調製した。2種の異なる架橋剤溶液を、その後、後に続くとおり調製した。すなわち
A.220mgのD(−)−フルクトースを7mLのDI水に溶解した。
B.7mLのDI水中の140mgのD(−)−フルクトース。
(それぞれ実験05/22/1および05/22/3の)サンプル1および3のAFHA
IV 150スラリーをそれぞれ3.5mLの架橋剤溶液A.と混合し、また、(それぞれ実験05/22/2および05/22/4の)サンプル2および4のAFHA IV
150スラリーを3.5mLの架橋剤溶液B.と混合した。
【0199】
全4サンプル中の混合は、均質な混合物を得るための継続的ボルテックス攪拌を伴いAFHA IV 150スラリーに架橋剤溶液を添加することにより実施した。
【0200】
(それぞれ実験05/22/1および05/22/2の)サンプル番号1および2を24000RPMで0.5分間turrax均質化した。該4混合物のそれぞれを40mLの100%エタノールに個別に注いだ。生じる4種の反応混合物をインキュベーターに入れかつ37℃で2日間回転した。インキュベーション後に上清を除去した。生じるペレットをそれぞれ、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、そして3000rpm(遠心機:Kubota KS−8000、スイングバケットローターRS 3000/6、ステンレス鋼製バケット53592)で5分間遠心分離した。生じる4種のペレットをそれぞれ、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と混合した40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ3000rpmで15分間遠心分離した。生じる4種のペレットを37℃で3日間インキュベートした。実験05/22/1、05/22/2、05/22/1および05/22/2の生じるペレットについて測定した複素粘度値、ならびに該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0201】
実験シリーズ05/23/1、2
2mLの100%エタノール中の75mgのAFHA IV 150のスラリーを調製した。70mgのD(−)−フルクトースを5mLのDI水に溶解した。
【0202】
各AFHA IV 150スラリーを、均質な混合物に達せさせるためのAFHA IV 150スラリーのボルテックス攪拌の間に架橋剤溶液を添加することにより、2.5mLの架橋剤溶液と一体化した。
【0203】
サンプル番号2を24000RPMで0.5分間turrax均質化した。各混合物を40mLのエタノールに添加した。生じる混合物をインキュベーターに移しかつ37℃で2日間回転した。その後上清を除去した。残存物を、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄しかつ3000rpm(遠心機:Kubota KS−8000、スイングバケットローターRS 3000/6、ステンレス鋼製バケット53592)で5分間遠心分離した。結果として生じるペレットを、2mLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)と一緒の40mLの生理学的NaCl溶液で洗浄し、振とうしかつ3000rpmで15分間遠心分離した。該サンプルをその後37℃で3日間インキュベートした。生じるペレットについて測定した複素粘度値、および該ペレットのいくつかの観察された特徴の簡単な記述を下の表5に要約する。
【0204】
酵素的分解抵抗性アッセイ
分解抵抗性アッセイは、Carbohydrate Analysis:A Practical Approach、第2版:M.F.ChaplinとJ.F.Kennedy、IRL Press、Oxford University Press、英国、1994、(ISBN 0−19−963449−1P)pp.324(全部の目的上そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるところのヒアルロニダーゼ消化およびウロン酸/カルバゾールアッセイ法を使用して実施した。
【0205】
いくつかの上で開示された実験のヒアルロニダーゼ消化実験の結果を図10に示す。2種の消化実験を実施した:
【0206】
1a)架橋HAの消化
実験05/02/02から生じる架橋アミノ機能性化HA(1mLあたり25.6mgのD(−)−フルクトースで架橋したAFHA II 150の濃度を有する)のおよそ100μLの5サンプルを、それぞれ500μLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)、および10μLのDI水に溶解した10単位のヒアルロニダーゼと混合した。全サンプルを37℃でインキュベートした。正確なサンプル容量は下の表4Aの第二列に示す。該サンプルを、消化を開始した後連続する1時間間隔でインキュベーションから取り出し、各取り出したサンプルを、物質を1分間ボルテックス攪拌すること、およびHeraeus“biofuge pico”遠心機(カタログ番号75003280、Heraeus #3325Bローターを使用する、遠心機およびローターはKendro Laboratory Products、独国から商業的に入手可能である)中13000rpmで5分間遠心分離することにより均質化した。25μLの生じる上清および225μLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を使用してカルバゾールアッセイを実施した。架橋HA消化試験の結果を表4Aに要約する。
【0207】
1b)Perlane(R)ロット番号7576の消化
20mg/mLの濃度を有するおよそ100μLのPerlane(R)(ロット番号7576)の5サンプルを、それぞれ、500μLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)、および10μLのDI水に溶解した10単位のヒアルロニダーゼと混合し、そして該サンプルを37℃でインキュベートした。サンプルの正確な容量は下の表4Bの第二列に示す。該サンプルを、消化を開始した後連続する1時間間隔でインキュベーションから取り出した。取り出したサンプルのそれぞれを、該物質を1分間ボルテックス攪拌すること、および同一のHeraeus“biofuge pico”遠心機での13000rpmで5分間の遠心分離により均質化した。25μLの生じる上清および225μLのPBS緩衝溶液(10mM、pH7.36)を使用してカルバゾールアッセイを実施した。カルバゾールアッセイ手順に従って、吸光度を各サンプルについて525nmで測定した。
【0208】
実験05/02/02からのD(−)−フルクトースで架橋したアミノ機能性化HAマトリックスの例示的一サンプル、およびPerlane(R)の商業的に得られるサンプルのin vitroでのヒアルロニダーゼ分解に対する抵抗性%を消化時間(時間で)の関数として具体的に説明する図解のグラフである図12に、今や参照がなされる。図12のグラフの縦軸は、ヒアルロニダーゼ分解に対する抵抗性(開始HA量のパーセントで表す、時間0のHAの開始量からの指定された消化時間後に残存するHAの量)を表し、また、横軸は分解時間を時間で表す。図12で、曲線70は実験05/02/02で得られるマトリックスの消化結果を表し、また、72と標識された曲線はPerlane(R)(ロット番号7576)の消化結果を表す。図12のグラフから、実験05/02/02で製造したマトリックスは、Perlane(R)の試験した商業的サンプルの抵抗性よりはるかに優れているヒアルロニダーゼ分解に対する抵抗性を有することが見られうる。
【0209】
例えば、5時間の消化後に実際上全部のPerlane(R)が消化された一方、実験05/02/02で製造したマトリックスのサンプルのおよそ68%が未消化のままであった。Perlane(R)消化試験の結果もまた表4Bに要約する。
【0210】
【表6】
【0211】
【表7】
【0212】
【表8】
【0213】
【表9】
【0214】
【表10】
【0215】
実験05/82/1
150mgのAFHA II 150を440mLのDI水に溶解し、そして該溶液を丸底フラスコに移した。10mgのD(−)−フルクトースを10mLの生理的食塩水に溶解した。生じる溶液を該AFHA II 150溶液と混合し、そして生じる混合物を真空下でのフラスコの回転によりゆっくりと蒸発させた。濃縮した混合物(およそ2mL)を軽度真空下に37℃で2日間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に30mLの生理的食塩水をフラスコの内容物に添加し、そして真空なしで1時間回転した。生じるゲルを取り出し、Whatman濾紙(No.113)を通して濾過し、そして該ゲルを生理的食塩水で希釈することにより6mLの最終容量にもたらした。該物質をその後16G、18G、20G、21Gおよび22G針を通して連続して押出した。各押出段階を3回反復した。生じる粒子は帯黄色でありかつ堅固な粘度を有した。
【0216】
実験シリーズ09/95/1−4
実験09/95/1
合計量200mgのAFHA II 150を含有するAFHA II 150の溶液(1mg/mL)の水性サンプルを調製した。1.2mLの原線維状ブタコラーゲンの溶液(16.5mg/mL)を該サンプルに添加した。10mLの生理的食塩水に溶解した100mgのD(−)−フルクトースをその後コラーゲン/AFHA II 150混合物に添加した。生じる混合物を、タービンスターラー(IKA(R)−Werke,GmbH & Co.、独国から商業的に入手可能なモデルR 1312タービンスターラー)で800rpmで1分間攪拌し、ステンレス鋼製トレイに移しかつ凍結乾燥した。凍結乾燥後にサンプルをエタノール/DI水混合物(90:10 v/v)で覆いかつ37℃で6時間インキュベートした。インキュベーション後に該物質をエタノール/DI水混合物(90:10 v/v)で3回洗浄し、サンプルを排出することにより溶媒を除去し、そして該サンプルを凍結乾燥により乾燥した。2mLの生理的食塩水を凍結乾燥した物質に添加し、そして該混合物を37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、該サンプルを16G針を通して押出し、4mLの生理的食塩水を添加し、そして該物質を再度18Gおよび20G針を通して押出した。
【0217】
実験09/95/2
該実験は、使用したD(−)−フルクトースの量が130mgであったことを除き、上の実験09/95/1について記述されたとおり実施した。
【0218】
実験09/95/3
該実験は、使用したD(−)−フルクトースの量が160mgであったことを除き、上の実験09/95/1について記述されたとおり実施した。
【0219】
実験09/95/4
該実験は、使用したD(−)−フルクトースの量が100mgであり、かつ、コラーゲンを添加しなかったことを除き、上の実験09/95/1について記述されたとおり実施した(本実験は、コラーゲンを伴わず架橋したAFHA II 150の対照であった)。
【0220】
実験シリーズ09/102/1−6
(2.85mg/mL DI水の濃度の)AFHA II 150の水性溶液を、合計量300mgのAFHA II 150を含有するサンプルを調製するのに使用した。1.8mLの原線維状コラーゲンの溶液(16.5mgコラーゲン/mL原線維化緩衝液の濃度を有する)を(それぞれ実験09/102/2−5の)サンプル2〜5に添加した。1.8mLの原線維化緩衝液を、コラーゲン溶液の代わりにサンプル1に添加した(コラーゲンを含まない対照−実験09/102/1)。5.0mLの生理的食塩水中のD(−)−フルクトースの溶液(生理的食塩水1mlあたり40mgのD(−)−フルクトースの濃度を有する)を該6サンプルのそれぞれに添加し、そして該サンプルを混合した。全部の生じる反応混合物をタービンスターラーで800rpmで1分間攪拌し;個別のステンレス鋼製トレイに移しかつ凍結乾燥した。凍結乾燥後に(それぞれ実験09/102/1、09/102/2および09/102/3の)サンプル1、2および3をエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で覆い、そして37℃で6時間インキュベートした。(それぞれ実験09/102/1、09/102/2および09/102/3の)サンプル1、2および3のそれぞれをエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で3回洗浄し、サンプルを排出することにより溶媒を除去し、そして該サンプルを凍結乾燥により乾燥した。(それぞれ実験09/102/4、09/102/5および09/102/6の)サンプル4、5および6は洗浄しなかった。
【0221】
2mLの生理的食塩水をサンプル1〜6のそれぞれに添加し、そしてサンプルの全部を37℃で3日間インキュベートした。インキュベーション後に全サンプルを16G針を通して1回押出した。4mLの生理的食塩水を、押出したサンプルのそれぞれに添加し、そしてサンプルのそれぞれを、18G針を通して1回および20G針を通して1回連続して押出した。
【0222】
実験シリーズ09/102/1−6の実験のそれぞれで使用した物質の詳細な量および反応条件を下の表6に示す。
【0223】
【表11】
【0224】
実験09/102/1−6から生じるゲルのいくつかの特性を上の表5に示す。
実験シリーズ11/40/1、2
下述される実験11/40/1および11/40/2で使用されるキトサン基剤(base)は、NovaMatrix FMC Biopolymer、ノルウェー・オスロからProtasan UP B 80/200として商業的に入手可能である。
【0225】
実験11/40/1
300mgのAFHA II 150を含有するAFHA II 150の水性溶液(1.0mg/mL)を調製した。0.1M HCl(pH5−原線維化緩衝液を添加することにより調節した)に溶解した30mgのキトサンを含有する溶液、および10mLの生理的食塩水に溶解した330mgのD(−)−フルクトースを、混合しながらAFHA II 150溶液に添加した。該混合物を、タービンスターラーを用いて800rpmで1分間攪拌し、ステンレス鋼製トレイに移しかつ凍結乾燥した。凍結乾燥後にサンプルをエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で覆いかつ37℃で6時間インキュベートした。生じる物質をエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で3回洗浄し、排出することにより溶媒を除去し、そして凍結乾燥によりサンプルを乾燥した。4mLの生理的食塩水を凍結乾燥した物質に添加し、そして該物質を37℃で3日間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、サンプルを16G針を通して押出し、8mLの生理的食塩水を添加し、そして該混合物を再度18G針および20G針を通して連続して押出した。
【0226】
実験11/40/2
該実験は、AFHA II 150溶液を、0.1M HCl(pH5−原線維化緩衝液を添加することにより調節した)に溶解した60mgのキトサン、および10mLの生理的食塩水に溶解した360mgのD(−)−フルクトースと混合したことを除き、上の実験11/40/1について記述されたとおり実施した。生じる物質は堅固な粘度および灰白色/黄色を有するゲルであった。
【0227】
実験シリーズ11/40/3−5
実験11/40/3
300mgのAFHA II 150を含有するAFHA II 150の水性溶液(1.0mg/mL)を調製した。1.1ミリモル(237mg)のD(+)−グルコサミン塩酸塩の溶液を10mLの生理的食塩水に溶解したを該水性AFHA II 150溶液と混合した。該混合物をタービンスターラーを用いて800rpmで1分間攪拌し、ステンレス鋼製トレイに移しかつ凍結乾燥した。凍結乾燥後に、該サンプルをエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で覆いかつ37℃で6時間インキュベートした。生じる物質をエタノール/DI水混合物(90:10 v:v)で3回洗浄し、排出することにより溶媒を除去しかつサンプルを凍結乾燥により乾燥した。4mLの生理的食塩水を凍結乾燥した物質に添加し、そして該物質を37℃で3日間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、サンプルを16G針を通して押出し、8mLの生理的食塩水を添加し、そして、該混合物を再度18G針および20G針を通して連続して押出した。生じる物質は堅固な粘度および灰白色/黄色を有するゲルであった。
【0228】
実験11/40/4
該実験は、使用した還元糖が(グルコサミン塩酸塩の代わりに)396mg(1.1ミリモル)のマルトース一水和物であったことを除き、上の実験11/40/3について記述されたとおり実施した。生じる物質は、堅固な粘度および灰白色/黄色を有するゲルであった。
【0229】
実験11/40/5
該実験は、使用した還元糖が(D(+)−グルコサミン塩酸塩の代わりに)396mg(1.1ミリモル)のD(+)−ラクトース一水和物であったことを除き、上の実験11/40/3について記述されたとおり実施した。生じる物質は、堅固な粘度および灰白色/黄色を有するゲルであった。
【0230】
制限された数の還元糖の型を上で開示される例示的実験で使用した一方、多くの他の型の還元糖および/若しくは還元糖の誘導体を、本発明の架橋マトリックスを製造するための架橋剤として使用しうることが指摘される。こうした還元糖は、限定されるものでないが、アルドース、ケトース、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオース。グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0231】
本発明の架橋マトリックスを作成するのに使用しうる他の型の還元糖は、とりわけ、米国特許第5,955,438号、同第6,346,515号および同第6,682,760号明細書、ならびに公開国際特許出願第WO 2003/049669号明細書(全部のものは全部の目的上そっくりそのまま引用することにより本明細書に全部組み込まれる)に開示される還元糖および還元糖誘導体である。
【0232】
本発明の一態様により、適する還元糖誘導体もまた本発明のマトリックスの架橋に使用しうることがさらに指摘され、こうした誘導体は、限定されるものでないがD−リボース−5−リン酸、グルコサミン、および当該技術分野で既知のいずれかの他の型の他の還元糖誘導体を挙げることができる。上の還元糖およびそれらの誘導体のいずれかのエステルおよび塩もまた、単独で若しくは上に開示される還元糖型とのいずれかの適する組合せで
使用しうる。
【0233】
本発明の付加的な態様により、使用される還元糖(1種若しくは複数)は右旋性、左旋性、ならびに右旋性および左旋性の形態の混合物でありうることがなおさらに指摘される。1種若しくはそれ以上の還元糖のラセミ混合物もまた使用しうる。加えて、多様な光学活性の異性体の形態(鏡像異性体)ならびに/若しくはそれらのいずれかの混合物および組合せを包含する、1個若しくはそれ以上の非対称(キラル)炭素原子を含有するいかなる還元糖もまた、本発明の方法およびマトリックスで使用しうる。
【0234】
本発明の付加的な一態様により、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖、ならびに/または多様なアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖のいずれかの混合物、ならびに/あるいはアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖の1種若しくはそれ以上のタンパク質(ならびにまたはいずれかの所望の添加物)とのいずれかの混合物を架橋するのに1種以上の還元糖を使用しうることが当業者により認識されるであろう。例えば、制限しない一例により、AHFA I 150はD(−)−リボースおよびD(+)−ソルボースの混合物として架橋しうる。同様に、本発明の別の態様により、キトサンおよびAHFA I 150の混合物は、マルトース、グルコースおよびフルクトースを含有する混合物中で架橋しうる。なお別の例示的態様において、AHFA、コラーゲンおよびヘパリンの混合物を、リボース、グルコサミンおよびD−リボース−5−リン酸を包含する架橋剤の混合物で架橋しうる。これらの態様は例としてのみ示され、そして、使用される多糖の数および型、ならびに架橋反応混合物に包含される還元糖の数および型を変化させることにより、多くの他の変形および改変が可能である。
【0235】
上に開示される特定の架橋反応は制限された例示的範囲の溶媒および溶媒混合物を利用する一方で、本発明の架橋反応で使用される溶媒系で多くの改変および変形がなされうることが当業者により認識されるであろう。従って、本発明のマトリックスを形成するのに使用される架橋反応は、水性溶液、緩衝水性溶液、水および/若しくは水性緩衝溶液ならびに1種若しくはそれ以上の有機溶媒を包含する溶液、1種若しくはそれ以上の非水性溶媒を包含する非水性溶液などで実施しうる。上に開示される実際の実験から見られうるとおり、使用される非水性溶媒は極性および/若しくは親水性および/若しくは水と混合可能な溶媒でありうるが、しかし、多様な異なる非極性、非疎水性および水と実質的に混合可能でない溶媒(1種若しくは複数)もまた包含しうる。原則として、いずれかの溶媒若しくは溶媒の組合せを包含するいずれの型の溶媒系も本発明の架橋反応を実施するのに使用しうるが、但し、合理的な注意を溶媒の選択で使用する。
【0236】
例えば、溶媒は、好ましくは(しかし義務的にでなく)、(いかなる妨害する副反応も有害でないか、または実際に耐えられ得る若しくはなお望ましい場合を除き)架橋反応に悪影響を及ぼしうる若しくはそれらを妨害しうる過度に化学反応性の基若しくは部分を含有すべきでない。同様に、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖と一緒に架橋されているいかなるタンパク質および/若しくはポリペプチドの望ましくない変性も回避するのに使用する溶媒(1種若しくは複数)の型の選択に注意を払うべきである。こうした予防措置を念頭に置けば、ほぼいかなる型の溶媒若しくは溶媒混合物若しくは溶媒系も、本発明の架橋反応を実施するのに使用しうる。
【0237】
従って、本発明のマトリックスは、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖、ならびに/または多様なアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖のいずれかの混合物、ならびに/またはアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖の1種若しくはそれ以上のタンパク質とのいずれかの混合物のいずれかの適する組合せを、還元糖および/若しくは還元糖誘導体のいずれかの所望の組合せで架橋することにより形成しうる。全部のこうした組合せおよび変更は本発明の範囲内にあると考えられる。こうした多様な組
合せの使用は、いずれかの所望の応用にマトリックスを適合させるために、生じる架橋マトリックスの化学および/若しくは物理および/若しくは流動学的および/若しくは生物学的特性の微調整に有利に使用しうる。生じるマトリックスの特性は、従って、とりわけ、使用されるアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖の数および特性、使用されるタンパク質の数および型(使用される場合)、架橋する還元糖の数および型、ならびに該マトリックスに包含されるいずれかの他の添加物の特性に依存しうる。マトリックスの特性は、とりわけ、反応条件、反応温度、pH、使用される溶媒(1種若しくは複数)の型、および反応混合物中に存在しかつ/若しくは架橋後に該マトリックスに添加されるいずれかの添加物の存在若しくは非存在によってもまた影響されうることもまた指摘される。
【0238】
架橋反応混合物中で使用される溶媒(1種若しくは複数)は、(限定されるものでないが、実験09/95/1および実験09/102/1−6の生理的食塩水溶液中で使用されるNaCl、若しくは実験2、12/1および37/1−3ならびに上で詳細に開示されたところの他の実験で使用されるPBSを挙げることができる)最低1種のイオン化可能な塩を包含しうることが指摘される。イオン化可能な塩(1種若しくは複数)は前記溶液のイオン強度を制御するために有用であることができ、そして、タンパク質が反応溶液のイオン強度に感受性である場合にタンパク質を包含する混成マトリックス形成方法の実施において有利でありうる。当該技術分野で既知のいずれかの適するイオン化可能な塩(1種若しくは複数)を使用して、当該技術分野で公知であるとおり反応溶液のイオン強度を制御しうることが指摘される。使用しうるイオン化可能な塩のいくつかの制限しない例は、当該技術分野で既知であるところの、多様なアルカリ金属塩、アルカリ金属ハロゲン化物、多様な異なる金属硫酸塩および/若しくはリン酸塩、多様な異なるアンモニウム塩などを包含する。しかしながら、当該技術分野で既知のいずれかの他の適する型のイオン化可能な塩(1種若しくは複数)もまた、本発明の架橋反応で使用しうる。
【0239】
上述された新規架橋反応の生成物を、多様な異なる架橋多糖に基づくマトリックスおよび多糖/タンパク質に基づく混成マトリックスを得るのに使用しうることが指摘される。こうしたマトリックスは、いずれかの所望の形状の固体の形態のマトリックス、ならびに/若しくは限定されるものでないが、いずれかの所望の大きさおよび形状のマトリックス粒子、マイクロスフェア、ミクロ粒子の注入可能なおよび注入可能でない懸濁液を挙げることができるいずれかの形態の注入可能な製剤として得ることができるか、あるいはそれらを提供するように(こうしたマトリックスから固形若しくは半固形物品を形成するための型および/若しくは圧縮ならびに/または乾燥および/若しくは凍結乾燥の適する使用、ならびに/あるいは当該技術分野で既知のいずれかの他の方法により)適して加工しうる。固体の形態のマトリックスは、限定されるものでないが、シート、チューブ、膜、スポンジ、フレーク、ゲル、ビーズ、ミクロスフェア、ミクロ粒子、ならびに、本発明の糖化方法を使用して架橋することにより得られうる(限定されるものでないが多糖/タンパク質混成マトリックスを挙げることができる)上で開示された多糖に基づくマトリックス型のいずれかから作成される他の関係する幾何学的形態を挙げることができる。
【0240】
(糖で架橋された多糖および糖で架橋された混成タンパク質/多糖マトリックス双方を包含する)上述された新規架橋反応の生成物は、該架橋マトリックスをさらなる処理および/または1種若しくはそれ以上の加工段階にかけることにより、さらに加工かつ/若しくは処理かつ/若しくは改変しうることが指摘される。こうした処理および/若しくは改変は、限定されるものでないが、乾燥、凍結乾燥、脱水、臨界点乾燥、(造形された物品を形成するための)型での成型、滅菌、(マトリックスの流動特性および注入可能性を改変若しくは改良するための)均質化、(流動学的特性および注入の容易さを改変するための)機械的剪断、(滅菌の目的上および/若しくは付加的な架橋を実施するためおよび/若しくは他の目的上の)電離放射線による照射、(滅菌の目的上および/若しくは付加的
な架橋を実施するためおよび/若しくは他の目的上の)電磁放射線による照射、(例えば組織の嵩増しおよび/若しくは組織増強ならびに/または他の目的上注入可能な製剤を形成するためのような)製薬学的に許容できるベヒクルとの混合、熱的手段(オートクレーブ処理など)による滅菌、(限定されるものでないが過酸化水素、オゾン、エチレンオキサイドなどを使用する滅菌を挙げることができる)化学的手段による滅菌、添加物での含浸、ならびに/あるいはこうした加工段階のいずれかの組合せを挙げることができる。
【0241】
さらに、上で開示される付加的な処理若しくは加工段階のいずれかの適する組合せを、本明細書に開示される新規の糖で架橋されたマトリックスのいずれかの所望の改変かつ/若しくは乾燥かつ若しくは造形された物品および/若しくは製剤を提供するために、いずれかの適する順序で使用しうる。全部の上述された処理方法は当該技術分野で公知であり、そして従って下で詳述されない。
【0242】
本発明の混成マトリックスはいずれかの特定の型のコラーゲンの使用に制限されないことがさらに指摘される。むしろ、限定されるものでないが、天然のコラーゲン、線維性コラーゲン、線維性アテロペプチドコラーゲン、テロペプチド含有コラーゲン、凍結乾燥コラーゲン、動物供給源から得られたコラーゲン、ヒトコラーゲン、哺乳動物コラーゲン、組換えコラーゲン、ペプシン処理コラーゲン、再構成コラーゲン、ウシアテロペプチドコラーゲン、ブタアテロペプチドコラーゲン、脊椎動物種から得られたコラーゲン、組換えコラーゲン、遺伝子的に工作若しくは改変されたコラーゲン、I、II、III、V、XI、XXIV型コラーゲン、IX、XII、XIV、XVI、XIX、XX、XXI、XXIIおよびXXVI型線維付随性コラーゲン、VIIIおよびX型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII、XVII、XXIIIおよびXXV型コラーゲン、XVおよびXVIII型コラーゲン、遺伝子的に改変された真核生物若しくは原核生物細胞または遺伝子的に改変された生物体により製造される人工的に製造したコラーゲン、精製されたコラーゲンおよび再構成された精製されたコラーゲン、線維性コラーゲンの粒子、線維性再構成アテロペプチドコラーゲン、遺伝子的に改変された真核生物若しくは原核生物細胞または遺伝子的に改変された生物体により製造される人工的に製造したコラーゲン、精製されたコラーゲンおよび再構成された精製されたコラーゲン、線維性コラーゲンの粒子、線維性再構成アテロペプチドコラーゲン、細胞培地から精製されたコラーゲン、遺伝子的に工作された植物由来のコラーゲン、コラーゲンのフラグメント、プロトコラーゲン、ならびに上で列挙されたコラーゲン型のいずれかの組合せを挙げることができる、いかなる所望の型のコラーゲンも、上で開示されるところの本発明の混成マトリックスの形成において使用しうる。
【0243】
本出願で開示される混成マトリックスが、上で実験的に示されたところのコラーゲンおよびチトクロームCの使用に制限されないことが、当業者により認識されるであろう。むしろ、本発明の混成マトリックスは、アミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖に加え、1種若しくはそれ以上の還元糖架橋剤および/若しくは還元糖誘導体架橋剤によりアミノ多糖および/若しくはアミノ機能性化多糖に架橋可能であるいずれかの適する型のタンパク質(1種若しくは複数)および/またはポリペプチド(天然若しくは合成の)を包含するマトリックスを包含しうる。こうした架橋可能なタンパク質若しくはポリペプチドは、限定されるものでないが、コラーゲン、コラーゲンスーパーファミリー、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、構造タンパク質、血液由来タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、天然のタンパク質、合成タンパク質、ホルモン、成長因子、軟骨成長を促進するタンパク質、骨成長を促進するタンパク質、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲンから選択されるタンパク質、およびそれらの多様な異なる組合せを挙げることができる。
【0244】
本発明の一局面により、本発明の架橋多糖マトリックスは、適する製薬学的添加物およ
び/若しくは製薬学的に許容できるベヒクル(1種若しくは複数)を含む若しくは含まない、適する注入可能な製剤に処方しうる。こうした注入可能な製剤は(適する針を伴う若しくは伴わない)適するシリンジ中に包装しうる。こうした充填済の滅菌済シリンジは、限定されるものでないが皺襞平滑化の応用、組織増強、組織の嵩増しなどを挙げることができる多様な美顔的および医学的応用で有用でありうる。
【0245】
本発明の付加的な一態様により、本発明のマトリックスは、限定されるものでないが、医薬品、薬物、タンパク質、ポリペプチド、麻酔薬、抗菌薬(anti−bacterial agent)、抗菌薬(anti−microbial agent)、抗ウイルス薬、抗真菌薬(anti−fungal agent)、抗真菌薬(anti−mycotic agent)、抗炎症薬、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、多様な細胞外マトリックス成分、ホルモン、成長因子、トランスフォーミング因子、受容体若しくは受容体複合体、天然のポリマー、合成ポリマー、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、薬物、治療薬、抗炎症薬、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質糖タンパク質、ムコタンパク質、ムコ多糖、マトリックスタンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、タンパク質、ペプチド、ホルモン、遺伝子治療のための遺伝物質、核酸、化学修飾核酸、オリゴヌクレオチド、リボ核酸、デオキシリボ核酸、キメラDNA/RNA構築物、DNA若しくはRNAプローブ、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然若しくは人工的に製造されるオリゴヌクレオチドを包含する組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、細胞取り込みおよび転写を促進するのに必要とされるウイルスおよびウイルス以外のベクター、グリコサミノグリカン、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、レシチン豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグリカン、シンデカン、β−グリカン、バーシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、fibulin、トロンボスポンジン−5、酵素、酵素阻害剤、抗体を挙げることができる剤および物質で、ならびに、上の物質および/または当該技術分野で既知のいずれかの他の型の特性を改変する剤若しくは物質のいずれかの組合せにより、化学的かつ/若しくは物理的かつ/若しくは生物学的に改変しうる。加えて、若しくは、あるいは、剤(1種若しくは複数)または物質(1種若しくは複数)は架橋前に反応混合物に添加することができ、そして、該架橋反応をその後、該剤(1種若しくは複数)または物質(1種若しくは複数)を形成された架橋マトリックス内に組み込みかつ/若しくは架橋して該マトリックスの特性を変えるように、該剤(1種若しくは複数)または物質(1種若しくは複数)の存在下で実施しうる。
【0246】
こうした添加された物質は、当該技術分野で公知であるところのいずれかの適する架橋剤により多糖マトリックスに共有結合しうる。あるいは、若しくは加えて、こうした改変物質は、本明細書に記述される架橋過程の間に反応混合物中に包含されることができ、そして従って、架橋多糖に基づくマトリックス若しくは混成マトリックス内に捕捉されうるか若しくはそれらに組み込まれうる。
【0247】
本明細書に記述される架橋マトリックスは、当該技術分野で既知のいずれかの化学的若しくは生物学的修飾剤に該マトリックスをさらすことによりさらに改変されうることが、当業者により認識されるであろう。例えば、限定されるものでないが、架橋後に架橋されたマトリックス成分上に残存するアミノ基および若しくは/カルボキシ基、ならびに/またはヒドロキシル基を挙げることができる遊離官能基のいくつか若しくは全部を、マトリックス特性をさらに制御するために、(限定されるものでないがアミノ基および/若しくはカルボキシ基、ならびに/またはヒドロキシ基および/若しくはニトロ基、ならびに/またはクロロおよび/若しくはブロモおよび/若しくはヨード基、ならびに/またはペルオキソ基および/若しくはペリオド基および/若しくはペルクロロ基、ならびに/または同様のいずれかの他の化学基および/若しくは化学的部分を挙げることができる)他の化学基若しくは部分を化学的に導入してこうした基をさらに改変するように、化学的に若しくは酵素で処理しうる。こうした可能な架橋後修飾の例は、限定されるものでないが、架橋マトリックスの多糖バックボーンまたは混成マトリックスのいずれかの包含される架橋されたタンパク質若しくはポリペプチドのタンパク質バックボーン上に存在する遊離ヒドロキシル若しくはカルボキシ基のエステル化、多糖若しくはポリペプチドバックボーン上のいずれかの遊離アミノ基のアセチル化、あるいは当該技術分野で既知のいずれかの他の型の官能基の化学若しくは酵素的修飾反応を挙げることができる。こうした修飾の化学は当該技術分野で公知であり、そして従って下で詳細に開示されない。
【0248】
こうした官能基修飾は、マトリックスを特定の所望の応用に適合させるために(限定されるものでないが疎水性、親水性、多様な選択されたpHレベルでの正味電荷、マトリックスの多孔性、マトリックスの水吸収能力、in vivoおよび/若しくはin vitroでの酵素的分解に対する抵抗性などを挙げることができる)マトリックスの特性をさらに改変かつ微調整するのに有用でありうる。修飾されているマトリックスを、生物適合性を必要とする用途に意図している場合は、十分な程度の生物適合性を確保するために、修飾されている化学基の選択、および該マトリックスの構造に導入されているいずれかの化学基の性質に注意を払うべきであることを念頭に置くべきである。しかしながら、高い程度の生物適合性を必要としないマトリックスの他の応用においては、上に列挙された基および(限定されるものでないがアゾ基、アジド基ニトロソ基などを挙げることができる)当該技術分野で既知のいずれかの他の化学基の多くを、該マトリックスの構造および特性のさらなる改変を提供するために該マトリックスの構造に導入しうる。
【0249】
本発明のマトリックスの付加的な一態様により、上述された若しくは本明細書に開示される方法を使用して製造した架橋マトリックスのいずれにも生存細胞を添加しうる。生存細胞は、該マトリックス中に包含された若しくは埋め込まれた1個若しくはそれ以上の生存細胞を含有する架橋マトリックスを形成するために、架橋の間若しくは後に添加しうる。
【0250】
本発明のマトリックスの付加的な一態様により、マトリックスに包含される生存細胞は、脊椎動物軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、脊椎動物幹細胞、胚性幹細胞、成体組織由来幹細胞、脊椎動物前駆細胞、脊椎動物線維芽細胞、マトリックスタンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、タンパク質、ホルモン、ペプチドの1種若しくはそれ以上を分泌するよう遺伝子的に工作された細胞、タンパク質、ペプチド、ホルモン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、糖タンパク質、ムコタンパク質およびムコ多糖よりなる群から選択される1種若しくはそれ以上の分子に対する受容体を発現するよう工作された1種若しくはそれ以上の型の生存細胞でありうる。数種の型の異なる細胞の組合せもまた本発明のマトリックスに包含しうる。
【0251】
本発明の多様な態様により、本出願の方法により得られる架橋多糖に基づくマトリックスは、限定されるものでないが、(in vivoおよびin vitroでの応用のための)組織工学で使用可能なマトリックス足場構造、医薬品および生物製剤(生物学的に活性のタンパク質、遺伝子、遺伝子ベクターなど)のための制御送達系、誘導される組織および骨再生のための膜、(限定されるものでないが皺襞充填ならびに他の美顔的および審美的目的上の注入可能な製剤を挙げることができる)組織増強および/若しくは美顔的使用のための注入可能かつ/若しくは埋植可能な嵩増し剤および/若しくはプロテーゼ装置、天然のおよび/若しくは再構成および/若しくは人工臓器を固定するための包被、限定されるものでないが人工乳房を挙げることができる人工組織若しくは臓器の製造のための増量材料を挙げることができる多様な応用での、ならびに、他の天然若しくは人工ポリ
マー構造、材料および/若しくはマトリックス、あるいは他の天然の若しくは合成の有機および無機化合物ならびに/若しくはポリマー、ならびに/または上の物質の全部の組合せと組合せた本発明の架橋多糖を含んでなる混成材料の成分としての使用に適しうる。
【0252】
上で開示された反応およびサンプル調製の多くで使用される緩衝液はリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)であった一方、これは本発明を実施するための義務では決してないことが、当業者により認識されるであろう。従って、多くの異なる型の緩衝液ならびに若しくは緩衝溶液および緩衝溶媒を、本発明の多糖に基づくマトリックスおよび/若しくは多糖/タンパク質に基づく混成マトリックスを製造するための材料製造手順および/若しくは架橋反応を実施するのに使用しうる。例えば、本発明の製造法および架橋反応で使用しうる他の例示的緩衝剤は、限定されるものでないが、クエン酸/クエン酸緩衝剤、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(BIS−TRIS)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(HEPES)、および当該技術分野で既知の多くの他の型の緩衝剤を挙げることができる。しかしながら、上述される架橋反応を妨害しうる活性化学基若しくは部分を該緩衝剤が包含しないことを確実にするために、緩衝剤の組成の選択(使用する場合)に注意を払うべきである。こうした緩衝剤、および使用のためのそれらの選択の考慮は当該技術分野で公知であり、そして文献に広範囲に記述され、そして従って本明細書で詳細に開示されない。
【図面の簡単な説明】
【0253】
本発明を理解しかつそれが実務においてどのように実施されうるかを理解するために、いくつかの好ましい態様を、制限しない例としてのみ、付随する図面を参照して今や記述することができる。
【図1】本発明の方法の一態様により得られた、破線曲線により表されるアミノ機能性化ヒアルロン酸(AFHA)および実線曲線により表されるDL−グリセルアルデヒドで架橋したAFHAのUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。
【図2】本発明の方法の態様により得られた、破線曲線により表されるD(−)−リボースで架橋したAFHA、実線曲線により表されるD(−)−エリトロースで架橋したAFHA、および点線曲線により表されるD(−)−アラビノースで架橋したAFHAのUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。
【図3】本発明の方法の態様により得られた、実線曲線により表される架橋されていないキトサン、破線曲線により表されるD(−)−リボースで架橋したキトサン、および点線曲線により表されるDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンのUV−可視スペクトルを表す図解のグラフである。
【図4】本発明の方法の態様による、点線曲線により表されるヒアルロン酸、破線曲線により表されるAFHA、および実線曲線により表されるDL−グリセルアルデヒドで架橋したAFHAのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを表す図解のグラフである。
【図5−7】数種の商業的に入手可能なヒアルロン酸に基づくマトリックスの流動学的特性と比較した、本発明の方法の態様による、多様な異なるDL−グリセルアルデヒド濃度で多様な時間架橋したAFHAに基づく多糖の6種の異なる組成物の流動学的特性の測定の結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図8】本発明の一態様による、多様な異なる濃度のDL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化HAの膨潤挙動を測定することの結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図9】本発明の一態様よる、多様な異なる濃度のDL−グリセルアルデヒドで架橋したキトサンの膨潤挙動を測定することの結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図10】DL−グリセルアルデヒドで架橋したアミノ機能性化HAおよび商業的に得られるPerlane(R)のヒアルロニダーゼによる消化のカルバゾールアッセイの結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図11】Perlane(R)試験サンプルの10倍希釈について補償するためにPerlane(R)の吸光度値を10により乗算した、図10のカルバゾールアッセイの結果を具体的に説明する図解のグラフである。
【図12】D(−)−フルクトースで架橋したアミノ機能性化HAマトリックスの例示的一サンプルおよびPerlane(R)のin vitroでのヒアルロニダーゼ消化に対する抵抗性%を消化時間の関数として具体的に説明する図解のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ多糖、アミノ機能性化多糖、およびそれらの組合せから選択される最低1種の多糖を、最低1種の還元糖と反応させて架橋多糖を形成することを含んでなる、架橋多糖の製造方法。
【請求項2】
前記最低1種の多糖が、天然に存在するアミノ多糖、合成アミノ多糖、アミノヘテロ多糖、アミノホモ多糖、アミノ機能性化多糖ならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化ヒアルロン酸ならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化ヒアルロナンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、キトサンおよびそれらの誘導体化された形態ならびにそれらのエステルおよび塩、ヘパリンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化グリコサミノグリカンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最低1種の還元糖が、アルドース、ケトース、アルドースの誘導体、ケトースの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記最低1種の還元糖が、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、およびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記最低1種の還元糖が、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトースおよびタロースから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記最低1種の還元糖が、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、誘導体化された形態のオリゴ糖、誘導体化された形態の単糖、単糖のエステル、オリゴ糖のエステル、単糖の塩、オリゴ糖の塩、およびそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記還元二糖が、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオースよりなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最低1種の還元糖が、グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、D−リボース−5−リン酸、グルコサミン、およびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記最低1種の還元糖が、右旋性の形態の前記最低1種の還元糖、左旋性の形態の前記最低1種の還元糖、ならびに右旋性および左旋性の形態の前記最低1種の還元糖の混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応させることが、前記最低1種の多糖を、最低1種の溶媒および前記最低1種の還元糖を含んでなる溶液中でインキュベートして前記架橋多糖を形成させることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記溶液が最低1種の緩衝剤を包含する緩衝溶液である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記最低1種の溶媒が、前記溶液のpHを制御するための最低1種の緩衝剤を包含する水性緩衝溶媒である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記最低1種の溶媒が、前記溶液のイオン強度を制御するための最低1種のイオン化可能な塩を包含する水性溶媒である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記最低1種の溶媒が、有機溶媒、無機溶媒、極性溶媒、非極性溶媒、親水性溶媒、疎水性溶媒、水に混合可能な溶媒、水に混合可能でない溶媒、およびそれらの組合せよりなる群から選択される最低1種の溶媒を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記最低1種の溶媒が、水、ならびに親水性溶媒、極性溶媒、水に混合可能な溶媒およびそれらの組合せから選択される最低1種の付加的な溶媒を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記最低1種の溶媒が、水、リン酸緩衝生理的食塩水、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエン、およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記反応させることが、架橋可能なアミノ基を有する最低1種のタンパク質若しくはポリペプチドを、前記最低1種の多糖および前記最低1種の還元糖に添加して、混成架橋マトリックスを形成させることもまた包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
架橋可能なアミノ基を有する前記最低1種のタンパク質若しくはポリペプチドが、コラーゲン、コラーゲンスーパーファミリー、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、構造タンパク質、血液由来タンパク質糖タンパク質、リポタンパク質、天然のタンパク質、合成タンパク質、ホルモン、成長因子、軟骨成長を促進するタンパク質、骨成長を促進するタンパク質、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲンから選択されるタンパク質、およびそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コラーゲンが、天然のコラーゲン、線維性コラーゲン、線維性アテロペプチドコラーゲン、テロペプチド含有コラーゲン、凍結乾燥コラーゲン、動物供給源から得られたコラーゲン、ヒトコラーゲン、哺乳動物コラーゲン、組換えコラーゲン、ペプシン処理コラーゲン、再構成コラーゲン、ウシアテロペプチドコラーゲン、ブタアテロペプチドコラーゲン、脊椎動物種から得られたコラーゲン、組換えコラーゲン、遺伝子的に工作若しくは改変されたコラーゲン、I、II、III、V、XI、XXIV型コラーゲン、IX、XII、XIV、XVI、XIX、XX、XXI、XXIIおよびXXVI型線維付随性コラーゲン、VIIIおよびX型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII、XVII、XXIIIおよびXXV型コラーゲン、XVおよびXVIII型コラーゲン、遺伝子的に改変された真核生物若しくは原核生物細胞または遺伝子的に改変された生物体により製造される人工的に製造したコラーゲン、精製されたコラーゲンおよび再構成された精製されたコラーゲン、線維性コラーゲンの粒子、線維性再構成アテロペプチドコラーゲン、細胞培地から精製されたコラーゲン、遺伝子的に工作された植物由来のコラーゲン、コラーゲンのフラグメント、プロトコラーゲン、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応させることが、最低1種の添加物を、前記最低1種の多糖および前記最低1種の還元糖に添加して、前記最低1種の添加物を含有する架橋マトリックスを形成することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記最低1種の添加物が、医薬品、薬物、タンパク質、ポリペプチド、麻酔薬、抗菌薬(anti−bacterial agent)、抗菌薬(anti−microbial agent)、抗ウイルス薬、抗真菌薬(anti−fungal agent)、抗真菌薬(anti−mycotic agent)、抗炎症薬、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、多様な細胞外マトリックス成分、ホルモン、成長因子、トランスフォーミング因子、受容体若しくは受容体複合体、天然のポリマー、合成ポリマー、DNA、RNA、オリゴヌクレオイチイド、薬物、治療薬、抗炎症薬、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質糖タンパク質、ムコタンパク質、ムコ多糖、マトリックスタンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症薬、タンパク質、ペプチド、ホルモン、遺伝子治療のための遺伝物質、核酸、化学修飾核酸、オリゴヌクレオチド、リボ核酸、デオキシリボ核酸、キメラDNA/RNA構築物、DNA若しくはRNAプローブ、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然若しくは人工的に製造されたオリゴヌクレオチドを包含する組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、細胞取り込みおよび転写を促進するのに必要とされるウイルスおよびウイルス以外のベクター、グリコサミノグリカン、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、レシチン豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグリカン、シンデカン、β−グリカン、バーシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、fibulin、トロンボスポンジン−5、酵素、酵素阻害剤、抗体、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記架橋の前、間若しくは後に、前記最低1種の多糖および前記最低1種の還元糖に1種若しくはそれ以上の生存細胞を添加して、架橋マトリックス中に埋め込まれた最低1種の生存細胞を含有する架橋マトリックスを形成することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記1種若しくはそれ以上の生存細胞が、脊椎動物軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、脊椎動物幹細胞、胚性幹細胞、成体組織由来幹細胞、脊椎動物前駆細胞、脊椎動物線維芽細胞、マトリックスタンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、タンパク質、ホルモン、ペプチドの1種若しくはそれ以上を分泌するよう遺伝子的に工作された細胞、タンパク質、ペプチド、ホルモン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症薬、糖タンパク質、ムコタンパク質およびムコ多糖よりなる群から選択される1種若しくはそれ以上の分子に対する受容体を発現するよう工作された1種若しくはそれ以上の型の生存細胞、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記架橋多糖を、乾燥、凍結乾燥、脱水、臨界点乾燥、成型、滅菌、均質化、機械的剪断、電離放射線による照射、電磁放射線による照射、製薬学的に許容できるベヒクルとの混合、添加物での含浸、およびそれらの組合せから選択される処理にかけることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法により製造された架橋多糖。
【請求項26】
多糖を1種若しくはそれ以上の反応体と反応させて前記多糖の誘導体化された形態を形成する段階であって、前記誘導体化された形態は1個若しくはそれ以上のアミノ基を含有し;および
前記誘導体化された多糖を最低1種の還元糖で架橋して架橋多糖を形成する段階
を含んでなる、架橋多糖の製造方法。
【請求項27】
前記アミノ基が一級アミノ基および二級アミノ基から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記1種若しくはそれ以上の反応体がカルボジイミドを含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記1種若しくはそれ以上の反応体が、アジピン酸ジヒドラジドの存在下のカルボジイミドを含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記カルボジイミドが、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記最低1種の還元糖が、アルドース、ケトース、およびそれらの組合せから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記最低1種の還元糖が、グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、D−リボース−5−リン酸、グルコサミン、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、誘導体化された形態のオリゴ糖、誘導体化された形態の単糖、単糖のエステル、オリゴ糖のエステル、単糖の塩、オリゴ糖の塩、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオース、ならびにそれらの組合せから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
請求項24に記載の方法により製造された架橋多糖。
【請求項34】
アミノ多糖、アミノ機能性化多糖およびそれらの組合せから選択される最低1種の多糖を、最低1種の架橋可能なタンパク質の存在下で、最低1種の還元糖で架橋して混成架橋マトリックスを形成することを含んでなる、混成架橋マトリックスの製造方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法により製造された架橋混成マトリックス。
【請求項1】
アミノ多糖、アミノ機能性化多糖、およびそれらの組合せから選択される最低1種の多糖を、最低1種の還元糖と反応させて架橋多糖を形成することを含んでなる、架橋多糖の製造方法。
【請求項2】
前記最低1種の多糖が、天然に存在するアミノ多糖、合成アミノ多糖、アミノヘテロ多糖、アミノホモ多糖、アミノ機能性化多糖ならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化ヒアルロン酸ならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化ヒアルロナンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、キトサンおよびそれらの誘導体化された形態ならびにそれらのエステルおよび塩、ヘパリンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、アミノ機能性化グリコサミノグリカンならびにそれらの誘導体化された形態ならびにエステルおよび塩、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最低1種の還元糖が、アルドース、ケトース、アルドースの誘導体、ケトースの誘導体、およびそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記最低1種の還元糖が、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、およびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記最低1種の還元糖が、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトースおよびタロースから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記最低1種の還元糖が、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、誘導体化された形態のオリゴ糖、誘導体化された形態の単糖、単糖のエステル、オリゴ糖のエステル、単糖の塩、オリゴ糖の塩、およびそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記還元二糖が、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオースよりなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最低1種の還元糖が、グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、D−リボース−5−リン酸、グルコサミン、およびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記最低1種の還元糖が、右旋性の形態の前記最低1種の還元糖、左旋性の形態の前記最低1種の還元糖、ならびに右旋性および左旋性の形態の前記最低1種の還元糖の混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応させることが、前記最低1種の多糖を、最低1種の溶媒および前記最低1種の還元糖を含んでなる溶液中でインキュベートして前記架橋多糖を形成させることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記溶液が最低1種の緩衝剤を包含する緩衝溶液である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記最低1種の溶媒が、前記溶液のpHを制御するための最低1種の緩衝剤を包含する水性緩衝溶媒である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記最低1種の溶媒が、前記溶液のイオン強度を制御するための最低1種のイオン化可能な塩を包含する水性溶媒である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記最低1種の溶媒が、有機溶媒、無機溶媒、極性溶媒、非極性溶媒、親水性溶媒、疎水性溶媒、水に混合可能な溶媒、水に混合可能でない溶媒、およびそれらの組合せよりなる群から選択される最低1種の溶媒を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記最低1種の溶媒が、水、ならびに親水性溶媒、極性溶媒、水に混合可能な溶媒およびそれらの組合せから選択される最低1種の付加的な溶媒を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記最低1種の溶媒が、水、リン酸緩衝生理的食塩水、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエン、およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記反応させることが、架橋可能なアミノ基を有する最低1種のタンパク質若しくはポリペプチドを、前記最低1種の多糖および前記最低1種の還元糖に添加して、混成架橋マトリックスを形成させることもまた包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
架橋可能なアミノ基を有する前記最低1種のタンパク質若しくはポリペプチドが、コラーゲン、コラーゲンスーパーファミリー、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、構造タンパク質、血液由来タンパク質糖タンパク質、リポタンパク質、天然のタンパク質、合成タンパク質、ホルモン、成長因子、軟骨成長を促進するタンパク質、骨成長を促進するタンパク質、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、膜タンパク質、エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲンから選択されるタンパク質、およびそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コラーゲンが、天然のコラーゲン、線維性コラーゲン、線維性アテロペプチドコラーゲン、テロペプチド含有コラーゲン、凍結乾燥コラーゲン、動物供給源から得られたコラーゲン、ヒトコラーゲン、哺乳動物コラーゲン、組換えコラーゲン、ペプシン処理コラーゲン、再構成コラーゲン、ウシアテロペプチドコラーゲン、ブタアテロペプチドコラーゲン、脊椎動物種から得られたコラーゲン、組換えコラーゲン、遺伝子的に工作若しくは改変されたコラーゲン、I、II、III、V、XI、XXIV型コラーゲン、IX、XII、XIV、XVI、XIX、XX、XXI、XXIIおよびXXVI型線維付随性コラーゲン、VIIIおよびX型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XIII、XVII、XXIIIおよびXXV型コラーゲン、XVおよびXVIII型コラーゲン、遺伝子的に改変された真核生物若しくは原核生物細胞または遺伝子的に改変された生物体により製造される人工的に製造したコラーゲン、精製されたコラーゲンおよび再構成された精製されたコラーゲン、線維性コラーゲンの粒子、線維性再構成アテロペプチドコラーゲン、細胞培地から精製されたコラーゲン、遺伝子的に工作された植物由来のコラーゲン、コラーゲンのフラグメント、プロトコラーゲン、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応させることが、最低1種の添加物を、前記最低1種の多糖および前記最低1種の還元糖に添加して、前記最低1種の添加物を含有する架橋マトリックスを形成することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記最低1種の添加物が、医薬品、薬物、タンパク質、ポリペプチド、麻酔薬、抗菌薬(anti−bacterial agent)、抗菌薬(anti−microbial agent)、抗ウイルス薬、抗真菌薬(anti−fungal agent)、抗真菌薬(anti−mycotic agent)、抗炎症薬、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、多様な細胞外マトリックス成分、ホルモン、成長因子、トランスフォーミング因子、受容体若しくは受容体複合体、天然のポリマー、合成ポリマー、DNA、RNA、オリゴヌクレオイチイド、薬物、治療薬、抗炎症薬、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質糖タンパク質、ムコタンパク質、ムコ多糖、マトリックスタンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症薬、タンパク質、ペプチド、ホルモン、遺伝子治療のための遺伝物質、核酸、化学修飾核酸、オリゴヌクレオチド、リボ核酸、デオキシリボ核酸、キメラDNA/RNA構築物、DNA若しくはRNAプローブ、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然若しくは人工的に製造されたオリゴヌクレオチドを包含する組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、細胞取り込みおよび転写を促進するのに必要とされるウイルスおよびウイルス以外のベクター、グリコサミノグリカン、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、レシチン豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグリカン、シンデカン、β−グリカン、バーシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、fibulin、トロンボスポンジン−5、酵素、酵素阻害剤、抗体、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記架橋の前、間若しくは後に、前記最低1種の多糖および前記最低1種の還元糖に1種若しくはそれ以上の生存細胞を添加して、架橋マトリックス中に埋め込まれた最低1種の生存細胞を含有する架橋マトリックスを形成することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記1種若しくはそれ以上の生存細胞が、脊椎動物軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、脊椎動物幹細胞、胚性幹細胞、成体組織由来幹細胞、脊椎動物前駆細胞、脊椎動物線維芽細胞、マトリックスタンパク質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症剤、タンパク質、ホルモン、ペプチドの1種若しくはそれ以上を分泌するよう遺伝子的に工作された細胞、タンパク質、ペプチド、ホルモン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、形態形成タンパク質、成長因子、転写因子、抗炎症薬、糖タンパク質、ムコタンパク質およびムコ多糖よりなる群から選択される1種若しくはそれ以上の分子に対する受容体を発現するよう工作された1種若しくはそれ以上の型の生存細胞、ならびにそれらのいずれかの組合せから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記架橋多糖を、乾燥、凍結乾燥、脱水、臨界点乾燥、成型、滅菌、均質化、機械的剪断、電離放射線による照射、電磁放射線による照射、製薬学的に許容できるベヒクルとの混合、添加物での含浸、およびそれらの組合せから選択される処理にかけることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法により製造された架橋多糖。
【請求項26】
多糖を1種若しくはそれ以上の反応体と反応させて前記多糖の誘導体化された形態を形成する段階であって、前記誘導体化された形態は1個若しくはそれ以上のアミノ基を含有し;および
前記誘導体化された多糖を最低1種の還元糖で架橋して架橋多糖を形成する段階
を含んでなる、架橋多糖の製造方法。
【請求項27】
前記アミノ基が一級アミノ基および二級アミノ基から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記1種若しくはそれ以上の反応体がカルボジイミドを含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記1種若しくはそれ以上の反応体が、アジピン酸ジヒドラジドの存在下のカルボジイミドを含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記カルボジイミドが、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記最低1種の還元糖が、アルドース、ケトース、およびそれらの組合せから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記最低1種の還元糖が、グリセルアルデヒド、リボース、エリトロース、アラビノース、ソルボース、フルクトース、グルコース、D−リボース−5−リン酸、グルコサミン、二炭糖、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖、七炭糖、八炭糖、九炭糖、十炭糖、グリセロース、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、還元単糖、還元二糖、還元三糖、還元オリゴ糖、誘導体化された形態のオリゴ糖、誘導体化された形態の単糖、単糖のエステル、オリゴ糖のエステル、単糖の塩、オリゴ糖の塩、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、ラミナリビオース、マンノビオースおよびキシロビオース、ならびにそれらの組合せから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
請求項24に記載の方法により製造された架橋多糖。
【請求項34】
アミノ多糖、アミノ機能性化多糖およびそれらの組合せから選択される最低1種の多糖を、最低1種の架橋可能なタンパク質の存在下で、最低1種の還元糖で架橋して混成架橋マトリックスを形成することを含んでなる、混成架橋マトリックスの製造方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法により製造された架橋混成マトリックス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−507103(P2009−507103A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528655(P2008−528655)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001009
【国際公開番号】WO2007/026362
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508064702)コルバー・ライフサイエンス・リミテツド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001009
【国際公開番号】WO2007/026362
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508064702)コルバー・ライフサイエンス・リミテツド (2)
【Fターム(参考)】
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