説明

染毛剤第2剤用の過酸化水素含有組成物

【課題】頭皮や皮膚への刺激を十分に低減した毛髪に適用される過酸化水素含有組成物を提供する。
【解決手段】染毛剤の第2剤として使用される過酸化水素含有組成物は、過酸化水素のほか、アラントイン、グアイアズレンおよびアロエエキスを含有している。これらは相乗的に作用し、抗炎症作用、抗アレルギー作用および保湿作用を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に適用される過酸化水素含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、過酸化水素含有組成物は、染毛剤、毛髪脱色・脱染剤およびパーマネントウェーブ剤などの毛髪に適用される薬剤として使用される。
【0003】
これらの薬剤のうち染毛剤としては、色持ちの良さと色調が豊富なことから、酸化染料を含む第1剤と酸化剤を含む第2剤とを染毛処理の直前に混合して使用する二剤型の酸化型染毛剤が広く利用されている。一般的な酸化型染毛剤の第1剤(以下、第1剤という)は酸化染料を主剤としてアルカリ剤などを配合したものであり、酸化染毛剤の第2剤(以下、第2剤という)は、過酸化水素等の酸化剤に少量の安定剤などを配合したものである。
【0004】
第1剤中のアルカリ剤は、毛髪を膨潤軟化させる作用と、第2剤中の酸化剤を分解して毛髪中のメラニン色素を脱色させる作用とを有している。第2剤中の酸化剤は、第1剤中のアルカリ剤との反応により発生した酸素によって毛髪中のメラニン色素を破壊して脱色する作用と第1剤中の酸化染料を重合させて毛髪内部に不溶性の発色色素を形成させて発色させる作用とを有している。
【0005】
したがって、染毛剤としての機能を発揮させるために、酸化型染毛剤には、所定量のアルカリ剤と酸化剤が配合されていることは不可欠な条件とされ、一般的に、第1剤にはpHが8〜11の種々のアルカリ剤が配合され、第2剤には、酸化剤として3〜9%の過酸化水素が配合される。
【0006】
しかし、上記の一般的な染毛剤を毛髪に塗布される被施術者の頭皮、および染まり具合を確認する施術者の手指の皮膚においては、染毛剤に含まれるアルカリ剤や酸化剤によって、刺痛感などの刺激を感じたり、発赤が発生することがある。特に頭皮や手指などに傷が存在する人や、敏感肌の人は、アルカリ剤や酸化剤によって強い刺激を感じることもある。
【0007】
そこで、頭皮などへの刺激の低減を図った染毛剤については、従来より種々の提案がなされている。これらのうち、例えば、特許文献1においては、アルカリ剤としてのアンモニアを含有する第1剤に、塩酸モノエタノールアミンを緩衝剤として含有させることで、使用時のpHを調整して、アルカリ剤による頭皮への刺激とアンモニア臭を低減した染毛剤が提案されている。
【0008】
そして、特許文献2においては、アルカリ剤としてアンモニア水またはモノエタノールアミンを含有する第1剤に、炭酸アンモニウムなどの水溶性アンモニウム塩と、pHを調整する多価カルボン酸を含有させて頭皮への刺激の低減を図った染毛剤が提案されている。
【特許文献1】特開2004−26699公報
【特許文献1】特開2002−363048公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記、特許文献1および特許文献2においては、第1剤について検討することで、アルカリ剤による頭皮などへの刺激の低減を図った染毛剤について提案されている。しかし、これらにおいては第2剤に含有される酸化剤の影響は考慮されておらず、染毛剤として使用する際の頭皮などへの刺激を十分に低減するものではなかった。
【0010】
また、従来、第2剤については、安定性や酸化力の向上という観点から検討されることが多く、頭皮などへの刺激の低減という観点から検討されることは、ほとんどなかった。
【0011】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、染毛剤として使用する際に頭皮や皮膚などへの刺激を十分に低減した、過酸化水素含有組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、十分に頭皮や皮膚などへの刺激を低減できる染毛剤について鋭意研究した結果、第2剤として使用される過酸化水素含有化合物に、アラントイン、グアイアズレンおよびアロエエキスを含有させることで、頭皮や皮膚などへの刺激を十分に低減することができるという知見を得た。
【0013】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、毛髪に適用される過酸化水素含有組成物であって、過酸化水素、アラントイン、グアイアズレンおよびアロエエキスを含有することを特徴とする過酸化水素含有組成物である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩、リン酸、ならびにリン酸水素2ナトリウムのうちの1種以上の化合物を、さらに含有してなるところに特徴を有する。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、エデト酸ジナトリウムを、さらに含有してなるところに特徴を有する。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、界面活性剤および油性成分を、さらに含有してなるところに特徴を有する。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、タール系色素および/または天然色素を、さらに含有してなるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0018】
<請求項1の発明>
本発明の過酸化水素含有組成物は、過酸化水素のほかに、アラントイン、グアイアズレンおよびアロエエキス(以下、「3つの成分」ともいう)を含有するものであり、染毛剤の第2剤として使用される。この3つの成分が相乗的に作用することで、抗炎症、抗アレルギー作用などを発揮し、頭皮や皮膚などに対する刺激や発赤を低減することができるのである。
したがって、本発明によれば、頭皮や皮膚などへの刺激を十分に低減した、過酸化水素含有組成物を提供することができる。
【0019】
<請求項2の発明>
本発明において、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩、リン酸ならびにリン酸水素2ナトリウムのうちの1種以上の化合物を含有するものは、本発明の過酸化水素含有組成物のpHを調整して過酸化水素の安定性を向上させることができるから好適である。
【0020】
<請求項3の発明>
本発明において、エデト酸ジナトリウムを、さらに含有するものは、本発明の過酸化水素含有組成物中に介在する金属イオンを封鎖することで過酸化水素の分解を防ぐとともに、その酸化力の低下を防ぐことができるから好適である。
【0021】
<請求項4の発明>
本発明において、油性成分を、さらに含有するものは、染毛時の毛髪の損傷を保護し、艶の保持が可能である。そして、この油性成分に加え界面活性剤を含有するものは、油性成分を乳化させて乳化状態として安定化させるとともに、均一な染毛作用を付与するから好適である。
【0022】
<請求項5の発明>
本発明において、タール系色素および/または天然色素を、さらに含有するものは、本発明の過酸化水素含有組成物に第1剤と容易に区別のつく色調を付与することができるから、第1剤との混合の際、完全混合状態の判断を助けるとともに、他の薬剤との誤用を防ぐことができ、好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<実施形態1>
以下、本発明の過酸化水素含有化合物を酸化型染毛剤の第2剤として適用した実施形態1について詳細に説明する。
本実施形態の第2剤は、アルカリ剤を含有する第1剤と混合することによって染毛剤として使用されるものであり、過酸化水素(A)、アラントイン、グアイアズレンおよびアロエエキス(B)を含有する。以下において、特記する場合を除き、含有量についての記載は、第2剤全体の重量に対する重量百分率(重量%)として記載する。
【0024】
過酸化水素(A)は、酸化剤として毛髪に含まれるメラニン色素を脱色するとともに酸化染料を酸化させるために配合される成分であり、(A)の含有量は、通常0.2〜15重量%、好ましくは2〜9重量%、さらに好ましくは3〜9重量%である。(A)の含有量が0.2重量%未満では、毛髪中のメラニン色素を十分に脱色することができないことがあったり、第1剤に含有される酸化染料を十分に酸化できないことがある。(A)の含有量が15重量%を超えると頭皮や毛髪などに不具合が生じることがある。
【0025】
アラントイン、グアイアズレンおよびアロエエキスからなる成分(B)は、抗炎症、抗アレルギー作用などを有し、これらの作用により頭皮や皮膚などに対する刺痛などの刺激、発赤を防ぐことができる。
【0026】
詳しくは、アラントインは、主に炎症を鎮め、かゆみなどを抑える作用などを有し、グアイアズレンは、主に抗炎症作用、抗アレルギー作用などを有し、アロエエキスは主に保湿作用などを有している。これらの3つの成分(B)を第2剤に配合することで、相乗的に抗炎症作用および、抗アレルギー作用を発揮することができ、第2剤に起因する刺激のみならず、第1剤に起因する刺激も低減することができる。
【0027】
アラントインの含有量は、好ましくは0.1〜0.3重量%、さらに好ましくは0.1〜0.2重量%であり、グアイアズレンの含有量は、好ましくは0.01〜0.05重量%、さらに好ましくは0.01〜0.02重量%であり、アロエエキスの含有量は、好ましくは0.01〜0.2重量%、さらに好ましくは0.1〜0.2重量%である。
【0028】
本実施形態の第2剤は、pHを調整して(A)成分の安定性を向上させるという観点から、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩、リン酸ならびにリン酸水素2ナトリウムのうちの1種以上の化合物(C)をさらに含有してなるものであることが好ましい。
【0029】
(C)成分の含有量は、好ましくは0.002〜1重量%、さらに好ましくは0.005〜0.2重量%である。(C)成分の含有量が0.002重量%未満ではpH調整作用が十分に得られないことがあり、1重量%を超えて配合しても、それ以上のpH調整作用は得られ難い。
【0030】
本実施形態の第2剤のpHは、(A)成分の安定性という観点から、酸性側であることが好ましく、さらに好ましくはpH2〜6である。pHがアルカリ側であると、(A)成分の安定性が悪化するおそれがある。
【0031】
本実施形態の第2剤は、金属イオンの活性を封鎖させる(D)成分を、さらに含有してなるものであることが好ましい。この理由は、第2剤中に金属イオンが介在すると、金属イオンが活性化反応を起こすことによって(A)成分の劣化が始まり、徐々に酸化力が落ちてゆき第2剤の効果がなくなることがあるのと同時に、(A)成分が分解されて発生した酸素ガスが容器の中にたまり容器内圧を上昇させて危険だからである。
【0032】
(D)成分としては具体的にはエデト酸ジナトリウムなどがあげられる。(D)成分の含有量は通常0.01〜0.05重量%であり、好ましくは0.01〜0.02重量%である。
【0033】
本実施形態の第2剤には、上記(A)〜(D)成分を溶解して水溶液、分散剤または乳化剤として製剤化するために溶媒として水(E)を用いる。(E)の含有量は好ましくは50〜98重量%であり、さらに好ましくは75〜95重量%である。(E)の含有量が50重量%未満であると、製剤化する際に水溶液、分散剤または乳化剤を安定して形成することが困難になるおそれがあり、98重量%を超えると第2剤の均一性および製剤化が困難となることがある。
【0034】
本実施形態の第2剤は、染毛時の毛髪の損傷保護、艶の保持という観点から油性成分を含有してなるものが好適であり、この油性成分を乳化させて乳化状態として安定化させるとともに、均一な染毛作用を付与するという観点から界面活性剤をさらに含有してなるものであることがさらに好ましい。
【0035】
油性成分としては、多価アルコール、高級アルコール、炭化水素、蝋類、油脂、高級脂肪酸およびそのエステル類、ならびにシリコーン類などがあげられ、本発明において好適に使用されるものを以下に例示する。
【0036】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリンなどのグリセリン類などが挙げられる。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコールなどが挙げられる。炭化水素としては流動パラフィン、合成スクワラン、ワセリン、スクワラン、パラフィン等があげられる。蝋類としては蜜蝋、カルナウバロウ、ラノリンなどが挙げられる。油脂としては、ひまし油、大豆油、牛脂、アーモンド油、卵黄油、ミンク油などが挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ラノリン脂肪酸などが挙げられる。高級脂肪酸のエステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラノリン誘導体などが挙げられる。シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
【0037】
これら油性成分は単独でも2種以上を配合しても良いが2種以上を使用するのが好ましく、第2剤の湿潤効果、均一性および安定性を図る観点から、少なくとも1種の多価アルコールを含有することが、特に好ましい。
【0038】
油性成分の含有量は、好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。含有量が0.1重量%未満であると、乳化安定性および毛髪の潤い柔軟性などの感触が得られない可能性があり、15重量%を超えると十分な染毛力が得られないおそれがある。
【0039】
界面活性剤としては非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が用いられ、本発明において好適に使用されるものを以下に例示する。
【0040】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEアルキルフェノールエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル類等が挙げられる。
【0041】
カチオン界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0042】
アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキル硫酸塩などが挙げられる。
【0043】
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ココアミドプロピレンベタインなどが挙げられる。
これら界面活性剤は単独でも二種以上を配合しても良い。
【0044】
界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。含有量が0.1重量%未満であると第2剤の安定性に欠ける可能性があり、10重量%を超えると染毛力が低下するおそれがある。
【0045】
本実施形態の第2剤は、タール系色素や天然色素などの直接染料を、さらに含有してなるものであることが好ましい。これは以下の理由による。
【0046】
従来の第2剤は、その多くが無色透明の液体状または白色クリーム状をなしているものであることから、第1剤と第2剤とを混合した際に完全混合状態の判別がつきにくかった。また、第2剤には酸化剤濃度の異なるものが多く販売されており、被施術者の髪質や染め具合を考慮して使用されるが、濃度によって色調の差が明確でないので他の濃度の薬剤と誤用される可能性もあった。
【0047】
本実施形態の第2剤は、直接染料を含有しない状態では、グアイアズレン由来の淡青色を帯びた乳白色をなしていることから、従来の第2剤と比較して第1剤との完全混合状態の判別は容易である。しかし、本実施形態の第2剤に直接染料を加えることで、第1剤との完全混合状態の判別をさらに容易に行うことができる。加えて、第2剤に含有される直接染料の種類や量を変えることで、第2剤の過酸化水素の濃度に応じて、異なる色調のものを提供することができるので、他の薬剤との誤用を防ぐこともできる。
【0048】
直接染料としては、タール系色素、天然色素などを使用することができ、これらは、単独または2種以上を組み合わせて使用しても良い。タール系色素としては、医薬品などに使用できるタール系色素(平成15年厚生労働省告示第126号)に収載されているものを使用することができる。天然色素としては、コチニールなどを使用することができる。
直接染料は、通常0.001〜0.01重量%含有される。
【0049】
本実施形態の第2剤には、上記以外の成分、例えば、フェナセチンなどの安定剤、水溶性高分子化合物、粘度調整剤、保湿剤、帯電防止剤、毛髪柔軟剤、酸化防止剤、防腐剤、賦形剤、香料などを含有させることもできる。
本実施形態の第2剤と混合される第1剤としては、特に限定されず、一般的なものを使用することができる。
【0050】
<実施例1〜6、比較例1〜3>
次に、実施例および比較例を挙げて前述の実施形態1をさらに具体的に説明する。
(1)第1剤の調製
表1に示す配合により、2剤型染毛剤の第1剤を調製した。表中の数字は、第1剤全体に対する重量%である。
【0051】
【表1】

【0052】
(2)第2剤の調製
表2に示す配合により、実施例1〜6の第2剤(本発明品)および比較例1〜3の第2剤(比較品)を調製した。なお、タール系色素として青色404号を使用することで、本発明品及び比較品の第2剤は、第1剤とは容易に区別ができる色調を呈するものを調製した。表中の数字は第2剤全体に対する重量%である。
【0053】
【表2】

【0054】
<試験例>
実施例1〜6および比較例1〜3の第2剤に対して、第1剤を重量比において1:1の割合で混合して染毛剤を調製し、以下の試験を行った。
(1)頭皮染毛試験
白髪交じりの成人35名を被施術者とし、同一の被施術者につき、第2剤として実施例1〜6のうちのうちの一種を用いた場合と、比較例1〜3のうちの一種を用いた場合とのそれぞれについて、染毛時間、温度などの染毛処理に関する条件を同一に統一し染毛処理を行った。
【0055】
(a)頭皮及び皮膚への刺激についての評価
本発明品を使用する染毛処理と比較品を使用する染毛処理とは、2ヶ月以上の間隔をあけて行い、それぞれの染毛処理の際に被施術者の感じた頭皮への刺激と施術者の感じた皮膚への刺激について評価を行った。
【0056】
使用した第2剤ごとに、全く刺激を感じないを3点、ほとんど刺激を感じないを2点、少し刺激を感じるを1点、かなり刺激を感じるを0点として、この評価点の総和を評価を行った者の人数で除して平均値を算出した。この平均値が、2.3以上を◎、1.8以上2.3未満を○、1.3以上1.8未満を△、1.8未満を×とした結果を表2に示した。
【0057】
(b)頭皮の発赤状況の観察
さらに、この頭皮および皮膚への刺激評価とともに、各被施術者の頭皮の発赤状況を観察して、使用した第2剤ごとに、被施術者全体に占める発赤が認められた人の割合を算出した。この割合が0%の場合を◎、10%未満の場合を○、10%以上15%未満の場合を△、15%以上の場合を×として評価した結果を、表2に示した。
【0058】
<結果と考察>
(1)表2に示すように本発明品においては比較品と相違して、被施術者の頭皮に対しても、施術者の手指に対しても刺痛などの刺激が少なく発赤も認められないという良好な結果が得られた。
【0059】
これは、本発明品においては、アラントイン、グアイアズレン、アロエエキスからなる(B)成分が含まれ、これらが作用することで、抗炎症作用および抗アレルギー作用が発揮されたからであると考えられる。
【0060】
(2)本発明品のうち、とくに実施例1,2,4において良好な結果が得られた。実施例1,2,4においては、実施例3,5に比較して、グアイアズレンの含有量が多いことから、刺激を低減する作用は、グアイアズレンの量によって影響を受けていると考えられる。
【0061】
しかし、実施例6においては、グアイアズレン含有量が実施例1,2,4と同量ではあるものの、刺激を低減する作用がこれらよりも劣っているのは、アラントイン含有量とアロエエキスの含有量とが、実施例1,2,4よりも少ないことが原因ではないかと考えられる。これらの結果から、本発明においては、グアイアズレン、アラントインおよびアロエエキスという3つの成分の相乗効果によってより良好な効果が得られるのではないかと考えられる。
【0062】
<まとめ>
以上より、本発明によれば、十分に頭皮および皮膚への刺激を低減した過酸化水素含有組成物を提供することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1〜6の第2剤は、表2中に記載されている油性成分および界面活性剤を含有するものであったが、他の油性成分および界面活性剤を含有するものであってもよい。
【0064】
(2)上記実施例1〜6においてはタール系色素を含有するものであったが天然色素を含むものなどであってもよいし、他の種類のタール系色素を含有するものであってもよい。
(3)上記実施例1〜6の第2剤は、過酸化水素濃度が同一のものであったが、これらよりも、過酸化水素濃度が少ないものであってもよく、さらに過酸化水素濃度の違いによって含有される直接染料の量や種類を変えて第2剤の色調に差異を生じさせてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪に適用される過酸化水素含有組成物であって、
過酸化水素、アラントイン、グアイアズレンおよびアロエエキスを含有することを特徴とする過酸化水素含有組成物。
【請求項2】
テトラデセンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩、リン酸、ならびにリン酸水素2ナトリウムのうちの1種以上の化合物を、さらに含有してなることを特徴とする請求項1に記載の過酸化水素含有組成物。
【請求項3】
エデト酸ジナトリウムを、さらに含有してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過酸化水素含有組成物。
【請求項4】
界面活性剤および油性成分を、さらに含有してなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の過酸化水素含有組成物。
【請求項5】
タール系色素および/または天然色素を、さらに含有してなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の過酸化水素含有組成物。

【公開番号】特開2007−308405(P2007−308405A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137879(P2006−137879)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【特許番号】特許第3947554号(P3947554)
【特許公報発行日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(593117730)英昌化学工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】