説明

染毛料組成物

【課題】従来のラスター剤を用いることなく、真珠様の光沢や虹彩(ラスター光沢)を有する美しい外観を呈し、かつ使用性、安定性に優れる染毛料組成物を提供する。
【解決手段】(A)特定の長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン性界面活性剤を0.1〜10質量%、(B)直鎖または分岐鎖のアルキル鎖を有する、炭素原子数12〜22の脂肪族アルコールを0.25〜25質量%、(C)サクシノグリカンを0.05〜3質量%、並びに(D)染料および/または天然色素を含有する染毛料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染毛料組成物に関する。特には、真珠様の光沢や虹彩(ラスター光沢)を有する美しい外観を呈し、かつ使用性、安定性に優れる頭髪用染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を染色するための染毛料は、例えば「白髪染め」や「おしゃれ染め」として広く用いられている。この染毛料には、毛髪を所望の色彩に染めるための色剤が当然に配合されているが、かかる色剤として、塩基性染料、非イオン性染料、中性染料等を配合した染毛料や、酸性領域でその染毛効果を最もよく発揮する酸性染料等が知られている。従来、このような染毛料では、特に安定性等の点から、長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン界面活性剤と長鎖アルキルアルコール(=脂肪族アルコール)を配合してゲルを形成したものが知られている(例えば特許文献1〜3参照)。この長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン界面活性剤と脂肪族アルコールとにより形成されるゲルは、トリメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤と脂肪族アルコールとによるカチオン性リンスゲルに比べて極めて安定性が高い。
【0003】
ところで近年の消費者の嗜好の多様化により、染毛料として真珠様の光沢や虹彩(ラスター光沢。いわゆるパール感)を有する不透明タイプのものが好まれる傾向がみられる。一般に、このようなパール感を有する不透明タイプの化粧料を製造するには、ジステアリン酸グリコールなどのラスター剤が配合される。しかしながら、上述のようなゲルを形成し、各種色剤を配合した染毛料においては、これら従来のラスター剤を配合すると、ラスター剤が基剤に溶解し、光沢感が出ないという問題があり、ラスター光沢を呈する外観をもつ染毛料の実現は難しかった。上記特許文献1〜3に記載の染毛料にもパール感(ラスター光沢)を有する外観についての記載・示唆はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−271041号公報
【特許文献2】特開2002−205923号公報
【特許文献3】特開2003−327518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、従来のラスター剤を用いることなく、真珠様の光沢や虹彩(ラスター光沢)を有する美しい外観を呈し、さらに使用性、安定性に優れる染毛料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記従来の問題点を解消すべく研究を重ねた結果、上述のようなゲルを形成し、各種色剤を配合した染毛料組成物中にサクシノグリカンを配合することで、従来のラスター剤を用いることなく、真珠様の光沢や虹彩(ラスター光沢)を有し、さらに使用性、安定性に優れる染毛料組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(A)下記一般式(I)
1CO−a−(CH2nSO31 (I)
〔式(I)、R1CO−は平均炭素原子数10〜22の飽和または不飽和の脂肪酸残基(アシル基)を示し;aは−O−または−NR−(ただし、Rは水素原子、または炭素原子数1〜3のアルキル基を示す)を示し;M1は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウムまたは有機アミン類を示し;nは1〜3の整数を示す。〕
で表される長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン性界面活性剤を0.1〜10質量%、(B)直鎖または分岐鎖のアルキル鎖を有する、炭素原子数12〜22の脂肪族アルコールを0.25〜25質量%、(C)サクシノグリカンを0.05〜3質量%、並びに(D)染料および/または天然色素を含有する染毛料組成物を提供する。
【0008】
また本発明は、(A)成分:(B)成分=1:2.5〜1:50(質量比)である、上記染毛料組成物を提供する。
【0009】
また本発明は、(D)成分が酸性染料および/または天然色素である、上記染毛料組成物を提供する。
【0010】
また本発明は、(D)成分を0.001〜2質量%含有する、上記染毛料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、従来のラスター剤を用いることなく、真珠様の光沢や虹彩(ラスター光沢)を有する美しい外観を呈し、さらに使用性、安定性に優れる染毛料組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳述する。
【0013】
本発明の染毛料において、(A)成分としての長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン性界面活性剤は下記式(I)で表される。
【0014】
1CO−a−(CH2nSO31 (I)
【0015】
式(I)中、R1CO−は平均炭素原子数10〜22の飽和または不飽和の脂肪酸残基(アシル基)を表す。R1COとして、C1123CO、C1225CO、C1327CO、C1429CO、C1531CO、C1633CO、C1735CO、ココヤシ脂肪酸残基、パームヤシ脂肪酸残基等が例示される。なお、R1COは、安全性等の点から、その平均炭素原子数が12〜22のものがより好ましい。
【0016】
aは−O−または−NR−(ただし、Rは水素原子、または炭素原子数1〜3のアルキル基を示す)を表す。これらは電子供与性基である。aとしては、−O−、−NH−、−N(CH3)−が好ましい。
【0017】
1は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。M1として、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、タウリンナトリウム、N−メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0018】
nは1〜3の整数を表す。
【0019】
(A)成分として、上記式(I)中、aが−O−を示す化合物、すなわち長鎖アシルイセチオン酸塩型陰イオン性界面活性剤としては、ココイルイセチオン酸塩、ステアロイルイセチオン酸塩、ラウリルイセチオン酸塩、ミリストイルイセチオン酸塩等が例示される。
【0020】
上記式(I)中、aが−NH−を示す化合物、すなわち長鎖アシルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤としては、N−ラウロイルタウリン塩、N−ココイル−N−エタノールタウリン塩、N−ミリストイルタウリン塩、N−ステアロイルタウリン塩等が例示される。
【0021】
上記式(I)中、aが−N(CH3)−を示す化合物、すなわち長鎖アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤としては、N−ラウロイル−N−メチルタウリン塩、N−パルミトイル−N−メチルタウリン塩、N−ステアロイル−N−メチルタウリン塩、N−ココイル−N−メチルタウリン塩等が例示される。
【0022】
中でも、(A)成分として、長鎖アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤が好ましく、特にはN−ステアロイル−N−メチルタウリン塩が好ましい。(A)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
(A)成分の配合量は、染毛料組成物全量中、0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜5質量%、特に好ましくは0.5〜2質量%である。0.1質量%未満では、(B)成分である脂肪族アルコールの結晶析出により、安定性が低下し、またすすぎ時の滑らか感が得られず、一方、10.0質量%超では低粘度による、安定性、安全性の低下を生じる。
【0024】
(B)成分は、直鎖または分岐鎖のアルキル鎖を有する、炭素原子数12〜22の脂肪族アルコールである。(B)成分としては、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、硬化ナタネ油アルコール、ホホバアルコール等の直鎖アルコールや、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分岐鎖アルコールなどが挙げられる。本発明では直鎖アルコールが好ましい。(B)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
(B)成分の配合量は、染毛料組成物全量中、0.25〜25質量%であり、好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは1〜15質量%である。0.25質量%未満では低粘度による安定性の低下を生じ、一方、25質量%超ではすすぎ時に滑らか感が得られず、また毛髪への染色効果が低下する。
【0026】
本発明では、(A)成分と(B)成分とがゲルを形成するが、このゲルが、従来のトリメチルアンモニウム型カチオン性界面活性剤と脂肪族アルコールとによるカチオン性リンスゲルに比べて極めて安定性が高いため、染毛助剤であるベンジルアルコール等の配合量をふやすことができる。その結果、従来よりもさらに染色力の強い製剤の調製が可能となる。
【0027】
またこの(A)成分と(B)成分とが形成するゲルは陰イオン性であるため、後述する(D)成分である染料や天然色素と複合体を形成することがなく、該(D)成分と安定に共存することができる。その結果、これまでにない滑らかな使用感で、安定性(特に粘度安定性)に優れ、かつ染着性に優れた染毛料組成物を調製することが可能となった。
【0028】
上記ゲルを効果的に形成するために、本発明では上記(A)成分と(B)成分は、(A)成分:(B)成分=1:2.5〜1:50(質量比)となるよう配合するのが好ましい。
【0029】
(C)成分としてのサクシノグリカンは、微生物に由来する多糖類の一種であり、ガラクトースおよびグルコースから誘導される糖単位に加え、コハク酸およびピルビン酸並びに随意成分としての酢酸、またはこれらの酸の塩から誘導される単位を含む微生物に由来する多糖類を意味する。
【0030】
より具体的にはサクシノグリカンは、ガラクトース単位:1,グルコース単位:7,コハク酸単位:0.8およびピルビン酸単位:1に、随意成分である酢酸単位を含むことのある平均分子量が約600万の下記式(II)で表される水溶性高分子である。
【0031】

【0032】
〔式(II)中、Glucはグルコース単位を、Galacはガラクトース単位を表す。また括弧内の表示は糖単位同士の結合様式を表す。例えば(β1,4)は、β1−4結合を表す。〕
【0033】
このサクシノグリカンの供給源となる微生物としては、例えばシュードモナス属、リゾビウム属、アルカリゲネス属またはアグロバクテリウム属に属する細菌を挙げることができる。これらの細菌の中でも、アグロバクテリウム属に属する細菌であるアグロバクテリウム・ツメファシエンスI−736〔ブタペスト条約に従い1988年3月1日に微生物培養締約国収集機関(CNCM)に寄託され、I−736の番号で公に入手し得る。〕が特にサクシノグリカンの供給源として好ましい。
【0034】
サクシノグリカンは、これらの微生物を培地中で培養することによって製造することができる。例えば、グルコース、蔗糖、デンプンの加水分解物等の炭素源;カゼイン、カゼイネート、野菜粉末、酵母エキス、コーンスティープリカー(CSL)等の有機窒素源;金属の硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機塩類や随意微量元素等を含む培地で上記の微生物を培養することによって製造することができる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0035】
(C)成分の配合量は、染毛料組成物全量中、0.05〜3質量%であり、好ましくは0.1〜2質量%である。0.1質量%未満では十分なラスター光沢を得るのが難しく、一方、3質量%超では使用性の点で劣る。
【0036】
(D)成分は染料および/または天然色素である。これらは染毛料組成物に用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、塩基性染料、非イオン性染料、中性染料、酸性染料等を、それぞれの目的等に応じて任意に用いることができる。
【0037】
塩基性染料、非イオン性染料、中性染料としては、例えば9−(ジメチルアミノ)−ベンゾ[a]フェノキサジ−7−イウム−クロライド(CI51175;ベーシック・ブルーNo.6)、ジ[4−(ジエチルアミノ)フェニル][4−(エチルアミノ)ナフチル]カルベニウム−クロライド(CI42595;ベーシック・ブルーNo.7)、3、7−ジ(ジメチルアミノ)フェノチアジン−5−イウム−クロライド(CI52015;ベーシック・ブルーNo.9)、ジ[4−(ジメチルアミノ)フェニル][4−(フェニルアミノ)ナフチル]カルベニウム−クロライド(CI44045;ベーシック・ブルーNo.26)、2−[(4−(エチル(2−ヒドロキシエチル)アミノ)フェニル)アゾ]−6−メトキシ−3−メチル−ベンゾチアゾリウム−硫酸メチル(CI11154;ベーシック・ブルーNo.41)、8−アミノ−2−ブロム−5−ヒドロキシ−4−イミノ−6−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]−1(4H)−ナフタリノン−クロライド(CI56059;ベーシック・ブルーNo.99)、ビス[4−(ジメチルアミノ)−フェニル][4−(メチルアミノ)フェニル]カルベニウム−クロライド(CI42535;ベーシック・バイオレットNo.1)、トリス(4−アミノ−3−メチルフェニル)−カルベニウム−クロライド(CI42520;ベーシック・バイオレットNo.2)、トリス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]カルベニウム−クロライド(CI42555;ベーシック・バイオレットNo.3)、2−[3,6−(ジエチルアミノ)ジベンゾピラニウム−9−イル]−安息香酸−クロライド(CI45170;ベーシック・バイオレットNo.10)、ジ(4−アミノフェニル)(4−アミノ−3−メチルフェニル)カルベニウム−クロライド(CI42510;ベーシック・バイオレットNo.14)、1,3−ビス[(2、4−ジアミノ−5−メチルフェニル)アゾ]−3−メチルベンゼン(CI21010;ベーシック・ブラウンNo.4)、1−[(4−アミノフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−2−ナフトール−クロライド(CI12250;ベーシック・ブラウンNo.16)、1−[(4−アミノ−3−ニトロフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−2−ナフトール−クロライド(CI12251;ベーシック・ブラウンNo.17)、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−5−フェニル−フェナジニウム−クロライド(CI50240;ベーシック・レッドNo.2)、1,4−ジメチル−5−[(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ]−1、2,4−トリアゾリウム−クロライド(CI11055;ベーシック・レッドNo.22)、2−ヒドロキシ−1−[(2−メトキシフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−ナフタリン−クロライド(CI12245;ベーシック・レッドNo.76)、2−[2((2,4−ジメトキシフェニル)アミノ)エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドール−1−イウム−クロライド(CI48055;ベーシック・イエローNo.11)、3−メチル−1−フェニル−4−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アゾ]−ピラゾール−5−オン−クロライド(CI12719;ベーシック・イエローNo.57)、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]フェニルカルベニウム−硫酸水素塩(1:1)(CI42040;ベーシック・グリーンNo.1)等が挙げられる。
【0038】
また、1−アミノ−2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロベンゼン(HCイエローNo.5)、1−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロベンゼン(HCイエローNo.4)、1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCイエローNo.2)、2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−メトキシ−5−ニトロベンゼン、2−アミノ−3−ニトロフェノール、1−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルアミノ−4−ニトロベンゼン、2,3−(ジヒドロキシプロポキシ)−3−メチルアミノ−4−ニトロベンゼン、2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロフェノール(HCイエローNo.11)、3−[(2−アミノエチル)アミノ]−1−メトキシ−4−ニトロベンゼン−塩酸塩(HCイエローNo.9)、1−[(2−ウレイドエチル)アミノ]−4−ニトロベンゼン、4−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−3−ニトロ−1−トリフルオルメチル−ベンゼン(HCイエローNo.6)、1−クロル−2,4−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−5−ニトロベンゼン(HCイエローNo.10)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−1−メチルベンゼン、1−クロル−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロベンゼン(HCイエローNo.12)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−1−トリフルオルメチル−ベンゼン(HCイエローNo.13)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−ベンゾニトリル(HCイエローNo.14)、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−ベンズアミド(HCイエローNo.15)、1−アミノ−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCレッドNo.7)、2−アミノ−4,6−ジニトロ−フェノール、2−エチルアミノ−4,6−ジニトロ−フェノール、4−アミノ−2−ニトロ−ジフェニルアミン(HCレッドNo.1)、1−アミノ−4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン−塩酸塩(HCレッドNo.13)、1−アミノ−5−クロル−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン、4−アミノ−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCレッドNo.3)、4−アミノ−3−ニトロフェノール、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニロトフェノール、2−ニトロ−4’−ヒドロキシジフェニルアミン(HCオレンジNo.1)、1−[(2−アミノエチル)アミノ]−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ニトロベンゼン(HCオレンジNo.2)、4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCオレンジNo.3)、1−アミノ−5−クロル−4−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCレッドNo.10)、5−クロル−1,4−[ジ(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCレッドNo.11)、2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4,6−ジニトロ−フェノール、4−エチルアミノ−3−ニトロ−安息香酸、2−[(4−アミノ−2−ニトロフェニル)アミノ]−安息香酸、2−クロル−6−メチルアミノ−4−ニトロフェノール、2−クロル−6−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−ニトロフェノール、2−クロル−6−エチルアミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−6−クロル−4−ニトロフェノール、4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−3−ニトロフェノール、2,5−ジアミノ−6−ニトロピリジン、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ニトロキノキサリン、7−アミノ−3,4−ジヒドロ−6−ニトロ−2H−1,4−ベンゾキサジン(HCレッドNo.14)、1,4−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン、1−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロ−4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ベンゼン(HCブルーNo.2)、1−アミノ−3−メチル−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6−ニトロベンゼン(HCバイオレットNo.1)、4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン−塩酸塩(HCブルーNo.12)、4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−[(2−メトキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCブルーNo.11)、1−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−4−[メチル−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCブルーNo.10)、1−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−4−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン−塩酸塩(HCブルーNo.9)、1−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCバイオレットNo.2)、1−メチルアミノ−4−[メチル−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−2−ニトロベンゼン(HCブルーNo.6)、2−[(4−アミノ−2−ニトロフェニル)アミノ]−5−ジメチルアミノ−安息香酸(HCブルーNo.13)、1,4−ジ[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]−9,10−アンスラキノン、1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−メチルアミノ−9,10−アンスラキノン(CI61505;ディスパース・ブルーNo.3)、2−[(2−アミノエチル)アミノ]−9,10−アンスラキノン(HCオレンジNo.5)、1−ヒドロキシ−4−[(4−メチル−2−スルホ−フェニル)アミノ]−9,10−アンスラキノン、1−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−メチルアミノ−9,10−アンスラキノン(HCブルーNo.8)、1−[(3−アミノプロピル)アミノ]−9,10−アンスラキノン(HCレッドNo.8)、1,4−ジアミノ−2−メトキシ−9,10−アンスラキノン(CI62015;ディスパース・レッドNo.11;ソルベント・バイオレットNo.26)、1,4−ジヒドロキシ−5,8−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−9,10−アンスラキノン(CI62500;ディスパース・ブルーNo.7;ソルベント・ブルーNo.69)、1−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−メチル−4−[(4−ニトロフェニル)アゾ]−ベンゼン(CI11210;ディスパース・レッドNo.17)、4−[(4−アミノフェニル)アゾ]−1−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−メチルベンゼン(HCイエローNo.7)、2,6−ジアミノ−3−[(ピリジン−3−イル)アゾ]−ピリジン、2−[(4−(アセチルアミノ)フェニル)アゾ]−4−メチルフェノール(CI11855;ディスパース・イエローNo.3)、1,4,5,8−テトラアミノ−9,10−アントラセンジオン(CI64500;ディスパース・ブルーNo.1;Lowadene Blue 1)、2,2’−[[4−[(4−アミノフェニル)アゾ]フェニル]イミノ]ビスエタノール(ディスパース・ブラックNo.9;Lowadene Black 9)等が挙げられる。
【0039】
酸性染料としては、ニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料等が挙げられる。具体的には、例えば赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色220号、赤色227号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、赤色602号、黄色4号、黄色5号、黄色6号、黄色202号、黄色203号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、橙色203号、橙色205号、橙色207号、橙色402号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色206号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色202号、青色205号、紫色401号、褐色201号、黒色401号等が挙げられる。
【0040】
このうち油性染料は、例えば赤色215号、赤色218号、赤色225号、橙色201号、橙色206号、黄色201号、黄色204号、緑色202号、紫色201号、赤色501号、赤色505号、橙色403号、黄色404号、黄色405号、青色403号である。
【0041】
また天然色素は、染毛料組成物に用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、例えばカロチノイド系、アントラキノン系、フラボノイド系(アントシアニン系、カルコン系、フラボン系)、ポルフィリン系、ジケトン系、ベタシアニン系、アゾフィロン系等が挙げられる。具体的には、アカネ色素、アナトー色素、パプリカ色素、クチナシ黄色色素、抽出カロチン、コチニール色素、ラック色素、赤キャベツ色素、シソ色素、紫コーン色素、エルダーベリー色素、ボイセンベリー色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素、ムラサキイモ色素、ベニバナ黄色素、ベニバナ赤色素、コウリャン色素、タマネギ色素、カカオ色素、サンダルウッド色素、スピルリナ青色素、クロロフィル、ウコン色素、ビーレッド色素、紅麹赤色素、紅麹黄色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素等が例示される。これら天然色素を配合する場合、所望により有機酸、無機酸等を併用してpHを適宜調整することができる。
【0042】
なお(D)成分として塩基性染料、非イオン性染料、中性染料を用いる場合は、染毛料組成物のpHを4〜9程度に調整するのが好ましい。また酸性染料を用いる場合は、染毛料組成物のpHを1.5〜4.5程度に調整するのが好ましい。本発明では酸性染料や天然色素を用いるのが安全性等の点からより好ましい。(D)成分は上記各染料、天然色素の中から1種または2種以上を用いることができる。
【0043】
(D)成分の配合量は、染毛料組成物全量中、0.001〜2質量%が好ましい。0.001質量%未満では毛髪への染色効果が十分でなく、一方、2質量%超では手への汚着の度合いが増し、また安全性の低下を引き起こしがちとなる。
【0044】
本発明では、上記(A)〜(D)成分を必須成分として配合することにより、(D)成分として塩基性染料〜酸性染料という好適pH領域が広範囲に及ぶ系中においても、従来のラスター剤を用いることなく、真珠様の光沢や虹彩(ラスター光沢)を有する美しい外観を呈するという効果が得られた。また(A)成分と(B)成分とによるゲル形成により、極めて安定した粘度を維持することができ、使用性に優れるとともに、染毛性にも優れる。
【0045】
本発明の染毛料組成物は、粘度変化率が少なく、粘度安定性に優れる。具体的には、例えば本発明染毛料組成物を45℃温度下で28日間保存した後の粘度について、下記数1で示す粘度の変化率で粘度の長期安定性を評価した場合、粘度の変化率0.8〜1の長期粘度安定性に優れた染毛料組成物を得ることができる。
【0046】
[数1]
粘度の変化率=(45℃、28日間保存後の粘度)/(製造1時間後の粘度)
【0047】
なお、粘度はB型粘度計で測定することができる。本発明の染毛料組成物の系としての粘度は、2000〜50000m・Pas(25℃)程度ものが好ましいが、50000m・Pas超でもかまわない。
【0048】
本発明の染毛料組成物には、上記必須成分に加え、所望によりさらに任意添加成分を配合することができる。
【0049】
このような成分として、例えば、本発明染毛料組成物のpHを調整するpH調整剤として、中性〜アルカリ剤、有機酸、無機酸またはそれらの塩を好適に配合することができる。中性〜アルカリ剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、塩基性アミノ酸等が挙げられる。有機酸またはその塩としては、プロパン酸、ブタン酸、ブタン二酸、ペンタン酸、ヘキサン二酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、フタル酸、L−グルタミン酸、グリコール酸、DL−グルタミン酸、タウリン、N−メチルタウリン、クエン酸三ナトリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられる。無機酸またはその塩としては、炭酸、塩酸、硫酸、リン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの中でも化粧品に汎用される炭酸水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムや、乳酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、およびこれらの塩類等が好適に用いられる。
【0050】
また、各染料、天然色素の染着性のより一層の向上を図って、従来より用いられている染毛助剤を配合してもよい。このような染毛助剤としては、例えば下記式(III)
【0051】

【0052】
〔式(III)中、R2は水素原子、メチル基またはメトキシ基を示し;R3は−CH2OH基、−CH2CH2OH基、−CH(CH3)OH基、−CH2CH2CH2OH基、−C(CH32OH基、−CH2CH(CH3)OH基、−CH(CH3)CH2OH基、−CH=CHCH2OH基、−OCH2CH2OH基を示す。〕
で表される芳香族アルコール、1価脂肪族アルコール、多価脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0053】
芳香族アルコールの具体例としては、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール等が例示される。中でも染着性効果等の点からベンジルアルコールが好ましい。
【0054】
1価脂肪族アルコールの具体例としては、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等が例示される。
【0055】
多価脂肪族アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン等が例示される。
【0056】
上記以外にさらに、N−メチルピロリドン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール等も用いられる。
【0057】
これら染毛助剤は1種または2種以上を配合することができる。染毛助剤の配合量は、染毛料組成物全量中、0.5〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
【0058】
さらに使用感のより一層の向上を図って非揮発性シリコーン系コンディショニング成分を配合してもよい。このような成分としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンのほか、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテルシリコーン等が好ましく用いられる。非揮発性シリコーンは通常、油剤として染毛料組成物中に配合されるが、乳化物として用意される成分として配合してもかまわない。
【0059】
なお、乳化物として添加する場合、機械分散されたものでも乳化重合されたものでもよく、その粒子径も特に制限なく用いることができるが、10nm〜1mm程度が好ましい。シリコーンの性状は、オイル、ゴム、レジン、粉末のいずれでもよく、線状でも架橋型でもよく、その粘性も特に制限されるものでない。
【0060】
本発明の染毛料組成物には、必要に応じて、上記以外にも、染毛料組成物で一般に使用される他の成分を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。このような成分としては、例えば、カチオン性界面活性剤、ラノリン誘導体、タンパク質誘導体、油性成分、保湿剤成分、生薬等の植物抽出物、カチオン性・アニオン性・非イオン性等の水溶性高分子、金属イオン封鎖剤、防腐剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、香料等が挙げられる。
【0061】
本発明の染毛料組成物は一剤式の染毛料組成物として好適に用いられ、ヘアマニキュアやカラーリンス等に応用できる。
【実施例】
【0062】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものでない。なお、配合量は質量%である。
【0063】
(実施例1〜5、比較例1〜2)
下記表1に示す組成の各試料を常法により調製した。これら各試料を用いて、下記評価基準に従って、ラスター光沢による外観の美しさ、使用性、安定性について評価を行った。結果を表1に示す。
【0064】
[ラスター光沢による外観の美しさ]
各試料をガラス瓶に充填して、ラスター光沢の発生を目視で観察し、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:試料外観にラスター光沢がみられた
△:試料外観に若干のラスター光沢がみられた
×:試料外観にラスター光沢がみられなかった
【0065】
[使用性]
ストランド(毛髪束)に各試料を塗布し、室温で5分間放置した後、水道水で洗い流して、使用性について、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:伸びが良く、たれ落ちず使用性がよい
△:若干の遜色があるものの実用上問題ない
×:使用性に問題がある
【0066】
[安定性]
各試料を50℃、室温、0℃に1ヶ月間放置し、粘度の変化を調べ、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:粘度に変化がない、または気づかない
△:粘度に変化があるものの、実用上問題ない範囲
×:粘度に変化があり、製品として許容できない
【0067】
【表1】

【0068】
表1の結果から明らかなように、サクシノグリカンを0.05〜3質量%配合した実施例1〜5は、本願発明効果を奏することができた。これに対しサクシノグリカンを配合しない比較例1〜2ではラスター光沢を有する外観を得ることができなかった。なお実施例1〜5の試料は、染色性にも優れるものであった。
【0069】
以下さらに処方例を示す。
(実施例6)
(配 合 成 分) (質量%)
N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム 2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.2
ステアリルアルコール 1
ベヘニルアルコール 3
セタノール 2
サクシノグリカン 0.4
1,3−ブチレングリコール 2
エタノール 0.5
ベンジルアルコール 2
ジメチコン 0.1
HCブルーNo.2 0.2
HCレッドNo.3 0.2
塩基性赤76 0.1
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明により、従来のラスター剤を用いることなく、真珠様の光沢や虹彩(ラスター光沢)を有し、さらに使用性、安定性に優れる染毛料組成物が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(I)
1CO−a−(CH2nSO31 (I)
〔式(I)中、R1CO−は平均炭素原子数10〜22の飽和または不飽和の脂肪酸残基(アシル基)を示し;aは−O−または−NR−(ただし、Rは水素原子、または炭素原子数1〜3のアルキル基を示す)を示し;M1は水素原子、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アンモニウムまたは有機アミン類を示し;nは1〜3の整数を示す。〕
で表される長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン性界面活性剤を0.1〜10質量%、(B)直鎖または分岐鎖のアルキル鎖を有する、炭素原子数12〜22の脂肪族アルコールを0.25〜25質量%、(C)サクシノグリカンを0.05〜3質量%、並びに(D)染料および/または天然色素を含有する染毛料組成物。
【請求項2】
(A)成分:(B)成分=1:2.5〜1:50(質量比)である、請求項1記載の染毛料組成物。
【請求項3】
(D)成分が酸性染料および/または天然色素である、請求項1または2記載の染毛料組成物。
【請求項4】
(D)成分を0.001〜2質量%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の染毛料組成物。

【公開番号】特開2011−42629(P2011−42629A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192554(P2009−192554)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】