説明

核、日光、および他の放射線誘発の組織損傷の予防

イノシトール6リン酸(IP−6)は、活性酸素種媒介の突然変異誘発、細胞傷害、および発癌を予防するために、強力な抗酸化活性を有するポリリン酸化炭水化物である。IP−6は、DNA修復機構も誘発する。致死量以下の放射線は、細胞増殖、細胞周期停止、およびアポトーシスを導くフリーラジカル、活性酸素種、およびピリミジン架橋の形成を通じてDNA損傷を引き起こす。IP−6および/またはイノシトールならびにそれらの医薬的に許容可能な塩および誘導体は、ピロリン酸およびクエン酸誘導体を含み、放射線の悪影響に有意に対抗し、保護的方法(保護的GI期におけるより多くの細胞)で細胞周期進行に影響を及ぼし、同様にアポトーシスおよびカスパーゼ3活性化を低下させる。IP−6の種々の塩は、同等の有効性で使用され、IP−6+イノシトールの組み合せは、放射線誘発の細胞傷害に対する最良の保護を与える。したがって、IP−6およびイノシトールは、核、日光および他の放射線傷害に対する保護に有効な薬剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線、特に電離放射線への予測された、計画されたまたは偶発性の暴露の有害作用から哺乳類細胞および組織を保護する分野に関する。具体的には、本発明は、日光、核、宇宙、および抗癌放射線療法時の放射線暴露を含む他の電磁もしくは微粒子放射線の形態への暴露から、放射線誘発哺乳類ならびにそれらの組織および細胞への損傷を予防または治療するための放射線への暴露の前、その間、またはその後に、かかる哺乳類被験者または哺乳類細胞に投与される、イノシトール6リン酸(IP−6)ならびにイノシトールの有無に関わらないピロリン酸およびクエン酸誘導体を含むその誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線は、波(長波長および低周波を有する)および/または粒子(短波長および高周波を有する)を基準にして説明され得るような方法において物質と相互に作用する電磁スペクトルにわたって分布されるエネルギーである。哺乳類が通常遭遇する全ての放射線の約80%は、自然発生の源に起因する。放射線、特に電離放射線は、主に細胞毒性効果を通じて、細胞および組織に対する有害作用を有する。ヒトにおいて、電離放射線への暴露は、主に、治療技術(抗癌放射線療法等)を通じて、人的な放射線源への職業および/または環境暴露を通じて、または航空機飛行要員の場合のように自然発生の放射線源への職業暴露を通じて生じる。
表1は、それらの周波数および選択された生物学的効果に従った放射線形を特徴付ける。スペクトルの低周波端により近い放射線形の性質は、波状としてよりよく説明される。スペクトルの高周波端により近い放射線形は、最も多いエネルギーを有し、粒子としての物質と相互に作用する傾向がある。典型的に、放射線暴露の危険効果は、放射線タイプの粒子特性と関連する。
【0003】
表1:電離および非電離電磁放射線

【0004】
電離放射線は、短波長および高周波を有すると特徴付けられ、典型的な電離放射線形は、紫外線、X線、γ線および宇宙線を含む。また、電離放射線の形は、α粒子または中性子等の粒子の放射性排出物も含む。その粒子特性に合わせて、電離放射線は、電子の放出およびフリーラジカル化学種の生成をもたらす生体分子中の原子の振動および回転を引き起こす。フリーラジカルは、外部軌道上に単一不対電子を有する化学種である。この不安定な構成は、無機および有機両方の隣接分子との相互作用を介してエネルギーの放出を支持する。生体分子において、この放出は、異常な化学結合の生成を介して対象生体分子の物理的改変をもたらす。したがって、電離放射線は、生体分子への直接的作用を及ぼすと言え得る。
また、フリーラジカル種は、中間反応性物質による化学的、酵素的、および触媒的手段を介して生成されてもよいが、しかし、電離放射線は、例えば水を直接加水分解してヒドロキシル(OH●)および水素(H●)フリーラジカルにすることによって、直接フリーラジカルを生成することができる。例えば、組織がγ放射線に暴露された場合、細胞に付与された多くのエネルギーは水により吸収されて、水中の酸素−水素共有結合の切断をもたらし、単一電子を水素および別の酸素上に残すため、したがって、2つのラジカルを生成する。ヒドロキシルラジカル(OH●)は、化学において知られる最も反応性なラジカルである。
【0005】
フリーラジカル種は、細胞および組織への損傷を産生させるために、核酸のプリンまたはピリミジン塩基、タンパク質、脂質、および他の生体高分子等の生体分子と相互に作用し、それらは、特に重病の患者において、細胞内および細胞外の連鎖反応を引き起こし得る。例えば、反応性フリーラジカル酸素種は、細胞表面からのシグナル伝達を介して転写因子の活性化を開始し、炎症および腫瘍促進をもたらす。
概して、DNAは、電離放射線の細胞毒性効果に対する重要な標的であることが一般的に認められている。電離放射線は、DNAを直接損傷または改変することができ、特に重要な副産物としてのチミジン2量体等の架橋されたピリミジン塩基の2本鎖(double−stranded:ds)切断および形成を引き起こす。電離放射線によってDNAのデオキシリボース部分上に直接形成された炭素中心ラジカルは、鎖切断の前駆物質であると考えられる。多大かつ回復不能なDNA損傷を受けている細胞は、概してアポトーシス(プログラム細胞死)を始め、生存している細胞は、変異、染色体異常および遺伝的不安定性の形で放射線損傷の特徴を帯びる。
【0006】
骨髄における造血細胞(造血性)、睾丸および卵巣における生殖細胞、消化管、気道等の粘膜内層細胞等の早急に分裂する細胞は、電離放射線からの傷害の影響を最も受け易い。細胞周期のG2および分裂期にある細胞が損傷を受ける可能性が最も高い。事実、重病とみなされるものの多くは、酸素ラジカル(“オキシラジカル”)病態生理学を伴い得ることが示唆されている。オキシラジカル傷害は、肺酸素毒性、成人呼吸促迫症候群(adult respiratory distress syndrome:ARDS)、気管支肺異形成症、敗血症症候群、ならびに心筋梗塞、脳卒中、心肺バイパス術、臓器移植、壊死性腸炎、急性腎尿細管壊死、および他の疾患を含む種々の虚血再灌流症候群の発病に関与している。
任意の源からの放射線暴露は、急性(単回大規模暴露)または慢性(経時的に拡散された一連の小規模かつ低レベルの、または継続的な低レベルの暴露)として分類されることができる。表2は、選択された源からの放射線用量を示す。放射線投与量は、概してミリレムで報告する。
【0007】
表2

【0008】
放射線宿酔は、概して、十分な用量の急性暴露に起因し、脱毛、脱力感、嘔吐、下痢、皮膚火傷ならびに消化管および粘膜からの出血を含む規則的な方法で現れる特性の一連の症状とともに存在する。遺伝子異常、不妊および癌(特に骨髄癌)は、経時的に発達することが多い。例えば、500,000から100万ミリレムを超える(5〜10Gy相当)の電離放射線の十分に多量な急性線量は、被験者を即時に死亡させ得る。何十万ミリレムの用量は、“急性放射能中毒”と称される状態から7から21日以内に死亡させ得る。125,000ミリレムの急性全身暴露は、放射線宿酔を引き起こし得る。放射線療法等で使用される局所線量は、放射線宿酔を引き起こし得ないが、しかし、暴露された正常細胞の損傷または死滅をもたらし得る。
例えば、1週間以内に受けた100,000〜125,000ミリレム(1Gy相当)の急性全身放射線量は、皮膚火傷もしくは発疹、粘膜およびGI出血、悪心、下痢および/または過剰な疲労等の観察可能な生理学的影響をもたらすであろう。また、造血および免疫担当細胞破壊等のより長期の細胞傷害性および遺伝的影響、脱毛(脱毛症)、胃腸および口腔粘膜脱落、肝臓の静脈閉塞症および脳血管の慢性血管過形成、白内障、間質性肺炎、皮膚の変化ならびに癌の発生率の増加も経時的に顕在化し得る。10,000ミリレム(0.1Gy相当)未満の急性線量は、長期細胞傷害性または遺伝的影響が生じ得るが、典型的に、即時に観察可能な生物学的または生理学的影響はもたらさない。
【0009】
慢性暴露は、癌および早期老化等の遅延性の医学的問題と通常関連する。慢性放射線暴露は、経時的に受けた低レベル(つまり、100−5,000ミリレム)の漸進的または継続的な放射線量である。慢性線量の例としては、原子力発電所で働く成人が受け取る典型的な線量である1年当たり約5,000ミリレムの全身線量が挙げられる。一方、原子力委員会は、一般の人々は、1年当たり100ミリレムを超える量を受けるべきではないと推奨している。慢性線量は、長期細胞傷害性および遺伝的影響を引き起こす場合があり、例えば、後年に発達する放射線誘発癌の危険性の増加として発現し得る。
1年当たり5,000ミリレム(1年当たり0.05Gy)を超える慢性線量は、急性線量を受ける人物に対して説明したものと同様の長期細胞傷害性または遺伝的影響をもたらし得る。また、一部の細胞傷害性または遺伝的悪影響は、1年当たり5,000ミリレムより有意に少ない慢性線量で生じ得る。放射線防護目的のために、ゼロを超える任意の線量は、放射線誘発癌(つまり、閾値がない)の危険性を増加させることができると仮定する。疫学の研究により、癌で死亡する推定生涯リスクは、全身への放射線量の1レム当たり約0.04%まで超えることが分かった。
【0010】
電離放射線への(急性)暴露の主な源は、癌または他の増殖性疾患の治療における人的治療的放射線の投与である。電離放射線の治療的線量を暴露された被験者は、典型的に治療毎に0.1から2Gyを受け、治療毎に5Gyもの高線量を受けることができる。治療医師により処方された治療の経過に応じて、数週間から数ヶ月の間に多数の線量が被験者により受け取られてもよい。
また、人的な源からの電離放射線への暴露は、職業環境においても生じることができる。電離放射線の職業線量は、例えば原子力および核兵器産業において放射線への暴露(または潜在暴露)を伴う仕事を有する人物が受ける場合がある。また、職業暴露は、原子炉または放射性物質を伴う大惨事に対処するために呼ばれる救急および緊急隊員においても生じ得る。職業暴露の他の源は、機械部品、プラスチック、放射性医薬品の製造の名残の溶剤、煙探知器、緊急サイン、および他の消費財に起因してもよい。また、職業暴露は、原子力船で従事する軍事要員または民間人、特に原子炉に対応する人物、および核兵器降下物を含む放射性物質の軍事利用によって汚染された領域内で操作する人物においても生じ得る。
【0011】
また、ヒトおよび他の動物(家畜等)を含む哺乳類は、環境からの人的な電離放射線に暴露され得る。有意な量のかかる環境放射線への暴露の主な源は、スリーマイル島、チェルノブイリおよび東海村等での原子力発電所の事故に起因する。また、電離放射線への環境暴露は、核兵器爆発(実験的または戦時中のいずれか)、核廃棄物貯蔵庫からのアクチニドの漏出や核燃料の処理および再処理、ならびにラドンガスまたはウラン等の自然発生の放射性物質にも起因し得る。また、劣化ウランを含有する軍需品の使用は、戦場の低レベルの放射能汚染をもたらすという高まる懸念もある。
上記のように、哺乳類における一生涯の放射線暴露の大部分は、自然発生の源に由来する。そのような源は、花崗岩で自然発生する少量のウラン等の自然界全体に分散された放射性化学元素を含む。少量の放射性元素は、場所によって低度の差はあっても、大気、地表、および水中で広範囲に発見される。他の顕著な自然発生の源は、太陽および宇宙の宇宙空間に由来する。太陽によって放射される紫外線は、比較的強い線量が世界の大部分全体で偶発的に取得され得るため、特に有害であり得る。宇宙線、X線、およびγ放射線暴露は、高高度で生活または働いているそれらの哺乳類に対して特にリスクが高い。宇宙飛行士を含む民間および軍事飛行要員は、高高度で過ごす期間が比較的長いために、かかる放射線の影響を特に受けやすい。
【0012】
抗放射線スーツまたは他の防護服は、放射線暴露を減少させるのに効果的であり得るが、その一方でかかる服は高価であり、扱いにくく、概して一般に利用可能ではない。さらに、放射線防護服は、放射線療法中に迷放射線暴露から腫瘍に隣接する正常組織を保護しない。したがって、必要なことは、電離放射線への暴露を被る予定のまたは被る危険性がある被験者を防護するための実用的な方法である。治療照射との関連で、腫瘍細胞に放射線の有害な影響を起こしやすいままである一方で、正常細胞の保護を増強することが所望される。さらに、職業もしくは環境暴露と伴に、または特定の治療技術と伴に生じ得るもの等の予期されるまたは偶発性の全身照射からの全身保護を提供することが所望される。
【0013】
医薬的放射線防護剤は、放射線防護服への費用効率の高い、効果的および容易に利用可能な代替物である。しかし、医薬組成物を用いた正常細胞の放射線防護への以前の試みは完全には成功していない。例えば、末梢血前駆細胞を能動化するように方向付けられたサイトカインは、放射前に与えられた場合に骨髄保護作用を授与するが(Neta et al.,Semin.Radiat.Oncol.6:306−320,1996)、全身保護は授与しない。単独でまたは生物学的応答調節物質との組み合せで投与される他の化学的放射線防護剤は、マウスにおいて軽微な保護作用を示したが、しかし、大きな哺乳類へのこれらの化合物の応用はあまり成功ではなく、化学的放射線防護に何らかの価値があったかどうか疑問を呈した(Maisin,J.R.,Bacq and Alexander Award Lecture.“Chemical radioprotection:past,present,and future prospects”,Int.J.Radiat.Biol.73:443−50,1998)。
【0014】
今日のテロリストおよび/または無法国家からの高まる核の脅威ならびに原子力発電所リアクタでの事故において、電離放射線暴露の健康被害から原子炉労働者および全人口を防護するために、安全かつ効果的な手段を有する必要性が増大している。米国のDepartment of Energy(DOE)は、“この問題に関心を抱く民間および軍当局者の満たされていない夢は、世界的に有効な薬理学的、つまり、マジック放射線防護薬を有することである。この薬は、早期に生じる急性傷害および後期に生じる病態に対する個人全身の防護を提供するために、疑わしい核/放射線学的現象の前または後に、過度の副作用なく経口的に摂取され得る(Inositol and Other Radioprotective Agents Workshopに関する2005年7月13日の米国のDepartment of Energyの報告)”と報告している。したがって、「放射線防護薬」は、緊急および重要な国際安全保障上の利益である。
【0015】
DOEの報告では、「...現在のあらゆる研究開発戦略は、新しい安全および効果的な防護剤の追及において用いられており、a)新しく特定された化学的分類または天然産物の大規模スクリーニング、b)所望されない毒性を減少させるために、証明済みの有効性で以前の保護剤を再処方または再構築すること、c)中程度にのみ保護的であるが、基本的に非毒性であり、非常に良好な耐容性を示す栄養補助食品を使用すること、d)放射線防護相乗作用を促進させることを願って異なる経路を介して細胞保護する潜在的に毒性(高薬剤用量で)であるが効果的な薬剤の低用量の組み合わせを使用すること、e)暴露後の治療で利用することができる薬物によって得られる保護を頼りにして、非毒性の代わりにより低い薬効を受け入れることを含む....」とさらに述べている。しかし、本出願の対象物であるIP−6ならびにピロリン酸および/またはイノシトールを含むその誘導体に関して、当業者は、「イノシトール6リン酸、IP−6、およびその類似体は薬物としてのテストに入っている。挑戦の1つは、細胞内への分子の通過を促進するために、保護基でリン酸塩を覆うことである。(2005年7月13日のDOE報告)」と結論付けている。IP−6ならびにピロリン酸および/またはイノシトールを含むその誘導体は、現在防護剤として効果がない場合があるという考えが示唆される。
【0016】
放射線防護剤および放射線増感剤等の放射線修飾因子の先行技術は、メトラニダゾールおよびミソニダゾール等の低酸素細胞増感剤に焦点を当てている。放射線防護剤は、臨床レベルでは放射線増感剤よりもほとんど注目されていない。原子力時代は、1960年代にアメリカ合衆国のWalter Reed Army Institute of Researchで合成およびテストされた4,000を超える化合物での放射線防護剤の開発における相当な努力を引き起こした。WR2727として知られる化合物を除いて、これらの化合物のどれもが、軍事もしくは産業状況において、または癌放射線療法に有用であると証明されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、電離放射線への暴露を被ったまたは被る危険性がある被験者において、放射線、特に電離放射線への暴露の細胞傷害性および遺伝的影響から、正常細胞および組織を保護するための組成物および方法を提供する。電離放射線への暴露は、癌および他の増殖性疾患の治療時に制御された用量で生じ得、または、高リスクの活動もしくは環境暴露時に全人口に対して認容される標準を上回る制御されていない用量で生じ得る。
したがって、一側面において、イノシトール/IP−6化合物および医薬的に許容可能な塩ならびにピロリン酸およびクエン酸誘導体を含む誘導体、およびそれらを含む医薬組成物を提供する。
本発明は、哺乳類における電離放射線暴露の、健康への急性かつ短期的な悪影響を予防または治療する方法であって、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含む、有効量の医薬組成物を前記哺乳類に投与する工程と、哺乳類における電離放射線暴露の、健康への急性かつ短期的な悪影響を予防または治療する工程とを含む、方法を提供する。
【0018】
好適な実施形態において、該医薬組成物は、イノシトールをさらに含む。別の実施形態において、該医薬組成物は、少なくとも1つの医薬的に許容可能な賦形剤または担体をさらに含み、液体、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、粉末、錠剤、咀嚼錠、坐薬、またはカプセルの形で提供されてもよい。該医薬組成物は、経腸または非経口製剤であってもよい。
別の実施形態において、該医薬組成物は、約0.1質量%から約100質量%の量の、または約0.1質量%から約50質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.1質量%から約50質量%の量の、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含有する。好適な実施形態において、該医薬組成物は、約30:1から約1:30の割合において、または約5:1から約1:5の割合において、任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する。
【0019】
別の実施形態において、該医薬組成物は、約0.01質量%から約20質量%の量において、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有する。好ましくは、該医薬組成物は、約0.01質量%から約20質量%の量において、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.01質量%から約20質量%の量において、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む。さらに好ましくは、該医薬組成物は、約0.1質量%から約10質量%の量のIP−6を含有し、ならびに、約0.1質量%から約10質量%の量において、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む。別の実施形態において、該医薬組成物は、約0.5質量%から約5質量%の量において、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.5質量%から約5質量%の量において、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む。好ましくは、該医薬組成物は、約30:1から約1:30の割合において、または、約5:1から約1:5の割合において、任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有し、イノシトールおよびIP−6は、医薬的に許容可能な塩、異性体、エステル、誘導体、またはそれらの任意の組み合せの形で存在してもよい。
【0020】
また、該医薬組成物は、抗酸化剤、殺生物剤、化学療法薬、栄養補助剤もしくは栄養補助食品、鎮痛薬、サンブロック、保湿剤、またはそれらの任意の組み合せを含有してもよい。該医薬組成物は、粉末、錠剤、またはカプセルとして経口的に、ならびにローション、クリーム、軟膏またはゲルとして局所的に投与されてもよい。
一実施形態において、該医薬組成物は、電離放射線暴露の前に少なくとも1日間投与される。好ましくは、該投与は、少なくとも1日2回行われるか、または少なくとも1日3回行われ、該医薬組成物は、任意の組み合せでの合計約1グラムから約10グラムのイノシトール、IP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、少なくとも1用量で投与される。別の実施形態において、該医薬組成物は、任意の組み合せでの約2グラムから約5グラムのイノシトール、IP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、少なくとも1用量で投与される。
【0021】
本発明は、紫外線、X線、γ線、宇宙線、粒子線、またはそれらの任意の組み合せを含む電離放射線暴露を提供し、該電離放射線は、太陽、宇宙空間、または大気、地表、鉱床、採掘された鉱石、地下水、水体、もしくは石中に存在する放射性元素を含む1つ以上の自然源に由来する。また、該電離放射線は、紫外線、治療的放射線源、原子力発電所、核燃料、核兵器、核降下物、および放射性民生用装置等の1つ以上の人的な源に由来してもよい。
本発明の組成物によって予防または減少される該健康への悪影響は、とりわけ、皮膚火傷、発疹、粘膜分解もしくは出血、胃腸管分解もしくは出血、下痢、貧血、または過剰な疲労を含む。
また、本発明は、電離放射線治療を必要としている哺乳類に提供される治療的電離放射線の投与量を安全に増加させる方法であって、治療的電離放射線への暴露の前に、上記に提供されたような組成物を含む医薬組成物を哺乳類に投与する工程と、該医薬組成物の非存在下において、該哺乳類を、該哺乳類に対する最大安全投与量を超える治療的電離放射線の投与量に暴露する工程と、を含む方法も提供する。
【0022】
また、本発明は、作業環境での電離放射線暴露の、健康への短期的な悪影響から労働者を保護する方法であって、作業環境での電離放射線への暴露の前に、上記に提供されたような組成物を含む医薬組成物を労働者に投与する工程と、作業環境での電離放射線暴露の健康への悪影響から該労働者を保護する工程と、を含む方法も提供する。
また、本発明は、人的な電離放射線暴露の健康への短期的な悪影響から軍事要員を保護する方法であって、軍事的電離放射線への暴露の前に、上記に提供されたような組成物を含む医薬組成物を軍事要員に投与する工程と、人的な電離放射線暴露の健康への悪影響から該軍事要員を保護する工程と、を含む方法も提供する。
【0023】
また、本発明は、人的な電離放射線暴露の健康への短期的な悪影響から軍事要員を保護するために使用されるキットであって、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含む複数の医薬組成物を含有する容器であって、該複数の医薬組成物は、人的な電離放射線暴露の健康への短期的な悪影響から軍事要員を保護するのに有効な局所用製剤および経口用製剤を含む、容器を含む、キットも提供する。好ましくは、該複数の医薬組成物は、単位用量で提供され、該キットは、少なくとも1日の使用量のための十分な単位用量を含有する。より好ましくは、該複数の医薬組成物は、任意な組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む。別の実施形態において、該複数の医薬組成物は、任意な組み合せでの合計約1グラムから約10グラムのイノシトール、IP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、それぞれ少なくとも1用量で投与される。
【0024】
また、本発明は、哺乳類における電離放射線暴露の健康への急性かつ短期的な悪影響を予防するための局所用製剤であって、任意の組み合せでのIP−6、その薬理学的に許容可能な塩、またはその薬理学的に許容可能な誘導体、ならびに哺乳類における電離放射線暴露の健康への急性かつ短期的な悪影響を予防するのに有効な少なくとも1つの薬理学的に許容可能な担体を含む有効量の組成物、を含む、局所用製剤も提供する。好ましくは、該組成物は、ローション、クリーム、またはゲルであり、該電離放射線暴露の健康への急性かつ短期的な悪影響は、日焼けを含む。好ましくは、該組成物は、任意な組み合せでのIP−6、その薬理学的に許容可能な塩、またはその薬理学的に許容可能な誘導体が、皮膚の細胞により吸収されることを可能にするのに十分な該電離放射線暴露より前の時間で、該哺乳類の皮膚に塗布される。さらに好ましくは、該医薬組成物は、該電離放射線暴露より3から12時間前に該哺乳類の皮膚に塗布される。
別の実施形態において、上記の該局所用製剤は、抗酸化剤、殺生物剤、栄養補助剤もしくは栄養補助食品、鎮痛薬、サンブロック、保湿剤、またはそれらの任意の組み合せも含み、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体もよりさらに含有する。一実施形態において、該組成物は、約0.1質量%から約50質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.1質量%から約50質量%の量の、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む。別の実施形態において、該組成物は、約30:1から約1:30の割合において、または約5:1から約1:5の割合において、任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する。
【0025】
別の側面において、被験者の癌または他の増殖性疾患を治療する方法であって、有効量の電離放射線を投与する前に、有効量の少なくとも1つの防護剤イノシトール/IP−6化合物を該被験者に投与する工程を含み、該イノシトール/IP−6化合物は、該被験者の正常組織において一時的な放射線耐性表現型を誘発する、方法を提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は、骨髄に転移した腫瘍性細胞(白血病細胞等)または腫瘍細胞の該骨髄を浄化する方法であって、増殖性疾患を罹患する個人から骨髄細胞を回収する工程と、有効量の少なくとも1つのイノシトール/IP−6化合物で、該回収された骨髄細胞を処置する工程と、該処置された骨髄細胞を有効量の電離放射線に晒す工程と、を含む方法を提供する。次いで、該回収された細胞は、該罹患した個人の体に戻される。
よりさらなる側面において、本発明は、電離放射線への暴露から治療可能な放射線損傷を被ったまたは被る危険性のある個人を治療する方法を提供する。一実施形態において、有効量の少なくとも1つのイノシトール/IP−6化合物は、該被験者が電離放射線への暴露から治療可能な放射線損傷を被る前に、該被験者に投与される。別の実施形態において、有効量の少なくとも1つのイノシトール/IP−6化合物は、該被験者が電離放射線への暴露から治療可能な放射線損傷を被った後に、該被験者に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】HaCaT細胞生存率および増殖へのIP−6およびUVB放射線の影響。HaCaT細胞を異なるUVB強度に暴露し、即座に種々の濃度のNa−IP−6で処置した。細胞生存率および増殖を、MTTアッセイを使用して24時間後に決定した。各データ点は、平均±標準偏差を表す。IP−6濃度の増加とともに相対的細胞生存率に有意な増加があった、p<0.001。培地中のイノシトールの濃度は38.8μMである。
【図2】HaCaT細胞の付着へのIP−6およびUVB放射線の影響。HaCaT細胞を異なるUVB強度に暴露し、異なる濃度のNa−IP−6で即座に処置した。細胞付着を、UVB放射線から18時間後に決定した。各データ点は、平均±標準偏差を表す。30mJ/cm2UVB強度で、0.5、1.0および2.0mMのIP−6濃度は、細胞付着に有意な増加をもたらした、p<0.01。培地中のイノシトールの濃度は、38.8μMである。
【図3】HaCaT細胞の細胞周期分布へのIP−6およびUVB放射線の影響。アネキシンVおよびPIに対して、染性細胞を30mJ/cm2UVB放射線に暴露したか、または暴露せず、次いで、1.0mM Na−IP−6で処置したか、またはIP−6で処置しなかった。18時間後、細胞を回収し、アネキシンVおよびPIで2重染色して、フローサイトメトリーで分析した。アポトーシス、壊死を示しているまたは生存可能である細胞の数を、UVBに暴露したがIP−6で処置しなかった群と比較して、パーセンテージp<0.001として表す。培地中のイノシトールの濃度は、38.8μMである。
【図4】HaCaT細胞のカスパーゼ3活性化へのIP−6およびUVB放射線の影響。活性化されたカスパーゼ3活性を評価するため、細胞を暴露しなかったか、または30mJ/cm2UVB放射線に暴露し、次いで、1.0mM Na−IP−6で処置したか、またはIP−6で処置しなかった。18時間後、細胞を回収し、蛍光定量的なCaspACEアッセイを行った。活性化されたカスパーゼ3活性を、相対的蛍光単位として表す。**UVBに暴露したが、IP−6で処置しなかった群と比較すると、p<0.01で有意。培地中のイノシトールの濃度は、38.8μMである。
【図5】UVB暴露後に、細胞傷害および細胞死の印として、対照未処置細胞は、Na−IP−6、イノシトール(Ins)およびIP−6+イノシトールで処置したものとは対照的に、少ないプレートへの付着を示す。IP−6およびイノシトールの1:1モル比で処置された細胞は、最良の付着を示した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
イノシトール(ヘキサヒドロキシシクロヘキサン)およびそのリン酸塩は、既知の非毒性かつ自然発生の化合物である。イノシトールは、例えばリン脂質等のより巨大な分子の一部としての、または例えば種々のイノシトールリン酸塩、ポリリン酸塩、およびピロリン酸等のリン酸化型である、動物および植物細胞のどちらにも存在する6炭糖である。イノシトールは、多くの方法によって商業的に調製されることができ、例えば、Posternak米国特許第1,313,014号、Goedecke米国特許第1,715,031号、Wagner,米国特許第1,716,286号、Goedecke米国特許第1,721,214号、米国特許第2,112,553号、Elkin,米国特許第2,414,365号等を参照。
本発明のイノシトール/IP−6化合物および組成物は、放射線、特に電離放射線への急性および慢性暴露の影響から、正常細胞および組織を保護する。本明細書では、用語「イノシトール/IP−6」は、本発明のイノシトールベースの化合物を言い、任意の効果的な組み合せでの、イノシトール、IP−6、IP−6のピロリン酸およびクエン酸誘導体を含むIP−6の薬理学的に許容可能な誘導体、例えばIP−7、IP−8、IP−12、およびIP−6ヘキサクエン酸等、それらの任意のプロドラッグ、ならびにそれらの薬理学的に許容可能な塩を含む。
【0028】
用語「被験者」は、ヒトおよび非ヒト動物を含み、本明細書では、電離放射線への暴露を被る予定の、被る危険性がある、または被った生物を言う。
本明細書では、「電離放射線」は、細胞および組織によって吸収される場合に、フリーラジカル種およびDNA損傷の形成を誘発する十分なエネルギーの放射線である。この種類の放射線は、紫外線、X線、γ線、および粒子衝突(例えば、中性子ビーム、電子ビーム、プロトン、中間子等)を含み、医療検査および治療、科学的目的、産業上の検査、製造および滅菌、兵器および兵器開発、ならびに多くの他の用途に用いられる。放射線は、典型的に、ラドまたはグレイ(gray:Gy)等の吸収線量を単位にして、またはレムまたはシーベルト(sievert:Sv)等の線量当量を単位にして測定される。
Svは、生じた組織損傷を含む因子を乗じたGy投与量である。例えば、透過性電離放射線(例えば、γおよびβ放射線)は約1の因子を有するため、1Svは約1Gyに等しい。α線は、20の因子を有するため、α放射線の1Gyは20Svに等しい。
【0029】
「有効量の電離放射線」は、被験者において異常増殖する細胞を死滅、またはその増殖を減少させるのに有効な量の電離放射線を意味する。骨髄浄化に関して使用される「有効量の電離放射線」は、被験者から取り出された骨髄試料中の悪性細胞を死滅、またはその増殖を減少させるのに有効な量の電離放射線を意味する。
「電離放射線への急性暴露」または「電離放射線の急性線量」は、24時間未満に被験者が吸収する電離放射線の線量を意味する。急性線量は、放射線療法技術等の場合のように局在化されてもよく、または被験者の全身に吸収されてもよい。急性線量は、典型的に、10,000ミリレム(0.1Gy)を上回るが、しかし下回ってもよい。
用語「急性放射線誘発の皮膚損傷」は、電離放射線の単回の高投与量または反復されるより少量の投与量のいずれかによって引き起こされる皮膚の表皮層への損傷を言い、損傷は、暴露後少なくとも約3〜5週以内および多くの場合もっと早い時期に現れ得る。急性放射線誘発の皮膚損傷は、日焼けの場合のように、電離放射線への暴露の直後に生じ得る。急性放射線誘発の皮膚損傷は、早期放射線誘発の皮膚損傷と称されることもあり、一例として、紅斑、乾性落屑、湿性落屑、脱毛および潰瘍を含む。急性放射線誘発の皮膚損傷は、皮膚のひだ、および例えば鼠径部、殿部、胸部の襞、頸部等の高い摩擦の領域において特に重症であり得る。
【0030】
用語「後期放射線誘発の皮膚損傷」は、放射線への暴露後6ヶ月以上で生じる皮膚損傷を言い、損傷は、一例として、萎縮症,線維症、菲薄化、毛細血管拡張症、色素沈着の変化、潰瘍、壊死および発癌を含む。
【0031】
「電離放射線への慢性暴露」または「電離放射線の慢性線量」は、24時間より長い期間にわたって被験者が吸収する電離放射線の線量を意味する。線量は、断続的または継続的であってもよく、局在化されてもまたは被験者の全身に吸収されてもよい。慢性線量は、典型的に、10,000ミリレム(0.1Gy)未満であるが、それより高くてもよい。
「被る危険性がある電離放射線への暴露」は、将来、被験者が、注意深く(予定された放射線療法セッション等により)または不注意に電離放射線に暴露されてもよいことを意味する。不注意な暴露は、偶発的または計画外の環境もしくは職業暴露を含む。
「有効量のイノシトール/IP−6化合物」は、被験者の正常細胞における放射線付随の毒性を減少または除去するのに有効な量の化合物を意味する。また、第2の利点は、「有効量のイノシトール/IP−6化合物」が使用される一部の場合において発見されることができ、有効量のイノシトール/IP−6化合物は、抗腫瘍性のアポトーシス誘発および細胞分化効果を有する。骨髄浄化に関して使用される「有効量のイノシトール/IP−6化合物」は、被験者から取り出された骨髄における放射線付随の毒性を減少または除去するのに有効な量の、および、被験者から取り出された骨髄における悪性細胞への直接的な細胞毒性もしくは抗腫瘍効果を与えるのに有効な量のイノシトール/IP−6化合物を意味する。
【0032】
本明細書では、「プロドラッグ」は、生体内投与後に代謝される、あるいは化合物の生物学的、医薬的または治療的に活性な型に転換される化合物である。プロドラッグを産生するため、医薬的に活性な化合物は、活性化合物が代謝過程によって再生されるように修飾される。プロドラッグは、代謝的安定性もしくは薬物の輸送特性を変化させるように、副作用もしくは毒性を遮蔽するように、薬物の風味を向上させるように、または薬物の他の特性もしくは性質を変化させるように作られてもよい。薬力学的過程の知識および生体内薬物投与により、医薬的に活性な化合物が分かり次第、当業者は、化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady(1985)Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,New York,pages 388−392を参照)。
【0033】
正常細胞上のイノシトール/IP−6組成物の作用の正確な防護剤機構は既知である。しかし、実験モデルに基づいて、ならびに如何なる論理にとらわれることなく、これらの化合物は、有糸分裂を介する移行、およびかかる通過に必要な多くの変化が下方制御される、不活性化されるまたは存在しない不活性化可逆的静止細胞周期状態を誘発する正常細胞中の幾つかの要素に影響を及ぼしてもよい。逆に、異常細胞、特に癌性細胞または損傷細胞において、これらの化合物は、異常または損傷細胞のアポトーシスを誘発、失速した細胞周期を再活性化または異常細胞周期を正常化、あるいは形質転換細胞の分化を誘発する幾つかの要素に影響を及ぼしてもよい。他のあり得る保護機構に従って、放射線誘発の反応性酸素分子、DNA損傷、および経路誘導の活性化は、イノシトール/IP−6組成物への事前暴露によって無害にされてもよい。さらに、イノシトール/IP−6組成物は、「放射線類似」薬物に対する化学的予防効果を提供する。放射線類似薬物は、電離放射線と類似している、DNA損傷および/または細胞中の酸素ラジカルの生成を誘発する化合物である。
【0034】
分裂期阻害剤および電離放射線はどちらも、細胞周期異常、特に細胞周期停止を引き起こしうるが、分裂期細胞周期阻害剤は、電離放射線とは異なって細胞に影響を及ぼす。例えば、分裂期細胞周期阻害剤は、DNA損傷による細胞死を引き起こさず、細胞がG1期を過ぎて進行しないようにする。電離放射線はDNAを損傷させ、典型的に、G2期に細胞周期停止を引き起こす。また、分裂期細胞周期阻害剤に暴露された細胞は、長期的な損傷を呈さないが、急性の影響のみを示す。一方、電離放射線からの一部の影響は、暴露の少なくとも2週間後までに明白であり、骨髄への損傷は30日後に発現し、神経学的損傷は暴露後最大6ヶ月までに現れる。本発明の有効量のイノシトール/IP−6化合物は、これらの有害作用に対抗する。
被験者は、増殖性疾患の治療のために治療照射を受ける時に、電離放射線に暴露されてもよい。かかる疾患は、癌性および非癌増殖性疾患を含んだ。例えば、本発明の化合物は、乳腺、前立腺、卵巣、肺,直腸結腸、脳(つまり、神経膠腫)および腎腫瘍を含むがこれらに限定されない広範な腫瘍型の治療照射時に、正常細胞を保護するのに有効であると考えられる。また、化合物は、白血病細胞に対して、ならびに白血病を治療するために使用される放射線の有害作用から非癌性細胞を保護するのに有効でもある。
【0035】
また、化合物は、新生における血管腫症、二次進行型多発性硬化症、慢性進行性骨髄変性疾患、神経線維腫症、神経節神経腫症、ケロイド形成、骨パジェット病、乳房線維嚢胞病、ペロニーおよびデュピュイトラン線維症、再狭窄および硬変を含むがこれらに限定されない非癌増殖性疾患における異常組織の治療照射時に、正常細胞を保護するのに有用であると考えられる。
本発明によれば、治療的電離放射線は、イノシトール/IP−6防護剤化合物が放射線暴露の前、その間、および/またはその後に投与される限り、任意の予定でおよび処方された治療経過と一致する任意の線量で被験者に投与されてもよい。治療の経過は、被験者によって異なり、当業者は、所定の臨床的症状の適切な線量および予定を容易に決定することができる。
【0036】
好ましくは、イノシトール/IP−6化合物は、化合物が、放射線暴露時に正常細胞に対する放射線防護効果を発揮するのに十分な濃度で被験者の正常細胞に到達できるように、治療的放射線から十分に先立って投与されるべきである。イノシトール/IP−6化合物は、放射線の投与の最大約24時間前、好ましくは約18時間未満前に投与されてもよい。一実施形態において、イノシトール/IP−6組成物は、放射線治療の投与の少なくとも約6〜12時間前に投与される。別の実施形態において、イノシトール/IP−6組成物は、放射線暴露の約2〜3時間前に1回投与される。最も好ましくは、イノシトール/IP−6化合物は、放射線暴露の約18時間前に1回投与され、約2〜3時間前に再び投与される。1つ以上のイノシトール/IP−6組成物は、同時に投与されてもよく、または異なるイノシトール/IP−6組成物は、治療時の異なった時間に投与されてもよい。
治療的放射線が連続的に投与される場合、放射線治療の予定範囲内に1つ以上のイノシトール/IP−6組成物の投与を介在させることが好ましい。上記のように、異なるイノシトール/IP−6組成物は、同時にまたは治療時の異なった時間に投与されてもよい。好ましくは、約6〜18時間周期で、イノシトール/IP−6および各治療的放射線暴露の最終線量の投与が分割される。より好ましくは、イノシトール/IP−6および治療的放射線の最終線量の投与は、約2〜3時間で分割される。この戦略は、治療的放射線の抗癌活性に悪影響を与えることなく、放射線誘発の副作用への有意な減少を産出する。
【0037】
例えば、0.1Gyの線量での治療的放射線は、合計6〜8週間の期間、2日間の安静日で連続5日間毎日与えられてもよい。1つ以上のイノシトール/IP−6組成物は、放射線の各ラウンドの2〜3時間前に被験者に投与されてもよく、より好ましくは、放射線の各ラウンドの約12〜24時間前に1回投与され、2〜3時間前に再度投与されてもよい。しかし、より積極的な治療予定、つまりより高投与量の送達は、イノシトール/IP−6組成物により得られる正常細胞の保護の理由から、本発明に従って検討されことが指摘されるべきである。故に、イノシトール/IP−6の放射線防護効果は、治療的放射線の治療指数を増加させ、ならびに、周囲の正常細胞および組織への損傷を増加させる危険性なく、現在推奨されるレベルを上回る治療的放射線の投与量を、医師が安全に増加することを可能にし得る。
本発明のイノシトール/IP−6組成物は、骨髄に転移した血液腫瘍性細胞または腫瘍細胞を破壊するように設計された放射線治療から、正常骨髄細胞を保護するのにさらに有用である。かかる細胞は、例えば、骨髄性白血病細胞を含む。骨髄および体の他の部分におけるこれらの細胞の出現は、急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia:AML)、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)、および急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia:ALL)のFAB(French−American−British)サブタイプ等の種々の疾患状態と関連している。特に、CMLは、血液、骨髄、脾臓、肝臓、および他の組織中の未熟顆粒球(例えば、好中球、好酸球、および好塩基球)の異常増殖、ならびにこれらの組織中の顆粒球性前駆物質の蓄積に特徴付けられる。かかる症状を示す被験者は、典型的に、血液1マイクロリットル当たり20,000を上回る白血球を有し、数値は400,000を超え得る。実質的に、全てのCML患者は、未熟芽細胞が急速に増殖して死に繋がる疾患の末期である、「急性転化」を発症する。
【0038】
他の被験者は、転移性腫瘍を罹患し、全身照射(total body irradiation:TBI)での治療を必要とする。また、TBIは被験者の造血細胞を死滅させるため、その後の再移植のために、照射に先立って被験者の骨髄の一部を取り出す。しかし、転移性腫瘍細胞は、骨髄に存在する可能性が高く、短期間での癌の再発に繋がることが多い。
骨髄の腫瘍性疾患または転移性腫瘍を示す被験者は、骨髄の一部を取り除き(“回収する”とも称する)、悪性幹細胞の回収された骨髄を浄化し、浄化された骨髄を再移植することによって治療されてもよい。好ましくは、被験者は、放射線または他の何らかの抗癌療法で同時に治療される。
故に、本発明は、骨髄中の悪性細胞の数を減少する方法であって、被験者の骨髄の一部を取り出す工程と、有効量の少なくとも1つのイノシトール/IP−6化合物を投与する工程と、骨髄中の腫瘍性もしくは腫瘍細胞が死滅するように、十分な線量の電離放射線で、処置した骨髄を照射する工程とを含む方法を提供する。本明細書では、「悪性細胞」は、腫瘍細胞または腫瘍性細胞等の任意の制御不能に増殖する細胞を意味する。イノシトール/IP−6化合物は、電離放射線の悪影響から骨髄中に存在する正常造血細胞を保護する。また、イノシトール/IP−6組成物は、悪性細胞に対する直接的死滅、抗腫瘍性、および/または分化効果も呈する。骨髄中の悪性細胞の数は、再移植前に有意に減少または除去されるため、再発の発生が最小化される。
【0039】
好ましくは、イノシトール/IP−6の各用量は、約0.05から約100ミリモルの濃度で投与される。投与量は、投与経路に依存してもよく、局所または腸製剤は、概して、非経口製剤よりも高い濃度を有する。局所製剤は、約10から約100ミリモル、より好ましくは約10から約50ミリモル、さらに好ましくは約20から約40ミリモルの濃度のイノシトール/IP−6を含有してもよい。特に好適な濃度は、20、25、30、35、40、45、および50ミリモルである。また、局所製剤は、約0.5から約5質量%、約1から約4質量%、またはより好ましくは、約1.5から約3質量%の量のイノシトール/IP−6を含有してもよい。イノシトールおよびIP−6を含有する局所組成物において、イノシトール対IP−6の割合は、好ましくは約1:1から約1:50、より好ましくは約1:10から約1:40、さらに好ましくは約1:20から約1:30である。特に好適な量は、約1:20、1:25、1:30、1:35、および1:40質量%である。また、より多いおよびより少ない量が使用されてもよい。具体的には、経口製剤(錠剤、カプセル、粉末等)はまた、50、60、70、80、90、95、99、および100質量%でイノシトール/IP−6を含有してもよい。そのような場合、単一用量で投与されたイノシトール/IP−6の合計量は、約1から約10グラム、好ましくは約2から約5グラム、さらに好ましくは約3から約4グラムである。単一用量は、イノシトール/IP−6の合計量が指定範囲内にある限り、任意の数の個々のカプセルまたは錠剤を含んでもよいことに留意すべきである。好ましくは、錠剤およびカプセルは、約1〜2グラムのイノシトール/IP−6をそれぞれ含有する。また、投与量は、約10、15、20、25、30、35、40、45、および50mg/kg体重の被験者で使用されてもよく、約10から約50、約20から約40、より好ましくは約25から約35mg/kg体重に変動し得る。
【0040】
非経口投与および生体内利用のため、各用量のイノシトール/IP−6は、約0.5から約50ミリモルの濃度で投与される。非経口および生体内製剤は、約1から約10ミリモル、より好ましくは約2から約8ミリモル、さらに好ましくは約3から約5ミリモルの濃度のイノシトール/IP−6を含有してもよい。特に好適な濃度は、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、および5ミリモルである。また、非経口製剤は、約0.05から約10質量%、約0.1から約10質量%、またはより好ましくは約0.5から約5質量%の量のイノシトール/IP−6を含有してもよい。特に好適な濃度は、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、および5質量%である。イノシトールおよびIP−6を含有する非経口組成物において、イノシトール対IP−6の割合は、好ましくは約5:1から約1:30、より好ましくは約2:1から約1:10、さらに好ましくは約1:1から約1:5である。特に好適な量は、約2:1、1:1、1:2、1:3、および1:4質量%である。また、より多いおよびより少ない量が使用されてもよい。具体的には、生体内(血中または体内)濃度を、約50から約300マイクロモル、好ましくは約100から約200マイクロモルまで上昇させるのに必要な量が使用されてもよい。全ての実施形態において、量は、処置した細胞または組織に実際に送達される活性成分の量の差を補うために調節されてもよい。
【0041】
当業者は、イノシトール/IP−6組成物またはそれらの医薬的に許容可能な塩の個々の投与量の最適な分量および間隔が、治療されている状態、投与の形態、経路および部位の性質および範囲、ならびに治療されている特定の患者によって決定され、そのような最適条件は、従来の技術によって決定できることを認識されたい。また、当業者は、治療の最適な経過、つまり、定義された日数の間1日当たりに与えられるイノシトール/IP−6組成物またはそれらの医薬的に許容可能な塩の用量の数は、従来の治療経過決定試験を用いて当業者により確認されることができることを理解されたい。
イノシトール/IP−6組成物は、回収された骨髄または生体外の他の細胞に直接添加されてもよいが、好ましくは添加に先立って水に溶解される。また、下記に詳述するようなイノシトール/IP−6の製剤処方を使用してもよい。
好ましくは、イノシトール/IP−6組成物は、放射線暴露の約20時間前、好ましくは、放射線暴露の約24時間未満前、より好ましくは暴露の18時間未満前に、回収された骨髄または他の細胞もしくは組織に添加される。一実施形態において、イノシトール/IP−6組成物は、放射線暴露の少なくとも約6時間前に回収された骨髄または他の細胞に投与される。別の実施形態において、イノシトール/IP−6組成物は、放射線暴露の少なくとも約2〜3時間前に投与される。さらに別の実施形態において、イノシトール/IP−6化合物は、放射線暴露の少なくとも0.5時間前に投与される。1つ以上のイノシトール/IP−6組成物は、同時に投与されてもよく、または異なるイノシトール/IP−6組成物は、異なる時間に投与されてもよい。また、他の投与計画が使用されてもよい。
【0042】
被験者が、浄化された骨髄または他の細胞もしくは組織の再移植に先立って、電離放射線で治療される場合、被験者は、上述のように、電離放射線を受ける前、その間、その後に1つ以上のイノシトール/IP−6組成物で治療されてもよい。
また、被験者は、背景技術の項で説明したように、職業または環境源からの電離放射線に暴露されてもよい。本発明の目的上、電離放射線の源は、暴露の種類(つまり、急性または慢性)および被験者が吸収する線量レベルほど重要ではない。以下の説明は、職業および環境源の両方から、および人的および自然発生の源の両方からの電離放射線暴露を包含することを理解されたい。
直ちに命にかかわるわけではない、電離放射線への急性または慢性暴露の影響を患う被験者は、治療可能な放射線損傷を有すると考えられている。そのような治療可能な放射線損傷は、本発明の化合物および方法によって減少および除去されることができる。
治療可能な放射線損傷を引き起こし得る電離放射線の急性線量は、局在化または全身線量を含み、例えば、24時間以内に約10,000ミリレム(0.1Gy)から約1,000,000ミリレム(10Gy)、好ましくは、24時間以内に約25,000ミリレム(0.25Gy)から約200,000(2Gy)、より好ましくは、24時間以内に約100,000ミリレム(1Gy)から約150,000ミリレム(1.5Gy)である。
【0043】
治療可能な放射線損傷を引き起こし得る電離放射線の慢性線量は、約100ミリレム(0.001Gy)から約10,000ミリレム(0.1Gy)の全身線量、好ましくは24時間を越える期間にわたって、約1,000ミリレム(0.01Gy)から約5,000ミリレム(0.05Gy)の線量、または24時間を越える期間にわたって、15,000ミリレム(0.15Gy)から50,000ミリレム(0.5Gy)の局在化線量を含む。
したがって、本発明は、電離放射線への急性または慢性暴露から治療可能な放射線損傷を被った個人を治療する方法であって、有効量の少なくとも1つのイノシトール/IP−6化合物を投与することによって、正常細胞および組織への放射線暴露の細胞毒性効果を減少または除去する工程を含む、方法を提供する。化合物は、好ましくは放射線暴露後にできるだけ短時間で投与され、例えば暴露後0〜6時間、より好ましくは続いて2〜6時間毎、6〜12時間毎にさらなる治療、または暴露後の1、2、3、4、5、6、7、14、21、または28日間毎日投与される。
治療可能な放射線損傷は、被験者において細胞毒性および遺伝毒性(つまり、有害な遺伝的)効果という形をとってもよい。したがって、別の実施形態において、正常細胞および組織への放射線暴露の細胞毒性および遺伝毒性効果を減少または除去する方法であって、急性または慢性放射線暴露の前、その間、その後に有効量の少なくとも1つのイノシトール/IP−6化合物を投与する工程を含む、方法を提供する。イノシトール/IP−6化合物は、例えば、放射線暴露の約24時間前、好ましくは放射線暴露の約18時間未満前、さらに好ましくは放射線暴露の6〜12時間未満前に投与されてもよい。イノシトール/IP−6化合物は、放射線暴露中またはその直後に投与されてもよく、好ましくは、2〜6時間毎、6〜12時間毎、または暴露後の1、2、3、4、5、6、7、14、21、または28日間毎日さらに投与される。一実施形態において、イノシトール/IP−6は、放射線暴露の少なくとも約6時間または少なくとも2〜3時間前に投与される。より好ましくは、イノシトール/IP−6は、放射線暴露の約18時間前に投与され、約2〜3時間前に再度投与され、さらに好ましくは、暴露直後に再度、および暴露後2〜3時間毎に投与される。1つ以上のイノシトール/IP−6組成物は、同時に投与されてもよく、異なるイノシトール/IP−6組成物は、異なる時間で投与されてもよい。
【0044】
多数の急性暴露が予測される場合、イノシトール/IP−6組成物は、多数回投与されてもよい。例えば、救急隊員が汚染地区に多数回入らなければならない場合、イノシトール/IP−6組成物は、各暴露の前に投与されてもよい。好ましくは、約24時間で、イノシトール/IP−6化合物と放射線暴露の投与が分割される。より好ましくは、イノシトール/IP−6化合物と放射線暴露の投与は、約6〜18時間で分割され、さらに好ましくは、イノシトール/IP−6化合物と放射線暴露の投与は、約2〜3時間で分割される。また、原子力発電所の労働者は、電離放射線への暴露の影響を減少または除去するために、各シフトの開始前に有効量のイノシトール/IP−6組成物を投与されてもよいと考えられる。
【0045】
被験者が電離放射線への慢性暴露を予測している場合、イノシトール/IP−6組成物は、予測される暴露の期間を通じて定期的に投与されてもよい。例えば、原子力発電所労働者または放射性降下物で汚染された前線区域において活動する軍人は、放射線損傷の影響を軽減するために、24時間毎、好ましくは6〜18時間毎、さらに好ましくは3〜6時間毎にイノシトール/IP−6組成物を与えられてもよい。同様に、イノシトール/IP−6組成物は、区域が除染されるまで、または一般人がより安全な環境に移動するまで、放射性降下物によって汚染された区域に居住する一般人に定期的に投与されてもよい。
被験者が日光、その結果その紫外線への長時間暴露を予測している場合、本発明のイノシトール/IP−6化合物は、急性有害作用、つまり日焼けを予防するために、予測される暴露の前に投与されてもよい。好ましくは、イノシトール/IP−6組成物は、暴露の少なくとも約2〜12時間前に投与される。さらに好ましくは、投与は、暴露の少なくとも約2〜6時間前、さらに、より好ましくは暴露の約2〜3時間前に行われる。また好ましくは、投与は、暴露の直前に行われてもよい。投与は、好ましくはローション、クリーム、またはゲルの形態で局所的である。さらに好ましくは、局所形態は、サンスクリーンもしくはサンブロックを含み、当業者が望ましいと考える保湿剤、着色料、香料、殺生物剤等をさらに含んでもよい。また、被験者は、局所投与に加えてまたは代わって、本発明の経口組成物を投与されてもよい。好ましくは、イノシトール/IP−6組成物は、水に溶解され、日光暴露の2〜12、2〜6、または最も好ましくは2〜3時間前に消費されてもよい。好ましくは、イノシトール/IP−6組成物は、少なくとも約12時間毎、より好ましくは約8時間毎、さらに好ましくは少なくとも約2〜6時間毎に再び投与される。
【0046】
本明細書では、「投与される」は、放射線防護の薬理効果または治療が実現化できるように、イノシトール/IP−6化合物を被験者に利用可能にする行為を意味する。この薬理効果は、放射線暴露の特定のレベルでの予期される生理学的または臨床症状の非存在として現れ得る。当業者は、既知の実験室的および臨床的方法によって、放射線誘発効果の存在または非存在を容易に判断することができる。故に、イノシトール/IP−6化合物は、患者に所望の放射線防護効果をもたらすのに十分な任意の経路によって投与されてもよい。投与の経路は、例えば、局所もしくは経腸(例えば、経口、直腸、膣内、鼻内等)および非経口投与を含む。非経口投与は、例えば、静脈内、筋内、動脈内、腹腔内、膀胱内(例えば、膀胱内に)、皮内、または皮下投与を含む。また、本発明の範囲内で、その後になって生じる薬物の全身または局所放出と伴に、制御された製剤における患者の体内への薬物の点滴注入が検討される。例えば、イノシトール/IP−6化合物のデポは、放射線の投与の24時間を越える時間前に患者に投与されてもよい。好ましくは、イノシトール/IP−6の少なくとも一部分がデポ内に保持され、放射線暴露の約6〜18時間前まで、さらに好ましくは、放射線暴露の約2〜3時間前まで放出されない。
【0047】
イノシトール/IP−6化合物は、1つ以上の医薬的または薬理学的に許容可能な担体との組み合せで、1つ以上のイノシトール/IP−6化合物を含む医薬組成物の形で投与されてもよい。上記のように、そのような製剤におけるイノシトール/IP−6化合物は、0.01から約100の質量パーセントを含んでもよい。「医薬的に」または「薬理学的に許容可能な担体」は、製剤の他の成分と適合し、被験者に有害ではない、任意の担体、希釈剤または賦形剤を意味する。イノシトール/IP−6組成物で適切な医薬組成物を処方することは本技術分野の範囲内である。
例えば、イノシトール/IP−6組成物は、医薬品の分野の標準的技法に従って医薬組成物の形になる。Alphonso Gennaro,ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,(1990)Mack Publishing Co.,Easton,Paを参照。適切な医薬組成物は、例えば、錠剤、粉末、カプセル、溶液(特に非経口溶液)、トローチ、坐薬、クリーム、ローション、ゲル、または懸濁液を含む。
【0048】
活性成分は、1回で投与されてもよく、または同時にもしくは時間間隔を置いて投与される何回かの低用量に分割されてもよい。正確な投与量および治療期間は、治療される組織の機能であり、既知の試験プロトコルを用いて実験的に、または生体内もしくは生体外試験データからの外挿法によって決定されてもよいことを理解されたい。また、濃度および投与量値は、治療される個人の年齢によって異なってもよいことも留意されたい。任意の特定の被験者において、特定の投与計画は、個人の必要性および組成物の投与を投与するもしくは監督する人物の専門的な判断に従って、経時的に調整されるべきであり、ならびに本明細書に定める濃度範囲は、例示的な目的のみであり、請求される組成物の範囲または実施化を制限すると意図されないことをさらに理解されたい。
化合物は、微粒子化されたまたは他の適切な形で懸濁されてもよく、より可溶性の活性産物を産生するため、またはプロドラッグを産生するため、あるいは化合物がプロドラッグである場合に、活性型を使用するために誘導体化されてもよい。結果として生じる混合物の形は、投与の対象とする様式および選択された担体もしくは媒体における化合物の溶解度を含む、多くの因子に依存する。有効な濃度は、電離放射線暴露の健康への悪影響を寛解するのに十分な濃度であり、実験的に決定されてもよい。
【0049】
非経口投与では、イノシトール/IP−6化合物は、水、油、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)および関連糖液、シクロデキストランまたはプロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール等のグリコール等の適切な担体または希釈剤と混合されてもよい。非経口投与のための溶液は、好ましくは、イノシトール/IP−6化合物の医薬的または薬理学的に許容可能な水溶性の塩を含有する。安定化剤、酸化防止剤および保存料が添加されてもよい。適切な酸化防止剤は、亜硫酸、アスコルビン酸,クエン酸およびその塩、ならびにナトリウムEDTAを含む。適切な保存料は、塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピル−パラベン、ならびにクロルブタノールを含む。
経口投与では、イノシトール/IP−6は、錠剤、カプセル、または他の適切な経口剤形の調製のために、1つ以上の固形不活性成分と組み合わされてもよい。例えば、活性薬剤は、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マンニトールおよび澱粉と組み合わされてもよく、次いで、従来の錠剤化方法によって錠剤に形成されてもよい。
【0050】
放射線防護の利点を得るために、イノシトール/IP−6組成物投与の特定の用量および予定は、当然ながら、患者のサイズ、質量、年齢および性別、治療される疾患の性質および段階、疾患の攻撃性、投与経路、ならびに放射線の特定の毒性を含む個々の患者の特定の状況によって決定される。例えば、約0.01から約150mg/kg/日の1日投与量が利用されてもよく、より好ましくは約0.05から約50mg/kg/日である。
約1.0から約40.0mg/kg/日、例えば、約30mg/kg/日の用量が特に好適な用量である。用量は、多数の投与、例えば、15mg/kgの2回投与で与えられてもよい。より高いまたはより低い容量もまた考えられる。
イノシトール/IP−6組成物は、医薬的に許容可能な塩の形をとってもよい。用語「医薬的に許容可能な塩」は、アルカリ金属塩を形成するため、ならびに遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するために一般的に使用される塩を包含する。塩の性質は、それが医薬的に許容可能であれば重大ではない。適切な医薬的に許容可能な酸付加塩は、無機酸からまたは有機から調製されてもよい。そのような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸である。適切な有機酸は、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、アルアリファチック、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸類から選択されてもよく、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸,酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸,フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸,アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸である。適切な医薬的に許容可能な塩基付加塩は、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛でできている金属塩、またはN,N´−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカインでできている有機酸塩を含む。これらの塩の全ては、例えば、適切な酸または塩基をイノシトール/IP−6化合物と反応させることによって、対応するイノシトール/IP−6化合物から従来の手段で調製されてもよい。
【0051】
(実施例1)
放射線標準手順に従ってイノシトール/IP−6化合物を投与することによる、細胞生存率の向上:
ヒトケラチノサイト(HaCaT)細胞は、10%加熱不活性化したウシ胎仔血清、1%のL−グルタミン、および1%の抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)を追加した、7mg/Lのイノシトール(38.8μM)を含有するダルベッコ変法イーグル培地内で増殖した。細胞を37℃および5%CO2で維持した。希釈剤としての細胞培養液を使用して、Na−IP−6を、100mM原液から要求される濃度(0.05〜2.0mM)まで希釈した。UVB光(光出力の80%は、290〜320nmUVBの範囲内である)へのさまざまな細胞暴露時間によって得られた、15、30、60および120mJ/cm2のUVB強度を使用した。
HaCaT細胞を、約80〜90%培養密度まで増殖した。100μLの1x104細胞/mL HaCaT細胞を、4つの96ウェルプレートの各ウェルに播種した。細胞をIP−6(0〜2.0mM)で処置し、0、1、2、および3日目に、DMEM培地に溶解された100μLの1mg/mLの水性MTTを各ウェルに添加し、プレートをインキュベータ(37℃および5%CO2)に4時間留置した。次いで、ホルマザン産物を溶解するために、150μLのDMSOを添加した。吸光度を、EL Ultra Micro−plate Readerを使用して540nmで読んだ。結果を各組の群に対する平均吸収度として記録した。Plating Efficiency Assayでは、HaCaT細胞を12ウェル組織培養ディッシュに500細胞/ウェルで蒔いた。0〜2.0mM間の濃度で、IP−6を重複で各ウェルに添加した。次いで、細胞を37℃および5%CO2で7日間インキュベートした。
【0052】
このインキュベーション時間後、制御および処置したコロニーをPBS 1X(pH7.4)で洗浄し、4.0%ホルムアルデヒドで固定して、0.5%の水性クリスタルバイオレットで染色した。倒立顕微鏡を使用してコロニーの数を計数した。結果を各群に対するコロニーの平均数として記録した。統計分析:各実験を少なくとも2回行い、平均±標準偏差として表し、Excelソフトウェアを使用して計算した。対照および実験群を比較するために、スチューデントt−検定を使用し、p値<0.05で有意差ありと見なした。上記の手順は、実施例1〜6で使用した。
IP−6がUVB誘発の傷害からHaCaT細胞を保護するかどうかを判断するために、MTTアッセイを上述通りに行った。フェノールレッドなしのDMEM培地における50μLの2x104細胞/mLを、5つの96ウェルプレートの各ウェルに播種し、24時間インキュベート(37℃および5%CO2)した。次いで、細胞を0、15、30、60または120mJ/cm2UVB強度(UVB広帯域ランプ、4セット(FS40T12/UVB4ft))に暴露した。その直後に、UVB暴露の細胞を50μLの細胞培地においてIP−6(0〜2.0mM)で処置した。次いで、細胞を37℃および5%CO2でインキュベータに留置し、上記のようにMTTの添加を行った。結果を各組の群に対する平均吸収度として記録した。
【0053】
UVB放射線は、非暴露の対照群と比較すると、暴露24時間後にHaCaT細胞の生存率および増殖に用量依存的な減少をもたらした、p<0.05。UVB暴露後24時間でのIP−6の濃度増加とともに、細胞生存率の増加によって有意性が示された、p<0.001(図1)。通常はIP−6のより高い濃度とともに、細胞生存率は減少する傾向があるが、結果は、UVB強度が増加するとともに、細胞生存率が増加する逆の傾向を示す。
【0054】
(実施例2)
付着細胞へのIP−6およびUVB放射線の効果
5x104 HaCaT細胞を、4つの6ウェル組織培養プレートの各ウェルに播種し、37℃および5%CO2で24時間インキュベートした。UVB照射の1時間前に、一方はIP−6前処置用、他方はIP−6前処置および後処置用である2つのプレートをIP−6(0および0.1mM)で処置した。次いで、全ての4つのプレートをPBS 1Xで2回洗浄し、少量のPBS 1Xを、30mJ/cm2で照射したウェルに添加した。UVB暴露後、PBSをウェルから除去し、DMEM培地を各ウェルに添加した。次いで、IP−6(0.05および0.1mM)をUVB暴露なし、IP−6後処置、ならびに前処置および後処置と標識されたプレートに添加した。次いで、細胞を18時間インキュベートした(37℃および5%CO2)。インキュベーション後、細胞をPBS 1X(pH7.4)で4回洗浄し、次いで、4.0%ホルムアルデヒドで15分間固定し、0.5%水性クリスタルバイオレットで少なくとも5分間染色した。過剰クリスタルバイオレットをウェルから洗い流し、乾燥させるためにプレートを放置した。次いで、各ウェル内の乾燥したクリスタルバイオレット残留物を、500μLの30%酢酸に溶解した。吸収度をEL Ultra Micro−plate Readerを使用して、96ウェルプレートにおいて3通り595nmで読んだ。
【0055】
さらに、5x104 HaCaT細胞を、上述の通りに、大概は6ウェルプレートの各ウェルに蒔いた。UVB照射前に、細胞をPBS 1Xで2回洗浄し、少量のPBS 1Xをウェルに添加した。次いで、細胞を、UVBなし、または15、30、60、もしくは120mJ/cm2強度に暴露した。暴露後、細胞培地をウェルに添加し、細胞をIP−6(0〜2.0mM)で処置した。次いで、細胞を37℃および5%CO2でインキュベートした。UVB暴露の18時間後に、細胞を4%ホルムアルデヒドで固定し、0.5%水性クリスタルバイオレットで染色し、上述の通りに30%酢酸で溶解した。吸収度を595nmで3通り読んだ。
異なるUVB強度へのHaCaT細胞の暴露は、非暴露の対照群と比較すると、UVB暴露の18時間後に、UVB強度の増加とともに細胞付着の有意な用量依存的減少を示した、p<0.001。細胞付着へのIP−6およびUVB両方の影響を判断するため、異なるUVB強度とともに異なる濃度のIP−6を使用した。30mJ/cm2で照射されたがIP−6で処置されていない細胞と比較すると、30mJ/cm2UVB強度でのIP−6の濃度増加とともに、HaCaT細胞付着に有意な増加が観察された(p<0.01で有意)。60および120mJ/cm2UVB強度の両方が、それらの各対照群、つまり60もしくは120mJ/cm2UVBに暴露され、IP−6に暴露されていない細胞と比較すると、細胞付着における減少を示した。15mJ/cm2UVBに暴露された群は、IP−6無処置群と比較すると、より低い濃度のIP−6に対して細胞付着の増加を示し、より高い、つまり1.0および2.0mMのIP−6濃度に対して細胞付着の減少を示した。15mJ/cm2UVBに暴露された細胞が示した傾向は、異なるIP−6濃度に暴露されたがUVB暴露されなかった群と同程度であった。(図2)
【0056】
(実施例3)
HaCaT細胞のアポトーシスへのIP−6およびUVB放射線の効果
HaCaT細胞を、60mm組織培養ディッシュに24時間蒔いた。次いで、細胞を暴露しないか、または30mJ/cm2UVB放射線に暴露して、直ちに0、0.5mMもしくは1.0mM IP−6で処置した。細胞をUVB暴露の6および18時間に回収した。5μLのリボヌクレアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼを含有しない)を106細胞/mLに添加した。細胞懸濁液を37℃で30分間インキュベートした。次いで、懸濁液を氷冷した(2〜8℃)。100μLのPIを細胞懸濁液(細胞DNAフローサイトメトリー分析キット,Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)に添加した。FACSを使用して、DNA定量化をフローサイトメトリーで同日に行った。
【0057】
30mJ/cm2UVB放射線後6時間で、非UVB暴露の対照群と比較すると、G1期に有意な増加があり、S期に有意な減少があった、p<0.001。しかし、G2M期において暴露と非暴露の群との間に有意な差はなかった。UVB暴露の18時間後、非暴露の群と比較すると、G1期に有意な増加があり、S期に有意な減少があり、18時間後でさえも、UVB放射線は、細胞周期のG2M期に対して有意な影響を及ぼさなかった。6から18時間暴露の間に時間依存的な差はなく、細胞周期の異なる期へのIP−6の影響はなかった。
UVB暴露後の0.5mMおよび1.0mM IP−6処置はどちらも、UVB放射線への暴露の6時間後に同様の結果を示した。UVB暴露と、続く1.0mM IP−6での処置の18時間後のG2M期は、0.5mM IP−6での処置の18時間後に見られた結果と同程度であった。
UVBに暴露された細胞に対する0.5mM IP−6処置は、UVB放射線に暴露したがIP−6で処置しなかった群と比較すると、アポトーシスおよび壊死細胞の両方のパーセンテージにおいて有意な減少を示し、生存細胞のパーセンテージにおいて有意な増加を示した(図3)。1.0mM IP−6処置は、0.5mM IP−6処置と比べて同様の結果を示したが、しかし、効果はより高い濃度でさらに一層明白であった。したがって、UVBに暴露されたがIP−6で処置しなかった群と比較すると、IP−6は、UVB放射線に暴露された場合に、アポトーシスおよび壊死細胞の両方において用量依存的な減少を、ならびに生存細胞の増加をもたらした、p<0.001。
MCF−10A(不死化正常乳腺細胞株)および正常ヒト末梢リンパ球を使用して実験を繰り返した場合に、同程度の結果が得られる。
【0058】
(実施例4)
HaCaT細胞のカスパーゼ3活性化へのIP−6およびUVB放射線の効果
HaCaT細胞を60mm組織培養ディッシュに24時間蒔いた。細胞を30mJ/cm2UVB放射線に暴露したか、または暴露しなかった。UVB暴露の直後に、細胞を1.0mMのIP−6で処置した。UVB暴露の18時間後、1x106 HaCaT細胞から得られた細胞可溶化物を、低張細胞融解緩衝液(25mM HEPES (pH7.5)、5mM MgCl2、5mM EDTA、5mM DTT、2mM PMSF、10μg/mL Pepstatin A、および10μg/mL Leupeptin)において調製した。次いで、10μLの試料を、白色96ウェルマイクロタイタープレート中の、50μMカスパーゼ3基質、Ac−DEVD−AMCを含有するカスパーゼアッセイ緩衝液(312.5mM HEPES(pH7.5)、31.25%ショ糖、0.3125%CHAPS(3−[(3−コラミド−プロピル)−ジメチルアンモニオ]−lプロパン−スルホン酸、2%DMSO、10mM DTT)と混合した。陰性対照ウェルは、2μLの2.5mMカスパーゼ3(Ac−DEVD−CHO)の特異ペプチド阻害剤を含有した。プレートを30℃で1時間インキュベートした。次いで、360nmの励起波長および460nmの発光波長を有する蛍光プレートリーダを使用して、遊離反応産物、AMCを測定した。カスパーゼ3活性をAMCの相対的蛍光強度として報告した。
【0059】
HaCaT細胞のアポトーシスへのIP−6の効果を、30mJ/cm2 UVB放射線への暴露の18時間後に、1.0mM IP−6処置を用いて決定した。結果は、対照群と比較すると、IP−6が活性化されたカスパーゼ3活性の増加を引き起こしたことを示す。また、UVB暴露も、活性化されたカスパーゼ3活性の増加を引き起こした。しかし、1.0mM IP−6の存在下において、活性化されたカスパーゼ3活性は、UVB放射線に暴露されたがIP−6で処置されなかった群と比較すると有意に低下した、p<0.01(図4)。
MCF−10A(不死化正常乳腺細胞株)および正常ヒト末梢リンパ球を使用して実験を繰り返した場合に、同程度の結果が得られる。
【0060】
(実施例5)
放射線防護剤としてのIP−6±イノシトール
ヒトケラチノサイトHaCaT細胞をUVB 30mJ/cm2に暴露した(2分10秒)。非暴露細胞は対照としての機能を果たした。次いで、細胞をIP−6、イノシトール、IP−6+イノシトールで処置し、および処置せず(対照)、そしてインキュベータに18時間留置した。ウェルに付着されたままの細胞は生存しており(UVB損傷から保護された)、付着細胞の量は、それらを酢酸に溶解し、溶液の光学的吸収度を測定することによって測定する。IP−6およびイノシトールの1:1モル比で処置された細胞は、最良の付着を示した。
MCF−10A(不死化正常乳腺細胞株)および正常ヒト末梢リンパ球を使用して実験を繰り返した場合に、同程度の結果が得られる。
【0061】
(実施例6)
生体内の放射線防護剤としてのIP−6±イノシトールの効果
6週齢病原体未感染の雌SKH−1雌マウス(Charles River Laboratory,Wilmington,MA)を、初回は1.5kJ/m2線量で、7.5kJ/mの最終線量まで毎週1.5kJ/m2増大させて、1週間に3回照射し、各セッションを約10分間23週間続けた。動物は、IP−6を含有しないAIN−76A食餌(Harlan Teklad、カタログ番号170481)を摂食した。4%K−IP−6、1%イノシトール、または4%K−IP−6+1%イノシトールとしての皮膚クリーム中約100mgのIP−6+/−イノシトールを、局所的に背面に塗布した。追加の群は、経口的に投与したIP−6+イノシトールが同様の保護を提供するかどうかを確かめるために、飲料水中1:1モル比でNa−IP−6+イノシトールを受けた。動物を毎日観察し、乳頭腫の形での腫瘍の出現を監視および計数した。結果は、皮膚クリーム中のK−IP−6で処置された動物は、IP−6なしのクリームとは対照的に腫瘍を有さず、クリーム中のIP−6+イノシトールは、腫瘍の60%減少を示し、さらに興味深いことに、飲料水中のIP−6+イノシトールを受けた動物は、UVB誘発の皮膚腫瘍発生の78.6%減少を有したことを示している。
さらに、処置された動物は、皮膚の発赤の減少または消失、潰瘍、および/または水疱形成とともに、対照動物と比較して寛解された放射線誘発の皮膚損傷を示している。
【0062】
(実施例7)
(予言的)
培養正常細胞へのイノシトール/IP−6組成物の放射線防護効果
10%ウシ胎仔血清および抗生物質を備えたDMEM中3,000細胞/10mm2の細胞密度で、正常2倍体肺線維芽細胞であるHFL−1細胞を24ウェルディッシュに蒔く。イノシトール/IP−6試験化合物を、水中100から500マイクロモルの包括的な選択濃度で、24時間後に細胞に添加する。対照細胞を水のみで処置する。細胞を試験化合物または水に24時間暴露する。次いで、源としての137セシウムを備えたJ.L.Shepherd Mark I、Model 30−1 Irradiatorを使用して、細胞を電離放射線(ionizing radiation:IR)の10Gy(グレイ)または15Gyのいずれかで照射する。
照射後、試験および対照細胞上の培地を除去し、試験化合物または追加の水なしで新鮮増殖培地と交換する。照射された細胞を96時間インキュベートし、重複ウェルをトリプシン処理し、100mm2組織培養ディッシュに再度蒔く。再度蒔いた細胞を、新鮮培地に1回交換した通常の条件下で3週間増殖させる。生存細胞の数を表す各100mm2培養ディッシュからのコロニー数を、後述の通りにディッシュを染色することによって決定した。
個々の放射線防護された細胞のクローン増殖から派生するコロニーを視覚化および計数するため、培地を除去し、プレートを室温のリン酸塩緩衝生理食塩水で1回洗浄する。細胞を、1:10で希釈したModified Giemsa染色溶液(Sigma)で20分間染色する。染色を除去し、プレートを水道水で洗浄する。プレートを空気乾燥し、各プレートからのコロニーの数を計数し、重複プレートからの平均を決定する。
イノシトール/IP−6化合物に対する放射線防護活性を確認する。
MCF−10A(不死化正常乳腺細胞株)および正常ヒト末梢リンパ球を使用して実験を繰り返した場合に、同程度の結果が得られる。
【0063】
(実施例8)
(予言的)
イノシトール/IP−6組成物での培養腫瘍細胞の治療
正常線維芽細胞を保護する条件下での電離照射によって、腫瘍細胞殺滅へのイノシトール/IP−6組成物の効果に対応するために、以下の実験を行う。アンドロゲン陰性前立腺癌細胞株であるDU145細胞を、10%ウシ胎仔血清および抗生物質を備えたDMEM中35mm2当たり1.0x105細胞の細胞密度で、6ウェルディッシュに蒔く。水中でイノシトール/IP−6組成物(0.5mM、1.0mM、2.5mM、5.0mM、10.0mMおよび20.0mM)を、24時間後に細胞に別々に添加する。対照細胞は水のみを受ける。プレートを2〜4時間インキュベートし、細胞を5Gyまたは10Gyの放射線のいずれかで照射する。
照射後、培地を除去し、試験化合物なしの新鮮培地と交換する。細胞を96時間インキュベートし、生存細胞の数をトリパンブルー色素排除で決定する。重複ウェルからの生存細胞の平均数を決定する。
正常ヒト肺線維芽細胞において放射線防護を誘発するイノシトール/IP−6組成物の添加は、腫瘍細胞株を殺滅させる電離放射線の活性を減少させない。腫瘍細胞の細胞殺滅に対する小さいが一貫した添加作用が見られる。イノシトール/IP−6化合物の放射線防護効果は、正常組織に特異的であり、腫瘍細胞が、照射前に2〜4時間パルスとして試験化合物で処置された場合に、IRによる腫瘍細胞の殺滅を妨害しない。
MCF−10A(不死化正常乳腺細胞株)および正常ヒト末梢リンパ球を使用して実験を繰り返した場合に、同程度の結果が得られる。
【0064】
(実施例9)
(予言的)
イノシトール/IP−6組成物での前処置による放射線毒性からマウスを防護
10〜12週齢のC57黒色マウス(Taconic)を10匹のマウスの2つの処置群にそれぞれ分ける。一群は、8Gyγ放射線での照射の18および6時間前に、水(10mg/Kg線量、20gマウスに基づく)に溶解された200マイクログラムイノシトール/IP−6組成物の腹腔内注入を受ける。第2の群は、8Gyγ放射線での照射の18および6時間前に、水(30mg/Kg線量、20gマウスに基づく)に溶解された600マイクログラムイノシトール/IP−6組成物の腹腔内注入を受ける。16匹の動物の対照群は、8Gyγ放射線のみを受けた。対照および実験群の死亡率を、照射後40日間評価する。
照射後20日目までに、対照マウスは、80%の最大死亡率を呈し、故に、γ放射線の8Gy線量はLD80線量と考えられる。一方、第1の群の約50%および第2の群のマウスの約30%は、LD80放射線量を受けた後20日目に死亡する。40日目までに、約60%の最大死亡率が第1の群に達し、約50%の最大死亡率が第2の群に達する。マウスの放射線毒性は、イノシトール/IP−6組成物での前処置によって大幅に減少する。
【0065】
(実施例10)
(予言的)
放射線暴露後に与えられた場合のマウスにおけるイノシトール/IP−6組成物の放射線防護効果
10〜12週齢のC57 B6/Jマウス(Taconic)を10匹および9匹のマウスの2つの処置群にそれぞれ分ける。一群は、8Gyγ放射線での照射の18および6時間前に、水(10mg/Kg線量、20gマウスを仮定)に溶解された200マイクログラムイノシトール/IP−6組成物の腹腔内注入を受ける。第2の群は、8Gyγ放射線での照射の15分後に、水(30mg/Kg線量、20gマウスに基づく)に溶解された600マイクログラムイノシトール/IP−6組成物の腹腔内注入を受ける。16匹の動物の対照群は、8Gyγ放射線のみを受ける。対照および実験群の死亡率を、照射後40日間評価する。
照射後のイノシトール/IP−6組成物でのマウスの処置は、対照動物と比較すると、放射線誘発の死亡率に有意な遅延をもたらす。照射後処置によってイノシトール/IP−6組成物がもたらす放射線防護効果は、照射前処置で見られるものほど良好ではないが、それでもなお、イノシトール/IP−6組成物での照射後処置は、放射線毒性の影響を軽減するのに有効である。
【0066】
(実施例11)
(予言的)
イノシトール/IP−6組成物での前処置後の正常および悪性造血前駆細胞増殖に対する、電離放射線への暴露の効果
イノシトール/IP−6組成物で前処置された正常および悪性造血前駆細胞への電離放射線の効果は、照射後の前処置した細胞のクローニング効率および発達を評価することによって決定する。
造血前駆細胞を得るために、ヒト骨髄細胞(bone marrow cell:BMC)または末梢血液細胞(peripheral blood:PB)を、Ficoll−Hypaque密度勾配遠心法によって、健常、または急性もしくは慢性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia:AML、chronic myelogenous leukemia:CML)志願者から取得し、免疫磁性ビーズ(Dynal A.S.,Oslo,Norway)を用いてCD34+細胞を積極的に選択することによって、造血前駆細胞のために部分的に濃縮する。CD34+細胞を、補充したα培地において懸濁し、チューブの弱反転とともに、1:20の希釈において45分間4℃でマウス抗HPCA−I抗体とともにインキュベートする。細胞を、補充したα培地中で3回洗浄し、次いで、ヤギ抗マウスIgG1のFc断片(75マイクロリットルの免疫ビーズ/107CD34+細胞)で被覆されたビーズとともにインキュベートする。インキュベーション(4℃)の45分後に、ビーズに付着する細胞を、製造業者による指示通りに磁性粒子濃縮器を使用して積極的に選択する。
2x104 CD34+細胞を、2%ヒトAB血清および10mM Hepes緩衝液を含有する総量0.4mlのイスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s modified Dulbecco’s medium:IMDM)において5mlポリプロピレンチューブ(Fisher Scientific, Pittsburgh,Pa.)内でインキュベートする。イノシトール/IP−6組成物を細胞に添加し、例えば、水中3つの異なる濃度(5.0mM、10.0mMおよび20.0mM)のイノシトール/IP−6組成物を細胞に別々に添加する。対照細胞は水のみを受ける。細胞を20〜24時間インキュベートし、5Gyまたは10Gyの電離放射線で照射する。
照射直後に培地を除去し、試験化合物なしの新鮮培地と交換する。照射の24時間後、処置および対照細胞を凝固血漿またはメチルセルロース培養にプレーティングするために調製する。細胞(ディッシュ当たり1x104 CD34+細胞)は、プレーティング前に洗浄しない。
処置した造血前駆細胞のクローニング効率および発達の評価は、基本的にGewirtz et al.,Science 242,1303−1306(1988)で報告されるように行う。対照と比較すると、処置した試料の実質的に有益な効果が見られる。
【0067】
(実施例12)
(予言的)
イノシトール/IP−6組成物での前処置後の、電離放射線での骨髄浄化
骨髄は、標準的な技術を使用して、手術室において全身麻酔下で被験者の腸骨から回収する。多数の吸引をヘパリン化された注射器に取り入れる。被験者が、体重のkg当たり約4x108から約8x108の処理された骨髄細胞を受け取ることができるように、十分な髄を取り除く。したがって、髄の約750から1,000mlが取り除かれる。吸引された髄を、100mlの培地当たり10,000ユニットの保存料の入っていないヘパリンを含有する輸送培地(TC−199,Gibco,Grand Island,N.Y.)に即時に移動する。吸引された髄を、細胞凝集体、残屑、および骨片を欠いている細胞懸濁液を得るために、3つの次第により細かくなるメッシュを通して濾過する。次いで、濾過された髄を、「軟膜」産物(つまり、赤血球および血小板を欠いている白血球)を調製する自動細胞分離装置(例えば、Cobe 2991 Cell Processor)中でさらに処理する。軟膜製剤は、さらなる処理および保存のために移動パック内に留置する。これは、標準手順を使用して液体窒素中で浄化するまで保存される場合もある。あるいは、浄化は直ちに行うことができ、浄化された髄は、移植の準備が整うまで液体窒素中に凍結保存され得る。
浄化手順は、以下の通りに行う。軟膜製剤中の細胞は、約20%自家血漿を含有するTC−199中2x107/mlの細胞濃度に調節される。イノシトール/IP−6組成物、例えば、水中1〜2ミリモルのイノシトール/IP−6組成物あるいは水中10〜20ミリモルのイノシトール/IP−6組成物を、細胞懸濁液を含有する移動パックに添加し、弱振盪とともに、37℃水槽内で20〜24時間インキュベートする。次いで、移動パックを5〜10Gy電離放射線に暴露する。組み換えヒト造血成長因子、例えば、rH IL−3またはrH GM−CSFは、造血系新生物の増殖を刺激し、それにより電離放射線へのそれらの感受性を増加させるために、懸濁液に添加されてもよい。
次いで、細胞を液体窒素中で凍結させるか、約20%自家血漿を含有するTC−199において4℃で1回洗浄する。次いで、洗浄した細胞を被験者に注入する。可能な限り滅菌状態下で作業し、綿密な無菌法を常に維持するために注意を払う。
【0068】
(実施例13)
(予言的)
正常乳房上皮細胞におけるUVB誘発細胞損傷および傷害に対するIP−6の保護作用
形質転換されていない、通常のヒトの乳房上皮細胞MCF−10A細胞を、細胞の生存および細胞の付着性を測定することにより、UVB誘発細胞損傷におけるイノシトール/IP−6組成物の保護作用を示すために使用する。MCF−10A(自然に不死化した、非変異p53を有する非癌性ヒト乳房上皮細胞株)を、5%のウマ血清(Invitrogen Gibco, Carlsbad,CA)、20ng/mLのEGF(Upstate Biotechnology Incorporated, Lake Placid,NY)、10μg/mLのインスリン(Biofluids, Rockville,MD)、および500ng/mLのヒドロコルチゾンで補ったF−12/DMEMに維持する。細胞を37℃および5%CO2で維持する。希釈剤として細胞培養液を使用し、Na−IP−6を100mM原液から必要とされる濃度(0.05〜2.0mM)へ希釈する。UVB光に対する様々な細胞暴露時間(80%の光出力は290〜320nmUVB範囲内)により得られる15、30、60、および120mJ/cm2のUVB強度を使用する。
【0069】
MCF−10A細胞を、約80〜90%の密集度まで成長させる。MCF−10A細胞の1x104細胞/mLの100μLを4つの96ウェルプレートの各ウェルに播種する。MTTベースの細胞毒性アッセイを使用して生存性を査定するために、細胞をIP−6(0〜2.0mM)、および0日、1日、2日および3日目に、各ウェルにDMEM媒体に溶解された水性MTTの1mg/mLの100μLを加え、プレートを培養器(37℃および5%CO2)に4時間設置する。150μLのDMSOをホルマザン生成物を溶解するために加える。EL Ultra Micro−plate Readerを使用し、吸光度は540nmを示す。結果を各群の組について平均吸光度として記録する。IP−6がUVB誘発傷害からMCF−10A細胞を保護するかどうかを決定するために、MTTアッセイを上記の通り行う。フェノールレッドを持たないDMEM媒体の2x104細胞/mLの50μLを、5つの96ウェルプレートの各ウェルに播種し、24時間培養(37℃および5%CO2)した。その後、細胞を0、15、30、60または120mJ/cm2のUVB強度((4つのUVB広域帯照明器を含む一式(FS40T12/UVB4ft))へ暴露した。その直後、UVB暴露細胞を、50μLの細胞成長媒体においてIP−6(0〜2.0mM)で処理する。その後、細胞を37℃および5%CO2で培養器に置き、MTTアッセイを上記の通り行う。結果を各群の組について平均吸光度として記録する。
【0070】
生存細胞は付着して残り、瀕死/死細胞は分離するため、単分子層で通常成長する足場依存性細胞について、細胞の付着性を細胞の生存性の間接的指標として使用する。イノシトール/IP−6組成物および付着細胞のUVB放射線の効果を決定するために、5x104MCF−10A細胞を4つの6ウェル組織培養プレートの各ウェルに播種し、37℃および5%CO2で24時間培養する。UVB照射の1時間前に、2つのプレートをIP−6(0および0.1mM)で、1つをIP−6前処理、もう1つをIP−6前処理および後処理で処理する。その後、4つのプレートすべてをPBS 1Xで2回洗浄し、30mJ/cm2で照射されたPBS 1Xの少量をウェルに加える。UVB暴露の後、PBSをウェルから取り除き、DMEM媒体を各ウェルに加える。IP−6(0.05および0.1mM)を、非UVB暴露、IP−6後処理、および前処理と後処理のラベルを貼ったプレートに加える。細胞を18時間培養(37℃および5%CO2)する。培養に続き、細胞をPBS 1X(pH7.4)で4回洗浄し、4.0%のホルムアルデヒドで15分間凝固し、0.5%の水性クリスタルバイオレットで少なくとも5分間染色する。余分なクリスタルバイオレットをウェルから洗浄し、プレートを乾燥するまで放置する。次に各ウェルの乾燥したクリスタルバイオレット残渣を30%の酢酸の500μLに溶解する。EL Ultra Micro−plate Readerを使用し、96ウェルプレートの3組において吸光度は595nmを示す。
【0071】
さらに、5x104MCF−10A細胞を、上記の通り10個の6ウェルプレートの各ウェルにプレートする。UVB照射の前に、細胞をPBS 1Xで2回洗浄し、PBS 1Xの少量をウェルに加える。その後細胞をUVBなし、または15、30、60、または120mJ/cm2強度で暴露する。暴露に続き、細胞培地をウェルに加え、細胞をIP−6(0〜2.0mM)で処理する。細胞を37℃および5%CO2で培養する。UVB暴露18時間後、上記の通り、細胞を4%のホルムアルデヒドで凝固し、0.5%の水性クリスタルバイオレットで染色し、30%の酢酸で溶解する。3組の吸光度は595nmを示す。
イノシトール/IP−6組成物の放射線保護効果が見られる。
【0072】
(実施例14)
(予言的)
正常な末梢単核球細胞における電離放射線およびIP−6の効果
正常な末梢単核球細胞(PBMC)の生存性に関する電離放射線およびIP−6への暴露の効果を、その増殖およびコロニー形成能により査定する。多くのアッセイが、T細胞コロニー形成細胞(T−CFC)を検出するための半固形培地で開発されてきた。これらのT−CFCは、T前駆細胞の数を決定し、正常な被験者および様々な病態を有する患者における、末梢血および骨髄Tリンパ球の増殖および分化能を決定するために使用されてきた。T細胞コロニーは、10〜20のPBMCの健康な志願者から生成される。効果は自然発生および誘発T細胞コロニーにおいて観測され、付加された成長要因(PHAおよびIL−2)のないメチルセルロースに培養されたPBMCは、自然発生T細胞コロニーを形成し、成長要因の存在において、誘発T細胞コロニーを形成する。
PBMCは、Ficoll−Hypaque (Pharmacia, Upsalla, Sweden)上で分離される。間期細胞は、PBSで2回洗浄され、α変性イーグル媒体(α−MEM)(Invitrogen Gibco, Carlsbad,CA)の成長媒体内で再懸濁される。生存能力をトリパンブルー色素排除により試験した場合、常に>90%である。細胞は、実施例11に記載される免疫磁気ビードを使用し、ロゼット形成、または断片化に基づいて、さらに分離することが可能である。断片化または非断片化されたPBMC細胞(5x105/ml 細胞/mL)は、0.8%メチルセルロース(Fluka Chemie AG, Buchs,Switzerland)、20%のFCS、2mMのグルタミンおよび抗生物質で補ったα−MEM、PHA(1%、vol/vol)と10U/mLのヒトrIL−2(Biogen, Geneva, Switzerland)の存在下(誘発Tコロニー)、およびPHAとrIL−2(自然発生T細胞コロニー)の非存在下に播種される。0.1mLの細胞含有メチルセルロース調合液は、96ウェルの平底マイクロテストプレートのウェルごとに播種され、5〜7日間、大気中で37℃および5%CO2培養される。少なくとも50の細胞を含有する凝集は、コロニーとして倒立顕微鏡の下、数えられる。
【0073】
末梢血および分離されたPBMCは、5Gyまたは10Gyの電離照射に暴露される。イノシトール/IP−6組成物の保護作用は、照射の1時間前にIP−6(0〜2.0mM)でまたは、培養およびコロニー形成過程の間、イノシトール/IP−6組成物の存在下で調製される、照射されたPBMC T−CFCのコロニー形成能力を査定することにより決定される。
試験細胞におけるイノシトール/IP−6組成物の実質的な保護効果が見られる。

局所組成物
局所組成物は、固体、液体、懸濁、半固体(クリーム、ゲル、ペースト、または「棒状物」等)、粉末、またはスプレーまたは霧等の分散液体を含む様々な形状において発生する。「化粧品」として一般的に分類される局所製品の例は、クリーム、ローション、保湿剤等のスキンケア製品、および剥離剤および/または肌細胞再生剤等の「トリートメント化粧品」;香水、オーデコロン、およびデオドラント等の香料;クリーム、「爽快ローション」およびアフターシェーブ等のシェービング関連製品;脱毛および他の除毛製品;スキンクレンザー、化粧水、および収斂剤;ウェットティッシュおよびウォッシュクロス;日焼けローション;オイル等の浴用化粧品;アイローションおよびメイク落とし等のアイケア製品;粉末およびスプレー等のフットケア製品;皮膚用染料およびファンデーション、頬紅、口紅、アイシャドーおよびライナー、リップカラー、ならびにマスカラ等のメイクアップ製品;リップバームおよびリップスティック;シャンプー、コンディショナー、染料、着色料、脱色剤、ヘアストレートおよびパーマネントウェーブ製品等のヘアケアおよびトリートメント製品;ベビーローション、オイル、シャンプー、パウダーおよびウェットティッシュ等のベビー製品;デオドラントおよび膣洗浄等の婦人衛生製品;皮膚科または美容師により適用されるスキンまたはフェイシャルピール;および他のものを含む。「局所用薬物」として一般に分類される局所製品の例は多く、様々であり、制汗剤、防虫剤、日焼け止め、および日焼け治療薬、にきび抑制剤、抗生物質、局所呼吸剤、点眼剤および食塩溶液等の眼薬、治療用レチノイド、フケ防止剤、カプサイシン製品等の外用鎮痛薬、局所用避妊薬、局所用薬剤処方、坐薬、浣腸剤、および痔治療剤等の胃腸薬、膣治療剤等の生殖器系用剤、トローチ剤等の経口治療薬、および治療的または他の効果を有する多くの他の製品等の市販および/または処方製品を含む。他の局所用製品は、手、顔、およびボディ用石鹸および洗剤、および他のスキンクレンザーの形態、ならびに家庭用洗剤、および溶剤、推進剤、研磨剤、潤滑剤、接着剤、ワックス、および他の通常の使用の間に局所的に適用、または局所的に身体に接触するものを含む。
【0074】
当然のことながら、要求される化粧用組成物は、通例の助剤および添加剤を有さないことは通常ありえないということが、当業者には既知である。これらの中で代表的なものは、例えば、粘度付与剤、充填剤、香料、染料、乳化剤、ビタミンまたはタンパク質等の付加的な活性化合物、日焼け止め、安定剤、防虫剤、アルコール、水、塩、抗菌剤、タンパク質分解または角質溶解活性を有する物質等を含む。
本発明の製剤での使用に適した局所用媒体は、美容および薬学技術分野において既知であり、水としての該媒体(または媒体生成物);アルコール(エタノールのような皮膚から容易に蒸発する能力のあるとりわけ低級アルコール)、グリコール(グリセリン等)、脂肪族アルコール(羊毛脂等)等の有機溶媒;水と有機溶媒との混合物(水とアルコール等)、およびアルコールとグリセリン(また、任意に水と)のような有機溶媒の混合物;脂肪酸、アシルグリセロール(ミネラルオイル、および天然起源または合成起源の脂肪等のオイルを含む)、ホスホグリセリド、スフィンゴ脂質およびワックス等の脂質ベース物質;コラーゲンおよびゼラチン等のタンパク質ベース物質;シクロメチコン、ジメチコノールおよびジメチコーンコポリオール(Dow Corning)等のシリコンベース物質(不揮発性および揮発性の両方);ワセリンおよびスクワラン等の炭化水素ベース物質;アニオン、カチオン、および両性界面活性剤および石鹸;マイクロスポンジおよびポリマー物質等の徐放性媒体;安定および懸濁剤;乳化剤;および肌に投与するのに適した他の媒体および媒体成分、ならびに上記に特定される局所用媒体成分の混合物、あるいは当技術分野に既知のものを含む。該媒体は、保存料、酸化防止剤、皮膚浸透促進剤、徐放物質、および同様のもの等、適用される製剤の安定性または効果を改善するために適応される成分をさらに含んでもよい。これらの媒体および媒体成分の例は当技術分野に既知であり、Martindale−−The Extra Pharmacopoeia (Pharmaceutical Press, London 1993)およびMartin (ed.), Remington’s Pharmaceutical Sciences等の参考資料に記載される。
【0075】
適した媒体の選択は、達成しようとする製剤の特定の物質的形態および送達方法に左右されるであろう。適した形態の例は、液体(本発明のイノシトール/IP−6組成物の溶解した形態ならびに懸濁液、乳剤および同様のものを含む);固体およびゲル、フォーム、ペースト、クリーム、軟膏、「棒状物」(リップスティックまたは腋下デオドラントスティック等のような)等の半固体、粉末および同様のもの;リポソーム、および他の送達媒体を含有する製剤;直腸および膣坐薬、クリーム、フォーム、ゲル、軟膏、浣腸剤または洗浄剤;および他の形態のものを含む。一般的な送達方法は、指を使用しての適用、布、ティシュー、スワブ、スティックまたはブラシ(例えば、適用の直前に塗布器を製剤に浸すことにより、または、(処置または事前に湿らせた包帯、ワイプ、ウォッシュクロスまたはスティック等)製剤を既に含有する準備された塗布器を皮膚に適用または付着することにより達成されるような)等の物理的な塗布器を使用しての適用;スプレー(霧、エアゾルまたはフォームスプレーを含む);スポイト適用(例えば、耳、または点眼薬として);振りかけ(製剤の適した粉末形態と同様に);浸漬;および注射(とりわけ皮内または皮下注射)を含む。イオントフォレーゼまたは他の電磁気強化された送達システムも、例えば、真皮への送達を増加するために実用的に使用されてもよい。
【0076】
また、様々な形態で製剤を調製する方法および物質が、Anthony L. L. Hunting (ed.), “A Formulary of Cosmetic Preparations (Vol. 2)−− Creams, Lotions and Milks,” Nacelle Press (England, NJ. 1993)に記載される。例えば、第7章、5〜14頁(オイルおよびゲル)、第8章、15〜98頁(基および乳剤)、第9章、101〜120頁(「万能製品」)、第10章、121〜184頁(クレンジングマスク、クリーム、ローション)、第11章、185〜208頁(ファンデーション、バニッシングおよびデイクリーム)、第12章、209〜254頁(皮膚軟化剤)、第13章、297〜324頁(フェイシャルトリートメント製品)、第14章、325〜380頁(手用製品)、第15章、381〜460頁(ボディおよび肌用クリームおよびローション)、第16章、461〜484頁(ベビー製品)を参照。これらの内容は参照することにより本願に組み込まれる。
【0077】
医薬製剤の処方には、必要に応じて変更を加え、対応する必要事項を適用する。
原則として、本発明の意義の範囲内の医薬局所組成物は、有効濃度の1つ以上の薬剤を含有する。簡潔にするために、化粧および医薬用途、ならびに適した製品をより明確に区別するために、米国の法的必要条件(例えば、化粧品規制、食品・医薬品法)を参照すること。
本発明に従い使用された活性化合物を、他の目的のための他の活性化合物を既に含有する製剤へ付加することは、この場合において同様に有利である。
それに応じ、本発明の意義の範囲内の化粧用または局所皮膚用組成物は、例えば、その組成物により、保護クリーム、クレンジング乳液、日焼け止めローション、日焼けローション、栄養クリーム、デイまたはナイトクリーム等として使用されることが可能である。本発明に従い、組成物を製剤処方用のベースとして使用することが任意に可能であり、有利である。
【0078】
とりわけ、本発明に従い使用された活性化合物は、化粧用デオドラント、または制汗剤における添加剤として使用することが可能である。使用することが可能であるデオドラントまたは制汗活性を有する薬剤は、当業者に既知の通例の物質である。例えば、制汗剤の製剤は収斂剤を用いて(アルミニウムヒドロキシクロリド等の主にアルミニウム塩)抑制することが可能である。
化粧デオドラントに抗菌性/殺菌性物質を使用することにより、皮膚上の細菌フローラを減少することが可能である。同時に、理想的な場合、肌の臭気を引き起こしている微生物のみが効果的に減少される。1個のカルボキシル基を有する、例えば、ジグリセロール、またはトリグリセロールの酸エステルが有利である。しかし、抗菌活性を有する他の物質も適している。
また、本発明の目的に都合のよい化粧品および皮膚用薬剤は、日焼け止めの形態のものである。本発明に従い使用される活性化合物に加え、これらは、少なくとも1つのUVAフィルター物質および/または少なくとも1つのUVBフィルター物質および/または少なくとも1つの無機顔料をさらに含有することが好ましい。
【0079】
しかし、本発明の意義の範囲内において、主な目的は日光からの保護ではないけれどもUV保護物質を含有する、これらの化粧品および皮膚用薬剤を利用できるようにすることもまた有利である。従って、UV−AおよびUV−Bフィルター物質は、例えはデイクリームに通常組み込まれる。
有利に、本発明による製剤は、UVB範囲におけるUV放射線を吸収する物質を含有し、フィルター物質の総量は、例えば、製剤の総質量に基づき、0.1質量%から30質量%、好ましくは0.5から10質量%、特に1から6質量%である。
UVBフィルターは油溶性、または水溶性であることが可能である。言及されてもよい油溶性物質は、例えば、 3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、例えば、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー;4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは、2−エチル−ヘキシル4−ジメチルアミノベンゾエート、アミル4−ジメチルアミノベンゾエート;桂皮酸のエステル、好ましくは、2−エチルヘキシル4−メトキシ桂皮酸、イソペンチル4−メトキシ桂皮酸;サリチル酸のエステル、好ましくは、2−エチルヘキシルサリチル酸塩、4−イソプロピルベンジルサリチル酸塩、サリチル酸ホモメンチル;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4´メチルベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;ベンジリデンマロン酸のエステル、好ましくは、ジ(2−エチルヘキシル)4−メトキシベンジリデンマロネート;2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2´−エチル−l´−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンである。
【0080】
有利な水溶性物質は、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびその塩、例えば、ナトリウム、カリウム、またはトリエタノールアンモニウム塩、ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩;3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)−ベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)スルホン酸およびその塩である。
本発明に従い使用することが可能である言及のUVBフィルターのリストは、もちろん限定を意図したものではない。
また、本発明は、UVAフィルターおよびUVBフィルターもまた含有する本発明による、UVAフィルターおよびUVBフィルター、または化粧品もしくは皮膚用薬剤を有するイノシトール/IP−6組成物の組み合せに関する。
また、化粧用および/または皮膚用薬製剤において通例含有されるUVAフィルターを本発明による製剤において用いることは有利であろう。このようなフィルター物質は、好ましくはジベンゾイルメタンの派成物であり、とりわけ、1−(4´−tert−ブチルフェノル)−3−(4´−メトキシフェノル)プロパン−1,3−ジオンおよび1−フェニル−3−(4´−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオンである。また、これらの組み合せを含有する調合液は、本発明の対象である。同量のUVAフィルター物質はUVBフィルター物質について言及したものに使用することが可能である。
【0081】
また、本発明の意義の範囲内の化粧品および/または皮膚用薬剤は、肌を紫外線から保護するための化粧品に通例使用される無機顔料を含む。これらは、チタニウム、亜鉛、鉄、ジルコニウム、シリコン、マンガン、アルミニウム、セリウムの酸化物およびこれらの混合物、ならびに、酸化物が活性剤である修飾物である。特に好適であるのは、二酸化チタンに基づく顔料である。上記の組み合せのための言及した量が使用可能である。
本発明による化粧品および皮膚用薬剤は、化粧活性化合物、該調合液に通例使用されるような助剤および/または添加剤等であり、例えば、抗酸化物質、保存料、殺菌剤、香料、泡立ち防止用物質、染料、着色作用のある顔料、増粘剤、界面活性物質、乳化剤、皮膚軟化剤、保湿および/または保湿維持物質、脂質、オイル、ワックス、またはアルコール、ポリオール、ポリマー、気泡安定剤、電気分解物、有機溶媒、またはシリコン誘導体等の化粧品または皮膚用薬剤の他の通例の構成要素を含有する。
【0082】
本発明の意義の範囲内において、調合液をさらに抗刺激、または抗炎症活性化合物、とりわけ、ブチルアルコール(a−オクタデシルグリセルエーテル)、セラチルアルコール(α−9−オクタデセニルグリセルエーテル)、キミルアルコール(α−ヘキサデシルグリセルエーテル)、ビサボロールおよび/またはパンテノールに加えることは有利である。
また、本発明の意義の範囲内において、調合液へ通例の抗酸化物質を加えることは有利である。本発明によると、使用可能な都合のよい抗酸化物質は、化粧品および/または皮膚科用途に適したまたは使用可能なすべての抗酸化物である。
有利に、抗酸化物は、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトパン)およびこれらの誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)およびその誘導体、D、L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびこれらの誘導体等のペプチド(例えば、アンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、リコピン)およびこれらの誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびこれらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル基、γ−リノリル、コレステリルおよびグリセリルエステル)および、またそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド、および塩)および、また非常に低い耐容投与量(例えば、pモルからμモル/kg)におけるスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタチオニンスルホキシミン)、さらに(金属)キレート(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、マレイン酸)、腐食酸、胆汁酸、胆液、ビリルビン、胆緑素、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(例えば、γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、Mg−アルコルビン酸ホスフェート、アルコルビン酸アセテート)トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)および、またバルサム樹脂の針葉樹の安息香酸、ルチン酸およびその誘導体、フェルラ酸およびその誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレト酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、酸化スチルベン、酸化トランススチルベン)、および言及した活性化合物の本発明による適した誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド、および脂質)から成る群から選択される。
【0083】
調合液の抗酸化物(1つ以上の化合物)の量は、調合液の総質量に基づき、好ましくは0.001から30質量、特に好ましくは0.05〜20質量%、とりわけ、1〜10質量である。
ビタミンEおよび/またはその誘導体が抗酸化物である場合、製剤の総質量に基づき、0.001から10質量%の範囲からこれらのそれぞれの濃縮物を選択することが有利である。
本発明の意義の範囲内の化粧品または皮膚用薬剤が溶液、または乳化あるいは分散である場合、溶媒として以下が使用可能である。水、または水溶液;カプリンまたはカプリル酸のトリグリセリド、しかし好ましくはひまし油等の油;脂肪、ワックスおよび他の天然および合成脂肪物質、好ましくは、例えば、イソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロール等の低C数アルコールを有する脂肪酸のエステル、または低C数のアルカン酸または脂肪酸を有する脂肪アルコールのエステル;アルコール、ジオール、または低C数のポリオール、およびそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、および類似の生成物。
【0084】
特に、上述の溶媒の混合物が使用される。アルコール溶媒の場合、水がさらに構成要素となり得る。
本発明の意味の範囲内の乳剤、オレオゲル、または水分散系もしくは脂質分散系の油相は、飽和および/または不飽和のエステル、3から30C原子の鎖長の分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸、および飽和および/または不飽和、3から30C原子の鎖長の分岐および/または非分岐アルコールから成る群、あるいは、芳香族カルボン酸のエステルおよび飽和および/または不飽和、3から30C原子の鎖長の分岐および/または非分岐アルコールから成る群から有利に選択される。このようなエステルオイルは、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、ステアリン酸2−シキシルデシル、2−オクチルドデシルパルミテート、オレイルオレエート、エルカ酸オレイル、エルキルオレエート、エルキルエルケート、およびまたこのようなエステル、例えばホホバオイルのような合成,半合成、および天然混合物から成る群から有利に選択されることが可能である。
【0085】
さらに、油相は分岐および非分岐ヒドロカルビルおよびヒドロカルビルワックス、シリコンオイル、ジアルキルエーテルから成る群、飽和または不飽和、分岐または非分岐アルコール、また、脂肪酸トリグリセリド、すなわち、8から24、特に12〜18C原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分岐および/または非分岐のアルカンカルボン酸のトリグリセリドエステルから成る群から有利に選択されることが可能である。脂肪酸トリグリセリドは、例えば、合成、半合成、および天然油、例えば、オリーブ油、ひまわり油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、やし油、ココナッツ油、やし核油、および同様のものから成る群から有利に選択されることが可能である。
【0086】
抗炎症組成物
1つの側面において、本発明のイノシトール/IP−6組成物は、炎症の局所予防および/または炎症の結果の組織損傷のための局所適用のための、化粧品、または歯科用塗布薬(歯周病)における抗炎症剤とともに製剤されることが可能である。様々なステロイド性、および非ステロイド性の抗炎症剤は、イノシトール/IP−6化合物と組み合せることが可能である。
ステロイド性の抗炎症剤は、以下を含み、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、α−メチルデキサメタゾン、デキサメタゾンフォスフェイト、プロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルチコステロンアセテート、デキサメタゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、フルメタゾンピバル酸エステル、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド、メドリソン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびそのエステルの平衡物、クロロプレドニゾン、クロロプレドニゾロンアセテート、クロコルテロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニソロン(flupreclnisolone)、ヒドロコルチゾン吉草酸塩、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオナート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロン等のコルチコステロイド、およびこれらの混合物が使用可能であるがこれらに限定されない。本発明に使用するための好適なステロイド性抗炎症剤はヒドロコルチゾンである。
【0087】
本発明の組成物に有用な特定の非ステロイド性抗炎症剤は、以下を含むがこれらに限定されない。特に、ピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカム、CP−14、304、アスピリン、ジサルシド、ベノリレート、トリライセート、サファピリン、ソルプリン、ジフルニサル、フェンドサール、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、ゾメピラク、クリダナク、オキセピナク、フェルビナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン、トルフェナム酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン、およびトリメタゾン。また、これらの薬剤の医薬的に許容可能な塩およびエステルのみならず、これらの非ステロイド性抗炎症剤の混合物を用いてもよい。例えば、エトフェナマート、フルフェナム酸誘導体は、特に局所適用に有用である。非ステロイド性抗炎症剤の内で、イブプロフェン、ナプロキセン、フルフェナム酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカムおよびフェルビナクは好ましく、また、イブプロフェン、ナプロキセン、およびフルフェナム酸はさらに好ましい。
【0088】
最後に、いわゆる「天然の」抗炎症剤は、本発明に有用である。例えば、カンデリラ蝋、αビサボロール、アロエベラ、マンジスタ(ルビア属、特にルビアコルジフォリアの植物から抽出される)およびグガール(コミフォラ族、特にコミフォラムクルの植物から抽出される)が使用されてもよい。
水溶液が概して好ましいが、溶液として製剤される本発明の薬学的/化粧用組成物は、薬学的に、または美容上許容可能な有機溶媒を含んでもよい。「薬学的に、または美容上許容可能な有機溶媒」という用語および「美容上許容可能な有機溶媒」という用語は、その中にイノシトール/IP−6化合物、また、任意に抗炎症剤または他の薬剤を分散、または溶解することができることに加え、許容可能な安全性(例えば、刺激および増感特徴)、ならびに優良な風合い(例えば脂っぽさ、または粘着性を感じない)を保有する有機溶媒に言及する。このような溶剤、溶媒の最も一般的な例は、イソプロパノールである。他の適した有機溶媒の例は以下を含む。プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(200−600)、ポリプロピレングリコール(425−2025)、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、ブタンジオール、水およびこれらの混合物。これらの溶液は、約0.01%から約5%、好ましくは約0.5%から約2%の抗炎症剤を含有する。
【0089】
本明細書で使用される場合、「皮膚軟化剤」とは、本発明に使用される、または乾燥を緩和する、ならびに皮膚を保護するための物質に言及する。多種多様の適した皮膚軟化剤は既知であり、本明細書に使用され得る。Sagarin, Cosmetics, Science and Technology, 2nd Edition, Vol.1,pp. 32−43(1972)は、参照により本明細書に組み込まれ、適した物質の数多くの例を含有する。有用な皮膚軟化剤の分類の例は以下を含む。無機質、ミネラルを含む炭化水素油およびワックス;鉱物油、ペトロラタム、パラフィン、セレシン、オゾケライト、微晶質のワックス、ポリエチレン、およびペルヒドロスクアレン;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、水溶性およびアルコール可溶性シリコングリコール共重合体等のシリコーン油;例えば、植物および動物脂肪および油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラの肝油、アーモンドオイル、アボカド油、やし油、ゴマ油、および大豆油等のトリグリセリドエステル;アセチル化モノグリセライド等のアセトグリセリドエステル;エトキシ化グリセリドモノステアレート等のエトキシ化グリセリド;脂肪酸のメチル、イソプロピル、およびブチルエステル、ヘキシルラウリン酸、イソヘキシルラウリン酸、イソヘキシルパルミチン酸、イソプロピルパルミチン酸、デシルオレイン酸、イソデシルオレイン酸、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、ジイソプロピルアジピン酸、ジイソヘキシルアジピン酸、ジヘキシルデシルアジピン酸、ジイソプロピルセバシン酸、ラウリル乳酸塩、ミリスチル乳酸塩、およびセチル乳酸塩等の10から20の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル;オレイルミリスチン酸、オレイルステアレート、およびオレイルオレイン酸を含む10から20の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル;ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、および、エルカ酸等の10から20の炭素原子を有する脂肪酸;ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシルステアリル、オレイル、リシノール、ベヘニル、およびエルシルアルコール、ならびに2−オクチルドデカノール等の10から20の炭素原子を有する脂肪アルコール;ラウリル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、および1から50のエチレン酸化群、または1から50のプロピレン酸化群をそこに付着するコレステロールアルコールを含む、10から20の炭素原子のエトキシ化脂肪アルコール等の脂肪アルコールエーテル;エトキシ化脂肪アルコールの脂肪酸エステル等のエーテルエステル;ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、イソプロピルラノレート、エトキシ化ラノリン、エトキシ化ラノリンアルコール、エトキシ化コレステロール、プロポキシ化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、ラノリンアルコールリノレート、ラノリンアルコールリシノレート、ラノリンアルコールリシノエートのアセテート、エトキシ化アルコールエステルのアセテート、ラノリンの水素化分解、エトキシ化水素化ラノリン、エトキシ化ソルビトールラノリン、および、液体および半固体ラノリン吸収基等のラノリンおよび誘導体;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール2,000および4,000、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオシキエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、エトキシ化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール200〜6,000、メトキシポリエチレングリコール350、550、750、2,000および5,000、ポリ[エチレン酸化]ホモポリマー(100,000〜5,000,000)、ポリアルキレングリコールおよび誘導体、へキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトヘキサジオールUSP(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、C15−C18隣接グリコール、およびトリメチロールプロパンのポリオキシプロピレン誘導体等の、多価アルコールおよびポリエーテル誘導体;エチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200〜6,000)モノ−およびジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2,000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2,000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシ化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む、多価アルコールエステル;蜜蝋、鯨蝋、ミリスチルミリスチン酸塩、ステアリルステアレート等の、ワックスエステル;蜜蝋誘導体、例えば、蜜蝋とエーテルエステルの混合物を形成する各種エチレン酸化内容物のエトキシ化ソルビトールとの反応生成物である、ポリオキシエチレンソルビトール蜜蝋;カルナバおよびカンデリラ蝋を含む、植物ワックス;レシチンおよび誘導体等のリン脂質;コレステロールおよびコレステロール脂肪酸エステル等のステロール;および、脂肪酸アミド、エトキシ化脂肪酸アミド、固体脂肪酸アルカノルアミド等のアミド。
【0090】
肌調整を提供する特に有用な皮膚軟化剤は、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、乳酸および塩、尿素、ピロリドンカルボン酸およびその塩、アミノ酸、グアニジン、ジグリセロールおよびトリグリセロールである。好ましい肌調整剤は、プロポキシ化グリセロール誘導体である。
また、本発明の組成物はスプレーにより送達されてもよい。エアゾル容器からスプレーすることが可能な本発明の意義の範囲内の化粧品および/または皮膚科調製剤のための適した増進剤は、例えば、それ自体で、または混合物として用いることが可能な炭化水素(プロパン、ブタン、イソブタン)等、容易に揮発する液化増進剤として通例既知である。また、圧縮空気も有利に使用可能である。
とりわけフッ化炭化水素およびクロロフルオロカーボン(CFC)の、疑わしい環境への影響または他の付帯状況のために、それでもなお施されるべきエアゾル調製剤の形態で本発明の具現化に根本的に適しているであろう非毒性の増進剤ガスがあることが当業者にはもちろん既知である。
【0091】
保存料
本発明のイノシトール/IP−6化合物は、食品等の傷みやすい物品に保存料として使用することが可能であり、新鮮な果物の表面上のかびの生育を予防し、または組成物に保存料を含んでもよい。現在、クエン酸オルトフェニルフェノールチアベンダゾール等の薬品が使用されている。安定性実験は、イノシトール/IP−6化合物は、例えば、食品および新鮮な果物の表面に保存料として使用された場合、非常に安定性があることを示す。微生物増殖およびかびの生育は阻害されるが、食品の構成成分は影響されない。本発明の保存料は、摂取された場合、現在の複雑な化学抗菌剤よりも毒性または有害な反応の可能性が低い。これに使用するためのイノシトール/IP−6または許容可能な塩、または誘導体の好ましい濃度は、保存料として分類される約0.025%以下である。もちろん、例えば、99.9%までのより大きいパーセンテージは効果的であろう。
【0092】
亜鉛フィンガーと鉄フィンガーホルモン受容体タンパク質および加齢と発癌現象
生理的濃度で、鉄、コバルト、および銅等の遷移金属イオンは、生物学的機能のための必須要素であるが、より高いレベルではこれらは有毒である。これは特に鉄に関して当てはまる。特に鉄の、遷移金属イオンの毒性は、タンパク質ドメインは、通常亜鉛を結合(亜鉛フィンガードメイン)するが、細胞に存在する他の遷移金属により置換することが可能である鍵酵素および転写調節分子(DNA−結合性タンパク)内に存在するという事実である。鉄の高められたレベルは、いくつかの形で発癌に貢献する。鉄はDNAを損傷する非常に反応性の遊離基を生成し、急速な形質転換細胞の増殖は、鉄のDNA複製(リボヌクレオチド還元酵素)と、ミトコンドリアによるエネルギー生産の増加した要求を有する。
鉄は、テストステロン、プロゲステロン、および他のホルモンのための亜鉛含有ホルモン受容体タンパク質において、亜鉛を置換することが可能である。また、鉄は、特定の調整領域でDNAを損傷する遊離基を生成することがあり、前立腺、子宮および他の臓器に発癌性を潜在的に誘発する。従って、古典的ホルモンは、鉄フィンガー受容体タンパク質を調節する。DNAの調整領域で、異常な鉄フィンガー受容体タンパク質により介在され、ホルモンは遊離基の破壊的な役割を促進する。それぞれ、異常な鉄フィンガータンパク質および遊離基の両方の形成を妨げるために、鉄キレート剤およびラジカルスカベンジャー等の特定の薬剤の組み合せを使用することにより、損傷されていない亜鉛含有形態に亜鉛フィンガータンパク質を維持することが実現可能である。従って、イノシトール/IP−6組成物および薬学的に許容可能な誘導体およびこれらの塩は、上述の投与量において、発癌性および加齢を伴う異常な鉄フィンガータンパク質の形成を予防するのに使用することが可能である。
【0093】
(実施例15)
(予言的)
吸収基(absorption base)におけるイノシトール/IP−6の局所または膣内調製剤
吸収基におけるイノシトール/IP−6の局所または膣内調整剤は、吸収基へ0.001%から99.9%、好ましくは1%から50%、さらに好ましくは5%から20%イノシトール/IP−6を組み込むことにより製造される。吸収基は、乳化剤を形成し、依然として軟膏様濃度を維持する、水質量を数回に渡って吸収する特性を有する、概して無水基である。吸収基は、その組成物により様々であるが、親水性ワセリン、U.S.P等の概して動物系ステロールの混合物である。市販の最も入手可能なものは、Eucerin and Aquaphor(Beiersdorf)およびPolysorb(Fougera)である。局所調製剤の好ましい一実施液体は、脱イオン水に10%イノシトール/IP−6化合物を溶解し、wtwtベースで、溶液を同量のAquaphorへ加えることにより製造される。さらに、イノシトール/IP−6化合物またはこれらの誘導体は、ヘルペス感染を治療するように、唇への適用のために軟膏、または棒状物へ加えられ得る。イノシトール/IP−6誘導体は、局所調製剤のイノシトール/IP−6の代わりに使用することができることを理解されたい。置換されたイノシトール/IP−6誘導体の適した濃度は、本発明の範囲を逸脱することなく、イノシトール/IP−6の代わりに使用することが可能であることを理解されたい。このような調製剤は、ウィルス感染、真菌感染、感受性細菌感染、紫外線、医療用放射線、または原子放射線を含む放射線攻撃、皮膚癌、または上述のメカニズムによるあらゆる他の状態仲介(condition mediation)の、局所状態を治療するために使用することが可能であることを理解されたい。
【0094】
(実施例15)
(予言的)
にきび製剤および日焼け治療
にきびの治療および制御に有効な調製剤は、適した局所ローションにおいて、およそ7.5質量%から約10質量%イノシトール/IP−6化合物を含む。にきび調製剤は、およそ1質量%からおよそ99質量%イノシトール/IP−6化合物、誘導体またはこれらの類似体を含むことが可能である。また、好ましくは、組成物は、レチノイド誘導体等の他のにきび用薬物を含むであろう。好ましい範囲は、およそ5%からおよそ15%である。ローションは、1日2から3回肌に適用される。
また、上記のローションは、日焼けの症状を制御するために使用することが可能である。
【0095】
(実施例16)
(予言的)
全身投与
イノシトール/IP−6化合物の全身用調製剤は、およそ1%から100%の活性成分を含有し、経口、静脈、またはあらゆる許容な経路で投与されてもよい。例えば、カプセルにつき1,250mgで00ゼラチンカプセルに調製されたイノシトール/IP−6組成物は、電離放射線暴露の健康への悪影響の予防および/または改善に効果があることが示されている。調製剤は、風味のついた、または無風味の経口溶液として提供されることが可能である。同様に、注射用の形態も調製することが可能である。
上で詳述したように、効果的な毎日の全身線量は、70kgの被験者で750mgから5グラムの範囲であり、好ましい範囲は1から4グラムであり、最も好ましい線量は、1.5グラムから2.5グラムである。
【0096】
キット
キットは、電離放射線への暴露に対する保護、または治療に使用するための対象のイノシトール/IP−6組成物の使用に供給されることが可能である。従って、本発明の対象の組成物は、通常凍結乾燥された形態(粉末またはカプセル)、錠剤またはチュアブル錠、または容器中の水溶液で、単独、あるいは所望の種類の付加的なイノシトール/IP−6とともに提供されてもよい。イノシトール/IP−6組成物は、好ましくは一連の使用説明書に加え、経口および局所製剤の両方の単位線量におけるキットに含まれる。しばしば、活性成分を希釈するために、不活性増量剤、または賦形剤を含むことが望ましく、賦形剤は、総組成物の約1から99.999質量%で存在してもよい。キットは、経口または局所製剤の別個に、或いは構成材として、1つ以上の殺生物剤、栄養補給剤、サンブロックまたはサンスクリーン、ヨード錠、化粧用染料または塗料、鎮痛剤、ウェットタイプタオル、防腐軟膏またはワイプ、または食品物品を任意に含んでもよい。 キットおよびその構成材のための包装は、好ましくは使い捨てであり、さらにより好ましくは生物分解性である。
すべての出版物は、特許および特許出願を含むがこれらに限定されず、前述のこの明細事項は、各出版物が本願にあたかも完全に説明されたかのように参照により組み込まれることで、あたかも明確に、個別に示されたかのように、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0097】
上記の説明は、これらの好ましい実施形態を含み、本発明を完全に開示する。本明細書に特に開示された本実施形態の改変および改良は、以下の請求項の範囲内である。さらなる詳細を伴わずとも、前述の説明を使用し、当業者が本発明を完全な程度まで活用することが可能であると確信する。従って、本明細書の実施例は、図示を意図とし、なんら本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。排他的特性または特権を主張する本発明の実施形態は以下に定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類における電離放射線暴露の、健康への急性かつ短期的な悪影響を予防または治療する方法であって、
任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含む、有効量の医薬組成物を前記哺乳類に投与する工程、及び
哺乳類における電離放射線暴露の、健康への急性かつ短期的な悪影響を予防または治療する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記医薬組成物は、イノシトールをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医薬組成物は、少なくとも1つの医薬的に許容可能な賦形剤または担体をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医薬組成物は、液体、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、粉末、錠剤、咀嚼錠、坐薬、またはカプセルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医薬組成物は、経腸製剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記医薬組成物は、約0.1質量%から約100質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記医薬組成物は、約0.1質量%から約50質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.1質量%から約50質量%の量の、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記医薬組成物は、約30:1から約1:30の割合において、任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体は、約5:1から約1:5の割合で存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記医薬組成物は、非経口製剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記医薬組成物は、約0.01質量%から約20質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記医薬組成物は、約0.01質量%から約20質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.01質量%から約20質量%の量の、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記医薬組成物は、約0.1質量%から約10質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.1質量%から約10質量%の量の、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記医薬組成物は、約0.5質量%から約5質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.5質量%から約5質量%の量の、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物は、約30:1から約1:30の割合において、任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体は、約5:1から約1:5の割合で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬組成物は、抗酸化剤、殺生物剤、化学療法薬、栄養補助剤もしくは栄養補助食品、鎮痛薬、サンブロック、保湿剤、またはそれらの任意の組み合せをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記イノシトールおよびIP−6は、医薬的に許容可能な塩、異性体、エステル、誘導体、またはそれらの任意の組み合せの形で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物は、電離放射線暴露の前に少なくとも1日間投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記投与は、少なくとも1日2回行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記投与は、少なくとも1日3回行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬組成物は、任意の組み合せでの合計約1グラムから約10グラムのイノシトール、IP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、少なくとも1用量で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬組成物は、任意の組み合せでの約2グラムから約5グラムのイノシトール、IP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、少なくとも1用量で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬組成物は、粉末、錠剤、またはカプセルとして経口的に、ならびにローション、クリーム、軟膏またはゲルとして局所的に投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項25】
前記電離放射線暴露は、紫外線、X線、γ線、宇宙線、粒子線、またはそれらの任意の組み合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記電離放射線は、1つ以上の自然源に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記1つ以上の自然源は、太陽、宇宙空間、または大気、地表、鉱床、採掘された鉱石、地下水、水体、もしくは石中に存在する放射性元素を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記電離放射線は、1つ以上の人的な源に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記人的な源は、紫外線、治療的放射線源、原子力発電所、核燃料、核兵器、核降下物、および放射性民生用装置を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記健康への悪影響は、皮膚火傷、発疹、粘膜分解もしくは出血、胃腸管分解もしくは出血、下痢、貧血、または過剰な疲労を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
電離放射線治療を必要としている哺乳類に提供される治療的電離放射線の投与量を安全に増加させる方法であって、
治療的電離放射線への暴露の前に、請求項1に記載の組成物を含む医薬組成物を哺乳類に投与する工程、及び
前記医薬組成物の非存在下において、前記哺乳類を、前記哺乳類に対する最大安全投与量を超える治療的電離放射線の投与量に暴露する工程、
を含む、方法。
【請求項32】
作業環境での電離放射線暴露の、健康への短期的な悪影響から労働者を保護する方法であって、
作業環境での電離放射線への暴露の前に、請求項1に記載の組成物を含む医薬組成物を労働者に投与する工程、及び
作業環境での電離放射線暴露の健康への悪影響から前記労働者を保護する工程、
を含む、方法。
【請求項33】
人的な電離放射線暴露の健康への短期的な悪影響から軍事要員を保護する方法であって、
軍事的電離放射線への暴露の前に、請求項1に記載の組成物を含む医薬組成物を軍事要員に投与する工程、及び
人的な電離放射線暴露の健康への悪影響から前記軍事要員を保護する工程、
を含む、方法。
【請求項34】
人的な電離放射線暴露の健康への短期的な悪影響から軍事要員を保護するために使用されるキットであって、
容器であって、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含む複数の医薬組成物を含有し、前記複数の医薬組成物は、人的な電離放射線暴露の健康への短期的な悪影響から軍事要員を保護するのに有効な局所用製剤および経口用製剤を含む、容器、
を含む、キット。
【請求項35】
前記複数の医薬組成物は、単位用量で提供される、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
少なくとも1日の使用量のための十分な単位用量を含有する、請求項34に記載のキット。
【請求項37】
前記複数の医薬組成物のうちの少なくとも1つは、任意な組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む、請求項34に記載のキット。
【請求項38】
前記複数の医薬組成物は、任意な組み合せでの合計約1グラムから約10グラムのイノシトール、IP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、それぞれ少なくとも1用量で投与される、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
哺乳類における電離放射線暴露の健康への急性かつ短期的な悪影響を予防するための局所用製剤であって、
任意の組み合せでのIP−6、その薬理学的に許容可能な塩、またはその薬理学的に許容可能な誘導体、ならびに哺乳類における電離放射線暴露の健康への急性かつ短期的な悪影響を予防するのに有効な少なくとも1つの薬理学的に許容可能な担体を含む有効量の組成物、
を含む、局所用製剤。
【請求項40】
前記組成物は、ローション、クリーム、またはゲルである、請求項39に記載の局所用製剤。
【請求項41】
前記電離放射線暴露の健康への急性かつ短期的な悪影響は、日焼けを含む、請求項39に記載の局所用製剤。
【請求項42】
前記組成物は、任意な組み合せでのIP−6、その薬理学的に許容可能な塩、またはその薬理学的に許容可能な誘導体が、皮膚の細胞により吸収されることを可能にするのに十分な前記電離放射線暴露より前の時間で、前記哺乳類の皮膚に塗布される、請求項39に記載の局所用製剤。
【請求項43】
前記医薬組成物は、前記電離放射線暴露より3から12時間前に前記哺乳類の皮膚に塗布される、請求項39に記載の局所用製剤。
【請求項44】
抗酸化剤、殺生物剤、栄養補助剤もしくは栄養補助食品、鎮痛薬、サンブロック、サンタンニング製剤、保湿剤、またはそれらの任意の組み合せをさらに含む、請求項39に記載の局所用製剤。
【請求項45】
任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む、請求項39に記載の局所用製剤。
【請求項46】
前記組成物は、約0.1質量%から約50質量%の量の、任意の組み合せでのIP−6、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体を含有し、約0.1質量%から約50質量%の量の、任意の組み合せでのイノシトール、その医薬的に許容可能な塩、またはその医薬的に許容可能な誘導体をさらに含む、請求項40に記載の局所用製剤。
【請求項47】
前記組成物は、約30:1から約1:30の割合において、任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体を含有する、請求項46に記載の局所用製剤。
【請求項48】
前記任意の組み合せでのイノシトールおよびIP−6、それらの医薬的に許容可能な塩、またはそれらの医薬的に許容可能な誘導体は、約5:1から約1:5の割合で存在する、請求項46に記載の局所用製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−541222(P2009−541222A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515534(P2009−515534)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/014268
【国際公開番号】WO2008/108793
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(508196209)アイピー−6 リサーチ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】