説明

核酸の改変された前処理によって達成されるメチル化解析を標的とするDNA増幅系におけるキャリーオーバー保護のための方法

DNAメチル化解析に好適な汚染除去核酸を提供するための方法であって、
a)核酸を、重亜硫酸試薬含有溶液とともにインキュベートすることで、それによって前記核酸内の非メチル化シトシンをスルホン化する、および/または脱アミノ化するが脱スルホン化しない、および
b)本混合液に、特異的に非スルホン化ウラシル含有核酸を分解する酵素を加え、前記混合液をインキュベートすることによって非スルホン化ウラシルを含有する核酸を分解する、
ことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここ数十年間、分子生物学の研究にて主に遺伝子、RNAへのこれらの遺伝子の転写およびRNAのタンパク質への翻訳に焦点が当たってきた。遺伝子制御に関連した調節機構のより制限された解析が存在してきた。遺伝子調節、たとえば、個々の発達のどの段階で、遺伝子が活性化されるか、もしくは抑制されるか、およびこの調節の組織特異的な性質は、ほとんど理解されていない。しかしながら、遺伝子またはゲノムのメチル化の範囲および性質に対する高い程度の可能性と相関可能である。特定の細胞型を特定のメチル化パターンと相関可能であり、これは、多数の場合で示されてきた(Adorjan et al.(2002)「Tumour class prediction and discovery by microarray−based DNA methylation analysis.」Nucleic Acids Res.30(5)e21)。
【0002】
より高い次元の真核細胞において、DNAはCpGジヌクレオチド中のグアニンに対して5’で局在するシトシンにてほぼ独占的にメチル化される。この改変は、特に、多くの遺伝子のプロモーター領域にて局在するCpGアイランドとして知られているCpGリッチ領域が関与する場合に、遺伝子発現において重要な制御効果を有する。ほとんどすべての遺伝子関連アイランドが、常染色体上のメチル化より保護される一方で、CpGアイランドの大規模なメチル化が、選択されたインプリンティング遺伝子、およびメスの不活性X染色体上の遺伝子の転写不活性化に関連してきた。
【0003】
メチル化の形態でのシトシンの改変には重要な情報が含まれる。非メチル化シトシンとは反対にDNA配列中の5−メチルシトシンの同定が、その役割をさらに解析するためにもっと重要なものである。しかし、5−メチルシトシンが、なにがそのハイブリッド形成優先性(配列解析のために信頼された特性)と関係があるのかに関して、シトシンとして振る舞うので、その位置は、通常のシークエンシング反応によっては同定不可能である。
【0004】
さらに、PCR増幅のような任意の増幅において、この相対的なエピジェネティックな情報、メチル化シトシンまたは非メチル化シトシンは、完全に欠損する。
【0005】
この問題を解決するいくつかの方法が公知である。通常遺伝的DNAをシトシン塩基の変換を導く化学的に、または酵素で処理し、続いてその後塩基の分化を可能にする。最も一般的な方法は、a)メチル化および非メチル化DNA間の分化を可能にする、メチル化感受性制限酵素の使用、およびb)重亜硫酸塩での処理である。前記酵素の使用は、特定の認識配列に対する制限酵素の選択性のために制限される。
【0006】
したがって、これらの条件下で5−メチルシトシンは未改変のままである一方、続くアルカリ加水分解に際してウラシルに変換される、シトシンとの重亜硫酸塩の特異的反応を可能にする「重亜硫酸塩処理」(Shapiro et al.(1970)Nature 227:1047)が現在、5−メチルシトシンに関してDNAを解析するための最も頻繁に使用される方法である。ウラシルは、その塩基対作用においてチミンに相当し、アデニンとハイブリッド形成し、一方で、5−メチルシトシンは、この処理下でその化学的特性を変化させず、したがって、シトシンの対形成作用を有し、グアニンとハイブリッド形成している。結果として、本来そのハイブリッド形成作用によってシトシンから区別不可能である5−メチルシトシンが、「通常(normal)」分子生物学的技術、たとえば増幅およびハイブリッド形成またはシークエンシングを用いて唯一残っているシトシンとして同定可能である様式で、本来のDNAが変換される。これらの技術のすべてが、塩基対形成に基づいており、これは、現在完全に利用され得る。重亜硫酸塩処理あり、またはなしでのDNAの配列の比較によって、メチル化されていないこれらのシトシンの簡単な同定が可能である。
【0007】
5−メチルシトシンを検出するためのさらに公知の方法の概略は、以下の概説文献から集められ得る。Fraga FM,Esteller M,Biotechniques 2002 Sep;33(3):632,634,636−49。
【0008】
メチル化特異的酵素の使用が、(制限部位を含む)特定の配列に制限されるので、ほとんどの方法は、検出または増幅段階の前に実施される、重亜硫酸塩処理に基づいている(概説のために、DE100 29 915、A1号、2ページ35〜46行目、または関連翻訳米国出願第10/311,661号、またWO2004/067545号を参照のこと)。語句「重亜硫酸塩処理(bisulfite treatment)」は、重亜硫酸塩、二亜硫酸または亜硫酸水素溶液での処理を含むことを意味する。当業者に公知であり、本発明にしたがって、語句「重亜硫酸塩(bisulfite)」は、「亜硫酸水素(hydrogensulfite)」と同義で使用される。
【0009】
いくつかのプロトコールが当分野で公知である。しかしながら、記述されたプロトコールのすべてが、以下の段階を含む。ゲノムDNAを単離し、変性させ、濃重亜硫酸塩溶液によって数時間変換し、最後に脱スルホン化および脱塩する(たとえばFrommer et al.:「A genomic sequencing protocol that yields a positive display of 5−methylcytosine residues in individual DNA strands.」Proc Natl Acad Sci USA.1992 Mar 1;89(5):1827−31)。
【0010】
近代において、重亜硫酸塩法の技術的改善が開発された。
【0011】
アガロースビーズ法は、アガロースマトリックス中に調査されるべきDNAを含め、それを介して、DNAの拡散および再生が妨げられ(重亜硫酸塩が一本鎖DNA上でのみ反応する)、すべての沈殿および精製段階が急速透析によって置き換えられる(Olek A et al.「A modified and improved method for bisulphite based cytosine methylation analysis,Nucl.Acids Res.1996,24,5064−5066」。
【0012】
特許出願WO01/98528号(20040152080)において、重亜硫酸塩変換が、DNA試料を変性試薬および/または溶媒と、少なくとも1つのスカベンジャーの存在下で0.1mol/l〜6mol/lの間の濃度範囲の重亜硫酸塩溶液とインキュベートすることで、記述されている。前記特許出願において、いくつかの好適な変性試薬およびスカベンジャーが記述されている。最終段階は、アルカリ性条件下での溶液のインキュベーションであり、それによって脱アミノ化核酸が脱スルホン化される。
【0013】
特許出願WO03/038121号(米国特許第20040115663号)にて、解析されるべきDNAが重亜硫酸塩処理の間、固体表面に結合する方法が開示されている。結果として、精製および洗浄段階が促進される。
【0014】
特許出願WO04/067545号において、DNA試料を、熱によって変性させ、3mol/l〜6.25mol/lの間の濃度範囲の重亜硫酸塩溶液でインキュベートする方法が開示されている。そこでpH値は5.0〜6.0の間であり、核酸が脱アミノ化される。最後に、アルカリ性条件下での溶液のインキュベーションを実施し、それによって脱アミノ化された核酸が脱スルホン化される。
【0015】
「重亜硫酸塩変換」が通常、脱スルホン化の段階を含む当分野での理解は、たとえば前記出願より得ることができる。本発明にしたがって、語句「重亜硫酸塩反応」、「重亜硫酸塩処理」または「重亜硫酸塩法」は、重亜硫酸塩イオンの存在下で、核酸内での、ウラシル塩基、好ましくはウラシル塩基類への、シトシン塩基、好ましくはシトシン塩基類の変換のための反応を意味し、それによって好ましくは5−メチル−シトシン塩基、好ましくは5−メチル−シトシン塩基類は、有意に変換されない。メチル化されたシトシン類の検出のためのこの反応は、Frommer et al.上記およびGrigg and Clark(Grigg,G.and Clark,B.,Bioessays 16(1994)431−436)によって詳細に記述されている。重亜硫酸塩反応は、脱アミノ化段階および脱スルホン化段階を含み、これは、別々に、または同時に実施可能である(図1を参照のこと、Grigg and Clark、上記)。5−メチル−シトシン塩基類が有意に変換されないという表現は、(メチル化されていない)シトシン塩基類のみを排他的に変換する意図があるが、小さな割合の5−メチル−シトシン塩基類がウラシルに変換されるということを排除不可能であるという事実のみ考慮すべきである(Frommer et al.上記)。当業者は、どのようにして重亜硫酸塩反応を実施するかを、たとえば、重亜硫酸塩反応の原則的パラメータを開示している、Frommer et al.上記またはGrigg and Clark、上記を参照することによって知る。
【0016】
さらに、前記出願にて、異なるプロトコールに関して、何が当分野の一般的な状態であるか、記載されている。「Grunau et al.上記より、重亜硫酸塩法のどの変法が可能であるかが当業者に知られている。要約すると、脱アミノ化段階で、重亜硫酸塩イオン、任意にカオトロピック試薬、および任意にさらに、アルコールのような試薬、またはヒドロキノンのような安定剤を含む緩衝液を使用し、pHは酸性範囲内である。重亜硫酸塩の濃度は0.1〜6M重亜硫酸塩、好ましくは1M〜5.5Mの間であり、カオトロピック試薬の濃度は1〜8Mの間であり、それによって好ましくは、グアニジン塩が使用され、pHは酸性範囲、好ましくは4.5〜6.5の間であり、温度は0℃〜90℃の間、好ましくは室温(25℃)〜90℃の間であり、反応時間は30分間〜24時間、または48時間またはそれより長い範囲であるが、好ましくは1時間〜24時間の間である。脱スルホン化段階は、たとえば、水酸化物、たとえば水酸化ナトリウムのみを含む溶液、またはエタノール、塩化ナトリウムおよび水酸化ナトリウム(たとえば38% EtOH、100mM NaCl、200mM NaOH)を含む溶液のようなアルカリ溶液または緩衝液を加えること、室温または高温にて、数分間、好ましくは5分〜60分の間インキュベートすること、によって実施される。
【0017】
したがって、脱スルホン化がこれらの方法のすべての特有の特徴であることが明らかであり、任意の場合で続く反応で利用するポリメラーゼに対して理想的な鋳型を提供するために、核酸を、増幅反応のための鋳型として使用する前に脱スルホン化が起こる。
【0018】
特許出願WO05/038051号にて、重亜硫酸試薬での処理による、非メチル化シトシンのウラシルへの変換に関する改善が記述されている。本方法にしたがって、反応は10〜35容量%の、優先的に20〜30容量%のジオキサン、その誘導体の1つまたは同様な脂肪族環状エーテルの存在下で実施される。重亜硫酸塩反応はまた、n−アルキレングリコール化合物の存在下、特に、それらのジアルキルエーテルの存在下、特に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)の存在下で実施することも可能である。これらの化合物は、1〜35容量%、優先的に5〜25容量%の濃度で存在可能である。本発明にしたがって、重亜硫酸塩変換は0〜80℃の範囲の温度で実施され、反応温度は、2〜5回、変換の過程で、短時間、85〜100℃の範囲で上昇する(温度スパイク)。さらに、短時間の温度上昇の間に、温度が、85〜100℃、特に90〜98℃まで上昇することが好ましい。
【0019】
重亜硫酸塩処理に続いて、通常短く、特異的な公知の遺伝子の断片が増幅され、完全に配列決定される(Olek A,Walter J.(1997)「The pre−implantation ontogeny of the H19 methylation imprint.」Nat Genet.3:275−6)か、または個々のシトシン位置がプライマー伸長反応によって(Gonzalgo ML and Jones PA.(1997)「Rapid quantitation of methyloation differences at specific sites using methylation−sensitive single nucleotide primer extension」(Ms−sNuPE).Nucleic Acids Res.25:2529−31,WO95/00669号)、または酵素消化によって(Xiong Z,Laird PW.(1997)「COBRA:a sensitive and quantitative DNA methylation assay.」Nucleic Acids Res.25:2535−4)検出されるか、いずれかである。
【0020】
ハイパーメチル化を検出するための他の方法は、メチル化特異的PCR(MSP)と呼ばれるものである(Herman JG,Graff JR,Myohanen S,Nelkin BD and Baylin SB.(1996)、Methylation−specific PCR:a novel PCR assay for methylation status of CpG islands).Proc Natl Acad Sci USA.93:9821−6)。本技術は、前記DNA配列の重亜硫酸塩処理後に適用した場合に、メチル化された、そしてメチル化されていない配列を区別するプライマーの使用に基づいている。プライマーは、シトシンに相当する位置でグアニンを含み、その場合重亜硫酸塩処理後、その位置がメチル化されている場合にのみ結合する。もしくは、プライマーは、相当するシトシン位置にアデニンを含み、したがって、シトシンがメチル化されておらず、したがってアデニンにハイブリッド形成するように重亜硫酸塩処理によって変更された場合に、重亜硫酸塩処理後に前記DNA配列にのみ結合する。これらのプライマーの使用によって単位複製配列を特定のシトシンのメチル化状態に特異的に依存して産出可能であり、そのメチル化状態を示唆する。
【0021】
他の技術は、またMethyLight(米国特許第6,331,393号)としても知られる、Taqman PCRと呼ばれる技術で使用されるような、標識化プローブを介したメチル化の検出である。本技術によってPCRの間に、追加の段階でPCR産物を解析することなしに、直接単一のまたはいくつかの位置のメチル化の状態を検出することが実現可能となる。
【0022】
さらに、ハイブリッド形成による検出もまた記述されてきている(Olek et al.,WO99/28498号)。
【0023】
特にメチル化されているか、またはメチル化されていないかいずれかの1つの型のシトシンの塩基対形成作用を変化させる効果を伴う重亜硫酸塩(または類似の化学的試薬または酵素)での処理、それによる、異なったハイブリッド形成特性の導入によって処理DNAが、従来法の分子生物学、特にPCRのようなポリメラーゼに基づく増幅方法により適用可能になる。
【0024】
塩基切除回復が、脱アミノ化、酸化、アルキル化または欠如塩基のような、らせん状DNA構造における比較的マイナーな混乱を含むDNA塩基障害を回復するためにインビボでおこる。多数のDNAグリコシラーゼが当分野で公知であり、DNAの糖リン酸骨格へそのような塩基を連結するグリコシド結合の開裂によって障害を受けたか、改変された塩基を放出するために、塩基切除回復の間に、インビボで機能する(Memisoglu,Samson,Mutation Res.(2000),451:39−51)。すべてのDNAグリコシラーゼは、グリコシド結合を開裂するが、それらの塩基基質特異性、およびそれらの反応機構は異なる。
【0025】
そのようなグリコシラーゼの1つの広く認識されている適用は、PCR適用における汚染除去である。任意のそのようなPCR増幅において、2〜30(230)以上の単一鋳型のコピーが産生される。産出されたこの非常に多量のDNAが、Sanger法にしたがったDNAシークエンシングでのような、続く解析で助けになるが、しかしまた、この量のDNA中が解析研究所で取り扱われる場合に問題となり得る。非常に少量の反応容量でさえ、不注意にも閉まったバイアル中に維持しなかった場合に、多数のDNAコピーでの全作業環境の汚染が導かれ得る。これらのDNAコピーは、実施される続く増幅実験のための鋳型であり得、結果として解析されるDNAが、実際の試料DNAではないが、先の実験より汚染されているDNAであり得る。これはまた、任意のDNAを含むべきでない陽性陰性対照を導き得、したがって増幅は観察されるべきでない。
【0026】
実際、本問題は、作業環境の汚染が重要なPCRに基づく実験を実施不可能にするので、全研究室が新規の場所に移らなければならないほど持続し得る。しかしながら、臨床研究室において、分子診断を実施するときに、汚染DNAが、擬結果を引き起こし得ることも影響する。このことは、先の患者から起因する実際の汚染DNAが、調査されるべき実際の試料の代わりに解析されることを意味する。
【0027】
したがって、測定は、汚染を避けるように実施される。これには、たとえば、リアルタイムPCR実験における1つのチューブ中でのPCR増幅および検出が含まれる。この場合、PCRチューブが開かれている必要はない。使用後に、チューブを閉じたままにし、廃棄し、したがって、擬結果を導く汚染の危険性は非常に減少される。
【0028】
さらに、分子的手段が汚染のリスクを減少するために存在する。ポリメラーゼ連鎖反応において、酵素ウラシル−DNA−グリコシラーゼ(UNG)が、単位複製配列キャリーオーバーによって擬陽性反応の可能性を減少させる(たとえば、米国特許第5,035,996号またはThornton CG,Hartley JL,Rashtchian A(1992)「Utilizing uracil DNA glycosylase to control carryover contamination in PCR:characterization of residual UDG activity following thermal cycling」Biotechniques.13(2):180−4を参照のこと)。本汚染保護法の原理は、dTTPの代わりに任意の増幅において、dUTPが産出され、組み込まれ、得られた単位複製配列がその鋳型から区別可能であり、ウラシルによる任意のさらなる試料DNAがチミンの代わりに存在することである。任意の続く増幅の前に、ウラシルDNA−グリコシラーゼ(UNG)が、これらの塩基を任意の汚染DNAから開裂させるために使用され、したがって本物の鋳型がそのまま残り増幅され得る。この方法は、当分野で選択される標準の方法と考えられ、DNAに基づく診断で広く使用されている。以下は、UNGの使用を要約した刊行物からの引用である(Longo MC,Berninger MS,Hartley JL(1990)「Use of uracil DNA glycosylase to control carry−over contamination in polymerase chain reactions.Gene.1990 Sep 1;93(1):125−8.)。
【0029】
「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は豊富な増幅産物を合成する。キャリーオーバー汚染と呼ばれる微量のこれらの産物による新規PCRの汚染によって擬陽性の結果が産出される。いくつかの先のPCRからのキャリーオーバー汚染が、PCR産物の豊富さ、および再増幅のための汚染物質の理想的な構造の両方のために、重要な問題であり得る。本発明者らは、キャリーオーバー汚染を、以下の2つの段階、(i)(dUTPをdTTPに関して置換することによってまたはウラシルを、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーの合成の間に組み込むことによって)dUTPをすべてのPCR産物に組み込むこと、および(ii)続いてすべての得られる完全に前アセンブルされた開始反応物を、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UNG)で処理し、次にUNGを加熱不活性化させることによって制御可能であることを報告する。UNGは、ウラシル塩基を、ウラシルを含むDNAのホスホジエステル骨格から開裂させるが、天然の(すなわちチミンを含む)DNAには影響を与えない。得られたアピリミジン酸部位が、DNAポリメラーゼによる複製を阻害し、これは、酸/塩基加水分解に対して、非常に不安定である。UNGはdUTPと反応をしないので、また実際のPCRの前の熱変性によって不活性化されるので、PCRのキャリーオーバー汚染を汚染物がチミンの代わりにウラシルを含む場合に、効果的に制御可能である。」
【0030】
PCRにおけるキャリーオーバー保護のための他の方法が、Walder et al(Walder RY,Hayes JR,Walder JA 「Use of PCR primers containing a 3−terminal ribose residue to prevent cross−contamination of amplified sequences.」Nucleic Acids Res 1993 Sep 11;21(18):4339−43)によって記述されている。
【0031】
リボシチジンとして特徴づけられる3’末端からなるプライマーを用いることによって、全く再生可能ではないが、キャリーオーバー保護が達成可能であることが、本明細書で記述されてきた。プライマー伸長後、増幅産物を、RNase Aとして知られている酵素によってリボヌクレオチドのある部位で特異的に開裂する。この方法で、可能性ある汚染増幅物が、その末端で短くなり、以下の増幅手順にて前記プライマーに対する鋳型としては機能不可能である。しかしながら、本方法の不利な特性は、3’末端にリボヌクレオチドを含む、プライマー分子の不安定性である。
【0032】
本明細書で引用したすべての文献は、そのすべてが参照によって本明細書に組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
ウラシルの存在が重亜硫酸塩変換DNAの固有の特徴であり、必要な特性が、メチル化の差違を検出するために依存するので、以上で記述したようなウラシル−DNA−グリコシラーゼ酵素活性に基づくキャリーオーバー保護のための選択の方法は、適用不可能である。しかしながら、診断のための多数の強力なアッセイは、鋳型として重亜硫酸塩変換DNA上で実施されるPCRに基づく。したがって、研究室におけるそのようなアッセイの日常の実施に関して、キャリーオーバー保護のための新規の方法が開発される必要がある。患者試料からのDNA中におけるシトシン位置のメチル化の解析をする場合の信頼性あるキャリーオーバー保護をどのように達成するかの問題に対する解決を提供することが、当分野で非常に必要とされている。
【0034】
重亜硫酸塩変換鋳型の汚染除去のための問題を解決する困難さは、任意の重亜硫酸塩変換DNAがウラシルを同様に含むので、標準のUNG法の適応によって解決不可能な一般的なものと考えられる。したがって、任意のウラシル−DNA−グリコシラーゼ段階にて、鋳型DNAを任意のDNAを汚染させることと一緒に、破壊することが、一般的に論じられている。
【課題を解決するための手段】
【0035】
驚くべきことに、本発明者らは、主張した方法を発明することによってこの本質的な問題を解決可能にした。本発明にしたがった方法の中心の考えは、続く脱スルホン化なしで非メチル化シトシンをスルホン化および/または脱アミノ化することである。非メチル化シトシンが、C6−スルホン化ウラシルに変換された後、反応混合液をUNGで処理し、すべてのウラシル含有DNA、したがってすべての汚染DNAを分解するが、スルホン化されたウラシル含有DNAには影響をあたえない。この場合、UNGの不活性化と、続くスルホン化ウラシルの脱スルホン化が実施可能である。
【0036】
本出願にて最初に報告された、C6位でのウラシルのスルホン化が、UNGによって分解されることからウラシルを保護する発見によって前記問題に対する新規の驚くべき簡単な解決を見つけることができる。したがって本発明の1つの実施形態には、メチル化と非メチル化シトシン間の十分かつ信頼可能な分化、ならびに一般的なPCRに基づくアッセイのための(UNGの使用に基づく)キャリーオーバー保護のゴールドスタンダードの適用可能性の両方を提供する方法が含まれる。
【0037】
発明の簡単な説明
先の増幅実験からの、潜在的に汚染しているPCR産物の存在下での鋳型DNAの特異的増幅のための方法が開示されている。この鋳型DNAは通常、方法が適用可能である前に解析されるべきゲノムDNAを単離することから由来する。また、本方法で使用する鋳型核酸は通常、すでに変性されており、したがって、単独の標準の様式で存在する。本発明にしたがった本方法の第一段階で、DNAを、非メチル化シトシンと反応するが、メチル化シトシンとは反応しない重亜硫酸塩溶液と接触させ、これらをスルホン化する。これにより、スルホン化として知られている前記核酸の改変となる。水溶液中のこの非メチル化シトシンのスルホン化が、結果としてシトシンの脱アミノ化となり、それによってスルホン化されたウラシルが発生する。ここで、非メチル化シトシン塩基にてのみ発生する前記のそのようなスルホン化が、a)酵素UNGのための標的であることから鋳型核酸を保護し、それによって鋳型核酸と潜在的に汚染している核酸の区別が可能になることが初めて認識された。UNGが活性である一方で、非保護非スルホン化、または脱スルホン化ウラシルを含む任意の汚染しているDNAが続いて酵素的に分解され、試料からの鋳型核酸のみが次の段階で増幅されるように残存する。
【0038】
UNGでの処理が実施されUNG活性が終了した後、(非メチル化シトシンを置換する)スルホン化ウラシル塩基が脱スルホン化によってウラシルに変換される。本方法は、核酸試料の汚染除去のために有用であるか、または特にDNAメチル化解析の文脈において、「キャリーオーバー産物」の増幅を避けるために有用である。
【0039】
現在、PCRのような増幅手順のための鋳型として使用される重亜硫酸塩処理DNAと互換性のあり得るDNA試料を汚染除去する方法は報告されてきていない。
【0040】
本発明にしたがって提供された方法によってDNAメチル化解析に適用可能である、上述したような、グリコシラーゼ酵素UNGに基づいた最も一般的に使用される方法を作り出すことが達成可能である。
【0041】
本発明は、以下の段階を含む、DNAメチル化解析のために好適なポリメラーゼに基づく増幅反応のために汚染除去した鋳型核酸を提供するための方法を記述することによって、問題を解決する。
核酸を重亜硫酸試薬溶液とともにインキュベートし、それによって前記核酸内の非メチル化シトシンをスルホン化するか、またはスルホン化および脱アミノ化する段階、
前記スルホン化した、またはスルホン化し、脱アミノ化した鋳型核酸をポリメラーゼ仲介増幅反応または増幅に基づく検出アッセイのために必要な成分と一緒に混合する段階、および、
この混合液にUNGを加え、混合液をインキュベートし、それによって非スルホン化ウラシルを含む核酸を分解する段階、および
UNG活性を終了させ、鋳型核酸を脱スルホン化し、それによって非メチル化脱アミノ化、およびスルホン化シトシン、すなわちスルホン化ウラシルをウラシルに変換する段階。
【0042】
続いて、ポリメラーゼに基づく増幅または増幅に基づくアッセイを実施し、好ましくは、dTTPの代わりにdUTPの存在下で実施される。
【0043】
好ましくは、ポリメラーゼ活性が、脱スルホン化段階の間に開始される。
【0044】
発明の詳細な記述
本発明は典型的に、示された順番で少なくとも以下の段階を実施することで行われる。
【0045】
最初に、鋳型核酸を重亜硫酸試薬含有溶液とともにインキュベートし、それによって前記核酸内の非メチル化シトシンをスルホン化、またはスルホン化および脱アミノ化する段階、そして
第二に、前記スルホン化、またはスルホン化および脱アミノ化の鋳型核酸をポリメラーゼ仲介増幅反応または増幅に基づくアッセイのために必要な要素とともに混合し、第三に、この混合液にUNGユニットを加え、前記混合液をインキュベートし、それによって任意の非スルホン化ウラシルを含む核酸を分解し、一方でスルホン化ウラシルは、本質的に本来のままであり、第四に、UNG活性を終了させ、鋳型核酸を脱スルホン化する段階。
【0046】
スルホン化は、塩基シトシンのC6でおこる(図1を参照のこと)。スルホン化シトシンの脱アミノ化は、水溶液中で自然発生的に起こる。それによってスルホン化シトシンがスルホン化ウラシルに変換される。
【0047】
本発明にしたがった方法は、2つの必須の発見に基づいている。第一に、本発明者らは、スルホン化核酸が、たとえば通常の研究所冷蔵庫で保存されたときに、少なくとも6日間まで4℃にて安定である。この発見は、自然発生的な核酸の制御されていない脱スルホン化が本方法の信頼性をなくし不安定にするので、本発明にしたがった方法にとって必須であった。一方で、基本的に核酸メチル化パターンと似ている核酸のスルホン化パターンが、低温にて数日間保存したときに安定のままであることを知ることによって、正確にどの核酸が所与の試料内で、どの程度までメチル化されたかを検出するために、感度のよいアッセイを実施することにおいて、この特徴を使用可能とする。
【0048】
第二に、UNG(ウラシル−DNA−グリコシラーゼ)がスルホン化ウラシルを含む核酸を分解しないことを示すことが可能であり、言い換えれば、スルホン化ウラシルはUNG活性の基質ではなく、したがって、UNGによる分解から保護される。
【0049】
スルホン化核酸を鋳型として使用する「リアルタイムPCR」アッセイが、UNG活性の存在下でよく実施されることも示され得、これは、重亜硫酸塩処理の第一段階から由来するようなスルホン化核酸が、PCRに基づくアッセイにて鋳型として役に立ち得ることを示唆している。
【0050】
最後に、疑問は、核酸がポリメラーゼ仲介増幅によって増幅され得る前に行われるべきである脱スルホン化反応が、PCR反応内で実施可能であるかどうかを答えられるべきであった。
【0051】
本発明にしたがって開発された方法が、GSTP1およびコネキシンに関して首尾よく試験された。実施例を参照のこと。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
第一段階において、重亜硫酸塩仲介シトシンスルホン化が、以上で示したように、特に、WO05/038051号にて示唆したような、一般的な重亜硫酸塩変換プロトコールの第一段階にしたがって開始されてよい。本反応は、溶液中、ならびにまた、固体相に結合したDNA上で実施してよい。亜硫酸ナトリウムよりも水により可溶性であるので、好ましくは重亜硫酸塩ナトリウム(=重亜硫酸塩ナトリウム/メタ重亜硫酸塩ナトリウム)が使用される。二亜硫酸塩は、シトシンスルホン化に必要な亜硫酸水素アニオンへの水溶液に不均衡である。重亜硫酸塩濃度がより詳細に議論される場合、反応溶液中の亜硫酸水素および亜硫酸アニオンの濃度範囲を参照する。本発明にしたがった方法に関して、0.1〜6mol/lの濃度が可能である。1〜6mol/lの濃度範囲が特に好ましく、2〜4mol/lが最も特に好ましい。しかしながら、ジオキサンを変性試薬として使用する場合、重亜硫酸塩の最大動作濃度はより小さい。ジオキサンをまた、異なる濃度で使用してよい。好ましくは、ジオキサン濃度は、10〜35%量であり、特に好ましくは20〜30%、最も特に好ましくは22〜28%、特に25%である。
【0053】
22〜28%のジオキサン濃度での特に好ましい実施形態において、最終の好ましい重亜硫酸塩濃度は、3.3〜3.6mol/lであり、25%のジオキサン濃度での最も特に好ましい実施形態は、〜3.5mol/lである(実施例を参照のこと)。
【0054】
他の好ましい実施形態において、DMEが異なる濃度で変性試薬として使用される。DMEは、1〜35%の範囲で、好ましくは5〜25%の範囲で、最も好ましくは10%の濃度で使用される。
【0055】
特に好ましい実施形態において、重亜硫酸塩変換がスカベンジャーの存在下で実施される。好ましいスカベンジャーは、クロマン誘導体、たとえば6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン2−カルボン酸(Trolox−C(商標)としても知られている)である。さらなるスカベンジャーは、特許出願WO01/98528号(=DE10029915号、=米国特許出願第10/311,661号、その全体が本明細書に組み込まれている)にて列挙されている。
【0056】
重亜硫酸塩変換は、0〜95℃の広い温度範囲で実施可能である。しかしながら、好ましい実施形態において、反応温度は、30〜70℃の間である。45〜60℃の間の範囲が特に好ましく、50〜55℃の間が最も特に好ましい。
【0057】
重亜硫酸塩処理の最適な反応時間は、反応温度に依存する。反応時間は通常、1〜18時間の間である(Grunau et al.2001,Nucleic Acids Research;29(13):E65−5を参照のこと)。好ましい反応時間は、50℃の反応温度に関して4〜6時間である。
【0058】
本発明にしたがった方法の特に好ましい実施形態において、重亜硫酸塩変換は穏やかな反応温度で実施され、そこで、反応温度は変換の過程の間、少なくとも1回、短い時間で明らかに増加する。短期間の温度上昇は、以下「温度スパイク(thermospikes)」と命名される。温度スパイク外の「標準」反応温度が、基礎反応温度を意味する。基礎反応温度は、上述したように、0〜80℃の間、好ましくは30〜70℃、最も好ましくは45〜55℃である。温度スパイクの間の反応温度は、少なくとも1つの温度スパイクで85℃以上に上昇する。最適な数の温度スパイクは、基礎反応温度の関数である。温度スパイクの最適数が高ければ高いほど、基礎反応温度は低い。少なくとも1つの温度スパイクが各場合で必要である。一方で、特に、任意の数の温度スパイクが考えられる。
【0059】
特定の実施形態において、好ましい数の温度スパイクは、基礎反応温度に依存して、1〜10温度スパイクの間である。2〜5の温度スパイクが特に好ましい。温度スパイクの間、反応温度は好ましくは85〜100℃まで、特に好ましくは90〜98℃まで、最も好ましくは94℃〜96℃まで上昇する。温度増加の時間間隔はまた、反応バッチの容量に依存する。
【0060】
温度スパイクの時間間隔がまた、反応バッチの容量にも依存する。温度が総反応溶液を介して均質に増加することが保証されなければならない。サーモサイクラーを用いた場合、20μl反応バッチに関して、15秒〜1.5分間の間の間隔、特に20〜50秒間の間隔が好ましい。特に好ましい実施形態において、間隔は30秒間である。100μlの容量での操作にて、好ましい範囲は、30秒〜5分間、特に1〜3分間の範囲である。特に好ましくは、1.5分間である。600μlの容量に関して、1〜6分間の間隔が好ましく、特に2〜4分間の間が好ましい。3分間の期間が特に好ましい。当業者は、種々の反応容量に関連して、温度スパイクの好適な間隔を簡単に決定可能である。
【0061】
温度スパイクの上述した使用によって、上述した変性溶媒を利用しない場合でさえも、重亜硫酸塩変換反応中での、有意によりより変換率が導かれる。本発明にしたがって、DNAの重亜硫酸塩変換方法が、それによって基礎反応温度が、0℃〜80℃であり、反応温度が、変換の経過中、少なくとも1回、短時間に80℃以上に上昇すること、と特徴づけられる。
【0062】
第二段階で、任意の脱スルホン酸段階の前に、非スルホン化ウラシルを含む核酸を特異的に分解する、酵素活性のユニットを前記プレミックスに加える。好ましい実施形態において、この分解酵素は、DNA−グリコシラーゼまたはエンドヌクレアーゼであり、特にUNG(ウラシル−DNA−グリコシラーゼ)である。汚染核酸は、非スルホン化ウラシル塩基を含むと特徴づけられる。添加された分解酵素は、非スルホン化ウラシル塩基を、非スルホン化ウラシルを含む核酸のホスホジエステル骨格から開裂させることによって特徴づけられるが、スルホン化−ウラシルを含む核酸、またはウラシルを含まないチミンを含む核酸には影響を与えない。得られたアピリミジニン部位は、DNAポリメラーゼによる複製を防止し、酸/塩基加水分解に対して非常に不安定である。
【0063】
他の好ましい実施形態において、第一段階を上述のように実施する。その後、中間段階にて、スルホン化、および/または脱アミノ化核酸をポリメラーゼ仲介増幅反応または増幅に基づく検出アッセイのために必要な要素と混合する。増幅反応混合液を、標準のプロトコールにしたがって調製する。そのような増幅混合液、好ましくはPCR混合液には、2つのプライマーの少なくとも1つのプライマー組とポリメラーゼが含まれる。このポリメラーゼは好ましくは熱安定性酵素であり、ホットスタートPCRのために温度活性化ポリメラーゼの利用がより好ましく、温度活性化Taqポリメラーゼの利用が最も特に好ましい。
【0064】
以下の第二段階をまた、上述のように実施する。スルホン化−ウラシルを含む核酸を特異的に分解する酵素活性のユニットを、前記プレミックスに加える。スルホン化試料核酸と少なくとも2つのプライマーオリゴヌクレオチドの組を、スルホン化−ウラシルを含む核酸分解活性を有する酵素を含む酵素の組成物、および緩衝液とインキュベートして、任意の汚染核酸を開裂または分解する。汚染核酸は、ウラシル塩基を含むことを特徴とする。添加分解酵素活性は、非スルホン化ウラシルを含む核酸のホスホジエステル骨格からウラシル塩基を開裂することによって特徴づけられるが、しかし、スルホン化ウラシルを含む核酸、またはウラシルを含まないチミンを含む核酸に影響を与えない。得られたアピリミジン部位は、DNAポリメラーゼによる複製を防止し、酸/塩基加水分解に対して非常に不安定である。原則として、酵素活性は、特にアピリミジン部位、または非スルホン化ウラシル塩基に隣接した1つ以上のニックを発生させる任意の酵素活性である。任意の場合で、これは、DNAポリメラーゼによる複製の阻止となる。
【0065】
プライマーオリゴヌクレオチドは、対象の断片を増幅するように選択される。これらのプライマーが当分野で公知のような、ポリメラーゼ反応、特にポリメラーゼ連鎖反応の方法によって鋳型核酸試料の核酸断片を増幅するように設計されることが特に好ましい。したがって、プライマーオリゴヌクレオチドは鋳型核酸にアニールし、ワトソン−クリック塩基対ルールにしたがって二本鎖を形成するように設計され、これらのオリゴヌクレオチドプライマーの長さは、これらが、おおよそ同様の温度でアニールするように選択される。
【0066】
前記第二段階で、酵素およびマッチング緩衝液を、任意で存在する、任意の先行する実験で発生する汚染増幅物の開裂を達成するために加える。これらの増幅物は、dTTPの代わりにdUTPを提供するポリメラーゼ反応中で発生した場合に、チミン塩基の代わりにウラシル塩基を含むという特性を有する。したがって、本段階での試料核酸は、酵素によって認識および分解されないが、先行する増幅にて発生した核酸、増幅の次の段階の前に除去されなければならない汚染DNAのみが、認識および分解される。
【0067】
本第二段階で使用する酵素が、ウラシル−DNA−グリコシラーゼ(UNG)であることが特に好ましい。前記非スルホン化ウラシルを含む核酸を分解する酵素が熱不安定性であることがさらに好ましく、特にそれぞれDNA−グリコシラーゼまたはエンドヌクレアーゼが熱不安定性であり、UNGが熱不安定性であることが最も特に好ましい。
【0068】
第三の段階にて、酵素的分解後、酵素と緩衝液の組成物を続いて不活性化し、ここで後の増幅段階の任意の産物を本質的に開裂することが不可能である。非スルホン化ウラシルを含む核酸分解酵素活性を終結させ、特に、DNA−グリコシラーゼ活性またはエンドヌクレアーゼ活性を終結させ、最も好ましくは、UNG活性を終結させる。
【0069】
続く増幅段階で、任意の産物を本質的に分解不可能であるように、非スルホン化ウラシルを含む核酸分解酵素および緩衝液の組成物を不活性化した後、第四の段階を実施し、鋳型核酸を脱スルホン化する。ポリメラーゼによる増幅の前に、第四段階を実施しなければならず、スルホン化鋳型核酸を脱スルホン化する。脱スルホン化は、(当分野で記述されたように)アルカリ性条件下で実施してよい。しかしながら、脱スルホン化はまた、PCR反応に対して一般的であるように、pH条件下で温度を上昇させることによって触媒してよい。
【0070】
第3および第4段階を、前記プレミックスのインキュベーション温度を短期間上昇させることによって同時に実施することが本発明の好ましい実施形態であり、結果として、一方で非スルホン化ウラシルを含む核酸分解酵素の不活性化となり、他方で、鋳型核酸の熱脱スルホン化となる。インキュベーション温度のこの上昇はまた、増幅可能である一本鎖形態に二本鎖DNAを移行させるために好適でもあり得る。
【0071】
ここで、試料核酸をプライマーオリゴヌクレオチドおよびポリメラーゼの組を用いて次の段階で増幅してよく、任意の開裂された汚染DNAは本質的に増幅されない。試料核酸をプライマーオリゴヌクレオチドおよびポリメラーゼの組を用いて増幅してよい一方で、開裂された、または分解された汚染核酸は増幅され得ない。増幅された産物をここで解析し、ゲノムDNA中のメチル化状態が、増幅産物の存在より、および/または増幅産物内の配列の解析から、推定してよい。
【0072】
この増幅は、本発明の特に好ましい実施形態にて、ポリメラーゼ連鎖反応の方法によって、ただしまたTMA(転写仲介増幅)、等温増幅、ローリングサイクル増幅、リガーゼ連鎖反応などのような当分野で公知のDNA増幅の他の方法によって実施してよい。
【0073】
次いで、産生されたDNA断片をその存在、量、またはそれらの配列特性またはその組み合わせに関して解析する。
【0074】
したがって、本発明の1つの実施形態は、第一に、鋳型核酸を重亜硫酸試薬含有溶液とともにインキュベートし、それによって前記核酸内の非メチル化シトシンをスルホン化および/または脱アミノ化すること、および第二に、前記スルホン化、および/または脱アミノ化鋳型核酸を、ポリメラーゼ仲介増幅反応または増幅に基づく検出アッセイのために必要な成分と混合すること、および第三に、この混合液に、ウラシル−DNA−グリコシラーゼ活性を有する酵素を加え、混合液をインキュベーションして、これによって非スルホン化ウラシルを含む核酸を分解すること、そして第四に、UNG活性を終結させること、そして第五に、鋳型核酸を脱スルホン化すること、によって特徴づけられる、DNAメチル化解析のために好適なポリメラーゼに基づく増幅反応のための、汚染除去鋳型核酸を提供するための方法である。本発明の好ましい実施形態において、方法はさらに、段階4および5を同時に実施することによって混合物を高温で短時間インキュベートすることによって特徴づけられ、それによってUNG活性が終結し、それによって鋳型核酸の脱スルホン化がおき、そしてそれによってDNAが二本鎖形態から、増幅のために好適な一本鎖形態に転換される。
【0075】
続く段階6にて、鋳型核酸が増幅されることが、本発明にしたがった方法のさらに好ましい実施形態である。
【0076】
非スルホン化ウラシルを含む核酸分解活性の終結と、鋳型核酸の脱スルホン化に際して、ポリメラーゼに基づく増幅反応が開始され、および/または増幅に基づくアッセイが実施されることが、さらに好ましい。
【0077】
ポリメラーゼに基づく増幅反応を、高温にて短時間インキュベーションすること(熱活性化)によって開始することが、さらに好ましい。
【0078】
本方法の好ましい実施形態において、ポリメラーゼは熱安定性ポリメラーゼである。
【0079】
ポリメラーゼ仲介増幅または増幅に基づくアッセイが、dTTPの代わりにdUTPの存在下で実施されることが、本発明にしたがって特に好ましい。
【0080】
本発明の1つの好ましい実施形態において、本方法は、本質的にすべての潜在的な汚染核酸を分解するために必要な第二段階で、非スルホン化ウラシルを含む核酸を特異的に分解する、酵素のユニット量を添加することによって実施される。
【0081】
ポリメラーゼ酵素の活性化に際して、ポリメラーゼに基づく増幅反応または増幅に基づくアッセイを実施することが、特に好ましい。
【0082】
ポリメラーゼ酵素の活性化に際して、ポリメラーゼに基づく増幅反応または増幅に基づくアッセイを、dTTPの代わりにdUTPの存在下で実施することが、さらに好ましい。
【0083】
本アッセイが、リアルタイムアッセイであることがさらに好ましい。
【0084】
特に好ましい実施形態において、試料DNAは、個体の血清または他の体液から得る。DNA試料を、細胞株、パラフィン包埋組織、たとえば眼、腸、腎臓、脳、心臓、前立腺、肺、乳または肝臓からの組織、組織学的スライド、体液およびそのすべての可能性ある組み合わせから得ることが、さらに特に好ましい。語句「体液」は、全血、血漿、血清、尿、唾液、射精、精液、涙、汗、つば、リンパ液、気管支洗浄、胸膜滲出、腹水、髄膜液、羊水、腺溶液、微ニードル吸引物、乳頭吸引液、髄液、結合液、膣液、十二指腸液、膵液、胆汁、大便および脳脊髄液のような液体を含むことを意味する。前記体液が全血、血漿、血清、尿、大便、射精、気管支洗浄、膣液および乳頭吸引液であることが特に好ましい。
【0085】
化学的処理を、重亜硫酸塩(=二亜硫酸、亜硫酸水素ナトリウム)で実施することが、本発明の特に好ましい実施形態である。化学的処理がアガロース中にDNAを包埋した後に実施されること、または変性試薬および/またはラジカルスカベンジャーの存在下で実施されること、が再び好ましい。
【0086】
以下のメチル化検出アッセイが、本発明にしたがった方法の段階に続いて実施される場合に、本発明のすべての好ましい実施形態である。
【0087】
メチル化アッセイ手順。種々のメチル化アッセイ手順が当分野で公知であり、本発明と連結して使用可能である。これらのアッセイによってDNA配列中の、1つまたは複数のCpGジヌクレオチド(たとえばCpGアイランド)のメチル化状態の決定が可能である。そのようなアッセイには、とりわけ重亜硫酸塩−処理DNAのDNAシークエンシングの技術などが含まれ、いくつかがCOBRA、MS−SNuPE、MSP、ネステッドMSP、HeavyMethylおよびMethyLightとして知られている、多数のPCRに基づくメチル化アッセイが、ここでより詳細に記述されている。
【0088】
重亜硫酸塩シークエンシング。DNAメチル化パターンおよび5−メチルシトシン分布を、Frommer et al.(Frommer et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827−1831,1992)によって記述されたように、重亜硫酸塩処理ゲノムDNAの先の増幅した断片のシークエンシング解析によって解析可能である。重亜硫酸塩処理DNAがシークエンシングの前に増幅されるので、本発明にしたがった増幅手順を、本検出方法との組み合わせで使用してよい。
【0089】
COBRA。COBRA解析は、少量のゲノムDNA中の特定の遺伝子座におけるDNAメチル化レベルを検出するために有用である、定量的メチル化アッセイである(Xiong & Laird,Nucleic Acids Res.25:2532−2534,1997)。簡単に記すと、制限酵素消化を使用して重亜硫酸塩ナトリウム処理DNAのPCR産物中の、メチル化に依存する配列の差違を明らかにする。メチル化に依存する配列の差違は、Frommer et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827−1831,1992)によって記述された手順にしたがって、またはOlek et al(Olek A,Oswald J,Walter J.(1996)Nucleic Acids Res.24:5064−6)によって記述されたように、標準の重亜硫酸塩処理によってまずゲノムDNA内に導入される。次いで、重亜硫酸塩変換DNAのPCR増幅をメチル化非特異的プライマーを用いて実施し、次いで、制限エンドヌクレアーゼ消化、ゲル電気泳動、特異的、標識化ハイブリッド形成プローブを用いた検出によって実施する。本来のDNA試料中のメチル化のレベルが、広いスペクトルのDNAメチル化レベルにわたり、直線的定量的様式によって消化および未消化PCR産物の相対量によって表される。さらに、本技術は、微小切断パラフィン包埋組織試料から得たDNAに確実に適用可能である。COBRA解析のための典型的な試薬(たとえば典型的なCOBRAに基づくキットで見られ得るようなもの)には、制限はしないが、特定の遺伝子(またはメチル化変更DNA配列またはCpGアイランド)に対するPCRプライマー、制限酵素および適切な緩衝液、遺伝子ハイブリッド形成オリゴ、対照ハイブリッド形成オリゴ、オリゴプローブのためのキナーゼ標識化キット、および放射活性ヌクレオチドが含まれ得る。さらに、重亜硫酸塩変換試薬には、DNA変性緩衝液、スルホン化緩衝液、DNA回復試薬またはキット(たとえば沈殿、限外濾過、アフィニティーカラム)、脱スルホン化緩衝液およびDNA回復成分が含まれ得る。
【0090】
さらに、重亜硫酸塩−変換DNAから増幅したPCR産物の制限酵素消化をまた、Sadri & Hornsby(Nucl.Acids Res.24:5058−5059,1996)によって記述された方法にて使用する。
【0091】
本発明にしたがった重亜硫酸塩変換および増幅手順を、本検出方法と組み合わせて使用してよい。
【0092】
Ms−SNuPE(メチル化感受性一本鎖ヌクレオチドプライマー伸長(Methylation−sensitive single Nucleotide Primer Extension))。Ms−SNuPE技術は、一本鎖ヌクレオチドプライマー伸長が続く、DNAの重亜硫酸塩処理に基づく特異的なCpG部位での、メチル化の差違を査定するための定量的方法である(Gonzalgo & Jones,Nucleic Acids Res.25:2529−2531,1997)。簡単に記すと、ゲノムDNAを、重亜硫酸塩ナトリウムと反応させ、非メチル化シトシンをウラシルに変換させ、一方で脱離5−メチルシトシンは不変である。次いで、所望の標的配列の増幅を重亜硫酸塩変換DNAに特異的なPCRプライマーを用いて実施し、得られた産物を単離し、目的のCpG部位(類)にて、メチル化解析のための鋳型として使用する。少量のDNAを解析可能であり(たとえば顕微解剖病理切片)、CpG部位でのメチル化状態を決定するために、制限酵素の利用をさける。
【0093】
Ms−SNuPE解析のための(たとえば、典型的なMs−SNuPEに基づくキットで見られるもののような)典型的な試薬には、制限はしないが、特定の遺伝子(またはメチル化変更DNA配列またはCpGアイランド)に対するPCRプライマー、最適化PCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、ゲル抽出キット、陽性対照プライマー、特定の遺伝子に対するMs−SNuPEプライマー、(Ms−SNuPE反応のための)反応緩衝液、および放射活性ヌクレオチドが含まれる。さらに、重亜硫酸塩変換試薬には、DNA変性緩衝液、スルホン化緩衝液、DNA回復試薬またはキット(たとえば沈殿、限外濾過、アフィニティーカラム)、脱スルホン化緩衝液およびDNA回復成分が含まれ得る。
【0094】
本発明にしたがった重亜硫酸塩変換および増幅手順を、本検出方法と組み合わせて使用してよい。
【0095】
MSP。MSP(メチル化−特異的PCR)によってメチル化感受性制限酵素の使用に依存せずに、CpGアイランド内のCpG部位の実質的な任意の群のメチル化の状態を査定することが可能である(Herman et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9821−9826,1996;米国特許第5,786,146号)。簡単に記すと、DNAを、メチル化されたものではなく、すべての非メチル化シトシンをウラシルに変換する重亜硫酸塩ナトリウムによって改変し、次いでメチル化対非メチル化DNAに対して特異的なプライマーで増幅する。
【0096】
MSPプライマー対には、重亜硫酸塩処理CpGジヌクレオチドに対してハイブリッド形成する、少なくとも1つのプライマーが含まれる。したがって、前記プライマーの配列には、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドが含まれる。非メチル化DNAに対して特異的なMSPプライマーには、CpG中のC位の3’位にて「T」が含まれる。したがって、好ましくは、前記プライマーの塩基配列は、重亜硫酸塩変換核酸配列にハイブリッド形成する、少なくとも9つのヌクレオチドの長さを有する配列を含む必要があり、前記オリゴマーの塩基配列には、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドが含まれる。MSPは、少量のDNAのみ必要であり、所与のCpGアイランド座の0.1%メチル化対立遺伝子に対して感受性であり、パラフィン包埋試料から抽出したDNA上で実施可能である。MSP解析のための(たとえば、典型的なMSPに基づくキットで見られ得るような)典型的な試薬には、制限はしないが、特定の遺伝子(またはメチル化変更DNA配列またはCpGアイランド)に対するメチル化および非メチル化PCRプライマー、最適化PCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、および特異的プローブが含まれる。
【0097】
本発明にしたがった重亜硫酸塩変換および増幅手順を、本検出方法と組み合わせて使用してよい。
【0098】
NESTED MSP(米国出願0040038245号にてBelinsky and Palmisano)。CGおよびTG位間を効果的に区別するために、MSPプライマーの高い特異性を必要とするが、固有の制限部位を作成するためにミスマッチを許容することの明らかな矛盾を考えると、Belinsky and PalmisanoによるWO02/18649号および米国特許出願20040038245号にて記述されたように、ネステッドMSPとして知られる、MSPの補正バージョンを使用することが好ましい。遺伝子特異的プロモーターメチル化の存在を検出するためのこの方法には、ポリメラーゼ連鎖反応を用いることによって目的の遺伝的領域のコピー数を広げる段階、プロモーターメチル化が存在する前記領域の位置を増幅し、それによって増幅産物を産生する段階、および第一ポリメラーゼ連鎖反応によって産生された増幅産物のアリコートを第二のメチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応にて使用してメチル化の存在を検出する段階が含まれる。言い換えれば、非メチル化特異的PCRをメチル化特異的PCRの前に実施する。本発明にしたがった重亜硫酸塩変換および増幅手順を、本検出方法と組み合わせて使用してよい。
【0099】
HEAVYMETHYL。(WO02/072880号、Cottrell SE et al.Nucleic Acids Res.2004 Jan 13;32(1):e10)。本方法のさらに好ましい実施形態には、ブロッカーオリゴヌクレオチドの使用が含まれる。HeavyMethylアッセイにおいて、ブロッキングプローブオリゴヌクレオチドが、PCRプライマーと同時に、重亜硫酸塩処理核酸にハイブリッド形成する。核酸のPCR増幅は、核酸の増幅が、ブロッキングプローブに相補的な配列が存在する場所で抑制されるように、ブロッキングプローブの5’位にて停止する。プローブは、メチル化状態特異的様式にて、重亜硫酸塩処理核酸にハイブリッド形成するように設計してよい。たとえば、非メチル化核酸の集団内の、メチル化核酸の検出のために、メチル化核酸の増幅の抑制が所望の場合に、「CpG」と対照的に、問題の位置でメチル化されていない核酸の増幅の抑制を、問題の位置で、「CpA」または「TpA」を含むブロッキングプローブの使用によって実施される。
【0100】
ブロッキングオリゴヌクレオチドを用いるPCR法のために、ポリメラーゼ仲介増幅の効率的な崩壊は、ブロッカーオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼによって伸長されないことを必要とする。好ましくは、3’−デオキシオリゴヌクレオチド、または「遊離」ヒドロキシル基以外で、3’位にて誘導されたオリゴヌクレオチドであるブロッカーの使用を介して活性化される。たとえば、3’−O−アセチルオリゴヌクレオチドが、ブロッカー分子の好ましいクラスの代表である。
【0101】
さらに、ブロッカーオリゴヌクレオチドのポリメラーゼ仲介分解が排除されるべきである。好ましくは、そのような排除には、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼの利用、またはたとえば、ブロッカー分子にヌクレアーゼ−耐性を与える、その5’−末端でチオエート橋を有する、改変ブロッカーオリゴヌクレオチドの利用のいずれかが含まれる。特定の適用は、ブロッカーのそのような5’改変を必要としなくてよい。たとえば、ブロッカー−およびプライマー−結合部位が重なる場合、それによって(たとえば過剰なブロッカーとともに)プライマーの結合が除外され、ブロッカーオリゴヌクレオチドの分解が続いて除外される。これは、通常ハイブリッド形成ブロッカーオリゴヌクレオチドの分解となる、(5’−3’方向)ブロッカー−a処理を介して、ポリメラーゼがプライマーを前方に伸長しないからである。
【0102】
本発明の目的に関して、そして本明細書で実施されるように、特に好ましいブロッカー/PCR実施形態には、ブロッキングオリゴヌクレオチドとして、ペプチド核酸(PNA)オリゴマーの利用が含まれる。ポリメラーゼによって分解または伸長されないので、そのようなPNAブロッカーオリゴマーが同様に好適である。
【0103】
したがって、好ましくは、前記ブロッキングオリゴヌクレオチドの塩基配列が、化学的に処理した核酸配列にハイブリッド形成する、少なくとも9つのヌクレオチドの長さを有する配列を含むことが必要であり、前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、少なくとも1つのCpG、TpGまたはCpAジヌクレオチドを含む。
【0104】
本発明にしたがった重亜硫酸塩変換および増幅手順を、本検出方法と組み合わせて使用してよい。
【0105】
好ましくは、リアルタイムPCRアッセイを、本発明にしたがったそのようなプライマーの利用によって特徴づけられるように実施する。リアルタイムPCRアッセイは、メチル化特異的PCR(「MSP」、以上で記述したように)として、メチル化特異的プライマー(MSP−リアルタイム)で、またはメチル化特異的ブロッカーの存在下で非メチル化特異的プライマー(HMリアルタイム)(「HEAVYMETHYL」、以上で記述したように)で実施可能である。リアルタイムPCRは、任意の好適な検出可能標識化プローブで実施し得る。詳細は以下を参照のこと。
【0106】
これらの方法(MSPまたはHM)の両方を、一般的にそのようなアッセイにおいて産生されるシグナルの特異性を増加させる、MethyLight(商標)(蛍光に基づくリアルタイムPCR技術)(Eads et al.,Cancer Res.59:2302−2306,1999)として知られている検出方法と組み合わせ可能である。使用するリアルタイムプローブがそれ自体中でメチル化特異的であるときはいつでも、本技術は、広く使用される方法、MethyLight(商標)として呼ばれる。
【0107】
「QM」(定量的メチル化)アッセイと呼ばれる、他のアッセイがメチル化特異的プローブを利用する。メチル化に特異的でない、したがって不偏性のリアルタイプPCR増幅を、2つのメチル化特異的プローブ(MethyLight(商標))、1つはメチル化増幅物に対して、他は非メチル化増幅物に対して、利用することによって達成される。この方法で、a)メチル化(CG)核酸の、非メチル化(TG)核酸に対する比を決定するために使用可能であり、および同時にb)公知量の対照DNAでアッセイを較正する場合に、絶対量のメチル化核酸を決定可能である、2つのシグナルが産生される。
【0108】
MethyLight(商標)。MethyLight(商標)アッセイは、PCR段階後にさらなる操作を必要としない蛍光に基づくリアルタイムPCR(TaqMan(商標))技術を使用する、ハイスループット定量的メチル化アッセイである(Eads et al.,Cancer Res.59:2302−2306,1999)。簡単に記すと、MethyLight(商標)過程が、重亜硫酸塩ナトリウム反応において、標準の手順にしたがったメチル化依存配列差違の混合プールに変換されるゲノムDNAの混合試料で開始される(重亜硫酸塩工程が、非メチル化シトシン残基をウラシルに変換する)。蛍光に基づくPCRを(公知のCpGメチル化部位に重ならないプライマーで)「不偏性の」PCR反応中、または(公知のCpGジヌクレオチドに重なるPCRプライマーで)「バイアス」反応中のいずれかで実施される。配列区別が、増幅工程のレベルで、または蛍光検出工程のレベルで、または両方で実施可能である。
【0109】
MethyLight(商標)アッセイは、ゲノムDNA試料中のメチル化パターンに関する定量的試験として使用してよく、配列区別は、プローブハイブリッド形成のレベルで発生する。この定量的バージョンにおいて、PCR反応によって特定の予想メチル化部位に重なる蛍光プローブの存在下で不偏性の増幅が提供される。インプットDNAの量に対する無作為な制御が、プライマーまたはプローブいずれかが、任意のCpGジヌクレオチドを覆わない反応によって提供される。あるいは、ゲノムメチル化のための定量的試験が、公知のメチル化部位を「カバー」しない対照オリゴヌクレオチド(「MSP」技術の蛍光に基づくバージョン)で、もしくは、潜在的なメチル化部位をカバーしているオリゴヌクレオチドでバイアスPCRプールのプローブ化によって達成される。
【0110】
MethyLight(商標)工程は、増幅工程中に、「TaqMan(登録商標)」プローブを使用することで可能である。たとえば、二本鎖ゲノムDNAを、重亜硫酸塩ナトリウムで処理し、TaqMan(登録商標)プローブを用いたPCR反応の2つの組の1つ、たとえば、偏ったプライマーとTaqMan(登録商標)プローブ、または無作為プライマーとTaqMan(登録商標)プローブいずれかに供する。TaqMan(登録商標)プローブを、蛍光「レポーター」および「クエンサー」分子で二重標識し、フォワードまたはリバースプライマーよりも、PCRサイクル中、約10℃高い温度で融解するように、比較的高GC含量領域に対して特異的であるように設計される。このことによって、TaqMan(登録商標)プローブが、PCRアニーリング/伸長段階の間、完全にハイブリッド形成したままになる。Taqポリメラーゼが、PCRの間に新規の鎖を酵素的に合成するので、アニールしたTaqMan(登録商標)プローブに最終的に行き着く。Taqポリメラーゼ5’〜3’エンドヌクレアーゼ活性が次いで、消化することによってTaqMan(登録商標)を置換し、リアルタイム蛍光検出系を用いる、その新規のクエンチされていないシグナルの定量的検出のために、蛍光レポーター分子を放出する。
【0111】
記述された本発明との使用のためにも好適であるTaqMan(商標)検出法における変法には、デュアル−プローブ技術(LightCycler(商標))または蛍光増幅プライマー(Sunrise(商標)技術)の使用が含まれる。これらの技術両方が、重亜硫酸塩処理DNAとの使用のために、さらにCpGジヌクレオチド内のメチル化解析のために、好適な様式で適用可能である。
【0112】
MethyLight(商標)解析のための(たとえば典型的なMethyLight(商標)に基づくキットにて見られ得るような)典型的な試薬には、制限はしないが、特異的重亜硫酸塩配列、すなわち重亜硫酸塩変換遺伝的領域(または重亜硫酸塩変換DNAまたは重亜硫酸塩変換CpGアイランド)に対するPCRプライマー、前記増幅重亜硫酸塩変換配列に特異的なプローブ(たとえば、TaqMan(登録商標)またはLightCycler(商標))、最適化PCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、およびTaqポリメラーゼのようなポリメラーゼが含まれる。
【0113】
本発明にしたがった重亜硫酸塩変換および増幅手順を、本検出方法と組み合わせて使用してよい。
【0114】
増幅によって得た断片は、直接または間接的に検出可能な標識を運び得る。蛍光標識、放射性核種、または質量分析にて検出可能な、典型的な質量を有する検出可能な分子断片の形態での標識が好ましい。前記標識が質量標識である場合、標識された増幅物が、単一の正または負のネット電荷を有することが好ましく、これによって質量分析にてよりよく検出される。検出は、たとえば、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI)の方法によって、または電子噴霧質量分析(ESI)を用いることによって実施し、視覚化してよい。
【0115】
マトリクス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI−TOF)は、生体分子の解析のために非常に効率的に開発されている(Karas & Hillenkamp,Anal Chem.,60:2299−301,1988)。分析物を、光吸収マトリックス中に埋め込む。マトリックスを短いレーザーパルスにて蒸発させ、したがって、分析物分子を、未断片化様式で蒸気相中に移動させる。分析物を、マトリックス分子との衝突によってイオン化する。適用する電圧によってイオンを電場フリー飛行チューブ内に加速させる。それらの異なる質量によって、イオンが異なる速度で加速される。より小さなイオンは、より大きなものよりも早く、検出器に到達する。MALDI−TOF分光分析が、ペプチドおよびタンパク質の解析によく適合する。核酸の解析は、いくらかより難しい(Gut & Beck,Current Innovations and Future Trends,1:147−57,1995)。核酸解析に関する感度は、ペプチドに対するものよりもおよそ100倍低く、断片の大きさが増加するにつれ不均衡に減少する。さらに、多数の負の電荷骨格を有する核酸に関して、マトリックスを介したイオン化工程が相当に効率が悪くなる。MALDI−TOF分光分析にて、マトリックスの選択が非常に重要な役割を果たす。ペプチドの吸着に関して、種々の非常に効果的なマトリックスが非常にこまかい結晶化を産出するように発見されてきた。DNAに対する新規の種々の応答性マトリックスが存在するが、しかしながら、ペプチドと核酸間の感度の差は減少されていない。しかしながら、感度におけるこの差は、ペプチドにより近づくような様式でDNAを化学的に改変することによって減少可能である。たとえば、骨格の通常のリン酸がチオホスフェートにて置換されるホスホロチオエート核酸を、単純なアルキル化化学反応を用いて電荷が中性であるDNAに変換可能である(Gut & Beck,Nucleic Acids Res.23:1367−73,1995)。この改変したDNAへの電荷タグのカップリングによって、MALDI−TOF感度が、ペプチドに関して見られるのと同様のレベルまで増加する。
【0116】
増幅はさらに、「アレイ」または「DNAチップ」(すなわち、固体相に結合した異なるオリゴヌクレオチドおよび/またはPNA−オリゴマーの配列)のすべてまたは一部を構築するオリゴヌクレオチドによって、検出および/または解析してよい。そのような異なるオリゴヌクレオチド−および/またはPNA−オリゴマー配列のアレイを、たとえば長方形または六角形格子の形態で、固体相上に配置されるように特性化可能である。固体相表面は、シリコン、ガラス、ポリスチレン、アルミニウム、スチール、鉄、銅、ニッケル、銀または金からなってよい。ペレットの形態で、または樹脂マトリックスとして存在可能であるニトロセルロースならびにナイロンのようなプラスチックもまた使用してよい。オリゴマーアレイ製造における先行技術の概説は、Nature Geneticsの特別エディション(Nature Genetics Supplement, Volume 21,January 1999およびそこに引用されている文献)より集めることが可能である。蛍光標識化プローブがしばしば、固定化DNAアレイのスキャニングのために使用される。Cy3およびCy5色素の特異的プローブの5’−OHへの単純な結合が、蛍光標識のために特に好適である。ハイブリッド形成プローブの蛍光の検出を、たとえば、共焦点顕微鏡を介して実施してよい。多くの他のものに加えて、Cy3およびCy5色素が市販されている。
【0117】
本発明にしたがった重亜硫酸塩変換および増幅手順を、本検出方法と組み合わせて使用してよい。
【0118】
本発明の特に好ましい実施様態は、DNAメチル化解析のために好適である、DNA−Array、好ましくはOligonucleotide−Array上でのハイブリッド形成のために、汚染除去した核酸を提供するための方法である。
【0119】
もちろん、DNAの重亜硫酸塩変換のための改善された方法も、本発明のとりわけ好ましい実施様態である。それによって、非メチル化シトシンがウラシルに変換され、一方でメチル化されたシトシンは未変化のままである。本実施様態にしたがって、核酸を重亜硫酸試薬を含む溶液とともにインキュベートし、それによって前記核酸内の非メチル化シトシンをスルホン化および/または脱アミノ化するが上述したように脱スルホン化はしない。その後、スルホン化および/または脱アミノ化鋳型核酸を、ポリメラーゼ仲介増幅反応または増幅に基づく検出アッセイに必要な成分と混合する。その後、鋳型核酸を高温でこの混合液を短時間インキュベートすることによって脱スルホン化する。続いて、脱スルホン化した鋳型核酸を増幅する。特に好ましいバリアントにおいて、ポリメラーゼに基づく増幅反応が高温での短時間のインキュベーションによって開始される(熱活性化)。同時に、この高温での短時間のインキュベーションが、スルホン化された、および/または脱アミノ化された鋳型核酸を脱スルホン化するために働く。さらに、ポリメラーゼが熱安定性ポリメラーゼであることがとりわけ好ましい。
【0120】
この特定の実施様態は、重亜硫酸塩処理後の精製段階が不要になる重亜硫酸塩処理の公知の方法と比較して利点を有する。これは、費用と操作努力の減少となり、重亜硫酸塩処理DNAの損失を最小化し、また時間を倹約する単純化である。したがって、本実施様態の使用が、DNA試料を重亜硫酸塩で処理し、次いで増幅する場合に好ましい。多量の試料を解析する場合に、特に好ましい。本実施様態の使用はさらに、COBRA、MS−SNuPE、MSP、ネストMSP、HeavyMethylおよびMethyLightのようなDNAメチル化解析のための感度のよい検出方法に関してさらに好ましい。
【0121】
さらに、本発明は、重亜硫酸塩を含む組成物、たとえば重亜硫酸塩を含む試薬または溶液、および酵素活性を含む組成物での本発明にしたがった方法の具現化のための試験キットに関連する。この酵素活性は、非スルホン化ウラシルを含むDNAを特異的に分解する。特に、この酵素活性は、DNA−グリコシラーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼの活性であり、優先的に、この酵素活性は、ウラシル−DNA−グリコシラーゼであり、より優先的にこの酵素活性は、ウラシル−N−DNA−グリコシラーゼ(UNG)である。追加分解酵素活性は、特異的なアピリミジン部位および/または非スルホン化ウラシル塩基に隣接した1つ以上のニックを引き起こすその能力によって特徴づけられる。任意の場合において、これは、結果として、DNAポリメラーゼによる複製の阻害となる。特定の試験キットにおいて、酵素活性は非スルホン化ウラシルを含む核酸のホスホジエステル骨格からウラシル塩基を開裂するが、スルホン化ウラシルを含む核酸、またはウラシルを含まないチミンを含む核酸に影響を与えないことを特徴とする。得られたアピリミジン部位は、DNAポリメラーゼによる複製を阻害し、酸/塩基加水分解に非常に不安定である。
【0122】
さらなる試験キットには、1つ以上の追加要素が含まれる。これは以下であり得る。
1つ以上の変性試薬および/または溶液、たとえば、WO05/038051号にて記述されたように好適な、ジオキサンまたはジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)、または任意の基質、
1つ以上のスカベンジャー、たとえば、WO01/98528号またはWO05/038051号にて記述されたような、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン2−カルボン酸または他のスカベンジャー、
1つ以上のDNA増幅物の増幅のために好適である1つまたはそれ上のプライマーで、とりわけ、プライマーまたはプライマー類は、たとえば、色素FAMまたはクエンサーBHQブラックホールまたはダビシルのような、当業者に周知のような検出のためのクエンサーおよび/または標識で、改変可能である。
任意のプローブであり得、たとえばリアルタイムアッセイにて1つ以上の増幅物の増幅を特異的に記録するために使用可能である、1つ以上のプローブで、とりわけ、プローブまたはプローブ類は、たとえば、色素FAMまたはクエンサーBHQブラックホールまたはダビシルのような、当業者に周知のような、検出のためのクエンサーおよび/または標識で、改変可能である。
核酸であり、特異的プライマーの結合またはDNAポリメラーゼによる複製を阻害するために使用可能である、1つ以上のブロッカーで、とりわけ、ブロッカーまたはブロッカー類は、たとえば、色素FAMまたはクエンサーBHQブラックホールまたはダビシルのような、当業者に周知のような、検出のためのクエンサーおよび/または標識で、改変可能である。
重亜硫酸塩処理および/またはPCR反応のために好適である1つ以上の反応緩衝液。
dATP、dCTP、dUTPおよびdGTPまたはこれらのヌクレオチドの任意の誘導体であり得るヌクレオチド。
基質として、または溶液および/または任意の他のマグネシウム塩中の、DNAポリメラーゼ複製を実施するために使用可能である、MgCl2
DNAポリメラーゼ、たとえば、プルーフ−リーディング活性の有無で、Taqポリメラーゼまたは任意の他のポリメラーゼ、当分野で公知の増幅の検出のために使用可能である色素またはクエンサー、たとえば、SYBR Greenのような挿入色素、または色素FAMまたはクエンサーBHQブラックホールまたはダビシルのような、プライマーまたはプローブまたはブロッカーへの連結のための色素、および/または、
本発明にしたがったアッセイの具現化のために有用である任意の試薬、溶液、器具および/または説明書。
【0123】
本明細書で開示された方法および試験キットは、好ましくは、患者または個体に対する有害事象の診断および/または予後診断のために使用され、それによって、診断は、有害事象、有害事象に対する性質、および/または有害事象の進行の診断を意味する。これらの有害事象は、少なくとも1つの以下のカテゴリー、望まない薬物相互作用、がん疾患、CNS機能不全、障害または疾患、悪化または行動障害の症状、脳障害の臨床的、心理的および社会的結果、精神障害および人格障害、認知症および/または関連症候群、心臓血管疾患、機能不全または障害、胃腸管の機能不全、障害または疾患、呼吸器系の機能不全、障害または疾患、損傷、炎症、感染、免疫および/または回復、発達過程における異常としての体の機能不全、障害または疾患、皮膚の、筋肉の、結合組織の、または骨の機能不全、障害または疾患、内分泌および代謝機能不全、障害または疾患、頭痛または生殖機能不全に属する。
【0124】
方法および試験キットはまた、細胞型、組織を区別するため、または細胞分化を調査するために、特に好ましい様式で役に立つ。これらは、薬物処置に対する患者の応答を解析するために、特に好ましい様式で役に立つ。
【0125】
他の好ましい様式にて、本発明の方法および試験キットはまた、単一の定義された疾患が存在する場合、正常の条件と比較してその部分でメチル化されるか、メチル化されないDNAメチル化状態を特性化するために使用可能である。とりわけ好ましい様式で指示特異的標的を同定するために役に立ち得、そこで、鋳型核酸を重亜硫酸塩およびUNG酵素活性で処理し、そこで、指示特異的標的は、健康な組織から由来したDNAと比較して疾患組織から由来したDNAのDNAメチル化状態における差として定義される。これらの組織試料は、疾患または健康な患者から、または同一の患者の疾患または健康な隣接組織から由来してよい。
【0126】
特に好ましい様式において指示特異的標的はタンパク質、ペプチドまたは酵素であり、特にコードされたタンパク質、ペプチドまたは酵素のそれ自体が公知の調節物が、疾患組織の特異的な指標で割り当てられる。特に好ましい様式で、この調節物は、特異的指示、とりわけ特異的癌指示にて、薬理学的組成物を調製するために役に立つ。
【0127】
とりわけ好ましい様式において、酵素UNGは、メチル化解析のための、汚染なしの核酸の産生のための酵素として役に立つ。
【0128】
図1は、重亜硫酸塩変換と呼ばれる非メチル化シトシンのウラシルへの完全な変換を記述している。
この反応の第一段階は、非メチル化シトシン塩基がpH5付近で亜硫酸水素と接触するときにおこる。スルホン化は、環状分子の位置6(C6位)にておこる。
第二段階は、水溶液中で同時におこり、それによってスルホン酸シトシンがスルホン酸ウラシルに変換される脱アミノ化である。
第三の段階は、アルカリ性条件下でおこり、結果としてウラシルとなる脱スルホン化段階である。
【0129】
図2は、当分野の記載にしたがって、脱スルホン化重亜硫酸塩変換DNAからのGSTP1遺伝子のメチル化DNAのリアルタイム増幅のプロットである。Y軸は、各サイクルでのチャンネルF1(X軸)に対して標準化したチャンネルF2にて測定された蛍光シグナルを表している。それぞれ10ng、1ng、0.1ngの重亜硫酸塩処理メチル化DNAをこの反応液に加えた。(白丸で標識した)ウラシル−DNA−グリコシラーゼを含む反応混合液を用いて、シグナルは検出されず、このことは、重亜硫酸塩変換DNAの完全な分解を示唆している。増幅は、ウラシル−DNA−グリコシラーゼのない状態でのみ発生した(長方形で標識)。実線で印をした鋳型対照はない。
【0130】
図3は、脱スルホン化なしの主張された新規方法にしたがった重亜硫酸塩変換DNAからのGSTP1遺伝子のメチル化DNAのリアルタイム増幅のプロットである。Y軸は、各サイクルにてチャンネルF1(X軸)に対して標準化したチャンネルF2で測定された蛍光シグナルを示している。それぞれ10ng、1ng、0.1ngの重亜硫酸塩処理メチル化DNAをこの反応液に加えた。ウラシル−DNA−グリコシラーゼなしの反応から発生したシグナルを円で標識する。増幅における有意な差は、(三角で標識した)ウラシル−DNA−グリコシラーゼを含む反応からは測定されず、このことは、6−スルホン−ウラシルを含むDNAがUNGの鋳型ではないことを示唆している。実線で印をした鋳型対照はない。
【0131】
図4は、ウラシルを含むDNAの効果的な分解を示している。プロットは、ウラシルを含むPCR産物の再増幅を示している。Y軸は、各サイクルにてチャンネルF1(X軸)に対して標準化したチャンネルF2で測定された蛍光シグナルを示している。105コピーを反応液に加えた。ウラシル−DNA−グリコシラーゼなしの反応から測定されたシグナルをダイヤ型で標識しており、高効率の再増幅を示している。ウラシル−DNA−グリコシラーゼを含む反応は、結果として交点の劇的な増加となり(星印で示す)、これは、UNGによるウラシルを含むPCR産物の強力な分解を示している。実線で印をした鋳型対照はない。
【0132】
図5は、標準のワークフローおよび本発明にしたがった方法によって実施例3にて得られた結果の相関プロットを示している(キャリーオーバー防止)。各シンボルは、単一の試料を表しており、四角形は腫瘍組織、三角形は正常隣接組織を表している。標準のワークフローにしたがって測定された(X軸)、または本発明にしたがった方法にしたがって測定された(Y軸)メチル化のパーセンテージを、各試料に関して示している。
【0133】
本発明にしたがった方法は、24試料のうち2試料のみで、標準のワークフローとは異なるメチル化割合を導いた。このことは、本発明の方法にしたがって処理した試料がウラシルを含むTPEF単位複製配列で汚染されたけれども、試料のDNAのみが、ほぼすべての場合で、TPEF単位複製配列の増幅のための鋳型として役に立つことを意味している。前記2つの試料の場合、異なる結果はおそらくDNAのメチル化の割合が低いこと(0.2%以下)によって発生した。
【実施例】
【0134】
[実施例1]
ヒトDNAを含むスルホン化ウラシルが鋳型として役に立つ、(GST−pi遺伝子としても知られている)GSTP1遺伝子のメチル化DNAの増幅
ウラシル−DNA−グリコシラーゼの使用は、先に増幅産物による交差汚染によって引き起こされる、ポリメラーゼに基づく増幅方法で擬陽性結果を避けるために当分野で周知の方法である(Pang J.,Mol Cell Probes.1992 Jun;6(3):251−6)。しかしながら、本方法は所与の鋳型内のウラシル塩基を検出するための目的を有する、ポリメラーゼに基づく増幅方法のためには適用不可能である。メチル化および非メチル化シトシン間の差を検出するための1つの方法は、共通の重亜硫酸塩変換方法の広い範囲の使用によって促進されるシトシンおよびウラシル間の差に、これらの差を反映することである。これらは、メチル化シトシンがシトシンのままである一方で、非メチル化シトシンをウラシルに変換するための効果を有する。したがって、メチル化パターンを検出するための続く増幅反応にて鋳型がウラシルを含む。
【0135】
以下の実施例において、本発明にしたがった方法によって、どの塩基がメチル化されず、どれがメチル化されたか重要な情報の欠損なしで、重亜硫酸塩変換DNAのキャリーオーバー防止のためのウラシル−DNA−グリコシラーゼ(UNG)に基づく技術を可能にする。これを達成するために、以下の段階が実施された。
【0136】
100μl水中で希釈した1.5μg GpGenom(商標) Universal Methylated DNA(ケミコン インターナショナル(Chemicon International))を含む2つの核酸試料を、354μlの重亜硫酸塩溶液(5.89mol/l)および146μlの、ラジカルスカベンジャー(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン2−カルボン酸、2.5mlのジオキサン中98.6mg)を含むジオキサンと混合した。反応混合液を、99℃にて3分間変性させ、続いて、合計5時間、以下の温度プログラムでインキュベートした。50℃にて30分間、3分間第一温度スパイク(99.9℃)、50℃にて1.5時間、3分間の第二温度スパイク(99.9℃)、50℃にて3時間。反応混合液の1つを対照として、他を本発明にしたがって処理した。対照および試験反応の両方の反応混合液を続いてMillipore Microconカラムによって限外濾過で精製した。精製は、基本的に取扱説明書にしたがって実施した。本目的のために、反応混合液を、200μlの水と混合し、限外濾過膜上に乗せ、15分間遠心分離し、続いて水で洗浄した。DNAは、この処理で膜上に残存する。対照試料に関して、アルカリ脱スルホン化を、最先端である方法にしたがって実施した(たとえば、米国特許第20040152080号、第20040115663号、WO2004/067545号を参照のこと)。本目的のための、100μlの0.2mol/l NaOHを加え、10分間インキュベートした。他の試料に関して、この脱スルホン化段階を100μlの水を加えることによって置換した。次いで遠心分離(10分間)を実施し、続いて水で最終洗浄段階を実施した。この後、DNAを溶出した。この目的のために、膜をpH7に調整した50μlの温1×TE緩衝液(50℃)と10分間混合した。膜を取扱説明書にしたがって回転させた。続いて、遠心分離を繰り返して実施し、DNAを膜より除去した。
【0137】
続いてDNAを12時間4℃にて保存し、次いで、PCR反応中で鋳型として使用した。
【0138】
スルホン化後に化学反応を停止することによって、すべての非メチル化シトシンを、C6スルホン化ウラシル(5,6−ジヒドロ−6−スルホニル−ウラシル)に変換し、メチル化シトシンは未変化のままである。しかしながら、完全な脱スルホン化後、当分野で記述されたように、すべての非メチル化シトシンが、ウラシルに変換され、メチル化シトシンが未変化のままである。
【0139】
UNG活性に関する対照として、同一のプライマーの使用、ただしdTTPの代わりにdUTPの存在下で産生した、105コピーのウラシル含有PCR産物を反応プレミックスに加えた。再増幅が、UNGが存在しない場合に、22.6の交点の予想効率で発生した。しかしながら、UNGがPCRミックス中に存在した場合、交点は、35.8の値までしか到達しなかった(図4)。この差は、DNAからのウラシルの開裂によって生じるUNGによるPCR産物の効果的な分解を上手に示している。この実施例にて、脱スルホン化された従来の重亜硫酸塩処理DNAがまた、UNGによって分解されることを示している(図2)。しかしながら、脱スルホン化重亜硫酸塩処理DNAは、UNGに対して基質としては働かず、UNGとのプレインキュベーション後でさえ、増幅反応中の動作鋳型として機能する(図3)。
【0140】
本実施例にて、成功した増幅のために必要な鋳型DNAの脱スルホン化は、95℃でのPCR反応の初期変性相の間に発生した。この段階の前提条件は、利用したPCR緩衝液中で与えられるようなアルカリpHのみである。したがって、同時にUNG活性を終了させ、新規に産生されるPCR産物はこれ以上開裂または分解不可能である。
【0141】
本実施例において、3つの異なる濃度(10ng、1ngおよび0.1ng)の各(6−スルホン化5,6−ジヒドロ−ウラシルを含む)脱スルホン化およびスルホン化DNAを、2つの異なるHot−Start PCR反応中で鋳型として使用した。
【0142】
1つの場合において、反応混合液は0.2ユニットUNGを含み、他の場合UNGを加えなかった。PCR反応を20μl反応容量中でLightCyclerにて実施し、それには以下が含まれた。
10μlの鋳型DNA(異なる濃度)
2μlのハイブリッド形成プローブのためのFastStart LightCycler Mix(ロッシュ ダイアグノスティクス(Roche Diagnostics))
3.5mM MgCl2 (ロッシュ ダイアグノスティクス)
0.30μM フォワードプライマー(SeqID−1、TIB−MolBiol)
0.30μM リバースプライマー(SeqID−2、TIB−MolBiol)
0.15μM Probe1(SeqID−3、TIB−MolBiol)
0.15μM Probe2(SeqID−4、TIB−MolBiol)
任意に0.2ユニット Uracil−DNA−Glycosylase(ロッシュ ダイアグノスティクス)
【0143】
温度−時間−プロファイルは以下のようにプログラムされた。
プレ−インキュベーション(UNG活性) 15分間、25℃
ポリメラーゼの活性化:20分間、95℃
50温度サイクル:10秒間、95℃
30秒間、56℃
10秒間、72℃
【0144】
最後に反応液を35℃まで冷却した。
【0145】
使用したプライマー(Seq ID 1、Seq ID 2)は、GSTP1遺伝子(Seq ID 5、nt 1184〜nt 1304、Genbank Accession X08058)の123bp長断片を増幅する。配列特異的ハイブリッド形成プローブ(SeqID3、SeqID4)を用いることによって、増幅率を、リアルタイムPCRにて検出した。データ解釈を、チャンネルF2/F1中、LightCycler Softwareを介して実施した。
【0146】
交点(Cp)を、方法「二次導関数最大(Second Derivative Maximum)」を用いることによって自動的に産生した(表1)。
【0147】
実験の結果を表1にて要約している。105コピーのウラシルを含む単位複製配列の再増幅が、結果として、UNGなしで22.6のCT、UNGありで35.8のCTとなる。13サイクルのCTの遅延が、ウラシルを含む鋳型のグリコシラーゼによる効果的な分解を示している。また脱スルホン化重亜硫酸塩変換DNAがUNGによって分解され、増幅はUNGありでの反応で測定可能ではなかった。UNGなしの反応において、10、1および0.1ngのDNAが、28.5/31.7/33.8のCTにて検出された。これと反対に、本発明にしたがって調製されたスルホン化DNAが、ほとんど同じ効率でウラシル−DNA−グリコシラーゼの有無両方の場合で増幅され、それぞれ、29.3/32.2/34.1、および29.9/32.7/34.8のCTにて検出された。
【0148】
【表1】

【0149】
【表2】

Fluo=蛍光標識、red640=チャネルF2に対するLightCyCler蛍光標識、PH=3’OH−リン酸化。それぞれ小文字記載tは、重亜硫酸塩処理によって変換されたシトシンに対する点であり、小文字aは、逆相補合成鎖中の相補的アデノシン塩基に対する点である。
【0150】
[実施例2]
【0151】
本実験にて、UNG活性の存在下でのスルホン化核酸の安定性を4℃または40℃にて保存したときに解析した。再び、100μlの水で希釈した、1.5μg GpGenome(商標)Universal Methylated DNA(ケミコン インターナショナル(Chemicon International))を含む2つの核酸試料を、354μlの重亜硫酸塩溶液(5.89mol/l)および146μlのラジカルスカベンジャー(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン2−カルボン酸、2.5mlのジオキサン中98.6mg)を含むジオキサンと混合した。この反応混合液を、99℃にて3分間変性させ、続いて、以下の温度プログラムにて合計5時間インキュベートした。50℃にて30分間、3分間第一温度スパイク(99.9℃)、50℃にて1.5時間、3分間第二温度スパイク(99.9℃)、50℃にて3時間。反応混合液の1つを対照として、他を本発明にしたがって処理した。対照および試験反応の両方の反応混合液を続いて、Millipore Microconカラムによって限外濾過で精製した。精製は、基本的に取扱説明書にしたがって実施した。本目的のために、反応混合液を、200μlの水と混合し、限外濾過膜上に乗せ、15分間遠心分離し、続いて水で洗浄した。DNAは、この処理で膜上に残存する。対照試料に関して、アルカリ脱スルホン化を最先端である方法にしたがって実施した(たとえば、米国特許第20040152080号、第20040115663号、WO2004/067545号を参照のこと)(表3にて、「脱スルホン化」と表記)。本目的のための、100μlの0.2mol/l NaOHを加え、10分間インキュベートした。他の試料に関して、この脱スルホン化段階を100μlの水を加えることによって置換した(表3にて「スルホン化」と表記)。次いで遠心分離(10分間)を実施し、続いて水で最終洗浄段階を実施した。この後、DNAを溶出した。この目的のために、膜を、pH7に調整した50μlの温1×TE緩衝液(50℃)と10分間混合した。膜を取扱説明書にしたがって回転させた。続いて、遠心分離を繰り返して実施し、DNAを膜より除去した。
【0152】
続いて、DNAをアリコートにわけ、これらのいくつかを12時間4℃にて保存し、他を4℃にて144時間保存して、PCR反応中で鋳型として使用した。本発明にしたがった方法の構造安定性を示すために、本発明者らは、スルホン化の本保護効果が、長時間にわたり安定であるかどうかを解析したかった。PCR反応を、同一の条件下で実施した。
【0153】
さらに、アリコートを40℃の高温で22時間保存し、次いで、PCR反応中で鋳型として使用した。
【0154】
スルホン化後化学反応を停止させることによって、非メチル化シトシンがC6スルホン化ウラシル(5,6−ジヒドロ−6−スルホニル−ウラシル)に変換され、メチル化シトシンは未変化のままであった。しかしながら、完全な脱スルホン化後、当分野で記述したように、すべての非メチル化シトシンが、代わりにウラシルに変換され、メチル化シトシンは未変化のままである。
【0155】
UNG活性に関する対照として、同一のプライマーの使用、ただしdTTPの代わりにdUTPの存在下で産生した105コピーのウラシル含有PCR産物を反応プレミックスに加えた。再増幅が、UNGが存在しない場合に、22.6の交点の予想された効率で発生した。しかしながら、UNGがPCRミックス中に存在した場合、交点は、35.1の値までしか到達しなかった(図3)。この差は、DNAからのウラシルの開裂によって発生するUNGによるPCR産物の効果的な分解を上手に示している。
【0156】
本実施例において、本発明にしたがって脱スルホン化されない重亜硫酸塩処理DNAが、少なくとも144時間の長時間、4℃にて安定であることを示すことが可能である。さらに、22時間の期間40℃での保存でさえも、C6−ウラシルにおけるスルホン化のUNG保護効果に主要な効果を有さないことを示すことが可能である。
【0157】
【表3】

【0158】
[実施例3]
大腸がん組織における、(TMEFF2としても知られる)TPEF遺伝子のメチル化率の測定による標準ワークフローとの本発明にしたがった方法の比較
1μgのゲノムDNA(200μl)を、それぞれ、12人の大腸がん患者の腫瘍および正常隣接組織から抽出した。この方法によって得られた24の試料をそれぞれ、2×100μl DNAに分けた。100μlの各試料を、標準の手順(重亜硫酸塩処理プロトコールA、試料組A)にしたがって、または本発明にしたがった方法(重亜硫酸塩プロトコールB、試料組B)にしたがって処理した。その間、DNAを−20℃にて保存した。
【0159】
標準ワークフロー:
試料組A:
DNAの測定を、C3定量アッセイバージョンAにしたがって、およびTPEF遺伝子のためのHeavyMethylアッセイバージョンAにしたがって実施した。標準Aを較正のために産生した。
【0160】
標準Aの産生:
それぞれ2μgのユニバーサルメチル化DNAを含む5つのチューブを、重亜硫酸塩処理プロトコールAにしたがって重亜硫酸塩で処理し、その後プールした。溶液中のDNAの濃度を、重亜硫酸塩反応後、260nmにてUVによって決定した。
【0161】
重亜硫酸塩処理プロトコールA(標準手順):
100μlの水中で希釈した0.5μg DNAを含む100μlの試料(試料組A)を、354μlの重亜硫酸塩溶液(5.89mol/l)および146μlのスカベンジャー(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン2−カルボン酸、2.5molのジオキサン中98.6mg)を含むジオキサンと混合した。反応混合液を99℃にて3分間変性させ、次いで以下の温度プログラムにて、合計5時間インキュベートした。50℃にて30分間、3分間、一温度スパイク、99.9℃、50℃にて1.5時間、3分間の一温度スパイク、99.9℃、50℃にて3時間。反応混合液のDNAを続いて、Millipore Microconカラムによって限外濾過で精製した。精製は、基本的に取扱説明書にしたがって実施した。本目的のために、反応混合液を、200μlの水と混合し、限外濾過膜上に乗せ、15分間遠心分離し、続いて水で洗浄した。DNAは、この処理で膜上に残存する。完全な脱スルホン化のために、100μlの0.2mol/l NaOH溶液を加え、10分間インキュベートした。次いで10分間の遠心分離を実施し、続いて水での最終洗浄段階を実施した。この後、DNAを溶出した。この目的のために、膜を10分間、75μlの、pH8.5に調節した前もって暖めた1×TE緩衝液(50℃)と混合した。膜をひっくり返して、取扱説明書にしたがって遠心分離して、膜からDNAを回収した。
【0162】
C3定量化アッセイ(欧州特許第EP05075404号)
C3定量アッセイは、欧州特許第05075404号にて詳細に記述されたような、重亜硫酸塩変換DNAの総量に特異的な定量アッセイである。アッセイは、ゲノム形態中で、まずウラシルに変換され、増幅の間、重亜硫酸塩変換バリアント中チミンによって置換される多重のシトシン(CpGではない)位置を含むDNAの断片を増幅する。したがって、本アッセイは、未変換または部分的に変換された重亜硫酸塩処理DNA(すなわち、標的配列がチミンに変換されない1つ以上のシトシン位置を含む)に関しては定量しない。試料中のDNAの量は、CP(交点、閾値サイクルを表す)値をDNA量と関連づける標準曲線に対する測定したCPの比較によって推定する。標準曲線は、アッセイにしたがった重亜硫酸塩変換DNAの公知の量の測定に基づいている。
【0163】
C3定量アッセイバージョンA:
20μlの反応混合液には以下が含まれた。
・2μlの鋳型DNA
・2μlのハイブリッド形成プローブに対するFastStart LightCycler Mix(ロッシュ ダイアグノスティクス)
・3.5mol/l MgCl2(ロッシュ ダイアグノスティクス)
・0.60μmol/l フォワードプライマー(Seq ID−6、TIB−MolBiol)
・0.60μmol/l リバースプライマー(Seq ID−7、TIB−MolBiol)
・0.2μmol/l プローブ1(Seq ID−8、TIB−MolBiol)
【0164】
アッセイは、以下の温度−時間−プロファイルにしたがって実施した。
−活性化 10分間、95℃
−50サイクル:10秒間、95℃
30秒間、56℃
10秒間、72℃
【0165】
使用したプライマー(Seq ID−6およびSeq ID−7)は、GSTP1遺伝子(Seq ID−9.Genbank Accession Number X08058のヌクレオチド2273〜ヌクレオチド2402)の123bpの断片を増幅する。検出を530nmにてチャネルF1中56℃でのアニーリング相の間に実施した。交点(CP)を、LightCyclerソフトウェアによって、「二次導関数最大(Second derivative maximum)法にしたがって計算した。
【0166】
TPEF遺伝子に関するHeavyMethylアッセイにしたがったメチル化率の検出 バージョンA:
20μl反応混合液は以下を含んだ。
・2μlの鋳型DNA
・2μlのハイブリッド形成プローブに対するFastStart LightCycler Mix(ロッシュ ダイアグノスティクス)
・3.5mol/l MgCl2(ロッシュ ダイアグノスティクス)
・0.30μmol/l フォワードプライマー(Seq ID−10、TIB−MolBiol)
・0.30μmol/l リバースプライマー(Seq ID−11、TIB−MolBiol)
・4.0μmol/l ブロッカー(Seq ID−12、TIB−MolBiol)
・0.15μmol/l ハイブリッド形成プローブ(Seq ID−13、TIB−MolBiol)
・0.15μmol/l ハイブリッド形成プローブ(Seq ID−14、TIB−MolBiol)
【0167】
アッセイは、以下の温度−時間−プロファイルにしたがって実施した。
−活性化 10分間、95℃
−50サイクル:10秒間、95℃
30秒間、56℃
10秒間、72℃
【0168】
使用したプライマー(Seq ID−10およびSeq ID−11)は、TPEF遺伝子(Seq ID−15、GenBank Accession Number AF242221のヌクレオチド1102〜ヌクレオチド1214)の113bpの断片を増幅する。検出は、640/530nmでの、チャンネルF2/F1中56℃でのアニーリング相間で実施した。交点(CP)を、LightCyclerソフトウェアによって、「二次誘導最大(Second derivative maximum)法にしたがって計算した。
【0169】
CPからのDNA量の計算:
C3定量アッセイおよびTPEF遺伝子に関するHeavyMethylアッセイ両方は、測定した試料のDNA量を計算するために外部標準を用いる、リアルタイムPCRアッセイである。未知の濃度の絶対値(ng)を、同一の標的の公知の濃度で調製した標準曲線に対する未知の試料中のDNAの増幅の比較によって得る。標準試料を別のキャピラリー内で増幅するが、同一のLighCyclerで流す。標準曲線は、交点(閾値サイクル)のプロット対標準試料濃度の対数におけるデータ点を通した直線回帰線である。未知の試料のDNAの絶対量(ng)は、未知の試料のCPが標準曲線と一致する、標準曲線のデータ点と一致する。
【0170】
【表4】

Fluo=蛍光標識、red640=チャネルF2に対するLightCycler蛍光標識、PH=3’OH−リン酸化、FAM=5’−FAM標識、BHQ1=BlackHoleQuencherl。それぞれ小文字記載tは、重亜硫酸塩処理によって変換されたシトシンに対する点であり、小文字aは、逆相補合成鎖中の相補的アデノシン塩基に対する点である。
【0171】
本方法にしたがった方法:
試料組B:
DNAの測定をC3定量アッセイバージョンBにしたがって、そして10,000コピーのメチル化DNAのPCR産物に加えて、TPEF遺伝子のためのHeavyMethylアッセイ バージョンBにしたがって実施した。標準B(C6スルホン化ウラシルを含むDNA)を較正のために産生した。
【0172】
標準B(C6スルホン化ウラシルを含むDNA)の産生:
それぞれ2.0μgユニバーサルメチル化DNAを含む5つのチューブを、重亜硫酸塩処理プロトコールBにしたがって重亜硫酸塩で処理した。溶液中のDNAの濃度を重亜硫酸塩反応後、260nmでのUVによって決定した。
【0173】
PCR産物の産生
標準手順(重亜硫酸塩プロトコールA)にしたがって、10ngのメチル化重亜硫酸塩変換DNAを、TPEF遺伝子のためのHeavyMethylアッセイ バージョンAによって増幅した。PCR産物を、QIAquick PCR Purification Kitで精製し、続いて2%アガロースゲル上で解析した。この後、連続希釈を最終希釈1:1010まで水で実施した。2μlのこの希釈液を再増幅し、TPEF遺伝子のためのHeavyMethylアッセイ バージョンAにしたがって定量した。コピー数を測定し、2μlの前記希釈液が、10,000コピーのPCR産物を含む。
【0174】
重亜硫酸塩処理プロトコールB(キャリーオーバー保護のためのプロトコール):
100μlの水中に希釈した、0.5μgのDNAを含む100μlの試料(試料組B)を、354μlの重亜硫酸塩溶液(5.89mol/l)と、スカベンジャー(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン2−カルボン酸、2.5mlのジオキサン中98.6mg)を含む146μlのジオキサンと混合した。反応混合液を、99℃にて3分間変性させ、次いで以下の温度プログラムにて、合計5時間インキュベートした。50℃にて30分間、3分間の一温度スパイク、99.9℃、50℃にて1.5時間、3分間の一温度スパイク、99.9℃、50℃にて3時間。反応混合液のDNAを続いて、Millipore Microconカラムによって限外濾過で精製した。精製は、基本的に取扱説明書にしたがって実施した。本目的のために、反応混合液を、200μlの水と混合し、限外濾過膜上に乗せ、15分間遠心分離し、続いて水で洗浄した。DNAは、この処理で膜上に残存する。重亜硫酸塩処理プロトコールAと反対に、DNAをNaOHとはインキュベートさせず、ただしさらに水で洗浄した。この後、DNAを溶出した。この目的のために、膜を10分間、75μlの、前もって暖めた水(50℃)と混合した。次いで、膜をひっくり返して、取扱説明書にしたがって遠心分離して、膜からDNAを回収した。
【0175】
C3定量アッセイバージョンB:
20μlの反応混合液は以下を含んだ。
・2μlの鋳型DNA
・2μlのPCR産物(10,000コピー)
・2μlのハイブリッド形成プローブに対するFastStart LightCycler Mix(ロッシュ ダイアグノスティクス)
・3.5mol/l MgCl2(ロッシュ ダイアグノスティクス)
・0.60μmol/l フォワードプライマー(Seq ID−6、TIB−MolBiol)
・0.60μmol/l リバースプライマー(Seq ID−7、TIB−MolBiol)
・0.2μmol/l プローブ1(Seq ID−8、TIB−MolBiol)
・0.2ユニット ウラシル−DNA−グリコシラーゼ(ロッシュ ダイアグノスティクス)
【0176】
アッセイは、以下の温度−時間−プロファイルにしたがって実施した。
−プレインキュベーション 10分間、37℃
−脱スルホン化/活性化 30分間、95℃
−50サイクル:10秒間、95℃
30秒間、56℃
10秒間、72℃
【0177】
使用したプライマー(Seq ID−6およびSeq ID−7)は、GSTP1遺伝子(Seq ID−9.GenBank Accession Number X08058のヌクレオチド2273〜ヌクレオチド2402)の123bpの断片を増幅する。検出を530nmにてチャネルF1中56℃でのアニーリング相の間に実施した。交点(CP)を、LightCyclerソフトウェアによって、「二次導関数最大(Second derivative maximum)法にしたがって計算した。
【0178】
TPEF遺伝子に関するHeavyMethylアッセイにしたがったメチル化率の検出 バージョンB:
20μl反応混合液は以下を含んだ。
・2μlの鋳型DNA
・2μlのPCR産物(10,000コピー)
・2μlのハイブリッド形成プローブに対するFastStart LightCycler Mix(ロッシュ ダイアグノスティクス)
・3.5mol/l MgCl2(ロッシュ ダイアグノスティクス)
・0.30μmol/l フォワードプライマー(Seq ID−10、TIB−MolBiol)
・0.30μmol/l リバースプライマー(Seq ID−11、TIB−MolBiol)
・4.0μmol/l ブロッカー(Seq ID−12、TIB−MolBiol)
・0.15μmol/l ハイブリッド形成プローブ (Seq ID−13、TIB−MolBiol)
・0.15μmol/l ハイブリッド形成プローブ (Seq ID−14、TIB−MolBiol)
・0.2ユニット ウラシル−DNA−グリコシラーゼ(ロッシュ ダイアグノスティクス)
【0179】
アッセイは、以下の温度−時間−プロファイルにしたがって実施した。
−プレインキュベーション 10分間、37℃
−脱スルホン化/活性化 30分間、95℃
−50サイクル:10秒間、95℃
30秒間、56℃
10秒間、72℃
【0180】
使用したプライマー(Seq ID−10およびSeq ID−11)は、TPEF遺伝子(Seq ID−15、GenBank Accession Number AF242221のヌクレオチド1102〜ヌクレオチド1214)の113bpの断片を増幅する。検出は、640/530nmでの、チャンネルF2/F1中56℃でのアニーリング相間で実施した。交点(CP)を、LightCyclerソフトウェアによって、「二次誘導最大(Second derivative maximum)法にしたがって計算した。
【0181】
CPからのDNA量の計算:
C3定量アッセイおよびTPEF遺伝子に関するHeavyMethylアッセイ両方は、測定した試料のDNA量を計算するために外部標準を用いるリアルタイムPCRアッセイである。未知の濃度の絶対値(ng)を、同一の標的の公知の濃度で調製した標準曲線に対する未知の試料中のDNAの増幅の比較によって得る。標準試料を別のキャピラリー内で増幅するが、同一のLighCyclerで流す。標準曲線は、交点(閾値サイクル)のプロット対標準試料濃度の対数におけるデータ点を通した直線回帰線である。未知の試料のDNAの絶対量(ng)は、未知の試料のCPが標準曲線と一致する標準曲線のデータ点とマッチする。
【0182】
DNA量からのメチル化率の計算:本研究の結果は、TPEF遺伝子のプロモーター領域のメチル化率として表される。PMR値法(Eads CA et al.Cancer Res 2001 Apr 15;61(8):3410−8.PMID:11309301)にしたがって、メチル化率は同一の試料中で測定した総DNAの割合として試料中で測定したメチル化コピーのパーセンテージに等しい。表5および6にて、C3およびTPEFアッセイから得たすべてのCP、および得られたDNA量を列挙している。右カラムにおいて、メチル化率(PMR)が示され、これは、前にカラムにて列挙したDNA量から計算した。
【0183】
結果:
表5:標準ワークフローからの結果。大腸がんおよび正常な隣接組織試料を、重亜硫酸塩処理プロトコールAにて重亜硫酸塩処理し、次いで標準Aによって作成した較正曲線を用いてC3定量アッセイバージョンAで定量した。表は、2つの複製の交点と、計算したDNA量を示している。TPEF遺伝子のためのHeavyMethylアッセイ バージョンAは、TPEF遺伝子のプロモーター領域からのメチル化DNAのみを測定する。表は、2重の測定したCP値および計算されたDNA量を示している。最後に、メチル化パーセンテージ(PMR)を、メチル化DNAおよび総DNAの比によって計算した。
【0184】
【表5】

【0185】
表6:本発明にしたがった方法(キャリーオーバー保護)によって産生された結果。大腸がんおよび正常の隣接組織試料を、結果としてC6スルホン化ウラシルを含むDNAとなる重亜硫酸塩処理プロトコールBで重亜硫酸塩処理した。総DNAを標準Bによって作成した較正曲線を用いて、C3定量アッセイバージョンBで測定した。表は、2つの交点と計算したDNA量を示している。TPEF遺伝子のためのHeavyMethylアッセイ バージョンBでのメチル化DNAの測定の前に、反応液がチミンの代わりにウラシルを含む10,000コピーのTPEF単位複製配列で汚染された。表は、2つの測定したCPと計算したDNA量を示している。最後に、メチル化パーセンテージ(PMR)を、メチル化DNAおよび総DNAの比によって計算した。
【0186】
【表6】

【0187】
標準ワークフロー、およびしたがった方法によって得られた結果を相関プロットで比較する(図5)。それぞれのシンボルが、単一の試料、四角形腫瘍組織、三角形正常隣接組織を表している。標準ワークフロー(X軸)または本方法にしたがった方法(Y軸)にしたがって測定したメチル化のパーセンテージを各試料に関して示している。
【0188】
本発明にしたがった方法は、24試料のうち2つのみを、標準ワークフローのものとは異なるメチル化パーセンテージとした。本発明の方法にしたがって処理した試料が、ウラシルを含むTPEF単位複製配列で汚染されたが、ほぼすべての場合で、TPEF単位複製配列の増幅のための鋳型として試料のDNAのみが使用された。前記2つの試料の場合、おそらく、DNAのメチル化のパーセンテージが低かったために(0.2%以下)、異なる結果が起こった。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】図1は、重亜硫酸塩変換と呼ばれる非メチル化シトシンのウラシルへの完全な変換を記述している説明図である。
【図2】図2は、当分野の記載にしたがって、脱スルホン化重亜硫酸塩変換DNAからのGSTP1遺伝子のメチル化DNAのリアルタイム増幅のプロットを示す説明図である。
【図3】図3は、脱スルホン化なしの主張された新規方法にしたがった重亜硫酸塩変換DNAからのGSTP1遺伝子のメチル化DNAのリアルタイム増幅のプロットを示す説明図である。
【図4】図4は、ウラシルを含むDNAの効果的な分解を示す説明図である。
【図5】図5は、標準のワークフローおよび本発明にしたがった方法によって実施例3にて得られた結果の相関プロットを示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNAメチル化解析に好適な汚染除去核酸を提供するための方法であって、
a)核酸を、重亜硫酸試薬含有溶液とともにインキュベートすることで、それによって前記核酸内の非メチル化シトシンをスルホン化する、および/または脱アミノ化するが脱スルホン化しない、および
b)本混合液に、特異的に非スルホン化ウラシル含有核酸を分解する酵素を加え、前記混合液をインキュベートすることによって非スルホン化ウラシルを含有する核酸を分解する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
a)前記スルホン化および/または脱アミノ化鋳型核酸を、ポリメラーゼ仲介増幅反応または増幅に基づく検出アッセイのために必要な成分と混合すること、および
b)非スルホン化ウラシル含有核酸の分解後、非スルホン化ウラシル含有核酸の分解を引き起こす酵素活性を終結させること、および
c)鋳型核酸を脱スルホン化することを特徴する、ポリメラーゼに基づく増幅反応のために、汚染除去鋳型核酸を提供するための請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高温にて混合液を短時間インキュベートすることによって段階b)およびc)を同時に起こして、特異的に非スルホン化ウラシル含有核酸を分解する酵素活性を終結させ、鋳型核酸を脱スルホン化する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
続く段階d)にて、鋳型核酸を増幅する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
特異的に非スルホン化ウラシル含有核酸を分解する酵素が、DNAグリコシラーゼまたはエンドヌクレアーゼ、特にUNGである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
スルホン化ウラシル含有核酸の分解、および鋳型核酸の脱スルホン化を引き起こす酵素活性の終結に際して、ポリメラーゼに基づく増幅反応を開始し、および/または増幅に基づくアッセイを実施する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリメラーゼに基づく増幅反応を、高温での短時間のインキュベーション(熱活性化)によって開始する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリメラーゼが、熱安定性ポリメラーゼである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリメラーゼ仲介増幅または増幅に基づくアッセイを、dTTPの代わりにdUTPの存在下で実施する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
特異的に非スルホン化ウラシル含有核酸を分解する酵素のユニット量を、本質的にすべての潜在汚染物を分解するために必要である、段階b)にて加える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
a)核酸を、重亜硫酸試薬含有溶液とともにインキュベートすることによって、前記核酸内の非メチルシ化シトシンをスルホン化する、および/または脱アミノ化するが脱スルホン化しない、
b)前記スルホン化および/または脱アミノ化鋳型核酸を、ポリメラーゼ仲介増幅反応または増幅に基づく検出アッセイのために必要な成分と混合する、
c)前記混合物の高温での短時間のインキュベーションによって、スルホン化および/または脱アミノ化鋳型核酸を脱スルホン化する、
ことを特徴とする、核酸の重亜硫酸塩処理の方法。
【請求項12】
脱スルホン化鋳型核酸を、好ましくは、ポリメラーゼ仲介増幅反応または増幅に基づく検出アッセイにて増幅し、熱安定性ポリメラーゼを使用することが好ましいことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリメラーゼに基づく増幅反応を、高温での短時間のインキュベーション(熱活性化)によって開始し、それによって増幅開始と同時に、スルホン化および/または脱アミノ化鋳型核酸の脱スルホン化が起こることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
以下の成分、すなわち、重亜硫酸塩を含む試薬、および非スルホン化ウラシルを含有するDNAを特異的に分解する酵素活性、特に本酵素活性がUNGである、1つ以上の先行する請求項に記載の方法の実現のために使用可能である試験キット。
【請求項15】
以下のさらなる成分、すなわち、変性試薬および溶液、スカベンジャー、プライマー、プローブ、反応緩衝液、ヌクレオチド、MgCl2溶液、増幅物の産出のためのポリメラーゼおよび/または色素、および/または先行する請求項の一項に記載のアッセイを実施するために有用である試薬、溶液および取扱説明書の1つ以上を含む、請求項14に記載の試験キット。
【請求項16】
患者または個体に対する有害事象の診断および/予後のための、請求項1〜13に記載の方法、または請求項14または15の試験キットの使用であって、それによってこれらの有害事象が、少なくとも1つの以下のカテゴリー、すなわち、望まない薬物相互作用、癌疾患、CNS機能不全、障害または疾患、凝集または行動障害の症状、脳障害の臨床的、心理的および社会的結果、精神異常および人格障害、認知症および/または関連症候群、胃腸管の心臓血管障害、呼吸器系の機能不全、障害または疾患、損傷、炎症、感染、免疫および/または回復、発達過程における異常としての体の機能不全、障害または疾患、皮膚の、筋肉の、連結組織の、または骨の、機能不全、障害または疾患、内分泌および代謝機能不全、障害または疾患、頭痛または性機能不全に帰属する、使用。
【請求項17】
細胞型または組織を区別するための、または細胞分化の調査のための、請求項1〜13に記載の方法、または請求項14または15に記載の試験キットの使用。
【請求項18】
DNAメチル化状態が、単一の定義された疾患が存在する場合に、正常の状態と比較して位置がメチル化されるかまたはメチル化されていないことを特徴とする、請求項1〜3に記載の方法、または請求項14または15に記載の試験キットの使用。
【請求項19】
鋳型核酸が、重亜硫酸塩およびUNG酵素活性で処理され、指示特異的標的が、健康な組織に由来するDNAと比較して疾患組織に由来するDNAのDNAメチル化状態における差として定義される、指示特異的標的を同定するための請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記指示特異的標的がタンパク質、ペプチドまたは酵素である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
コードされたタンパク質、ペプチドまたは酵素の本質的に公知の調節物が、疾患組織の特異的指標に割り当てられる、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
特異的指標、特に特異的癌指標で薬学的組成物を調製するための、請求項21に記載の方法によって指定された調節物の使用。
【請求項23】
メチル化解析のための、汚染物を含まない核酸の産生のための酵素UNGの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−515447(P2008−515447A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536113(P2007−536113)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011133
【国際公開番号】WO2006/040187
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(500247105)エピゲノミクス アーゲー (15)
【Fターム(参考)】