説明

核酸分析方法

本発明は核酸の分析法を提供する。ポリメラーゼ反応の際に、二価金属イオンの非存在下では、核酸鋳型とヌクレオチドとポリメラーゼとの閉鎖複合体を形成できる。これを用いて、閉鎖複合体における次の鋳型ヌクレオチドと相補的な標識ヌクレオチドを捕捉する。標識を検出すれば、この次の正しいヌクレオチドを同定できる。同定は、複合体の一部としてその場で、或いは二価金属イオンの添加によって反応サイクルが完了したときに複合体から色素を溶出させる際に実施できる。こうして、DNAのヌクレオチドを順次同定し、DNA配列を効率的に決定することができる。この方法は、1種類の鋳型核酸分子にも、PCR産物又はクローンのような同一又は略同一の配列の集合体にも適用できる。多数の鋳型を(特に固体担体に固定化した場合)パラレルに配列決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、核酸ポリメラーゼの基質として標識ヌクレオチドを使用して試料中のポリヌクレオチドの配列を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAポリメラーゼは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)や3SR(self−sustained sequence replication)のような核酸増幅及びDNAシークエンシングのような多くの組換えDNA技術に有用なな酵素である。熱安定性DNAポリメラーゼは特に有用である。ポリメラーゼ活性が熱で損なわれないので、変性段階毎にポリメラーゼを追加する必要がない。
【0003】
その触媒サイクルで形成されるDNAポリメラーゼ−DNA複合体は、「正しい」dNTP又はddNTPが活性部位に結合すると、「開鎖」状態から「閉鎖」状態への律速構造転移を起こすことが知られている。「閉鎖」状態では、プライマー末端のピロリン酸の3′ヒドロキシルによる求核置換を伴う迅速な化学段階をMg2+(又は他の金属イオン)が媒介する。ピロリン酸(PPi)が放出されると、酵素は「開鎖」状態に戻り、転位によって次回の反応が開始される。三元複合体(酵素−DNA−dNTP(又はddNTP))はMg2+(又は他の金属イオン)の非存在下で形成できるが、ヌクレオチドの化学付加を起こすのはMg2+(又は他の金属イオン)の存在下のみである。Mg2+(又は他の金属イオン)が欠乏した状態では、密接した三元複合体で第一の「正しい」dNTPの非共有結合(物理的)隔離をもたらす傾向がある(Doublie et al.(15 February 1999) Structure Fold. Des., 7(2):R31−5)。
【非特許文献1】Doublie et al.(15 February 1999) Structure Fold. Des., 7(2):R31−5
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述の知見を利用し、この閉鎖複合体を用いてDNA合成時のポリメラーゼを停止させ、次の鋳型ヌクレオチドと相補的なヌクレオチドを捕捉することによって、次の正しいヌクレオチドを同定できるようにしたものである。このヌクレオチドは、複合体の一部としてその場で、或いは二価金属イオンの添加によって反応サイクルが完了したときに複合体から色素を溶出させる際に同定できる。こうして、DNAのヌクレオチドを順次同定し、DNA配列を効率的に決定することができる。この方法は、1種類の鋳型核酸分子にも、或いはPCR産物やクローンのような同一(又は略同一)の配列の集合体にも適用できる。所望に応じて、多数の鋳型を(特にプレートやビーズのような固体担体に有効に固定化した場合)パラレルに配列決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
定義
本明細書で用いる「ヌクレオシド」という用語は、プリン、デアザプリン、ピリミジン又は修飾塩基が糖又は炭素環式もしくは非環式基のような糖置換体に1′位又は等価な部位で結合した化合物であり、2′−デオキシ、2′−ヒドロキシル、2′,3′−ジデオキシ型その他の置換体を包含する。
【0006】
本明細書で用いる「ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシドのリン酸エステルをいい、エステル化部位は典型的には五炭糖のC5位についた水酸基に相当する。
【0007】
「オリゴヌクレオチド」という用語には、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシドなどを始めとするヌクレオチド又はその誘導体の線状オリゴマーが包含される。本明細書全体を通して、オリゴヌクレオチドを文字の配列で示すときは、特記しない限り、ヌクレオチドは左から右に5′→3′方向の順序で示し、Aはデオキシアデノシン、Cはデオキシシチジン、Gはデオキシグアノシン、Tはチミジンを表す。
【0008】
「プライマー」という用語は、あるユニーク核酸配列に特異的にアニールして、そのユニーク配列の増幅を可能にする線状オリゴヌクレオチドをいう。
【0009】
「ターゲット核酸配列」などの用語は、その配列の同定又はヌクレオシドの順序もしくは位置を本発明の1以上の方法で決定する核酸をいう。
【0010】
本発明は、核酸ポリメラーゼ活性によるRNA又はDNA合成のモニタリングに簡便なアッセイ法を用いる試料中のポリヌクレオチドの特性決定法に関する。核酸重合酵素は、ヌクレオシド三リン酸(NTP)又はデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)から成長オリゴヌクレオチド鎖の3′ヒドロキシルにヌクレオシド一リン酸を転移して、核酸分子を合成する。この反応では無機ピロリン酸も放出される。ポリメラーゼ反応の触媒サイクルでは、DNAポリメラーゼ−DNA複合体は、「正しい」dNTP又はddNTPが活性部位に結合した後、「開鎖」状態から「閉鎖」状態への律速構造転移を起こすことが知られている。Mg2+(又は他の二価陽イオン)の非存在下では、三元複合体(酵素−DNA−dNTP(又はddNTP))が形成されるが、dNTP又はddNTPは成長核酸分子に付加されない。そのため、三元複合体で次の「正しい」ヌクレオチドの非共有結合的(物理的)隔離をもたらす。本発明は、この知見を利用し、この閉鎖複合体を用いて核酸合成時のポリメラーゼを停止させ、次の鋳型ヌクレオチドと相補的なヌクレオチドを捕捉することによって、次の正しいヌクレオチドを同定できるようにしたものである。こうして、DNA又はRNA分子の配列を1ヌクレオチドずつ構築することができる。
【0011】
ある実施形態では、ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼI、IIもしくはIII又はDNAポリメラーゼα、β、γ又はターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼもしくはテロメラーゼのようなDNAポリメラーゼである。別の実施形態では、好適なポリメラーゼとしては、特に限定されないが、DNA依存性RNAポリメラーゼ、プライマーゼ又はRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)が挙げられる。RNAポリメラーゼを使用する場合、RNAポリメラーゼに認識されるプロモータ配列が核酸鋳型又はプライマー配列に含まれる。
【0012】
本発明の方法における配列決定用の核酸鋳型としては、RNA又はDNA鋳型が挙げられる。RNAを鋳型として使用する場合、核酸重合酵素は逆転写酵素又はRNAポリメラーゼでよい。
【0013】
本発明の方法では、比色色素もしくは蛍光標識を有するデオキシヌクレオシドポリリン酸、ジデオキシヌクレオシドポリリン酸、炭素環式ヌクレオシドポリリン酸又は非環式ヌクレオシドポリリン酸類似体が利用される。これらのヌクレオシドポリリン酸の塩基は、ウラシル、チミン、シトシン、5−メチルシトシン、グアニン、7−デアザグアニン、ヒポキサンチン、7−デアザヒポキサンチン、アデニン、7−デアザアデニン、2,6−ジアミノプリン及びこれらの類似体からなる群から選択される。結合ヌクレオチドを同定するため、ヌクレオチドは蛍光色素又は着色色素その他の検出可能な標識で標識される。好適な蛍光色素は、キサンテン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、アゾ色素、ポルフィリン色素、クマリン色素、Bodipy色素及びこれらの誘導体からなる群から選択し得る。好適な着色色素は、アゾ色素、メロシアニン色素、シアニン色素、キサンテン色素、ポルフィリン色素、クマリン色素、Bodipy色素及びこれらの誘導体からなる群から選択し得る。これらの色素は周知であり、幾つかの市販元から入手可能である。
【0014】
以下で説明する通り、本発明の方法は単一分子又は均一分子集団の配列の検出に使用できる。この方法は未知の鋳型の配列決定にも使用できるが、既知配列の確認、単一ヌクレオチドの多型性の同定、単一塩基伸長反応の実施などにも使用できる。この方法の様々な段階を繰返すことによって、各サイクル毎に同一分子の追加の配列を検出できる。単一分子又は均一分子集団の配列決定を目的とする場合、上記諸段階をフロースルー又はストップフロー系で逐次実施できる。かかるフロースルー又はストップフロー系では、ポリメラーゼ−鋳型−ヌクレオチドの三元複合体をビーズ上に固定化し、ビーズをマイクロチャネルの一部に局在化することができる。
【0015】
或いは、以下で説明する通り、本発明の方法は、多数の鋳型を同時に配列決定するための大規模なパラレル反応が実施できるように適合させることもできる。多重検出では、ポリメラーゼ−鋳型−ヌクレオチドの三元複合体を担体(例えばキャピラリー)の限られた箇所にあるビーズに固定化してもよいし、或いはマイクロチャネルの内面又は顕微鏡スライドなどの表面に固定化してもよい。顕微鏡スライドの表面は平面でも被覆面でもよい。また、該表面は、表面に凹凸(テクスチャー)を生じるように空間的に離散した複数の微少構造を含んでいてもよく、テクスチャー面は非テクスチャー面よりも大きな表面積を与える。
【0016】
本発明の方法では、鋳型−ポリメラーゼ−ヌクレオチド複合体を担体表面に固定化する必要がある。固定化は三元複合体の形成前又は形成後のいずれに行ってもよい。三元複合体の形成前に固定化を行う場合、幾つかの成分のいずれかを固定化すればよい。かかる成分としては、プライマー、核酸鋳型、核酸重合酵素又はプライマー−鋳型複合体が挙げられる。三元複合体の形成後に固定化を行う場合、複合体自体を固定化する。多数の鋳型試料の多重分析では、固定化された分子種(プライマー、核酸鋳型、核酸重合酵素又はプライマー−鋳型複合体もしくは三元複合体)は担体面に規則的パターンを形成することができる。かかる分子種を表面にランダムに固定化してもよい。ただし、ある複合体(又は均一複合体集団)に結合した色素からのシグナルが近隣の別の固定化複合体のシグナルと容易に識別できるように、異なる分子種の各々は別々の位置に局在化する。
【0017】
三元複合体の安定性は種々異なる。以下に示す通り、FY7 DNAポリメラーゼ(米国特許第6479267号)は、鋳型及び色素標識ヌクレオチドと極めて安定な複合体を形成できる。この場合、標識dNTPを用いた単一核酸分子の段階的配列決定が可能である。この方法を多重様式で用いると、数万もの鋳型を極めて短時間に同時に配列決定できるし、DNAの長い領域を配列決定できる。これらの方法について、以下でさらに詳しく説明する。
【0018】
核酸鋳型のターゲット領域の特性決定法の一実施形態は、a)核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む4種類の末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、核酸鋳型、プライマー及び核酸重合酵素からなる群から選択される1成分又はこれらの成分の2種以上からなる第一の複合体が担体に固定化されており、上記4種類の末端リン酸標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、担体上で核酸重合反応を開始する段階、b)上記反応混合物をインキュベートして核酸重合反応を進行させて、上記核酸鋳型と、上記プライマーと、上記核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む第二の複合体を形成する段階、c)上記反応混合物の未結合末端リン酸標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、及びd)第二の複合体から末端リン酸標識ヌクレオチドの標識を検出して、結合ヌクレオチドを同定する段階を含む。
【0019】
この実施形態で核酸ポリメラーゼ反応に用いられる鋳型は単一分子又は均一分子集団である。第一の塩基の後に追加の塩基の配列決定をするため、上記の段階(a)〜(d)に加えて、e)二価陽イオンを添加して(この段階では遊離ヌクレオチドの非存在下で)重合反応を完了させる段階、f)二価陽イオン及び重合反応の他の最終生成物を除去する段階、g)配列中の追加のヌクレオチドを決定するため段階(a)〜(f)を繰返す段階が実施される。
【0020】
段階(a)〜(d)のいずれか又はすべての段階、特に段階(f)において、反応混合物に存在しかねない残留二価陽イオンを封鎖するため、適宜、過剰のキレート剤(例えばEDTA)を添加してもよい。なお、同じ目的のため、必要に応じて、本明細書に開示した各方法においてキレート剤を添加してもよい。キレート剤を添加しても、鋳型−ポリメラーゼ−dNTP(又はddNTP)三元複合体の形成は阻害されない。これは、以下の実施例で実験的に実証されている。キレート剤は、二価陽イオン(例えばマンガン又はマグネシウム)の添加によって除去され、ポリメラーゼ反応サイクルを完了させることができる。
【0021】
上述の実施形態のスキームを核酸鋳型の核酸配列の特性決定に用いる場合、3種類以下の末端リン酸標識ヌクレオチドを使用できることもある。例えば、サンプル鋳型の二多型性SNPを特性決定する場合には、2種類の末端リン酸標識ヌクレオチドで足りる。サンプル鋳型における特定の核酸配列の存在を判断する場合には、1種類の末端リン酸標識ヌクレオチドで足りる。
【0022】
これらの実施形態を多重様式で用いると、数万もの鋳型を極めて短時間に同時に配列決定できるし、DNAの長い領域を配列決定できる。そこで、本明細書に記載した複数の核酸鋳型のターゲット領域のパラレル特性決定の一実施形態は、a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマー又は核酸鋳型を支持構造体に固定化し、各プライマー(又は同一プライマーの複数のコピー)又は鋳型支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、b)複数のプライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、上記1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、上記支持構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、c)上記反応混合物をインキュベートして核酸重合反応を進行させて、各々複数のプライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む複数の複合体を形成する段階、d)上記反応混合物の未結合末端リン酸標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、及びe)識別可能な別々の位置の各々で複合体から末端リン酸標識ヌクレオチドの識別可能な標識を検出する段階を含む。さらに、検出結果は適宜データ記憶媒体に記録され、結果は4種類のヌクレオチド配列の1つに変換される。
【0023】
この方法において、核酸ポリメラーゼ反応に用いられる鋳型(又はプライマー)の各々は単一分子又は均一分子集団である。第一の塩基の後に追加の塩基の配列を決定するため、上記段階(a)〜(e)に加えて、f)二価陽イオンを添加して重合反応を完了させる段階、g)二価陽イオン及び重合反応の他の生成物を除去する段階、h)複数の核酸鋳型の各々の追加のヌクレオチドを特性決定するため段階(a)〜(g)を繰返す段階が実施される。図1は、本発明の多重法の実施形態を示す図である。
【0024】
本明細書に記載した核酸鋳型のターゲット領域の配列決定法の別の実施形態は、(a)核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、核酸鋳型、プライマー及び核酸重合酵素からなる群から選択される1成分又はこれらの成分の2種以上からなる第一の複合体が担体に固定化されており、上記1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、担体上で核酸重合反応を開始する段階、(b)上記反応混合物をインキュベートして核酸重合反応を進行させて、上記核酸鋳型と、上記プライマーと、上記核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む第二の複合体を形成する段階、(c)上記反応混合物の未結合末端リン酸標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、(d)二価陽イオンを添加して重合反応を完了させる段階、(e)第二の複合体から末端リン酸標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、(f)結合したヌクレオチドを同定する段階、(g)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、(h)配列中の各々の追加のヌクレオチドを決定するため段階a)〜g)を繰返す段階を含む。この実施形態で核酸ポリメラーゼ反応に用いられる鋳型は単一分子又は均一分子集団である。
【0025】
本発明は、さらに、上述の諸段階を連続フロースルー又はストップフロー系に用いてターゲット配列を配列決定する方法であって、当技術分野で公知の手段で上記固定化材料を所定の位置に保持し、各種試薬及び緩衝液を系の一方から吸引して、系の他方に排出する方法を提供する。試薬及び緩衝液は連続的に流してもよいし、重合反応を進行させる所定時間一定の場所に留めてもよい。この方法の例を図2に示す。図2に示す通り、マイクロチャネル内のビーズは、反応複合体を固定化するための担体表面を与える。緩衝液及び試薬が系を移動するのに伴って、ポリメラーゼ反応から遊離した色素が、マイクロチャネルの出口端に向かって移動する。ポリメラーゼに捕捉された色素標識dNTP(又はddNTP)の検出は、たとえ二価陽イオンの添加によってヌクレオチドから色素が遊離した後であっても、系内の幾つかの個所で実施できる。このような個所としては、ビーズが(二価陽イオンの添加前後に)保持される個所、或いはその下流でビーズは保持されているが色素が系から排出される前の箇所が挙げられる。別法として、色素含有溶液が系から排出される際に回収してから検出してもよい。
【0026】
閉鎖複合体の安定性(pH又は温度のような反応条件によって左右されることがある。)が数分ももたず数秒間であるような場合であっても、本発明の方法は単一分子の配列決定に使用できる。検出技術としては、複合体の部位での蛍光の顕微鏡的「閃光」の観察が挙げられ、次の正しい(標識)ヌクレオチドの一時的(数秒間)結合(DNA−DNAポリメラーゼ複合体の着色「光輝」を生じる)の指標となる。次のヌクレオチドが正しいときにしか形成されない「閉鎖複合体」は、次のヌクレオチドが誤った開鎖複合体の10倍以上の寿命を有するので、その蛍光は複合体部位で観察されるシグナルを支配する。この蛍光は遊離ヌクレオチドの蛍光から容易に識別でき、遊離ヌクレオチドの蛍光は、特に低濃度で存在するとき、複合体部位で極めて短時間しか残留しない。末端リン酸標識dNTP又はddNTPを使用することができるが、塩基標識ddNTPも使用できる。その結果、プライマーの3′末端の単一の「次の」ヌクレオチドが同定される。SNPのような関心のある座位に隣接するようにプライマーを選択すれば、この情報だけでも有用となる。
【0027】
これらの方法について以下でさらに詳しく説明する。本明細書に記載した核酸鋳型のターゲット領域の分析法の一実施形態は、a)核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上のヌクレオチドとを含む反応混合物であって、核酸鋳型、プライマー及び核酸重合酵素からなる群から選択される1成分又はこれらの成分の2種以上からなる第一の複合体が担体に固定化されており、上記1種以上の標識ヌクレオチドの1つが重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、担体上で核酸重合反応を開始する段階、b)上記反応混合物をインキュベートして、上記核酸鋳型と、上記プライマーと、上記核酸重合酵素と、上記1種以上の標識ヌクレオチドのうち重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含むものとを含む第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、c)上記標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、d)検出された識別可能な標識に基づいてヌクレオチドを同定する段階を含む。
【0028】
この方法で核酸ポリメラーゼ反応に用いられる鋳型は単一分子又は均一分子集団である。第一の塩基の後に追加の塩基を分析するため、段階(a)〜(d)に加えて、e)反応混合物から1種以上の標識ヌクレオチド及び他の成分を除去する段階、f)核酸重合酵素、二価陽イオン、及び重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含むヌクレオチドを反応混合物に添加する段階、g)反応混合物を所定時間インキュベートして重合反応を完了させる段階、h)二価陽イオン、ヌクレオチド及び重合反応の他の最終生成物を除去する段階、i)追加のヌクレオチドを分析するため段階(a)〜(h)を繰返す段階が実施される。
【0029】
この方法の短所は、同一塩基の繰返しを十分には配列決定できないことである。例えば、GGGTTTCCTCTC(配列番号1)の配列はGTCTCTC(配列番号2)と読まれるが、この情報は多くの状況下、特に既知配列を確認する際に有用である。
【0030】
これらの方法を多重様式で用いると、数万もの鋳型を極めて短時間に同時に配列決定できるし、DNAの長い領域を配列決定できる。そこで、本明細書に記載した複数の核酸鋳型のターゲット領域のパラレル特性決定の一実施形態は、a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマーを支持構造体に固定化し、各プライマー(又は同一プライマーの複数のコピー)を上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、b)複数の固定化プライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む4種類の標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、上記4種類の標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、上記構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、c)上記反応混合物をインキュベートして、各々複数の固定化プライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む標識ヌクレオチドとを含む複数の第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、d)上記識別可能な別々の位置の各々で、標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、e)段階d)で得られたデータをデータ記憶媒体に記録する段階、f)記録されたデータを4種類のヌクレオチドの1つに変換することによって、複数の核酸鋳型の各々のターゲット配列を特性決定する段階を含む。
【0031】
この方法で核酸ポリメラーゼ反応に用いられる鋳型(又はプライマー)は単一分子又は均一分子集団である。この方法の短所は、同一塩基の繰返しを十分には配列決定できないことである。例えば、上述の通り、GGGTTTCCTCTC(配列番号1)の配列はGTCTCTC(配列番号2)と読まれるが、この情報は多くの状況下で有用である。この方法では第一の塩基の配列情報しか得られないが、同様の方法を繰返すことによって、各鋳型の多数の塩基に関する配列情報を得ることができる。
【0032】
多重様式で使用できる他の方法でも、数万もの鋳型を極めて短時間に同時に配列決定できるし、DNAの長い領域を配列決定できる。同一の鋳型からの多数の塩基の配列を得ることができるが、同じ制約を伴う。同一塩基の繰返しは容易には検出できない(例えば、GGGTTTCCTCTC(配列番号1)の配列はGTCTCTC(配列番号2)と読まれる)。そこで、本明細書に記載した複数の核酸鋳型のターゲット領域のパラレル特性決定の一実施形態は、a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマーを支持構造体に固定化し、各プライマーを上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、b)複数の固定化プライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、1種類の標識ヌクレオチドとを含む反応混合物を形成することによって、上記支持構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、c)上記反応混合物をインキュベートして、各々複数の固定化プライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む標識ヌクレオチドとを含む複数の第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、d)識別可能な別々の位置の各々で標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、e)検出段階で得られたデータをデータ記憶媒体に記録する段階、f)反応混合物から標識ヌクレオチド及び他の成分を除去する段階、g)上記反応混合物に、核酸重合酵素、二価陽イオン及び標識ヌクレオチドの非標識等価物を添加する段階、h)反応混合物を所定時間インキュベートして重合反応を完了させる段階、i)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、j)4種類のヌクレオチドすべてが試験されるまで、他の3種類のヌクレオチドの各々について段階a)〜i)を繰返す段階、k)追加のヌクレオチド配列を決定するため段階a)〜j)を繰返す段階を含む。
【0033】
この方法で得られるデータ(色素標識情報)は、適切なアルゴリズムを備えるコンピュータシステムで処理される。データは、データ生成直後に又は実験反応の最後に、4種類のヌクレオチドの各々の配列情報に変換される。これらの配列は、次いで複数の核酸鋳型の各々に対して集成される。なお、標識ヌクレオチドの添加順序は予め設定されたサイクルで実施できるが、必須ではない。
【0034】
以下の例で、上記方法を用いて2種類の鋳型核酸分子の配列を決定する方法を例示する。分析すべき配列が(a)GGGTTTCCTCTC(配列番号1)及び(b)CTCTCCTTTTGGG(配列番号3)であると仮定すると、G、C、A及びTと相補的なヌクレオチドをこの順序で添加する。段階(j)の最初のサイクルでは、Gと相補的なヌクレオチドを添加する。鋳型の次のヌクレオチド塩基がGである個所からシグナルが検出される(この例では配列番号1)。鋳型の次のヌクレオチド塩基がGでない個所からはシグナルは検出されない(この例では次がCである配列番号3)。情報はデータ記憶媒体に記録される。2回目のサイクルでは、Cと相補的なヌクレオチドを添加する。このサイクルでは、配列番号3の鋳型(次がC)を含む個所からシグナルが検出される。配列番号1の鋳型(次がT)を含む個所からはシグナルは検出されない。この場合も、情報はデータ記憶媒体に記録される。こうしたサイクルを続けると、2種類の鋳型に関するデータが得られる。4種類のヌクレオチドの各々での反応を十分なサイクル行って検出可能なデータが得られなくなったときは、鋳型の配列が完全に決定されたことを示す。配列番号1の鋳型に関して反応の最終結果はGTCTCTC(配列番号2)と読まれ、配列番号3の鋳型に関して反応の最終結果はCTCTCTG(配列番号4)と読まれる。
【0035】
閉鎖複合体の安定性が数秒乃至数分でしかない場合であっても、本発明の方法は単一分子の配列決定に使用できる。検出技術としては、複合体の部位での蛍光の顕微鏡的「閃光」の観察が挙げられ、次の正しい(標識)ヌクレオチドの一時的(数秒乃至数分間)結合の指標となる。末端リン酸標識dNTP又はddNTPを使用することができるが、塩基標識ddNTPも使用できる。この技術の唯一の短所は、同一塩基の繰返しを十分には配列決定できないことである。例えば、GGGTTTCCTCTC(配列番号1)の配列は、GTCTCTC(配列番号2)と読まれるが、この情報は有用である。
【0036】
これらの方法について以下でさらに詳しく説明する。本明細書に記載した核酸鋳型のターゲット領域の分析法の一実施形態は、(a)核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上のヌクレオチドとを含む反応混合物であって、核酸鋳型、プライマー及び核酸重合酵素からなる群から選択される1成分又はこれらの成分の2種以上からなる第一の複合体が担体に固定化されており、上記1種以上の標識ヌクレオチドの1つが重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、担体上で核酸重合反応を開始する段階、(b)上記反応混合物をインキュベートして、上記核酸鋳型と、上記プライマーと、上記核酸重合酵素と、上記1種以上の標識ヌクレオチドのうち重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含むものとを含む第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、(c)1種以上の標識ヌクレオチドの未結合部分、及び反応混合物の他の成分を反応混合物から除去する段階、(d)標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、(e)検出された識別可能な標識に基づいて核酸配列を決定する段階を含む。
【0037】
この方法で核酸ポリメラーゼ反応に用いられる鋳型は単一分子又は均一分子集団である。第一の塩基の後に追加の塩基を分析するため、上記段階(a)〜(e)に加えて、(f)核酸重合酵素、二価陽イオン、及び同定された塩基配列を含む非標識ヌクレオチドを反応混合物に添加する段階、(g)反応混合物を所定時間インキュベートして重合反応を完了する段階、(h)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、(i)各々追加のヌクレオチドを配列決定するため段階(a)〜(h)を繰返す段階が実施される。標識ヌクレオチドが塩基標識されている場合、鋳型−プライマー−ポリメラーゼ複合体捕捉標識ヌクレオチドを除去するため、段階(f)の前に追加の洗浄段階を実施するのが好ましい。
【0038】
図3は、上記で詳しく説明した閉鎖複合体の段階で休止したリン酸標識ヌクレオチドによる配列決定のための反応及び検出スキームを示す図である。この方法の唯一の短所は、同一塩基の繰返しを十分には配列決定できないことである。例えば、上述の通り、GGGTTTCCTCTC(配列番号1)はおそらくGTCTCTC(配列番号2)と読まれるが、この情報は多くの状況下で有用である。
【0039】
これらの方法を多重様式で用いると、数万もの鋳型を極めて短時間に同時に配列決定できるし、DNAの長い領域を配列決定できる。そこで、本明細書に記載した複数の核酸鋳型のターゲット領域のパラレル特性決定の別の実施形態は、(a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマーを支持構造体に固定化し、各プライマー(又は各プライマーの複数のコピー)を上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、(b)複数の固定化プライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む4種類の標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、上記4種類の標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、上記構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、(c)上記反応混合物をインキュベートして、各々複数の固定化プライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む標識ヌクレオチドとを含む複数の第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、(d)上記反応混合物から、反応混合物の未結合標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、(e)上記識別可能な別々の位置の各々で、標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、(f)標識について得られた情報をデータ記憶媒体に記録する段階、(g)記録されたデータを4種類のヌクレオチドの1つに変換することによって、複数の核酸鋳型の各々のターゲットヌクレオチド配列を特性決定する段階を含む。
【0040】
この方法で核酸ポリメラーゼ反応に用いられる鋳型(又はプライマー)の各々は単一分子又は均一分子集団である。図4は、上記で詳しく説明したパラレル配列決定のための反応スキームを示す図である。この方法の短所は、同一塩基の繰返しを十分には配列決定できないことである。例えば、上述の通り、GGGTTTCCTCTC(配列番号1)はGTCTCTC(配列番号2)と読まれるが、この情報は多くの状況下で有用である。この方法では第一の塩基の配列情報しか得られないが、同様の方法を繰返すことによって、各鋳型の多数の塩基に関する配列情報を得ることができる。
【0041】
多重様式で使用できる他の方法でも、数万もの鋳型を極めて短時間に同時に配列決定できるし、DNAの長い領域を配列決定できる。この方法を用いて、同一の鋳型から多数の塩基の配列を得ることができる。そこで、本明細書に記載した複数の核酸鋳型のターゲット領域のパラレル特性決定の別の実施形態は、(a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマーを支持構造体に固定化し、各プライマーを上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、(b)複数の固定化プライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、1種類の標識ヌクレオチドとを含む反応混合物を形成することによって、上記支持構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、(c)上記反応混合物をインキュベートして、各々複数の固定化プライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む標識ヌクレオチドとを含む複数の第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、(d)上記反応混合物から、反応混合物の未結合標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、(e)識別可能な別々の位置の各々で標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、(f)検出段階で得られたデータをデータ記憶媒体に記録する段階、(g)上記反応混合物に、核酸重合酵素、二価陽イオン及び標識ヌクレオチドの非標識等価物を添加する段階、(h)反応混合物を所定時間インキュベートして重合反応を完了する段階、(i)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、(j)4種類のヌクレオチドすべてが試験されるまで、他の3種類のヌクレオチドの各々について段階a)〜i)を繰返す段階、(k)追加のヌクレオチド配列を決定するため段階a)〜j)を繰返す段階を含む。標識ヌクレオチドが塩基標識されている場合、鋳型−プライマー−ポリメラーゼ複合体捕捉標識ヌクレオチドを除去するため、段階(g)の前に追加の洗浄段階を実施するのが好ましい。
【0042】
この方法で得られたデータ(色素標識情報)は、適切なアルゴリズムを備えるコンピュータシステムで処理される。データは、データ生成直後に又は実験反応の最後に、4種類のヌクレオチドの各々の配列に変換される。これらの配列は、次いで複数の核酸鋳型の各々に対して集成される。なお、標識ヌクレオチドの添加順序は予め設定されたサイクルで実施できるが、必須ではない。
【実施例】
【0043】
以下の実施例で本発明の好ましい実施形態を例示するが、あらゆる実施形態を例示したものではない。これらの実施例は、特許請求の範囲及び/又は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0044】
実施例1:「閉鎖複合体」の形成の実証
図5は、蛍光標識ヌクレオチドを使用して、このタイプの安定な閉鎖複合体が形成される根拠を示す図である。本明細書に開示した通り複合体を検出できることを明瞭に示している。ポリメラーゼ反応(20μl)は、(25mMトリス:ホウ酸、pH=7.5、0.1mM EDTA、10%グリセロール)中で実施し、標記の通り、50ピコモルのプライマー結合鋳型、+/−20ピコモルの正荷電標識ddGTP及び/又はddATP、+/−3ピコモルのFY7 DNAポリメラーゼを含んでいた。複合体の形成は、ポリメラーゼとプライマー鋳型と正しいヌクレオチドが存在する場合にのみ確認される。
【0045】
図6は、「閉鎖複合体」が50mM以下のEDTA中で形成され、SDSで破壊され、「コールド」競合物で競合されることを例証した図である。反応(20μl)は、(25mMトリス:ホウ酸、pH=7.5、図に示す通り50mM又は0.1mM EDTA、及び10%グリセロール)中で実施し、標記の通り、Tが次の鋳型ヌクレオチドであるプライマー結合鋳型50ピコモル、20ピコモルの正荷電標識ddATP(次の正しいヌクレオチド)、+/−3ピコモルのFY7 DNAポリメラーゼを含んでいた。複合体形成後に、図に示す通り[4mM ddATP]を添加し、試料を95℃で30秒間加熱し、冷却してから、図に示す通りローディングした。反応生成物をローディングし、50mMトリス:ホウ酸(pH=7.5)中の7%PAGEで分離した。ddATP−鋳型−FY7 DNAポリメラーゼの閉鎖複合体は、50mMのEDTA及び0.1mMのEDTAの存在下で形成できる。しかし、閉鎖複合体は、0.1%のSDSの存在下で破壊され、非標識「コールド」ddATPと競合する。
【0046】
図7は、閉鎖複合体のポリメラーゼ滴定を例証した図である。反応(20ul)は、(25mMトリス:ホウ酸、pH=7.5、5mM EDTA、10%グリセロール)中で実施し、標記の通り、Tを次の鋳型ヌクレオチドとするプライマー結合鋳型20ピコモル、10ピコモルの正荷電標識ddATP(次の正しいヌクレオチド)、FY7 DNAポリメラーゼを含んでいた。50mMトリス:ホウ酸(pH=7.5)中の7%PAGEで分離した。FY7 DNAポリメラーゼによって次の正しいヌクレオチドを結合させると、安定な「閉鎖複合体」が形成され、非変性PAGEで単離することができる。FY7 DNAポリメラーゼの増加に伴って、閉鎖複合体形成がほぼ直線的に増加するのが確認される。
【0047】
本発明の要旨及び技術的範囲から逸脱せずに、上述の本発明に様々な変更及び修正を加えることができることは明らかである。上述の具体的な実施形態は、例示を目的としたものにすぎず、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ターゲットアレイの閉鎖複合体段階で休止したリン酸標識ヌクレオチドによるパラレル配列決定の反応スキームを示す図。複合体は洗浄及びスキャンの全時間尺度で安定である。
【図2】閉鎖複合体段階で休止したリン酸標識ヌクレオチドによる配列決定の反応及び検出スキームを示す図。複合体は洗浄及び検出の全時間尺度で安定である。
【図3】閉鎖複合体段階で休止したリン酸標識ヌクレオチドによる配列決定の反応及び検出スキームを示す図。複合体は、洗浄及び検出の全時間尺度で部分的にしか安定でない。得られた配列は、配列における塩基の多重性(A、AA、AAAなど)を区別しない。
【図4】ターゲットアレイの閉鎖複合体段階で休止したリン酸標識ヌクレオチドによるパラレル配列決定のための反応スキームを示す図である。複合体は、洗浄及び検出の全時間尺度で部分的にしか安定でない。得られた配列は、配列における塩基の多重性(A、AA、AAAなど)を区別しない。
【図5】蛍光標識ヌクレオチドを用いた安定閉鎖複合体の形成の証拠を示す図である。本明細書に開示した通り複合体を検出できることを明瞭に示している。
【図6】SDSがどのように閉鎖複合体を破壊するかを示す図。
【図7】閉鎖複合体のポリメラーゼ滴定を例証した図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸鋳型のターゲット領域の特性決定方法であって、
a)核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、核酸鋳型、プライマー及び核酸重合酵素からなる群から選択される1成分又はこれらの成分の2種以上からなる第一の複合体が担体に固定化されており、上記1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、担体上で核酸重合反応を開始する段階、
b)二価陽イオンの非存在下で上記反応混合物をインキュベートして核酸重合反応を進行させて、上記核酸鋳型と、上記プライマーと、上記核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む第二の複合体を形成する段階、
c)上記反応混合物の未結合末端リン酸標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、及び
d)上記第二の複合体から末端リン酸標識ヌクレオチドの標識を検出する段階
を含んでなる方法。
【請求項2】
e)二価陽イオンを添加して重合反応を完了させる段階、
f)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、及び
g)各々追加のヌクレオチド配列を決定するため段階a)〜f)を繰返す段階
をさらに含む、請求項1記載の核酸鋳型のターゲット領域の特性決定方法。
【請求項3】
前記諸段階をフロースルー又はストップフロー系で逐次実施する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記担体がビーズの形態である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
複数の核酸鋳型のターゲット領域のパラレル特性決定方法であって、
a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマー又は核酸鋳型を支持構造体に固定化し、各プライマー又は鋳型の複数のコピーを上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、
b)複数のプライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、上記1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、上記構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、
c)上記反応混合物をインキュベートして核酸重合反応を進行させて、各々複数のプライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む複数の複合体を形成する段階、
d)上記反応混合物の未結合末端リン酸標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、
e)上記識別可能な別々の位置の各々で複合体から末端リン酸標識ヌクレオチドの識別可能な標識を検出する段階、
f)段階e)で得られたデータをデータ記憶媒体に記憶する段階、及び
g)データを4種類のヌクレオチドの1つに変換することによって、複数の核酸鋳型の各々のターゲット領域の配列を特性決定する段階
を含んでなる方法。
【請求項6】
h)二価陽イオンを添加して重合反応を完了させる段階、
i)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、及び
j)複数の核酸鋳型の各々の追加のヌクレオチドの特性決定を行うため段階a)〜i)を繰返す段階
をさらに含む、請求項5記載の複数の核酸鋳型のターゲット領域のパラレル特性決定方法。
【請求項7】
前記支持構造体がビーズであり、あるプライマーを担持したビーズが、別のプライマーを担持したビーズから識別可能に分離される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記支持構造体が顕微鏡スライドの第一の表面である、請求項1又は請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記末端リン酸標識ヌクレオチドが蛍光色素又は着色色素である、請求項1又は請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記蛍光色素が、キサンテン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、アゾ色素、ポルフィリン色素、クマリン色素、Bodipy色素及びこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記着色色素が、アゾ色素、メロシアニン、シアニン色素、キサンテン色素、ポルフィリン色素、クマリン色素、Bodipy色素及びこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記核酸重合酵素がFY7 DNAポリメラーゼである、請求項1又は請求項5記載の方法。
【請求項13】
前記核酸重合酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、ターミナルヌクレオチジルトランスフェラーゼ、プライマーゼ又はテロメラーゼからなる群から選択される、請求項1又は請求項5記載の方法。
【請求項14】
前記核酸重合酵素が、DNAポリメラーゼI、T4 DNAポリメラーゼ、Amplitag FS、T7 DNAポリメラーゼ、Phi 29 DNAポリメラーゼ、Klenow exo、Sequenase、Tag DNAポリメラーゼ、Thermo SequenaseI、Thermo SequenaseII、FY7 DNAポリメラーゼ、Thermo SequenaseE681M、T.hypogea(Thy B)、T.neapolitana(Tne)、T.subterranea(Tsu)、T.barossii(Tba)、T.litoralis(NEB Vent)、T.kodakaraensis(Novagen)、P.furiosis(Strategene)、P.GB−D(NEB Deep Vent)、ヒトPolベータ、Tsp JS1、AMV−逆転写酵素、MMLV−逆転写酵素及びHIV−逆転写酵素又はこれらのポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ欠損体から選択される、請求項1又は請求項5記載の方法。
【請求項15】
前記開始段階の反応混合物がEDTAをさらに含む、請求項1又は請求項5記載の方法。
【請求項16】
前記二価陽イオンがマグネシウムである、請求項2又は請求項6記載の方法。
【請求項17】
前記二価陽イオンがマンガンである、請求項2又は請求項6記載の方法。
【請求項18】
核酸鋳型のターゲット領域の特性決定方法であって、
a)核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、核酸鋳型、プライマー及び核酸重合酵素からなる群から選択される1成分又はこれらの成分の2種以上からなる第一の複合体が担体に固定化されており、上記1種以上の末端リン酸標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、担体上で核酸重合反応を開始する段階、
b)二価陽イオンの非存在下で上記反応混合物をインキュベートして核酸重合反応を進行させて、上記核酸鋳型と、上記プライマーと、上記核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む末端リン酸標識ヌクレオチドとを含む第二の複合体を形成する段階、
c)上記反応混合物の未結合末端リン酸標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、
d)二価陽イオンを添加して重合反応を完了させる段階、及び
e)第二の複合体から末端リン酸標識ヌクレオチドの標識を検出する段階
を含んでなる方法。
【請求項19】
f)前記重合反応から二価陽イオン及び他の最終生成物を除去する段階、
g)各々追加のヌクレオチド配列を決定するため段階a)〜f)を繰返す段階
をさらに含む、請求項18記載の核酸鋳型のターゲット領域の配列決定方法。
【請求項20】
前記諸段階をフロースルー又はストップフロー系で逐次実施する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記担体がビーズの形態である、請求項18記載の方法。
【請求項22】
核酸鋳型のターゲット領域の分析方法であって、
a)核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上のヌクレオチドとを含む反応混合物であって、核酸鋳型、プライマー及び核酸重合酵素からなる群から選択される1成分又はこれらの成分の2種以上からなる第一の複合体が担体に固定化されており、上記1種以上の標識ヌクレオチドの1つが重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、担体上で核酸重合反応を開始する段階、
b)上記反応混合物をインキュベートして、上記核酸鋳型と、上記プライマーと、上記核酸重合酵素と、上記1種以上の標識ヌクレオチドのうち重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含むものとを含む第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、
c)上記標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、及び
d)検出された識別可能な標識に基づいて配列を同定する段階
を含んでなる方法。
【請求項23】
e)反応混合物から反応混合物の前記1種以上の標識ヌクレオチド及びその他の未結合成分を除去する段階、
f)核酸重合酵素、二価陽イオン、及び重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含むヌクレオチドを前記反応混合物に添加する段階、
g)反応混合物を所定時間インキュベートして重合反応を完了させる段階、
h)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、及び
i)各々追加のヌクレオチドを配列決定するため段階a)〜h)を繰返す段階
を含む、請求項22記載の核酸鋳型のターゲット領域の分析方法。
【請求項24】
複数の核酸鋳型のパラレル分析方法であって、
a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマーを支持構造体に固定化し、各プライマーの複数のコピーを上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、
b)上記複数の固定化プライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む4種類の標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、上記4種類の標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、上記構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、
c)上記反応混合物をインキュベートして、各々複数の固定化プライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む標識ヌクレオチドとを含む複数の第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、
d)上記識別可能な別々の位置の各々で、標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、
e)段階d)で得られたデータをデータ記憶媒体に記録する段階、及び
f)記録データを4種類のヌクレオチドの1つに変換することによって、複数の核酸鋳型の各々のターゲット配列を特性決定する段階
を含んでなる方法。
【請求項25】
複数の核酸鋳型のパラレル分析方法であって、
a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマーを支持構造体に固定化し、各プライマーを上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、
b)上記複数の固定化プライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と1種類のヌクレオチドを含む反応混合物を形成することによって、支持構造体上で核酸重合反応を開始する段階、
c)上記反応混合物をインキュベートして、各々複数の固定化プライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む標識ヌクレオチドとを含む複数の第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、
d)上記識別可能な別々の位置の各々で、標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、
e)検出段階で得られたデータをデータ記憶媒体に記録する段階、
f)上記反応混合物から、反応混合物の標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、
g)上記反応混合物に、核酸重合酵素、二価陽イオン及び標識ヌクレオチドの非標識等価物を添加する段階、
h)反応混合物を所定時間インキュベートして重合反応を完了させる段階、
i)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、
j)4種類のヌクレオチドすべてが試験されるまで、他の3種類のヌクレオチドの各々について段階a)〜i)を繰返す段階、及び
k)追加のヌクレオチド配列を決定するため段階a)〜j)を繰返す段階
を含んでなる方法。
【請求項26】
l)記録データを4種類のヌクレオチドの1つの配列に変換し、複数の核酸鋳型の各々に対するターゲット配列を集成することによって、複数の核酸鋳型のターゲット配列を特性決定する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
核酸鋳型のターゲット領域の分析方法であって、
a)核酸鋳型と、プライマーと、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む1種以上のヌクレオチドとを含む反応混合物であって、核酸鋳型、プライマー及び核酸重合酵素からなる群から選択される1成分又はこれらの成分の2種以上からなる第一の複合体が担体に固定化されており、上記1種以上の標識ヌクレオチドの1つが重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、担体上で核酸重合反応を開始する段階、
b)上記反応混合物をインキュベートして、上記核酸鋳型と、上記プライマーと、上記核酸重合酵素と、上記1種以上の標識ヌクレオチドのうち重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含むものとを含む第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、
c)上記反応混合物から、反応混合物の1種以上の標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、
d)上記標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、
e)検出された識別可能な標識に基づいて配列を同定する段階を含む方法。
【請求項28】
f)核酸重合酵素、二価陽イオン、及び重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含むヌクレオチドを反応混合物に添加する段階、
g)反応混合物を所定時間インキュベートして重合反応を完了させる段階、
h)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、
i)各々追加のヌクレオチドを配列決定するため段階a)〜h)を繰返す段階を含む、請求項27記載の核酸鋳型のターゲット領域の分析方法。
【請求項29】
複数の核酸鋳型のパラレル分析方法であって、
a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマーを支持構造体に固定化し、各プライマーの複数のコピーを上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、
b)複数の固定化プライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、各々識別可能な標識を含む4種類の標識ヌクレオチドとを含む反応混合物であって、上記4種類の標識ヌクレオチドが4種類の天然塩基と各々相補的な塩基を含む反応混合物を形成することによって、上記構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、
c)上記反応混合物をインキュベートして、各々複数の固定化プライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む標識ヌクレオチドとを含む複数の第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、
d)上記反応混合物から、反応混合物の標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、
e)上記識別可能な別々の位置の各々で、標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、
f)段階(e)で得られたデータをデータ記憶媒体に記録する段階、
g)記録データを4種類のヌクレオチドの1つに変換することによって、複数の核酸鋳型の各々のターゲット配列を特性決定する段階を含む方法。
【請求項30】
複数の核酸鋳型のパラレル分析方法であって、
a)各々ユニーク配列を含む複数のプライマーを支持構造体に固定化し、各プライマーを上記支持構造体の識別可能な別々の位置に局在化させる段階、
b)複数の固定化プライマーと、複数の核酸鋳型と、核酸重合酵素と、1種類の標識ヌクレオチドとを含む反応混合物を形成することによって、上記構造体上で複数の核酸重合反応を開始する段階、
c)上記反応混合物をインキュベートして、各々複数の固定化プライマーの1つと、複数の核酸鋳型の1つと、核酸重合酵素と、重合部位の鋳型塩基と相補的な塩基を含む標識ヌクレオチドとを含む複数の第二の複合体を形成し、該標識ヌクレオチドが第二の複合体内で動的平衡にあるものを形成する段階、
d)上記反応混合物から、反応混合物の標識ヌクレオチド及びその他の成分を除去する段階、
e)識別可能な別々の位置の各々で標識ヌクレオチドの標識を検出する段階、
f)検出段階で得られたデータをデータ記憶媒体に記録する段階、
g)上記反応混合物に、核酸重合酵素、二価陽イオン及び標識ヌクレオチドの非標識等価物を添加する段階、
h)反応混合物を所定時間インキュベートして重合反応を完了させる段階、
i)二価陽イオン及び重合反応の最終生成物を除去する段階、
j)4種類のヌクレオチドすべてが試験されるまで、他の3種類のヌクレオチドの各々について段階a)〜i)を繰返す段階、
k)追加のヌクレオチド配列を決定するため段階a)〜j)を繰返す段階を含む方法。
【請求項31】
l)記録データを4種類のヌクレオチドの1つの配列に変換し、複数の核酸鋳型の各々に対するターゲット配列を集成することによって、複数の核酸鋳型のターゲット配列を特性決定する段階をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
標識ヌクレオチドの添加の順序が、予め設定されたサイクルで行われる、請求項30記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−502369(P2008−502369A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527745(P2007−527745)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/020378
【国際公開番号】WO2005/123957
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(598041463)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・コーポレイション (43)
【住所又は居所原語表記】800 Centennial Avenue, P.O.Box 1327,Piscataway,New Jersey 08855−1327,United States of America
【Fターム(参考)】