説明

核酸/ブロックコポリマー/陽イオン性界面活性剤複合体を凍結乾燥する方法

本発明は一般に、ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー及び陽イオン性界面活性剤を含んで成る製剤を凍結乾燥するための方法に関連する。抗凍結剤又は増量剤の存在下で、製剤を凍結乾燥することができ、それによって、当該乾燥した製剤を再生させても、微粒子がそれらの至適サイズを維持し、そして凝集又は融合が避けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー及び陽イオン性界面活性剤を含んで成る製剤をフリーズドライさせることに関連する。抗凍結剤又は増量剤の存在下で、製剤をフリーズドライすることができ、それによって、当該乾燥した製剤を再生するに際し、微粒子がそれらの至適サイズを維持し、そして凝集又は融合が避けられる。
【背景技術】
【0002】
関連技術
非イオン性コポリマーの、ポリヌクレオチドベースの医薬中での、アジュバントとしての使用は、従来技術において述べられてきた。ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー及び陽イオン性界面活性剤を含んで成るポリヌクレオチド複合体は、in vivo免疫反応を増強することが証明されてきた。いくつかの場合において、使用直前に、水性系へと再生されて良い粉末形態においてこれらの複合体の懸濁を提供することが望ましい又は必須である。水性媒体を乾燥する1つの方法は、媒体を凍結させて水を真空下で昇華させることによって抽出する凍結乾燥による方法である。もし前記水性媒体が微粒子の懸濁を含んでいれば、これらの粒子は、結晶化領域が伝播することが理由により凍結乾燥過程の最初の凍結段階の間にクラスターになる傾向がある。往々にして、微粒子は不変的に凝集し、そして再生させる場合に再度分散することはなく、多分散性サイズ分布を伴う集団が生じる。
【0003】
フリーズドライさせて再生させる間の凝集を、抗凍結剤及び増量剤又は他の賦形剤を使用することによりコントロールするための方法は、当業界で公知でありそしてリポソーム製剤(米国特許第5,817,334号、その全体は本明細書中参照によって組み込まれている)、微粒子(米国特許第6,482,581号、その全体は本明細書中参照によって組み込まれている)及び核酸ポリカチオン組成物(米国特許第6,251,599号、その全体は本明細書中参照によって組み込まれている)のために記載されている。
【0004】
これらの進展にもかかわらず、使用前に、凍結乾燥前と同じ粒子サイズ及び集団多分散性が再生後に維持されているように、ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー、そしてまた陽イオン性界面活性剤を含んで成る製剤をフリーズドライさせて再生させる方法に対する要請がある。本発明はこの要請を満足する。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
1つの観点において、本発明は、凍結乾燥組成物を調製するための方法を供し当該方法は、ブロックコポリマーとある集団のポリヌクレオチド分子、陽イオン性界面活性剤、及び非晶質抗凍結剤もしくは増量剤もしくはそれらの任意の組み合わせを、当該ブロックコポリマーの曇り点未満の温度で混合し、混合物を形成させることを含んで成る。この混合物を再生に際し、粒子サイズ及び集団多分散性が維持される。
【0006】
更なる実施態様において、ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー及び陽イオン性界面活性剤を含んで成る組成物を当該ブロックコポリマーの曇り点未満の温度、約−2℃〜約8℃で混合している。本発明の他の観点において、混合物を、凍結乾燥させる前に冷却ろ過され(cold filtered)それによって滅菌している。適切に、この冷却ろ過段階を、約−2℃〜約8℃の温度で、ポアサイズ約0.01ミクロン〜約2ミクロンのフィルターを使用することで行っている。
【0007】
ブロックコポリマーは、例えば、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(pop)が望ましい。有用なブロックコポリマーの例は、ポロキサマーCRL-1005である。本発明において使用するために適した陽イオン性界面活性剤としては、塩化ベンザルコニウム及び(±)−N−(3−アセトキシプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(オクチルオキシ)−1−プロパンアミニウムクロリド(Pr-DoctRIe-OAc)が挙げられる。
【0008】
適切な非晶質抗凍結剤及び結晶質増量剤はとしては以下の糖:スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース又はグルコースが挙げられ、ここで当該溶液は約1%〜約20%(w/v)の糖を含んで成る。本発明の適切な実施態様は、約10%のスクロースを含んで成る。この組成物は任意にpH安定化緩衝剤をも含んで成る。
【0009】
本発明は、本明細書中に記載の凍結乾燥法によって生産したポリヌクレオチド/ブロックコポリマー/陽イオン性界面活性剤微粒子をも包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の詳細な説明
定義
本明細書中、「PBS」とは--リン酸緩衝塩類溶液--を意味する。
【0011】
本明細書中、「BAK」とは--塩化ベンザルコニウム--を意味する。
【0012】
本明細書中、「BEC」とは--塩化ベンゼトニウム--を意味する。
【0013】
本明細書中、「CPC」とは--塩化セチルピリジニウム--を意味する。
【0014】
本明細書中、「CTAC」とは--塩化セチルトリメチル−アンモニウム--を意味する。
【0015】
本明細書中、「PS-80」とは--ポリソルベート80--を意味する。
【0016】
本明細書中、用語「曇り点」とはある温度シフト、又は滴定における点を意味し、この点で透明な溶液が曇る。即ち、成分をある溶液に溶かすと溶液からの沈殿が始まる点である。
【0017】
本明細書中、用語「粒子」及び「微粒子」は同義語として使用されている。
【0018】
本明細書中、用語「混合物」及び「溶液」は同義語として使用されている。
【0019】
本明細書中、用語「アジュバント」とは、抗原に対する免疫反応を非特異的に増強する全ての物質又は物質の組み合わせを意味し;そして脊椎動物又は哺乳類宿主の例えば、ヒト又はヒト以外の哺乳類宿主内で、ポリヌクレオチドのデリバリーに直接関連した免疫反応を増強し、従って当該ポリヌクレオチドと組み合わせて当該アジュバントを投与することで、当該ポリヌクレオチドによってコードされる目的の1又は複数の抗原の発現に対してin vivo免疫反応の増強をもたらす全ての物質に関連する。この定義に含まれるのは、遺伝子デリバリーの促進物質として働き、それによって目的抗原を発現できる細胞に対してデリバリーされるプラスミドDNAの量を増やす物質である。プラスミドDNAのデリバリーを増強しうる物質は、製剤中でプラスミドDNAと実質上相互作用することがないだろうもの及びプラスミドDNAと反応せず、in vivo又はin vitroにおいて、アジュバントと当該プラスミドDNAの間で、固く結合した又緩く結合した複合体を形成する物質である。
【0020】
本明細書中、用語「ポリヌクレオチド」とは、本質的に調節エレメントを含有する核酸分子であり、従って、生きている、脊椎動物細胞中へと導入されることにより、当該核酸分子が、細胞機構に対して、当該核酸分子を含んで成る遺伝子によってコードされる翻訳産物を生産するよう指示することができる。
【0021】
本明細書中、用語「ポリヌクレオチド医薬」とは、ポリヌクレオチドベースの組成物を示すために使用されており、例えば、本明細書中で開示されたポロキサマー及び陽イオン性界面活性剤を含んで成り、注目のトランス遺伝子を脊椎動物宿主の例えば、ヒト又はヒト以外の哺乳類宿主に対してデリバリーするためのビヒクルとして有用である、又はトランス遺伝子の検出可能レベル及び/もしくは治療上レベルを担うもしくは促すため、並びに/又はトランス遺伝子の発現産物に対する免疫反応を生じさせるもしくは促すためのビヒクルとして有用である物質を意味する。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」とは、それによってDNA断片、最も考えられるのは、抗原又は抗原エピトープを発現させるトランス遺伝子又はその部分を含んで成るDNA断片が宿主生物又は宿主組織中に導入されて良いビヒクルを意味する。様々な種類のベクターがあり、それとしては、DNAプラスミドベクター、組み換えウィルスベクターの例えば、アデノウィルスベクター、レトロウィルスベクター及びアデノ関連ウィルスベクター、並びにバクテリオファージベクター及びコスミドベクターが挙げられるがそれらに限定されない。
【0023】
本明細書中、用語「遺伝子」又は「トランス遺伝子」とは、個々のタンパク質又はその部分の例えば、宿主内で適度な免疫反応を引き起こす完全長タンパク質をコードする核酸分子の断片を意味する。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「非晶質抗凍結剤」とは、本発明の製剤中に含まれている場合、ある条件下で凍結又は凍結乾燥させる間に結晶を形成しない化合物を意味する。詳細には、所定の凍結乾燥条件下で結晶を形成することが知られているが他の条件下では知られていない化合物が、それらが委ねられる特異的な凍結又は凍結乾燥条件下で非晶質を維持する限り、「非晶質抗凍結剤」に含まれていることを特異的に意味する。用語「非晶質抗凍結剤」の範囲内に含まれる。用語「抗凍結剤」は、本明細書中、用語「非晶質抗凍結剤」と同義語として使用されている。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「結晶質増量剤」とは、本発明の製剤中に含まれている場合、ある条件下で凍結又は凍結乾燥させる間に結晶を形成する化合物を意味する。詳細には、所定の凍結乾燥条件下では結晶を形成することが知られているが他の条件下では知られていない化合物が、それらが委ねられる特異的な凍結又は凍結乾燥条件化で結晶質を維持する限り、用語「結晶質増量剤」の範囲内に含まれていることを特異的に意味する。用語「増量剤」は、本明細書中、用語「結晶質増量剤」と同義語として使用されている。
【0026】
本明細書中で使用されている場合、「凍結乾燥」とは、湿った物質を約−172℃〜約−2℃の温度で凍結させ、しかる後に、拡散ポンプのレベルをより低く下げた真空レベル下での昇華による急速な脱水によって達成する乾燥の方法を意味する。有用な圧力範囲は、約0.1mTorr〜約0.5Torrである。用語「フリーズドライ」は、本明細書中、用語「凍結乾燥」と同義語として使用されて良い。
【0027】
非晶質抗凍結剤、結晶質増量剤、及び同物質を測定するための方法は当業界で公知であり且つ入手可能である。本明細書中に参照によって組み込まれている以下の記載によりこのことに関する基本的な教示が供される(Osterbergら, Pharm Res Vol. 14 (No.7): pp. 892〜898 (1997); Oliyaiら, Pharm Res Vol. 11 (No.6): pp. 901〜908 (1994); Corveleynら., Pharm Res Vol. 13 (No.1): pp. 146〜150 (1996); Kimら, J. Pharm Sciences Vol. 87 (No.8): pp. 931〜935 (1998); Martiniら, PDA J. Pharm Sci Tech Vol. 51 (No.2): pp. 62〜67 (1997); Martiniら, STP Pharma Sci. Vol. 7 (No.5): pp. 377〜381 (1997); 及びOrizioら, Boll. Chim. Farm. Vol. 132 (No.9): pp. 368〜374 (1993))。
【0028】
本発明は、ポリヌクレオチドベースの医薬において使用するために適した、製剤を凍結乾燥させるための新規方法に関連する。この方法により、ポリヌクレオチド分子、ブロックコポリマー及び陽イオン性界面活性剤を含んで成る製剤がもたらされ、それは再生に際して凍結乾燥以前と同じ粒子サイズ及び多分散性を維持する。
【0029】
本発明の方法は、(i)陽イオン性界面活性剤;(ii)ブロックコポリマー;及び(iii)ポリヌクレオチドを、当該ブロックコポリマーの曇り点未満の温度で混合し、混合物を形成させることを含んで成る。加えられる混合物の成分の順番は様々であって良い。混合物の成分を加える適切な順番としては、(i)ポリヌクレオチド;(ii)ブロックコポリマー;そして(iii)陽イオン性界面活性剤が挙げられるがこれに限定されない。代わりに、添加の順番としては:(i)陽イオン性界面活性剤;(ii)ブロックコポリマー;そして(iii)ポリヌクレオチドも挙げられる。混合物を撹拌することで、成分が加えられている間同時に、又は成分同士を添加する間において、成分を一度に全て加えることができる。
【0030】
本明細書中に記載のポリヌクレオチドベースの医薬中で有用なブロックコポリマーとは、室温(ブロックコポリマー曇り点より上)で微粒子を形成し且つ核酸分子の集団、例えばプラスミドDNA分子の集団と、陽イオン性界面活性剤の添加有無で結合しうるブロックコポリマーである。本発明の核酸分子としては、デオキシリボ核酸(DNA)の例えば、ゲノムDNA及び相補的DNA(cDNA)並びにリボ核酸分子(RNA)が挙げられて良い。ブロックコポリマーに関して、本発明の方法において使用されたコポリマーの適切な集団としては、非イオン性ブロックコポリマーが挙げられ、それはポリオキシエチレン(POE)及びポリオキシプロピレン(POP)のブロックを含んで成る。
【0031】
本発明は、本明細書中に記載のように、ある粒子サイズ及び表面電荷の生成を促す全てのかかるブロックコポリマーの使用を熟考する一方で、適切な非イオン性ブロックコポリマーとしては、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピロ(POP)ブロックコポリマー、特に、より高分子量のPOE-POP-POEブロックコポリマーが挙げられる。これらの化合物は、それら全てが本明細書中、参照によって組み込まれている、米国再発行特許No. 36,665号、米国特許第5,567,859号、米国特許第5,691,387号、米国特許第5,696,298号及び米国特許第5,990,241号及び刊行された国際特許出願WO96/04392に記載されている。
【0032】
簡潔に、これら非イオン性ブロックコポリマーは次のような一般式を有する。
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)xH
(式中、yは疎水性POP部分(C3H6O)の分子量が最大で約20,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性POE部分(C2H4O)の%が約1%〜50重量%であるような数を表す)。
【0033】
本発明中で使用されて良い適切なPOE-POP-POEブロックコポリマーは次のような式を有する。
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)xH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約9,000Da〜15,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約3%〜35重量%であるような数を表す)。
【0034】
本発明中で使用されて良い他の適切なPOE-POP-POEブロックコポリマーは次のような式を有する。
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)xH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約9,000〜15,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約3%〜10重量%であるような数を表す)。
【0035】
本明細書中で使用される典型的なPOE/POPブロックコポリマーは、NewmanらCritical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems Vol. 15 (No.2): pp. 89〜142 (1998)で概説されているように、POE-POP-POEの構造を含んで成るだろう。本発明の方法において使用するための適切なブロックコポリマーは、POE-POP-POEブロックコポリマーであり、中心POPブロックは1000Da下〜最大約20,000Daの範囲での分子量を有し、そして隣接するPOEブロックは、当該コポリマーの総分子量の最大で約50%を含んで成る。先に開示されたPluronicベースPOE/POPブロックコポリマーより巨大であるブロックコポリマーは例えば、米国再発行特許36,655号に開示されている。本発明のDNA製剤を例示するために使用された代表的なPOE-POP-POEブロックコポリマーは、国際特許出願WO96/04329に開示されており、そしてNewmanら(Id.)にもある程度記載されており、そしてCLR-1005(CytRx Corp)と呼ばれている。
【0036】
CLR-1005は、本発明中で使用されて良い他の適切な界面活性コポリマーであり、そして次のような式を有する。
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)xH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約12,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約5%であるような数を表す)。CLS-1005の場合、xは約7、±1であり、そしてyはおよそ12,000Da、約207ユニット、±7である。
【0037】
プラスミドDNAのCLR-1005粒子に対する結合により免疫反応の向上がもたらされるという示唆に対する証拠はあるが、免疫反応が増強されるメカニズムは現在では不明である。任意の理論にとらわれることがない一方で、CRL-1005粒子に対して結合したDNA分子は細胞によって一層容易に取り込まれそして発現されるだろう。CRL-1005粒子の負の表面電荷(プラスミドDNAのCLR-1005/BAK粒子に対する結合によって生み出される)は、CRL-1005のアジュバント特性を増強するために重要でありうる。本発明は、免疫反応を増強するこれらの2つの考えられるメカニズムを区別することはしない。
【0038】
表面電荷(ζ電位)及びCRL-1005粒子に対して結合したDNA量の測定は、プラスミドDNA/ブロックコポリマー(CLR-1005)と陽イオン性界面活性剤(例えば、BAK)の相互作用に関するモデルと相反することがない。このモデルは、疎水性相互作用によりCRL-1005粒子と結合するBAKがCRL-1005粒子サイズを下げ、そして正の電荷を帯びたCRL-1005粒子の形成をもたらすことを示唆する。ポリヌクレオチド(プラスミドDNA)の結合は、陽イオン性界面活性剤(BAK)の正に帯電した先頭基(headgroup)とDNAリン酸エステル基との間での静電気的相互作用により生じると解されており、しかも、陽イオン性界面活性剤の疎水性末端はブロックコポリマー(CRL-1005)粒子内に埋まっている。
【0039】
刊行された国際特許出願WO02/00844は、前記ブロックコポリマーCRL-1500、陽イオン性界面活性剤及びDNAを含んで成る物理的に異なる粒子の生成は、当該プラスミドDNAが当該ブロックコポリマーに対して結合することを、当該ブロックコポリマー及びDNA単独に比べて更に促すことを開示している。3つの成分を全て含む粒子も細胞の免疫反応の著しい増強をもたらす。
【0040】
本発明中で使用されて良い適切な他の界面活性コポリマーは次のような式を有する。
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)xH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約9,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約3〜5重量%であるような数を表す)。
【0041】
本発明中で使用されて良い他の適切な界面活性コポリマーは次のような式を有する。
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)xH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約9,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約3重量%であるような数を表す)。
【0042】
本発明の更なる他の実施態様において、ポロキサマーCRL-1005であるブロックコポリマーを含んで成るポリヌクレオチドベースの医薬中で使用するために適した凍結乾燥製剤を生産するための方法に関連する。
【0043】
本発明において使用するために適した他のブロックコポリマーの集団としては、「リバース」ブロックコポリマーが挙げられ、ここで、当該分子の疎水性部分(C3H6O)及び親水性部分(C2H4O)は、当該ポリマーが次のような式を有するように逆にされている。
HO(C3H6O)y(C2H4O)x(C3H6O)xH
(式中、yは疎水性POP部分(C3H6O)の分子量が最大約20,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性POE部分(C2H4O)の%が約1重量%〜約50重量%であるような数を表す)。これら「リバース」ブロックコポリマーは構造POP-POE-POPを有し、そして米国特許第5,656,611号及び6,359,054号に記載されている。
【0044】
本発明において使用されて良い適切なPOP-POE-POPブロックコポリマーは、次のような式を有する。
HO(C3H6O)y(C2H4O)x(C3H6O)yH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約9,000Da〜15,000であるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約3重量%〜35重量%であるような数を表す)。
【0045】
本発明において使用されて良い他の適切なPOP-POE-POPブロックコポリマーは、次のような式を有する。
HO(C3H6O)y(C2H4O)x(C3H6O)yH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約9,000Da〜15,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約3重量%〜10重量%であるような数を表す)。
【0046】
本発明において使用されて良い他の適切な界面活性コポリマーは、次のような式を有する。
HO(C3H6O)y(C2H4O)x(C3H6O)yH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約12,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約5重量%であるような数を表す)。
【0047】
本発明において使用されて良い他の界面活性コポリマーは、次のような式を有する。
HO(C3H6O)y(C2H4O)x(C3H6O)yH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約9,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約3〜5重量%であるような数を表す)。
【0048】
本発明において使用されて良い他の界面活性コポリマーは、次のような式を有する。
HO(C3H6O)y(C2H4O)x(C3H6O)yH
(式中、yは疎水性物質(C3H6O)の分子量が約9,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性物質(C2H4O)の%が約3%であるような数を表す)。
【0049】
本発明において使用するためのブロックコポリマーは、水性媒体中で逆の溶解特性を有する両親媒性化合物である。これらのコポリマーは、それらの曇り点(1〜20℃)より下で、水溶性でありそしてフィルター滅菌できる透明な溶液を形成する。この溶液過程は、コポリマーと水分子中の酸素原子とヒドロキシル基との間での水素結合の形成を伴う。コポリマーの溶液を温めてそれが曇り点を通過した場合、熱運動の高まりは水素結合を破壊するために十分であり、そしてコポリマーが溶液から出るにつれ、それらは自己集合して微粒子になる(Todd, C.W.ら、Vaccine Vol. 15: 564〜570 (1997)及びTodd, C.W.ら、Dev. Biol. Stand. Vol. 92: pp. 343〜353 (1997)を参照のこと)。この過程は可逆的である。
【0050】
全ての種類のポリヌクレオチドが本発明の方法へと組み込まれて良い。例えば、プラスミドDNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA断片及びRNAである。本発明の所定の製剤は、プラスミドのカクテルを含む。カクテルにおいて所望される様々なプラスミドはPBS又は他の希釈剤中で他の成分を加える前に、組み合わせて一緒にされてる。本発明の方法において使用されて良い様々な種類のプラスミドの数の上限はない。更に、プラスミドはカクテル中に等しい割合で存在して良く、あるいはこの割合は、例えば、抗原の相対発現レベル又はコードされた抗原の相対免疫源性に基づいて調節されて良い。従って、カクテル中に様々なプラスミドが等しい割合で、又は当該カクテル中の他のプラスミドに対して1つのプラスミドが2、3、4、5、6、7、8、8、9、10倍以上含まれていて良い。
【0051】
本発明の方法によって生産されるポリヌクレオチド製剤は、陽イオン性界面活性剤をも含んで成る。様々な陽イオン界面活性剤が、これら製剤中で使用するための候補者でありうることは当業者には知られているだろう。従って、本発明は、本明細書に記載のように、粒子サイズ及び表面電荷の生成を促す全ての陽イオン性界面活性剤の、ブロックコポリマー、及びポリヌクレオチドと共の使用を熟考する。使用されて良い陽イオン性界面活性剤としては、それらに限定されないが、塩化ベンザルコニウム(BAK)、塩化ベンゼトニウム、セトラミド(cetramide)、(臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム及び場合によっては少量の臭化デデシルトリメチルアンモニウム及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド)、塩化セチルピリジニウム(CPC)及び塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、第一アミン、第二アミン、第三アミン、例えばそれらに限定されないが、N,N’,N’−ポリオキシエチレン(10)−N−タロウ−1,3−ジアミノプロパン、他に四級アミン塩の、例えば、限定されないが、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチル−アンモニウム、混合された臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムメトキシド、臭化セチルジメチルエチルアンモニウム、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)、塩化メチルベンゼトニウム、塩化デカメトニウム、メチル混合塩化トリアルキルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウムを含む)、N,N−ジメチル−N−[2(2−メチル−4−(1,1,3,3テトラメチルブチル)−フェノキシ]−エトキシ)エチル]−ベンゼンメタナミニウムクロリド(DEBDA)、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、−[1−(2,3−ジオルイルオキシ)−プロピル]−N,N,N,テトラメチルアンモニウムクロリド、1,2−ジアシル−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン(アシル基=ジミリストイル、ジパルミトイル、ジステアロイル、ジオレイル)、1,2−ジアシル−3−(ジメチルアミノ)プロパン(アシル基=ジミリストイル、ジパルミトイル、ジステアロイル、ジオレオイル)、1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメチル−アンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール、1,2−ジオレオイル3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル、コレステリル(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノエート)、N−アルキルピリジニウム塩(例えば臭化セチルピリジニウム及び塩化セチルピリジニウム)、N−アルキルピペリジニウム塩、二価陽イオン性ボラフォルム電解質(dicationic bolaform electrolytes)(C12Me6;C12Bu6)、ジアルキルグリセチルフォスフォリルコリン、リソレシチン、L−アジオレオイルフォスファチジルエタノールアミン、コレステロールヘミスクシネートコリンエステル、リポポリアミン、例えば、それらに限定されないが、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、ジパルミトイルフォスファチジルエタノール−アミドスペルミン(DPPES)、リポポリ−L(又はD)−リシン(LPLL、LPDL)、N−グルタリルフォスファチジルエタノールアミンに対して結合したポリ(L(又はD)−リシン、ペンダントアミノ基を伴うジドデシルグルタメートエステル(C12GluPhCnN+)、ペンダントアミノ基を伴うジテトラデシルグルタメートエステル(C14GluCnN+)、コレステロールの陽イオン性誘導体、それらに限定されないが、コレステリル−3β−オキシスクシンアミドエチレントリメチルアミノアンモニウム塩、コレステリル−3β−オキシスクシンアミドエチレンジメチルアミン、コレステリル−3β−カルボキシアミドエチレントリメチルアンモニウム塩、コレステリル−3β−カルボキシアミドエチレンジメチルアミン及び3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタンカルボモイル)コレステロール](DC-Chol)が挙げられる。
【0052】
本発明において使用するための陽イオン性界面活性剤の他の例は、次の陽イオン性脂質の群から選択される。それは例えば、N−(3−アミノプロピル)−N,N−(ビス−(2−テトラデシルオキシメチル))−N−メチル−アンモニウムブロミド(PA-DEMO)、N−(3−アミノプロピル)−N,N−(ビス−(2−ドデシルオキシメチル))−N−メチル−アンモニウムブロミド(PA-DELO)、N,N,N−トリス−(2−ドデシルオキシ)エチル−N−(3−アミノ)プロピル−アンモニウムブロミド(PA-TELO)、及びN1−(3−アミノプロピル)((2−ドデシルオキシ)エチル)−N2−(2−ドデシルオキシ)エチル−1−ピペラジンアミニウムブロミド(GA-LOE-BP)、DL−1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアミノプロピル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム(DORIジエステル)、及び1−O−オレイル−2−オレオイル−3−ジメチルアミノプロピル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム(DORIエステル/エーテル)である。
【0053】
本発明の実施態様において使用するために更に適切な陽イオン脂質は、それらに限定されないが、DMRIE((±)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(テトラデシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド)、GAP-DMORIE((±)−N−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(syn−9−テトラデセネイルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド)、及びGAP-DLRIE((±)−N−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−(ビス−ドデシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド)である。
【0054】
本発明において使用するための他の陽イオン脂質は米国特許第5,264,618号、5,459,127号及び5,994,317に記載されている化合物である。これら陽イオン脂質の限定ではない例は、(±)−N,N−ジメチル−N−[2−(スペルミンカルボキサミド)エチル]−2,3−ビス(ジオレイルオキシ)−1−プロパニミニウム(propaniminium)ペンタヒドロクロリド(DOSPA)、(±)−N−(2−アミノエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(テトラデシルオキシ)−1−プロパニミニウムブロミド(β−アミノエチル−DMRIE又はβAE-DMRIE)及び(±)−N−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ドデシルオキシ)−1−プロパニミニウムブロミド(GAP-DLRIE)などである。
【0055】
本発明において有用である他のDMRIE誘導陽イオン脂質は、(±)−N−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−(ビス−デシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(GAP-DDRIE)、(±)−N−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−(ビス−テトラデシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(GAP-DMRIE)、(±)−N−((N''−メチル)−N’−ウレイル)プロピル−N,N−ジメチル−2,3−ビス(テトラデシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(GMU-DMRIE)、(±)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ドデシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(DLRIE)、及び(±)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス−([Z]−9−オクタデセニルオキシ)プロピル−1−プロパニミウムブロミド(HP-DORIE)である。
【0056】
本発明の適切な観点において、陽イオン界面活性剤は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトラミド、塩化アセチルピリジニウム及び塩化セチルトリメチルアンモニウムである。塩化ベンザルコニウムは、商業上入手可能であり、そして一般式:[C6H5CH2N(CH3)2R]Cl(式中、Rはアルキルの混合物の例えば、n-C8H17〜n-C16H33で始まる基の全て又は一部である)の塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物として存在することが知られている。BAKの平均M−Wは360(Handbook of Pharmaceutical Excipients, Wade及びWeller著, 1994、第2版、pp. 27〜29を参照のこと)である。塩化ベンゼトニウムはN,N−ジメチル−N−[2−[2−[4−(1,1,3,3テトラメチルブチル)フェノキシ]エトキシ]エチル]ベンゼン−メタンアミニウムクロリド(C27H42ClNO2)、であり分子量448.10を有する(Handbook of Pharmaceutical Excipients pp. 30〜31を参照のこと)。セトラミドは主として臭化トリメチルテトラデシルアンモニウム(C17H38BrN)からなり、それは主に、少量の臭化ドデシルトリメチルアンモニウム(C15H34BrN)及び臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(C19H42BrN)を含み、分子量は336.40である(Handbook of Pharmaceutical Excipients, pp. 96〜98を参照のこと)。
【0057】
本発明の他の適切な観点において、本発明の方法で使用するための適切な界面活性剤は、(±)−N−(ベンジル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(Bn-DHxRIE)、(±)−N−(2−アセトキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(DHxRIE-OAc)、(±)−N−(2−ベンゾイルオキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(DHxRIE-OBz)及び(±)−N−(3−アセトキシプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(オクチルオキシ)−1−プロパンアミニウムクロリド(Pr-DOctRIE-OAc)からなる群から選択されている。これらの脂質は、米国仮出願第60/435,303に開示されている。本発明の他の適切な観点において、陽イオン界面活性剤はPr-DOctRIE-OAcである。
【0058】
本発明の組成物中で使用するための助剤は限定ではないが、非イオン性デタージェント及び界面活性剤のIGEPAL CA 630(登録商標)CA 630、NONIDET NP-40、Nonidet(登録商標)P40、Tween-20(登録商標)、Tween-80(登録商標)、Triton X-100(登録商標)、及びTriton X-114(登録商標);陰イオン性デタージェントのドデシル硫酸ナトリウム(SDS);糖スタキオース;縮合剤のDMSO;及びキレート物質/DNAse阻害物質のEDTAである。所定の詳細な実施態様において、助剤はDMSO、Nonidet P40(登録商標)である。米国特許出願公報20020019358(2002年2月14日刊行、その全体に本明細書中参照によって組み込まれている)を参照のこと。
【0059】
本発明の方法によって生産されるポリヌクレオチド製剤は任意に、非イオン性界面活性剤の例えばポリソルベートが挙げられ、それのポリヌクレオチドの存在下で粒子の凝集をコントロールする有用な賦形剤である。更なる非イオン性界面活性剤が当業者に公知であり、本発明のこの部分を行うために使用されて良い。これらの更なる非イオン性界面活性剤としては、それらに限定されないが、他のポリソルベート、−アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、n−アルキルポリオキシエチレンエーテル(例えば、Tritons(登録商標))、ソルビタンエステル(例えば、Spans(登録商標))、ポリグリコールエーテル界面活性剤(Tergitol(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tweens(登録商標))、ポリオキシエチレン化グリコールモノエーテル(例えば、Brij(登録商標)、ポリオキシエチレン9ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン10エーテル、ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル)、ルブロール、ペルフルオロアルキルポリオキシアミド、N,N−ビス[3D−グルコンアミドプロピル]コルアミド(cholamide)、デカノイル−N−メチルグルカミド、−デシルβ−D−グルコピラノジド、n−デシルβ−D−グルコピラノジド、n−デシルβ−D−マルトピラノジド、n−ドデシルβ−D−グルコピラノジド、n−ウンデシルβ−D−グルコピラノジド、n−ヘプチルβ−D−グルコピラノジド、n−ヘプチルβ−D−チオグルコピラノジド、n−ヘキシルβ−D−グルコピラノジド、n−ノナノイルβ−グルコピラノジド1−モノオレイル−rac−グリセロール、ノナノイル−N−メチルグルカミド、−ドデシルβ−D−マルトシド、N,Nビス[3−グルコンアミドプロピル]デオキシコルアミド、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジジトニン、ヘパノイル−N−メチルグルカミド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチルβ−D−グルコピラノジド、n−オクチルβ−D−グルコピラノジド、n−オクチルβ−D−チオガラクトピラノジド、n−オクチルβ−D−チオグルコピラノジドである。
【0060】
本発明は、再生の際、微粒子の粒子サイズ及び集団の多分散性が変化しないような、ポリヌクレオチドベースの医薬中で使用するために適した製剤を凍結乾燥するための方法に関連する。この方法は、ポリヌクレオチド分子と接触しているブロックコポリマー及び陽イオン性界面活性剤を含んで成る微粒子の生成(CRL-1005の又は他の代表的ブロックコポリマー曇り点より上の温度で)をもたらす。最終的に微粒子を含んで成るだろう成分を、ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で撹拌することによって非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤と混合している。更に、混合物は、pH安定化緩衝剤をも含んで成って良い。この混合物の各成分は、ポリマーの曇り点よりも下の温度で共に十分に溶かされて良い。この溶液は冷却ろ過(cold filtration)により滅菌され、そして凍結乾燥前に滅菌バイアル中へとアリコートを入れられて良い。患者に対して注射又は他の方法により投与される前に、凍結乾燥製剤は再生され、そしてバイアルは室温へと至らされるかあるいはブロックコポリマーの曇り点より上の温度に至らしめられて良く、ここで微粒子形成が加温方法の間に生じるだろう。本発明者の発見は、微粒子を再生することにより、フリーズドライ法の間に変化することのないあるサイズ及び集団多分散性を伴う粒子がもたらされるということである。このことは更に、例1及び2において説明されている。表1は、PBS及び10%スクロース/10mMリン酸ナトリウムの両方の溶液中に共に溶かしたポリヌクレオチド、ポロキサマーCRL-1005及びBAKからなる微粒子の平均中項直径を意味する。PBS中で調製した微粒子は、再生後、フリーズドライ前よりも非常に高い多分散性を有し、広いサイズ範囲の粒子を示す。対照的に、10%スクロース/10mMリン酸ナトリウム中に共に溶かした微粒子は、実質上、凍結乾燥前と再生後で同じ多分散性を示し、サイズ分布幅が狭いことを示す。図1a及び図1bは、粒子サイズ及び多分散性は、再生後、室温で6時間後にも変わらないことを示す。
【0061】
本発明の凍結乾燥した組成物は、投与に適した安定な、単分散溶液を生み出す全ての水性溶液中で再生されて良い。かかる水性溶液としては、滅菌水、PBS又は塩類溶液が挙げられるがそれらに限定されない。
【0062】
この明細書を閲覧することにより、当業者は、様々なブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、賦形剤を混合して合わせること、並びに様々な濃度のこれらの成分を使用することができるだろう。当業者は、本明細書中で見られるように、製剤のin vitro構造特性を測定することができin vivo投与のためにかかる成分を調製することにおいて有用でありうる。
【0063】
本発明の適切な実施態様において、ポリヌクレオチドはポロキサマーCRL-1005、BAK(塩化ベンザルコニウム50%溶液、Ruger Chemical Co.Incから入手可)及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤と混合されている。更に、この混合物は、pH安定化緩衝剤を含んで成っても良い。製剤の各成分の適切な最終濃度は、例において記載されているが、これらの方法全てについて、各成分の濃度は、所望の濃度を有する最終溶液を調製するための、当業者による基本的な化学量論的計算によって変わりうる。
【0064】
本発明の方法において、ブロックコポリマーの濃度は、例えば、トランスフェクション効率、発現効率、又は免疫源性に依存して調節されて良い。適切な実施態様において、ブロックコポリマーの最終濃度は、約1mg/L〜約75mg/Lである。代わりに、ブロックコポリマーの最終濃度は、約3mg/mL〜約50mg/mL、約5mg/mL〜約40mg/mL、約6mg/mL〜約30mg/mLである。例えば、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、又は約30mg/mLのブロックコポリマーである。
【0065】
本発明の方法の他の適切な実施態様において、ポロキサマーCRL-1005の濃度は、例えば、トランスフェクション効率、発現効率、又は免疫源性に依存して調節されて良い。適切な実施態様において、ポロキサマーCRL-1005の最終濃度は、約1mg/L〜約75mg/Lである。代わりに、ポロキサマーCRL-1005の最終濃度は約3mg/mL〜約50mg/mL、約5mg/mL〜約40mg/mL、約6mg/mL〜約30mg/mLである。例えば、約6mg/mL、約6.5mg/mL、約7mg/mL、約7.5mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、又は約30mg/mLのCRL-1005である。類似して、本発明の方法のDNAの濃度は、多くの因子、例えば、デリバリーされる製剤の量、対象者の年齢及び体重、デリバリー方法及び経路並びにデリバリーされる抗原の免疫源性などに依存して調節されている。代わりの実施態様において、DNAの最終濃度は、約1ng/mLプラスミド(又は他のポリヌクレオチド)〜約30mg/mLプラスミド(又は他のポリヌクレオチド)である。代わりに本発明の製剤はDNAの最終濃度約0.1mg/mL〜約20mg/mL、又は約1mg/mL〜約10mg/mLを有しうる。例えば、最終DNA濃度は約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約3.5mg/mL、約4mg/mL、約4.5mg/mL、約5mg/mL、約5.5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、又は約20mg/mLである。
【0066】
更に、陽イオン性界面活性剤の濃度は、所望の粒子サイズ及び安定性の向上に依存して、調製されて良い。確かに、所定の実施態様において、本発明の方法は、CRL-1005及びDNAを含むが、界面活性剤を含まない。一般に、本発明の陽イオン界面活性剤含有製剤は、約0.01mM〜約5mMの陽イオン界面活性剤最終濃度を有するように調節されている。適切に、本発明の製剤は、最終陽イオン界面活性剤濃度約0.06mM〜約1.2mM、又は約0.1mM〜約1mM、又は約0.2mM〜約0.7mMを有しうる。例えば本発明の製剤は、最終界面活性剤濃度約0.2mM、約0.3mM、約4.0mM、約0.5mM、約0.6mM、又は約0.7mMを有して良い。
【0067】
更に、BAKの濃度は、所望の粒子サイズ及び安定性の向上に依存して調製されて良い。確かに、所定の実施態様において、本発明の方法は、CRL-1005及びDNAを含むが、BAKを含まない。一般に、本発明のBAK含有製剤は、約0.01mM〜約5mMのBAK最終濃度を有するように調節されている。代わりに、本発明の製剤は、約0.06mM〜約1.2mM、又は約0.1mM〜約1mM、又は約0.2mM〜約0.7mMの最終BAK濃度を有しうる。例えば、本発明の製剤は、約0.2mM、約0.3mM、約0.4mM、約0.5mM、約0.6mM、又は約0.7mMの最終BAK濃度を有して良い。
【0068】
本発明の方法によって生産される製剤の総体積は、適切なサイズの装置を選択することによって、スケールアップ又はスケールダウンされて良い。最終的に、任意の下記の方法を行う際に、BAK、CRL-1005、及びプラスミドDNAは任意の順番で加えられて良い。
【0069】
本発明の方法によって生産されるポリヌクレオチドベースの医薬は、宿主投与のための、任意の医薬的に有効な製剤において処方されて良い。本発明のポリヌクレオチドベースの製剤の長期安定性をも供する医薬的に許容できる製剤を使用することも有用である。医薬実体として保存される間、DNAプラスミドは、スーパーコイル状プラスミドが開環状及び直線状形態に転換する物理化学的な変化を受ける。様々な保存条件(低pH、高温、低イオン強度)がこの過程を加速させる。従って、微量金属イオンの、DNAプラスミド溶液からの、製剤緩衝剤からの又はバイアル及びクロージャー(closure)からの除去及び/又はキレート化(コハク酸又はマレイン酸による、もしくは複数のリン酸リガンドを含むキレート物質による、もしくはEDTAなどのキレート剤による)は、DNAプラスミドを、保存の間このような分解経路から安定化させる。
【0070】
本発明の1つの実施態様において、本方法によって形成された粒子は、約100nm〜約2000nmの直径である。非イオン性ブロックコポリマー粒子は、陽イオン性界面活性剤の存在下で、正の表面電荷を有するだろうし、その一方で、ポリマー粒子は、陽イオン性界面活性剤及びDNAの存在下で、ポリマー粒子単独である場合よりも一層有意に負の表面電荷を有するべきである。例の節に記載の例示された微粒子は、直径200〜600nmであり、BAKの存在下で、しかしポリヌクレオチドの添加がなければ、僅かに正のζ電位測定値(CRL-1005について2.5mV、及びBAKについて0.71mM)を有し、そしてポリヌクレオチドが存在する(5mg/mLで)場合、負のζ電位が存在する(CRL-1005及び0.71mMのBAK及び5mg/mLのプラスミドDNAについて−46.6mV)。これらの値は、例示であり、それらは限定的ではない。
【0071】
陽イオン性界面活性剤の添加は、粒子の配置又は構造的統合性を変化させ、それは順番に、変化した構造の、ポリヌクレオチド分子とより良く相互作用する能力を高める。従って、様々な粒子の表面電荷及びサイズ測定値の範囲は、例示であり、それらは必ずしも限定的ではない。当業者はある種類のブロックコポリマー及びある種類の陽イオン性界面活性剤の濃度を調節し、独特の微粒子を形成でき、ここで当該微粒子はポリヌクレオチド分子の特異的な集団と結合する能力が向上していることを最終的な特徴としている。
【0072】
本発明の方法によって生産された製剤は、保存するための適切な容器中へとアリコートで入れられて良い。適切な容器としては、ガラスバイアル、ガラスボトル、シリンジ、滅菌可能なプラスチックバッグ、ポリエチレンチューブ、バイアル又はボトル、及びポリプロピレンチューブ、バイアル又はボトル並びに製造者バルク使用(manufacturer bulk use)又は本発明のポリヌクレオチドベースの医薬を含んで成るキットの調製に適した任意の他の容器が挙げられるがそれらに限定されない。
【0073】
本発明の方法は、陽イオン性界面活性剤、ブロックコポリマー、ポリヌクレオチド分子の集団及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤及びそれらの任意の組み合わせを、当該ブロックコポリマーの曇り点より上の温度で混合することにも関連する。曇り点は、本発明の混合物中で使用されるブロックコポリマーに依存している。しかし、適切な曇り点は約1℃〜約20℃である。CRL-1005がブロックコポリマーである場合、本発明の混合物を混合する温度は、約8℃〜約35℃の範囲であって良い。
【0074】
最後に、本発明は、ポリヌクレオチドベースの医薬製剤であって、第一に、ポリヌクレオチド、ブロックコポリマーを含んで成るアジュバント成分、カチオン性界面活性剤及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤を本明細書中に記載のように含んで成り、そして第二に、非イオン性界面活性剤の例えば、ポリソルベート80又は他の賦形剤の、限定されないが、当業者に公知のグリセロールもしくはプロピレングリコール、又は本明細書中に列挙した非イオン性界面活性剤を含んで成る製剤に関連する。
【0075】
本発明の適切な実施態様において、ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤を含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。このような抗凍結剤又は増量剤が存在することにより、フリーズドライ方法の間及びその後の再生の間のポリヌクレオチド製剤に対する安定性が供される。「安定性」とは、平均サイズ及びサイズ分布が影響を受けていないこと、即ち、再生による融合又は凝集が殆どない又は全く確認されないことを意味する。
【0076】
本明細書中、使用するために適切である非晶質抗凍結剤としては、とりわけ、単糖類、二糖類、又はオリゴ糖、ポリオール、及びアルブミンなどのタンパク質;スクロース及びラクトースなどの二糖類;フルクトース、ガラクトース及びグルコースなどの単糖類;グリセロール及びソルビトールなどの多価アルコール;及びポリエチレングリコールなどの疎水性ポリマーが挙げられる。
【0077】
非晶質抗凍結剤は、本発明の製剤に対して、凍結させる前に適切に加えられて良く、この場合、それは増量剤としても働くことができる。しかし、それは親水性成分として、液体の安定性を高めることをも供しうる。
【0078】
結晶質増量剤に関して、かかる剤は、往々にして凍結乾燥により、必要なかさを供するために医薬組成物の調製において使用されている。多くの種類の結晶質増量剤が当業界で公知である(Martiniら、PDA J.Pharm Sci Tech vol.51(No.2):pp.62〜67,1997を参照のこと)。例となる結晶質増量剤としては、D-マンニトール、トレハロース、及びデキストランが挙げられる。上記のものは例示としてのみであり、当業者は、任意の化合物であって、本発明の製剤に中に、ある条件の下で凍結又は凍結乾燥する間に含まれた場合に結晶を形成する化合物は、適切な結晶質増量剤であると考えられるだろう。本発明の背景において、結晶質増量剤は、一般に、結晶形態として存在でき且つそのガラス転移点(Tg)はそれがフリーズドライされる温度よりも低い化合物として定義されている。例えば、常用のフリーズドライ装置を、約−10℃〜約−50℃の棚温度で操作する。従って、1つの実施態様において、結晶質増量剤は約−50℃未満にTgを有する。
【0079】
適切な実施態様において、溶液は、約1%〜約20%(w/v)の非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤を含んで成る。適切な実施態様において、溶液は、約3%〜約17%、約5%〜約15%又は約8%〜約12%(w/v)非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤を含む。例えば、約8%、約9%、約10%、約11%、又は約12%(w/v)非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤を含む。
【0080】
本発明において使用するために適切なものは、限定はされないが、以下の糖:スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース又はグルコースからなる群から選択される抗凍結剤及び増量剤である。適切な実施態様において、前記溶液は、約1%〜約20%(w/v)の糖を含んで成る。適切な実施態様において、前記溶液は、約3%〜約17%、約5%〜約15%又は約8%〜約12%(w/v)糖を含む。例えば、約8%、約9%、約10%、約11%、又は約12%(w/v)糖を含む。
【0081】
他の適切な実施態様において、溶液は、約1%〜約20%(w/v)スクロースを含む。例えば、適切な実施態様において、溶液は約3%〜17%、約5%〜約15%又は約8%〜約12%(w/v)のスクロースを含む。例えば約8%、約9%、約10%、約11%又は12%(w/v)のスクロースである。更なる他の実施態様において、前記溶液は約10%(w/v)のスクロースを含む。
【0082】
本発明の適切な実施態様において、ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤及びpH緩衝剤を含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。
【0083】
適切な実施態様において、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、ポリ核酸及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤を含んで成る溶液は、溶液のpHをpH約4.0〜pH約9.0の範囲に維持する生理学的緩衝剤をも含む。適切な実施態様において、共溶解混合物のpHは、pH約5.0〜pH約8.0、pH約6.0〜pH約8.0、又はpH約7.0〜pH約7.5である。例えば、共溶解混合物のpHは、pH約7.0、pH約7.1、pH約7.2、pH約7.3、pH約7.4又はpH約7.5である。
【0084】
本発明において使用するための適切なpH緩衝剤としては、PBS、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(BIS-TRIS)、リン酸カリウム(KP)、リン酸ナトリウム(NaP)、二塩基性リン酸ナトリウム(Na2HPO4)、一塩基性リン酸ナトリウム(NaH2PO4)、一塩基性リン酸カリウム(NaKHPO4)、リン酸マグネシウム(Mg3(PO42・4H2O)、酢酸カリウム(CH3COOK)、D(+)−α−ナトリウムグリセロフォスフェート(HOCH2CH(OH)CH2OPO3Na2)及び他の当業者に公知の生理学的緩衝剤が挙げられるがそれらに限定されない。本発明中で使用するための更なるpH緩衝剤としては、水性溶液中に溶かした塩M−X、その結合、又は解離産物(式中、Mはアルカリ金属(例えば、Li+、Na+、K+,Rb+)、適切にはナトリウム又はカリウムであり、そしてXは陰イオンであり、リン酸塩、酢酸塩、重炭酸塩、硫酸塩ピルビン酸、及び有機一価リン酸エステル、好適にはセルロース6−リン酸又はDL−a−グリセロールリン酸が選択されている)他の当業者に公知の生理緩衝剤である。本発明の適切な実施態様において、緩衝剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、二塩基性リン酸ナトリウム(Na2HPO4)、一塩基性リン酸ナトリウム(NaH2PO4)、一塩基性リン酸ナトリウムカリウム(NaKHPO4)、リン酸マグネシウム(Mg3(PO42・4H2O)、酢酸カリウム(CH3COOK)、及びD(+)−α−ナトリウムグリセロフォスフェート(HOCH2CH(OH)CH2OPO3Na2)からなる群から選択されている。
【0085】
本発明の適切な実施態様において、pH緩衝剤の濃度は、約5mM〜約25mMである。適切に、本発明の製剤は、約7mM〜約20mM、又は約8mM〜約15mM、又は約9mM〜約12mMのpH緩衝剤最終濃度を有しうる。例えば、本発明の製剤は、約9mM、約10mM、約11mM、又は約12mMのpH緩衝剤最終濃度を有しうる。他の適切な実施態様において、pH緩衝剤の濃度は、約10mMである。
【0086】
本発明の他の適切な実施態様において、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、Na2HPO4、NaH2PO4、NaKHPO4、Mg3(PO42・4H2O、及びHOCH2CH(OH)CH2OPO3Na2から選択されたpH緩衝剤の濃度は約5mM〜約25mMである。適切に、本発明の製剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、Na2HPO4、NaH2PO4、NaKHPO4、Mg3(PO42・4H2O、及びHOCH2CH(OH)CH2OPO3Na2から選択されたpH緩衝剤の最終濃度約7mM〜約20mM、約8mM〜約15mM、又は約9mM〜約12mMを有して良い。例えば、本発明の製剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、Na2HPO4、NaH2PO4、NaKHPO4、Mg3(PO42・4H2O、及びHOCH2CH(OH)CH2OPO3Na2から選択されたpH緩衝剤の最終濃度約9mM、約10mM、約11mM、又は約12mMを有しても良い。他の適切な実施態様において、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、Na2HPO4、NaH2PO4、NaKHPO4、Mg3(PO42・4H2O、及びHOCH2CH(OH)CH2OPO3Na2からなる群から選択されたpH緩衝剤の最終濃度は約10mMである。代わりの実施態様において、リン酸ナトリウムの濃度は約10mMである。
【0087】
本発明の1つの実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この混合物は凍結乾燥されている。
【0088】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース及びpH緩衝剤の例えば、10mMのリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この混合物は凍結乾燥させられている。
【0089】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この混合物は、凍結乾燥前に冷却ろ過により滅菌させられている。
【0090】
本発明の1つの適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この混合物は、凍結乾燥前に冷却ろ過により滅菌させられている。
【0091】
前記冷却ろ過段階は、前記製剤中に含んで成るブロックコポリマーの曇り点よりも下の温度で行われなければならない。当該冷却ろ過段階は、適切に、約−2℃〜約8℃の温度で行われている。例えば、当該冷却ろ過段階は、約−2℃、約−1℃、約0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃又は約8℃で行われて良い。
【0092】
ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー、及び陽イオン性界面活性剤の冷溶液(約−2℃〜約8℃)のろ過により、当該溶液を滅菌するためのコスト上有効且つ時間的にも有効な方法が供される。このろ過段階により、ポリヌクレオチド、ブロックコポリマー及び陽イオン性界面活性剤が混合する前に予め滅菌する必要性を省かれる。混合物を、滅菌フィルター(細菌性病原体よりも小さな規定のポアサイズを有する)に通すことによって、この溶液が滅菌される。本発明の冷却ろ過段階で使用されたフィルターの孔径は適切に、約0.01ミクロン〜約2ミクロンである。代わりに、本発明の冷却ろ過段階で使用されたフィルターの孔径は、約0.05ミクロン〜約0.25ミクロンである。例えば、冷却ろ過段階のためのフィルターの孔径は、約0.05ミクロン、約0.08ミクロン、約0.1ミクロン、約0.15ミクロン、約0.16ミクロン、約0.17ミクロン、約0.18ミクロン、約0.19ミクロン、約0.2ミクロン、約0.21ミクロン、約0.22ミクロン、約0.23ミクロン、約0.24ミクロン、又は約0.25ミクロンである。
【0093】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、冷却ろ過により滅菌されそしてその後のフリーズドライ前に、その曇り点温度を数回繰り返し通過させられる。
【0094】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマー、陽イオン性界面活性剤、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、冷却ろ過及びその後のフリーズドライにより滅菌される前に、その曇り点温度を数回繰り返し通過させられる。
【0095】
他の適切な実施態様において、核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤BAK、及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、凍結乾燥されている。
【0096】
他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤BAK、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば、10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、凍結乾燥されている。
【0097】
他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤BAK、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、凍結乾燥前に冷却ろ過により滅菌させられている。
【0098】
他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤BAK、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、凍結乾燥前に冷却ろ過により滅菌させられている。
【0099】
本発明の他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤BAK、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、冷却ろ過により滅菌され、そしてその後のフリーズドライ前に、その曇り点温度を数回繰り返し通過させられている。
【0100】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤BAK、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、冷却ろ過及びその後のフリーズドライにより滅菌される前に、その曇り点温度を数回繰り返し通過させられている。
【0101】
本発明の他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤(陽イオン脂質の群:Bn-DHxRIE、DHxRIE-OAc、DHxRIE-OBz及びPr-DOctRIE-OAcからなる群から選択されている)、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、凍結乾燥されている。
【0102】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤(陽イオン脂質の群:Bn-DHxRIE、DHxRIE-OAc、DHxRIE-OBz及びPr-DOctRIE-OAcからなる群から選択されている)及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、凍結乾燥されている。
【0103】
本発明の他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤(陽イオン脂質の群:Bn-DHxRIE、DHxRIE-OAc、DHxRIE-OBz及びPr-DOctRIE-OAcからなる群から選択されている)、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、フリーズドライ前に冷却ろ過により滅菌されている。
【0104】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤(陽イオン脂質の群:Bn-DHxRIE、DHxRIE-OAc、DHxRIE-OBz及びPr-DOctRIE-OAcからなる群から選択されている)、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、フリーズドライ前に冷却ろ過により滅菌されている。
【0105】
本発明の他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤(陽イオン脂質の群:Bn-DHxRIE、DHxRIE-OAc、DHxRIE-OBz及びPr-DOctRIE-OAcからなる群から選択されている)、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、冷却ろ過により滅菌され、そしてその後のフリーズドライ前に、その曇り点温度を数回繰り返し通過させられている。
【0106】
本発明の更に他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン性界面活性剤(陽イオン脂質の群:Bn-DHxRIE、DHxRIE-OAc、DHxRIE-OBz及びPr-DOctRIE-OAcからなる群から選択されている)、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、冷却ろ過による滅菌及びその後のフリーズドライされる前に、その曇り点温度を数回繰り返し通過させられている。
【0107】
本発明の他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン脂質Pr-DOctRIE-OAc、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、凍結乾燥されている。
【0108】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン脂質Pr-DOctRIE-OAc、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、凍結乾燥させられている。
【0109】
本発明の他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン脂質Pr-DOctRIE-OAc、及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この混合物は、フリーズドライ前に冷却ろ過により滅菌されている。
【0110】
本発明の他の適切な実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン脂質Pr-DOctRIE-OAc、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この混合物は、フリーズドライ前に冷却ろ過により滅菌されている。
【0111】
本発明の更に他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン脂質Pr-DOctRIE-OAc、及び非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロースを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、冷却ろ過により滅菌され、そしてその後のフリーズドライ前に、その曇り点温度を数回繰り返し通過させられている。
【0112】
本発明の更に他の実施態様において、ポリ核酸、ブロックコポリマーCRL-1005、陽イオン脂質Pr-DOctRIE-OAc、非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、例えば10%(w/v)スクロース、及び適切なpH緩衝剤、例えば10mMリン酸ナトリウムを含んで成る製剤は、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で共に溶かされている。次いで、この溶液は、冷却ろ過により滅菌され、そしてその後のフリーズドライ前に、その曇り点温度を数回繰り返し通過させられている。
【0113】
これらの例及びそれらに同等なものは、当業者にとっては、本発明の開示の観点及び添付の請求の範囲から一層明らかになるだろう。しかし、例は、例示の目的のためにのみに考えられており、そして本発明の範囲をいかなる場合も限定しないことが理解されるべきである。本明細書中に引用されている全ての特許及び刊行物は、本明細書中、それらの全体を参照によって組み込まれている。
【実施例】
【0114】
実施例
実施例1
目的:DNA/ポロキサマー/BAK製剤(5mg/mlのDNA、7.5mg/mLのCRL-1005、0.3mMのBAK)を10%スクロース、10mMのリン酸ナトリウムビヒクル中で調製し、そして当該製剤を凍結乾燥させ、そしてこの方法の粒子サイズに対する効果を特定する。
【0115】
装置:15mlの丸底フラスコ、3/8”×3/16”の卵形状マグネティックスターラーバー(Bel-art products)、及びCorning撹拌器/ホットプレート及び氷浴。
【0116】
方法:必要体積のDNA(6.1mg/mlのDNA、VR4700、10%スクロース、10mMのリン酸ナトリウム中)を15mLの丸底フラスコに配置し、そしてこの溶液を、氷浴中、Corning撹拌器/ホットプレート(スピード4、ホットプレートオフ)の上で10分に渡り、マグネティックスターラーバーにより撹拌した。次いで、CRL-1005を、ポジティブ転置ピペット(positive displacement pipette)を使用して加え、そしてこの溶液を氷上で更に30分に渡り撹拌した。次いで、必要体積のBAK溶液を、最終濃度0.3mMにするために、1mlのピペットを使用し、1分に渡り、撹拌している溶液に対して、序々に滴下して加えた。この溶液は、この時点では透明であり、何故なら、それはポロキサマーの曇り点より下であり、そして氷上30分に渡り撹拌していたからだ。次いで、氷浴を外し、そしてこの溶液を周囲温度で15分に渡り撹拌し、曇り点を通過したポロキサマーとして、曇った溶液を生産した。
【0117】
次いで、前記フラスコを氷浴に戻して入れ、そして更に15分に渡り撹拌し、CRL-1005の曇り点より下に冷却した混合物として透明な溶液を生産した。再度氷浴を取り外し、そしてこの溶液を更に15分に渡り撹拌した。曇り点より上及び下での15分(総時間30分)に渡る撹拌を1サーマルサイクルとして規定した。この混合を2回以上繰り返した。次いで、この溶液をPBSで1:2に希釈し、そして溶液の20μLのアリコートを取り出し、2mLのろ過(0.2μm)したPBSで希釈してMalvern 3000HS Zetasizerを使用して粒子サイズを測定した。
【0118】
次いで、この製剤をろ過滅菌した。50mLのSteriflipろ過システムを氷バケットに配置し、そして真空管を取り付け、そして1時間に渡り、装置が氷の温度と釣り合うようにしておいた。次いで、ポロキサマー製剤を真空下、曇り点未満でろ過し、そして上記曇り点より上へと加温した。次いで、この溶液の20μLアリコートを取り出し、ろ過した(0.2μm)2mLのPBSで希釈し、そして粒子サイズを特定した。
【0119】
次いで、3つの5mlホウケイ酸塩バイアル(Wheaton)に製剤を各1mlずつ満たし、そしてこれらのバイアルをコンピューター制御されたVirtis Advantageフリーズドライヤー中に配置した。最初に、バイアルを2時間以上に渡り−40℃未満に冷却し、そしてコンデンサーを−40℃未満に冷却し、そして真空を300mTorrより下へ下げた。一次乾燥における最初の段階は、バイアルを1時間に渡り−40℃、120mTorrの真空下に維持することであった。次いで温度を8時間に渡り20℃に上昇させ、そして真空を120mTorrで維持した。8時間後、温度及び真空を更に1時間に渡り維持した。二次乾燥段階は、温度を30分に渡り30℃に上昇させ、そしてこの温度を更に2時間に渡り維持し、その間120mTorrの真空を維持することを伴った。最後に、この温度を30分に渡り20℃に下げ;バイアルを灰色のブチルゴムストッパー(WestDirect)で真空下で封止し、そして試料をこの分析のために取り出した。
【0120】
PBS中で凍結乾燥させるための微粒子を調製するために類似の手順を使用した。この製剤は最終濃度5mg/mlのDNA、7.5mg/mlのCRL-1005、0.3mMのBAKを含んだ。PBS中で凍結乾燥させた粒子を、10%スクロース、10mMリン酸ナトリウム溶液中で凍結乾燥させた粒子と比較した。Z平均中項粒子サイズ及び多分散性を、Malvern 3000HS Zetasizerを使用して、凍結乾燥前後の両方の種類の粒子について測定し、そして結果を表1に示している。
【0121】
【表1】

【0122】
実施例2
例1にあるように、10%スクロース、10mMのリン酸ナトリウム溶液中で調製した場合、凍結乾燥させたある試料を、注射のために960μlの滅菌水中で再生し、そして手動により穏やかに撹拌し、そして15分に渡りベンチトップ上に置いた。次いで、この溶液の20μlアリコートを15、60、120、240、360分間隔で取り出し、2mlのろ過(0.2μm)した10%スクロース、10mMのリン酸ナトリウム中で希釈した。この粒子のZ平均中項粒子及び多分散性を、上記のように、Malvern 3000HS Zetasizerを使用して測定した(図1A及び1B)。
【0123】
実施例3
DNA、CRL-1005及び他のポロキサマー、そして陽イオン性脂質(例えば、8.5%スクロース中の塩化ベンザルコニウムが挙げられるがそれに限定されない)を本明細書中に記載の通りに調製できうる。次いで、この混合物を凍結乾燥させ、そして再生させた場合、これらの製剤を、免疫源性研究において使用して良い。上記製剤を注射した動物のT-細胞反応をIFN-γ ELISpotアッセイによって測定でき、そして抗原特異的抗体をELISAによって測定できうる。データから、有利な生理的又は医薬的特性を有する生物学的に活性を有する製剤及び/又は生物学的活性が増強された製剤を同定できる。
【0124】
免疫源性の研究を、以下に記載の実験プロトコールを使用することで行うことができる。6〜8週齢BALB/cマウス(Harlan-Sprague-Dawley)の9つの集団には、裸のプラスミドDNA又は製剤化したプラスミドDNAを両脚(50μL/脚)筋肉(大腿直筋)内注射を与えるだろう。全てのマウスにおいて注射されるプラスミド(VR4700)は、インフルエンザ核タンパク質(NP)をコードする。全てのマウスに(おおよそ)21日及び49日でブーストを掛けられるだろう。第三回目のワクチン化(約60日)の後にNP-ワクチン化マウスから回収されるだろう血清、及びNP-特異的抗体反応をELISAによって測定するだろう。最後の免疫化の2週後に、脾細胞を3日連続でマウス3匹/群/日で回収するだろうし、そして抗原特異的T-細胞反応をIFN-γELISpotアッセイにより測定するだろう。
【0125】
DNAワクチン化に応じて生産されたNP特異的抗体をELISAによって評価するだろう。簡潔に、96ウェルCostarハイバインディング1/2ウェルELISAプレートを2μg/mLの組み換えNPタンパク質(Imgenex,Sandiego,CA)でコーティングして、PBS中10%子牛血清(FBS)でブロッキングする。ウェルを各免疫血清の連続希釈物とインキュベートし、そして結合した抗NP抗体を、アルカリ性リン酸塩標識したヤギ抗マウスIgG-Fcγ及び比色分析基質のp-ニトロフェニルフォスフェートの連続添加によって検出する。基質の転換を405nmで定量化する。
【0126】
最終点希釈滴力価を、405nmでの光学密度がアッセイ用緩衝剤のみを含んでいるウェルで測定した密度(即ち、バックグランド値)よりも2倍高い反復希釈として規定する。アッセイ用緩衝剤を含む8つのウェルの平均吸光度を、バックグランド値を確立するために使用している。NP DNAワクチン化マウスに由来する血清のプールと共にインキュベーとしたウェルはポジティブコントロールとして働く。
【0127】
DNAワクチンに対するT細胞反応を、IFN-γ ELISpotアッセイによって測定したように、抗原特異的刺激に反応してIFN-γを分泌する脾細胞の数を定量化することによって特定するだろう。脾細胞培養物は、RPMI-1640培地(25mMのHEPES緩衝剤及びL−グルタミンを含み、そして10%(v/v)FBS、55μMのβ-メルカプトエタノール、100U/mLのペニシリンGナトリウム塩、及び100μg/mLの硫酸ストレプトマイシンを補った)中で成長するだろう。ImmunoSpotプレート(Cellular Technology Limited,Cleveland,OH)をラット抗マウスIFN-γモノクローナル抗体(BD Bioscience,San Diego,CA)でコーティングして、RPMI-1640培地でブロッキングする。脾細胞懸濁を個々のワクチン化したマウスから生産でき、そしてELISpotプレートにおいて、RPMI培地(1μg/mLの適切なMHCクラスI制限ペプチド(M84、297AYAGLFTPL305、Imgenex, San Diego, CA; NP、147TYQRTRALV155、Sigma/Genosys、The Woods,TX)又は20μg/mLのタンパク質抗原(1U/mLの組み換えマウスIL-2を伴う(CD8+T細胞ELISpotアッセイ)又は伴わない(CD4+T細胞ELISpotアッセイ)を含む)中1×106、3×105、1×105細胞/ウェルで播くことができうる。コントロールウェルは、1×106の脾細胞(IL-2のみが有無の培地中(抗原なし)でインキュベートした)を含む。37℃で20時間に渡るインキュベーションの後、捕獲されたIFN-γを、ビオチン標識したラットマウスIFN-γモノクローナル抗体及びアビジン-セイヨウワサビペルオキシダーゼの連続添加によって検出する。比色分析用基質、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(ACE)の転換によって生み出されたスポットを、ImmunoSpotリーダー(Cellular Technology Limited, Cleveland, OH)によって定量化する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1A】本明細書中、例1に記載の方法によって生産した再生凍結乾燥粒子のZ平均中項粒子サイズ及び多分散性のグラフプロットである。
【図1B】本明細書中、例1に記載の方法によって生産した再生凍結乾燥粒子の多分散性及び多分散性グラフプロットである。
【図2】次の陽イオン性脂質:塩化ベンザルコニウム(BAK C12)、(±)−N−(ベンジル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(Bn-DHxRIE)、(±)−N−(2−アセトキシメチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(DHxRIE-OAc)、(±)−N−(2−ベンゾイルオキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(DHxRIE-OBz)及び(±)−N−(3−アセトキシプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(オクチルオキシ)−1−プロパンアミニウムクロリド(Pr-DOctRIE-OAc)の構造を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥させた組成物を調製する方法であって:
(a)(i)ポリオキシエチレン(POE)及びポリオキシプロピレン(POP)のブロックコポリマー;
(ii)ポリヌクレオチド;
(iii)陽イオン性界面活性剤;及び
(iv)非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤、
を、当該ブロックコポリマーの曇り点より下の温度で混合して混合物を形成させ;そして、
(b)当該混合物を凍結乾燥させる、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記ブロックコポリマーが一般式:
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)xH
(式中、yは疎水性POP部分(C3H6O)の分子量が最大で約20,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性POE部分(C2H4O)の%が約1重量%〜50重量%であるような数を表す)
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブロックコポリマーが一般式:
HO(C3H6O)y(C2H4O)x(C3H6O)y H
(式中、yは疎水性POP部分(C3H6O)の分子量が最大で約20,000Daであるような数を表し、そしてxは親水性POE部分(C2H4O)の%が約1重量%〜50重量%であるような数を表す)
である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
冷却ろ過段階を更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合段階(a)を約−2℃〜約−8℃の温度で行っている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記冷却ろ過段階を約−2℃〜約−8℃の温度で行っている、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記冷却ろ過段階を、孔径約0.01ミクロン〜約2ミクロンを有するフィルターを使用して行っている、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロックコポリマーがCRL-1005である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記陽イオン性界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム(BAK)、塩化ベネトニウム、セトリミド(cetrimide)、塩化セチルピリジニウム、塩化アセチルトリエチルアンモニウム、(±)−N−(ベンジル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(Bn-DHxRIE)、(±)−N−(2−アセトキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(DHxRIE-OAc)、(±)−N−(2−ベンゾイルオキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(ヘキシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド(DHxRIE-OBz)及び(±)−N−(3−アセトキシプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(オクチルオキシ)−1−プロパンアミニウムクロリド(Pr-DOctRIE-OAc)からなる群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物が非晶質抗凍結剤を1種類以上含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記非晶質抗凍結剤がスクロースである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物が、結晶質増量剤を1種類以上含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記混合物が、前記非晶質抗凍結剤又は結晶質増量剤を約1%〜約20%(w/v)含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
スクロースの最終濃度が約10%(w/v)である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物が更に、pH安定化生理的緩衝剤を含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記生理的緩衝剤が、塩類溶液、PBS、HEPES、MOPS、BIS-TRIS、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、二塩基性リン酸ナトリウム(Na2HPO4)、一塩基性リン酸ナトリウム(NaH2PO4)、一塩基性リン酸カリウム(NaKHPO4)、リン酸マグネシウム(Mg3(PO42・4H2O)、又はD(+)−α−ナトリウムグリセロフォスフェート(HOCH2CH(OH)CH2OPO3Na2)からなる群から選択されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記生理的緩衝剤がリン酸ナトリウムである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物中、前記生理緩衝剤の濃度が約5mM〜約25mMである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記リン酸ナトリウムが約5mM〜約25mMの濃度である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記混合物中に存在する前記陽イオン性界面活性剤の最終濃度が約0.01mM〜約5mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物中に存在する前記ブロックコポリマーの最終濃度が約1mg/mL〜約50mg/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記混合物中に存在する前記ポリヌクレオチド分子の最終濃度が約1ng/mL〜約10mg/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
請求項1の方法によって生産した製品。
【請求項24】
請求項23に記載の製品を水性溶液により再生することによって生産した、安定な、単分散性製品。
【請求項25】
請求項4の方法によって生産した製品。
【請求項26】
請求項25に記載の製品を水性溶液により再生することによって生産した、安定な、単分散性製品。
【請求項27】
請求項15の方法によって生産した製品。
【請求項28】
請求項27に記載の製品を水性溶液により再生することによって生産した、安定な、単分散性製品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−515855(P2006−515855A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565150(P2004−565150)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/038116
【国際公開番号】WO2004/060059
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(505235783)バイカル インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】