説明

框組ドアの組付構造

【課題】横框と縦框を充分に強固な組付き力で組付けることのできる框組ドアの組付構造を提供する。
【解決手段】横框10と縦框20を組付けてなる框組ドアにおいて、框材の組付け部となる、横框10の左右端面に、断面矩形状の大凸部12を形成し、縦框20の組付け部の内側部分に、大凸部12と嵌合する大凹部22を形成する。そして、大凸部12の根元部の前後側に、断面三角形状の三角凸部14を突設し、大凹部22の前後を形成する壁部25の先端部に、三角凸部14に嵌合する三角凹部24を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横框と縦框を組付けてなる框組ドアの組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物のドアにおいては、上下2本の横框と、左右2本の縦框を組合わせて形成した枠体の中に鏡板を組付けた、いわゆる框組ドアが多く使用されている。
【0003】
図7に示すように、こうした框組ドア40における横框41と縦框42の組付けは、通常、横框41に凸部41aを形成すると共に縦框42に凹部42aを形成し、その凸部41aを凹部42aに嵌合することによって行っている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】実開平5−73302号公報
【特許文献2】実公平6−28629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、横框41と縦框42を、それらに形成した凸部41aと凹部42aを嵌合して組付ける従来の框組ドア40では、両者の組付き力が必ずしも充分ではなく、ドアの耐久性に問題が残る。
また、凸部41aを高くし、凹部42aを深くすることも考えられるが、その場合、凹部42aが外側に反り、ひどいときには剥離し、組付き力が低下するという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的とするところは、横框と縦框を組付けてなる框組ドアにおいて、横框と縦框を充分に強固な組付き力で組付けることのできる組付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の框組ドアの組付構造は、横框と縦框を組付けてなる框組ドアにおいて、
前記框材の組付け部となる、前記横框の左右端面に、横框の、ドア面に垂直な方向となる前後方向の厚さよりも厚さの小さい断面矩形状の大凸部を、横框を前後方向に2等分する中心面に対象にそれぞれ突設すると共に、前記横框に組付く前記縦框の組付け部の内側部分に、前記大凸部と嵌合する大凹部を形成し、
前記大凸部の根元部の前後側に小凸部をそれぞれ突設すると共に、前記大凹部の前後を形成する壁部の先端部に、前記小凸部に嵌合する小凹部を形成して、前記横框と縦框を組付けたことを特徴とする。
【0007】
なお、ここで言う「框組ドア」には、通常の押し開きドアの他に、引き戸や折り戸など、各種のドアを含む。また、「嵌合する」とは、凸部分と凹部分がほぼ密に嵌り合うことができるような、ほぼ同じ大きさおよび形状を有することを意味する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記小凸部を断面三角形状の三角凸部とすると共に、前記小凹部を前記三角凸部に嵌合する三角凹部とし、
前記三角凸部の前後外側を形成する面を、頂点から前記左右方向に延びる水平面又は傾斜面とすると共に、前記頂点から前記中心面側に延びる他方の面を傾斜面としたことを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記小凸部を断面三角形状の三角凸部とすると共に、前記小凹部を前記三角凸部に嵌合する三角凹部とし、
前記三角凸部の前後外側を形成する面を、頂点から前記左右方向に延びる水平面とすると共に、前記頂点から前記中心面側に延びる他方の面を傾斜面とし、
前記水平面の基端を前記横框の左右端面上の位置とし、前記傾斜面の基端を前記大凸部の前後表面で前記水平面の基端より前記左右方向に突出した位置とし、
前記三角凸部の水平面と傾斜面とで形成される先端角度を25°〜45°に設定したことを特徴とする。
【0010】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記三角凸部の水平面と傾斜面とで形成される先端角度を略30°に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の框組ドアの組付構造によれば、横框と縦框を、大凸部と大凹部、および、大凸部の根元部の前後側に設けた小凸部と小凹部を嵌合させることによって組付けるので、充分な組付き力を与えることができる。
これにより、当該框組ドアの耐久性を向上させることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、小凸部を断面三角形状の三角凸部とし、小凹部を三角凸部に嵌合する三角凹部としたので、嵌合を円滑に行うことができるのに加え、横框と縦框の組付き力をさらに高めることができる。
また、三角凸部は壁部によって周りが囲まれるので三角凸部が欠けたり等破損することが防止される。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、三角凸部の前後外側を形成する面を左右方向に延びる水平面とすると共に、他方の面を傾斜面とし、傾斜面の基端を水平面の基端より左右方向に突出した位置に設定したので、横框と縦框の組付き力をさらに高めることができる。
また、三角凸部の根元部を強固にすることができるので、三角凸部が欠けたり等破損することが一層防止される。
【0014】
すなわち、傾斜面の基端を水平面の基端より左右方向に突出した位置に設定したことによって、両基端の位置を左右方向にずらして両者間の距離を長くすることができる。これにより、当該三角凸部の剛性を高めて三角凹部との組付き力を高めることができる。その結果、横框と縦框の組付き力をさらに高めることができる。
【0015】
また、水平面の基端を横框の中心側に設定したことによって、当該水平面と三角凹部との接触面積を長く設定することができ、これによっても横框と縦框の組付き力をより高めることができる。
【0016】
またさらに、三角凸部の水平面と傾斜面とで形成される先端角度を25°〜45°に設定したので、当該先端角部の剛性を充分に高く設定することができる。
これにより、三角凹部との充分な組付き力を確保して、横框と縦框との組付きを強固なものとすることができる。
ちなみに、先端角度が25°未満であると、剛性が不足して破損し易くなり、横框と縦框の組付き力を低下させてしまう。また、45°を超えると、三角凸部と三角凹部の前後方向の係合力が低下して外れ易い状態となり、同様に、横框と縦框の組付き力を弱めてしまう。
【0017】
特に、請求項4に記載の発明のように、三角凸部の水平面と傾斜面とで形成される先端角度を略30°に設定すると、当該先端角部に充分な剛性を与えると共に、三角凹部との前後方向の係合力も高く維持することができ、これにより、横框と縦框の組付き力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る框組ドアの組付構造について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る組付構造によって組付けられた框組ドア1を示す正面図である。図2は、本発明の実施形態に係る組付構造を示すもので、図1のA−A線拡大断面図である。図3は、図2のD部拡大図である。また、図4は、図2の分解斜視図である。さらに、図5は、図1のB−B線拡大断面図であり、図6は、図1のC−C線拡大断面図である。
【0019】
本発明の実施形態に係る框組ドアの組付構造は、上下2本の横框10と左右2本の縦框20を組付けて形成する枠体内に、鏡板30を組付けた框組ドア1におけるものである。鏡板30は、図5,図6で示されるように、横框10と縦框20の内面側に形成した差込溝部11,21に、その四辺端部を差込んで組付けている。
【0020】
また、框材の組付き部となる、横框10の左右端面のそれぞれに、断面矩形状の大凸部を突設すると共に、横框10に組付く、縦框20の上下端部のそれぞれの内側部分に、大凸部と嵌合する、当該大凹部22とほぼ同じ大きさおよび形状の大凹部22を形成している。
大凸部12は、横框10の、ドア面に垂直な方向となる前後方向(図1では紙面の表裏方向,図2では上下方向)の厚さよりも厚さの小さいものであり、図2に示すように、横框10を前後方向に2等分する中心面Qに対象に設けている。
また、大凸部12の先端部の中心に断面矩形状の凹溝13を形成すると共に、大凹部22に、凹溝13と嵌合するほぼ同じ大きさおよび形状の突部23を立設している。
【0021】
さらに、大凸部の根元部の前後側に小凸部として、断面三角形状の三角凸部14をそれぞれ突設すると共に、大凹部22の前後を形成する二つの壁部25のそれぞれの先端部に、三角凸部14に嵌合する小凹部として、三角凹部24を形成している。この三角凹部24も、三角凸部14とほぼ同じ大きさおよび形状である。
【0022】
本実施形態に係る框組ドアの組付構造は、横框10と縦框20を、大凸部12と大凹部22、凹溝13と凸部、および三角凸部14と三角凹部24のそれぞれを嵌合させて組付けているので、両者に充分な組付き力を与えることができる。
従って、框組ドア1の耐久性を大きく高めることができる。
【0023】
なお、本実施形態では、三角凸部14の前後外側を形成する面を、三角凸部14の頂点(頂部)Pから左右方向に延びる、すなわち大凸部12と平行な水平面14Aとすると共に、頂点(頂部)Pから中心面Q側に延びる他方の面を傾斜面14Bとしている。
そして、水平面14Aの基端14aを横框10の左右端面上の位置とし、傾斜面14Bの基端14bを大凸部12の前後表面で水平面14Aの基端14aより左右方向に突出した位置としている。
【0024】
こうすることによって、両基端14a,14bの位置を左右方向にずらして両者間の距離Tを長くすることができるので、三角凸部14の剛性を高めて三角凹部24との組付き力を高め、横框10と縦框20の組付き力をさらに向上させることができる。また、三角凸部14が欠けたり等破損することを防止することができる。
また、水平面14Aと三角凹部24との接触面積を長く設定することができ、これによっても横框10と縦框20の組付き力をさらに高めることができる。
【0025】
さらに、本実施形態では、三角凸部14を、横框10の前後表面から間隔Sをおいてそれぞれ突設し、横框10と縦框20との組付け時には、その間隔Sに、壁部25の先端部が当接するようにしている。
こうすることによって、横框10と縦框20の組付き力をさらに高めることができる。
また、三角凸部14は壁部25によって周りが囲まれるので三角凸部14が欠けたり等破損することが防止される。
【0026】
さらにまた、本実施形態では、三角凸部14の水平面14Aと傾斜面14Bとで形成される先端角度αを略30°に設定している。これにより、先端角部に充分な剛性を与えると共に、三角凹部24との前後方向の係合力も高く設定することができ、横框10と縦框20の組付き力を高めることができる。
【0027】
なお、先端角度αは略30°に限定されるものではなく、25°〜45°の範囲であれば、充分な剛性および三角凹部24との前後方向の係合力を与えることができる。
【0028】
また、本実施形態では、大凸部12の先端部の中心に断面矩形状の凹溝13を形成すると共に、大凹部22に、凹溝13と嵌合するほぼ同じ大きさおよび形状の突部23を立設したものとしたが、図8に示すように、凹溝13やそれに嵌合する突部23を設けないようにすることもできる。
【0029】
また、本実施形態では、小凸部及び小凹部として、三角凸部14とそれに嵌合する三角凹部24とし、しかもそれらの形状を特定したが、様々の形状にすることができる。
例えば、図9に示すように、小凸部及び小凹部として、三角凸部51とそれに嵌合する三角凹部52とし、しかも三角凸部51の前後外側を形成する面を、三角凸部51の頂点(頂部)から外側に向けて傾斜する傾斜面とし、頂点(頂部)から延びる他方の面を、左右方向に延びる水平面にしたり、あるいは、図10に示すように、小凸部及び小凹部として、三角凸部53とそれに嵌合する三角凹部54とし、しかも三角凸部53の前後外側を形成する面を、三角凸部53の頂点(頂部)から外側に向けて傾斜する傾斜面とし、頂点(頂部)から延びる他方の面についても中心面Q側に延びる傾斜面とすることもできる。
さらには、図11に示すように、小凸部及び小凹部として、三角形状ではなく矩形状の矩形凸部55とそれに嵌合する矩形凹部56とすることもできる。
【0030】
また、本発明の実施形態に係る框組ドアの組付構造は、上下2本の横框10と左右2本の縦框20を組付けて形成する枠体内に、鏡板30を組付けた框組ドア1におけるものについて適用した例を示したが、例えば、高さの中間辺りに中横框が設けられる仕様や、幅の中間位置に縦框が設けられる仕様のものにも適用することができる。
【0031】
なお、含水率変化に伴なう寸法変化率の異なる複数の面材がドアの厚さ方向に積層接着されている複合材料を、前記縦框20に用いる場合、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る組付構造によって組付けられた框組ドアを示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る組付構造を示すもので、図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】図2のD部拡大図である。
【図4】図2に示す組付構造の分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る組付構造を示すもので、図1のB−B線拡大断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る組付構造を示すもので、図1のC−C線拡大断面図である。
【図7】従来例に係る框組ドアの組付構造を示すもので、図1のA−A線に相当する断面図である。
【図8】本発明の実施形態の変形例を示す組付構造の分解斜視図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例を示す組付構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態の変形例を示す組付構造を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態の変形例を示す組付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 框組ドア
10 横框
11 差込溝部
12 大凸部
13 凹溝
14 三角凸部
14A 水平面
14a 水平面の基端
14B 傾斜面
14b 傾斜面の基端
20 縦框
21 差込溝部
22 大凹部
23 突部
24 三角凹部
25 壁部
30 鏡板
40 框組ドア
41 横框
41a 突部
42 縦框
42a 凹部
51 三角凸部
52 三角凹部
53 三角凸部
54 三角凹部
55 矩形凸部
56 矩形凹部
α 先端角度
P 頂点
S 間隔
T 基端14a,14b間の水平方向の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横框と縦框を組付けてなる框組ドアにおいて、
前記框材の組付け部となる、前記横框の左右端面に、横框の、ドア面に垂直な方向となる前後方向の厚さよりも厚さの小さい断面矩形状の大凸部を、横框を前後方向に2等分する中心面に対象にそれぞれ突設すると共に、前記横框に組付く前記縦框の組付け部の内側部分に、前記大凸部と嵌合する大凹部を形成し、
前記大凸部の根元部の前後側に小凸部をそれぞれ突設すると共に、前記大凹部の前後を形成する壁部の先端部に、前記小凸部に嵌合する小凹部を形成して、前記横框と縦框を組付けたことを特徴とする框組ドアの組付構造。
【請求項2】
前記小凸部を断面三角形状の三角凸部とすると共に、前記小凹部を前記三角凸部に嵌合する三角凹部とし、
前記三角凸部の前後外側を形成する面を、頂点から前記左右方向に延びる水平面又は傾斜面とすると共に、前記頂点から前記中心面側に延びる他方の面を傾斜面としたことを特徴とする請求項1に記載の框組ドアの組付構造。
【請求項3】
前記小凸部を断面三角形状の三角凸部とすると共に、前記小凹部を前記三角凸部に嵌合する三角凹部とし、
前記三角凸部の前後外側を形成する面を、頂点から前記左右方向に延びる水平面とすると共に、前記頂点から前記中心面側に延びる他方の面を傾斜面とし、
前記水平面の基端を前記横框の左右端面上の位置とし、前記傾斜面の基端を前記大凸部の前後表面で前記水平面の基端より前記左右方向に突出した位置とし、
前記三角凸部の水平面と傾斜面とで形成される先端角度を25°〜45°に設定したことを特徴とする請求項1に記載の框組ドアの組付構造。
【請求項4】
前記三角凸部の水平面と傾斜面とで形成される先端角度を略30°に設定したことを特徴とする請求項3に記載の框組ドアの組付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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