説明

梅風味の嗜好飲料の原液の製造方法及び該原液を含むアルコール飲料

【課題】居酒屋やバー等で客の要求に応じて清涼飲料等の嗜好飲料を提供するために必要な嗜好飲料の濃縮原液となる得るような梅風味の嗜好飲料の原液及び該原液を用いた低アルコール飲料を提供する。
【解決手段】梅の実と食酢と砂糖とをそれぞれ梅のみ1、食酢1.8〜2.0、砂糖1〜1.4の重量比で混合して容器内に収容し、これを常温の状態で8ヶ月間保管して熟成させて梅風味の嗜好飲料の原液を作成し、該原液に該原液の各2倍の量の水と焼酎とを加えて梅風味のアルコール飲料を作成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梅の実を用いた清涼感のある嗜好飲料の原液の製造方法及び該原液を使用したアルコール飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の梅酒は、梅の実と砂糖と焼酎とを所定の割合でガラス容器等に封入し、これを長期間保存して熟成させて梅酒を作る方法が知られている。
【0003】
又、前記梅酒にクエン酸等を加え、これを炭酸水等で希釈して缶チューハイ等の低アルコール飲料として引用する例がある。
【0004】
又、食酢の刺激感を抑制した酢酸飲料(飲料組成物)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−174753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
居酒屋やバー等では、客の要求に応じて随時に清涼飲料等の嗜好飲料を提供できるようにするため、嗜好飲料の濃縮原液を準備し、これを必要に応じ希釈して客に提供する必要があった。
【0007】
しかし、このような嗜好飲料の濃縮原液でニーズに合うものが無かった。
【0008】
又、前記梅酒にクエン酸を加え、これを炭酸水等で希釈した低アルコール飲料や前記酢酸飲料は果実の風味が少ないという問題があった。
【0009】
本発明は前記の問題点を解消し、梅の風味がよく出ている梅風味の嗜好飲料の原液の製造方法及び該原液を含むアルコール飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこの目的を達成すべく、梅の実に酢と砂糖とを混合して容器内に収容し、これを常温の状態で所定期間保存して熟成させて梅風味の嗜好飲料の原液を生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、梅の風味がよく残り、しかも程良い酸味を有して清涼感のある梅風味の嗜好飲料の原液と該原液を使用したのどごしのよいアルコール飲料を提供できる効果を有している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0013】
本発明の梅風味の嗜好飲料は、先ず梅風味の嗜好飲料の原液を作成しておき、これを水と焼酎で希釈し、アルコール飲料として提供するものである。
【0014】
この原液において、下記の表1の如く、梅の実1kgに対して、砂糖を0.9kg、1kg、1.1kg、1.2kg、1.3kg或いは1.4kg、又、酢を1,800cc、1,900cc、2,000cc、2,100cc、2,200cc、2,300cc、2,400cc、2,500cc或いは2,600ccをそれぞれ組み合せて15種類の供試混合液を作成し、これら各混合液をガラス製の各容器にそれぞれ入れて常温で8ヶ月保存して熟成した。
【0015】
【表1】

【0016】
そして、熟成したこれら15種類の供試用原液について酸味、甘味、梅の香り、のどごし、飲み易さ、後味の6個のチェック項目について、男女の計10人の試験者の賞味による3段階評価を行なった結果を下記の表2に示した。
【0017】
【表2】

【0018】
表2によれば、原液の「酸味」に関して、サンプル番号No.3、No.8、No.9、No.11〜No.15のものは、6名以上が「酸味」が丁度良いと判定した。
【0019】
又、原液の「甘味」に関して、サンプル番号No.5、No.8、No.9、No.11〜No.15のものは、5名以上が「甘味」が丁度良いと判定した。
【0020】
又、原液の「風味」に関しては、サンプル番号No.10〜No.15のものは、8名以上が「風味」が丁度良いと判定した。
【0021】
又、原液の「のどごし」に関して、サンプル番号No.11〜No.15のものは、6名以上が「のどごし」が良いと判定した。
【0022】
又、原液の「飲み易さ」に関して、サンプル番号No.11〜No.15のものは、6名以上が「飲み易さ」が良いと判定した。
【0023】
更に、原液の「後味」に関して、サンプル番号No.11〜No.15のものは、8名以上が「後味」が良いと判定した。
【0024】
以上から、サンプル番号No.11〜No.15のものは、「酸味」、「甘味」、及び「風味」が丁度良いとの判定が多く、「のどごし」、「飲み易さ」及び「後味」が良いとの判定が多いことから、これらのサンプル番号のものは図1の配合比より、梅の実1kgに対して酢が1,800cc〜2,000ccと砂糖1kg〜1.4kg即ち、梅の実と酢と砂糖の重量比が1:1.8〜2.0:1〜1.4であることが判明した。
【0025】
ここで、酢の重量比が1.8より小であると酸味が弱く、又酢の重量比が2.0より大であると酸味が強く感じられ、そして砂糖の重量比が1より小であると甘味が弱く、又砂糖の重量比が1.4より大であると甘味が強すぎるように感じられた。
【0026】
又、熟成期間に関して、7ヶ月より短いと、熟成が不十分で梅の味が薄く感じられて旨くなく、又10ヶ月より長いと熟成しすぎて梅の味が強く感じられ、中間の8ヶ月が梅の味が丁度熟成して最も好ましく感じられた。
【0027】
従って熟成期間は7〜10ヶ月が好ましいことが判明した。
【0028】
表2に示す官能テスト結果において比較的に評判の良かった5種類の原液(No.11、No.12、No.13、No.14、No.15)について、原液の各2倍の量の水と焼酎とを各原液に加えて希釈して、5種類の梅風味の低アルコールの嗜好飲料を作った。そして前記原液の場合と同様に、その酸味、甘味、梅の香り、のどごし、飲み易さ、後味の6個のチェック項目について、これら5種類の嗜好飲料について男女の計10人の試験者の賞味による3段階評価を行なった結果を下記の表3に示した。
【0029】
【表3】

【0030】
この結果、梅の実1に対して酢1.8〜2.0、砂糖1〜1.4の原液を該原液の各2倍の量の水及び焼酎で希釈したものが最も梅の香りが良く、又、飲みやすいことが判った。
【0031】
ここで梅の実としては、南高梅の梅の実が好ましいが大粒の梅の実であればいずれでもよい。
【0032】
又、酢としては、穀物酢が好ましいが、もろみ酢や玄米酢等の醸造酢の食酢であればいずれでもよい。
【0033】
又、砂糖としては、中双糖が好ましいが、白双糖、グラニュー糖或いは上白糖等であればいずれでもよい。又、砂糖としてノンカロリーの砂糖であってもよい。
【0034】
尚、酢の比重は1として重量換算している。
【0035】
又、焼酎としては、麦焼酎が好ましく、そのアルコール度は20乃至30度である。
【0036】
尚、前述においては、原液を用いたアルコール飲料の例を示したが、該原液に1.5〜2.5倍の水のみで薄めることにより、梅の風味が良く、酸味、甘味が丁度良く、のどごしが良く、飲み易い嗜好飲料が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の梅風味の嗜好飲料及びその原液の製造方法は、居酒屋やバー等で利用されるほか、一般家庭でも利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梅の実に酢と砂糖とを混合して容器内に収容し、これを常温の状態で所定期間保存して熟成させて梅風味の嗜好飲料の原液を生成する梅風味の原液の製造方法。
【請求項2】
前記梅の実と酢と砂糖は1:1.8〜2.0:1〜1.4の重量比で混合する請求項1に記載の梅風味の原液の製造方法。
【請求項3】
前記所定期間は7〜10ヶ月である請求項1又は請求項2に記載の梅風味の原液の製造方法。
【請求項4】
前記嗜好飲料の原液に水と焼酎とを加えたアルコール飲料。
【請求項5】
前記焼酎はアルコール度20度乃至30度の麦焼酎からなる請求項4に記載のアルコール飲料。

【公開番号】特開2012−90565(P2012−90565A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240531(P2010−240531)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(510172413)
【Fターム(参考)】