説明

梯子を兼ねる脚立

【課題】 梯子を兼ねる脚立を提供する。
【解決手段】 末広がりに配設された一対の縦杆4、4を、複数の水平なステップバーにより連結して全体の形状が細長い台形の支脚を構成し、このように構成された第1、第2及び第3支脚1、2、3の3個の支脚の内、第1及び第2支脚の幅が狭い方の上端部を第1ヒンジ手段6により、第2支脚及び第3支脚の幅が広い方の基端部を第2ヒンジ手段7によりそれぞれ回動可能に連結し、以て、第1乃至第3支脚を直線状に展開したとき梯子として用いることができるようにし、一方、梯子として用いるとき、ヒンジ手段による梯子の接続部の外側に谷折れが生じないようにストッパーを設け、他方、第3支脚の上端にステップバーと平行な係合杆を14設け、この係合杆に内側に開く浅いV字形の切欠を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は梯子を兼ねる脚立(以下単に脚立という)に係り、特に、梯子としての使用時安定性が大であり、しかも折り畳むとコンパクトになる脚立に関する。
【背景技術】
【0002】
梯子及び脚立の構造や使用目的はずっと以前から周知であるから、ここでは更に詳細な説明は省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−194981
【特許文献2】特開平10−025982
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
世間の常識として梯子は長いものであり、脚立は低いものであるから、梯子を兼ねる脚立というものは一般的ではない。
【0005】
一方、下記特許文献1及び2には梯子を兼ねる脚立が提案されているが、いずれも構造が複雑でしかも大型であり、したがって持ち運びに不便である。
【0006】
他方、ある種の職業や業務においては、梯子を兼ねる脚立があると便利である場合が多い。
【0007】
そこで、この発明は、梯子としての使用時安定性が大であり、しかも折り畳むとコンパクトになる脚立を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、漢字の八の字のように末広がりに配設された一対の縦杆を、複数の水平なステップバーにより連結して全体の形状が細長い台形の支脚を構成し、このように構成された第1、第2及び第3支脚の3個の支脚の内、第1及び第2支脚の幅が狭い方の上端部を第1ヒンジ手段により、第2支脚及び第3支脚の幅が広い方の基端部を第2ヒンジ手段によりそれぞれ回動可能に連結し、以て、第1乃至第3支脚を直線状に展開したとき梯子として用いることができるようにし、一方、第1支脚の基端を地面又は床面に置き、第3支脚の上端を立ち木や電柱、又は壁面に立て掛けて梯子として用いるとき、ヒンジ手段による梯子の接続部の外側に谷折れが生じないようにストッパーを設け、他方、第3支脚の上端にステップバーと平行な係合杆を設け、この係合杆に内側に開く浅いV字形の切欠を形成し、この切欠を電柱等に立て掛けたとき梯子の上端の幅方向の動きを拘束するようにし、また、第2及び第3支脚を重ねたものと第1支脚を広げることにより脚立として用いる場合、上記係合杆が第1ヒンジ手段による接続部の隙間に収納できるようにその幅を設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成されたこの発明によるラッチ装置は、3個の支脚を2個のヒンジ手段により直線状に接続し、伸ばしたときに梯子として、折り畳んだとき脚立としてそれぞれ機能するようにしたので、構造が簡単な梯子を兼ねる脚立を構成することができた。
【0010】
また、第3支脚の上端の係合杆が第1ヒンジ手段による接続部の隙間に収納できるようにしたので、折り畳んだときコンパクトになり持ち運びが簡単になる、等種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による脚立の梯子としての正面図。
【図2】その側面図。
【図3】ステップバーと縦杆の結合部を示す拡大平面図。
【図4】図3のIV−IV線による断面図。
【図5】係合杆の外観斜視図。
【図6】梯子を折り畳んで脚立にする過程を説明する側面図。
【図7】脚立の側面図。
【図8】脚立を更に平たくした状態を示す図7と同様の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
3個の支脚を2個のヒンジ手段により直線状に接続し、伸ばしたときに梯子として、折り畳んだとき脚立としてそれぞれ機能するようにしたので、構造が簡単な梯子を兼ねる脚立を構成できた。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
図1及び図2において符号1は第1支脚を、符号2は第2支脚を、符号3は第3支脚を夫々示す。
【0014】
各支脚は、図1に示すように、漢字の八の字(第2支脚は逆八の字)のように末広がりに配設された一対の縦杆4、4を、複数(図示の実施例では3本)の水平なステップバー5、5により連結して、全体の形状が細長い台形に形成されている。
【0015】
なお、縦杆4、4をステップバー5、5により連結するには、例えば図3及び図4に示すように、横断面が内側に開いたコ字形の縦杆4の間に、断面が台形のステップバー5を挟み、リベット止めする。
【0016】
また、図1及び図2において符号13は縦杆4の端部に嵌着されたゴム製、或いはプラスチック製のキャップを示す。
【0017】
これら第1乃至第3支脚1〜3の3個の支脚の内、第1及び第2支脚の幅が狭い方の上端部は第1ヒンジ手段6(図1参照)により、また、第2支脚2及び第3支脚3の幅が広い方の基端部は第2ヒンジ手段7によりそれぞれ回動可能に連結されている。
【0018】
このとき注意しなければならないのは、図1から明らかなように、第1ヒンジ手段6を構成する一対のヒンジ板の取付部8と連結部9とを同一平面とすると、第1及び第2支脚1、2の回動時連結部9、9が抉れてしまうことである。
【0019】
そのため、各ヒンジ板の取付部8と連結部9とを少し捩り、相互に接合する連結部9、9が付番しない水平な回動軸に垂直になるように成形されている。
これは、第2ヒンジ手段7においても同様である。
【0020】
この事情は従来の脚立におけると同様であるから、更に詳細な説明は省略する。
【0021】
なお、第2ヒンジ手段における第3支脚3の縦杆の下端は、半円形に成形され、支軸10に回動可能に支承されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、第1乃至第3支脚1〜3は直列に連接されているから、第1支脚1の基端を地面又は床面に置き、第3支脚3の上端を立ち木や電柱11に立て掛けて梯子として用いることができる。
【0023】
このとき、支脚がヒンジ部分で開いてしまわないように、すなわち、ヒンジ手段による梯子の接続部の外側に谷折れが生じないようにストッパーが設けられている。
【0024】
このストッパーは、第1ヒンジ手段においてはヒンジ板に形成された係止端縁12が相互に接合することにより構成されている。
【0025】
また、第2ヒンジ手段7においては、第3支軸3の縦杆4が前記キャップ13に押圧されることにより構成されている。
【0026】
一方、図1及び図2に示すように、第3支軸3の上端にはステップバー5と平行な係合杆14が装着されている。
【0027】
図示の実施例における係合杆14は、例えば、断面L字形のアルミ板の水平部に内側に開いた浅いV字形の切欠15を形成したもので、第3支脚の縦杆4の上端にリベット止めされている。
【0028】
この係合杆4の幅は、図 に示すように、脚立を折り畳んだとき第1ヒンジ手段6による接続部の隙間に収納できるようにその幅が設定されている。
【0029】
上記のように構成された脚立は、梯子から脚立に転換するときには、図6に示すように、先ず第3支脚3を第2支脚側に倒し、次いで第1支脚1を第2支脚側に倒し、図7のように脚立に変換する。
【0030】
なお、図7において第3支脚3が第2支脚2から離れないようにするため、第2ヒンジ手段の回動を渋くするとか、あるいは第2及び第3支脚の相互に接合する部分に異磁極で対峙する永久磁石を埋設するのが望ましい。
【0031】
なお、図7において符号16は二つ折の開き止めバーを示し、その自由端の鉤部を第1支脚に埴設された止めピン17に掛けて脚立の開脚度を規制する。
【0032】
図7に示す状態から第1及び第2支脚1、2を更に閉じると、図8に示すように、脚立は更に平たくなり、例えば自動車による運搬が容易になる。
【0033】
このときには、図8に示すように、係合杆14が第1ヒンジ手段による接続部の隙間に完全に収納されることは前記した通りである。
【符号の説明】
【0034】
1 第1支脚
2 第2支脚
3 第3支脚
4 縦杆
5 ステップバー
6 第1ヒンジ手段
7 第2ヒンジ手段
8 取付部
9 連結部
10 支軸
11 電柱
12 係止端縁
13 キャップ
14 係合杆
15 切欠
16 開き止めバー
17 止めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漢字の八の字のように末広がりに配設された一対の縦杆を、複数の水平なステップバーにより連結して全体の形状が細長い台形の支脚を構成し、このように構成された第1、第2及び第3支脚の3個の支脚の内、第1及び第2支脚の幅が狭い方の上端部を第1ヒンジ手段により、第2支脚及び第3支脚の幅が広い方の基端部を第2ヒンジ手段によりそれぞれ回動可能に連結し、以て、第1乃至第3支脚を直線状に展開したとき梯子として用いることができるようにし、一方、第1支脚の基端を地面又は床面に置き、第3支脚の上端を立ち木や電柱に立て掛けて梯子として用いるとき、ヒンジ手段による梯子の接続部の外側に谷折れが生じないようにストッパーを設け、他方、第3支脚の上端にステップバーと平行な係合杆を設け、この係合杆に内側に開く浅いV字形の切欠を形成し、この切欠を電柱等に立て掛けたとき梯子の上端の幅方向の動きを拘束するようにし、また、第2及び第3支脚を重ねたものと第1支脚を広げることにより脚立として用いる場合、上記係止杆が第1ヒンジ手段による接続部の隙間に収納できるようにその幅を設定したことを特徴とする梯子を兼ねる脚立。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−122251(P2012−122251A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273711(P2010−273711)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(510323897)
【Fターム(参考)】