説明

梱包包装体内の製品良否判定装置

【課題】梱包包装体の内部の空気をより適切に取り込めるようにする。
【解決手段】梱包包装体Aの天面を押す押圧手段5の押圧板4に突き刺しノズル9を設け、押圧板4の押圧によりテープで貼り止めているフラップの突き合わせ部位から梱包包装体内に突き刺しノズル9を臨ませ、突き刺しノズル9を介して吸引した梱包包装体内の空気によって流体物の前記臭気成分の有無を検査する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジュースなどの液体飲料やジェル状食品などの流動体を充填した複数個の容器や、複数個の前記充填済み容器を入れた複数個の包装箱を収納した段ボール製の梱包包装体を検査対象にして、その梱包包装体の内部で充填済みの容器から内容物の流動体が漏れている不良の容器があるかどうかを検査するために利用する梱包包装体内の製品良否判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から積層シートを貼り合わせして小袋状とし、辺部のヒートシール部分にキャップ付きの飲み口具を取り付けて携帯できる大きさとした容器に、ジュースやジェル状食品などの流動体を充填したパウチタイプの製品が多く流通している。このような容器本体が積層シートからなり、ヒートシール部分に飲み口具を挟み込んだ形態の容器では、製品出荷前の段階で充填した内容物が漏れ出ているかどうかの全数検査を行なっている。
【0003】
検査自体は例えば次のようにして行なわれている。検査工程に入る前の製品は、複数個の充填済み容器が入れられた包装箱をさらに複数個まとめて一つの梱包包装体に収納された形態となっていて、この形態で製造工程から検査工程に送り込まれている。
梱包包装体は段ボール製のものであり、天面で対向して折り畳みにより外表面側となって天面閉鎖する二つのフラップに跨るようにしてテープでその対のフラップを貼り止めている。また、梱包包装体の底面についても同様にして閉鎖されている。そして、検査工程に送り込まれた梱包包装体は、検査員にて天面のテープを切って天面が開かれ、さらに検査員が内部の包装箱を取り出して開き、容器が入った状態のままで包装箱の内面に内容物の付着跡や容器の外面に内容物の付着跡があるかどうかを目視で検品している。
包装箱内面や内部の容器それぞれの外面に付着跡が確認されずに内容物の漏れが無しと判定した包装箱は閉じ、漏れ無しとして判定された包装箱を上記梱包包装体に詰め直して天面を封鎖している。そして、検査された製品が梱包包装体に収納された状態で出荷される。
【0004】
出荷前の漏れの有無の検査は上述したパウチタイプの容器を用いた製品に限られるものではない。例えば、複数本のビール缶を梱包したカートン(製造工程から送り出されてきたカートン)を反転させた後、これを密閉空間内で放置してその密閉空間内の空気にアルコール成分が検出されるかどうかを測定する方法(特許文献1)や、チャンバー内にレトルトパウチ容器を入れて、レトルトパウチ容器の内部の圧力とチャンバー内の圧力との差圧を発生させ、チャンバー内の空気に含まれる特定成分を、チャンバー内やチャンバー内から引き出して検出できるようにして、レトルトパウチの漏れの有無を判定する方法(特許文献2)が提案されている。
【0005】
しかし、飲み口具を備えた上記パウチタイプの製品に対してその充填物の漏れの検査に際して、上述したカートンを上下反転させて密閉空間で放置する手法やチャンバー内に対象の容器をそれぞれ入れて漏れの有無を検査する手法では、非常に煩雑になってしまうという問題がある。
また、飲み口具を備えた製品での充填物の漏れの検査には、光学カメラを用いて画像検査を行なう方法があるが、検出精度の低さが問題となる。即ち、光学カメラで検知できる跡は、光学カメラで撮影した範囲のみであり、その光学カメラのフレームから外れた部分では検査ができないという問題がある。
この点から、臭気成分などの有無を漏れの判定に利用することは非常に有用ではあるが、飲み口具を備えた製品での充填物の漏れの検査は現状において上述した手法が採用されている。
【0006】
一方、この人手によるものでは、製造ラインから送り出されてきた梱包包装体を開き、良否判定後に再びその梱包包装体を閉じるため、検査作業が煩雑になるという問題がある。また、目視にて内容物の付着跡の有無を検査するため、その付着跡を見逃すことの無いように検査員には経験を積む必要があるが、簡単に検査員を養成することができないという問題があり、改善が求められている。
【0007】
このようなことから、本出願人にあっては特許文献3に示されているごとく人手を要せずに内容物の付着跡の有無の検査を行なえるようにすることを目的とした製品良否判定装置を先に提案している。この提案において、梱包包装体は、天面の対のフラップが通気不能なテープで貼り止められているとともに、外方側の対のフラップが対向する方向に直交する方向で対向している対のフラップが、前記外方側のフラップの下位にして天面の内方側となって折り倒されていて、この内方側のフラップと外方側のフラップとの間が通気可能な状態となっていて、天面において外方側フラップが対向する方向に沿った辺部側を通気可能にして天面が閉鎖されている。そして、製品良否判定装置は、この梱包包装体の通気可能な辺部の内の一部分が通気可能となるように残して他の部分を通気不能に覆い、梱包包装体を押すことで排出されるその梱包包装体内の空気の中に臭気成分(収容した内容物から揮発した場合に生じる匂い成分)があるかどうかをセンサにて判別するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−017972号公報
【特許文献2】特開平10−185752号公報
【特許文献3】特開2009−216502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明にあっては上記製品良否判定装置において、梱包包装体の内部の空気をより適切に取り込めるようにすることを課題とし、検査員などの人手を要することなく製品の良否判定を行なうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、梱包包装体に、臭気成分を含む流体物を充填した複数個の充填済み容器またはそれぞれに前記複数個の充填済み容器が入っている複数個の包装箱を収納されていて、天面側の折り倒した対のフラップの突き合わせ部位を覆うようにして前記対のフラップを通気不能なテープで貼り止めて天面が閉鎖されている前記梱包包装体の内部の空気に対して前記流体物の臭気成分の有無を検知する製品良否判定装置であって、
前記梱包包装体を定位置である梱包体停止位置で停止可能に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の梱包体停止位置に停止した梱包包装体の少なくとも前記フラップの突き合わせ部位に対応位置する上げ下げ可能な押圧板で、梱包包装体の閉鎖された天面を押す押圧手段と、
前記押圧手段の押圧板に取り付けられて前記対のフラップの突き合わせ部位に対応する突き刺しノズルを有し、前記押圧板の梱包包装体の天面に対する前記押圧板の押圧によりテープを突き抜けてフラップの突き合わせ部位から梱包包装体内に臨んだ前記突き刺しノズルを介して吸引した梱包包装体内の空気に前記流体物の前記臭気成分の有無を検知する臭気検知手段と
を備えることを特徴とする梱包包装体内の製品良否判定装置を提供して、上記課題を解消するものである。
【0011】
そして、本発明において、上記臭気検知手段において臭気成分が検知された梱包包装体と臭気成分が非検知とされた梱包包装体とを、上記搬送手段から振り分けてそれぞれ所定位置に搬送する不良品排出手段を備えることが良好である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、搬送手段で定位置にとどまった梱包包装体の天面でのフラップ突き合わせ部位を通して突き刺しノズルが梱包包装体内に入ることで、そのノズルが梱包包装体内の空気を取り込む先端部分として直接に梱包包装体内に臨み、そして、押圧手段の押圧板の押しによって梱包包装体の内部の圧力が高まることから、その梱包包装体内空気の臭気検知手段側への取り込みが確実に行われるようになり、取り込まれた空気に臭気成分が含まれているかどうかの臭気検知手段での検査精度が向上し、熟練の検査員の目視検査を行なうことなく、内容物の漏れの有無を判断することができる。
さらに、梱包包装体の天面の開閉を行なう必要がなく、梱包包装体に包装箱を入れた形態のものである場合にはその包装箱の開閉も必要がなく、検品コストを削減することができる。そして、検査員の技量に頼ることがないため、検出精度の向上が図り易いという優れた効果を奏する。
【0013】
請求項2の発明によれば、臭気成分の有無の検知を行なうために梱包包装体を止めていた梱包体停止位置から次工程に梱包包装体を移動させるに際して、不良品として判定された梱包包装体が次工程に移動しないように、人手を介することなくその振り分けが適切に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る梱包包装体内の製品良否判定装置の一例の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】一例の要部を側方から見た状態で示す説明図である。
【図3】梱包包装体の一例を示す説明図である。
【図4】梱包包装体の天面を押圧手段が押して突き刺しノズルが梱包包装体内に臨む状態を示す説明図である。
【図5】一例における臭気検知手段を概略的に示す説明図である。
【図6】他の実施の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに本発明を図1から図5に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は製品良否判定装置を示している。そして、この製品良否判定装置1での検査対象となる梱包包装体Aを最初に説明すると、この梱包包装体Aは段ボール製の箱からなるもので外箱として利用されるものであり、図3に示すようにその内部に複数個の厚紙製の包装箱Bが収納されていて、包装箱Bには、図示はしていないが、流体物を充填した複数個の充填済み容器、例えば飲み口具をパウチタイプの容器本体に取り付けた容器が整列した状態で入っている。容器に充填された流動体はジュースやジェル状食品であり、この流動体は香料などの臭気成分を含んでいて、例えばその一例としてはエタノールが挙げられる。
【0016】
(梱包包装体)
梱包包装体A自体は従来から使用されているタイプのものであり、上述したように外表面側となる対のフラップaが天面bで対向して折り畳まれて互いの端部が突き合って天面を閉じ、端部の突き合わせ部位cを跨ぐようにその突き合わせ部位cに沿って通気不能なテープCで対のフラップaを貼り止めて閉鎖された天面bを形成している。外表面側の対のフラップaの下位には、前記フラップaの対向方向と直交する方向に対向するもう一組の対となるフラップdがあり、このもう一組の対のフラップdそれぞれは天面bでの内面側となるようにして折り倒されていて、このフラップdの端部同士は突き合うことなく離間している。外表面側の二つのフラップaが対向する方向に沿っている辺の天面側部それぞれは、テープ非貼付とされている。なお、梱包包装体Aの底面についても同様の構成で閉鎖されている。
図3は梱包包装体Aを示す図であるが、後述する製品良否判定装置の押圧手段の押圧板の位置4aと臭気検出手段の突き刺しノズルの位置9aも合わせて図示されている。
【0017】
(搬送手段)
本発明の製品良否判定装置1は、上記梱包包装体Aを一方向に搬送するベルトコンベアなど無端の搬送機構からなる搬送手段2を備えている。前記搬送手段2は一端側(図面上、手前)を、梱包包装体Aを一旦停止させるための梱包体停止位置としていて、この梱包体停止位置に梱包包装体Aが到達する直前で、搬送機構の端部に対応位置するストッパー3が上昇して梱包包装体Aを受け止め、この梱包包装体Aがストッパー3に当接したときに搬送機構が搬送を停止し、梱包包装体Aが前記梱包体停止位置に止まるようにしている。
【0018】
(押圧手段)
そして、製品良否判定装置1は、梱包包装体Aを上記梱包体停止位置に止めて梱包包装体Aの内部の空気を取り出し、その空気に、梱包包装体Aの内部にある容器に充填した流動物の臭気成分があるか否かを検知するものであり、梱包体停止位置に停止した梱包包装体Aの天面bでの外表面側のフラップaが突き合わせ状となっている端部の突き合わせ部位cに対応位置する上げ下げ可能な押圧板4によってその梱包体停止位置で停止している梱包包装体Aの閉鎖された天面bを押す押圧手段5を備えている。
【0019】
前記押圧手段5は、図示されているように上記搬送手段2での梱包体停止位置を跨ぐようにして搬送手段2の幅方向に架け渡した架台6に支持されていて、その架台6に取り付けられているエアシリンダ7の働きによって前記押圧板4が上げ下げ可能とされていて、梱包体停止位置で停止したときの梱包包装体Aの天面b中央の上記突き合わせ部位cに向けて押圧板4を下げて梱包包装体Aの天面bを押す動作を行うとともに、梱包包装体Aが梱包体停止位置に到達する前と、梱包体停止位置での梱包包装体Aに対する製品良否判定が終了した後に、梱包包装体Aの搬送を妨げない高さ位置に前記押圧板4を待機させるように設けられている。
【0020】
(押圧板)
押圧手段5の押圧板4は、梱包包装体Aの天面bを押してその梱包包装体Aの内部の空気の圧力を高めて後述する臭気検知手段による空気の取り込みを行い易くするためのものであり、梱包包装体Aの天面bを若干凹ますことができるように、天面bの突き合わせ部位cの長さ寸法より短いとともに、その突き合わせ部位cに直角となる方向での長さ寸法も、梱包包装体Aにおける突き合わせ部位cに直角となる方向の長さ寸法よりも短く設けられている(図3参照)。そして、後述の臭気検知手段がその梱包包装体内から空気の取り込みをより一層行い易くするために、上記対のフラップdの離れている端部間部分eの上位となっている突き合わせ部位cの対応部分fを覆う大きさとしている。勿論、以上のことから、押圧板4の降下量は、梱包包装体Aの段ボール材や内部に収納されている包装箱、容器などに損傷を与える量とならないように事前に設定される。
【0021】
梱包包装体Aの天面に対して上記押圧板4が当たる位置は、突き合わせ部位cの上記対応部分fが中心となるように設定されており、同一寸法の梱包包装体Aが定められた位置(梱包体停止位置)に止まって押圧板4が垂直に下がることで、その押圧板4が対応部分fに適正に対応位置するようにしたり、梱包体停止位置に止まった梱包包装体Aでの対応部分fの位置に応じるように押圧板4の降下位置が調整されるようにしてもよい。また、梱包包装体Aの天面bは押されたときに略凹面形状に凹むようになるが、この凹面形状に追従できるように図4に示すごとく押圧板自体を可撓性のものとすることが良好である。
【0022】
本実施の例では上記押圧手段5によって梱包包装体Aの天面bを押すようにしているが、梱包包装体Aの位置を移動させない状態で梱包包装体Aの長側面と短側面とのいずれか、或いは長側面と短側面とを、押圧手段5の押圧と同時となるように押して梱包包装体Aの内部の空気の圧力を高めるようにしてもよく、このようにすれば後述の臭気検知手段による空気の取り込みがより一層行い易くすることができる。
【0023】
(臭気検知手段)
本製品良否判定装置1は臭気検知手段8を有している。この臭気検知手段8は、押圧板4の上面から下面に下方に突出するようにして取り付けられた三つの突き刺しノズル9と、前記突き刺しノズル9それぞれがパイプを介して接続されていて突き刺しノズル9が空気を引くことができるように吸引動作をする吸引吹き付け回路部10と、この吸引吹き付け回路部10に接続されているセンサ11とを備えている。
【0024】
三つの上記突き刺しノズル9は、押圧板4が押す突き合わせ部位cでの上記対応部分fに対応するように直線状に配置されている(図3参照)。そして、梱包体停止位置に梱包包装体Aが位置して押圧手段5のエアシリンダ7の働きによって押圧板4が突き合わせ部位cに向けて降りて、この突き合わせ部位cを押し下げたときに突き合わせ部位cに貼り付けられている上記テープCを突き抜けて対応部分fから梱包包装体Aの内部にノズル先端が臨むように設けられている。
【0025】
上記吸引吹き付け回路部10は、押圧板4が梱包包装体Aの天面bを押し下げたときに突き刺しノズル9からその梱包包装体Aの内部の空気を取り込む動作を行うもので、例えば梱包包装体Aの天面bが凹むように予め定められた降下量で押圧板4が降下した時点で突き刺しノズル9から梱包包装体Aの内部の空気を吸引する。そして、吸引により取り込んだ空気を突き刺しノズル9側に戻すことなく上記センサ11側に向けて送り出してセンサ11に吹き付ける動作をする。
【0026】
梱包包装体Aが梱包体停止位置に停止するごとに梱包包装体Aから空気の吸引をしていて、その吸引は押圧板4が梱包包装体Aの天面bを押している間に行われ、押圧板4の予め定められた押し下げ時間が終える前に突き刺しノズル9での吸引は停止する。このように梱包包装体Aの内部の空気の取り込みに際して押圧板4で天面bを押しているので、梱包包装体Aの内部の空気の圧力は若干高くなり、この状態で突き刺しノズル9から空気を吸引するため、吸引自体に抵抗が少なくなって梱包包装体Aの内部の空気の取り込みが確実になる。また、突き刺しノズル9それぞれも直に梱包包装体Aの内部に臨んでいるため、これによっても梱包包装体Aの内部の空気をスムーズに取り込みできる。
【0027】
臭気検知手段8では上記吸引吹き付け回路部10にて空気が吹き付けられるセンサ11を利用してその空気中での臭気成分の有無を検知するようにしている。仮に梱包包装体Aの内部において、いずれか包装箱の中のいずれかの容器から充填された流動体が漏れていた場合、その流動体に臭気成分が含まれているため、漏れ出た流動体から臭気成分が揮発して、梱包包装体Aの内部の空気に混じり合っている状態になる。その前記臭気成分が含まれた空気がセンサ11に吹き付けられることで、臭気成分がセンサにて検知されることになる。
【0028】
センサ11にはそのセンサ11からの臭気成分の有無に応じた信号を受ける制御装置12が接続されており、制御装置12にて梱包包装体Aの中に不良の包装体があるか否かの判定がなされる。その判定結果自体はブザーによる発音やモニターによる文字情報表示などで表すことが可能である。なお、上記突き刺しノズル9から吸引吹き付け回路部10を介してセンサ11までに至る経路中の空気は検査ごとに清浄な空気と入れ替えられる。
【0029】
搬送手段2、押圧手段5、臭気検知手段8それぞれの梱包包装体Aに動きに合わせた各動作は上記制御装置12によって制御されている。そして、梱包体停止位置にある梱包包装体Aの空気から臭気検知手段8により臭気成分が検知された場合には、前記制御装置12が、梱包体停止位置にある梱包包装体Aに対して臭気成分の検出が有りとの情報を対応付けし、また、臭気成分が非検出となった場合には、梱包体停止位置にある梱包包装体Aに対して臭気成分の検出が無しとの情報を対応付けして管理するように設けられている。
【0030】
(不良品排出手段)
図示されているように搬送手段2の前方には不良品排出手段13が設けられている。この不良品排出手段13は、上記臭気検知手段8の動作が完了して臭気成分の有無に基づいて内部の製品の良否が判定済みとなり、上記押圧板4が梱包包装体Aの移動に干渉しない位置に待機移動してから搬送動作を再開した搬送手段2によって搬送されてくる梱包包装体Aを受け取り、その梱包包装体Aの次工程への搬送を一時停止して止め置き可能にしたテーブル14と、このテーブル14の側方に位置して、上記制御装置により臭気成分の検出が有りとした情報が対応付けられた梱包包装体Aが前記テーブル14に止め置かれたときに、そのテーブル14に並設した次工程への第二搬送手段15側への方向に対して直交する方向にして並設されている不良品分別搬送手段16に、梱包包装体Aを押し出す送り出し装置17とからなるものである。
そして、この不良品排出手段13は、制御装置にて臭気成分の検出が無しの情報が対応付けられた梱包包装体Aがテーブル14に、搬送手段2から送り込まれたときには停止せず、上記第二搬送手段15にその梱包包装体Aを送り出すように設けられている。
【0031】
このように不良品排出手段13が、臭気検知手段8において臭気成分が検知された梱包包装体と臭気成分が非検知とされた梱包包装体とを、それぞれ対応する不良品分別搬送手段16、第二搬送手段15へと搬送手段2から振り分けて搬送するようにしているため、不良品を人手を介することなく確実に分別することができる。
【0032】
実施の例において上記不良品排出手段13を上記テーブル14と上記送り出し装置17とからなるものとして説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、ロボットアーム機構を備えて上記制御装置の制御により、臭気成分が検知された情報が対応付けられている梱包包装体と、臭気成分が非検知とされた情報が対応付けられている梱包包装体とを搬送手段2からそれぞれ所定の位置に向けて振り分ける構成のものであってもよい。
また、上記梱包包装体の底面については天面と同様に閉鎖されているが、上記搬送手段2の搬送面で、その底面全面が覆われた状態となっているため、底面側からの空気の漏れ出しは防止される。
さらに、上記実施の例では梱包包装体の内部に複数個の包装箱を収納し、その収納箱に複数個の容器を収めた例を示したが、梱包包装体の形態はこの例に限定されるものではない。
【0033】
そして、上記実施の例では一つの搬送手段2の一端側で一つの梱包包装体Aを止めて検査しているが、本発明ではこの実施の例に限定されるものではなく、複数の搬送手段2があって、その搬送手段それぞれに、上述した実施の例と同じく梱包包装体Aの送り込みを受ける上記不良品排出手段13が備え付けられていて、前記搬送手段2それぞれでの梱包体停止位置で停止している梱包包装体Aそれぞれに対応するように押圧手段5を設け、さらには、一つの臭気検知手段8において各梱包体停止位置側に渡るパイプが設けられ、そのパイプ端部にある突き刺しノズル9が上記実施の例で示したように、梱包包装体Aの天面を押す押圧手段5の押圧板4に取り付け、複数の梱包体停止位置それぞれにある梱包包装体から空気を取り込むようにしてもよい。
【0034】
さらに、梱包体停止位置に停止した梱包包装体に対する臭気検知を、その梱包包装体の周りが清浄な空気によって陽圧の状態となった環境の下で行うようにしてもよい。例えば図6に示すように、梱包体停止位置に停止した梱包包装体Aの天面における突き刺しノズルを突き通す部分が含まれるように、梱包体停止位置に停止する梱包包装体Aを囲む簡易チャンバー18を梱包体停止位置に対応して設け、その簡易チャンバー18は、搬送手段2により梱包体停止位置に搬送され、その梱包体停止位置からテーブル14に向けて搬送される梱包包装体を通過可能にした通過口を備える合成樹脂板等からなる箱体を配するとともに、その簡易チャンバー18の一部に開設した清浄空気導入口19に対して、フレッシュエア導入管20に活性炭フィルタ21、ブロワ22を設けたものを接続している。そして、この例では、清浄空気導入口19から簡易チャンバー18内に向けての清浄な空気gの送り込みが、押圧板4およびこの押圧板4の下面に突出する突き刺しノズル9が位置する空間を囲っている簡易チャンバー18内に行われることで、簡易チャンバー内の雰囲気が陽圧の状態となるように設けられる。このようにすることで突き刺しノズル9は、清浄な空気gと梱包包装体内の空気とを吸い込むだけとなって、簡易チャンバーの外部周りでの雰囲気中に他の臭気成分が存在していたとしても、臭気検知手段8に、簡易チャンバー外部周りの臭気成分が取り込まれるという誤検知は無くなり、検査対象である梱包包装体内での臭気成分の有無の判定検査精度がより一層向上するようになる。
【符号の説明】
【0035】
1…製品良否判定装置
2…搬送手段
4…押圧板
5…押圧手段
8…臭気検知手段
9…突き刺しノズル
10…吸引吹き付け回路部
11…センサ
13…不良品排出手段
15…第二搬送手段
16…不良品分別搬送手段
17…送り出し装置
A…梱包包装体
B…包装箱
C…テープ
b…天面
c…突き合わせ部位
e…端部間部分
f…端部間部分に対応する突き合わせ部位での対応部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包包装体に、臭気成分を含む流体物を充填した複数個の充填済み容器またはそれぞれに前記複数個の充填済み容器が入っている複数個の包装箱を収納されていて、天面側の折り倒した対のフラップの突き合わせ部位を覆うようにして前記対のフラップを通気不能なテープで貼り止めて天面が閉鎖されている前記梱包包装体の内部の空気に対して前記流体物の臭気成分の有無を検知する製品良否判定装置であって、
前記梱包包装体を定位置である梱包体停止位置で停止可能に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の梱包体停止位置に停止した梱包包装体の少なくとも前記フラップの突き合わせ部位に対応位置する上げ下げ可能な押圧板で、梱包包装体の閉鎖された天面を押す押圧手段と、
前記押圧手段の押圧板に取り付けられて前記対のフラップの突き合わせ部位に対応する突き刺しノズルを有し、前記押圧板の梱包包装体の天面に対する前記押圧板の押圧によりテープを突き抜けてフラップの突き合わせ部位から梱包包装体内に臨んだ前記突き刺しノズルを介して吸引した梱包包装体内の空気に前記流体物の前記臭気成分の有無を検知する臭気検知手段と
を備えることを特徴とする梱包包装体内の製品良否判定装置。
【請求項2】
上記臭気検知手段において臭気成分が検知された梱包包装体と臭気成分が非検知とされた梱包包装体とを、上記搬送手段から振り分けてそれぞれ所定位置に搬送する不良品排出手段を備える請求項1に記載の梱包包装体内の製品良否判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−117773(P2011−117773A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273736(P2009−273736)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】