説明

梱包装置

【課題】機能性食品等の液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に効率よく、しかも破袋事故が発生しないように梱包する包装形態を提供する。
【解決手段】パウチ43を横方向に並べて配するようにし、しかもパウチ43の一側端が隣接する他のパウチ43の他側端の上に載るように斜めに配列する。そして最下段のパウチ43上には、4辺にそれぞれ支持板34、36を有する仕切り板32を配し、中段のパウチ43と上段のパウチ43の列の間には、平板状をなす仕切り板40を配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包装置に係り、とくに液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の食品や薬液等を供給するために、液状あるいは流動状の物質を充填したバッグ状のパウチが広く用いられている。例えば機能性食品を供給するために、柔軟なバッグ状のパウチを用いるようにし、このパウチの口部から内部に機能性食品を充填して物流に供するようにしている。この場合において、パウチは、例えば特開2002−284234号公報に記載されているような梱包形態で物流に供される。すなわち包装袋を所定枚ずつ束ねた複数の包装袋束に区分し、複数の包装袋束の注口部の位置を包装袋束の配列順に交互に左右両側に振り分けて配置し、左右方向一側に注口部が配置される第1包装袋束列に属する各包装袋束の注口部を配列順に交互に上下に振り分けて配置する同時に、左右方向他側に注口部が配置される第2包装袋束列に属する各包装袋束の注口部についても配列順に交互に上下に振り分けて配置した収納構造が開示されている。
【0003】
このように液状物質を充填したバッグ状のパウチを梱包する場合には、包装箱内に効率的にパウチを配することを要し、充填効率を高めなければならない。また物流の途中で外部から衝撃を受けた場合や、包装箱が落下した場合に、内部のパウチが破袋し、これによって液状物質が流出する事故を防止するようにしなければならない。
【0004】
特開2003−128148号公報には、外箱に挿入して物品を支持する段ボール製緩衝材において、物品を受ける台板の両側に切目を挟んで千鳥状に並んだ稜板と折返板とを順次連設し、稜板及び折返板を巻き込むことにより、隣接する稜板の角度に差を設け、この状態で折返板と台板とが接するように外箱に複数個順次積層して収納し、台板に対する稜板及び折返板の折曲角度が維持されるようにし、各緩衝材の台板間の空間が保持されるようにした梱包形態が提案されている。
【0005】
このような梱包形態によると、内部に充填されるパウチを台板によって安定に保護することができる。ところがこのような形態は、梱包材の構造が複雑になってそのコストが増大する。また各パウチはそれぞれ台板内に挟着保持されるようにしているために、梱包に手間を要する欠点がある。
【0006】
また特開2004−224400号公報には、内容物が充填されたパウチ本体の一端にスパウトが設けられた多数の充填パウチをカートン内に収納するスパウト付き充填パウチの梱包構造において、梱包する充填パウチを3つ以上の所定数づつまとめて複数のパウチ組を構成し、パウチ組を箱内に上下に段積み構成とするもので、パウチ組は、各充填パウチを水平に置いて多角形状に無端状に配列し、各充填パウチのスパウト側端部を配列方向同じ側に向けると共にスパウトを隣接する充填パウチの上に重なるように組み付けた構成とし、またパウチ組の間に各パウチ組の収納空間を仕切る仕切部材を設けるようにしている。
【0007】
このような梱包構造によると、パウチの破袋事故が防止される利点がある。ところが必ずしも充填効率がそれほど高くないばかりでなく、パウチを井桁状に順次包装箱内に充填して行かなければならず、これによって梱包の操作が面倒になる。またこのような複雑な梱包のための包装箱内へのパウチの充填は、機械化になじまない問題がある。
【特許文献1】特開2002−284234号公報
【特許文献2】特開2003−128148号公報
【特許文献3】特開2004−224400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の課題は、包装箱内に液状物質を充填したバッグ状のパウチを効率的に充填するようにした梱包装置を提供することである。
【0009】
本願発明の別の課題は、液状物質を充填したバッグ状のパウチが、物流段階において、外部からの衝撃や包装箱の落下によって破袋しないようにした梱包装置を提供することである。
【0010】
本願発明のさらに別の課題は、梱包形態が単純であって、バッグ状のパウチを梱包する操作が容易な梱包装置を提供することである。
【0011】
本願発明のさらに別の課題は、液状物質を充填したバッグ状のパウチを梱包するための低コストの梱包装置を提供することである。
【0012】
本願発明のさらに別の課題は、梱包の際におけるパウチの充填が簡潔であって、しかもパウチを梱包するための包装箱内への充填の作業を容易に機械化することができるようにした梱包装置を提供することである。
【0013】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の主要な発明は、液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、
複数のパウチを包装箱内に横方向に並べて配するとともに、並べて配されるパウチの上に仕切り板を配するようにし、しかも端部に支持板を備える仕切り板を下側の仕切り板とし、平板状の仕切り板を上側の仕切り板としたことを特徴とする梱包装置に関するものである。
【0015】
また別の主要な発明は、液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、
縦方向に2つのパウチを並置するとともに、並置された2つのパウチの組を横方向に並べて配し、並べて配されるパウチの上に仕切り板を配するようにし、しかも端部に支持板を備える仕切り板を下側の仕切り板とし、平板状の仕切り板を上側の仕切り板としたことを特徴とする梱包装置に関するものである。
【0016】
さらに別の主要な発明は、液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、
縦方向に2つのパウチを並置するとともに、並置された2つのパウチの組を横方向に並べて配し、並べて配される上下のパウチの間にそれぞれ仕切り板を配するようにし、しかも仕切り板が前記包装箱の内部空間の大きさと同じかそれよりも小さい片側20mm以下の隙間を生ずる平板状の仕切り板であることを特徴とする梱包装置に関するものである。
【0017】
ここで、パウチ内に充填される物質が液状の機能性食品であって、該パウチは1個または2個の注出口部が備えられてよい。また横方向に並べて配されるパウチの一側端が隣接するパウチの他側端に載るように斜めに並べて配されてよい。また横方向に並べられたパウチを3段に重ねて配するようにし、下段のパウチと中間の段のパウチとの間に端部に支持板を備える仕切り板を配し、中間の段のパウチと上段のパウチとの間には平板状の仕切り板を配するようにしてよい。また下段のパウチと中間の段のパウチとの間に配される仕切り板は、その4辺の端部に支持板を備えてよい。また下段のパウチと中間の段のパウチの間に配される仕切り板は、その対向する2辺の端部に支持板を備えてよい。また仕切り板の支持板との折曲げ部分に指または手を入れる開口が形成されてよい。
【0018】
また、パウチがそのコーナの部分に第1のスパウトを備えるとともに、前記第1のスパウトを備えない側縁に第2のスパウトを備えてよい。また包装箱内に梱包される際に、前記第2のスパウトが前記包装箱の側板と対向しない位置に配されてよい。また包装箱内に梱包される際に、横方向に互いに隣接するパウチはその姿勢が互いに180度±20度回転した姿勢であることが好適である。
【発明の効果】
【0019】
本願の主要な発明は、液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、複数のパウチを包装箱内に横方向に並べて配するとともに、並べて配されるパウチの上に仕切り板を配するようにし、しかも端部に支持板を備える仕切り板を下側の仕切り板とし、平板状の仕切り板を上側の仕切り板としたものである。
【0020】
従ってこのような形態によれば、包装箱内に横方向に並べて配されるパウチが、支持板を備える仕切り板と平板状の仕切り板とによって区画された状態で安定に保護されるようになり、破袋事故を防止しながらしかも高い充填効率で包装箱内にパウチを充填できるようになる。しかも仕切り板として、支持板を備える仕切り板と平板状の仕切り板の2種類の仕切り板を用いるようにしているために、充填作業が単純になり、これによって作業性に優れた梱包装置を提供できるようになる。また充填作業が単純になるために、充填のための機械化が容易になる。
本願の別の主要な発明は、液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、縦方向に2つのパウチを並置するとともに、並置された2つのパウチの組を横方向に並べて配し、並べて配されるパウチの上に仕切り板を配するようにし、しかも端部に支持板を備える仕切り板を下側の仕切り板とし、平板状の仕切り板を上側の仕切り板としたものである。
【0021】
従ってこのような形態によれば、縦方向に2つのパウチを並置するとともに、並置された2つのパウチの組を横方向に並べて配することが可能になり、縦方向に2つずつのパウチの組を横方向に順次並べて包装箱内に梱包できるようになる。しかも端部に支持板を備える仕切り板を下側の仕切り板とし、平板状の仕切り板を上側の仕切り板としているために、これらの仕切り板によって縦方向に2つのパウチを並置したパウチの組を安定にかつ確実に保護することが可能になる。
またこのような構成においても、充填作業が単純になるために、充填のための機械化が容易になる。
【0022】
本願のさらに別の主要な発明は、液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、縦方向に2つのパウチを並置するとともに、並置された2つのパウチの組を横方向に並べて配し、並べて配される上下のパウチの間にそれぞれ仕切り板を配するようにし、しかも仕切り板が包装箱の内部空間の大きさと同じかそれよりも小さい平板状の仕切り板としたものである。
【0023】
従ってこのような構成によると、縦方向に2つのパウチを並置するとともに、並置された2つのパウチの組を横方向に並べて配置することになり、縦方向に2つずつのパウチの組が横方向に順次並べて包装箱内に収納されるようになる。しかもこれらのパウチが複数段に配される場合に、上下のパウチの組の間にそれぞれ包装箱の内部空間と同じかそれよりも小さい片側20mm以下の隙間を生ずる平板状の仕切り板が配されるようになり、このような仕切り板によって、上段のパウチ間の荷重を均一に分担し、局部的に下段の特定のパウチに荷重が印加されることがなく、これによって破袋事故を防止できるようになる。またこのような構成においても、充填作業が単純になるために、充填のための機械化が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。
【0025】
図1は本実施の形態の梱包装置を構成する包装箱を組立てるために打抜かれた段ボールシートを示すものであって、この段ボールシートは4枚の側板11、12、13、14を備え、これらの側板11〜14が互いに折曲げ線15を介して折曲げ可能に連結されている。また左端の側板11の端部には折曲げ線16を介して接合片17が連設されており、この接合片17を反対側の端部の側板14の端部に糊付けして接合することによって、包装箱を組立てるようにしている。
【0026】
側板11、13の下端側には折曲げ線19を介して底板20が折曲げ可能に連設されている。これに対して側板12、14の下端には折曲げ線21を介してフラップ22が折曲げ可能に連設されている。
【0027】
一方側板11、13の上端には折曲げ線25を介して蓋板26が折曲げ可能に連設される。また側板12、14の上端には折曲げ線27を介してフラップ28が折曲げ可能に連設される。
【0028】
このような段ボールシートは、図2および図3に示すように、機能性食品が充填されたパウチを収納する包装箱として組立てられる。すなわち4枚の側板11〜14を折曲げ線15のところで4角筒状に折曲げるとともに、接合片17を反対側の側板14の端部に糊付けして接合する。そして底部開口を塞ぐように折曲げ線21によってフラップ22を内側に折曲げ、さらに折曲げ線19によって底板20を内側に折曲げて底部開口を閉塞する。また内部に所定の物品を充填した後に、折曲げ線27によってフラップ28を内側に折曲げ、さらに折曲げ線25によって蓋板26を折曲げることにより、図3に示すように上部開口が閉塞されて包装箱が組立てられる。なおここで、この包装箱は段ボールから組立てられるとともに、図1に示すように側板11、12、13、14の高さ方向に延びるように段目が配列された状態で利用される。
【0029】
次にこのような包装箱内に配される仕切り板32について説明する。仕切り板32は図4および図5に示すように、矩形の段ボールから形成され、その長辺側の2辺にはそれぞれ折曲げ線33を介して支持板34が連設される。また仕切り板32の短辺側には折曲げ線35を介して支持板36が折曲げ可能に連設される。支持板34、36は、折曲げ線33、35のところでほぼ直角に折曲げられる。また支持板36と仕切り板32とのコーナの部分には、この仕切り板32を装着したり取外すための開口37が形成され、この開口37に指あるいは手を入れて仕切り板32を持上げるようにしている。なお仕切り板32であって支持板34、36を折曲げたときの外側縁間の大きさは、包装箱の内部空間の大きさと同じか、横方向および奥行き方向に内部空間の対応する方向に対して片側20mm以内の隙間を生ずる範囲で内部空間より小さければよい。
【0030】
図6および図7は変形例に係る別の仕切り板32を示す。この仕切り板32は、長辺側の支持板34を備えるものの、図4および図5に示す仕切り板32の短辺側の支持板36を無くすようにしたものである。すなわち最下段に配されるパウチを保護するための仕切り板32として、その上側のパウチの重量に応じて、図4および図5に示す形態と、図6および図7に示す形態とが適宜使い分けられる。上側に配されるパウチの重量が少ない場合には、図6および図7に示すように、短辺側の支持板36が無い仕切り板32を用いる。なお短辺側の支持板36に代えて、長辺側の支持板34を省略することも可能である。また支持板34がない仕切り板32についても、支持板34がある仕切り板と同じ大きさであってよい。
【0031】
図8および図9は、上側の仕切り板40を示す。すなわち上側の仕切り板であって、最上段のパウチとその下側に配される中段のパウチとの間にこの仕切り板40を配するようにしており、これによってとくに中段の仕切り板を安定に保護するようにしている。このような仕切り板40は、必要に応じて、最上段のパウチの上に配されてもよい。なお上側の仕切り板40の側縁に、図10に示すように、手あるいは指を入れるための半円形の切込み41を形成してもよい。なおこの仕切り板40も、包装箱の内部空間の大きさと同じか、横方向および奥行き方向に内部空間の対応する方向に対して片側20mm以内の隙間を生ずる範囲で内部空間より小さければよい。
【0032】
図11および図12は、包装箱内に充填されるパウチを示している。なおここでは、液状の機能性食品を充填するために、パウチが用いられる。パウチ43は同じ形状の2枚のシートをその周縁部であってシール部44のところでシールし、これによってバッグ状にしたものであって、バッグの内部が機能性食品の充填空間を構成する。なおこのようなパウチ43の所定の位置にはつり下げ口45とつり下げ用開口46とが形成される。またパウチ43の上記つり下げ口45とは反対側の位置に円筒状のスパウト47が取付けられる。このスパウト47は内部に充填された機能性食品の注出口を構成し、不使用時にキャップ48によって閉じられる。
【0033】
次に別の形態のパウチ43を図13および図14によって説明する。このパウチは、図11および図12に示すパウチとほぼ同じように長方形のシートを2枚重ねて周縁部をシール部44でシールしたパウチ43である。なおこのパウチ43には、つり下げ用開口が設けられておらず、つり下げ口45がコーナの部分に設けられている。またここでは、ほぼ円錐状のスパウト47が上記つり下げ口45と対角位置に設けられている。このようなパウチ43には、希釈した流動食が充填されるようになっており、希釈された流動食をそのままスパウト47から抽出して飲用に供するようにしている。
【0034】
図15および図16に示すパウチ43は、希釈されない濃い流動食が充填されるパウチであって、その周縁部がシール部44によってシールされる。そして左上のコーナの部分には上記図13および図14に示すスパウトと同様の円錐状のスパウト47が取付けられている。また上記スパウト47とは対角位置にはつり下げ口45が形成されている。また上記吊下げ口45の右上の位置であってこのスパウト43の端部側には、ジッパ付きスリット49が取付けられている。このジッパ付きスリット49を通して蒸留水を注入するようにしており、これによって内部に充填された高濃度の流動食の希釈を行なうようにしている。なお希釈割合としては、例えば3倍程度の希釈を行なうことになる。
【0035】
このような機能性食品を充填したパウチ43は、図17〜図19に示すように、横に並べた状態で3段に重ねて供給される。すなわちパウチ43は横方向に1列に、この包装箱の底板20上に配列される。このときにパウチ43の一側端が、隣接するパウチ43の他側端に載るように、斜めに順次部分的に積重ねた状態で横方向に配列される。そして最下段のパウチの上には、図4および図5に示す仕切り板32が配される。この仕切り板32はその4辺に支持板34、36を備える仕切り板である。上に載るパウチ43の重量が軽い場合には、図6および図7に示すように、支持板36を備えず、支持板34のみを備える仕切り板32を配するようにしてもよい。
【0036】
そして上記仕切り板32上には、最下段のパウチ43と同じように、4個のパウチ43が横に並べて配列される。なおここでも、パウチ43の他側端が隣接するパウチ43の一側端に載るように、最下段のパウチ43とは積重ね方向を同じ方向にした状態で隣接するパウチ43に斜めに積重ねられる。そして中段のパウチ43と上段のパウチ43の上には、平板状をなす仕切り板40が配列されるようになっている。仕切り板40は図8および図9、あるいは図10に示すように、単なる平板状の仕切り板であって、そのコーナの部分には支持板が備えられていない。そして中段の仕切り板40上には、さらに横方向に4個のパウチ43が配列され、その上に仕切り板40が配される。このようなパウチ43は、その一側端が隣接するパウチ43の他側端に斜めに積重なるようにして配列されている。最上段のパウチ43の上には、さらに平板状の仕切り板40を配するようにしてもよい。
【0037】
このような包装箱60に対するパウチ43の収納は、例えば図20に示すようにして機械化して行なわれる。ここでは、包装箱60にパウチ43を充填するために、パウチ用コンベア61と包装箱用コンベア62とがそれぞれ水平であって互いに平行に配される。ここでパウチ用コンベア61の所定の位置には側方に突出するように押出口63が設けられる。そして押出口63にはプッシャ64が備えられる。なおプッシャ64は、図外のアクチュエータによってパウチ用コンベア61の幅方向に往復動されるようになっている。
【0038】
パウチ用コンベア61によって、例えば4つのパウチ43がほぼ包装形態と同一の形態であって、パウチ43の一方の側端部が隣接する他のパウチ43の他方の側端部に載るようにして配列された状態で搬送される。そして押出口63において4つのパウチ43の組がプッシャ64によって押出され、これによって包装箱用コンベア62上を搬送する包装箱60内に収納される。なおここでは図示を省略しているが、適宜仕切り板32、40がパウチ43の挿入とほぼ同期して、その後から挿入が行なわれるようになっている。従ってこのような形態によると、パウチ43の包装箱60に対する充填作業が容易に機械化されることになる。またこのような機械化によって、確実にかつ効率的に、パウチ43を所定の配列状態で包装箱60内に梱包することが可能になる。
【0039】
包装箱60としては、例えば、その外形寸法であって横方向の長さが355mm(内寸法345mm)、奥行が265mm(同255mm)、高さが145mm(同125mm)の包装箱が用いられる。このような包装箱を縦方向および横方向の寸法がそれぞれ1100mmのパレット上に載置する場合には、図21Bに示すように、1つのパレット70上に、各列4つずつ3列に合計12個の包装箱60を配列することが可能になる。しかも1段に12個の包装箱60を10段に積重ねて、合計120個の包装箱60をパレット70上に積むことが可能になる。従ってパレット70上における包装箱60の配列が極めて効率的に行なわれることになる。
【0040】
なお図21Aに示すものは、従来の同様の目的に用いられていた包装箱のパレット70上における配列を示している。この従来の梱包形態においては、包装箱60の横方向の寸法が327mm(内寸法317mm)、同包装箱の奥行が314mm(同304mm)、高さ177mm(同157mm)であって、このような包装箱60は、1100mm×1100mmのパレット70上において、1段に9個であって、8段にしか積むことができず、1つのパレット70で72個の包装箱60を載置することになっていた。従ってこのような構成に比べ、図21Bに示す本願の包装箱60の場合には、はるかに積載効率が改善されたことが明白に立証される。
【0041】
次に別の実施の形態を図22〜図27によって説明する。この実施の形態においては、図22および図23に示すようなパウチ51が用いられる。パウチ51はほぼ正方形状をなす2枚のシートを、それらの周縁部であってシール部52で互いに接合してシールした構造になっており、バッグ状をなすとともに、内部が機能性食品の充填空間になっている。そしてその2個所のコーナの部分にはつり下げ口53が形成されるとともに、つり下げ口53が形成されていないコーナの部分に内容液の注出用の第1の円筒状のスパウト54が設けられている。スパウト54にはキャップ55が螺着される。また上記スパウト53から離れた位置には注出口を構成する小さな円錐状の第2のスパウト56が取付けられ、この第2スパウト56には細長いキャップ57が螺着されるようになっている。
【0042】
図24〜25はこのようなパウチ51の包装形態を示しており、ここでは最下段に4つのパウチ51が図25に示すように配される。ここで各列にはそれぞれ2つずつのパウチ51が縦方向に並べられるとともに、これらのパウチ51の一側端が、横方向の隣接するパウチ51の上に載るように、斜めに積重ねた状態で横方向に配列される。なお縦方向に隣接するパウチ51についても、一方のパウチ51の一端が他方のパウチ51の上に乗上げるように配列してもよい。
【0043】
このような梱包形態において、とくに図25に示すように、包装箱内に配されるパウチ51であって横方向に配列され互いに隣接するパウチ51は、それらの第1のスパウト54および第2のスパウト56の位置が互いに180度±20度ずれた状態になっている。すなわち図25において左側に位置するパウチ51の第1のスパウト54は左上に位置するのに対し、右側のパウチ51の第1のスパウト54は右下に位置している。また左側のパウチ51の第2のスパウト56が右側に突出しているのに対し、右側のパウチ51の第2のスパウト56は左側に突出するように配される。このように第2のスパウト56が包装箱の横方向の中心位置で互いに逆方向に向くように配されるのは、これらの第2のスパウト56が包装箱の側板12、14に接するように配した場合に、落下事故の際に第2のスパウト56がパウチ51内に没入するような力を受けて破袋事故が発生するからである。図25のように、左右のパウチ51を互いに180度±20度、より好ましくは180度±10度回転した姿勢で収納すると、破袋事故が確実に防止できるようになる。なお左右のパウチ51のずれ角が±20度以上傾くと、パウチ51が重合って高さ方向の充填効率が悪化するので好ましくない。
【0044】
このような4個のパウチ51上には、仕切り板32が配される。なおここでは、仕切り板32として、長辺側の部分にのみ支持板34が設けられた仕切り板32(図6および図7参照)が用いられる。なお長辺側の部分にのみ支持板34が設けられた仕切り板32に代えて、図4および図5に示すように、4辺に支持板34、36が設けられた仕切り板32を用いてもよい。あるいはまた2枚の包装箱60の内部空間と同じかそれよりも小さい平板状の仕切り板40を用いるようにし、最下段のパウチ51と中間のパウチ51の間、および中段のパウチ51と上段のパウチ51との間にそれぞれ仕切り板40を配するようにしてもよい。さらに必要であれば、上段のパウチ51の上に仕切り板40を配してもよい。
【0045】
そして下段のパウチ51と中段のパウチ51との間に仕切り板32を配するようにした場合には、最下段のパウチ51と同様に、仕切り板32上に4個のパウチ51が斜めに積重ねた状態で配列される。そしてその上には平板状の仕切り板40が配され、この仕切り板40上にさらに4個のパウチ51が並べて載置される。最上段の4個のパウチ51の配列もまた、中段および最下段のパウチ51の配列と同様であって、その一側端の部分が隣接する他のパウチ51の他側端の上に載るように斜めに積重ねられた状態で収納される。このような形態においても、上記実施の形態と同様に、破袋事故が発生しない梱包形態になる。
【0046】
このようなパウチ51の包装箱60に対する包装は、例えば図27に示す装置によって自動的に行なわれる。ここではパウチ用コンベア61と、包装箱用コンベア62とが用いられる。しかもパウチ用コンベア61は逆J字状であって左右に逆転した逆J字状のコンベア61が用いられる。このようなコンベア61は、その図27において下端側の部分に湾曲部65が形成されることになる。そしてパウチ用コンベア61の湾曲部65の上流側に第1の押出口63が設けられ、しかもこの押出口63にプッシャ64が設けられる。そして湾曲部65の下流側に第2の押出口66が上記第1の押出口63とは互いに逆方向に向くように設けられる。しかも押出口66にはさらにプッシャ67が取付けられる。
【0047】
このような形態において、包装箱60が包装箱用コンベア62によって搬送され、パウチ用コンベア61の押出口63の部位において、包装箱60の左側の部分に2つのパウチ51をプッシャ64によって落し込むようになる。そして後残りの2つのパウチ51は、パウチ用コンベア61によってさらに搬送され、湾曲部65を通って第2の押出口66を通してプッシャ67で押出され、包装箱60内に収納される。これによって包装箱60には、2つずつのパウチ51を2列に、すなわち1段に4つのパウチ51を並べた状態で収納することができる。なおここでも、各段のパウチ51を充填した後に、適宜仕切り板32、40が収納されることになる。
【0048】
上記2つの実施の形態は、何れも包装箱60内に高い充填効率でパウチ43、51を充填することができる。しかもパウチ43、51は、横方向に並べられるとともに、隣接する他のパウチの側端に載るように斜めに積重ねて配列されるために、破袋事故が確実に防止される。また内部には、支持板34、36を有する仕切り板32と平板状の仕切り板40または2枚あるいは3枚の平板状の仕切り板40を上下に配するだけであるから、パウチ43、51の充填作業が極めて単純化され、また梱包代のコストも低減されることになる。
【0049】
上記2つの実施の形態について、それぞれ落下テストを行なった結果を表1および表2に示す。また表3は、従来の包装形態についての比較例の落下テストのデータである。これらの落下テストは、包装箱内に上記2つの実施の形態のそれぞれの態様でパウチを充填しておき、落下テストにおける破袋の有無を確認するものである。例えば落下高さが60cm−50cm−50cmの場合は、底面60cm、長側面50cm、短側面50cmの順に3面で順次落下テストを行なうものである。そしてその後に10cmずつ落下高さを上げて、落下テストを繰返すものであって、破袋が発生するまで高さを上げる試験を繰返す。なおこのような落下テストの際には、前処理として、5℃で24時間の調温を行なうようにしており、試験に供される試料の温度を一定の値に保持している。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
落下テストの結果、第1の実施の形態であって、1つの包装箱に1段に4個、3段にパウチを入れた梱包形態によると、110cm−100cm−100cmのところで破袋が発生している。従って、100cm−90cm−90cmまでの高さでは、パウチの破袋は発生せず、安定に物流に供することが可能であることが立証されている。また第2の実施の形態であって、縦方向に2つに並べたものをさらに横方向に2列に並べるようにし、1段に4個ずつ、3段に合計12個のスパウトを入れた形態の落下テストの結果が表2に示される。なおここでは、平板状の仕切り板40を下段のパウチと中段のパウチの間および中段のパウチと上段のパウチの間にそれぞれ配している。この結果は極めて良好であって、130cm−120cm−120cmの高さで始めて破袋事故が発生している。従って120cm−110cm−110cmの高さにおいては、破袋事故が発生していない。従って落下に対して高い耐性を有する梱包形態になる。
【0054】
表3は従来の梱包形態であって、井桁状にスパウトを充填した場合の落下テストの結果を示している。このような梱包形態は、特開2004−224400号で提案された包装形態である。この包装形態の場合には、110cm−100cm−100cmの落下テストにおいて、中段エッジ切れの破袋事故が発生している。従って表1に示す結果と表3に示す結果はほぼ同等である。すなわち本願の表1に示す梱包形態は、従来の井桁状の充填構造の場合とほぼ同一の破袋耐性を示しながら、しかも高い充填効率を得ることができる。従って従来と同等の安全性を保ちながら、しかも梱包の充填効率に優れ、さらには充填の機械化が可能になる利点をもたらすことになる。また表2に示される縦方向に2列ずつのスパウトの組を横方向に配列した構成は、高い充填効率と、極めて高い破袋耐性を示すことが立証されている。
【0055】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態におけるパウチ43、51の形状や、内部に充填される液状物質の種類、濃度等については、各種の変更が可能である。また1段に配されるパウチ43、51の数についても、任意に増減可能である。またパウチ内に充填される物質としては、必ずしも機能性流動食品に限られることなく、その他各種の液体や流動状物質が用いられてよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明は、液状物質を充填したバッグ状のパウチを充填するための梱包装置として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】包装箱を組立てる段ボール原紙の展開平面図である。
【図2】同段ボール原紙によって組立てられた包装箱の開放状態の斜視図である。
【図3】同包装箱を閉じた状態の断面図である。
【図4】包装箱内に配される仕切り板の展開平面図である。
【図5】同仕切り板の組立て斜視図である。
【図6】別の仕切り板の展開平面図である。
【図7】同仕切り板の組立て斜視図である。
【図8】上段に配される平面状の仕切り板の平面図である。
【図9】同外観斜視図である。
【図10】別の仕切り板の外観斜視図である。
【図11】梱包されるパウチの平面図である。
【図12】同パウチの外観斜視図である。
【図13】別のパウチの平面図である。
【図14】同パウチの外観斜視図である。
【図15】さらに別のパウチの平面図である。
【図16】同パウチの外観斜視図である。
【図17】パウチを充填した包装箱の縦断面図である。
【図18】パウチの配列を示す包装箱の横断面図である。
【図19】梱包形態を示す分解斜視図である。
【図20】包装箱に対するパウチの充填のための装置の平面図である。
【図21】包装箱を載置したパレットの平面図である。
【図22】別の実施の形態のパウチの平面図である。
【図23】同パウチの外観斜視図である。
【図24】パウチを充填した包装箱の縦断面図である。
【図25】同パウチを充填した包装箱の横断面図である。
【図26】パウチの梱包形態を示す分解斜視図である。
【図27】包装箱に対するパウチの充填の装置を示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0058】
11〜14 側板
15、16 折曲げ線
17 接合片
19 折曲げ線
20 底板
21 折曲げ線
22 フラップ
25 折曲げ線
26 蓋板
27 折曲げ線
28 フラップ
32 仕切り板
33 折曲げ線
34 支持板
35 折曲げ線
36 支持板
37 開口
40 仕切り板
43 パウチ
41 切込み
44 シール部
45 つり下げ口
46 つり下げ用開口
47 スパウト
48 キャップ
49 ジッパ付きスリット
51 パウチ
52 シール部
53 つり下げ口
54 スパウト
55 キャップ
56 第2のスパウト
57 キャップ
60 包装箱
61 パウチ用コンベア
62 包装箱用コンベア
63 押出口
64 プッシャ
65 湾曲部
66 押出口
67 プッシャ
70 パレット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、
複数のパウチを包装箱内に横方向に並べて配するとともに、並べて配されるパウチの上に仕切り板を配するようにし、しかも端部に支持板を備える仕切り板を下側の仕切り板とし、平板状の仕切り板を上側の仕切り板としたことを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、
縦方向に2つのパウチを並置するとともに、並置された2つのパウチの組を横方向に並べて配し、並べて配されるパウチの上に仕切り板を配するようにし、しかも端部に支持板を備える仕切り板を下側の仕切り板とし、平板状の仕切り板を上側の仕切り板としたことを特徴とする梱包装置。
【請求項3】
液状物質を充填したバッグ状のパウチを包装箱内に梱包する梱包装置において、
縦方向に2つのパウチを並置するとともに、並置された2つのパウチの組を横方向に並べて配し、並べて配される上下のパウチの間にそれぞれ仕切り板を配するようにし、しかも仕切り板が前記包装箱の内部空間の大きさと同じかそれよりも小さい片側20mm以下の隙間を生ずる平板状の仕切り板であることを特徴とする梱包装置。
【請求項4】
パウチ内に充填される物質が液状の機能性食品であって、該パウチは1個または2個の注出口部が備えられることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の梱包装置。
【請求項5】
横方向に並べて配されるパウチの一側端が隣接するパウチの他側端に載るように斜めに並べて配されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の梱包装置。
【請求項6】
横方向に並べられたパウチを3段に重ねて配するようにし、下段のパウチと中間の段のパウチとの間に端部に支持板を備える仕切り板を配し、中間の段のパウチと上段のパウチとの間には平板状の仕切り板を配するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の梱包装置。
【請求項7】
下段のパウチと中間の段のパウチとの間に配される仕切り板は、その4辺の端部に支持板を備えることを特徴とする請求項6に記載の梱包装置。
【請求項8】
下段のパウチと中間の段のパウチの間に配される仕切り板は、その対向する2辺の端部に支持板を備えることを特徴とする請求項6に記載の梱包装置。
【請求項9】
仕切り板の支持板との折曲げ部分に指または手を入れる開口が形成されることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の梱包装置。
【請求項10】
パウチがそのコーナの部分に第1のスパウトを備えるとともに、前記第1のスパウトを備えない側縁に第2のスパウトを備えることを特徴とする請求項2または3に記載の梱包装置。
【請求項11】
包装箱内に梱包される際に、前記第2のスパウトが前記包装箱の側板と対向しない位置に配されることを特徴とする請求項10に記載の梱包装置。
【請求項12】
包装箱内に梱包される際に、横方向に互いに隣接するパウチはその姿勢が互いに180度±20度回転した姿勢であることを特徴とする請求項10に記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−274739(P2009−274739A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126907(P2008−126907)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000006138)明治乳業株式会社 (265)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】