説明

棒状鉄骨部材の接合構造及び接合方法

【課題】棒状鉄骨部材の接合作業を容易化することができる棒状鉄骨部材の接合構造及び接合方法を提供する。
【解決手段】1対の棒状鉄骨部材1の各端面に屈曲部13に沿って端面部材14を結合するとともに、端面部材14が互いに対向するように一直線状に配置された1対の棒状鉄骨部材1間に板状の挿入部材2を挿入する。このように、1対の棒状鉄骨部材1の各端面に屈曲部13に沿って結合された端面部材14間に挿入部材2を挿入することにより、これらの棒状鉄骨部材1を端部間に間隔が形成された状態で一直線状に保持することができる。したがって、この状態で各棒状鉄骨部材1の端部同士を接合することにより、接合作業を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1対の棒状鉄骨部材を一直線状に配置して端部同士を接合するための棒状鉄骨部材の接合構造及び接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、断面形状がH字形状からなるH型鋼などの棒状鉄骨部材が、建造物の骨格部材として用いられている。この種の棒状鉄骨部材は、通常、搬送しやすいように適度な長さで切断されており、作業現場において、複数本の棒状鉄骨部材が必要に応じて一直線状に配置され、端部同士が接合されることにより、1本の長い棒状鉄骨部材が形成されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は、従来の棒状鉄骨部材301の接合方法を示した斜視図である。この図11では、棒状鉄骨部材301の一例として、それぞれ断面形状がH字形状からなる1対の棒状鉄骨部材301を接合する場合が示されている。これらの棒状鉄骨部材301は、互いに平行に延びる1対の平行板部311と、これらの平行板部311に対して垂直方向に延び、平行板部311の中央部同士を連結する垂直板部312とが一体的に形成されることにより構成されている。
【0004】
端部同士の接合方法としては、図11に示すような連結板304を用いた方法が一般的である。より具体的には、1対の棒状鉄骨部材301が一直線状に配置されることにより、対応する平行板部311同士及び垂直板部312同士がそれぞれ同一平面内に延びるように保持された状態で、それらの平行板部311間及び垂直板部312間にそれぞれ連結板304が架け渡され、これらの連結板304が平行板部311間及び垂直板部312間にそれぞれボルト等の連結具(図示せず)を用いて固定される。
【0005】
複数本の棒状鉄骨部材301を上下方向に一直線状に連結する場合、連結後に形成される1本の棒状鉄骨部材の長さを調整するために、互いに隣接する1対の棒状鉄骨部材301が、図11に示すように、端部同士に所定の間隔Cが形成された状態で接合される場合がある。このような場合、互いに隣接する1対の棒状鉄骨部材301は、それらの端部間に上記間隔Cが形成されるようにレッカー等の据付機械を用いて保持された状態で、端部同士を接合する作業が行われる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−282019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来技術では、各棒状鉄骨部材301の端部同士を接合する作業が終了するまで、端部間に上記間隔Cが形成された状態で棒状鉄骨部材301を保持しておかなければならないため、作業効率が悪く、棒状鉄骨部材301の接合作業が比較的難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、棒状鉄骨部材の接合作業を容易化することができる棒状鉄骨部材の接合構造及び接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明に係る棒状鉄骨部材の接合構造は、それぞれ端部から長手方向に沿って延びる屈曲部が形成された1対の棒状鉄骨部材の端部同士を接合するための棒状鉄骨部材の接合構造であって、上記1対の棒状鉄骨部材の各端面に上記屈曲部に沿って結合され、各棒状鉄骨部材の長手方向に対して直交方向に延びる板状の端面部材と、上記端面部材が互いに対向するように一直線状に配置された上記1対の棒状鉄骨部材間に挿入され、上記端面部材間に挟持される板状の挿入部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、1対の棒状鉄骨部材の各端面に屈曲部に沿って結合された端面部材間に挿入部材を挿入することにより、これらの棒状鉄骨部材を端部間に間隔が形成された状態で一直線状に保持することができる。したがって、この状態で各棒状鉄骨部材の端部同士を接合することにより、接合作業を容易に行うことができる。特に、各棒状鉄骨部材の端面だけでなく、各端面に結合された端面部材も挿入部材に当接させて当該挿入部材を挟持することができるので、挿入部材を安定して配置することができる。
【0011】
また、各棒状鉄骨部材の端面に端面部材が結合されているので、1対の棒状鉄骨部材を上下方向に一直線状に配置する場合には、端面部材間に挿入部材を挿入する前に端面部材同士を一旦当接させることにより、1対の棒状鉄骨部材を安定して保持しておくことができる。したがって、接合作業中に端部間に間隔が形成された状態で棒状鉄骨部材を長時間保持しておく必要がなく、挿入部材の挿入時にのみ各端部を離間させて挿入すればよいので、棒状鉄骨部材の接合作業をより容易化することができる。
【0012】
第2の本発明に係る棒状鉄骨部材の接合構造は、上記端面部材及び上記挿入部材には、上記端面部材間に上記挿入部材が挟持された状態で互いに連通する貫通孔がそれぞれ形成されており、これらの貫通孔に連結具が挿入されることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、端面部材及び挿入部材にそれぞれ形成されている貫通孔に連結具を挿入して固定するという簡単な作業により、端面部材間に挿入部材が挟持された状態で1対の棒状鉄骨部材を強固に連結することができるので、棒状鉄骨部材の接合作業をより容易化することができる。
【0014】
また、1対の棒状鉄骨部材を上下方向に対して傾斜方向に沿って一直線状に配置する場合には、端面部材間に挿入部材を挿入した後、端面部材及び挿入部材の貫通孔に連結具を挿入して仮止めしておくことにより、挿入部材が落下するのを防止することができるので、棒状鉄骨部材の接合作業をさらに容易化することができる。
【0015】
第3の本発明に係る棒状鉄骨部材の接合方法は、それぞれ端部から長手方向に沿って延びる屈曲部が形成された1対の棒状鉄骨部材の各端面に、各棒状鉄骨部材の長手方向に対して直交方向に延びる板状の端面部材を上記屈曲部に沿って結合する端面部材結合ステップと、上記端面部材が互いに対向するように一直線状に配置された上記1対の棒状鉄骨部材間に板状の挿入部材を挿入することにより、上記端面部材間に上記挿入部材を挟持させる挿入部材挿入ステップとを備えたことを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、1対の棒状鉄骨部材の各端面に屈曲部に沿って結合された端面部材間に挿入部材を挿入することにより、これらの棒状鉄骨部材を端部間に間隔が形成された状態で一直線状に保持することができる。したがって、この状態で各棒状鉄骨部材の端部同士を接合することにより、接合作業を容易に行うことができる。特に、各棒状鉄骨部材の端面だけでなく、各端面に結合された端面部材も挿入部材に当接させて当該挿入部材を挟持することができるので、挿入部材を安定して配置することができる。
【0017】
第4の本発明に係る棒状鉄骨部材の接合方法は、上記端面部材が互いに当接するように上記1対の棒状鉄骨部材を上下方向に一直線状に配置する棒状鉄骨部材配置ステップを備え、上記挿入部材挿入ステップは、上記1対の棒状鉄骨部材を互いに離間させ、それらの棒状鉄骨部材間に上記挿入部材を挿入することにより、上記端面部材間に上記挿入部材を挟持させることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、端面部材間に挿入部材を挿入する前に、1対の棒状鉄骨部材を上下方向に一直線状に配置して、各棒状鉄骨部材の端面に結合されている端面部材同士を一旦当接させることにより、1対の棒状鉄骨部材を安定して保持しておくことができる。したがって、接合作業中に端部間に間隔が形成された状態で棒状鉄骨部材を長時間保持しておく必要がなく、挿入部材の挿入時にのみ各端部を離間させて挿入すればよいので、棒状鉄骨部材の接合作業をより容易化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、1対の棒状鉄骨部材の各端面に屈曲部に沿って結合された端面部材間に挿入部材を挿入することにより、これらの棒状鉄骨部材を端部間に間隔が形成された状態で一直線状に保持することができるので、この状態で各棒状鉄骨部材の端部同士を接合することにより、接合作業を容易に行うことができる。また、各棒状鉄骨部材の端面に端面部材が結合されているので、1対の棒状鉄骨部材を上下方向に一直線状に配置する場合には、端面部材間に挿入部材を挿入する前に端面部材同士を一旦当接させることにより、1対の棒状鉄骨部材を安定して保持しておくことができ、挿入部材の挿入時にのみ各端部を離間させて挿入すればよいので、棒状鉄骨部材の接合作業をより容易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る棒状鉄骨部材1の接合構造の一例を示した斜視図である。また、図2は、図1に示した棒状鉄骨部材1のA−A断面図である。図1及び図2では、棒状鉄骨部材1の一例として、それぞれH字形状の断面形状を有するH型鋼からなる1対の棒状鉄骨部材1が、上下方向に一直線状に配置されて接合される場合が示されている。各棒状鉄骨部材1は、互いに平行に延びる1対の平行板部11と、これらの平行板部11に対して垂直方向に延び、平行板部11の中央部同士を連結する垂直板部12とが一体的に形成されることにより構成されている。
【0021】
このような構成により、棒状鉄骨部材1における各平行板部11と垂直板部12との結合部には、それぞれ直角に屈曲した屈曲部13が形成され、この屈曲部13が棒状鉄骨部材1の端部から長手方向、すなわち上下方向に沿って延びている。より具体的には、垂直板部12の一方の面側は、各平行板部11との結合部に屈曲部13が形成されることによりコ字状に屈曲した形状となっており、垂直板部12の他方の面側も、各平行板部11との結合部に屈曲部13が形成されることによりコ字状に屈曲した形状となっている。
【0022】
本実施形態では、上記のような建造物の骨格部材として一般的に用いられているH型鋼からなる各棒状鉄骨部材1の端面に、板状の端面部材14が屈曲部13に沿って溶接等により結合されている。すなわち、各棒状鉄骨部材1の端面における垂直板部12の一方の面側に形成されたコ字状の屈曲部分、及び、垂直板部12の他方の面側に形成されたコ字状の屈曲部分に、それぞれ矩形形状からなる端面部材14が結合されることにより、各棒状鉄骨部材1が、図2に示すように平面視で矩形形状に形成されている。各端面部材14は、各棒状鉄骨部材1の長手方向に対して直交方向、すなわち水平方向に延びるように結合されている。
【0023】
各平行板部11の端部には、その厚さ方向、すなわち水平方向に貫通する貫通孔11Aが形成されている。また、各端面部材14には、その厚さ方向、すなわち上下方向に貫通する貫通孔14Aが形成されている。この例では、各平行板部11及び各端面部材14に、それぞれ2つの貫通孔11A,14Aが形成された構成が示されているが、このような構成に限らず、各平行板部11又は各端面部材14に貫通孔11A,14Aが1つだけ形成されたような構成であってもよいし、3つ以上形成されたような構成であってもよい。
【0024】
1対の棒状鉄骨部材1は、各端面部材14が互いに対向するように上下方向に一直線状に配置され、それらの端面部材14間には、板状の挿入部材2が挿入されて挟持されている。この挿入部材2は、金属材料により形成されており、1対の棒状鉄骨部材1の端面部材14間に配置されることにより、シム又はスペーサーとして機能するものである。挿入部材2は、1対の棒状鉄骨部材1の端部間に形成すべき間隔に対応する厚さに形成される。
【0025】
図3は、図1に示した挿入部材2の斜視図である。挿入部材2は、棒状鉄骨部材1の端面及び当該端面に対して屈曲部13に沿って結合された端面部材14に対応する矩形形状、すなわち、図2に示した棒状鉄骨部材1の平面形状に対応する形状に形成されている。
【0026】
挿入部材2には、その厚さ方向に貫通する貫通孔2Aが形成されている。この例では、挿入部材2には4つの貫通孔2Aが形成されており、その数は棒状鉄骨部材1の端面に結合されている2つの端面部材14に形成された貫通孔14Aの数に対応している。挿入部材2に形成された貫通孔2Aの形状及び配置は、棒状鉄骨部材1の端面に結合されている2つの端面部材14に形成された貫通孔14Aの形状及び配置に対応している。
【0027】
これにより、1対の棒状鉄骨部材1の端面部材14間に挿入部材2が挟持された状態では、挿入部材2及び端面部材14にそれぞれ形成された対応する貫通孔2A,14Aが連通し、図1に示すように、これらの貫通孔2A,14Aにボルト等の連結具3を挿入することができるようになっている。したがって、貫通孔2A,14Aに挿入した連結具3を用いて、1対の棒状鉄骨部材1の端面部材14同士を固定することにより、これらの端面部材14間に挿入部材2を強固に挟持することができる。
【0028】
1対の棒状鉄骨部材1は、上記のように端面部材14同士が固定されるだけでなく、図1に示すように、連結板4を介して平行板部11同士も固定されるようになっている。連結板4は金属材料により形成された板状部材であり、一直線状に配置された1対の棒状鉄骨部材1において上下方向に沿った同一面内に延びる平行板部11間に、それらの平行板部11に当接するようにして連結板4が架け渡される。
【0029】
連結板4には、平行板部11に形成された貫通孔11Aに対応する位置に貫通孔(図示せず)が形成されており、平行板部11及び連結板4にそれぞれ形成された対応する貫通孔にボルト等の連結具3を挿入して固定することにより、1対の棒状鉄骨部材1をさらに強固に連結することができる。なお、図1では、連結板4に固定される連結具3が一部省略して示されているが、連結具3は、1対の棒状鉄骨部材1に形成された貫通孔11Aと同数用意され、それらの連結具3がそれぞれ対応する貫通孔11Aに挿入されて固定される。
【0030】
本実施形態では、1対の棒状鉄骨部材1の各端面に屈曲部13に沿って結合された端面部材14間に挿入部材2を挿入することにより、これらの棒状鉄骨部材1を端部間に間隔が形成された状態で一直線状に保持することができる。したがって、この状態で各棒状鉄骨部材1の端部同士を接合することにより、接合作業を容易に行うことができる。特に、各棒状鉄骨部材1の端面だけでなく、各端面に結合された端面部材14も挿入部材2に当接させて当該挿入部材2を挟持することができるので、挿入部材2を安定して配置することができる。
【0031】
また、本実施形態では、端面部材14及び挿入部材2にそれぞれ形成されている貫通孔14A,2Aに連結具3を挿入して固定するという簡単な作業により、端面部材14間に挿入部材2が挟持された状態で1対の棒状鉄骨部材1を強固に連結することができるので、棒状鉄骨部材1の接合作業をより容易化することができる。
【0032】
図4は、棒状鉄骨部材1を接合するまでの態様を示したフローチャートである。この図4に示すように、各棒状鉄骨部材1には、工場で予め端面部材14が溶接等により結合され(ステップS101)、端面部材14が結合された状態で各棒状鉄骨部材1が作業現場へ搬送される(ステップS102)。
【0033】
作業現場では、レッカー等の据付機械を用いて各棒状鉄骨部材1が任意に配置されるとともに(ステップS103)、一直線状に配置される棒状鉄骨部材1間には、必要に応じて挿入部材2が挿入される(ステップS104)。このとき、一直線状に配置される棒状鉄骨部材1は、それらの端面部材14に形成されている貫通孔14A及び挿入部材2に形成されている貫通孔2Aに連結具3が挿入されることにより、互いに仮止めされる(ステップS105)。
【0034】
その後、連結板4が連結具3を用いて棒状鉄骨部材1間に取り付けられるなどして、各棒状鉄骨部材1に形成されている全ての貫通孔11A,14Aに連結具3が挿入され、それらの連結具3が強固に固定されることにより、棒状鉄骨部材1の接合作業が完了する(ステップS106)。
【0035】
図5は、1対の棒状鉄骨部材1を上下方向に一直線状に配置する際の態様を示した斜視図である。図4のステップS103に示した各棒状鉄骨部材1を配置する作業において、1対の棒状鉄骨部材1を上下方向に一直線状に配置する場合には、図5に示すように、端面部材14間に挿入部材2を挿入する前に、1対の棒状鉄骨部材1の各端面に結合されている端面部材14同士を一旦当接させるようになっている。
【0036】
このようにして1対の棒状鉄骨部材1を安定して保持しておき、その後、図4のステップS104に示した挿入部材2を挿入する作業を行う際には、1対の棒状鉄骨部材1の各端面部材14を互いに離間させ、それらの端面部材14間に挿入部材2を挿入する。したがって、接合作業中に端部間に間隔が形成された状態で棒状鉄骨部材1を長時間保持しておく必要がなく、挿入部材2の挿入時にのみ各端部を離間させて挿入すればよいので、棒状鉄骨部材1の接合作業をより容易化することができる。
【0037】
図6は、1対の棒状鉄骨部材1を水平方向に一直線状に配置して仮止めする際の態様を示した斜視図である。図4のステップS103及びステップS104において、1対の棒状鉄骨部材1を水平方向に一直線状に配置するとともに、それらの棒状鉄骨部材1間に挿入部材2をした場合には、その後に各棒状鉄骨部材1の貫通孔14A及び挿入部材2の貫通孔2Aに連結具3が挿入されることにより、図6に示すような状態で棒状鉄骨部材1同士が仮止めされる。
【0038】
この図6からも明らかなように、本実施形態では、1対の棒状鉄骨部材1を上下方向に対して傾斜方向に沿って一直線状に配置する場合には、端面部材14間に挿入部材2を挿入した後、端面部材14及び挿入部材2の貫通孔14A,2Aに連結具3を挿入して仮止めしておくことにより、挿入部材2が落下するのを防止することができる。したがって、棒状鉄骨部材の接合作業をさらに容易化することができる。
【0039】
<第2実施形態>
第1実施形態では、各棒状鉄骨部材1がH字形状の断面形状を有するH型鋼からなる場合について説明した。これに対して、第2実施形態では、各棒状鉄骨部材101がコ字形状の断面形状を有する溝型鋼(チャンネル)からなる点が、第1実施形態の場合とは異なっている。
【0040】
図7は、本発明の第2実施形態に係る棒状鉄骨部材101の接合構造の一例を示した斜視図である。また、図8は、図7に示した挿入部材102の斜視図である。本実施形態では、各棒状鉄骨部材1は、互いに平行に延びる1対の平行板部111と、これらの平行板部111に対して垂直方向に延び、平行板部111の一端部同士を連結する垂直板部112とが一体的に形成されることにより構成されている。このような構成により、棒状鉄骨部材101における各平行板部111と垂直板部112との結合部には、それぞれ直角に屈曲した屈曲部113が形成され、この屈曲部113が棒状鉄骨部材101の端部から長手方向、すなわち上下方向に沿って延びている。
【0041】
本実施形態では、上記のような建造物の骨格部材として一般的に用いられている溝型鋼からなる各棒状鉄骨部材101の端面に、板状の端面部材114が屈曲部113に沿って溶接等により結合されている。各端面部材114は、各棒状鉄骨部材101の長手方向に対して直交方向、すなわち水平方向に延びるように結合され、これにより、各棒状鉄骨部材101が平面視で矩形形状に形成されている。各平行板部111の端部及び各端面部材114には、第1実施形態と同様に貫通孔が形成されている。
【0042】
挿入部材102は、棒状鉄骨部材101の端面及び当該端面に対して屈曲部113に沿って結合された端面部材114に対応する矩形形状、すなわち、棒状鉄骨部材101の平面形状に対応する形状に形成されている。また、挿入部材102には、その厚さ方向に貫通する貫通孔102Aが形成されている。この例では、挿入部材102には2つの貫通孔102Aが形成されており、その数は棒状鉄骨部材101の端面に結合されている端面部材114に形成された貫通孔の数に対応している。挿入部材102に形成された貫通孔102Aの形状及び配置は、棒状鉄骨部材101の端面に結合されている端面部材114に形成された貫通孔の形状及び配置に対応している。
【0043】
このような構成により、1対の棒状鉄骨部材101の端面部材114間に挿入部材102が挟持された状態では、挿入部材102及び端面部材114にそれぞれ形成された対応する貫通孔が連通し、図7に示すように、これらの貫通孔にボルト等の連結具103を挿入して端面部材114同士を固定することにより、これらの端面部材114間に挿入部材102を強固に挟持することができる。また、1対の棒状鉄骨部材101は、第1実施形態と同様に、連結板104を介して平行板部111同士も連結具103により固定される。
【0044】
<第3実施形態>
第1実施形態では、各棒状鉄骨部材1がH字形状の断面形状を有するH型鋼からなる場合、第2実施形態では、各棒状鉄骨部材101がコ字形状の断面形状を有する溝型鋼(チャンネル)からなる場合について説明した。これに対して、第3実施形態では、各棒状鉄骨部材201がL字形状の断面形状を有する山型鋼(アングル)からなる点が、第1実施形態及び第2実施形態の場合とは異なっている。
【0045】
図9は、本発明の第3実施形態に係る棒状鉄骨部材201の接合構造の一例を示した斜視図である。また、図10は、図9に示した挿入部材202の斜視図である。本実施形態では、各棒状鉄骨部材201は、一端部同士が互いに直交するように連結された第1板部211及び第2板部212により構成されている。このような構成により、棒状鉄骨部材201における第1板部211と第2板部212との結合部には、直角に屈曲した屈曲部213が形成され、この屈曲部213が棒状鉄骨部材201の端部から長手方向、すなわち上下方向に沿って延びている。
【0046】
本実施形態では、上記のような建造物の骨格部材として一般的に用いられている山型鋼からなる各棒状鉄骨部材201の端面に、板状の端面部材214が屈曲部213に沿って溶接等により結合されている。各端面部材214は、各棒状鉄骨部材201の長手方向に対して直交方向、すなわち水平方向に延びるように結合され、これにより、各棒状鉄骨部材201が平面視で矩形形状に形成されている。各第1板部211の端部及び各端面部材214には、第1実施形態及び第2実施形態と同様に貫通孔が形成されている。
【0047】
挿入部材202は、棒状鉄骨部材201の端面及び当該端面に対して屈曲部213に沿って結合された端面部材214に対応する矩形形状、すなわち、棒状鉄骨部材201の平面形状に対応する形状に形成されている。また、挿入部材202には、その厚さ方向に貫通する貫通孔202Aが形成されている。この例では、挿入部材202には1つの貫通孔202Aが形成されており、その数は棒状鉄骨部材201の端面に結合されている端面部材214に形成された貫通孔の数に対応している。挿入部材202に形成された貫通孔202Aの形状及び配置は、棒状鉄骨部材201の端面に結合されている端面部材214に形成された貫通孔の形状及び配置に対応している。
【0048】
このような構成により、1対の棒状鉄骨部材201の端面部材214間に挿入部材202が挟持された状態では、挿入部材202及び端面部材214にそれぞれ形成された対応する貫通孔が連通し、図9に示すように、これらの貫通孔にボルト等の連結具203を挿入して端面部材214同士を固定することにより、これらの端面部材214間に挿入部材202を強固に挟持することができる。また、1対の棒状鉄骨部材201は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、連結板204を介して第1板部211同士も連結具203により固定される。
【0049】
以上の実施形態では、各棒状鉄骨部材1が、H字形状、コ字形状又はL字形状の断面形状を有するような構成について説明したが、このような構成に限らず、本発明は、端部から長手方向に沿って延びるように形成された各種形状の屈曲部を有する棒状鉄骨部材に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態に係る棒状鉄骨部材の接合構造の一例を示した斜視図である。
【図2】図1に示した棒状鉄骨部材のA−A断面図である。
【図3】図1に示した挿入部材の斜視図である。
【図4】棒状鉄骨部材を接合するまでの態様を示したフローチャートである。
【図5】1対の棒状鉄骨部材を上下方向に一直線状に配置する際の態様を示した斜視図である。
【図6】1対の棒状鉄骨部材を水平方向に一直線状に配置して仮止めする際の態様を示した斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る棒状鉄骨部材の接合構造の一例を示した斜視図である。
【図8】図7に示した挿入部材の斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る棒状鉄骨部材の接合構造の一例を示した斜視図である。
【図10】図9に示した挿入部材の斜視図である。
【図11】従来の棒状鉄骨部材の接合方法を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 棒状鉄骨部材
2 挿入部材
2A 貫通孔
3 連結具
11 平行板部
12 垂直板部
13 屈曲部
14 端面部材
14A 貫通孔
101 棒状鉄骨部材
102 挿入部材
102A 貫通孔
103 連結具
111 平行板部
112 垂直板部
113 屈曲部
114 端面部材
201 棒状鉄骨部材
202 挿入部材
202A 貫通孔
203 連結具
211 第1板部
212 第2板部
213 屈曲部
214 端面部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ端部から長手方向に沿って延びる屈曲部が形成された1対の棒状鉄骨部材の端部同士を接合するための棒状鉄骨部材の接合構造であって、
上記1対の棒状鉄骨部材の各端面に上記屈曲部に沿って結合され、各棒状鉄骨部材の長手方向に対して直交方向に延びる板状の端面部材と、
上記端面部材が互いに対向するように一直線状に配置された上記1対の棒状鉄骨部材間に挿入され、上記端面部材間に挟持される板状の挿入部材とを備えたことを特徴とする棒状鉄骨部材の接合構造。
【請求項2】
上記端面部材及び上記挿入部材には、上記端面部材間に上記挿入部材が挟持された状態で互いに連通する貫通孔がそれぞれ形成されており、これらの貫通孔に連結具が挿入されることを特徴とする請求項1に記載の棒状鉄骨部材の接合構造。
【請求項3】
それぞれ端部から長手方向に沿って延びる屈曲部が形成された1対の棒状鉄骨部材の各端面に、各棒状鉄骨部材の長手方向に対して直交方向に延びる板状の端面部材を上記屈曲部に沿って結合する端面部材結合ステップと、
上記端面部材が互いに対向するように一直線状に配置された上記1対の棒状鉄骨部材間に板状の挿入部材を挿入することにより、上記端面部材間に上記挿入部材を挟持させる挿入部材挿入ステップとを備えたことを特徴とする棒状鉄骨部材の接合方法。
【請求項4】
上記端面部材が互いに当接するように上記1対の棒状鉄骨部材を上下方向に一直線状に配置する棒状鉄骨部材配置ステップを備え、
上記挿入部材挿入ステップは、上記1対の棒状鉄骨部材を互いに離間させ、それらの棒状鉄骨部材間に上記挿入部材を挿入することにより、上記端面部材間に上記挿入部材を挟持させることを特徴とする請求項3に記載の棒状鉄骨部材の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−102879(P2009−102879A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275430(P2007−275430)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】