説明

棚付き机

【課題】 棚付き机の使用状態の変更に伴って、取り外された上側棚の再利用形態の選択肢を拡大することができるようにするとともに、使い勝手の面においても有利なものにする。
【解決手段】 左右一対の側板と背面板と天板とから構成される机本体と、左右一対の棚側板と背面板とから構成され、机本体の天板上面の後部側に配設される脱着自在な下側棚と、左右一対の棚側板と、両棚側板間に亘ってほぼ1列状態で脱着自在に固定連結される単独使用可能な複数の本立てとから構成され、下側棚の上部に配設される脱着自在な上側棚とからなる棚付き机であって、机本体の側板と下側棚の棚側板との少なくとも一方に、上側棚を構成する複数の本立てのうち、少なくとも一つの本立てを脱着自在に固定可能な固定手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として書棚付き学習机として用いられるもので、詳しくは、左右一対の側板と、両側板の後端部に亘って取り付けられる背面板と、これらの上端に載架状態で取り付けられる天板とから構成される机本体と、左右一対の棚側板と、両棚側板の後端部に亘って取り付けられる背面板とから構成され、机本体の天板上面の後部側に配設される脱着自在な下側棚と、左右一対の棚側板と、両棚側板間に亘ってほぼ1列状態で脱着自在に固定連結される単独使用可能な複数の本立てとから構成され、下側棚の上部に配設される脱着自在な上側棚とからなる棚付き机に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の棚付き机は、机本体の天板上面に配設される下側棚と上側棚とを自由に脱着することができるから、この下側棚と上側棚とが一体形成されている場合に比して、組立て時や輸送時における取扱いを容易に行うことができるばかりでなく、使用者の成長に伴う学習作業形態の変化、或いは、机上形態の好みや使い勝手の変化等に応じて、机本体と下側棚及び上側棚との組合せを変更することにより、机本体の天板上面に下側棚と上側棚とを配設した第1使用形態と、机本体の天板上面に下側棚のみを配設した第2使用形態、机本体の天板上面から下側棚と上側棚とを共に取り外した第3使用形態とに変更することができ、使用形態の多様化を図ることができる。
そして、従来の棚付き机では、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用形態に変更したとき、それに伴って取り外された2つの本立てを左右幅方向にほぼ1列状態で脱着自在に固定連結された状態のまま、机本体の膝入れ空間の奥側に入れ込んだ状態で固定して使用する形態、2つの本立てを左右幅方向にほぼ1列状態で脱着自在に固定連結された状態のまま、机上に載置して使用する形態、2つの本立てそれぞれを一個ずつに分離して、机上の任意の位置に任意の向き姿勢で載置して使用する形態、又は、2つの本立てを上下方向に連結して独立した上下2段の本棚として利用する形態が提案されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−25413
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の棚付き机であると、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用形態に変更するときに取り外される上側棚の複数の本立ての第2使用形態及び第3使用形態における再利用形態について、2つの本立てを左右幅方向にほぼ1列状態で脱着自在に固定連結された状態のまま、机上に載置して使用する形態、2つの本立てそれぞれを一個ずつに分離して、机上の任意の位置に任意の向き姿勢で載置して使用する形態、及び、2つの本立てを上下方向に連結して独立させた上下2段の本棚として利用する形態であれば、机に対してそれら本立てが一体的に固定されていない不安定な形態であるため、本立てごと机上から落下したり、振動等で倒れたりする畏れがあった。
そして、本立てを机に対し一体的に固定させた状態で使用可能な再利用形態としては、2つの本立てを左右幅方向にほぼ1列状態で脱着自在に固定連結された状態のまま、机本体の膝入れ空間の奥側に入れ込んだ状態で固定して使用する形態しか選択肢になく、この場合、本立てが机と一体的に固定されて安定した状態で本立てを利用することが可能であるが、机本体の膝入れ空間の奥側に配置されるため、使い勝手に乏しかった。
【0004】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良をもって第1使用形態から第2使用形態又は第3使用状態への変更に伴って取り外された上側棚の再利用形態の選択肢を拡大することができるようにするとともに、使い勝手の面においても有利なものにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、棚付き机に係り、その特徴は、
左右一対の側板と、両側板の後端部に亘って取り付けられる背面板と、これらの上端に載架状態で取り付けられる天板とから構成される机本体と、
左右一対の棚側板と、両棚側板の後端部に亘って取り付けられる背面板とから構成され、机本体の天板上面の後部側に配設される脱着自在な下側棚と、
左右一対の棚側板と、両棚側板間に亘ってほぼ1列状態で脱着自在に固定連結される単独使用可能な複数の本立てとから構成され、下側棚の上部に配設される脱着自在な上側棚とからなる棚付き机において、
前記机本体の側板と前記下側棚の棚側板との少なくとも一方に、前記上側棚を構成する複数の本立てのうち、少なくとも一つの本立てを脱着自在に固定可能な固定手段が設けられている点にある。
【0006】
つまり、この構成であれば、使用者の成長に伴う学習作業形態の変化、或いは、机上形態の好みや使い勝手の変化等に応じて、机本体と下側棚及び上側棚の組合せを変更することにより、机本体の天板上面に下側棚と上側棚とを配設した第1使用形態と、机本体の天板上面に下側棚のみを配設した第2使用形態、机本体の天板上面から下側棚と上側棚とを共に取り外した第3使用形態とに変更することができ、使用形態の多様化を図ることができる。
【0007】
しかも、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用状態への変更に伴って取り外された上側棚を再利用する際、この上側棚自体が、左右一対の棚側板と、単独使用可能な複数の本立てから構成されていることにより、左右の棚側板から分離された複数の本立てを左右方向に連結したまま机上に載置使用したり、個々に分離された本立てを机上の任意の位置に任意の向き姿勢で載置使用したり、或いは、2つの本立てを上下方向に連結して独立させた上下2段の本棚として利用することができるだけでなく、机本体の側板と前記下側棚の棚側板との少なくとも一方に、本立てを脱着自在に固定可能な固定手段が設けられているので、取り外された本立てを机本体の側板又は下側棚の棚側板に固定することができ、これによって、本立てを机に対して固定させた状態で再利用することが可能であるので、本立てを安定した状態で利用することができるとともに、机本体の膝入れ空間の奥側に固定する従来の構成のものに比べて、本などの出し入れも容易となり、また、着座者がいる状態であっても、他者と共有して本立てを利用することが可能となり便利である。
【0008】
更に、単独使用可能な複数の本立てを左右の棚側板間にほぼ1列状態で固定連結して上側棚を構成するが故に、各本立ての左右方向での寸法を任意に設定しながらも、上側棚の両棚側板の左右方向での外面間隔を、机本体の両側板の左右方向での外面間隔と同一に構成することができる。
【0009】
従って、このように構成することで、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用形態への変更に伴って取り外された上側棚の再利用形態の選択肢を拡大することができるとともに、使い勝手の面においても有利なものにすることができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施において好適な構成であり、その特徴は、
前記固定手段が、机本体の側板並びに下側棚の棚側板の外面側において、本立てを脱着自在に固定するように構成されている点にある。
【0011】
つまり、この構成であれば、本立てを机本体の側板並びに下側棚の棚側板の外面側に固定することで、これまではフック等を取り付けたりして、鞄や袋等を吊下げる程度にしか利用することのなかった机の外側面のスペースを有効利用することができるとともに、着座者がいる状態であっても、他者と共有して本立てを利用することが可能となり便利である。
【0012】
また、通常、この種の学習机では机本体に形成される膝入れ空間の左右一方に寄った位置に、膝入れ空間に入り込む可動式の引き出しキャビネットが設置されるが、従来構造の机における2つの本立てを左右幅方向にほぼ1列状態で脱着自在に固定連結された状態のまま、机本体の膝入れ空間の奥側に入れ込んだ状態で固定して使用する形態であると、引き出しキャビネットを膝入れ空間から取り出して、机とは別に設置する必要があり、このため、全体としての設置面積が大きくなってしまっていた。
しかしながら、本発明の構成であれば、本立てが机本体の側板並びに下側棚の棚側板の外面側に固定されるので、本立てを机に取り付けた状態で、引き出しキャビネットを膝入れ空間に設置したままの形態にすることもでき、全体としての設置面積も大きくなったりすることがほとんどない。
【0013】
従って、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用状態への変更に伴って取り外された本立てを机に取り付けることで、本立てを安定させた状態で使用することができるとともに、机の外面側に取り付けるので、机の外面側をより有効的に利用しながら、机を利用している着座者だけでなく、他者も本立てを利用することができる共有形態にすることができ、また、引き出しキャビネットも膝入れ空間に収納した状態のままで取り付けることができるので、全体としての設置面積を大きくすることもなく、使い勝手のいいものにすることができる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成の実施において好適な構成であり、その特徴は、
前記固定手段が、机本体の側板から下側棚の棚側板に亘って、上下方向に並列した状態で複数設けられている点にある。
【0015】
つまり、この構成であれば、使用者の成長に伴う身長の変化や学習作業形態の変化、或いは、机上形態の好みや使い勝手の変化等に応じて、机本体の側板並びに下側棚の棚側板に固定される本立ての高さ位置を選択することができるので、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用状態への変更に伴って取り外された上側棚の再利用形態の選択肢を一層拡大することができ、自由度をより高めることができる。
【0016】
また、机本体の側板から下側棚の棚側板に亘って、上下方向に並列した状態で複数設けられている固定手段に、複数の本立てを上下方向で並べた状態で固定することで、机の外面側に固定された複数段の本立てを形成することもでき、より一層、取り外された上側棚の再利用形態の選択肢を拡大することができ、自由度を高めることができる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つの特徴構成の実施において好適な構成であり、その特徴は、
前記机本体の膝入れ空間の奥側に、机本体の左右幅方向の中央位置に固定された縦板と、その縦板の左右両側において、縦板と机本体の側板との間に設けられた横板とから構成される内棚が設けられているとともに、
前記複数の本立てのうち、少なくとも一つの本立ての最大左右幅が、前記内棚の縦板と前記机本体の側板との間隔と同幅又はその間隔よりも小幅に形成されている点にある。
【0018】
つまり、この構成であれば、従来構造の机における第1使用形態では利用されていなかった膝入れ空間の奥側のスペースに内棚を設けることにより、第1使用形態でもそのスペースを有効利用することができるとともに、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用形態に変更するときに取り外される複数の本立てのうち、少なくとも一つの本立ての最大左右幅を、内棚の縦板と机本体の側板との間隔と同幅又はその間隔よりも小幅に形成することにより、取り外された本立ての全てを机本体の側板や下側棚の棚側板に固定するのではなく、少なくとも一つの本立てを膝入れ空間の奥側に設けられている内棚の横板に載置固定することが可能となり、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用状態への変更に伴って取り外された上側棚の再利用形態の選択肢をより一層拡大することができ、自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
図1〜図11は、書棚付き学習机として用いられる本発明の棚付き机を示し、これは、膝入れ空間Sを有する机本体Aと、該机本体Aの天板1上面の後部側に対して脱着自在に取付けられる下側棚Bと、この下側棚Bの上部に位置する状態で該下側棚Bの左右の棚側板10に対して脱着自在に取付けられる上側棚Cとから構成されているとともに、使用者の成長に伴う学習作業形態の変化、或いは、机上形態の好みや使い勝手の変化等に応じて、机本体Aと下側棚B及び上側棚Cとの組合せを変更することにより、机本体Aの天板1上面に下側棚Bと上側棚Cとを配設した第1使用形態と、机本体Aの天板1上面に下側棚Bのみを配設した第2使用形態、机本体Aの天板1上面から下側棚Bと上側棚Cとを共に取り外した第3使用形態とに変更自在に構成されている。
【0020】
机本体Aは、図1及び図2に示すように、左右一対の側板2と、該両側板2の後端部に亘って取付けられる一枚の背面板3と、これらの上端に載架状態で取付けられる天板1とを備えていて、天板1の下面に取付けられた左右一対の引出し4の底面と両側板2及び背面板3とにより、着座者の膝を前方から入込み可能な膝入れ空間Sが形成されているとともに、膝入れ空間Sの奥側に、机本体Aの左右幅方向の中央位置に固定された縦板5aと、その縦板5aの左右両側において、縦板5aと机本体Aの側板2との間に設けられた横板5bとから構成される可動式の内棚5が設けられている。
【0021】
内棚5の縦板5aの後端面の2箇所には、机本体Aの背面板3に取り付けるためのナット27が埋設固定(打ち込み固定)されているとともに、机本体Aの背面板3の左右幅方向中央位置には、埋設ナット27に対して螺合させるボルト26を連通させる取付け孔3aを上下方向に3箇所、縦板5aの二つの埋設ナット27と同一間隔で形成しており、これによって、上下2つの位置において選択的に内棚5を配設することができる。
【0022】
そして、内棚5の縦板5a及び机本体Aの側板2には、両横板5bの左右両端下部の前後2箇所に形成された係合凹部6と係合して、横板5bを縦板5aと机本体Aの側板2との間に載置固定するためのダボ7を嵌設する取付け凹部8が、縦板5aには前後方向に3列、上下方向に3段の合計9箇所、机本体Aの側板2には前後方向3列、上下方向に4段の合計12箇所に形成されていて、縦板5aの背面板3に対する取付け位置の選択と共に、取付け凹部8に対するダボ7の差し込み位置を変更することで、両横板5bの固定位置を自由に変更することができることで、内棚5を可動式にしている。
【0023】
机本体Aの側板2及び背面板3には、後述する上側棚Cを構成する本立て22を取り付けるための取付け孔9が形成されていて、側板2には3箇所、背面板3には縦板5aの両側それぞれに2箇所ずつ計4箇所形成されている。
【0024】
下側棚Bは、図1及び図2に示すように、左右一対の棚側板10と、該両棚側板10の後端部に亘って固定連結される背面板11、及び、該背面板11の前面の左右中央部に固着された中央仕切板12とに亘って、可動棚板13を脱着自在に載置支持する棚受け部材14と、二つの仕切り板15を備えた固定棚板16とを取付けるとともに、固定棚板16の下面には、左右一対の引出し17が設けられている。
また、この下側棚Bは、机本体Aの天板1に対して周知の左右一対の取付け金具18を介して脱着自在に固定連結されている。
【0025】
上側棚Cは、図1〜図3に示すように、左右一対の棚側板20と、該両棚側板20の後端部に亘って脱着自在に固定連結される背面板21、及び、両棚側板20間に亘ってほぼ1列状態で脱着自在に固定連結される単独使用可能な二個の本立て22から構成されているとともに、両棚側板20が、本立て22を上下方向に間隔を隔てた状態で固定連結するための連結板に兼用可能に構成されている。
【0026】
本立て22の各々は、左右一対の外側板22aと、両外側板22aの後端側の上半部分に亘って固定連結される上下二枚の背側板22b,22cと、これら外側板22aと下背側板22cに亘って水平姿勢で固定連結される載置板22d、及び、載置板22dの左右中央位置と上下二枚の背側板22b,22cの左右中央位置とに亘って固着される仕切板22eとから構成されていて、仕切板22eには、その後端面に上下二枚の背側板22b,22cに挟持される形態で、それら背側板22b,22cと係合する係合部23が設けられていて、この係合部23により仕切板22eは背側板22bに固定されている。
【0027】
二個の本立て22のうち一方の本立て22Aは、その最大左右幅W1が机本体Aの膝入れ空間Sの奥側に設けられている内棚5の縦板5aと机本体Aの側板2との間隔W2(すなわち、内棚5の横板5bの左右幅)と同幅に形成されていて、他方の本立て22Bよりもその最大左右幅W1が小幅となるように構成されているので、小幅本立て22Aは、机本体Aの内棚5の横板5bの上に載置使用可能に構成されている。
【0028】
本立て22を構成する各外側板22aの上下二箇所及び前後二箇所の合計4箇所には、棚側板20又は左右方向で隣接する他の本立て22の外側板22aとボルト26、ナット27を介して固定連結するための取付け孔24が貫通形成されているとともに、各棚側板20の上下二箇所及び前後二箇所の合計4箇所には、外側板22aの取付け孔24に挿通されたボルト26と螺合自在なナット27が埋設固定(打ち込み固定)されていて、各外側板22aが、棚側板20又は左右方向で隣接する他の本立て22の外側板22aと固定連結するための連結板に兼用構成されている。
【0029】
二個の本立て22のうち小幅本立て22Aを構成する載置板22dの後端面の中央位置には、上側棚Cの背面板21に対して小幅本立て22Aを脱着自在に取り付けるためのナット27が埋設固定(打ち込み固定)されているとともに、背面板21に形成された取付け孔21aにボルト26を通して、載置板22dに埋設されている埋設ナット27と螺合させている。
【0030】
また、大幅本立て22Bを構成する載置板22dの後端面には、上側棚Cの背面板21に対して大幅本立て22Bを脱着自在に取り付けるためのナット27が左右二箇所及び中央箇所の合計3箇所に埋設固定(打ち込み固定)されているとともに、机本体Aの背面板21及び大幅本立て22Bの下背側板22cに形成された3箇所の取付け孔21a,24にボルト26を通して、載置板22dに埋設されている埋設ナット27と螺合させている。
【0031】
そして、大幅本立て22Bを構成する上背側板22bの左右幅方向中央位置には、上側棚Cの背面板21に対して大幅本立て22Bを脱着自在に取り付けるためナット27が埋設固定(打ち込み固定)されており、背面板21に形成されている取付け孔21bに背面側からボルト26を通して、上背側板22bに埋設されている埋設ナット27と螺合させて、大幅本立て22Bを背面板21に固定している。
【0032】
棚側板20と背面板21とを脱着自在に固定連結する連結具30は、図4〜図6に示すように、背面板21の左右両端面の上下二箇所に、環状の係止溝31aを備えた連結ピン31を設けるとともに、棚側板20には、連結ピン31が左右方向から抜き差し自在な連結孔32aを備えたロックケース32を埋設し、このロックケース32には、連結孔32aに連結ピン31が挿入されている状態でのドライバー等による回転操作により、連結ピン31の係止溝31aに対して径方向外方から係合するロック状態と係止溝31aから径方向外方に離脱したロック解除状態とに切替えられるロック部材33を組付けて構成されている。
【0033】
下側棚Bの棚側板10と上側棚Cの棚側板20とを脱着自在に固定連結する連結具35は、図7及び図8(イ)、(ロ)に示すように、下側棚Bを構成する棚側板10の上端の前後二箇所に、環状の係止溝36aを備えた連結ピン36を設けるとともに、上側棚Cを構成する棚側板20の下部には、連結ピン36が上下方向から抜き差し自在な連結孔37を形成し、この連結孔37の奥側には、該連結孔37に連結ピン36が挿入されている状態でのドライバー等による回転操作により、連結ピン36の抜き差しを許容するロック解除状態と連結ピン36の係止溝36aに係合するロック状態とに切替えられるロック部材38を組付けて構成されている。
【0034】
そして、上側棚Cを組立てる場合、図1〜図3に示すように、棚側板20とこれに相対向する本立て22の一方の外側板22aとをボルト26にて固定連結するが、この時、外側板22aの上方側の各取付け孔24にボルト26を挿通するとともに、その挿通されたボルト26を、棚側板20の上方側の埋設ナット27に螺合する。
また、左右方向で隣接する両本立て22の他方の外側板22a同士もボルト26、ナット27にて固定連結するのであるが、この時、4つの取付け孔24にそれぞれ挿通したボルト26と袋状のナット27とで強固に固定連結する。
更に、背面板21と本立て22の載置板22dとを、ボルト26を載置板22dの埋設ナット27に背面板21の取付け孔21aに通して螺合させることで、固定連結している。
【0035】
そして、図9〜図11に示すように、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用状態への変更に伴って取り外された上側棚Cの本立て22を再利用するのに、小幅本立て22aを机本体Aの膝入れ空間Sの奥側に設けられた内棚5の横板5bに載置される形態で固定する一方、大幅本立て22bを、机本体Aの側板2に固定手段をもって取付け固定する。
【0036】
固定手段は、側板2に形成された取付け孔9と、大幅本立て22Bの載置板22dに設けられた埋設ナット27と、ボルト26とから構成されていて、載置板22dの埋設ナット27と側板2の取付け孔9との位置が合致するように、大幅本立て22Bを側板2の外面側に配置し、側板2の内面側からボルト26を取付け孔9を通じて埋設ナット27に螺合させることで、大幅本立て22bを机本体Aの側板2の外面側に固定配置することができる。
【0037】
そして、小幅本立て22Aが机本体Aの膝入れ空間Sの奥側に設けられた内棚5の横板5bに載置固定される形態において、机本体Aの背面板3の4つの取付け孔9は、内棚5の横板5bに小幅本立て22Aを載置したときに、小幅本立て22Aの載置板22dの後端面の中央位置に埋設された埋設ナット27と前後方向において合致する位置に形成されていて、机本体Aの膝入れ空間Sの奥側に設けられた内棚5の横板5bに載置し、ボルト26を机本体Aの背面板3に形成された取付け孔9に通して、載置板22dの後端面の埋設ナット27と螺合させることで、小幅本立て9を膝入れ空間Sの内棚5の横板5bに載置固定する。
【0038】
また、本立て22を再利用する他の形態として、机本体Aの膝入れ空間Sに設けられている内棚5を取り外して、両本立て22A,22Bを連結した状態で机本体Aの膝入れ空間S側の面の側板又2は背面板3に対して配置固定して使用することもできる。
【0039】
更に、本立て22を、机本体Aの天板1上面や床面等に単独で載置使用することもできる。
【0040】
〔第2実施形態〕
図12は、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用状態への変更に伴って取り外された上側棚Cの複数の本立て22を、上下方向で連結した上下2段の本棚40にし、その本棚40を机本体Aの側板2の外側面に固定配置する形態を示し、上側棚Cを構成する複数(ここでは二個)の本立て22は全て同一の左右幅で形成されている。
【0041】
上側棚Cは、棚側板20と背面板21及び本立て22との相互の固定連結を解除したのち、一方の本立て22Cを構成する外側板22aの下方側の取付け孔24を利用して、それに挿通されたボルト26を、両棚側板20の上方側の埋設ナット27に螺合固定するとともに、他方の本立て22Dを構成する外側板22aの上方側の取付け孔24を利用して、それに挿通されたボルト26を、両棚側板20の下方側の埋設ナット27に螺合固定して、上下2段の本棚40を形成する。
【0042】
そして、この本棚40は、固定手段である机本体Aの側板2に形成された取付け孔9と、各本立て22の載置板22dに埋設された埋設ナット27と、ボルト26とにより、机本体Aの側板2の外面側に固定配設される。
【0043】
更に、図13に示すように、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用状態への変更に伴って取り外された上側棚Cの本立て22は、一つの独立した本棚40として再利用することもでき、この場合には、棚側板20と背面板21及び本立て22との相互の固定連結を解除したのち、一方の本立て22を構成する外側板22aの下方側の取付け孔24を利用して、それに挿通されたボルト26を、両棚側板20の上方側の埋設ナット27に螺合固定するとともに、他方の本立て22を構成する外側板22aの上方側の取付け孔24を利用して、それに挿通されたボルト26を、両棚側板20の下方側の埋設ナット27に螺合固定する。
【0044】
また、本立て22を再利用する他の形態として、机本体Aの膝入れ空間Sに設けられている内棚5を取り外して、両本立て22C,22Dを連結した状態で机本体Aの膝入れ空間S側の面の側板又2は背面板3に対して配置固定して使用することもできる。
【0045】
そしてまた、本立て22を、机本体Aの天板1上面や床面等に単独で載置使用することもできる。
【0046】
なお、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0047】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を列記する。
【0048】
上述の第1及び第2実施形態では、上側棚Cを構成する本立て22の数を二個にしていたが、本立て22の数は二個に限るものではなく、三個以上であってもよい。
【0049】
上述の第1実施形態では、第1使用形態から第2使用形態又は第3使用形態に変更するときに取り外した二個の本立て22A,22Bを、小幅本立て22Aは机本体Aの膝入れ空間Sの奥側に設けられた内棚5の横板5bに載置固定し、大幅本立て22Bは机本体Aの側板2の外側面に配置固定したが、本立て22の配設位置の組み合わせはこれに限るものではなく、特に、小幅本立て22Aは、大幅本立て22Bと同じ側の机本体Aの側板2の内面側や大幅本立て22Bとは反対側の机本体の側板2の外面側又は内面側など任意に位置に配置固定することができる。
【0050】
また、上述の第1及び第2実施形態において、机の使用形態を第2使用形態に変更する場合は、本立て22を下側棚Bの棚側板10の外面側に配置固定してもよい。
【0051】
机本体Aの側板2又は下側棚Bの棚側板10と本立て22とを脱着自在に固定連結する固定手段としては、上述した実施形態の構造のものに限定されるものではなく、両者を脱着自在に固定連結することのできるものであれば、如何なる構造のものを採用してもよい。
【0052】
上述の第1及び第2実施形態では、棚付き机を机本体Aと下側棚Bと上側棚Cとから構成していたが、この構成に加えて、図14及び図15に示すように、机本体Aに形成される膝入れ空間Sに、複数段の引き出しを備えた可動式のキャビネットDを左右幅方向の一方側に偏倚した位置に挿設した構成であってもよく、その場合、机本体Aの側板2に配置固定する本立て22は側板2の外面側に配置固定するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の棚付き机の第1実施形態を示す全体の正面図
【図2】全体の側面図
【図3】上側棚の分解斜視図
【図4】上側棚の棚側板と背面板とを連結する直前の拡大断面図
【図5】上側棚の棚側板と背面板とを連結したときの拡大断面図
【図6】上側棚の棚側板と背面板とを連結する連結具の側面図
【図7】(イ)は両本立ての外側板どうしを連結する直前の拡大断面図 (ロ)は両本立ての外側板どうしを連結したときの拡大断面図
【図8】(イ)は本立ての外側板と棚側板とを連結する直前の拡大断面図 (ロ)は本立ての外側板と棚側板とを連結したときの拡大断面図
【図9】上側棚を分解して、本立てを机本体に取り付けたときの斜視図
【図10】上側棚を分解して、本立てを机本体に取り付けたときの正面図
【図11】上側棚を分解して、本立てを机本体に取り付けたときの側面図
【図12】本発明の棚付き机の第2実施形態を示し、本立てを本棚に組み付けて机本体に取り付けたときの斜視図
【図13】本立てを独立した本棚に組み付けたときの斜視図
【図14】本発明の別実施形態を示す全体の正面図
【図15】本発明の別実施形態において、本立てを机本体に取り付けたときの正面図
【符号の説明】
【0054】
1 机本体の天板
2 机本体の側板
3 机本体の背面板
5 内棚
5a 縦板
5b 横板
9 固定手段
10 下側棚の棚側板
11 下側棚の背面板
20 上側棚の棚側板
21 上側棚の背面板
22 本立て
26 固定手段
27 固定手段
A 机本体
B 下側棚
C 上側棚
S 膝入れ空間
W1 本立ての最大左右幅
W2 間隔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側板と、両側板の後端部に亘って取り付けられる背面板と、これらの上端に載架状態で取り付けられる天板とから構成される机本体と、
左右一対の棚側板と、両棚側板の後端部に亘って取り付けられる背面板とから構成され、机本体の天板上面の後部側に配設される脱着自在な下側棚と、
左右一対の棚側板と、両棚側板間に亘ってほぼ1列状態で脱着自在に固定連結される単独使用可能な複数の本立てとから構成され、下側棚の上部に配設される脱着自在な上側棚とからなる棚付き机であって、
前記机本体の側板と前記下側棚の棚側板との少なくとも一方に、前記上側棚を構成する複数の本立てのうち、少なくとも一つの本立てを脱着自在に固定可能な固定手段が設けられている棚付き机。
【請求項2】
前記固定手段が、机本体の側板並びに下側棚の棚側板の外面側において、本立てを脱着自在に固定するように構成されている請求項1記載の棚付き机。
【請求項3】
前記固定手段が、机本体の側板から下側棚の棚側板に亘って、上下方向に並列した状態で複数設けられている請求項2記載の棚付き机。
【請求項4】
前記机本体の膝入れ空間の奥側に、机本体の左右幅方向の中央位置に固定された縦板と、その縦板の左右両側において、縦板と机本体の側板との間に設けられた横板とから構成される内棚が設けられているとともに、
前記複数の本立てのうち、少なくとも一つの本立ての最大左右幅が、前記内棚の縦板と前記机本体の側板との間隔と同幅又はその間隔よりも小幅に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の棚付き机。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−25931(P2006−25931A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206301(P2004−206301)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000185167)小泉産業株式会社 (36)
【Fターム(参考)】