説明

椅子式のマッサージ装置

【課題】従来装置の多様なマッサージ態様を承継しながら、使用者の望むマッサージ位置が左右非対称である場合でも的確にマッサージできる椅子式のマッサージ装置を提供する。
【解決手段】座部2、および背もたれ4のそれぞれに、エアバッグ11・15・16を設け、背もたれ4にもみ玉13を供えたマッサージ機構14を設ける。エアバッグ11・15・16に膨張用空気を供給する空気供給源29と、空気供給源29から前記各エアバッグ11・15・16への給排気状態を制御する分配装置30と、分配装置30およびマッサージ機構14の作動状態を統合して制御する制御手段31とを備えている。以て、背もたれ4に設けた左右一対のエアバッグ15・16のうち、いずれか一方を膨張させ、他方を半膨張状態にして使用者の上半身を斜めに保持し、斜めの保持状態でマッサージ機構14を作動させて背中をマッサージするためのマッサージ態様を制御手段31に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背もたれ部分に背中や首筋をマッサージするための複数個のもみ玉を備えている椅子式のマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関して、マッサージ用に配置した左右一対のエアバッグのうち、片方のみを膨張させて上半身を捻じることは特許文献1に公知である。そこでは、例えば左側の前腕をエアバッグで固定した状態で、背中の上部左側のエアバッグを膨張させて上半身を捻じり、ストレッチ効果を発揮できるようにしている。同様のマッサージ装置は、特許文献2、3においても開示されている。
【0003】
背もたれ部分に複数個のもみ玉を備えている椅子式のマッサージ装置においては、背中の全体を背もたれにあてがった状態で、首筋、背中、腰などを局部的にマッサージし、あるいはもみ玉を脊椎に沿って移動させながらマッサージを行なうことができる。もみ玉によるマッサージ動作は、もみ動作とたたき動作とに切り換えることができ、動作速度やマッサージ強度を大小に変更できるのはもちろん、サイクル速度を大小に変更することもできる。
【0004】
上腕部を片方ずつマッサージする際に、例えば背中の上部右側のエアバッグを膨張させて上半身を捻じるように傾け、その状態のままで左腕側のエアバッグを膨張させて、左腕上腕部を集中的にマッサージすることが特許文献4に公知である。
【0005】
【特許文献1】特開2007−260173号公報(段落番号0025、図5)
【特許文献2】特開平7−116214号公報(段落番号0091、図2)
【特許文献3】特許第3614576号公報(段落番号0054、図2)
【特許文献4】特開2003−325608号公報(段落番号0042、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
もみ玉によるマッサージ動作は、多様な動作の中から使用者の好みに適合する動作を選定でき、さらにもみ玉の左右間隔を大小に変更してマッサージ位置を多様に変更できる。しかし、左右対称のもみ玉を同じ動作パターンで作動させてマッサージを行なうので、例えば左右のマッサージ位置におけるマッサージ強度を左右で異ならせることはできない。さらに、脊椎を対称中心とするときの、使用者の望むマッサージ位置が左右非対称である場合に、もみ玉によるマッサージを的確に行なえない。
【0007】
その点、特許文献1のマッサージ装置に見られるように、エアバッグの片方のみを膨張させて上半身を捻じった状態でもみ玉でマッサージを行なうと、使用者の望むマッサージ位置が左右非対称であってもマッサージを行なえる。しかし、その場合には、背中の左右いずれか一方のエアバッグを膨張して上半身を捻じるので、例えば左側のエアバッグの膨張中であれば背中がもみ玉の突出方向へ押されるだけでなく、右方向へ移動しようとする力が作用し、上半身の体軸が右方向にずれてしまう。そのため、背骨や肩甲骨など施療に適さない位置にもみ玉が当たる不具合がある。また、例えば左側のエアバッグのみを膨張させる場合には、背中が捻じられることで、背中の右側がもみ玉の突出方向と反対側へ移動し、通常状態よりもみ玉が背中に強く当たりすぎる問題がある。
【0008】
本発明の目的は、従来のマッサージ装置の多様なマッサージ態様を承継しながら、使用者の望むマッサージ位置が左右非対称である場合でも的確にマッサージできる椅子式のマッサージ装置を提供することにある。本発明の目的は、左右非対称のマッサージ態様でもみ玉によるマッサージを行なうとき、もみ玉が背中などに強く当たるのを防止でき、さらに上半身の体軸が捻じられても幅方向にずれるのを防止して、快適にマッサージできる椅子式のマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のマッサージ装置は、座部2と、座部2に対して倒伏自在な背もたれ4とを備えている。座部2、および背もたれ4のそれぞれにマッサージ用のエアバッグ11・15・16が設けられ、背もたれ4にもみ玉13を供えたマッサージ機構14が設けてある。前記エアバッグ11・15・16に膨張用空気を供給する空気供給源29と、空気供給源29から前記各エアバッグ11・15・16への給排気状態を制御する分配装置30と、分配装置30およびマッサージ機構14の作動状態を統合して制御する制御手段31とを備えている。以て、前記制御手段31に、背もたれ4に設けた左右一対のエアバッグ15・16のうち、いずれか一方を膨張させ、さらに他方を半膨張状態にして使用者の上半身を斜めに保持した状態でマッサージ機構14を作動させて背中をマッサージするマッサージ態様が設けてあることを特徴とする。
【0010】
本発明の別のマッサージ装置は、座部2と、座部2に対して倒伏自在な背もたれ4と、使用者の体側を保持する体側保持部7・8を備えている。座部2、背もたれ4、体側保持部7・8のそれぞれにマッサージ用のエアバッグ11・15・16・17・18が設けられ、背もたれ4にもみ玉13を供えたマッサージ機構14が設けてある。前記エアバッグ11・15・16・17・18に膨張用空気を供給する空気供給源29と、空気供給源29から前記各エアバッグ11・15・16・17・18への給排気状態を制御する分配装置30と、分配装置30およびマッサージ機構14の作動状態を統合して制御する制御手段31とを備えている。以て、前記制御手段31に、背もたれ4に設けた左右一対のエアバッグ15のうちいずれか一方と、座部2および体側保持部7・8に設けたエアバッグ11・17・18の少なくともいずれかひとつを膨張させて、使用者の上半身を斜めに保持した状態でマッサージ機構14を作動させて背中をマッサージするマッサージ態様が設けてあることを特徴とする。
【0011】
前記マッサージ態様におけるもみ玉13の背もたれ4からの突出量を、通常のマッサージ状態におけるもみ玉13の背もたれ4からの突出量より小さく設定する。
【0012】
前記マッサージ態様において、背もたれ4に設けた左右のエアバッグ15を同時に膨張させたのち、いずれか一方を排気し半膨張状態にして使用者の上半身を斜めに保持する。
【0013】
背もたれ4の左右いずれか一方のエアバッグ15を膨張する状態において、体側保持部7・8に設けた左右いずれか他方のエアバッグ17・18を膨張させて使用者の体側を押圧し、背もたれ4のエアバッグ15と体側保持部7・8のエアバッグ17・18とが協働して使用者の上半身を斜めに保持するように、前記マッサージ態様を設定する。
【0014】
前記マッサージ態様において、各エアバッグの給排気中は、マッサージ機構14の作動を禁止するように設定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、座部2、および背もたれ4のそれぞれに設けたエアバッグ11・15・16を、空気供給源29と分配装置30と制御手段31とで膨張ないし収縮できるようにし、同時に背もたれ4に設けたマッサージ機構14の動作状態を制御手段31で統合して制御できるようにした。そのうえで、マッサージ位置が左右非対称である場合に対応するマッサージ態様を設けて、背もたれ4に設けた左右一対のエアバッグ15・16のうち、いずれか一方を膨張させ、さらに、他側方の背中が傾いて通常状態より背もたれ側に変位するのを防ぐために、他方のエアバッグを半膨張状態にして使用者の上半身を斜めに保持し、斜めに保持した状態でマッサージ機構14を作動させて背中をマッサージできるようにした。
【0016】
したがって、本発明のマッサージ装置によれば、従来のマッサージ装置と同様に多様なマッサージ態様でマッサージを行なえるのはもちろん、使用者の望むマッサージ位置が左右非対称で、専ら一方のもみ玉13のみが背中に当たる場合でも、両方のもみ玉13が均等に当たる場合と同様の当たり具合に近づけてマッサージを行なえる。左右非対称のマッサージ態様においては、左右いずれか一方のもみ玉13のみが背中にあたる状態でマッサージを行なえ、あるいは、マッサージ強度が左右で異なる状態にしてマッサージを行なうこともできる。
【0017】
本発明の別のマッサージ装置においては、座部2、背もたれ4、および体側保持部7・8のそれぞれに設けたエアバッグ11・15・16・17・18を、空気供給源29と分配装置30と制御手段31とで膨張ないし収縮できるようにし、同時に背もたれ4に設けたマッサージ機構14の動作状態を制御手段31で統合して制御できるようにした。そのうえで、マッサージ位置が左右非対称である場合に対応するマッサージ態様を設けて、背もたれ4に設けた左右一対のエアバッグ15のうちいずれか一方と、座部2および体側保持部7・8に設けたエアバッグ11・17・18の少なくともいずれかひとつを膨張させて、背もたれ4に設けた左右一対のエアバッグ15のうちいずれか一方を膨張した場合に生じる使用者の体軸の左右方向のずれを補正した状態で、マッサージ機構14を作動させて背中をマッサージできるようにした。
【0018】
したがって、本発明のマッサージ装置によれば、従来のマッサージ装置と同様に多様なマッサージ態様でマッサージを行なえるのはもちろんのこと、使用者の望むマッサージ位置が左右非対称である場合でも、使用者の望む位置にもみ玉13を当てて的確にマッサージを行なえる。背もたれ4のエアバッグ15と、座部2および体側保持部7・8に設けたエアバッグ11・17・18の協働作用によって、使用者の上半身を斜めに保持するので、使用者の上半身をより的確に斜めに保持できる。左右非対称のマッサージ態様においては、左右いずれか一方のもみ玉13のみが背中にあたる状態でマッサージを行なえ、あるいは、マッサージ強度が左右で異なる状態にしてマッサージを行なうこともできる。
【0019】
左右非対称のマッサージ態様においては、使用者の上半身を斜めに保持するため、上述のように背中の一側に通常よりももみ玉13が強く当たる傾向がある。してたがって、左右非対称のマッサージ態様においては、もみ玉13の背もたれ4からの突出量を、通常のマッサージ状態におけるもみ玉13の背もたれ4からの突出量より小さく設定してマッサージを行なう。このように、もみ玉13の背もたれ4からの突出量が小さい状態でマッサージを行なうと、もみ玉13によるマッサージ強度が過大になるのを防止して、快適にマッサージを行なえる。さらに、もみ玉13が背骨に直接当たるのを避けることができる。
【0020】
左右非対称のマッサージ態様において、従来のマッサージ装置のように、背もたれに背中をあてがった状態で左右いずれかのエアバッグを膨張させる場合、例えば左側のエアバッグを膨張させる場合には、膨張するエアバッグによって背中がもみ玉13の突出方向へ押されるだけでなく、右方向へ移動する力も作用し、上半身の体軸が右方向へずれてしまう。しかし、背もたれ4に設けた左右のエアバッグ15を同時に膨張させると、エアバッグ15が膨張する際に左右方向の押圧力が作用するのを防ぐことができる。したがって、左右のエアバッグ15を同時に膨張したのち、いずれか一方を排気して半膨張状態にし、使用者の上半身を斜めに保持すれば、上半身の体軸が幅方向にずれるのを防止しながら、より簡単に上半身を斜めに傾けることができる。したがって、もみ玉によるマッサージを的確にしかも快適に行なうことができる。
【0021】
使用者の上半身を、背もたれ4の左右いずれか一方の膨張されたエアバッグ15で斜めに保持するとき、体側保持部7・8に設けた左右いずれか他方のエアバッグ17を膨張させて肩を背もたれに押し付けるマッサージ態様によれば、上記のような体軸の左右のずれを防止しながら、さらに背もたれ4のエアバッグ15と体側保持部7・8のエアバッグ17・18との協同作用で使用者の上半身を斜めに確りと保持できる。したがって、左右非対称のマッサージ態様において、使用者の上半身を確実に保持して上半身が揺れ動くのを防止し、もみ玉13によるマッサージ効果を向上できる。
【0022】
各エアバッグの給排気中はマッサージ機構14の作動を禁止するように設定すると、エアバッグの給排気によって上半身が移動する間に、もみ玉13が意に反した位置に強く当たるなどの不快感を与えるのを解消でき、したがって、左右非対称のマッサージ態様において、もみ玉によるマッサージを的確にしかも快適に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施例) 図1ないし図7は本発明に係る椅子式のマッサージ装置の実施例を示す。図2においてマッサージ装置は、床面に載置される機台1と、機台1の上部に設けられる座部2およびひじ掛3と、座部2の後部に配置される倒伏自在な背もたれ4と、座部2の前側に配置される脚載部5と、脚載部5の下端に配置される足台6などで椅子状に構成してある。背もたれ4の上部左右には、肩受部(体側保持部)7が椅子前方へ突出する状態で設けてある。
【0024】
図3および図4に示すように、座部2の内部には、左右の太ももをマッサージする横長のエアバッグ10と、左右の尻を個別にマッサージする一対のエアバッグ11とが設けてある。ひじ掛3の内部には、前腕を上下に挟んだ状態でマッサージするエアバッグ12が設けてある。背もたれ4の内部には、左右一対のもみ玉13を備えたマッサージ機構14と、背中をマッサージする左右一対のエアバッグ15と、腰をマッサージする左右一対のエアバッグ16が設けてある。肩受部7の内部には、肩および上腕をマッサージするエアバッグ17が設けてある。
【0025】
脚載部5には、左右一対の下腿溝19が前向きに開口する状態で凹み形成してあり、両下腿溝19の対向面の内部に、ふくらはぎをマッサージする上下一対ずつのエアバッグ20が設けてある。足台6には、左右一対の足受溝21が上向きに開口する状態で凹み形成してあり、足受溝21の対向周面と溝底のそれぞれに、くるぶし、および土踏まずをマッサージするエアバッグ22が設けてある。
【0026】
背もたれ4は、図示していないリクライニング機構で、図2に実線で示す起立位置と、図2に想像線で示す後傾位置との間の任意位置に傾斜することができる。同様に、脚載部5は、図示していない旋回機構で、図2に実線で示す旋回待機位置と、図2に想像線で示す旋回位置との間の任意位置に旋回変位できる。脚載部5を旋回変位させた状態においては、使用者の下腿長さに応じて足台6を伸長操作でき、さらに、ふくらはぎの位置に適合して脚載部5をモーター動力で伸縮変位させることができる。
【0027】
マッサージ機構14は、背もたれ4の内部に配置したガイド部材25(図2参照)に沿って上下に昇降変位でき、図5に示す揺動軸26を中心にして前後揺動してもみ玉13の前後位置を変更し、もみ玉13の背もたれからの突出量を大小に変更できる。もみ玉13の突出量が大きいほどマッサージ強度(押圧力あるいは叩打力)は強くなり、通常のマッサージ態様においては、もみ玉13の突出量を大小に変更することにより、マッサージ強度を強、中、弱に設定できる。また、もみ玉13の左右間隔を大小に変更して、マッサージ位置を変更できる。
【0028】
図6に示すように、機台1の内部には前記エアバッグ10〜22に膨張用空気を供給する空気供給源29と、膨張用空気のエアバッグ10〜22への給排気状態を切り換える分配装置30と、分配装置30およびマッサージ機構14の作動状態を統合して制御する制御手段31とが設けてある。制御手段31には、多数のマッサージ態様が予めプログラミングしてある。図示していないが、分配装置30は各エアバッグ10〜22に対応して設けられる電磁弁の一群で構成してあり、各電磁弁を給気状態と排気状態とに切り換えることにより、各エアバッグ10〜22を膨張させ、あるいは収縮させることができる。
【0029】
エアバッグの一群のうち、尻を支持するエアバッグ11と、前腕を支持するエアバッグ12と、背中を支持するエアバッグ15と、腰を支持するアバッグ16と、肩および上腕を支持するエアバッグ17は、左右のエアバッグ11〜17のそれぞれを同時に、あるいは左右独立して膨張することができる。同様に、ふくらはぎを支持するエアバッグ20と、足を支持するエアバッグ22は、左右のエアバッグ20・22のそれぞれを同時に、あるいは左右独立して膨張することができる。
【0030】
上記構成のマッサージ装置によれば、リモートコントローラで好みのマッサージ態様を選定し、あるいはから好みのマッサージ条件を入力して、マッサージ機構14の動作状態を種々に変更することにより、首、背中、背筋、腰などをもみ玉13でマッサージできる。同様にして、各エアバッグ10〜22の動作状態を種々に変更することにより、肩ぐう、腕、背中、腰、尻、上腿、ふくらはぎ、くるぶし、および土踏まずをマッサージできる。もちろん、もみ玉13とエアバッグ10〜22を同時に作動させて、身体の複数部位を同時にマッサージすることができる。背もたれ4を起伏操作し、あるいはふくらはぎを保持した状態で脚載部5を旋回操作することにより、上半身および脚のストレッチ運動を行なうことができる。
【0031】
本発明のマッサージ装置においては、上記のマッサージ態様に加えて、もみ玉13で首、背中、背筋、腰をマッサージするとき、左右非対称のマッサージ位置を局部的にマッサージすることができる。その場合には、背もたれ4に設けた左右一対のエアバッグ15・16のうち、いずれか一方を膨張させ、さらに座部2、および肩受部7に設けたエアバッグ11・17・の少なくともいずれかひとつを膨張させて、体軸ともみ玉13のずれを補正しながら使用者の上半身を斜めに保持し、その状態でマッサージ機構14を作動させて背中をマッサージする。このマッサージ態様の詳細を以下に説明する。
【0032】
なお、左右非対称のマッサージ態様を選択した場合には、もみ玉13の背もたれ4からの突出量が、通常のマッサージを行なう場合のもみ玉13の突出量より小さく設定される。その際に、リモートコントローラーにおける強弱を表す表示は変更せず、もみ玉13の突出量のみを変更することが望ましい。これは、使用者の体感が左右対称のマッサージ態様において強く感じるためであり、表示内容と体感とに違和感が生じるのを防ぐためである。なおその場合であっても、マッサージ強度は「中」あるいは「弱」のいずれかが選定される。通常のマッサージ状態における「強」位置での使用は禁止してもよい。また、もみ玉13の動作モードをたたき動作とした場合には、もみ玉13のいずれか一方が他方より背もたれ4から大きく突出するが、その姿勢のままでもみ動作を行なうことにより、左右のもみ玉13のマッサージ強度を調整し変更することができる。
【0033】
〈マッサージ態様1〉 図7(a)に示すように、背もたれ4の左右一対のエアバッグ15を同時に膨張させる。次に、図7(b)に示すように、図7に向かって左側のエアバッグ15を排気して半膨張状態にし、使用者の上半身を斜めに保持する。このとき、エアバッグ15から排気される空気量を調整して、使用者の体格の違いに応じてエアバッグ15の膨張状態を調整してもよい。さらに、エアバッグ15の排気動作に連動して、図7(c)に示すように、肩受部7の左側のエアバッグ17を膨張させて、使用者の肩を背もたれ4に押し付ける。これにより、使用者の上半身は、右側へ移動しながら背もたれ4のエアバッグ15と肩受部7のエアバッグ17との協同作用で斜めにしっかりと保持される。以上のように、上半身を斜めに保持したのち、マッサージ機構14を起動してもみ玉13でマッサージを行なう。このマッサージ態様におけるマッサージ機構14は、エアバッグ15の給排気中に作動するのを禁止することが好ましい。しかし、必要があれば、エアバッグ15の給排気中にマッサージ機構14を作動させてもよい。
【0034】
このマッサージ態様では、図7に向かって左側のもみ玉13の一方のみが背中にあたる状態でマッサージを行なえる。あるいは、図7に向かって左側のもみ玉13のマッサージ強度が大きく、右側のもみ玉13のマッサージ強度が小さい状態でマッサージを行なえる。背中の上下でマッサージ位置が左右にずれる場合には、マッサージ機構14が上下移動する間にもみ玉13の左右間隔を調整変更して、もみ玉13がマッサージ位置に的確に当照ることができる。このときのもみ玉13の動作モードは、指圧動作ともみ動作とたたき動作のいずれかを選択できる。
【0035】
〈マッサージ態様2〉 マッサージ態様1と同様に、背もたれ4の背中と腰に設けた左右一対のエアバッグ15、16を同時に膨張させる。次に、図3に向かって左側のエアバッグ15・16を排気して半膨張状態にし、使用者の上半身を斜めに保持する。この状態でマッサージ機構14を起動してもみ玉13でマッサージを行なう。
【0036】
〈マッサージ態様3〉 マッサージ態様1と同様に、背もたれ4の背中に設けた左右一対のエアバッグ15を同時に膨張させる。さらに、座部2に設けたエアバッグ11のうち、図3に向かって左側に位置するエアバッグ11を膨張させる。次に、図7(b)に示すように、背もたれ4の背中に設けた左側のエアバッグ15を排気して、使用者の上半身を斜めに保持する。この状態でマッサージ機構14を起動してもみ玉13でマッサージを行なう。
【0037】
〈マッサージ態様4〉 マッサージ態様1と同様に、背もたれ4の背中に設けた左右一対のエアバッグ15を同時に膨張させる。さらに、座側部(体側保持部)8に設けたエアバッグ18のうち、図8に向かって左側に位置するエアバッグ18を膨張させる。次に、図7(b)に示すように、左側のエアバッグ15を排気して、使用者の上半身を斜めに保持する。この状態でマッサージ機構14を起動してもみ玉13でマッサージを行なう。なお、マッサージ態様1〜4において排気される側のエアバッグ15は、半膨張状態と全排気状態のいずれであってもよい。さらに、マッサージ態様1、3、4にでは、背もたれ4の背中設けた左右一対のエアバッグ15を同時に膨張させずに、いずれか一方のみを膨張させてもよい。
【0038】
マッサージ態様1〜4は、それぞれの態様を組み合わせて使用者の上半身を斜めに保持することができ、その場合にはさらに的確に、しかも無理のない状態で使用者の上半身を斜めに保持することができる。例えば、図7(c)に示すように使用者の上半身を斜めに保持する場合に、座側部8において、図8に向かって左側のエアバッグ18のみを膨張させて、上半身のねじれを補助することができる。つまり、肩受部7の膨張されるエアバッグ17と同じ側の、座側部8のエアバッグ18を膨張させる。図8に示すように肩受部7を備えていないマッサージ装置においては、背もたれ4のエアバッグ15・16と、座部2、および座側部8のエアバッグ18を膨張させて、使用者の上半身を斜めに保持することが好ましい。なお、使用者の上半身を左右が逆になる斜め姿勢で保持する場合には、膨張すべきエアバッグ15・17の左右位置を上記の場合とは逆にする。上記の各種のマッサージ態様や、その組み合わせ態様は、制御手段31に予め設定してある。この発明において保持とは、肩受部7や座側部8などの体側保持部による、しっかりした保持のみを意味するものではなく、単に背もたれ4のエアバッグ15のみで身体を斜めに保持した状態をも含むこととする。
【0039】
上記の実施例では、左右一対のもみ玉13を備えたマッサージ機構14について説明したが、マッサージ機構14の構造を限定するものではなく、マッサージ機構14は少なくとも2個以上のもみ玉13を備えていればよい。本発明における半膨張状態とは、エアバッグが完全に膨張する状態と、エアバッグが完全に排気された状態とを除く膨張状態を含むこととする。背もたれ4におけるエアバッグ15・16の配置形態や、座部2におけるエアバッグ10・11の配置形態は、実施例で示す配置形態である必要はない。例えば、左右一対のエアバッグを座部2の前後に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るマッサージ態様を示す概略平面図である。
【図2】マッサージ装置の側面図である。
【図3】マッサージ装置の正面図である。
【図4】マッサージ装置の平面図である。
【図5】マッサージ機構の概略を示す縦断側面図である。
【図6】エアバッグの作動状態を制御する制御装置の概念図である。
【図7】本発明に係るマッサージ態様の動作手順を示す概略平面図である。
【図8】別の実施例に係るマッサージ装置の正面図である。
【符号の説明】
【0041】
2 座部
4 背もたれ
7 肩受部(体側保持部)
8 座側部(体側保持部)
13 もみ玉
14 マッサージ機構
15 エアバッグ
17 エアバッグ
29 空気供給源
30 分配装置
31 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部(2)と、座部(2)に対して倒伏自在な背もたれ(4)とを備えており、
座部(2)、および背もたれ(4)のそれぞれにマッサージ用のエアバッグ(11・15・16)が設けられ、背もたれ(4)にもみ玉(13)を供えたマッサージ機構(14)が設けてあるマッサージ装置であって、
前記エアバッグ(11・15・16)に膨張用空気を供給する空気供給源(29)と、空気供給源(29)から前記各エアバッグ(11・15・16)への給排気状態を制御する分配装置(30)と、分配装置(30)およびマッサージ機構(14)の作動状態を統合して制御する制御手段(31)とを備えており、
前記制御手段(31)に、背もたれ(4)に設けた左右一対のエアバッグ(15・16)のうち、いずれか一方を膨張させ、さらに他方を半膨張状態にして使用者の上半身を斜めに保持した状態でマッサージ機構(14)を作動させて背中をマッサージするマッサージ態様が設けてある椅子式のマッサージ装置。
【請求項2】
座部(2)と、座部(2)に対して倒伏自在な背もたれ(4)と、使用者の体側を保持する体側保持部(7・8)を備えており、
座部(2)、背もたれ(4)、体側保持部(7・8)のそれぞれにマッサージ用のエアバッグ(11・15・16・17・18)が設けられ、背もたれ(4)にもみ玉(13)を供えたマッサージ機構(14)が設けてあるマッサージ装置であって、
前記エアバッグ(11・15・16・17・18)に膨張用空気を供給する空気供給源(29)と、空気供給源(29)から前記各エアバッグ(11・15・16・17・18)への給排気状態を制御する分配装置(30)と、分配装置(30)およびマッサージ機構(14)の作動状態を統合して制御する制御手段(31)とを備えており、
前記制御手段(31)に、背もたれ(4)に設けた左右一対のエアバッグ(15)のうちいずれか一方と、座部(2)および体側保持部(7・8)に設けたエアバッグ(11・17・18)の少なくともいずれかひとつを膨張させて、使用者の上半身を斜めに保持した状態でマッサージ機構(14)を作動させて背中をマッサージするマッサージ態様が設けてある椅子式のマッサージ装置。
【請求項3】
前記マッサージ態様におけるもみ玉(13)の背もたれ(4)からの突出量が、通常のマッサージ状態におけるもみ玉(13)の背もたれ(4)からの突出量より小さく設定してある請求項1または2に記載の椅子式のマッサージ装置。
【請求項4】
前記マッサージ態様において、背もたれ(4)に設けた左右のエアバッグ(15)を同時に膨張させたのち、いずれか一方を排気し半膨張状態にして使用者の上半身を斜めに保持する請求項1、2または3に記載の椅子式のマッサージ装置。
【請求項5】
背もたれ(4)の左右いずれか一方のエアバッグ(15)を膨張する状態において、体側保持部(7・8)に設けた左右いずれか他方のエアバッグ(17・18)を膨張させて使用者の体側を押圧し、背もたれ(4)のエアバッグ(15)と体側保持部(7・8)のエアバッグ(17・18)とが協働して使用者の上半身を斜めに保持するように、前記マッサージ態様が設定してある請求項1、2、3または4に記載の椅子式のマッサージ装置。
【請求項6】
前記マッサージ態様において、各エアバッグの給排気中は、マッサージ機構(14)の作動を禁止するように設定してある請求項1ないし5に記載の椅子式のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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