説明

椅子式マッサージ機

【課題】外観がよく、しかもエアバッグの大きな膨らみ量を確保できるクッション部材を備えた椅子式マッサージ機を提供すること。
【解決手段】エアバッグ4を内蔵する第1クッション部5と内蔵しない第2クッション部6とに分割すると共に第1クッション部5と第2クッション部6との端部を折り畳み自在に連結したクッション部材7を備え、該クッション部材7の折り畳み状態で第2クッション部6を座面とした椅子式マッサージ機1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子式マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、図6の座部2にエアバッグ4を設け、このエアバッグ4にポンプからの空気の供給で膨張させると共に、空気の排出で収縮させることで、施療者の大腿部のマッサージ効果が得られるマッサージ機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記特許文献1に見られる従来例では、エアバッグ4が外部に現れて外観を損ない、そのうえエアバッグ4の生地に弛みによるシワが目立ち、外観上の仕上がりが悪いという課題を有していた。また大きな膨らみ量が必要な場合は、生地に負担がかかりやすく、寿命が短くなるため、結局、膨らみ量を抑える必要があった。
【0004】
なお、エアバッグ4を覆う生地としてストレッチ性の生地を用いることも考えられるが、ストレッチ性の生地は伸縮性に優れるものの、一般に布帛が厚くなるため外観上の仕上がりが悪く、しかも硬くて膨らみ量を大きくできなかったり、人体へのフィット感が低下したりするなど、消費者の要求を満たす十分なマッサージ特性を得ることができないものである。
【特許文献1】特開2006−255155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、外観がよく、しかもエアバッグの大きな膨らみ量を確保できるクッション部材を備えた椅子式マッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、座部2と背もたれ部3とを備え、座部2に空気の給排気で膨張・収縮するエアバッグ4を内蔵した椅子式マッサージ機であって、エアバッグ4を内蔵する第1クッション部5と内蔵しない第2クッション部6とに分割すると共に第1クッション部5と第2クッション部6の端部を折り畳み自在に連結したクッション部材7を備え、該クッション部材7の折り畳み状態で第2クッション部6を座面としてなることを特徴としている。
【0007】
このような構成とすることで、外観上見える第2クッション部6はエアバッグ4を内蔵しないため、ストレッチ性の生地を使用する必要がなく、外観上の仕上がりを良好にできると共に、生地に弛みによるシワが生じることを防止できる。さらに第1クッション部5と第2クッション部6とは端部のみで連結されているため、エアバッグ4を内蔵する第1クッション部5において、エアバッグ4の膨張に対する負荷が少なくなり、これにより大きな膨らみ量が確保できるようになる。
【0008】
また、上記第1クッション部5は横に並べた複数個のエアバッグ4を内蔵すると共に、各エアバッグ4の膨らみ量を調整可能としたことを特徴とするのが好ましく、この場合、エアバッグ4の個々の膨らみ量の調整によって座面となる第2クッション部6の角度を変化させることが可能となり、マッサージのバリエーションが増加すると共に座面への乗り降りを容易にできるような膨らみ量の調整も可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、エアバッグを内蔵する第1クッション部と内蔵しない第2クッション部とを折り畳み自在に連結したクッション部材を折り畳み状態にてし第2クッション部を座面としたことにより、第2クッション部の外観上の仕上がりを良好にできると共に、エアバッグを内蔵する第1クッション部の大きな膨らみ量が確保でき、外観を良好にしながらマッサージやストレッチの効果を高めることができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
図2は、本発明の一実施形態における椅子式マッサージ機1の一例を示している。
【0012】
本例の椅子式マッサージ機1は、座部2の後端部に背もたれ部3を略上方に向けて設け、背もたれ部3の内部に機械的施療動作を行なう機構ブロック(図示せず)を上下移動自在に配置して構成してあり、施療者Mは座部2に座ると共に背もたれ部3に背もたれした状態で、機構ブロックに設けた左右一対の施療子ユニットによる叩き動作、揉み動作等の機械的施療動作を行なえるようになっている。
【0013】
ここで、上記座部2には、図1に示すような略平板状をした上下2層構造のクッション部材7が配置されている。このクッション部材7は、エアバッグ4を内蔵する第1クッション部5と、内蔵しない第2クッション部6とに分割されていると共に、これら第1クッション部5と第2クッション部6とが端部の連結部9を介して折り畳み自在に連結されている。本例では第1クッション部5の上面の2箇所に凹み10を並べて設け、各凹み10内にエアバッグ4をそれぞれ収納してあり、その上をストレッチ性の生地12で覆ってある。そして、連結部9を軸にして図1(b)(c)のような第1クッション部5と第2クッション部6とを広げた状態から図1(a)の折り畳んだ状態に開閉自在とされており、この折り畳み状態で図2のように第2クッション部6を座面としたものである。なお、椅子式マッサージ機1には、エアバッグ4にポンプからの空気を給排気する制御部(図示せず)と操作部(図示せず)とが備わっている。そして、各エアバッグ4に空気を供給することで、エアバッグ4が膨張して第2クッション部6を持ち上げる状態(図4(b))となり、各エアバッグ4の空気を排気することで、エアバッグ4が収縮して第2クッション部6が押し下げられる状態(図4(a))となり、このとき第1クッション部5と第2クッション部6とが重なり合うようになっている。
【0014】
しかして、上記構成のクッション部材7の折り畳み状態で第2クッション部6を上向きにして座部2に配置することによって、外観上見える第2クッション部6には、ストレッチ性の生地を使用する必要がなくなり、外観上の仕上がりがきわめて良好となる。つまり座面となる第2クッション部6にはエアバッグ4が内蔵されていないため、エアバッグ4による外観低下を防止できると共に、第2クッション部6は膨張・収縮するものではなく、第1クッション部5のエアバッグ4の膨張によって上方に持ち上げられたり、下方に押し下げられたりするだけであるため、第2クッション部6の生地には負担がかからなくなり、従って、ストレッチ性の生地を使用しなくても生地に弛みによるシワが生じにくくなり、外観が損なわれることがないものである。従って、第2クッション部6の生地には、外観が良く、薄くて人体へのフィット感が良い素材を選択できると共に、生地に負荷がかからないため、寿命を伸ばすことができる。なお第1クッション部5はストレッチ性の生地12を使用しているが、このストレッチ性の生地12は第2クッション部6で覆い隠されるため、外観を損なうこともない。
【0015】
さらに第1クッション部5と第2クッション部6とは端部のみでしか連結されていないので、エアバッグ4を内蔵する第1クッション部5において、エアバッグ4の膨張に対する負荷が少なくなり、これにより大きな膨らみ量が確保でき、マッサージやストレッチの効果が大きくなり、消費者の要求を満たす十分なマッサージ特性を得ることができる。
【0016】
そのうえ第2クッション部6が上から第1クッション部5を押さえる形となるので、第1クッション部5に内蔵したエアバッグ4が位置ずれする心配もなく、狙い通りのマッサージ効果が得られる利点がある。
【0017】
また本例では、第1クッション部5には2個のエアバッグ4を内蔵すると共に、各エアバッグ4の膨らみ量を調整可能としたものである。これにより、個々のエアバッグ4の膨らみ量を調整することによって第2クッション部6の角度を変化させることが可能となり、マッサージのバリエーションが増加すると共に、例えば、エアバッグ4の膨らみによって座面となる第2クッション部6を後ろ上り姿勢に調整することで、第2クッション部6に対する乗り降りが容易にできる利点もある。
【0018】
なお、第1クッション部5に内蔵するエアバッグ4の数、位置は適宜設計変更自在であり、例えば図5(a)のように連結部9の長さ方向と直交する方向に縦長の2個1組、計2組のエアバッグ4を、連結部9の長さ方向に間隔をあけて配置したものであってもよく、或いは図5(b)のように、連結部9の長さ方向と平行な方向に横長の2個1組、計2組のエアバッグ4を、連結部9の長さ方向と直交する方向に間隔をあけて配置したものであってもよいものであり、このようにさまざまな配置のバリエーションを適宜採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に用いるクッション部材を示し、(a)は折り畳み状態を示し、(b)(c)は広げた状態を示す斜視図である。
【図2】同上のクッション部材を座部に配置した椅子式マッサージ機の斜視図である。
【図3】(a)は同上のクッション部材が収縮した状態を示す使用状態側面図であり、(b)はクッション部材が膨張した状態を示す使用状態側面図である。
【図4】(a)は同上の第1クッション部のエアバッグが収縮した状態の説明図であり、(b)は第1クッション部のエアバッグが膨張した状態の説明図である。
【図5】(a)(b)は本発明の他の実施形態の説明図である。
【図6】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 椅子式マッサージ機
2 座部
3 背もたれ部
4 エアバッグ
5 第1クッション部
6 第2クッション部
7 クッション部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と背もたれ部とを備え、座部に空気の給排気で膨張・収縮するエアバッグを内蔵した椅子式マッサージ機であって、エアバッグを内蔵する第1クッション部と内蔵しない第2クッション部とに分割すると共に第1クッション部と第2クッション部の端部を折り畳み自在に連結したクッション部材を備え、該クッション部材の折り畳み状態で第2クッション部を座面としてなることを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項2】
上記第1クッション部は横に並べた複数個のエアバッグを内蔵すると共に、各エアバッグの膨らみ量を調整可能としたことを特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−82424(P2009−82424A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255854(P2007−255854)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】