椅子式マッサージ機
【課題】
被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができる椅子式マッサージ機を提供することを目的とする。
【解決手段】
座部3とリクライニング可能な背凭れ部2と座部両側に肘掛部6を備えて椅子本体を形成し、前記肘掛部6は、挿入された被施療者の前腕を挟持する前腕部挟持機構7を備え、該前腕部挟持機構7は、被施療者の前腕を施療する前腕部施療体70と、前腕部施療が可能な領域内で被施療者の前腕部の存在を検知する検知手段8を備え、該検知手段8により、被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、前腕部施療体70による施療内容を変更する制御を行う椅子式マッサージ機。
被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができる椅子式マッサージ機を提供することを目的とする。
【解決手段】
座部3とリクライニング可能な背凭れ部2と座部両側に肘掛部6を備えて椅子本体を形成し、前記肘掛部6は、挿入された被施療者の前腕を挟持する前腕部挟持機構7を備え、該前腕部挟持機構7は、被施療者の前腕を施療する前腕部施療体70と、前腕部施療が可能な領域内で被施療者の前腕部の存在を検知する検知手段8を備え、該検知手段8により、被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、前腕部施療体70による施療内容を変更する制御を行う椅子式マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は椅子式マッサージ機、特に、座部とリクライニング可能な背凭れ部と、座部両側に肘掛部を備え、被施療者の前腕部を施療する前腕部施療体を備える椅子式マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の椅子式マッサージ機は、エアバッグ等の施療体によって施療される部位が多様化する傾向にあり、被施療者の背部や腰部の施療はもちろん、肘掛部に凹部を形成し、凹部に挿入した前腕部等を挟圧施療するエアバッグを配設したものが存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−287831
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような前腕部に狭圧施療を行う椅子式マッサージ機において、リモコン操作など手を使う作業を行いたい、前腕部への施療を望まないなどの理由により、肘掛部の凹部から前腕部を離脱させる等、前腕部施療用のエアバッグによる施療が作用しない位置に前腕部を移動させることも少なくない。
【0005】
しかしながら、各施療部位に対する各施療を設定された順序で実行する自動コースマッサージ等の場合には、肘掛部の凹部から前腕部を離脱させているにも拘わらず、前腕部を施療するプログラムは予定どおりに実行される。そのため、被施療者が前腕部への施療を望んでいるにも関わらず、手を使う作業などにより肘掛部の凹部から前腕部を離脱させている場合、施療を受ける機会を逃してしまうことがある。また、被施療者が前腕部への施療を望まず肘掛部の凹部から前腕部を離脱させているにも関わらず、前腕部のみを施療するプログラムが実行された場合、次の施療プログラムが実行されるまでの間は被施療者が施療を受けていない状態となってしまうことがある。つまり、被施療者にとって最適な施療プログラムを提供できていないことがある。
【0006】
このような問題を解決するために、リモコンなどの操作手段にリピートやスキップ等の機能を搭載することも考えられるが、その都度操作を実行するのは手間であり、特に前腕部への施療を望む際には、リモコンなどを操作すること自体が困難な状態となる。
【0007】
そこで、本発明は、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療プログラムを提供することができる椅子式マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の椅子式マッサージ機(1)は、座部(3)とリクライニング可能な背凭れ部(2)と座部両側に肘掛部(6)を備えて椅子本体を形成し、前記肘掛部(6)は、挿入された被施療者の前腕部を挟持する前腕部挟持機構(7)を備え、該前腕部挟持機構(7)は、被施療者の前腕を施療する前腕部施療体(70)と、前腕部施療が可能な領域内で被施療者の前腕部の存在を検知する検知手段(8)を備え、該検知手段(8)により、被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、前腕部施療体(70)による施療内容を変更する制御を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の椅子式マッサージ機(1)は、請求項1記載の発明に関し、前記前腕部挟持機構(7)が、複数の前腕部施療体を肘掛部(6)の長手方向に並設して備え、前記検知手段(8)は、各前腕部施療体に対応する検知領域を有し、該検知手段(8)により、各検知領域において被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、対応する前腕部施療体を個別に制御可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の椅子式マッサージ機(1)は、請求項1または請求項2記載の発明に関し、前記検知手段は、前記前腕部施療体と重合しない位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の椅子式マッサージ機(1)は、請求項1〜3いずれか記載の発明に関し、前記検知手段(8)が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知しない場合に、前記前腕部施療体による施療プログラムを省略する制御の設定が可能なことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の椅子式マッサージ機(1)は、請求項1〜4いずれか記載の発明に関し、前記検知手段(8)が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知した場合に、前記前腕部施療体による施療動作を所定のプログラムと同期実行する制御の設定が可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】椅子式マッサージ機1の全体斜視図。
【図2】実施例1に係る肘掛部6の斜視図。
【図3】実施例1に係る肘掛部6の断面図。
【図4】実施例1の制御フローチャート。
【図5】実施例1の自動コースマッサージの説明図。
【図6】実施例2に係る肘掛部の平面図。
【図7】実施例2の制御フローチャート。
【図8】実施例3に係る肘掛部の斜視図。
【図9】実施例3に係る肘掛部の平面図。
【図10】実施例3の制御フローチャート。
【図11】実施例4の自動コースマッサージの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、座部3とリクライニング可能な背凭れ部2と座部両側に肘掛部6を備えて椅子本体を形成し、前記肘掛部6は、挿入された被施療者の前腕部を挟持する前腕部挟持機構7を備え、該前腕部挟持機構7は、被施療者の前腕を施療する前腕部施療体70と、前腕部施療が可能な領域内で被施療者の前腕部の存在を検知する検知手段8を備え、該検知手段8により、被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、前腕部施療体70による施療内容を変更する制御を行う椅子式マッサージ機において好適に実施される。
【0016】
肘掛部6に形成される前腕部挟持機構7は、肘掛部6に載置された前腕部を上下又は左右等の方向から挟持するものであり、具体的には対設された一対の前腕部施療体70の間で挟持する或いは肘掛部6の一部と前腕部施療体70との間で挟持するものである。
【0017】
被施療者の前腕を施療する前腕部施療体70は、公知の施療手段であれば特に限定されるものではないが、エアを供給・排気して膨張・収縮を繰り返す公知のエアバッグが好適に用いられる。
【0018】
検知手段8は、被施療者の前腕部の存在を検知するものであり、圧力センサ、熱センサ、赤外線センサ、光センサ、音波センサなどの公知の検知手段であれば特に限定されるものではないが、肘掛部の形状や重量への影響を最小限に抑える手段として、被施療者に異物感を与えず、かつ可撓性を有する点から、シート状の押圧センサが好適に用いられる。具体的には、圧電体に加えられた力を電圧に変換する圧電素子や、シリコンゴムに導電性フィラを配合した加圧導電性ゴムを用いることができる。なお、シート状とした検知手段8は被施療者の肌に近接し或いは直接触れ得る部分であるため、綿等の天然繊維又はポリエステル等の化学繊維等を主体とする織物に、ステンレス、カーボン、メッキ等からなる導電性繊維を織り込んで形成された織物からなるシート状センサとするのが好ましい。また、より精度の高い検知を実現する手段として、応答速度が速く、かつセンサと接触しない離れた位置の測定が可能な点から、光センサや放射式温度センサ、近接センサなどの非接触式センサを用いることが望ましい。具体的には、赤外線LEDなどの発光素子を備えた投光器とフォトトランジスタやフォトダイオードなどの受光素子を備えた受光器より形成し、投光器から発せられた光を対向する受光器が受け取り光量を測定する透過型光センサや、発光素子と受光素子を併せ持つ投受光器と反射板より形成し、投受光器から発せられ対向する反射板によって戻ってきた光を投受光器が受け取り光量を測定する回帰反射型センサを用いることができる。
【0019】
検知手段8の検知に対応して、前腕部施療体70の施療内容を変更する制御が行われる。例えば、検知の「有/無」に応じて給気量を変更するように制御する。主には検知の「有/無」に応じて前腕部施療用エアバッグ70の給排気の「実行(給気)/非実行(中止)」の切り換えを行うように制御する。この場合、被施療者の前腕部の存在を検知すると、前腕部施療用エアバッグ70に給排気を実行して前腕部を施療する一方、前腕部の存在を検知しない場合は給排気を実行せず、前腕部を施療しないように制御される。
【0020】
これによれば、検知手段8が被施療者の前腕部の存在を検知した場合にのみ、前腕部施療用エアバッグへの給排気が実行されるので、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができる。
【0021】
本発明は、人体の各施療部位に対応して配設された複数の施療体を予め設定された順序で作動させる自動コースマッサージにおいて好適に実施される。例えば、自動コースマッサージの開始前ないし実行中において、検知時に実行されている施療プログラムが、前腕部施療体70を作動する施療プログラムであって、プログラム中に前腕部の存在を検知しなくなった場合に、前記施療プログラムを中止し、前記施療プログラムよりも後順の施療プログラムのうちから、前腕部施療体70を作動する施療プログラムを除く他の施療プログラムのちで最先の施療プログラムを選択して実行するものである。つまり、前腕部施療体70を作動する施療プログラムを実行することなく、前腕部施療体70を作動する施療プログラムを除く他の施療プログラムまでスキップするものである。具体的には、「背中部」、「前腕部」、「腰部」、「体側部」、「足部」に対応する施療プログラムをこの順序で実行する自動コースマッサージである場合は、2番目の「前腕部」に対応する施療プログラムがスキップされ、効率的な自動コースマッサージが実現できる。
【0022】
もちろん、前腕部の施療を望まない被施療者は、マッサージ機に付属するリモコン器その他の操作手段を用いて、前腕部施療体を制御して停止することも可能であるが、操作手段として配列された複数のボタンの内から所望の制御を実行するボタンを認識して操作する等、マッサージ中に所望の制御に対応した特別な動作を行わねばならないのは,被施療者にとって好ましいものではないため、本発明のように、前腕部への施療を望まない被施療者が自然と行う動作に同期して施療内容を変更するのは極めて有意である。
【0023】
ところで、被施療者の前腕部の長さは個人の身体的特性に応じて異なるため、肘掛部上における前腕部の位置は、被施療者の身体的特性に応じて肘掛部の長手方向に沿って変位し、また、同じ身体的特性を有する被施療者であっても、椅子式マッサージ機のリクライニング角度の変化に応じて肘掛部の長手方向に沿って変位する。
【0024】
このような肘掛部上における前腕部の位置変位に対応して、必要な給排気のみを実行して合理的な施療を行うためには、複数の前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等を肘掛部6の長手方向に並設し、各前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等を個別に制御するものとするのが好ましい。
【0025】
例えば、前腕部が比較的短い被施療者の場合や、背凭れ部を後方にリクライニングした場合には、前腕部は肘掛部6の長手方向の背凭れ部2側に位置することになるため、肘掛部6の長手方向に並設した複数の前腕部施療用エアバッグのうち、背凭れ部2側に位置するエアバッグには給排気を行う必要がある一方、肘掛部6の先端側に位置するエアバッグに対する給排気は無駄である。複数の前腕部施療用エアバッグを肘掛部6の長手方向に並設し、各前腕部施療用エアバッグを個別に制御するものであれば、背凭れ部2側に配置された前腕部施療用エアバッグに給排気を実行する一方、先端側に配置された前腕部施療用エアバッグに給排気を実行しないように制御することができ、合理的で無駄のない給排気を実行できる。
【0026】
具体的には、複数の前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等を肘掛部6の長手方向に並設して複数の施療領域を形成し、各領域に検知手段8を各々配置し、各施療領域を形成する各前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等の施療内容を各施療領域に配置された検知手段82による前腕部の検知状況に対応させて個別に変更する椅子式マッサージ機であれば、各施療領域に配置された検知手段82が前腕部の存在を検知した場合にのみ当該領域を形成する各前腕部施療用エアバッグに給排気を実行して施療を行うことができるので、肘掛部6上における前腕部の位置変位に対応して合理的で無駄のない給排気を実行することができる。
【0027】
また、前腕部を施療する際に前腕部を載置する部分である施療時載置部63に対して上下方向に対向する対向壁部60を肘掛部6に形成し、施療時載置部63又は/及び対向壁部60に前腕部施療体70を配置し、施療時載置部63と対向壁部60との間で前腕部を上下方向から挟圧施療する椅子式マッサージ機においては、複数の前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等を施療時載置部63又は/及び対向壁部60の長手方向に並設して複数の施療領域を形成し、肘掛部長手方向に隣接する各施療領域に検知手段82を各々配置し、各施療領域を形成する各前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等の施療内容を各施療領域に配置した各検知手段82が前腕部の検知状況に対応させて個別に変更するように制御する。
【0028】
本発明において、検知手段に対する負荷や摩耗を軽減するためには、前腕部施療用エアバッグと検知手段とが重合しない態様で配置された肘掛部とするのが好ましい。すなわち、施療時載置部に検知手段を配置し、検知手段の下側に前腕部施療用エアバッグを配置する場合は、前腕部施療用エアバッグの膨張時に検知手段が前腕部に強く押し付けられるため、検知手段に対して負荷が生じると共に前腕部との接触などに起因する摩耗等を生じる恐れがある。この負荷と摩耗を可及的に防止するためには、例えば、検知手段を肘掛部長手方向における各前腕部施療用エアバッグの背凭れ部2側に設け、前腕部施療用エアバッグと検知手段とが上下方向に重合しない態様で配置するのが好ましい。
【0029】
具体的には、肘掛部6の長手方向に沿って複数の前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72cと複数の検知手段81a,81b,81cとが交互に並設されたものとすれば、前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72cの上方に検知手段を重ねて配置した場合に比較して、前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72cが膨張して検知手段81を前腕部に押し付ける負荷を軽減することができるので好ましい。
【0030】
また、このように検知手段を前腕部施療体と重合しない位置に配置する形状とすると、光センサなど非接触式のセンサを用いることが容易となる。例えば、前腕部施療体の上方に設置しようとしても、センサへの負荷や、被施療者の異物感が発生し、設置は困難である。また、下方に設置しようとしても、施療体が検知の妨げとなり、正確な検知を行うことが困難である。前腕部施療体と重合しない位置に配置することで、上記非接触式のセンサを用いることが容易となる。
【0031】
さらに、非接触式のセンサを前腕部施療体と交互に並設すれば、前腕部施療体を個別に制御しようとする場合に、対応する前腕部施療体と近距離で配置することが可能となり、より正確な検知を行うことが可能となる。
【0032】
なお、検知手段を肘掛部長手方向における各前腕部施療用エアバッグの背凭れ部側に設ける場合、各前腕部施療用エアバッグと検知手段とが上下方向に全く重ならないように配置するのが好ましいが、各前腕部施療用エアバッグの後端部(背凭れ部側の端部)と検知手段とが上下方向に重なる場合であっても、各前腕部施療用エアバッグの中央部と検知手段とが上下方向に重なる場合に比較すれば検知手段が前腕部に押し付けられる負荷が軽減されるので好ましい。
【0033】
また、肘掛部の施療時載置部の左右両側に立設した一対の側壁部に前腕部施療体を各々配置し、対設した前腕部施療体の間で前腕部を左右方向から挟圧施療する椅子式マッサージ機においては、複数の前腕部施療用エアバッグを側壁部の長手方向に並設して複数の施療領域を形成し、各領域に検知手段を各々配置し、各施療領域を形成する各前腕部施療用エアバッグの施療内容を各領域に配置された各検知手段による前腕部の検知状況に対応させて個別に変更する椅子式マッサージ機とすれば、各施療領域に配置された各検知手段が前腕部の存在を検知した場合にのみ当該領域を形成する各前腕部施療用エアバッグに給排気を実行して左右方向から前腕部の施療を行うことができるので、肘掛部上における前腕部の位置の変位に対応して合理的で無駄のない給排気を実行することができる。この場合、検知手段に生じる負荷や摩耗を可及的に軽減するためには、側壁部ではなく、肘掛部長手方向に隣接する各施療領域内における施療時載置部に検知手段を各々配置するのが好ましい。
【実施例1】
【0034】
以下、上述した本発明に係るマッサージ機の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、椅子式マッサージ機1は、座部3と、座部3の後側にリクライニング可能に連結される背凭れ部2と、座部3の前側に上下方向に揺動可能に連結した足載部4と、座部3の両側の立設された肘掛部6と、背凭れ部2の両側から前方に突出した側壁部5とから形成されている。
【0035】
背凭れ部2には、左右一対の揉み玉である施療子21を備えた昇降自在の施療子機構20を設けている。施療子機構20は、背凭れ部2に設けた左右一対のガイドレール22に沿って背凭れ部2の上端から下端にかけて昇降する。
【0036】
施療子機構20は、モータ等を駆動源として左右一対の施療子21を作動させる機械式のマッサージ機構であり、背凭れ部2に凭れた被施療者の首部、背部、腰部などの背面全体を、たたき、揉み、ローリング、指圧などの多様な態様で施療するようにしたものである。
【0037】
また、椅子式マッサージ機1の各所定位置には、空気の給排気によって膨縮を繰り返す事が可能なエアバッグ30等を夫々埋設している。エアバッグ30等は、エアコンプレッサー及び各エアバッグに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置10により膨縮動作を行うようにしており、空気給排装置10は座部3の下部空間に設置している。
【0038】
空気給排装置10による各エアバッグ30等の膨縮動作によって、被施療者の所定の施療部位を押圧、指圧などをすることができ、また、複数のエアバッグ30等を対となるように対設させた箇所には挟圧等の施療を行う事ができ、更に、各エアバッグ30等を膨張状態に保つようにした場合は、被施療者の所定の部位を一定の時間保持する事も可能である。
【0039】
座部3には、後側に臀下部用のエアバッグ30、前側に腿部用のエアバッグ31を並列させて夫々埋設し、主に下方から上方に押圧する施療を行うようにしている。
【0040】
足載部4は、被施療者の脛部および足先部を夫々嵌入させる左右一対の凹部を形成したものであり、各凹部にエアバッグ40を左右一対として対設するように配設させて、凹部内部で被施療者の脛部及び足先部に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0041】
背凭れ部2の側部に設けた左右一対の側壁部5は、座部3に着座した被施療者の肩部及び上腕側方部に対向する位置、とりわけ肩甲骨の肩峰突起の前下方のツボである肩ぐうに適切な刺激を与える位置に配設しており、左右の側壁部5の内側面には夫々左右方向に重合したエアバッグ50を並列状態に埋設している。エアバッグ50を重合し、その基端部のみを側壁部5の基端部に取り付けることにより、膨張時には重合したエアバッグ50が扇状に広がって被施療者の体側部を挟圧する。
【0042】
側壁部5のエアバッグ50は、膨縮動作により体側部を挟圧施療することはもちろん、一定の時間において膨張状態を保ちながら、被施療者の身体が背凭れ部2から離れないように保持することができ、被施療者の身体を固定した状態で施療子機構20の施療子21による背部からの施療を効果的に受ける事が可能となる。
【0043】
操作手段9は、マッサージ機1を操作するための操作手段であり、図示しない各種プッシュスイッチ、方向キー等の入力手段、表示手段であるLCDを配置している。操作手段9とマッサージ機1にはそれぞれ通信部が設けられており、通信部を介して操作手段9とマッサージ機1とは通信可能である。被施療者が操作手段9を用いて操作した場合には、操作手段9からマッサージ機1の図示しない制御部であるマイクロコンピュータに対して信号が送信され、この信号に基づいて制御部が空気給排装置10等の各種駆動部を駆動させる。マッサージ機1の制御部は、施療子機構20に内蔵された図示しない各種モータ、空気給排装置10、施療子機構20を昇降させる図示しない昇降用モータ、足載部4の図示しない昇降用モータ、図示しないリクライニング用のアクチュエータ等の駆動部を駆動させて入力信号に応じた動作を行わせる制御を行うと共に、後述するシート状センサ8から入力信号を受信し、前腕部施療用エアバッグ70の施療内容を変更するように制御を行うものである。
【0044】
肘掛部6は、図2に示すとおり、底部62の外側端に立設された立壁部61と、底部62に対して上下方向に対向する上方対向部60とで構成され、断面視略コの字状の凹部を形成している。肘掛部6は、凹部に挿入された被施療者の前腕部を上下から挟圧施療する為の上下一対の前腕部施療用エアバッグ71、72を設けると共に、底部62の上面側である施療時載置部63側に被施療者の肘から指先にかけた領域との接触を検知するシート状センサ8を設けている。
【0045】
上下一対の前腕部施療用エアバッグ71、72は、上方対向部60の下面側に配置された上側エアバッグ71と、底部62の上面側に配置された下側エアバッグ72とからなる。図2等に示すとおり、上側エアバッグ71は、上側後方エアバッグ71a、上側中間エアバッグ71b、上側前方エアバッグ71cで構成され、これらは肘掛部6の長手方向に沿って並設される。下側エアバッグ72は、上側エアバッグ71を構成する各エアバッグに対して下方向に対向するように、下側後方エアバッグ72a、下側中間エアバッグ71b、下側前方エアバッグ72cで構成され、肘掛部6の長手方向に沿って並設される。
【0046】
なお、上記のとおり肘掛部6は3組の上下一対の前腕部施療用エアバッグを備えているが、これに限らず1組でも4組でも良い。また、上側エアバッグ71と下側エアバッグ72の数は同数であるのが好ましいが必ずしも同数である必要はない。更に、上下一対の前腕部施療用エアバッグ71、72に加えて或いは変えて、立壁部61に前腕部施療用エアバッグを配設することもできる。また、各エアバッグは単独であっても、図3に示すように複数のエアバッグを重合したものであっても良い。
【0047】
施療時載置部6に設けたシート状センサ8は、図2に示すように、下側エアバッグ72a,72b,72cを上側から覆う態様で配設され、また、図3に示すように、肘掛部6を被覆するカバー11の表面側に設けられる。
【0048】
なお、シート状センサ8は、下側エアバッグ72a,72b,72cの全部を上側から覆うものに限らず、一部のみを覆うものであっても良い。また、シート状センサ8はカバー11の表面側ではなく裏面側に設けても良い。
【0049】
図4a)に示すとおり、被施療者による入力操作の待機中にシート状センサ8が被施療者の肘から指先にかけた領域における接触を検知したときには、前腕部施療用エアバッグ71、72に対して給排気を実行して前腕部の施療を行う一方、腕施療実行中に被施療者の肘から指先にかけた領域における接触を検知しなくなったときには、前腕部施療用エアバッグ71、72への給気を停止して前腕部の施療を行わないように制御する。
【0050】
また、図4b)に示すとおり、自動コース中にシート状センサ8が被施療者の肘から指先にかけた領域における接触を検知したときには、前腕部施療プログラムを他の施療プログラムと同期実行して前腕部の施療を行う一方、被施療者の肘から指先にかけた領域における接触を検知しなくなったときには、前腕部施療プログラムをスキップして前腕部の施療を行わないように制御する。
【0051】
このように、被施療者の前腕が凹部に挿入されている場合に前腕部施療用エアバッグへの給排気を行い、被施療者の前腕が凹部に挿入されていない場合には給排気を行わず、必要に応じてプログラム内容を変更するため、被施療者の前腕の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができる。
【0052】
実施例1における制御を図5に示す自動コースマッサージに即して具体的に説明する。なお、同図中、「腕エア」とは前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムを意味し、「他エア1」、「他エア2」、「他エア3」とは、前腕部施療用エアバッグ70(71、72)とは異なる他のエアバッグを作動させる施療プログラムを意味する。
【0053】
まず、図5a)、b)を用いて、被施療者の前腕の存在を検知しない場合に、腕施療プログラムを省略(スキップ)する手順について説明する。「他エア1」の開始時である時間t0において、(1)前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムであるか否か、(2)シート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知したか否か、を判定する。「他エア1」は前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムではないため、スキップされることなく実行される。次に、「他エア2」の開始時である時間t1において、上記(1)及び(2)を判定するが、「他エア2」は前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムではないため、スキップされることなく実行される。次に「腕エア」の開始時である時間t2において、上記(1)及び(2)を判定するが、「腕エア」は前腕部施療用エアバッグ70を作動させる施療プログラムである。t2の段階でシート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知しなかった場合は、「腕エア」のプログラムが省略(スキップ)される。次に、繰り上がった「他エア3」の開始時である時間t2において、上記(1)及び(2)を判定するが、「他エア3」は前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムではないため、スキップされることなく実行される。このように、本実施例は、自動コースマッサージにおいて、スキップされた施療プログラムの時間分だけマッサージ時間が短縮されるため、効率的な自動コースマッサージを実行することができる。
【0054】
図5c)、d)を用いて、被施療者の前腕の存在を検知した場合に、腕施療プログラムを他の施療プログラムと同期実行する手順について説明する。「他エア1」の開始時である時間t0において、シート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定する。以降のプログラム(「他エア2」「他エア3」)においても、その開始時(t1およびt2)に、シート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定する。t0、t1、t2において、前腕部の存在を検知した場合には、前腕部施療プログラムを次の施療プログラムと同期実行するよう制御する。例えば、t1の段階のみ検知したとすれば、「他エア2」を実行するとともに、「腕エア」も「他エア2」に同期して実行する。このように、本実施例は、自動コースマッサージにおいて、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的かつ即時的に最適な施療プログラムを提供することができる。
【0055】
なお、上記において(1)前腕部施療用エアバッグ70を作動させるマッサージプログラムであるか否か、(2)シート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知したか否か、は各プログラムの開始時に判定するようにしているが、この施療プログラムをスキップするか否かの判定は、判定対象である施療プログラムの直前の施療プログラムの実行中の任意の時間に行っても良く、また、上記(2)を、判定対象である施療プログラムの直前の施療プログラムの実行中において一定時間以上検知したか否か、にすることもできる。
【実施例2】
【0056】
実施形態2の肘掛部6の構造は、シート状センサ8を除いて実施例1と同様である。底部62の上面に形成される施療時載置部63に設けられたシート状センサ8は、下側エアバッグ72a,72b,72cを上側から覆う態様で配設されるものであるが、実施例1と異なるのは、図6に示すとおり、複数の下側エアバッグ72a,72b,72cに各々対応するように区分された検知エリア(領域)を有するシート状センサ82を配置した点である。
【0057】
具体的には、シート状センサ8は、施療時載置面63の長手方向に沿って前方検知エリア82c、中間検知エリア82b、後方検知エリア82aを有し、各検地エリア内に下側エアバッグ72a、72b、72c、及び、上側エアバッグ71a、71b、71cが各々配置されるものである。
【0058】
前方検知エリア82cの検知に対応して前方エアバッグ71c,72cの施療内容が変更され、中間検知エリア82bの検知に対応して中間エアバッグ71b,72bの施療内容が変更され、後方検知エリア82aの検知に対応して後方エアバッグ71a,72aの施療内容が変更される。図6(c)のように、検知エリア82c,82b,82aの全てが前腕部の存在(接触)を検知する場合は、肘掛部に配置された全てのエアバッグに給排気が実行されるが、リクライニング等によって前腕部の位置が図6(b)の状態になると、前方検知エリア82cが前腕部の存在(接触)を検知しないため、前方エアバッグ71c,72cに給排気を実行しないように制御され、同様に、図6(a)のように、前方検知エリア82c及び中間検知エリア82bが前腕部の存在(接触)を検知しないときは、中間エアバッグ71b,72b及び前方エアバッグ71c,72cには給排気を行わないように制御される。
【0059】
このように、本実施例によれば、肘掛部に挿入された前腕部の位置に対応するエアバッグにのみ給排気を行うことが可能であるため、無駄な給排気を行わずに済む。
【0060】
図7を参照して、本実施例の自動コースマッサージに即した制御について具体的に説明する。
【0061】
まず、自動コースマッサージを構成するn番目の施療プログラムを認識し、n番目の施療プログラムを開始する準備を行う(ステップS1)。次いで、n番目の施療プログラムが「腕(前腕部施療用エアバッグ71、72による施療)」であるか否かを判定する(ステップS2)。「腕」であることを確認すると、各検知エリアが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定する(ステップS3、31〜)。つまり、まず、後方検知エリア82aが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定し(ステップS31)、検知を確認できれば中間検知エリア82bが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップに進む一方、検知を確認できなければ後方エアバッグ71a,72bへの給気を停止した後(ステップS32)、中間検知エリア82bが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップに進む。次に、中間検知エリア82bが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップでも(ステップS33)、検知を確認できれば前方検知エリア82cが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップに進む一方、確認できなければ中間エアバッグ71b,72bへの給気を停止した後、前方検知エリア82cが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップに進む。そして、前方検知エリア82cが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップでは(ステップS35)、検知を確認すればリターンしてステップ4に進む一方、確認できなければ前方エアバッグ71c,72cへの給気を停止した後、リターンしてステップ4に進む。全ての検知エリアにおいて前腕部の存在(接触)を検知しなかった場合は、n番目の施療プログラムを飛ばして即終了させる(ステップS5a)。一方、ステップS31以降において、いずれかの検知エリアにおいて前腕部の存在(接触)を検知した場合は、n番目の施療プログラムを実行した後に終了される(ステップS5b)。
【0062】
n番目の施療プログラムが終了した後は、判定対象となる施療プログラムをn+1番目に移行し(ステップS6)、上記と同様の判定を繰り返し、判定対象となる施療プログラムの番号がプログラムの設定数(自動コースマッサージを構成する施療プログラムの総数)を超えた場合に自動コースマッサージは終了する(ステップS7)。
【実施例3】
【0063】
実施形態3の肘掛部6は、シート状センサ8を除いて実施例1と同様である。実施例1と異なるのは、図8、9に示すように、複数の下側エアバッグ72a,72b,72cに対応する数の光電センサ81を、各下側エアバッグ72a,72b,72cの背凭れ部2側に配置した点である。
【0064】
具体的には、光電センサ81は、前方光電センサ81c、中間光電センサ81b、後方光電センサ81aとからなり、前方光電センサ81cは、下側前方エアバッグ72cの背凭れ部2側である下側中間エアバッグ72bとの間隙に配置され、中間光電センサ81bは、下側中間エアバッグ72bの背凭れ部2側である下側後方エアバッグ72aとの間隙に配置され、また、後方光電センサ81aは下側後方エアバッグ72aの後端付近に配置される。
【0065】
前方光電センサ81cの検知に対応して前方エアバッグ71c,72cの施療内容が変更され、中間光電センサ81bの検知に対応して中間エアバッグ71b,72bの施療内容が変更され、後方光電センサ81aの検知に対応して後方エアバッグ71a,72aの施療内容が変更される。図9(c)に示すように、光電センサ81c,81b,81aの全てが前腕部の存在(光量変化)を検知する場合は、肘掛部に配設した全てのエアバッグに給排気が実行されるが、リクライニング等によって前腕部の位置が図9(b)の状態になると、前方光電センサ81cが前腕部の存在(光量変化)を検知しないため、前方エアバッグ71c,72cに給排気を実行しないように制御され、同様に、図9(a)のように、前方光電センサ81c及び中間光電センサ81bが前腕部の存在(光量変化)を検知しないときは、中間エアバッグ71b,72b及び前方エアバッグ71c,72cには給排気を行わないように制御される。
【0066】
このように、肘掛部に挿入された前腕部の位置に対応するエアバッグにのみ給排気を行うことが可能であるため、無駄な給排気を行わずに済む。
【0067】
また、本実施例は、各下側エアバッグ72a,72b,72cの背凭れ部2側にセンサを配置した形態となっているが、これによりシート状のセンサよりも応答速度が速く、かつセンサと接触しない離れた位置の測定が可能な非接触センサを使用することが可能となる。前腕部施療用エアバッグと重合する位置(上下、左右狭圧する前腕部挟持機構の場合は左右)に非接触センサを備えようとすると、前腕部と接触する側に配置した場合、施療実行時にセンサに負荷がかかるとともに、被施療者に異物感を与えることとなり、前腕部と接触しない側に配置した場合、前腕部施療用エアバッグの存在が検知を妨げることとなる。
【0068】
なお、上記した光電センサの配置はあくまでも好適な実施態様であって、被施療者が前腕部を挿入する凹部の前腕部施療体が配置されていない内壁部に配置する場合や、肘掛部長手方向に並設した前腕部施療体の左右(左右狭圧する前腕部挟持機構の場合は上下)に配置するなど、検知手段として他の非接触式センサやシート状のセンサを用いる場合など、いずれも本発明の実施態様から排除するものではない。
【0069】
図10に照らして、本実施例の自動コースマッサージに即した制御について具体的に説明する。
【0070】
自動コースマッサージを構成するn番目の施療プログラムを認識し、n番目の施療プログラムを開始する準備を行う(ステップS1)。次いで、n番目の施療プログラムが「腕(前腕部施療用エアバッグ71、72による施療)」であるか否かを判定する(ステップS2)。「腕」であることを確認すると、各検知手段81が前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定する(ステップS3、31〜)。まず、後方光電センサ81aが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定する(ステップS31)。検知を確認すれば中間光電センサ81bが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップに進む一方、検知を確認できなければ後方エアバッグ71a,72aへの給気を停止した後(ステップS32)、中間光電センサ81bが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップに進む。中間非接触式センサ81bが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップでも(ステップS33)、検知を確認することができれば前方光電センサ81cが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップに進む一方、確認できなければ中間エアバッグ71b,72bへの給気を停止した後、前方光電センサ81cが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップに進む。前方光電センサ81cが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップでは(ステップS35)、検知を確認すればリターンしてステップ4に進む一方、確認できなければ前方エアバッグ71c,72cへの給気を停止し、リターンしてステップ4に進む。全ての検知手段が前腕部の存在(光量変化)を検知しなかった場合は、n番目の施療プログラムを飛ばして即終了させる(ステップS5a)。一方、ステップS31以降において、いずれかの検知手段が前腕部の存在(光量変化)を検知した場合は、n番目の施療プログラムは実行後に終了される(ステップS5b)。n番目の施療プログラムが終了した後は、判定対象となる施療プログラムをn+1番目に移行し(ステップS6)、上記と同様の判定を繰り返し、判定対象となる施療プログラムの番号がプログラムの設定数(自動コースマッサージを構成する施療プログラムの総数)を超えた場合に自動コースマッサージは終了する(ステップS7)。
【実施例4】
【0071】
実施形態4の肘掛部6は、検知内容に対応する制御内容を除いて実施例2と同様である。実施例2と異なる点は、検知手段8が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知した場合に、前腕部施療体70による施療動作を所定のプログラムと同期実行する点である。
【0072】
具体的には、まず、自動コースマッサージを構成するn番目の施療プログラムを認識し、n番目の施療プログラムを開始する準備を行う(ステップS1)。次いで、各検知手段が前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定する(ステップS2)。検知しない場合には、予定通りのプログラムを実行し(ステップS4)、検知した場合には、n番目のプログラムと前腕部施療プログラムを同期実行させる処理を行い(ステップS3)、次のステップ(S4)に移行する。n番目の施療プログラムが終了した後は、判定対象となる施療プログラムをn+1番目に移行し(ステップS5)、上記と同様の判定を繰り返し、判定対象となる施療プログラムの番号がプログラムの設定数(自動コースマッサージを構成する施療プログラムの総数)を超えた場合に自動コースマッサージは終了する(ステップS6)。
【0073】
なお、本実施形態は、実施例3においても用いることが可能であり、また図7もしくは図10と図11の制御内容を択一的に限定するものではない。
【0074】
以上の実施形態などにおいて実現される本発明により、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができるマッサージ機の提供が実現する。
【符号の説明】
【0075】
1 椅子式マッサージ機
10 空気給排気装置
11 カバー
2 背凭れ部
20 施療子機構
22 ガイドレール
23 エアバッグ
3 座部
30 エアバッグ
31 エアバッグ
4 足載部
40 エアバッグ
5 側壁部
50 エアバッグ
6 肘掛部
60 上方対向部
61 立壁部
62 底部
63 前腕載置部
7 前腕部挟持機構
70 前腕部施療体
8 検知手段
9 操作手段
【技術分野】
【0001】
本発明は椅子式マッサージ機、特に、座部とリクライニング可能な背凭れ部と、座部両側に肘掛部を備え、被施療者の前腕部を施療する前腕部施療体を備える椅子式マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の椅子式マッサージ機は、エアバッグ等の施療体によって施療される部位が多様化する傾向にあり、被施療者の背部や腰部の施療はもちろん、肘掛部に凹部を形成し、凹部に挿入した前腕部等を挟圧施療するエアバッグを配設したものが存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−287831
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような前腕部に狭圧施療を行う椅子式マッサージ機において、リモコン操作など手を使う作業を行いたい、前腕部への施療を望まないなどの理由により、肘掛部の凹部から前腕部を離脱させる等、前腕部施療用のエアバッグによる施療が作用しない位置に前腕部を移動させることも少なくない。
【0005】
しかしながら、各施療部位に対する各施療を設定された順序で実行する自動コースマッサージ等の場合には、肘掛部の凹部から前腕部を離脱させているにも拘わらず、前腕部を施療するプログラムは予定どおりに実行される。そのため、被施療者が前腕部への施療を望んでいるにも関わらず、手を使う作業などにより肘掛部の凹部から前腕部を離脱させている場合、施療を受ける機会を逃してしまうことがある。また、被施療者が前腕部への施療を望まず肘掛部の凹部から前腕部を離脱させているにも関わらず、前腕部のみを施療するプログラムが実行された場合、次の施療プログラムが実行されるまでの間は被施療者が施療を受けていない状態となってしまうことがある。つまり、被施療者にとって最適な施療プログラムを提供できていないことがある。
【0006】
このような問題を解決するために、リモコンなどの操作手段にリピートやスキップ等の機能を搭載することも考えられるが、その都度操作を実行するのは手間であり、特に前腕部への施療を望む際には、リモコンなどを操作すること自体が困難な状態となる。
【0007】
そこで、本発明は、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療プログラムを提供することができる椅子式マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の椅子式マッサージ機(1)は、座部(3)とリクライニング可能な背凭れ部(2)と座部両側に肘掛部(6)を備えて椅子本体を形成し、前記肘掛部(6)は、挿入された被施療者の前腕部を挟持する前腕部挟持機構(7)を備え、該前腕部挟持機構(7)は、被施療者の前腕を施療する前腕部施療体(70)と、前腕部施療が可能な領域内で被施療者の前腕部の存在を検知する検知手段(8)を備え、該検知手段(8)により、被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、前腕部施療体(70)による施療内容を変更する制御を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の椅子式マッサージ機(1)は、請求項1記載の発明に関し、前記前腕部挟持機構(7)が、複数の前腕部施療体を肘掛部(6)の長手方向に並設して備え、前記検知手段(8)は、各前腕部施療体に対応する検知領域を有し、該検知手段(8)により、各検知領域において被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、対応する前腕部施療体を個別に制御可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の椅子式マッサージ機(1)は、請求項1または請求項2記載の発明に関し、前記検知手段は、前記前腕部施療体と重合しない位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の椅子式マッサージ機(1)は、請求項1〜3いずれか記載の発明に関し、前記検知手段(8)が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知しない場合に、前記前腕部施療体による施療プログラムを省略する制御の設定が可能なことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の椅子式マッサージ機(1)は、請求項1〜4いずれか記載の発明に関し、前記検知手段(8)が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知した場合に、前記前腕部施療体による施療動作を所定のプログラムと同期実行する制御の設定が可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】椅子式マッサージ機1の全体斜視図。
【図2】実施例1に係る肘掛部6の斜視図。
【図3】実施例1に係る肘掛部6の断面図。
【図4】実施例1の制御フローチャート。
【図5】実施例1の自動コースマッサージの説明図。
【図6】実施例2に係る肘掛部の平面図。
【図7】実施例2の制御フローチャート。
【図8】実施例3に係る肘掛部の斜視図。
【図9】実施例3に係る肘掛部の平面図。
【図10】実施例3の制御フローチャート。
【図11】実施例4の自動コースマッサージの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、座部3とリクライニング可能な背凭れ部2と座部両側に肘掛部6を備えて椅子本体を形成し、前記肘掛部6は、挿入された被施療者の前腕部を挟持する前腕部挟持機構7を備え、該前腕部挟持機構7は、被施療者の前腕を施療する前腕部施療体70と、前腕部施療が可能な領域内で被施療者の前腕部の存在を検知する検知手段8を備え、該検知手段8により、被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、前腕部施療体70による施療内容を変更する制御を行う椅子式マッサージ機において好適に実施される。
【0016】
肘掛部6に形成される前腕部挟持機構7は、肘掛部6に載置された前腕部を上下又は左右等の方向から挟持するものであり、具体的には対設された一対の前腕部施療体70の間で挟持する或いは肘掛部6の一部と前腕部施療体70との間で挟持するものである。
【0017】
被施療者の前腕を施療する前腕部施療体70は、公知の施療手段であれば特に限定されるものではないが、エアを供給・排気して膨張・収縮を繰り返す公知のエアバッグが好適に用いられる。
【0018】
検知手段8は、被施療者の前腕部の存在を検知するものであり、圧力センサ、熱センサ、赤外線センサ、光センサ、音波センサなどの公知の検知手段であれば特に限定されるものではないが、肘掛部の形状や重量への影響を最小限に抑える手段として、被施療者に異物感を与えず、かつ可撓性を有する点から、シート状の押圧センサが好適に用いられる。具体的には、圧電体に加えられた力を電圧に変換する圧電素子や、シリコンゴムに導電性フィラを配合した加圧導電性ゴムを用いることができる。なお、シート状とした検知手段8は被施療者の肌に近接し或いは直接触れ得る部分であるため、綿等の天然繊維又はポリエステル等の化学繊維等を主体とする織物に、ステンレス、カーボン、メッキ等からなる導電性繊維を織り込んで形成された織物からなるシート状センサとするのが好ましい。また、より精度の高い検知を実現する手段として、応答速度が速く、かつセンサと接触しない離れた位置の測定が可能な点から、光センサや放射式温度センサ、近接センサなどの非接触式センサを用いることが望ましい。具体的には、赤外線LEDなどの発光素子を備えた投光器とフォトトランジスタやフォトダイオードなどの受光素子を備えた受光器より形成し、投光器から発せられた光を対向する受光器が受け取り光量を測定する透過型光センサや、発光素子と受光素子を併せ持つ投受光器と反射板より形成し、投受光器から発せられ対向する反射板によって戻ってきた光を投受光器が受け取り光量を測定する回帰反射型センサを用いることができる。
【0019】
検知手段8の検知に対応して、前腕部施療体70の施療内容を変更する制御が行われる。例えば、検知の「有/無」に応じて給気量を変更するように制御する。主には検知の「有/無」に応じて前腕部施療用エアバッグ70の給排気の「実行(給気)/非実行(中止)」の切り換えを行うように制御する。この場合、被施療者の前腕部の存在を検知すると、前腕部施療用エアバッグ70に給排気を実行して前腕部を施療する一方、前腕部の存在を検知しない場合は給排気を実行せず、前腕部を施療しないように制御される。
【0020】
これによれば、検知手段8が被施療者の前腕部の存在を検知した場合にのみ、前腕部施療用エアバッグへの給排気が実行されるので、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができる。
【0021】
本発明は、人体の各施療部位に対応して配設された複数の施療体を予め設定された順序で作動させる自動コースマッサージにおいて好適に実施される。例えば、自動コースマッサージの開始前ないし実行中において、検知時に実行されている施療プログラムが、前腕部施療体70を作動する施療プログラムであって、プログラム中に前腕部の存在を検知しなくなった場合に、前記施療プログラムを中止し、前記施療プログラムよりも後順の施療プログラムのうちから、前腕部施療体70を作動する施療プログラムを除く他の施療プログラムのちで最先の施療プログラムを選択して実行するものである。つまり、前腕部施療体70を作動する施療プログラムを実行することなく、前腕部施療体70を作動する施療プログラムを除く他の施療プログラムまでスキップするものである。具体的には、「背中部」、「前腕部」、「腰部」、「体側部」、「足部」に対応する施療プログラムをこの順序で実行する自動コースマッサージである場合は、2番目の「前腕部」に対応する施療プログラムがスキップされ、効率的な自動コースマッサージが実現できる。
【0022】
もちろん、前腕部の施療を望まない被施療者は、マッサージ機に付属するリモコン器その他の操作手段を用いて、前腕部施療体を制御して停止することも可能であるが、操作手段として配列された複数のボタンの内から所望の制御を実行するボタンを認識して操作する等、マッサージ中に所望の制御に対応した特別な動作を行わねばならないのは,被施療者にとって好ましいものではないため、本発明のように、前腕部への施療を望まない被施療者が自然と行う動作に同期して施療内容を変更するのは極めて有意である。
【0023】
ところで、被施療者の前腕部の長さは個人の身体的特性に応じて異なるため、肘掛部上における前腕部の位置は、被施療者の身体的特性に応じて肘掛部の長手方向に沿って変位し、また、同じ身体的特性を有する被施療者であっても、椅子式マッサージ機のリクライニング角度の変化に応じて肘掛部の長手方向に沿って変位する。
【0024】
このような肘掛部上における前腕部の位置変位に対応して、必要な給排気のみを実行して合理的な施療を行うためには、複数の前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等を肘掛部6の長手方向に並設し、各前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等を個別に制御するものとするのが好ましい。
【0025】
例えば、前腕部が比較的短い被施療者の場合や、背凭れ部を後方にリクライニングした場合には、前腕部は肘掛部6の長手方向の背凭れ部2側に位置することになるため、肘掛部6の長手方向に並設した複数の前腕部施療用エアバッグのうち、背凭れ部2側に位置するエアバッグには給排気を行う必要がある一方、肘掛部6の先端側に位置するエアバッグに対する給排気は無駄である。複数の前腕部施療用エアバッグを肘掛部6の長手方向に並設し、各前腕部施療用エアバッグを個別に制御するものであれば、背凭れ部2側に配置された前腕部施療用エアバッグに給排気を実行する一方、先端側に配置された前腕部施療用エアバッグに給排気を実行しないように制御することができ、合理的で無駄のない給排気を実行できる。
【0026】
具体的には、複数の前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等を肘掛部6の長手方向に並設して複数の施療領域を形成し、各領域に検知手段8を各々配置し、各施療領域を形成する各前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等の施療内容を各施療領域に配置された検知手段82による前腕部の検知状況に対応させて個別に変更する椅子式マッサージ機であれば、各施療領域に配置された検知手段82が前腕部の存在を検知した場合にのみ当該領域を形成する各前腕部施療用エアバッグに給排気を実行して施療を行うことができるので、肘掛部6上における前腕部の位置変位に対応して合理的で無駄のない給排気を実行することができる。
【0027】
また、前腕部を施療する際に前腕部を載置する部分である施療時載置部63に対して上下方向に対向する対向壁部60を肘掛部6に形成し、施療時載置部63又は/及び対向壁部60に前腕部施療体70を配置し、施療時載置部63と対向壁部60との間で前腕部を上下方向から挟圧施療する椅子式マッサージ機においては、複数の前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等を施療時載置部63又は/及び対向壁部60の長手方向に並設して複数の施療領域を形成し、肘掛部長手方向に隣接する各施療領域に検知手段82を各々配置し、各施療領域を形成する各前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72c等の施療内容を各施療領域に配置した各検知手段82が前腕部の検知状況に対応させて個別に変更するように制御する。
【0028】
本発明において、検知手段に対する負荷や摩耗を軽減するためには、前腕部施療用エアバッグと検知手段とが重合しない態様で配置された肘掛部とするのが好ましい。すなわち、施療時載置部に検知手段を配置し、検知手段の下側に前腕部施療用エアバッグを配置する場合は、前腕部施療用エアバッグの膨張時に検知手段が前腕部に強く押し付けられるため、検知手段に対して負荷が生じると共に前腕部との接触などに起因する摩耗等を生じる恐れがある。この負荷と摩耗を可及的に防止するためには、例えば、検知手段を肘掛部長手方向における各前腕部施療用エアバッグの背凭れ部2側に設け、前腕部施療用エアバッグと検知手段とが上下方向に重合しない態様で配置するのが好ましい。
【0029】
具体的には、肘掛部6の長手方向に沿って複数の前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72cと複数の検知手段81a,81b,81cとが交互に並設されたものとすれば、前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72cの上方に検知手段を重ねて配置した場合に比較して、前腕部施療用エアバッグ72a,72b,72cが膨張して検知手段81を前腕部に押し付ける負荷を軽減することができるので好ましい。
【0030】
また、このように検知手段を前腕部施療体と重合しない位置に配置する形状とすると、光センサなど非接触式のセンサを用いることが容易となる。例えば、前腕部施療体の上方に設置しようとしても、センサへの負荷や、被施療者の異物感が発生し、設置は困難である。また、下方に設置しようとしても、施療体が検知の妨げとなり、正確な検知を行うことが困難である。前腕部施療体と重合しない位置に配置することで、上記非接触式のセンサを用いることが容易となる。
【0031】
さらに、非接触式のセンサを前腕部施療体と交互に並設すれば、前腕部施療体を個別に制御しようとする場合に、対応する前腕部施療体と近距離で配置することが可能となり、より正確な検知を行うことが可能となる。
【0032】
なお、検知手段を肘掛部長手方向における各前腕部施療用エアバッグの背凭れ部側に設ける場合、各前腕部施療用エアバッグと検知手段とが上下方向に全く重ならないように配置するのが好ましいが、各前腕部施療用エアバッグの後端部(背凭れ部側の端部)と検知手段とが上下方向に重なる場合であっても、各前腕部施療用エアバッグの中央部と検知手段とが上下方向に重なる場合に比較すれば検知手段が前腕部に押し付けられる負荷が軽減されるので好ましい。
【0033】
また、肘掛部の施療時載置部の左右両側に立設した一対の側壁部に前腕部施療体を各々配置し、対設した前腕部施療体の間で前腕部を左右方向から挟圧施療する椅子式マッサージ機においては、複数の前腕部施療用エアバッグを側壁部の長手方向に並設して複数の施療領域を形成し、各領域に検知手段を各々配置し、各施療領域を形成する各前腕部施療用エアバッグの施療内容を各領域に配置された各検知手段による前腕部の検知状況に対応させて個別に変更する椅子式マッサージ機とすれば、各施療領域に配置された各検知手段が前腕部の存在を検知した場合にのみ当該領域を形成する各前腕部施療用エアバッグに給排気を実行して左右方向から前腕部の施療を行うことができるので、肘掛部上における前腕部の位置の変位に対応して合理的で無駄のない給排気を実行することができる。この場合、検知手段に生じる負荷や摩耗を可及的に軽減するためには、側壁部ではなく、肘掛部長手方向に隣接する各施療領域内における施療時載置部に検知手段を各々配置するのが好ましい。
【実施例1】
【0034】
以下、上述した本発明に係るマッサージ機の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、椅子式マッサージ機1は、座部3と、座部3の後側にリクライニング可能に連結される背凭れ部2と、座部3の前側に上下方向に揺動可能に連結した足載部4と、座部3の両側の立設された肘掛部6と、背凭れ部2の両側から前方に突出した側壁部5とから形成されている。
【0035】
背凭れ部2には、左右一対の揉み玉である施療子21を備えた昇降自在の施療子機構20を設けている。施療子機構20は、背凭れ部2に設けた左右一対のガイドレール22に沿って背凭れ部2の上端から下端にかけて昇降する。
【0036】
施療子機構20は、モータ等を駆動源として左右一対の施療子21を作動させる機械式のマッサージ機構であり、背凭れ部2に凭れた被施療者の首部、背部、腰部などの背面全体を、たたき、揉み、ローリング、指圧などの多様な態様で施療するようにしたものである。
【0037】
また、椅子式マッサージ機1の各所定位置には、空気の給排気によって膨縮を繰り返す事が可能なエアバッグ30等を夫々埋設している。エアバッグ30等は、エアコンプレッサー及び各エアバッグに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置10により膨縮動作を行うようにしており、空気給排装置10は座部3の下部空間に設置している。
【0038】
空気給排装置10による各エアバッグ30等の膨縮動作によって、被施療者の所定の施療部位を押圧、指圧などをすることができ、また、複数のエアバッグ30等を対となるように対設させた箇所には挟圧等の施療を行う事ができ、更に、各エアバッグ30等を膨張状態に保つようにした場合は、被施療者の所定の部位を一定の時間保持する事も可能である。
【0039】
座部3には、後側に臀下部用のエアバッグ30、前側に腿部用のエアバッグ31を並列させて夫々埋設し、主に下方から上方に押圧する施療を行うようにしている。
【0040】
足載部4は、被施療者の脛部および足先部を夫々嵌入させる左右一対の凹部を形成したものであり、各凹部にエアバッグ40を左右一対として対設するように配設させて、凹部内部で被施療者の脛部及び足先部に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0041】
背凭れ部2の側部に設けた左右一対の側壁部5は、座部3に着座した被施療者の肩部及び上腕側方部に対向する位置、とりわけ肩甲骨の肩峰突起の前下方のツボである肩ぐうに適切な刺激を与える位置に配設しており、左右の側壁部5の内側面には夫々左右方向に重合したエアバッグ50を並列状態に埋設している。エアバッグ50を重合し、その基端部のみを側壁部5の基端部に取り付けることにより、膨張時には重合したエアバッグ50が扇状に広がって被施療者の体側部を挟圧する。
【0042】
側壁部5のエアバッグ50は、膨縮動作により体側部を挟圧施療することはもちろん、一定の時間において膨張状態を保ちながら、被施療者の身体が背凭れ部2から離れないように保持することができ、被施療者の身体を固定した状態で施療子機構20の施療子21による背部からの施療を効果的に受ける事が可能となる。
【0043】
操作手段9は、マッサージ機1を操作するための操作手段であり、図示しない各種プッシュスイッチ、方向キー等の入力手段、表示手段であるLCDを配置している。操作手段9とマッサージ機1にはそれぞれ通信部が設けられており、通信部を介して操作手段9とマッサージ機1とは通信可能である。被施療者が操作手段9を用いて操作した場合には、操作手段9からマッサージ機1の図示しない制御部であるマイクロコンピュータに対して信号が送信され、この信号に基づいて制御部が空気給排装置10等の各種駆動部を駆動させる。マッサージ機1の制御部は、施療子機構20に内蔵された図示しない各種モータ、空気給排装置10、施療子機構20を昇降させる図示しない昇降用モータ、足載部4の図示しない昇降用モータ、図示しないリクライニング用のアクチュエータ等の駆動部を駆動させて入力信号に応じた動作を行わせる制御を行うと共に、後述するシート状センサ8から入力信号を受信し、前腕部施療用エアバッグ70の施療内容を変更するように制御を行うものである。
【0044】
肘掛部6は、図2に示すとおり、底部62の外側端に立設された立壁部61と、底部62に対して上下方向に対向する上方対向部60とで構成され、断面視略コの字状の凹部を形成している。肘掛部6は、凹部に挿入された被施療者の前腕部を上下から挟圧施療する為の上下一対の前腕部施療用エアバッグ71、72を設けると共に、底部62の上面側である施療時載置部63側に被施療者の肘から指先にかけた領域との接触を検知するシート状センサ8を設けている。
【0045】
上下一対の前腕部施療用エアバッグ71、72は、上方対向部60の下面側に配置された上側エアバッグ71と、底部62の上面側に配置された下側エアバッグ72とからなる。図2等に示すとおり、上側エアバッグ71は、上側後方エアバッグ71a、上側中間エアバッグ71b、上側前方エアバッグ71cで構成され、これらは肘掛部6の長手方向に沿って並設される。下側エアバッグ72は、上側エアバッグ71を構成する各エアバッグに対して下方向に対向するように、下側後方エアバッグ72a、下側中間エアバッグ71b、下側前方エアバッグ72cで構成され、肘掛部6の長手方向に沿って並設される。
【0046】
なお、上記のとおり肘掛部6は3組の上下一対の前腕部施療用エアバッグを備えているが、これに限らず1組でも4組でも良い。また、上側エアバッグ71と下側エアバッグ72の数は同数であるのが好ましいが必ずしも同数である必要はない。更に、上下一対の前腕部施療用エアバッグ71、72に加えて或いは変えて、立壁部61に前腕部施療用エアバッグを配設することもできる。また、各エアバッグは単独であっても、図3に示すように複数のエアバッグを重合したものであっても良い。
【0047】
施療時載置部6に設けたシート状センサ8は、図2に示すように、下側エアバッグ72a,72b,72cを上側から覆う態様で配設され、また、図3に示すように、肘掛部6を被覆するカバー11の表面側に設けられる。
【0048】
なお、シート状センサ8は、下側エアバッグ72a,72b,72cの全部を上側から覆うものに限らず、一部のみを覆うものであっても良い。また、シート状センサ8はカバー11の表面側ではなく裏面側に設けても良い。
【0049】
図4a)に示すとおり、被施療者による入力操作の待機中にシート状センサ8が被施療者の肘から指先にかけた領域における接触を検知したときには、前腕部施療用エアバッグ71、72に対して給排気を実行して前腕部の施療を行う一方、腕施療実行中に被施療者の肘から指先にかけた領域における接触を検知しなくなったときには、前腕部施療用エアバッグ71、72への給気を停止して前腕部の施療を行わないように制御する。
【0050】
また、図4b)に示すとおり、自動コース中にシート状センサ8が被施療者の肘から指先にかけた領域における接触を検知したときには、前腕部施療プログラムを他の施療プログラムと同期実行して前腕部の施療を行う一方、被施療者の肘から指先にかけた領域における接触を検知しなくなったときには、前腕部施療プログラムをスキップして前腕部の施療を行わないように制御する。
【0051】
このように、被施療者の前腕が凹部に挿入されている場合に前腕部施療用エアバッグへの給排気を行い、被施療者の前腕が凹部に挿入されていない場合には給排気を行わず、必要に応じてプログラム内容を変更するため、被施療者の前腕の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができる。
【0052】
実施例1における制御を図5に示す自動コースマッサージに即して具体的に説明する。なお、同図中、「腕エア」とは前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムを意味し、「他エア1」、「他エア2」、「他エア3」とは、前腕部施療用エアバッグ70(71、72)とは異なる他のエアバッグを作動させる施療プログラムを意味する。
【0053】
まず、図5a)、b)を用いて、被施療者の前腕の存在を検知しない場合に、腕施療プログラムを省略(スキップ)する手順について説明する。「他エア1」の開始時である時間t0において、(1)前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムであるか否か、(2)シート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知したか否か、を判定する。「他エア1」は前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムではないため、スキップされることなく実行される。次に、「他エア2」の開始時である時間t1において、上記(1)及び(2)を判定するが、「他エア2」は前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムではないため、スキップされることなく実行される。次に「腕エア」の開始時である時間t2において、上記(1)及び(2)を判定するが、「腕エア」は前腕部施療用エアバッグ70を作動させる施療プログラムである。t2の段階でシート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知しなかった場合は、「腕エア」のプログラムが省略(スキップ)される。次に、繰り上がった「他エア3」の開始時である時間t2において、上記(1)及び(2)を判定するが、「他エア3」は前腕部施療用エアバッグ70(71、72)を作動させる施療プログラムではないため、スキップされることなく実行される。このように、本実施例は、自動コースマッサージにおいて、スキップされた施療プログラムの時間分だけマッサージ時間が短縮されるため、効率的な自動コースマッサージを実行することができる。
【0054】
図5c)、d)を用いて、被施療者の前腕の存在を検知した場合に、腕施療プログラムを他の施療プログラムと同期実行する手順について説明する。「他エア1」の開始時である時間t0において、シート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定する。以降のプログラム(「他エア2」「他エア3」)においても、その開始時(t1およびt2)に、シート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定する。t0、t1、t2において、前腕部の存在を検知した場合には、前腕部施療プログラムを次の施療プログラムと同期実行するよう制御する。例えば、t1の段階のみ検知したとすれば、「他エア2」を実行するとともに、「腕エア」も「他エア2」に同期して実行する。このように、本実施例は、自動コースマッサージにおいて、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的かつ即時的に最適な施療プログラムを提供することができる。
【0055】
なお、上記において(1)前腕部施療用エアバッグ70を作動させるマッサージプログラムであるか否か、(2)シート状センサ8によって前腕部の存在(接触)を検知したか否か、は各プログラムの開始時に判定するようにしているが、この施療プログラムをスキップするか否かの判定は、判定対象である施療プログラムの直前の施療プログラムの実行中の任意の時間に行っても良く、また、上記(2)を、判定対象である施療プログラムの直前の施療プログラムの実行中において一定時間以上検知したか否か、にすることもできる。
【実施例2】
【0056】
実施形態2の肘掛部6の構造は、シート状センサ8を除いて実施例1と同様である。底部62の上面に形成される施療時載置部63に設けられたシート状センサ8は、下側エアバッグ72a,72b,72cを上側から覆う態様で配設されるものであるが、実施例1と異なるのは、図6に示すとおり、複数の下側エアバッグ72a,72b,72cに各々対応するように区分された検知エリア(領域)を有するシート状センサ82を配置した点である。
【0057】
具体的には、シート状センサ8は、施療時載置面63の長手方向に沿って前方検知エリア82c、中間検知エリア82b、後方検知エリア82aを有し、各検地エリア内に下側エアバッグ72a、72b、72c、及び、上側エアバッグ71a、71b、71cが各々配置されるものである。
【0058】
前方検知エリア82cの検知に対応して前方エアバッグ71c,72cの施療内容が変更され、中間検知エリア82bの検知に対応して中間エアバッグ71b,72bの施療内容が変更され、後方検知エリア82aの検知に対応して後方エアバッグ71a,72aの施療内容が変更される。図6(c)のように、検知エリア82c,82b,82aの全てが前腕部の存在(接触)を検知する場合は、肘掛部に配置された全てのエアバッグに給排気が実行されるが、リクライニング等によって前腕部の位置が図6(b)の状態になると、前方検知エリア82cが前腕部の存在(接触)を検知しないため、前方エアバッグ71c,72cに給排気を実行しないように制御され、同様に、図6(a)のように、前方検知エリア82c及び中間検知エリア82bが前腕部の存在(接触)を検知しないときは、中間エアバッグ71b,72b及び前方エアバッグ71c,72cには給排気を行わないように制御される。
【0059】
このように、本実施例によれば、肘掛部に挿入された前腕部の位置に対応するエアバッグにのみ給排気を行うことが可能であるため、無駄な給排気を行わずに済む。
【0060】
図7を参照して、本実施例の自動コースマッサージに即した制御について具体的に説明する。
【0061】
まず、自動コースマッサージを構成するn番目の施療プログラムを認識し、n番目の施療プログラムを開始する準備を行う(ステップS1)。次いで、n番目の施療プログラムが「腕(前腕部施療用エアバッグ71、72による施療)」であるか否かを判定する(ステップS2)。「腕」であることを確認すると、各検知エリアが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定する(ステップS3、31〜)。つまり、まず、後方検知エリア82aが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定し(ステップS31)、検知を確認できれば中間検知エリア82bが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップに進む一方、検知を確認できなければ後方エアバッグ71a,72bへの給気を停止した後(ステップS32)、中間検知エリア82bが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップに進む。次に、中間検知エリア82bが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップでも(ステップS33)、検知を確認できれば前方検知エリア82cが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップに進む一方、確認できなければ中間エアバッグ71b,72bへの給気を停止した後、前方検知エリア82cが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップに進む。そして、前方検知エリア82cが前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定するステップでは(ステップS35)、検知を確認すればリターンしてステップ4に進む一方、確認できなければ前方エアバッグ71c,72cへの給気を停止した後、リターンしてステップ4に進む。全ての検知エリアにおいて前腕部の存在(接触)を検知しなかった場合は、n番目の施療プログラムを飛ばして即終了させる(ステップS5a)。一方、ステップS31以降において、いずれかの検知エリアにおいて前腕部の存在(接触)を検知した場合は、n番目の施療プログラムを実行した後に終了される(ステップS5b)。
【0062】
n番目の施療プログラムが終了した後は、判定対象となる施療プログラムをn+1番目に移行し(ステップS6)、上記と同様の判定を繰り返し、判定対象となる施療プログラムの番号がプログラムの設定数(自動コースマッサージを構成する施療プログラムの総数)を超えた場合に自動コースマッサージは終了する(ステップS7)。
【実施例3】
【0063】
実施形態3の肘掛部6は、シート状センサ8を除いて実施例1と同様である。実施例1と異なるのは、図8、9に示すように、複数の下側エアバッグ72a,72b,72cに対応する数の光電センサ81を、各下側エアバッグ72a,72b,72cの背凭れ部2側に配置した点である。
【0064】
具体的には、光電センサ81は、前方光電センサ81c、中間光電センサ81b、後方光電センサ81aとからなり、前方光電センサ81cは、下側前方エアバッグ72cの背凭れ部2側である下側中間エアバッグ72bとの間隙に配置され、中間光電センサ81bは、下側中間エアバッグ72bの背凭れ部2側である下側後方エアバッグ72aとの間隙に配置され、また、後方光電センサ81aは下側後方エアバッグ72aの後端付近に配置される。
【0065】
前方光電センサ81cの検知に対応して前方エアバッグ71c,72cの施療内容が変更され、中間光電センサ81bの検知に対応して中間エアバッグ71b,72bの施療内容が変更され、後方光電センサ81aの検知に対応して後方エアバッグ71a,72aの施療内容が変更される。図9(c)に示すように、光電センサ81c,81b,81aの全てが前腕部の存在(光量変化)を検知する場合は、肘掛部に配設した全てのエアバッグに給排気が実行されるが、リクライニング等によって前腕部の位置が図9(b)の状態になると、前方光電センサ81cが前腕部の存在(光量変化)を検知しないため、前方エアバッグ71c,72cに給排気を実行しないように制御され、同様に、図9(a)のように、前方光電センサ81c及び中間光電センサ81bが前腕部の存在(光量変化)を検知しないときは、中間エアバッグ71b,72b及び前方エアバッグ71c,72cには給排気を行わないように制御される。
【0066】
このように、肘掛部に挿入された前腕部の位置に対応するエアバッグにのみ給排気を行うことが可能であるため、無駄な給排気を行わずに済む。
【0067】
また、本実施例は、各下側エアバッグ72a,72b,72cの背凭れ部2側にセンサを配置した形態となっているが、これによりシート状のセンサよりも応答速度が速く、かつセンサと接触しない離れた位置の測定が可能な非接触センサを使用することが可能となる。前腕部施療用エアバッグと重合する位置(上下、左右狭圧する前腕部挟持機構の場合は左右)に非接触センサを備えようとすると、前腕部と接触する側に配置した場合、施療実行時にセンサに負荷がかかるとともに、被施療者に異物感を与えることとなり、前腕部と接触しない側に配置した場合、前腕部施療用エアバッグの存在が検知を妨げることとなる。
【0068】
なお、上記した光電センサの配置はあくまでも好適な実施態様であって、被施療者が前腕部を挿入する凹部の前腕部施療体が配置されていない内壁部に配置する場合や、肘掛部長手方向に並設した前腕部施療体の左右(左右狭圧する前腕部挟持機構の場合は上下)に配置するなど、検知手段として他の非接触式センサやシート状のセンサを用いる場合など、いずれも本発明の実施態様から排除するものではない。
【0069】
図10に照らして、本実施例の自動コースマッサージに即した制御について具体的に説明する。
【0070】
自動コースマッサージを構成するn番目の施療プログラムを認識し、n番目の施療プログラムを開始する準備を行う(ステップS1)。次いで、n番目の施療プログラムが「腕(前腕部施療用エアバッグ71、72による施療)」であるか否かを判定する(ステップS2)。「腕」であることを確認すると、各検知手段81が前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定する(ステップS3、31〜)。まず、後方光電センサ81aが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定する(ステップS31)。検知を確認すれば中間光電センサ81bが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップに進む一方、検知を確認できなければ後方エアバッグ71a,72aへの給気を停止した後(ステップS32)、中間光電センサ81bが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップに進む。中間非接触式センサ81bが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップでも(ステップS33)、検知を確認することができれば前方光電センサ81cが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップに進む一方、確認できなければ中間エアバッグ71b,72bへの給気を停止した後、前方光電センサ81cが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップに進む。前方光電センサ81cが前腕部の存在(光量変化)を検知したか否かを判定するステップでは(ステップS35)、検知を確認すればリターンしてステップ4に進む一方、確認できなければ前方エアバッグ71c,72cへの給気を停止し、リターンしてステップ4に進む。全ての検知手段が前腕部の存在(光量変化)を検知しなかった場合は、n番目の施療プログラムを飛ばして即終了させる(ステップS5a)。一方、ステップS31以降において、いずれかの検知手段が前腕部の存在(光量変化)を検知した場合は、n番目の施療プログラムは実行後に終了される(ステップS5b)。n番目の施療プログラムが終了した後は、判定対象となる施療プログラムをn+1番目に移行し(ステップS6)、上記と同様の判定を繰り返し、判定対象となる施療プログラムの番号がプログラムの設定数(自動コースマッサージを構成する施療プログラムの総数)を超えた場合に自動コースマッサージは終了する(ステップS7)。
【実施例4】
【0071】
実施形態4の肘掛部6は、検知内容に対応する制御内容を除いて実施例2と同様である。実施例2と異なる点は、検知手段8が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知した場合に、前腕部施療体70による施療動作を所定のプログラムと同期実行する点である。
【0072】
具体的には、まず、自動コースマッサージを構成するn番目の施療プログラムを認識し、n番目の施療プログラムを開始する準備を行う(ステップS1)。次いで、各検知手段が前腕部の存在(接触)を検知したか否かを判定する(ステップS2)。検知しない場合には、予定通りのプログラムを実行し(ステップS4)、検知した場合には、n番目のプログラムと前腕部施療プログラムを同期実行させる処理を行い(ステップS3)、次のステップ(S4)に移行する。n番目の施療プログラムが終了した後は、判定対象となる施療プログラムをn+1番目に移行し(ステップS5)、上記と同様の判定を繰り返し、判定対象となる施療プログラムの番号がプログラムの設定数(自動コースマッサージを構成する施療プログラムの総数)を超えた場合に自動コースマッサージは終了する(ステップS6)。
【0073】
なお、本実施形態は、実施例3においても用いることが可能であり、また図7もしくは図10と図11の制御内容を択一的に限定するものではない。
【0074】
以上の実施形態などにおいて実現される本発明により、被施療者の前腕部の存在に対応して、自動的に被施療者に最適な施療を提供することができるマッサージ機の提供が実現する。
【符号の説明】
【0075】
1 椅子式マッサージ機
10 空気給排気装置
11 カバー
2 背凭れ部
20 施療子機構
22 ガイドレール
23 エアバッグ
3 座部
30 エアバッグ
31 エアバッグ
4 足載部
40 エアバッグ
5 側壁部
50 エアバッグ
6 肘掛部
60 上方対向部
61 立壁部
62 底部
63 前腕載置部
7 前腕部挟持機構
70 前腕部施療体
8 検知手段
9 操作手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部とリクライニング可能な背凭れ部と座部両側に肘掛部を備えて椅子本体を形成し、
前記肘掛部は、挿入された被施療者の前腕部を挟持する前腕部挟持機構を備え、
該前腕部挟持機構は、被施療者の前腕部を施療する前腕部施療体と、
前腕部施療が可能な領域内で被施療者の前腕部の存在を検知する検知手段を備え、
該検知手段により、被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、前腕部施療体による施療内容を変更する制御を行うことを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記前腕部挟持機構は、複数の前腕部施療体を肘掛部の長手方向に並設して備え、
前記検知手段は、各前腕部施療体に対応する検知領域を有し、
該検知手段により、各検知領域において被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、対応する前腕部施療体を個別に制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記検知手段は、前記前腕部施療体と重合しない位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記検知手段が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知しない場合に、
前記前腕部施療体による施療プログラムを省略する制御の設定が可能なことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記検知手段が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知した場合に、
前記前腕部施療体による施療動作を所定のプログラムと同期実行する制御の設定が可能なことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項1】
座部とリクライニング可能な背凭れ部と座部両側に肘掛部を備えて椅子本体を形成し、
前記肘掛部は、挿入された被施療者の前腕部を挟持する前腕部挟持機構を備え、
該前腕部挟持機構は、被施療者の前腕部を施療する前腕部施療体と、
前腕部施療が可能な領域内で被施療者の前腕部の存在を検知する検知手段を備え、
該検知手段により、被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、前腕部施療体による施療内容を変更する制御を行うことを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記前腕部挟持機構は、複数の前腕部施療体を肘掛部の長手方向に並設して備え、
前記検知手段は、各前腕部施療体に対応する検知領域を有し、
該検知手段により、各検知領域において被施療者の前腕部の存在を検知したまたは検知しない場合に、対応する前腕部施療体を個別に制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記検知手段は、前記前腕部施療体と重合しない位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記検知手段が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知しない場合に、
前記前腕部施療体による施療プログラムを省略する制御の設定が可能なことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記検知手段が自動コース中に被施療者の前腕部の存在を検知した場合に、
前記前腕部施療体による施療動作を所定のプログラムと同期実行する制御の設定が可能なことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−166959(P2010−166959A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9891(P2009−9891)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】
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