説明

植物工場照明装置

【課題】 人工光照明システムと自然エネルギーを利用した太陽光照明システムとの併用により省エネルギー化を図ることができる植物工場照明装置を提供すること。
【解決手段】 植物工場Fの外部に配置され、太陽光の集光器11を備えた太陽光採光部1と;同じく前記植物工場Fの外部に配置され、人工光源21を備えた人工光採光部2と;石英系光ファイバが使用され、かつ、前記太陽光採光部1および人工光採光部2に配置された入射端部31で受光した光を配線先である植物工場Fの栽培室C内に導入可能な光伝送ライン3と;前記植物工場Fの栽培室C内の植物近傍に設けられ、前記光伝送ライン3の出射端部32が配置されて伝送された光を植物Pに照射可能な室内照明部4とを含んで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場照明装置の改良、詳しくは、自然エネルギーを利用した人工光・太陽光併用(ハイブリッド)方式の採用によって省エネルギー化を図ることができ、また、植物の生育に最適な光環境も実現可能で、しかも、空調費用の軽減も図れる植物工場照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、植物工場において採用されている照明システムは、蛍光灯やLED、HID、白熱電球などの人工光を利用するタイプと、自然エネルギーである太陽光を利用するタイプとに大きく分けることができ、多くの植物工場ではそれぞれのタイプの照明システムが単独で使用されている。
【0003】
しかしながら、前者の人工光を利用した照明システムを単独で採用する場合には、照明装置を24時間365日稼働し続けなければならないため、照明装置の電気代が嵩んで工場運営者のコスト負担が大きくなる。また、照明装置による電力の浪費は省エネルギーの観点からも好ましくない。
【0004】
しかも、照明装置を栽培室内の植物近傍に配置した場合には、照明装置の発熱により熱伝達や熱対流が生じて植物や室内雰囲気が暖められてしまうため、温度調節に必要な冷房等の空調費用も増大し易い。また、照明装置が栽培室内に分散配置されていると、光源の経年劣化の点検や部品の交換のために室内を歩き回らなければならないため、保守作業も大変になる。
【0005】
ところで、宇宙ステーションや閉鎖系実験においては、照明装置を透明なボックス体で覆うなど照明装置を熱的に隔離して、植物の栽培領域に照明装置の熱が伝わらないようにする方法も採用されているが、この方法では可視光と共に赤外線もボックス体を透過してしまうため輻射熱の影響を排除することはできない。また、各照明装置をボックス体で覆うとなると保守作業は更に面倒なものとなる。
【0006】
一方、後者の太陽光を利用した照明システムを単独で採用する場合には、太陽光からの採光量が天候や時間帯によって大きく変化するため、曇天雨天降雪などの悪天候時や夜間時には充分なエネルギー量の光が得られなくなって、その分だけ植物の生育に遅れが生じてしまう。
【0007】
また、開放された天井や透明な天井から直接的に太陽光を採り込む方式では、植物の生育に必要なエネルギー量を遙かに超えた光が入射するため、室内の床や壁などが太陽光によって温められて室内に大量の熱が発生し、この熱を外部に排出するために大型で高価な空調設備が必要となる。
【0008】
そこで、従来においては、昼間の晴天時には太陽光を利用し、夜間時や悪天候時など太陽光の採光が充分でないときにのみ人工光を利用して消費電力の節減を図る(照明装置の一日の稼働時間が約13〜24時間で13時間程度のときは太陽光の利用が大きくなり有利で、24時間のときは人工光の利用が大きくなる。)と共に、太陽光及び人工光の採光部を植物工場の外側に設けて、これらの採光部から栽培室内に光ファイバで光を引き込むことにより、栽培室内に余計な熱量を発生させずに間接的に照明を行えるようにした照明システムも提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
ところが、上記従来の照明システムでは、光伝送ファイバに融点の低いプラスチック製の光ファイバが使用されていたことから、レンズなどで集光した高エネルギーの太陽光を入射して伝送することが構造上極めて困難であるだけでなく、伝送時の光損失も大きかったため人工光源からの光供給が余計に必要になって消費電力の無駄が生じ易かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2−7003号公報(第2−6頁、第1−3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、人工光照明システムと自然エネルギーを利用した太陽光照明システムとの併用により省エネルギー化を図ることができ、また同時に、植物の生育に最適な光環境も実現可能で、しかも、空調設備の導入コスト及び運用コストの低減も図れる植物工場照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0013】
即ち、本発明は、外光の直接入射が遮断された栽培室Cを有する植物工場Fの照明装置であって、
前記植物工場Fの外部に配置され、太陽光の集光器11を備えた太陽光採光部1と;同じく前記植物工場Fの外部に配置され、人工光源21を備えた人工光採光部2と;石英系光ファイバが使用され、かつ、前記太陽光採光部1および人工光採光部2に配置された入射端部31で受光した光を配線先である植物工場Fの栽培室C内に導入可能な光伝送ライン3と;前記植物工場Fの栽培室C内の植物近傍に設けられ、前記光伝送ライン3の出射端部32が配置されて伝送された光を植物Pに照射可能な室内照明部4とを含んで構成し、
前記太陽光採光部1及び人工光採光部2で発生する熱を植物工場Fの外部に隔離して工場内の発生熱を抑制可能とした点に特徴がある。
【0014】
また本発明では、上記技術的手段に加えて、太陽光採光部1において集光器11と光伝送ライン3の入射端部31との間に分散素子を設置すると共に、前記光伝送ライン3の入射端部31の位置を調節可能なファイバ位置調節機構を設けて、前記分散素子を通過した入射光の分光スペクトルにおける任意波長域の可視光の光路上に入射端部31を配置できるようにするという技術的手段を採用することもできる。
【0015】
一方、本発明においては、上記技術的手段に代えて、太陽光採光部1において集光器11に一枚の放物面鏡11a、又は一乃至二枚の球面鏡11b・11bから成る縮小投影光学系を架台に支持したものを用いると共に、光伝送ライン3の入射端部31の位置を調節可能なファイバ位置調節機構を設けて、任意波長域の可視光の焦点位置に入射端部31を配置可能にするという技術的手段を採用することもできる。
【0016】
また本発明では、光伝送ライン3の入射端部31に、複数の光ファイバを纏めたファイバ束、或いは複数の光ファイバが融着接合された大径ファイバ、或いは内面或いは外面が鏡面の石英テーパ棒または管を使用することにより、太陽光採光部1の集光器11によって集光された高エネルギーの入射光を分岐された複数の光ファイバに分散して照射光の光量を調節できるようにするという技術的手段を採用することもできる。
【0017】
更にまた本発明では、室内照明部4の近傍に照射光の波長分布と光強度を検出できる光検出器5を設けることにより、赤外線の熱負荷を最小とする植物Pの生育に最適な波長分布及び光強度となるように照射光を調整可能にするという技術的手段を採用することもできる。
【0018】
また本発明では、太陽の運行位置を計算し予測してミラー部材の仰角及び方位角を粗く調整する太陽追尾機構を設けると共に、光検出器5からの出力が最大または最適となるように一つのミラー部材の位置角度を緻密に制御できるミラー位置調節機構を設けて、採光量の増減の微調節を効率良く行えるようにするという技術的手段を採用することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、人工光及び太陽光の採光部と栽培室の照明部とを光伝送ラインで繋いで構成したことにより、昼間の晴天時には自然エネルギーである太陽光を照明に利用できるため、その間人工光源の使用を控えることで照明にかかる消費電力を節減することが可能となる。
【0020】
一方、夜間時や悪天候時については、利用光源を太陽光から人工光に切り替えればよいため、植物の生育速度に遅れが生じることもない。ちなみに、人工光のエネルギー量を採光された太陽光のエネルギー量に合わせて適宜調節すれば植物の生育に最適な波長分布及び強度の光を常時供給することも可能となる。
【0021】
また、上記光伝送ラインには高融点で伝送損失の極めて小さい石英光ファイバを使用しているため、集光された太陽光によって熱損傷等が生じないことに加え損失が少ない石英ファイバであるので光エネルギーを効率的に照明に利用できる。
【0022】
そしてまた、上記人工光及び太陽光の採光部は、植物工場内と熱的に遮断できるように工場の外部に設置しているため、照明装置や太陽光の直接照射による余計な熱量が工場内に発生することはなく、これによって初期投資の大きい大型の空調設備が不要となる上に空調機器の稼働を減らして電気代の軽減も図れる。
【0023】
しかも、人工光の採光部を栽培室の外部に配置すれば、照明装置を一箇所に纏めて配置することも可能となるため、部品の点検や交換を行う保守作業も非常に効率的かつ迅速に行うことができる。
【0024】
したがって、本発明により、植物の生育に適した光環境を作出する機能性に優れるだけでなく、環境面では照明機器及び空調機器による電力消費を抑えて省エネルギー化を図ることができ、また工場運営者にとっては設備投資や施設維持費、人件費等のコスト削減が可能な植物工場照明装置を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1における植物工場照明装置を表わした全体配置図である。
【図2】本発明の実施例1における晴天時における照明装置の稼働状態を表わした状態説明図である。
【図3】本発明の実施例1における曇天時における照明装置の稼働状態を表わした状態説明図である。
【図4】本発明の実施例1における夜間時における照明装置の稼働状態を表わした全体配置図である。
【図5】本発明の実施例2における植物工場照明装置を表わした状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
『実施例1』
本発明の実施例1は、図1から図5に示される。同図において、符号1で指示するものは、太陽光採光部であり、符号2で指示するものは、人工光採光部である。符号3で指示するものは、光伝送ラインであり、符号4で指示するものは、室内照明部である。また、符号5で指示するものは、光検出器である。
【0027】
次に、実施例1の構成を以下から説明する。まず実施例1では、断熱性外壁で覆われた建物であり、外光を遮断可能な栽培室Cを内部に備えた植物工場Fの外部に、集光器11を備えた太陽光採光部1と人工光源21を備えた人工光採光部2を設けている(図1参照)。ちなみに実施例1では、太陽光採光部1を植物工場Fの屋上に配設し、人工光採光部2を植物工場Fに並設した施設内に配設することにより両者を植物工場Fから熱的に隔離している。
【0028】
そして、上記太陽光採光部1及び人工光採光部2には、光ファイバから成る光伝送ライン3の入射端部31・31…を配置すると共に、この光電送ライン3を植物工場Fの栽培室C内に配線し、出射端部32・32…を植物近傍に配置して室内照明部4を設けている。
【0029】
なお実施例1では、上記太陽光採光部1の集光器11に、微小焦点を結べる一枚の放物面鏡11aを使用し、また前記集光器11には、太陽の運行位置を予測して放物面鏡11aの仰角及び方位角を粗く調整できる太陽追尾機構を設けている。
【0030】
そして、上記太陽光採光部1には、光伝送ライン3の入射端部31の位置を上下方向に調節できるファイバ位置調節機構を設けることにより、入射端部31を太陽光の焦点位置に合わせて配置できるようにしている。
【0031】
一方、実施例1では、人工光採光部2の人工光源21に蛍光灯21aを使用し、この蛍光灯21aから放射される光を集光機構22によって光伝送ライン3の入射端部31に集めて低損失で室内照明部4に伝送可能である。
【0032】
また、光伝送ライン部3に関しては、光ファイバに可視域及び赤外域で最も光損失が小さく、かつ、太陽光の焦点部の温度である2000度程度まで融解しない石英光ファイバを使用している。なお、熱損失が大きく融点が低いプラスチック製光ファイバなどは、太陽光採光部1に使用することができない。
【0033】
そして実施例1では、太陽光採光部1に配置する光伝送ライン3の入射端部31を、複数の光ファイバを纏めたファイバ束として、集光器11によって集光された高エネルギーの入射光を所定本数に分岐させた各光ファイバに分散させることにより、太陽光の光エネルギーを照明に適した光量に調節可能としている。ちなみに、前記ファイバ束は、複数の光ファイバを融着接合した大径ファイバや内面或いは外面が鏡面の石英テーパ棒又は管であってもよい。
【0034】
また、光伝送ライン3については、人工光採光部2と室内照明部4・4…とを1対1に対応させて並列的に配線することも可能であり、また各太陽光採光部1・1…や人工光採光部2・2…から引き出した複数の光ファイバを入射側で結合器を用いて一本に統合した後、それを出射側で室内照明部4の数に合わせて分配器により再度分岐させる構造であってもよい。
【0035】
他方また、室内照明部4には、光伝送ライン3の出射端部32が配置されるが、照射中の出射端部32は虫眼鏡の焦点のように触れると非常に危険であるため、作業時における安全性を確保するために出射端部32の端面に保護カバー材41を設けている。ちなみに実施例1では、保護カバー材41に耐熱性と透光性を有するガラス板を使用している。
【0036】
また、安全対策としては、太陽光採光部1の集光器11付近も上記室内照明部4と同様に太陽光の焦点部が非常に危険な状態となるため人体各部が容易に近付けないように距離を離して金網を設けている。
【0037】
そして上記のように構成したことにより、図2に示すように、晴天時には太陽光採光部1からの入射光を光源として照明を行うことができ、また曇天時においても、図3に示すように太陽光採光部1の入射光を光源として利用しながら光量の不足分のみを人工採光部2から供給すればよいため、人工光源21の使用を抑えて省エネを図ることができる。
【0038】
一方、夜間時や悪天候時には、図4に示すように室内照明部4への光の供給を太陽光採光部1から人工光採光部2に切り替えて照明を行えばよいため、植物Pの生育に遅れが生じることもない。
【0039】
また、室内照明部4の近傍には光検出器5の検知部を配置して、照射光の光量および波長分布をモニタ可能としているため、太陽光採光部1から伝送された光の波長分布及び強度に合わせて人工光の光量を適宜調節すれば植物Pの生育に最適な光を常時供給することが可能である。
【0040】
また実施例1では、太陽光採光部1の集光器11に一つのミラー部材(本実施例では、放物面鏡11a)の位置角度を緻密に制御できるミラー位置調節機構を設けているため、上記光検出器5からの出力が最大または最適となるように採光量の微調節を効率良く行うことができる。
【0041】
そしてまた、太陽光採光部1や人工光採光部2については、植物工場Fの外部に設けたことによって工場内の発熱を抑えて空調費用を節減することができ、具体的に実験した結果、蛍光灯を栽培室C内に配置して植物Pに直接照射する場合と比較して、工場内で発生する熱量が90%程度減少して熱負荷が9%程度となり、空調費用を1/10程度に抑えることができた。
【0042】
また実施例1では、ファイバ位置調節機構によって入射端部31を任意の波長域の可視光の焦点位置に配置できるようにしているため、植物の生育に不必要な赤外線や紫外線を除去することができ、これらの波長域の光が照射されることによって栽培室C内に余計な熱が発生することも防止できる。
【0043】
他方また、人工光採光部2については、植物工場Fの外部に設けたことで人工光源21を有する照明装置を一箇所にかためて配置することが可能となるため、部品の点検等の保守作業も非常に容易となる。
【0044】
『実施例2』
次に実施例2について図5に基いて以下に説明する。実施例2では、太陽光採光部1の集光器1に大小二枚の球面鏡11b・11bから成る縮小投影光学系を使用すると共に、人工光採光部2の人工光源21にLED21b(発光ダイオード)を使用している(図5参照)。
【0045】
そして上記の構成で工場を稼働した結果、LED21bを栽培室C内に配置して直接照射する場合と比べて、植物工場F内の発生熱量を71%程度減らして熱負荷を29%程度に抑えることができた。
【0046】
また実施例2では、太陽光採光部1の縮小投影光学系と光伝送ライン3の入射端部31との間に分散素子(本実施例では、「プリズム」)を配置すると共に、ファイバ位置調節機構によって光伝送ライン3の入射端部31の位置を調節して、分散素子を通過した入射光の分光スペクトルにおける任意波長域の可視光の光路上に入射端部31を配置できるようにしている。
【0047】
これによって、赤外線や紫外線などの余計な波長域の光が入射しないようにすることができるだけでなく、個々の植物Pの生育に適した波長域の可視光を選択することも可能となる。
【0048】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、人工光採光部2に使用する人工光源21には、蛍光灯やLEDでなくとも、例えば、HID(放電電灯)やLD(レーザダイオード)、白熱電球などを使用することも可能である。
【0049】
また、太陽光採光部1の集光器11には、一枚の放物面鏡又は1〜2枚の球面鏡から成る縮小投影光学系を使用することもでき、また分散素子に関しても、プリズム以外の回折格子やグリズム等を使用することができ、上記何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
近年、「食」の問題が重要視されるようになったことにより、見た目や安全性に優れた野菜を季節や天候に左右されず狭い土地で効率良く大量生産できる植物工場の開発が進められている。一方、植物工場を実用化するためには導入・運営コストの低減および省エネルギー化の要請にも対応する必要がある。
【0051】
そのような中で、本発明の植物工場照明装置は、空調設備などの導入コストおよび照明や空調にかかる電気代や人件費などの運営コストを削減でき、同時に省エネルギー化も図れる有用な技術であるため、市場における需要は大きく、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0052】
1 太陽光採光部
11 集光器
11a 放物面鏡
11b 球面鏡
2 人工光採光部
21 人工光源
21a 蛍光灯
21b LED
22 集光機構
3 光伝送ライン
31 入射端部
32 出射端部
4 室内照明部
41 保護カバー材
5 光検出器
F 植物工場
C 栽培室
P 植物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外光の直接入射が遮断された栽培室Cを有する植物工場Fの照明装置であって、
前記植物工場Fの外部に配置され、太陽光の集光器11を備えた太陽光採光部1と;同じく前記植物工場Fの外部に配置され、人工光源21を備えた人工光採光部2と;石英系光ファイバが使用され、かつ、前記太陽光採光部1および人工光採光部2に配置された入射端部31で受光した光を配線先の前記植物工場Fの栽培室C内に導入可能な光伝送ライン3と;前記植物工場Fの栽培室C内の植物近傍に設けられ、前記光伝送ライン3の出射端部32が配置されて伝送された光を植物Pに照射可能な室内照明部4とを含んで構成され、
前記太陽光採光部1及び人工光採光部2で発生する熱を植物工場Fの外部に隔離して工場内の発生熱を抑制可能としたことを特徴とする植物工場照明装置。
【請求項2】
太陽光採光部1において集光器11と光伝送ライン3の入射端部31との間に分散素子を配置すると共に、前記光伝送ライン3の入射端部31の位置を調節可能なファイバ位置調節機構を設けて、前記分散素子を通過した入射光の分光スペクトルにおける任意波長域の可視光の光路上に入射端部31を配置可能としたことを特徴とする請求項1記載の植物工場照明装置。
【請求項3】
太陽光採光部1において集光器11に一枚の放物面鏡11a、又は一乃至二枚の球面鏡11b・11bから成る縮小投影光学系を架台に支持したものを用いると共に、光伝送ライン3の入射端部31の位置を調節可能なファイバ位置調節機構を設けて、任意波長域の可視光の焦点位置に入射端部31を配置可能としたことを特徴とする請求項1記載の植物工場照明装置。
【請求項4】
光伝送ライン3の入射端部31に、複数の光ファイバを纏めたファイバ束、或いは複数の光ファイバが一体化された大径ファイバ或いは内面或いは外面が鏡面の石英テーパ棒または管を使用することにより、太陽光採光部1或いは人工光採光部2で集光された高エネルギーの入射光を分岐された複数の光ファイバに分散して照射光の光量を調節可能としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の植物工場照明装置。
【請求項5】
室内照明部4の近傍に照射光の波長分布と光強度を検出できる光検出器5の検知部を配置することにより、赤外線の熱負荷を最小とする照射光が植物Pの生育に最適な波長分布及び光強度となるように調整可能としたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の植物工場照明装置。
【請求項6】
太陽光採光部1の集光器11において、太陽の運行位置を計算し予測してミラー部材の仰角及び方位角を粗く調整する太陽追尾機構を設けると共に、光検出器5からの出力が最大または最適となるように一つのミラー部材の位置角度を緻密に制御できるミラー位置調節機構を設けて、採光量の増減の微調節を効率良く行えるようにしたことを特徴とする請求項5記載の植物工場照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−216427(P2011−216427A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85680(P2010−85680)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(397022885)財団法人若狭湾エネルギー研究センター (36)
【Fターム(参考)】