説明

植物性蛋白質生成物及びその製造方法

【課題】飼料用植物性蛋白質生成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】植物性蛋白質原料を、枯草菌と納豆菌由来の酵素を用いて細胞壁を除去する単細胞分離技術によって処理して、植物性蛋白質細胞本体よりも小さな微粒になるようにする植物性蛋白質生成物の製造方法。該生成物は、動物摂取後の消化率又は食品加工の後続処理効率が高められ、動物性蛋白質生成物を代用して動物飼料の成分となり、食品加工業と機能性食品に広く応用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性たん白原料から蛋白質生成物を製造する方法であり、特に、単細胞分離技術を使って枯草菌又は納豆菌の特定部位が加水分解されて生産する系統により、蛋白質生成物を製造する工程を特徴とする方法である。
【背景技術】
【0002】
従来の飼料蛋白質を製造する方法は、発酵方法又は乾燥圧搾方法である。その発酵方法は、バッチ生産を使っていることであり、長い生産時間(8時間を超える)がかかるので、生成物の品質が不安定になる。その生成物にある粗タンパク質(crude protein)の含有量は、44〜50%であり、又、真の消化率(true digestibility)は90〜94%である。一部の生産者が粗タンパク質の割合を高めるため、蛋白質含有量が高い動物性蛋白質(例えば動物臓器)を生成物に加えることで、生成物が病原体に汚染されて腐敗されることを恐れる。もう一つの乾燥圧搾方法は、物理的に圧搾して連続的に生産することであり、毎時間に0.2トンを製造するため、生成物の品質がより安定になる。その生成物にある粗タンパク質の含有量は、42〜48%であり、又、真の消化率はただ85%である。乾燥圧搾方法は、加工するコストが高くて、生産過程の中でも抗栄養因子を排除することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明はこのような従来の技術にある欠点を解決するため、実験と研究を重ねた結果を通じて、ついに本発明の植物性蛋白質生成物及びその製造方法を提出する。本発明は、細胞破砕又は分離手段によって、枯草菌又は納豆菌による生成される蛋白質酵素を使って、蛋白質生成物を生成するものである。前記蛋白質生成物は、動物に食べられた後の消化率又は食品加工の後続処理效率が高められ、動物性蛋白質から生成される蛋白質生成物を代用して動物飼料の成分のようなものになれる。さらに、前記蛋白質生成は、食品加工業と機能性食品に手広く応用することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記目的を達成するために以下のように定義される。
【0005】
本発明は、植物性蛋白質から蛋白質生成物を製造する方法である。本発明に応用する植物性蛋白質は、酵母、緑藻又はスピルリナである單細胞の植物、大豆、黒豆、緑豆、ゴマ、米、粟、小麦、大麦、トウモロコシ、トウモロコシ蒸留粕(DDGS)、昆布、海苔又は裙蔕菜である多細胞の植物、及び大豆粕、菜種粕、棉種粕又はグルテンである。すべて植物は細胞壁を存在するものであり、細胞壁が栄養の消化率に影響する。故に、植物性蛋白質が破砕分離技術によって処理されて、細胞壁が破砕される又は除去されることで、栄養の消化率が高められる。細胞壁が破砕され及び分離される方法は、高圧均質化、研磨、ボールミル、粉体の高速衝突又はその他の細胞壁を除去できる方法であり、又は、セルラーゼ (Cellulase) を使って細胞壁が除去されることによって、植物性蛋白質分子がその原料細胞より小さくなれ、その大きさが100μm以下である。この時、植物性蛋白質の消化率は、90~95%まで上げることができる。
【0006】
植物性蛋白質原料の細胞壁がいったん除去されて、動物の消化液は細胞壁内の物質に対して加水分解の作用を行うことができる。本発明による生物化学の処理の過程は、蛋白質酵素を利用することで、小さい分子の植物性蛋白質が特定部位に加水分解される方式を通して分解し、小さい分子であるペプチド分子を得られる。ペプチド分子は、分子量は10KD以下であり、この時消化率は98~100%まで上げることができる。
【0007】
本発明は、順番に単細胞分離技術及び蛋白質酵素を使って加水分解する手段を通して、抗栄養因子を排除することができ、動物に食用された後消化率を増加するものである。本發明による抗栄養因子は、トリプシン阻害剤(Trypsin Inhibitor)、サポニン(Saponine)、フィチン酸(Phytic acid)又は赤血球凝集素(hemagglutinin)などの消化吸収を影響する因子である。又、植物性蛋白質質は原料として使うため、生成する蛋白質の加水分解生成物は、動物性蛋白質のような腐敗を生みやすい問題を起こさなく、異常な匂いがなく、且つ鮮度評価は零に接近する。本發明による鮮度の評価指標は、匂い、酸価(AV)、過酸化物価(POV)、揮発性塩基窒素(VBN)又はTAB値を含み、その中、酸価は脂肪鮮度の指標であり、揮発性塩基窒素とTAB値は蛋白質鮮度の指標である。鮮度評価の基準に関しては、低ければ低いほど良いとされている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、細胞破砕又は分離手段によって、枯草菌又は納豆菌による生成される蛋白質酵素を使って、蛋白質生成物を生成するものである。前記蛋白質生成物は、動物に食べられた後の消化率又は食品加工の後続処理效率が高められ、動物性蛋白質から生成される蛋白質生成物を代用して動物飼料の成分のようなものになれる。さらに、前記蛋白質生成は、食品加工業と機能性食品に手広く応用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例による蛋白質分子を製造する方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施例による蛋白質生成物を製造する方法の他の例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例による大豆蛋白質の細胞壁を単細胞分離技術(ZN-CBK)によってが破砕される前及び破砕された後の示す図である。
【図4】本発明の実施例による特定の菌株の図である。
【図5】本発明の実施例による各処理手段で生成する生成物の真の消化率と発酵豆粉の真の消化率を比較する結果図である。
【0010】
[表1]本発明の実施例によるFprotein-2とCNSによる魚粉との比較表である。
【0011】
[表2]本発明の実施例によるFprotein-2と一般の飼料蛋白質との比較表である。
【0012】
[表3]本発明の実施例によるFprotein-2の匂いとJAS規格による魚粉の鮮度に関する匂いとの比較表である。
【0013】
[表4]本発明の実施例による蛋白質の加水分解生成物と市販魚粉の鮮度評価との比較表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下のように、本発明を実施例に基づいて詳述するが、あくまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内での全ての変更を含んでいる。
【0015】
本發明による単細胞分離技術(ZN-CBK)は、植物細胞の細胞壁を除去する技術であり、以下のように詳述する。細胞壁を除去するプロセスは、単細胞分離技術の方法に属し、先ず植物性蛋白質原料に乾燥処理を行って、溶媒として水及びセルラーゼを加えて、その原料溶液のPH値を8〜9範囲に維持し、その後、均一的に原料溶液が揺れさせて、細胞壁を除去させる。蛋白質を微細化するプロセスも単細胞分離技術の方法に属し、物理的手段を通じて、高圧均質化、研磨、ボールミル、又は粉体の高速衝突によって細胞壁が破砕される。以上のような単細胞分離技術から一つのプロセスを選んで、細胞壁が破砕させて又は除去させて、更に細胞内の物質を露出して、特定の蛋白質酵素が分解作用を行って小分子のペプチドを生成する。
【0016】
図1を参照して下さい。図1は、本発明の蛋白質分子を製造する方法の一例を示すフローチャートである。手段S11:原料として大豆の植物性蛋白質を提供する。手段S12:單細胞分離技術(ZN-CBK)を使って、大豆の細胞壁を除去して得られる蛋白質分子を「Fprotein-1」と称す。
【0017】
図2を参照して下さい。図2は、本発明の蛋白質分子を製造する方法の一例を示すフローチャートである。手段S21:原料として大豆の植物性蛋白質を提供する。手段S22:單細胞分離技術(ZN-CBK)を使って、大豆の細胞壁を除去して得られる蛋白質分子を「Fprotein-1」と称す。手段S23:枯草菌又は納豆菌を発酵して生成する蛋白質酵素によってFprotein-1の特定部位に加水分解されてFprotein-2と呼んでいるペプチド分子になれる。
【0018】
大豆の真の消化率はおよそ80%である。図3を示すように、単細胞分離技術によって大豆の細胞壁が破砕されて又は除去されて、Fprotein-1の真の消化率が80%から90〜95%まで高められる。枯草菌又は図4を示すように納豆菌を発酵して生成する酵素によって大豆の蛋白質を加水分解されると、Fprotein-2の真の消化率が90〜95%に越えられて100%になれる。図5を示すように、手段S11〜S12及び手段S21〜S23で、各処理手段の真の消化率を比較する結果を示す。
【0019】
又、Fprotein-2の粗蛋白量は、CNS(Chinese National Standards)による一級魚粉に規定する粗蛋白量60%と二級魚粉に規定する粗蛋白量50%との間にある。Fprotein-2のの真の消化率は100%であるため、真の消化できる蛋白量が一級魚粉の粗蛋白量に越えられる。表1は、CNSによる魚粉とFprotein-2との比較表である。表2は、Fprotein-2と一般の飼料蛋白質との比較表である。
【表1】

【表2】

【0020】
栄養成分(蛋白質)を除き、鮮度は飼料蛋白質の等級を分ける際、最も重要な基準である。鮮度が悪ければ、家畜の感染病・消化不良などを来たす恐れがある。例え栄養価が高くても、鮮度が悪ければ、栄養価の吸収率が低下し、つまり、実際に利用できる栄養価も高くないといえる。ですから、良質な飼料蛋白質は、栄養価が高いだけでなく、鮮度も必要な条件である。鮮度の評価指標は、匂い、酸価(AV)、過酸化物価(POV)、TAB値又は揮発性塩基窒素(VBN)などで評価され、その内、酸価(AV)は脂肪鮮度の指標であり、揮発性塩基窒素とTAB値は蛋白質鮮度の指標である。すべての指標に関しては、低ければ低いほど良いとされている。本発明の原料はすべて植物性蛋白質であり、表3の如く、日本特等魚粉の鮮度の基準に則している。なお、表4の如く、動物性たんぱく質のような、易腐敗のような問題は存在せず、各項目の鮮度の評価及び総値は零に近づけば近づく程良い。
【表3】

【表4】

【0021】
以上説明した内容を通して、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、多様な変更及び修正が可能であることが分かる。従って、本発明の技術的な範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限らず、特許請求の範囲によって定めなければならない。
【符号の説明】
【0022】
ない

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性蛋白質原料を単細胞分離技術によって処理して、植物性蛋白質細胞本体よりも小さな微粒になるようにすることを特徴とする植物性蛋白質生成物の製造方法。
【請求項2】
前記単細胞分離技術は、酵素によって細胞壁を除去することを特徴とする請求項1に記載の植物性蛋白質生成物の製造方法。
【請求項3】
前記単細胞分離技術は、蛋白質を微細化する手段であり、その中に、高圧均質化、研磨、ボールミル、粉体の高速衝突からなる群より、一つの工程を選んで、細胞壁が破砕されることを特徴とする請求項1に記載の植物性蛋白質生成物の製造方法。
【請求項4】
前記単細胞分離技術によって生成する植物性蛋白質分子は、微粒の大きさは100μm以下であり、前記植物性蛋白質分子は更に、蛋白質酵素によって、特定部位が加水分解されて、ペプチド分子を生成し、前記ペプチド分子は、分子量は10KD以下であることを特徴とする請求項2と3の中でいずれか一つの項に記載の植物性蛋白質生成物の製造方法。
【請求項5】
前記蛋白質酵素は、枯草菌と納豆菌の中で、片方を選んで、発酵して生成するものであることを特徴とする請求項4に記載の植物性蛋白質生成物の製造方法。
【請求項6】
植物性蛋白質原料を単細胞分離技術によって処理して、更に蛋白質酵素を使って生成することを特徴とする植物性蛋白質生成物。
【請求項7】
前記植物性蛋白質原料は、マメ科植物、藻類、穀物及びほかの植物性原料からなる群より少なくとも一つ以上含むものであり、
前記マメ科植物は、大豆、黒豆、ゴマ、亜麻及び緑豆からなる群より少なくとも一つ以上含むものであり、
前記藻類は、昆布、海苔、裙蔕菜、緑藻及びスピルリナからなる群より少なくとも一つ以上含むものであり、
前記穀類は、米、粟、トウモロコシ、大麦、小麦及び燕麦からなる群より少なくとも一つ以上含むものであり、及び
前記ほかの植物性原料は、大豆粕、菜種粕、棉種粕及びグルテンからなる群より少なくとも一つ以上含むものであることを特徴とする請求項6に記載の植物性蛋白質生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−115196(P2010−115196A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258660(P2009−258660)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(509313119)人宇生物科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】