説明

植物有害生物を防除するためのサルメンチンおよびその類似体の使用

サルメンチンおよび/またはその類似体を使用する、植物有害生物、特に雑草、および/または植物の植物病原体を防除するための、方法および組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分としてサルメンチンおよびその類似体を使用する、植物有害生物、特に雑草、ならびに/あるいは植物病原性細菌、ウイルス、真菌、線虫、および昆虫などの植物病原体を防除するための、組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成除草剤の利用は、食料生産における経済的損失を防ぐだけでなく、作物製品の品質を向上させる(Gianessi,L.P.;Reigner,N.P.The value of herbicides in U.S.crop production、Weed Technol.2007、21、559〜566)。しかしながら、合成除草剤の使用は、多くの雑草種中の耐性の増加ももたらす(Whaley,C.M.;Wilson,H.P.;Westwood,J.H.A new mutation in plant ALS confers resistance to five classes of ALS−inhibiting herbicides、Weed Sci.2007、55、83〜90。)ことを除いては、環境およびヒトの健康に副作用を引き起こし得る(Solomon,G.M.;およびSchettler,T.Environment and health:6.Endocrine disruption and potential human health implications、CMAJ、2000、163、1471〜1476;Stillerman,K.P.;Mattison,D.R.;Giudice,L.C.;Woodruff,T.J.Environmental exposures and adverse pregnancy outcomes:A review of the science.Reproductive Sci.2008、15、631〜650。)。そのため、生態系に優しく、対費用効果の高い、生物的に有効な雑草管理の代替手段を開発することが極めて必要である(Duke,S.O.;Dayan,F.E.;Rimando,A.M.;Schrader,K.K.;Aliotta,G.;Oliva,A.;Romagni,J.G.Chemicals from nature for weed management.Weed Sci.2002、50、138〜151)。
【0003】
天然の植物性化学物質の使用は、これらの代替手段の1つである(Batish,D.R.;Setia,N.;Singh,H.P.;Kohli,R.K.Phytotoxicity of lemon−scented eucalypt oil and its potential use as a bioherbicide、Crop Protection、2004、23、1209〜1214)。アレロパシー特性のために、これらの化学物質の多くを空気中または土壌中のいずれかに放出させると、隣接する雑草を死滅させる、あるいはその発芽および/または成長を阻害する。これらの植物毒性化学物質としては、フェノール化合物(例えば、カテキン、エラグ酸、ソルゴレオン、ジュグロン、セラチオリン、ウスニン酸)、テルペノイド(例えば、1,8−シネオール、ゲラニアール、ネラール、シンメチリン、ソルスチチオリド)、クアシノイド(例えば、アイラントン、チャパリン、アイランチノールB)、ベンゾキサジノイド(例えば、ヒドロキサム酸)、グルコイノレート(glucoinolates)(例えば、グルコヒルスチン、ヒルスチン、アラビン)、およびメタチロシンなどのいくつかのアミノ酸が挙げられる(Macias,F.A.;Molinillo,J.M.G.;Varela,R.M.;Galindo,J.C.J.Allelopathy−a natural alternative for weed control.Pest Manag Sci.、2007、63、327〜348;Bertin,C.;Weston,L.A.;Huang,T.;Jander,G.;Owens,T.;Meinwald,J.;Schroeder,F.C.Grass roots chemistry:meta―Tyrosine,an herbicidal nonprotein amino acids.PNAS、2007、104、16964〜16969)。市販の除草剤としては、チョウジ油、レモングラス油、およびd−リモネンに基づく製品が挙げられる。
【0004】
コショウ属
コショウ科のコショウ属は、主に熱帯地域で見られる約2000種を含む。この属の植物は、通常、多年生木質根を有する細長い芳香性のつる植物である。インドでは「pippali」および中国では「Bi Bo」として一般的に知られている果実は、香辛料として、およびピクルス中の保存料としても使用されている。これらは、家畜飼料としても使用されている。
【0005】
伝統的な薬用治療では、P.longum果実は、淋病、月経痛、結核、睡眠の問題、気道感染症、慢性的な腸の痛み、および関節炎状態などの疾患の治療で有益であると提唱されてきた(Krishnamurthi,A.1969.The Wealth of India Raw Materials、第8巻。CSIR、ニューデリー、インド、96頁;Ghoshal,S.;Prasad,B.N.K.;Lakshmi,V.Antiamoebic activity of Piper longum fruits against Entamoeba histolytica in vitro and in vivo、J.Ethanopharmacol.1996、50、167〜170;Choi,E.M.;Hwang,J.K.Investigations of anti−inflammatory and antinociceptive activities of Piper cubeba,Physalis angulata and Rosa hybrid、J.Ethanopharmacol.2003、89、171〜175、Mata,R.;Morales,I.;Perez,O.;Rivero−Cruz,I.;Acevedo,L.;Enriquez−Mendoza,I.;Bye,R.;Franzblau,S.;Timmermann,B.Antimycobacterial compounds from Piper sanctum、J.Nat.Prod.2004、67、1961〜1968)。他に報告されたP.longumの有益な効果としては、鎮痛および利尿効果、筋張力の弛緩、ならびに不安の軽減が挙げられる(Vedhanayaki,G.;Shastri,G.V.;Kuruvilla,A.Analgestic activity of Piper longum Linn.Root、Ind.J.Exp.Biol.2003、41、649〜651;Das、Biswanath,D.;Kashinatham,A.;Srinivas,K.V.N.S.Alkamides and other constituents of Piper longum、Planta Med、1996、62、582)。さらに、P.longumからのピペルノナリンは、カの殺幼虫活性を有することが分かった(Yang,Y.C.;Lee,S.G.;Lee,H.K.;Kim,M.K.;Lee,S.H.;Lee,H.S.A piperidine amide extracted from Piper longum L.fruit shows activity against Aedes aegypti Mosquito Larvae、J.Agric.Food.Chem.、2002、50、3765〜3767)。
【0006】
2個以上の二重結合を有するC18アルケニレンを含むアルケニレンピペリジンアミドであるアルカノイドがPiper nigrum(コショウ)から単離された。この化合物は、マイコトキシン生合成を阻害することが分かった(米国特許第6825216号)。
【0007】
サルメンチン
N−(2E,4E−デカジエノイル)ピロリジン(サルメンチンとも呼ばれる)は、最初に、1987年にPiper sarmentosumの果実から[Likhitwitayawuid,K.、Ruangrungsi,N、Lange,GおよびDecicco,C.、Structural Elucidation and Synthesis of New Components isolated from Piper Samentosum、Tetrahedron 1987(43)3689〜3694]、1988年にPiper nigrumからも[Kiuchi,F.、Nakamura,N.、Tsuda,Y.、Kondo,K.およびYoshimura,H.Studies on Crude Drugs Effective on Visceral Larva Migrans.IV.Isolation and Identification of Larvicidal Principles in Pepper Chemical and Pharmaceutical Bulletin 1988(36):2452]分離され、1995年に最初に合成された[Bernabeu,M.、Chinchilla,R.およびNajera,C.、(2E,4E)−5−Tosyl−2,4−pentadienamides:New Dienic Sulfones for the Stereoselective Synthesis of (2E,4E)−Dienamide、Tetrahedron Letter、1995(36)3901〜3904]。サルメンチンは、光老化した皮膚を保護するインビボ皮膚抗酸化物質であり[Cornacchione,S.;Sadick,N.S;Neveu,M.;Talbourdet,S.;Lazou,K.;Viron,C.;Renimel,I.;de Queral,D.;Kurfurst,R.;Schnebert,S.;Heusele,C.;Andre,P.;Perrier E.In vivo skin antioxidant effect of a new combination based on a specific Vitis vinifera shoots extract and a biotechnological extract.J.Drugs in Dermatol.2007、6S、8〜13]、抗血小板凝集活性[Li,C.Y.;Tsai,W.;Damu,A.G.;Lee,E.J.;Wu,T.S.;Dung.N.X.;Thang,T.D.;Thanh,L.Isolation and identification of antiplatelet aggregatory principles from the leaves of Piper lolot、J.Agric.Food Chem.2007、55、9436〜9442]、抗マラリア原虫および抗マイコバクテリア活性[Tuntiwachwuttikul,P.;Phansa,P.;Pootaeng−on,Y.;Taylor,W.C.Chemical constituents of the roots of Piper Sarmentosum、Chem.Pharm.Bull.2006、54、149〜151]および抗結核活性[Rukachaisiriku,T.;Siriwattanakit,P.;Sukcharoenphol,K.;Wongvein,C.;Ruttanaweang,P.;Wongwattanavuch,P.;Suksamrarn,A.:Chemical constituents and bioactivity of Piper sarmentosum、J.Ethnopharmacol.、2004、93、173〜176]を示すことが分かった。サルメンチンは、化粧品および医薬品において疎水性化合物の可溶化剤として使用されている(Stephen,T.;Andrew,H.Compositions comprising macromolecular assembles of lipid surfactant、PCT公開番号第WO/2008/065451)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、植物有害生物、特に植物病原性細菌、真菌、昆虫、線虫などの植物の植物病原体に対して使用するための、ならびに/あるいは雑草に対する発芽前および発芽後処理除草剤として使用するための、サルメンチンおよび/またはその類似体を含む組成物、ならびに殺有害生物剤(植物病原性組成物または除草剤組成物)などの製剤化におけるサルメンチンおよび/またはその類似体の使用に関する。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法で使用することができるサルメンチン類似体は、サルメンチンと実質的に同じ活性を有する。本明細書で定義する「サルメンチンと実質的に同じ活性」とは、サルメンチンの植物病原活性および/または除草活性の少なくとも約80%、好ましくはサルメンチンの植物病原活性および/または除草活性の少なくとも約90%、さらにより好ましくはサルメンチンの植物病原活性および/または除草活性の少なくとも約95%を有することを意味する。
【0009】
サルメンチン類似体としては、それだけに限定されないが、N−(デカノイル)ピロリジン、N−(デセノイル)ピロリジン、N−(デカノイル)ピペリジン、N−(トランス−シンナモイル)ピロリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ピロリジン、N−(デセノイル)ピペリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ピペリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ヘキサメチレンイミン、N−(デセノイル)ヘキサメチレンイミン、N−(デカノイル)ヘキサメチレンイミン、デカン酸、2E−デセン酸が挙げられる。
【0010】
特定の実施形態では、本発明は、構造:
【化1】

(式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、またはN,N−置換基であり、R鎖の長さは、4〜20個の原子であってよく、好ましい長さは6〜12個の原子であり;
式中、RおよびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロアリールである、またはR+R+Nは、3〜18個の原子、好ましくは5〜8個の原子からなるN含有複素環もしくはヘテロアリール環であってよい)
を有する、単離したサルメンチン類似体に関する。
【0011】
さらに特定の実施形態では、単離したサルメンチン類似体としては、それだけに限定されないが、(2E,4Z−デカジエノイル)ピロリジン;(2E,4Z−デカジエノイル)ヘキサメチレンイミン、およびN−(デセノイル)ヘキサメチレンイミンが挙げられる。
【0012】
本発明の組成物は、1つもしくは複数の他の除草剤または植物病原性調節剤をさらに含んでもよい。本発明はまた、発芽前もしくは発芽後処理除草剤として、および/または抗植物病原性剤として使用するための組成物を調製するための、1つもしくは複数のサルメンチンおよび/またはその類似体の使用に関する。
【0013】
特定の実施形態では、本発明は、植物および/またはその種子および/または前記植物を栽培するために使用する基質に、植物病原性感染症を調節するのに有効な一定量のサルメンチンおよび/またはその類似体を施用するステップを含む、植物の植物病原性感染症を調節する方法に関する。特定の実施形態における前記植物を栽培するための基質としては、それだけに限定されないが、土壌、人工栽培基質、水、または堆積物が挙げられる。
【0014】
別の特定の実施形態では、本発明は、雑草および/または基質に、基質中の単子葉または双子葉雑草の発芽を調節するのに有効な一定量のサルメンチンおよび/またはその類似体を施用するステップを含む、基質中の単子葉または双子葉雑草の発芽を調節する方法に関する。基質としては、それだけに限定されないが、土壌、人工栽培基質(例えば、イネ栽培システム)、水、または堆積物が挙げられる。サルメンチンおよび/またはその類似体は、前記雑草の発芽前に基質に施用する。あるいは、サルメンチンおよび/またはその類似体は、前記雑草の発芽後に、基質および/または雑草に施用してもよい。
【0015】
雑草は、広葉雑草および/またはイネ科雑草であり得る。特定の実施形態では、雑草は、イネ栽培システム中にあり、雑草はイネ雑草である。
【0016】
特定の実施形態では、サルメンチンおよび/またはその類似体を、約0.005mg/ml〜約20mg/mlの量で施用する。さらに特定の実施形態では、サルメンチンおよび/またはその類似体を、約0.01〜約15mg/mlの量で施用する。なおさらに特定の実施形態では、サルメンチンおよび/またはその類似体を、約0.1〜約10mg/mlの量で施用する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
値の範囲が提示されている場合、文脈上明確な指示がない限り、下限の単位の10分の1まで、該範囲の上限と下限との間の、それぞれ介在する値および規定された範囲にある他の任意の規定値または介在する値は本発明に包含されると理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれ、これはまた本発明に包含され、規定範囲において特に境界値を除外する場合はそのようにされる。規定範囲が一方または両方の境界値を含む場合、この含まれている境界値のいずれかまたは両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0018】
特に定義しない場合、本明細書で使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者により一般的に理解されるものと同様の意味を有する。本明細書に記載の方法および物質と類似または相当するものもまた、本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および物質をここでは記載している。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するように、「a」、「an」および「the」といった単数形は、文脈上明確な指示がない限り、複数対象を含むことに留意すべきである。
【0020】
本明細書で使用する「調節する」という用語は、植物病原性感染症の量または植物病原性感染症の伝播する速度を変化させることを意味するために使用する。
【0021】
サルメンチンおよびその類似体
本発明の方法で使用するサルメンチンおよび/またはその類似体は、以下の構造:
【化2】

(式中、Xは、それだけに限定されないが、硫黄、リン、ホウ素、または炭素を含み;Yは、それだけに限定されないが、炭素、酸素、窒素、硫黄、ホウ素、またはリンを含み;Rは、それだけに限定されないが、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールを含み;Rは、それだけに限定されないが、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールを含み;Rは、それだけに限定されないが、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールを含み;式中、R+R+Yは、4〜50個の原子を含む環またはヘテロシクリル環であってよい)を有してよい。これらの各々は、任意で置換される。
【0022】
本明細書で使用する「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖であり得る飽和炭化水素基(例えば、エチル、イソプロピル、t−アミル、または2,5−ジメチルヘキシル等)を指す。この定義は、この用語を単独で使用する場合および複合用語の一部として使用する場合の両方に適用する。
【0023】
「シクロアルキル」および「シクロアルケニル」という用語は、飽和炭化水素環を指し、二環式および多環式環を含む。同様に、炭素環原子の代わりにヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を有するシクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、それぞれ、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクリル」、および「ヘテロシクロアルキレン」と呼ばれ得る。
【0024】
本明細書で使用する「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の二重結合である不飽和部位を含む、上記アルキル基を指す。同様に、本明細書で使用する「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の三重結合である不飽和部位を含む、上記アルキル基を指す。
【0025】
「アルコキシ」という用語は、別の炭化水素基に共有結合することができる酸素置換基も有する、上記アルキル基(例えば、メトキシ、エトキシ、アリールオキシ、およびt−ブトキシなど)を指す。
【0026】
「アリール」という用語は、共に縮合している、共有結合している、またはエチレンもしくはメチレン部分などの共通基に結合している、単一環または複数環であり得る芳香族炭素環置換基を指す。同様に、炭素環原子の代わりにヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を有するアリール基は、「ヘテロアリール」と呼ばれる。
【0027】
「アリールアルキル」、「アリールアルケニル」、および「アリールオキシアルキル」という用語は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、またはアルキル基に結合している酸素原子に直接結合しているアリール基を指す。簡潔にするために、上記組み合わせた用語の一部としてのアリールは、ヘテロアリールも含むことになっている。
【0028】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、特に明示しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことになっている。
【0029】
「ヘテロ原子含有アルキル基」(すなわち、「ヘテロアルキル基」)または「ヘテロ原子含有アリール基」(すなわち、「ヘテロアリール基」)中で使用する「ヘテロ」という用語は、1つまたは複数の炭素原子が、炭素以外の原子、例えば、窒素、酸素、硫黄、リン、もしくはケイ素で置換されている分子、結合、または置換基を指す。
【0030】
1つの特定の実施形態では、サルメンチン類似体は、以下の構造:
【化3】

(式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、またはN,N−置換基である)を有する。具体的な実施形態では、Rは、4〜20個の原子、好ましくは6〜12個の原子を含むアルキルまたはアルケニル部分である。より具体的な実施形態では、Rは、C5〜15アルキルまたはC5〜15アルケニル基である。さらにより具体的な実施形態では、Rは、C6〜12アルキルまたはC6〜12アルケニル基である。可能なアルケニルとしては、それだけに限定されないが、直鎖アルケニル脂肪酸、分枝鎖アルケニル脂肪酸、シクロアルケニル置換脂肪酸(例えば、シクロヘキセニルプロパン酸、シクロヘキセニルブタン酸、シクロヘキセニルペンタン酸等)、ヘテロシクロアルケニル(例えば、4−[1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル]ブタン酸)が挙げられる。
【0031】
別の特定の実施形態では、サルメンチン類似体は、以下の構造:
【化4】

(式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、またはN,N−置換基であり、R鎖の長さは、4〜20個の原子であってよく、好ましい長さは6〜12個の原子である。
式中、RおよびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールである;あるいはR+R+Nは、N含有複素環部分であってよい)を有する。
【0032】
当業者は、雑草または植物病原体管理のための任意のサルメンチン誘導体含有物質が含まれることを認識するだろう。これらの物質中のサルメンチン誘導体は、天然および/または合成されたものであってよい。
【0033】
ある実施形態では、天然のサルメンチン誘導体は、植物、真菌、細菌、および土壌から得ることができる。特定の実施形態では、本発明の方法で使用するサルメンチンおよびその類似体は、任意のコショウ属の種の果実、葉、茎、および根から得ることができる。さらに特定の実施形態では、サルメンチン誘導体を含み得るコショウ属の種の非限定的例としては、それだけに限定されないが、例えば以下の種が挙げられる。Piper aborescens、P.acutisleginum、P.aduncum、P.amalago、P.argyrophylum、P.attenuatum、P.auranticaum、P.austrosinense T.、P.arboricola C.DC.、P.banksii、P.bartlingianum、P.betle L.、P.boehmeriifolium var.tonkinense C.DC.、P.brachystachyum、P.callosum、P.chaba、P.chiadoense、P.cubeba L.、P.damiaoshaneense、P.demeraranum、P.falconeri、P.futokadsura、P.guayranum、P.guineense、F.B.ForbesおよびHemsl.のP.hainanense Hemsl.、P.hamiltonii、P.hancei Maxim.、P.khasiana、P.kadsura(Choisy)Ohwi、P.laetispicum C.DC.、P.longum L.、P.longum var.(「丸いピーパル」)、P.macropodum、P.manii、P.martinii C.DC.、P.methysticum、P.nepalense、P.novae hollandiae、P.nigrum L.、P.nudibaccatum Y.C.Tseng、P.officinarum、P.peepuloides、P.pedicellosum、P.ponesheense C.DC.、P.puberulilimbum C.DC.、P.puberulum(Benth.)Maxim.、P.pubicatulum C.DC.、P.ridleyi、P.rugosum、P.retrofractum Vahl、P.ribesioides、P.sanctum、P.sarmentosum R.、P.schmidtii、P.semiimmersum C.DC.、P.sintenense、P.spirei C.DC.、P.syvaticum、P.thomsoni、P.verruscosum、P.trichostachyon、P.wallichii(Miq.)、P.wightii[Parma,V.、Jain,S.、Bisht,K.、Jain,R.、Poonam,T.、Jha,A.、Tyagi,O.、Prasad,A.、Wengel,J.、Olsen,C.およびBoll.,P.、Phytochemistry of the Genus Piper、Phytochem.1997(46)597〜673;Parma,V.、Jain,S.、Gupta,S.、Talwar,S.、Rajwanshi,V.、Kumar,R.、Azim,A.、Malhotra,S.、Kumar,N.、Jain,R.、Sharma,N.、Tyagi,O.、Lawrie,S.、Errington,W.、Howarth,O.、Olsen,C.、Singh,S.、およびWengel,J.、Polyphenols and Alkaloids from Piper Species Phytochem.1998(49)1069〜1078]。サルメンチン誘導体はまた、放線菌などの微生物から得ることもできる[Cho,J.、Williams,P.、Kwon,H.、Jensen,P.、およびFenical,W.、Lucentamycins A−D,Cytotoxic Peptides from the Marine−Derived Actinomycete Nocardiopsis lucentensis、J.Nat.Prod.、2007(70)1321〜1328;Askolar,R.、Jensen,P.、Kauffman,C.、およびFenical,W.、Daryamides A−C,Weakly Cytotoxic Polyketides form a Marine−Derived Actinomycete of the Genus Streptomyces Strain CNQ−085、J.Nat.Prod.、2006(69)、1756〜1759]。
【0034】
サルメンチン誘導体は、以下の実施例で明らかにされる手順を使用して、または当技術分野で既知の手順を使用して、Piper longumから、任意の物理的および化学的手段で、抽出および精製することができる[例えば、Likhitwitayawuid,K.、Ruangrungsi,N、Lange,GおよびDecicco,C.、Structural Elucidation and Synthesis of New Components isolated from Piper Samentosum Tetrahedron 1987(43)3689〜3694ならびにKiuchi,F.、Nakamura,N.、Tsuda,Y.、Kondo,KおよびYoshimura,H.Studies on Crude Drugs Effective on Visceral Larva Migrans.IV.Isolation and Identification of Larvicidal Principles in Pepper Chemical and Pharmaceutical Bulletin 1988(36):2452参照]。サルメンチン誘導体はまた、例えば、[Bernabeu,M.、Chinchilla,R.およびNajera,C.、(2E,4E)−5−Tosyl−2,4−pentadienamides:New Dienic Sulfones for the Stereoselective Synthesis of (2E,4E)−Dienamides、Tetrahedron Letter、1995(36)3901−]で明らかにされる方法を使用して、化学的に合成することもできる。特定の実施形態では、Piper longum試料を、アルキルアルコール、好ましくはメタノールによる抽出に供する。その後、サルメンチンを、例えば、カラムクロマトグラフィー、より具体的にはHPLCにより抽出物から単離し、サルメンチンを含む分画を、例えば、生物学的検定により同定する。
【0035】
特定の実施形態では、使用する化合物は、N−(2E,4E−デカジエノイル)ピロリジンとしても知られている、サルメンチンであり得る。天然のサルメンチンは、植物抽出で存在しても、精製した形で存在してもよい。サルメンチン類似体はまた、N−(デカノイル)ピロリジン、N−(デセノイル)ピロリジン、N−(デカノイル)ピペリジン、N−(トランス−シンナモイル)ピロリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ピロリジン、N−(デセノイル)ピペリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ピペリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ヘキサメチレンイミン、N−(デセノイル)ヘキサメチレンイミン、N−(デカノイル)ヘキサメチレンイミン、デカン酸、または2E−デセン酸であってもよい。
【0036】
製剤
サルメンチンおよび/またはサルメンチン類似体含有除草剤組成物(あるいは、「製剤」とも呼ばれる)は、任意の形に製剤化することができる。非限定的な製剤の例としては、乳剤(EC)、水和剤(WP)、液剤(SL)、エアロゾル、超微量散布剤(ULV)、水溶剤(SP)、マイクロカプセル剤、顆粒水和剤、フロアブル剤(FL)、マイクロエマルジョン剤(ME)、ナノエマルジョン剤(NE)等が挙げられる。本明細書に記載の任意の製剤中、サルメンチンおよび/またはその類似体のパーセントは、0.01%〜99.99%の範囲内である。特定の実施形態では、製剤は、界面活性剤を含まなくてもよい。
【0037】
本発明の組成物は、担体および/または賦形剤をさらに含んでもよい。本明細書で使用する「担体」という用語は、不活性な有機または無機物質を意味し、これを用いて、土壌、種子、植物、または他の処理対象へのその施用、あるいはその保管、輸送、および/または取り扱いを容易にするために有効成分を混合または製剤化する。栽培基質に施用する場合に使用する担体ビヒクルの例としては、それだけに限定されないが、活性炭、コーングルテンミール、大豆粕、バーミキュライト、ベントナイト、カオリナイト、コムギ胚芽、アーモンド殻、綿実粕、フーラー土、オレンジ果肉、籾殻、おがくず、アラビアゴム等が挙げられる。所望であれば、シナモン、チョウジ、タイム(有効成分としてオイゲノール)、ウインターグリーン、大豆メチルエステル、シトロネラソウ、および松根油、柑橘油(有効成分としてl−リモネン)などの植物精油が顆粒中に含まれてよい。上述のように、単独または担体ビヒクルの存在下の有効成分は、例えば、水、またはエタノール、ギ酸もしくはエタノールなどの有機溶媒中に溶解され得る。
【0038】
さらなる実施形態では、サルメンチンおよびその類似体自体は、2個の共役した二重結合のために容易に酸化される。このことは、サルメンチンが、光老化した皮膚のためのインビボ抗酸化物質となり得るという事実から証明される11[Cornacchione,S.;Sadick,N.S;Neveu,M.;Talbourdet,S.;Lazou,K.;Viron,C.;Renimel,I.;de Queral,D.;Kurfurst,R.;Schnebert,S.;Heusele,C.;Andre,P.;Perrier E.、In vivo skin antioxidant effect of a new combination based on a specific Vitis vinifera shoot extract and a biotechnological extract、J.drugs in Dermatol.2007(6 suppl)S8〜13]。そのため、任意の抗酸化物質をサルメンチンおよび/またはその類似体含有製剤に添加して、植物毒性活性を高めるおよび/または伸ばすことができる。抗酸化物質の非限定的例としては、α−トコフェロール、β−カロテン、アスコルビン酸、酸化亜鉛、酸化チタン、Gynostemma pentaphyllum抽出物、Vaccinium angustifolium(ブルーベリー)果実抽出物、Pinus strobus樹皮抽出物、ラポンチシン、プランクトン抽出物、Monostroma種抽出物、藻類抽出物、ベヌセアン、ロスマリン酸、および他の任意の植物抽出物もしくは抗酸化物質が挙げられる。
【0039】
本発明の方法においてサルメンチンおよび/またはその類似体により防除される植物病原体の例としては、それだけに限定されないが、植物ウイルス、植物病原性真菌もしくは細菌、昆虫、または線虫が挙げられる。具体的な実施形態では、ウイルスとしては、それだけに限定されないが、TMV、タバコまたはキュウリモザイクウイルス、リングスポットウイルス、壊死ウイルス、トウモロコシ萎縮モザイクウイルスが挙げられる。植物病原性真菌としては、それだけに限定されないが、フザリウム(Fusarium)属の種、ボトリチス(Botrytis)属の種、Monilinia属の種、コレトトリカム(Colletotrishum)属の種、ベルチシリウム(Verticillium)属の種;Microphomina属の種、およびフィトフトラ(Phytophtora)属の種、ケカビ(Mucor)属の種、リゾクトニア(Rhizoctonia)属の種、ゲオトリカム(Geotrichum)属の種、フォーマ(Phoma)属の種、およびアオカビ(Penicillium)属の種が挙げられる。植物病原性細菌としては、それだけに限定されないが、バチルス(Bacillus)属の種またはザントモナス(Xanthomonas)属の種が挙げられる。
【0040】
本発明の方法を使用して防除することができる線虫としては、それだけに限定されないが、シストセンチュウ(Heterodera)属およびGlobodera属の種;特にGlobodera rostochiensisおよびG.pailida(ジャガイモシストセンチュウ);Heterodera glycines(ダイズシストセンチュウ);H.schachtii(テンサイシストセンチュウ);ならびにH.avenae(穀物シストセンチュウ)を含む、ネコブセンチュウ、シストセンチュウ、およびネグサレセンチュウなどの寄生線虫が挙げられる。
【0041】
本発明の方法により防除される植物病原性昆虫としては、それだけに限定されないが、(a)鱗翅目、例えば、Acleris属の種、Adoxophyes属の種、Aegeria属の種、Agrotis属の種、Alabama argillaceae、Amylois属の種、Anticarsia gemmatalis、Archips属の種、Argyrotaenia属の種、Autographa属の種、Busseola fusca、Cadra cautella、Carposina nipponensis、Chilo属の種、Choristoneura属の種、Clysia ambiguella、Cnaphalocrocis属の種、Cnephasia属の種、Cochylis属の種、Coleophora属の種、Crocidolomia binotalis、Cryptophlebia leucotreta、Cydia属の種、Diatraea属の種、Diparopsis castanea、Earias属の種、Ephestia属の種、Eucosma属の種、Eupoecilia ambiguella、Euproctis属の種、Euxoa属の種、Grapholita属の種、Hedya nubiferana、Heliothis属の種、Hellula undalis、Hyphantria cunea、Keiferia lycopersicella、Leucoptera scitella、Lithocollethis属の種、Lobesia botrana、Lymantria属の種、Lyonetia属の種、Malacosoma属の種、Mamestra brassicae、Manduca sexta、Operophtera属の種、Ostrinia nubilalis、Pammene属の種、Pandemis属の種、Panolis flammea、Pectinophora gossypiella、Phthorimaea operculella、Pieris rapae、Pieris属の種、Plutella xylostella、Prays属の種、Scirpophaga属の種、Sesamia属の種、Sparganothis属の種、Spodoptera属の種、Synanthedon属の種、Thaumetopoea属の種、Tortrix属の種、Trichoplusia ni、およびYponomeuta属の種;(b)鞘翅目、例えば、Agriotes属の種、Anthonomus属の種、Atomaria linearis、Chaetocnema tibialis、Cosmopolites属の種、Curculio属の種、Dermestes属の種、Diabrotica属の種、Epilachna属の種、Eremnus属の種、Leptinotarsa decemlineata、Lissorhoptrus属の種、Melolontha属の種、Orycaephilus属の種、Otiorhynchus属の種、Phlyctinus属の種、Popillia属の種、Psylliodes属の種、Rhizopertha属の種、コガネムシ科(Scarabeidae)、Sitophilus属の種、Sitotroga属の種、Tenebrio属の種、Tribolium属の種、およびTrogoderma属の種;(c)直翅目、例えば、Blatta属の種、Blattella属の種、Gryllotalpa属の種、Leucophaea maderae、Locusta属の種、Periplaneta属の種、およびSchistocerca属の種;(d)等翅目、例えば、Reticulitermes属の種;(e)チャタテムシ目、例えば、Liposcelis属の種;(f)シラミ目、例えば、Haematopinus属の種、Linognathus属の種、Pediculus属の種、Pemphigus属の種、およびPhylloxera属の種;(g)ハジラミ目、例えば、Damalinea属の種およびTrichodectes属の種;(h)総翅目、例えば、Frankliniella属の種、Hercinotnrips属の種、Taeniothrips属の種、Thrips palmi、Thrips tabaci、およびScirtothrips aurantii;(i)カメムシ亜目、例えば、Cimex属の種、Distantiella theobroma、Dysdercus属の種、Euchistus属の種、Eurygaster属の種、Leptocorisa属の種、Nezara属の種、Piesma属の種、Rhodnius属の種、Sahlbergella singularis、Scotinophara属の種、およびTniatoma属の種;(j)ヨコバイ亜目、例えば、Aleurothrixus floccosus、Aleyrodes brassicae、Aonidiella属の種、アブラムシ科(Aphididae)、Aphis属の種、Aspidiotus属の種、Bemisia tabaci、Ceroplaster属の種、Chrysomphalus aonidium、Chrysomphalus dictyospermi、Coccus hesperidum、Empoasca属の種、Eriosoma larigerum、Erythroneura属の種、Gascardia属の種、Laodelphax属の種、Lecanium corni、Lepidosaphes属の種、Macrosiphus属の種、Myzus属の種、Nephotettix属の種、Nilaparvata属の種、Paratoria属の種、Pemphigus属の種、Planococcus属の種、Pseudaulacaspis属の種、Pseudococcus属の種、Psylla属の種、Pulvinaria aethiopica、Quadraspidiotus属の種、Rhopalosiphum属の種、Saissetia属の種、Scaphoideus属の種、Schizaphis属の種、Sitobion属の種、Trialeurodes vaporariorum、Trioza erytreae、およびUnaspis citri;(k)膜翅目、例えば、Acromyrmex、Atta属の種、Cephus属の種、Diprion属の種、マツハバチ科(Diprionidae)、Gilpinia polytoma、Hoplocampa属の種、Lasius属の種、Monomorium pharaonis、Neodiprion属の種、Solenopsis属の種、およびVespa属の種;(l)双翅目、例えば、Aedes属の種、Antherigona soccata、Bibio hortulanus、Calliphora erythrocephala、Ceratitis属の種、Chrysomyia属の種、Culex属の種、Cuterebra属の種、Dacus属の種、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、Fannia属の種、Gastrophilus属の種、Glossina属の種、Hypoderma属の種、Hyppobosca属の種、Liriomyza属の種、Lucilia属の種、Melanagromyza属の種、Musca属の種、Oestrus属の種、Orseolia属の種、Oscinella frit、Pegomyia hyoscyami、Phorbia属の種、Rhagoletis pomonella、Sciara属の種、Stomoxys属の種、Tabanus属の種、Tannia属の種、およびTipula属の種;(m)ノミ目、例えば、Ceratophyllus属の種およびXenopsylla cheopis、ならびに(n)シミ目、例えば、Lepisma saccharinaの昆虫が挙げられる。本発明による有効成分は、さらに、アブラナ科植物のノミハムシ(Phyllotreta属の種)、ハナバエ類(Delia属の種)、キャベツサヤゾウムシ(Ceutorhynchus属の種)、ならびに、キャノーラ(セイヨウアブラナ)、カラシ種子、およびこれらの雑種などの油料種子作物とイネおよびトウモロコシのアブラムシを防除するために使用することができる。これらの物質中のサルメンチンおよび/またはその類似体は、唯一の有効成分であってもよいし、他の任意の植物病原性化合物および/または除草剤化合物との混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、サルメンチンおよびその類似体と共に使用することができる天然の除草剤の非限定的例としては、カテキン、エラグ酸、ソルゴレオン、ジュグロン、セラチオリン、ウスニン酸、1,8−シネオール、ゲラニアール、ネラール、シンメチリン、ソルスチチオリド、アイラントン、チャパリン、アイランチノールB、ヒドロキサム酸、グルコヒルスチン、ヒルスチン、アラビン、メタチロシンが挙げられる。これらの組成物中のサルメンチンおよび/またはその類似体のパーセントは、0.01%〜99.99%の範囲内にあってよい。
【0042】
他の実施形態では、サルメンチンおよび/またはその類似体と共に使用することができる合成除草剤の非限定的例としては、それだけに限定されないが、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤(例えば、クロラジホップ(chlorazifop)、クロジナホップ(clodinafop)、クロホップ(clofop)、シハロホップ(cyhalofop)、ジクロホップ(diclofop)、フェノキサプロップ(fenoxaprop)、フェノキサプロップ−P(fenoxaprop−P)、フェンチアプロップ(fenthiaprop)、フルアジホップ(fluazifop)、フルアジホップ−P(fluazifop−P)、ハロキシホップ(haloxyfop)、ハロキシホップ−P(haloxyfop−P)、イソキサピリホップ(isoxapyrifop)、メタミホップ(metamifop)、プロパキザホップ(propaquizafop)、キザロホップ(quizalofop)、キザロホップ−P(quizalofop−P)、およびトリホップ(trifop));安息香酸系除草剤(例えば、クロランベン(chloramben)、ジカンバ(dicamba)、2,3,6−TBA、およびトリカンバ(tricamba));ベンゾフラニルアルキルスルホン酸系除草剤(例えば、ベンフレセート(benfuresate)およびエトフメセート(ethofumesate));ベンゾイルシクロヘキサンジオン系除草剤(例えば、メソトリオン(mesotrione)、スルコトリオン(sulcotrione)、テフリルトリオン(tefuryltrione)、およびテンボトリオン(tembotrione));カルバメート系除草剤(例えば、アシュラム(asulam)、カルボキサゾール(carboxazole)、クロルプロカルブ(chlorprocarb)、ジクロルメート(dichlormate)、フェナスラム(fenasulam)、カルブチレート(karbutilate)、およびテルブカルブ(terbucarb));カルバニレート系除草剤(例えば、バルバン(barban)、BCPC、カルバスラム(carbasulam)、カルベタミド(carbetamide)、CEPC、クロルブファム(chlorbufam)、クロルプロファム(chlorpropham)、CPPC、デスメジファム(desmedipham)、フェニソファム(phenisopham)、フェンメジファム(phenmedipham)、フェンメジファム−エチル(phenmedipham−ethyl)、プロファム(propham));シクロヘキセンオキシム系除草剤(例えば、アロキシジム(alloxydim)、ブトロキシジム(butroxydim)、クレトジム(clethodim)、クロプロキシジム(cloproxydim)、シクロキシジム(cycloxydim)、プロフォキシジム(profoxydim)、セトキシジム(sethoxydim)、テプラロキシジム(tepraloxydim)、およびトラルコキシジム(tralkoxydim));シクロプロピルイソオキサゾール系除草剤(例えば、イソキサクロルトール(isoxachlortole)およびイソキサフルトール(isoxaflutole));ジカルボキシイミド系除草剤(例えば、ベンズフェンジゾン(benzfendizone)、シニドン−エチル(cinidon −ethyl)、フルメジン(flumezin)、フルミクロラック(flumiclorac)、フルミオキサジン(flumioxazin)、およびフルミプロピン(flumipropyn));ジニトロアニリン系除草剤(例えば、ベンフルラリン(benfluralin)、ブトラリン(butralin)、ジニトラミン(dinitramine)、エタルフルラリン(ethalfluralin)、フルクロラリン(fluchloralin)、イソプロパリン(isopropalin)、メタルプロパリン(methalpropalin)、ニトラリン(nitralin)、オリザリン(oryzalin)、ペンジメタリン(pendimethalin)、プロジアミン(prodiamine)、プロフルラリン(profluralin)、およびトリフルラリン(trifluralin));ジニトロフェノール系除草剤(例えば、ジノフェネート(dinofenate)、ジノプロップ(dinoprop)、ジノサム(dinosam)、ジノセブ(dinoseb)、ジノテルブ(dinoterb)、DNOC、エチノフェン(etinofen)、およびメジノテルブ(medinoterb));ジチオカルバメート系除草剤(例えば、ダゾメット(dazomet)およびメタム(metam));ハロゲン化脂肪族系除草剤(例えば、アロラック(alorac)、クロロポン(chloropon)、ダラポン(dalapon)、フルプロパネート(flupropanate)、ヘキサクロロアセトン、ヨードメタン、臭化メチル、モノクロロ酢酸、SMA、およびTCA);イミダゾリノン系除草剤(例えば、イマザメタベンズ(imazamethabenz)、イマザモックス(imazamox)、イマザピック(imazapic)、イマザピル(imazapyr)、イマザキン(imazaquin)、およびイマゼタピル(imazethapyr));無機除草剤(例えば、スルファミン酸アンモニウム、ホウ砂、塩素酸カルシウム、硫酸銅、硫酸第一鉄、アジ化カリウム、シアン酸カリウム、アジ化ナトリウム、塩素酸ナトリウム、および硫酸);ニトロフェニルエーテル系除草剤(例えば、アシフルオフェン(acifluorfen)、アクロニフェン(aclonifen)、ビフェノックス(bifenox)、クロロメトキシフェン(chlomethoxyfen)、クロロニトロフェン(chlornitrofen)、エトニプロミド(etnipromid)、フルオロジフェン(fluorodifen)、フルオログリコフェン(fluoroglycofen)、フルオロニトロフェン(fluoronitrofen)、フォメサフェン(fomesafen)、フリルオキシフェン(furyloxyfen)、ハロサフェン(halosafen)、ラクトフェン(lactofen)、ニトロフェン(nitrofen)、ニトロフルオルフェン(nitrofluorfen)、およびオキシフルオルフェン(oxyfluorfen));ニトリル系除草剤(例えば、ブロモボニル(bromobonil)、ブロモキシニル(bromoxynil)、クロロキシニル(chloroxynil)、ジクロベニル(dichlobenil)、ヨードボニル(iodobonil)、イオキシニル(ioxynil)、およびピラクロニル(pyraclonil));有機リン系除草剤(例えば、アミプロホス−メチル(amiprofos−methyl)、アニロホス(anilofos)、ベンスリド(bensulide)、ビラナホス(bilanafos)、ブタミホス(butamifos)、2,4−DEP、DMPA、EBEP、ホサミン(fosamine)、グルホシネート(glufosinate)、グリホセート(glyphosate)、およびピペロホス(piperophos));フェノキシ系除草剤(例えば、ブロモフェノキシム(bromofenoxim)、クロメプロップ(clomeprop)、2,4−DEB、2,4−DEP、ジフェノペンテン(difenopenten)、ジスル(disul)、エルボン(erbon)、エトニプロミド(etnipromid)、フェンテラコル(fenteracol)、およびトリフォプシム(trifopsime));フェノキシ酢酸系除草剤(例えば、4−CPA、2,4−D、3,4−DA、MCPA、MCPA−チオエチル、および2,4,5−T);フェノキシブチル酸系除草剤(例えば、4−CPB、2,4−DB、3,4−DB、MCPB、および2,4,5−TB);フェノキシプロピオン酸系除草剤(例えば、クロプロップ(cloprop)、4−CPP、ジクロルプロップ(dichlorprop)、ジクロルプロップ−P(dichlorprop−P)、3,4−DP、フェノプロップ(fenoprop)、メコプロップ(mecoprop)、およびメコプロップ−P(mecoprop−P));フェニレンジアミン系除草剤(例えば、ジニトラミン(dinitramine)およびプロジアミン(prodiamine));ピコリン酸系除草剤(例えば、アミノピラリド(aminopyralid)、クロピラリド(clopyralid)、およびピクロラム(picloram));ピラゾリル系除草剤(例えば、ベンゾフェナップ(benzofenap)、ピラゾリネート(pyrazolynate)、ピラスルホトール(pyrasulfotole)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ピロキサスルホン(pyroxasulfone)、およびトプラメゾン(topramezone));ピラゾリルフェニル系除草剤(例えば、フルアゾレート(fluazolate)およびピラフルフェン(pyraflufen));ピリダジン系除草剤(例えば、クレダジン(credazine)、ピリダホル(pyridafol)、およびピリデート(pyridate));ピリダジノン系除草剤(例えば、ブロムピラゾン(brompyrazon)、クロリダゾン(chloridazon)、ジミダゾン(dimidazon)、フルフェンピル(flufenpyr)、メトフルラゾン(metflurazon)、ノルフルラゾン(norflurazon)、オキサピラゾン(oxapyrazon)、およびピダノン(pydanon));ピリジン系除草剤(例えば、クリオジネート(cliodinate)、ジチオピル(dithiopyr)、フルロキシピル(fluroxypyr)、ハロキシジン(haloxydine)、ピコリナフェン(picolinafen)、ピリクロル(pyriclor)、チアゾピル(thiazopyr)、およびトリクロピル(triclopyr));ピリミジンジアミン系除草剤(例えば、イプリミダム(iprymidam)およびチオクロリム(tioclorim));第四級アンモニウム系除草剤(例えば、シペルクワット(cyperquat)、ジエタムコート(diethamquat)、ジフェンゾコート(difenzoquat)、ジクワット(diquat)、モルファムコート(morfamquat)、およびパラコート(paraquat));ピリミジニルオキシ安息香酸系除草剤(例えば、ビスピリバック(bispyribac)およびピリミノバック(pyriminobac));チオカルバメート系除草剤(例えば、ブチレート(butylate)、シクロエート(cycloate)、ジアレート(di−allate)、EPTC、エスプロカルブ(esprocarb)、エチオレート(ethiolate)、イソポリネート(isopolinate)、メチオベンカルブ(methiobencarb)、モリネート(molinate)、オルベンカルブ(orbencarb)、ペブレート(pebulate)、プロスルホカルブ(prosulfocarb)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、スルファレート(sulfallate)、チオベンカルブ(thiobencarb)、チオカルバジル(tiocarbazil)、トリアレート(triallate)、およびベルノレート(vernolate));スルホンアミド系除草剤(例えば、アシュラム(asulam)、カルバスラム(carbasulam)、フェナスラム(fenasulam)、オリザリン(oryzalin)、ペノキススラム(penoxsulam)、ピロクススラム(pyroxsulam));トリアジン系除草剤(例えば、ジプロペトリン(dipropetryn)、トリアジフラム(triaziflam)、およびト

リヒドロキシトリアジン(trihydroxytriazine);アトラジン(atrazine)、クロラジン(chlorazine)、シアナジン(cyanazine)、シプラジン(cyprazine)、エグリナジン(eglinazine)、イパジン(ipazine)、メソプラジン(mesoprazine)、プロシアジン(procyazine)、プログリナジン(proglinazine)、プロパジン(propazine)、セブチラジン(sebuthylazine)、シマジン(simazine)、テルブチラジン(terbuthylazine)、およびトリエタジン(trietazine)、アトラトン(atraton)、メトメトン(methometon)、プロメトン(prometon)、セクブメトン(secbumeton)、シメトン(simeton)、およびテルブメトン(terbumeton);アメトリン(ametryn)、アジプロトリン(aziprotryn)、シアナトリン(cyanatryn)、デスメトリン(desmetryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)、メトプロトリン(methoprotryne)、プロメトリン(prometryn)、シメトリン(simetryn)、およびテルブトリン(terbutryn));トリアジノン系除草剤(例えば、アメトリジオン(ametridione)、アミブジン(amibuzin)、ヘキサジノン(hexazinone)、イソメチオジン(isomethiozin)、メタミトロン(metamitron)、およびメトリブジン(metribuzin));トリアゾロピリミジン系除草剤(例えば、クロランスラム(chloransulam)、ジクロスラム(diclosulam)、フロラスラム(florasulam)、フルメツラム(flumetsulam)、メトスラム(metosulam));尿素系除草剤(例えば、ベンズチアズロン(benzthiazuron)、クミルロン(cumyluron)、シクルロン(cycluron)、ジクロラルウレア(dichloralurea)、ジフルフェンゾピル(diflufenzopyr)、イソノルロン(isonoruron)、イソウロン(isouron)、メタベンズチアズロン(methabenzthiazuron)、モニソウロン(monisouron)、およびノルロン(noruron);アニスロン(anisuron)、ブツロン(buturon)、クロルブロムロン(chlorbromuron)、クロレツロン(chloreturon)、クロロトルロン(chlorotoluron)、クロロクスロン(chloroxuron)、ダイムロン(daimuron)、ジフェノクスロン(difenoxuron)、ジメフロン(dimefuron)、ジウロン(diuron)、フェヌロン(fenuron)、フルオメツロン(fluometuron)、フルオチウロン(fluothiuron)、イソプロツロン(isoproturon)、リヌロン(linuron)、メチウロン(methiuron)、メチルジムロン(methyldymron)、メトベンズロン(metobenzuron)、メトブロムロン(metobromuron)、メトクスロン(metoxuron)、モノリヌロン(monolinuron)、モヌロン(monuron)、ネブロン(neburon)、パラフルロン(parafluron)、フェノベンズロン(phenobenzuron)、シデュロン(siduron)、テトラフルロン(tetrafluron)、およびチジアズロン(thidiazuron);アミドスルフロン(amidosulfuron)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、ベンスルフロン(bensulfuron)、クロリムロン(chlorimuron)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、エトキシスルフロン(ethozysulfuron)、フラザスルフロン(flazasulfuron)、フルセトスルフロン(flucetosulfuron)、フルピルスルフロン(flupyrsulfuron)、ホラムスルフロン(foramsulfuron)、ハロスルフロン(halosulfuron)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、メソスルフロン(mesosulfuron)、ニコスルフロン(nicosulfuron)、オルトスルハムロン(orthosulfamuron)、オキサスルフロン(oxasulfuron)、プリミスルフロン(primisulfuron)、ピラゾスルフロン(pyrazosulfuron)、リムスルフロン(rimsulfuron)、スルホメツロン(sulfometuron)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)、およびトリフロキシスルフロン(trifloxysulfuron);クロルスルフロン(chlorsulfuron)、シノスルフロン(cinosulfuron)、エタメツルフロン(ethametsulfuron)、ヨードスルフロン(iodosulfuron)、メツルフロン(metsulfuron)、プロスルフロン(prosulfuron)、チフェンスルフロン(thifensulfuron)、トリアスルフロン(triasulfuron)、トリベヌロン(tribenuron)、トリフルスルフロン(triflusulfuron)、およびトリトスルフロン(tritosulfuron);ブチウロン(buthiuron)、エチジムロン(ethidimuron)、テブチウロン(tebuthiuron)、チアザフルロン(thiazafluron)、およびチジアズロン(thidiazuron))等が挙げられる。
【0043】
組成物は、ミクロブタニル(myclobutanil)、およびフェンヘキサミド(fenhexamide)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、アゾキシストロビン化合物(azoxystrobin combination)、ボスカリド(boscalid)、枯草菌(bacillus subtilis)、硫酸銅、クロロタロニル(chlorothalonil)、水酸化銅、シモキサニル(cymoxanil)、ジメトモルフ(dimethomorph)、デクロロプロペン(dechloropropene)、ホセチルアルミニウム、フルジオキソニル(fludioxonil)、フェナミドン(fenamidone)、イプロジオン(iprodione)、メフェノキサム(mefenoxam)、マンコゼブ(mancozeb)、メタラキシル(metalaxyl)、メタムナトリウム、炭酸水素カリウム、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロピコカルブ(propicocarb)、チラム(thiram)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チオファネート−メチル(thiophanate−methyl)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ビンクロゾリン(vinclozolin)、硫黄、ジラム(ziram)などの追加の殺真菌剤をさらに含んでもよい。組成物は、ストレプトマイシンおよびオキシテトラサイクリンなどの以下の抗菌剤も含む。
【0044】
本発明の組成物および方法は、以下の非限定的実施例でさらに説明される。実施例は、種々の実施形態を説明するものに過ぎず、本明細書で列挙する物質、条件、重量比、工程パラメータ等に関して請求の発明を限定しない。
【0045】
実施例
本実施例では、乾燥ヒハツ(Piper longum L.)果実のメタノール抽出物が、ビブレタス(Lactuca sativa,L.)実生に対して植物毒性であることを示す結果を開示する。この抽出物を、生物学的検定により手引きされる単離に供し、1つの活性化合物を得た。活性化合物は、サルメンチンと呼ばれる既知の化合物と同定され、初めてP.longumから単離された。サルメンチンの植物毒性活性は、種々の作物、カヤツリグサ科草本、および雑草の実生で調査した。結果は、サルメンチンが接触性除草剤であり、広域スペクトル除草剤活性を有することを示した。異なる乾燥P.longum果実中のサルメンチンを、液体クロマトグラフィー質量分析により定量化し、ほぼ0〜0.57%にわたり劇的に変化することが分かった。さらに、次いで、一連のサルメンチン類似体を合成して、構造活性相関(SAR)を研究した。SAR研究の結果は、長鎖不飽和脂肪酸(すなわち、2E,4E−デカジエン酸)またはアミン(すなわち、ピロリジン)のいずれかが、活性のために極めて重要であるが、第二級アミンとのアミド結合が、サルメンチンの植物毒性活性に必要であると思われることを示した。
【0046】
物質および方法
化学薬品:Sepra C18−E(50μMおよび60Å)ならびにシリカゲル吸着剤(70〜230メッシュサイズ)は、それぞれ、Phenomenex(登録商標)(Torrance、CA、USA)およびFisher Scientific(Fair Lawn、NJ、USA)から購入した。ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(すなわち、Glycosperse O−20 KFG)およびラウリル硫酸ナトリウム(すなわち、SLS)は、それぞれ、Lonza Inc.(Allendale、NJ、USA)およびSpectrum Chemical Mfg. Corp.(New Brunswick、NJ、USA)から試供品として得た。シクロペンチルアミン、トランス−ケイ皮酸、エチルトランス−2−シス−4−デカジエノエート、ヘキサメチレンイミン、トランス−2−デセン酸、デカン酸、4−ジメチルアミノピリジンは、ACROS Organics(Morris Plains、New Jersey、USA)から購入する。他の全ての化学薬品は、試薬用であった。
【0047】
P.longumの果実および前処理:乾燥P.longum果実の4つの試料は、漢方薬の店で購入した。果実は、コーヒー粉砕機(Toastmaster Inc.、Boonville、MI、USA)で完全に粉砕した。粉砕したての果実粉末を、適当な溶媒で抽出した。
【0048】
雑草、カヤツリグサ科草本、および作物の実生:全ての雑草、カヤツリグサ科草本、および作物の実生を、8cm×8cm×7.2cmまたは10cm×10cm×9cmのプラスチック製ポットに植えた。アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus,L.)、イヌビエ(Echinochloa crusgalli L.)、セイヨウヒルガオ(Convolvulus arvensis L.)、メヒシバ(Digitaria sanguinalis L.)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale F.)、シロザ(Chenopodium album L.)、スズメノカタビラ(Poa annua L.)、野生カラシ(Brassica kaber L.)、イヌホオズキ(Solanum nigrum L.)、ナガバギシギシ(Rumex crispus L.)、ヒメムカシヨモギ(Conyza Canadensis L.)、トウモロコシ(Zea may S.)、およびコムギPR1404(Triticum aestivum L.)を含む実生を、Super Soil培養土に植えた。イネM−104(Oryza saliva L.)、タマガヤツリ(Cyperus difformis L.)、およびオニアゼガヤ(Leptochloa fascicularis Lam)を含む実生を、水田(Woodland、CA、USA)から回収した泥に植えた。処理時、イネ(10日齢)、コムギ(20日齢)、トウモロコシ(20日齢)、オニアゼガヤ(20日齢)、タマガヤツリ(20日齢)、およびヒメムカシヨモギ(70日齢)を除く全ての実生は15日齢であった。
【0049】
生物学的検定により手引きされる抽出および単離:活性化合物を以下に記載の4つの主要なステップにより単離した:1)粉砕したてのP.longum果実粉末のメタノール抽出物を、ビブレタス(Lectuca sativa)実生を使用した96ウェルプレート生物学的検定でスクリーニングした;2)メタノール抽出物(0.5g)を、逆相C−18カラムに供し、水中20%、40%、60%、80%、および100%メタノールで溶出させた;分画を真空下で乾燥させ、ビブレタス(Lectuca sativa)実生を使用した96ウェルプレート生物学的検定により有効性を再評価した。活性分画を使用して、分離のための次のステップに進めた;3)酢酸エチル抽出物(17.6g)をフラッシュカラムにロードした。カラムを、順次、ヘキサン(1L)、ヘキサン/酢酸エチル(3:1、1L)、ヘキサン/酢酸エチル(1:1、1L)、酢酸エチル(1L)、およびアセトン(1L)で溶出させた。薄層クロマトグラフィー(TLC)に基づいて、9つの分画を回収した。各々の分画の有効性を、イヌビエ(Echinochloa crusgalli)の葉面散布により評価した。各々の分画の濃度は、4%エタノールおよび0.2%glycosperse O−20 KFGからなる担体溶液を含む5mg/mLであった。活性分画(3.4g)を合わせて、次のステップに供した;4)溶出溶媒としてヘキサンおよび酢酸エチル(3:1)の組み合わせを使用して、二次シリカカラムを行なった。有効成分(0.96g)を、ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物中−20℃で再結晶化させて、純粋な活性化合物を得た。液体クロマトグラフィーおよび質量分析(LC/MS)により純度を調査した。LC/MSの詳細な条件は、物質および方法の中で、後で記載した。
【0050】
構造解釈:活性化合物の構造同定は、核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび高分解能質量分析の両データを基準とした。H、13C、DEPT、COSY、HMQC、およびHMBCを含むNMRスペクトルは、Bruker Avance 600分光計(Bruker BioSpin Corporation、Billerica、MA、USA)から取得した。化学シフト値は、内部標準(トリメチルシラン)から低磁場ppmで与える。シグナル多重度は、一重線(s)、二重線(d)、二重の二重線(dd)、三重線(t)、四重線(q)、五重線(quint)、および多重線(m)で表す。活性化合物の正確な質量は、高速液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析により決定した。
【0051】
異なる果実試料からの活性化合物の比較:異なる試料の粉砕した果実粉末(10g)を、室温で20時間酢酸エチル(50mL)に浸漬した。溶液を、Whatman(登録商標)定性濾紙(NO1、Φ155mm)により濾過した。残渣および濾紙を酢酸エチル(25mLで洗浄した。合わせた有機相を真空下で乾燥させた。各々の抽出物の重量を記録した。抽出物中の活性化合物をLC/MSにより定量化した。
【0052】
(LC/MS)による乾燥果実の酢酸エチル抽出物中の活性化合物の定量化:クロマトグラフ分離を、Finnigan Surveyor PDAプラス検出器、オートサンプラープラス、MSポンプ、および4.6mm×100mm Luna C18 5μmカラムを備えたThermo高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置(Thermo Electron Corp.、San Jose、CA)で、25℃で行なった。溶媒系は、水(溶媒A)およびアセトニトリル(溶媒B)から構成されていた。移動相は10%溶媒Bで開始し、20分で100%溶媒Bまで直線的に増加し、次いで、4分間維持し、最終的に、3分で10%溶媒Bに戻り、3分間維持した。流速は0.5mL/分であった。注入体積は10μLであり、試料はオートサンプラー中室温で保管した。活性化合物は、LCQ DECA XPplus Mass Spectrometer(Thermo Electron Corp.、San Jose、CA)で、完全スキャンモード(m/z100〜1500Da)の正エレクトロスプレーイオン化モードにより検出した。窒素ガスの流速は、シースガス流速および補助/スイープガス流速のそれぞれについて30および15arbに固定した。エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、5000Vに設定したスプレー電圧および35.0Vのキャピラリー電圧で行なった。キャピラリー温度は400℃に設定した。
【0053】
活性化合物の標準は、実験室で繰り返した結晶化により得た。一連の標準濃度(125、62.5、31.25、15.6、7.8、3.9、1.95、および0.976ng/ml)はエタノール中で作成した。各々の抽出物について3つの独立した試料(エタノール中2.5μg/mL)を作成した。質量スペクトルは、221.0〜224.0の質量範囲および保持時間(16.94分)で、SIMモードで測定した。活性化合物の検出限界(LOD)は、バックグラウンドに対する活性化合物のシグナルの比が3以上となるまで、標準溶液の量を減少させることにより決定した。果実試料の濃度は、標準偏差を使用して3つの独立した試料の平均により与えた。
【0054】
サルメンチン類似体の合成:氷冷したジクロロメタン(20ml)中カルボン酸(3mmol)溶液に、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(3.3mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(3mmol)を順次添加した。5分後、アミン(3.3mmol)を反応溶液に添加した。反応物を室温にゆっくり加温し、一晩続けた。反応物を酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空下での蒸発後、残渣を、適当な比のヘキサン中酢酸エチルでシリカゲルカラムに流した。最終生成物の収率は85%〜90%に及んだ。最終生成物をプロトンNMRで特徴づけた。
【0055】
N−シクロペンチルシンナムアミド(7):H NMR(CDCl):δ(ppm)7.62(d、J=15.6Hz、1H)、7.50(d、J=7.0Hz、2H)、7.35(m、3H)、6.37(d、J=15.6、1H)、5.61(d、J=5.0Hz、1H、NH)、4.35(六重線、J=7.0、1H)、2.06(m、2H)、1.71(m、2H)、1.64(m、2H)、1.46(m、2H)。
【0056】
N−(トランス−シンナモイル)ピロリジン(11):H NMR(CDCl):δ(ppm)7.70(d、J=15.5Hz、1H)、7.53(d、J=7.0Hz、2H)、7.36(m、3H)、6.74(d、J=15.5、1H)、3.63(t、J=7.0、2H)、3.60(t、J=7.0、2H)、2.01(五重線、J=7.0、2H)、1.91(五重線、J=7.0、2H)。
【0057】
N−(トランス−シンナモイル)ピペリジン(15):H NMR(CDCl):δ(ppm)7.64(d、J=15.5Hz、1H)、7.52(d、J=7.2Hz、2H)、7.36(m、3H)、6.90(d、J=15.5、1H)、3.67(s、2H)、3.59(s、2H)、1.68(m、2H)、1.62(m、4H)。
【0058】
N−(トランス−シンナモイル)ヘキサメチレンイミン(19):H NMR(CDCl):δ(ppm)7.70(d、J=15.4Hz、1H)、7.52(d、J=7.6Hz、2H)、7.36(m、3H)、6.88(d、J=15.4、1H)、3.63(t、J=6.0、2H)、3.61(t、J=6.0、2H)、1.76(m、4H)、1.59(m、4H)。
【0059】
N−シクロペンチルデカンアミド(4):H NMR(CDCl):δ(ppm)5.35(br、1H)、4.22(六重線、J=7.00、1H)、2.12(t、J=7.20、2H)、1.98(m、2H)、1.59〜1.67(m、6H)、1.26〜1.36(m、14H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0060】
N−(デカノイル)ピロリジン(8):H NMR(CDCl):δ(ppm)3.45(t、J=6.80、2H)、3.40(t、J=6.80、2H)、2.24(t、J=7.20、2H)、1.94(五重線、J=6.80、2H)、1.84(五重線、J=6.80、2H)、1.62(五重線、J=7.20、2H)、1.25〜1.30(m、12H)、0.87(t、J=7.20、3H)。
【0061】
N−(デカノイル)ピペリジン(12):H NMR(CDCl):δ(ppm)3.55(t、J=5.20、2H)、3.39(t、J=5.20、2H)、2.31(t、J=7.60、2H)、1.58〜1.65(m、4H)、1.52〜1.57(m、4H)、1.20〜1.30(m、12H)、0.87(t、J=7.20、3H)。
【0062】
N−(デカノイル)ヘキサメチレンイミン(16):H NMR(CDCl):δ(ppm)3.52(t、J=6.00、2H)、3.42(t、J=6.00、2H)、2.30(t、J=7.80、2H)、1.66〜1.74(m、4H)、1.60〜1.66(m、2H)、1.50〜1.60(m、4H)、1.20〜1.30(m、12H)、0.87(t、J=7.20、3H)。
【0063】
N−シクロペンチルデカンアミド(5):H NMR(CDCl):δ(ppm)6.82(dt、J=15.20、J=7.20、1H)、5.71(d、J=15.20、1H)、5.33(br、1H)、4.27(六重線、J=7.00、1H)、2.15(m、2H)、2.10(m、2H)、1.67(m、2H)、1.60(m、2H)、1.40(m、4H)、1.28(m、8H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0064】
N−(デセノイル)ピロリジン(9):H NMR(CDCl):δ(ppm)6.90(dt、J=15.20、J=7.00、1H)、6.07(d、J=15.20、1H)、3.52(t、J=6.30、2H)、3.50(t、J=6.30、2H)、2.19(m、2H)、1.96(五重線、J=7.00、2H)、1.85(五重線、J=7.00、2H)、1.44(m、2H)、1.28(m、8H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0065】
N−(デセノイル)ピペリジン(13):H NMR(CDCl):δ(ppm)6.82(dt、J=15.20、J=7.00、1H)、6.23(d、J=15.20、1H)、3.59(t、J=6.30、2H)、3.47(t、J=6.30、2H)、2.17(m、2H)、1.64(五重線、J=5.60、2H)、1.56(五重線、J=5.60、4H)、1.44(五重線、J=7.00、2H)、1.28(m、8H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0066】
N−(デセノイル)ヘキサメチレンイミン(17):H NMR(CDCl):δ(ppm)6.91(dt、J=15.20、J=7.00、1H)、6.21(d、J=15.20、1H)、3.57(t、J=6.00、2H)、3.49(t、J=6.00、2H)、2.17(m、2H)、1.73(m、4H)、1.56(m、4H)、1.45(m、2H)、1.28(m、8H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0067】
N−シクロペンチル2E,4Z−デカジエンアミド(6):H NMR(CDCl):δ(ppm)7.55(dd、J=14.80、J=11.70、1H)、6.06(t、J=11.70、1H)、5.79(d、J=14.80、1H)、5.75(m、1H)、5.50(br、1H)、4.30(六重線、J=7.00、1H)、2.29(四重線、J=8.20、2H)、2.01(m、2H)、1.68(m、2H)、1.61(m、2H)、1.40(m、2H)、1.28(m、6H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0068】
(2E,4Z−デカジエノイル)ピロリジン(10):H NMR(CDCl):δ(ppm)7.62(dd、J=14.60、J=11.70、1H)、6.17(d、J=14.60、1H)、6.13(t、J=11.70、1H)、5.78(m、1H)、3.55(t、J=7.00、2H)、3.52(t、J=7.00、2H)、2.30(四重線、J=7.40、2H)、1.97(五重線、J=7.40、2H)、1.87(五重線、J=7.40、2H)、1.40(五重線、J=7.40、2H)、1.29(m、4H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0069】
(2E,4Z−デカジエノイル)ピペリジン(14):H NMR(CDCl):δ(ppm)7.59(dd、J=14.60、J=11.70、1H)、6.34(d、J=14.60、1H)、6.13(t、J=11.70、1H)、5.78(m、1H)、3.62(t、J=7.00、2H)、3.45(t、J=7.00、2H)、2.31(四重線、J=7.40、2H)、1.67(五重線、J=7.40、4H)、1.57(五重線、J=7.40、2H)、1.40(m、2H)、1.27(m、4H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0070】
(2E,4Z−デカジエノイル)ヘキサメチレンイミン(18):H NMR(CDCl):δ(ppm)7.64(dd、J=14.60、J=11.70、1H)、6.30(d、J=14.60、1H)、6.16(t、J=11.70、1H)、5.78(m、1H)、3.60(t、J=7.00、2H)、3.51(t、J=7.00、2H)、2.31(四重線、J=7.40、2H)、1.76(m、4H)、1.57(m、4H)、1.40(m、2H)、1.30(m、4H)、0.88(t、J=7.00、3H)。
【0071】
除草活性の評価:活性化合物および合成化合物の除草活性を、葉面散布により評価した。散布担体溶液は、2%エタノール、0.2%glycosperse O−20、および0.1%ラウリル硫酸ナトリウムを含んでいた。5mg/mLの濃度で評価する化合物を含む作りたての溶液を使用した。スペクトル研究において、散布体積は、葉の表面積に依存し、植物鉢当たり約1〜3mLに及んだ。各々について、1つまたは2つの植物鉢を処理した。鉢の数は、葉の面積および利用率の両方に依存した。構造活性相関研究では、1鉢のイヌビエを使用し、各々の化合物の散布体積は、5mg/mLの3mLとした。植物毒性活性は、散布後少なくとも3日で評価した。植物毒性活性の有効性は、I(有効性無し)、II(<20%)、III(20〜40%)、IV(40〜60%)、V(60〜80%)、およびVI(80〜100%)として類別した。
【0072】
結果
生物学的検定により手引きされる精製:活性化合物を以下の手順により得た。最初の実験は、P.longum乾燥果実のメタノール抽出物の植物毒性活性を示した。5mg/mLにおいて、逆相C18カラムを使用した場合に、有効成分は100%メタノール溶出による分画中に存在し、他の分画中からは植物毒性活性は示されなかった(図示せず)。発明者等の次の実験では、酢酸エチル抽出物を、フラッシュシリカカラムに流した。溶出液を9つの分画として回収した(TLC表示に基づく)。1〜9の各々の分画の重量は、それぞれ、3.0、1.0、1.7、3.6、0.9、2.5、1.2、0.2、および2.3gであった。9つの分画の中の2つは、イヌビエに対して活性であった(図1)。合わせた2つの活性分画(すなわち、分画5と分画6、3.4g)を、シリカカラムに再度流し、活性化合物としてわずかに黄色がかった油を得た。この油を、−20℃でヘキサンおよび酢酸エチルの混合物中で再結晶化させて、室温で無色の油(0.83)として得た。
【0073】
構造解明:活性化合物を、以下の証拠に基づいて同定した。高分解能質量データ(TOF MS ESI)は222.5386であり、活性化合物の分子式が、C1423NOで最もあり得ることを示している。表1に列挙するHおよび13C NMRのデータは、この分子式をさらに支持した。プロトンNMRのデータは、4個のオレフィンプロトン(4CH)、1個のCH、および8個のCHを含む合計23個のプロトンが存在することを示している。13C NMRおよびDEPT−135のデータ(図示せず)は、1個のアミドカルボニル(N−CO−)、4個のCH、8個のCH、および1個のCHを含む14個の炭素が存在することを確認した。COSYのデータ(図示せず)は、2つのスピン系が分子中に存在することを示した。一方は4個の連続したCHを含む。そして、もう一方は、4個の共役したオレフィンプロトンを含み、それはさらにCHCHCHCHと結合している。さらに、HMBCのデータ(図示せず)は、上記2つのスピン系がアミドカルボニルを通して結合しており、平面構造を与えていることを示した。最終的に、幾何学的立体配座は、カップリング定数(J=14.4Hz)に基づき、両二重結合についてトランスである。この活性化合物(表1)は、サルメンチンと呼ばれる既知の化合物であり、最初に、乾燥P.sarmentosum果実粉末から(Likhitwitayawuid,K.、Ruangrungsi,N、Lange,GおよびDecicco,C.、Structural Elucidation and Synthesis of New Components isolated from Piper Samentosum、Tetrahedron 1987(43)3689〜3694)、およびP.nigrumからも(Kiuchi,F.;Nakamura,N.;Tsuda,Y.;Kondo,K.;Yoshimura,H.Studies on crude drugs effective on visceral larva migrans,IV isolation and identification of larvicidal principles in Pepper、Chem Pharm.Bull、1988、36、2452〜2465)精製された。しかしながら、P.longumからこれを単離し、植物毒性化合物であることを発見したのは初めてである。
【0074】
【表1】

【0075】
サルメンチンの殺草スペクトラム:サルメンチンの植物毒性活性は、濃度に依存した。イヌビエの優れた防除に最適なサルメンチン濃度は、5mg/mLであった。そのため、前記濃度を殺草スペクトラム研究に供した。サルメンチンの疎水性のために、0.2%glycosperse O−20、2%エタノール、および0.1%ラウリル硫酸ナトリウムを含む担体溶液を使用した。この溶液は、高濃度の界面活性剤を含んでいるが、サルメンチンは、わずか15分しかこの溶液中に懸濁したままでいることができない。そのため、サルメンチンを、散布する直前に新しく作成した。さらに、結果を記録すると、この溶液は、試験植物に対していかなる植物毒性活性も示さなかった。
【0076】
サルメンチンは、カヤツリグサ科草本、作物、および雑草を含む種々の植物に対して植物毒性活性を示した(表2)。
【表2】

【0077】
サルメンチンの植物毒性活性は、植物に依存し、0〜100%死滅に及んだ。サルメンチンは、イネ植物には目に見える植物毒性活性(10日後)を示さなかった。タマガヤツリおよびヒメムカシヨモギに対しては、サルメンチンはわずかな植物毒性活性を示した。しかしながら、アオゲイトウ、イヌビエ、セイヨウヒルガオ、メヒシバ、オニアゼガヤ、セイヨウタンポポ、シロザ、スズメノカタビラ、野生カラシ、イヌホオズキ、ナガバギシギシ、トウモロコシ、およびコムギに対しては、サルメンチンは高い植物毒性活性を示した。植物毒性活性は、植物の日齢に関連し得る。例えば、ヒメムカシヨモギ(70日齢)は、他の雑草よりもはるかに日齢が上であったが、植物毒性活性はあまり示されなかった。
【0078】
構造活性相関(SAR):SAR研究は、サルメンチンの長鎖不飽和脂肪酸またはピロリジンのいずれかが、植物毒性活性のために極めて重要であるが、第二級アミンとのアミド結合が必要であると思われることを示した。この結論は、表3で以下に要約する以下の実験結果により支持された。
【表3】


【0079】
サルメンチンの酸部分が、2個の二重結合を有する2E,4Z−デカジエン酸(すなわち、2E,4E−デカジエン酸の幾何異性体)(10)、1個の二重結合を有する2E−デセン酸(9)、および二重結合を有さないデカン酸(8)などの構造的に類似の脂肪酸、ならびにトランス−ケイ皮酸(11)などの構造的に異なる酸にさえ置換されても、植物毒性活性は同じままであった。これは、アミンがピロリジンである場合、サルメンチンの酸部分は種々の酸であってよいことを示した。同様に、酸部分が同じままである場合、アミンは多様であってよい。例えば、アミンが五員環(8)から六員環または七員環(それぞれ、12と16)に変わっても、植物毒性活性は、デカン酸の点から同じままであった。しかしながら、第二級アミンとのアミド結合がエステル結合(例えば、3)および第一級アミンとのアミド結合(例えば、4〜7)に変わると、植物毒性活性は劇的に低下した。さらに、SAR研究の結果(表3)はまた、サルメンチンのアミン部分、ピロリジン(24)、ならびにシクロペンチルアミン(23)、ヘキサメチレンイミン(26)、およびピペリジン(25)などのその類似体がイヌビエに対して非毒性であるが;デカン酸(21)、2E−デセン酸(22)、およびトランス−ケイ皮酸(20)などのサルメンチンの酸部分の類似体は、非常に活性であることを示した。より良いSARを得るためには、酸部分の炭素鎖の長さおよび二置換アミン(非環系)をさらに調査すべきである。
【0080】
植物毒性活性の症状:サルメンチンは、接触性植物毒性化合物である。植物をサルメンチン溶液で処理すると、最初にわずかに黒色の小さな斑点が葉の上に現れ、次いで、葉全体を覆うまで斑点が次第に大きくなり、それは特にイヌビエで明らかであった。この症状は、散布後、30分〜2時間以内に観察することができた。顕著な植物毒性活性は、散布後48時間以内に起こった。SAR研究中、この症状は、デカン酸(21、表4)および2E−デセン酸(22、表3)などの中鎖脂肪酸の症状と非常に類似して観察された。
【0081】
異なるP.longum果実試料中のサルメンチンの定量化:サルメンチンの標準曲線(Y=83324X−30784、R=0.9998;XおよびYは、それぞれ、サルメンチン濃度およびピーク面積を表す)を得た。サルメンチンの検出限界は、1注入当たり12pg(または1.2ng/mL)であった。この外部標準曲線に基づくと、4つの異なるP.longum果実試料の抽出物中のサルメンチン濃度は、0.0005%から0.57%まで異なった。これらの結果を表4に示す。
【表4】

【0082】
各々の試料中に存在するこのサルメンチンの量の差は、乾燥果実の日齢および/または起源から生じ得る。サルメンチン濃度が高いほど、粉砕粉末はより油性であるので、乾燥P.longum果実の粉砕粉末中のサルメンチンの量は、肉眼で見ることができる。例えば、試料3および4の粉砕粉末については、油は目に見えなかったが、試料1および2の粉砕粉末では油性粉末が見られた。
【0083】
本発明は、具体的な実施形態を参照して記載されてきたが、種々の同等物、変更、および修正を使用することができ、それらも本発明の範囲内であることが明らかであるので、その詳細を限定的なものとして解釈すべきではない。
【0084】
種々の参考文献が本明細書中で引用されているが、それらの各々は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物および/またはその種子および/または前記植物を栽培するために使用する基質に、植物病原性感染症を調節するのに有効な一定量のサルメンチンおよび/またはサルメンチンと実質的に同じ活性を有するサルメンチン類似体を施用するステップを含む、植物の植物病原性感染症を調節する方法。
【請求項2】
前記植物病原体が、植物病原性ウイルス、真菌、細菌、線虫、および昆虫からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サルメンチンおよび/またはその類似体を、前記植物の収穫前に施用する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
雑草および/または基質に、前記基質中の単子葉または双子葉雑草の発芽を調節するのに有効な一定量のサルメンチンおよび/またはサルメンチンと実質的に同じ活性を有するサルメンチン類似体を施用するステップを含む、基質中の単子葉、カヤツリグサ科、または双子葉雑草の発芽を調節する方法。
【請求項5】
前記雑草が、広葉雑草および/またはイネ科雑草である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基質が、土壌、堆積物、人工栽培基質、または水である、請求項1または4に記載の方法。
【請求項7】
前記雑草が、イネ雑草である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記サルメンチンおよび/またはその類似体を、前記雑草の発芽前に前記基質に施用する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記サルメンチン類似体が、
(a)
【化1】

(式中、
Xは、硫黄、リン、ホウ素、および炭素からなる群から選択され;
Yは、炭素、酸素、窒素、硫黄、ホウ素、およびリンからなる群から選択され;
は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群から選択され;または
+R+Yは、4〜50個の原子を含む環もしくはヘテロシクリル環である);
(b)
【化2】

(式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、またはN,N−置換基である)、ならびに
(c)
【化3】

(式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、もしくはN,N−置換基であり、
式中、RおよびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールである、またはR+R+Nは、N含有ヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環である)
からなる群から選択される構造を有する、請求項1から8に記載の方法。
【請求項10】
以下の少なくとも1つである:(a)R+R+Y=ピロリジン、(b)Yが窒素である、(c)Rが−CH=CH−CH=CH−CHCHCHCHCHである、(d)Xが炭素である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記サルメンチン類似体が、N−(デカノイル)ピロリジン、N−(デセノイル)ピロリジン、N−(デカノイル)ピペリジン、N−(トランス−シンナモイル)ピロリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ピロリジン、N−(デセノイル)ピペリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ピペリジン、(2E,4Z−デカジエノイル)ヘキサメチレンイミン、N−(デセノイル)ヘキサメチレンイミン、N−(デカノイル)ヘキサメチレンイミン、デカン酸、および2E−デセン酸からなる群から選択される、請求項1から10に記載の方法。
【請求項12】
前記サルメンチンまたはサルメンチン類似体が、コショウ科のコショウ属の種の仲間から得ることができる、請求項1から11に記載の方法。
【請求項13】
雑草の発芽の調節に使用するための、および/または植物の植物病原性感染症の調節に使用するための、(a)1つもしくは複数のサルメンチンおよび/またはサルメンチンと実質的に同じ活性を有するサルメンチン類似体、ならびに(b)任意で1つもしくは複数の植物病原性剤および/または除草剤を含む組成物。
【請求項14】
発芽前もしくは発芽後処理除草剤として、および/または抗植物病原性剤として使用するための組成物を調製するための、サルメンチンならびに/あるいは(a)サルメンチンと実質的に同じ活性、および(b)任意で1つもしくは複数の植物病原性剤および/または除草剤を有するサルメンチン類似体の使用。
【請求項15】
以下の構造
【化4】

(式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、もしくはN,N−置換基であり;
式中、RおよびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールである;またはR+R+Nは、N含有ヘテロシクリル部分もしくはヘテロアリール部分である)
を有する単離したサルメンチン類似体。
【請求項16】
以下の少なくとも1つである:(a)RがC4〜C20アルキルまたはアルケニル部分である、(b)R+R+Nが、3〜8個の原子を含むN含有ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である、請求項15に記載の類似体。
【請求項17】
(2E,4Z−デカジエノイル)ピロリジン;(2E,4Z−デカジエノイル)ヘキサメチレンイミン、およびN−(デセノイル)ヘキサメチレンイミンからなる群から選択される単離したサルメンチン類似体。

【公表番号】特表2013−500252(P2013−500252A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521734(P2012−521734)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042607
【国際公開番号】WO2011/011415
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(510022440)マローネ  バイオ イノベーションズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】