説明

植物栽培棚装置

【課題】棚上栽培空間の状態を均一に調整するとともに、その状態調整に要するエネルギ及び運転コストを低減する。
【解決手段】樹脂製の厚板状ブロック体9で棚上栽培空間6の天井部を形成し、この厚板状ブロック体9に形成した内部給気路13及び天井給気孔13bを通じて棚上栽培空間6に空間調整気体を供給し、同じく厚板状ブロック体9に形成した内部排気路14及び天井排気孔14bを通じて棚上栽培空間6から空間内気体を排出する構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の葉野菜などを棚上で栽培する植物栽培棚装置に関し、詳しくは、棚上栽培空間に空間調整気体を供給する給気手段、及び、棚上栽培空間から空間内気体を排出する排気手段を備える植物栽培棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記の如き植物栽培棚装置として、特許文献1に見られるように、上下複数段の栽培棚を収容する栽培室に二重壁構造の縦壁を設けて、この縦壁に多数の吹出口を形成し、また、栽培室における栽培棚どうしの間の室内領域に対して開口する排気口を天井に設けたものが提案されている。
【0003】
即ち、この装置では、縦壁における二重壁間の隙間を給気路として、その壁間隙間及び縦壁における多数の吹出口を通じ空調空気(空間調整空気)を各段の栽培棚上の栽培空間に供給し、これに併行して、栽培室の室内空気を天井の排気口から排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3787655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来装置では、縦壁における多数の吹出口から各段栽培棚上の栽培空間に空調空気を供給するため、各段の棚上栽培空間に対して空調空気を均等に供給することができ、このことで棚上栽培空間における温度の調整状態(空調温度分布)を上段側から下段側にわたり高さ方向で均一化することができる。
【0006】
しかし、各段の棚上栽培空間に対して横一側の多数吹出口から水平向きに空調空気を通風するため、また、各段の棚上栽培空間における横他側のみに天井排気口からの排気作用が及ぶため、棚上栽培空間の幅を大きくすると、各段の棚上栽培空間における温度の調整状態が水平方向(幅方向)において差のあるものになり、これが原因で栽培植物の生育に差が生じたり生育不良率が高くなるなどの問題があった。
【0007】
また、上記した従来装置では、排気口が開口する栽培棚どうしの間の室内領域も空調対象の領域になるため、空調に要するエネルギや運転コストが嵩む問題もあった。
【0008】
なお、多数の吹出口における空調空気の吹き出し風速を大きくすれば、上記した水平方向での温度調整状態の差は縮小することができるが、風速は植物の生育に大きな影響を与えるため吹き出し風速を大きくすることには限界があり、このことも、棚上栽培空間における温度の調整状態に水平方向での差が生じることの一因になっている。
【0009】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な給排気構造を採ることで上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1特徴構成は、
棚上栽培空間に空間調整気体を供給する給気手段、及び、前記棚上栽培空間から空間内気体を排出する排気手段を備える植物栽培棚装置であって、
樹脂製の厚板状ブロック体で前記棚上栽培空間の天井部を形成し、
この厚板状ブロック体の面方向に延びる内部給気路及び内部排気路を前記厚板状ブロック体の内部に形成するとともに、
前記内部給気路と前記棚上栽培空間とを連通させる複数の天井給気孔、及び、前記内部排気路と前記棚上栽培空間とを連通させる複数の天井排気孔を、夫々、前記厚板状ブロック体の面方向に分散させて前記厚板状ブロック体に形成し、
前記給気手段は、前記内部給気路及び前記天井給気孔を通じて前記棚上栽培空間に空間調整気体を供給する構成にし、
前記排気手段は、前記内部排気路及び前記天井排気孔を通じて前記棚上栽培空間から空間内気体を排出する構成にしてある点にある。
【0011】
この構成によれば、厚板状ブロック体により形成される天井部に分散させた複数の天井給気孔から空間調整気体を棚上栽培空間に供給するとともに、同じく天井部に分散させた複数の天井排気孔から棚上栽培空間の空間内気体を排出することにより、棚上栽培空間の状態を調整するから、棚上栽培空間の温度等の調整状態を水平方向において効果的に均一化することができ、これにより、棚上栽培空間での栽培植物の生育差や生育不良率を効果的に軽減することができる。
【0012】
また、棚上栽培空間の周辺の温度状態などを不要に調整してしまうことも抑止することができて、棚上栽培空間の状態だけを集中的かつ効率的に調整することができ、これにより、その状態調整に要するエネルギや運転コストなども効果的に低減することができる。
【0013】
そしてまた、棚上栽培空間の天井部を形成する樹脂製の厚板状ブロック体の内部に内部給気路と内部排気路とを並列的に形成するから、また、そのことで厚板状ブロック体を形成する樹脂材を内部給気路及び内部排気路の夫々に対する断熱層としても機能させることができるから、給気路と排気路とを各別のダクトで形成して、それらダクトの夫々を断熱処理した状態で延設するのに比べ、装置をコンパクトにして装置の必要設置スペースを小さくすることもでき、また、その分、棚上栽培空間を面積的に大きく確保して生産性を高めることもできる。
【0014】
なお、この構成の実施において、棚上栽培空間に供給する空間調整気体は、給排気により棚上栽培空間に施す状態調整の内容に応じて種々の気体を採用することができる。
【0015】
即ち、給排気により棚上栽培空間に施す状態調整は、冷房や暖房による温度調整、加湿や除湿による湿度調整、二酸化炭素ガスなどの栽培用ガスの濃度調整など、どのような内容であってもよく、また、その内容に応じて、棚上栽培空間に供給する空間調整気体としても、冷却気体、加熱気体、除湿気体、加湿気体など、どのような気体を採用してもよく、その気体種も空気に限らず、二酸化炭素ガスや二酸化炭素ガス富裕空気などの栽培用ガスであってもよい。
【0016】
省エネルギ化を図るには、排気手段により棚上栽培空間から排出した空間内気体の一部又は全部を再び冷却などの必要処理を施した上で、空間調整気体として給気手段により棚上栽培空間に循環供給するのが望ましいが、場合によっては、棚上栽培空間から排出した空間内気体の全量を系外に排出して、空間調整気体を給気手段により棚上栽培空間に対して一過的に供給する装置構成にしてもよい。
【0017】
本発明の第2特徴構成は、
前記厚板状ブロック体を下側板状部分と上側板状部分とからなる二分割構造にし、
この下側板状部分に前記天井給気孔及び前記天井排気孔を形成し、
前記下側板状部分と前記上側板状部分とを結合して前記厚板状ブロック体を形成することにより前記内部給気路となる給気路用溝を、前記下側板状部分と前記上側板状部分とのいずれか一方又は両方に形成するとともに、
前記下側板状部分と前記上側板状部分とを結合して前記厚板状ブロック体を形成することにより前記内部排気路となる排気路用溝を、前記下側板状部分と前記上側板状部分とのいずれか一方又は両方に形成してある点にある。
【0018】
この構成によれば、下側板状部分又は上側板状部分に給気路用溝及び排気路用溝を形成するとともに、下側板状部分に天井給気孔及び天井排気孔を形成して、それら下側板状部分と上側板状部分とを結合するだけで、内部給気路及び内部排気路を内部に備える厚板状ブロック体を容易に形成することができ、これにより、樹脂材が一般に加工容易で軽量であることとも相俟って装置の製作を容易にすることができ、また、そのことで装置コストも安価にすることができる。
【0019】
本発明の第3特徴構成は、
前記厚板状ブロック体が発泡樹脂材からなる点にある。
【0020】
この構成によれば、発泡樹脂材(代表的には発泡スチロール)が多数の内部気泡により備える高い断熱性をもって、厚板状ブロック体の内部給気路及び内部排気路に対する断熱効果、並びに、棚上栽培空間に対する断熱効果を一層高めることができる。
【0021】
また、多数の内部気泡を有する発泡樹脂材が一般に極軽量な樹脂材で、それにより形成する厚板状ブロック体が一層軽量になることで、装置の製作を一層容易にすることができる。
【0022】
本発明の第4特徴構成は、
前記棚上栽培空間を設ける栽培棚を上下に複数段配設し、それら各段の栽培棚について、前記棚上栽培空間の天井部を前記厚板状ブロック体で形成し、
前記給気手段は、各段の栽培棚について前記厚板状ブロック体に形成した前記内部給気路及び前記天井給気孔を通じて前記棚上栽培空間に空間調整気体を供給する構成にし、
前記排気手段は、各段の栽培棚について前記厚板状ブロック体に形成した前記内部排気路及び前記天井排気孔を通じて前記棚上栽培空間から空間内気体を排出する構成にしてある点にある。
【0023】
この構成によれば、第1特徴構成による作用効果を各段の栽培棚における棚上栽培空間ついて得ることができる。
【0024】
そして、各段の栽培棚夫々について、天井部に分散させた天井給気孔及び天井排気孔により棚上栽培空間に対し給排気を行なって棚上栽培空間の状態を調整するから、各段の棚上栽培空間における温度などの調整状態を水平方向のみでなく上段側から下段側にわたって高さ方向でも効果的に均一化することができる。
【0025】
また、各段の棚上栽培空間における栽培植物が異なるなどで各段の棚上栽培空間ごとに要求される調整状態が異なる場合には、それに応じて各段の棚上栽培空間ごとに調整状態を異ならせて各段の棚上栽培空間を要求の状態に調整することも可能であり、これらのことで、栽培植物の生育差や生育不良率を一層効果的に軽減することができる。
【0026】
そしてまた、棚上栽培空間の天井部を形成する厚板状ブロック体を利用して、その内部に内部給気路及び内部排気路をコンパクトに形成するから、高さ方向での必要寸法の増大を回避することができ、これにより、上下の栽培棚段数も大きく確保することができる。
【0027】
本発明の第5特徴構成は、
前記厚板状ブロック体の下面部に、断面形状が下拡がり形状で前記棚上栽培空間に向かって下向きに開口する下向き凹部を形成し、
この下向き凹部の内部に栽培照明灯を配置するとともに、この下向き凹部の内面に光反射層を設けてある点にある。
【0028】
この構成によれば、厚板状ブロック体に形成した下向き凹部を照明反射板とする状態で、その下向き凹部の内部に配置した栽培照明灯の発生光(栽培用光)を下向き凹部内面の光反射層により反射させて棚上栽培空間を効率良く照明することができる。
【0029】
そして、このように厚板状ブロック体に形成した下向き凹部を照明反射板とすることで、傘状の照明反射板を単体で棚上栽培空間の天井部に吊り下げ状態などで装備するのに比べ、揺れや外れ落ちのない安定的な照明反射板にすることができる。
【0030】
また、照明反射板として機能させるとともに栽培照明灯の収容スペースとする下向き凹部を厚板状ブロック体に形成するから、例えば厚板状ブロック体の下方に照明器具を配置するのに比べ、照明器具の占有スペース分だけ、高さ方向での必要スペースも小さくすることができ、特に棚上栽培空間を設ける栽培棚を上下に複数段設ける場合には、栽培棚の段数をできるだけ多く確保する上で有利になる。
【0031】
本発明の第6特徴構成は、
前記天井排気孔を前記下向き凹部の内部に開口させてある点にある。
【0032】
この構成によれば、下向き凹部の内部において発生する栽培照明灯の発生熱を下向き凹部内に開口する天井排気孔から棚上栽培空間の空間内気体とともに速やかに排出することができ、これにより、棚上栽培空間の状態調整として棚上栽培空間を冷房する場合には、照明による冷房負荷を低減することができて、棚上栽培空間の状態調整(冷房)に要するエネルギや運転コストを一層低減することができる。
【0033】
本発明の第7特徴構成は、
前記棚上栽培空間の床部に棚上栽培槽を設け、
前記棚上栽培空間の両側部夫々で前記棚上栽培槽の側縁部と前記厚板状ブロック体の側縁部とにわたる縦壁部材を設けて、前記棚上栽培空間をトンネル状の空間にしてある点にある。
【0034】
この構成によれば、天井給気孔から棚上栽培空間に供給した空間調整気体の一部が棚上栽培空間の周囲に逸散すること(換言すれば、棚上栽培空間の周辺の温度状態などを不必要に調整してしまうこと)を、棚上栽培槽の側縁部と厚板状ブロック体の側縁部とにわたる縦壁部材により防止することができ、これにより、棚上栽培空間の状態だけを一層集中的かつ効率的に調整することができて、その状態調整に要するエネルギや運転コストをさらに効果的に低減することができる。
【0035】
また、棚上栽培空間において栽培照明灯の発生光が縦壁部材により棚上栽培空間の内側へ反射することで、栽培照明灯の必要発光量を低減することもでき、この点でも必要エネルギや運転コストを低減することができる。
【0036】
なお、この構成の実施において、縦壁部材を樹脂材(望ましくは発泡スチロールなどに代表される発泡樹脂材)で形成すれば、装置の製作を容易にするとともに、その縦壁部材を同じく樹脂製の厚板状ブロック体とともに棚上栽培空間に対する効果的な断熱層として機能させることもでき、棚上栽培空間の状態調整として棚上栽培空間に冷房ないし暖房を施す場合には、冷房負荷や暖房負荷を一層効果的に低減することもできる。
【0037】
また、上記縦壁部材を開閉自在な構造や着脱自在な構造にして棚上栽培空間の点検やメンテナンスを容易に行えるようにしてもよい。
【0038】
本発明の第8特徴構成は、
前記棚上栽培空間の床部に棚上栽培槽を設け、
この棚上栽培槽に供給する栽培養液を冷却又は加熱する熱源手段を設けるとともに、
前記給気手段により前記棚上栽培槽に供給する空間調整気体を熱媒液と熱交換させて冷却又は加熱する気液熱交換器を設け、
前記棚上栽培槽に栽培養液を供給する給液手段は、前記熱源手段により冷却又は加熱した栽培養液を前記熱媒液として前記気液熱交換器に通過させて空間調整気体と熱交換させ、この熱交換後の栽培養液を前記棚上栽培槽に供給する構成にし、
前記給気手段は、前記気液熱交換器で栽培養液と熱交換した後の空間調整気体を前記棚上栽培槽に供給する構成にしてある点にある。
【0039】
この構成によれば、棚上栽培槽に供給する栽培養液の温度(給液温度)、及び、棚上栽培空間に供給する空間調整気体の温度(給気温度)の夫々について、栽培植物の生育に適した温度(即ち、棚上栽培槽内の養液や棚上栽培空間を栽培植物の生育に適した温度状態に保つことができる養液温度や気体温度)が栽培条件などにより異なるにしても、気液熱交換器での熱交換条件(例えば、栽培養液及び空間調整気体夫々の温度、流量、流速など)を状況に応じたものに設定にすれば、熱源手段により冷却又は加熱した栽培養液を先ず熱媒液として気液熱交換器に通過させることで、空間調整気体を気液熱交換器での栽培養液との熱交換により所要温度まで冷却又は加熱することができ、これにより、棚上栽培空間に供給する空間調整気体の温度(給気温度)を栽培植物の生育に適した温度(つまり、棚上栽培空間の調温負荷を処理して棚上栽培空間を栽培植物の生育に適した温度状態に保つことができる気体温度)に調整することができる。
【0040】
また同時に、栽培養液を気液熱交換器での上記熱交換に伴い所要温度幅だけ温度変化させる(即ち、空間調整気体の冷却に伴い所要温度幅だけ温度上昇させる、又は、空間調整気体の加熱に伴い所要温度幅だけ温度降下させる)ことができ、これにより、棚上栽培槽に供給する栽培養液の温度(給液温度)も栽培植物の育成に適した温度(つまり、棚上栽培槽内の養液の調温負荷を処理して棚上栽培槽内の養液を栽培植物の生育に適した温度状態に保つことができる養液温度)に調整することができる。
【0041】
そして、この構成であれば、栽培養液を気体調温用の熱媒液に兼用する形態を採るから、熱源手段については栽培養液を冷却又は加熱する熱源手段を設けるだけで済むとともに、調温用の熱交換器についても気体調温用の気液熱交換器を装備するだけで済み、また、熱源手段と調温用の熱交換器との接続も本来の養液用の配管で済ませることができる。
【0042】
したがって、養液用の熱源手段と気体用の熱源手段とを各別に装備する場合に比べて、また、共通熱源手段に対し養液調温用の熱交換器と気体調温用の熱交換器とを並列的に接続する場合と比べても、装置の全体構成を効果的に簡素化及び小型化することができて、装置コストを大きく低減し得るとともに、装置設置に必要なスペースも大きく縮減することができる。
【0043】
本発明の第9特徴構成は、
複数の前記厚板状ブロック体をその面方向で一列状に連ねて、前記棚上栽培空間を前記厚板状ブロック体ごとの栽培領域に区分し、
前記気液熱交換器を前記栽培領域ごとに設け、
前記給液手段は、前記熱源手段により冷却又は加熱した栽培養液を複数の前記気液熱交換器に対して並列的に分配供給する構成にし、
前記給気手段は、前記気液熱交換器の夫々において冷却又は加熱した空間調整気体を対応栽培領域に対する前記厚板状ブロック体の前記内部給気路及び前記天井給気孔を通じて対応栽培領域に供給する構成にしてある点にある。
【0044】
この構成によれば、気液熱交換器を栽培領域ごとに装備するから、気液熱交換器で冷却又は加熱した空間調整気体の給気ダクトとして、気液熱交換器の夫々を対応栽培領域の厚板状ブロック体における内部給気路に接続する給気ダクトを施設するだけで済み、各栽培領域に空間調整気体を供給する給気ダクトを1つの気液熱交換器から棚上栽培空間の全長にわたって施設するのに比べ、給気ダクトの施設量を小さくすることができ、これにより、装置を一層コンパクトにすることができ、また、装置の製作も一層容易にすることができる。
【0045】
そしてまた、1つの栽培領域分を装置の単位構成として、一列状に連ねる単位構成数を必要に応じて選択する製作形態を採ることで、棚上栽培空間の長さが異なる複数種の装置の製作を容易にすることもできる。
【0046】
本発明の第10特徴構成は、
前記棚上栽培槽を複数の前記栽培領域にわたらせて配設し、
前記給液手段は、前記気液熱交換器の夫々を通過した栽培養液を対応栽培領域において前記棚上栽培槽に供給する構成にしてある点にある。
【0047】
この構成によれば、棚上栽培槽における各栽培領域の対応部分ごとに栽培養液を供給するから、新鮮な栽培養液を棚状栽培槽の各部に対し均等に供給することができ、これにより、棚上栽培空間における栽培植物に対し均等に養液効果を与えることができて、栽培植物の生育差や生育不良率を一層効果的に軽減することができる。
【0048】
また、この構成によれば、前述の如く1つの栽培領域分を装置の単位構成として、一列状に連ねる単位構成数を必要に応じて選択する製作形態の採用も一層容易にすることができる。
【0049】
本発明の第11特徴構成は、
前記棚上栽培空間を設ける栽培棚を上下に複数段配設し、それら各段の栽培棚について前記棚上栽培空間を一列状に連ねた前記厚板状ブロック体ごとの前記栽培領域に区分し、
前記給気手段は、前記気液熱交換器の夫々において冷却又は加熱した空間調整気体を各段栽培棚の対応栽培領域に対する前記厚板状ブロック体の前記内部給気路及び前記天井給気孔を通じて各段栽培棚の対応栽培領域に分配供給する構成にし、
前記給液手段は、前記気液熱交換器の夫々を通過した栽培養液を各段栽培棚の対応栽培領域において各段栽培棚の前記棚上栽培槽に分配供給する構成にしてある点にある。
【0050】
この構成によれば、棚上栽培空間を設ける栽培棚を上下に複数段配設する構成において、前述第9特徴構成による作用効果及び前述第10特徴構成による作用効果を得ることができ、これにより、コンパクトで製作も容易でありながら棚上栽培空間を面積的に大きく確保できるとともに栽培植物の生育差や生育不良率も効果的に軽減することができる装置にすることができる。
【0051】
本発明の第12特徴構成は、
前記棚上栽培槽と前記厚板状ブロック体とがともに発泡樹脂材からなる点にある。
【0052】
この構成によれば、棚上栽培空間の天井部を形成する厚板状ブロック体と、棚上栽培空間の床部を形成する棚上栽培槽とがともに軽量になることで、装置の製作を一層容易にすることができる。
【0053】
また、厚板状ブロック体及び棚上栽培槽を発泡樹脂材により形成することで、それら天井側の厚板状ブロック体及び床側の棚上栽培槽を、その槽内栽培液及び棚上栽培空間に対する効果的な断熱層として機能させることができ、これにより、棚上栽培空間の状態調整として棚上栽培空間に冷房ないし暖房を施す場合に、冷房負荷や暖房負荷を一層効果的に低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】植物栽培棚装置の斜視図
【図2】植物栽培棚装置の正面視断面図
【図3】植物栽培棚装置の分解斜視図
【図4】棚上栽培空間の天井部の分解斜視図
【図5】厚板状ブロック体の分解斜視図
【図6】植物栽培棚装置の平面視断面図
【図7】植物栽培棚装置の配管系統図
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1及び図2は植物栽培棚装置を示し、この装置では図3に示す如く、支柱1に各種の横フレーム2を横架して棚格子3を形成し、この棚格子3の上に棚上栽培槽4を載設して栽培棚5を構成してある。
【0056】
栽培棚5は上下に複数段(図では3段)設けてあり、各段の栽培棚5において、棚上栽培槽4の上には棚上栽培空間6を確保し、この棚上栽培空間6の天井部には栽培照明灯7を装備してある。
【0057】
棚上栽培槽4に貯留する栽培養液Lの液面上には栽培プレート8を配設してあり、この栽培プレート8に行列配置で形成した多数の栽培孔に栽培植物(図示省略)の根元部を挿入することで、レタスに代表される葉野菜などの多数の栽培植物を、それらの根元部が槽内の栽培養液Lに浸漬する状態にして栽培する。
【0058】
栽培照明灯7を装備する棚上栽培空間6の天井部は、金具を介して上段の棚格子3に支持させた厚板状ブロック体9で形成してあり、棚上栽培空間6の両側部には棚上栽培槽4の側縁部と厚板状ブロック体9の側縁部とにわたる縦壁部材10を設け、この縦壁部材10により棚上栽培空間6の両側部を閉塞することで、棚上栽培空間6をトンネル状の空間にしてある。
【0059】
棚上栽培空間6の床部を形成する棚上栽培槽4、棚上栽培空間6の天井部を形成する厚板状ブロック体9、並びに、棚上栽培空間6の両側部を閉塞する縦壁部材10はいずれも発泡スチロールで形成してあり、これにより、これら棚上栽培槽4、厚板状ブロック体9、縦壁部材10の製作加工並びに組み付けを容易にするとともに、発泡スチロールが備える高い断熱性をもって棚上栽培空間6に対する効果的な断熱効果を得ることができる。
【0060】
栽培照明灯7については、厚板状ブロック体9の下面部(即ち、天井面部)に、横断面形状が伏椀状の下拡がり形状で棚上栽培空間6に向かって下向きに開口する溝状の下向き凹部11を形成し、この溝状の下向き凹部11の上底部に、その溝状構造の全長にわたらせて栽培照明灯7を配置してある。
【0061】
この溝状の下向き凹部11の内面には光反射層11aを設けてあり、これにより、下向き凹部11を照明反射板とする形態で、栽培照明灯7の発生光のうち下向き凹部11の内面に向うものを反射させて棚上栽培空間6を効率的に照明する。
【0062】
栽培照明灯7は、下向き凹部11の上底部近くで厚板状ブロック体9の下面部に埋没状態で沿わせた棒状フレーム12に支持させてあり、この棒状フレーム12は厚板状ブロック体9とともに金具を介して上段の棚格子3に支持させてある。
【0063】
図2及び図4〜図6に示すように、天井部を形成する厚板状ブロック体9の内部には、櫛歯状に分岐して厚板状ブロック体9の面方向(本例では長手方向)に延びる複数の内部給気路13、及び、同じく櫛歯状に分岐して厚板状ブロック体9の面方向に延びる複数の内部排気路14を、平面視で噛み合せ状に交互配置して形成してあり、厚板状ブロック体9の一側面における長手方向一端部には、内部給気路13の入口となる給気接続口13aを形成し、厚板状ブロック体9の他側面における長手方向他端部には、内部排気路14の出口となる排気接続口14aを形成してある。
【0064】
また、厚板状ブロック体9には、内部給気路13と棚上栽培空間6とを連通させる複数の天井給気孔13b、及び、内部排気路14と棚上栽培空間6とを連通させる複数の天井排気孔14bの夫々を、厚板状ブロック体9の面方向に分散させて形成してある。
【0065】
つまり、後述する気液熱交換器15により冷却した空間調整空気G(空間調整気体の一例)を、給気接続口13a、内部給気路13,天井給気孔13bを通じて天井部から均一に棚上栽培空間6に供給し、また、これに併行して棚上栽培空間6の空間内空気G′を、天井排気孔14b、内部排気路14、排気接続口14aを通じて天井部から均一に排出し、これにより、棚上栽培空間6に対し集中的かつ均一に調温(冷房)を施して、棚上栽培空間6の全体を栽培植物の育成に適した均一な温度状態に調整する。
【0066】
天井排気孔14bは、栽培照明灯7を装備する下向き凹部11の上底部で下向き凹部11の内部に開口させてあり、これにより、栽培照明灯7の大量の発生熱を空間内空気G′とともに棚上栽培空間6から速やかに排出して棚上栽培空間6の調温負荷(冷房負荷)を効果的に軽減する。
【0067】
図2、図3及び図7に示すように、空間調整空気Gを冷却する気液熱交換器15は、空間調整空気Gを各段の棚上栽培空間6に供給する循環ファン16とともに最下段の栽培棚5の下に配置し、この気液熱交換器15の空気出口を、縦姿勢で各段の栽培棚5にわたる給気縦ダクト17を通じて各段の厚板状ブロック体9における給気接続口13aに接続するとともに、この気液熱交換器15の空気入口を、同じく縦姿勢で各段の栽培棚5にわたる排気縦ダクト18を通じて各段の厚板状ブロック体9における排気接続口14aに接続してある。
【0068】
つまり、気液熱交換器15で冷却した空間調整空気Gの供給に伴い各段の棚上栽培空間6から排出される空間内空気G′を排気縦ダクト18を通じて集合状態で気液熱交換器15に戻して冷却し、この冷却空気を再び空間調整空気Gとして給気縦ダクト17を通じ各段の棚上栽培空間6に分配供給するようにしてある。
【0069】
即ち、本例において、循環ファン16及び給気縦ダクト17は、厚板状ブロック体9の内部給気路13を通じて棚上栽培空間6に空間調整空気Gを供給する給気手段を構成する。
【0070】
また、循環ファン16及び排気縦ダクト18は、厚板状ブロック体9の内部排気路14を通じて棚上栽培空間6の空間内空気G′を排出する排気手段を構成する。
【0071】
各段の棚上栽培空間6はトンネル状の空間にしてあるため、各段の棚上栽培空間6に供給した空間調整空気Gの外部への逸散は効果的に抑制され、これにより、各段の棚上栽培空間6だけを集中的かつ効率的に調温(冷房)することができて、その調温に要するエネルギや運転コストを効果的に低減することができる。
【0072】
図4及び図5に示すように、厚板状ブロック体9は上側板状部分9aと下側板状部分9bとからなる二分割構造にしてあり、上側板状部分9aの分割面部(下面部)には、給気路用溝13cと排気路用溝14cとを形成してある。
【0073】
また、下側板状部分9bの分割面部(上面部)には、同じく給気路用溝13dと排気路用溝14dとを形成するとともに、天井給気孔13b及び天井排気孔14bを形成してあり、これら上側板状部分9aと下側板状部分9bとを結合して厚板状ブロック体9を形成すると、それに伴い、上側板状部分9aの給気路用溝13cと下側板状部分9bの給気路用溝13dとが合わさって内部給気路13が厚板状ブロック体9の内部に形成されるとともに、上側板状部分9aの排気路用溝14cと下側板状部分9bの排気路用溝14dとが合わさって内部排気路14が厚板状ブロック体9の内部に形成される。
【0074】
図1は植物栽培棚装置の単位構成U(換言すれば1ユニット)を示すものであり、図7に示すように、この単位構成Uを一列状に連ねて複数配置することで所要長の植物栽培棚装置を構築する。
【0075】
そして、この場合、複数の厚板状ブロック体9が装置長手方向に一列状に連なる装置構成となることで、装置の全長にわたって連続する各段の棚上栽培空間6も形式的には厚板状ブロック体9ごとの栽培領域6aに区分され、それら栽培領域6aごとに、気液熱交換器15、循環ファン16、給気縦ダクト17、排気縦ダクト18からなる給排気システムを配備した装置構成になる。
【0076】
図7において、19は各段の棚上栽培槽4に供給する栽培養液Lを冷却する熱源側熱交換器であり、この熱源側熱交換器19では、冷凍機20との間での冷水循環路21を通じた冷水循環おいて冷凍機20から供給される低温冷水Cと、還液路22を通じて各段の棚上栽培槽4から戻る栽培養液L′とを熱交換させて、その栽培養液L′を所定温度to(熱源側出口温度)まで冷却する。
【0077】
還液路22には、補給水路23及び補給液路24を接続した補給槽25を介装してあり、この補給槽25において、各段の棚上栽培槽4から戻る栽培養液L′に対し、所要量の水Wを補給水路23から補給するとともに所要量の原養液LLを補給液路24から補給することで、常時一定濃度の栽培養液Lを各段の棚上栽培槽4に供給する。
【0078】
熱源側熱交換器19で冷却した栽培養液Lは定水量型の循環ポンプ26により主給液路27を通じて栽培領域6aごとの気液熱交換器15に分配送給し、これら気液熱交換器15では、対応の排気縦ダクト18を通じて各段棚上栽培空間6の対応栽培領域6aから戻る空間内空気G′を、主給液路27から供給される冷却後の栽培養液Lと対向流方式で熱交換させて所定温度tgiまで冷却し、この冷却空気を空間調整空気Gとして対応の給気縦ダクト17を通じて各段棚上栽培空間6の対応栽培領域6aに供給する。
【0079】
また、栽培領域6aごとの気液熱交換器15の夫々を通過した熱交換後の栽培養液L(即ち、空間調整空気Gとの熱交換で熱源側出口温度toから所定温度幅Δtだけ昇温した栽培養液)は、栽培領域6aごとの縦給液路28を通じて各段棚上栽培空間6の対応栽培領域6aにおいて各段の棚上栽培槽4に分配供給する。
【0080】
即ち、循環ポンプ26、主給液路27、並びに、上記栽培領域6aごとの縦給液路28は棚上栽培槽4に栽培養液Lを供給する給液手段を構成する。
【0081】
各段の棚上栽培槽4には、棚上栽培槽4の液位を所定液位に保つオーバーフロー排液口29を装置長手方向の一端部に配置して装備してあり、各段の棚上栽培空間6において上記の如く栽培領域6aごとに栽培養液Lを棚上栽培槽4に供給するのに伴い、各段の棚上栽培槽4における槽内の栽培養液L′は各段のオーバーフロー排液口29へオーバーフローにより流出させ、これら各段のオーバーフロー排液口29から排出される栽培養液L′を還液路22を通じて熱源側熱交換器19に戻すようにしてある。
【0082】
つまり、この植物栽培棚装置であれば、各気液熱交換器15における熱交換条件(例えば、栽培養液L及び空間調整空気G夫々の温度、流量、流速など)を栽培条件や調温負荷などに応じて設定しておくことで、それら気液熱交換器15での栽培養液Lと空間調整空気Gとの熱交換をもって、各段の棚上栽培空間6に供給する空間調整空気Gの温度tgi(給気温度)を、栽培植物の生育に適した温度(即ち、各段の棚上栽培空間6の調温負荷を処理して各段の棚上栽培空間6を栽培植物の生育に適した温度状態に保ち得る空気温度)に調整すると同時に、各段の棚上栽培槽4に供給する栽培養液Lの温度ti[=to+Δt](給液温度)も、栽培植物の生育に適した温度(即ち、各段の棚上栽培槽4内における養液Lの調温負荷を処理して各段の棚上栽培槽4内における養液Lを栽培植物の生育に適した温度状態に保ち得る養液温度)に調整することができる。
【0083】
そして、熱源側熱交換器19で冷却した栽培養液Lを気液熱交換器15での空間調整空気Gの冷却に用いて、栽培養液Lを空間調整空気Gに対する冷却用熱媒液として兼用する形態を採ることで、また、熱源側熱交換器19及び冷凍機20からなる養液用の熱源手段Nを空間調整空気Gに対する空気用の熱源手段に兼ねる形態を採ることで、装置構成の効果的な簡素化及び小型化を可能にしている。
【0084】
なお、レタスなどの一般葉野菜を栽培する場合、気液熱交換器15に供給する栽培養液Lの熱源側出口温度to、及び、気液熱交換器15での熱交換による栽培養液Lの温度上昇幅Δt(=ti−to)の好適な設計値例としては、to=10℃〜14℃,Δt=3℃deg〜7℃deg、最も望ましくはto=12℃,Δt=5℃を挙げることができる。
【0085】
30は各段の棚上栽培空間6における温度trを検出する温度センサ、Vは冷凍機20から熱源側熱交換器19に供給する冷水Cの流量を調整して熱源側熱交換器19の冷却出力を調整するための流量調整弁、31は各段の温度センサ30による検出温度trに基づき流量調整弁Vを操作する制御装置である。
【0086】
そして、この制御装置31は、各段の温度センサ30による検出温度trに基づき流量調整弁Vの操作して熱源側熱交換器19の冷却出力を調整することで、気液熱交換器15に供給する栽培養液Lの熱源側出口温度toを調整し、この熱源側出口温度toの調整により、各段の棚上栽培空間6における温度trを平均的に設定空間温度trs(つまり、栽培植物の生育に適した空間温度として設定された温度)に調整するよう動作する構成にしてある。
【0087】
なお、この制御装置31は、擬似夜間としての照明消灯時と擬似昼間としての照明点灯時とで設定空間温度trsを自動的に変更し、そのことで栽培植物に対し光と温度との両面から昼夜を擬似体験させるものにしてもよい。
【0088】
また、栽培植物の生育状態に応じて設定空間温度trsを自動的に変更するものにしてもよい。
【0089】
〔別実施形態〕
上述の実施形態では、厚板状ブロック体9を棚上栽培槽4及び縦壁部材10とともに発泡スチロールで形成する例を示したが、本発明の実施において、厚板状ブロック体9の形成材としては、発泡スチロールに限らず種々の樹脂材を用いることができる。
【0090】
上述の実施形態では、厚板状ブロック体9を二分割構造にして、分割部分に給気路用溝13c,13d及び排気路用溝14c,14dを形成しておくことで、内部給気路13及び内部排気路14を形成する例を示したが、これに代え、穿孔加工により樹脂製の厚板状ブロック体9に内部給気路13及び内部排気路14を形成したり、厚板状ブロック体9の樹脂成型の際に内部給気路13及び内部排気路14を形成するようにしてもよい。
【0091】
上述の実施形態では、棚上栽培空間6を1つの厚板状ブロック体9ごとの栽培領域6aに区分する例を示したが、これに代え、棚上栽培空間6を装置長手方向に連なる複数の厚板状ブロック体9ごとの栽培領域6aに区分するようにしてもよい。
【0092】
上述の実施形態では、複数の栽培領域6aにわたる棚上栽培槽4の長手方向における端部からのみオーバーフロー排液口29を通じて栽培養液Lを排出するようにしたが、棚上栽培槽4に対して栽培領域6aごとに栽培養液Lを供給するのに対応させて、棚上栽培槽4における栽培養液Lを栽培領域6aごとに排出するようにしてもよい。
【0093】
また、棚上栽培槽4を複数の栽培領域6aにわたる一連の槽にするのに代え、棚上栽培槽4を栽培領域6aごとに独立した槽にしてもよい。
【0094】
空間調整気体Gの供給による棚上栽培空間6の状態調整は、冷房や暖房などの温度調整、加湿や除湿などの湿度調整、二酸化炭素ガスなどの栽培用特定ガスの濃度調整など、どのような内容であってもよく、その調整内容に応じて、棚上栽培空間に供給する空間調整気体としても、冷却気体、加熱気体、除湿気体、加湿気体など、どのような気体を採用してもよい。
【0095】
また、その気体種も空気に限らず、二酸化炭素ガスや二酸化炭素富裕空気などの栽培用ガスであってもよい。
【0096】
本発明による植物栽培棚装置は、前述の実施形態の如き上下複数段の棚構造のものに限らず、棚上栽培空間6を一段だけ備えるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明による植物栽培棚装置は種々の植物の棚栽培に使用することができる。
【符号の説明】
【0098】
6 棚上栽培空間
G 空間調整気体
16,17 給気手段
G′ 空間内気体
16,18 排気手段
9 厚板状ブロック体
13 内部給気路
14 内部排気路
13b 天井給気孔
14b 天井排気孔
9a 上側板状部分
9b 下側板状部分
13c,13d 給気路用溝
14c,14d 排気路用溝
5 栽培棚
11 下向き凹部
7 栽培照明灯
11a 光反射層
4 棚上栽培槽
10 縦壁部材
L 栽培養液
N 熱源手段
15 気液熱交換器
26〜28 給液手段
6a 栽培領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚上栽培空間に空間調整気体を供給する給気手段、及び、前記棚上栽培空間から空間内気体を排出する排気手段を備える植物栽培棚装置であって、
樹脂製の厚板状ブロック体で前記棚上栽培空間の天井部を形成し、
この厚板状ブロック体の面方向に延びる内部給気路及び内部排気路を前記厚板状ブロック体の内部に形成するとともに、
前記内部給気路と前記棚上栽培空間とを連通させる複数の天井給気孔、及び、前記内部排気路と前記棚上栽培空間とを連通させる複数の天井排気孔を、夫々、前記厚板状ブロック体の面方向に分散させて前記厚板状ブロック体に形成し、
前記給気手段は、前記内部給気路及び前記天井給気孔を通じて前記棚上栽培空間に空間調整気体を供給する構成にし、
前記排気手段は、前記内部排気路及び前記天井排気孔を通じて前記棚上栽培空間から空間内気体を排出する構成にしてある植物栽培棚装置。
【請求項2】
前記厚板状ブロック体を下側板状部分と上側板状部分とからなる二分割構造にし、
この下側板状部分に前記天井給気孔及び前記天井排気孔を形成し、
前記下側板状部分と前記上側板状部分とを結合して前記厚板状ブロック体を形成することにより前記内部給気路となる給気路用溝を、前記下側板状部分と前記上側板状部分とのいずれか一方又は両方に形成するとともに、
前記下側板状部分と前記上側板状部分とを結合して前記厚板状ブロック体を形成することにより前記内部排気路となる排気路用溝を、前記下側板状部分と前記上側板状部分とのいずれか一方又は両方に形成してある請求項1記載の植物栽培棚装置。
【請求項3】
前記厚板状ブロック体が発泡樹脂材からなる請求項1又は2記載の植物栽培棚装置。
【請求項4】
前記棚上栽培空間を設ける栽培棚を上下に複数段配設し、それら各段の栽培棚について、前記棚上栽培空間の天井部を前記厚板状ブロック体で形成し、
前記給気手段は、各段の栽培棚について前記厚板状ブロック体に形成した前記内部給気路及び前記天井給気孔を通じて前記棚上栽培空間に空間調整気体を供給する構成にし、
前記排気手段は、各段の栽培棚について前記厚板状ブロック体に形成した前記内部排気路及び前記天井排気孔を通じて前記棚上栽培空間から空間内気体を排出する構成にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物栽培棚装置。
【請求項5】
前記厚板状ブロック体の下面部に、断面形状が下拡がり形状で前記棚上栽培空間に向かって下向きに開口する下向き凹部を形成し、
この下向き凹部の内部に栽培照明灯を配置するとともに、この下向き凹部の内面に光反射層を設けてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物栽培棚装置。
【請求項6】
前記天井排気孔を前記下向き凹部の内部に開口させてある請求項5記載の植物栽培棚装置。
【請求項7】
前記棚上栽培空間の床部に棚上栽培槽を設け、
前記棚上栽培空間の両側部夫々で前記棚上栽培槽の側縁部と前記厚板状ブロック体の側縁部とにわたる縦壁部材を設けて、前記棚上栽培空間をトンネル状の空間にしてある請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物栽培棚装置。
【請求項8】
前記棚上栽培空間の床部に棚上栽培槽を設け、
この棚上栽培槽に供給する栽培養液を冷却又は加熱する熱源手段を設けるとともに、
前記給気手段により前記棚上栽培槽に供給する空間調整気体を熱媒液と熱交換させて冷却又は加熱する気液熱交換器を設け、
前記棚上栽培槽に栽培養液を供給する給液手段は、前記熱源手段により冷却又は加熱した栽培養液を前記熱媒液として前記気液熱交換器に通過させて空間調整気体と熱交換させ、この熱交換後の栽培養液を前記棚上栽培槽に供給する構成にし、
前記給気手段は、前記気液熱交換器で栽培養液と熱交換した後の空間調整気体を前記棚上栽培槽に供給する構成にしてある請求項1〜7のいずれか1項に記載の植物栽培棚装置。
【請求項9】
複数の前記厚板状ブロック体をその面方向で一列状に連ねて、前記棚上栽培空間を前記厚板状ブロック体ごとの栽培領域に区分し、
前記気液熱交換器を前記栽培領域ごとに設け、
前記給液手段は、前記熱源手段により冷却又は加熱した栽培養液を複数の前記気液熱交換器に対して並列的に分配供給する構成にし、
前記給気手段は、前記気液熱交換器の夫々において冷却又は加熱した空間調整気体を対応栽培領域に対する前記厚板状ブロック体の前記内部給気路及び前記天井給気孔を通じて対応栽培領域に供給する構成にしてある請求項8記載の植物栽培棚装置。
【請求項10】
前記棚上栽培槽を複数の前記栽培領域にわたらせて配設し、
前記給液手段は、前記気液熱交換器の夫々を通過した栽培養液を対応栽培領域において前記棚上栽培槽に供給する構成にしてある請求項9記載の植物栽培棚装置。
【請求項11】
前記棚上栽培空間を設ける栽培棚を上下に複数段配設し、それら各段の栽培棚について前記棚上栽培空間を一列状に連ねた前記厚板状ブロック体ごとの前記栽培領域に区分し、
前記給気手段は、前記気液熱交換器の夫々において冷却又は加熱した空間調整気体を各段栽培棚の対応栽培領域に対する前記厚板状ブロック体の前記内部給気路及び前記天井給気孔を通じて各段栽培棚の対応栽培領域に分配供給する構成にし、
前記給液手段は、前記気液熱交換器の夫々を通過した栽培養液を各段栽培棚の対応栽培領域において各段栽培棚の前記棚上栽培槽に分配供給する構成にしてある請求項10記載の植物栽培棚装置。
【請求項12】
前記棚上栽培槽と前記厚板状ブロック体とがともに発泡樹脂材からなる請求項7〜11のいずれか1項に記載の植物栽培棚装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−51942(P2013−51942A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194228(P2011−194228)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】