説明

植物由来氷結晶化阻害剤

【課題】実用にかなう優れた氷結晶化阻害活性を有する氷結晶化阻害剤を、食品製造に利用できる安全な工程で、簡単に、効率よく、安価に提供する。
【解決手段】植物に由来し、かつ、ゲル濾過により測定した分子量が400kDa以上であって複数のサブユニットから構成されることを特徴とする氷結晶化阻害物質である氷結晶化阻害、および実用にかなう優れた氷結晶化阻害活性を有し、食品製造に利用できる氷結晶化阻害物質提供の安全な工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷結晶化阻害剤に関するものである。より詳しくは、Brassica juncea種の植物から得られる氷結晶化阻害剤である。
【背景技術】
【0002】
低温時の生体防御物質の1つとして氷結晶化阻害タンパク質(不凍タンパク質、AFP)が知られている。AFPは、水が凍ってしまう氷点下の温度域において細胞内に生成する氷結晶の表面に吸着してその成長を食い止め、細胞の凍結を妨げる働きをもつ。このようなAFPは、例えば、魚類、昆虫、植物、菌類、微生物等から見出されている。
【0003】
魚類、昆虫由来のAFPは研究が進んでおり、数種類の異なるタイプのAFPが知られている。I型AFPは、例えばカレイ科やカジカ科の魚類などに見出されており、連続したAla残基から構成された一本鎖α-らせん構造をとる、分子量が3.3〜5.0kDaのものが報告されている(非特許文献1)。II型AFPは、例えばキュウリウオやタイセイヨウニシンに見出されており、S−S結合を有し、カルシウム依存型レクチンの糖認識領域と高い相同性を有する、分子量が14kDa以上のものが報告されている(非特許文献1)。III型AFPは、三次元構造情報が多く得られている球状タンパク質であり、陰イオン交換樹脂に結合するものと陽イオン交換樹脂に結合するものとに分類される。例えば、マクロゾアルケルスアメリカヌスに見出されており、分子量は6〜7kDaのものが報告されている(非特許文献1)。IV型AFPは、Glu及びGlnに富み、アポリポプロテインE3と高い相同性を示し、高いαへリックス含量、特徴的な六方偏四角面体型氷結晶が観測されている。例えば、108残基からなる分子量が12kDaのカジカ科のミオクソケファルスオコトデケンスピノスス由来のものが報告されている(非特許文献1)。βへリックス型AFPは、−Thr−Xaa−Thr−とCysを特定の位置に含む12残基から13残基の繰り返しアミノ酸配列から構成され、高い熱ヒステリシスを示すことが報告されている。例えばチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫や穀物害虫の幼虫などに見出されており、分子量が約9kDaのものが報告されている(非特許文献1)。不凍糖タンパク質(AFGP)は、主として−Ala−Ala−Thr−の繰り返しから構成され、Thrの側鎖が氷結晶結合に関わる二糖で修飾されていることが知られている。例えばノトセニア科の魚類に見出されており、分子量が2.2〜33kDaのものが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
植物由来のAFPとしては、冬ライ麦、ニンジン由来のものなどが知られている。例えば冬ライ麦由来のAFPはグルカナーゼ、キチナーゼ、ソーマチン様タンパク質を含んでおり、複合体を形成し、サブユニットの分子量は16〜35kDaであることが知られている。(非特許文献2)。ニンジン由来のAFPは、分子量36kDaの単量体として存在することが知られている(非特許文献3)。
【0005】
菌類由来のAFPとしては、例えばイシカリガマノホタケ、南極エノキ(Flammulina belutipes KUAF−1)などの担子菌類由来のものが知られている。これらのAFPは細胞外分泌タンパク質であり、イシカリガマノホタケ由来のものは分子量が15〜30kDaであることが報告されている(特許文献1、2)。
【0006】
微生物由来のAFPとしては、例えばフラボバクテリウム(Flavobacterium)属由来のものが知られている。分子量は19kDaで、0.5℃以上という高い熱ヒステリシス活性を示すことが報告されている(特許文献3)。Pseudomonas putida GR12−2から分泌される不凍タンパク質は、分子量164kDaの新規なリポ糖タンパク質であることが知られている(非特許文献4)。
【0007】
しかしながら、これまでに報告されているAFPを含む魚類、植物、昆虫、菌類、細菌等は、その生体内に微量しか存在せず抽出効率が非常に悪いものや、多量に存在していても捕獲、培養が難しいものなどであり、工業的に生産し食品用途として利用できるものはない。魚類又は昆虫類のAFPについては、遺伝子組み換え技術を用いて生産性を高めている報告もある(特許文献4、5)。しかしながら、そのような組換え技術を利用しなくとも、より簡便な方法で効率よく、安価にAFPを提供し得る方法が求められているのが現状である。このような事情に鑑みると、従来公知の氷結晶化阻害物質のみで十分ということはなく、新規でより有用な氷結晶化阻害物質の開発が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−24237号公報
【特許文献2】特開2004−275008号公報
【特許文献3】特開2004−161761号公報
【特許文献4】国際公開WO92/16618号パンフレット
【特許文献5】国際公開WO97/28260号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】生物物理, 2003, Vol.43, No.3, 130-135
【非特許文献2】Plant Physiology, 1999, Vol.119, 1361-1369
【非特許文献3】Biochem. J., 1999, Vol.340, 385-391
【非特許文献4】Can. J. Microbiol., 1998, Vol44, 64
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決課題は、実用にかなう優れた氷結晶化阻害活性を有する氷結晶化阻害剤を、食品製造に利用できる安全な工程で、簡単に、効率よく、安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行なった。その結果、Brassica juncea種の植物から氷結晶化阻害物質を容易に得ることができること、さらに、その氷結晶化阻害物質が高分子の複合体として存在し、氷結晶化阻害物質を含む画分を得ることが容易であることから、工業的に極めて簡便な方法で効率よく提供できることを見出し、本願発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明の特徴の一つは、植物に由来し、かつ、ゲル濾過により測定した分子量が400kDa以上であることを特徴とする氷結晶化阻害物質に関するものである。
【0013】
本発明の別の特徴の一つは、さらに、複数のサブユニットから構成されることを特徴とする氷結晶化阻害物質に関するものである。
【0014】
本発明の別の特徴の一つは、さらに、少なくとも1つのサブユニットの分子量が、SDS−PAGEで34kDa又は71kDaであることを特徴とする氷結晶化阻害物質に関するものである。
【0015】
本発明の別の特徴の一つは、さらに、植物が、アブラナ科、セリ科、ユリ科及びキク科に属する植物からなる群から選ばれる1以上の植物、および、これらの類縁品種または改良品種であることを特徴とする氷結晶化阻害物質に関するものである。
【0016】
本発明の別の特徴の一つは、さらに、pH8において、陰イオン交換カラムに吸着することを特徴とする氷結晶化阻害物質に関するものである。
【0017】
本発明の別の特徴の一つは、さらに、pH6において、陽イオン交換カラムに吸着しないことを特徴とする氷結晶化阻害物質に関するものである。
【0018】
本発明の別の特徴の一つは、さらに、pH7.4において、糖結合タンパク質に吸着しないことを特徴とする氷結晶化阻害物質に関するものである。
【0019】
本発明の別の特徴の一つは、分画分子量5,000以上の分離膜を用いて分離・精製することを特徴とする氷結晶化阻害物質の製造方法に関するものである。
【0020】
本発明の別の特徴の一つは、氷結晶化阻害物質を解離して得ることができ、氷結晶化阻害活性を有するポリペプチドに関するものである。
【0021】
本発明の別の特徴の一つは、氷結晶化阻害物質、及び/又は、氷結晶化阻害物質を解離して得ることができ、氷結晶化阻害活性を有するポリペプチドを含む組成物、食品、臓器・細胞・血液(血小板)の保護剤、及び/又は、化粧品に関するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る氷結晶化阻害剤は、以上のように、Brassica juncea種の植物から容易に得ることが可能であり、また、その氷結晶化阻害剤は、高分子の複合体を形成するため、精製も容易で工業上極めて簡便に氷結晶化阻害剤を提供できるという効果を奏する。さらに、本発明の氷結晶化阻害剤を食品に添加することにより、冷凍食品の品質維持等に役立てることができる。また、本発明の氷結晶化阻害剤は、臓器や細胞の凍結保存における保護剤、血液(血小板)の凍結保存における保護剤、化粧品(皮膚の保護剤)にも有効に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態について説明すると、以下の通りである。
【0024】
本発明は、その第一の態様において、植物を抽出して得られる氷結晶化阻害タンパク質であり、その分子量が400kDa以上であることを特徴とする氷結晶化阻害物質に関するものである。
【0025】
本発明に係る氷結晶化阻害剤は、氷結晶の成長を阻害する機能を有するタンパク質を意味するものであり、熱ヒステリシスの測定、氷結晶構造の観察、氷再結晶化阻害の測定など公知のいずれかの方法により定義される氷結晶化阻害活性を有するタンパク質である。熱ヒステリシスとは、氷結晶化阻害剤水溶液中で平衡融点以下の温度であっても氷が成長できない温度域を言い、氷が水溶液中で成長を開始する温度を凝固点と定義すれば、熱ヒステリシスは平衡融点と凝固点の差として検出される。係る氷結晶化阻害剤を含む植物としては、とくに限定されるものではないが、例えば、アブラナ科、セリ科、ユリ科またはキク科に属する植物が挙げられる。アブラナ科に属する植物は、ハクサイ、ダイコン、ブロッコリー、チンゲンサイ、コマツナ、カブ、シロナ、野沢菜、広島菜、ミズナ、マスタード(Brassica juncea)等が挙げられる。セリ科に属する植物はニンジン等が、ユリ科に属する植物はネギ等が、キク科に属する植物は春菊等が挙げられる。これらの植物の類縁品種および改良品種も適宜使用することができる。これらの植物を低温馴化するなど公知の方法によって植物中の氷結晶化物質を誘導した状態で使用してもよい。低温馴化の温度としては、とくに限定されるものではないが、下限温度は0℃以上が好ましく、上限温度は20℃以下が好ましい。また低温馴化の期間としては、とくに限定されるものではないが、3日間以上行うことが好ましい。
【0026】
以下、本発明に係る氷結晶化阻害剤の性状について詳細に説明する。ここで精製した植物由来氷結晶化阻害剤は、分子量が400kDa以上であり、34kDa、71kDaの分子量を有する低分子のサブユニットを少なくとも一つ以上含んでなる複合体である。ここでサブユニットとは、上記の分子量400kDa以上の氷結晶化阻害物質を、例えばジチオスレイトールなどの還元剤の存在下、SDS−PAGEで分析した際に低分子のバンドとして認められ、分子量400kDa以上の氷結晶化阻害物質から解離して得られうるポリペプチドである。本発明の氷結晶化阻害剤は、これらのサブユニットからなる単量体か、サブユニットを2以上含んでなる複合体であっても良いし、複合体の一部を含んでも良い。複合体の一部としては例えば、34kDa、71kDaのサブユニットが挙げられるが、氷結晶化阻害を有する限り、特に限定されるものではない。
【0027】
さらに、本発明の氷結晶化阻害剤は、pH8.0の条件で、各種の陰イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィーにより吸着画分として得られること、および、pH6.0の条件で各種の陽イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィーにより非吸着画分として得られること、および各種糖結合タンパク質と結合、吸着しないことを特徴とするものである。ここで陰イオン交換体としては、特に限定されるものではないが、例えば、DEAE(Diethylaminoethyl)、Q(Quaternary Ammonium)などが挙げられる。また、陽イオン交換体としては、特に限定されるものではないが、例えば、CM(Carboxymethyl)、SP(Sulphopropyl)などが挙げられる。また、糖結合タンパク質(レクチン)とは、糖鎖を特異的に認識して結合、架橋形成するタンパク質の総称であり、そのような糖結合タンパク質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ConA(タチナタマメレクチン)、RCA120(ヒママメレクチン)、WGA(小麦胚芽レクチン)などが挙げられる。
【0028】
上記の氷結晶化阻害剤は、氷結晶の結晶面に結合して、氷結晶の成長を抑制する。また、その結合は、氷結晶への自由水の更なる結合を阻止することによって氷の再結晶化を阻害する。氷結晶化阻害活性の測定は、例えば、冷却調節機能が付いたステージを有する顕微鏡下で、測定試料の30%(w/v)ショ糖溶液を−40℃に冷却した後に−6℃まで温度を上げて氷結晶を溶かし、そのままの状態で観察したときに認められる氷結晶の面積を測定することにより行うことができる。氷結晶化阻害活性が強いほどこの氷結晶の平均面積は小さくなることから、この数値を指標として氷結晶化阻害活性を定量的に評価することができる。対照に比べて、剤を添加したときに氷結晶の形成が少しでも阻害されれば、氷結晶化阻害活性を有すると判断し、本願発明においては、このような剤を氷結晶化阻害剤と呼ぶ。
【0029】
このような性質を有する氷結晶化阻害剤を、例えば冷凍食品に添加して用いれば、食品に含まれる水の氷結晶化を抑制することで、当該食品の味の劣化等を防ぐことができる。例えば、澱粉老化を防止したり、食品中の水が氷結晶化して、タンパク質、油脂成分等を物理的に圧迫して、その構造を変化させることによる、味、品質等の劣化を抑制することができる。本発明に係る氷結晶化阻害剤は、特に限定されるものではないが、例えばBrassica juncea種の植物から好適に得ることができる。上記Brassica juncea種の植物としては、特に限定されるものではないが、例えば、マスタードグリーン(Brassica juncea mustard greens)、タカナ(Brassica juncea integrifolia)、ザーサイ(Brassica juncea tumida)、和がらし(ブラウンマスタード、Brassica juncea)が例示できる。Brassica juncea種の植物はいずれも入手が容易であり、また、Brassica juncea種の植物を用いれば、本発明に係る氷結晶化阻害剤を効率よく得ることができる。
【0030】
例示した上記Brassica juncea種の植物の中でも、Brassica junceaが好ましい。Brassica junceaは、さらに容易に入手できる。また、Brassica junceaは、植物体の単位重量あたりから得られる抽出物が有する氷結晶化阻害活性が、さらに優れている。
【0031】
本発明の第二の態様は、上記の氷結晶化阻害剤の製造方法に関するものである。
【0032】
本発明の氷結晶化阻害物質は、植物から抽出等によって氷結晶化阻害剤を含んだ溶液を分離する工程を経て好適に回収することができるし、さらに、分離した溶液から氷結晶化阻害剤を精製する精製工程を経て好適に回収することもできる。
【0033】
本発明に係る氷結晶化阻害剤を含んだ溶液を得る方法としては、特に限定されるものではないが、Brassica juncea種の植物から、水又は有機溶媒を用いて抽出することが好ましい。抽出に用いる植物の形態は、特に限定されるものではなく、植物体の全体でもよく、一部分(例えば、芽、葉、葉柄等)でもよい。氷結晶化阻害物質を抽出する溶媒は特に限定されるものではないが、水、親水性有機溶媒、超臨界二酸化炭素、亜臨界水などからなる群より選ばれる1以上の溶媒を好適に組み合わせて使用できる。親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等が挙げられるが、食品加工に使用可能なものであることが好ましく、エタノール等が例示される。これらの溶媒の中でも水、エタノールが好ましい。また、水と有機溶媒を混合して用いることも可能である。水を用いる場合は、加温した水、特に、熱水を用いることが好ましく、有機溶媒を用いる場合は、加温した有機溶媒を用いることが好ましい。加温した水又は有機溶媒の温度として特に限定されない。下限は、0℃以上が好ましく、20℃以上がさらに好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、120℃以下がさらに好ましい。その他、水性溶媒としては酢酸ナトリウム等の種々の緩衝液や、アルコールと水との混合溶媒等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。抽出溶媒の種類や量は、抽出に処する植物体の種類や量により適宜選択することができる。
【0034】
本発明に係る氷結晶化阻害剤は、高分子の複合体を形成していることから、植物から上記の手段によって分離した後、種々の限外濾過膜や透析膜等を用いた膜分離により容易に精製、回収することが可能である。その精製方法としては、とくに限定されるものではないが、例えば、逆浸透、限外濾過、精密濾過などを好適に組み合わせて用いることができる。膜分離の分画分子量は、とくに限定されるものではない。目的物を膜非透過物の中に回収する場合の分画分子量の下限は5000以上が好ましく、10000以上がさらに好ましく、50000以上が極めて好ましく、100000以上が最も好ましく、上限が400000を超えない限り好適に用いることができる。膜分離法では分子量の小さい成分が選択的に膜を透過し、その結果、溶液中の分子量の大きい成分の精製、濃縮が達成されるが、実際には溶液中の溶質の膜表面付近への蓄積(濃度分極)や膜表面や細孔内への吸着などにより経時的にその透過性能は低下する。本発明の氷結晶化阻害剤を高分子側に回収する場合、使用する膜の分画分子量が5000未満では溶液中の夾雑成分の除去が不充分であり、また膜が目詰まりを起こしやすくなるため好ましくない。また、分画分子量が400000を超えると、分子量が400kDa以上である当該氷結晶化阻害剤の精製、回収が実質的に困難となる。
【0035】
本発明の氷結晶化阻害剤は、必要に応じて、さらに精製を行ってもよい。例えば、デカンテーション、濾過、遠心分離等を好適に組み合わせて夾雑成分を除去してもよい。また例えば、塩析や有機溶媒による沈殿や、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲル濾過等による精製、透析や限外濾過等による濃縮を好適に組み合わせて行ってもよい。さらに必要により、粉末状または顆粒状など任意の形態に固形化してもよい。固形化の方法はとくに限定されないが、例えば、上記の抽出物を噴霧乾燥や凍結乾燥等の常法に従って粉末化する方法や、抽出物を賦形剤に吸着、担持させて粉末または顆粒状に固形化する方法などを挙げることができる。これらの操作は当業者に公知のものであり、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
【0036】
本発明に係る氷結晶化阻害剤は、水が氷結晶化することで障害が生じる様々な分野において、この障害を抑制する目的で利用可能である。例えば、食品分野、機械分野、土木分野、化粧品分野、生体材料を用いる医療分野等で利用可能である。
【0037】
食品分野では、食品に含まれる水の氷結晶化を抑制することで、当該食品の味の劣化等を防ぐことができる。例えば、澱粉老化を防止したり、食品中の水が氷結晶化して、タンパク質、油脂成分等を物理的に圧迫して、その構造を変化させることによる味、品質等の劣化を、抑制したりすることができる。
【0038】
機械分野、土木分野では、機械の可動部、道路、地盤等の凍結防止剤として利用できる。
【0039】
化粧品分野では、化粧品の品質の劣化等を防ぐための添加剤として利用できる。例えば油脂成分を含む化粧品を凍結させると、当該化粧品に含まれる水が氷結晶化して、当該油脂成分を物理的に圧迫してその構造を壊すことがあり、品質及び使用感が劣化する。本発明に係る抽出物を用いれば、水の氷結晶化を防ぐことで油脂成分の構造が保持されるため、品質の劣化等を抑制することができる。
【0040】
医療分野では、生体材料を凍結保存する際の保護剤として用いることができる。例えば、細胞、血液、臓器等の組織等の生体材料を従来公知の保存液に入れて凍結保存すると、保存液中の水分が凍結して氷結晶を生じ、当該氷結晶により生体材料が損傷することがある。しかし、本発明に係る抽出物を添加すれば、氷結晶の発生、成長を抑制することができるので、生体材料を氷結晶による損傷から保護することができる。
【0041】
本発明の氷結晶化阻害剤の形態は、その用途に応じて様々であり、そのまま、溶液、濃縮液、懸濁液、凍結乾燥物、粉末、顆粒、錠剤などであってもよい。
【0042】
次に、本発明に係る抽出物の活性測定法、及びタンパク質量の測定法について説明する。
【0043】
本発明の抽出物の氷結晶化阻害活性の測定方法は、特に限定されるものではないが、例えば熱ヒステリシスの測定、氷結晶構造の観察、氷再結晶化阻害の測定などの公知の方法にて行うことができる。例えば氷結晶化阻害活性の測定は、冷却調節機能が付いたステージを有する顕微鏡下で、測定試料の30%(w/v)ショ糖溶液を−40℃に冷却した後に−6℃まで温度を上げて氷結晶を溶かし、そのままの状態で観察したときに認められる氷結晶の面積を測定することにより行うことができる。氷結晶化阻害活性が強いほどこの氷結晶の平均面積は小さくなることから、この数値を指標として抽出物の氷結晶化阻害活性を定量的に評価することができる。
【0044】
本発明の抽出物のタンパク質量の測定方法は、特に限定されるものではないが、例えばLowry法やビシンコニン酸(BCA)法、Bradford法(Coomassie法)などの公知の方法にて行うことができる。標準タンパク質としては、特に限定されないが、例えばウシ血清アルブミン(BSA)を好適に用いることができる。
【0045】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された特許文献及び非特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
市販のマスタード芽、湿重量500g(村上農園製)を15℃で10日間馴化誘導し、これを1000gの脱イオン水で105℃、20分間抽出した。減圧濾過により抽出液を分離した後、これをエバポレーター(ロータリーエバポレーター;EYELA社製)にて濃縮し、抽出液135mlを得た。
【0047】
(実施例2)
実施例1で得られた抽出液50ml(タンパク質400mg)に500mgの活性炭を加え、150rpmで30分間振とうした。遠心分離(10,000×g、30分)にて活性炭を除去し、45mlの溶液を回収した。
【0048】
(実施例3)
実施例2で得られた溶液を限外濾過膜(Amicon Ultra−15;MILLIPORE社)にて濃縮した。分子量10kDa以下のタンパク質を除去し、液量が10mlになったところで限外濾過処理を終了した。濃縮液16ml(6mlの脱イオン水で濾過膜洗浄)、濾液35mlをそれぞれ回収した。
【0049】
(実施例4)
実施例1〜3のそれぞれの溶液について、タンパク質濃度と氷結晶化阻害活性を測定した。タンパク質濃度の測定はBCA法により行った。氷再結晶化阻害の測定は、冷却調節機能が付いたステージを有する顕微鏡下で、測定試料の30%(w/v)ショ糖溶液を−40℃に冷却した後に−6℃まで温度を上げて氷結晶を溶かし、−6℃を保った状態で30分間観察したときに認められる氷結晶の面積を測定することにより行った。対照はサンプルの代わりに30%(w/v)ショ糖溶液を用いて同様に測定した。その結果を表1に示す。この氷結晶の平均面積が小さいほど、氷結晶化阻害活性が強いことを示している。
【0050】
【表1】

【0051】
表1から分かるように、マスタード芽抽出液の氷結晶化阻害活性は、活性炭処理の前後で維持されていており、当該活性炭処理による精製は極めて有効であった。また限外濾過により氷結晶化阻害活性は限外濾過濃縮液に回収された。限外濾過後の濾液には活性は認められず、当該限外濾過による精製は極めて有効であった。
【0052】
(実施例5)
実施例3で得られた濃縮液の溶媒をTris−HCl緩衝液(10mM、pH8.0)100mlに置換した。この溶液50mlを同緩衝液で平衡化したDEAEカラム(1.6×10cm)(GEヘルスケア社)にチャージした後、1M NaClを含むTris−HCl緩衝液(10mM、pH8.0)で溶出した(流速5.0ml/min)。その結果、NaCl濃度が約100mM、約150mMにおいてピークが得られた(100mM:ピーク1、150mM:ピーク2)。それぞれのピークについて実施例4に記載の方法で氷結晶化阻害活性を測定した。対照はサンプルの代わりに30%ショ糖溶液を用いて同様に測定した。その結果を表2に示した。
【0053】
【表2】

【0054】
表2の結果から、本条件下においてマスタード芽由来の氷結晶化阻害物質がDEAEに吸着することは明らかである。また、強い氷結晶化阻害活性が認められたピーク2のDEAEカラム吸着画分を活性画分として回収した。
【0055】
(実施例6)
実施例5で得られたDEAE吸着の活性画分(DEAEピーク2)100μlを、氷温下にてアセトンで10倍に希釈し、溶液中に現れた析出物を遠心分離(10,000×g、15分)にて回収した。上清を除去し、析出物に50%(v/v)アセトン溶液を添加し、撹拌した後、遠心分離を行い(10,000×g、15分)、上清を回収した。液を乾固した後、固形分を100μlのDWで再溶解し、これをアセトン沈殿活性画分とした。このアセトン沈殿活性画分の氷結晶化阻害活性を、実施例4に記載の方法で測定した。対照はサンプルの代わりに30%ショ糖溶液を用いて同様に測定した。その結果を表3に示した。
【0056】
【表3】

【0057】
(実施例7)
実施例5で得られたDEAE吸着の活性画分(DEAEピーク2)1mlの溶媒を0.15M NaClを含むリン酸緩衝液(50mM、pH7.0)500μlに置換した。この溶液をゲル濾過カラム(Superdex200, GEヘルスケア社)にチャージし、流速0.3ml/minの条件で溶出した。その結果、440kDa以上の画分、158kDa以上440kDa未満の画分、43kDa未満の画分にそれぞれピークが得られた(440kDa以上:ピーク1、158kDa以上440kDa未満の画分:ピーク2、43kDa未満:ピーク3)。それぞれのピークについて実施例4に記載の方法で氷結晶化阻害活性を測定した。その結果を表4に示した。
【0058】
【表4】

【0059】
表4の結果から、分子量が440kDa以上のピーク1に氷結晶化阻害活性が認められた。ピーク1をゲル濾過カラムクロマトグラフィー活性画分とした。マスタード芽由来の氷結晶化阻害物質が400kDa以上に存在することは明らかである。
【0060】
(実施例8)
実施例1と同様の方法で調製したマスタード芽抽出液700ml(タンパク質濃度8.0mg/ml)を、実施例3の方法に従って活性炭処理、濃縮し、溶液50mlを得た。この溶液の溶媒をTris−HCl緩衝液(10mM、pH8.0)800mlに置換した後、平衡化したDEAE担体(Bed volume 180ml)と混合し、250rpmで1時間低速撹拌することでバッチ操作により氷結晶化阻害物質を吸着させた。減圧濾過により非吸着画分を除去した後、180ml(1Bed volume分)の緩衝液で担体を洗浄した。さらに1M NaClを含むTris−HCl緩衝液(10mM、pH8.0)で吸着画分を溶出し、溶液200mlを得た。この溶液を脱イオン水で透析し(脱イオン水5L×3回、8時間実施)、限外濾過でさらに脱塩した後、脱イオン水で200mlにメスアップした。
【0061】
(実施例9)
実施例8で得られた氷結晶化阻害物質の脱イオン水溶液を、以下に示す氷結合物質濃縮操作に供した。すなわち、氷結晶化阻害物質を含んだ実施例8の脱イオン水溶液を循環冷却装置(ネスラブ社)を用いて低速(24時間で−0.5℃から−2.0℃)で冷却し、24時間後、生成した氷結晶化阻害物質が吸着した氷を回収した。回収した氷を溶解させ、これを氷結晶化阻害物質濃縮液とした。
【0062】
(実施例10)
実施例8、9で得られたそれぞれの溶液について、実施例4と同様の方法でタンパク質濃度と氷結晶化阻害活性を測定した。対照はサンプルの代わりに30%ショ糖溶液を用いて同様に測定した。その結果を表5に示した。
【0063】
【表5】

【0064】
表5の結果から、実施例9の氷結合物質の濃縮操作によりタンパク質あたりの氷結晶化阻害活性が顕著に増大していることが確認された。氷結晶化阻害物質が濃縮されたのは明らかである。また、透析工程で活性が安定に維持されていることから、当該氷結晶化阻害物質が透析膜を通過できないのは明らかであり、溶媒の置換、低分子物質除去が極めて容易である。
【0065】
(実施例11)
実施例9で得られた氷結晶化阻害物質濃縮液について、実施例5と同様の方法でDEAEカラム処理した。得られた吸着画分、非吸着画分について実施例4に記載の方法で氷結晶化阻害活性を測定した。その結果を表6に示した。
【0066】
【表6】

【0067】
(比較例1)
市販のマスタード芽400g(湿重量)を馴化誘導せずに、実施例1と同様にして脱イオン水800gで抽出した。得られた抽出液を実施例1〜6と同様の操作により、氷結晶化阻害物質が得られる画分に対応する画分を濃縮、精製し、比較例1の精製画分を得た。
【0068】
(実施例12)
実施例6のアセトン沈殿活性画分、実施例7のゲル濾過カラムクロマトグラフィー活性画分、実施例11の吸着画分と非吸着画分、および比較例1の精製画分を、それぞれSDS−ポリアクリルアミドゲル(10−20%グラジエントゲル(アトー社))にて電気泳動した(20mA、85分)。電気泳動後のゲルを銀染色により染色し、タンパク質のバンドを視覚化した。ゲルの染色結果から、氷結晶化阻害活性物質が濃縮されている実施例6、および、実施例7の活性画分に、見掛けの分子量が34kDaのバンドが確認された。この34kDaのバンドは比較例1の精製画分には認められなかったことから、氷結晶化阻害活性を示す画分に特異的に含まれるタンパク質であることは明らかである。また、実施例11において、強い活性を示す吸着画分に71kDaの位置にバンドが確認された。このバンドは同実施例において、活性の殆ど見られない非吸着画分には存在しないことから、氷結晶化阻害活性を示す画分に特異的に含まれるタンパク質であることは明らかである。
【0069】
また、実施例7のゲルろ過クロマトグラフィーで得られた活性画分は、分子量が400kDa以上の画分であることから、当該氷結晶化阻害物質が34kDa、71kDaの分子量を有するサブユニットを少なくとも一つ以上含んでなる複合体を形成していることは明らかである。
【0070】
(実施例13)
実施例5で得られたDEAEカラム吸着画分(1ml)の溶媒をTris−HCl緩衝液(10mM、pH8.0)1mlに置換した。この溶液0.5mlを同緩衝液で平衡化したQカラム(0.7×2.5cm)(GEヘルスケア社)にチャージすると、氷結晶化阻害活性を有する画分はQカラムに吸着した。続いて1M NaClを含むTris−HCl緩衝液(10mM、pH8.0)で溶出(流速1.0ml/min)させると、氷結晶化阻害活性を有する画分はQカラムから溶出した。本条件下で活性画分がQカラムに吸着することは明らかである。
【0071】
(実施例14)
実施例5で得られたDEAEカラム吸着画分(1ml)の溶媒を酢酸ナトリウム緩衝液(50mM、pH6.0)1mlに置換した。この溶液0.5mlを同緩衝液で平衡化したSPカラム(0.7×2.5cm)(GEヘルスケア社)にチャージすると、氷結晶化阻害活性を有する画分はSPカラムに吸着しなかった。本条件下では、活性画分がSPカラムに吸着しないことは明らかである。
【0072】
(実施例15)
実施例8で得られた氷結晶化阻害物質の脱イオン水溶液5mlの溶媒をTris−HCl緩衝液(20mM、pH7.4、0.5M NaCl含む)50mlに置換した後、平衡化したConAセファロース担体(Bed vol 5ml)と混合し、スターラーにて200rpmで1時間低速撹拌した。減圧濾過により非吸着画分を回収した後、280nmの吸光度が0.05を下回るまで同緩衝液で洗浄を繰り返し、2Mグルコースを含むTris−HCl緩衝液(20mM、pH7.4、0.5M NaCl含む)で吸着画分を溶出、回収した。得られた画分について実施例4と同様の方法で氷結晶化阻害活性を測定した結果を表7に示した。吸着画分に氷結晶化阻害活性が認められず、非吸着画分に活性が認められたことから、当該氷結晶化阻害物質がConAセファロースに吸着しないことは明らかである。
【0073】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物に由来し、かつ、ゲル濾過により測定した分子量が400kDa以上であることを特徴とする氷結晶化阻害物質。
【請求項2】
複数のサブユニットから構成されることを特徴とする、請求項1に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項3】
少なくとも1つのサブユニットの分子量が、SDS−PAGEで34kDa又は71kDaであることを特徴とする、請求項2に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項4】
植物が、アブラナ科、セリ科、ユリ科及びキク科に属する植物からなる群から選ばれる1以上の植物、および、これらの類縁品種または改良品種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項5】
アブラナ科に属する植物が、ハクサイ、ダイコン、ブロッコリー、チンゲンサイ、コマツナ、カブ、シロナ、野沢菜、広島菜、ミズナ、および、マスタードからなる群から選ばれる1以上の植物、および、これらの類縁品種または改良品種であることを特徴とする、請求項4に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項6】
アブラナ科に属する植物が、マスタード(Brassica juncea種)、および、これの類縁品種または改良品種であることを特徴とする、請求項5に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項7】
pH8において、陰イオン交換カラムに吸着することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項8】
陰イオン交換カラムがDEAEカラムであることを特徴とする、請求項7に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項9】
陰イオン交換カラムがQカラムであることを特徴とする、請求項7または8に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項10】
pH6において、陽イオン交換カラムに吸着しないことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項11】
陽イオン交換カラムがSPカラムであることを特徴とする、請求項10に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項12】
pH7.4において、糖結合タンパク質に吸着しないことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項13】
糖結合タンパク質がConAであることを特徴とする請求項12に記載の氷結晶化阻害物質。
【請求項14】
分画分子量5,000以上の分離膜を用いて分離・精製することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質の製造方法。
【請求項15】
限外濾過または逆浸透により分離・精製することを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質を解離して得ることができ、氷結晶化阻害活性を有するポリペプチド。
【請求項17】
SDS−PAGEで測定される分子量が34kDa又は71kDaであることを特徴とする、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質、及び/又は、請求項16〜17のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む組成物。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質、及び/又は、請求項16〜17のいずれか1項に記載のポリペプチドを含んでなる食品。
【請求項20】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質、及び/又は、請求項16〜17のいずれか1項に記載のポリペプチドを含んでなる、臓器・細胞・血液(血小板)の保護剤。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の氷結晶化阻害物質、及び/又は、請求項16〜17のいずれか1項に記載のポリペプチドを含んでなる化粧品。

【公開番号】特開2010−285359(P2010−285359A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138459(P2009−138459)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(399030060)学校法人 関西大学 (208)
【Fターム(参考)】