説明

植物育成用物品及びその製造方法

【課題】生分解性プラスチックの従来の使用形態は、材質の置き換え程度であることが多く、生分解性プラスチックを利用して新しい使用形態の植物育成用物品を提供することを目的としている。
【解決手段】そこで本発明では、生分解性プラスチック製の綿2内に植物の種子3を入れ、生分解性プラスチック製の不織布4で覆い、この状態で超音波カッターにより所望の装飾形状に切断すると共に、切断個所を融着して構成する植物育成用物品1の製造方法を提案している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物育成用物品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近来、廃棄物問題を生じないプラスチックとして、生分解性のプラスチックスが注目されており、植物の生育用としても利用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、レーヨン短繊維、ポリ乳酸系短繊維、脂肪族ポリエステル短繊維等の生分解性プラスチック繊維により構成された育苗用不織布が記載されている。またポリ乳酸系のプラスチック繊維として、例えばテラマック(登録商標)の不織布により構成された植樹用ポットや園芸シートが販売されている。
【0004】
このように生分解性プラスチックは植物の生育用に広く使用されつつあるが、その使用形態は、上述したように、ポット状に形成したり、シート状に形成したりした使用形態であり、材質の置き換え程度に過ぎないとも云える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2940608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来の生分解性プラスチックの使用形態が材質の置き換え程度であるということであり、本発明は、生分解性プラスチックを利用して新しい使用形態の植物育成用物品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】

上述した課題を解決するために,本発明では、生分解性プラスチック製の綿が生分解性プラスチック製不織布により覆われ、周囲の少なくとも一部が融着されており、綿内に植物の種子が入れられている植物育成用物品を提案する。
【0008】
また本発明では、生分解性プラスチック製の綿内に植物の種子を入れ、生分解性プラスチック製の不織布で覆い、この状態で超音波カッターにより所望の装飾形状に切断すると共に、切断個所を融着して構成する植物育成用物品の製造方法を提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の植物育成用物品は、そのまま皿等の適宜の容器に入れ、水耕栽培方式にて予め綿内に入れられた種子の栽培を行うことができる。
【0010】
植物の発芽と育成に適した生分解性プラスチック製の綿は、その周囲が生分解性プラスチックの不織布に覆われているため、その装飾形状が維持され、そして全体としての装飾形状により、それ自体で室内のインテリアの一部としての機能を有する。
【0011】
こうして本発明の植物育成用物品は、植物栽培の楽しみと共に、室内のインテリアとしたり、いわゆるキッチンガーデンにしたりと、様々な使用形態を実現することができる。
【0012】
本発明の植物育成用物品は、生分解性プラスチック製の綿内に植物の種子を入れ、それを生分解性プラスチック製の不織布で覆った状態で超音波カッターによりにより切断すれば、その部分が溶融して融着するため、製品形状としての所望の装飾形状を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明に係る植物育成用物品の第1の実施の形態の平面図である。
【図2】図2は図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は本発明に係る植物育成用物品の第2の実施の形態の平面図である。
【図4】図4は本発明に係る植物育成用物品の第3の実施の形態の平面図である。
【図5】図5は本発明に係る植物育成用物品の使用形態の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
まず図1、図2に示す第1の実施の形態において、符号1は本発明に係る植物育成用物品を概括的に示すもので、この植物育成用物品1は、生分解性プラスチック製の綿2内に適宜の植物の種子3を入れ、そして綿2を生分解性プラスチック製の不織布4で覆い、この状態で超音波カッターにより所望の装飾形状に切断して形成する。超音波カッターによる切断作業において、生分解性プラスチックの綿2及び不織布4の切断部位とその近傍部位5は、超音波により生じる摩擦熱により溶融して融着するため、切断された装飾形状が維持される。
【0015】
装飾形状は、他の実施の形態にも示すように、植物由来の形状、例えば花冠形状や葉に似せた形状とする他、植物とは直接的な関係のない適宜の形状、例えば、動物やキャラクター等の形状とすることもできる。
【0016】

ここで実施の形態の装飾形状を説明すると、図1に示す第1の実施の形態では、梅花の花冠を模した装飾形状、図3に示す第2の実施の形態では、桜花の花冠を模した装飾形状、図4に示す第3の実施の形態では、葉を模した装飾形状としたものである。
【0017】
以上の構成の、本発明の植物育成用物品1は、そのまま皿等の適宜の容器6に入れ、水耕栽培方式にて予め綿内に入れられた種子の栽培を行うことができる。
【0018】
ここで、植物の発芽と育成に適した生分解性プラスチック製の綿2は、その周囲が生分解性プラスチックの不織布4に覆われているため、その装飾形状が維持され、そして全体としての装飾形状により、それ自体で室内のインテリアの一部としての機能を有する。
【0019】
こうして本発明の植物育成用物品1は、植物栽培の楽しみと共に、室内のインテリアとしたり、いわゆるキッチンガーデンにしたりと、様々な使用形態を実現することができる。
【0020】
尚、本発明の植物育成用物品1を構成する生分解性プラスチックとしては、バイオマス由来のバイオプラスチックの他、場合によっては、石油由来の生分解性プラスチックを用いることもできる。
【符号の説明】
【0021】
1 植物育成用物品
2 生分解性プラスチック製綿
3 植物の種子
4 生分解性プラスチック製不織布
5 切断部位又はその近傍部位
6 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性プラスチック製の綿が生分解性プラスチック製不織布により覆われ、周囲の少なくとも一部が融着されており、綿内に植物の種子が入れられている植物育成用物品。
【請求項2】
生分解性プラスチック製の綿内に植物の種子を入れ、生分解性プラスチック製の不織布で覆い、この状態で超音波カッターにより所望の装飾形状に切断すると共に、切断個所を融着して構成することを特徴とする植物育成用物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−135844(P2011−135844A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299124(P2009−299124)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(501237774)有限会社風のみどり塾 (4)
【Fターム(参考)】