説明

検体センサおよび使用方法

サンプル内の検体の濃度を判定するための検体センサ。センサは、吸入口(21)を有するサンプルチャンバとともに、サンプルチャンバ内へのサンプルの流入をし易くするためのセンサの縁部から延在している突起部(30)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国を除くすべての国を指定する出願人、米国企業のABBOTT DIABETES CARE社、および米国のみを指定する出願人、米国国籍のYi WANGの名義において、PCT国際特許出願として2007年12月6日に出願されており、2006年12月22日出願の米国特許出願第11/615,391号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、サンプル内の検体を検出するための分析センサ、ならびにセンサの製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
分析センサまたは単にセンサとも呼ばれるバイオセンサは、一般に、サンプル内の生物学的検体の存在や濃度を判定するのに使用される。そのようなバイオセンサは、例えば、糖尿病患者の血中グルコースレベルを監視するのに使用される。
【0004】
センサは継続して使用されるため、製造が容易であり、患者にとって使用し易いセンサへの関心が継続的に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,338,790号明細書
【特許文献2】米国特許第6,605,200号明細書
【特許文献3】米国特許第6,605,201号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、サンプル内の検体を検出し、定量化するためのセンサおよび方法を提供する。センサは、サンプルチャンバへの吸入口を有し、それは、チャンバ内へのサンプル(例えば、血液)の吸引をし易くする。センサは、サンプルチャンバへの開放経路をもたらし、かつ患者の皮膚によって吸入口が制限されるのを防ぐ要素を含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概して、本発明の特定の実施形態は、例えば、クーロメトリー、アンペロメトリーおよび/またはポテンショメトリーによって、サンプル内の、例えば、少量のサンプル内の検体を分析するためのセンサを含む。センサは、少なくとも作用電極およびカウンタ電極を含み、それらの電極は、同一の(例えば、共平面の)基板上にあることが可能であるか、または別の(例えば、対向している)基板上にあることが可能である。化学センシングが、電極(複数可)上に存在することが可能である。センサはまた、サンプルを作用電極と電解接触して保持するために、サンプルチャンバを含む。センサの縁部に存在する吸入口が、サンプルチャンバへの流体連通を可能にする。センサは、サイドフィリングまたはチップフィリング用に構成可能である。加えて、いくつかの実施形態においては、センサは、サンプル取得と検体測定との集積デバイスの一部であることも可能である。サンプル取得と検体測定との集積デバイスが、センサおよび皮膚穿孔部材を含むことが可能であり、それにより、そのデバイスを使用して、ユーザの皮膚を穿孔して、血液などの流体サンプルの流れをもたらすことが可能になり、次いで、センサによって採集可能になる。
【0008】
1つの特定の態様において、本開示は、サンプル内の検体の濃度を判定するための検体センサを対象にしており、センサは、ある幅を有する吸入口を備えたサンプルチャンバと、センサの縁部から延在している突起部などの要素とを含み、突起部は、ある高さおよび幅を有する。突起部の幅は、吸入口幅と同じ、もしくはその幅よりも大きいことが可能であるか、または吸入口幅よりも小さいこと、例えば、吸入口幅の約80%以下、例えば、吸入口幅の約75%もしくは約50%以下であることが可能である。平均突起部幅は、吸入口幅の約50%以下または約40%以下であることが可能である。突起部の高さは、少なくとも約0.1mmまたは少なくとも約0.2mmであることが可能である。突起部は、基板の側縁部から、または基板の端縁部から延在していることが可能である。いくつかの実施形態においては、センサは、第2の突起部を含む。
【0009】
別の特定の態様において、本開示は、第1の基板、第2の基板、およびそれらの間のスペーサ層を有し、スペーサ層によって境界される第1の基板および第2の基板の間に画定されるサンプルチャンバを備える検体センサを対象にしている。サンプルチャンバは、少なくとも1つの吸入口と、吸入口に、第1の基板から延在している突出部とを有する。センサは、第2、第3および/または第4の突出部を含むことが可能である。
【0010】
さらなる別の特定の態様において、本開示は、サンプル内の検体の濃度を判定するための検体センサを対象にしており、センサは、それぞれが第1の側縁部および第2の側縁部を含む第1の基板および第2の基板と、第1の基板および第2の基板の間に画定されるサンプルチャンバであって、第1の側縁部から第2の側縁部に延在しているサンプルチャンバと、第1の側縁部および第2の側縁部それぞれで、第1の基板および第2の基板の間の第1の開口部および第2の開口部と、開口部に近接して、第1の基板の第1の側縁部および第1の基板の第2の側縁部それぞれから延在している第1の突起部および第2の突起部であって、それぞれ、幅が、近接した開口部の幅より小さい突起部とを有する。センサは、開口部に近接して、第2の基板の第1の側縁部および第2の基板の第2の側縁部それぞれから延在している追加の第3の突起部および第4の突起部を備えることが可能である。突起部の最大幅は、開口部幅の約80%以下、例えば、開口部幅の約75%または約50%以下であることが可能である。平均突起部幅は、吸入口幅の約50%以下または約40%以下であることが可能である。突起部の高さは、少なくとも約0.1mmまたは少なくとも約0.2mmであることが可能である。
【0011】
センサは、サンプルチャンバ容量が約1マイクロリットル以下、およびいくつかの実施形態においては、容量が約0.5マイクロリットル以下であることが可能である。
【0012】
センサを使用する方法は、グルコースの濃度を判定するステップを含む。
【0013】
本発明を特徴付けるこれらおよび他の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に指し示される。本発明と、その利点と、それを使用することによって得られる目的とをより理解するためには、本発明の好ましい実施形態を図示および説明している図面および添付の記載について参照されるべきである。
【0014】
次に、図面を参照すると、同様の参照数詞および文字が、複数の図全体を通じて対応する構造を示している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明によるセンサストリップの第1の実施形態の概略斜視図である。
【図1B】層が第1の構成の電極とともに別々に示されている、図1Aのセンサストリップの展開図である。
【図2A】本発明によるセンサストリップの第2の実施形態の概略図である。
【図2B】層が第2の構成の電極とともに別々に示されている、図2Aのセンサストリップの展開図である。
【図3A】本発明によるセンサストリップの第3の実施形態の概略上面図である。
【図3B】本発明によるセンサストリップの第4の実施形態の概略上面図である。
【図4】本発明によるセンサストリップの一部分の拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、センサと、それらのセンサを製造し、使用する方法とを提供し、それらのセンサは、患者の皮膚をサンプル吸入口と接触させないようにすることによって、センサ内への流体サンプル(例えば、血液)の吸引をし易くする。
【0017】
図面を全体的に、および具体的には図1Aと図1Bとを参照すると、センサ10の第1の実施形態が概略的に示されており、ここでは、ストリップの形状で示されている。センサは、任意の適切な形状であってよいことを理解されたい。センサストリップ10は、第1の基板12、第2の基板14、およびそれらの間に位置付けられているスペーサ15を有する。センサストリップ10は、層状構造である。
【0018】
センサストリップ10は、少なくとも1つの作用電極22および少なくとも1つのカウンタ電極24を含む。図示されていないが、センサストリップ10はまた、任意選択のフィル指示用電極および/または任意選択の挿入モニタを含むことが可能である。
【0019】
センサストリップ10は、第1の遠位端部10Aと、反対側の近位端部10Bとを有する。遠位端部10Aで、分析されることになるサンプルがセンサ10に塗布される。遠位端部10Aは「フィル端部」、「サンプル受取り端部」などと呼ばれることが可能になる。センサ10の近位端部10Bは、動作可能および通常、切り離し可能な、メータなどのデバイスへの接続をするために構成されている。センサストリップ10は、特定の実施形態においては、概して、長方形の形状であり、すなわち、その長さはその幅より長いが、他の形状10も、上述されたように可能である。センサストリップ10は4つの縁部、遠位端部10Aにおける端縁部16、近位端部10における端縁部18、それらの間に延在している側縁部17、19を有する。
【0020】
センサの寸法は、多様であることが可能である。特定の実施形態においては、センサストリップ10の全長、端縁部16から端縁部18は、約10mm以上および約50mm以下であることが可能である。例えば、長さは、約30mmと45mmとの間、例えば、約30mmから40mmであることが可能である。しかし、より短く、より長いセンサストリップ10が製造可能であることは理解される。特定の実施形態においては、センサストリップ10の全幅、側縁部17から側縁部19は、約3mm以上および約15mm以下であることが可能である。例えば、幅は、約4mmと10mmとの間、約5mmから8mm、または約5mmから6mmであることが可能である。1つの具体的な実施例においては、センサストリップ10は、長さ約32mmおよび幅約6mmである。別の具体的な実施例においては、センサストリップ10は、長さ約40mmおよび幅約5mmである。さらなる別の具体的な実施例においては、センサストリップ10は、長さ約34mmおよび幅約5mmである。
【0021】
センサは、分析されることになる量のサンプルを受け取るためのサンプルチャンバを含み、図示されている実施形態、具体的には図1Aにおいては、センサストリップ10は、サンプルチャンバ20を含み、それは、サンプルチャンバ20にアクセスするための吸入口21を有する。図示されている実施形態においては、センサストリップ10は、サイドフィルセンサストリップであり、ストリップ10の側縁部17上に存在する吸入口21を有する。この実施形態においては、センサストリップ10は、側縁部19に第2の吸入口を有する(図示せず)。また、例えば、端縁部16に吸入口を有するチップフィルセンサならびにコーナフィルセンサも本開示の範囲内にある。
【0022】
吸入口21に近接して、センサストリップ10は、患者の皮膚をサンプル吸入口21と接触させないようにすることによってセンサストリップ10内への流体サンプル(例えば、血液)の吸引をし易くするための要素を含む。センサストリップ10は、吸入口21の位置に、基板12、14のうちの少なくとも一方から外側へ延在している突起部30を含む。この実施形態においては、突起部30は、両方の基板、基板12および基板14上に、ならびに両方の側縁部、縁部17および縁部19上に存在する。突起部30の追加の説明は、以下で行われる。いくつかの実施形態においては、要素(例えば、突起部30)は、毛管状の流体流れ機構によって、センサストリップ10内への流体サンプル(例えば、血液)の吸引をし易くすることが可能である。
【0023】
図2Aおよび図2Bを参照すると、センサの代替の実施形態が、センサストリップ110として示されている。センサストリップ10と類似して、センサストリップ110は、第1の基板112、第2の基板114、およびそれらの間に位置付けられているスペーサ115を有する。センサストリップ110は、少なくとも1つの作用電極122と、少なくとも1つのカウンタ電極124とを、本開示においては、基板114上に両方の電極を含む。
【0024】
センサストリップ110は、第1の遠位端部110Aと、反対側の近位端部110Bとを有する。遠位端部110Aで、分析されることになるサンプルがセンサ110に塗布される。遠位端部110Aは、「フィル端部」、「サンプル受取り端部」などと呼ばれることが可能になる。センサ110の近位端部110Bは、動作可能および好ましくは、切り離し可能な、メータなどのデバイスへの接続をするために構成されている。センサストリップ10と類似して、センサストリップ110は、層状構造であり、特定の実施形態においては、概して、長方形の形状であり、それは、第1の基板112および第2の基板114によって形成され、端縁部116、118および側縁部117、119によって画定される。基板12、14およびスペーサ15ならびに様々な特徴についての上述の説明は、基板112、114およびスペーサ115ならびに様々な特徴に適用する。
【0025】
センサストリップ10のサンプルチャンバ20と類似して、センサストリップ110は、基板112、基板114およびスペーサ15によって画定されるサンプルチャンバ120を含む。サンプルチャンバ120は、サンプルチャンバ120にアクセスするための吸入口121を含む。センサストリップ110は、チップフィルセンサであり、端部110Aにおける端縁部116に吸入口121を有する。通気孔125が、サンプルチャンバ120から基板112を貫いて延在している。サンプルチャンバ20およびその測定ゾーンについての上述の説明もまた、サンプルチャンバ120に適用する。
【0026】
吸入口121に近接して、センサストリップ110は、患者の皮膚をサンプル吸入口121と接触させないようにすることによってセンサストリップ110内への流体サンプル(例えば、血液)の吸引をし易くするための要素を含む。センサストリップ110は、吸入口121の位置に、基板112、114のうちの少なくとも一方から外側へ延在している突起部130を含む。この実施形態においては、突起部130は、一方の基板、基板112だけの上に存在する。突起部130の追加の説明は、以下で行われる。
【0027】
図3Aおよび図3Bを参照すると、センサの2つの他の代替の実施形態が、センサストリップ210、210’としてそれぞれ示されている。先に説明されたセンサストリップ10、110と類似して、センサストリップ210、210’は、第1の基板、第2の基板、およびそれらの間に位置付けられているスペーサを有する。センサストリップ210、210’は、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つのカウンタ電極とを含む。
【0028】
センサストリップ210、210’は、第1の遠位端部210A、210A’と、反対側の近位端部210B、210B’とを有する。センサストリップ10、110と類似して、センサストリップ210、210’は、層状構造であり、この実施形態においては、近位端部210B、210B’における幅と、遠位端部210A、210A’に、より近づいた縮小幅とを有する、概して長方形の形状である。センサストリップ210、210’の形状は、端縁部216、216’、218、218’および側縁部217、217’、219、219’によって画定される。側縁部217、217’、219、219’のそれぞれは、幅がセンサの全幅である縁部217B、217B’、219B、218B’によって画定される第2の部分と比較すると、縁部217A、217A’、219A、219A’が陥凹または縮小されている第1の部分を有する(例えば、センサ幅が、第1の部分において縮小されている)。
【0029】
第1の部分における縁部217A、217A’、219A、219A’は、概して、直線状、弓状(例えば、凹状もしくは凸状)、または不整形状など、任意の形状を有することが可能である。その部分の断面は、角度を成す(例えば、先細りになる)か、または互いに平行である側縁部217A、217A’、219A、219A’を有することが可能である。図3Aのストリップ210は、平行でない弓状の縁部217A、219Aを第1の部分に有するが、図3Bのストリップ210’は、縁部217B’、219B’に近接した弓状の移行領域を有する、概して平行な、概して直線状の縁部217A’、219A’を有する。縁部217A、217A’、219A、219A’によって画定されるなど、陥凹または縮小部分を有することにより、遠位端部210A、210A’を近位端部210B、210B’と区別し易くなる。
【0030】
先のセンサの実施形態と類似して、センサストリップ210、210’は、基板およびスペーサによって画定されるサンプルチャンバ220、220’を含む。サンプルチャンバ220、220’は、それにアクセスするための吸入口221、221’を含む。センサストリップ210、210’は、サイドフィルセンサであり、2つの吸入口221、221’を、端部210A、210A’に近接した縁部217A、217A’に1つ、および縁部219A、219A’に1つを有する。
【0031】
吸入口221、221’に近接して、センサストリップ210、210’は、患者の皮膚をサンプル吸入口221、221’と接触させないようにすることによってセンサストリップ210、210’内への流体サンプル(例えば、血液)の吸引をし易くするための要素を含む。センサストリップ210、210’は、吸入口221、221’の位置に、少なくとも一方の基板から外側へ延在している突起部230、230’を含む。この実施形態においては、突起部230、230’は、両方の吸入口221に、一方の基板、基板、だけの上に存在する。突起部230、230’の追加の説明は、以下に行われる。
【0032】
以下の詳細な説明は、両方のセンサストリップ10およびセンサストリップ110、210、210’、ならびにそれらの様々な要素および特徴に適用する。通常、以下の説明は、センサストリップ10に関しての参照数詞(例えば、基板12、14、サンプルチャンバ20、吸入口21など)を使用するが、本説明は、両方の実施形態、すなわち、センサストリップ10、センサストリップ110およびセンサストリップ210、210’に適用することを理解されたい。
【0033】
基板およびスペーサ
先に提供されたように、センサストリップ10は、センサストリップ10の全体的な形状および大きさを形成する非導電の不活性基板、第1の基板12および第2の基板14を有する。基板は、実質的に剛性、または実質的に可撓性であってよい。特定の実施形態においては、基板は、可撓性または可変性である。基板に適切な材料の例は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、および他の「プラスチック」またはポリマを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、基板の材料は、「Melinex」ポリエステルである。他の非導電の材料もまた、使用可能である。
【0034】
先に示されたように、スペーサ15が基板12と基板14との間に位置付けられて、第1の基板12を第2の基板14から分離することが可能である。いくつかの実施形態においては、スペーサ15は、センサストリップの端部10Aから端部10Bに延在しているか、または一方のもしくは両方の端部が短く延在している。スペーサは、不活性の非導電基板であり、典型的には、基板のように少なくとも可撓性および可変性(または剛性)である。特定の実施形態においては、スペーサは、連続的かつ隣接している接着剤層または両面の粘着テープもしくはフィルムである。スペーサ用に選択される任意の接着剤は、正確な分析測定を妨げる可能性のある材料を拡散させないため、または放出させないために選択されなくてはならない。
【0035】
特定の実施形態においては、スペーサの厚さは、全体にわたって一定であることが可能であり、少なくとも約0.01mm(10μm)、および約1mmまたは約0.5mm以下であることが可能である。例えば、その厚さは、約0.02mm(20μm)と約0.2mm(200μm)との間であることが可能である。1つの特定の実施形態においては、その厚さは、約0.05mm(50μm)、および別の実施形態においては、約0.1mm(100μm)である。
【0036】
サンプルチャンバ
センサは、分析されることになる量のサンプルを受け取るためのサンプルチャンバを含み、サンプルチャンバへのアクセスが吸入口を介して行われる。サンプルチャンバは、サンプルがチャンバ内に供給されると、サンプルが、作用電極およびカウンタ電極の両方と電解的な接触をするように構成され、それにより、電流が、電極の間を流れて、検体の電解(電解酸化または電解還元)を誘起することが可能になる。
【0037】
サンプルチャンバ20は、基板12、基板14およびスペーサ15によって画定され、多数の実施形態においては、サンプルチャンバ20は、スペーサ15が存在しない基板12と基板14との間に存在する。典型的には、スペーサの一部分が、スペーサの無い基板の間に容量を形成するために取り除かれ、取り除かれたスペーサのこの容量が、サンプルチャンバである。基板の間にスペーサを含む実施形態では、サンプルチャンバの厚さは、概して、スペーサの厚さである。
【0038】
サンプルチャンバは、生体液のサンプルを受け取るのに十分な容量をその中に有する。センサが小容量のセンサである場合など、いくつかの実施形態においては、サンプルチャンバは、容量が、典型的には、約1μL以下、例えば、約0.5μL以下、および例えばまた、約0.25μL以下である。容量約0.1μL以下はまた、容量約0.05μLおよび約0.03μL以下のように、サンプルチャンバに適している。
【0039】
測定ゾーンが、サンプルチャンバ内に含まれており、検体分析中に問われるその部分だけのサンプルを含むサンプルチャンバの領域である。いくつかの設計においては、測定ゾーンは、容量が、サンプルチャンバの容量とほぼ等しい。いくつかの実施形態においては、測定ゾーンは、サンプルチャンバの80%を、他の実施形態においては、90%を、およびさらなる他の実施形態においては、約100%を含む。
【0040】
先に提供されたように、サンプルチャンバの厚さは、典型的には、いずれのスペーサの厚さにも対応する。具体的には、向かい合う電極構成では、図1Bに示されているセンサでのように、この厚さは、より多くのサンプルが所与のサンプル容量に対する電極表面と接触していることになるように、検体の迅速な電解を促進するために小さい。加えて、薄いサンプルチャンバは、約5秒またはそれ未満であることが可能である測定時間に対して、拡散時間が長いという理由から、検体分析中に、サンプルチャンバの他の部分から測定ゾーン内に検体が拡散することからのエラーを抑えるのに役立つ。
【0041】
電極
センサは、作用電極と、少なくとも1つのカウンタ電極とを含む。カウンタ電極は、カウンタ/参照電極であってよい。複数のカウンタ電極が存在する場合、カウンタ電極のうちの1つは、カウンタ電極であることになり、1つまたは複数のカウンタ電極は、参照電極であることが可能である。
【0042】
センサ10では、少なくとも1つの作用電極が、測定ゾーンおよび/またはサンプルチャンバ内の第1の基板12および第2の基板14のうちの一方の上に位置付けられている。図1Bには、作用電極22は、基板12上に示されている。作用電極22は、「トレース」と呼ばれる電極拡張部として、遠位端部10Aに近接したサンプルチャンバ20から、センサ10の他方の端部、端部10Bに延在している。トレースは、データおよび測定の収集を可能にするために、メータまたは他のデバイスに電気的接続を提供するための接触パッドを備える。
【0043】
センサ110では、少なくとも1つの作用電極が、測定ゾーンおよび/またはサンプルチャンバ内の第1の基板112および第2の基板114のうちの一方の上に位置付けられている。図2Bには、作用電極122は、基板114上に示されている。作用電極122は、「トレース」と呼ばれる電極拡張部として、遠位端部110Aに近接したサンプルチャンバから、センサ110の他方の端部、端部110Bに延在している。トレースは、データおよび測定の収集を可能にするために、メータまたは他のデバイスに電気的接続を提供するための接触パッドを備える。
【0044】
作用電極22、122は、金、炭素、白金、二酸化ルテニウム、パラジウム、または他の非腐食性の導電材料などの導電性材料の層であることが可能である。作用電極は、2つ以上の導電性材料の組合せであることが可能である。適切な導電性エポキシの一例は、(MA州、Woburn市、W.R.Grace Companyから入手可能な)ECCOCOAT CT5079−3 Carbon−Filled Conductive Epoxy Coatingである。作用電極の材料は、典型的には、比較的低い電気抵抗を有し、典型的には、動作中、センサの電位範囲全体にわたって電気化学的に不活性である。
【0045】
作用電極は、蒸着もしくは真空蒸着などによって被着されること、もしくはそうでなければスパッタリングされること、平面上またはエンボス表面内もしくはそうでなければ陥凹表面内に印刷されること、個々のキャリアもしくはライナから転写されること、エッチングされること、あるいはモールドされることによるものを含む様々な方法のいずれかによって基板上に付着可能である。印刷の適切な方法は、スクリーン印刷、圧電印刷、インクジェット印刷、レーザ印刷、フォトリソグラフィ、および塗装を含む。
【0046】
センサはまた、測定ゾーンおよび/またはサンプルチャンバ内に位置付けられている少なくとも1つのカウンタ電極を含む。図1Bには、カウンタ電極24は、基板14上に示されている。カウンタ電極24は、「トレース」と呼ばれる電極拡張部として、第1の端部10Aに近接したサンプルチャンバ20から、センサ10の他方の端部、端部10Bに延在している。トレースは、データおよび測定の収集を可能にするために、メータまたは他のデバイスに電気的接続を提供するための接触パッドを備える。図2Bには、カウンタ電極124は、基板114上に示されている。カウンタ電極124は、「トレース」と呼ばれる電極拡張部として、第1の端部110Aに近接したサンプルチャンバから、センサ110の他方の端部、端部110Bに延在している。トレースは、データおよび測定の収集を可能にするために、メータまたは他のデバイスに電気的接続を提供するための接触パッドを備える。
【0047】
カウンタ電極24、124は、作用電極22、122と類似したやり方で構成可能である。カウンタ/参照または参照電極に適切な材料は、非導電のベース材料上にAg/AgClもしくはAg/AgBr、または銀の金属ベース上に塩化銀を含む。作用電極に利用可能であるのと同じ材料および方法は、カウンタ電極に使用可能であるが、種々の材料および方法もまた使用可能である。カウンタ電極は、Ag/AgClおよび炭素など、複数の導電材料の混合物を含むことが可能である。
【0048】
作用電極およびカウンタ電極は、向かい合う電極を形成するために、互いに対して反対に、かつ互いに向かい合って位置付け可能である。例えば、向かい合う電極を形成する基板12上の作用電極22と、基板14上のカウンタ電極24とを有する図1Bを参照されたい。この構成においては、サンプルチャンバは、典型的には、2つの電極22、24の間に存在している。他の実施形態においては、作用電極およびカウンタ電極は、概して、共平面または平面電極を形成するために、同一の基板上など、互いに平面に位置付け可能である。例えば、平面電極を形成する基板114上の作用電極122およびカウンタ電極124の両方を有する図2Bを参照されたい。
【0049】
いくつかの例においては、センサのサンプルチャンバが、サンプルで十分に満たされたときに判定することができるのが望ましい。センサストリップ10は、サンプルチャンバ20が流体でいっぱいになるとき、任意選択的な指示用(またはフィル)電極と、作用電極22もしくはカウンタ電極24のうちの一方またはその両方との間の信号を観察することによって、満たされたか、または実質的に満たされたかと、指示可能である。流体が、指示用電極に到達すると、電極からの信号は変わることになる。観察するのに適切な信号は、指示用電極と、例えば作用電極22との間の、例えば電圧、電流、抵抗、インピーダンスまたは静電容量を含む。あるいは、サンプルチャンバが満たされたことを指示することに信号の値(例えば、電圧、電流、抵抗、インピーダンスまたは静電容量)が到達しているかどうかを判定するために、センサは、いっぱいになった後、観察可能である。
【0050】
図1Aおよび図1Bのセンサ10ならびに図3のセンサ210などのサイドフィルセンサでは、指示用電極が、カウンタ電極のそれぞれの側に存在していることが可能である。これにより、ユーザは、さらに上流に配置されている指示用電極により、左側か、または右側からサンプルチャンバをいっぱいにすることが可能になる。この3電極構成は、必須ではない。サイドフィルセンサはまた、単一の指示用電極を有することが可能であり、どの側がサンプル流体と接触して設置されなくてはならないかについて、何らかの指示を含むことが可能である。
【0051】
指示用電極はまた、検体測定結果の正確性を向上させるのに使用可能である。指示用電極は、作用電極として、またはカウンタ電極もしくはカウンタ/参照電極として、動作可能である。指示用電極/作用電極からの測定結果は、より正確な測定結果を得るために、第1のカウンタ/参照電極/作用電極からの測定結果と組合せ(例えば、加算または平均化)可能である。
【0052】
センサ、またはセンサが接続されている装置(例えば、メータ)は、所望のゾーンがいっぱいになっていることをユーザに警告するために、指示用電極のアクティブ化に応答してアクティブ化される信号(例えば、可視符号または聴覚音)を含むことが可能である。センサまたは装置は、指示用電極が、ユーザに警告して、または警告することなく、測定ゾーンがいっぱいになっていることを示した場合、読み込まれたデータを初期化するように構成可能である。読み込まれたデータは、例えば、作用電極およびカウンタ電極の間の電位を印加することによって、ならびに作用電極において生成された信号を監視することを始めることによって、初期化可能である。
【0053】
化学センシング
作用電極22に加えて、好ましくは、化学センシング材料(複数可)が、検体を分析するために、サンプルチャンバ20内に提供される。化学センシング材料は、作用電極22と、サンプル内の検体との間で電子の移動をし易くする。任意の化学センシングが、センサ内で使用可能であり、化学センシングは、1つまたは複数の材料を含むことが可能である。
【0054】
化学センシングは、拡散可能もしくは浸出可能、または拡散不可能もしくは浸出不可能である。本明細書において説明するために、用語「拡散可能」は、「拡散可能または浸出可能」を示すのに使用されることになり、用語「拡散不可能」は、「拡散不可能または浸出不可能」およびそれらの組合せを示すのに使用されることになる。化学センシングの構成要素の配置は、それらが、拡散可能であるか否かに左右される場合がある。例えば、拡散不可能および/または拡散可能な構成要素(複数可)の両方が、作用電極上にセンシング層を形成することが可能である。あるいは、1つまたは複数の拡散可能な構成要素は、分析されることになるサンプルを導入する前に、サンプルチャンバ内のいずれの表面にも存在していることが可能である。別の実施例として、1つまたは複数の拡散可能な構成要素(複数可)は、サンプルチャンバ内にサンプルが導入される前に、サンプル内に設置可能である。
【0055】
化学センシングは、概して、検体に、または検体から電子の移動を容易にする電子移動剤を含む。電子移動剤は、拡散可能または拡散不可能であってよく、層として作用電極22上に存在していることが可能である。適切な電子移動剤の一例は、検体の反応を触媒する酵素である。例えば、ピロロキノリンキノングルコースデヒドロゲナーゼ(PQQ)など、グルコースオキシダーゼまたはグルコースデヒドロゲナーゼは、検体がグルコースである場合に使用される。他の酵素が、他の検体に使用可能である。
【0056】
電子移動剤は、それが拡散可能であるか否かにかかわらず、作用電極および検体の間の電流を容易にし、分子の電気化学的分析を可能にする。その薬剤は、電極および検体の間の移動電子を容易にする。
【0057】
この化学センシングは、電子移動剤に加えて、またはその代替として、酸化還元メディエータを含む。特定の実施形態は、遷移金属化合物または錯体である酸化還元メディエータを使用する。適切な遷移金属化合物または錯体の例は、オスミウム、ルテニウム、鉄、およびコバルトの化合物または錯体を含む。これらの錯体においては、遷移金属は、一般的にモノ−、ジ−、トリ−、または4座である1つまたは複数のリガンドに配位的に結合している。酸化還元メディエータは、ポリマ酸化還元メディエータ、または酸化還元ポリマ(すなわち、1つまたは複数の酸化還元種を有するポリマ)であることが可能である。適切な酸化還元メディエータおよび酸化還元ポリマの例は、例えば、US6,338,790、ならびにUS6,605,200およびUS6,605,201に開示されている。
【0058】
酸化還元メディエータが、拡散不可能である場合、酸化還元メディエータは、層として作用電極上に存在していることが可能である。酸化還元メディエータおよび電子移動剤を有する実施形態においては、酸化還元メディエータおよび電子移動剤が両方とも浸出不可能である場合、両方の構成要素は、別個の層として作用電極上にあるか、または単一の層として組合せられ、付着される。
【0059】
酸化還元メディエータは、拡散可能か否かにかかわらず、作用電極および検体の間の電流を仲介し、電極上の直接的な電気化学反応に適することができない分子の電気化学的分析を可能にする。メディエータは、電極および検体の間の電子を移動させるための薬剤として機能する。
【0060】
本開示により、センサストリップ10、110、210、210’などのセンサは、患者の皮膚をサンプル吸入口に接触させないようにすることによって、センサ内への流体サンプル(例えば、血液)の吸引をし易くするための突起部30、130、230、230’を含む。突起部30は、サンプルチャンバ吸入口21の位置に、基板12、14のうちの少なくとも一方から外側へ延在している要素である。突起部30は、吸入口が存在している縁部から外に延在している。例えば、突起部30は、基板12、14両方の縁部17および縁部19から外に延在し、突起部130は、基板112の縁部116から外に延在し、突起部230、230’は、縁部217A、217A’、219A、219A’から外に延在している。
【0061】
図4を参照すると、包括的な突起部が示されている。これは、縁部17もしくは縁部19から延在している突起部30、縁部116から延在している突起部130、縁部217Aまたは縁部219Aから延在している突起部230、または縁部217A’もしくは縁部219A’から延在している突起部230’であることが可能である。しかし、説明し易くするために、図4における突起部を、縁部17から延在している突起部30と呼ぶことにするが、突起部および縁部は、本明細書に記載されているもののいずれでもあり得るということを理解されたい。同様に、説明し易くするために、吸入口を吸入口21と呼ぶことにする。
【0062】
突起部30は、吸入口21において、縁部17から延在している。突起部30は、加えて、または代替として、外向きノッチ部、突出部、張出し部、カンチレバー、タブ、またはセンサから外に延在している要素を説明する他の類似の用語と呼ばれることが可能である。突起部30は、センサのユーザの皮膚によって吸入口21を塞ぐこと、または封じることを抑止する。縁部17から外への突起部30の小さい突出部は、ユーザの皮膚が吸入口を塞がないようにし、流体サンプルがサンプルチャンバに流れるように、皮膚および吸入口21の間の通路を維持する。加えて、突起部30は、吸入口21の位置について、ユーザへの視覚的および/または触覚的な指示体として機能することが可能である。
【0063】
センサストリップ10、110、210などの層状センサでは、突起部30は、両方の基板(例えば、基板12、14)または1つの基板だけの上に存在することが可能である。
【0064】
突起部30の形状および大きさは、ユーザの皮膚が突起部30の周辺に容易に適合できないように選択され、したがって、基板の間の吸入口21へのアクセスを塞ぐ。
【0065】
突起部30は、吸入口21の幅Xと同じ方向で測定される幅Wを有する。この実施形態においては、吸入口21は、そのサンプルチャンバと同じ幅Xを有する。いくつかの実施形態においては、突起部30は、吸入口21の全幅X全体にわたって延在していることが可能であり、すなわち、幅Wは、幅Xと同じであるか、またはそれよりも大きい。しかし、他の実施形態においては、突起部30の最大幅Wは、吸入口21の幅Xより小さく、この実施形態においては、サンプルチャンバの幅より小さい。いくつかの実施形態においては、サンプルチャンバの幅は、吸入口21の幅Xよりも大きいか、または小さいことが可能であることが理解される。一部の実施形態においては、突起部30の最大幅Wは、吸入口21の幅Xの80%以下であり、75%以下であることもしばしばある。いくつかの実施形態においては、最大幅Wは、幅Xの70%以下である。他の実施形態においては、最大幅Wは、幅Xの60%以下である。さらなる他の実施形態においては、最大幅Wは、吸入口21の幅Xの50%以下である。他の実施形態においては、突起部30の平均幅Wは、幅Xの50%以下である。例えば、平均幅Wは、幅Xの45%以下であり、いくつかの実施形態においては、幅Xの40%以下である。いくつかの実施形態においては、最大幅Wは、約1.5mm以下、例えば、約1mm以下、例えば、約0.5mm以下である。
【0066】
突起部30はまた、高さ、突起部30が延在している側縁部17からの距離を有する。突起部30の高さHは、少なくとも0.1mmであり、少なくとも0.2mmであることもしばしばあり、例えば、少なくとも0.3mmである。典型的には、高さHが大きいほど、いっそう優れた通路が突起部30により形成される。
【0067】
幅W対高さHの比率は、いくつかの実施形態においては、約2:1から約1:2である。他の実施形態においては、幅W対高さHの比率は、約1.5:1から約1:1.5である。
【0068】
図4の示されている実施形態においては、突起部30は、3角形の形状を有し、その底辺は、縁部17と同じ高さであり、その尖部は、吸入口21から離れて向いている。いくつかの実施形態においては、尖部は、半径によって画定可能である。長方形(正方形を含む)、弓形(例えば、半円形)、5角形など、突起部30についての他の構成も適している。幾何学的な形状部は、弓形の側面を有することが可能になり、例えば、実質的に、3角形、または3角形のような突起部は、弓形(例えば、凹形または凸形)の側面を有することが可能になり、加えて、他の形状も弓形の側面(複数可)を有することが可能になる。突起部30は、対称または非対称であってよい。しかし、いくつかの実施形態においては、突起部30は、吸入口から離れて延在している尖部または点を有し、尖部は、それと関連する半径を有することが可能である。3角形、5角形などの幾何学的な形状部は、尖部を有する。突起部30などの構成部は、センサのユーザの皮膚を接触させるための小さいエリア(例えば、点)を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態においては、縁部17から外への突起部30の拡張部またはカンチレバーは、吸入口21およびサンプルチャンバ内へのサンプルの吸引をし易くする。サンプルの流れをし易くするためのカンチレバー型センサを使用することに関する詳細は、2005年9月27日出願の同時係属中の米国特許出願第11/237,447号に説明されている。
【0070】
1つの具体的な例示的実施形態においては、3角形の突起部30は、高さHが約0.38mm(15mil)および幅Wが約0.5mm(20mil)であり、一方、吸入口21は、幅Xが約1mm(40mil)である。この実施形態においては、突起部30は、幅が吸入口幅の約50%である。幅W対高さHの比率は、4:3または約1.33:1である。
【0071】
突起部を有するセンサの様々な具体的な構成は、米国意匠出願第29/275,392号に示されており、その全開示が、本明細書に引用して援用されている。
【0072】
センサを製造するための概括的な方法
上述のセンサストリップ10、110、210、210’は、スペーサ15、115などによって離間されている基板12、14、112、114を有するサンドイッチ状または層状の構造である。そのような構造は、任意の適切なやり方で、様々な層を一緒にラミネートすることによって形成可能である。突起部30、130などは、基板(複数可)12、14などの上に形成されてからラミネートすることが可能であるか、またはセンサストリップ10、110などの全体的な形状は、様々な層を一緒にラミネートした後に、形成(例えば、パンチング)可能である。センサストリップ10、110、210、210’および本発明による他のセンサを形成するための代わりの方法は、センサをモールディングすることである。
【0073】
モールディングは、型内に少なくとも2つの離間された電気的に導電性の電極(例えば、ワイヤ)を位置付けるステップと、1つの端部が流体サンプルを受け取るための手段を中に含む電極の周辺に絶縁性材料の本体をモールディングするステップとを含むことが可能である。より具体的には、モールディングは、型内に少なくとも2つの離間された電気的に導電性の電極(例えば、ワイヤ)を位置付けるステップと、モールディングの前または後に、電極のうちの少なくとも一方を1つまたは複数の化学薬品で処理して、流体サンプルと接触すると、その処理された電極の電気特性を変えるステップと、1つの端部が流体サンプルを受け取るための手段を中に含む電極の周辺に絶縁性材料の本体をモールディングするステップとを含むことが可能になる。本体は、複数個に、例えば、本体と、モールディングが完了された後、互いに貼り合わせるための端部キャップとによる2個に、または単一個にモールディング可能である。
【0074】
センサが、1つまたは複数の基板上に電極を位置付けること(基板は、第1の基板を含む)と、任意選択的に、少なくとも1つの電極の少なくとも一部分をセンシング材料(複数可)と接触させることと、互いに対して固定の、層状の配向に基板を維持するために、2つの基板の間にスペーサを位置付けることによってセンサを構成することとによって、形成可能である。
【0075】
センサの適用例
センサストリップ10、110、210、210’など、本発明のセンサの一般的な使用は、患者または他のユーザの血液、間質液などにおけるグルコース濃度など、生体液中の検体濃度を判定するためである。判定可能な追加の検体は、例えば、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性{じゅうもうせい}ゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えば、CK−MB)、クレアチン、DNA、フルクトサミン、グルコース、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、ラクテート、乳酸塩、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、およびトロポニンを含むが、それらに限定されない。例えば、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシンなど)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリン、およびワルファリンなど、薬物の濃度もまた判定可能である。
【0076】
センサは、薬局、病院、クリニックにおいて、医師から、および医療デバイスの他の供給源から入手可能である。複数のセンサは、一緒にパッケージ可能であり、単一のユニットとして、例えば、約25個、約50個もしくは約100個のセンサ、または任意の他の適切な数のパッケージとして販売可能である。キットが、1つまたは複数のセンサを含むことが可能であり、制御ソリューション部および/または穿刺デバイスおよび/またはメータなどの追加の構成要素を含む。
【0077】
センサは、電気化学的分析、または測光試験に使用可能である。センサは、概して、様々な電子機器に接続可能である電気メータと使用するために構成可能である。メータが、概して、センサと同じ位置で利用可能であり、時には、例えば、キットとして、センサと一緒にパッケージ可能である。
【0078】
メータに接続可能な適切な電子機器の例は、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップまたはハンドヘルドデバイス(例えば、パーソナルデジタルアシスタント(PDA))などの携帯用コンピュータなど、データ処理端末を含む。電子機器は、有線または無線の接続部を介して、受信機とデータ通信するために構成されている。加えて、電子機器は、ユーザの検出されたグルコースレベルに対応してデータを保存し、取り出し、更新するためのデータネットワーク(図示せず)にさらに接続可能である。
【0079】
メータに接続される様々なデバイスは、例えば、802.11もしくはBluetooth RFプロトコルなどの共通規格またはIrDA赤外線プロトコルを使用して、サーバデバイスと無線で通信することが可能である。サーバデバイスは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)もしくはノートブックコンピュータなどの別の携帯用デバイス、またはデスクトップコンピュータ、アプライアンスなどのより大きなデバイスであることが可能になる。いくつかの実施形態においては、サーバデバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示部、ならびに、ボタン、キーボード、マウスまたはタッチスクリーンなどの入力デバイスを有する。そのような構成により、ユーザは、サーバデバイスのユーザインターフェース(複数可)と相互作用することによって、間接的にメータを制御することが可能であり、サーバデバイスは、無線リンク全体にわたってメータと相互作用する。
【0080】
サーバデバイスはまた、メータおよび/またはサーバデバイスから、データ保存部またはコンピュータに、データ送信するためなど、別のデバイスと通信することが可能である。例えば、サービスデバイスは、ヘルスケアプロバイダコンピュータからの命令(例えば、インシュリンポンププロトコル)を送信および/または受信することが可能になる。そのような通信部の例は、データをパーソナルコンピュータ(PC)と同調させるPDA、他の端部におけるコンピュータとセルラネットワーク全体にわたって通信する携帯電話、または医師のオフィスにおけるコンピュータシステムと通信する家庭用アプライアンスを含む。
【0081】
患者またはユーザからの生体液、例えば、血液のサンプルを得るための穿刺デバイスまたは他の機構はまた、概して、センサおよびメータと同じ位置で利用可能であり、時には、例えば、キットとして、センサおよび/またはメータと一緒にパッケージ可能である。
【0082】
センサは、具体的には、集積デバイス、すなわち、センサと、メータまたは穿刺デバイスなどの第2の要素とをデバイス内に有するデバイスに包含されるのに適している。集積デバイスは、電気化学的分析または測光分析を行うことに基づくことが可能である。いくつかの実施形態においては、センサは、メータおよび穿刺デバイスの両方と集積可能である。複数の要素を1つのデバイス内に一緒に有することにより、検体レベルを得るのに必要とされるデバイスの量が抑えられ、サンプルプロセスが容易になる。例えば、実施形態は、1つまたは複数のセンサストリップと、皮膚穿刺要素と、ストリップに塗布されるサンプル内の検体の濃度を判定するためのプロセッサとを含む筺体を有することが可能である。複数のセンサが、筺体内部のカセット内に保持可能であり、ユーザによって作動されると、単一のセンサがカセットから取出し可能であり、それにより少なくとも一部分が、使用のために筺体から外に延在するようになる。
【0083】
センサストリップの動作
使用に際しては、生体液のサンプルが、センサのサンプルチャンバ内に供給され、そこで検体のレベルは判定される。検体は、電気化学的分析または測光分析を行うことに基づくことが可能である。多数の実施形態においては、それは、判定される血中グルコースのレベルである。また、多数の実施形態においては、生体液の供給源は、そのセンサストリップと一緒に集積デバイス内に存在することが可能な、例えば穿刺デバイスにより、患者の皮膚を穿孔した後に、患者から吸引される1滴の血液である。
【0084】
センサ内にサンプルが受け取られた後、サンプル内の検体は、作用電極において、例えば、電気的酸化または電気的還元され、カウンタ電極において得られた電流のレベルは、検体濃度として相関付けられる。センサは、電位を電極に印加することにより、または印加せずに動作可能である。一実施形態においては、電気化学反応は、自然に起こり、電位が、作用電極およびカウンタ電極の間に印加される必要はない。別の実施形態においては、電位が、作用電極およびカウンタ電極の間に印加される。
【0085】
本発明は、様々な具体的および好ましい実施形態ならびに技術を参照して説明されている。しかし、本発明の精神および範囲内にありながら、多数の変形形態および修正形態が行われることが可能であることは、当業者には明らかであろう。上述の1つの実施形態に存在する要素または特徴は、他の実施形態で使用可能になることは理解される。
【0086】
本明細書内のすべての特許および他の参考文献は、本発明が関係する当業者のレベルを示している。すべての特許および他の参考文献は、それぞれの個々の特許または参考文献が、具体的および個々に引用して援用される場合と同じ範囲まで、本明細書に引用して援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル内の検体の濃度を判定するための検体センサであって、ある幅を有する吸入口を備えたサンプルチャンバと、吸入口に近接して、センサの縁部から延在し、幅が吸入口幅よりも小さい突起部とを含む、センサ。
【請求項2】
幅が吸入口幅の約80%以下である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
幅が吸入口幅の約50%である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
突起部は、高さが少なくとも約0.2mmである、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項5】
センサが、ともに吸入口を画定する第1の基板と、第2の基板と、第1の基板および第2の基板の間のスペーサとを含み、突起部が第1の基板および第2の基板のうちの少なくとも一方によって画定される、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
突起部が、基板の側縁部から延在している、請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
突起部が、基板の端縁部から延在している、請求項5に記載のセンサ。
【請求項8】
突起部が、第1の基板によって画定され、センサが、第2の基板によって画定される第2の突起部をさらに含む、請求項5から7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項9】
サンプルチャンバは、容量が約1マイクロリットル以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項10】
サンプル内の検体の濃度を判定するための検体センサであって、
第1の基板、第2の基板、およびそれらの間のスペーサ層と、
スペーサ層によって境界される第1の基板および第2の基板の間に画定され、少なくとも1つの吸入口を有するサンプルチャンバと、
吸入口に、第1の基板から延在している突出部と
を含む、センサ。
【請求項11】
吸入口に、第2の基板から延在している第2の突出部をさらに含む、請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
サンプルチャンバへの第2の吸入口と、第2の吸入口に、第1の基板から延在している第3の突出部とをさらに含む、請求項10または11に記載のセンサ。
【請求項13】
第2の吸入口に、第2の基板から延在している第4の突出部をさらに含む、請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
サンプル内の検体の濃度を判定するための検体センサであって、
第1の基板および第2の基板と、
第1の側縁部、第2の側縁部および端縁部と、
第1の基板および第2の基板の間に画定され、第1の側縁部から第2の側縁部に延在しているサンプルチャンバと、
第1の側縁部および第2の側縁部それぞれで、第1の基板および第2の基板の間の第1の開口部および第2の開口部と、
開口部に近接して、第1の側縁部か、または第2の側縁部から延在している少なくとも1つの突出部と
を含む、センサ。
【請求項15】
第1の側縁部から延在している第1の突出部と、第2の側縁部から延在している第2の突出部とを含む、請求項14に記載のセンサ。
【請求項16】
開口部に近接して、第1の側縁部から延在している第3の突出部と、第2の側縁部から延在している第4の突出部とをさらに含む、請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
突出部のそれぞれの幅が、近接した開口部の幅より小さい、請求項14から16のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項18】
突出部のそれぞれの幅が、近接した開口部の幅の約80%以下である、請求項14から16のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項19】
突出部は、高さが少なくとも約0.2mmである、請求項14から18のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項20】
突出部が、基板から延在している3角形である、請求項14から19のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項21】
サンプル内の検体濃度を分析する方法であって、
サンプルをセンサと接触させるステップと、
吸入口の幅より小さい幅を有する少なくとも1つの突出部によって境界される吸入口を通じて、サンプルチャンバ内にサンプルを移動させるステップと、
サンプル内の検体の濃度を判定するステップと
を含む方法。
【請求項22】
移動させるステップが、吸入口の幅より小さい幅を有する2つの突出部によって境界される吸入口を通じてサンプルチャンバ内にサンプルを移動させるステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
サンプル内の検体濃度を分析する方法であって、
サンプルを、第1の基板、第2の基板およびそれらの間のスペーサ層を有するセンサと、基板のうちの一方から延在している少なくとも1つの突出部とに、接触させるステップと、
基板および少なくとも1つの突出部によって境界される吸入口を通じてサンプルチャンバ内にサンプルを移動させるステップと、
サンプル内の検体の濃度を判定するステップと
を含む方法。
【請求項24】
移動させるステップが、2つの突出部によって境界される吸入口を通じてサンプルチャンバ内にサンプルを移動させるステップを含む、請求項23に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−513931(P2010−513931A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543036(P2009−543036)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/086575
【国際公開番号】WO2008/079616
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(507208347)アボツト・ダイアビーテイス・ケア・インコーポレイテツド (4)
【Fターム(参考)】