検体処理システム及び検体容器仕分け装置
【課題】 検体測定に供すべき検体と検体測定に供すべきでない検体とを仕分け、検体処理システムの動作停止を防止することが可能な検体処理システム及び検体容器仕分け装置を提供する。
【解決手段】
検体処理システム1は、検体投入装置2と、測定ユニット51,51,51と、検体搬送装置3,3,3と、システム制御装置8とを備えている。システム制御装置8は、検体投入装置2によって撮像された検体容器の画像に基づいて、検体容器の形状、検体の量、及び検体の凝固を検出し、検出結果に基づいて、検体が測定に供すべきものか否かを判別する。測定に供すべき検体は検体搬送装置3へ送出され、測定に供すべきでない検体は、検体投入装置2の貯留エリアに送出される。
【解決手段】
検体処理システム1は、検体投入装置2と、測定ユニット51,51,51と、検体搬送装置3,3,3と、システム制御装置8とを備えている。システム制御装置8は、検体投入装置2によって撮像された検体容器の画像に基づいて、検体容器の形状、検体の量、及び検体の凝固を検出し、検出結果に基づいて、検体が測定に供すべきものか否かを判別する。測定に供すべき検体は検体搬送装置3へ送出され、測定に供すべきでない検体は、検体投入装置2の貯留エリアに送出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する検体測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体容器を仕分ける検体容器仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析装置、塗抹標本作製装置等の複数の検体処理装置と、前記検体処理装置へ供給するために検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって各検体処理装置へ検体を搬送し、搬送された検体を検体処理装置で処理する検体処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、検体を収容したラックを供給するラック供給エリアと、該ラック供給エリアからのラックを搬送する搬送ラインと、該搬送ラインを搬送されたラックが収納されるラック収納部と、搬送ラインに沿って配置された複数の検体処理装置を備えた検体処理システムが開示されている。この特許文献1に記載されている検体処理システムは、複数の検体処理装置に搬送される前のラック上の検体に付された識別情報を読取る識別情報読取り装置と、該識別情報読取り装置による識別情報の識別の可否を判定する制御部と、複数の検体処理装置に搬送される前のラックを回収し得る特定ラック回収エリアと、制御部による判定によって識別不能とされたラックを特定ラック回収エリアに移載するラック移載装置とが設けられている。
【特許文献1】特開平11−304812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された分析処理システムでは、形状が当該システムの検体測定に適合しない検体容器、又は検体量が少なかったり、血液である検体が凝固していたりして測定が不可能な検体を収容する検体容器等がラックに収容されていても、このラックが検体処理装置へ供給される。このような検体容器が検体処理装置へ供給されると、その検体処理装置の動作が停止し、このためシステム全体の動作が停止してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体測定に供すべき検体容器と検体測定に供すべきでない検体容器とを仕分け、検体処理システムの動作停止を防止することが可能な検体処理システム及び検体容器仕分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体容器に収容された検体を測定する検体測定部と、検体容器を前記検体測定部へ搬送する搬送部と、検体容器を収容する検体容器収容部と、検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検体容器が前記検体測定部へ供給すべき検体容器であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別された検体容器を前記搬送部へ向けて送出し、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を前記検体容器収容部へ向けて送出する送出部と、を備える。
【0007】
この態様においては、前記搬送部が、複数の検体容器を収容可能な検体ラックを搬送するように構成されており、前記検体容器収容部が、検体ラックを収容可能に構成されており、前記検出手段が、検体ラックに収容された各検体容器について、検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出するように構成されており、前記検体容器収容部に収容された検体ラックにおいて、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を特定可能に表示する表示手段をさらに備えることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記検体容器収容部が、複数の検体ラックを収容可能に構成されており、前記検体処理システムが、入力部をさらに備え、前記表示手段が、前記検体容器収容部に収容された検体ラックを特定するラック特定情報を選択可能に表示する第1表示手段と、前記第1表示手段により表示されたラック特定情報の前記入力部による選択を受け付けたときに、選択されたラック特定情報に対応する検体ラックに収容された検体容器のうち、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を特定可能に表示する第2表示手段と、を具備することが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、検体ラックを特定する検体ラック特定情報を記録した検体ラック特定情報記録部を具備する検体ラックを投入するための投入部と、前記投入部に投入された検体ラックの検体ラック特定情報記録部から、前記検体ラックの検体ラック特定情報を読み出す読出部と、をさらに備え、前記検出手段が、前記投入部に投入された検体ラックに収容された検体容器の形状又は前記検体容器に収容された検体の状態を検出するように構成されており、前記第1表示手段が、前記読出部により読み出された、前記検体容器収容部に収容された検体ラックの検体ラック特定情報を選択可能に表示するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器に関する情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記表示手段が、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器に関する情報を表示するように構成されており、前記検体処理システムが、前記表示手段により表示されている前記検体容器に関する情報の削除の指示を受け付ける削除指示受付手段と、前記削除指示受付手段によって検体容器に関する情報の削除の指示を受け付けた場合に、前記検体容器に関する情報を前記記憶部から削除する削除手段と、をさらに備えることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記送出部と前記搬送部との間に設けられており、使用者からの検体容器の投入を受け入れる検体容器投入部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記判別手段が、前記検出手段の検体容器の形状の検出結果に基づいて、前記検体容器が前記検体測定部に適合しているか否かを判別するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記検出手段が、検体容器に収容された血液検体の凝固を検出するように構成されており、前記判別手段が、前記検出手段によって血液検体の凝固が検出されなかった検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別し、前記検出手段によって血液検体の凝固が検出された検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別するように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記検出手段が、検体容器に収容された検体の量を検出するように構成されており、前記判別手段が、前記検出手段によって検出された血液検体の量が所定量以上の検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別し、前記検出手段によって検出された血液検体の量が所定量未満の検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別するように構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の一の態様の検体容器仕分け装置は、検体を収容する検体容器を収容する検体容器収容部と、検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検体容器が、検体を測定する検体測定部へ供給すべき検体容器であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別された検体容器を前記検体測定部へ供給するための送出先に送出し、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を前記検体容器収容部へ送出する送出部と、を備える
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る検体処理システム及び検体容器仕分け装置によれば、検体測定に供すべき検体と検体測定に供すべきでない検体とを仕分けることが可能となり、この結果、検体処理システムの動作停止を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
本実施の形態は、検体測定に供すべき検体と検体測定に供すべきでない検体とを仕分ける検体処理システムである。
【0019】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0020】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、検体投入ユニット21と、検体チェックユニット22と、検体送出ユニット23とを備えている。当該検体投入装置2は、サンプルラックに収納された複数の検体容器を載置することができる。また、検体投入装置2はCPU及びメモリから構成された制御部2aを備え、この制御部2aにより検体投入ユニット21、検体チェックユニット22、及び検体送出ユニット23の動作機構を制御することができる。また、検体投入装置2は通信ネットワークを解してシステム制御装置8と接続されており、システム制御装置8に対してデータ通信可能となっている。
【0021】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0022】
図4は、検体投入ユニット21の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体投入ユニット21は、検体容器Tを収容されたサンプルラックLを載置するための凹状のラック載置部211を有している。このラック載置部211は、長方形状をなしており、複数のサンプルラックLを同時に載置することが可能である。なお、サンプルラックLは、横方向に検体容器Tが並ぶように前記ラック載置部211に載置される。ラック載置部211には、サンプルラックLを検出するためのセンサ212、213と、サンプルラックLを移送するための係合部211aとが設けられている。センサ212及び213は、光学式センサであり、センサ212は発光部212aと受光部212bとを、センサ213は発光部213aと受光部213bとをそれぞれ備えている。発光部212aはラック載置部211の左前側の位置に配置され、受光部212bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。また、発光部213aはラック載置部211の左後側の位置に配置され、受光部213bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。発光部212aは、右斜め後方へ向けて光を発するように配置されており、受光部212bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。また、発光部213aは、右斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部213bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック載置部211に載置されたサンプルラックLによって、発光部212a又は213aから発せられた光が遮られ、受光部212b又は213bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ212又は213により検出される。ラックセンサ212,213で検出されたサンプルラックLは、係合部211aに係合され、係合部211aがサンプルラックLに係合した状態で前後方向へ移動することで、ラック載置部211上でサンプルラックLが移送されるようになっている。
【0023】
検体投入ユニット21は、ラック載置部211の奥側にバーコード読取部21aを備えている。かかるバーコード読取部21aは、サンプルラックLに収容されている複数の検体容器Tの検体バーコードを同時に読出す検体バーコードリーダ21bと、サンプルラックLのラックバーコードを読出すラックバーコードリーダ21cとを備えている。また、バーコード読取部21aは、ラック載置部211における最も奥側のバーコード読出位置の直上に、複数の検体容器Tを同時に水平回転させる水平回転機構21dを備えている。ラック載置部211に投入されたサンプルラックLは、ラック載置部211上を手前側から奥側へ向かう方向、つまり後方向へ移送され、バーコード読出位置に到達する。その後、サンプルラックLに収容される検体容器Tが水平回転機構21dにより水平回転されながら、検体バーコードリーダ21bによってバーコードラベルBL1から検体IDが読み出される。また、ラックバーコードリーダ21cによってサンプルラックLのバーコードラベルBL2からラックIDが読み出される。読み取られたラックID及び検体IDは、システム制御装置8へ送信される。
【0024】
検体バーコードの読取不良が発生した場合には、検体投入装置2の制御部2aが、この検体の保持位置に対応付けて、検体バーコード読取エラー情報をシステム制御装置8へ送信する。また、ラックバーコードの読取不良が発生した場合には、制御部2aが、投入されたサンプルラックLに対して順番に割り当てたラックシーケンシャル番号を、ラックIDに代えてシステム制御装置8へ送信する。
【0025】
また、検体投入ユニット21のバーコード読取位置の前方には、検体容器の形状検出用のCCDカメラ21eが設けられている。また、白色LED21fがカメラ21eに対して所定の位置に配置されており、この白色LED21fにより検体容器Tが照明される。白色LED21fはバーコード読取位置にあるサンプルラックLへ向けて光を発し、且つ、その反射光が、カメラ21eに直接入射しない位置及び向きに配置されている。これにより、反射光がカメラ21eに直接当たることがなく、露出オーバーによるいわゆる白飛びを防止することができる。
【0026】
また、CCDカメラ21e及び白色LED21fは、図示しない垂直駆動機構により上下方向に移動可能となっている。かかるCCDカメラ21e及び白色LED21fは、サンプルラックLがラック載置部211上を移送される際には、サンプルラックLの移送に干渉しない位置まで、上記垂直駆動機構により上昇される。サンプルラックLがバーコード読取位置にあるときには、CCDカメラ21e及び白色LED21fは当該サンプルラックLの前方に位置するまで下降し、CCDカメラ21eによりサンプルラックLの全体が撮像される。
【0027】
さらに、検体投入ユニット21は、検体チェックユニット22の右側に配置されている(図1参照)。バーコード読取位置においてラックバーコード及び検体バーコードが読み取られたサンプルラックLは、バーコード読取位置の左側に設けられたラック送出口215から検体チェックユニット22へ搬出される。
【0028】
また、図4に示すように、検体投入ユニット21には、操作パネル214が設けられている。ユーザはこの操作パネル214を操作して、検体処理システム1に分析開始の指示又は分析終了の指示を与えることができる。
【0029】
図5は、検体チェックユニット22の構成を示す平面図である。図5に示すように、検体チェックユニット22は、複数のサンプルラックLを収容可能な平面視四角形状のラック収容部221を備えている。また、検体チェックユニット22は、ユーザが手作業で使用するハンディバーコードリーダ222cと、検体容器Tを水平回転させる水平回転機構223と、検体容器TのバーコードラベルBL1の有無を検出するための光学センサ223aと、検体容器TをサンプルラックLから取り出し、傾倒させる検体容器傾倒機構224と、検体容器Tを撮像する2つのカメラ225a,225bと、液晶表示部227とを備えている。
【0030】
ラック収容部221は、平面視において長方形状をなす凹状に窪んだ部分である。当該ラック収容部221の奥側端の右側壁部には、検体投入ユニット21からサンプルラックLを導入するためのラック導入口221aが設けられている。また、ラック収容部221の奥側端の左側壁部には、検体送出ユニット23へサンプルラックLを送出するためのラック送出口221bが設けられている。かかるラック導入口221aとラック送出口221bとの間の部分には、サンプルラックLを搬送するための搬送ベルト228が設けられている。搬送ベルト228は、環状のベルトであり、図示しないステッピングモータで駆動されることにより、搬送ベルト228上に載置されたサンプルラックLが図中左方向へ搬送される。また、搬送ベルト228のさらに奥側には、ラック送出部229が設けられている。このラック送出部229は、図示しないステッピングモータ等により駆動され、搬送ベルト228上のサンプルラックLを前側に押し出すことが可能となっている。ラック送出部229によって前側に送り出されたサンプルラックLは、ラック収容部221で貯留される。
【0031】
図6は、検体チェックユニット22の一部の構成を模式的に示した正面図である。図6に示すように、水平回転機構223は、サンプルラックL上の検体容器Tの上端に当接する当接部223dを有しており、この当接部223dはモータによって水平方向に回転可能に構成されている。当接部223dが検体容器Tの蓋部CPに当接した状態で水平回転することにより、検体容器TがサンプルラックLの内部で水平回転することになる。また、水平回転機構223の前方には、光学センサ223aが配置される。かかる光学センサ223aは、発光素子223bと受光素子223cとにより構成されている。水平回転機構223により、検体容器Tが水平回転している間に、発光素子223bからこの検体容器Tに光が照射され、その反射光が受光素子223cにより受光される。発光素子223bの光を反射している面にバーコードラベルが存在している場合には、かかる受光素子223cの受光レベルが所定値を越え、発光素子223bの光を反射している面にバーコードラベルが存在していない場合には、受光レベルが前記所定値以下となる。そこで、制御部2aが、検体容器Tを水平回転させつつ光学センサ223aの受光素子223cの受光レベルをチェックし、その受光レベルが前記所定値以下となる位置で水平回転機構223の水平回転運動が停止させる。これにより、バーコードラベルBL1が存在しない面が前方を向くように、検体容器Tの角度が調整される。
【0032】
また、光学センサ223aは、図示しない垂直駆動機構により上下方向に移動可能となっている。かかる光学センサ223aは、サンプルラックLがラック収容部221の上記搬送路上にあるときには、サンプルラックLの前側に配置される。また、サンプルラックLがラック収容部221の前方に移送される際には、光学センサ223aが、サンプルラックLの移送に干渉しない位置まで、上記垂直駆動機構により上昇される。
【0033】
ラック収容部221の搬送路上において、サンプルラックLは、隣り合う検体容器Tの間隔を1ピッチとしたピッチ送りで左方向へ間欠的に移送される。水平回転機構223より所定ピッチ分だけ左側の位置には、上述した検体容器傾倒機構224が設けられている。図7は、検体容器傾倒機構224の概略構成を示す側面図である。検体容器傾倒機構224は、検体容器の上端付近を左右両側から把持する把持部224aと、モータ224bと、モータ224bの回転軸と把持部224aとを連結するベルト224cとを備え、モータ224bの回転により把持部224aを上下方向に移送することが可能である。また、把持部224aは、モータ224dの回転軸に連結されており、モータ224dの回転動作によって把持部224aが前後方向へ延びた中心軸の回りを回転することが可能である。
【0034】
水平回転機構223により、バーコードラベルBL1が前面に存在しない状態にまで回転された検体容器Tは、サンプルラックLが左方向へ移送されることにより検体容器傾倒機構224の位置まで到達する。ここで検体容器傾倒機構224の把持部224aが検体容器Tの上端付近を把持し、その状態のまま上昇されることにより、検体容器TがサンプルラックLから取り出される。検体容器TがサンプルラックLから完全に離脱して第1撮像位置224eまで到達すると、把持部224aの上昇動作が停止される。第1撮像位置224eにある検体容器Tの前方には、カメラ225aが配置されている。また、白色LED225cがカメラ225aに対して所定の位置に配置されており、この白色LED225cにより検体容器Tが照明される。
【0035】
図8は、カメラ225aと、白色LED225cと、検体容器Tとの位置関係及び白色LEDから発せられた光の進行方向を説明するための模式図である。図8に示すように、白色LED225cは第1撮像位置224eにある検体容器Tへ向けて光を発し、且つ、その検体容器Tの反射光が、検体容器Tの前方に位置するカメラ225aに直接入射しない位置及び向きに配置されている。これにより、反射光がカメラ225aに直接当たることがなく、露出オーバーによるいわゆる白飛びを防止することができる。
【0036】
把持部224aにより第1撮像位置224eにおいて把持された検体容器Tは、立位状態(垂直状態)のままカメラ225aにより撮像され、これによって得られた撮像画像データは、システム制御装置8へ送信される。その後、把持部224aがモータ224dにより垂直回転され、これによって検体容器Tが傾倒する。把持部224aは、図6において二点鎖線で示すように、検体容器Tの底部が蓋部CPよりも上方に位置する第2撮像位置224fに検体容器Tが至るまでの所定角度回動される。第2撮像位置224fにある検体容器Tの前方には、カメラ225b(図5参照)が配置されている。また、白色LED225d(図5参照)がカメラ225bに対して所定の位置に配置されており、この白色LED225dにより検体容器Tが照明される。白色LED225dとカメラ225bとの相対的位置関係は、白色LED225cとカメラ225aとの相対的位置関係と同一とされる。つまり、白色LED225dは第2撮像位置224fにある検体容器Tへ向けて光を発し、且つ、その検体容器Tの反射光が、検体容器Tの前方に位置するカメラ225bに直接入射しない位置及び向きに配置されている。
【0037】
把持部224aにより第2撮像位置224fにおいて把持された検体容器Tは、上記のように傾斜した状態のままカメラ225aにより撮像され、これによって得られた撮像画像データは、システム制御装置8へ送信される。全ての検体容器Tの撮像が完了したサンプルラックLは、搬送ベルト228によりラック送出口221bから送出される。
【0038】
バーコードリーダ222cは、発光部と受光部(ラインセンサ)を備えており(図示せず)、電気信号を送信するための柔軟なケーブルにより検体チェックユニット22の本体と接続されている。かかるバーコードリーダ222cは、バーコード読取部21aでは読み取り不能であったバーコードをユーザが手作業で再度読み取るような場合に使用される。
【0039】
検体チェックユニット22の左側に配置されている検体送出ユニット23は、複数のサンプルラックLが載置されるラック再投入部231を備えている(図1参照)。かかるラック再投入部231は、検体投入ユニット21のラック載置部211と同様に平面視において直方体形状をなしている。かかるラック再投入部231の奥側の右方壁部は欠落しており、ラック導入口が形成されている。このラック導入口によって検体チェックユニット22から検体送出ユニット23にサンプルラックLが導入されるようになっている。また、検体送出ユニット23のラック再投入部231の前側(正面側)の左方壁部も欠落しており、この部分がラック送出口となっている。ラック導入口から導入されたサンプルラックLは、ラック再投入部231により前方に移送され、最も前方の位置に到達した後、ラック送出口から左方へ送出される。また、検体送出ユニット23には、ラックバーコードを読み取るバーコードリーダ23aが設けられており、かかるバーコードリーダによってラック再投入部231を搬送されるサンプルラックLのラックIDが読み出され、後段の検体搬送装置3へサンプルラックLを搬出する前に、このラックIDを含む搬出要求データがシステム制御装置8へ送信される。
【0040】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0041】
図9は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図9に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0042】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0043】
ラック搬送部35は、図9に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0044】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図10は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図11は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図10及び図11に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図9参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図9参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0045】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0046】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0047】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部33に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0048】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0049】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0050】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0051】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作製装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0052】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0053】
検体搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0054】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0055】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0056】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0057】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0058】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図12は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図12に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0059】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0060】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、及び希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0061】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0062】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0063】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0064】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図13は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図13に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0065】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用及び測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0066】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0067】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0068】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0069】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0070】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0071】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0072】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0073】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0074】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0075】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0076】
図14は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図14に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0077】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0078】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0079】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0080】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図13に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0081】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0082】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0083】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0084】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0085】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0086】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、及び血球分析装置5の情報処理ユニット52と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。ホストコンピュータ9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0087】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0088】
<検体投入装置2の動作>
検体仕分け動作
検体が検体処理システム1に投入されると、検体投入装置2がサンプルラックLを、測定ユニット51へ搬送すべきものと搬送すべきでないものとに仕分ける。図15A及び図15Bは、検体投入装置2の検体仕分け動作の流れを示すフローチャートである。ユーザは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入ユニット21のラック載置部211に載置し、検体投入ユニット21の操作パネル214を操作して、検体処理システム1に分析開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部2aは、かかる分析開始の指示を受け付けると、ラック載置部211に投入されたサンプルラックLをセンサ212,213により検出する(ステップS101)。このセンサ212及び213がサンプルラックLを検出するイベントが発生すると、制御部2aはサンプルラックLの移送を開始する。検体投入ユニット21のラック載置部211に載置されたサンプルラックLは、ラック載置部211上を後方へ移送され、バーコード読取位置に到達する(ステップS102)。
【0089】
次に、制御部2aは、バーコードリーダ21b及び21cにより、サンプルラックLに収容されている検体の検体ID及び当該サンプルラックLのラックIDを読み出す(ステップS103)。このとき、水平回転機構21dにより各検体容器TがサンプルラックLに保持されたまま水平回転され、バーコードラベルBL1がバーコードリーダ21bに対向したときに検体バーコードが読み取られる。また、制御部2aは、読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する(ステップS104)。ステップS104において送信されるデータでは、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置(1〜10)と、保持されている検体容器の検体IDとが対応付けられている。また、検体バーコードの読み取り不良により、検体IDが取得できなかった場合には、保持位置に対応付けて検体バーコードの読み取り不良を示すデータが送信される。
【0090】
さらに、制御部2aは、サンプルラックLのラック載置部211上での移送を妨げないように上方に退避させていたCCDカメラ21e及び白色LED21fを下降させ、システム制御装置8へ第1画像取込指示信号を送信する(ステップS105)。システム制御装置8は、後述するように、この第1画像取込指示信号を受信すると、カメラ21eの撮像画像を取り込み、その後、この撮像画像に対して画像処理を実行し、サンプルラックLに収容されている検体容器の形状を検出する。制御部2aは、その後、サンプルラックLを左方向へと移送し、検体チェックユニット22へと送出する。
【0091】
検体チェックユニット22に導入されたサンプルラックLは、制御部2aにより、ラック収容部221の搬送ベルト228により左方向へ1ピッチ毎に移送される(ステップS106)。制御部2aは、検体容器Tが水平回転機構223の前方の位置に存在するか否かを判定する(ステップS107)。この処理は、例えば、光学センサ223aの受光素子223cの受光レベルを参照することにより行われる。検体容器Tが水平回転機構223の前方位置に存在しない場合には(ステップS107においてNO)、制御部2aは、処理をステップS109に移す。一方、検体容器Tが水平回転機構223の前方に位置したときには(ステップS107においてYES)、制御部2aは、水平回転機構223を駆動させ、バーコードラベルBL1を前方に向けるよう、検体容器Tを水平回転させる(ステップS108)。この処理では、制御部2aは、当接部223dを検体容器Tの蓋部CPに当接させて回転させながら、光学センサ223aの受光素子223cの受光レベルを所定値と比較し、受光レベルが所定値以上となるまで検体容器Tを水平回転させる。これにより、バーコードラベルBL1が前方に向けられる。
【0092】
次に制御部2aは、検体容器傾倒機構224の前方に検体容器Tが存在するか否かを判定する(ステップS109)。この処理は、例えば、水平回転機構223の前方位置に存在していた検体容器Tが何回ピッチ送りされたかにより判定される。検体容器傾倒機構224の前方位置に検体容器Tが存在しない場合には(ステップS109においてNO)、制御部2aは、処理をステップ115へ移す。検体容器傾倒機構224の前方位置に検体容器Tが存在する場合には(ステップS109においてYES)、制御部2aは、検体容器Tを把持部224aにより把持し、上方の第1撮像位置まで持ち上げ(ステップS110)、システム制御装置8へ第2画像取込指示信号を送信する(ステップS111)。システム制御装置8は、後述するように、この第2画像取込指示信号を受信すると、カメラ225aの撮像画像を取り込み、その後、この撮像画像に対して画像処理を実行し、検体容器Tの血液量を検出する。
【0093】
次に、制御部2aは、把持部224aを所定角度垂直回動させて、第2撮像位置まで検体容器Tを傾倒させ(ステップS112)、システム制御装置8へ第3画像取込指示信号を送信する(ステップS113)。システム制御装置8は、後述するように、この第3画像取込指示信号を受信すると、カメラ225bの撮像画像を取り込み、その後、この撮像画像に対して画像処理を実行し、検体容器Tの血液凝固の有無を判定する。
【0094】
次に、制御部2aは、把持部224aを反対方向に回動させて、再度検体容器Tを垂直状態に戻し、さらに把持部224aを下降させて、検体容器TをサンプルラックLに収容する(ステップS114)。
【0095】
なお、上述のステップS107〜S108の処理と、ステップS109〜S114の処理は、ここでは説明を簡単にするために順次的に実行するように記載しているが、実際は並行して実行される。つまり、例えば、サンプルラックLに収容された一の検体容器Tに対しては、検体容器Tの水平回転動作が行われつつ、他の検体容器Tに対しては、検体容器TのサンプルラックLからの引き抜き動作が行われる。
【0096】
制御部2aは、サンプルラックLに収容された全ての検体容器Tに対して上記の処理を完了したか否か、正確には、サンプルラックLの右端の検体容器収容部が検体容器傾倒機構224の前方に位置しているか否かを判定し(ステップS115)、サンプルラックLの右端がまだ検体容器傾倒機構224の前方位置に到達していない場合には(ステップS115においてNO)、サンプルラックLを1ピッチ左方向へ移送し(ステップS116)、処理をステップS107へ戻す。
【0097】
サンプルラックLの右端が検体容器傾倒機構224の前方位置に到達した場合には(ステップS115においてYES)、制御部2aは、仕分け準備完了データをシステム制御装置8へ送信し(ステップS117)、その後、搬送指示データ又は貯留指示データの受信を待機する(ステップS118においてNO)。搬送指示データは、このサンプルラックLが血球分析装置5の血球分析に供すべき検体のみを収容している場合にシステム制御装置8から送信され、貯留指示データは、サンプルラックLが血球分析装置5の血球分析に供すべきでない検体を収容している場合にシステム制御装置8から送信される。
【0098】
制御部2aは、搬送指示データ又は貯留指示データを受信すると(ステップS118においてYES)、受信したデータが貯留指示データであるか否かを判別する(ステップS119)。図16は、貯留指示データの構造を示す模式図である。貯留指示データD1には、そのサンプルラックLのラックID、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置(1〜10)、各検体容器Tの検体ID、及び、異常の内容を示すエラー情報(異常コード)が含まれている。検体容器Tの保持位置、検体ID、及びエラー情報は互いに対応付けられており、エラーが発生した検体容器Tの保持位置、検体ID、及びエラー情報が特定可能となっている。
【0099】
ステップS119において、受信したデータが貯留指示データである場合には(ステップS119においてNO)、制御部2aは、この貯留指示データに基づいて、制御部2aが備えるメモリ中の貯留ラック情報にこのサンプルラックLの情報を追加する(ステップS120)。図17は、貯留ラック情報の構造を示す模式図である。図に示すように、貯留ラック情報D2には、ラックID、各保持位置の検体ID、及び各保持位置のエラー情報が含まれている。検体IDとエラー情報とは対応付けられており、どの検体にどのようなエラーが発生したのかを特定可能となっている。かかる貯留ラック情報D2には、ラック収容部221に収容されている全てのサンプルラックLに関する情報が含まれている。その後、制御部2aは、ラック送出部229によりサンプルラックLをラック収容部221へ移送し(ステップS121)、処理を終了する。
【0100】
制御部2aは、ステップS119において、受信したデータが搬送指示データである場合には(ステップS119においてYES)、サンプルラックLをさらに左方向へ移送して、検体送出ユニット23へこのサンプルラックLを送出する(ステップS122)。制御部2aは、バーコードリーダ23aによりサンプルラックLのラックバーコードを読み出し(ステップS123)、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出するためのラック搬出位置までこのサンプルラックLを移送する(ステップS124)。その後、制御部2aは、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し(ステップS125)、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する(ステップS126においてNO)。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには(ステップS126においてYES)、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS127)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS128)。その後、制御部2aは、処理を終了する。
【0101】
退避ラック情報表示動作
上述のように検体チェックユニット22のラック収容部221に退避されたサンプルラックLに関する情報が、検体チェックユニット22の液晶表示部227に表示される。図18Aは、かかる退避ラック情報表示動作の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から貯留指示データD1が送信され、制御部2aの貯留ラック情報D2が更新され、サンプルラックLがラック収容部221に移送された場合には、制御部2aが貯留ラック情報D2に基づいて液晶表示部227に貯留ラックリスト画面を表示させる(ステップS131)。
【0102】
図19は、貯留ラックリスト画面の一例を示す図である。図に示すように、貯留ラックリスト画面W1には、異常が検出されたサンプルラックLのラックIDが一覧表示されるリスト表示領域A1が設けられている。このリスト表示領域A1では、各ラックIDをオペレータが指で触れることで選択可能となっている。選択されたラックIDは、選択されていないラックIDとは異なる色で表示される。また、貯留ラックリスト画面W1には、リスト表示領域A1で選択されたラックIDの詳細情報画面に画面表示を切替えるための表示切替ボタンB1が設けられている。制御部2aは、オペレータからのラックIDの選択及びそのサンプルラックLの詳細情報画面の表示指示を受け付けると(ステップS132)、詳細情報画面を液晶表示部227に表示させる(ステップS133)。また、オペレータがタッチパネルを操作してラックIDの選択及び詳細情報画面の表示指示を入力するのではなく、オペレータがサンプルラックLのラックバーコードをハンディバーコードリーダ222cにより読み取ることで、読み出されたラックIDが制御部2aに入力され、これによりこのサンプルラックLの詳細情報画面を表示させることもできる。詳細情報画面を表示させた後、制御部2aは、処理を終了する。
【0103】
図20は、サンプルラックLの詳細情報画面の一例を示す図である。図に示すように、詳細情報画面W2には、ラックID200aと、サンプルラックの各保持位置の番号200bと、保持位置に対応付けられたエラー情報200c,200dとが含まれる。エラー情報200cは、検体バーコード読み取り不良を示す情報であり、エラー情報200dは、凝固血液を示す情報である。また、詳細情報画面W2には、このサンプルラックLの情報を削除するための第1削除ボタンB21と、選択されたエラー情報を削除するための第2削除ボタンB22と、この画面の表示終了を指示するためのクローズボタンB23とが設けられている。また、この詳細情報画面W2においては、オペレータがタッチパネルを操作することにより、所望のエラー情報を選択することができる。また、オペレータは、このようにエラー情報が選択されている状態で、第2削除ボタンB22を選択することにより、そのエラー情報の削除指示を入力可能である。また、オペレータは、検体バーコード読取エラーを選択し、かかるサンプルラックLから検体バーコード読取不良の検体容器Tを取り出し、ハンディバーコードリーダ222cにより再度検体バーコードを読み取らせることで、この検体バーコードの読取エラーを解消することができる。
【0104】
また、オペレータは、かかる詳細情報画面を確認することにより、凝固血液の検体容器TをサンプルラックLから取り出し、当該血液検体を用手法により分析したり、バーコード読み取り不良の検体容器Tを取り出し、ハンディバーコードリーダ222cにより再度検体バーコードの読み取りを行った上で、当該検体容器をサンプルラックLの元の保持位置に戻し、このサンプルラックLを検体送出ユニット23のラック再投入部231に載置する等、適切な処置を取ることができる。
【0105】
図18Bは、バーコードの再読取動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、詳細情報画面が表示されている状態において、オペレータがハンディバーコードリーダ222cを用いて読み取り不良であった検体バーコードを再度読み取る場合の動作である。オペレータによる検体バーコード読取エラーの選択を受け付け(ステップS141)、読み取り不良であった検体バーコードが正常に読み出されるイベントが発生すると(ステップS142)、貯留ラック情報D2から当該検体バーコード読取エラー情報が削除される(ステップS143)。次に、制御部2aは、貯留ラック情報D2のおける当該サンプルラックLに関するエラー情報が全て削除されたか否かを判別する(ステップS144)。貯留ラック情報D2においてこのサンプルラックLに関するエラー情報が全て削除された場合には(ステップS144においてYES)、制御部2aは、貯留ラック情報D2からこのサンプルラックLの情報を削除し(ステップS145)、ステップS146へと処理を進める。一方、貯留ラック情報D2において当該サンプルラックLに関するエラー情報が他に残っている場合には(ステップS144においてNO)、制御部2aは、処理をステップS146へと移す。
【0106】
ステップS146において、制御部2aは、このサンプルラックのラックIDとともに、読み出された検体IDをシステム制御装置8へと送信する(ステップS146)その後、制御部2aは処理を終了する。この検体IDを受信したシステム制御装置8は、ホストコンピュータ9へこの検体IDをキーとして測定オーダを問い合わせ、また、この検体IDに対応付けられたエラー情報をハードディスク81dから削除する。
【0107】
図18Cは、エラー情報除去動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、詳細情報画面が表示されている状態において、オペレータが表示されているエラー情報を選択して、かかるエラー情報を削除する場合の動作である。オペレータは、例えば凝固検体を別の検体容器に移し替えたり、凝集塊を除去したりすることにより、一旦エラーが検出された検体を、測定可能な状態とすることができる場合がある。このような場合に、オペレータは測定可能な状態とした検体をサンプルラックLの元の位置に検体を戻し、さらに詳細情報画面に表示されている当該エラー情報を削除することにより、このサンプルラックLをシステムに再投入可能な状態とすることができる。オペレータによるエラー情報の詳細情報画面中の選択を受け付け(ステップS151)、当該エラー情報の削除指示を受け付けるイベント、即ち、第2削除ボタンB22の選択を受け付けるイベントが発生すると(ステップS152)、貯留ラック情報D2から当該エラー情報が削除される(ステップS153)。次に、制御部2aは、貯留ラック情報D2のおける当該サンプルラックLに関するエラー情報が全て削除されたか否かを判別する(ステップS154)。貯留ラック情報D2においてこのサンプルラックLに関するエラー情報が全て削除された場合には(ステップS154においてYES)、制御部2aは、貯留ラック情報D2からこのサンプルラックLの情報を削除し(ステップS155)、ステップS156へと処理を進める。一方、貯留ラック情報D2において当該サンプルラックLに関するエラー情報が他に残っている場合には(ステップS154においてNO)、制御部2aは、処理をステップS156へと移す。
【0108】
ステップS156において、制御部2aは、このサンプルラックのラックIDとともに、削除されたエラー情報をその検体IDと共にシステム制御装置8へと送信する(ステップS146)その後、制御部2aは処理を終了する。このデータを受信したシステム制御装置8は、この検体IDに対応付けられたエラー情報をハードディスク81dから削除する。
【0109】
オペレータは、このようにしてサンプルラックLを再投入可能な状態とした後、当該サンプルラックLを検体送出ユニット23のラック再投入部231に再投入することができる。ラック再投入部231に再投入されたサンプルラックLは、自動的に検体搬送装置3へと搬出される。
【0110】
図18Dは、貯留ラック除去動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、用手法による検査の実施、バーコードラベルの貼り替え、又は再度検体投入ユニット21のラック載置部211への当該サンプルラックLの載置等のために、オペレータがラック収容部221からサンプルラックLを取り除く場合の動作である。制御部2aにおいて、オペレータが第1削除ボタンB21を選択し、このサンプルラックLに関する情報を貯留ラック情報D2から削除する指示を受け付けるイベントが発生すると(ステップS161)、制御部2aは、貯留ラック情報D2から当該サンプルラックLに関する情報を削除し(ステップS162)、処理を終了する。この後、オペレータは、当該サンプルラックLをラック収容部221から取り出し、凝固検体又は検体量不足の検体の用手法による検査、読取不良が発生したバーコードの貼り替え、又はラック載置部211への再投入等の必要な処置を取る。
【0111】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。
【0112】
測定オーダ取得動作
システム制御装置8は、検体投入装置2から検体IDを受信し、この検体IDをキーとしてホストコンピュータ9に測定オーダを問い合わせる。ここで、測定オーダとは、検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、分析項目の情報とが含まれる。以下、この動作を詳しく説明する。
【0113】
図21は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、検体投入装置2は、バーコードリーダ21b及び21cにより読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する。かかるラックID及び検体IDは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS201)。CPU81aにおいて、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0114】
ステップS202において、CPU81aは、受信したデータに検体ID読取不良データが含まれているか否かを判定する(ステップS202)。受信データに検体ID読取不良データが含まれている場合には(ステップS202においてYES)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID(ラックID読取不良の場合には、投入されたサンプルラックLに順番に割り当てられるラックシーケンシャル番号)、及び、検体容器の保持位置に対応付けて、検体バーコードの読取不良が発生したことを示す検体バーコード読取エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS203)、処理をステップS204へ進める。一方、上記の検体ID読取不良データ全が含まれていない場合には(ステップS202においてNO)、CPU81aは、処理をステップ204へと進める。
【0115】
ステップS204において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つをホストコンピュータ9へ送信し、ホストコンピュータ9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS204)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS205)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS205において「受信成功」)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS206)。一方、検体IDに対応する測定オーダを受信できなかった場合(所定の受信可能期間までに測定オーダを受信しなかった場合、又は、ホストコンピュータ9から該当する測定オーダが存在しない旨の情報を受け付けた場合)には(ステップS205において「受信失敗」)、測定オーダが存在しない旨を示す情報(測定オーダ取得エラー情報)がラックID及び当該検体容器Tの保持位置に対応付けて記憶される(ステップS207)。
【0116】
次に、CPU71aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックLに収容されている全ての検体の検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS208)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS208においてNO)、ステップS204に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダをホストコンピュータ9に要求する。
【0117】
一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS208においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0118】
検体容器形状検出処理
システム制御装置8は、検体投入装置2に投入された検体容器Tの画像を取得し、この画像に基づいて検体容器の形状を検出する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0119】
図22は、システム制御装置8の検体容器形状検出処理の流れを示すフローチャートである。図22に示すように、システム制御装置8のCPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された第1画像取込指示信号がシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS211)、ステップS212の処理が呼び出される。
【0120】
ステップS212においては、CPU81aは、その時点におけるカメラ21eの撮像画像を取り込む(ステップS212)。この撮像画像には、サンプルラックLの全体像が含まれている。次にCPU81aは、取り込んだ撮像画像における各検体容器Tの蓋部CPの位置を検出する(ステップS213)。この処理について詳述する。検体容器の蓋部は、検体容器の種類によって色及び形が異なっている。したがって、この処理では、カラー画像であるカメラ21eの撮像画像をR値、G値、B値のそれぞれで微分する。例えば、紫色の蓋部を備える検体容器の場合には、蓋部の周縁部分においてR値とB値との微分値が他の部分に比べて大きくなる(又は小さくなる)。また、ピンク色の蓋部を備える検体容器の場合には、蓋部の周縁部分においてR値の微分値が他の部分に比べて大きくなる(小さくなる)。また、検体容器の蓋部はサンプルラックLから突出するため、サンプルラックLより上の部分の画像のみが処理対象とされる。これにより、検体容器から透過される血液検体の色等の影響を排除することができる。このようにして、R値、G値、B値の微分値により、検体容器蓋部の位置が検出される。また、サンプルラックLに複数の検体容器Tが収容されている場合には、上記の画像には複数の蓋部の画像が含まれ、この処理では各蓋部の位置が検出される。
【0121】
次に、CPU81aは、検出された蓋部の位置における各画素の色成分に基づいて、検体容器の種類を識別する(ステップS214)。この処理は、蓋部の位置における各画素のR値の平均値、G値の平均値、及びB値の平均値をそれぞれ求め、それぞれの平均値と、あらかじめハードディスク51dに記憶されている、検体容器の種類毎の蓋部の色成分の情報とを比較することにより行われる。つまり、検体容器の種類毎に、蓋部のR値、G値、B値の基準データが記憶されており、画像から取得したR値、G値、B値の平均値が各基準データのR値、G値、B値と比較され、両者が所定の誤差範囲内で近似している場合に、その種類の検体容器と判断される。複数の蓋部が撮像されている場合には、各蓋部について上記の処理が行われ、それぞれの検体容器の種類が特定される。
【0122】
次に、CPU81aは、サンプルラックLの各検体容器について、検出した検体容器の種類が検体処理システム1に適合している種類であるか否かを判定する(ステップS215)。ここで検体処理システム1に適合しない検体容器の種類には、サイズ又は形状が測定ユニット51の検体容器搬送部515の構成に合わず、測定ユニット51では検体の吸引を行うことができないもの、及び検体容器の種類が不明のものが含まれる。ステップS215において、検体容器の種類が検体処理システム1に適合していないと判定された検体容器が存在する場合には(ステップS215においてNO)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID、及び、適合しないと判定された検体容器の保持位置に対応付けて、検体容器の形状が検体処理システム1に適合していないことを示す形状エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS216)、処理を終了する。一方、全ての検体容器の種類が検体処理システム1に適合していると判定された場合には(ステップS215においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0123】
血液量検出処理
システム制御装置8は、カメラ225aの撮像画像を取り込み、この撮像画像に対して画像処理を実行することで、検体容器Tの血液量を検出する。
【0124】
図23は、血液量検出処理の手順を示すフローチャートである。図23に示すように、CPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された第2画像取込指示信号がシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS221)、ステップS222の処理が呼び出される。
【0125】
ステップS222においては、CPU81aは、その時点におけるカメラ225aの撮像画像を取り込む(ステップS222)。次にCPU81aは、取り込んだ撮像画像における検体容器Tの像の幅を検出する(ステップS223)。この処理について詳しく説明する。図24は、検体容器Tの像の幅を検出する処理を説明するための模式図である。この画像100はカラー画像であり、各画素についてRGBの輝度情報を有している。CPU81aは、この画像100において検体容器Tの幅を求めるための処理領域101に対して以下の処理を行う。なお、処理領域101は所定の領域であり、検体容器Tの底部付近の像を含む領域であって、バーコードラベルBL1の像が含まれない領域とされる。CPU81aは、処理領域101内のX座標毎に、処理領域101内のY方向の各画素のB(青)輝度値(以下、「B値」という。)を累積する。つまり、処理領域101に含まれる左端の縦に一列の画素群に対して、各画素のB値の累積値(以下、「B輝度累積値」という。)を算出し、次に1つ右側の縦一列の画素群に対して、B輝度累積値を算出する。これをX座標値をインクリメントしながら処理領域101の右端に到達するまで繰り返す。
【0126】
図24において、101aは上述したようにして求めた処理領域101におけるB輝度累積値のグラフである。処理領域101におけるB輝度累積値は、背景画像の部分では高く、検体容器Tの像の部分では低くなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値のX方向の微分を行い、B輝度累積値の急な立下がり部分と立上り部分とを検出する。これによって、検体容器Tの幅が検出される。
【0127】
次に、CPU81aは、バーコードラベルBL1の左右端の像の位置を検出する(ステップS224)。この処理について詳しく説明する。図25は、バーコードラベルBL1の像の左右端の位置を検出する処理を説明するための模式図である。CPU81aは、画像100においてバーコードラベルBL1の像の左右端の位置を検出するための処理領域102に対して以下の処理を行う。なお、処理領域102は所定の領域であり、画像中の上部の領域であって、バーコードラベルの像が含まれる領域とされる。CPU81aは、処理領域102におけるX座標値毎にB輝度累積値を算出する。図中102aは、処理領域102におけるB輝度累積値のグラフである。グラフ102aに示すとおり、バーコードラベルの像の部分におけるB輝度累積値は、背景画像及び検体容器像におけるB輝度累積値よりも高くなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値を左から右へ走査し、B輝度累積値が一旦高くなりその後急に低くなる位置をバーコードラベルの左端の像の位置として検出し、次いでB輝度累積値を右から左へ走査し、B輝度累積値が一旦高くなりその後急に低くなる位置をバーコードラベルの右端の像の位置として検出する。
【0128】
次に、CPU81aは、検体容器像の下端位置を検出する(ステップS225)。この処理について詳しく説明する。図26は、検体容器像の下端位置を検出する処理を説明するための模式図である。CPU81aは、まず、画像100において検体容器像の下端位置及び血液検体の液面像の位置を検出するための処理領域103を決定する。この処理領域103は、ステップS224で検出したバーコードラベルの左端の像の位置と右端の像の位置とで囲まれる領域よりも少し内側の領域とされる。これは、バーコードラベルの左端の像と右端の像との間の領域は、バーコードラベルの像が存在しないためである。
【0129】
CPU81aは、処理領域103におけるY座標値毎に、X方向にB値を累積したB輝度累積値及びR値を累積したR輝度累積値を算出する。またCPU81aは、Y座標毎に、R輝度累積値をB輝度累積値で除した値(以下、「R/B累積輝度比」という。)を算出する。図中103aは、処理領域103におけるB輝度累積値のグラフであり、図中103bは、処理領域103におけるR/Bのグラフである。グラフ103aに示すとおり、検体容器内の血液検体の像のB輝度累積値は、検体容器内の血液検体が存在しない部分の像及び背景画像のB輝度累積値よりも低くなる。また、血液検体の像においては、その他の部分に比べてR/B累積輝度比が大きくなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値をY方向に微分し、処理領域103の下端から上方へ向かうときに、B輝度累積値が急に小さくなる位置を検体容器像の下端位置として検出する。
【0130】
次に、CPU81aは、血液検体において血漿部分と血球部分とが分離しているか否かを判定する(ステップS226)。この処理では、処理領域103のB輝度累積値及びR輝度累積値を検体容器像の下端位置から上へと走査して、R輝度累積値のみが大きくなっていれば、血漿部分と血球部分とが分離していると判定する。
【0131】
血漿部分と血球部分とが分離している場合には(ステップS226においてYES)、CPU81aは、血液検体の液面像の位置を検出する第1液面像位置検出処理を行い(ステップS227)、血漿部分と血球部分とが分離していない場合には(ステップS226においてNO)、血液検体の液面像の位置を検出する第2液面像位置検出処理を行う(ステップS228)。第1液面像位置検出処理では、血液検体の像から上方へ向かうときに、B輝度累積値が急に大きくなり、且つ、R/B累積輝度比が所定値以下となる位置が液面像の位置として検出される。また、第2液面像位置検出処理では、血液検体像から上方へと向かうときに、B輝度累積値が急に大きくなる位置が液面像の位置として検出される。
【0132】
次に、CPU81aは、検体容器T内の血液量を算出する(ステップS229)。この処理では、CPU81aが、以下の式(1)及び(2)により血液量BVを算出する。
R=(k・W−2T)/2 …(1)
BV=πR2×(k・H−R)+2πR3/3 …(2)
但し、Rは、検体容器内面の半径を、kは、撮像画像の縮尺率によって定まる係数を、Wは、検体容器像の幅を、Tは検体容器の厚みを、Hは血液検体像の高さ(液面像の位置と検体容器下端像の位置との差)を、それぞれ示している。CPU81aは、血液量BVを算出すると、画像処理の対象となった血液検体の検体IDに対応する測定オーダから測定に必要な血液量NVを算出し(ステップS2210)、血液量BVが必要血液量NV以上であるか否か、すなわち、当該検体の測定が可能か否かを判定する(ステップS2211)。ステップS2211において、血液量BVが必要血液量NV未満と判定された場合には(ステップS2211においてNO)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID、及び、この検体容器の当該サンプルラックLにおける保持位置に対応付けて、検体容器に測定可能な量の検体が収容されていないことを示す検体量エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS2212)、処理を終了する。一方、血液量BVが必要血液量NV以上であった場合には(ステップS2211においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0133】
血液凝固判定処理
また、システム制御装置8は、カメラ225bの撮像画像を取り込み、この撮像画像に対して画像処理を実行することで、検体容器T内の血液検体の凝固の有無を判定する。
【0134】
図27は、血液凝固判定処理の手順を示すフローチャートである。図27に示すように、CPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された第3画像取込指示信号がシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS231)、ステップS232の処理が呼び出される。
【0135】
ステップS232においては、CPU81aは、その時点におけるカメラ225bの撮像画像を取り込む(ステップS232)。次にCPU81aは、取り込んだ撮像画像における検体容器Tの像の左端の位置を検出する(ステップS233)。この処理について詳しく説明する。図28は、検体容器Tの像の左端位置を検出する処理を説明するための模式図である。この画像110はカラー画像であり、各画素についてRGBの輝度情報を有している。CPU81aは、この画像110において検体容器Tの像の左端位置を求めるための処理領域111に対して以下の処理を行う。なお、処理領域111は所定の領域であり、検体容器Tの底部付近の像を含む領域とされる。CPU81aは、処理領域111内のY方向のB輝度累積値をX座標ごとに算出する。図中111aは、処理領域111におけるB輝度累積値のグラフである。グラフ111aに示すとおり、検体容器像の部分におけるB輝度累積値は、背景画像におけるB輝度累積値よりも低くなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値のX方向の微分を行い、このB輝度累積値を左から右へ走査したときのB輝度累積値の立下がり位置を検体容器像の左端位置として検出する。
【0136】
次に、CPU81aは、検体容器底部像の上端位置を検出する(ステップS234)。この処理について詳しく説明する。図29は、検体容器底部像の上端位置を検出する処理を説明するための模式図である。CPU81aは、画像110において検体容器底部像の上端位置を検出するための処理領域112を決定する。この処理領域112は、ステップS233で検出した検体容器像の左端位置から所定の画素数分右側までの領域とされる。これは、当該画像においては検体容器Tの底部が蓋部CPよりも上方に位置する状態で検体容器Tが撮像されており、検体容器Tの底部が検体容器の上端となるため検体容器の底部像を処理領域に含める必要があるところ、前記左端位置よりも右側の領域に検体容器Tの底部の像が存在するためである。
【0137】
CPU81aは、処理領域112内のX方向のB輝度累積値をY座標ごとに算出する。図中112aは、処理領域112におけるB輝度累積値のグラフである。グラフ112aに示すとおり、検体容器像の部分におけるB輝度累積値は、背景画像におけるB輝度累積値よりも低くなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値のY方向の微分を行い、このB輝度累積値を上から下へ走査したときのB輝度累積値の立下がり位置を検体容器の底部像の上端位置として検出する。
【0138】
次に、CPU81aは、血液検体の液面像の位置を検出する(ステップS235)。この処理について詳しく説明する。CPU81aは、画像110において血液検体の液面像の位置を検出するための処理領域113(図29参照)に対して以下の処理を行う。なお、処理領域113は所定の領域であり、画像110内の右側部分の領域とされる。これは、血液が凝集することによってできた凝集塊が血液検体中に存在する場合、この凝集塊は通常その重さにより検体容器Tの中の底の部分に沈んでいる。このため、正面視において検体容器Tの底部が左側に位置する第2撮像位置へと検体容器Tが傾倒されると、検体容器T内の血液検体は検体容器Tの蓋部CP側(右側)へ移動し、検体容器T内の底部の血液検体は少なくなる。一方、検体容器Tの底に沈んでいた凝集塊は、検体容器Tの底部の内面に乗り上げ、浅い血液検体の液面から突出した状態となる。従って、画像110内の右側の領域には、液体の血液のみが存在することになり、この部分に処理領域113を設けることにより、処理領域113内に凝集塊の像が含まれず、液体の血液の像が含まれることになる。このように、処理領域113は、液体の表面の像である液面像を検出するのに適した領域である。CPU81aは、処理領域113におけるY座標値毎にB輝度累積値及びR輝度累積値を算出する。図中113aは、処理領域113におけるB輝度累積値のグラフである。まず、CPU81aは、処理領域113の下端から上方へ向かってR/B累積輝度比を順次チェックし、R/B累積輝度比が所定値以上となるか否かを判定する。ここで、血液像の部分ではR/B累積輝度比が大きくなることから、R/B累積輝度比が所定値以上となる場合には、検体容器内に血液が存在していると判断することができる。また、血液が存在しないと判断できる場合、即ち、処理領域113のY軸方向全体に亘ってR/B累積輝度比が所定値を越えない場合には、血液検体の液面像の位置検出に失敗したものとされる。
【0139】
血液が存在すると判断できる場合には、CPU81aは、その血液が存在していると考えられる位置(R/B累積輝度比が所定値以上である位置)から上方へ向かって、B輝度累積値をチェックし、B輝度累積値の微分値が所定値以上となる場合であって、且つ、R/B累積輝度比が所定値以下となる位置を血液面像の位置として検出する。このような位置が存在しない場合には、血液面像の位置検出に失敗したものとされる。
【0140】
次に、CPU81aは、ステップS235において血液面像の位置検出に成功したか否かを判定し(ステップS236)、血液面像の位置検出に成功した場合には(ステップS236においてYES)、検体容器の底部像の左端位置及び上端位置並びに血液面像の位置に基づいて、血液凝固の有無を判定するための処理領域を設定する(ステップS237)。図29を参照して、当該処理領域を説明する。ステップS237の処理では、検体容器の底部像の左端位置より右側であり、検体容器の底部像の上端位置より下側であり、血液面像の位置より上側の領域が処理領域114として設定される。図29に示すように、血液が凝固している場合には、凝集塊が液面から上方に突出していることがある。このような場合に、液面像の上方の処理領域114に凝集塊の像が存在することになり、かかる処理領域114に対して画像処理を実行することにより、血液の凝固を検出することができる。
【0141】
一方、血液面像の位置検出に失敗した場合には(ステップS236においてNO)、検体容器の底部像の左端位置及び上端位置に基づいて、血液凝固の有無を判定するための処理領域が設定される(ステップS238)。図30は、血液面像の位置検出に失敗した場合の血液凝固判定用の処理領域を説明するための模式図である。図30に示すように、この場合の処理領域115は、検体容器の底部像の左端位置より右側であり、且つ、検体容器の底部像の上端位置より下側の所定の大きさの領域とされる。血液が存在すると判断できる場合において、血液面像の位置が検出できなかったときは、血液が凝固することにより粘性を帯び、検体容器の内面に粘着している場合がある。このような場合は、検体容器Tを傾倒させても液面を確認することができず、処理領域115の多くの部分が血液像によって占められることになる。そこで、処理領域115に対して画像処理を実行することにより、血液の凝固を検出することができる。
【0142】
血液凝固検出用の処理領域を設定した後、CPU81aは、血液凝固の有無を判定する(ステップS239)。この処理について以下に説明する。CPU81aは、処理領域114又は115に含まれる各画素について、単一画素におけるR値とB値との比であるR/B輝度比を算出する。そして、CPU81aは、処理領域114又は115に含まれる全ての画素のうち、B値が所定値以下であり、且つ、R/B輝度比が所定値以下である画素を計数する。この画素数が所定値以上となる場合には、血液が凝固していると判定され、前記画素数が所定値未満である場合には、血液が凝固していないと判定される。
【0143】
図31Aは、図29に示した画像における処理領域114内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラムであり、図31Bは、図29に示した画像における処理領域115内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラムであり、図31Cは、血液凝固が生じていない血液における処理領域114内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラムである。図において、B値が所定値以下であり、且つ、R/B輝度比が所定値以下であるという条件を満たす範囲を四角枠150にて示している。図31Aに示すように、血液面上に凝集塊が突出している場合には、処理領域114に含まれる全画素のうちの多くの画素(画像100が640×480ドットの場合において数百画素以上)が上記条件を満たす。また、図31Bに示すように、血液が存在すると判断できる場合において、血液面像の位置が検出できなかったときには、処理領域115に含まれる全画素のうちの非常に多くの画素(画像100が640×480ドットの場合において1万画素以上)が上記条件を満たす。一方、図31Cに示すように、血液面上に凝集塊が突出していない場合には、処理領域114に含まれる全画素のうち非常に少数の画素(画像100が640×480ドットの場合において数個)しか上記条件を満たさない。このように、画像のサイズが640×480ドットの場合においては、上記の閾値を100程度に設定することにより、高精度に血液の凝固を検出することができる。
【0144】
ステップS239において、血液が凝固していると判定された場合には(ステップS239においてNO)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID、及び、この検体容器の当該サンプルラックLにおける保持位置に対応付けて、検体容器に収容されている検体が凝固していることを示す血液凝固エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS2310)、処理を終了する。一方、血液が凝固していないと判定された場合には(ステップS239においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0145】
仕分け指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2に対して、後段の測定ユニット51へ搬送する検体(サンプルラックL)と、測定ユニット51へ搬送しない検体(サンプルラックL)とを仕分けるための仕分け指示を行う。以下、この処理について詳述する。
【0146】
図32は、システム制御装置8による仕分け指示処理の手順を示すフローチャートである。図32に示すように、CPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された仕分け準備完了データがシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS241)、ステップS242の処理が呼び出される。
【0147】
仕分け準備完了データには、ラックIDが含まれている。CPU81aは、かかる仕分け準備完了データを受信すると、その仕分け準備完了データに含まれるラックIDに対応する検体ID、検体バーコード読取エラー情報(検体IDの読み取りに失敗したことを示す情報)、検体容器の形状エラー情報(検体容器の形状が測定ユニット51による測定に適していないことを示す情報)、測定オーダ取得エラー情報(検体IDに対応する測定オーダが存在していないことを示す情報)、検体量エラー情報(検体容器に測定可能な量の検体が収容されていないことを示す情報)、及び血液凝固エラー情報(検体容器に収容されている検体が凝固していることを示す情報)をハードディスク51dから読み出す(ステップS242)。その後、CPU81aは、全ての検体容器について上記のエラー情報が存在するか否かを判別し(ステップS243)、全ての検体容器について上記のエラー情報が存在しない場合には(ステップS243においてYES)、搬送指示データを検体投入装置2へ送信し(ステップS244)、処理を終了する。一方、ステップS243において、少なくとも1つの検体容器について上記のエラー情報が存在する場合には(ステップS243においてNO)、CPU81aは、上記読み出したエラー情報を含む貯留指示データD1(図15参照)を検体投入装置2へ送信し(ステップS245)、処理を終了する。なお、この仕分け指示処理では、仕分け準備完了データにラックIDが含まれていない場合(ラックバーコードの読み取りに失敗した場合)にも、ラックID読取エラー情報を含む貯留指示データが送信される。
【0148】
搬送指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれる検体IDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へ搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0149】
図33Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、搬送方向最上流側の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS251)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS252の処理が呼び出される。
【0150】
ステップS252において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、ハードディスク81dに記憶されている測定オーダを検索する(ステップS252)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS253)。この処理では、その時点において測定を行っていない測定ユニット51又は測定の予約数が最も少ない測定ユニット51であって、測定オーダに含まれる測定項目を全て実行可能な測定ユニット51が測定先として決定される。
【0151】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS254)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、サンプルラックLの搬送方向において最も上流側の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、それ以外の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0152】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS255においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS255においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS256)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS257においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS257においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS258においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS258においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0153】
次に、システム制御装置8の第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送方向において2番目又は3番目の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。図33Bは、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS261)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS262の処理が呼び出される。
【0154】
ステップS262において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS262)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0155】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS263においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS263においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS264)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS265においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS265においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS266においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS266においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0156】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図34A及び図34Bは、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS301)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0157】
ステップS302において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS302)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS303)。
【0158】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS304)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS305)。
【0159】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS306)。ステップS306において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインLを示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS306において「測定ラインL1」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS307)。次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS308)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS309)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS309においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS310)、情報処理ユニット52へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS311)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS312においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS312においてYES)、処理をステップS314へ進める。
【0160】
一方、ステップS309において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS309においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS313)、処理をステップS314へ進める。ステップS314において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS314)、iが10未満である場合には(ステップS314においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS315)、ステップS309へ処理を戻す。
【0161】
ステップS314において、iが10以上である場合には(ステップS314においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS316)。その後、制御部32は、処理をステップS318へ移す。
【0162】
一方、ステップS306において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS306において「スキップラインL2」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS317)。その後、制御部32は、処理をステップS318へ移す。
【0163】
ステップS318において、制御部32は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックIDを含む搬出要求データを送信する(ステップS318)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS319においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS319においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS320)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS321)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0164】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0165】
図35A及び図35Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS401)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0166】
ステップS402において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS402)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS403)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS404)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS405)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS406)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS407)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS408においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS408においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS409)。
【0167】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS410)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS411)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS412)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS413)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0168】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS414)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS415)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS416)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521dに格納され(ステップS417)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS418)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS418の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0169】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302b上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0170】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0171】
以上のような構成とすることにより、異常のない、測定に供すべき検体を収容するサンプルラックLと、検体容器の形状がシステムに適合していない検体、検体量が不足している検体、凝固している検体等、測定に供すべきでない検体を収容しているサンプルラックLとを仕分けることができ、これにより、測定に供すべきでない検体を測定ユニット51へ搬送することによる検体処理システム1の動作停止を防止することができる。
【0172】
また、従来では、上述のような測定に供すべきでない検体が測定ユニットに供給されることにより、測定ユニットでの検体の吸引エラー等が発生して検体処理システム1の動作が停止してしまうため、オペレータはかかる異常の発生に備えて常時検体処理システムを監視している必要があった。これに対して、本実施の形態に係る検体処理システム1においては、測定に供すべきでない検体を収容するサンプルラックLがラック収容部221に収容されるため、オペレータは常時検体投入装置2を監視している必要がなく、異常が検出されたサンプルラックLがラック収容部221に収容された後に、このサンプルラックLをラック収容部221から取り出して適切な処置を取ることが可能であり、オペレータの利便性が向上する。
【0173】
また、複数のサンプルラックLにおいて異常が検出された場合は、これらのサンプルラックLがラック収容部221に貯留されるため、オペレータは1つ1つのサンプルラックLについて異常が発生する都度対処する必要がなく、ラック収容部221に貯留された複数のサンプルラックLをまとめて処理することが可能となる。これによっても、オペレータの利便性が向上する。
【0174】
また、液晶表示部227に、エラーが発生した(つまり、測定に供すべきでないと判断された)検体がサンプルラックLの中のどの検体であるかが特定可能に表示されるため、オペレータは液晶表示部227に表示されている詳細情報画面を確認するだけで、処置が必要な検体がどの検体であるかを特定することができる。
【0175】
また、上記の詳細情報画面には、どのようなエラーが生じたのかが特定可能に表示されるため、オペレータは液晶表示部227に表示されている詳細情報画面を確認するだけで、どのような異常が生じているかを特定することができ、このため、どのような処置が必要になるかを容易且つ迅速に判断することができる。
【0176】
また、検体チェックユニット22の後段に設けられた検体送出ユニット23にラック再投入部231を設けたため、一旦は測定に供すべきでないと判別されたが、使用者の操作(例えば、検体容器の移し替え、凝固塊の除去など)により、サンプルラックLに収容される検体が全て測定可能となった場合に、オペレータは当該サンプルラックLを検体投入ユニット21ではなく検体送出ユニット23のラック再投入部231に投入することができる。これにより、かかるサンプルラックLの各検体の検体IDを再度検体バーコードリーダ21bで読み取る必要がなく、システムの処理効率を向上させることができる。
【0177】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、複数の測定ユニット51,51,51を備え、各測定ユニットに検体を搬送する検体処理システムについて述べたが、これに限定されるものではない。1つの測定ユニットと、検体搬送ユニットとを備え、検体搬送ユニットによって測定ユニットに検体を搬送する構成の検体分析装置としてもよい。この場合には、検体搬送ユニットが分析前の検体を収容したサンプルラックを複数載置可能な投入エリアと、分析後の検体を収容したサンプルラックを複数載置可能な貯留エリアとを備え、投入エリアのサンプルラックLに収容された検体容器の形状を検出し、また、当該検体容器に収容された検体の量及び/又は凝固を検出し、異常が検出された検体を収容するサンプルラックを、投入エリア及び貯留エリアとは別に設けられた、複数のサンプルラックを載置可能な退避エリアに搬送する構成とすることができる。
【0178】
また、上述した実施の形態においては、検体容器の形状、検体容器中に収容される検体量、及び検体の凝固をそれぞれ検出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体容器の形状、検体容器中に収容される検体量、及び検体の凝固の何れか1つ、又は2つを検出可能な構成としてもよい。
【0179】
また、上述した実施の形態においては、垂直状態の検体容器を撮像して得た画像に対して処理を実行し、当該画像における検体容器の幅、検体容器の底の位置、及び血液面の位置(高さ)を検出し、これらより血液量を検出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。垂直状態の検体容器Tを撮像して得た撮像画像を2値化し、この2値化画像により特定される血液部分の面積を求め、この面積から例えばルックアップテーブル又は計算式等で血液量を求める構成としてもよい。
【0180】
また、上述した実施の形態においては、血液面像の位置より上方の処理領域114の画像に対して画像処理を実行することにより、血液が凝固しているか否かを判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。傾倒された検体容器を撮像して得た撮像画像を2値化し、血液部分とその他の部分とを異なる値として有する2値化画像を得、その2値化画像の「0」の領域と「1」の領域との境界を検出し、その境界の直線部分の位置(液面像の高さ)を基準として、前記境界に前記直線部分から上方へ突出している部分、即ち、凝集塊の部分が存在するか否かを判定する構成としてもよい。
【0181】
また、上述した実施の形態においては、検体の液面像よりも上方の処理領域114に含まれる全ての画素のうち、B値が所定値以下であり、且つ、R/B輝度比が所定値以下である画素を計数し、この画素数が所定値以上となる場合には、血液が凝固していると判定し、前記画素数が所定値未満である場合には、血液が凝固していないと判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。上記の処理領域114の画像に対して2値化処理を行って血液部分を例えば「0」とし、それ以外の部分を例えば「1」とし、このようにして得た血液部分の面積を所定の基準値と比較し、面積が基準値以上の場合には血液が凝固していると判定し、面積が基準値未満の場合には血液が凝固していないと判定する構成としてもよい。
【0182】
また、上述した実施の形態においては、B値、B輝度累積値、R/B累積輝度比、及びR/B輝度比のB値に関連する値を用いて画像処理を行い、血液量検出及び血液凝固判定の処理を行う構成について述べたが、これに限定されるものではなく、B値の代わりにG値を用いてもよい。
【0183】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0184】
また、上述した実施の形態においては、コンピュータがコンピュータプログラム84aの検体容器形状検出処理、血液量検出処理及び血液凝固判定処理を実行することにより、システム制御装置8として動作するコンピュータが検体容器の形状を検出し、検体容器中の血液量を検出し、また、検体容器中の血液検体の凝固の有無を判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。前記コンピュータプログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、検体容器形状検出処理、血液量検出処理及び血液凝固判定処理を実行する構成としてもよい。
【0185】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明の検体処理システム及び検体容器仕分け装置は、検体を測定する検体測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体容器を仕分ける検体容器仕分け装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】検体投入ユニットの構成を示す平面図。
【図5】検体チェックユニットの構成を示す平面図。
【図6】検体チェックユニットの一部の構成を模式的に示した正面図。
【図7】検体容器傾倒機構の概略構成を示す側面図。
【図8】実施の形態にかかる検体チェックユニットにおけるカメラと、白色と、検体容器との位置関係及び白色LEDから発せられた光の進行方向を説明するための模式図。
【図9】検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図10】検体搬送装置の第1ベルトの構成を示す正面図。
【図11】検体搬送装置の第2ベルトの構成を示す正面図。
【図12】検体分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図13】検体分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図14】塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図15A】検体投入装置の検体仕分け動作の流れを示すフローチャート(前半)。
【図15B】検体投入装置の検体仕分け動作の流れを示すフローチャート(後半)。
【図16】貯留指示データの構造を示す模式図。
【図17】貯留ラック情報の構造を示す模式図。
【図18A】検体投入装置の退避ラック情報表示動作の流れを示すフローチャート。
【図18B】検体投入装置のバーコードの再読取動作の流れを示すフローチャート。
【図18C】検体投入装置のエラー情報除去動作の流れを示すフローチャート。
【図18D】検体投入装置の貯留ラック除去動作の流れを示すフローチャート。
【図19】貯留ラックリスト画面の一例を示す図。
【図20】サンプルラックの詳細情報画面の一例を示す図。
【図21】システム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート
【図22】システム制御装置の検体容器形状検出処理の流れを示すフローチャート。
【図23】システム制御装置の血液量検出処理の手順を示すフローチャート。
【図24】検体容器の像の幅を検出する処理を説明するための模式図。
【図25】バーコードラベルの像の左右端の位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図26】検体容器像の下端位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図27】システム制御装置の血液凝固判定処理の手順を示すフローチャート。
【図28】検体容器の像の左端位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図29】検体容器底部像の上端位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図30】血液面像の位置検出に失敗した場合の血液凝固判定用の処理領域を説明するための模式図。
【図31A】図29に示した画像における処理領域内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラム。
【図31B】図29に示した画像における処理領域内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラム
【図31C】血液凝固が生じていない血液における処理領域内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラム
【図32】システム制御装置による仕分け指示処理の手順を示すフローチャート。
【図33A】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図33B】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図34A】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図34B】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図35A】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図35B】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【符号の説明】
【0188】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
2a 制御部
21 検体投入ユニット
21a バーコード読取部
21e カメラ
211 ラック載置部
22 検体チェックユニット
221 ラック収容部
222c ハンディバーコードリーダ
225a,225b カメラ
227 液晶表示部
23 検体送出ユニット
23a バーコードリーダ
231 ラック再投入部
3 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
301 検体搬送装置
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81 本体
81a CPU
81c RAM
81d ハードディスク
84a システム制御プログラム
9 ホストコンピュータ
BL1 バーコードラベル
BL2 バーコードラベル
W1 貯留ラックリスト
A1 リスト表示領域
B1 表示切替ボタン
W2 詳細情報画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する検体測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体容器を仕分ける検体容器仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析装置、塗抹標本作製装置等の複数の検体処理装置と、前記検体処理装置へ供給するために検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって各検体処理装置へ検体を搬送し、搬送された検体を検体処理装置で処理する検体処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、検体を収容したラックを供給するラック供給エリアと、該ラック供給エリアからのラックを搬送する搬送ラインと、該搬送ラインを搬送されたラックが収納されるラック収納部と、搬送ラインに沿って配置された複数の検体処理装置を備えた検体処理システムが開示されている。この特許文献1に記載されている検体処理システムは、複数の検体処理装置に搬送される前のラック上の検体に付された識別情報を読取る識別情報読取り装置と、該識別情報読取り装置による識別情報の識別の可否を判定する制御部と、複数の検体処理装置に搬送される前のラックを回収し得る特定ラック回収エリアと、制御部による判定によって識別不能とされたラックを特定ラック回収エリアに移載するラック移載装置とが設けられている。
【特許文献1】特開平11−304812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された分析処理システムでは、形状が当該システムの検体測定に適合しない検体容器、又は検体量が少なかったり、血液である検体が凝固していたりして測定が不可能な検体を収容する検体容器等がラックに収容されていても、このラックが検体処理装置へ供給される。このような検体容器が検体処理装置へ供給されると、その検体処理装置の動作が停止し、このためシステム全体の動作が停止してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体測定に供すべき検体容器と検体測定に供すべきでない検体容器とを仕分け、検体処理システムの動作停止を防止することが可能な検体処理システム及び検体容器仕分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体容器に収容された検体を測定する検体測定部と、検体容器を前記検体測定部へ搬送する搬送部と、検体容器を収容する検体容器収容部と、検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検体容器が前記検体測定部へ供給すべき検体容器であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別された検体容器を前記搬送部へ向けて送出し、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を前記検体容器収容部へ向けて送出する送出部と、を備える。
【0007】
この態様においては、前記搬送部が、複数の検体容器を収容可能な検体ラックを搬送するように構成されており、前記検体容器収容部が、検体ラックを収容可能に構成されており、前記検出手段が、検体ラックに収容された各検体容器について、検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出するように構成されており、前記検体容器収容部に収容された検体ラックにおいて、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を特定可能に表示する表示手段をさらに備えることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記検体容器収容部が、複数の検体ラックを収容可能に構成されており、前記検体処理システムが、入力部をさらに備え、前記表示手段が、前記検体容器収容部に収容された検体ラックを特定するラック特定情報を選択可能に表示する第1表示手段と、前記第1表示手段により表示されたラック特定情報の前記入力部による選択を受け付けたときに、選択されたラック特定情報に対応する検体ラックに収容された検体容器のうち、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を特定可能に表示する第2表示手段と、を具備することが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、検体ラックを特定する検体ラック特定情報を記録した検体ラック特定情報記録部を具備する検体ラックを投入するための投入部と、前記投入部に投入された検体ラックの検体ラック特定情報記録部から、前記検体ラックの検体ラック特定情報を読み出す読出部と、をさらに備え、前記検出手段が、前記投入部に投入された検体ラックに収容された検体容器の形状又は前記検体容器に収容された検体の状態を検出するように構成されており、前記第1表示手段が、前記読出部により読み出された、前記検体容器収容部に収容された検体ラックの検体ラック特定情報を選択可能に表示するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器に関する情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記表示手段が、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器に関する情報を表示するように構成されており、前記検体処理システムが、前記表示手段により表示されている前記検体容器に関する情報の削除の指示を受け付ける削除指示受付手段と、前記削除指示受付手段によって検体容器に関する情報の削除の指示を受け付けた場合に、前記検体容器に関する情報を前記記憶部から削除する削除手段と、をさらに備えることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、前記送出部と前記搬送部との間に設けられており、使用者からの検体容器の投入を受け入れる検体容器投入部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記判別手段が、前記検出手段の検体容器の形状の検出結果に基づいて、前記検体容器が前記検体測定部に適合しているか否かを判別するように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記検出手段が、検体容器に収容された血液検体の凝固を検出するように構成されており、前記判別手段が、前記検出手段によって血液検体の凝固が検出されなかった検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別し、前記検出手段によって血液検体の凝固が検出された検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別するように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記検出手段が、検体容器に収容された検体の量を検出するように構成されており、前記判別手段が、前記検出手段によって検出された血液検体の量が所定量以上の検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別し、前記検出手段によって検出された血液検体の量が所定量未満の検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別するように構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の一の態様の検体容器仕分け装置は、検体を収容する検体容器を収容する検体容器収容部と、検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検体容器が、検体を測定する検体測定部へ供給すべき検体容器であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別された検体容器を前記検体測定部へ供給するための送出先に送出し、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を前記検体容器収容部へ送出する送出部と、を備える
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る検体処理システム及び検体容器仕分け装置によれば、検体測定に供すべき検体と検体測定に供すべきでない検体とを仕分けることが可能となり、この結果、検体処理システムの動作停止を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
本実施の形態は、検体測定に供すべき検体と検体測定に供すべきでない検体とを仕分ける検体処理システムである。
【0019】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0020】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、検体投入ユニット21と、検体チェックユニット22と、検体送出ユニット23とを備えている。当該検体投入装置2は、サンプルラックに収納された複数の検体容器を載置することができる。また、検体投入装置2はCPU及びメモリから構成された制御部2aを備え、この制御部2aにより検体投入ユニット21、検体チェックユニット22、及び検体送出ユニット23の動作機構を制御することができる。また、検体投入装置2は通信ネットワークを解してシステム制御装置8と接続されており、システム制御装置8に対してデータ通信可能となっている。
【0021】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0022】
図4は、検体投入ユニット21の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体投入ユニット21は、検体容器Tを収容されたサンプルラックLを載置するための凹状のラック載置部211を有している。このラック載置部211は、長方形状をなしており、複数のサンプルラックLを同時に載置することが可能である。なお、サンプルラックLは、横方向に検体容器Tが並ぶように前記ラック載置部211に載置される。ラック載置部211には、サンプルラックLを検出するためのセンサ212、213と、サンプルラックLを移送するための係合部211aとが設けられている。センサ212及び213は、光学式センサであり、センサ212は発光部212aと受光部212bとを、センサ213は発光部213aと受光部213bとをそれぞれ備えている。発光部212aはラック載置部211の左前側の位置に配置され、受光部212bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。また、発光部213aはラック載置部211の左後側の位置に配置され、受光部213bはラック載置部211の右側中央の位置に配置されている。発光部212aは、右斜め後方へ向けて光を発するように配置されており、受光部212bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。また、発光部213aは、右斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部213bはラック載置部211を跨いでこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック載置部211に載置されたサンプルラックLによって、発光部212a又は213aから発せられた光が遮られ、受光部212b又は213bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ212又は213により検出される。ラックセンサ212,213で検出されたサンプルラックLは、係合部211aに係合され、係合部211aがサンプルラックLに係合した状態で前後方向へ移動することで、ラック載置部211上でサンプルラックLが移送されるようになっている。
【0023】
検体投入ユニット21は、ラック載置部211の奥側にバーコード読取部21aを備えている。かかるバーコード読取部21aは、サンプルラックLに収容されている複数の検体容器Tの検体バーコードを同時に読出す検体バーコードリーダ21bと、サンプルラックLのラックバーコードを読出すラックバーコードリーダ21cとを備えている。また、バーコード読取部21aは、ラック載置部211における最も奥側のバーコード読出位置の直上に、複数の検体容器Tを同時に水平回転させる水平回転機構21dを備えている。ラック載置部211に投入されたサンプルラックLは、ラック載置部211上を手前側から奥側へ向かう方向、つまり後方向へ移送され、バーコード読出位置に到達する。その後、サンプルラックLに収容される検体容器Tが水平回転機構21dにより水平回転されながら、検体バーコードリーダ21bによってバーコードラベルBL1から検体IDが読み出される。また、ラックバーコードリーダ21cによってサンプルラックLのバーコードラベルBL2からラックIDが読み出される。読み取られたラックID及び検体IDは、システム制御装置8へ送信される。
【0024】
検体バーコードの読取不良が発生した場合には、検体投入装置2の制御部2aが、この検体の保持位置に対応付けて、検体バーコード読取エラー情報をシステム制御装置8へ送信する。また、ラックバーコードの読取不良が発生した場合には、制御部2aが、投入されたサンプルラックLに対して順番に割り当てたラックシーケンシャル番号を、ラックIDに代えてシステム制御装置8へ送信する。
【0025】
また、検体投入ユニット21のバーコード読取位置の前方には、検体容器の形状検出用のCCDカメラ21eが設けられている。また、白色LED21fがカメラ21eに対して所定の位置に配置されており、この白色LED21fにより検体容器Tが照明される。白色LED21fはバーコード読取位置にあるサンプルラックLへ向けて光を発し、且つ、その反射光が、カメラ21eに直接入射しない位置及び向きに配置されている。これにより、反射光がカメラ21eに直接当たることがなく、露出オーバーによるいわゆる白飛びを防止することができる。
【0026】
また、CCDカメラ21e及び白色LED21fは、図示しない垂直駆動機構により上下方向に移動可能となっている。かかるCCDカメラ21e及び白色LED21fは、サンプルラックLがラック載置部211上を移送される際には、サンプルラックLの移送に干渉しない位置まで、上記垂直駆動機構により上昇される。サンプルラックLがバーコード読取位置にあるときには、CCDカメラ21e及び白色LED21fは当該サンプルラックLの前方に位置するまで下降し、CCDカメラ21eによりサンプルラックLの全体が撮像される。
【0027】
さらに、検体投入ユニット21は、検体チェックユニット22の右側に配置されている(図1参照)。バーコード読取位置においてラックバーコード及び検体バーコードが読み取られたサンプルラックLは、バーコード読取位置の左側に設けられたラック送出口215から検体チェックユニット22へ搬出される。
【0028】
また、図4に示すように、検体投入ユニット21には、操作パネル214が設けられている。ユーザはこの操作パネル214を操作して、検体処理システム1に分析開始の指示又は分析終了の指示を与えることができる。
【0029】
図5は、検体チェックユニット22の構成を示す平面図である。図5に示すように、検体チェックユニット22は、複数のサンプルラックLを収容可能な平面視四角形状のラック収容部221を備えている。また、検体チェックユニット22は、ユーザが手作業で使用するハンディバーコードリーダ222cと、検体容器Tを水平回転させる水平回転機構223と、検体容器TのバーコードラベルBL1の有無を検出するための光学センサ223aと、検体容器TをサンプルラックLから取り出し、傾倒させる検体容器傾倒機構224と、検体容器Tを撮像する2つのカメラ225a,225bと、液晶表示部227とを備えている。
【0030】
ラック収容部221は、平面視において長方形状をなす凹状に窪んだ部分である。当該ラック収容部221の奥側端の右側壁部には、検体投入ユニット21からサンプルラックLを導入するためのラック導入口221aが設けられている。また、ラック収容部221の奥側端の左側壁部には、検体送出ユニット23へサンプルラックLを送出するためのラック送出口221bが設けられている。かかるラック導入口221aとラック送出口221bとの間の部分には、サンプルラックLを搬送するための搬送ベルト228が設けられている。搬送ベルト228は、環状のベルトであり、図示しないステッピングモータで駆動されることにより、搬送ベルト228上に載置されたサンプルラックLが図中左方向へ搬送される。また、搬送ベルト228のさらに奥側には、ラック送出部229が設けられている。このラック送出部229は、図示しないステッピングモータ等により駆動され、搬送ベルト228上のサンプルラックLを前側に押し出すことが可能となっている。ラック送出部229によって前側に送り出されたサンプルラックLは、ラック収容部221で貯留される。
【0031】
図6は、検体チェックユニット22の一部の構成を模式的に示した正面図である。図6に示すように、水平回転機構223は、サンプルラックL上の検体容器Tの上端に当接する当接部223dを有しており、この当接部223dはモータによって水平方向に回転可能に構成されている。当接部223dが検体容器Tの蓋部CPに当接した状態で水平回転することにより、検体容器TがサンプルラックLの内部で水平回転することになる。また、水平回転機構223の前方には、光学センサ223aが配置される。かかる光学センサ223aは、発光素子223bと受光素子223cとにより構成されている。水平回転機構223により、検体容器Tが水平回転している間に、発光素子223bからこの検体容器Tに光が照射され、その反射光が受光素子223cにより受光される。発光素子223bの光を反射している面にバーコードラベルが存在している場合には、かかる受光素子223cの受光レベルが所定値を越え、発光素子223bの光を反射している面にバーコードラベルが存在していない場合には、受光レベルが前記所定値以下となる。そこで、制御部2aが、検体容器Tを水平回転させつつ光学センサ223aの受光素子223cの受光レベルをチェックし、その受光レベルが前記所定値以下となる位置で水平回転機構223の水平回転運動が停止させる。これにより、バーコードラベルBL1が存在しない面が前方を向くように、検体容器Tの角度が調整される。
【0032】
また、光学センサ223aは、図示しない垂直駆動機構により上下方向に移動可能となっている。かかる光学センサ223aは、サンプルラックLがラック収容部221の上記搬送路上にあるときには、サンプルラックLの前側に配置される。また、サンプルラックLがラック収容部221の前方に移送される際には、光学センサ223aが、サンプルラックLの移送に干渉しない位置まで、上記垂直駆動機構により上昇される。
【0033】
ラック収容部221の搬送路上において、サンプルラックLは、隣り合う検体容器Tの間隔を1ピッチとしたピッチ送りで左方向へ間欠的に移送される。水平回転機構223より所定ピッチ分だけ左側の位置には、上述した検体容器傾倒機構224が設けられている。図7は、検体容器傾倒機構224の概略構成を示す側面図である。検体容器傾倒機構224は、検体容器の上端付近を左右両側から把持する把持部224aと、モータ224bと、モータ224bの回転軸と把持部224aとを連結するベルト224cとを備え、モータ224bの回転により把持部224aを上下方向に移送することが可能である。また、把持部224aは、モータ224dの回転軸に連結されており、モータ224dの回転動作によって把持部224aが前後方向へ延びた中心軸の回りを回転することが可能である。
【0034】
水平回転機構223により、バーコードラベルBL1が前面に存在しない状態にまで回転された検体容器Tは、サンプルラックLが左方向へ移送されることにより検体容器傾倒機構224の位置まで到達する。ここで検体容器傾倒機構224の把持部224aが検体容器Tの上端付近を把持し、その状態のまま上昇されることにより、検体容器TがサンプルラックLから取り出される。検体容器TがサンプルラックLから完全に離脱して第1撮像位置224eまで到達すると、把持部224aの上昇動作が停止される。第1撮像位置224eにある検体容器Tの前方には、カメラ225aが配置されている。また、白色LED225cがカメラ225aに対して所定の位置に配置されており、この白色LED225cにより検体容器Tが照明される。
【0035】
図8は、カメラ225aと、白色LED225cと、検体容器Tとの位置関係及び白色LEDから発せられた光の進行方向を説明するための模式図である。図8に示すように、白色LED225cは第1撮像位置224eにある検体容器Tへ向けて光を発し、且つ、その検体容器Tの反射光が、検体容器Tの前方に位置するカメラ225aに直接入射しない位置及び向きに配置されている。これにより、反射光がカメラ225aに直接当たることがなく、露出オーバーによるいわゆる白飛びを防止することができる。
【0036】
把持部224aにより第1撮像位置224eにおいて把持された検体容器Tは、立位状態(垂直状態)のままカメラ225aにより撮像され、これによって得られた撮像画像データは、システム制御装置8へ送信される。その後、把持部224aがモータ224dにより垂直回転され、これによって検体容器Tが傾倒する。把持部224aは、図6において二点鎖線で示すように、検体容器Tの底部が蓋部CPよりも上方に位置する第2撮像位置224fに検体容器Tが至るまでの所定角度回動される。第2撮像位置224fにある検体容器Tの前方には、カメラ225b(図5参照)が配置されている。また、白色LED225d(図5参照)がカメラ225bに対して所定の位置に配置されており、この白色LED225dにより検体容器Tが照明される。白色LED225dとカメラ225bとの相対的位置関係は、白色LED225cとカメラ225aとの相対的位置関係と同一とされる。つまり、白色LED225dは第2撮像位置224fにある検体容器Tへ向けて光を発し、且つ、その検体容器Tの反射光が、検体容器Tの前方に位置するカメラ225bに直接入射しない位置及び向きに配置されている。
【0037】
把持部224aにより第2撮像位置224fにおいて把持された検体容器Tは、上記のように傾斜した状態のままカメラ225aにより撮像され、これによって得られた撮像画像データは、システム制御装置8へ送信される。全ての検体容器Tの撮像が完了したサンプルラックLは、搬送ベルト228によりラック送出口221bから送出される。
【0038】
バーコードリーダ222cは、発光部と受光部(ラインセンサ)を備えており(図示せず)、電気信号を送信するための柔軟なケーブルにより検体チェックユニット22の本体と接続されている。かかるバーコードリーダ222cは、バーコード読取部21aでは読み取り不能であったバーコードをユーザが手作業で再度読み取るような場合に使用される。
【0039】
検体チェックユニット22の左側に配置されている検体送出ユニット23は、複数のサンプルラックLが載置されるラック再投入部231を備えている(図1参照)。かかるラック再投入部231は、検体投入ユニット21のラック載置部211と同様に平面視において直方体形状をなしている。かかるラック再投入部231の奥側の右方壁部は欠落しており、ラック導入口が形成されている。このラック導入口によって検体チェックユニット22から検体送出ユニット23にサンプルラックLが導入されるようになっている。また、検体送出ユニット23のラック再投入部231の前側(正面側)の左方壁部も欠落しており、この部分がラック送出口となっている。ラック導入口から導入されたサンプルラックLは、ラック再投入部231により前方に移送され、最も前方の位置に到達した後、ラック送出口から左方へ送出される。また、検体送出ユニット23には、ラックバーコードを読み取るバーコードリーダ23aが設けられており、かかるバーコードリーダによってラック再投入部231を搬送されるサンプルラックLのラックIDが読み出され、後段の検体搬送装置3へサンプルラックLを搬出する前に、このラックIDを含む搬出要求データがシステム制御装置8へ送信される。
【0040】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0041】
図9は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図9に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0042】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0043】
ラック搬送部35は、図9に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0044】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図10は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図11は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図10及び図11に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図9参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図9参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0045】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0046】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0047】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部33に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0048】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0049】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0050】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0051】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作製装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0052】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0053】
検体搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0054】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0055】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0056】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0057】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0058】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図12は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図12に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0059】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0060】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、及び希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0061】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0062】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0063】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0064】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図13は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図13に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0065】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用及び測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0066】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0067】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0068】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0069】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0070】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0071】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0072】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0073】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0074】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0075】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0076】
図14は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図14に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0077】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0078】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0079】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0080】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図13に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0081】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0082】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0083】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0084】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0085】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0086】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、及び血球分析装置5の情報処理ユニット52と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。ホストコンピュータ9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0087】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0088】
<検体投入装置2の動作>
検体仕分け動作
検体が検体処理システム1に投入されると、検体投入装置2がサンプルラックLを、測定ユニット51へ搬送すべきものと搬送すべきでないものとに仕分ける。図15A及び図15Bは、検体投入装置2の検体仕分け動作の流れを示すフローチャートである。ユーザは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入ユニット21のラック載置部211に載置し、検体投入ユニット21の操作パネル214を操作して、検体処理システム1に分析開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部2aは、かかる分析開始の指示を受け付けると、ラック載置部211に投入されたサンプルラックLをセンサ212,213により検出する(ステップS101)。このセンサ212及び213がサンプルラックLを検出するイベントが発生すると、制御部2aはサンプルラックLの移送を開始する。検体投入ユニット21のラック載置部211に載置されたサンプルラックLは、ラック載置部211上を後方へ移送され、バーコード読取位置に到達する(ステップS102)。
【0089】
次に、制御部2aは、バーコードリーダ21b及び21cにより、サンプルラックLに収容されている検体の検体ID及び当該サンプルラックLのラックIDを読み出す(ステップS103)。このとき、水平回転機構21dにより各検体容器TがサンプルラックLに保持されたまま水平回転され、バーコードラベルBL1がバーコードリーダ21bに対向したときに検体バーコードが読み取られる。また、制御部2aは、読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する(ステップS104)。ステップS104において送信されるデータでは、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置(1〜10)と、保持されている検体容器の検体IDとが対応付けられている。また、検体バーコードの読み取り不良により、検体IDが取得できなかった場合には、保持位置に対応付けて検体バーコードの読み取り不良を示すデータが送信される。
【0090】
さらに、制御部2aは、サンプルラックLのラック載置部211上での移送を妨げないように上方に退避させていたCCDカメラ21e及び白色LED21fを下降させ、システム制御装置8へ第1画像取込指示信号を送信する(ステップS105)。システム制御装置8は、後述するように、この第1画像取込指示信号を受信すると、カメラ21eの撮像画像を取り込み、その後、この撮像画像に対して画像処理を実行し、サンプルラックLに収容されている検体容器の形状を検出する。制御部2aは、その後、サンプルラックLを左方向へと移送し、検体チェックユニット22へと送出する。
【0091】
検体チェックユニット22に導入されたサンプルラックLは、制御部2aにより、ラック収容部221の搬送ベルト228により左方向へ1ピッチ毎に移送される(ステップS106)。制御部2aは、検体容器Tが水平回転機構223の前方の位置に存在するか否かを判定する(ステップS107)。この処理は、例えば、光学センサ223aの受光素子223cの受光レベルを参照することにより行われる。検体容器Tが水平回転機構223の前方位置に存在しない場合には(ステップS107においてNO)、制御部2aは、処理をステップS109に移す。一方、検体容器Tが水平回転機構223の前方に位置したときには(ステップS107においてYES)、制御部2aは、水平回転機構223を駆動させ、バーコードラベルBL1を前方に向けるよう、検体容器Tを水平回転させる(ステップS108)。この処理では、制御部2aは、当接部223dを検体容器Tの蓋部CPに当接させて回転させながら、光学センサ223aの受光素子223cの受光レベルを所定値と比較し、受光レベルが所定値以上となるまで検体容器Tを水平回転させる。これにより、バーコードラベルBL1が前方に向けられる。
【0092】
次に制御部2aは、検体容器傾倒機構224の前方に検体容器Tが存在するか否かを判定する(ステップS109)。この処理は、例えば、水平回転機構223の前方位置に存在していた検体容器Tが何回ピッチ送りされたかにより判定される。検体容器傾倒機構224の前方位置に検体容器Tが存在しない場合には(ステップS109においてNO)、制御部2aは、処理をステップ115へ移す。検体容器傾倒機構224の前方位置に検体容器Tが存在する場合には(ステップS109においてYES)、制御部2aは、検体容器Tを把持部224aにより把持し、上方の第1撮像位置まで持ち上げ(ステップS110)、システム制御装置8へ第2画像取込指示信号を送信する(ステップS111)。システム制御装置8は、後述するように、この第2画像取込指示信号を受信すると、カメラ225aの撮像画像を取り込み、その後、この撮像画像に対して画像処理を実行し、検体容器Tの血液量を検出する。
【0093】
次に、制御部2aは、把持部224aを所定角度垂直回動させて、第2撮像位置まで検体容器Tを傾倒させ(ステップS112)、システム制御装置8へ第3画像取込指示信号を送信する(ステップS113)。システム制御装置8は、後述するように、この第3画像取込指示信号を受信すると、カメラ225bの撮像画像を取り込み、その後、この撮像画像に対して画像処理を実行し、検体容器Tの血液凝固の有無を判定する。
【0094】
次に、制御部2aは、把持部224aを反対方向に回動させて、再度検体容器Tを垂直状態に戻し、さらに把持部224aを下降させて、検体容器TをサンプルラックLに収容する(ステップS114)。
【0095】
なお、上述のステップS107〜S108の処理と、ステップS109〜S114の処理は、ここでは説明を簡単にするために順次的に実行するように記載しているが、実際は並行して実行される。つまり、例えば、サンプルラックLに収容された一の検体容器Tに対しては、検体容器Tの水平回転動作が行われつつ、他の検体容器Tに対しては、検体容器TのサンプルラックLからの引き抜き動作が行われる。
【0096】
制御部2aは、サンプルラックLに収容された全ての検体容器Tに対して上記の処理を完了したか否か、正確には、サンプルラックLの右端の検体容器収容部が検体容器傾倒機構224の前方に位置しているか否かを判定し(ステップS115)、サンプルラックLの右端がまだ検体容器傾倒機構224の前方位置に到達していない場合には(ステップS115においてNO)、サンプルラックLを1ピッチ左方向へ移送し(ステップS116)、処理をステップS107へ戻す。
【0097】
サンプルラックLの右端が検体容器傾倒機構224の前方位置に到達した場合には(ステップS115においてYES)、制御部2aは、仕分け準備完了データをシステム制御装置8へ送信し(ステップS117)、その後、搬送指示データ又は貯留指示データの受信を待機する(ステップS118においてNO)。搬送指示データは、このサンプルラックLが血球分析装置5の血球分析に供すべき検体のみを収容している場合にシステム制御装置8から送信され、貯留指示データは、サンプルラックLが血球分析装置5の血球分析に供すべきでない検体を収容している場合にシステム制御装置8から送信される。
【0098】
制御部2aは、搬送指示データ又は貯留指示データを受信すると(ステップS118においてYES)、受信したデータが貯留指示データであるか否かを判別する(ステップS119)。図16は、貯留指示データの構造を示す模式図である。貯留指示データD1には、そのサンプルラックLのラックID、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置(1〜10)、各検体容器Tの検体ID、及び、異常の内容を示すエラー情報(異常コード)が含まれている。検体容器Tの保持位置、検体ID、及びエラー情報は互いに対応付けられており、エラーが発生した検体容器Tの保持位置、検体ID、及びエラー情報が特定可能となっている。
【0099】
ステップS119において、受信したデータが貯留指示データである場合には(ステップS119においてNO)、制御部2aは、この貯留指示データに基づいて、制御部2aが備えるメモリ中の貯留ラック情報にこのサンプルラックLの情報を追加する(ステップS120)。図17は、貯留ラック情報の構造を示す模式図である。図に示すように、貯留ラック情報D2には、ラックID、各保持位置の検体ID、及び各保持位置のエラー情報が含まれている。検体IDとエラー情報とは対応付けられており、どの検体にどのようなエラーが発生したのかを特定可能となっている。かかる貯留ラック情報D2には、ラック収容部221に収容されている全てのサンプルラックLに関する情報が含まれている。その後、制御部2aは、ラック送出部229によりサンプルラックLをラック収容部221へ移送し(ステップS121)、処理を終了する。
【0100】
制御部2aは、ステップS119において、受信したデータが搬送指示データである場合には(ステップS119においてYES)、サンプルラックLをさらに左方向へ移送して、検体送出ユニット23へこのサンプルラックLを送出する(ステップS122)。制御部2aは、バーコードリーダ23aによりサンプルラックLのラックバーコードを読み出し(ステップS123)、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出するためのラック搬出位置までこのサンプルラックLを移送する(ステップS124)。その後、制御部2aは、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し(ステップS125)、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する(ステップS126においてNO)。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには(ステップS126においてYES)、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS127)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS128)。その後、制御部2aは、処理を終了する。
【0101】
退避ラック情報表示動作
上述のように検体チェックユニット22のラック収容部221に退避されたサンプルラックLに関する情報が、検体チェックユニット22の液晶表示部227に表示される。図18Aは、かかる退避ラック情報表示動作の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から貯留指示データD1が送信され、制御部2aの貯留ラック情報D2が更新され、サンプルラックLがラック収容部221に移送された場合には、制御部2aが貯留ラック情報D2に基づいて液晶表示部227に貯留ラックリスト画面を表示させる(ステップS131)。
【0102】
図19は、貯留ラックリスト画面の一例を示す図である。図に示すように、貯留ラックリスト画面W1には、異常が検出されたサンプルラックLのラックIDが一覧表示されるリスト表示領域A1が設けられている。このリスト表示領域A1では、各ラックIDをオペレータが指で触れることで選択可能となっている。選択されたラックIDは、選択されていないラックIDとは異なる色で表示される。また、貯留ラックリスト画面W1には、リスト表示領域A1で選択されたラックIDの詳細情報画面に画面表示を切替えるための表示切替ボタンB1が設けられている。制御部2aは、オペレータからのラックIDの選択及びそのサンプルラックLの詳細情報画面の表示指示を受け付けると(ステップS132)、詳細情報画面を液晶表示部227に表示させる(ステップS133)。また、オペレータがタッチパネルを操作してラックIDの選択及び詳細情報画面の表示指示を入力するのではなく、オペレータがサンプルラックLのラックバーコードをハンディバーコードリーダ222cにより読み取ることで、読み出されたラックIDが制御部2aに入力され、これによりこのサンプルラックLの詳細情報画面を表示させることもできる。詳細情報画面を表示させた後、制御部2aは、処理を終了する。
【0103】
図20は、サンプルラックLの詳細情報画面の一例を示す図である。図に示すように、詳細情報画面W2には、ラックID200aと、サンプルラックの各保持位置の番号200bと、保持位置に対応付けられたエラー情報200c,200dとが含まれる。エラー情報200cは、検体バーコード読み取り不良を示す情報であり、エラー情報200dは、凝固血液を示す情報である。また、詳細情報画面W2には、このサンプルラックLの情報を削除するための第1削除ボタンB21と、選択されたエラー情報を削除するための第2削除ボタンB22と、この画面の表示終了を指示するためのクローズボタンB23とが設けられている。また、この詳細情報画面W2においては、オペレータがタッチパネルを操作することにより、所望のエラー情報を選択することができる。また、オペレータは、このようにエラー情報が選択されている状態で、第2削除ボタンB22を選択することにより、そのエラー情報の削除指示を入力可能である。また、オペレータは、検体バーコード読取エラーを選択し、かかるサンプルラックLから検体バーコード読取不良の検体容器Tを取り出し、ハンディバーコードリーダ222cにより再度検体バーコードを読み取らせることで、この検体バーコードの読取エラーを解消することができる。
【0104】
また、オペレータは、かかる詳細情報画面を確認することにより、凝固血液の検体容器TをサンプルラックLから取り出し、当該血液検体を用手法により分析したり、バーコード読み取り不良の検体容器Tを取り出し、ハンディバーコードリーダ222cにより再度検体バーコードの読み取りを行った上で、当該検体容器をサンプルラックLの元の保持位置に戻し、このサンプルラックLを検体送出ユニット23のラック再投入部231に載置する等、適切な処置を取ることができる。
【0105】
図18Bは、バーコードの再読取動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、詳細情報画面が表示されている状態において、オペレータがハンディバーコードリーダ222cを用いて読み取り不良であった検体バーコードを再度読み取る場合の動作である。オペレータによる検体バーコード読取エラーの選択を受け付け(ステップS141)、読み取り不良であった検体バーコードが正常に読み出されるイベントが発生すると(ステップS142)、貯留ラック情報D2から当該検体バーコード読取エラー情報が削除される(ステップS143)。次に、制御部2aは、貯留ラック情報D2のおける当該サンプルラックLに関するエラー情報が全て削除されたか否かを判別する(ステップS144)。貯留ラック情報D2においてこのサンプルラックLに関するエラー情報が全て削除された場合には(ステップS144においてYES)、制御部2aは、貯留ラック情報D2からこのサンプルラックLの情報を削除し(ステップS145)、ステップS146へと処理を進める。一方、貯留ラック情報D2において当該サンプルラックLに関するエラー情報が他に残っている場合には(ステップS144においてNO)、制御部2aは、処理をステップS146へと移す。
【0106】
ステップS146において、制御部2aは、このサンプルラックのラックIDとともに、読み出された検体IDをシステム制御装置8へと送信する(ステップS146)その後、制御部2aは処理を終了する。この検体IDを受信したシステム制御装置8は、ホストコンピュータ9へこの検体IDをキーとして測定オーダを問い合わせ、また、この検体IDに対応付けられたエラー情報をハードディスク81dから削除する。
【0107】
図18Cは、エラー情報除去動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、詳細情報画面が表示されている状態において、オペレータが表示されているエラー情報を選択して、かかるエラー情報を削除する場合の動作である。オペレータは、例えば凝固検体を別の検体容器に移し替えたり、凝集塊を除去したりすることにより、一旦エラーが検出された検体を、測定可能な状態とすることができる場合がある。このような場合に、オペレータは測定可能な状態とした検体をサンプルラックLの元の位置に検体を戻し、さらに詳細情報画面に表示されている当該エラー情報を削除することにより、このサンプルラックLをシステムに再投入可能な状態とすることができる。オペレータによるエラー情報の詳細情報画面中の選択を受け付け(ステップS151)、当該エラー情報の削除指示を受け付けるイベント、即ち、第2削除ボタンB22の選択を受け付けるイベントが発生すると(ステップS152)、貯留ラック情報D2から当該エラー情報が削除される(ステップS153)。次に、制御部2aは、貯留ラック情報D2のおける当該サンプルラックLに関するエラー情報が全て削除されたか否かを判別する(ステップS154)。貯留ラック情報D2においてこのサンプルラックLに関するエラー情報が全て削除された場合には(ステップS154においてYES)、制御部2aは、貯留ラック情報D2からこのサンプルラックLの情報を削除し(ステップS155)、ステップS156へと処理を進める。一方、貯留ラック情報D2において当該サンプルラックLに関するエラー情報が他に残っている場合には(ステップS154においてNO)、制御部2aは、処理をステップS156へと移す。
【0108】
ステップS156において、制御部2aは、このサンプルラックのラックIDとともに、削除されたエラー情報をその検体IDと共にシステム制御装置8へと送信する(ステップS146)その後、制御部2aは処理を終了する。このデータを受信したシステム制御装置8は、この検体IDに対応付けられたエラー情報をハードディスク81dから削除する。
【0109】
オペレータは、このようにしてサンプルラックLを再投入可能な状態とした後、当該サンプルラックLを検体送出ユニット23のラック再投入部231に再投入することができる。ラック再投入部231に再投入されたサンプルラックLは、自動的に検体搬送装置3へと搬出される。
【0110】
図18Dは、貯留ラック除去動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、用手法による検査の実施、バーコードラベルの貼り替え、又は再度検体投入ユニット21のラック載置部211への当該サンプルラックLの載置等のために、オペレータがラック収容部221からサンプルラックLを取り除く場合の動作である。制御部2aにおいて、オペレータが第1削除ボタンB21を選択し、このサンプルラックLに関する情報を貯留ラック情報D2から削除する指示を受け付けるイベントが発生すると(ステップS161)、制御部2aは、貯留ラック情報D2から当該サンプルラックLに関する情報を削除し(ステップS162)、処理を終了する。この後、オペレータは、当該サンプルラックLをラック収容部221から取り出し、凝固検体又は検体量不足の検体の用手法による検査、読取不良が発生したバーコードの貼り替え、又はラック載置部211への再投入等の必要な処置を取る。
【0111】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。
【0112】
測定オーダ取得動作
システム制御装置8は、検体投入装置2から検体IDを受信し、この検体IDをキーとしてホストコンピュータ9に測定オーダを問い合わせる。ここで、測定オーダとは、検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、分析項目の情報とが含まれる。以下、この動作を詳しく説明する。
【0113】
図21は、システム制御装置8の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャートである。上述したように、検体投入装置2は、バーコードリーダ21b及び21cにより読み出した検体ID及びラックIDをシステム制御装置8へ送信する。かかるラックID及び検体IDは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS201)。CPU81aにおいて、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0114】
ステップS202において、CPU81aは、受信したデータに検体ID読取不良データが含まれているか否かを判定する(ステップS202)。受信データに検体ID読取不良データが含まれている場合には(ステップS202においてYES)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID(ラックID読取不良の場合には、投入されたサンプルラックLに順番に割り当てられるラックシーケンシャル番号)、及び、検体容器の保持位置に対応付けて、検体バーコードの読取不良が発生したことを示す検体バーコード読取エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS203)、処理をステップS204へ進める。一方、上記の検体ID読取不良データ全が含まれていない場合には(ステップS202においてNO)、CPU81aは、処理をステップ204へと進める。
【0115】
ステップS204において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つをホストコンピュータ9へ送信し、ホストコンピュータ9にその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS204)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS205)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS205において「受信成功」)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS206)。一方、検体IDに対応する測定オーダを受信できなかった場合(所定の受信可能期間までに測定オーダを受信しなかった場合、又は、ホストコンピュータ9から該当する測定オーダが存在しない旨の情報を受け付けた場合)には(ステップS205において「受信失敗」)、測定オーダが存在しない旨を示す情報(測定オーダ取得エラー情報)がラックID及び当該検体容器Tの保持位置に対応付けて記憶される(ステップS207)。
【0116】
次に、CPU71aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックLに収容されている全ての検体の検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS208)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS208においてNO)、ステップS204に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダをホストコンピュータ9に要求する。
【0117】
一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS208においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0118】
検体容器形状検出処理
システム制御装置8は、検体投入装置2に投入された検体容器Tの画像を取得し、この画像に基づいて検体容器の形状を検出する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0119】
図22は、システム制御装置8の検体容器形状検出処理の流れを示すフローチャートである。図22に示すように、システム制御装置8のCPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された第1画像取込指示信号がシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS211)、ステップS212の処理が呼び出される。
【0120】
ステップS212においては、CPU81aは、その時点におけるカメラ21eの撮像画像を取り込む(ステップS212)。この撮像画像には、サンプルラックLの全体像が含まれている。次にCPU81aは、取り込んだ撮像画像における各検体容器Tの蓋部CPの位置を検出する(ステップS213)。この処理について詳述する。検体容器の蓋部は、検体容器の種類によって色及び形が異なっている。したがって、この処理では、カラー画像であるカメラ21eの撮像画像をR値、G値、B値のそれぞれで微分する。例えば、紫色の蓋部を備える検体容器の場合には、蓋部の周縁部分においてR値とB値との微分値が他の部分に比べて大きくなる(又は小さくなる)。また、ピンク色の蓋部を備える検体容器の場合には、蓋部の周縁部分においてR値の微分値が他の部分に比べて大きくなる(小さくなる)。また、検体容器の蓋部はサンプルラックLから突出するため、サンプルラックLより上の部分の画像のみが処理対象とされる。これにより、検体容器から透過される血液検体の色等の影響を排除することができる。このようにして、R値、G値、B値の微分値により、検体容器蓋部の位置が検出される。また、サンプルラックLに複数の検体容器Tが収容されている場合には、上記の画像には複数の蓋部の画像が含まれ、この処理では各蓋部の位置が検出される。
【0121】
次に、CPU81aは、検出された蓋部の位置における各画素の色成分に基づいて、検体容器の種類を識別する(ステップS214)。この処理は、蓋部の位置における各画素のR値の平均値、G値の平均値、及びB値の平均値をそれぞれ求め、それぞれの平均値と、あらかじめハードディスク51dに記憶されている、検体容器の種類毎の蓋部の色成分の情報とを比較することにより行われる。つまり、検体容器の種類毎に、蓋部のR値、G値、B値の基準データが記憶されており、画像から取得したR値、G値、B値の平均値が各基準データのR値、G値、B値と比較され、両者が所定の誤差範囲内で近似している場合に、その種類の検体容器と判断される。複数の蓋部が撮像されている場合には、各蓋部について上記の処理が行われ、それぞれの検体容器の種類が特定される。
【0122】
次に、CPU81aは、サンプルラックLの各検体容器について、検出した検体容器の種類が検体処理システム1に適合している種類であるか否かを判定する(ステップS215)。ここで検体処理システム1に適合しない検体容器の種類には、サイズ又は形状が測定ユニット51の検体容器搬送部515の構成に合わず、測定ユニット51では検体の吸引を行うことができないもの、及び検体容器の種類が不明のものが含まれる。ステップS215において、検体容器の種類が検体処理システム1に適合していないと判定された検体容器が存在する場合には(ステップS215においてNO)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID、及び、適合しないと判定された検体容器の保持位置に対応付けて、検体容器の形状が検体処理システム1に適合していないことを示す形状エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS216)、処理を終了する。一方、全ての検体容器の種類が検体処理システム1に適合していると判定された場合には(ステップS215においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0123】
血液量検出処理
システム制御装置8は、カメラ225aの撮像画像を取り込み、この撮像画像に対して画像処理を実行することで、検体容器Tの血液量を検出する。
【0124】
図23は、血液量検出処理の手順を示すフローチャートである。図23に示すように、CPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された第2画像取込指示信号がシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS221)、ステップS222の処理が呼び出される。
【0125】
ステップS222においては、CPU81aは、その時点におけるカメラ225aの撮像画像を取り込む(ステップS222)。次にCPU81aは、取り込んだ撮像画像における検体容器Tの像の幅を検出する(ステップS223)。この処理について詳しく説明する。図24は、検体容器Tの像の幅を検出する処理を説明するための模式図である。この画像100はカラー画像であり、各画素についてRGBの輝度情報を有している。CPU81aは、この画像100において検体容器Tの幅を求めるための処理領域101に対して以下の処理を行う。なお、処理領域101は所定の領域であり、検体容器Tの底部付近の像を含む領域であって、バーコードラベルBL1の像が含まれない領域とされる。CPU81aは、処理領域101内のX座標毎に、処理領域101内のY方向の各画素のB(青)輝度値(以下、「B値」という。)を累積する。つまり、処理領域101に含まれる左端の縦に一列の画素群に対して、各画素のB値の累積値(以下、「B輝度累積値」という。)を算出し、次に1つ右側の縦一列の画素群に対して、B輝度累積値を算出する。これをX座標値をインクリメントしながら処理領域101の右端に到達するまで繰り返す。
【0126】
図24において、101aは上述したようにして求めた処理領域101におけるB輝度累積値のグラフである。処理領域101におけるB輝度累積値は、背景画像の部分では高く、検体容器Tの像の部分では低くなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値のX方向の微分を行い、B輝度累積値の急な立下がり部分と立上り部分とを検出する。これによって、検体容器Tの幅が検出される。
【0127】
次に、CPU81aは、バーコードラベルBL1の左右端の像の位置を検出する(ステップS224)。この処理について詳しく説明する。図25は、バーコードラベルBL1の像の左右端の位置を検出する処理を説明するための模式図である。CPU81aは、画像100においてバーコードラベルBL1の像の左右端の位置を検出するための処理領域102に対して以下の処理を行う。なお、処理領域102は所定の領域であり、画像中の上部の領域であって、バーコードラベルの像が含まれる領域とされる。CPU81aは、処理領域102におけるX座標値毎にB輝度累積値を算出する。図中102aは、処理領域102におけるB輝度累積値のグラフである。グラフ102aに示すとおり、バーコードラベルの像の部分におけるB輝度累積値は、背景画像及び検体容器像におけるB輝度累積値よりも高くなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値を左から右へ走査し、B輝度累積値が一旦高くなりその後急に低くなる位置をバーコードラベルの左端の像の位置として検出し、次いでB輝度累積値を右から左へ走査し、B輝度累積値が一旦高くなりその後急に低くなる位置をバーコードラベルの右端の像の位置として検出する。
【0128】
次に、CPU81aは、検体容器像の下端位置を検出する(ステップS225)。この処理について詳しく説明する。図26は、検体容器像の下端位置を検出する処理を説明するための模式図である。CPU81aは、まず、画像100において検体容器像の下端位置及び血液検体の液面像の位置を検出するための処理領域103を決定する。この処理領域103は、ステップS224で検出したバーコードラベルの左端の像の位置と右端の像の位置とで囲まれる領域よりも少し内側の領域とされる。これは、バーコードラベルの左端の像と右端の像との間の領域は、バーコードラベルの像が存在しないためである。
【0129】
CPU81aは、処理領域103におけるY座標値毎に、X方向にB値を累積したB輝度累積値及びR値を累積したR輝度累積値を算出する。またCPU81aは、Y座標毎に、R輝度累積値をB輝度累積値で除した値(以下、「R/B累積輝度比」という。)を算出する。図中103aは、処理領域103におけるB輝度累積値のグラフであり、図中103bは、処理領域103におけるR/Bのグラフである。グラフ103aに示すとおり、検体容器内の血液検体の像のB輝度累積値は、検体容器内の血液検体が存在しない部分の像及び背景画像のB輝度累積値よりも低くなる。また、血液検体の像においては、その他の部分に比べてR/B累積輝度比が大きくなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値をY方向に微分し、処理領域103の下端から上方へ向かうときに、B輝度累積値が急に小さくなる位置を検体容器像の下端位置として検出する。
【0130】
次に、CPU81aは、血液検体において血漿部分と血球部分とが分離しているか否かを判定する(ステップS226)。この処理では、処理領域103のB輝度累積値及びR輝度累積値を検体容器像の下端位置から上へと走査して、R輝度累積値のみが大きくなっていれば、血漿部分と血球部分とが分離していると判定する。
【0131】
血漿部分と血球部分とが分離している場合には(ステップS226においてYES)、CPU81aは、血液検体の液面像の位置を検出する第1液面像位置検出処理を行い(ステップS227)、血漿部分と血球部分とが分離していない場合には(ステップS226においてNO)、血液検体の液面像の位置を検出する第2液面像位置検出処理を行う(ステップS228)。第1液面像位置検出処理では、血液検体の像から上方へ向かうときに、B輝度累積値が急に大きくなり、且つ、R/B累積輝度比が所定値以下となる位置が液面像の位置として検出される。また、第2液面像位置検出処理では、血液検体像から上方へと向かうときに、B輝度累積値が急に大きくなる位置が液面像の位置として検出される。
【0132】
次に、CPU81aは、検体容器T内の血液量を算出する(ステップS229)。この処理では、CPU81aが、以下の式(1)及び(2)により血液量BVを算出する。
R=(k・W−2T)/2 …(1)
BV=πR2×(k・H−R)+2πR3/3 …(2)
但し、Rは、検体容器内面の半径を、kは、撮像画像の縮尺率によって定まる係数を、Wは、検体容器像の幅を、Tは検体容器の厚みを、Hは血液検体像の高さ(液面像の位置と検体容器下端像の位置との差)を、それぞれ示している。CPU81aは、血液量BVを算出すると、画像処理の対象となった血液検体の検体IDに対応する測定オーダから測定に必要な血液量NVを算出し(ステップS2210)、血液量BVが必要血液量NV以上であるか否か、すなわち、当該検体の測定が可能か否かを判定する(ステップS2211)。ステップS2211において、血液量BVが必要血液量NV未満と判定された場合には(ステップS2211においてNO)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID、及び、この検体容器の当該サンプルラックLにおける保持位置に対応付けて、検体容器に測定可能な量の検体が収容されていないことを示す検体量エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS2212)、処理を終了する。一方、血液量BVが必要血液量NV以上であった場合には(ステップS2211においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0133】
血液凝固判定処理
また、システム制御装置8は、カメラ225bの撮像画像を取り込み、この撮像画像に対して画像処理を実行することで、検体容器T内の血液検体の凝固の有無を判定する。
【0134】
図27は、血液凝固判定処理の手順を示すフローチャートである。図27に示すように、CPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された第3画像取込指示信号がシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS231)、ステップS232の処理が呼び出される。
【0135】
ステップS232においては、CPU81aは、その時点におけるカメラ225bの撮像画像を取り込む(ステップS232)。次にCPU81aは、取り込んだ撮像画像における検体容器Tの像の左端の位置を検出する(ステップS233)。この処理について詳しく説明する。図28は、検体容器Tの像の左端位置を検出する処理を説明するための模式図である。この画像110はカラー画像であり、各画素についてRGBの輝度情報を有している。CPU81aは、この画像110において検体容器Tの像の左端位置を求めるための処理領域111に対して以下の処理を行う。なお、処理領域111は所定の領域であり、検体容器Tの底部付近の像を含む領域とされる。CPU81aは、処理領域111内のY方向のB輝度累積値をX座標ごとに算出する。図中111aは、処理領域111におけるB輝度累積値のグラフである。グラフ111aに示すとおり、検体容器像の部分におけるB輝度累積値は、背景画像におけるB輝度累積値よりも低くなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値のX方向の微分を行い、このB輝度累積値を左から右へ走査したときのB輝度累積値の立下がり位置を検体容器像の左端位置として検出する。
【0136】
次に、CPU81aは、検体容器底部像の上端位置を検出する(ステップS234)。この処理について詳しく説明する。図29は、検体容器底部像の上端位置を検出する処理を説明するための模式図である。CPU81aは、画像110において検体容器底部像の上端位置を検出するための処理領域112を決定する。この処理領域112は、ステップS233で検出した検体容器像の左端位置から所定の画素数分右側までの領域とされる。これは、当該画像においては検体容器Tの底部が蓋部CPよりも上方に位置する状態で検体容器Tが撮像されており、検体容器Tの底部が検体容器の上端となるため検体容器の底部像を処理領域に含める必要があるところ、前記左端位置よりも右側の領域に検体容器Tの底部の像が存在するためである。
【0137】
CPU81aは、処理領域112内のX方向のB輝度累積値をY座標ごとに算出する。図中112aは、処理領域112におけるB輝度累積値のグラフである。グラフ112aに示すとおり、検体容器像の部分におけるB輝度累積値は、背景画像におけるB輝度累積値よりも低くなる。したがって、CPU81aは、このB輝度累積値のY方向の微分を行い、このB輝度累積値を上から下へ走査したときのB輝度累積値の立下がり位置を検体容器の底部像の上端位置として検出する。
【0138】
次に、CPU81aは、血液検体の液面像の位置を検出する(ステップS235)。この処理について詳しく説明する。CPU81aは、画像110において血液検体の液面像の位置を検出するための処理領域113(図29参照)に対して以下の処理を行う。なお、処理領域113は所定の領域であり、画像110内の右側部分の領域とされる。これは、血液が凝集することによってできた凝集塊が血液検体中に存在する場合、この凝集塊は通常その重さにより検体容器Tの中の底の部分に沈んでいる。このため、正面視において検体容器Tの底部が左側に位置する第2撮像位置へと検体容器Tが傾倒されると、検体容器T内の血液検体は検体容器Tの蓋部CP側(右側)へ移動し、検体容器T内の底部の血液検体は少なくなる。一方、検体容器Tの底に沈んでいた凝集塊は、検体容器Tの底部の内面に乗り上げ、浅い血液検体の液面から突出した状態となる。従って、画像110内の右側の領域には、液体の血液のみが存在することになり、この部分に処理領域113を設けることにより、処理領域113内に凝集塊の像が含まれず、液体の血液の像が含まれることになる。このように、処理領域113は、液体の表面の像である液面像を検出するのに適した領域である。CPU81aは、処理領域113におけるY座標値毎にB輝度累積値及びR輝度累積値を算出する。図中113aは、処理領域113におけるB輝度累積値のグラフである。まず、CPU81aは、処理領域113の下端から上方へ向かってR/B累積輝度比を順次チェックし、R/B累積輝度比が所定値以上となるか否かを判定する。ここで、血液像の部分ではR/B累積輝度比が大きくなることから、R/B累積輝度比が所定値以上となる場合には、検体容器内に血液が存在していると判断することができる。また、血液が存在しないと判断できる場合、即ち、処理領域113のY軸方向全体に亘ってR/B累積輝度比が所定値を越えない場合には、血液検体の液面像の位置検出に失敗したものとされる。
【0139】
血液が存在すると判断できる場合には、CPU81aは、その血液が存在していると考えられる位置(R/B累積輝度比が所定値以上である位置)から上方へ向かって、B輝度累積値をチェックし、B輝度累積値の微分値が所定値以上となる場合であって、且つ、R/B累積輝度比が所定値以下となる位置を血液面像の位置として検出する。このような位置が存在しない場合には、血液面像の位置検出に失敗したものとされる。
【0140】
次に、CPU81aは、ステップS235において血液面像の位置検出に成功したか否かを判定し(ステップS236)、血液面像の位置検出に成功した場合には(ステップS236においてYES)、検体容器の底部像の左端位置及び上端位置並びに血液面像の位置に基づいて、血液凝固の有無を判定するための処理領域を設定する(ステップS237)。図29を参照して、当該処理領域を説明する。ステップS237の処理では、検体容器の底部像の左端位置より右側であり、検体容器の底部像の上端位置より下側であり、血液面像の位置より上側の領域が処理領域114として設定される。図29に示すように、血液が凝固している場合には、凝集塊が液面から上方に突出していることがある。このような場合に、液面像の上方の処理領域114に凝集塊の像が存在することになり、かかる処理領域114に対して画像処理を実行することにより、血液の凝固を検出することができる。
【0141】
一方、血液面像の位置検出に失敗した場合には(ステップS236においてNO)、検体容器の底部像の左端位置及び上端位置に基づいて、血液凝固の有無を判定するための処理領域が設定される(ステップS238)。図30は、血液面像の位置検出に失敗した場合の血液凝固判定用の処理領域を説明するための模式図である。図30に示すように、この場合の処理領域115は、検体容器の底部像の左端位置より右側であり、且つ、検体容器の底部像の上端位置より下側の所定の大きさの領域とされる。血液が存在すると判断できる場合において、血液面像の位置が検出できなかったときは、血液が凝固することにより粘性を帯び、検体容器の内面に粘着している場合がある。このような場合は、検体容器Tを傾倒させても液面を確認することができず、処理領域115の多くの部分が血液像によって占められることになる。そこで、処理領域115に対して画像処理を実行することにより、血液の凝固を検出することができる。
【0142】
血液凝固検出用の処理領域を設定した後、CPU81aは、血液凝固の有無を判定する(ステップS239)。この処理について以下に説明する。CPU81aは、処理領域114又は115に含まれる各画素について、単一画素におけるR値とB値との比であるR/B輝度比を算出する。そして、CPU81aは、処理領域114又は115に含まれる全ての画素のうち、B値が所定値以下であり、且つ、R/B輝度比が所定値以下である画素を計数する。この画素数が所定値以上となる場合には、血液が凝固していると判定され、前記画素数が所定値未満である場合には、血液が凝固していないと判定される。
【0143】
図31Aは、図29に示した画像における処理領域114内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラムであり、図31Bは、図29に示した画像における処理領域115内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラムであり、図31Cは、血液凝固が生じていない血液における処理領域114内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラムである。図において、B値が所定値以下であり、且つ、R/B輝度比が所定値以下であるという条件を満たす範囲を四角枠150にて示している。図31Aに示すように、血液面上に凝集塊が突出している場合には、処理領域114に含まれる全画素のうちの多くの画素(画像100が640×480ドットの場合において数百画素以上)が上記条件を満たす。また、図31Bに示すように、血液が存在すると判断できる場合において、血液面像の位置が検出できなかったときには、処理領域115に含まれる全画素のうちの非常に多くの画素(画像100が640×480ドットの場合において1万画素以上)が上記条件を満たす。一方、図31Cに示すように、血液面上に凝集塊が突出していない場合には、処理領域114に含まれる全画素のうち非常に少数の画素(画像100が640×480ドットの場合において数個)しか上記条件を満たさない。このように、画像のサイズが640×480ドットの場合においては、上記の閾値を100程度に設定することにより、高精度に血液の凝固を検出することができる。
【0144】
ステップS239において、血液が凝固していると判定された場合には(ステップS239においてNO)、CPU81aは、このサンプルラックLのラックID、及び、この検体容器の当該サンプルラックLにおける保持位置に対応付けて、検体容器に収容されている検体が凝固していることを示す血液凝固エラー情報をハードディスク51dに記憶し(ステップS2310)、処理を終了する。一方、血液が凝固していないと判定された場合には(ステップS239においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0145】
仕分け指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2に対して、後段の測定ユニット51へ搬送する検体(サンプルラックL)と、測定ユニット51へ搬送しない検体(サンプルラックL)とを仕分けるための仕分け指示を行う。以下、この処理について詳述する。
【0146】
図32は、システム制御装置8による仕分け指示処理の手順を示すフローチャートである。図32に示すように、CPU81aにおいて、検体投入装置2から送信された仕分け準備完了データがシステム制御装置8に受信されるイベントが発生すると(ステップS241)、ステップS242の処理が呼び出される。
【0147】
仕分け準備完了データには、ラックIDが含まれている。CPU81aは、かかる仕分け準備完了データを受信すると、その仕分け準備完了データに含まれるラックIDに対応する検体ID、検体バーコード読取エラー情報(検体IDの読み取りに失敗したことを示す情報)、検体容器の形状エラー情報(検体容器の形状が測定ユニット51による測定に適していないことを示す情報)、測定オーダ取得エラー情報(検体IDに対応する測定オーダが存在していないことを示す情報)、検体量エラー情報(検体容器に測定可能な量の検体が収容されていないことを示す情報)、及び血液凝固エラー情報(検体容器に収容されている検体が凝固していることを示す情報)をハードディスク51dから読み出す(ステップS242)。その後、CPU81aは、全ての検体容器について上記のエラー情報が存在するか否かを判別し(ステップS243)、全ての検体容器について上記のエラー情報が存在しない場合には(ステップS243においてYES)、搬送指示データを検体投入装置2へ送信し(ステップS244)、処理を終了する。一方、ステップS243において、少なくとも1つの検体容器について上記のエラー情報が存在する場合には(ステップS243においてNO)、CPU81aは、上記読み出したエラー情報を含む貯留指示データD1(図15参照)を検体投入装置2へ送信し(ステップS245)、処理を終了する。なお、この仕分け指示処理では、仕分け準備完了データにラックIDが含まれていない場合(ラックバーコードの読み取りに失敗した場合)にも、ラックID読取エラー情報を含む貯留指示データが送信される。
【0148】
搬送指示処理
システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれる検体IDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定し、決定した搬送先へ搬送するよう各装置へ搬送を指示する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0149】
図33Aは、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、搬送方向最上流側の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS251)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS252の処理が呼び出される。
【0150】
ステップS252において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックIDをキーにして、ハードディスク81dに記憶されている測定オーダを検索する(ステップS252)。次に、CPU81aは、受信した各測定オーダに含まれる測定項目に基づいて、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS253)。この処理では、その時点において測定を行っていない測定ユニット51又は測定の予約数が最も少ない測定ユニット51であって、測定オーダに含まれる測定項目を全て実行可能な測定ユニット51が測定先として決定される。
【0151】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS254)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、サンプルラックLの搬送方向において最も上流側の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、それ以外の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0152】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS255においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS255においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS256)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS257においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS257においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS258においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS258においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0153】
次に、システム制御装置8の第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送方向において2番目又は3番目の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。図33Bは、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS261)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS262の処理が呼び出される。
【0154】
ステップS262において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS262)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0155】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS263においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS263においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS264)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS265においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS265においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS266においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS266においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0156】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図34A及び図34Bは、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS301)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0157】
ステップS302において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS302)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS303)。
【0158】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS304)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS305)。
【0159】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS306)。ステップS306において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインLを示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS306において「測定ラインL1」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS307)。次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS308)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS309)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS309においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS310)、情報処理ユニット52へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS311)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS312においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS312においてYES)、処理をステップS314へ進める。
【0160】
一方、ステップS309において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS309においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS313)、処理をステップS314へ進める。ステップS314において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS314)、iが10未満である場合には(ステップS314においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS315)、ステップS309へ処理を戻す。
【0161】
ステップS314において、iが10以上である場合には(ステップS314においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS316)。その後、制御部32は、処理をステップS318へ移す。
【0162】
一方、ステップS306において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS306において「スキップラインL2」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS317)。その後、制御部32は、処理をステップS318へ移す。
【0163】
ステップS318において、制御部32は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックIDを含む搬出要求データを送信する(ステップS318)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS319においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS319においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS320)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS321)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0164】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0165】
図35A及び図35Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS401)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0166】
ステップS402において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS402)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS403)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS404)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS405)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS406)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS407)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS408においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS408においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS409)。
【0167】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS410)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS411)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS412)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS413)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0168】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS414)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS415)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS416)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521dに格納され(ステップS417)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS418)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS418の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0169】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302b上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0170】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0171】
以上のような構成とすることにより、異常のない、測定に供すべき検体を収容するサンプルラックLと、検体容器の形状がシステムに適合していない検体、検体量が不足している検体、凝固している検体等、測定に供すべきでない検体を収容しているサンプルラックLとを仕分けることができ、これにより、測定に供すべきでない検体を測定ユニット51へ搬送することによる検体処理システム1の動作停止を防止することができる。
【0172】
また、従来では、上述のような測定に供すべきでない検体が測定ユニットに供給されることにより、測定ユニットでの検体の吸引エラー等が発生して検体処理システム1の動作が停止してしまうため、オペレータはかかる異常の発生に備えて常時検体処理システムを監視している必要があった。これに対して、本実施の形態に係る検体処理システム1においては、測定に供すべきでない検体を収容するサンプルラックLがラック収容部221に収容されるため、オペレータは常時検体投入装置2を監視している必要がなく、異常が検出されたサンプルラックLがラック収容部221に収容された後に、このサンプルラックLをラック収容部221から取り出して適切な処置を取ることが可能であり、オペレータの利便性が向上する。
【0173】
また、複数のサンプルラックLにおいて異常が検出された場合は、これらのサンプルラックLがラック収容部221に貯留されるため、オペレータは1つ1つのサンプルラックLについて異常が発生する都度対処する必要がなく、ラック収容部221に貯留された複数のサンプルラックLをまとめて処理することが可能となる。これによっても、オペレータの利便性が向上する。
【0174】
また、液晶表示部227に、エラーが発生した(つまり、測定に供すべきでないと判断された)検体がサンプルラックLの中のどの検体であるかが特定可能に表示されるため、オペレータは液晶表示部227に表示されている詳細情報画面を確認するだけで、処置が必要な検体がどの検体であるかを特定することができる。
【0175】
また、上記の詳細情報画面には、どのようなエラーが生じたのかが特定可能に表示されるため、オペレータは液晶表示部227に表示されている詳細情報画面を確認するだけで、どのような異常が生じているかを特定することができ、このため、どのような処置が必要になるかを容易且つ迅速に判断することができる。
【0176】
また、検体チェックユニット22の後段に設けられた検体送出ユニット23にラック再投入部231を設けたため、一旦は測定に供すべきでないと判別されたが、使用者の操作(例えば、検体容器の移し替え、凝固塊の除去など)により、サンプルラックLに収容される検体が全て測定可能となった場合に、オペレータは当該サンプルラックLを検体投入ユニット21ではなく検体送出ユニット23のラック再投入部231に投入することができる。これにより、かかるサンプルラックLの各検体の検体IDを再度検体バーコードリーダ21bで読み取る必要がなく、システムの処理効率を向上させることができる。
【0177】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、複数の測定ユニット51,51,51を備え、各測定ユニットに検体を搬送する検体処理システムについて述べたが、これに限定されるものではない。1つの測定ユニットと、検体搬送ユニットとを備え、検体搬送ユニットによって測定ユニットに検体を搬送する構成の検体分析装置としてもよい。この場合には、検体搬送ユニットが分析前の検体を収容したサンプルラックを複数載置可能な投入エリアと、分析後の検体を収容したサンプルラックを複数載置可能な貯留エリアとを備え、投入エリアのサンプルラックLに収容された検体容器の形状を検出し、また、当該検体容器に収容された検体の量及び/又は凝固を検出し、異常が検出された検体を収容するサンプルラックを、投入エリア及び貯留エリアとは別に設けられた、複数のサンプルラックを載置可能な退避エリアに搬送する構成とすることができる。
【0178】
また、上述した実施の形態においては、検体容器の形状、検体容器中に収容される検体量、及び検体の凝固をそれぞれ検出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体容器の形状、検体容器中に収容される検体量、及び検体の凝固の何れか1つ、又は2つを検出可能な構成としてもよい。
【0179】
また、上述した実施の形態においては、垂直状態の検体容器を撮像して得た画像に対して処理を実行し、当該画像における検体容器の幅、検体容器の底の位置、及び血液面の位置(高さ)を検出し、これらより血液量を検出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。垂直状態の検体容器Tを撮像して得た撮像画像を2値化し、この2値化画像により特定される血液部分の面積を求め、この面積から例えばルックアップテーブル又は計算式等で血液量を求める構成としてもよい。
【0180】
また、上述した実施の形態においては、血液面像の位置より上方の処理領域114の画像に対して画像処理を実行することにより、血液が凝固しているか否かを判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。傾倒された検体容器を撮像して得た撮像画像を2値化し、血液部分とその他の部分とを異なる値として有する2値化画像を得、その2値化画像の「0」の領域と「1」の領域との境界を検出し、その境界の直線部分の位置(液面像の高さ)を基準として、前記境界に前記直線部分から上方へ突出している部分、即ち、凝集塊の部分が存在するか否かを判定する構成としてもよい。
【0181】
また、上述した実施の形態においては、検体の液面像よりも上方の処理領域114に含まれる全ての画素のうち、B値が所定値以下であり、且つ、R/B輝度比が所定値以下である画素を計数し、この画素数が所定値以上となる場合には、血液が凝固していると判定し、前記画素数が所定値未満である場合には、血液が凝固していないと判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。上記の処理領域114の画像に対して2値化処理を行って血液部分を例えば「0」とし、それ以外の部分を例えば「1」とし、このようにして得た血液部分の面積を所定の基準値と比較し、面積が基準値以上の場合には血液が凝固していると判定し、面積が基準値未満の場合には血液が凝固していないと判定する構成としてもよい。
【0182】
また、上述した実施の形態においては、B値、B輝度累積値、R/B累積輝度比、及びR/B輝度比のB値に関連する値を用いて画像処理を行い、血液量検出及び血液凝固判定の処理を行う構成について述べたが、これに限定されるものではなく、B値の代わりにG値を用いてもよい。
【0183】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0184】
また、上述した実施の形態においては、コンピュータがコンピュータプログラム84aの検体容器形状検出処理、血液量検出処理及び血液凝固判定処理を実行することにより、システム制御装置8として動作するコンピュータが検体容器の形状を検出し、検体容器中の血液量を検出し、また、検体容器中の血液検体の凝固の有無を判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。前記コンピュータプログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、検体容器形状検出処理、血液量検出処理及び血液凝固判定処理を実行する構成としてもよい。
【0185】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明の検体処理システム及び検体容器仕分け装置は、検体を測定する検体測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体容器を仕分ける検体容器仕分け装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】検体投入ユニットの構成を示す平面図。
【図5】検体チェックユニットの構成を示す平面図。
【図6】検体チェックユニットの一部の構成を模式的に示した正面図。
【図7】検体容器傾倒機構の概略構成を示す側面図。
【図8】実施の形態にかかる検体チェックユニットにおけるカメラと、白色と、検体容器との位置関係及び白色LEDから発せられた光の進行方向を説明するための模式図。
【図9】検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図10】検体搬送装置の第1ベルトの構成を示す正面図。
【図11】検体搬送装置の第2ベルトの構成を示す正面図。
【図12】検体分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図13】検体分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図14】塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図15A】検体投入装置の検体仕分け動作の流れを示すフローチャート(前半)。
【図15B】検体投入装置の検体仕分け動作の流れを示すフローチャート(後半)。
【図16】貯留指示データの構造を示す模式図。
【図17】貯留ラック情報の構造を示す模式図。
【図18A】検体投入装置の退避ラック情報表示動作の流れを示すフローチャート。
【図18B】検体投入装置のバーコードの再読取動作の流れを示すフローチャート。
【図18C】検体投入装置のエラー情報除去動作の流れを示すフローチャート。
【図18D】検体投入装置の貯留ラック除去動作の流れを示すフローチャート。
【図19】貯留ラックリスト画面の一例を示す図。
【図20】サンプルラックの詳細情報画面の一例を示す図。
【図21】システム制御装置の測定オーダ取得動作の流れを示すフローチャート
【図22】システム制御装置の検体容器形状検出処理の流れを示すフローチャート。
【図23】システム制御装置の血液量検出処理の手順を示すフローチャート。
【図24】検体容器の像の幅を検出する処理を説明するための模式図。
【図25】バーコードラベルの像の左右端の位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図26】検体容器像の下端位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図27】システム制御装置の血液凝固判定処理の手順を示すフローチャート。
【図28】検体容器の像の左端位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図29】検体容器底部像の上端位置を検出する処理を説明するための模式図。
【図30】血液面像の位置検出に失敗した場合の血液凝固判定用の処理領域を説明するための模式図。
【図31A】図29に示した画像における処理領域内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラム。
【図31B】図29に示した画像における処理領域内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラム
【図31C】血液凝固が生じていない血液における処理領域内の画素のB値及びR/B輝度比に関する分布状態を示すスキャッタグラム
【図32】システム制御装置による仕分け指示処理の手順を示すフローチャート。
【図33A】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図33B】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図34A】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図34B】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図35A】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図35B】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【符号の説明】
【0188】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
2a 制御部
21 検体投入ユニット
21a バーコード読取部
21e カメラ
211 ラック載置部
22 検体チェックユニット
221 ラック収容部
222c ハンディバーコードリーダ
225a,225b カメラ
227 液晶表示部
23 検体送出ユニット
23a バーコードリーダ
231 ラック再投入部
3 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
301 検体搬送装置
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81 本体
81a CPU
81c RAM
81d ハードディスク
84a システム制御プログラム
9 ホストコンピュータ
BL1 バーコードラベル
BL2 バーコードラベル
W1 貯留ラックリスト
A1 リスト表示領域
B1 表示切替ボタン
W2 詳細情報画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器に収容された検体を測定する検体測定部と、
検体容器を前記検体測定部へ搬送する搬送部と、
検体容器を収容する検体容器収容部と、
検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検体容器が前記検体測定部へ供給すべき検体容器であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別された検体容器を前記搬送部へ向けて送出し、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を前記検体容器収容部へ向けて送出する送出部と、
を備える、検体処理システム。
【請求項2】
前記搬送部は、複数の検体容器を収容可能な検体ラックを搬送するように構成されており、
前記検体容器収容部は、検体ラックを収容可能に構成されており、
前記検出手段は、検体ラックに収容された各検体容器について、検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出するように構成されており、
前記検体容器収容部に収容された検体ラックにおいて、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を特定可能に表示する表示手段をさらに備える、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記検体容器収容部は、複数の検体ラックを収容可能に構成されており、
入力部をさらに備え、
前記表示手段は、前記検体容器収容部に収容された検体ラックを特定するラック特定情報を選択可能に表示する第1表示手段と、
前記第1表示手段により表示されたラック特定情報の前記入力部による選択を受け付けたときに、選択されたラック特定情報に対応する検体ラックに収容された検体容器のうち、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を特定可能に表示する第2表示手段と、を具備する、請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
検体ラックを特定する検体ラック特定情報を記録した検体ラック特定情報記録部を具備する検体ラックを投入するための投入部と、
前記投入部に投入された検体ラックの検体ラック特定情報記録部から、前記検体ラックの検体ラック特定情報を読み出す読出部と、
をさらに備え、
前記検出手段は、前記投入部に投入された検体ラックに収容された検体容器の形状又は前記検体容器に収容された検体の状態を検出するように構成されており、
前記第1表示手段は、前記読出部により読み出された、前記検体容器収容部に収容された検体ラックの検体ラック特定情報を選択可能に表示するように構成されている、請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器に関する情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記表示手段は、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器に関する情報を表示するように構成されており、
前記表示手段により表示されている前記検体容器に関する情報の削除の指示を受け付ける削除指示受付手段と、
前記削除指示受付手段によって検体容器に関する情報の削除の指示を受け付けた場合に、前記検体容器に関する情報を前記記憶部から削除する削除手段と、
をさらに備える、請求項2乃至4の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記送出部と前記搬送部との間に設けられており、使用者からの検体容器の投入を受け入れる検体容器投入部をさらに備える、請求項1乃至5の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記判別手段は、前記検出手段の検体容器の形状の検出結果に基づいて、前記検体容器が前記検体測定部に適合しているか否かを判別するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記検出手段は、検体容器に収容された血液検体の凝固を検出するように構成されており、
前記判別手段は、前記検出手段によって血液検体の凝固が検出されなかった検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別し、前記検出手段によって血液検体の凝固が検出された検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記検出手段は、検体容器に収容された検体の量を検出するように構成されており、
前記判別手段は、前記検出手段によって検出された血液検体の量が所定量以上の検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別し、前記検出手段によって検出された血液検体の量が所定量未満の検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項10】
検体を収容する検体容器を収容する検体容器収容部と、
検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検体容器が、検体を測定する検体測定部へ供給すべき検体容器であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別された検体容器を前記検体測定部へ供給するための送出先に送出し、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を前記検体容器収容部へ送出する送出部と、
を備える、検体容器仕分け装置。
【請求項1】
検体容器に収容された検体を測定する検体測定部と、
検体容器を前記検体測定部へ搬送する搬送部と、
検体容器を収容する検体容器収容部と、
検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検体容器が前記検体測定部へ供給すべき検体容器であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別された検体容器を前記搬送部へ向けて送出し、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を前記検体容器収容部へ向けて送出する送出部と、
を備える、検体処理システム。
【請求項2】
前記搬送部は、複数の検体容器を収容可能な検体ラックを搬送するように構成されており、
前記検体容器収容部は、検体ラックを収容可能に構成されており、
前記検出手段は、検体ラックに収容された各検体容器について、検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出するように構成されており、
前記検体容器収容部に収容された検体ラックにおいて、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を特定可能に表示する表示手段をさらに備える、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記検体容器収容部は、複数の検体ラックを収容可能に構成されており、
入力部をさらに備え、
前記表示手段は、前記検体容器収容部に収容された検体ラックを特定するラック特定情報を選択可能に表示する第1表示手段と、
前記第1表示手段により表示されたラック特定情報の前記入力部による選択を受け付けたときに、選択されたラック特定情報に対応する検体ラックに収容された検体容器のうち、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を特定可能に表示する第2表示手段と、を具備する、請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
検体ラックを特定する検体ラック特定情報を記録した検体ラック特定情報記録部を具備する検体ラックを投入するための投入部と、
前記投入部に投入された検体ラックの検体ラック特定情報記録部から、前記検体ラックの検体ラック特定情報を読み出す読出部と、
をさらに備え、
前記検出手段は、前記投入部に投入された検体ラックに収容された検体容器の形状又は前記検体容器に収容された検体の状態を検出するように構成されており、
前記第1表示手段は、前記読出部により読み出された、前記検体容器収容部に収容された検体ラックの検体ラック特定情報を選択可能に表示するように構成されている、請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器に関する情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記表示手段は、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器に関する情報を表示するように構成されており、
前記表示手段により表示されている前記検体容器に関する情報の削除の指示を受け付ける削除指示受付手段と、
前記削除指示受付手段によって検体容器に関する情報の削除の指示を受け付けた場合に、前記検体容器に関する情報を前記記憶部から削除する削除手段と、
をさらに備える、請求項2乃至4の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記送出部と前記搬送部との間に設けられており、使用者からの検体容器の投入を受け入れる検体容器投入部をさらに備える、請求項1乃至5の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記判別手段は、前記検出手段の検体容器の形状の検出結果に基づいて、前記検体容器が前記検体測定部に適合しているか否かを判別するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記検出手段は、検体容器に収容された血液検体の凝固を検出するように構成されており、
前記判別手段は、前記検出手段によって血液検体の凝固が検出されなかった検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別し、前記検出手段によって血液検体の凝固が検出された検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記検出手段は、検体容器に収容された検体の量を検出するように構成されており、
前記判別手段は、前記検出手段によって検出された血液検体の量が所定量以上の検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別し、前記検出手段によって検出された血液検体の量が所定量未満の検体容器を、前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項10】
検体を収容する検体容器を収容する検体容器収容部と、
検体容器の形状又は前記検体容器に収容される検体の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記検体容器が、検体を測定する検体測定部へ供給すべき検体容器であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器であると判別された検体容器を前記検体測定部へ供給するための送出先に送出し、前記判別手段により前記検体測定部へ供給すべき検体容器でないと判別された検体容器を前記検体容器収容部へ送出する送出部と、
を備える、検体容器仕分け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図27】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図27】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【公開番号】特開2010−107399(P2010−107399A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280579(P2008−280579)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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