説明

検像装置

【課題】医用画像の混入の事実が判明された場合において、行方不明となった医用画像を容易に発見することを可能にする検像装置の提供
【解決手段】オーダ情報受信部36は、検査毎のオーダ情報を入力する。画像ファイル受信部30は、検査毎に生成され、少なくなくとも一つの医用画像及び付帯情報を含む検査レコードを受信する。混入レコード特定部38は、検査毎のオーダ情報のうちの特定のオーダ情報と検査毎の検査レコードの付帯情報との間で項目を比較することにより、前記検査毎の検査レコードのうちに、他の検査に関する少なくなくとも一つの医用画像及び付帯情報が混入された特定の検査レコードがあるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像及び医用画像に関連付けられる付帯情報を検像するための検像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検像装置は、医用画像が医用画像保管装置に登録・配信される前に問題が無いかを確認し、問題が見つかった場合には修正を行う。検像装置の技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
ところで、ある患者(例えば患者Aとする)の医用画像の撮影時において、不慮の事態により医用画像撮影装置で患者切り替え処理が正常に行なわれない場合がある。この場合、患者Aの医用画像は、異なる患者(例えば患者Bとする)の検査データ(医用画像及びその付帯情報)の中に混入されてしまう。その結果、患者Aに関する医用画像は、患者Bに関する医用画像として管理されてしまい、患者Aに関する医用画像は、行方不明となってしまう。医用画像の混入の事実が判明された場合、当日発生した検査データを手作業で調べなければならず、解決に労力と時間とを要する。近年の病院内システムの規模の増大に伴い、この作業の被害は甚大なものとなりつつある。
【特許文献1】特開2006―94957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、医用画像の混入の事実が判明された場合において、行方不明となった医用画像を容易に発見することを可能にする検像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面に係る検像装置は、検査毎のオーダ情報を受信する第1受信部と、前記検査毎に生成され、少なくなくとも一つの医用画像及び付帯情報を含む検査レコードを受信する第2受信部と、前記検査毎のオーダ情報のうちの特定のオーダ情報と前記検査毎の検査レコードの付帯情報との間で項目を比較することにより、前記検査毎の検査レコードのうちに、他の検査に関する少なくなくとも一つの医用画像及び付帯情報が混入された特定の検査レコードがあるか否かを判定する判定部と、を具備する。
【0006】
本発明の第2の局面に係る検像装置は、オーダ情報に従って正しく医用画像及び付帯情報が発生されたか否かを検査し修正するための検像装置であって、画像診断部門支援システムから複数のオーダ情報を受信する第1受信部と、医用画像撮影装置から複数の医用画像及び複数の付帯情報を受信する第2受信部と、前記受信された複数のオーダ情報に含まれる特定のオーダ情報と前記複数の付帯情報とに共通の項目を比較し、前記複数の医用画像及び付帯情報から前記特定のオーダ情報に対応する特定の医用画像及び付帯情報を特定する特定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、医用画像の混入の事実が判明された場合において、行方不明となった医用画像を容易に発見することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係わる検像装置について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係わる病院内の検査室システムの構成を示す図である。図1に示すように、病院内の検査室システムは、互いにLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続された画像診断部門支援システム10、医用画像撮影装置12、検像装置14、医用画像保管装置16、医用画像観察装置18、及び医用画像診断装置20を備える。
【0010】
画像診断部門支援システム10は、検査の指示内容を示すオーダ情報を発生する。また、画像診断部門支援システム10は、医用画像撮影装置12と検像装置14とにオーダ情報を送信する。オーダ情報は、患者情報と検査情報とを含む。オーダ情報の患者情報は、例えば患者IDや患者名等の患者に関する情報を有する。オーダ情報の検査情報は、例えば検査UID、撮影予定枚数、撮影予定時刻、医用画像撮影装置の種類、及び医用画像撮影装置の番号に関する少なくとも一つの項目を含む。
【0011】
医用画像撮影装置12は、画像診断部門支援システム10からの患者のオーダ情報に従って当該患者の画像ファイルを発生する。画像ファイルには、医用画像と付帯情報とが含まれる。
【0012】
よく知られているように、付帯情報は、上層から順番に患者情報、検査情報、撮影情報(シリーズ情報)、画像情報に階層化されている。付帯情報の患者情報は、例えば患者IDや患者名等の患者に関する情報を有する。付帯情報の検査情報は、例えば検査UIDや検査日時、医用画像撮影装置の種類(モダリティ)、医用画像撮影装置の番号、画像撮影枚数等の検査に関する情報を有する。付帯情報のシリーズ情報は、例えばシリーズUIDやシリーズ番号等のシリーズに関する情報を有する。付帯情報の画像情報は、例えば画像番号や画像撮影時刻等の医用画像に関する情報を有する。
【0013】
よく知られているように、一回の検査は、撮影方法や手技等により複数のシリーズに区分される。さらに各シリーズでは、少なくとも一つの医用画像が撮影される。医用画像一つ一つについて上述の付帯情報が生成され、関連付けられる。ここで、一回の撮影で発生された医用画像及びその付帯情報をまとめて一つの画像ファイルとする。また、一回の検査で発生された複数の画像ファイルの集合を検査レコードと呼ぶことにする。すなわち、一つの検査レコードは、同じ検査UIDを有する複数の画像ファイルを含む。医用画像撮影装置12は、画像ファイルをDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)規格に準拠したフォーマットで検像装置14に送信する。この際、医用画像撮影装置12は、画像ファイルを一つ一つ検像装置14に送信する。
【0014】
オーダ情報と付帯情報とは、共通の事項に関する項目を含む。以下、この共通の事項に関する項目を共通項目と呼ぶことにする。共通項目は、例えば、上述の医用画像撮影装置の種類、医用画像撮影装置の番号、画像撮影時刻(オーダ情報においては画像撮影予定時刻)、画像撮影枚数(オーダ情報においては画像撮影予定枚数)である。
【0015】
検像装置14は、画像診断部門支援システム10からオーダ情報を、医用画像撮影装置12から画像ファイルをそれぞれ受信する。検像装置14は、受信されたオーダ情報と画像ファイルの付帯情報とに基づいて行方不明になった画像ファイルが混入された検査レコードを特定する。検像装置14は、既存の修正機能を用いて、特定された検査レコードに含まれる少なくとも1つの画像ファイルを修正する。検像装置は、修正された画像ファイル及び修正の必要のなかった画像ファイルを医用画像保管装置16に送信する。
【0016】
医用画像保管装置16は、検像装置14から送信された画像ファイルを記憶する。医用画像保管装置16は、同一の検査UIDを有する複数の画像ファイルを一つの検査レコードとしてまとめて管理する。
【0017】
医用画像観察装置18は、医用画像保管装置14からの画像ファイルを受信し、受信した画像ファイルに含まれる医用画像及び付帯情報を表示する。
【0018】
医用画像診断装置20は、検像装置14から送信された画像ファイルを受信し、受信した画像ファイルに含まれる医用画像及び付帯情報を表示する。また、医用画像診断装置20は、画像診断等のため、医用画像を計測して計測結果を表示する。
【0019】
図2は、検像装置14の機能ブロック図である。図2に示すように、検像装置14は、画像ファイル受信部30、画像ファイル分析部32、登録部34、オーダ情報受信部36、混入レコード特定部38、修正部40、データベース42、データ保管部44、画像ファイル送信部46、表示部48、及び操作部50を備える。
【0020】
画像ファイル受信部30は、医用画像撮影装置12からLANを介して画像ファイルを受信する。受信された画像ファイルは、画像ファイル受信部30により画像ファイル分析部32に送信される。画像ファイル分析部32は、画像ファイル受信部30からの画像ファイルに含まれる付帯情報を分析し、画像管理とオーダ管理とに必要な付帯情報を画像ファイルから抽出する。抽出された付帯情報は、画像ファイル分析部32により登録部34と混入レコード特定部42とに供給される。また、付帯情報は、表示部48に所定のレイアウトで表示される。登録部34は、画像ファイル分析部32からの付帯情報をデータベース42及びデータ保管部44に登録する。
【0021】
オーダ情報受信部36は、画像診断部門支援システム10からLANを介してオーダ情報を受信する。オーダ情報は、患者情報と検査情報とに区分されている。受信されたオーダ情報は、混入レコード特定部38に供給される。また、オーダ情報は、所定のレイアウトで表示部48に表示される。
【0022】
混入レコード特定部38は、行方不明になった画像ファイルに対応するオーダ情報と複数の患者に関する画像ファイルの付帯情報との間で共通の項目を比較することにより、検査毎の検査レコードのうちに、他の検査に関する少なくなくとも一つの画像ファイルが混入された検査レコード、すなわち、行方不明になった画像ファイルが混入されている検査レコードがあるか否かを判定する。より詳細には、混入レコード特定部38は、各画像ファイルに対して、オーダ情報との共通項目の内容を比較し、近似の度合に応じたスコアを加算する。そして混入レコード特定部38は、スコアの合計値に基づいて行方不明の画像ファイルが混入された検査レコードを特定する。この際、スコアの合計値のリストは、表示部48に表示される。特定された検査レコードに含まれる画像ファイルは、混入レコード特定部38により修正部40に供給される。
【0023】
修正部40は、混入レコード特定部38からの画像ファイルを、ユーザによる操作部50を介した指示のもと、既存の技術により修正する。修正された画像ファイルは、修正部40によりデータベース42及びデータ保管部44に登録される。
【0024】
データベース42は、行方不明の画像ファイルが混入している検査レコードを探索するための情報、画像ファイル受信部30により受信された画像ファイル、オーダ情報受信部46により受信されたオーダ情報のデータを管理する。以下、行方不明の画像ファイルを、不明画像ファイルと呼ぶことにする。データ保管部44は、画像ファイル受信部30により受信された画像ファイル、オーダ情報受信部36により受信されたオーダ情報のデータを適切な場所に記憶する。
【0025】
画像ファイル送信部46は、データベース42及びデータ保管部44から画像ファイルを読み出して図1に示すLANを介して医用画像保管装置16に送信する。
【0026】
表示部48は、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)等の表示デバイスを含む。表示部48は、検査レコードのリスト及びオーダ情報のリストを表示する。また、表示部48は、混入レコード特定部38により加算されたスコアの合計値のリストを表示する。
【0027】
操作部50は、操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。操作部50としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切り替えスイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0028】
以下、検像装置14の具体的な処理の流れを説明する。まず、図3を参照しながら、画像ファイルの混入について説明する。ある患者について検査依頼を受けると、画像診断部門支援システム10は、オーダ情報を発生する。オーダ情報は、患者情報と検査情報とを含む。具体的には、オーダ情報は、患者名、モダリティ、撮影予定枚数、及び検査部位等の項目を含む。医用画像撮影装置12は、このオーダ情報に基づいて、医用画像を撮影する。通常、ある患者の検査が終わり次の患者の検査を始めるとき、技師は、医用画像撮影装置12等に設けられた患者切り替え機能を実行する。この患者切り替え機能が実行されることにより医用画像撮影装置12は、前回に撮影された医用画像と次に撮影する医用画像とが異なる検査のものであることを認識する。
【0029】
例えば、患者C、患者D、患者E、患者Fの順に検査が行なわれるとする。例えば、患者Cに関するオーダ情報には、医用画像を撮影するモダリティは「CT」であり、撮影予定枚数は「l枚」、検査部位は「xxx」であることが示されている。また、実際に検査が行なわれると、検査は「待ち」から「済み」に変更される。検査が行なわれ、技師等により患者切り替え機能が実行されると、医用画像撮影装置12は、患者Cについての検査を終了する。
【0030】
患者Cについての検査が終了すると、患者Dについての検査の準備をする。準備が完了すると、患者Dに関するオーダ情報に従って、患者Dについての検査が行われる。そして、患者Dについての検査が終了すると、患者Eについての検査が行なわれる。しかし、不慮の事態により、患者Dについての検査から患者Eについての検査への切り替え時に患者切り替え機能が実行されなかった、あるいは、実行されたが正常に機能しなかったとする。この場合、医用画像撮影装置12は、図3に示すように、本来ならば患者Eに関する画像ファイルを患者Dに関する画像ファイルであると誤認識してしまう。すなわち、患者Eに関する検査レコードに含まれるべき画像ファイルは、患者Dに関する検査レコードに混入されてしまう。
【0031】
図3には、このような画像ファイルの混入が発生した場合における検査レコードのリスト表示の一例が示されている。この検査リストには、患者名、モダリティ(医用画像撮影装置の種類)、実際の撮影枚数、検査日時(撮影時刻を含む)が表示される。なお、検査日時は、シリーズ毎に表示されている。このリストに示すように、患者Eについての検査情報(検査レコード)は、患者Dについての検査情報(検査レコード)に混入されている。なお、このリストは、検像装置14の表示部48により表示される。
【0032】
以上で、画像ファイルの混入についての説明を終了する。
【0033】
次に、図4を参照しながら、行方不明の画像ファイルが混入された検査レコードの特定及び修正処理について説明する。図4は、行方不明の画像ファイルが混入された検査レコードの特定及び修復処理の流れを示す図である。
【0034】
(ステップS1)
オーダ情報受信部36は、画像撮影が正しく行われたかを検査するために、LANを介して画像診断部門支援システム10からオーダ情報を受信する。例えば、オーダ情報が必要な時、検像装置14は、画像診断部門支援システム10に対してオーダ情報の送信要求をする。画像診断部門支援システム10は、オーダ情報の送信要求を受けて、オーダ情報を検像装置14に送信する。また、画像ファイル受信部30は、画像撮影が正しく行われたかを検査するために、LANを介して医用画像撮影装置12から画像ファイルを受信する。画像ファイルは、画像ファイルの生成が完了されることを契機として検像装置14に送信される。画像ファイルが受信されると、画像ファイル分析部32は、画像ファイルから、検像のために必要な情報を抽出する。必要な情報は、例えば、患者情報、医用画像撮影装置の種類、医用画像撮影装置の番号、撮影実施時刻、撮影枚数等である。画像ファイル分析部32には、同じ検査UIDを有する複数の画像ファイルが画像ファイル受信部30から送られてくる。画像ファイル分析部32は、画像ファイルを受付けてから、一定時間、同じ検査UIDを有する画像ファイルが送られてこないと判断したときに、既に受信してある同じ検査UIDを有する複数の画像ファイルを一つの検査レコードとしてまとめて管理する。
【0035】
(ステップS2)
表示部48は、受信されたオーダ情報のリストと検査リストとを表示する。具体的には、ステップS2において表示される検査リストは、図3に示すリストである。
【0036】
(ステップS3)
オーダ情報は、検査レコードとは独立に発生される、従って、検査レコードに混入が発生したからといって、これに付随してオーダ情報に混入が発生することはない。従って、ユーザは、オーダ情報のリストと検査リストとを見比べることで、行方不明の検査レコード(画像ファイル)があることを知ることができる。行方不明の検査レコードを発見すると、ユーザは、操作部50を介して不明検査のオーダ情報(行方不明の検査レコードに対応するオーダ情報)を指定する。そして、ユーザは、操作部50を介して、行方不明の検査レコードが混入された検査レコードを特定するためのキーワード情報を入力する。キーワード情報は、当該オーダ情報に記載されている医用画像撮影装置の種類、医用画像撮影装置の番号、画像撮影時刻、画像撮影枚数の少なくとも一つに関する情報である。
【0037】
(ステップS4)
混入レコード特定部38は、各検査レコードに含まれる医用画像の付帯情報について、指定されたオーダ情報(行方不明の検査レコードに対応するオーダ情報)との共通項目の内容を比較し、一致又は近似する共通項目を含む検査レコードにスコアを加算する。共通項目は、ステップS3において入力されたキーワード情報である。加算するスコアは、共通項目の種類に応じて変化させるとよい。また、近似の度合に応じて加算するスコアを変化させてもよい。共通項目は、例えば、医用画像撮影装置の種類、医用画像撮影装置の番号、画像撮影時刻、患者切り替え時間、画像撮影枚数がある。以下、各共通項目におけるスコアの加算方法を説明する。なお、キーワード情報は、ユーザにより操作部50を介して入力されるとした。しかし、予めキーワード情報となる項目を設定しておくことで、混入レコード特定部38は、自動的にキーワード情報を読み込むとしてもよい。
【0038】
[医用画像撮影装置の種類(モダリティ)]
医用画像撮影装置の種類とは、具体的には、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、磁気共鳴イメージング装置、PET、SPECT等を示す。混入レコード特定部38は、不明検査のオーダ情報に記載された医用画像撮影装置の種類と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影された医用画像を含む検査レコードに所定のスコアを加算する。この所定のスコアは、予め設定されているものとする。混入レコード特定部38は、スコアを医用画像毎に加算するとしても、検査或いはシリーズ毎に加算するとしてもよい。
【0039】
[医用画像撮影装置の番号]
医用画像撮影装置の番号とは、病院内に備えられた医用画像撮影装置12を一意に特定するための番号である。混入レコード特定部38は、不明検査のオーダ情報に記載された医用画像撮影装置の番号と同じ番号の医用画像撮影装置で撮影された医用画像を含む検査レコードに所定のスコアを加算する。この所定のスコアは、予め設定されているものとする。混入レコード特定部38は、スコアを医用画像毎に加算するとしても、検査或いはシリーズ毎に加算するとしてもよい。
【0040】
[画像撮影時刻]
画像撮影時刻は、医用画像が撮影された時刻を示す。画像撮影時刻は、医用画像一枚一枚に付されている。混入レコード特定部38は、不明検査のオーダ情報に記載されている撮影予定時刻と、比較対象の画像ファイルに含まれる医用画像の撮影時刻とを比較する。そして、混入レコード特定部38は、一致の度合に応じたスコアを、比較対象の画像ファイルを含む検査レコードに加算する。なお、撮影時刻の比較対象となる医用画像は、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影されたものに限定する。混入レコード特定部38は、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影された医用画像を含まない検査レコードにスコア0を加算する。
なお、スコアの加算方法は上記方法に留まらない。例えば、スコアSは、例えば、定数C1、不明検査のオーダ情報に記載されている撮影予定時刻Tm、比較対象の検査レコードの撮影時刻Ts、定数C2を用いて下記の(1)のように計算されてもよい。
S=(C1−(Tm−Ts)/C1)×C2 ・・・(1)
なお、比較対象の検査レコードの撮影時刻Tsは、比較対象の検査レコードに含まれ、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置により撮影された複数の医用画像の撮影時刻の平均値とする。定数C1とC2とは、ユーザ等により自由に設定可能である。定数C1とC2とは、撮影予定時刻Tmと撮影時刻Tsとが近似すればするほど、スコアSが高くなるように設定される必要がある。なお、混入レコード特定部38は、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影された医用画像を含まない検査レコードにスコア0を加算する。
【0041】
[患者切り替え時間]
患者切り替え時間は、ある患者の検査が終了してから次の患者の検査が開始されるまでの時間間隔である。この患者切り替え時間は、通常、5分くらいであることが知られている。混入レコード特定部38は、比較対象の検査レコードに含まれる各医用画像の撮影時刻の時間間隔を算出する。混入レコード特定部38は、算出された各時間間隔と予め設定された患者切り替え時間(例えば5分)とを比較する。混入レコード特定部38は、患者切り替え時間以上の時間間隔が算出された場合、比較対象の検査データに所定のスコアを加算する。なお、比較対象となる医用画像は、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影されたものに限定する。混入レコード特定部38は、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影された医用画像を含まない検査レコードにスコア0を加算する。
【0042】
[画像撮影枚数]
画像撮影枚数は、一つの検査において撮影した医用画像の枚数である。混入レコード特定部38は、不明画像ファイルのオーダ情報に記載の撮影予定枚数と、比較対象の検査レコードに含まれる画像数(ファイル数)とを比較する。不明画像ファイルのオーダ情報に記載の撮影予定枚数よりも比較対象の検査レコードに含まれる画像数が多い場合、混入レコード特定部38は、比較対象の検査レコードに所定のスコアを加算する。この所定のスコアは、予め設定されている。また、オーダ情報に記載の撮影予定枚数よりも比較対象の検査レコードに含まれる画像数が少ない場合、混入レコード特定部38は、比較対象の検査レコードに所定のスコア0を加算する。この際、比較対象となる医用画像は、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影されたものに限定する。混入レコード特定部38は、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影された医用画像を含まない検査レコードにスコア0を加算する。
【0043】
(ステップS5)
各検査レコードについてスコア計算が終了すると、表示部48は、図5に示すように、スコアの高い順に検査レコードの一覧を表示する。最高点が付された検査レコードには、行方不明になった検査レコードが混入されている可能性が高い。修正のため、ユーザは、操作部50を操作して、最高点が付された検査レコードを画面上で選択する。
【0044】
(ステップS6)
ユーザにより操作部50を介して検査レコードが選択されると、修正部40は、選択された検査レコードを修正対象に特定する。
【0045】
(ステップS7)
修正対象の検査レコードを特定すると、修正部40は、この検査レコードに含まれる画像ファイルの付帯情報を修正する。具体的には、修正部40は、分離処理、付帯情報修正処理、結合処理を行なう。なお、分離処理及び付帯情報修正処理は必ず行なわれるが、結合処理は必要に応じて行なわれる。また、修正部40は、検査レコードが選択されることを契機として、検査レコードの修正処理を開始するとした。しかしながらこれに限定する必要はなく、修正部40は、最高点が付された検査レコードに対して自動的に検査レコードの修正処理を開始するとしてもよい。なお検査レコードの修正処理の間、表示部48は、選択された検査レコードに含まれ、不明画像ファイルに含まれる医用画像を撮影した医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像撮影装置で撮影された医用画像のリストを表示する。この際、表示部48は、撮影時間順に表示する。また、画像の撮影時刻の時間間隔が患者切り替え時間よりも長い箇所がある場合、表示部48は、その箇所に患者切り替えを示すマーク等を付すとよい。
【0046】
[分離処理]
行方不明の検査レコードが混入された検査レコードから行方不明の検査レコードを分離する。検査データのリストに患者切り替えを示すマークが表示されている場合、修正部40は、そのマークを境として検査レコードを分割する。ユーザにより操作部50を介して片方の検査レコードが選択されることにより、修正部40は、選択された検査レコードを行方不明の検査レコードとして、修正処理に移行する。
【0047】
[修正処理]
修正部40は、不明検査のオーダ情報をもとに、分離後の行方不明の検査レコードに含まれる付帯情報を自動的に修正する。また、同様に、修正部40は、行方不明の検査レコードが混入されていた検査レコードに対応するオーダ情報をもとに、行方不明の検査レコードが混入されていた検査レコードも自動的に修正する。この際、DICOM規格で規定されているStudy Instance UIDもオーダ情報に基づいて自動的に修正する。修正後の検査レコードは、データベース42とデータ保管部44とに登録される。
【0048】
[結合処理]
行方不明の検査レコードに互いに異なる種類の医用画像撮影装置で撮影された複数の医用画像を含まれる場合がある。ここで、複数の医用画像のうち、不明検査のオーダ情報に記載された医用画像撮影装置と同じ種類の医用画像装置で撮影された医用画像を第一種の医用画像、不明検査のオーダ情報に記載された医用画像撮影装置と異なる種類の医用画像装置で撮影された医用画像を第二種の医用画像と呼ぶことにする。同じStudy Instance UIDを有する画像ファイルは、同一の検査レコードにまとめられるべきである。この原則に従って、修正部40は、修正後の検査レコードに含まれるStudy Instance UIDと同じStudy Instance UIDを有する検査レコードをデータベース42及びデータ管理部44から読み出して、読み出した検査レコードと修正後の検査レコードとを結合する。修正が完了した検査レコードは、画像ファイル送信部46によりLANを介して医用画像保管装置16に送信され、医用画像保管装置16に保管される。
【0049】
上記のように、検像装置14は、画像診断部門支援システム10からオーダ情報を受信し、医用画像撮影装置12から画像ファイルを受信する。そして検像装置14は、不明検査のオーダ情報と複数の検査に関する画像ファイルの付帯情報とを比較することにより、行方不明の画像ファイルが混入された検査データを特定する。かくして本実施形態に係わる検像装置14は、医用画像の混入の事実が判明された場合において、行方不明となった医用画像を容易に発見することが可能となる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、検像装置14の機能を医用画像保管装置16あるいは画像診断部門支援システム10が有して実行しても良い。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係わる病院内の検査室システムの構成を示す図。
【図2】図1の検像装置の構成を示す図。
【図3】本実施形態に係わる画像ファイルの混入について説明するための図。
【図4】図1の検像装置により行なわれる、行方不明の画像ファイルが混入された検査データの特定・修正処理の流れを示す図。
【図5】図4のステップS5において表示されるスコアのリストの一例を示す図。
【符号の説明】
【0052】
10…画像診断部門支援システム、12…医用画像撮影装置、14…検像装置、16…医用画像保管装置、18…医用画像観察装置、20…医用画像診断装置、30…画像ファイル受信部、32…画像ファイル分析部、34…登録部、36…オーダ情報受信部、38…混入レコード特定部、40…修正部、42…データベース、44…データ保管部、46…画像ファイル送信部、48…表示部、50…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査毎のオーダ情報を受信する第1受信部と、
前記検査毎に生成され、少なくなくとも一つの医用画像及び付帯情報を含む検査レコードを受信する第2受信部と、
前記検査毎のオーダ情報のうちの特定のオーダ情報と前記検査毎の検査レコードの付帯情報との間で項目を比較することにより、前記検査毎の検査レコードのうちに、他の検査に関する少なくなくとも一つの医用画像及び付帯情報が混入された特定の検査レコードがあるか否かを判定する判定部と、
を具備する検像装置。
【請求項2】
前記項目は、医用画像撮影装置、画像撮影時刻、及び画像撮影枚数に関する少なくとも一つの項目を含む、請求項1記載の検像装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記特定のオーダ情報に含まれる前記項目の内容と、前記複数の付帯情報に含まれる前記項目の内容とを比較し、前記入力される検査レコードのそれぞれに対して近似の度合に応じたスコアを加算し、前記加算されたスコアの合計値に基づいて前記特定の検査レコードを特定する、請求項1記載の検像装置。
【請求項4】
前記付帯情報ごとの前記スコアの合計値を表示する表示部をさらに備える請求項3記載の検像装置。
【請求項5】
オーダ情報に従って正しく医用画像及び付帯情報が発生されたか否かを検査し修正するための検像装置であって、
画像診断部門支援システムから複数のオーダ情報を受信する第1受信部と、
医用画像撮影装置から複数の医用画像及び複数の付帯情報を受信する第2受信部と、
前記受信された複数のオーダ情報に含まれる特定のオーダ情報と前記複数の付帯情報とに共通の項目を比較し、前記複数の医用画像及び付帯情報から前記特定のオーダ情報に対応する特定の医用画像及び付帯情報を特定する特定部と、
を備えることを特徴とする検像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−26984(P2010−26984A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190968(P2008−190968)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】