説明

検出センサ

【課題】作業者による誤認識の防止を図ることができる検出センサを提供する。
【解決手段】CPUには、出力信号の信号レベル(平均値MA)を第2表示部に表示する通常表示機能と、出力信号の信号レベルをフォーカス倍率Fxで乗算した調整値ADを第2表示部に表示するフォーカス機能とが切り替え可能に備えられる。CPUは、通常表示機能において第2表示部に平均値MAをそのまま常時表示させる表示態様となるように設定され、フォーカス機能において第2表示部に調整値ADと文字列「Foc」を交互に表示する表示態様となるように設定される。CPUは作業者により通常表示機能及びフォーカス表示機能のいずれか一方が選択されると、その選択された表示機能によるいずれかの表示態様にて出力信号の信号レベルを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物を検出する検出センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば光電センサなどの検出センサは、投光素子から投光された光を受光素子にて受光し、被検出物(ワーク)の有無による受光量の変化に対して設定された閾値レベルに基づき被検出物の検出を行なっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の検出センサでは、受光部にて得られる検出値を適宜拡大調整し、その調整後の値を表示部に表示値として表示する表示機能(スケーリング機能)を有している。この表示機能は、例えば受光素子にて得られる検出値の表示の際に、表示値を見易くするなどの理由から得られた検出値を所定の倍率で乗算するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−158641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような表示機能を有する検出センサでは、その表示機能を使用すると、受光素子にて得られる検出値の変化量以上に、表示部に表示される調整後の表示値が変化する。そのため、その表示機能を使用していることを認識している作業者においては、その調整後の表示値の変化については問題ないと感じるものの、表示機能を使用していることを認識していない作業者においては、その調整後の表示値の変化に対して違和感を持ち、検出センサの故障を疑うような誤認識する虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、作業者による誤認識の防止を図ることができる検出センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被検出物の検出状態に応じた検出信号を出力する検出手段と、前記検出手段にて得られた前記検出信号の信号レベルを表示可能な表示手段と、前記検出信号の信号レベルを前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えた検出センサであって、前記制御手段は、前記検出信号の信号レベルを前記表示手段に表示させる第1表示機能と、前記検出信号の信号レベルを所定の倍率で演算した演算後の信号レベルを前記表示手段に表示させる第2表示機能とを備えるとともに、前記第1表示機能による表示態様と前記第2表示機能による表示態様とが異なるように設定され、前記第1表示機能及び前記第2表示機能のいずれか一方の機能を選択可能な機能選択手段により選択された表示機能にて、前記信号レベルを前記表示手段に表示させることをその要旨とする。
【0008】
この発明では、制御手段には、出力信号の信号レベルを表示手段に表示する第1表示機能と、出力信号レベルを所定の倍率で演算した演算結果を表示手段に表示する第2表示機能とが切り替え可能に備えられる。第1表示機能による表示態様と第2表示機能による表示態様とが異なるように設定され、第1表示機能及び第2表示機能のいずれか一方が選択手段により選択された際に、その選択された表示機能にて信号レベルが制御手段により表示手段に表示される。このように第1表示機能と第2表示機能のそれぞれの表示態様を異なるように構成したことで、いずれかの一方の表示機能にて表示手段に信号レベルが表示される場合に、作業者に対して各表示機能の表示態様の違いによって、どちらの表示機能が選択されているのか報知することができるため、検出センサの故障等の使用者による誤認識を抑えることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検出センサにおいて、前記検出手段にて検出される前記被検出物の検出状態における信号レベル及び非検出状態における信号レベルと、予め設定される目標値との比率に基づき、前記第2表示機能における前記倍率を設定する倍率設定手段を備えたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、検出手段にて検出される被検出物の検出状態における信号レベル及び非検出状態における信号レベルと、予め設定される目標値との比率に基づき、第2表示機能における倍率を設定する倍率設定手段が備えられる。このような構成であっても、第1表示機能の表示態様と第2表示機能の表示態様とが異なるため、請求項1と同様の効果を奏することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の検出センサにおいて、前記第2表示機能における前記倍率が基準レベルを超えた際に、異常と判定して報知する異常判定手段を備えたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、第2表示機能における倍率が基準レベルを超えた際に、異常と判定して報知する異常判定手段が備えられる。このように、異常判定手段により、倍率が基準レベルを超えた際に、表示・音等により報知されることで、第2表示機能における倍率を基準レベル以下に誘導することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の検出センサにおいて、前記目標値を変更可能な変更手段を備え、前記倍率設定手段は、前記変更手段にて前記目標値が変更された際に、前記第2表示機能における前記倍率を再設定することをその要旨とする。
【0014】
この発明では、目標値を変更可能な変更手段が備えられ、その変更手段にて目標値が変更された際に、倍率設定手段により第2表示機能における倍率が再設定される。このように、使用者により目標値を変更可能な変更手段を設け、その変更手段により目標値が変更された場合に倍率を再設定することで、第2表示機能における倍率を調整することができる。そのため、例えば請求項3に記載の構成のように、第2表示機能における倍率が基準レベルを超えてその旨が報知された場合に、目標値を再設定して倍率を基準レベル以下に調整することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の検出センサにおいて、前記制御手段は、前記機能選択手段により前記第2表示機能が選択されている際には、前記第2表示機能における前記倍率で演算した演算後の信号レベルと、前記倍率とを前記表示手段に表示させることをその要旨とする。
【0016】
この発明では、機能選択手段により第2表示機能が選択されている際には、制御手段により、第2表示機能における倍率で演算した演算後の信号レベルと、第2表示機能における倍率とが表示手段に表示される。このように、第2表示機能選択時において、第2表示機能における倍率で演算した演算後の信号レベルと、その倍率とが表示手段にて表示されることで、使用者に対し、演算後の信号レベルが基の信号レベルからどの程度の倍率で変更されたものなのか報知することができる。
【発明の効果】
【0017】
従って、上記記載の発明によれば、作業者による誤認識の防止を図ることができる検出センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態におけるファイバセンサの平面図。
【図2】ファイバセンサの電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)(b)(c)は機能の階層構造を示す説明図。
【図4】フォーカス倍率の設定動作の一例を説明するためのフローチャート。
【図5】フォーカス機能選択時の動作の一例を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をファイバセンサに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ファイバセンサ10のセンサ本体11は略直方体に形成されるとともに、その上面には例えば8桁のデジタル表示が可能な表示手段としてのデジタル表示部12が設けられている。デジタル表示部12の先端側(図1において左側)には、例えばLED(発光ダイオード)からなる放置手段としての動作表示灯13が設けられている。
【0020】
また、デジタル表示部12には、ファイバセンサ10が備える複数の機能(例えば、閾値レベルの設定及びその微調整)や各種設定値等が表示される。デジタル表示部12は、4桁を表示する4つの7セグメントLED14a〜14dからなる第1表示部14と、4桁を表示する4つの7セグメントLED15a〜15dからなる第2表示部15とが一列に接続されている。
【0021】
また、センサ本体11の上面において、デジタル表示部12の基端側(図1において右側)には、一対の三角形状の選択スイッチ16,17が設けられるとともに、これら選択スイッチ16,17の前記デジタル表示部12とは反対側(図1において右側)に四角形状の決定スイッチ18が設けられている。
【0022】
選択スイッチ16,17は、それぞれの押圧操作によりデジタル表示部12に表示される機能等を互いに逆方向の順序で切り替えるためのものであり、決定スイッチ18は、その押圧操作によりデジタル表示部12に表示される現在の機能等を決定するためのものである。
【0023】
に示すように、ファイバセンサ10は、投光素子21を備えた投光回路22と、受光素子23を備えた検出手段としての受光回路24と、制御手段を構成するCPU25とを備えている。CPU25内には、記憶手段としてのメモリ26及びタイマ27が備えられている。投光回路22は、CPU25からの出力信号を受けて投光素子21を所定の光量で発光させる。発光された光は受光素子23によって光電変換されて受光回路24に入力され、受光素子23での受光量に応じたレベルの出力信号がCPU25に出力される。
【0024】
図1に示すセンサ本体11には、順次搬送される被検出物Wの搬送経路(図2において白抜き矢印の方向)の両側に、図2に示す投光用ファイバ28及び受光用ファイバ29が配置されるようになっている。また、これら投光用ファイバ28及び受光用ファイバ29は、その先端が前記搬送経路の垂直方向において対向するように配置されている。そして、両ファイバ28,29を介して形成される投光素子21及び受光素子23間の光路(検出領域)内への被検出物Wの進入量によって変化する受光素子23の受光量(検出値)に応じたレベルの出力信号(アナログ信号)が、受光回路24からCPU25へ出力されるように構成されている。
【0025】
CPU25は、前記出力信号をサンプリングした複数(例えば3つ)の測定点での受光信号レベルの移動平均値MAを算出し、この平均値MAと閾値レベルとの大小を比較する。そして、CPU25は平均値と閾値レベルとの比較結果に応じて反転する検出信号を出力回路30に出力するとともに、動作表示灯13を例えば赤色に点灯させる。
【0026】
CPU25には制御手段を構成する表示回路31が電気的に接続されており、CPU25は表示回路31を介してデジタル表示部12の7セグメントLED14a〜14d,15a〜15dを駆動しデジタル表示部12に文字・数字・記号を表示する。また、CPU25にはスイッチ入力回路32が電気的に接続されており、CPU25はスイッチ入力回路32を介して選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作を検出し、選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作に応じてデジタル表示部12の表示を制御する。
【0027】
デジタル表示部12に表示される各機能は、関連するもの同士がまとめられて、上層(上位階層)、中層(中位階層)、下層(下位階層)の二層の階層構造に分類されており、選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作によって各機能を実行することができる。
【0028】
具体的には図3(a)に示すように、上層には、「RUN(被検出物Wの検出動作を実行する通常検出状態)」、「TEACH(閾値レベルの設定)」、「L/D ON(入光時ON/非入光時ONの設定)」「TIMER(タイマ動作の設定)」、「CUST(カスタム設定の内容表示)」、「PRO(詳細設定)」の各機能が分類されている。
【0029】
また上層「PRO」の一段下位の層である中層には、「PRO1」〜「PRO5」の各機能が分類されている。また、中層の一段下位の層である下層には、「Pro1」〜「Pro5」に対応する各機能が分類されている。
【0030】
尚、本実施形態のファイバセンサ10には、前記平均値MAを第2表示部15に表示する第1表示機能としての通常表示機能と、前記平均値MAに対し所定の倍率(後述するフォーカス倍率Fx)を乗算してその調整した調整値ADを第2表示部15に表示する第2表示機能としてのフォーカス機能とを有している。特に、各機能の選択等の設定は、中層の機能「PRO2(フォーカス機能の設定)」で行い、その機能「PRO2」の一段下位の層である下層には、図3(c)に示すように「SET(フォーカス機能時における目標値の設定)」、「DTCH(フォーカス倍率の処理)」、「FSEL(フォーカス機能の選択)」の各機能が分類されている。
【0031】
被検出物Wを検出している状態において、第1表示部14には閾値レベルが表示されるとともに、第2表示部15には受光信号レベルが表示される、このとき、決定スイッチ18が押圧操作されると、デジタル表示部12の上4桁の第1表示部14に上層機能「RUN」が表示される。この状態で、例えば選択スイッチ16が押圧操作されると、図3(a)に示すように、第1表示部14に表示される上層の機能がその操作回数に応じて、「RUN」→「TEACH」→「L/D ON」→「TIMER」→「CUST」→「PRO」→「RUN」の順でループ状に切り替えられる。また、選択スイッチ17が操作されると、その操作回数に応じて第1表示部14に表示される上層の機能が、選択スイッチ16が押圧操作される場合とは逆向きの順番でループ状に切り替えられる。
【0032】
更に、例えば第1表示部14に上層の機能「RUN」、「TEACH」、「L/D ON」、「TIMER」及び「CUST」のいずれかが表示されている状態で決定スイッチ18が押圧操作されると、当該機能に係る処理が許容される。また、第1表示部14に上層の機能「PRO」が表示されている状態で、決定スイッチ18が押圧操作されると、図3(b)に示すように、第1表示部14に表示される機能が一段下位の層である中層の機能「Pro1」に切り替えられる。そして、この状態で、例えば選択スイッチ16が押圧操作されると、第1表示部14に表示される中層の機能がその操作回数に応じて、「Pro1」→「Pro2」→「Pro3」→「Pro4」→「Pro5」→「Pro1」の順番でループ状に切り替えられる。また、選択スイッチ17が押圧操作されると、その操作回数に応じて第1表示部14に表示される中層の機能が、選択スイッチ16が押圧操作される場合とは逆向きの順番でループ状に切り替えられる。
【0033】
また、例えば第1表示部14に中層の機能「Pro2」が表示されている状態で決定スイッチ18が押圧操作されると、第1表示部14に表示される機能が一段下位の層である下層の機能「SET」に切り替えられる。そして、この状態で、例えば選択スイッチ16が押圧操作されると、第1表示部14に表示される下層の機能がその操作回数に応じて、「SET」→「DTCH」→「FSEL」→「SET」の順番でループ状に切り替えられる。また、選択スイッチ17が押圧操作されると、その操作回数に応じて第1表示部14に表示される中層の機能が、選択スイッチ16が押圧操作される場合とは逆向きの順番でループ状に切り替えられる。
【0034】
また、フォーカス機能時において、第2表示部15における表示上限値である第1目標値T1は、第2表示部15に表示される最大値(例えば4096)が設定され、CPU25のメモリ26に予め記憶されている。また、第2表示部15における表示下限値である第2目標値T2は、第2表示部15に表示される最小値(例えば0)が設定され、CPU25のメモリ26に予め記憶されている。但し、これら、目標値T1,T2は作業者により、任意に変更可能な構成であってもよく、例えば下層の機能「SET」が表示されている状態で決定スイッチ18が押圧操作されると、第1目標値T1が設定可能な状態に切り替えられる。この状態において、第1目標値T1が作業者により設定され、決定スイッチ18が押圧操作されると、第2目標値T2が設定可能な状態に切り替えられる。この状態において、第2目標値T2が作業者により入力され、決定スイッチ18が押圧操作されると、第1表示部14には「SET」が表示され、フォーカス機能選択時における目標値の設定が完了する。
【0035】
また、第1表示部14に下層の機能「DTCH」が表示されている状態で、決定スイッチ18が押圧操作されると、図4に示すようにフォーカス機能における表示倍率の設定動作がCPU25にて実行されるようになっている。
【0036】
CPU25は、投光回路22及び受光回路24を介して投光素子21及び受光素子23を制御し、例えば被検出物Wが無い状態の受光量(以下、第1取得値という)G1を取得し(ステップS10)、その取得した第1取得値G1を例えばメモリ26に記憶する(ステップS20)。次いで、決定スイッチ18が押圧操作されると、被検出物Wがある状態の受光量(以下、第2取得値という)G2を取得し(ステップS30)、その取得した第2取得値G2をメモリ26に記憶する(ステップS40)。その後、CPU25は、式1に示す如くフォーカス機能選択時におけるフォーカス倍率Fxの演算を行う(ステップS50)。尚、フォーカス倍率Fx設定時において、例えばその倍率が基準レベルを超えていた場合、CPU25は表示回路31を介して例えば第2表示部15に「hard」と表示させる。
【0037】
【数1】

そして、CPU25は、上記式1にて求めたフォーカス倍率Fxが基準レベル以下であればその倍率Fxをメモリ26に記憶し(ステップS60)、その後第1表示部には「DTCH」が表示され、フォーカス倍率Fxの設定が終了する。
【0038】
ここで、メモリ26は、不揮発性のメモリにて構成されており、例えば本センサ10の電源オフした後に、再度電源オンした場合、前記フォーカス倍率Fxはそのまま記憶されている。つまり、フォーカス倍率Fxの変更をしない限りは、そのフォーカス倍率Fxの値は一定となるように構成されている。
【0039】
また、第1表示部14に下層の機能「FSEL」が表示されている状態で、決定スイッチ18が押圧操作されると第2表示部15には「on」若しくは「off」と表示され、選択スイッチ16,17が押圧操作されることで第2表示部15に表示される文字列が「on」と「off」とで切り替えられるようになっている。
【0040】
そして、第2表示部15に「on」と表示された状態で、決定スイッチ18が押圧操作されると、CPU25は、上層の機能「RUN」実行時に、フォーカス機能を有効として各種動作を実行する。尚、フォーカス機能を選択した場合に、前述のフォーカス倍率Fxの設定(機能「DTCH」)がなされていない場合には、第2表示部15に「Err」と表示させ、作業者に対してその旨を報知する。
【0041】
また、第2表示部15に「off」と表示された状態で決定スイッチ18が押圧操作されると、CPU25は、上層の機能「RUN」実行時に、フォーカス機能を無効、つまり通常表示機能を選択したとして各種動作を実行する。
【0042】
(フォーカス機能選択)
次に、上記のように設定されたフォーカス倍率Fxを用いて、フォーカス機能(第2表示機能)を選択した場合のファイバセンサ10の動作例について図5を用いて説明する。
【0043】
CPU25は、上層の機能「RUN」が表示されている状態で、決定スイッチ18が押圧操作されると、被検出物Wの検出が開始される。そして、CPU25には、前述したように受光素子23での受光量に応じたレベルの出力信号が受光回路24を介して入力され、図5に示すようにCPU25は、CPU25に入力される出力信号をサンプリングした複数(例えば3つ)の測定点での受光信号レベルの移動平均値MAを算出し、この平均値(現在値)MAを取得する(ステップS100)。
【0044】
次いで、CPU25は前記機能「DTCH」にて取得した被検出物Wありの状態の第2取得値G2をメモリ26から読み込み(ステップS110)、前記平均値MAから第2取得値G2を除算して、前記平均値MAと第2取得値G2との差D1を算出する(ステップS120)。
【0045】
そして、CPU25は、前記ステップS120にて算出した差D1と前記機能「DTCH」にて設定されたフォーカス倍率Fxを乗算し(ステップS130)、その乗算した値に第2目標値T2を加算することでオフセットさせて調整値ADを算出する(ステップS140)。尚、前述したように予め第1目標値T1を第2表示部15に表示される表示上限値(4096)に設定し、予め第2目標値を第2表示部15に表示される表示下限値(0)に設定しているため、調整値ADの上限を表示上限値、調整値ADの下限を表示下限値となるように調整し、表示することができるようになっている。
【0046】
そして、CPU25は、表示回路31を制御し、第2表示部15には文字列「Foc」と、調整値ADとを交互に表示させる(ステップS150)。尚、CPU25は、表示回路31を制御して第1表示部14に閾値レベルを表示させる。そして、CPU25はステップS100からステップS160までを繰り返すように動作する。
【0047】
(通常表示機能選択)
一方、前述のフォーカス機能を無効、つまり通常表示機能を選択した場合、CPU25は、表示回路31を制御し受光回路24からCPU25へ出力される出力信号の平均値MAを第2表示部15に表示させる。また、CPU25は、表示回路31を制御して第1表示部14に閾値レベルを表示させるようになっている。
【0048】
上記の構成される検出センサとしてのファイバセンサ10では、通常表示機能を選択した場合には、信号レベルとしての平均値MAを第2表示部15に表示させ、フォーカス機能を選択した場合には、フォーカス機能(第1表示機能)が選択されているということを第2表示部15に文字列「Foc」と信号レベルとしての調整値ADを表示させる。このように、表示機能の違いにより、表示態様を異ならせて、どちらの表示機能が選択されているのかを作業者に対して知らせることができるため、故障でないにも関わらず故障と認識してしまうような作業者による誤認識を抑えることが可能となる。
【0049】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)制御手段としてのCPU25には、出力信号の信号レベルとしての受光信号レベル(平均値MA)を第2表示部15に表示する第1表示機能としての通常表示機能と、受光信号レベルを所定の倍率(フォーカス倍率Fx)で乗算した演算結果である調整値ADを第2表示部15に表示する第2表示機能としてのフォーカス機能とが切り替え可能に備えられる。CPU25は、通常表示機能において第2表示部15に平均値MAをそのまま常時表示させる表示態様となるように設定され、フォーカス機能において第2表示部15に調整値ADと文字列「Foc」を交互に表示する表示態様となるように設定される。そして、CPU25は作業者により通常表示機能及びフォーカス表示機能のいずれか一方が選択されると、その選択された表示機能(平均値MAの常時表示若しくは調整値ADと文字列「Foc」の交互表示)によるいずれかの表示態様にて受光信号レベルを表示する。このように通常表示機能とフォーカス機能のそれぞれの表示態様を異なるように構成したことで、いずれかの一方の表示機能にて第2表示部15に出力信号の信号レベルが表示される場合に、作業者に対して各表示機能の表示態様の違いによって、どちらの表示機能が選択されているのか報知することができるため、検出センサの故障等の使用者による使用者による誤認識を抑えることができる。
【0050】
(2)また、予め第1目標値T1を第2表示部15に表示される表示上限値(4096)と設定され、予め第2目標値を第2表示部15に表示される表示下限値(0)と設定されている。そのため、調整値ADの上限を表示上限値、調整値ADの下限を表示下限値となるように調整し、表示することができるようになっている。この場合、従来構成の検出センサでは、フォーカス機能が選択されているかどうか知らない作業者が上記のような調整値を見た場合、信号レベルの飽和と誤認識する虞がある。しかしながら、例えば本実施形態の様に第2表示部15に調整値と文字列「Foc」を交互に表示するような構成とすることで、前述のように誤認識することを抑えることができる。
【0051】
(3)フォーカス機能時におけるフォーカス倍率Fxが基準レベルを超えた際に、異常と判定して報知する異常判定手段としてのCPU25が備えられる。このように、CPU25により、倍率Fxが基準レベルを超えた際に、第2表示部15に「hard」と表示させて報知することで、フォーカス機能における倍率Fxを基準レベル以下に誘導することができる。
【0052】
(4)CPU25には目標値T1,T2を変更可能な変更手段としての機能「SET」が備えられ、その機能「SET」にて目標値T1,T2が変更された際に、倍率設定手段によりフォーカス機能における倍率Fxが再設定される。このように、使用者により目標値T1,T2を変更可能な機能「SET」を設け、その機能により目標値T1,T2が変更された場合に倍率Fxを再設定することで、フォーカス機能における倍率Fxを調整することができる。そのため、フォーカス機能における倍率Fxが基準レベルを超えてその旨が報知された場合に、目標値T1,T2を再設定して倍率Fxを基準レベル以下に調整することができる。
【0053】
(5)メモリ26は、不揮発性メモリで構成されているため、本センサ10の電源を切断(電源オフ)することによる、設定値の消失が防止されている。このため、フォーカス倍率Fxの設定を電源再投入(電源オン)毎に行う必要が無いため、作業者の作業量を軽減させることができる。
【0054】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、フォーカス機能有効(選択)時に、第2表示部15に文字列「Foc」を表示するように構成したが、これに限らない。
【0055】
例えば、第1表示部14による閾値レベルを非表示として、フォーカス機能無効とされる通常表示機能選択時には、第1表示部14に文字列「no」と表示するとともに、第2表示部15には平均値MAを表示する。そして、フォーカス機能有効(選択)時には、第1表示部14に文字列「Foc」と表示するとともに、第2表示部15に前記平均値MAにフォーカス倍率Fxを乗算した調整値ADを表示するような構成としてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では特に言及していないが、デジタル表示部12(第2表示部15)の発光色をフォーカス機能選択時と通常表示機能選択時とで切り替えるようにしてもよい。
【0057】
また、例えば通常表示機能選択時において第2表示部15に表示される平均値MAを点灯表示させ、フォーカス機能選択時において第2表示部15に表示される調整値ADを点滅表示するように構成してもよい。
【0058】
また、フォーカス機能選択時において、フォーカス倍率Fxを用いて演算した信号レベルである調整値ADと、フォーカス倍率Fxを例えば第2表示部15に交互に表示させる構成としてもよい。このように、フォーカス機能選択時において、フォーカス機能における倍率で演算した演算後の信号レベルである調整値ADと、その倍率Fxとが第2表示部15にて表示されることで、使用者に対し、演算後の信号レベル(調整値AD)が基の信号レベル(平均値MA)からどの程度の倍率Fxで変更されたものなのか、報知することができる。尚、上記実施形態の構成に加え、第1表示部14若しくは別途を設ける表示部に、倍率Fxを表示させる構成であってもよい。
【0059】
・上記実施形態では、機能フォーカス倍率Fxが基準レベルを超えていた場合に、第2表示部15に「hard」と表示して報知する構成としたが、音などによって報知する構成であってもよい。
【0060】
・上記実施形態では、CPU25の機能「SET」にて第1目標値T1と第2目標値T2とを変更可能に構成したが、これに限らず、例えば装置10出荷段階で予め決められた目標値T1,T2のみを用いる構成、つまり目標値T1,T2を変更不能な構成であってもよい。
【0061】
・上記実施形態では、メモリ26を不揮発性メモリにて構成したが、揮発性メモリにて構成してもよい。尚、揮発性メモリで構成した場合であってもそのメモリに電力供給することで、メモリ内にフォーカス倍率Fxが保持された状態を保つことができる。
【0062】
・上記実施形態では、デジタル表示部12を7セグメントLEDを複数(計8個)用いて構成したが、これに限らず、デジタル表示部12をマトリックス状の表示装置としてもよい。又はLED(発光ダイオード)に代えてLCD(液晶表示装置)等の他の表示装置を用いてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、投光素子21及び受光素子23を対向配置した所謂透過型のファイバセンサにて構成したが、これに限らず、例えば投光素子及び受光素子を備えた投受光ユニットとそのユニットと対向配置される反射ミラーとで構成した所謂反射ミラー型のファイバセンサで構成してもよい。また、前記投受光ユニットを備え被検出物Wからの反射光を利用して被検出物Wの有無を検出する所謂反射型のファイバセンサにて構成してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、本発明をファイバセンサに具体化したが、これに限らず、その他の検出センサに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…ファイバセンサ(検出センサ)、12…デジタル表示部(表示手段)、15…第2表示部(表示手段及び異常放置手段)、16,17…選択スイッチ(機能選択手段)、18…決定スイッチ(機能選択手段)23…受光素子(検出手段)、24…受光回路(検出手段)、25…CPU(制御手段、機能選択手段、倍率設定手段及び変更手段)、Fx…フォーカス倍率、T1,T2…目標値、W…被検出物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物の検出状態に応じた検出信号を出力する検出手段と、
前記検出手段にて得られた前記検出信号の信号レベルを表示可能な表示手段と、
前記検出信号の信号レベルを前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備えた検出センサであって、
前記制御手段は、
前記検出信号の信号レベルを前記表示手段に表示させる第1表示機能と、前記検出信号の信号レベルを所定の倍率で演算した演算後の信号レベルを前記表示手段に表示させる第2表示機能とを備えるとともに、
前記第1表示機能による表示態様と前記第2表示機能による表示態様とが異なるように設定され、
前記第1表示機能及び前記第2表示機能のいずれか一方の機能を選択可能な機能選択手段により選択された表示機能にて、前記信号レベルを前記表示手段に表示させることを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の検出センサにおいて、
前記検出手段にて検出される前記被検出物の検出状態における信号レベル及び非検出状態における信号レベルと、予め設定される目標値との比率に基づき、前記第2表示機能における前記倍率を設定する倍率設定手段を備えたことを特徴とする検出センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の検出センサにおいて、
前記第2表示機能における前記倍率が基準レベルを超えた際に、異常と判定して報知する異常判定手段を備えたことを特徴とする検出センサ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の検出センサにおいて、
前記目標値を変更可能な変更手段を備え、
前記倍率設定手段は、前記変更手段にて前記目標値が変更された際に、前記第2表示機能における前記倍率を再設定することを特徴とする検出センサ。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の検出センサにおいて、
前記制御手段は、前記機能選択手段により前記第2表示機能が選択されている際には、前記第2表示機能における前記倍率で演算した演算後の信号レベルと、前記倍率とを前記表示手段に表示させることを特徴とする検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−33450(P2011−33450A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179260(P2009−179260)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】