説明

検出位置制御装置及び表示制御システム

【課題】操作性のよい検出位置制御装置及び表示制御システムを提供する。
【解決手段】車両の運転席近傍に設けられて、ユーザのタッチ操作を検出することができる検出位置を変更可能とされたタッチパネル7と、インストルメントパネルと同インストルメントパネルに対して位置を変更可能とされたステアリング2との位置関係を示すステアリング位置情報を取得するステアリングセンサ12と、ステアリング位置情報に基づいてユーザの状態を推定し、この推定される状態に応じて検出位置を配置する表示制御部14と、を備えることを特徴とする検出位置制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出位置制御装置及び表示制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、全地球測位システム(GPS)等を利用して現在位置を測位し、その測位した現在位置を地図情報とともに表示画面に表示するナビゲーションシステムが搭載されている。特許文献1のナビゲーションシステムは、車両に搭載されたオーディオと接続されている。また、このナビゲーションシステムの表示画面には、タッチパネルが採用されている。ユーザは、タッチパネルに表示されたスイッチを操作することによりナビゲーション及びオーディオの操作が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−106851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、タッチパネルに表示するスイッチの位置と操作するユーザとの位置関係については考慮されていない。従って、タッチパネルに表示されるスイッチがユーザにとって操作しにくいおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作性のよい検出位置制御装置及び表示制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の運転席近傍に設けられて、ユーザのタッチ操作を検出することができる検出位置を変更可能とされた操作検出部と、インストルメントパネルと同インストルメントパネルに対して位置を変更可能とされたステアリングとの位置関係を示すステアリング位置情報を取得するステアリングセンサと、前記ステアリング位置情報に基づいてユーザの状態を推定し、この推定される状態に応じて前記検出位置を配置する制御手段と、を備えることを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、ステアリング位置情報に基づき、検出位置が配置される。ステアリングの位置は、ユーザが自身の状態に応じて操作しやすいように設定することができるので、このステアリングの位置情報に基づいて配置される検出位置は、ユーザが操作しやすい位置となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検出位置制御装置において、前記ステアリング位置情報は、前記インストルメントパネルと前記ステアリングとの距離、及びこれら両者のなす角度を示す情報のうち少なくとも一つが含まれることを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、制御手段は、インストルメントパネルに対するステアリングの距離及び角度情報の少なくとも1つをもとにユーザが操作しやすい位置を特定することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の検出位置制御装置において、前記車両は、前記インストルメントパネルに対してその位置を変更可能である前記ステアリングを操作するためにユーザが着座するシートと、前記インストルメントパネルと前記シートとの位置関係を示すシート位置情報を取得するシートセンサとを備え、前記制御手段は、前記ステアリング位置情報及び前記シート位置情報に基づいてユーザの体格を推定し、この推定される体格に応じて前記検出位置を配置することを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、制御手段は、ステアリング位置情報に加えてシート位置情報を加味して検出位置を配置する。これら両位置情報により、制御手段は、ユーザの体格を正確に推定することができる。このため、ステアリング位置情報のみの場合と比べて、2つの位置情報を基に配置される検出位置は、よりユーザが操作しやすい位置となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の検出位置制御装置において、前記シート位置情報は、前記インストルメントパネルと前記シートとの距離、及びこれら両者のなす角度を示す情報のうち少なくとも一つが含まれることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、制御手段は、距離及び角度情報をもとにユーザが操作しやすい位置を特定することができる。
請求項5に記載の発明は、前記操作検出部は、前記検出位置を表示する表示部と組み合わされたタッチパネルであって、前記制御手段は、前記表示部における前記検出位置を示す表示と、前記操作検出部における前記検出位置とを対応させる請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の検出位置制御装置を備えたことを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、タッチパネルに表示された検出位置の操作性がよい表示制御システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、操作性のよい検出位置制御装置及び表示制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態における車両の斜視図。
【図2】シートに着座したドライバの運転姿勢を示す側面図。
【図3】本実施形態の表示制御システムの概略構成を示すブロック図。
【図4】タッチパネルにおけるスイッチの配置態様を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の表示制御システムを具体化した一実施形態について図1〜図4に従って説明する。
<表示制御システムの構成>
図1に示されるように、車両1は、車輪を操舵するステアリング2と、同ステアリング2を操作するためにユーザ(ドライバ)が着座するドライバシート3とを備えている。ステアリング2は、インストルメントパネル8の右側の部位に後方へ向かって突設されている。図2に示されるように、このステアリング2は、インストルメントパネル8に対しての距離及び角度が変更可能とされている。ここでいう距離とは、車両の前後方向におけるインストルメントパネル8とステアリング2の回動中心との間の長さのことである。また、角度とは、図2に示されるように、ステアリング2を側面から見たときに、同ステアリング2の上端部と下端部とを結ぶ直線とインストルメントパネル8とのなす角度のことである。これら距離及び角度の情報であるステアリング位置情報は、ステアリング2に内蔵されるステアリングセンサ12によって検出される。また、ドライバシート3は、車両の前後方向におけるインストルメントパネル8と座部3aとの距離、及び背もたれ3bのインストルメントパネル8に対する角度が変更可能とされている。これら距離及び角度の情報であるシート位置情報は、ドライバシート3に内蔵されるシートセンサ13によって検出される。
【0018】
図1に示されるように、車両1は、各車両ドアに設けられて乗員に音楽等を提供するスピーカー4と、同じく乗員に自車の位置を表示する地図やテレビ画像等を提供するディスプレイ5とを備える。上下を逆にしたL字形状とされるこのディスプレイ5は、インストルメントパネル8の中央部に設けられている。なお、ディスプレイ5の前面には、ユーザのタッチ操作を検出する操作検出部6が設けられている。操作検出部6は、透明のシート状であって、ディスプレイ5の視認を妨げるものではない。これらディスプレイ5及び操作検出部6はタッチパネル7を構成する。
【0019】
図3に示されるように、車両1には、タッチパネル7と電気的に接続された表示制御部14が設けられている。表示制御部14は、ディスプレイ5に表示させる画像の制御及びユーザによる操作検出部6のタッチ操作情報を取得する。この表示制御部14には、スピーカー4の音量等のオーディオ情報を制御するオーディオ制御部15と、車両をナビゲートするための地図や自車位置等のナビゲーション情報を制御するナビゲーション制御部16とが電気的に接続されている。表示制御部14は、オーディオ制御部15から入力されるオーディオ情報をディスプレイ5に表示させるとともに、操作検出部6のタッチ操作情報をオーディオ制御部15に出力する。同様に、表示制御部14は、ナビゲーション制御部16から入力されるナビゲーション情報をディスプレイ5に表示させるとともに、操作検出部6のタッチ操作情報をナビゲーション制御部16に出力する。オーディオ制御部15及びナビゲーション制御部16は、ユーザの操作検出部6における操作に応じて、ディスプレイ5の表示及び各制御対象を制御する。
【0020】
また、表示制御部14には、例えば、EEPROM等からなる不揮発性のメモリ14aが設けられている。このメモリ14aには、ステアリング位置情報及びシート位置情報から推定されるドライバの体格情報テーブルが記憶されている。体格情報テーブルは、統計的に算出されたものであって、ステアリング位置情報及びシート位置情報を基に肩の位置を基点としたユーザ(ドライバ)の腕の長さ情報を格納している。表示制御部14は、先のステアリングセンサ12及びシートセンサ13と電気的に接続されている。そして、表示制御部14には、これら両センサ12,13によって検出されたステアリング位置情報及びシート位置情報が入力される。表示制御部14は、これらステアリング位置情報及びシート位置情報をもとにメモリ14aに記憶されている体格情報テーブルを参照してドライバの体格、すなわち腕の長さを推定する。表示制御部14は、ドライバの腕の長さに応じてディスプレイ5に表示させるスイッチの位置を決定する。
【0021】
<表示制御部の作用>
ドライバの体格の体格を推定した表示制御部14は、ドライバが左手で操作しやすい検出位置を算出する。通常、ドライバは、図2に示されるように、ステアリング2を操作しやすいように両肘を若干曲げて、両腕にゆとりを持たせている。一方、タッチパネル7を操作する場合には、肘を伸ばして手首や指の動きによって操作することが多い。これは、腕を伸ばした方がタッチパネル7を操作しやすいためである。そこで、表示制御部14は、ステアリング位置情報、シート位置情報、及び体格情報の各情報をもとに左腕の肘を曲げている状態の長さと、肘を伸ばした状態の長さとの差であるゆとり距離Xを算出する。そして、表示制御部14は、図4に示されるように、ステアリング2の九時の位置を中心Oとする半径がゆとり距離Xとされた仮想球を算出する。そして、この仮想球とタッチパネル7との交線で求められる同タッチパネル7上におけるドライバの操作しやすい位置を算出する。
【0022】
表示制御部14は、音量選択スイッチや目的地選択スイッチなどを配置する場合、これらスイッチを先のドライバの操作しやすい位置に配置する。具体的には、図4に示されるように、タッチパネル7と仮想球との交線である円弧に沿ってスイッチを配置する。このように配置することにより、これらスイッチを操作するドライバは、肘を曲げた運転姿勢から肘を伸ばしてタッチパネル7を操作する。すなわち、スイッチは、ドライバの操作しやすい位置に配置される。
【0023】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)インストルメントパネル8とステアリング2との距離及び角度の情報であるステアリング位置情報を取得するステアリングセンサ12を設けた。そして、表示制御部14は、ステアリングセンサ12が検出する情報からユーザが操作しやすい位置を算出し、その操作しやすい位置のタッチパネル7上にスイッチを配置するようにした。また、インストルメントパネル8とシート3の座部3aとの距離、及びインストルメントパネル8とシート3の背もたれ3bとの角度の情報であるシート位置情報を取得するシートセンサ13を設けた。そして、表示制御部14は、ステアリングセンサ12が検出する情報に加えてシートセンサ13が検出する情報を総合して、ユーザが操作しやすい位置を算出し、その操作しやすい位置のタッチパネル7上にスイッチを配置するようにした。これにより、ユーザのタッチパネル7に表示されたスイッチの操作性が向上する。
【0024】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、タッチパネル7はインストルメントパネル8の中央部に設けられていたが、タッチパネルが設けられる位置は中央部に限らない。また、インストルメントパネル8全体がタッチパネルとされていてもよい。さらに、タッチパネルが設けられる位置は、インストルメントパネルに限らず、センターコンソールや車両ドア等であってもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0025】
・上記実施形態では、タッチパネル7がインストルメントパネル8の中央部に嵌め込まれていたため、ユーザが左手でタッチパネル7を操作することを想定して、スイッチを配置する基準となる中心Oをステアリング2の九時の位置としたが、この中心Oの位置はステアリング2の九時の位置には限らない。例えば、インストルメントパネル8全体がタッチパネルとされている場合は、右手で操作することを想定して、中心Oの位置をステアリング2の三時の位置としてもよい。このようにすれば、ユーザが右手でタッチパネルを操作する際においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
・上記実施形態において、ステアリングセンサ12が計測するものは、ステアリング2とインストルメントパネル8との距離及び角度としたが、ステアリング2が車両の幅方向に可動できる構成とされている場合には、幅方向位置も計測するようにしてもよい。このように構成すれば、ステアリング2の幅方向位置が変更された場合でも、これに対応してタッチパネル7に表示させるスイッチ位置を変更することができる。また、中心Oの位置は、ステアリング2上以外としてもよい。例えば、推定されるユーザの肩(左肩)の位置を中心としてもよい。このようにしても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
・上記実施形態において、シートセンサ13が計測するものは、座部3aとインストルメントパネル8との距離、及び背もたれ3bとインストルメントパネル8との角度としたが、座部3aの床面からの高さを計測するようにしてもよい。また、シートセンサ13は、座部3aのインストルメントパネル8に対する角度を計測するようにしてもよい。このように構成すれば、上記実施形態と比べてより正確にユーザの体格を推定することができる。従って、より正確にゆとり距離Xを算出することができる。このため、ゆとり距離Xをもとに配置されるスイッチ位置は、よりユーザにとって操作しやすい位置となる。
【0028】
・上記実施形態では、表示制御部14は、ステアリング位置情報とシート位置情報とを総合してタッチパネル7に表示するスイッチ位置を制御したが、ステアリング位置情報のみを基にスイッチ位置を制御してもよい。また、この場合、表示制御部14は、インストルメントパネル8とステアリング2との距離、及びこれら両者のなす角度を示す両方の情報のうちどちらかの情報を基にスイッチ位置を制御してもよい。このように構成しても、タッチパネル7に表示されるスイッチ位置は、操作しやすい位置となる。なお、シート位置情報についても、インストルメントパネル8と座部3aとの距離、及びインストルメントパネル8と背もたれ3bとの角度を示す情報のうちどちらかの情報を基にスイッチ位置を制御してもよい。
【0029】
・上記実施形態では、表示制御部14は、ユーザの状態として体格を推定し、その体格に基づいてスイッチ位置を配置していたが、体格以外の状態を推定し、この状態からスイッチ位置を配置してもよい。例えば、ユーザの姿勢をユーザの状態として推定してもよい。このようにしても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0030】
O…中心、X…距離、1…車両、2…ステアリング、3…(ドライバ)シート、3a…座部、3b…背もたれ、4…スピーカー、5…ディスプレイ(表示部)、6…操作検出部、7…タッチパネル、8…インストルメントパネル、12…ステアリングセンサ、13…シートセンサ、14…表示制御部(制御手段)、14a…メモリ、15…オーディオ制御部、16…ナビゲーション制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席近傍に設けられて、ユーザのタッチ操作を検出することができる検出位置を変更可能とされた操作検出部と、
インストルメントパネルと同インストルメントパネルに対して位置を変更可能とされたステアリングとの位置関係を示すステアリング位置情報を取得するステアリングセンサと、
前記ステアリング位置情報に基づいてユーザの状態を推定し、この推定される状態に応じて前記検出位置を配置する制御手段と、を備えることを特徴とする検出位置制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出位置制御装置において、
前記ステアリング位置情報は、前記インストルメントパネルと前記ステアリングとの距離、及びこれら両者のなす角度を示す情報のうち少なくとも一つが含まれることを特徴とする検出位置制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検出位置制御装置において、
前記車両は、前記インストルメントパネルに対してその位置を変更可能である前記ステアリングを操作するためにユーザが着座するシートと、
前記インストルメントパネルと前記シートとの位置関係を示すシート位置情報を取得するシートセンサとを備え、
前記制御手段は、前記ステアリング位置情報及び前記シート位置情報に基づいてユーザの体格を推定し、この推定される体格に応じて前記検出位置を配置する検出位置制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検出位置制御装置において、
前記シート位置情報は、前記インストルメントパネルと前記シートとの距離、及びこれら両者のなす角度を示す情報のうち少なくとも一つが含まれることを特徴とする検出位置制御装置。
【請求項5】
前記操作検出部は、前記検出位置を表示する表示部と組み合わされたタッチパネルであって、
前記制御手段は、前記表示部における前記検出位置を示す表示と、前記操作検出部における前記検出位置とを対応させる請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の検出位置制御装置を備えた表示制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−240617(P2012−240617A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115038(P2011−115038)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】